JP2011090247A - 電子写真感光体の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】画像上のムラ、スジ、カブリなどの画像欠陥のない画像を出力可能な電子写真感光体の製造方法を提供する。
【解決手段】支持体上に、熱硬化性の樹脂と金属酸化物粒子を含有する中間層と、感光層とを有し、感光体に接触配置された帯電部材に電圧を印加することにより帯電される感光体の製造方法において、(1)支持体上に中間層用塗布液を塗布する中間層形成工程、(2)形成後の中間層の端部の塗膜表面に、導電性部材を接触あるいは近接させ、電圧を印加して電流を流す工程、(3)(2)の工程後の中間層上に感光層用塗布液を塗布する感光層形成工程を経ることを特徴とする電子写真感光体の製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、電子写真感光体の製造方法に関し、より詳しくは、直接帯電手段を適用しても電子写真感光体の端部の磨耗に起因する画像欠陥が生じにくい、優れた画像を得ることができる電子写真感光体の製造方法に関する。
電子写真装置は、高速でかつ高印字品質が得られ、複写機及びレーザービームプリンター等の分野において利用されている。電子写真装置に用いられる電子写真感光体(以下、単に「感光体」ということもある)として、有機の光導電材料を用いた有機感光体(OPC)の開発が進められ普及してきている。また、感光体の構成も、電荷移動型錯体構造材料または電荷発生材料を結着樹脂中に分散した単層型の感光体構成から、電荷発生層と電荷輸送層とに分離した機能分離型の感光体構成へと変遷し、性能が向上してきた。この機能分離型感光体構成において現在では、アルミニウム支持体の上に、中間層を形成しその後電荷発生層、電荷輸送層を形成する構成が主流となっている。
一方、電子写真装置に用いられる帯電手段としては、従来、ワイヤーに高電圧を印加することにより生ずるコロナ放電を利用した帯電手段が一般的であった。しかしながら、近年、印加する電圧が低い、オゾンの発生が極めて微量であるなどの長所を有していることから、電子写真感光体に接触配置されたローラ形状またはブレード形状の帯電部材に電圧を印加することにより該感光体を帯電する、所謂直接帯電手段が実用化されている。また、この直接帯電手段によってより均一な帯電を行なう方法として、印加電圧として直流電圧と交流電圧を重畳した脈流電圧を用いる方法が提案されている。
しかしながら、直接帯電手段を用いた場合には、繰り返し使用するに従って感光体が摩耗してしまうことがあった。特に帯電部材と感光体との接触領域の中央部よりも端部において摩耗し易かった。また、この傾向は、印加電圧が直流電圧と交流電圧を重畳した脈流電圧である場合により著しかった。また、電子写真装置のプロセススピードをより速くするために、印加電圧のピーク間電圧をより大きくしたり、周波数をより高くするとこの傾向は強くなった。更に、電子写真感光体が有する層が樹脂を含有している場合、その層は通常浸漬塗布法により形成され、この方法によって形成された層の塗布時に上端であった部分の層厚は、中央および下端であった部分の層厚よりも薄くなり易いが、そのような感光体を使用すると層厚の薄い部分がより摩耗し易かった。
摩耗により感光体の導電性支持体上の層厚が薄くなると、その部分の表面電位は低くなり、正規現像の場合は画像濃度が低下し、反転現像の場合はカブリが生じてしまう。更に摩耗が激しい場合は該位置で選択的にトナーのクリーニング不良が生じたり、絶縁破壊が生じることで、スジ状の画像欠陥が生じてしまう。
この課題を解消する方法としては、これまで、導電性支持体を改良する方法または下地層を改良することが提案されている。導電性支持体の改良としては、導電性支持体の端部位置に絶縁体を配置する方法が開示されている(特許文献1参照)。一方、中間層の改良としては、端部位置にインピーダンスの高い中間層を形成する方法が提案されている(特許文献2参照)。
しかしながら、上述した導電性支持体の改良方法である、特許文献1に記載されている導電性支持体の端部位置に絶縁体を配置する方法では、絶縁体を別途用意したり、導電性支持体を絶縁体に合わせて加工する、そしてそれらを接着する必要が生じるなど製造機構が複雑になりやすく、生産性が十分に高いとは言えないのが実情である。
更に、特許文献2に記載されている端部位置にインピーダンスの高い中間層を形成する方法では、中間層の塗布工程が複数回必要になる上に、中間層の境界部における膜厚ムラが画像に影響を与える場合があり、製造上の制約が多い。
すなわち、端部の磨耗に起因する画像欠陥を抑制するための電子写真感光体の中間層の加工方法が待望されているさらには、生産性および品質安定性が向上する製造方法が待望されている
特開2007−033878号公報 特許3416318号公報
以上のような状況を鑑み、本発明の目的は、直接帯電手段を適用しても端部の磨耗に起因する画像欠陥が生じにくい、優れた画像を得ることができる電子写真感光体を製造する、新規でかつ生産性の高い方法を提供することである。
本発明者らは、鋭意検討した結果、電子写真感光体の製造中に、中間層に電圧を印加し、電流を流すことで、上述の課題を効果的に改善する、生産性が高い新規な製造方法を見いだし、本発明に至った。
即ち、本発明は、支持体上に、熱硬化性の樹脂と金属酸化物粒子を含有する中間層と、感光層とを有し、電子写真感光体に接触配置された帯電部材に電圧を印加することにより帯電される電子写真感光体の製造方法において、
(1)支持体上に中間層用塗布液を塗布する中間層形成工程、
(2)形成後の中間層の端部の塗膜表面に、導電性部材を接触あるいは近接させ、電圧を印加して電流を流す工程、
(3)(2)の工程後の中間層上に感光層用塗布液を塗布する感光層形成工程
を経ることを特徴とする電子写真感光体の製造方法に関する。
本発明によれば、画像上のムラ、スジ、カブリなどの画像欠陥のない画像を出力することができる電子写真感光体を製造する、新規で生産性の高い方法を提供することができる。また、直接帯電手段を適用しても端部の磨耗に起因する画像欠陥が生じにくい、優れた画像を得ることのできる電子写真感光体を提供することができる。
本発明の電子写真感光体と帯電部材の相対関係の例を示す断面図である。 本発明の電子写真感光体と帯電部材の相対関係の例を示す図である。 本発明における電圧を印加する工程を実施するための装置の一例の概略構成を示す図である。 本発明における電圧を印加する工程を実施するための別の装置の一例の概略構成を示す図である。 本発明の電子写真装置の概略構成の例を示す図である。
以下、本発明をより詳細に説明する。
本発明は、上述のとおり、支持体上に、熱硬化性の樹脂と金属酸化物粒子を含有する中間層と、感光層とを有し、電子写真感光体に接触配置された帯電部材に電圧を印加することにより帯電される電子写真感光体の製造方法において、
(1)支持体上に中間層用塗布液を塗布する中間層形成工程、
(2)形成後の中間層の端部の塗膜表面に、導電性部材を接触あるいは近接させ、電圧を印加して電流を流す工程(以下、「電圧を印加する工程」ということもある)、
(3)(2)の工程後の中間層上に感光層用塗布液を塗布する感光層形成工程
を経ることを特徴とする電子写真感光体の製造方法である。
本発明における中間層とは、支持体と感光層との間に存在するすべての層を指し、中間層の構成としては1層でも2層以上の積層構成でも良い。
本発明における工程(1)、すなわち支持体上に中間層塗布液を塗布する中間層形成工程について説明する。
本発明における支持体は、従来の電子写真感光体で用いられる支持体でよい。すなわち支持体としては、導電性を有するもの(導電性円筒状支持体)が好ましく、アルミニウム、アルミニウム合金またはステンレスのような金属製の円筒状支持体を用いることができる。アルミニウムまたはアルミニウム合金の場合は、ED管、EI管およびこれらを切削、電解複合研磨(電解作用を有する電極と電解質溶液による電解および研磨作用を有する砥石による研磨)、または湿式もしくは乾式ホーニング処理したものも用いることができる。また、アルミニウム、アルミニウム合金または酸化インジウム−酸化スズ合金を真空蒸着によって被膜形成した層を有する上記金属製円筒状支持体または樹脂製円筒状支持体(例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、フェノール樹脂、ポリプロピレンまたはポリスチレン樹脂製円筒状支持体)を用いることもできる。また、カーボンブラック、酸化スズ粒子、酸化チタン粒子または銀粒子のような導電性粒子を樹脂または紙に含浸した円筒状支持体および、導電性結着樹脂を有するプラスチックを用いることもできる。酸化被膜を有する支持体の体積抵抗率は、1×1010Ω・cm以下であることが好ましく、特には1×10Ω・cm以下であることがより好ましい。
