WO2019239975A1 - アルコール系銀ナノワイヤ分散液およびその製造方法 - Google Patents

アルコール系銀ナノワイヤ分散液およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】アルコール系銀ナノワイヤ分散液において、透明導電膜を形成したときの点状異物の低減効果が高く、かつ優れた導電性を付与する効果の高いものを提供する。 【解決手段】表面に有機保護剤が付着しており、長さ5.0μm以下のワイヤの個数割合が18%以下であり、平均直径が50nm以下である銀ナノワイヤが、炭素数1~4のアルコールを主成分とする液状媒体中に分散している銀ナノワイヤ分散液であって、前記有機保護剤がビニルピロリドンと他のモノマーとのコポリマーを主成分とするものであり、前記有機保護剤の付着量が銀に対する質量割合で7.5~12.5%である、アルコール系銀ナノワイヤ分散液。

Description

アルコール系銀ナノワイヤ分散液およびその製造方法
 本発明は、アルコール系の液状媒体に銀ナノワイヤが分散した銀ナノワイヤ分散液、およびその製造方法に関する。
 本明細書では、太さが200nm程度以下の微細な金属ワイヤを「ナノワイヤ(nanowire(s)」と呼ぶ。なかでも銀ナノワイヤは、透明基材に導電性を付与するための導電材料として有望視されている。液状媒体中に銀ナノワイヤが分散している「銀ナノワイヤ分散液」を塗工液に用いて、ガラス、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PC(ポリカーボネート)などの透明基材上に塗膜を形成したのち、液状成分を除去させると、銀ナノワイヤは当該基材上で互いに接触し合うことにより導電ネットワークを形成し、透明導電膜が得られる。その際、できるだけ細くて長い銀ナノワイヤを使用することが、導電性に優れ、かつヘイズの少ない(すなわち視認性に優れる)透明導電膜を得る上で有利となる。
 工業的に銀ナノワイヤを合成するために適した方法として、有機保護剤が溶解しているアルコール溶媒中で、そのアルコールの還元力を利用して銀をワイヤ状に還元析出させる「アルコール溶媒還元法」が知られている。その有機保護剤としてはPVP(ポリビニルピロリドン)が一般的によく使用される。PVPは細くて長い銀ナノワイヤを得る上で有用な有機保護剤であり、また、得られた銀ナノワイヤは、金属銀の表面が有機保護剤であるPVPに覆われていることから水系の液状媒体に対して良好な分散性を呈する。このようなことから、従来、銀ナノワイヤを用いた塗工液には、水系の液状媒体を用いた「水系銀ナノワイヤ分散液」を適用することが比較的多かった。
 一方、銀ナノワイヤを用いた塗工液に有機系の液状媒体を適用したいというニーズも高まっている。有機系の液状媒体は水と比べ揮発性に優れ、塗膜形成後の乾燥工程を短縮化できるメリットがある。そのような塗工液を作製するために適した銀ナノワイヤ分散液として、アルコール系の液状媒体を用いた「アルコール系銀ナノワイヤ分散液」が有用である。アルコール系銀ナノワイヤ分散液は、種々の有機溶媒を使用した塗工液を作るための原料液として利用することができる他、用途によっては、そのまま塗工液として使用することも可能であると考えられる。
 特許文献1の段落0094には、市販の銀ナノワイヤをイソプロピルアルコールに分散させて銀ナノワイヤ分散液を製造したことが記載されている。特許文献2の段落0087には、市販の銀ナノワイヤIPA(イソプロピルアルコール)分散液を使用したことが記載されている。特許文献3の実施例には有機保護剤にPVP用いた銀ナノワイヤを所定量のイソプロパノールに再分散させたことが記載されている。
 特許文献4には、有機保護剤としてエチルアクリレートとビニルピロリドンとのコポリマーを用いた銀ナノワイヤと、PVPを用いた銀ナノワイヤについて、それぞれIPA(イソプロピルアルコール)に分散させ、3日間静置した実験例が示されている。それによると、上記コポリマーを用いた銀ナノワイヤは3日後にも沈降が見られず、アルコール系溶媒中で優れた分散安定性を呈するが、PVPを用いた銀ナノワイヤの場合、アルコールに対する分散安定性は大きく劣ることが教示されている(段落0066、0106、図15)。
特開2017-163085号公報 特開2016-60754号公報 米国特許第7922787号明細書 特開2017-78207号公報
 特許文献1~4に見られるように、アルコール系の液状媒体を用いて銀ナノワイヤ分散液を作製した例は知られている。しかし、特許文献4の教示にもあるように、有機保護剤としてPVPが付着している従来一般的な銀ナノワイヤはアルコールに対する分散安定性が悪い。そのため、均一な分散状態をできるだけ長時間維持させるためには、分散剤として機能する界面活性剤を添加するなど、液状媒体の配合組成に工夫を加えることが望まれる。また、ワイヤ同士の凝集が生じやすいと沈降が速まるので、銀ナノワイヤ表面の有機保護剤の付着量も多いことが望まれる。
 昨今では、銀ナノワイヤを用いた透明導電膜に対する性能向上の要求が、従来にも増して高まりつつある。特に、タッチパネルを肉眼で見たときに認識できる点状異物の存在が極めて少ないこと、すなわち「外観」に優れる透明導電膜であることに加え、導電性の更なる向上が強く求められるようになってきた。特に、アルコール系銀ナノワイヤ分散液において、点状異物の低減と、導電性の更なる向上との両立を図ることは、容易でない。点状異物の数を減らすためには、上記のように分散剤として機能する界面活性剤を液中に添加したり、有機保護剤の付着量を多くしたりする凝集防止対策が有効となるが、そのような対策は往々にして、ワイヤ同士の交叉箇所での接触抵抗を増大させる要因となってしまう。特許文献4に示されるようなコポリマーを有機保護剤に用いることで、アルコール系銀ナノワイヤ分散液の分散安定性を改善することは可能であっても、それだけでは点状異物の低減と高い導電性を付与するという更なる改善を両立させるための対策にはならない。
 本発明は、アルコール系銀ナノワイヤ分散液において、透明導電膜を形成したときの点状異物の低減効果が高く、かつ優れた導電性を付与する効果の高いものを提供することを目的とする。
 発明者らの研究によれば、銀ナノワイヤの表面に付着している有機保護剤の付着量を減じることによって、同様の寸法形状のワイヤであっても、透明導電膜の導電性を向上させることができる。ただし、有機保護剤の付着量が少なくなるとアルコール系の液状媒体中でワイヤ同士が凝集しやすくなり、粗大な異物粒子の多い銀ナノワイヤ分散液となってしまう。
 種々検討の結果、上記目的を達成するためには、(i)アルコールに対して良好な分散性を呈する有機保護剤に被覆された銀ナノワイヤを使用すること、(ii)その有機保護剤の付着量が所定範囲に調整されていること、が重要である。また、そのような銀ナノワイヤを得るためには、(iii)予め、有機保護剤の付着量を所定範囲に減じた所定寸法形状の銀ナノワイヤが水系の液状媒体に分散している「水系銀ナノワイヤ分散液」を用意しておくこと、(iv)水系の液状媒体をアルコール系の液状媒体に置き換える過程で、有機保護剤として機能するポリマーを液中に加えること、が極めて有効であることがわかった。本発明はこのような知見に基づいて完成したものである。
 すなわち本明細書では、上記目的を達成するために、以下の発明を開示する。
 [1]表面に有機保護剤が付着しており、長さ5.0μm以下のワイヤの個数割合が18%以下であり、平均直径が50nm以下である銀ナノワイヤが、炭素数1~4のアルコールを主成分とする液状媒体中に分散している銀ナノワイヤ分散液であって、前記有機保護剤がビニルピロリドンと他のモノマーとのコポリマーを主成分とするものであり、前記有機保護剤の付着量が銀に対する質量割合で7.5~12.5%である、アルコール系銀ナノワイヤ分散液。
 [2]前記液状媒体に占める炭素数1~4のアルコールの含有量が90.0質量%以上である、上記[1]に記載のアルコール系銀ナノワイヤ分散液。
 [3]当該分散液の総質量に占める銀の質量割合が0.1~3.0質量%である、上記[1]または[2]に記載のアルコール系銀ナノワイヤ分散液。
 [4]前記ビニルピロリドンと他のモノマーとのコポリマーは、ビニルピロリドンとジアリルジメチルアンモニウム(Diallyldimethylammonium)塩モノマーとのコポリマーである、上記[1]~[3]のいずれかに記載のアルコール系銀ナノワイヤ分散液。
 [5]前記ビニルピロリドンと他のモノマーとのコポリマーは、ビニルピロリドンとジアリルジメチルアンモニウム(Diallyldimethylammonium)塩モノマーとのコポリマー、およびビニルピロリドンと酢酸ビニルとのコポリマーを構成成分に含むものである、上記[1]~[3]のいずれかに記載のアルコール系銀ナノワイヤ分散液。
 [6]表面にビニルピロリドンと他のモノマーとのコポリマーを主成分とする有機保護剤が付着しており、その有機保護剤の付着量が銀に対する質量割合で1.5~8.0%であり、長さ5.0μm以下のワイヤの個数割合が18%以下であり、平均直径が50nm以下である銀ナノワイヤが、水を主成分とする液状媒体中に分散している水系銀ナノワイヤ分散液を用意し、その水系銀ナノワイヤ分散液に、ビニルピロリドン構造単位を持つポリマーを混合することにより「ポリマー混合銀ナノワイヤ含有液」を得る工程B、
 前記ポリマー混合銀ナノワイヤ含有液に対して、アセトンと混合して銀ナノワイヤを凝集沈降させたのち上澄みを抜き取るという操作を1回以上施すことにより、銀ナノワイヤの凝集物が濃縮した「銀ナノワイヤ凝集物含有液」を得る工程C、
 上記工程Cで得られた銀ナノワイヤ凝集物含有液に対して、更に上澄みを抜き取る操作を施し、銀ナノワイヤの凝集物を固形分として回収する工程D、
 上記工程Dで回収された銀ナノワイヤの凝集物を、炭素数1~4のアルコールを主成分とする液状媒体中に分散させる工程E、
を有する、前記ポリマーを含む有機保護剤の付着量が銀に対する質量割合で7.5~12.5%である銀ナノワイヤが、前記アルコールを主成分とする液状媒体中に分散しているアルコール系銀ナノワイヤ分散液の製造方法。
