JP2021063294A - 保護層付着銀ナノワイヤ、その分散液、前記銀ナノワイヤの製造方法および透光性導電膜 - Google Patents

保護層付着銀ナノワイヤ、その分散液、前記銀ナノワイヤの製造方法および透光性導電膜 Download PDF

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Abstract

【課題】銀ナノワイヤの液状媒体中での分散安定性を顕著に改善することができ、かつ透光性導電膜においても良好な導電性を維持することができる技術を提供する。【解決手段】銀ナノワイヤと、その表面に付着している保護層からなり、前記保護層は、ポリエチレンイミン(PEI)にポリエチレングリコール鎖を持つ化合物が付加した構造の変性ポリエチレンイミン(PEI−mPEG)を含むものである、保護層付着銀ナノワイヤ。前記のポリエチレングリコール鎖を持つ化合物としては、例えばポリエチレングリコールモノメチルエーテルアクリラート(mPEGA)を使用できる。【選択図】図3

Description

本発明は、保護層が表面に付着している銀ナノワイヤ、およびその銀ナノワイヤが液状媒体中に分散している銀ナノワイヤ分散液、ならびに前記銀ナノワイヤの製造方法に関する。また、前記銀ナノワイヤを用いた透光性導電膜に関する。
本明細書では、太さが200nm程度以下の微細な金属ワイヤを「金属ナノワイヤ(nanowire(s)」と呼ぶ。金属ナノワイヤは、透光性の導電膜を形成するための導電体として有用である。金属ナノワイヤを用いた透光性導電膜は、従来のITO系蒸着基板と比べ、希少元素が不要、フレキシブル基材に対応可能といった利点を有しており、次世代デバイスに必要不可欠な材料として期待されている。なかでも「銀ナノワイヤ」は平均直径が例えば30nm以下といった細いワイヤを工業的に生産する技術の開発が進み、それを用いた透光性導電膜が実用化されつつある。
銀ナノワイヤを効率良く合成する手法として、エチレングリコール等のポリオール溶媒に銀化合物を溶解させ、ハロゲン化合物と有機保護剤の存在下において、溶媒のポリオールの還元力を利用して線状形状の金属銀を析出させる手法(「アルコール溶媒還元法」という。)が知られている。その有機保護剤としては、形状の良好な銀ナノワイヤを合成する観点から、従来一般的にPVP(ポリビニルピロリドン)や、ビニルピロリドンとその他のモノマーとのコポリマーが使用されている。合成に使用した有機保護剤は銀ナノワイヤの表面を被覆し、液中でのワイヤの分散性を確保する機能を有する。PVPや、ビニルピロリドンとその他のモノマーとのコポリマーはビニルピロリドン構造単位(図4参照)を有しており、水系の液状媒体中において銀ナノワイヤの良好な分散性を発揮する。アルコールを含有する液状媒体中での分散性に関しては、PVPよりも、ビニルピロリドンとその他のモノマーとのコポリマーの方が有利となる場合が多い。例えば、特許文献1には、ビニルピロリドンとジアリルジメチルアンモニウム(Diallyldimethylammonium)塩モノマーとのコポリマーを有機保護剤に使用して、液状媒体中での銀ナノワイヤの分散性を改善させたことが記載されている。
特開2015−180772号公報
銀ナノワイヤを導電体に用いて透光性導電膜を形成するためには、通常、銀ナノワイヤが分散している塗工液を基材上に塗布する必要がある。工業的規模で塗工液の塗布を行う際には、ダイコーターやバーコーターなどの塗工装置に連続的に塗工液が供給され、塗布時間も長時間に及ぶ。塗工液を作製してから塗工に供されるまでの待ち時間も、生産管理上のスケジュールに左右される。一定の品質を有する均一性の高い塗膜を工業的に安定して製造するためには、従来にも増して、液中での分散安定性に優れる銀ナノワイヤが望まれる。
塗工液中での銀ナノワイヤの分散性を向上させるためには、塗工液に界面活性剤成分を添加する手法が有効である。しかし、界面活性剤成分の添加は、透光性導電膜の導電性を低下させる方向へ作用するので、なるべく避けたい。特許文献1の技術によれば、銀ナノワイヤの分散安定性は有機保護剤にPVPを用いた場合に比べて改善され、塗工液に分散性を確保するための界面活性剤成分を添加しなくても量産への対応が可能となった。しかし、工程トラブルが生じた場合なども考慮に入れて、生産現場でのスケジュール管理の自由度を一層高めるためには、更なる改善が望まれる。
一方、銀ナノワイヤの表面に付着している合成時の有機保護剤を、分散性の向上に有利なポリマーへ付け換えるという手法も考えられる。例えば、NH基を有するポリエチレンイミン(PEI)は銀への吸着力が大きく、水系の液状媒体との分散性確保にも有効である。しかしながら、ポリエチレンイミン(PEI)を多く含む保護層を形成させた銀ナノワイヤを用いて、透光性導電膜を作製すると、導電膜の導電性が低下するという問題がある。
本発明は、銀ナノワイヤの液状媒体中での分散安定性を顕著に改善することができ、かつ透光性導電膜においても良好な導電性を維持することができる技術を提供しようというものである。
上記目的を達成するために、本明細書では以下の発明を開示する。
[1]銀ナノワイヤと、その表面に付着している保護層からなり、
前記保護層は、ポリエチレンイミン(PEI)にポリエチレングリコール鎖を持つ化合物が付加した構造の変性ポリエチレンイミン(PEI−mPEG)を含むものである、保護層付着銀ナノワイヤ。
[2]前記のポリエチレングリコール鎖を持つ化合物が、ポリエチレングリコールモノメチルエーテルアクリラート(mPEGA)である、上記[1]に記載の保護層付着銀ナノワイヤ。
[3]上記[1]または[2]に記載の保護層付着銀ナノワイヤが水系の液状媒体中に分散している銀ナノワイヤ分散液。
[4]上記[1]または[2]に記載の保護層付着銀ナノワイヤを有する透光性導電膜。
[5]ビニルピロリドン構造単位を持つポリマーが表面に付着している平均長さ5μm以上の銀ナノワイヤと、ポリエチレンイミン(PEI)にポリエチレングリコール鎖を持つ化合物が付加した構造の変性ポリエチレンイミン(PEI−mPEG)とを、前記変性ポリエチレンイミンが溶解する性質を有する液状媒体中で混合することにより、前記変性ポリエチレンイミンを含む保護層が表面に付着している銀ナノワイヤを得る工程、
を有する、保護層付着銀ナノワイヤの製造方法。
[6]前記のポリエチレングリコール鎖を持つ化合物が、ポリエチレングリコールモノメチルエーテルアクリラート(mPEGA)である、上記[5]に記載の保護層付着銀ナノワイヤの製造方法。
上記において「水系の液状媒体」とは、液状媒体を構成する成分(未溶解の固体成分は含まない。)のうち、水の質量割合が30%以上である液状媒体をいう。
本発明によれば、液状媒体中での銀ナノワイヤの分散性を、界面活性剤成分の添加に頼らずに顕著に改善することができた。また、本発明に従う銀ナノワイヤを用いた透光性導電膜では、良好な導電性が確保できる。