本発明の製造方法で製造される電子写真感光体は、中間層の一種として、結着樹脂としての熱硬化性の樹脂と金属酸化物粒子を含有している層を有している。また、中間層は、前述したとおり、1層構成でも2層以上の積層構成でも良いが、2層以上の積層構成の中間層の場合には、本発明の効果を得るためには、そのいずれかの層に、熱硬化性の樹脂と金属酸化物粒子を含有している必要がある。
本発明における中間層が含有する熱硬化性の樹脂は、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、メラミン樹脂、シロキサン樹脂、ブチラール樹脂及びアクリル樹脂などが好ましく、特に、フェノール樹脂、ウレタン樹脂、メラミン樹脂及びブチラール樹脂からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。
また、本発明における中間層が含有する金属酸化物粒子は、導電性の酸化スズ、酸化チタン又は酸化亜鉛などが挙げられる。特に、金属酸化物粒子は、酸化チタン、または酸化チタンと酸化スズとを含むことが好ましい。酸化スズについては材料の製造時に、酸化アンチモンなどのスズとは異なる価数の金属の化合物や非金属元素などを混合して(ドープして)、粉体抵抗率を1/1000乃至1/100000に小さくしたり、構成元素を増やさずにノンドープで酸化スズの抵抗をアンチモンドープと同程度に小さくした酸素欠損型酸化スズなども低抵抗化の観点で好ましい。また、塗料の分散性の観点から、硫酸バリウム粒子に酸素欠損型酸化スズを被覆した粉体、および硫酸バリウム粒子を用い、その上に、白色度を向上させるために酸化チタン(TiO)を被覆し、さらにその上に、導電性を付与するために酸化スズを被覆する3層構成の導電性粉体も好ましい。
更に、芯材粒子として酸化チタン粒子を用い、表面に酸素欠損型酸化スズを被覆した粒子を中間層用塗布液に用いることは低抵抗化と、粒子の分散性向上の観点から好ましい。これは、芯材粒子として酸化チタン粒子を用いるのは、酸素欠損型酸化スズの酸素欠損部位と酸化チタン粒子表面の酸化物部位の親和力により、酸素欠損型酸化スズの被覆層と芯材の結合が強化されるからである。また、酸素欠損型は、ドープ型と異なり、酸素存在下で酸化して酸素欠損部位が消失し、導電性が低下(粉体抵抗率が増加)してしまう場合があるが、芯材粒子として酸化チタン粒子を用いることにより、酸素欠損型酸化スズの酸素欠損部位が保護されるからである。この場合、被覆層の被覆率は、被覆層を有する微粒子からなる粉体の全質量に対する、この粉体に使用されている被覆層の質量の割合で表わされ、質量比率で30%〜70%であることが好ましい。例えば、酸素欠損型SnO被覆TiO粒子の全質量に対して、30〜70質量%のSnOを生成するのに必要なスズ原材料を該粒子製造時に配合して生成させることが好ましい(スズ原材料から得られるSnOの純度が100%であると仮定して計算した場合)。
一般的に、中間層の役割としては支持体と感光層との接着性を向上させること、および支持体から感光層へのキャリアの注入を防止し、繰り返し使用時の明部電位と暗部電位とを安定化させることが挙げられる。この機能がないと、部分的なキャリアの注入により画像に部分的に黒ポチが発生したり、画像にカブリが生じてしまうことがある。
また、DE管などの無切削のアルミニウム支持体表面の傷やササクレを被覆するために、支持体の傷やササクレなどの被覆を目的とした中間層を設けてもよい。これは導電性粉体を適当な結着樹脂に分散させた塗布液を塗工することにより形成される層で、主には支持体に接触して形成される。
このように支持体の傷やササクレなどの被覆を目的とした中間層の場合に用いる導電性粉体としては、以下のようなものが挙げられる。例えば、カーボンブラック、およびアセチレンブラック、アルミニウム、ニッケル、鉄、ニクロム、銅、亜鉛又は銀のような金属粉及び導電性ポリマー、さらには、上述した金属酸化物粒子も用いることができる。
また、本発明における中間層は、結着樹脂として熱硬化性樹脂を含有していれば良く、他種の熱硬化性樹脂を同時に用いること、およびその他の樹脂(熱可塑性樹脂、光硬化性樹脂等)を同時に用いることもできる。それらの樹脂としては、フェノール樹脂、ポリウレタン、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリビニルアセタール、ポリカーボネート、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、メラミン樹脂、ポリエステル樹脂、シリコーン樹脂、ポリスチレン、フェノキシ樹脂、酢酸セルロース樹脂、エチルセルロース樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルトルエン、ポリ−N−ビニルカルバゾール、アルキッド樹脂、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニリデンなどの樹脂(結着樹脂)が挙げられる。これらは1種または2種以上用いることができる。また、各種樹脂の中でも、他層へのマイグレーション(溶け込み)の抑制、支持体への密着性、導電性材料の分散性・分散安定性、成膜後の耐溶剤性などの観点から、中間層の結着樹脂は硬化性樹脂が好ましく、熱硬化性樹脂がより好ましい。具体的には、熱硬化性のフェノール樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、メラミン樹脂、シロキサン樹脂及びアクリル樹脂などがより好ましい。結着樹脂として硬化性樹脂を用いる場合、中間層用塗布液に含有させる結着材料は該硬化性樹脂のモノマーおよび/またはオリゴマーとなる。それらモノマーおよび/オリゴマーを加熱硬化するための重合反応を行う場合には、重合が十分に進行するように、100℃以上で加熱することが好ましい。また、過度の加熱は電子写真感光体の特性を低下させる恐れがあるため、重合温度は200℃以下であることが好ましい。さらには、120℃以上170℃以下で加熱することが好ましい。重合工程に必要な時間は、重合が十分に進行するように、5分以上であることが好ましい。また、加熱時間が長すぎると電子写真感光体の特性を低下させる恐れがあるため、120分以下であることが好ましい。さらには、20分以上90分以下であることが好ましい。
本発明における中間層の膜厚は、特に制限はないが、浸漬法においては生産安定性、膜厚均一性からおおむね50μm以下が好ましい。また用いる支持体の表面切削加工、表面処理等の有無、感光体として使用する際の帯電条件等によって、膜厚の上下限の好ましい範囲を設定する必要があり、例えば、ED管、EI管を用い、感光体をマイナス印加する系においては、中間層の膜厚が10μ以上35μm以下のとき、良好な画像が得られやすい。
本発明における中間層用塗布液における金属酸化物粒子(P)と結着樹脂(B)との質量比(P:B)は、1.0:1.0乃至5.0:1.0の範囲にあることが好ましい。金属酸化物粒子の量がこの範囲より少ないと、中間層の体積抵抗率を後述の範囲に収めることが難しくなる。また、金属酸化物粒子の量がこの範囲より多いと、中間層における金属酸化物粒子の結着が難しくなり、膜のクラックが発生しやすくなる。
中間層は、上記の金属酸化物粒子と結着樹脂を、適切な溶剤に分散し、または溶解し、これを塗布することにより形成することができる。
本発明における中間層用塗布液に使用される溶剤の具体例としては以下のものが挙げられる。メタノール,エタノール、メトキシプロパノールおよびイソプロパノール、1−ブタノールなどのアルコール系溶剤や,アセトン,メチルエチルケトンおよびシクロへキサノンなどのケトン系溶剤。テトラヒドロフラン,ジオキサン,エチレングリコールモノメチルエーテルおよびプロピレングリコールモノメチルエーテルなどのエーテル系溶剤。酢酸メチルおよび酢酸エチルなどのエステル系溶剤。トルエン、クロロベンゼンおよびキシレンなどの芳香族炭化水素溶剤。これらの溶剤は2種類以上混合して用いても良い。
本発明における中間層塗布液の分散方法としては、ペイントシェーカー、サンドミル、ボールミル、液衝突型高速分散機などを用いた方法が挙げられる。
