JP2022538326A - 金属ナノワイヤーを精製する方法 - Google Patents

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Abstract

本発明は、金属ナノワイヤーを精製する方法であって、少なくとも、(i)厳密に10mPa.秒未満の25℃における粘度を有する水性アルコール溶媒媒体中の金属ナノ物質の懸濁液を用意する工程であり、金属ナノ物質が、微細ナノワイヤー及び微細ナノワイヤーとは異なる更なるナノ粒子を含む、工程;(ii)金属ナノ物質懸濁液に、ナノワイヤーの平均直径の50%以下の直径を有する半金属又は金属酸化物ナノ粒子を添加する工程;(iii)半金属又は金属酸化物ナノ粒子を添加した金属ナノ物質の懸濁液を、微細金属ナノワイヤーを沈殿させるのに役立つ条件下で沈降させる工程;並びに(iv)微細金属ナノワイヤーから作製された沈降物質を回収する工程を含む、方法に関する。

Description

本発明は、高アスペクト比、とりわけ50以上のアスペクト比を有し、かつ60nm以下の平均直径を有する、銀ナノワイヤー等の細金属ナノワイヤーを精製する新規方法に関する。
金属ナノワイヤー、特に銀ナノワイヤーは、透明な電気伝導性材料、特に、光電子用途(タッチスクリーン、加熱フィルム、OLED、光起電力電池)を目的とする透明電極の製造において特に興味深い用途が見出されている。
ナノテクノロジー分野の最近の進歩により、金属ナノワイヤー、例えば銀ナノワイヤーは、透明電極の製造に従来使用されている、透明な導電性酸化物(略称TCOで公知)に基づく、例えば、酸化インジウムスズに基づくフィルムの、特に有利な代替物となることが示されている。
金属ナノワイヤーに基づく導電性の透明な系は、この場合、溶媒中(例えば、水、メタノール、イソプロパノール中等)のナノワイヤーの懸濁液から、表面、例えばガラス表面に金属ナノワイヤーの浸透回路網を形成することによって得ることができる。Langleyら[1]による論文に記載の通り、この製造プロセスには多数の利点:低コスト、得られた電極の可撓性、湿潤及び低温加工性等が伴う。
金属ナノワイヤーに基づく導電性系の性能基準は、想定される用途に従って決定され、表面抵抗(「シート抵抗」とも呼ばれる)及び光学特性に関する性能、特に、透過率及びヘーズ値が最も重要である。
金属ナノワイヤーは、一般に、金属塩、例えば銀ナノワイヤーを得るための硝酸銀の、ポリオール、典型的にはエチレングリコールによる還元により、溶液中での化学合成によって容易かつ大量に製造される。残念ながら、溶液中でのこの合成は選択的反応ではなく、合成の間に不純物、特に、低アスペクト比を有する、例えばロッド型の金属ナノ粒子が生成される。
しかしながら、低ヘーズ値及び良好な電気伝導性を有し、上述の性能基準を満たす透明な導電性系を得るためには、他の粒子を含まない細ナノワイヤー、特に、60nm未満、典型的には30~40nmの間の平均直径を有するナノワイヤーを使用できることが望ましい。そのような系は、多くの光電子用途に特に有用であることが証明されている。
このために、不純物を含まない、特に、低アスペクト比(厳密に30未満の長さ/直径)を有するナノ粒子を含まない銀ナノワイヤーの溶液を得ることが必要である。
これを実現するためには、合成では望ましくない物質の同時生成が避けられないため、ナノワイヤーの合成後の精製が必要不可欠である。遠心分離、沈殿又は沈降等のこの精製を行うための様々な方法が既に提案されている。例として、欧州特許出願公開第3145661号明細書は、特に効果的な二重沈降系を提案している。