ポリエチレンイミン(PEI)の構造式の例示。 ポリエチレングリコールモノメチルエーテルアクリラート(mPEGA)の構造式の例示。 変性ポリエチレンイミン(PEI−mPEG)の構造式の例示。 ビニルピロリドン構造単位の構造式。 クロスフローろ過に用いる管路構成を模式的に示した図。 保護層付着銀ナノワイヤについてのTG曲線を表すグラフ。 保護層付着銀ナノワイヤについてのTG曲線を表すグラフ。
発明者らは研究の結果、銀ナノワイヤの表面に付着して液状媒体中でのワイヤの分散性を担う保護層の構成成分として、ポリエチレングリコール鎖(化学式:[OCHCH])が導入された構造の変性ポリエチレンイミン(PEI−mPEG)を適用したとき、液中分散性の顕著な向上と、透光性導電膜の良好な導電性の維持との両立が可能となることを見いだした。
[ポリエチレンイミン(PEI)]
図1に、ポリエチレンイミン(PEI)の構造式を例示する。分岐状のポリエチレンイミンは、分子内にNH基と、エチレンイミン構造単位(化学式:−CHCHNH−)を有する。本発明では、例えば重量平均分子量が100〜10,000のポリエチレンイミン(PEI)を使用することができる。重量平均分子量はGPC−MALS法により確認することができる。
[変性ポリエチレンイミン(PEI−mPEG)]
図3に、本発明に適用する変性ポリエチレンイミン(PEI−mPEG)の構造式を例示する。これは、ポリエチレンイミン(PEI)の分子中に存在する一部のエチレンイミン構造単位(−CHCHNH−)の窒素原子にポリエチレングリコール鎖(以下「PEG鎖」と言うことがある。)を持つ化合物が付加した構造を有するものである。この変性ポリエチレンイミン(PEI−mPEG)は、ポリエチレングリコールの末端をアミンと反応するアクリレート等の官能基に変性させた変性ポリエチレングリコールと、ポリエチレンイミンを反応させることにより合成することができる。PEG鎖を持つ化合物は、重量平均分子量が例えば200〜20,000の範囲のものを用いることができる。図3に例示した変性ポリエチレンイミン(PEI−mPEG)は、PEG鎖を持つ化合物としてポリエチレングリコールモノメチルエーテルアクリラートを採用し、これをマイケル付加させた構造のものである。図2に、ポリエチレングリコールモノメチルエーテルアクリラートの構造式を例示する。
上記の変性ポリエチレンイミン(PEI−mPEG)において、エチレンイミン構造単位(−CHCHNH−)のモル数に対する、PEG鎖を持つ化合物が付加されたエチレンイミン構造単位のモル数の割合(モル%)を、本明細書では「PEG付加率」と呼ぶ。PEG付加率は下記(1)式により表される。
PEG付加率(モル%)=100×MPEG/MEI …(1)
ここで、
EI:エチレンイミン構造単位のモル数、
PEG:ポリエチレングリコール鎖(PEG鎖)を持つ化合物が付加されたエチレンイミン構造単位のモル数、
である。MEIは、変性ポリエチレンイミン(PEI−mPEG)を合成する際に使用したポリエチレンイミン(PEI)の質量(g)をエチレンイミン構造単位の式量43.1(g/mol)で除することにより算出できる。MPEGは変性ポリエチレンイミン(PEI−mPEG)中のPEG鎖を持つ化合物の質量を、そのPEG鎖を持つ化合物の重量平均分子量で除することにより算出できる。合成された変性ポリエチレンイミン(PEI−mPEG)のH−NMR(核磁気共鳴法)による測定において、付加反応に使用したPEG鎖を持つ化合物(例えばポリエチレングリコールモノメチルエーテルアクリラート)の官能基(例えばアクリロイル基)のピークが検出されない場合は、反応容器に投入したPEG鎖を持つ化合物の全量が付加反応に消費されたことを示している。この場合は、付加されたPEG鎖を持つ化合物のモル数は、反応容器に投入したPEG鎖を持つ化合物のモル数に等しいとみなすことができる。
本発明では、PEG付加率が5〜60モル%の変性ポリエチレンイミン(PEI−mPEG)を使用することが好ましく、PEG付加率が10〜60モル%のそれを使用することがより好ましい。この範囲でPEG鎖を導入すると、銀ナノワイヤの表面に吸着して保護層を構成したときに、ポリエチレンイミン(PEI)の場合とは異なり、高い自由体積による保護層の低密度化が実現されるものと考えられる。その結果、透光性導電膜中でワイヤ同士の接触を阻害する要因が軽減され、良好な導電性を得ることが可能になるものと推察される。また、ビニルピロリドン構造単位を持つポリマーと比べ、立体障害斥力も増大し、液中や樹脂中での銀ナノワイヤの分散安定性が向上する。
銀ナノワイヤとその表面に付着しているポリマーの総量に対する、ポリマーの付着量は、1.0〜15.0質量%であることが好ましく、5.0〜15.0質量%であることがより好ましい。5.0〜10.0の範囲に管理してもよい。
(ポリマー付着量の測定について)
銀ナノワイヤに対するポリマーの付着量は、銀ナノワイヤ分散液から遠心分離法などにより固液分離して回収された固形分を乾燥させて得られた乾燥試料について、TG−DTA(熱重量示差熱分析)装置によりTG曲線を測定することによって知ることができる。具体的には、そのTG曲線において、昇温開始温度(例えば40℃)から200℃までの重量変化に相当する質量割合をWs(質量%)、200℃から温度T(℃)までの重量変化に相当する質量割合をWp(質量%)とするとき、下記(2)式によりポリマーの付着量を知ることができる。
付着量P(質量%)=100×[Wp/(100−Ws)] …(2)
ここで、200℃までに揮発除去された物質の量Ws(質量%)を、乾燥サンプルに残存していた低沸点成分(具体的には水やアルコール)の量であるとみなし、銀ナノワイヤとポリマーの正味の合計量を(100−Ws)としている。上記の温度T(℃)は、検出対象のポリマーの種類によって設定する必要があるが、対象がポリエチレンイミン(PEI)、変性ポリエチレンイミン(PEI−mPEG)、PVP、ビニルピロリドンとジアリルジメチルアンモニウムナイトレート(Diallyldimethylammonium nitrate)モノマーとのコポリマーである場合、Tを700℃とすればよい。そこで、後述の実施例・比較例では、200℃から700℃までの重量変化に相当する質量割合をWp(質量%)としてポリマーの付着量を定めている。
なお、銀ナノワイヤ分散液に、水溶性セルロースエーテル等の200℃で蒸発しない成分を配合する場合には、その配合成分による影響を除くため、200℃で蒸発しない成分を配合する前の銀ナノワイヤ分散液に対して上記の測定を行えばよい。
[保護層付着銀ナノワイヤの製造方法]
変性ポリエチレンイミン(PEI−mPEG)を含む保護層を有する本発明の「保護層付着銀ナノワイヤ」は、例えば、原料である銀ナノワイヤの表面に、上述の変性ポリエチレンイミン(PEI−mPEG)を付着させる手法により製造することができる。以下、この手法を例に説明する。
(原料の銀ナノワイヤ)