前述の本発明における中間層と感光層(電荷発生層、電荷輸送層)との間には、支持体からのキャリアの注入に対するバリア機能や接着機能をさらに高めるために、さらなる中間層として第二の中間層を設けてもよい。さらに必要に応じて第三の中間層を設けてもよい。中間層が2層以上の場合、支持体に最も近い位置の層を「中間層または第一の中間層」とし、次いで積層される中間層を「第二の中間層」、「第三の中間層」とする。
第二およびそれ以降の中間層(単に「第二の中間層」という)は、硬化性樹脂を塗布後硬化させて樹脂層を形成する、あるいは、結着樹脂を含有する中間層用塗布液を本発明における中間層(第一の中間層)上に塗布し、乾燥することによって形成することができる。
第二の中間層の結着樹脂としては、以下のものが挙げられる。ポリビニルアルコール、ポリビニルメチルエーテル、ポリアクリル酸類、メチルセルロース、エチルセルロース、ポリグルタミン酸又はカゼインのような水溶性樹脂;ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリアミド酸樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂又はポリグルタミン酸エステル樹脂。電気的バリア性を効果的に発現させるためには、また、塗工性、密着性、耐溶剤性および抵抗のような観点から、第二の中間層の結着樹脂は熱可塑性樹脂が好ましい。具体的には、熱可塑性ポリアミド樹脂が好ましい。ポリアミド樹脂としては、溶液状態で塗布できるような低結晶性または非結晶性の共重合ナイロンが好ましい。また、第二の中間層において電荷(キャリア)の流れが滞らないようにするために、第二の中間層中に、前述のような導電性粉体を分散させる、あるいは、電子輸送物質(アクセプターのような電子受容性物質)を含有させてもよい。
熱可塑性樹脂から成る中間層の熱物性値は、ガラス転移温度として測定することができる。これらの樹脂のガラス転移温度は30℃から300℃の範囲内である。なお、ガラス転移温度は、例えばセイコー電子工業(株)製のSSC5200Hのような熱分析装置を用いて測定することが出来る。具体的には、20℃から280℃まで10℃/minの昇温速度で測定を行ない、得られたチャートの固体側の接線と転移温度域の急峻な位置の接線との交点をガラス転移点とする。
第二の中間層は、上記の導電性粉体や結着樹脂を、適切な溶剤に分散し、または溶解し、これを塗布することにより形成することができる。
第二の中間層用塗布液に使用する溶剤の具体例としては以下のものが挙げられる。アルキルアミン化合物、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、トリエチルアミンアルキルアミン化合物などのアルキルアミン化合物やメタノ−ル、エタノ−ル、1−ブタノ−ル、メチルセロソルブ、メトキシプロパノ−ル等のアルコール系溶剤、アセトン,メチルエチルケトンおよびシクロへキサノンなどのケトン系溶剤。テトラヒドロフラン,ジオキサン,エチレングリコールモノメチルエーテルおよびプロピレングリコールモノメチルエーテルなどのエーテル系溶剤。酢酸メチルおよび酢酸エチルなどのエステル系溶剤。トルエン、クロロベンゼンおよびキシレンなどの芳香族炭化水素溶剤などが挙げられる。これらの溶剤は2種類以上混合して用いても良い。
本発明の工程(1)、すなわち支持体上に中間層用塗布液を塗布する中間層形成工程は、浸漬コーティング法、スプレーコーティング法またはリングコーティング法のような塗布方法を用いることができる。生産性の観点から浸漬コーティング法であることが好ましい。
次いで、本発明の工程(2)、すなわち形成後の中間層の端部の塗膜表面に、導電性部材を接触あるいは近接させ、電圧を印加して電流を流す工程について説明する。
本発明における中間層とは、熱硬化性の樹脂と金属酸化物粒子を含有している中間層である。中間層が2層以上の積層構成の場合は、熱硬化性の樹脂と金属酸化物粒子を含有する少なくともいずれかの層に上述の電圧を印加して電流を流す工程を経る。必要に応じて、電圧を印加して電流を流した後に前述の第二の中間層を設けることも可能である。また、第二の中間層を設けた後に電圧を印加して電流を流す工程を経てもよい。そして、全ての中間層が熱硬化性の樹脂と金属酸化物粒子を含有している場合には、中間層の各層を形成するごとに各層に電圧を印加して電流を流す工程を経てもよい。
本発明の工程(2)では、工程(1)で形成した中間層の端部の塗膜表面に電流を流すものであるが、中間層の端部について説明する。中間層の端部は感光体と帯電部材の接触し得る領域との関係で規定される。感光体と帯電部材の接触し得る領域と端部の関係について、図1及び図2を用いて説明する。
図1は本発明で製造される電子写真感光体と帯電部材との相対関係の一例を示す断面図であり、図2は本発明で製造される電子写真感光体と帯電部材との相対関係の一例を示す図である。図1において、電子写真感光体1に帯電部材6が接触配置されている。電子写真感光体1は支持体2、中間層3および感光層5から構成されている。中間層3と感光層5との間の中間層表面4には複数の中間層を設けることもできる。図2において、7は電子写真感光体7に帯電部材8が接触配置されている。上記接触し得る領域は感光体1(または7)と帯電部材6(または8)が接触する感光体上の全ての部分であり、A及びBで示される領域である。また、その領域の端部とは上記接触し得る領域内で、かつ画像形成領域Aを含まない領域であり、Bで示される領域である。本発明の電子写真感光体の製造方法では、Bで示される領域に相当する、少なくとも中間層の端部の塗膜表面に、導電性部材を接触あるいは近接させ、電圧を印加して電流を流す。特に、上記端部の領域内で、かつ接触し得る領域の末端Cから領域Bへ向かって少なくとも3mmまでの領域における中間層の塗膜表面に、導電性部材を接触あるいは近接させ、電圧を印加して電流を流すことが好ましい。導電性部材を接触あるいは近接させ、電圧を印加して電流を流す領域が3mmまでの領域より小さいと、十分な効果が得られない場合がある。尚、接触し得る領域外Dにおける中間層の塗膜表面には、特に導電性部材を接触あるいは近接させ、電圧を印加して電流を流しても問題はないが、流す必要はない。
本発明における導電性部材を接触あるいは近接させ、電圧を印加して電流を流す方法は、均一に電流を流すことができる構成であれば、任意の構成をとることができる。特に好ましい例の概略図を図3に示す。図3において、31はその上に中間層を形成した円筒状支持体であり、矢印の方向に所定の周速度で回転駆動される。円筒状支持体上にその上に中間層を形成した円筒状支持体31は、回転過程において、圧接された導電性ローラ32により高圧電源33からの電圧が印加される。このときの電圧は直流電圧であっても、直流電圧に交流電圧を重畳した電圧であってもよい。
本発明において、工程(2)は支持体上に形成した中間層に導電性ローラを圧接して支持体を回転させながら電圧を印加し、電流を流すことが好ましい。その際、電圧を印加して流れる電流の値は、支持体上に形成した中間層の長手方向に帯電部材を20mmの幅で当接させたときに、5μA以上2000μA以下であることが中間層の端部の磨耗に起因する画像欠陥の抑制効果及び生産性の点から好ましい。流れる電流の値が5μAより低いと、中間層の変質に関わっている電流量が不十分となるため、端部の磨耗に起因する画像欠陥の抑制効果が得にくくなり、十分な効果を得るために長い時間を要するようになる。
また、流れる電流の値が2000μAより高いと、帯電部材や支持体上に中間層を形成したものの抵抗値によっては、均一に電流を流すことが困難となるため、十分な効果が得られない場合がある。
流れる電流の値は、例えば、電圧印加時の感光体の基体からアースに流れ込む電流を測定することで得ることができる。
また、本工程において円筒状支持体上に中間層を形成したものの回転速度は均一に電流が流れる範囲で任意に選択することができるが、10mm/sec以上2000mm/sec以下とすることがより好ましい。回転速度が低速すぎると、帯電部材または円筒状支持体上に中間層を形成したものの抵抗むらなどによって局所的な絶縁破壊に伴なう帯電部材の損傷の危険性が増す一方で、回転速度が高速すぎると帯電部材の機械的磨耗の影響が大きくなってくる。