 [7]表面にビニルピロリドンと他のモノマーとのコポリマーを主成分とする有機保護剤が付着しており、その有機保護剤の付着量が銀に対する質量割合で1.5~8.0%であり、長さ5.0μm以下のワイヤの個数割合が18%以下であり、平均直径が50nm以下である銀ナノワイヤが、水を主成分とする液状媒体中に分散している水系銀ナノワイヤ分散液を用意し、その水系銀ナノワイヤ分散液に対して、アセトンと混合して銀ナノワイヤを凝集沈降させたのち上澄みを抜き取るという操作を1回以上施すことにより、銀ナノワイヤの凝集物が濃縮した「銀ナノワイヤ凝集物含有液」を得る工程A、
 上記工程Aで得られた銀ナノワイヤ凝集物含有液に、ビニルピロリドン構造単位を持つポリマーを混合することにより「ポリマー混合銀ナノワイヤ含有液」を得る工程B、
 前記ポリマー混合銀ナノワイヤ含有液に対して、アセトンと混合して銀ナノワイヤを凝集沈降させたのち上澄みを抜き取るという操作を1回以上施すことにより、銀ナノワイヤの凝集物が濃縮した「銀ナノワイヤ凝集物含有液」を得る工程C、
 上記工程Cで得られた銀ナノワイヤ凝集物含有液に対して、更に上澄みを抜き取る操作を施し、銀ナノワイヤの凝集物を固形分として回収する工程D、
 上記工程Dで回収された銀ナノワイヤの凝集物を、炭素数1~4のアルコールを主成分とする液状媒体中に分散させる工程E、
を有する、前記ポリマーを含む有機保護剤の付着量が銀に対する質量割合で7.5~12.5%である銀ナノワイヤが、前記アルコールを主成分とする液状媒体中に分散しているアルコール系銀ナノワイヤ分散液の製造方法。
 [8]前記工程Eを終えた液に対して、薄膜旋回法による分散処理を施す工程F、
をさらに有する上記[6]または[7]に記載のアルコール系銀ナノワイヤ分散液の製造方法。
 [9]前記工程Bにおいて、前記ポリマーを、水系銀ナノワイヤ分散液中の金属銀に対する質量割合で8~500%混合する、上記[6]~[8]のいずれかに記載のアルコール系銀ナノワイヤ分散液の製造方法。
 本明細書において、銀ナノワイヤの平均長さ、平均直径、平均アスペクト比は、以下の定義に従う。
〔平均長さL
 電界放出形走査電子顕微鏡(FE-SEM)による観察画像上で、ある1本の銀ナノワイヤの一端から他端までのトレース長さを、そのワイヤの長さと定義する。顕微鏡画像上に存在する個々の銀ナノワイヤの長さを平均した値を、平均長さLと定義する。平均長さを算出するためには、測定対象のワイヤの総数を100以上とする。
〔平均直径D
 透過型電子顕微鏡(TEM)による明視野観察画像上で、ある1本の銀ナノワイヤにおける太さ方向両側の輪郭間距離を、そのワイヤの直径と定義する。各ワイヤは全長にわたってほぼ均等な太さを有しているとみなすことができる。したがって、太さの計測は他のワイヤと重なっていない部分を選択して行うことができる。1つの視野を写したTEM画像において、その画像内に観察される銀ナノワイヤのうち、他のワイヤと完全に重なって直径の計測が困難であるワイヤを除く全てのワイヤの直径を測定する、という操作を無作為に選んだ複数の視野について行い、合計100本以上の異なる銀ナノワイヤの直径を求め、個々の銀ナノワイヤの直径の平均値を算出し、その値を平均直径Dと定義する。
〔平均アスペクト比〕
 上記の平均直径Dおよび平均長さLを下記(1)式に代入することにより平均アスペクト比Aを算出する。ただし、(1)式に代入するD、Lはいずれもnmの単位で表された値とする。
 A=L/D …(1)
 本発明によれば、アルコール系の液状媒体を用いた銀ナノワイヤ分散液において、ワイヤの分散性に優れ、かつ透明導電膜を形成したときの点状異物の発生抑制効果と、導電性付与効果に優れるものが実現できた。また、アルコール系の液状媒体に分散させるための銀ナノワイヤを固形分として回収する処理においては、ワイヤの凝集沈降剤として使用するアセトン等の有機溶媒の使用量を大幅に減少させることができる。
ビニルピロリドン構造単位の構造式。 液状媒体を水系からアルコール系に替えるプロセスのフロー図。 クロスフロー循環洗浄に用いる管路構成を模式的に示した図。 実施例1で得られたアルコール系銀ナノワイヤ分散液中に存在する銀ナノワイヤについてのTG曲線。
〔アルコール系の液状媒体〕
 本発明では、銀ナノワイヤの分散媒として、炭素数1~4のアルコールを主成分とする液状媒体を使用する。具体的には、メタノール、エタノール、2-プロパノール(イソプロピルアルコール)、2-メチル-1-プロパノール、1-ブタノールなどの1価アルコールが対象となる。これらの1種または2種以上を液状媒体の主成分として使用すればよい。液状媒体は、銀ナノワイヤ分散液を構成する液体部分であり、溶媒のアルコール中に他の物質が溶解している場合には、その物質も液状媒体の構成成分となる。「炭素数1~4のアルコールを主成分とする」とは、液状媒体を構成する物質のうち、50質量%以上の部分が炭素数1~4のアルコールであることを意味する。炭素数が5以上のアルコールが主成分となると溶媒の疎水性が強くなりすぎ、ビニルピロリドンと他のモノマーからなるコポリマーが付着した銀ナノワイヤの液状媒体中での分散安定性が低減する。本明細書では、炭素数1~4のアルコールを主成分とする液状媒体を「アルコール系の液状媒体」と呼び、炭素数1~4のアルコールを主成分とする液状媒体中に銀ナノワイヤが分散している銀ナノワイヤ分散液を「アルコール系銀ナノワイヤ分散液」と呼んでいる。種々の有機系塗工液を作製するための原料液に使用することを考慮すると、上記アルコール以外の物質の混入量が少ない液状媒体であることが望ましい。その場合、例えば、液状媒体に占める炭素数1~4のアルコールの含有量は90.0質量%以上であることが好ましく、95.0質量%以上であることがより好ましい。液状媒体を構成する他の物質としては、銀ナノワイヤを水系分散液から回収する後述の処理過程で混合されるアセトンが混入していることがある。多量のアセトンを含有すると、用途によっては銀ナノワイヤが凝集し、特性に悪影響を与える問題があるので、液状媒体に占めるアセトン含有量は3.0質量%以下であることが好ましい。
〔銀ナノワイヤの寸法形状〕
 銀ナノワイヤは、導電性と視認性に優れた透明導電膜を形成する観点から、できるだけ細くて長い形状であるものが好ましい。具体的には、平均直径50nm以下、平均アスペクト比は300以上であることが望まれる。平均直径に関しては40nm未満、あるいはさらに30nm未満であることがより好ましい。平均アスペクト比に関しては400以上であることがより好ましい。平均長さは10μm以上であることが好ましい。また、長さが5.0μm以下の銀ナノワイヤが多量に含まれると、透明導電膜において同じシート抵抗で比べた場合のヘイズを増大させる要因となる。本発明では、長さ5.0μm以下の銀ナノワイヤの個数割合が18%以下であるアルコール系銀ナノワイヤ分散液を対象とする。同じシート抵抗で比べた場合のヘイズを低減する観点から、前記個数割合は15%以下であることが好ましく、12%以下であることがより好ましい。長さ5.0μm以下の銀ナノワイヤの個数割合は、上掲の「平均長さL」の定義に記載した測定を行う際に算出することができる。なお、アスペクト比が2未満であるような粒状物は長さ5.0μm以下の銀ナノワイヤの個数割合の算出対象から除外する。水系銀ナノワイヤ分散液を得る過程でクロスフローろ過を行うことにより、長さ5.0μm以下の銀ナノワイヤの個数割合が18%以下である長さ分布に調整することができる。
〔有機保護剤〕
 アルコール溶媒還元法で銀ナノワイヤを合成する際には、有機保護剤の存在下において還元反応を進行させる。溶媒中に存在する有機保護剤は析出した銀の表面をすばやく覆い、金属銀の析出体が粗大成長することを抑止する作用を発揮する。その作用によりナノワイヤとしての析出形状を得ることが可能となる。一方、合成された銀ナノワイヤの表面に付着している有機保護剤は、ワイヤの液中分散性を確保したり、銀の酸化を防止したりする機能を有する。合成後に、銀ナノワイヤ表面の有機保護剤を別の種類の有機保護剤に付け替える処理を施すことも可能である。
 合成時に使用した有機保護剤が付着している銀ナノワイヤを、銀ナノワイヤインクに適用する場合、合成に適した性質と、液中分散性の両方を適度に兼ね備えた有機保護剤が選択される。そのような有機保護剤として、PVP(ポリビニルピロリドン)がよく知られている。しかし、PVPは親水性が高いので、アルコール系の液状媒体に対する分散安定性に劣る。そこで、本発明では、ビニルピロリドンと他のモノマーとのコポリマーを適用する。
 前記「他のモノマー」として例えば、ジアリルジメチルアンモニウム(Diallyldimethylammonium)塩(塩の具体例としては、硝酸塩が挙げられる)などのカチオン性モノマー、酢酸ビニル等のビニルエステル、ジエチルアミノエチルメタクリレート、アクリル酸、エチルアクリレート、2-ヒドロキシエチルアクリレート、2-ヒドロキシエチルメタクリレート、4-ヒドロキシブチルアクリレート等の(メタ)アクリル化合物、N-メチルマレイミド、N-エチルマレイミド、N-プロピルマレイミド、N-tert-ブチルマレイミド等のマレイミド化合物、N-ビニル-ε-カプロラクタム等のビニルラクタム化合物、ビニルイミダゾール等のビニルアゾール化合物などが挙げられる。
 前記コポリマーとして、ビニルピロリドンと、例えば上記のような「他のモノマー」から選ばれる1種または2種以上のモノマーとの重合組成を有するコポリマーが使用可能である。これらは、親水性の高いビニルピロリドン構造単位(図1)を有するので適度な親水性を呈し、かつPVPよりは疎水性の傾向を呈する。そのことによって炭素数1~4のアルコールに対する優れた分散安定性が発揮されるものと推察される。コポリマーの重合組成は、ビニルピロリドン以外のモノマー0.1~10質量%、残部ビニルピロリドンであることが好ましい。優れた前記分散安定性を得る上で特に有利なコポリマーとして、ビニルピロリドンとジアリルジメチルアンモニウム(Diallyldimethylammonium)塩モノマーとのコポリマーを挙げることができる。
 上記のコポリマーの重量平均分子量は30,000~3,000,000であることが好ましい。重量平均分子量が過小になるとアルコール溶媒還元法において粒子状の金属銀が生成しやすくなり、銀ナノワイヤの収率が低下する。逆に重量平均分子量が過大になると得られる銀ナノワイヤの直径が太くなりやすく、透明導電膜に適した細いワイヤの合成が難しくなる。重量平均分子量はGPC(ゲル浸透クロマトグラフィー)により求めることができる。