変性ポリエチレンイミンを付着させるために使用する原料の銀ナノワイヤとしては、公知の種々の方法で得られたものが適用可能である。ここでは水系の液中で良好な分散性を有する銀ナノワイヤとして、ビニルピロリドン構造単位(図4参照)を持つポリマーが表面に存在するものを使用することが好ましい。ビニルピロリドン構造単位を持つポリマーの代表例としてポリビニルピロリドン(PVP)が挙げられる。その他、アルコール含有溶液での分散性を高める作用のあるポリマーとして、ビニルピロリドンと他のモノマーとのコポリマーも開発されている。そのようなコポリマーの好適例として、例えば、ビニルピロリドンとジアリルジメチルアンモニウムナイトレート(Diallyldimethylammonium nitrate)モノマーとのコポリマーを挙げることができる。これらのビニルピロリドン構造単位を持つポリマーは、アルコール溶媒中で銀をワイヤ状に還元析出させる方法(アルコール溶媒還元法)で銀ナノワイヤを合成する際の、有機保護剤として好適に使用されるポリマーでもある。アルコール溶媒還元法で合成された銀ナノワイヤの表面には、通常、合成時に使用した有機保護剤のポリマーが付着している。本発明では、変性ポリエチレンイミンを銀ナノワイヤ表面に付着させることから、原料の銀ナノワイヤとしては、ポリマーの付着量が、水系の液中での分散性が十分確保される範囲において、できるだけ低減されているものを使用することが有利である。例えば、銀ナノワイヤの長さ分布を調整するためのクロスフローろ過の工程を利用して、原料の銀ナノワイヤ表面のポリマー存在量を低減させることが可能である。
透光性導電膜は、シート抵抗が小さく、かつヘイズが小さいものであることが望ましい。同種の構成材料で透光性導電膜を作製した場合、一般的にシート抵抗とヘイズはトレード・オフの関係にある。シート抵抗が小さく、かつヘイズが小さい性能を有する透光性導電膜(すなわち、「シート抵抗−ヘイズバランス」に優れる透光性導電膜)を得るためには、それに使用する銀ナノワイヤとして、できるだけ細く、長いものを適用することが有利となる。本発明に適用する原料の銀ナノワイヤとしては、平均長さ5μm以上のものを適用する。平均長さ10μm以上のものを適用することがより好ましい。原料の銀ナノワイヤの太さについては特に制限はないが、例えば、平均直径が30nm以下、より好ましくは10〜25nmのものが「シート抵抗−ヘイズバランス」に優れる透光性導電膜を得る上で有利となる。
銀ナノワイヤの平均直径、平均長さは以下の定義に従う。
(平均直径D
透過型電子顕微鏡(TEM)による明視野観察画像上で、ある1本の銀ナノワイヤにおける太さ方向両側の輪郭間距離を、そのワイヤの直径と定義する。各ワイヤは全長にわたってほぼ均等な太さを有しているとみなすことができる。従って、太さの計測は他のワイヤと重なっていない部分を選択して行うことができる。1つの視野を写した銀ナノワイヤについてのTEMによる明視野観察画像(以下「TEM画像」という。)において、その画像内に観察される銀ナノワイヤのうち、他のワイヤと完全に重なって直径の計測が困難であるワイヤを除く全てのワイヤの直径を測定する、という操作を無作為に選んだ複数の視野について行い、合計100本以上の異なる銀ナノワイヤの直径を求め、個々の銀ナノワイヤの直径の平均値を算出し、その値を平均直径Dと定義する。
(平均長さL
電界放出形走査電子顕微鏡(FE−SEM)による観察画像上で、ある1本の銀ナノワイヤの一端から他端までのトレース長さを、そのワイヤの長さと定義する。顕微鏡画像上に存在する個々の銀ナノワイヤの長さを平均した値を、平均長さLと定義する。平均長さを算出するためには、測定対象のワイヤの総数を100以上とする。
(変性ポリエチレンイミンの修飾)
液状媒体中に原料の銀ナノワイヤを分散させ、かつその液状媒体に変性ポリエチレンイミン(PEI−mPEG)が溶解している状態とする。液状媒体は水とすることができる。この状態で、例えば撹拌するなどの手法により銀ナノワイヤと変性ポリエチレンイミン(PEI−mPEG)とを混合する。撹拌強度は、銀ナノワイヤに損傷を与えない程度とする。液温は例えば20〜80℃の範囲とすることができる。混合時間は例えば4〜36時間の範囲で設定すればよい。この混合を行う液における銀ナノワイヤの濃度は、液の総質量(銀ナノワイヤおよび変性ポリエチレンイミンを含めた総質量)に占める液中の銀の質量で、0.05〜0.3質量%の範囲とすることができる。また、液中に溶解させる変性ポリエチレンイミン(PEI−mPEG)の量は、液中の銀1モルに対し、0.01〜0.1モルの範囲で設定することが好ましい。上記(2)式で表される銀ナノワイヤに対する変性ポリエチレンイミン(PEI−mPEG)の付着量Pが、上述のように1.0〜15質量%となるように条件をコントロールすることが好ましい。
この混合により、NH基を有する変性ポリエチレンイミン(PEI−mPEG)の、銀に対する強い親和力(金属銀に吸着しやすい性質)によって、前記変性ポリエチレンイミンが銀ナノワイヤの表面に付着する。原料の銀ナノワイヤの表面に存在していたポリマーは、変性ポリエチレンイミン(PEI−mPEG)よりも銀に対する親和力が弱いので、そのポリマー分子の大部分は銀ナノワイヤから脱着し、結果的に、変性ポリエチレンイミン(PEI−mPEG)による保護層の置換が実現されると考えられる。このようにして、変性ポリエチレンイミン(PEI−mPEG)を主成分とする保護層が表面に付着している銀ナノワイヤが得られる。原料の銀ナノワイヤの表面に存在していたポリマー(例えばビニルピロリドン構造単位を持つポリマー)も、一部は銀ナノワイヤに随伴して残存している可能性があるが、特に問題はない。
(洗浄)
脱着したポリマー等の不要成分を除去するために、上記混合を行った後の液にアセトンを添加して銀ナノワイヤを沈降させたのち上澄みを除去するといった洗浄を1回または複数回施すことが好ましい。必要に応じて、さらにクロスフローろ過に供することもできる。
[透光性導電膜の製造]
上記のようにして得られた保護層付着銀ナノワイヤを、水系あるいはアルコール系の液状媒体に分散させることにより、透光性導電膜を得るための塗工液(銀ナノワイヤインク)として使用できる銀ナノワイヤ分散液を得ることができる。用途に応じて増粘成分や、バインダー成分、あるいは更に界面活性剤成分を配合させて、塗工に適した銀ナノワイヤ分散液とすればよい。ここで、「水系の液状媒体」とは、上述のように、液状媒体を構成する成分(未溶解の固体成分は含まない。)のうち、水の質量割合が30%以上である液状媒体をいう。「アルコール系の液状媒体」とは、液状媒体を構成する成分(未溶解の固体成分は含まない。)のうち、アルコール(複数のアルコール成分を含有する場合はそれらの総量。アルコールにはポリオールを含める。)の質量割合が70%を超える液状媒体をいう。塗工用の銀ナノワイヤ分散液の、透光性基材上への塗布は、バーコーター法、ダイコーター法など、公知の塗工方法にて行うことができる。塗布後には30〜150℃の温度で塗膜を乾燥させることにより、透光性導電膜を得ることができる。
[比較例1(リファレンス)]
(銀ナノワイヤ合成)
