JPH10280380A - 石炭灰有効利用の流動化処理土及びこの流動化処理土の利用方法 - Google Patents

石炭灰有効利用の流動化処理土及びこの流動化処理土の利用方法

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JPH10280380A
JPH10280380A JP8175897A JP8175897A JPH10280380A JP H10280380 A JPH10280380 A JP H10280380A JP 8175897 A JP8175897 A JP 8175897A JP 8175897 A JP8175897 A JP 8175897A JP H10280380 A JPH10280380 A JP H10280380A
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coal ash
soil
fluidized
fluidity
water
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JP8175897A
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English (en)
Inventor
Masayoshi Wakamatsu
雅佳 若松
Tatsuya Mitsui
達也 三ッ井
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TOKURA KENSETSU KK
Original Assignee
TOKURA KENSETSU KK
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Publication date
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  • Consolidation Of Soil By Introduction Of Solidifying Substances Into Soil (AREA)
  • Investigation Of Foundation Soil And Reinforcement Of Foundation Soil By Compacting Or Drainage (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】石炭灰を利用する技術、即ち、石炭灰を資源と
して再利用することが、今日、いろいろの面で検討され
ている。理由は、発電事業に伴って排出される石炭灰の
未使用の70%の後処理の問題である。具体的には、運搬
のトラブル及び手間の問題、又は埋戻し等に起因する種
々の問題が発生している。 【解決手段】本発明は、石炭灰を強化用組成物、改良土
又は処理土の原料として利用すること、又は石炭灰の有
する特性、例えば、流動性、強度性又は材料分離抵抗と
いう特性を地盤強化、地盤改良工法の骨格として利用す
ること、等を意図する。構成は、土と水及び固化材並び
に石炭灰とを撹拌混合し、当該石炭灰の流動性及び強度
性を発揮するとともに、泥水との混合で材料分離抵抗を
増加する物性を備えたことを特徴とする石炭灰有効利用
の流動化処理土である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、石炭灰有効利用の
流動化処理土及びこの流動化処理土の利用方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】現在、石炭火力発電所等の発電事業に伴
って排出される石炭灰の内、約30%がセメント材料とし
て再利用されているが、残りの70%のほとんどは発電所
構内に設置された管理型最終処分場において埋立て処分
を行っているのが現状である。この埋立て処分に用いら
れている石炭灰の有効利用に関心がもたれている。その
一つが、軟弱地盤強化用の補助材料、又は埋戻し用の改
良土の補助材料等への有効利用方法である。
【0003】この有効利用を意図する文献は、(1)特
公平4-35567号の有機質軟弱地盤の強化用組成物及びこ
の組成物を利用する地盤強化工法、(2)特開平5-3318
29号の発電所取水路付着貝焼却石灰を用いる残土改良方
法、(3)特開平5-331830号の発電所取水路付着貝焼却