 本発明に従うアルコール系銀ナノワイヤ分散液中に存在する銀ナノワイヤには、ビニルピロリドンと他のモノマーとのコポリマーを主成分とする有機保護剤が付着している。「主成分とする」とは、付着している有機保護剤に占める「ビニルピロリドンと他のモノマーとのコポリマー」の割合が50質量%以上であることを意味する。このアルコール系銀ナノワイヤ分散液は、後述の「アルコール系銀ナノワイヤ分散液の製造方法」において、途中の工程Bで液中にビニルピロリドン構造単位を持つポリマーの供給を受けて製造されているので、その工程Bで供給されたポリマーも銀ナノワイヤ表面に付着している有機保護剤の一部を構成している。工程Bで供給されるポリマーとしてPVPを適用する場合には、ワイヤに付着している有機保護剤の一部としてPVPが存在することになる。その場合でも、「ビニルピロリドンと他のモノマーとのコポリマー」が有機保護剤の大半を占める限り、アルコール系の液状媒体において優れた分散安定性が維持できることが確認された。
〔有機保護剤の付着量〕
 銀ナノワイヤ表面に付着している有機保護剤は、透明導電膜において銀ナノワイヤ同士の交点での導通を妨げる要因となる。発明者らの検討によれば、平均直径50nm以下、平均アスペクト比300以上の銀ナノワイヤの場合、透明導電体中での優れた導通向上効果を得るためには、有機保護剤の付着量が、銀に対する質量割合で12.5%以下である銀ナノワイヤを使用することが望ましく、11.5%以下である銀ナノワイヤを使用することがより好ましい。導通向上効果の高い銀ナノワイヤを配合した透明導電膜では、所定の導電性(シート抵抗)を得るために必要なワイヤの量を低減することができる。その結果、同じシート抵抗で比較すると、透明導電膜の視認性(ヘイズ特性)が顕著に改善される。一方、有機保護剤の付着量が過度に少なくなると、ワイヤ同士がアルコール系の液状媒体中で凝集して粗大な異物粒子を形成しやすくなる。粗大な異物粒子は透明導電膜中に点状異物として認識され、タッチパネル等の製品において外観を損ねる要因となる。種々検討の結果、上記の有機保護剤付着量を銀に対する質量割合で7.5%以上確保することが望ましく、8.0%以上とすることがより好ましい。銀ナノワイヤ表面に存在する有機保護剤の付着量は、アルコール系銀ナノワイヤ分散液から採取した銀ナノワイヤを乾燥させた後、TG-DTA測定に供することによって調べることができる。
 なお、「有機保護剤の付着量が銀に対する質量割合でX%である」とは、「銀100質量部当たりの有機保護剤付着量がX質量部である」ことを意味する。
〔アルコール系銀ナノワイヤ分散液中の銀含有量〕
 アルコール系銀ナノワイヤ分散液中における銀ナノワイヤの含有量は、当該分散液の総質量に占める金属銀の質量割合において0.1~3.0質量%の範囲で調整することが好ましい。
〔アルコール系銀ナノワイヤ分散液における凝集物数〕
 本発明に従うアルコール系銀ナノワイヤ分散液中に存在する銀ナノワイヤは、アルコールに対して良好な分散性を呈する有機保護剤に被覆されており、かつその有機保護剤の付着量が所定範囲に調整されているので、分散剤を配合しないアルコール系の液状媒体(例えば炭素数1~4のアルコールを主成分とし残部が水である液状媒体)を使用しているにもかかわらずワイヤ同士の凝集物が非常に生じにくい。ワイヤ同士の凝集物が生じ易い分散液の場合には、液中に粗大な凝集物の粒子が多数存在し、これらの粗大な粒子はインク化して透明導電膜を形成したときに外観を損ねる要因となる。種々検討の結果、光遮蔽方式の液中パーティクルカウンタで測定される7μmを超える粒子径の粒子は、透明導電膜中において肉眼で点状異物として認識されうることがわかった。分散剤を配合しないアルコール系の銀ナノワイヤ分散液としては、上記の7μmを超える粒子の存在量が分散液単位体積当たりの換算で5000個/mL以下に抑えられていれば、優秀な分散性を呈すると判断できる。本発明に従えば、上記の7μmを超える粒子の存在量が分散液単位体積当たりの換算で500個/mL以下、あるいは更に100個/mL以下のアルコール系銀ナノワイヤ分散液を得ることが可能である。
〔透明導電膜におけるシート抵抗-ヘイズバランス〕
 透明導電膜におけるシート抵抗-ヘイズバランスを表す指標として、シート抵抗(Ω/sq.)とヘイズ(%)の積で表される値(Ω・%/sq.)を採用することができる。本発明に従うアルコール系銀ナノワイヤ分散液を使用して銀濃度0.2質量%の塗工液を作製し、それをPET等の基材表面に塗布したのち乾燥させることによって透明導電膜を形成させたとき、上記のシート抵抗(Ω/sq.)とヘイズ(%)の積が40.0以下であるような、シート抵抗-ヘイズバランスの良好な透明導電膜を得ることができる。特に、上記の積が3.0以上35.0以下である透明導電膜は、特に優れたシート抵抗-ヘイズバランスを呈すると評価することができる。
〔アルコール系銀ナノワイヤ分散液の製造方法〕
 上記アルコール系銀ナノワイヤ分散液の製造方法を例示する。
(銀ナノワイヤの合成)
 銀ナノワイヤの合成は、公知のアルコール溶媒還元法(例えば特開2015-180772号公報に開示の手法)によって行うことができる。その際、有機保護剤として、上述のビニルピロリドンと他のモノマーとのコポリマーを適用し、平均直径が50nm以下の銀ナノワイヤを得ておく。そのコポリマーとして、例えばビニルピロリドンと、ジアリルジメチルアンモニウム(Diallyldimethylammonium)塩モノマー等のカチオン性モノマーとのコポリマーを適用すると、銀ナノワイヤに液状媒体中での優れた分散安定性を付与する上で特に有利となる。合成後の反応液(スラリー)をデカンテーションなどの方法で固液分離したのち、十分に洗浄し、以下の工程に適用するための銀ナノワイヤを用意する。工業製品として流通している銀ナノワイヤあるいはその分散液を入手して、使用してもよい。
(前処理)
 後述のクロスフロー循環洗浄工程で有機保護剤の付着量を減じることに先立ち、PVP(ポリビニルピロリドン)、およびビニルピロリドンと他のモノマーとのコポリマーから選ばれる1種以上のポリマーが溶解している極性溶媒(例えば水溶媒)中に銀ナノワイヤを分散させる処理を施しておくことが好ましい。ビニルピロリドンと他のモノマーとのコポリマーの具体例としては、ビニルピロリドンとジアリルジメチルアンモニウム(Diallyldimethylammonium)塩モノマーとのコポリマー、ビニルピロリドンとアクリレート系またはメタクリレート系のモノマーとのコポリマー、ビニルピロリドンとマレイミド系のモノマーとのコポリマーなどが挙げられる。これらは、銀ナノワイヤ合成時の有機保護剤として利用可能なポリマーである。銀ナノワイヤに既に付着している有機保護剤と同種のポリマーを適用してもよい。
 前処理としてこの分散処理を行うと、クロスフロー循環洗浄において有機保護剤の脱着が穏やかに進行する。すなわち、銀ナノワイヤ表面の有機保護剤が急激に洗浄除去されてしまうことを防止でき、付着量の調整が行いやすくなる。分散処理の液状媒体として水溶媒を用いる場合、その溶媒中に溶解させておくポリマーの量は、水+ポリマーの総量に対し、0.01~2.0質量%とすればよい。この前処理は必須工程ではないが、特に、クロスフロー循環洗浄の工程で、平均長さの長いワイヤを得るために入念な循環を行いたい場合や、有機保護剤の付着量調整をより精度良く行いたい場合に有効である。
(クロスフロー循環洗浄)
 クロスフロー濾過フィルタを途中に有する循環流路に、有機保護剤が付着している銀ナノワイヤを液状媒体の流れに乗せて循環させる。その際、循環流路内に液状媒体を連続的または間欠的に補給しながら前記フィルタによりクロスフロー濾過を行う。これにより、銀ナノワイヤの表面は液状媒体によって洗われ、金属銀表面に吸着している有機保護剤ポリマーの一部が脱着する。循環条件に応じて予備実験等により予め把握してある「循環時間と付着量の関係」に基づき、銀ナノワイヤ表面の有機保護剤付着量を所定範囲にコントロールすることができる。また、このクロスフロー濾過によって、ワイヤ長さ分布の適正化(精製)が行われる。ここで、「循環」とは、クロスフロー濾過フィルタで系外に排除されずに、ひとまわりして元の場所(例えば出発点のタンク)に戻るという過程を繰り返すことを意味する。したがって、管路により構成される循環経路を有する装置で連続的にクロスフロー濾過を行う場合の他、例えばクロスフロー濾過後の液(銀ナノワイヤを含む)を出発容器とは別の容器で一旦回収し、その回収物を作業員が運搬して元の出発容器に戻し、新たな液状媒体を補充したうえで再度クロスフロー濾過に供する、といったバッチ的な処理を繰り返し行ってもよい。
 クロスフロー濾過フィルタとしては多孔質セラミック管を用いることが好ましい。多孔質セラミック管を用いたクロスフロー濾過の手法自体は、特開2016-55283号公報に詳しく開示されており、その手法を利用することができる。ただし、ここでは、クロスフロー濾過によって、銀ナノワイヤ表面の有機保護剤付着量を銀に対する質量割合で1.5~8.0%の範囲にコントロールする。この段階で上記の範囲の有機保護剤付着量に調整しておけば、後述のポリマー溶液と混合することによって付加される有機保護剤の増量分と合わせて、最終的に好ましい有機保護剤の付着量(銀に対する質量割合で7.5~12.5%、より好ましくは8.0~11.5%)にコントロールしやすくなる。銀ナノワイヤ表面に存在する有機保護剤の付着量は、銀ナノワイヤ分散液から採取した銀ナノワイヤを乾燥させた後、TG-DTA測定に供することによって調べることができる。
 有機保護剤の過度な脱離を防ぐ上で、上述の前処理を行うことが有効であるが、ここでは、さらに、もう一つの有効な手段として、クロスフロー循環洗浄で循環させる液状媒体中に、PVP(ポリビニルピロリドン)、およびビニルピロリドンと他のモノマーとのコポリマーから選ばれる1種以上のポリマーを溶解させておく手法を例示する。クロスフロー循環洗浄に用いる液状媒体としては、水、メタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、1-ブタノール、またはこれらの混合溶媒が例示できるが、工業的には水溶媒を用いることが合理的である。ビニルピロリドンと他のモノマーとのコポリマーとしては、上述の前処理と同様、ビニルピロリドンとジアリルジメチルアンモニウム(Diallyldimethylammonium)塩モノマーとのコポリマー、ビニルピロリドンとアクリレート系またはメタクリレート系のモノマーとのコポリマー、ビニルピロリドンとマレイミド系のモノマーとのコポリマーなどが挙げられる。これらは、銀ナノワイヤ合成時の有機保護剤として利用可能なポリマーである。銀ナノワイヤに既に付着している有機保護剤と同種のポリマーを適用してもよい。