アルコール溶媒としてプロピレングリコール(1,2−プロパンジオール)、銀化合物として硝酸銀、塩化物として塩化リチウム、臭化物として臭化カリウム、アルミニウム塩として硝酸アルミニウム九水和物、アルカリ金属水酸化物として水酸化リチウム、有機保護剤としてビニルピロリドンとジアリルジメチルアンモニウムナイトレイト(diallyldimethylammonium nitrate)のコポリマー(ビニルピロリドン99質量%、ジアリルジメチルアンモニウムナイトレイト1質量%でコポリマー作製、重量平均分子量75,000)を用意した。
常温にて、プロピレングリコール(和光純薬工業社製、特級)8016g中に、塩化リチウム(アルドリッチ社製)含有量が10質量%であるプロピレングリコール溶液4.84g、臭化カリウム(和光純薬工業社製)0.10g、水酸化リチウム(アルドリッチ社製)0.52g、硝酸アルミニウム九水和物(キシダ化成社製)含有量が20質量%であるプロピレングリコール溶液5.40g、ビニルピロリドンとジアリルジメチルアンモニウムナイトレイトのコポリマー83.87gを添加して溶解させ、溶液Aとした。
プロピレングリコール89.74gのアルコール溶媒中に、純水13.73g、硝酸銀67.96gを添加して、27℃で撹拌して溶解させ、銀含有液(溶液B)を得た。
上記の溶液Aを反応容器に入れ、常温から85℃まで撹拌しながら昇温したのち、溶液Aの中に、溶液Bの全量を1分かけて添加した。溶液Bの添加終了後、さらに撹拌状態を維持して85℃で24時間保持した。その後、反応液を常温まで冷却することによって、銀ナノワイヤを合成した。
(洗浄)
常温まで冷却された上記反応液にアセトンを20倍量添加し15分撹拌した。その後24時間静置した。静置後、濃縮物と上澄みが観察されたため、上澄み部分を除去し、濃縮物を回収した。その濃縮物に1280gの純水を添加し、12時間撹拌後に、アセトンを、濃縮物および1280gの純水の合計質量に対し20倍量添加し、10分撹拌後に24時間静置を行った。静置後、濃縮物と上澄みが観察されたため、上澄み部分を除去し、濃縮物を回収した。上記純水分散、アセトン添加、静置、上澄み除去の操作を10回実施し、濃縮物を得た。この濃縮物を「洗浄後の濃縮物」と呼ぶ。
(前処理)
クロスフローろ過を行うための前処理として、重量平均分子量55,000のPVP(ポリビニルピロリドン)を純水中に溶解させた水溶液を用いて、再分散処理を施した。すなわち、上記PVP濃度が0.5質量%である水溶液を用意し、この水溶液約8kgと上記洗浄後の濃縮物200gを混合し、金属銀濃度(銀ナノワイヤと不純物の銀ナノ粒子を含む液中銀濃度)が0.53質量%となる銀ナノワイヤ分散液を調製した。調整された銀ナノワイヤ分散液のPVP濃度は0.49質量%である。
得られた銀ナノワイヤ分散液を、銀濃度が0.08質量%となるように純水で希釈して、約52kgの銀ナノワイヤ分散液を得た。この分散液を「クロスフロー元液」と呼ぶ。
(クロスフローろ過)
上記の前処理を受けたクロスフロー元液を、図5に示す管路構成を有する装置のタンクに収容したのち、連続的に管路を循環させる方法でクロスフローろ過に供した。ただし、本例では図5の多孔質セラミックフィルタと表示される箇所に9本の管状フィルタを並列に配置し、それぞれの管状フィルタに液を分岐させて処理した。クロスフローろ過フィルタとして使用した管状フィルタは、多孔質セラミックで管壁が形成されており、寸法は長さ500mm、外径12mm、内径9mmである。セラミックの材質はSiC(炭化ケイ素)であり、Micromeritics社製、水銀ポロシメーターを用いて測定した水銀圧入法による平均細孔直径は3.5μmであった。
循環させる液状媒体の初期PVP濃度(クロスフロー元液を構成する水溶媒中におけるPVPの質量割合)は770ppmである。タンクに新たな液状媒体を間欠的に補給しながら循環を行った。この管状フィルタ1本あたりに導入される液の流量を13L/minとして循環させた。管状フィルタに導入される液の流速は3495mm/sであった。また、管状フィルタの入り側の管路における圧力(図5の上流側圧力計4で計測される圧力)は0.025MPaであった。補給する液状媒体は重量平均分子量55,000のPVP(ポリビニルピロリドン)水溶液であり、そのPVP濃度(水溶媒中におけるPVPの質量割合)は50ppmとした。タンクは、ジャケット付タンクであり、ジャケットに冷却水を流すことにより、循環中の液温の上昇を抑制した。また、補給する純水は冷却して10〜15℃の温度の冷却純水を使用した。その結果、循環中の液温は20〜30℃の範囲であった。このようにして5時間のクロスフローろ過を行った。循環中に補給した液状媒体の総量は約214Lであった。管状フィルタ1本当たりの平均ろ液量は79mL/minであった。
(クロスフロー濃縮)
5時間のクロスフローろ過に引き続き、液状媒体の補給を止めた状態でクロスフローろ過による循環を行い、ろ液の排出により液量が減少していくことを利用して銀ナノワイヤ分散液の濃縮を行い、銀ナノワイヤが水溶媒中に分散している水系銀ナノワイヤ分散液を得た。この分散液中の金属銀濃度をICP発光分光分析法(装置:アジレント・テクノロジー株式会社製 ICP発光分光分析装置720−ES)によって測定したところ、銀ナノワイヤの濃度は金属銀換算で0.36質量%であった。この液を「分散液A」と呼ぶ。
(銀ナノワイヤの寸法形状)
平均長さLを以下のようにして測定した。分散液Aを2−プロパノールで銀濃度が0.002%となるように希釈し、Si製の基板上に6μL乗せた後、160℃で1分間乾燥させることにより、SEM観察用サンプルを得た。得られたサンプルを走査電子顕微鏡(日本電子株式会社製;JSM−IT100 InTouchScope)により、加速電圧5kV、倍率1,000倍で観察を行った。無作為に選んだ3以上の視野について、視野内で全長が確認できるすべてのワイヤを測定対象として、ソフトウェア(ドクターカンバス)を用いて、上述の定義に従い100本の異なるワイヤの長さを測定することによって平均長さLを求めた。
平均直径Dを以下のようにして測定した。分散液AをTEM用の観察台にとり、透過型電子顕微鏡(日本電子株式会社製;JEM-1011)により、加速電圧100kV、倍率40,000倍で明視野像の観察を行って観察画像を採取し、正確に直径を測定するために採取された元画像を2倍のサイズに拡大した上で、ソフトウェア(Motic Image Plus2.1S)を用いて、上述の定義に従い100本の異なるワイヤの直径を測定することによって平均直径Dを求めた。
測定の結果、平均長さLは16μm、平均直径Dは23.3nmであった。
本例では、上記分散液Aに含有される銀ナノワイヤを供試材として、以下の実験に供した。
(TG曲線の測定)