また、電圧を印加して電流を流す工程を実施するとき、図3に示す導電性ローラ32に替えて、例えば図4に示すコロナ放電を利用した電圧印加手段42を用いてもよい。具体的には、コロナワイヤ42aを有したコロナ放電を用いて電流が流れるように電圧を印加する装置であってもよい。その際、均一に電流を流すことを目的としてグリッド42bを別途設けてもよい。図4において、符号31、33は、図3の場合と同様に、その上に中間層を形成した支持体、高圧電源をそれぞれ示す。
次に、本発明の工程(2)における加工プロセス時間について説明する。中間層の端部の塗膜表面に導電性部材を接触あるいは近接させ、電圧を印加して電流を流すとき、電圧印加開始時から電流の流れを停止するまでの時間は、上記電流値および回転加圧力とともに要求される端部の磨耗に起因する画像欠陥の抑制効果と生産性に応じて、最適化される。
中間層の膜厚として、中間層が支持体の傷の被覆を目的としている場合、平均膜厚は0.5μm以上100.0μm以下であることが好ましく、1.0μm以上50.0μm以下であることがより好ましく、さらには5.0μm以上35.0μm以下であることがより一層好ましい。
また、支持体からのキャリアの注入に対するバリア機能や接着機能を有する中間層の平均膜厚は、0.05μm以上30μm以下であることが好ましく、さらには0.5μm以上5.0μm以下であることがより好ましい。
尚、本発明において、中間層を含む電子写真感光体の各層の膜厚は、(株)フィッシャーインストルメンツ社製のFISHERSCOPE mmsで測定することができる。
また、本発明の中間層の体積抵抗率は1.0×10Ω・cmを超え1.0×1014Ω・cm以下であることが感光体の繰り返し電位安定性の観点から好ましい。中でも、支持体からのキャリアの注入に対するバリア機能や接着機能を有する中間層の体積抵抗率は1.0×10Ω・cmを超え1.0×1014Ω・cm以下であることが好ましい。
次いで、本発明における工程(3)、すなわち中間層上に感光層用塗布液を塗布する感光層形成工程について説明する。
感光層は、電荷輸送物質と電荷発生物質とを同一の層に含有する単層型感光層であっても、電荷発生物質を含有する電荷発生層と電荷輸送物質を含有する電荷輸送層とに分離した積層型(機能分離型)感光層であってもよい。本発明による電子写真感光体は、電子写真特性の観点から、積層型感光層が好ましい。また、積層型感光層は、支持体側から電荷発生層、電荷輸送層の順に積層した順層型感光層であっても、支持体側から電荷輸送層、電荷発生層の順に積層した逆層型感光層であってもよい。本発明による電子写真感光体において、積層型感光層を採用する場合、電子写真特性の観点から、順層型感光層が好ましい。また、電荷発生層を積層構造としてもよく、また、電荷輸送層を積層構成としてもよい。さらに、耐久性能向上等を目的とし感光層上に保護層を設けることも可能である。
本発明の電子写真感光体に用いられる電荷発生物質としては、以下のものが挙げられる。モノアゾ、ジスアゾ又はトリスアゾのようなアゾ顔料;金属フタロシアニン又は非金属フタロシアニンのようなフタロシアニン顔料;インジゴ又はチオインジゴのようなインジゴ顔料;ペリレン酸無水物又はペリレン酸イミドのようなペリレン顔料;アンスラキノン又はピレンキノンのような多環キノン顔料;スクワリリウム色素、ピリリウム塩又はチアピリリウム塩、トリフェニルメタン色素;セレン、セレン−テルル又はアモルファスシリコンのような無機物質;キナクリドン顔料、アズレニウム塩顔料、シアニン染料、キサンテン色素、キノンイミン色素又はスチリル色素。これら電荷発生材料は1種のみ用いてもよく、2種以上用いてもよい。これらの中でも、特にオキシチタニウムフタロシアニン、ヒドロキシガリウムフタロシアニンあるいはクロロガリウムフタロシアニンのような金属フタロシアニンは、高感度であるため、好ましい。
感光層が積層型感光層である場合、電荷発生層に用いる結着樹脂としては、以下のものが挙げられる。ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアリレート樹脂、ブチラール樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ジアリルフタレート樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、酢酸ビニル樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂、ポリスルホン樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体樹脂、アルキッド樹脂、エポキシ樹脂、尿素樹脂又は塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂。特には、ブチラール樹脂が好ましい。これらは単独、混合または共重合体として1種または2種以上用いることができる。
電荷発生層は、電荷発生物質を結着樹脂および溶剤と共に分散して得られる電荷発生層用塗布液を塗布し、乾燥することによって形成することができる。また、電荷発生層は、電荷発生物質の蒸着膜としてもよい。分散方法としては、ホモジナイザー、超音波、ボールミル、サンドミル、アトライター又はロールミルを用いた方法が挙げられる。電荷発生物質と結着樹脂との割合は、10:1〜1:10(質量比)の範囲が好ましく、特には3:1〜1:1(質量比)の範囲がより好ましい。
電荷発生層用塗布液に用いる溶剤は、使用する結着樹脂や電荷発生物質の溶解性や分散安定性から選択される。有機溶剤としては、アルコール系溶剤、スルホキシド系溶剤、ケトン系溶剤、エーテル系溶剤、エステル系溶剤又は芳香族炭化水素溶剤が挙げられる。
電荷発生層の平均膜厚は5μm以下であることが好ましく、特には0.1〜2μmであることがより好ましい。
また、電荷発生層には、種々の増感剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤および/または可塑剤を必要に応じて添加することもできる。また、電荷発生層において電荷(キャリア)の流れが滞らないようにするために、電荷発生層には、電子輸送物質(アクセプターのような電子受容性物質)を含有させてもよい。
積層型感光体の場合、電荷発生層上には電荷輸送層が形成される。電荷輸送層には電荷輸送物質が含有され、電荷輸送物質としては、例えば、トリアリールアミン化合物、ヒドラゾン化合物、スチリル化合物、スチルベン化合物、ピラゾリン化合物、オキサゾール化合物、チアゾール化合物、トリアリールメタン化合物などが挙げられる。これら電荷輸送物質は1種のみ用いてもよく、2種以上用いてもよい。更に電荷輸送層には耐久性を付与するためにバインダー樹脂をブレンドし、適当な溶剤を用いて溶解した溶液(塗布液)を塗布し、乾燥することによって形成することが一般的である。乾燥温度は50℃以上の温度で乾燥させることが好ましい。
電荷輸送層に用いるバインダー樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、アクリロニトリル樹脂、アリル樹脂、アルキッド樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ナイロン、フェノール樹脂、フェノキシ樹脂、ブチラール樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアリルエーテル樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリイミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリフェニレンオキシド樹脂、ポリブタジエン樹脂、ポリプロピレン樹脂、メタクリル樹脂、ユリア樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂などが挙げられる。特には、ポリアリレート樹脂、ポリカーボネート樹脂などが珪素またはフッ素化合物による変性ポリカーボネートやポリエステルを用いた場合、相溶性や、電子写真特性、表面移行と表面形状との組合せによる効果の持続性の意味でより好ましい。これらは単独、混合として1種または2種以上用いることができる。
電荷輸送物質とバインダー樹脂との割合は、2:1〜1:2(質量比)の範囲が好ましい。
電荷輸送層の膜厚は5〜50μmであることが好ましく、特には7〜30μmであることがより好ましい。