 上記のポリマーは、初期の液状媒体中および補給する液状媒体中に溶解させておけばよい。液状媒体として水溶媒を用いる場合、その溶媒中に溶解させておくポリマー濃度は、水+ポリマーの総量に対し、例えば10~5000ppm(0.001~0.500質量%)の範囲とすればよい。この手法によっても、上述の前処理を受けた銀ナノワイヤを使用する場合と同様に、流動循環中の有機保護剤の脱着を緩やかにする作用が得られる。この手法は、前述の前処理と同様、必須の手段ではないが、平均長さの長いワイヤを得るために入念な循環を行いたい場合の他、有機保護剤の付着量調整をより精度良く行いたい場合にも有効である。なお、前述の前処理と、この循環液へのポリマー添加の手法を複合して採用すると、より効果的である。
 循環条件については、装置の規模や多孔質フィルタの濾過特性によって最適条件は変動するが、例えば、循環流路内の銀ナノワイヤ初期濃度は、液状媒体と銀ナノワイヤの初期総質量に対し、0.005~3.0質量%の範囲で調整することができる。管状フィルタに導入される液の平均流量をQ(L/min)、管状フィルタから外部に排除される液(濾液)の平均流量をQ(L/min)とするとき、Q/Qが0.00001~0.1の範囲となるようにコントロールすることが好ましい。ここで、平均流量は総流量を濾過時間で除したものである。QとQの差が、フィルタより下流の管路に進む液の流量に相当する。また、管状クロスフロー濾過フィルタ内の流速は、管状フィルタの入り側の端部において、例えば0.5~50m/s(500mm/s~50,000mm/s)の範囲で設定すればよい。並列に配置した複数の管状フィルタに液を分岐させて処理する場合は、並列に配置した管状フィルタの束に導入される液全量の平均流量をQ(L/min)、管状フィルタの束から外部に排除される液(濾液)全量の平均流量をQ(L/min)として、Q/Qが上記の範囲となるようにすることが好ましく、流速についてはそれぞれの管状フィルタの入り側端部での流速が上記の範囲となるようにすることが好ましい。循環中に補給する液状媒体の総量は、液状媒体と銀ナノワイヤの初期総質量に対し、例えば0.5~20倍量の範囲で設定することができ、1~10倍量とすることがより好ましい。循環時間(バッチ的な方法で行う場合はクロスフロー濾過を実施する合計時間)は例えば1~500時間の範囲で設定することができる。
 上記のクロスフロー循環洗浄により有機保護剤の付着量が所定範囲に低減された銀ナノワイヤは、必要に応じてワイヤの液中濃度を高めるための処理(濃縮)に供される。その濃縮操作は、例えば、上記のクロスフロー循環洗浄後に、その装置を利用した「クロスフロー濃縮」によって行うことが効率的である。クロスフロー濃縮では、上述のクロスフローろ過において、液状媒体の補給を止めるか、あるいはクロスフローろ過フィルタから排出されるろ液の排出量よりも補給する液量を少なくした状態でしばらく循環させることにより実施できる。
 このようにして、有機保護剤の付着量が銀に対する質量割合で1.5~8.0%であり、長さ5.0μm以下のワイヤの個数割合が18%以下であり、平均直径が50nm以下である銀ナノワイヤが、水を主成分とする液状媒体中に分散している「水系銀ナノワイヤ分散液」を得ておく。有機保護剤の付着量は有機保護剤と銀との総量に対し7.5質量%以下としておくことがより好ましい。液中の銀ナノワイヤ含有量は金属銀の質量換算で0.02~0.5質量%の範囲に調整されていることが好ましい。「水を主成分とする」とは、液状媒体を構成する物質のうち、50質量%以上の部分が水であることを意味するが、上述のクロスフロー循環洗浄を終えた水系の液状媒体の場合、通常、水の含有量は95質量%以上である。細くて長い銀ナノワイヤが合成できるアルコール溶媒還元法(例えば特開2015-180772号公報に開示の手法)によって合成された銀ナノワイヤを使用すれば、上記の有機保護剤付着量に調整可能な条件範囲内に、平均アスペクト比が例えば450以上の銀ナノワイヤを得ることができるクロスフロー条件を見い出すことができる。
 得られた「水系銀ナノワイヤ分散液」を以下の工程B~Eを有するプロセスに供することによって水系の液状媒体をアルコール系に替え、目的の「アルコール系銀ナノワイヤ分散液」を得る。図2に、工程B~Eを含むフローを示してある。なお、工程Aおよび工程Fは必要に応じて実施すればよい。
(工程A)
 工程Aでは、上記のようにして得られた水系銀ナノワイヤ分散液と、アセトンを混合して銀ナノワイヤを凝集沈降させる。工程Aは省略してもよい。水系の液状媒体に分散している銀ナノワイヤには、ビニルピロリドン構造単位を持つ親水性の有機保護剤が吸着している。この水系銀ナノワイヤ分散液に、アセトン、トルエン、ヘキサン、ケロシンなどの極性の小さい液状媒体を多量に混合すると、銀ナノワイヤは液中での良好な分散性を失って凝集し、沈降する。ここでは、極性の小さい液状媒体として、水とアルコールの両方に良く混ざり、かつ工業的に入手しやすいアセトンを使用する。混合するアセトンの量は、水系銀ナノワイヤ分散液との質量比で1.0~3.0倍量とすればよい。両液を混合した後、常温で例えば6~48時間静置すると、銀ナノワイヤの凝集沈降が進み、上澄みが現れる。その上澄みを、液中に挿入した吸入管から吸引するなどの方法で抜き取り、銀ナノワイヤの凝集物が濃縮した「銀ナノワイヤ凝集物含有液」を得る。このアセトンと混合して銀ナノワイヤを凝集沈降させたのち上澄みを抜き取るという一連の凝集沈降および上澄み除去の操作を1回以上行う。2回目以降のアセトン混合量は、その回でアセトンと混合する前の液との質量比で0.1~2.0倍量とすればよい。この工程で最終的に得られる銀ナノワイヤ凝集物含有液の質量は、最初にアセトンと混合する前の水系銀ナノワイヤ分散液の質量に対し例えば0.04~1倍とすればよい。
 工程Aを行うと、工程Bに供する液中の銀濃度を高めることができる。すなわち、銀の量が同じである場合、工程Bに供する液の量を低減することができる。工程Bに供する液の量が少ないと、工程Bで混合するポリマーの量が比較的少なくても、工程Cでの凝集沈降性を大きく向上させることができる。
(工程B)
 上述の「水系銀ナノワイヤ分散液」、あるいは上記工程Aで得られた「銀ナノワイヤ凝集物含有液」に、ビニルピロリドン構造単位を持つポリマーを供給する。ビニルピロリドン構造単位を持つポリマーとしては、上述したビニルピロリドンと他のモノマーとのコポリマーや、PVPが利用できる。銀ナノワイヤ合成時の有機保護剤として使用したポリマーと同種のポリマーであってもよいし、異種のポリマーであってもよい。「ビニルピロリドンと他のモノマーとのコポリマー」におけるモノマーとしては、例えば、ジアリルジメチルアンモニウム(Diallyldimethylammonium)塩(塩の具体例としては、硝酸塩が挙げられる)などのカチオン性モノマー、酢酸ビニル等のビニルエステル、ジエチルアミノエチルメタクリレート、アクリル酸、エチルアクリレート、2-ヒドロキシエチルアクリレート、2-ヒドロキシエチルメタクリレート、4-ヒドロキシブチルアクリレート等の(メタ)アクリル化合物、N-メチルマレイミド、N-エチルマレイミド、N-プロピルマレイミド、N-tert-ブチルマレイミド等のマレイミド化合物、N-ビニル-ε-カプロラクタム等のビニルラクタム化合物、ビニルイミダゾール等のビニルアゾール化合物などを挙げることができる。なかでも、前記カチオン性モノマーおよびビニルエステルが特に好ましい。
 この工程Bに供される液中に存在する銀ナノワイヤの表面には、親水性であるビニルピロリドン構造単位を持つポリマーが有機保護剤として付着しているので、この液に極性の小さいアセトンを混合すると、銀ナノワイヤは凝集沈降する。しかし、クロスフロー循環洗浄の工程で有機保護剤の付着量が低減しているので、アセトンを添加したときの凝集性も低下している。上記工程Aを実施して得られた銀ナノワイヤ凝集物含有液においても同様である。そのため、アセトン添加による凝集沈降を利用して、銀ナノワイヤを固形分として回収できる程度にまで凝集を進行させるためには、大量のアセトンを混合して凝集沈降を生じさせる処理を何度も繰り返す必要が生じ、工業的な大量生産を行うためには不経済かつ非効率的である。一方、遠心分離による固液分離法ではワイヤの損傷が多くなり、最終的に平均アスペクト比の高いワイヤを収率良く回収することが困難になる。ところが、発明者らの研究によれば、クロスフローを終えた「水系銀ナノワイヤ分散液」、あるいは上記工程Aを経て得られた「銀ナノワイヤ凝集物含有液」に、ビニルピロリドン構造単位を持つポリマーを混合すると、その後の工程において、アセトンを混合したときの凝集沈降性が顕著に改善されることがわかった。また、この時点でビニルピロリドン構造単位を持つポリマーを供給しておくことは、アルコール系の液状媒体に分散させたときの分散性の向上につながり、ワイヤ同士が集まった粗大な異物粒子の形成防止にも極めて有効であることがわかった。これらの効果が現れるのは、銀ナノワイヤの表面に親水性ポリマーが補充され、有機保護剤の付着量が増えるためであると推察される。
 発明者らの研究によれば、工程Bで混合するポリマーとして、ビニルピロリドンと、酢酸ビニル等のビニルエステルとのコポリマーを適用すると、ワイヤ同士が集まった粗大な異物粒子の形成防止に非常に効果的であることがわかった。例えば、銀ナノワイヤ合成時に「ビニルピロリドンと、ジアリルジメチルアンモニウム(Diallyldimethylammonium)塩モノマー等のカチオン性モノマーとのコポリマー」を有機保護剤として適用し、工程Bで「ビニルピロリドンと、酢酸ビニル等のビニルエステルとのコポリマー」を混合すると、それら両者のポリマーを構成成分に含む有機保護剤が付着している銀ナノワイヤが得られる。この種の銀ナノワイヤは、アルコール系の液状媒体中での分散安定性が極めて良好であることが確認された。銀ナノワイヤに付着している有機保護剤の総量に占める「ビニルピロリドンと、酢酸ビニル等のビニルエステルとのコポリマー」の割合は、例えば10~50質量%の範囲とすればよい。