石灰を用いる地盤改良方法、等がある。
【0004】前記(1)の発明は、セメント:ベントナ
イト:水:火山灰、産業廃棄物の焼却炉でできる残灰、
火力発電で残る石炭灰、有機質省資源材料を重量比1.0:
0.2〜2.0:1.0〜3.5:0.5〜2.0の割合で配合して得ること
を特徴とする泥炭、腐植土、腐植質粘性土、有機物混ざ
り粘土などの有機質軟弱地盤の強化用組成物であり、こ
の強化用組成物の有機質軟弱地盤が厚層をなしている場
合に、主としてその上層部を改良強化するための地盤注
入による浅層地盤改良工法である。又(2)の発明は、
火力・原子力発電所取水路壁から剥奪回収された生貝を
焼却して得られる貝焼却灰粉末と、石炭灰と、脱硫石膏
とからなる混合物を、残土に添加・混合して改良土とす
る構成である。更に(3)の発明は、火力・原子力発電
所取水路壁から剥奪回収された生貝を焼却して得られる
貝焼却灰粉末と、石炭灰と、脱硫石膏とからなる混合物
を、不良地盤に添加・混合して改良地盤とする構成であ
る。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】前記各文献発明は、石
炭灰を利用する技術を開示しており、当該石炭灰を資源
として再利用すること、及び運搬、埋戻し等に起因する
種々の問題点の解消に役立っている。
【0006】しかし、石炭灰を強化用組成物、改良土の
原料として利用すること、又は石炭灰の有する特性、例
えば、流動性、強度性又は材料分離抵抗という特性を地
盤強化、地盤改良工法の骨格として利用すること、等の
開示はない。従って、石炭灰の有効利用の一面にとどま
っている課題がある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、石炭灰の有効
利用を図り、かつ当該石炭灰の特性を十分に発揮できる
流動化処理土の提供を目的とする。
【0008】請求項1は、土と水及び固化材並びに石炭
灰との撹拌混合により、当該石炭灰の流動性及び強度性
の特性を確保し、かつ当該石炭灰と前記土との混合を利
用して材料分離抵抗の特性を確保できる石炭灰有効利用
の流動化処理土であって、この流動化処理土は、土と水
及び固化材並びに石炭灰とを所定の混合比で撹拌混合す
ることを特徴とする石炭灰有効利用の流動化処理土であ
る。
【0009】請求項2は、土と水及び固化材並びに石炭
灰及び添加剤との撹拌混合により、当該石炭灰の流動性
及び強度性の特性を確保し、かつ当該石炭灰と前記土と
の混合を利用して材料分離抵抗の特性を確保できる石炭
灰有効利用の流動化処理土であって、この流動化処理土
は、土と水及び固化材並びに石炭灰とを所定の混合比で
撹拌混合することを特徴とする石炭灰有効利用の流動化
処理土。
【0010】請求項3は、土と水は、調整泥水であっ
て、この調整泥水は、略1.05〜1.3g/cm2程度、固化材が
略50〜200kg/m3程度、石炭灰が略500〜1.000kg/m3程度
の配合比で構成されている石炭灰有効利用の流動化処理
土である。
【0011】また本発明は、 石炭灰の有効利用を図
り、かつ当該石炭灰の特性を十分に発揮できる流動化処
理土の利用方法の提供を目的とする。
【0012】請求項4は、土と水及び固化材並びに石炭
灰、場合により少量の添加剤との撹拌混合により、当該
石炭灰の流動性及び強度性の特性を確保し、かつ当該石
炭灰と前記土との混合を利用して材料分離抵抗の特性を
確保できる石炭灰有効利用の流動化処理土であって、こ
の流動化処理土は、土と水及び固化材並びに石炭灰とを
所定の混合比で撹拌混合することを特徴とする石炭灰有
効利用の流動化処理土を生成し、この流動化処理土を、
埋戻し材、空洞充填材、盛土材、裏込材又は地下水の侵
食抵抗又は液状化抵抗用或いは土構造物用の材料として
使用する石炭灰有効利用の流動化処理土の利用方法であ
る。
【0013】
【発明の実施の形態】
(1-1)コンクリート工事においては、多大な労力を要す
る締固め作業を省くため流動性に優れ、かつモルタルと
骨材が分離しないコンクリート(超流動コンクリート)
の開発が土木・建築分野で行われている。これらのコン
クリートは多量の粉体(セメント・石炭灰等)を採用す
る。この石炭灰を利用する流動化処理工法は、通常、土
質安定処理工法の一種と位置付けられる。即ち、この流
動化処理工法は用途に適した流動状態で、狭隘な空間、
埋設管等の埋戻し・裏込め又は構造物と地盤との空洞充
填用、又は地下水の侵食抵抗又は液状化抵抗用或いは同