分散液Aから分取した7gの液を遠心分離機(ベックマンコールター社製:Allegra X30)によって固液分離して、銀ナノワイヤのケーキ層を回収し、これを80℃で12時間乾燥させて乾燥試料を得た。この乾燥試料10.38mgについて、熱重量示差熱分析装置(リガク社製:Thermo plus TG8120)によりTG曲線を測定した。そのTG曲線を図6中および図7中に示してある。本例のTG曲線においては、200〜430℃の温度域において重量減少が観測される。ビニルピロリドンとジアリルジメチルアンモニウムナイトレイトのコポリマーや、PVPは、この温度域で大幅な重量減少を生じることがわかっている。したがって、本例の供試材である銀ナノワイヤは、銀ナノワイヤ合成時に有機保護剤として添加されたビニルピロリドンとジアリルジメチルアンモニウムナイトレイトのコポリマーや、その後の工程で使用されたPVPを主体とする保護層を有していると判断される。
図6に示した比較例1のデータによると、昇温開始温度40℃から200℃までの重量変化は0.12mg、200℃から700℃までの重量変化は0.59mgである。初期の試料質量は10.38mgであるから、40℃から200℃までの重量変化に相当する質量割合Ws(質量%)、および200℃から700℃までの重量変化に相当する質量割合Wp(質量%)は、それぞれ以下のように求まる。
Ws(質量%)=100×(0.12/10.38)=1.16
Wp(質量%)=100×(0.59/10.38)=5.68
これらを前述(2)式に代入すると、ポリマーの付着量Pは以下のように求まる。
付着量P(質量%)=100×[Wp/(100−Ws)]
=100×[5.68/(100−1.16)]
≒5.7
すなわち、この保護層を構成するポリマーの付着量は、前述(2)式に基づく銀とポリマーの総量に対する質量割合で5.7質量%であった。
(増粘剤水溶液の調製)
重量平均分子量が910,000のHEMC(ヒドロキシエチルメチルセルロース;巴工業社製)を用意した。撹拌機で強撹拌してある99℃の熱湯中にHEMCの粉体を投入し、その後、強撹拌を24時間継続し、10℃まで冷却した。冷却後の液を100μm目開きの金属メッシュでろ過することによりゼリー状の不溶成分を除去し、HEMCが溶解している水溶液を得た。この水溶液を「増粘剤水溶液」と呼ぶ。増粘剤水溶液中の増粘剤濃度を以下の手順で確認した。増粘剤水溶液約100gを計量し、120℃の乾燥機内で3時間加熱し、乾燥後残分の重量を計量することで増粘剤濃度を測定した。測定の結果、増粘剤水溶液の濃度は0.98質量%であった。
(塗工液の調製)
分散液A5.000g、純水3.082gを手動にて30回上下に振り混合した。その後、上記の増粘剤水溶液0.918gを加え、手動にて100回上下に振り混合した。その後、2−プロパノールを1.000g加え、同様に30回上下に振って混合し、銀ナノワイヤを含有する塗工液を得た。
この塗工液中の金属銀濃度をICP発光分光分析法(装置:アジレント・テクノロジー株式会社製 ICP発光分光分析装置720−ES)によって測定したところ、銀ナノワイヤの濃度は金属銀換算で0.18質量%であった。
(分散安定性の評価)
上記の塗工液である銀ナノワイヤ分散液を10g分取し、遠心分離機(ベックマンコールター社製:Allegra X30)を用いて遠心加速度8770G、7000rpm、1minの条件で遠心分離を行った。遠心分離後の銀ナノワイヤ分散液を目視で観察し、固体成分の沈降の有無を以下の基準で評価した。
×評価:目視にて沈殿管の上部と下部の色の濃さが異なることを判別できる場合。
○評価:目視にて沈殿管の上部と下部の色の濃さが異なることを判別できない場合。
この試験において○評価であれば、銀ナノワイヤ分散液を基材に塗工する工程において、塗膜中の銀ナノワイヤ濃度が塗工時期の相違の影響でばらついてしまうという問題が十分に回避され、極めて優れた分散安定性を呈する塗工液であると判断される。
本例の塗工液の分散安定性は×評価であった。
(透光性導電膜の作製)
厚さ100μm、寸法150mm×200mmのPETフィルム基材(東洋紡社製、コスモシャイン(登録商標)A4100)を用意した。番手No.7、8、9および14のバーコーター(テスター産業社製、SA−203)を用いて、上記の塗工液を上記PETフィルム基材のベア面に塗布し、膜厚の異なる4種類の塗膜を形成した。番手の大きいバーコーターを使用するほど、塗布厚さが大きくなる。基材上に形成された塗膜の面積は80mm×120mmであった。塗布後、120℃で1分間乾燥させ、銀ナノワイヤを含有する透光性導電膜を得た。
(シート抵抗の測定)
上記の銀ナノワイヤを含有する透光性導電膜を形成した基材の中央部から70mm×100mmの矩形試料を採取し、基材上に形成されている透光性導電膜のシート抵抗を、三菱化学アナリテック社製、ロレスタGP MCP―T610、ESPプローブ(ピン間隔:5mm、ピン先:φ2mm、バネ圧:240g/本)にて測定した。その際、測定位置は試料の中央部とし、測定装置に内蔵される補正係数演算ソフトウェアを利用した。測定結果を表1に示す(以下の各例において同じ)。
[比較例2]
比較例1で使用した分散液Aに含有される銀ナノワイヤ(比較例1における供試材)を原料の銀ナノワイヤに用いて、以下の実験を行った。
(ポリエチレンイミン(PEI)との混合)
ポリエチレンイミン(PEI)(富士フイルム和光純薬株式会社製)の濃度が6.67質量%であるPEI水溶液を用意した。上記の分散液A15gに、前記PEI水溶液15gを加え、常温で24時間撹拌した。その後、この液の質量に対して5倍量のアセトンを添加したのち1時間静置することによって銀ナノワイヤを沈殿させた。上澄み溶液を除去し、得られた銀ナノワイヤのケーキにイオン交換水を加え、ゆっくり振とうすることによって銀ナノワイヤ分散液15gを得た。この溶液を「分散液B」と呼ぶ。
本例では、この分散液Bに含有される銀ナノワイヤを供試材として、以下の実験に供した。
(TG曲線の測定)
比較例1と同様の方法で、分散液Bから採取した乾燥試料10.22mgについてTG曲線を測定した。そのTG曲線を図6中に示してある。本例のTG曲線においては、430〜600℃の温度域において大きな重量減少が観測される。ポリエチレンイミン(PEI)は、この温度域で大幅な重量減少を生じることがわかっている。したがって、本例の供試材である銀ナノワイヤは、ポリエチレンイミン(PEI)を多く含む保護層を有していると判断される。
図6に示した比較例2のデータによると、昇温開始温度40℃から200℃までの重量変化は0.23mg、200℃から700℃までの重量変化は0.92mgである。初期の試料質量は10.22mgであるから、40℃から200℃までの重量変化に相当する質量割合Ws(質量%)、および200℃から700℃までの重量変化に相当する質量割合Wp(質量%)は、それぞれ以下のように求まる。
Ws(質量%)=100×(0.23/10.22)=2.25
Wp(質量%)=100×(0.92/10.22)=9.00
これらを前述(2)式に代入すると、ポリマーの付着量Pは以下のように求まる。
付着量P(質量%)=100×[Wp/(100−Ws)]
=100×[9.00/(100−2.25)]