電荷輸送層には、酸化防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤などの添加剤が含まれていてもよい。
また、感光層が単層型の場合は、上述のような電荷発生物質および電荷輸送物質を上述のような結着樹脂またはバインダー樹脂に分散し及び溶解した溶液(塗工液)を塗布し、乾燥することによって形成することができる。
上記各層の塗布液を塗布する際には、例えば、浸漬塗布法(浸漬コーティング法)、スプレーコーティング法、スピンナーコーティング法、ローラーコーティング法、マイヤーバーコーティング法、ブレードコーティング法などの塗布方法を用いることができる。
塗工の際の塗工液粘度は塗工性の観点から5mPa・s以上500mPa・s以下が好ましい。
電荷輸送層用塗布液に用いる溶剤としては、以下のものが挙げられる。アセトン又はメチルエチルケトンのようなケトン系溶剤;酢酸メチル又は酢酸エチルのようなエステル系溶剤;テトラヒドロフラン、ジオキソラン、ジメトキシメタン又はジメトキシエタンのようなエーテル系溶剤;トルエン、キシレン又はクロロベンゼンのような芳香族炭化水素溶剤。これら溶剤は、単独で使用してもよいが、2種類以上を混合して使用してもよい。これらの溶剤の中でも、エーテル系溶剤又は芳香族炭化水素溶剤を使用することが、樹脂溶解性のような観点から好ましい。
電荷輸送層の平均膜厚は5〜50μmであることが好ましく、特には10〜35μmであることがより好ましい。
また、電荷輸送層には、例えば酸化防止剤、紫外線吸収剤および/または可塑剤を必要に応じて添加することもできる。
本発明において、更なる耐久性向上が必要な場合、電荷輸送層上に第二の電荷輸送層或いは保護層を形成する構成を用いても良い。
また、本発明の電子写真感光体の各層には各種添加剤を添加することができる。添加剤としては、酸化防止剤および紫外線吸収剤などの劣化防止剤などが挙げられる。
このようにして本発明の製造方法により得られた電子写真感光体は、端部の磨耗に起因する画像欠陥の発生が抑制されている。この理由は明らかとなってはいないが、恐らくは端部の中間層の電気的特性が変化し、帯電部材による端部位置の異常放電が抑制されることによるのではないかと推測している。
次に、本発明によるプロセスカートリッジ及び電子写真装置について説明する。図5は、本発明による電子写真感光体を有するプロセスカートリッジを備えた電子写真装置の概略構成の一例を示す図である。
図5において、51は円筒状の電子写真感光体であり、軸52を中心に矢印方向に所定の周速度で回転駆動される。
回転駆動される電子写真感光体51の表面は、帯電手段(一次帯電手段:例えば帯電ローラー)53により、正又は負の所定電位に均一に帯電される。次いで、スリット露光やレーザービーム走査露光のような露光手段(図示せず)から出力される露光光(画像露光光)54を受ける。こうして電子写真感光体51の表面に、目的の画像に対応した静電潜像が順次形成されていく。
電子写真感光体51の表面に形成された静電潜像は、現像手段55の現像剤に含まれるトナーにより現像されてトナー像となる。次いで、電子写真感光体51の表面に形成担持されているトナー像が、転写手段(例えば転写ローラー)56からの転写バイアスによって、転写材供給手段(図示せず)から電子写真感光体51と転写手段56との間(当接部)に電子写真感光体51の回転と同期して給送された転写材(例えば紙)Pに順次転写されていく。
トナー像の転写を受けた転写材Pは、電子写真感光体51の表面から分離されて定着手段58へ導入されて像定着を受けることにより画像形成物(プリント、コピー)として装置外へプリントアウトされる。
トナー像転写後の電子写真感光体51の表面は、クリーニング手段(例えばクリーニングブレード)57によって転写残りの現像剤(トナー)の除去を受けて清浄面化される。
さらに、電子写真感光体51の表面は、転写手段56と帯電手段53の間に設置される前露光手段(図示せず)からの前露光光(図示せず)により除電処理された後、繰り返し画像形成に使用される。
なお、帯電手段53が、例えば帯電ローラーを用いた接触帯電手段である場合は、前露光は必ずしも必要ではない。
上記の電子写真感光体51と、帯電手段53、現像手段55及びクリーニング手段57の構成要素のうち、複数のものを容器に納めてプロセスカートリッジとして一体に結合して構成してもよい。また、このプロセスカートリッジを複写機やレーザービームプリンターのような電子写真装置本体に対して着脱自在に構成してもよい。図5では、電子写真感光体51と、帯電手段53、現像手段55及びクリーニング手段57とを一体に支持してカートリッジ化して、電子写真装置本体のレールのような案内手段60を用いて電子写真装置本体に着脱自在なプロセスカートリッジ59としている。
以下に、実施例を挙げて本発明をより詳細に説明する。なお、実施例中の「部」は「質量部」を意味する。
(実施例1)
押し出し・引き抜き工程により製造された、長さ257mm、直径24mmのアルミニウムシリンダー(JIS−A3003、アルミニウム合金)を支持体(円筒状支持体)とした。
次に、以下の成分からなる溶液を分散し中間層用塗料を調製した。
(中間層用塗布液の調製)
酸素欠損型SnO被覆TiO粒子(粉体抵抗率100Ω・cm、SnOの被覆率(質量比率)は40%)55部、結着樹脂としてのフェノール樹脂(商品名:プライオーフェンJ−325、大日本インキ化学工業(株)製、樹脂固形分60%)36.5部、溶剤としてのメトキシプロパノール20部、メタノール15部を、直径1mmのガラスビーズを用いたサンドミルで3時間分散して、分散液を調製した。
この分散液に、レベリング剤としてのシリコーンオイル(商品名:SH28PA、東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)製)0.001部を添加して攪拌し、中間層用塗布液を調製した。
上記方法にて調製した中間層用塗布液を、上記支持体上に浸漬法によって塗布し、140℃に加熱されたオーブン内で1時間、加熱硬化することにより、支持体の塗布開始端から130mmの位置の平均膜厚が25μmの中間層を形成した。
その後、この塗膜表面に対し、図3に示した装置を用いて、本発明における電圧印加工程を行った。具体的には下記のとおりである。
中間層を形成した支持体の塗布開始端から20mmの領域および塗布終了端から20mmの領域における中間層に導電性部材を接触させ、支持体からアースに流れる電流が200μAとなるように電圧を印加して、60分間電流を流した。尚、上記の導電性部材を接触させた領域は、本発明にいう中間層の端部の塗膜表面であり、すなわち図1におけるBの領域であることを確認した。また、アースは支持体端部の内面からとった。この際の支持体の回転速度は、250mm/secであった。
次に、以下の成分をメタノール600部に溶解した第二の中間層用塗布液を、上記中間層上に浸漬塗布し、直ちに100℃に加熱されたオーブン内で30分間、加熱乾燥することにより、支持体の塗布開始端から130mm位置の平均膜厚が1.0μmの第二の中間層を形成した。
共重合ナイロン樹脂 10部
(商品名:アミランCM8000、東レ(株)製)
メトキシメチル化6ナイロン樹脂 30部
(商品名:トレジンEF−30T、帝国化学(株)製)
次に、以下の成分を、直径1mmガラスビーズを用いたサンドミル装置で4時間分散した後、酢酸エチル700部を加えて電荷発生層用塗布液を調製した。
ヒドロキシガリウムフタロシアニン 20部
(CuKα特性X線回折において、7.5°、9.9°、16.3°、18.6°、25.1°、28.3°(ブラッグ角度(2θ±0.2°))に強い回折ピーク有するもの)
下記構造式(1)
Figure 2011090247
で示されるカリックスアレーン化合物 0.2部
ポリビニルブチラール 10部
(商品名:エスレックBX−1、積水化学製)
シクロヘキサノン 600部
上記電荷発生層用塗布液を第二の中間層上に浸漬コーティング法で塗布し、100℃に加熱されたオーブン内で10分間、加熱乾燥することにより、支持体の塗布開始端から130mm位置の平均膜厚が0.17μmの電荷発生層を形成した。
次に、下記式(CT−1)
Figure 2011090247
で示される電荷輸送物質5部と、下記式(CT−2)
Figure 2011090247
で示される電荷輸送物質3部と、下記式(CTB−1)
Figure 2011090247