遮水用、盛土、土留め壁等として必要な打設場所に、直
接或いはポンプ圧送等の方法で流し込み、流動化処理土
(以下、原則として、処理土とする。)の固化を待って
目的を果たす構成であり、原則として、締固め作業を必
要としない土質安定処理工法である。
【0014】この処理土は、水を使う湿式安定処理のた
め、従来、土工には不適当と見なされていた高含水比の
粘性土、シルトも材料として利用できる。また処理土の
流動性から狭隘な空間の埋戻し・裏込め等として使用が
可能となる等のいくつかの利点がある。
【0015】また処理土は、建設現場で発生した土に粘
土(建設汚泥を含む)と水で作成した泥水に固化材を添
加・混練して製造する。尚、この泥水に代えて調整泥水
の場合もある。この調整泥水は、例えば、粘土、シルト
程度の細粒土に水を加え所定の比重になるように調整し
て生成する。尚、建設発生土が細粒土を多量に含んだ場
合には、直ちに水を添加して調整泥水を生成し、この調
整泥水に固化材を適切な配合で添加し混練し処理土を製
造する場合もある。また建設発生土と水を混ぜる理由
は、一定量の細粒分含有量を処理土中に確保することで
処理土の特性を調整するばかりではなく、処理土中の材
料分離抵抗や処理土の固化時における体積収縮の抑制に
も寄与する。以下、調整泥水で説明する。
【0016】そして、石炭灰を使用した処理土を実験室
で製造し、その性状、配合比等の結果を以下に説明す
る。
【0017】その基本配合比の一例を、表1に示す。数
値は1m3当り
【0018】
【表1】
【0019】(1-2)在来工法と構築面で比較検討する
と、処理土の実施工への適用場所は、前述したとおり構
造物の埋戻し及び裏込め等が考えられる。現在、舗装構
成以深の埋戻しにおいては良質土若しくは山砂によって
埋戻しが行われている。いずれの場合においても埋戻し
場所での困難な敷き均し転圧作業を伴うばかりか、品質
的にも劣っている場合が多く、供用後の道路の沈下又は
陥没を引き起こす原因になっている。一方、処理土の場
合、埋戻し後の体積変化がほとんど認められず、狭隘な
箇所にも十分に充填できることから、施工後の品質は安
定する。また施工性の面においても締固め作業を行うこ
と無く、埋戻し作業が終了するため、作業そのものの省
力化を図ることができる。
【0020】(1-3)在来工法とコスト面で比較検討する
と、次に、経済性について在来工法との比較を行うと次
のようになる。処で、処理土製造においては幾つかの施
工条件がある。その中で、一番大きなウエイトを占める
要素としてプラントヤードの問題がある。現在、処理土
製造には、プラントヤード用地が必要であり打設現場近
傍にこの用地が確保できるか否かによって、運搬費が製
造単価に反映されるため製造コストは大きく変動する。
また、一日の製造数量によっても製造費が変動する。従
って、処理土製造に関しては需要と供給のバランスがと
れた状態での運営を考慮に入れる必要がある。そして、
この流動化処理工法は、在来工法と比較して、ややコス
トが上昇するが、十分にカバーできる範囲である。そし
て、ある条件の下で製造された石炭灰処理土は在来工法
に匹敵する単価で製造できることは勿論である。
【0021】(1-4) 今後の展望として、これまでの結
果より、石炭灰を利用し、流動化処理土が生成可能であ
ることが分かった。また生成された流動化処理土は、従
来の建設発生土を利用した処理土と比べ遜色無い品質を
有しており、かつ必要固化材量が減少する可能性があ
る。
【0022】以上ような観点から、今後更に最適配合及
び最適製造方法について、更なる調査研究を行う必要性
はある。しかし、石炭灰処理土は将来的に有望なリサイ
クル工法の一つとして発展する可能性があることは十分
考えられる。
【0023】
【実施例】以下、本発明の一実施例を図面を基に説明す
る。
【0024】〔実験例1〕 1.実験方法 石炭灰の流動化処理土への適用性、具体的には、石炭灰
の流動性、強度性及び材料分離抵抗を明らかにするに
は、処理土の材料の内で石炭灰の粒径等を考慮すること
と、調整泥水の原料として石炭灰を使用し、その状況を
確認すること、等が必要である。そこで、製造する流動
化処理土は調整泥水式流動化処理土とし、泥水密度を2
種類変化させて配合試験を行う。
【0025】また固化材は、一般軟弱土用セメント系固
化材(タフロック3型)を使用し、水は水道水を使用し
ている。主材として使用する山砂は、愛知県の常滑産山
砂である。使用材料の物理的性質を表2に示す。本試験