≒9.2
すなわち、この保護層を構成するポリマーの付着量は、前述(2)式に基づく銀とポリマーの総量に対する質量割合で9.2質量%であった。
(塗工液の調製)
分散液B5.000g、純水3.082gを手動にて30回上下に振り混合した。その後、上記の増粘剤水溶液0.918gを加え、手動にて100回上下に振り混合した。その後、2−プロパノールを1.000g加え、同様に30回上下に振って混合し、銀ナノワイヤを含有する塗工液を得た。
この塗工液中の金属銀濃度をICP発光分光分析法(装置:アジレント・テクノロジー株式会社製 ICP発光分光分析装置720−ES)によって測定したところ、銀ナノワイヤの濃度は金属銀換算で0.18質量%であった。
塗工液として上記のものを用いたこと、および透光性導電膜の作製において番手No.7、8、9、10、12および14のバーコーターを用いて膜厚の異なる6種類の塗膜を形成したことを除き、比較例1と同様の方法で実験を行った。
本例の塗工液の分散安定性は○評価であった。しかし、表1から判るように、得られた透光性導電膜のシート抵抗が高かった。
[実施例1]
比較例1で使用した分散液Aに含有される銀ナノワイヤ(比較例1における供試材)を原料の銀ナノワイヤに用いて、以下の実験を行った。
(変性ポリエチレンイミン(PEI−mPEG)の調製)
エタノール8.5g中に、重量平均分子量10,000のポリエチレンイミン(PEI)富士フイルム和光純薬株式会社製)1.5gと、重量平均分子量480のポリエチレングリコールモノメチルエーテルアクリラート(mPEGA)(メルク社製)3.349gを加え、常温にて24時間撹拌した。その後、ロータリーエバポレータを用いて溶媒を除去した後、30℃、24時間の真空乾燥処理を施すことによって、ポリエチレングリコール鎖を付加した変性ポリエチレンイミン(PEI−mPEG)を得た。
得られた変性ポリエチレンイミン(PEI−mPEG)についてH−NMRにより構造評価を行ったところ、で実施したところ、ポリエチレングリコールモノメチルエーテルアクリラート(mPEGA)に由来するアクロイル基のピークは観測されなかった。このことから、PEI−mPEGの調製に使用したmPEGAの全量がPEI−mPEGの形成に消費されたと判断された。
この変性ポリエチレンイミン(PEI−mPEG)について前述(1)式のPEG付加率(モル%)を求めると以下のようになる。
PEG付加率=100×(3.349/480)/(1.5/43.1)≒20(モル%)
(変性ポリエチレンイミン(PEI−mPEG)との混合)
上記の変性ポリエチレンイミン(PEI−mPEG)の濃度が6.67質量%であるPEI−mPEG水溶液を用意した。上記の分散液A15gに、前記PEI−mPEG水溶液15gを加え、常温で24時間撹拌した。その後、この液の質量に対して5倍量のアセトンを添加したのち1時間静置することによって銀ナノワイヤを沈殿させた。上澄み溶液を除去し、得られた銀ナノワイヤのケーキにイオン交換水を加え、ゆっくり振とうすることによって銀ナノワイヤ分散液15gを得た。この溶液を「分散液C」と呼ぶ。
本例では、この分散液Cに含有される銀ナノワイヤを供試材として、以下の実験に供した。
(TG曲線の測定)
比較例1と同様の方法で、分散液Cから採取した乾燥試料9.29mgについてTG曲線を測定した。そのTG曲線を図6中に示してある。本例のTG曲線においては、430〜600℃の温度域において大きな重量減少が観測される。上記の変性ポリエチレンイミン(PEI−mPEG)は、この温度域で大幅な重量減少を生じることがわかっている。したがって、本例の供試材である銀ナノワイヤは、変性ポリエチレンイミン(PEI−mPEG)を多く含む保護層を有していると判断される。
図6に示した実施例1のデータによると、昇温開始温度40℃から200℃までの重量変化は0.08mg、200℃から700℃までの重量変化は0.70mgである。初期の試料質量は9.29mgであるから、40℃から200℃までの重量変化に相当する質量割合Ws(質量%)、および200℃から700℃までの重量変化に相当する質量割合Wp(質量%)は、それぞれ以下のように求まる。
Ws(質量%)=100×(0.08/9.29)=0.86
Wp(質量%)=100×(0.70/9.29)=7.53
これらを前述(2)式に代入すると、ポリマーの付着量Pは以下のように求まる。
付着量P(質量%)=100×[Wp/(100−Ws)]
=100×[7.53/(100−0.86)]
≒7.6
すなわち、この保護層を構成するポリマーの付着量は、前述(2)式に基づく銀とポリマーの総量に対する質量割合で7.6質量%であった。
塗工液の調製において分散液Bに代えて分散液Cを使用したことを除き、比較例2と同様の方法で実験を行った。
本例で使用した塗工液中の銀ナノワイヤの濃度は金属銀換算で0.18質量%であった。
本例の塗工液の分散安定性は○評価であった。また、表1から判るように、得られた透光性導電膜のシート抵抗は、比較例2に比べ大幅に低かった。
[実施例2]
「変性ポリエチレンイミン(PEI−mPEG)の調製」、および「変性ポリエチレンイミン(PEI−mPEG)との混合」の工程を以下のようにして行ったことを除き、実施例1と同様の方法で実験を行った。
(変性ポリエチレンイミン(PEI−mPEG)の調製)
エタノール8.5g中に、重量平均分子量10,000のポリエチレンイミン(PEI)富士フイルム和光純薬株式会社製)1.5gと、重量平均分子量480のポリエチレングリコールモノメチルエーテルアクリラート(mPEGA)(メルク社製)6.698gを加え、常温にて24時間撹拌した。その後、ロータリーエバポレータを用いて溶媒を除去した後、30℃、24時間の真空乾燥処理を施すことによって、ポリエチレングリコール鎖を付加した変性ポリエチレンイミン(PEI−mPEG)を得た。
得られた変性ポリエチレンイミン(PEI−mPEG)についてH−NMRにより構造評価を行ったところ、ポリエチレングリコールモノメチルエーテルアクリラート(mPEGA)に由来するアクロイル基のピークは観測されなかった。このことから、PEI−mPEGの調製に使用したmPEGAの全量がPEI−mPEGの形成に消費されたと判断された。
この変性ポリエチレンイミン(PEI−mPEG)について前述(1)式のPEG付加率(モル%)を求めると以下のようになる。
PEG付加率=100×(6.698/480)/(1.5/43.1)≒40(モル%)
(変性ポリエチレンイミン(PEI−mPEG)との混合)
上記の変性ポリエチレンイミン(PEI−mPEG)の濃度が6.67質量%であるPEI−mPEG水溶液を用意した。上記の分散液A15gに、前記PEI−mPEG水溶液15gを加え、常温で24時間撹拌した。その後、この液の質量に対して5倍量のアセトンを添加したのち1時間静置することによって銀ナノワイヤを沈殿させた。上澄み溶液を除去し、得られた銀ナノワイヤのケーキにイオン交換水を加え、ゆっくり振とうすることによって銀ナノワイヤ分散液15gを得た。この溶液を「分散液D」と呼ぶ。本例では、この分散液Dに含有される銀ナノワイヤを供試材として、上記と同様の実験を行った。