 予めビニルピロリドン構造単位を持つポリマーの溶液を作製しておき、これを上述の水系銀ナノワイヤ分散液、あるいは工程Aで得られた銀ナノワイヤ凝集物含有液に添加する方法を適用することが好適である。添加するポリマー溶液の溶媒としては、親水性であるポリマーの溶解性を考慮すると、水、または水とアルコールの混合溶媒を採用することが好ましい。ポリマー溶液中のポリマー濃度は例えば0.1~3.0質量%の範囲で設定すればよい。水系銀ナノワイヤ分散液、あるいは工程Aで得られた銀ナノワイヤ凝集物含有液を常温で撹拌しておき、その液にポリマー溶液を添加し、その後、例えば0.1~120時間撹拌を継続することによって混合することが望ましい。ただし、撹拌は、ワイヤが損傷しない程度の強度で行う。上記水系銀ナノワイヤ分散液あるいは銀ナノワイヤ凝集物含有液に混合されるポリマー量は、液中の金属銀に対する質量割合で8%以上(すなわち金属銀100質量部当たり8質量部以上)とすることが好ましい。それより少ないと上述の凝集沈降性向上効果が十分に得られない場合がある。逆に、凝集物濃縮液に供給されるポリマー量が過剰になると不経済であるとともに、銀ナノワイヤへの有機保護剤の付着量が過剰になり、導電性に悪影響するおそれがある。ポリマーの最適な混合量は、工程Eを終えた銀ナノワイヤの有機保護剤の付着量が、銀に対する質量割合で7.5~12.5%好ましくは8.0~11.5%の範囲となるように、予め予備実験により把握しておくことができる。通常は、例えば、液中の金属銀100質量部当たり8質量部以上500質量部以下の範囲でポリマー混合量の最適値(ポリマー使用量増大に伴うコスト増や導電性への影響と、工程C、Dでの工程負荷低減効果の適正バランス)を見いだすことができる。このようにしてポリマーの混合処理を終えた液を「ポリマー混合銀ナノワイヤ含有液」と呼んでいる。なお、本工程Bにおいてポリマーが銀ナノワイヤ表面に付着する量は、混合されるポリマー量、ポリマーが添加された混合液の撹拌時間、混合液の温度、混合液中のポリマーの濃度等により影響を受け、これらが大きいほど、付着量が多くなる。
 工程Aを省略した場合には、銀ナノワイヤが液中に分散している状態でポリマーが混合される。この場合、工程Aを終えて既に銀ナノワイヤが凝集状態にある液に対してポリマーを混合する場合に比べ、個々の銀ナノワイヤの表面は、より均等に、混合されたポリマーと接触する機会が付与される。その結果、最終的に得られるアルコール系銀ナノワイヤ分散液中でのワイヤ分散性を向上させるうえで有利となる。
(工程C)
 上記のポリマー混合銀ナノワイヤ含有液に対して、アセトンと混合して銀ナノワイヤを凝集沈降させたのち上澄みを抜き取るという操作を1回以上施すことにより、銀ナノワイヤの凝集物が濃縮した「銀ナノワイヤ凝集物含有液」を得る。この凝集沈降および上澄み除去の操作は、基本的には工程Aと同様の手法で行うことができる。アセトン混合量は、アセトンと混合する前の液との質量比で1.0~3.0倍量とすればよい。ただし、工程Bで処理された銀ナノワイヤはアセトンに対する凝集性が増しているので、アセトンの使用量は少なくて済む。
(工程D)
 工程Cで得られた銀ナノワイヤ凝集物含有液に対して、更に上澄みを抜き取る操作を施す。工程Cでの最終的な上澄み抜き取り操作をそのまま継続することによって、この工程Dに移行することができる。ただし、上澄みの量が少なくなるに従って、より精密な抜き取り操作が要求されるようになる。最終的には例えばピペットを使用した抜き取り方法などに切り換えることが好ましい。上澄みの抜き取り操作を続けることによって、液中に浮遊している銀ナノワイヤの凝集物同士の距離が近づいていくと、あるとき急にそれらの凝集物が一体化するという現象が到来する。この現象を終えると、銀ナノワイヤ凝集物は固形分として容器から取り出すことが可能になる。このようにして、銀ナノワイヤの凝集物を回収する。
(工程E)
 工程Dで回収された銀ナノワイヤの凝集物を、炭素数1~4のアルコールを主成分とする液状媒体中に分散させ、アルコール系銀ナノワイヤ分散液を得る。アルコール系銀ナノワイヤ分散液中の銀ナノワイヤ含有量は、用途に応じて、例えば分散液の総質量に占める銀の質量割合で0.1~3.0質量%の範囲で調整すればよい。工程Dで回収された銀ナノワイヤ凝集物にはアセトンが付着しているが、上記の銀ナノワイヤ含有量範囲において、液状媒体に占めるアセトン含有量が例えば3.0質量%以下のアルコール系銀ナノワイヤ分散液を得ることが可能であり、多くの用途で問題なく使用可能であると考えられる。
(工程F)
 工程Eで得られたアルコール系銀ナノワイヤ分散液に対して、薄膜旋回法による分散処理を施してもよい。これにより、粗大な異物粒子数を低減することができる。
 銀ナノワイヤ合成時に使用する有機保護剤、および工程Bで混合するポリマーとして、以下のものを用意した。
(VP-DADMAN)
 ビニルピロリドンとジアリルジメチルアンモニウムナイトレイト(diallyldimethylammonium nitrate)のコポリマー
 重合組成:ビニルピロリドン99質量%、ジアリルジメチルアンモニウムナイトレイト1質量%、重量平均分子量:75,000
(PVP)
 市販のPVP(ポリビニルポロリドン)
 重量平均分子量:55,000
(VP-VAc)
 ビニルピロリドンと酢酸ビニルのコポリマー
 重合組成:ビニルピロリドン97質量%、酢酸ビニル3質量%、重量平均分子量:70,000
(VP-DEAEM)
 ビニルピロリドンとジエチルアミノエチルメタクリレートのコポリマー
 重合組成:ビニルピロリドン98質量%、ジエチルアミノエチルメタクリレート2質量%、重量平均分子量:72,000
(VP-アクリレート)
 ビニルピロリドンとエチルアクリレートのコポリマー
 重合組成:ビニルピロリドン99質量%、エチルアクリレート1質量%、重量平均分子量:68,000
(VP-EMI)
 ビニルピロリドンとN-エチルマレイミドのコポリマー
 重合組成:ビニルピロリドン99.25質量%、N-エチルマレイミド0.75質量%、重量平均分子量:80,000
《実施例1》
[銀ナノワイヤ合成]
 アルコール溶媒としてプロピレングリコール(1,2-プロパンジオール)、銀化合物として硝酸銀、塩化物として塩化リチウム、臭化物として臭化カリウム、アルミニウム塩として硝酸アルミニウム九水和物、アルカリ金属水酸化物として水酸化リチウム、有機保護剤としてビニルピロリドンとジアリルジメチルアンモニウムナイトレイト(diallyldimethylammonium nitrate)のコポリマー(ビニルピロリドン99質量%、ジアリルジメチルアンモニウムナイトレイト1質量%でコポリマー作成、重量平均分子量75,000)を用意した。
 常温にて、プロピレングリコール(和光純薬工業社製、特級)8016g中に、塩化リチウム(アルドリッチ社製)含有量が10質量%であるプロピレングリコール溶液4.84g、臭化カリウム(和光純薬工業社製)0.10g、水酸化リチウム(アルドリッチ社製)0.52g、硝酸アルミニウム九水和物(キシダ化成社製)含有量が20質量%であるプロピレングリコール溶液5.40g、ビニルピロリドンとジアリルジメチルアンモニウムナイトレイトのコポリマー83.87gを添加して溶解させ、溶液Aとした。
 プロピレングリコール95.7gのアルコール溶媒中に、純水8g、硝酸銀67.96gを添加して、35℃で撹拌して溶解させ、銀含有液(溶液B)を得た。
 上記の溶液Aを反応容器に入れ、常温から85℃まで撹拌しながら昇温したのち、溶液Aの中に、溶液Bの全量を1分かけて添加した。溶液Bの添加終了後、さらに撹拌状態を維持して85℃で24時間保持した。その後、反応液を常温まで冷却することで、銀ナノワイヤを合成した。
[洗浄]
 常温まで冷却された上記反応液にアセトンを20倍量添加し15分撹拌した。その後24時間静置した。静置後、濃縮物と上澄みが観察されたため、上澄み部分を除去し、濃縮物を回収した。その濃縮物に1280gの純水を添加し、12時間撹拌後に、アセトンを、濃縮物および1280gの純水の合計質量に対し20倍量添加し、10分撹拌後に24時間静置を行った。静置後、濃縮物と上澄みが観察されたため、上澄み部分を除去し、濃縮物を回収した。上記純水分散、アセトン添加、静置、上澄み除去の操作を10回実施し、濃縮物を得た。この濃縮物を「洗浄後の濃縮物」と呼ぶ。
[前処理]
 クロスフロー循環洗浄を行うための前処理として、重量平均分子量55,000のPVP(ポリビニルピロリドン)を純水中に溶解させた水溶媒を用いて、再分散処理を施した。すなわち、上記PVP濃度が0.5質量%である水溶媒を用意し、この水溶媒と上記洗浄後の濃縮物を混合し、金属銀濃度(銀ナノワイヤと不純物の銀ナノ粒子を含む液中銀濃度)が0.8質量%となる銀ナノワイヤ分散液を調製した。
 得られた銀ナノワイヤ分散液を、銀濃度が0.08質量%となるように純水で希釈して、約52kgの銀ナノワイヤ分散液を得た。この分散液を「クロスフロー元液」と呼ぶ。なお、以上の各操作はフッ素樹脂でコーティングされたガラス容器で行った。
[クロスフロー循環洗浄]
 上記の前処理を受けたクロスフロー元液を、図3に示す管路構成を有する装置のタンクに収容したのち、連続的に管路を循環させる方法でクロスフローろ過に供した。ただし、本例では図3の符号3で表示される箇所に9本の管状フィルタを並列に配置し、それぞれの管状フィルタに液を分岐させて処理した。クロスフローろ過フィルタとして使用した管状フィルタは、多孔質セラミックで管壁が形成されており、寸法は長さ500mm、外径12mm、内径9mmである。セラミックの材質はSiC(炭化ケイ素)であり、Micromeritics社製、水銀ポロシメーターを用いて測定した水銀圧入法による平均細孔直径は5.9μmであった。
 水銀圧入法による細孔分布測定の詳細条件は以下の通りである。
 ・測定装置:オートポアIV9510型
 ・測定範囲:φ440~0.003μm、
 ・水銀接触角:130°
 ・水銀表面張力:485dyne/cm、
 ・前処理:300℃×1h(大気中)
 ・測定試料質量:3.5g
 測定精度を十分に確保するため、0.01~100μmの測定範囲では80点の測定データを採取した。ここでいう平均細孔直径はメディアン径である。