で示される繰り返し単位を有するポリカーボネート樹脂(重量平均分子量:50000)10部とをモノクロロベンゼン55部とジメトキシメタン15部の混合溶媒に溶解し、電荷輸送層用塗布液を調製した。これを電荷発生層上に浸漬塗布法で塗布し、110℃、1時間乾燥して、膜厚が14μmの電荷輸送層を形成した。
このようにして、支持体、中間層、第二の中間層、電荷発生層および電荷輸送層をこの順に有し、該電荷輸送層が表面層である電子写真感光体を作製した。
次に、作製した電子写真感光体の評価に用いる帯電部材を以下の手順で作製した。
まず、弾性層を以下の方法で作製した。
エピクロルヒドリンゴム三元共重合体 100質量部
(エピクロルヒドリン:エチレンオキサイド:アリルグリシジルエーテル=40mol%:56mol%:4mol%)
軽質炭酸カルシウム 30質量部
脂肪族ポリエステル系可塑剤 5質量部
ステアリン酸亜鉛 1質量部
老化防止剤MB(2−メルカプトベンズイミダゾール) 0.5質量部
酸化亜鉛 5質量部
カーボンブラック(表面未処理品) 5質量部
(平均粒径:0.2μm、体積抵抗率:0.1Ω・cm)
下記構造式で示される四級アンモニウム塩 2質量部
Figure 2011090247
以上の材料を50℃に調節した密閉型ミキサーにて10分間混練し、原料コンパウンドを調製した。このコンパウンドに原料のゴムのエピクロルヒドリンゴム100質量部に対し、加硫剤としての硫黄1質量部、加硫促進剤としてのDM(ジベンゾチアジルスルフィド)1質量部及びTS(テトラメチルチウラムモノスルフィド)0.5質量部を加え、20℃に冷却した二本ロール機にて10分間混練した。得られたコンパウンドを、直径6mmステンレス製の芯金に外径15mmのローラ状になるように押出し成型機にて成型し、加熱蒸気加硫した後、外径が10mmになるように研磨加工を行い、弾性層を得た。この際、研磨加工においては、幅広研磨方式を採用した。ローラ長は232mmとした。
前記弾性層の上に表面層を被覆形成した。表面層は下記に示す表面層用塗布液を調製して浸漬塗布法にてコートした。
表面層用塗布液として、
カプローラクトン変性アクリルポリオール溶液 100質量部
メチルイソブチルケトン 250質量部
導電性酸化錫(トリフルオロプロピルトリメトキシシラン処理品)
200質量部
(平均粒径:0.05μm、体積抵抗率:10Ω・cm)
変性ジメチルシリコーンオイル 0.08質量部
架橋PMMA粒子(平均粒子径:10.2μm) 100質量部
を用い、ガラス瓶を容器として混合溶液を作製した。これに、分散メディアとして、ガラスビーズ(平均粒径0.8mm)を充填率80%になるように充填し、ペイントシェーカー分散機を用いて6時間分散した。分散溶液にヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)とイソホロンジイソシアネート(IPDI)の各ブタノンオキシムブロック体1:1の混合物を、NCO/OH=1.0となるように添加し、浸漬塗布用の表面層用塗布液を調製した。
前記弾性層の表面上に表面層用塗布液を浸漬塗布法にて2回コートし風乾させた後、温度160℃にて1時間乾燥した。このようにして、帯電ローラを作製した。
作製した帯電ローラについて、十10点平均粗さ(Rzjis)をJIS B 0601−2001に示される手法に従い、表面粗さ計(小坂研究所製:サーフコーダーSE3500)を用い測定したところ、9.3μmであった。
尚、表面層に添加する微粒子の粒度分布の測定は、島津製作所製レーザ回折式粒度分布測定装置SALD−7000を用いて行った。測定可能な粒子径の範囲は0.015μm以上500μm以下である。
このようにして作製した本発明の電子写真感光体及び帯電ローラを、23℃/55%RHの環境下にて、HP(株)製レーザービームプリンターのColor LaserJet−4650に装着して、耐久試験による評価を行った。このレーザービームプリンターでは帯電手段としての帯電ローラは電子写真感光体に接触配置されており、電子写真感光体は帯電部材に電圧を印加することにより帯電される構成であった。詳しくは以下のとおりである。
感光体の表面電位(VD)は−600V、レーザー露光後の表面電位(VL)は−200Vに設定した。現像は、バイアス(VDC)を−250Vとし、ネガトナーを用いた反転現像とした。
Color LaserJet−4650のシアン色用のプロセスカートリッジに作製した電子写真感光体を装着して、シアンのプロセスカートリッジのステーションに装着し、評価を行った。
耐久試験における通紙時は、2ドット98スペースの横線画像をA4紙にて1枚出力ごとに5秒間時間を空けるモードでプリント操作を行い、12000枚の画像出力を行った。次いで、1ドット2スペースの横線画像をハーフトーン画像として出力し、画像濃度の均一性を目視観察により濃度ムラとして確認した。
次いで、画像濃度の均一性の評価として、濃度評価を次のように行なった。
画像濃度の測定は、反射濃度計(商品名:X−RITE404A X−Rite社製)を用いて行った。耐久試験終了直後の感光体の表面電位(VD)を再度−600Vに設定し、現像バイアス(VDC)を−550〜650Vとして、レーザー露光を行なわない条件において現像をおこない、得られた画像全体の平均反射濃度を0.9〜1.1とし、濃度評価用の画像を出力した。得られた画像の短辺を5等分、長辺を8等分して40の領域にわけて40点の濃度の測定を行い、最高濃度側から5点と最低濃度側から5点を選び、それらを平均して最高濃度と最低濃度とし、その濃度差に応じてランク分けした。
画像の評価の基準は以下のとおりである。
A:濃度差が0.05未満で、ハーフトーン画像濃度ムラなし(実用上で問題無し)。
B:濃度差が0.05以上0.1未満で、ハーフトーン画像濃度ムラわずかにあり
(実用上で問題無し)。
C:濃度差が0.1以上0.2未満で、ハーフトーン画像濃度ムラややあり
(実用上で問題あり)。
D:濃度差が0.2以上で、ハーフトーン画像濃度ムラ明確にあり
(実用上で問題あり)。
(実施例2)
実施例1における、中間層用塗布液の調製を以下のように変更した。
酸素欠損型SnO被覆TiO粒子(粉体抵抗率100Ω・cm、SnOの被覆率(質量比率)は40%)55部、硬化剤(商品名: スミジュールBL3175、住友バイエルンウレタン社製)20質量部と、ブチラール樹脂(商品名:BM−1、積水化学社製)8質量部と、溶剤としてのメチルエチルケトン40部を、直径1mmのガラスビーズを用いたサンドミルで3時間分散して、分散液を調製した。この分散液に、レベリング剤としてのシリコーンオイル(商品名:SH28PA、東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)製)0.001部を添加して攪拌し、中間層用塗布液を調製した。
上記方法にて調製した中間層用塗料を、実施例1で用いたものと同じ支持体上に浸漬法によって塗布し、140℃に加熱されたオーブン内で1時間、加熱硬化することにより、支持体の塗布開始端から130mmの位置の平均膜厚が23μmの中間層を形成した。
その後、実施例1と同様にして電圧を印加する工程及び、第二の中間層の形成工程、感光層の形成工程を行って電子写真感光体を作製し、また実施例1と同様の測定及び評価を行った。測定結果及び評価結果を表1に示す。
(実施例3)
実施例1における、中間層用塗布液の調製において、以下のように変更した以外は同様に行った。結着樹脂をアルキッド樹脂(商品名:ベッコゾール 1307−60−EL、大日本インキ化学工業(株)製、樹脂固形分60%)15部、メラミン樹脂(商品名:スーパーベッカミン G−821−60、大日本インキ化学工業(株)製、樹脂固形分60%)10部に置き換え、溶剤をメチルエチルケトン40部に置き換えた以外は同様にし、中間層用塗布液を調製した。
上記方法にて調製した中間層用塗布液を、実施例1で用いたものと同じ支持体上に浸漬法によって塗布し、140℃に加熱されたオーブン内で1時間、加熱硬化することにより、支持体の塗布開始端から130mmの位置の平均膜厚が23μmの中間層を形成した。
その後、実施例1と同様にして電圧を印加する工程及び、第二の中間層の形成工程、感光層の形成工程を行って電子写真感光体を作製し、また実施例1と同様の測定及び評価を行った。測定結果及び評価結果を表1に示す。
(実施例4)
実施例1における、中間層用塗布液の調製を以下のように変更した。