(TG曲線の測定)
比較例1と同様の方法で、分散液Dから採取した乾燥試料10.27mgについてTG曲線を測定した。そのTG曲線を図6中に示してある。
図6に示した実施例2のデータによると、昇温開始温度40℃から200℃までの重量変化は0.10mg、200℃から700℃までの重量変化は0.59mgである。初期の試料質量は10.27mgであるから、40℃から200℃までの重量変化に相当する質量割合Ws(質量%)、および200℃から700℃までの重量変化に相当する質量割合Wp(質量%)は、それぞれ以下のように求まる。
Ws(質量%)=100×(0.10/10.27)=0.97
Wp(質量%)=100×(0.59/10.27)=5.74
これらを前述(2)式に代入すると、ポリマーの付着量Pは以下のように求まる。
付着量P(質量%)=100×[Wp/(100−Ws)]
=100×[5.74/(100−0.97)]
≒5.8
すなわち、この保護層を構成するポリマーの付着量は、前述(2)式に基づく銀とポリマーの総量に対する質量割合で5.8質量%であった。
本例で使用した塗工液中の銀ナノワイヤの濃度は金属銀換算で0.18質量%であった。
本例の塗工液の分散安定性は○評価であった。また、表1から判るように、得られた透光性導電膜のシート抵抗は、比較例2に比べ大幅に低かった。
[実施例3]
「変性ポリエチレンイミン(PEI−mPEG)の調製」、および「変性ポリエチレンイミン(PEI−mPEG)との混合」の工程を以下のようにして行ったことを除き、実施例1と同様の方法で実験を行った。
(変性ポリエチレンイミン(PEI−mPEG)の調製)
エタノール8.5g中に、重量平均分子量10,000のポリエチレンイミン(PEI)富士フイルム和光純薬株式会社製)1.5gと、重量平均分子量480のポリエチレングリコールモノメチルエーテルアクリラート(mPEGA)(メルク社製)1.674gを加え、常温にて24時間撹拌した。その後、30℃、24時間の真空乾燥処理を施すことによって、ポリエチレングリコール鎖を付加した変性ポリエチレンイミン(PEI−mPEG)を得た。
得られた変性ポリエチレンイミン(PEI−mPEG)についてH−NMRにより構造評価を行ったところ、ポリエチレングリコールモノメチルエーテルアクリラート(mPEGA)に由来するアクロイル基のピークは観測されなかった。このことから、PEI−mPEGの調製に使用したmPEGAの全量がPEI−mPEGの形成に消費されたと判断された。
この変性ポリエチレンイミン(PEI−mPEG)について前述(1)式のPEG付加率(モル%)を求めると以下のようになる。
PEG付加率=100×(1.674/480)/(1.5/43.1)≒10(モル%)
(変性ポリエチレンイミン(PEI−mPEG)との混合)
上記の変性ポリエチレンイミン(PEI−mPEG)の濃度が6.67質量%であるPEI−mPEG水溶液を用意した。上記の分散液A15gに、前記PEI−mPEG水溶液15gを加え、常温で24時間撹拌した。その後、この液の質量に対して5倍量のアセトンを添加したのち1時間静置することによって銀ナノワイヤを沈殿させた。上澄み溶液を除去し、得られた銀ナノワイヤのケーキにイオン交換水を加え、ゆっくり振とうすることによって銀ナノワイヤ分散液15gを得た。この溶液を「分散液E」と呼ぶ。本例では、この分散液Eに含有される銀ナノワイヤを供試材として、上記と同様の実験を行った。
(TG曲線の測定)
比較例1と同様の方法で、分散液Eから採取した乾燥試料8.96mgについてTG曲線を測定した。そのTG曲線を図7中に示してある。
図7に示した実施例3のデータによると、昇温開始温度40℃から200℃までの重量変化は0.17mg、200℃から700℃までの重量変化は0.69mgである。初期の試料質量は8.96mgであるから、40℃から200℃までの重量変化に相当する質量割合Ws(質量%)、および200℃から700℃までの重量変化に相当する質量割合Wp(質量%)は、それぞれ以下のように求まる。
Ws(質量%)=100×(0.17/8.96)=1.90
Wp(質量%)=100×(0.69/8.96)=7.70
これらを前述(2)式に代入すると、ポリマーの付着量Pは以下のように求まる。
付着量P(質量%)=100×[Wp/(100−Ws)]
=100×[7.70/(100−1.90)]
≒7.8
すなわち、この保護層を構成するポリマーの付着量は、前述(2)式に基づく銀とポリマーの総量に対する質量割合で7.8質量%であった。
本例で使用した塗工液中の銀ナノワイヤの濃度は金属銀換算で0.18質量%であった。
本例の塗工液の分散安定性は○評価であった。また、表1から判るように、得られた透光性導電膜のシート抵抗は、比較例2に比べ大幅に低かった。
[実施例4]
「変性ポリエチレンイミン(PEI−mPEG)の調製」、および「変性ポリエチレンイミン(PEI−mPEG)との混合」の工程を以下のようにして行ったことを除き、実施例1と同様の方法で実験を行った。
(変性ポリエチレンイミン(PEI−mPEG)の調製)
エタノール8.5g中に、重量平均分子量1,800のポリエチレンイミン(PEI)富士フイルム和光純薬株式会社製)1.5gと、重量平均分子量480のポリエチレングリコールモノメチルエーテルアクリラート(mPEGA)(メルク社製)3.349gを加え、常温にて24時間撹拌した。その後、ロータリーエバポレータを用いて溶媒を除去した後、30℃、24時間の真空乾燥処理を施すことによって、ポリエチレングリコール鎖を付加した変性ポリエチレンイミン(PEI−mPEG)を得た。
得られた変性ポリエチレンイミン(PEI−mPEG)についてH−NMRにより構造評価を行ったところ、ポリエチレングリコールモノメチルエーテルアクリラート(mPEGA)に由来するアクロイル基のピークは観測されなかった。このことから、PEI−mPEGの調製に使用したmPEGAの全量がPEI−mPEGの形成に消費されたと判断された。
この変性ポリエチレンイミン(PEI−mPEG)について前述(1)式のPEG付加率(モル%)を求めると以下のようになる。
PEG付加率=100×(3.349/480)/(1.5/43.1)≒20(モル%)
(変性ポリエチレンイミン(PEI−mPEG)との混合)
上記の変性ポリエチレンイミン(PEI−mPEG)の濃度が6.67質量%であるPEI−mPEG水溶液を用意した。上記の分散液A15gに、前記PEI−mPEG水溶液15gを加え、常温で24時間撹拌した。その後、この液の質量に対して5倍量のアセトンを添加したのち1時間静置することによって銀ナノワイヤを沈殿させた。上澄み溶液を除去し、得られた銀ナノワイヤのケーキにイオン交換水を加え、ゆっくり振とうすることによって銀ナノワイヤ分散液15gを得た。この溶液を「分散液F」と呼ぶ。本例では、この分散液Fに含有される銀ナノワイヤを供試材として、上記と同様の実験を行った。