残念ながら、提案された精製方法は、直径の小さい、典型的には60nm未満の平均直径を有し、かつ典型的には50超の高アスペクト比(長さ/直径比)を有する細金属ナノワイヤーの文脈において完全に満足のいくものではない。特に、細ナノワイヤーの精製に関して、今日までに提案された方法は、特に沈降工程に関して非常に長い精製時間を必要とする。更に、残留ナノ粒子又は低アスペクト比を有するナノワイヤーの望ましくない存在により、得られた生成物の純度は常に十分であるとは限らない。
欧州特許出願公開第3145661号明細書
Langleyら、Nanotechnology 24 (2013) 452001 (20pp)
したがって、細金属ナノワイヤーの効果的な精製方法への必要性が依然として存在している。本発明は、まさにこの必要性を満たすことを目的とする。
より具体的には、本発明は、金属ナノワイヤーを精製する方法であって、少なくとも、
(i)厳密に10mPa.秒未満の25℃における粘度を有する水性アルコール溶媒媒体中の金属ナノ物質の懸濁液を用意する工程であり、前記金属ナノ物質が、
- 50以上のアスペクト比及び60nm以下の平均直径を有する、「細ナノワイヤー」と呼ばれるナノワイヤー;及び
- 30以下、特に10以下のアスペクト比及び200nm以下の体積平均相当直径を有する、前記細ナノワイヤーとは異なる2次ナノ粒子
を含む、工程;
(ii)金属ナノ物質の前記懸濁液に、ナノワイヤーの平均直径の50%以下の直径を有する金属又は半金属酸化物のナノ粒子を添加する工程;
(iii)金属又は半金属酸化物の前記ナノ粒子を添加した金属ナノ物質の懸濁液を静置して、前記細金属ナノワイヤーを沈殿させるのに役立つ条件下で沈降させる工程;並びに
(iv)前記細金属ナノワイヤーから形成された沈降物質を回収する工程
を含む、方法に関する。
本文の以下において、用語「細ナノワイヤー」は、50以上のアスペクト比(長さ/直径比)及び60nm以下の平均直径を有する金属ナノワイヤー、特に銀ナノワイヤーを指すことが意図される。
本発明の方法は、とりわけ、溶液中での金属ナノワイヤーの合成の終了時に反応混合物中に存在する、低アスペクト比を有する他の2次金属ナノ粒子から細金属ナノワイヤーを単離するのに有用であることが証明されている。
特定の実施形態によると、本文の以下に記載される通り、本発明の方法の工程(i)の金属ナノ物質の懸濁液は、望ましくない小粒子の一部を除去することを目的として、文献:欧州特許出願公開第3021230号明細書に記載の通り、第1の沈降工程を行うことによって、溶液中でのナノワイヤーの従来の合成の終了時に得られた反応混合物から得られる。
本発明に従って用いられる金属又は半金属酸化物のナノ粒子は、金属酸化物、半金属酸化物及びその混合物から、特にアルミナ(Al)、シリカ(SiO)、酸化鉄、酸化マンガン、酸化チタン及び酸化亜鉛から選択される材料で構成されうる。好ましくは、それらは、シリカナノ粒子である。
金属又は半金属酸化物のナノ粒子は、とりわけ、目的の前記細ナノワイヤーを含む金属ナノ物質の懸濁液に、細金属ナノワイヤー/金属又は半金属酸化物のナノ粒子の質量比1:1~1:100の間、好ましくは1:2~1:20の間、より優先的には1:8~1:12、特におよそ1:10で導入される。
シリカナノ粒子と一緒に銀ナノワイヤーを使用することは、物質間接触の質に影響を及ぼすことなくポリマーマトリックス中の銀ナノワイヤーの分散を改善及び促進する目的で、エポキシ樹脂に基づくナノ複合体の調製の文脈で既に提案されている([2]、[3])。
しかしながら、本発明者らの知る限り、金属ナノワイヤーを精製する方法の間に、シリカナノ粒子等の金属又は半金属酸化物のナノ粒子を使用することは提案されたことがない。