は、石炭灰を用いて調整泥水を製造し常滑産山砂に混合
して流動化処理土を製造する。尚、強度確認は予備試験
であるため材令7日のみの確認を行っている。またこの
とき、比較対照として常滑産粘性土による配合試験結果
を、表2に示す。
【0026】
【表2】
【0027】2.試験結果 図1〜図3の如く、試験結果を常滑産粘性土による調整
泥水式流動化処理土の試験結果と比較する。
【0028】(1)フロー値 泥水混合比とフロー値(JHS)の関係を図1に示す。こ
のグラフを見て明らかなように、泥水混合比を低下さ
せ、高密度な流動化処理土を製造しても高い流動性を示
している。また、粘土泥水(在来泥水である。)の場合
下に凸のグラフになっているのに対して、石炭灰泥水
(本発明の調整泥水に相当する。)は上に凸のグラフに
なっている。従って、石炭灰泥水は十分なフロー値を備
えていることが判明した。
【0029】(2)一軸圧縮強さ 泥水混合比と一軸圧縮強さの関係を図2に示す。図示の
如く、全体的に、石炭灰泥水の流動化処理土は常滑粘性
土の処理土より高い強度を示している。例えば、泥水密
度が1.1g/cm3の場合泥水混合比0.5の時における粘土泥
水に比べて石炭灰泥水は2倍程度の強さを示している。
しかし、通常の砂質土を主材とする流動化処理土のよう
に、泥水混合比を低下させると(高密度流動化処理土)
一軸圧縮強さが上昇する現象は認められず、逆に泥水混
合比0.3付近を頂点とする下に凸となる形状を示してい
る。また、同じフロー値の処理土でも石炭灰泥水の方が
高い強度を示している。
【0030】(3)ブリーディング率 泥水混合比とブリーディング率の関係を図3に示す。図
示の如く、試験結果を見る限りでは、材料分離抵抗性を
示すブリーディング率は、粘土泥水に比べて石炭灰泥水
は大きな値を示している。
【0031】これは、石炭灰泥水に粘土分含有量が極端
に少なく、主材の山砂にある程度の粘土分が含まれてい
ない限りブリーディング率を1%以下に押さえることは
不可能であると考えられる。
【0032】3.石炭灰を利用した流動化処理土の特徴
と展望 今回実施した、石炭灰の適用性試験結果より、石炭灰を
使用した調整泥水のいくつかの特徴が確認できた。今回
確認された特徴を以下に示す。
【0033】 石炭灰泥水は、高流動性を示す。
【0034】 粘土泥水に比べて高い流動域(フロー
値400mm程度)が長く比較的安定した値を示す。
【0035】 石炭灰自体は、粘土泥水の場合より高
い強度を示す。
【0036】 強度は泥水混合比を低下させるとある
一定の泥水混合比まで低下した後に、上昇する特性を備
えている。
【0037】 高密度の流動化処理土を作成しても強
度はさほど上昇しない問題があるが、今後の態様で、こ
の強度の鈍い上昇は回避できると考える。
【0038】 粘土泥水と泥水密度一定の状態で同一
フロー値の処理土強度は石炭灰泥水を使用した流動化処
理土の方が大きい。
【0039】 材料分離抵抗性は低い値を示す。
【0040】以上のことから高密度の流動化処理土を
比較的容易に作成することができる。
【0041】上記のように、流動性、強度ともに石炭灰
泥水は要求品質に対して比較的コントロールが容易に行
える材料であると判断できる。しかし、その反面流動化
処理工法の生命線ともいえる材料分離抵抗性については
許容値(1%以下)を大きく上回る結果となり、何らかの
添加剤が必要となる。
【0042】 添加剤としては、増粘剤、他の流動化
土等を採用する。
【0043】〔実施例2〕 (1) 前記〔実験例1〕で石炭灰は流動化処理土の流動
性、一軸圧縮強さに寄与することが分かった。しかし、
材料分離抵抗性については許容値を大きく上回った結果
となった。これは、石炭灰の粒径がシルト分の粒径範囲
に大多数が含まれ、材料分離抵抗に寄与することが分か
っている粘土分含有量が一般粘土により製造した流動化
処理土に比べ極端に少ないことが原因であると考えられ
る。従って、石炭灰泥水を現段階において無処理で処理
土の調整泥水として使用することは適当ではないと考え
られる。また、石炭灰泥水を使用した流動化処理土の場
合、この流動化処理土内の石炭灰含有量は極少量であ
り、埋立て処分量の軽減効果を直接的に期待することは
困難な状況になる。
【0044】図4〜図9の如く、本実験においては、石
炭灰を大量に使用するため主材である建設発生土の代わ
りに石炭灰を使用することで利用率を高めるとともに、
材料分離抵抗を増加させるため粘土(建設汚泥を含む)