 循環させる液状媒体の初期PVP濃度(クロスフロー元液を構成する水溶媒中におけるPVPの質量割合)は250ppmである。タンクに新たな液状媒体を補給しながら循環を行った。上記の管状フィルタ9本を循環流路内に並列に設置した。この管状フィルタ1本あたりに導入される液の流量を13L/minとして循環させた。管状フィルタに導入される液の流速は3495mm/sであった。また、管状フィルタの入り側の管路における圧力(図3の上流側圧力計4で計測される圧力)は0.025MPaであった。補給する液状媒体はPVP濃度(水溶媒中におけるPVPの質量割合)50ppmのPVP水溶液とした。タンクは、ジャケット付タンクであり、ジャケットに冷却水を流すことにより、循環中の液温の上昇を抑制した。また、補給する純水は冷却して10~15℃の温度の冷却純水を使用した。その結果、循環中の液温は20~30℃の範囲であった。このようにして5時間のクロスフロー循環洗浄を行った。循環中に補給した液状媒体の総量は214Lであった。管状フィルタ1本当たりの平均ろ液量は79mL/minであった。
[クロスフロー濃縮]
 5時間のクロスフロー循環洗浄に引き続き、液状媒体の補給を止めた状態でクロスフローろ過による循環を行い、ろ液の排出により液量が減少していくことを利用して銀ナノワイヤ分散液の濃縮を行った。約5時間の循環を行って、金属銀濃度換算で0.4質量%の銀ナノワイヤが水溶媒中に分散している水系銀ナノワイヤ分散液を得た。
[水系銀ナノワイヤ分散液中における銀ナノワイヤの性状]
(銀ナノワイヤの寸法形状)
 平均長さLを以下のようにして測定した。ナノワイヤ分散液をSEM用の観察台にとり、観察台上で水を揮発させたのち、電界放出形走査電子顕微鏡(株式会社日立ハイテクノロジーズ製;S-4700)により、加速電圧3kV、倍率1,500倍で観察を行った。無作為に選んだ3以上の視野について、視野内で全長が確認できるすべてのワイヤを測定対象として、ソフトウェア(ドクターカンバス)を用いて、上述の定義に従って平均長さLを求めた。
 平均直径Dを以下のようにして測定した。ナノワイヤ分散液をTEM用の観察台にとり、透過型電子顕微鏡(日本電子株式会社製;JEM-1011)により、加速電圧100kV、倍率40,000倍で明視野像の観察を行って観察画像を採取し、正確に直径を測定するために採取された元画像を2倍のサイズに拡大した上で、ソフトウェア(Motic Image Plus2.1S)を用いて、上述の定義に従って平均直径Dを求めた。
 上記の平均長さLが5.0μm以下であるワイヤの数を測定対象としたワイヤの数で除することによって、長さ5.0μm以下のワイヤの個数割合を求めた。この個数割合が18%以下であるものを○(長さ分布;良好)、それ以外を×(長さ分布;不良)と評価し、○評価を合格と判定した。本例で使用した銀ナノワイヤの長さ分布は○評価であった。なお、平均直径Dについては、後述のアルコール系銀ナノワイヤ分散液における銀ナノワイヤの平均直径とほぼ同じである(以下の各例について同様。)。
(有機保護剤の付着量)
 銀ナノワイヤ分散液から、銀量20mgに相当する銀ナノワイヤを含有する量の液を分取し、日立工機株式会社製の高速遠心冷却遠心機CR21N(ローター:R8S、遠沈管:50mL)により8000rpm、45分の条件で遠心分離を行い、上澄み液を取り除き、120℃で12時間乾燥させることにより、銀ナノワイヤの乾燥物を得た。この乾燥物のサンプル15mgについて、株式会社日立ハイテクサイエンス製STA7200を用い、大気雰囲気中でのTG-DTA測定を行った。10℃/分の速度で昇温し、40℃から700℃までの重量の変化を測定した。測定には、白金製サンプルパン(φ5.2mm、高さ5mm)を使用した。150℃時点の重量減少量を乾燥サンプルに残存していた液状媒体の成分(具体的には水や炭素数1~4のアルコール)の量Ws(質量%)とみなし、150℃から600℃までの重量変化を銀ナノワイヤに付着している有機保護剤量Wp(質量%)とした。下記(2)式により有機保護剤と銀との総量に対する有機保護剤の質量割合P(質量%)を求めた。
 P=100×[Wp/(100-Ws)] …(2)
 ここで、
 P:有機保護剤と銀との総量に対する有機保護剤の質量割合(質量%)
 Wp:ワイヤに付着している有機保護剤の量(質量%)
 Ws:乾燥サンプルに残存していた液状媒体成分の量(質量%)
 有機保護剤と銀の総量に対する有機保護剤の質量割合Pを使用し、銀に対する有機保護剤の質量割合P(%)を下記(3)式により求めた。
 P=100×[P/(100-P)] …(3)
 ここで、
 P:銀に対する有機保護剤の質量割合(%)
 本例で使用した銀ナノワイヤの有機保護剤付着量は、銀に対する質量割合で6.2%(銀100質量部に対し6.2質量部)であった。
[水系からアルコール系への液状媒体変換処理]
 以下、工程A~Fは図2に記載のものに対応する。
 (工程A)
 水系銀ナノワイヤ分散液を18kg分取し、この液に、質量割合で2倍量のアセトンを添加し15分撹拌した。その後24時間静置した。静置後、銀ナノワイヤの凝集物と上澄みが観察されたため、上澄み部分を除去し、凝集物が濃縮した「銀ナノワイヤ凝集物含有液」を得た。この銀ナノワイヤ凝集物含有液に、質量割合で0.5倍量のアセトンを添加した。静置後、銀ナノワイヤの凝集物と上澄みが観察されたため、上澄み部分を除去し、凝集物が更に濃縮した「銀ナノワイヤ凝集物含有液」を得た。この液の質量は13.76kgであった。
(工程B)
 工程Aで得られた銀ナノワイヤ凝集物含有液にポリマーを混合した。本例では混合するポリマーとして上記のVP-DADMAN(ビニルピロリドンとジアリルジメチルアンモニウムナイトレイトのコポリマー)を採用した。このポリマーが0.75質量%の濃度で溶解しているポリマー水溶液を添加することにより、銀ナノワイヤ凝集物含有液中の銀100質量部に対して56質量部のポリマーを混合した。その後、12時間撹拌して、「ポリマー混合銀ナノワイヤ含有液」を得た。
(工程C)
 工程Bで得られたポリマー混合銀ナノワイヤ含有液に対して、質量割合で1.1倍量アセトンを添加し15分撹拌した。その後3時間静置した。静置後、銀ナノワイヤの凝集物と上澄みが観察されたため、上澄み部分を除去し、凝集物が濃縮した「銀ナノワイヤ凝集物含有液」を得た。この銀ナノワイヤ凝集物含有液に、質量割合で0.5倍量のアセトンを添加した。静置後、銀ナノワイヤの凝集物と上澄みが観察されたため、上澄み部分を除去し、凝集物が更に濃縮した「銀ナノワイヤ凝集物含有液」を得た。
(工程D)
 工程Cで得られた銀ナノワイヤ凝集物含有液に対して、更に上澄みを抜き取る操作を施した。すると、ある時点で、液中に浮遊していた銀ナノワイヤの凝集物同士が一体化するという現象が起きた。この一体化した凝集物を固形分として回収した。ここで得られた固形分を「銀ナノワイヤ凝集物の固形分」と呼ぶ。
(工程E)
 工程Dで得られた銀ナノワイヤ凝集物の固形分が収容された容器に、2-プロパノール4.7kgを混合し、自動分散器(まぜまぜマン、SKH-40)を用いて2日間の分散処理を施すことによって、「アルコール系銀ナノワイヤ分散液」を得た。なお、本例では工程Fは行っていない。
 本明細書では、水系からアルコール系への液状媒体変換処理(本例では工程A~E)において使用したアセトンの総量を、処理前の水系分散液に対する質量割合で表した値を、「アセトン総使用量」と呼ぶ。本例でのアセトン総使用量は3.1倍量であった。
 アルコール系銀ナノワイヤ分散液を得るために施した主な処理条件を表1に示してある(以下の各例において同じ。)。
[アルコール系銀ナノワイヤ分散液中における銀ナノワイヤの性状]
(銀ナノワイヤの寸法形状)
 上記の水系銀ナノワイヤ分散液の場合と同様の手法により、上掲の定義に従う平均長さLおよび平均直径D、並びに長さ5.0μm以下のワイヤの個数割合を求めた。また、LおよびDから下記(1)式により平均アスペクト比Aを算出した。ただし、(1)式に代入するD、Lはいずれもnmの単位で表された値とする。
 A=L/D …(1)
 本例で得られたアルコール系銀ナノワイヤ分散液中における銀ナノワイヤは、平均長さLが17.7μm、平均直径Dが26.5nm、平均アスペクト比Aが668、長さ5.0μm以下のワイヤの個数割合が3.7%であった。
(有機保護剤の付着量)
 上記の水系銀ナノワイヤ分散液の場合と同様の方法でTG-DTA測定を行い、有機保護剤の付着量を求めた。本例で得られたアルコール系銀ナノワイヤ分散液中における銀ナノワイヤの有機保護剤付着量は、銀に対する質量割合で9.5%であった。
[アルコール系銀ナノワイヤ分散液における凝集物数]
 得られたアルコール系銀ナノワイヤ分散液から試験液を分取し、銀濃度が0.001質量%となるように純水で希釈を行った。光遮蔽方式の液中パーティクルカウンタ(リオン社製;KS-42D)により液中に存在する粒状物の粒度分布を測定した。その結果、7μmを超える粒子の存在量はアルコール系銀ナノワイヤ分散液(水で希釈する前の試験液)の単位体積当たりの換算で9個/mLであった。
[透明導電膜の作製]
厚さ100μm、寸法100mm×150mmのPETフィルム基材(東洋紡社製、コスモシャイン(登録商標)A4100)を用意した。上記のアルコール系銀ナノワイヤ分散液を60%硝酸に溶解したものを、アジレント・テクノロジー社製、CP-OES720により高周波誘導結合プラズマ(ICP)発光分光分析法で分析して、上記アルコール系銀ナノワイヤ分散液中の銀濃度を算出した。この銀濃度の値に基づき、上記アルコール系銀ナノワイヤ分散液を所定量の2-プロパノールで希釈することにより、銀濃度が0.2質量%である塗工用の銀ナノワイヤ分散液を作製した。この銀ナノワイヤ分散液を、番手No.7のバーコーター(テスター産業社製、SA-203)で上記PETフィルム基材のベア面に塗布し、塗膜を形成した。基材上に形成された塗膜の面積は80mm×120mmであった。この塗膜を大気中120℃で1分間で乾燥させ、透明導電膜を得た。なお、後述の各例でも銀濃度が0.2質量%である塗工用銀ナノワイヤ分散液を上記と同様条件で塗布する方法で透明導電膜を得ているので、シート抵抗およびヘイズの測定値によって各例の「シート抵抗-ヘイズバランス」の優劣を比較することができる。
[透明導電膜の評価]
(シート抵抗の測定)