酸化チタン粒子(商品名:CR−EL、石原産業(株)社製)55部、結着樹脂としてのアルキッド樹脂(商品名:ベッコゾール 1307−60−EL、大日本インキ化学工業(株)製、樹脂固形分60%)15部、メラミン樹脂(商品名:スーパーベッカミン G−821−60 、大日本インキ化学工業(株)製、樹脂固形分60%)10部、溶剤としてのメチルエチルケトン50部を、直径1mmのガラスビーズを用いたサンドミルで3時間分散して、分散液を調製した。
この分散液に、レベリング剤としてのシリコーンオイル(商品名:SH28PA、東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)製)0.001部を添加して攪拌し、中間層用塗布液を調製した。
上記方法にて調製した中間層用塗料を、実施例1で用いたものと同じ支持体上に浸漬法によって塗布し、140℃に加熱されたオーブン内で1時間、加熱硬化することにより、支持体の塗布開始端から130mmの位置の平均膜厚が13μmの中間層を形成した。
その後、実施例1と同様にして電圧を印加する工程及び、第二の中間層の形成工程、感光層の形成工程を行って電子写真感光体を作製し、また実施例1と同様の測定及び評価を行った。測定結果及び評価結果を表1に示す。
(実施例5)
実施例1における、中間層用塗布液の調製を以下のように変更した。
酸化チタン粒子(商品名:CR−EL、石原産業(株)社製)55部、結着樹脂としてのフェノール樹脂(商品名:プライオーフェンJ−325、大日本インキ化学工業(株)製、樹脂固形分60%)36.5部、溶剤としてのメトキシプロパノール20部、メタノール15部を、直径1mmのガラスビーズを用いたサンドミルで3時間分散して、分散液を調製した。
この分散液に、レベリング剤としてのシリコーンオイル(商品名:SH28PA、東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)製)0.001部を添加して攪拌し、中間層用塗布液を調製した。
上記方法にて調製した中間層用塗料を、実施例1で用いたものと同じ支持体上に浸漬法によって塗布し、140℃に加熱されたオーブン内で1時間、加熱硬化することにより、支持体の塗布開始端から130mmの位置の平均膜厚が10μmの中間層を形成した。
その後、実施例1と同様にして電圧を印加する工程及び、第二の中間層の形成工程、感光層の形成工程を行って電子写真感光体を作製し、また実施例1と同様の測定及び評価を行った。測定結果及び評価結果を表1に示す。
(実施例6)
実施例5において、中間層用塗料を支持体上に浸漬法において塗布する際に、塗工速度を調整(低速化)することにより、得られる中間層の膜厚を7μmとした以外は、同様にして電子写真感光体を作製した。
(実施例7)
実施例1における、中間層用塗布液の調製を以下のように変更した。
金属酸化物粒子としての酸化アルミニウム粒子(商品名:AES−11C、住友化学(株)社製)55部、結着樹脂としてのアルキッド樹脂(商品名:ベッコゾール 1307−60−EL、大日本インキ化学工業(株)製、樹脂固形分60%)15部、メラミン樹脂(商品名:スーパーベッカミン G−821−60 、大日本インキ化学工業(株)製、樹脂固形分60%)10部、溶剤としてのメチルエチルケトン50部を、直径1mmのガラスビーズを用いたサンドミルで3時間分散して、分散液を調製した。
この分散液に、レベリング剤としてのシリコーンオイル(商品名:SH28PA、東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)製)0.001部を添加して攪拌し、中間層用塗布液を調製した。
上記方法にて調製した中間層用塗料を、実施例1で用いたものと同じ支持体上に浸漬法によって塗布し、140℃に加熱されたオーブン内で1時間、加熱硬化することにより、支持体の塗布開始端から130mmの位置の平均膜厚が13μmの中間層を形成した。
その後、実施例1と同様にして電圧を印加する工程及び、第二の中間層の形成工程、感光層の形成工程を行って電子写真感光体を作製し、また実施例1と同様の測定及び評価を行った。測定結果及び評価結果を表1に示す。
(実施例8)
実施例7において、金属酸化物粒子を、酸化亜鉛(商品名:FINEX−25LP、平均粒径0.1μm、堺化学工業(株)製)に変更した以外は、同様に行ない、膜厚14μmの中間層を形成した。
その後、実施例1と同様にして電圧を印加する工程及び、第二の中間層の形成工程、感光層の形成工程を行って電子写真感光体を作製し、また実施例1と同様の測定及び評価を行った。測定結果及び評価結果を表1に示す。
(実施例9)
実施例1における、中間層用塗布液の調製を以下のように変更した。
酸素欠損型SnO被覆TiO粒子(粉体抵抗率100Ω・cm、SnOの被覆率(質量比率)は40%)55部、ポリブチラール樹脂(商品名:エスレックBM−S、積水化学(株)製)20部、溶剤としてのn−ブチルアルコール200部、直径1mmのガラスビーズを用いたサンドミルで3時間分散して分散液を調製した。
この分散液に、エポキシ樹脂(商品名:エピコート828、ジャパンエポキシレジン(株)製)10部、トリエチレンテトラミン1部、レベリング剤としてのシリコーンオイル(商品名:SH28PA、東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)製)0.001部を添加して攪拌し、中間層用塗布液を調製した。
上記方法にて調製した中間層用塗料を、実施例1で用いたものと同じ支持体上に浸漬法によって塗布し、140℃に加熱されたオーブン内で1時間、加熱硬化することにより、支持体の塗布開始端から130mmの位置の平均膜厚が12μmの中間層を形成した。
その後、実施例1と同様にして電圧を印加する工程及び、第二の中間層の形成工程、感光層の形成工程を行って電子写真感光体を作製し、また実施例1と同様の測定及び評価を行った。測定結果及び評価結果を表1に示す。
(実施例10)
実施例1における、中間層への電圧印加の方法を、支持体からアースに流れる電流が5μAとなるように電圧を印加するようにし、印加時間を120分に変更した以外は、同様にして電子写真感光体を作製し、また実施例1と同様の測定、評価を行った。測定結果及び評価結果を表1に示す。
(実施例11)
実施例1における、中間層への電圧印加の方法を、支持体からアースに流れる電流が2000μAとなるように電圧を印加するようにし、印加時間を30分に変更した以外は、同様にして電子写真感光体を作製し、また実施例1と同様の測定、評価を行った。測定結果及び評価結果を表1に示す。
(実施例12)
実施例1における、中間層への電圧印加の方法を、支持体からアースに流れる電流が1μAとなるように電圧を印加するようにし、印加時間を120分に変更した以外は、同様にして電子写真感光体を作製し、また実施例1と同様の測定、評価を行った。測定結果及び評価結果を表1に示す。
(実施例13)
実施例1における、中間層への電圧印加の方法を、支持体からアースに流れる電流が2500μAとなるように電圧を印加するようにし、印加時間を30分に変更した以外は、同様にして電子写真感光体を作製し、また実施例1と同様の測定、評価を行った。測定結果及び評価結果を表1に示す。
(実施例14)
実施例1における、中間層への電圧印加の方法を、図4に示される、コロナワイヤ42aを有したコロナ放電を用いて電流が流れるように電圧を印加する装置に変更した以外は、同様にして電子写真感光体を作製し、また実施例1と同様の測定、評価を行った。測定結果及び評価結果を表1に示す。
(実施例15)
実施例1における、中間層用塗布液の調製を以下のように変更した。
酸化スズの被覆層を有する硫酸バリウム粒子からなる導電粉体(商品名:パストランPC1、三井金属鉱業(株)社製)55部、結着樹脂としてのフェノール樹脂(商品名:プライオーフェンJ−325、大日本インキ化学工業(株)製、樹脂固形分60%)36.5部、溶剤としてのトルエン35部を、直径1mmのガラスビーズを用いたサンドミルで4時間分散して、分散液を調製した。
この分散液に、レベリング剤としてのシリコーンオイル(商品名:SH28PA、東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)製)0.001部を添加して攪拌し、中間層用塗布液を調製した。
上記方法にて調製した中間層用塗料を、上記支持体上に浸漬法によって塗布し、130℃に加熱されたオーブン内で30分、加熱硬化することにより、支持体の塗布開始端から130mmの位置の平均膜厚が18μmの中間層を形成した。