により調整泥水を製造し、流動化処理土を製造する事を
念頭に実験を行う。また本実験においては、石炭灰と調
整泥水を混合し、石炭灰自身の自硬性と流動性により固
化材添加量の軽減等の経済的な効果が期待できるか否か
を確認する。尚、製造する流動化処理土は調整泥水式流
動化処理土とし、調整泥水の密度(調整泥水密度とす
る。)を2種類変化させて配合試験を行う。
【0045】この場合の目標値として要求される品質を
以下に示す。
【0046】 ・一軸圧縮強さ 3kgf/cm2以上 ・流動性 フロー値 180〜220mm程度 ・材料分離抵抗性 ブリーディング率 1%以下(規定値) 使用材料としては 石炭灰:某電力社産 固化材:タフロック3型 粘性土:愛知県豊田市泥水シールドの余剰泥水(泥水処
理済み、フロック状) 水 :水道水 使用した材料の物理試験結果を、表3に示す。
【0047】
【表3】
【0048】また〔実験例1〕と同様、比較対照として
常滑産粘性土による配合試験結果を使用した。
【0049】(2)流動性確認実験 固化材添加量を一定として石炭灰を主材とする流動化処
理土を作成し、山砂を主材とする流動化処理土と比べ、
流動性がどのように変化するか調査するため実験を行っ
た。
【0050】図4に示す如く、山砂を使用した流動化処
理土に比べ石炭灰流動化処理土の場合同じフロー値を発
揮させるためには泥水混合比が大きな値になる(泥水混
合比が大きくなるほど石炭灰使用量は低下する。)。こ
れは、石炭灰の含水比がほぼ0%であるためと、粒径が小
さく密なため流動性を抑制する効果が山砂よりも大きい
ためであると考えられる。しかし、石炭灰使用量を大き
く変化させても、山砂の流動化処理土に比べ流動性は余
り変化せず、緩やかな勾配を示している。
【0051】また、調整泥水密度が1.1g/cm3の時に比べ
1.15g/cm3の場合の方が流動性も低く石炭灰使用量を変
化させた場合においても流動性の変化が緩やかである。
調整泥水密度が1.15g/cm3の場合には、石炭灰使用量は
低下する。また単位当たり石炭灰使用量は図5のグラフ
図に示す通り、フロー値が200mm程度の場合、1m3当た
り600kg〜750kg程度の使用量となる。
【0052】次に、材料分離抵抗性についてみると図6
に示す如く、調整泥水密度1.1g/cm3以下の場合において
は、処理土を規定のブリーディング率内に押さえること
は出来ない。従って、石炭灰を利用した流動化処理土は
調整泥水密度を1.15g/cm3程度で作成することが適当で
あると考えられる。このときの強度は、材令7日で約2k
g/cm3程度発揮されており、強度的には山砂による流動
化処理土と遜色無い結果となっている。
【0053】(3)固化材添加量 流動性確認実験の結果を考慮に入れ、その調整泥水密度
を1.15g/cm3とし、固化材の添加量(固化材添加量とす
る。)を変化させ実験し、その処理土の特性を調査し
た。即ち、図7の如く、固化材添加量を少なくすると流
動性は高くなる傾向が認められる。この固化材添加量12
0kg/m3の場合は、石炭灰使用量を増加させていくと極端
に流動性が低下し処理土としての特性を示さなくなる。
【0054】次に、図8の如く、材令7日における一軸
圧縮強さについて示すグラフ図では、固化材添加量を増
加させると当然のことながら一軸圧縮強さは増加する。
さらに石炭灰使用量を増加させることによっても一軸圧
縮強さが増加することが分る。通常、建設発生土による
処理土を製造する場合、固化材添加量は100kg/m3を標準
として配合設計が行われている。しかし、石炭灰による
処理土の場合は、70kg/cm3においても1kg/cm2程度の一
軸圧縮強さを示しており、建設発生土の場合のような品
質のバラツキが考えられないことから、固化材添加量を
軽減しても通常の流動化処理土と遜色無い品質の製品を
製造することが可能であると考えられる。また、試験結
果は材令7日におけるものであるが、石炭灰のポゾラン
反応等を考えると材令28日における強度は3kg以上発揮
されると考えられ、固化加量は70kg/cm2程度の量で十分
である。さらに図9の如く、材料分離抵抗性は固化材の
添加量を増加させることにより増加させることができる
ことが分かる。また石炭灰使用量を増加させると、材料
分離抵抗性はある程度まで増加できることが分かる。
【0055】以上の結果より、石炭灰を使用した流動化
処理土の配合の一例を示すと、調整泥水密度1.15g/cm3