驚くべきことに、本発明者らは、精製されるべき細金属ナノワイヤーを含むナノ物質の懸濁液へのシリカナノ粒子等の金属又は半金属酸化物のナノ粒子の添加により、有利には、沈降による精製方法の最適化が可能になることを見出した。
理論に縛られることを望むことなく、金属又は半金属酸化物のナノ粒子は、細金属ナノワイヤーに堆積することになる。
特に、精製されるべき細ナノワイヤーの懸濁液に、沈降工程の前に金属又は半金属酸化物のナノ粒子を添加することによって、沈降現象を有利に加速し、かつなお同時に、低アスペクト比を有する望ましくないナノ粒子と目的の細ナノワイヤーとをより良好に分離することが可能である。
したがって、下記の実施例で例示される通り、本発明による沈降による精製は、金属又は半金属酸化物のナノ粒子を添加していない金属ナノ物質の懸濁液から行われた沈降と比較して、大幅に短縮された継続時間で行うことができる。有利なことに、効果的な沈降はしたがって、6時間未満、特に2~4時間の間の継続時間で行うことができる。したがって、本方法により、大量の時間を節約し、したがって、合成及び精製ツールの使用を節約することが可能になる。
更には、本発明による精製方法により、迅速な沈降により、細金属ナノワイヤーと他の2次金属ナノ粒子との分離の改善された選択性を実現することが可能になる。したがって、本発明による金属又は半金属酸化物のナノ粒子によって補助された沈降の終了時に得られた細金属ナノワイヤーから形成された沈降物質は、5%未満の、目的の細金属ナノワイヤーとは異なる金属ナノ粒子を呈する。
細金属ナノワイヤーの収量もまた、典型的には6時間未満の継続時間の迅速な沈降の場合であってさえ、改善される。例えば、本発明の方法により、沈降の終了時に、金属ナノ物質の出発懸濁液中に存在する細金属ナノワイヤーの70%超、特に80%超を回収することが可能になる。
したがって、本発明の方法により、沈降による精製の加速、性能上昇、及び目的の細ナノワイヤーと2次金属ナノ粒子との分離の良好な選択性を組み合わせることが可能になる。
最後に、沈降方法に基づく本発明の方法は、特に、容易かつ安価に行われる。特に、本発明の方法は、時間及び費用のかかる遠心分離工程を必要としない。
本発明の方法の他の特徴、変形例及び利点は、本発明の例示として示され、本発明を限定しない本記載、実施例及び下記の図面を読むことで、より明白に現れる。
本文の以下において、「・・・~・・・の間」、「・・・~・・・の範囲」及び「・・・から・・・まで様々」という表現は、等価であり、別途言及されない限り境界を含むことを意味することが意図される。
別途示されない限り、「1つの(a/an)・・・を含む」という表現は、「少なくとも1つの・・・を含む」と理解されるべきである。
走査型電子顕微鏡(SEM)によって得た細銀ナノワイヤーの画像を示す図である。 走査型電子顕微鏡(SEM)によって得た、下記の例3に記載の通りの、シリカナノ粒子の添加後の細銀ナノワイヤーの画像を示す図である。
精製されるべきナノワイヤーの懸濁液
上述の通り、本発明の方法は、細金属ナノワイヤーを、他の望ましくない2次金属ナノ粒子を含有する懸濁液から単離するのに有用である。
細金属ナノワイヤー
本発明の目的で、用語「細」ナノワイヤーは、50以上のアスペクト比及び60nm以下の直径を有する金属ナノワイヤーを指すことが意図される。
特に、細金属ナノワイヤーは、10~60nm、特に20~50nm、とりわけ30~40nmの範囲の平均直径を有する。
ナノワイヤーの平均長は、とりわけ、0.5μm~200μmの間、特に1μm~50μmの間でありうる。
金属ナノワイヤーの寸法は、透過型電子顕微鏡(TEM)によって、又は走査型電子顕微鏡(SEM)によって評価されうる。平均直径(平均長)は、ナノワイヤーの母集団の直径(長さ)の平均値であると理解される。
