JP2021067020A - 埋め戻し用流動化処理土 - Google Patents
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Abstract
Description
即ち、建築物や構築物の基礎工事にあって土台を築くには一旦溝を掘り、基礎工事が終了してから、その溝の周囲を埋め戻す必要があるが、その際、周囲の安定化の為に、埋めた土の上から一定の力で転圧を加え、土を締め固めつつ埋め戻す作業が行われるが、これは非常に面倒な作業となる。
そこで、その対策として、埋め戻し用の土砂として流動化処理土の利用がある(特許文献1及び2)。
ところで、上記建築物や建造物の周囲には水道管やガス管等の多様な管が配設されることが多い。例えば、オフィスや商業施設のビルには、必ず水道管やガス管又は電気線の配管等が敷設される。又、住宅家屋や倉庫にも各種配管がなされ、これらが地下で複雑に入り組んだ状態で埋設されていることが多い。
すると、これら配管の下には上記流動化処理土を用いても、比較的小さな配管や入り組んだ配管の下には入り込み難く、配管の下に空洞ができてしまう場合が少なくない。
又、上記オフィスや商業施設のビルの回りには、道路や駐車場が隣設される場合も多く、
この道路や駐車場の下を埋め戻す場合に、施した流動化処理土の硬化後の強度があまりに脆弱であると、道路や駐車場の上を重量車両が走行すると、その踏圧に耐えられないものとなってしまう。
一方、この建築物や構築物は永久不変のものではなく、一定年月を経ると建て替えや増改築が求められることがあり、埋め戻した場所の再度の掘り直しが必要とされるが、このとき上記強度をあまり屈強なものとすると、掘り起こしが困難な作業となってしまうという矛盾を孕むものとなる。
尚、引用文献1及び2には、流動化処理土を埋め戻し材に利用しようとする技術が示されているが、埋設された複雑な配管や硬化後の車両の走行等にはまったく配慮がなされていない。
その結果、例えば、15mm間隔の隙間を想定した場合にあって、そこに自然な流動が可能となり、水道管やガス管等の配管があった場合にも、管の下に空洞をつくることはない。
その結果、その上にアスファルト舗装の路面を形成した場合に、その上を10トン車程度の車両が走行しても、その踏圧に耐え得る強さを発揮し、建築物の隣が道路や駐車場等であっても、その利用が充分可能となる強度が得られるものとなる。
即ち、道路や駐車場等に求められる強度の強さと、再掘削時に求められる強度の抑え(弱さ)の2つの要求に応えることが可能となる。
又、その建設現場で、穴、溝等を掘ったときに発生した残土を用いることもできる。
この土砂のうち10mmアンダーとした粒径の土砂を選ぶ。
10mmアンダーとするのは、後述する想定する埋め戻すべき建築物等の溝部や水道管等の配管下等に、自然に流入可能となる流動性を維持すると共に、硬化後の強度の発揮のためである。
セメントは、ケイ酸カルシウム、アルミン酸カルシウム、石膏等の粉状の混合物をいい、上記土砂に水と共に混合させて流動性を保つものである。
施工後には、水分との反応で硬化し、ケイ酸カルシウム等の水和化合物を形成して固化物となる。
そして、その配合割合を5.8〜11.5重量部とするが、それはケイ酸カルシウム等の水和物は比較的強い結合性を発揮することから、その配合割合を少な目の範囲に抑えて、後述する所定のフロー値及び一軸圧縮強度が発揮できるようにするためである。
この42.8〜64.5重量部としたのは、流動性を配慮したものであり、42.8重量部以下では水分割合が低くて粘性が高く、64.5重量部以上では過剰な流動性となるからである。
斯かる条件の妥当性は、以下の本発明者の試験によって確認されたものである。
流出試験として、下記の条件設定とした。
即ち、ビルの土台や、水道管等の下にできる空隙部は、土台、配管等が垂直面となり、その下側に形成されることが多いから、先ず、垂直壁を設定し、その下に潜り込めるような入口となる穴部の大きさの設定が必要となる。
(試験器)
そこで、図1、2に示す如く、縦15000mm×横2000mm×深さ300の桝形容器2を備えた試験器1を作成し、その中央部を縦方向に直径100mmの2本のパイプ3、3を立設する。2本のパイプの隙間を、図3に示す如く、15mmのクリアランスに設定する。パイブで区画された一方の土砂の流入側とし、他方を流出側とし、流入側のパイプの前には遮蔽板4を立てる。その遮蔽板4は中央部に長さ600mmとした1枚の板4aと、それを挟んで左右に分かれた2枚の板4b、4bを配する。中央の板が流入口となり、左右の2枚の板は常時遮蔽壁となる。
(試験方法)
上記試験器の流入側に試験すべき流動化処理土を流し込み、試験容器の立設したパイプの上端部付近までいっぱいに充填する。
そして、中央の流入口となる遮蔽板を取り除いて、その時刻を始点とする(図1(イ)参照)。すると、取り除いた遮蔽板の部分が流入口となって、試験流動化処理土が流入側から流出側へと流れ出す(図1(ロ)参照)。
これは重力による自然な流れとなり、一定のスピードを伴った流れが続く。流入側の土砂が減少し、流出側の土砂が増加し、やがて、流入側となる上側パイプの土砂の高さが低くなり、流出側となる下側パイプの上端の高さに達する(図1(ハ)参照)。そこで、この上端高さに一定数値を定めこれを終点とし、その時刻をプロットする。
そして、始点から終点までに要する時間(流出時間)に適正な時間を設定する。
(結果)