 上記の透明導電膜を形成した基材の中央部から70mm×100mmの矩形試料を採取し、基材上に形成されている透明導電膜のシート抵抗を、三菱化学アナリテック社製、ロレスタGP MCP―T610、ESPプローブ(ピン間隔:5mm、ピン先:φ2mm、バネ圧:240g/本)にて測定した。その際、測定位置は試料の中央部とし、測定装置に内蔵される補正係数演算ソフトウェアを利用した。
(ヘイズの測定)
 この透明導電膜のヘイズを、日本電色工業社製、ヘーズメーターNDH 5000により測定した。ヘイズの値(%)はPET基材の影響を除去するために、[基材+透明導電膜のヘイズ値]-[基材のみのヘイズ値]の値を用いた。ここで、「基材+透明導電膜のヘイズ値」は基材フィルムとその上に形成されている透明導電膜からなる物体のヘイズ値(%)、「基材のみのヘイズ値」は、透明導電膜を形成する前の基材フィルムのヘイズ値(%)である。
(シート抵抗-ヘイズバランス評価)
 上記のようにして求めたシート抵抗(Ω/sq.)とヘイズ(%)の積で表される値が35.0以下であるものを◎(シート抵抗-ヘイズバランス;優秀)、35.0より大きく40.0以下であるものを○(シート抵抗-ヘイズバランス;良好)、それ以外を×(シート抵抗-ヘイズバランス;上記より劣る)と評価し、○および◎評価を合格と判定した。本例のシート抵抗は39Ω/sq.、ヘイズは0.77%であり、それらの積は30.0であることから◎評価であった。
(外観評価)
 上述の方法で得られた基材上の透明導電膜に、その膜面に対してほぼ平行方向の光線を照射し、透明導電膜の全面を目視にて観察することにより、点状に見える異物の数を調べた。光源には200ルーメンのLEDライトを使用した。この異物の存在密度が、ISO 216に従うA4サイズ(210×297mm)当たりの換算で50.0個未満であれば、タッチパネル用途に適用しても良好な外観を呈すると判断できる。ここでは、目視にて明らかに認識できる異物の存在密度が200個/m未満のものを◎(外観;極めて優秀)、200個/m以上500個/m未満のものを◎(外観;優秀)、500個/m以上800個/m未満のものを○(外観;良好)、それ以外を×(外観;不良)と評価し、○、◎および◎評価を合格と判定した。
 以上の結果を表1、表2に示す(以下の各例において同じ)。
《実施例2》
 実施例1と同様の手順にて有機保護剤の付着量が5.8質量%である銀ナノワイヤが分散している水系銀ナノワイヤ分散液を得た。この水系銀ナノワイヤ分散液に実施例1と同様の手順で上記の工程A~Eを施し、アルコール系銀ナノワイヤ分散液を作製した。本例では工程Bでのポリマー混合量と、アセトン総使用量を変えたことを除き、実施例1と同様の条件で実験を行った。シート抵抗-ヘイズバランス評価および外観評価はいずれも合格であった。
《実施例3》
 実施例1と同様の手順にて有機保護剤の付着量が6.6質量%である銀ナノワイヤが分散している水系銀ナノワイヤ分散液を得た。この水系銀ナノワイヤ分散液に実施例1と同様の手順で上記の工程A~Eを施し、アルコール系銀ナノワイヤ分散液を作製した。本例では工程Bでのポリマー混合量、撹拌時間と、アセトン総使用量を変えたことを除き、実施例1と同様の条件で実験を行った。シート抵抗-ヘイズバランス評価および外観評価はいずれも合格であった。
《実施例4》
 実施例1と同様の手順にて有機保護剤の付着量が6.4質量%である銀ナノワイヤが分散している水系銀ナノワイヤ分散液を得た。本例では上述の工程Aを省略し、上記水系銀ナノワイヤ分散液18kgを直接工程Bに供してポリマーを混合した。工程Bでのポリマー混合量は銀100質量部に対して83質量部とし、撹拌時間を0.25時間とした。これらの点と、アセトン総使用量を変えたこと以外は実施例1と同様の条件で実験を行った。シート抵抗-ヘイズバランス評価および外観評価はいずれも合格であった。
《比較例1》
 銀ナノワイヤ合成時の有機保護剤および工程Bで混合するポリマーとして、いずれも上記のPVP(ポリビニルポロリドン)を使用し、実施例1と同様の実験を試みた。この場合、得られたアルコール系銀ナノワイヤ分散液中において銀ナノワイヤの凝集が著しく、液中パーティクルカウンタによる凝集物数の測定が不可能であった。凝集物が非常に多いため、透明導電膜の作製は断念した。
《比較例2》
 水系銀ナノワイヤ分散液の作製において、クロスフローろ過(循環洗浄および濃縮)を行わない方法を適用した。この場合、水系銀ナノワイヤ分散液中の銀ナノワイヤは長さ分布評価が×であり、有機保護剤の付着量も十分に低減されていなかった。この水系銀ナノワイヤ分散液に実施例1と同様の手順で上記の工程A~Eを施し、アルコール系銀ナノワイヤ分散液を作製した。本例では、クロスフローろ過を施していない水系銀ナノワイヤ分散液を使用したこと、および工程Bでのポリマー混合量と、アセトン総使用量を変えたことを除き、実施例1と同様の条件で実験を行った。その結果、アルコール系銀ナノワイヤ分散液は長さ5.0μm以下の短い銀ナノワイヤの個数割合が多くなった。この液をインクに用いた透明導電膜は、ヘイズが高くなったことに起因してシート抵抗-ヘイズバランスが悪かった。
《比較例3》
 実施例1と同様の手順で得た水系銀ナノワイヤ分散液を用いて、上記工程B~Dを省略した手順にてアルコール系銀ナノワイヤ分散液を作製した。この場合、実質的に上記工程Aでのアセトン混合および上澄み除去を繰り返す手法により凝集沈降物の濃度を高めていき、上記工程Eに供するための「銀ナノワイヤ凝集物の固形分」を回収したことになる。この場合、アセトン総使用量は10倍量を要した。回収した固形分を使用し、工程E以降を実施例1と同様の方法で進めた。得られたアルコール系銀ナノワイヤ分散液中に存在する銀ナノワイヤは、工程Bでのポリマー混合を行わなかったことに起因して有機保護剤の付着量が不十分であった。その結果、アルコール系銀ナノワイヤ分散液中において銀ナノワイヤの凝集が著しく、液中パーティクルカウンタによる凝集物数の測定が不可能であった。凝集物が非常に多いため、透明導電膜の作製は断念した。
《実施例5》
 実施例1と同様の手順にて有機保護剤の付着量が6.9質量%である銀ナノワイヤが分散している水系銀ナノワイヤ分散液を得た。この水系銀ナノワイヤ分散液に実施例1と同様の手順で上記の工程A~Eを施してアルコール系銀ナノワイヤ分散液とし、その後、工程Fとして以下に示す薄膜旋回法による分散処理を施した。本例では、工程Bでのアセトン総使用量を変えたこと、および工程Fを行ったことを除き、実施例1と同様の条件で実験を行った。
(工程F)
 工程Eで得られたアルコール系銀ナノワイヤ分散液に、淺田鉄工社製、ゼロミルZM-Lを用いて、薄膜旋回法による分散処理を施した。ミル周速を16m/sとし、チューブポンプを用いて300mL/minの流量で送液した。また、パス回数を1回とした。
 工程Fを終えて得られたアルコール系銀ナノワイヤ分散液は、7μmを超える粒子の存在量が実施例1よりも低減していた。この分散液を用いて実施例1と同様の方法で作製した透明導電膜のシート抵抗-ヘイズバランス評価および外観評価はいずれも合格であった。
《実施例6》
 実施例1と同様の手順にて有機保護剤の付着量が6.1質量%である銀ナノワイヤが分散している水系銀ナノワイヤ分散液を得た。この水系銀ナノワイヤ分散液に実施例4と同様の手順で上記の工程B~Eを施してアルコール系銀ナノワイヤ分散液とし、その後、工程Fとして実施例5と同様の薄膜旋回法による分散処理を施した。工程Fを終えて得られたアルコール系銀ナノワイヤ分散液は、7μmを超える粒子の存在量が実施例4よりも低減していた。この分散液を用いて実施例1と同様の方法で作製した透明導電膜のシート抵抗-ヘイズバランス評価および外観評価はいずれも合格であった。
《実施例7》
 実施例1と同様の手順にて有機保護剤の付着量が5.9質量%である銀ナノワイヤが分散している水系銀ナノワイヤ分散液を得た。アセトン総使用量と、工程Fでの薄膜旋回法の条件を変えたこと以外、実施例6と同様の条件で実験を行った。本例では工程Fにおいて、アシザワ・ファインテック社製、回転型メディアレス分散・乳化機を用いて、薄膜旋回法による分散処理を行った。このとき、液量を7L、ミル周速を30m/sとした。処理は循環方式で行い、処理時間を3分とした。工程Fを終えて得られたアルコール系銀ナノワイヤ分散液は、7μmを超える粒子の存在量が実施例4よりも低減していた。この分散液を用いて実施例1と同様の方法で作製した透明導電膜のシート抵抗-ヘイズバランス評価および外観評価はいずれも合格であった。
《実施例8》
 実施例1と同様の手順にて有機保護剤の付着量が5.7質量%である銀ナノワイヤが分散している水系銀ナノワイヤ分散液を得た。本例では、工程Bで混合するポリマーを上記のVP-VAc(ビニルピロリドンと酢酸ビニルのコポリマー)としたこと、およびアセトン総使用量を変えたことを除き、実施例4と同様の条件でアルコール系銀ナノワイヤ分散液を作製した実験を行った。この分散液を用いて実施例1と同様の方法で作製した透明導電膜のシート抵抗-ヘイズバランス評価および外観評価はいずれも合格であった。また、本例で得られたアルコール系銀ナノワイヤ分散液は、工程Fでの薄膜旋回法を適用していないにもかかわらず、7μmを超える粒子の存在量が非常に少なかった。ビニルピロリドンと酢酸ビニルのコポリマーは、特に工程Aを省略してアセトン混合前の段階で水系銀ナノワイヤ分散液に添加することによって、アルコール系溶媒に対する銀ナノワイヤの分散性を顕著に改善する効果を発揮することが確認された。
《実施例9》
 実施例1と同様の手順にて有機保護剤の付着量が6.0質量%である銀ナノワイヤが分散している水系銀ナノワイヤ分散液を得た。本例では、工程Bで混合するポリマーを上記のVP-DEAEM(ビニルピロリドンとジエチルアミノエチルメタクリレートのコポリマー)としたこと、およびアセトン総使用量を変えたことを除き、実施例4と同様の条件でアルコール系銀ナノワイヤ分散液を作製した実験を行った。この分散液を用いて実施例1と同様の方法で作製した透明導電膜のシート抵抗-ヘイズバランス評価および外観評価はいずれも合格であった。
《実施例10》
 実施例1と同様の手順にて有機保護剤の付着量が6.7質量%である銀ナノワイヤが分散している水系銀ナノワイヤ分散液を得た。本例では、工程Bで混合するポリマーを上記のVP-アクリレート(ビニルピロリドンとエチルアクリレートのコポリマー)としたこと、およびアセトン総使用量を変えたことを除き、実施例4と同様の条件でアルコール系銀ナノワイヤ分散液を作製した実験を行った。この分散液を用いて実施例1と同様の方法で作製した透明導電膜のシート抵抗-ヘイズバランス評価および外観評価はいずれも合格であった。