その後、実施例1と同様にして電圧を印加する工程及び、第二の中間層の形成工程、感光層の形成工程を行って電子写真感光体を作製し、また実施例1と同様の測定、評価を行った。測定結果及び評価結果を表1に示す。
(実施例16)
実施例1における、中間層用塗布液の調製を以下のように変更した。
酸化スズの被覆層を有する硫酸バリウム粒子からなる導電粉体(商品名:パストランPC1、三井金属鉱業(株)社製)55部、結着樹脂としてのフェノール樹脂(商品名:プライオーフェンJ−325、大日本インキ化学工業(株)製、樹脂固形分60%)36.5部、溶剤としてのトルエン35部を、直径1mmのガラスビーズを用いたサンドミルで4時間分散して、分散液を調製した。
この分散液に、レベリング剤としてのシリコーンオイル(商品名:SH28PA、東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)製)0.001部を添加して攪拌し、中間層用塗布液を調製した。
上記方法にて調製した中間層用塗料を、上記支持体上に浸漬法によって塗布し、130℃に加熱されたオーブン内で30分、加熱硬化することにより、支持体の塗布開始端から130mmの位置の平均膜厚が7μmの中間層を形成した。
その後、実施例1と同様にして電圧を印加する工程及び、第二の中間層の形成工程、感光層の形成工程を行って電子写真感光体を作製し、また実施例1と同様の測定、評価を行った。測定結果及び評価結果を表1に示す。
(実施例17)
実施例1における、中間層用塗布液の調製を以下のように変更した。
酸素欠損型SnO被覆TiO粒子(粉体抵抗率100Ω・cm、SnOの被覆率(質量比率)は40%)55部、硬化剤(商品名: スミジュールBL3175、住友バイエルンウレタン社製)20質量部と、ブチラール樹脂(商品名:BM−1、積水化学社製)8質量部と、溶剤としてのメチルエチルケトン40部を、直径1mmのガラスビーズを用いたサンドミルで3時間分散して、分散液を調製した。
この分散液に、レベリング剤としてのシリコーンオイル(商品名:SH28PA、東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)製)0.001部を添加して攪拌し、中間層用塗布液を調製した。
上記方法にて調製した中間層用塗料を、上記支持体上に浸漬法によって塗布し、140℃に加熱されたオーブン内で1時間、加熱硬化することにより、支持体の塗布開始端から130mmの位置の平均膜厚が23μmの中間層を形成した。
その後、実施例1と同様にして電圧を印加する工程及び、感光層の形成工程を行って電子写真感光体を作製し、また実施例1と同様の測定、評価を行った。測定結果及び評価結果を表1に示す。
(実施例18)
実施例1における、中間層用塗布液の調製を以下のように変更した。
酸化チタン粒子(商品名:CR−EL、石原産業(株)社製)55部、結着樹脂としてのアルキッド樹脂(商品名:ベッコゾール 1307−60−EL、大日本インキ化学工業(株)製、樹脂固形分60%)15部、メラミン樹脂(商品名:スーパーベッカミン G−821−60 、大日本インキ化学工業(株)製、樹脂固形分60%)10部、溶剤としてのメチルエチルケトン50部を、直径1mmのガラスビーズを用いたサンドミルで3時間分散して、分散液を調製した。
この分散液に、レベリング剤としてのシリコーンオイル(商品名:SH28PA、東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)製)0.001部を添加して攪拌し、中間層用塗布液を調製した。
上記方法にて調製した中間層用塗料を、上記支持体上に浸漬法によって塗布し、140℃に加熱されたオーブン内で1時間、加熱硬化することにより、支持体の塗布開始端から130mmの位置の平均膜厚が13μmの中間層を形成した。
その後、実施例1と同様にして電圧を印加する工程及び、感光層の形成工程を行って電子写真感光体を作製し、また実施例1と同様の測定、評価を行った。測定結果及び評価結果を表1に示す。
(実施例19)
実施例1における、中間層用塗布液の調製において、溶剤としてのメトキシプロパノールの量を18部、メタノール13.5部とした以外は同様とした。この塗布液を用いて、実施例1と同様な浸漬法により塗工(塗工速度は適宜調整)し、加熱硬化することにより、支持体の塗布開始端から130mmの位置の平均膜厚が30μmの中間層を形成した。
その後、実施例1と同様にして電圧を印加する工程及び、第二の中間層の形成工程、感光層の形成工程を行って電子写真感光体を作製し、また実施例1と同様の測定及び評価を行った。測定結果及び評価結果を表1に示す。
(実施例20)
実施例19において、中間層塗工時の塗工速度を調整(高速化)する事により、中間層の膜厚を35μmとした以外は、同様に中間層を作成した。その後の工程も同様に行い、電子写真感光体を作製し、同様の測定、評価を行なった。測定結果及び評価結果を表1に示す。
(比較例1)
電圧を印加する工程を経なかった以外は、実施例1と同様に電子写真感光体を作製し、同様の測定、評価を行った。測定結果及び評価結果を表1に示す。
(比較例2)
電圧を印加する工程を経なかった以外は、実施例4と同様に電子写真感光体を作製し、同様の測定、評価を行った。測定結果及び評価結果を表1に示す。
(比較例3)
実施例1における、中間層用塗布液の調製を以下のように変更した。
メトキシメチル化6ナイロン樹脂(商品名:トレジンEF−30T、帝国化学(株)製)30部、メタノール300部、水30部を攪拌し、中間層用塗布液を調製した。
上記方法にて調製した中間層用塗料を、実施例1で用いたものと同じ支持体上に浸漬法によって塗布し、室温で5分間乾燥を行った。その後、再度支持体上に浸漬法によって塗布し、100℃に加熱されたオーブン内で30分、加熱することにより、支持体の塗布開始端から130mmの位置の平均膜厚が5μmの中間層を形成した。
その後、実施例1と同様にして電圧を印加する工程及び、感光層の形成工程を行って電子写真感光体を作製し、実施例1と同様の測定、評価を行った。測定結果及び評価結果を表1に示す。
Figure 2011090247
以上の結果より、本発明の実施例1乃至20と、比較例1乃至3を比較することにより、本発明により、電子写真感光体の製造中に支持体上に形成した中間層に電圧を印加して電流を流すことで、感光体の端部の磨耗に起因する画像欠陥が生じにくい、高画質で製造容易な電子写真感光体を製造することができる結果が示されている。
1 電子写真感光体断面
2 支持体
3 中間層
4 中間層表面
5 感光層
6 帯電部材断面
7 電子写真感光体
8 帯電部材
A 画像形成領域
B 電子写真感光体と帯電部材が接触し得る領域の端部
C 電子写真感光体と帯電部材が接触し得る領域の末端
D 電子写真感光体と帯電部材が接触し得る領域外

Claims (5)

  1. 支持体上に、熱硬化性の樹脂と金属酸化物粒子を含有する中間層と、感光層とを有し、電子写真感光体に接触配置された帯電部材に電圧を印加することにより帯電される電子写真感光体の製造方法において、
    (1)支持体上に中間層用塗布液を塗布する中間層形成工程、
    (2)形成後の中間層の端部の塗膜表面に、導電性部材を接触あるいは近接させ、電圧を印加して電流を流す工程、
    (3)(2)の工程後の中間層上に感光層用塗布液を塗布する感光層形成工程
    を経ることを特徴とする電子写真感光体の製造方法。
  2. 前記熱硬化性の樹脂は、フェノール樹脂、ウレタン樹脂、メラミン樹脂及びブチラール樹脂からなる群より選択される少なくとも1種であることを特徴とする請求項1に記載の電子写真感光体の製造方法。
  3. 前記金属酸化物粒子は、酸化チタン、または酸化チタンと酸化スズとを含むことを特徴とする請求項1または2に記載の電子写真感光体の製造方法。
  4. 前記工程(2)は、支持体上に形成した中間層に導電性ローラを圧接して該支持体を回転させながら電圧を印加し、5μA以上2000μA以下の電流を流すことからなることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の電子写真感光体の製造方法。
  5. 前記中間層の膜厚が5.0μm以上35.0μm以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の電子写真感光体の製造方法。
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