・固化材添加量70kg/m3・石炭灰使用量650kg〜700kg/m3
が好ましいことが判明した。
【0056】〔実施例3〕某電力社が計画中の増設工事
に伴い、循環水管及びその他多数の埋設管が設置され
る。これらは発電設備の主要な幹線となる。これらの埋
設管の埋戻し材料として、現在開発中の石炭灰を利用し
た流動化処理土を適用させることが可能かどうか、ま
た、適用した場合何らかの優位性が認められるかを検証
するため埋戻し材料としての要求品質を満足する処理土
を製造し、各種の試験を行う。また、これに平行して、
計画工程に合致する製造及び配送システムを検討し、そ
の適合性を検討する。
【0057】(1)配合比、品質及び要求される特性を詳
述する。
【0058】埋設管の埋戻し材処理土として要求される
品質を以下に示す。
【0059】 ・一軸圧縮強さ 材令28日 12kgf/cm2以上 ・流動性 フロー値 200mm程度 ・弾性係数 E50 1000kg/cm2以上 ・材料分離抵抗性 ブリーディング率 1%以下(規定値) 前記の品質確保及び当社がこれまで実験してきた石炭灰
を主材とする処理土の特性値を整理してみると以下のこ
とが分かる。
【0060】a.流動性 流動性を示す指標は多数存在するが、処理土の場合通常
日本道路公団の基準であるフロー値(シリンダー法)で
表している。当社が行った実験においても流動性はフロ
ー値において表している。今回作製する処理土の材料は
「石炭灰」「粘土」「水」「固化材」を使用している。
(ちなみに、固化材は一般軟弱土用地盤改良材を使用し
ている。これは処理土の含水比が比較的高いため、安価
な普通セメントを使用した添加量が地盤改良材に比べ多
量に必要になり不経済になるためである。)。これらの
材料は、「水」を除きそれぞれ材料によって多少粒径が
異なるが、全て細粒分である。また処理土内に含まれる
細粒分重量と水の重量比をフロー値で示すと図10の如
くなる。図10において、処理土の流動性に細粒分含有
量は大きく寄与しており、細粒分含有量が多ければ多い
ほど流動性は低下していくこと分かる。また図10より
細粒分比「W/(F+C+4×S)」(記号は後述す
る。)とフロー値はよい相関関係を示しており、ある一
定の流動性を発揮させるために必要な細粒分含有量を算
出することが可能である。しかし、この実験結果は比較
的低強度の処理土を製造した場合であり、今回埋設管の
埋戻し材処理土として必要とされる強度付近において
も、概ねこの関係が成り立つことが判明した。
【0061】b.材料分離抵抗性 処理土の体積変化を把握するために必要な材料分離抵抗
性については、処理土内の粘土分と固化材の含有量によ
って決定されると考える。即ち、今回の実験結果より、
「(S+C)/W」が0.45以上であればブリーディング
率が1%以下になると考えられる。これまでの実験結果
を、図11のグラフ図に示す。この図11において、分
かるように、石炭灰を利用した処理土においても、上記
した割合をコントロールすることによりブリーディング
率を抑制できる。
【0062】c.一軸圧縮強さ及び弾性係数 一軸圧縮強さ及び弾性係数は固化材添加量と単位水量の
比に左右されると考えられる。即ち、流動性及び材料分
離抵抗性に示した指標によって決定される固化材及び石
炭灰量の比率を変化させ、その必要添加量を決定するこ
とが必要である。例えば、前回の実験結果において、一
軸圧縮強さは固化材添加量を120kg/m3とした場合、材令
28日において5kgf/cm2程度発揮されており、今回の実験
においてはそれ以上の添加量が必要であることは確実で
ある。また弾性係数は、qu=5kgf/cm2程度の処理土の場
合500kgf/cm2となることが分かっており一軸圧縮強さを
増加させることでE50も増加させることができると考え
る。従って、今回実験目標としている処理土の品質を満
足させるためには以下の条件を満足させれば良いことに
なる。
【0063】「W/(F+C+4×S)」=0.7以上 W:水 F:石炭灰 C:固化材 S:粘土
【0064】
【発明の効果】本発明は、土と水及び固化材並びに石炭
灰又は添加剤との撹拌混合により、石炭灰の流動性及び
強度性の特性を確保し、かつ当該石炭灰と前記土との混
合を利用して材料分離抵抗の特性を確保できる石炭灰有
効利用の処理土である。従って、石炭灰の有効利用を図
り得る事、または石炭灰の特性を十分に発揮できる処理
土が生成されること、等の特徴がある。