この流出の設定時間を350秒以内としたとき、上記本発明流動化処理土は、すべて設定時間内に流出を完了し、想定する現場において問題なく施工できることが確認できた。
例えば、フロー値160の場合の流出時間は330秒、450の場合の流出時間は60秒となり、すべて設定時間内となった。
上記各配合割合に基づいたとき、材齢28日後の一軸圧縮の強さを1.0〜3.0N/mm2 とする。
その値は、以下に示す方法によって導かれる。
前輪一列2本でタイヤ数2個、後輪が一列4本で前後に2列でタイヤ数計10個の荷重10トン車を想定する。
そのとき、タイヤ1本の接地面積は、前輪: 長さ240mm×幅220mm、後輪前列: 長さ180mm×幅220mm、後輪後列: 長さ170mm×幅220mmとなる。
その総接地面積Sは、
S=(240×220×2)+(180×220×2)+(170×220×2)
=413600mm2 となる。
タイヤにかかる荷重P=20tとした場合、そのタイヤにかかる面圧Fは、
F=P/S=20×1000×9.8/413600
=0.47N/mm2 となる。
従って、約1.0N/mm2以上の強度で踏圧に耐えられるものとなる。
(結果)
上記条件で踏圧試験をしたところ、本発明流動化処理土を施した箇所でアスファルト面に凹み等の変形は観察されず、踏圧に耐え得るものであることが確認できた。
本発明埋め戻し用流動化処理土の製造手段は限定されないが、その一例を述べると、一般的には計量容器とミキサ等を備えた生コン製造用プラントにて、所定量の原料の配合とそのミキシングを行いペースト化させた流動化処理土を製造する。
このとき、コンクリート屑、陶器屑、ガラス屑、レンガ屑、瓦屑等を含む再生砂を用いる場合には、これを破砕機等で細粒に粉砕し、それを篩器で10ミリアンダーとなるよう選別し、その選別された土砂を泥水練り混ぜ槽でバックホーにて撹拌し、生コンプラントの計量器にて計量後、アジテータ車に投入する。同時に生コンプラントにてセメントと水分をペースト状に練り、これを上記アジテータ車に投入し、互いを混合・撹拌する。
そして、撹拌を加えながら上記アジテータ車を走らせて、埋め戻し現場へと運ぶ。
又、これに限定されず、埋め戻しの現場において、所定量の土砂とセメント及び水分とを準備して、備え付けのミキサで撹拌して製造する手段も採ることができる。
そのときの埋め戻し箇所には、ビル土台の末端部の下側や、水道管、ガス管等の配管の下側等の土砂の埋め戻しが困難な箇所を含む現場が想定される。
ここに上記と同様にアジテータ車のポンプを駆動させて流動化処理土を流し込む。このとき、上記フロー試験で述べた如く、15mm間隔の隙間を想定して、流動化処理土のフロー値は200〜450mmの範囲にあり、ビル土台の末端部の下側や配管の下側等の埋め戻しが困難な箇所であっても、人力等を要さず、自然の重力で本流動化処理土を流し込むことができる。
例えば、上記フロー値試験の如く、2本の配管が並行してその間に僅かの隙間ができ、その間に処理土を流入させる場合等が想定される。
しかし、本発明流動化処理土にあっては、そのフロー値を160mm以上としたので、上記試験の如く、直径100mmの2本の配管の隙間を15mmとした場合でも、その間を自然な流動で通過することができることが確認されている。
その通過時間は処理土の量によって異なるものとなるが、上記試験の条件下では350秒以内で通過している。
従って、本発明流動化処理土は、相当に入り組んだ配管の状況下にあっても、上記の如く、自然の力で空洞をつくることなく隅々まで流し込むことが可能となる。
尚、このフロー値について調整が必要な場合に混和剤を添加することも可能である。
この炭酸カルシウムを含む本発明流動化処理土は、0.9重量部以上に配合したセメント成分により、一軸圧縮の強さが1.0N/mm2 以上の強さを発揮するものとなる。
その結果、転圧の締め付け力に相当する強度を有することはもちろん、道路等を想定して、その上にアスファルト舗装等を施した路面の上を10トン車程度の車両が走行しても、その踏圧に耐え得る強さを発揮する。
従って、建築物の隣が、道路や駐車場その他の場合等であっても、その利用が充分可能となる埋め戻しの強度が得られるものとなる。
すると、建築物や構築物はけっして永久不変のものではないから、利用の仕方に変更が生じ、その取り壊しが求められる場合がある。
例えば、ビルの建て替え、建物周辺の水道やガス配管の移設、変更等が想定される。
このとき、上記施工して硬化した後の流動化処理土があまりに強い強度を有するものであると、その取り壊しが荷厄介なものとなる。
これにより、建築物、構築物の立て替えや利用変更等にも柔軟に対応が可能となる。
又、施工後にあって埋め戻した本発明流動化処理土を掘り起こした場合には、それを改良土として再利用することも可能である。
2 枡形容器
3 パイプ
4 遮蔽板
Claims (2)
- 10mmアンダーとした砂/土100重量部に対し、5.8〜11.5重量部のセメントと、42.8〜64.5重量部の水分を加えて成り、そのフロー値を160〜450mmとし、硬化後の材齢28日後の一軸圧縮の強さを1.0〜3.0N/mm2 としたことを特徴とする埋め戻し用流動化処理土。
- 砂/土に用いる砂を、コンクリート屑、陶器屑、ガラス屑、レンガ屑、瓦屑のいずれかを含んだ再生砂とすることを特徴とする請求項1記載の埋め戻し用流動化処理土。
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2019
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