(TG曲線の測定)
比較例1と同様の方法で、分散液Fから採取した乾燥試料10.05mgについてTG曲線を測定した。そのTG曲線を図7中に示してある。
図7に示した実施例4のデータによると、昇温開始温度40℃から200℃までの重量変化は0.19mg、200℃から700℃までの重量変化は0.81mgである。初期の試料質量は10.05mgであるから、40℃から200℃までの重量変化に相当する質量割合Ws(質量%)、および200℃から700℃までの重量変化に相当する質量割合Wp(質量%)は、それぞれ以下のように求まる。
Ws(質量%)=100×(0.19/10.05)=1.89
Wp(質量%)=100×(0.81/10.05)=8.06
これらを前述(2)式に代入すると、ポリマーの付着量Pは以下のように求まる。
付着量P(質量%)=100×[Wp/(100−Ws)]
=100×[8.06/(100−1.89)]
≒8.2
すなわち、この保護層を構成するポリマーの付着量は、前述(2)式に基づく銀とポリマーの総量に対する質量割合で8.2質量%であった。
本例で使用した塗工液中の銀ナノワイヤの濃度は金属銀換算で0.18質量%であった。
本例の塗工液の分散安定性は○評価であった。また、表1から判るように、得られた透光性導電膜のシート抵抗は、比較例2に比べ大幅に低かった。
[実施例5]
「変性ポリエチレンイミン(PEI−mPEG)の調製」、および「変性ポリエチレンイミン(PEI−mPEG)との混合」の工程を以下のようにして行ったことを除き、実施例1と同様の方法で実験を行った。
(変性ポリエチレンイミン(PEI−mPEG)の調製)
エタノール8.5g中に、重量平均分子量1,800のポリエチレンイミン(PEI)富士フイルム和光純薬株式会社製)1.5gと、重量平均分子量480のポリエチレングリコールモノメチルエーテルアクリラート(mPEGA)(メルク社製)6.698gを加え、常温にて24時間撹拌した。その後、ロータリーエバポレータを用いて溶媒を除去した後、30℃、24時間の真空乾燥処理を施すことによって、ポリエチレングリコール鎖を付加した変性ポリエチレンイミン(PEI−mPEG)を得た。
得られた変性ポリエチレンイミン(PEI−mPEG)についてH−NMRにより構造評価を行ったところ、ポリエチレングリコールモノメチルエーテルアクリラート(mPEGA)に由来するアクロイル基のピークは観測されなかった。このことから、PEI−mPEGの調製に使用したmPEGAの全量がPEI−mPEGの形成に消費されたと判断された。
この変性ポリエチレンイミン(PEI−mPEG)について前述(1)式のPEG付加率(モル%)を求めると以下のようになる。
PEG付加率=100×(6.698/480)/(1.5/43.1)≒40(モル%)
(変性ポリエチレンイミン(PEI−mPEG)との混合)
上記の変性ポリエチレンイミン(PEI−mPEG)の濃度が6.67質量%であるPEI−mPEG水溶液を用意した。上記の分散液A15gに、前記PEI−mPEG水溶液15gを加え、常温で24時間撹拌した。その後、この液の質量に対して5倍量のアセトンを添加したのち1時間静置することによって銀ナノワイヤを沈殿させた。上澄み溶液を除去し、得られた銀ナノワイヤのケーキにイオン交換水を加え、ゆっくり振とうすることによって銀ナノワイヤ分散液15gを得た。この溶液を「分散液G」と呼ぶ。本例では、この分散液Gに含有される銀ナノワイヤを供試材として、上記と同様の実験を行った。
(TG曲線の測定)
比較例1と同様の方法で、分散液Gから採取した乾燥試料10.36mgについてTG曲線を測定した。そのTG曲線を図7中に示してある。
図7に示した実施例5のデータによると、昇温開始温度40℃から200℃までの重量変化は0.08mg、200℃から700℃までの重量変化は0.58mgである。初期の試料質量は10.36mgであるから、40℃から200℃までの重量変化に相当する質量割合Ws(質量%)、および200℃から700℃までの重量変化に相当する質量割合Wp(質量%)は、それぞれ以下のように求まる。
Ws(質量%)=100×(0.08/10.36)=0.77
Wp(質量%)=100×(0.58/10.36)=5.60
これらを前述(2)式に代入すると、ポリマーの付着量Pは以下のように求まる。
付着量P(質量%)=100×[Wp/(100−Ws)]
=100×[5.60/(100−0.77)]
≒5.6
すなわち、この保護層を構成するポリマーの付着量は、前述(2)式に基づく銀とポリマーの総量に対する質量割合で5.6質量%であった。
本例で使用した塗工液中の銀ナノワイヤの濃度は金属銀換算で0.18質量%であった。
本例の塗工液の分散安定性は○評価であった。また、表1から判るように、得られた透光性導電膜のシート抵抗は、比較例2に比べ大幅に低かった。
Figure 2021063294
1 タンク
2 ポンプ
3 クロスフローろ過フィルタ
4 上流側圧力計
5 下流側圧力計
6 クロスフローろ過前の銀ナノワイヤ分散液
7 補給する液状媒体
10 循環流路
30 ろ液

Claims (6)

  1. 銀ナノワイヤと、その表面に付着している保護層からなり、
    前記保護層は、ポリエチレンイミン(PEI)にポリエチレングリコール鎖を持つ化合物が付加した構造の変性ポリエチレンイミン(PEI−mPEG)を含むものである、保護層付着銀ナノワイヤ。
  2. 前記のポリエチレングリコール鎖を持つ化合物が、ポリエチレングリコールモノメチルエーテルアクリラート(mPEGA)である、請求項1に記載の保護層付着銀ナノワイヤ。
  3. 請求項1または2に記載の保護層付着銀ナノワイヤが水系の液状媒体中に分散している銀ナノワイヤ分散液。
  4. 請求項1または2に記載の保護層付着銀ナノワイヤを有する透光性導電膜。
  5. ビニルピロリドン構造単位を持つポリマーが表面に付着している平均長さ5μm以上の銀ナノワイヤと、ポリエチレンイミン(PEI)にポリエチレングリコール鎖を持つ化合物が付加した構造の変性ポリエチレンイミン(PEI−mPEG)とを、前記変性ポリエチレンイミンが溶解する性質を有する液状媒体中で混合することにより、前記変性ポリエチレンイミンを含む保護層が表面に付着している銀ナノワイヤを得る工程、
    を有する、保護層付着銀ナノワイヤの製造方法。
  6. 前記のポリエチレングリコール鎖を持つ化合物が、ポリエチレングリコールモノメチルエーテルアクリラート(mPEGA)である、請求項5に記載の保護層付着銀ナノワイヤの製造方法。
JP2020170615A 2019-10-11 2020-10-08 保護層付着銀ナノワイヤ、その分散液、前記銀ナノワイヤの製造方法および透光性導電膜 Pending JP2021063294A (ja)

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