《実施例11》
 実施例1と同様の手順にて有機保護剤の付着量が6.3質量%である銀ナノワイヤが分散している水系銀ナノワイヤ分散液を得た。本例では、工程Bで混合するポリマーを上記のVP-EMI(ビニルピロリドンとN-エチルマレイミドのコポリマー)としたこと、およびアセトン総使用量を変えたことを除き、実施例4と同様の条件でアルコール系銀ナノワイヤ分散液を作製した実験を行った。この分散液を用いて実施例1と同様の方法で作製した透明導電膜のシート抵抗-ヘイズバランス評価および外観評価はいずれも合格であった。
《実施例12》
 実施例1と同様の手順にて有機保護剤の付着量が6.5質量%である銀ナノワイヤが分散している水系銀ナノワイヤ分散液を得た。この水系銀ナノワイヤ分散液に実施例1と同様の手順で上記の工程A~Eを施し、アルコール系銀ナノワイヤ分散液を作製した。本例では工程Bでのポリマー混合量、撹拌時間と、アセトン総使用量を変えたことを除き、実施例1と同様の条件で実験を行った。シート抵抗-ヘイズバランス評価および外観評価はいずれも合格であった。
《実施例13》
 実施例1と同様の手順にて有機保護剤の付着量が6.6質量%である銀ナノワイヤが分散している水系銀ナノワイヤ分散液を得た。本例では、工程Bで混合するポリマーを上記のPVP(ポリビニルポロリドン)としたこと、および工程Bでのポリマー混合量、撹拌時間と、アセトン総使用量を変えたことを除き、実施例4と同様の条件で実験を行った。シート抵抗-ヘイズバランス評価および外観評価はいずれも合格であった。
《実施例14》
 実施例1と同様の手順にて有機保護剤の付着量が6.3質量%である銀ナノワイヤが分散している水系銀ナノワイヤ分散液を得た。本例では、工程Bで混合するポリマーを上記のPVP(ポリビニルポロリドン)としたこと、および工程Bでのポリマー混合量、撹拌時間と、アセトン総使用量を変えたことを除き、実施例4と同様の条件で実験を行った。シート抵抗-ヘイズバランス評価および外観評価はいずれも合格であった。
《実施例15》
 実施例1と同様の手順にて有機保護剤の付着量が6.3質量%である銀ナノワイヤが分散している水系銀ナノワイヤ分散液を得た。本例では、工程Bで混合するポリマーを上記のVP-VAc(ビニルピロリドンと酢酸ビニルのコポリマー)としたこと、工程Bでのポリマー混合量、撹拌時間と、アセトン総使用量を変えたこと、および工程Eを終えたアルコール系銀ナノワイヤ分散液に工程Fの薄膜旋回法による分散処理を実施例5と同様の手法で施したことを除き、実施例1と同様の条件で実験を行った。この分散液を用いて実施例1と同様の方法で作製した透明導電膜のシート抵抗-ヘイズバランス評価および外観評価はいずれも合格であった。
《比較例4》
 実施例1と同様の手順にて有機保護剤の付着量が6.0質量%である銀ナノワイヤが分散している水系銀ナノワイヤ分散液を得た。この水系銀ナノワイヤ分散液に実施例1と同様の手順で上記の工程A~Eを施し、アルコール系銀ナノワイヤ分散液を作製した。本例では工程Bでのポリマー混合量を非常に多くしたこと、アセトン総使用量を変えたことを除き、実施例1と同様の条件で実験を行った。得られたアルコール系銀ナノワイヤ分散液中に存在する銀ナノワイヤは、有機保護剤の付着量が12.8質量%と多いものであった。この分散液を用いて実施例1と同様の方法で作製した透明導電膜は、シート抵抗が高いことに起因してシート抵抗-ヘイズバランス評価が悪かった。銀ナノワイヤ表面の有機保護剤付着量が多いためにワイヤ同士の接点での接触抵抗が大きくなり、その結果、シート抵抗が増大したものと考えられる。
《比較例5》
 実施例1と同様の手順にて有機保護剤の付着量が6.3質量%である銀ナノワイヤが分散している水系銀ナノワイヤ分散液を得た。この水系銀ナノワイヤ分散液に実施例1と同様の手順で上記の工程A~Eを施し、アルコール系銀ナノワイヤ分散液を作製した。本例では工程Bでのポリマー混合量を少なくしたこと、アセトン総使用量を変えたことを除き、実施例1と同様の条件で実験を行った。得られたアルコール系銀ナノワイヤ分散液中に存在する銀ナノワイヤは、工程Bでのポリマー混合量が少なすぎたことに起因して有機保護剤の付着量が不十分であった。その結果、アルコール系銀ナノワイヤ分散液中において銀ナノワイヤの凝集が著しく、液中パーティクルカウンタによる凝集物数の測定が不可能であった。凝集物が非常に多いため、透明導電膜の作製は断念した。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000001
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000002
 図4に、実施例1で得られたアルコール系銀ナノワイヤ分散液中に存在する銀ナノワイヤについてのTG曲線を例示する。
 1  タンク
 2  ポンプ
 3  クロスフロー濾過フィルタ
 4  上流側圧力計
 5  下流側圧力計
 6  クロスフロー循環洗浄前の銀ナノワイヤ分散液
 7  補給する液状媒体
 10  循環流路
 30  濾液

Claims (9)

  1.  表面に有機保護剤が付着しており、長さ5.0μm以下のワイヤの個数割合が18%以下であり、平均直径が50nm以下である銀ナノワイヤが、炭素数1~4のアルコールを主成分とする液状媒体中に分散している銀ナノワイヤ分散液であって、前記有機保護剤がビニルピロリドンと他のモノマーとのコポリマーを主成分とするものであり、前記有機保護剤の付着量が銀に対する質量割合で7.5~12.5%である、アルコール系銀ナノワイヤ分散液。
  2.  前記液状媒体に占める炭素数1~4のアルコールの含有量が90.0質量%以上である、請求項1に記載のアルコール系銀ナノワイヤ分散液。
  3.  当該分散液の総質量に占める銀の質量割合が0.1~3.0質量%である、請求項1または2に記載のアルコール系銀ナノワイヤ分散液。
  4.  前記ビニルピロリドンと他のモノマーとのコポリマーは、ビニルピロリドンとジアリルジメチルアンモニウム(Diallyldimethylammonium)塩モノマーとのコポリマーである、請求項1~3のいずれか1項に記載のアルコール系銀ナノワイヤ分散液。
  5.  前記ビニルピロリドンと他のモノマーとのコポリマーは、ビニルピロリドンとジアリルジメチルアンモニウム(Diallyldimethylammonium)塩モノマーとのコポリマー、およびビニルピロリドンと酢酸ビニルとのコポリマーを構成成分に含むものである、請求項1~3のいずれか1項に記載のアルコール系銀ナノワイヤ分散液。
  6.  表面にビニルピロリドンと他のモノマーとのコポリマーを主成分とする有機保護剤が付着しており、その有機保護剤の付着量が銀に対する質量割合で1.5~8.0%であり、長さ5.0μm以下のワイヤの個数割合が18%以下であり、平均直径が50nm以下である銀ナノワイヤが、水を主成分とする液状媒体中に分散している水系銀ナノワイヤ分散液を用意し、その水系銀ナノワイヤ分散液に、ビニルピロリドン構造単位を持つポリマーを混合することにより「ポリマー混合銀ナノワイヤ含有液」を得る工程B、
     前記ポリマー混合銀ナノワイヤ含有液に対して、アセトンと混合して銀ナノワイヤを凝集沈降させたのち上澄みを抜き取るという操作を1回以上施すことにより、銀ナノワイヤの凝集物が濃縮した「銀ナノワイヤ凝集物含有液」を得る工程C、
     上記工程Cで得られた銀ナノワイヤ凝集物含有液に対して、更に上澄みを抜き取る操作を施し、銀ナノワイヤの凝集物を固形分として回収する工程D、
     上記工程Dで回収された銀ナノワイヤの凝集物を、炭素数1~4のアルコールを主成分とする液状媒体中に分散させる工程E、
    を有する、前記ポリマーを含む有機保護剤の付着量が銀に対する質量割合で7.5~12.5%である銀ナノワイヤが、前記アルコールを主成分とする液状媒体中に分散しているアルコール系銀ナノワイヤ分散液の製造方法。
  7.  表面にビニルピロリドンと他のモノマーとのコポリマーを主成分とする有機保護剤が付着しており、その有機保護剤の付着量が銀に対する質量割合で1.5~8.0%であり、長さ5.0μm以下のワイヤの個数割合が18%以下であり、平均直径が50nm以下である銀ナノワイヤが、水を主成分とする液状媒体中に分散している水系銀ナノワイヤ分散液を用意し、その水系銀ナノワイヤ分散液に対して、アセトンと混合して銀ナノワイヤを凝集沈降させたのち上澄みを抜き取るという操作を1回以上施すことにより、銀ナノワイヤの凝集物が濃縮した「銀ナノワイヤ凝集物含有液」を得る工程A、
     上記工程Aで得られた銀ナノワイヤ凝集物含有液に、ビニルピロリドン構造単位を持つポリマーを混合することにより「ポリマー混合銀ナノワイヤ含有液」を得る工程B、
     前記ポリマー混合銀ナノワイヤ含有液に対して、アセトンと混合して銀ナノワイヤを凝集沈降させたのち上澄みを抜き取るという操作を1回以上施すことにより、銀ナノワイヤの凝集物が濃縮した「銀ナノワイヤ凝集物含有液」を得る工程C、
     上記工程Cで得られた銀ナノワイヤ凝集物含有液に対して、更に上澄みを抜き取る操作を施し、銀ナノワイヤの凝集物を固形分として回収する工程D、
     上記工程Dで回収された銀ナノワイヤの凝集物を、炭素数1~4のアルコールを主成分とする液状媒体中に分散させる工程E、
    を有する、前記ポリマーを含む有機保護剤の付着量が銀に対する質量割合で7.5~12.5%である銀ナノワイヤが、前記アルコールを主成分とする液状媒体中に分散しているアルコール系銀ナノワイヤ分散液の製造方法。
  8.  前記工程Eを終えた液に対して、薄膜旋回法による分散処理を施す工程F、
    をさらに有する請求項6または7に記載のアルコール系銀ナノワイヤ分散液の製造方法。
  9.  前記工程Bにおいて、前記ポリマーを、水系銀ナノワイヤ分散液中の金属銀に対する質量割合で8~500%混合する、請求項6~8のいずれか1項に記載のアルコール系銀ナノワイヤ分散液の製造方法。
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