アスペクト比は、長さ/直径比に相当する。好ましくは、細金属ナノワイヤーはとりわけ、厳密に50超、好ましくは100以上、より優先的には150以上、特に200以上、とりわけ200~1000の間のアスペクト比を有する。
したがって、本発明に従って単離される細金属ナノワイヤーは、とりわけ、20~50nmの間の平均直径及び200以上のアスペクト比を有する金属ナノワイヤーでありうる。
金属ナノワイヤーは、元素金属から選択されうる金属材料から形成される。金属材料はまた、少なくとも2種類の金属を含む二金属材料又は金属合金、例えば、白銅(銅及びニッケルの合金)でありうる。
好ましくは、ナノワイヤーは、1種又は複数の金属から形成される。例として、特に、銀、金、銅、ニッケル、銅、銀、ニッケル、白金又はパラジウムのコアを有するコアシェル系が言及されうる。
特定の実施形態によると、本発明の金属ナノワイヤーは、銀ベース、金ベース、銅ベース及び/又はニッケルベースのナノワイヤーであり、つまり、それらの質量組成には、少なくとも50質量%のこれらの金属のうちの1種又は複数が含まれる。特に、金属ナノワイヤーは、銀、金、銅及び/又はニッケルナノワイヤーである。
特定の実施形態によると、本発明による金属ナノワイヤーは、銀又は銅ナノワイヤーである。
好ましくは、本発明による金属ナノワイヤーは銀ナノワイヤーである。
2次金属ナノ粒子
用語「2次金属ナノ粒子」は、前記出発懸濁液中に存在し、本発明による細ナノワイヤーとは異なる金属ナノ物質を指す。
これらのナノ粒子は、単離されるべき金属ナノワイヤーと同じ化学性質のものである。それらは、とりわけ、金属ナノワイヤーの合成の間に同時生成された金属ナノ粒子である。
用語「細ナノワイヤーとは異なる」は、2次金属ナノ粒子が、単離されるべき細金属ナノワイヤーのアスペクト比及び/又は直径に関して基準を満足しないことを表すことが意図される。
これらのナノ粒子は、球形又は異方性形態のものでありうる。
2次金属ナノ粒子は、とりわけ、30以下、特に10以下、特に1~8の間、とりわけ2~5の間のアスペクト比を有する。
それらは、とりわけ、200nm以下、特に100nm以下、とりわけ1~50nmの間の体積平均相当直径を有しうる。
粒子の「相当直径」という用語は、粒子として同じ体積を有する球の直径を意味することが意図される。平均相当直径は、粒子の母集団の相当直径の体積平均値である。この平均相当直径は、レーザー粒径分析によって、動的光散乱(DLS)によって、又は走査型電子顕微鏡によって決定されうる。
特に、2次金属ナノ粒子は、厳密に200nm未満、特に1~100nmの間の最大寸法を有しうる。それらは、例えば、概して球形であり、5~80nmの間の平均直径を有する粒子でありうる。
粒子の「寸法」という用語は、直交座標系の異なる軸(x)、(y)及び(z)に沿って測定した粒子のサイズを意味することが意図される。例えば、ロッド型粒子の場合、粒子の寸法は、その長さ及びその直径でありうる。球形の粒子の場合、軸(x)、(y)及び(z)の各々に沿って測定した寸法は同一であり、粒子の直径に相当する。
したがって、前記細ナノワイヤーとは異なる2次金属ナノ粒子は、概して球形であるナノ粒子であってもよく、又はロッド等の高度に異方性のナノ粒子であってもよい。
ロッドは、例えば、200nm以上の平均直径及び典型的には2~30の間のアスペクト比を有しうる。
例として、工程(i)の懸濁液は、細銀ナノワイヤーを前記細ナノワイヤーとは異なる2次銀ナノ粒子と一緒に含む懸濁液でありうる。
一般に、細金属ナノワイヤー及び2次金属ナノ粒子は、ナノワイヤー/2次ナノ粒子の質量比70/30~99.5/0.5の間で、本発明の方法の工程(i)の懸濁液中に存在する。