【0065】また本発明は、土と水及び固化材並びに石
炭灰又は添加剤との撹拌混合により、石炭灰の流動性及
び強度性の特性を確保し、かつ当該石炭灰と前記土との
混合を利用して材料分離抵抗の特性を確保できる石炭灰
有効利用の処理土を、埋戻し材、各種充填材、盛土材、
裏込材又は土構造物用の材料等として使用する利用方法
である。従って、軟弱地盤の液状化防止及び固化に役立
つ有益性を備える。
【図面の簡単な説明】
【図1】泥水混合比とフロー値の関係を示すグラフ図
【図2】泥水混合比と一軸圧縮強さの関係を示すグラフ
【図3】泥水混合比とブリーディング率の関係を示すグ
ラフ図
【図4】泥水混合比とフロー値の関係を示すグラフ図
【図5】石炭灰使用量と流動性の関係を示すグラフ図
【図6】石炭灰使用量と材料分離抵抗性の関係を示すグ
ラフ図
【図7】石炭灰使用量と流動性の関係を示すグラフ図
【図8】石炭灰使用量と強度の関係を示すグラフ図
【図9】石炭灰使用量と材料分離抵抗性の関係を示すグ
ラフ図
【図10】細粒分重量と水の重量比をフロー値で示すグ
ラフ図
【図11】処理土の体積変化を把握するために必要な材
料分離抵抗性を示すグラフ図

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 土と水及び固化材並びに石炭灰との撹拌
    混合により、当該石炭灰の流動性及び強度性の特性を確
    保し、かつ当該石炭灰と前記土との混合を利用して材料
    分離抵抗の特性を確保できる石炭灰有効利用の流動化処
    理土であって、この流動化処理土は、土と水及び固化材
    並びに石炭灰とを所定の混合比で撹拌混合することを特
    徴とする石炭灰有効利用の流動化処理土。
  2. 【請求項2】 土と水及び固化材並びに石炭灰及び添加
    剤との撹拌混合により、当該石炭灰の流動性及び強度性
    の特性を確保し、かつ当該石炭灰と前記土との混合を利
    用して材料分離抵抗の特性を確保できる石炭灰有効利用
    の流動化処理土であって、この流動化処理土は、土と水
    及び固化材並びに石炭灰とを所定の混合比で撹拌混合す
    ることを特徴とする石炭灰有効利用の流動化処理土。
  3. 【請求項3】 上記の土と水は、調整泥水であって、こ
    の調整泥水は、略1.05〜1.3g/cm2程度、固化材が略50〜
    200kg/m3程度、石炭灰が略500〜1.000kg/m3程度の配合
    比で構成されている請求項1又は請求項2に記載の石炭
    灰有効利用の流動化処理土。
  4. 【請求項4】 土と水及び固化材並びに石炭灰、場合に
    より少量の添加剤との撹拌混合により、当該石炭灰の流
    動性及び強度性の特性を確保し、かつ当該石炭灰と前記
    土との混合を利用して材料分離抵抗の特性を確保できる
    石炭灰有効利用の流動化処理土であって、この流動化処
    理土は、土と水及び固化材並びに石炭灰とを所定の混合
    比で撹拌混合することを特徴とする石炭灰有効利用の流
    動化処理土を生成し、この流動化処理土を、埋戻し材、
    空洞充填材、盛土材、裏込材又は地下水の侵食抵抗又は
    液状化抵抗用或いは土構造物用の材料として使用する石
    炭灰有効利用の流動化処理土の利用方法。
JP8175897A 1997-04-01 1997-04-01 石炭灰有効利用の流動化処理土及びこの流動化処理土の利用方法 Pending JPH10280380A (ja)

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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005179428A (ja) * 2003-12-17 2005-07-07 Hazama Corp 建設排出物の流動化処理方法
JP2012036617A (ja) * 2010-08-05 2012-02-23 Meijo University 流動化処理土及びその製造方法
JP2014009487A (ja) * 2012-06-29 2014-01-20 Tokuyama Corp 流動化処理土
JP2018178423A (ja) * 2017-04-06 2018-11-15 大成建設株式会社 流動化処理土の管理方法

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