好ましくは、金属ナノ物質は、上記の通り、前記細金属ナノワイヤー及び前記2次金属ナノ粒子のみで形成される。言い換えると、本発明の方法の工程(i)の懸濁液は、上記の通り、水性アルコール溶媒媒体中の細金属ナノワイヤー及び2次金属ナノ粒子の混合物から形成される。
特定の実施形態によると、本発明の方法の工程(i)の懸濁液は、銀ナノ物質の懸濁液である。言い換えると、工程(i)の懸濁液の金属ナノ物質は、細銀ナノワイヤー、及び前記細ナノワイヤーとは異なる2次銀ナノ粒子の混合物を含む、又はそれらで形成される。
水性アルコール溶媒媒体
用語「溶媒媒体」は、単一溶媒又は少なくとも2種の溶媒の混合物を指すことが意図される。
用語「水性アルコール溶媒媒体」は、水及び/又はアルコール、特にC~C10アルコールから選択される1種又は複数の溶媒を含む媒体を指すことが意図される。水は、水性アルコール溶媒媒体中に0~100質量%の量で存在しうる。
好ましくは、水性アルコール溶媒媒体は、水及び/又はC~C10、特にC~Cアルコール、好ましくはモノアルコールから選択される、特にメタノール、エタノール及びプロパノール、好ましくはメタノールから選択される1種又は複数の溶媒を含む、又はそれらで形成される。
例として、工程(i)の水性アルコール溶媒媒体は、メタノールでありうる。
水性アルコール溶媒媒体は、厳密に10mPa.秒未満の25℃における粘度を有する。特に、水性アルコール溶媒媒体は、5mPa.秒以下、好ましくは3mPa.秒以下、とりわけ2mPa.秒以下、特に0.1~1mPa.秒の範囲の25℃における粘度を有しうる。
粘度は、例えば、回転粘度計、振動体粘度計又は毛細管粘度計を使用して、当業者に公知の任意の従来の方法によって、測定できる。
特定の実施形態によると、本発明の方法の工程(i)の細金属ナノワイヤーを含む金属ナノ物質の懸濁液は、金属材料(前記金属ナノワイヤー及び2次ナノ粒子を構成する)の質量濃度が0.01質量%~5質量%の間、特に0.1質量%~2.0質量%の間である。
銀ナノワイヤーの精製の場合、したがって、工程(i)における金属ナノ物質の懸濁液中の銀の濃度は、0.01質量%~5質量%の間、特に0.1質量%~2.0質量%の間であってもよい。
特に、本発明の方法の工程(i)の細金属ナノワイヤーを含む金属ナノ物質の懸濁液は、前記金属ナノワイヤーを構成する金属材料、例えば銀ナノワイヤーの場合は銀の質量濃度が0.1~10g/Lの間、特に1~5g/Lの間であってもよい。
この濃度は、例えば、プラズマトーチ分光法(ICP-MS又はICP-OES)によって、又は原子吸光法によって測定できる。
当然のことながら、当業者は、特に上記の通りの、好適な量の1種又は複数の水性アルコール溶媒の添加によって、出発懸濁液中の金属材料の濃度を適合させることが完全に可能である。
工程(i)の金属ナノ物質の懸濁液の調製
上記の通り、本発明の方法の工程(i)の金属ナノ物質の懸濁液は、溶液中でのナノワイヤーの従来の合成の終了時、とりわけ、文献EP 3 021 230に記載の通りの第1の沈降工程後に得られた反応混合物から得ることができる。
したがって、特定の実施形態によると、工程(i)の金属ナノ物質の懸濁液は、とりわけ、
(a)10mPa.秒以上、特に10~50mPa.秒の間の25℃における粘度を有する溶媒媒体中の分散体の形態の、上記の通りの細ナノワイヤー及び特に上で定義される通りの2次ナノ粒子を含む金属ナノ物質の混合物を用意する工程;
(b)工程(a)の分散体を静置して、前記小粒子を含む上清相及び前記金属ナノ物質を含む沈殿物の形成に役立つ条件下で沈降させる工程;並びに
(c)沈降(b)の終了時に得られた沈殿物を単離し、前記沈殿物を、特に上記の通りの、厳密に10mPa.秒未満の粘度を有する水性アルコール溶媒媒体に分散させて、金属ナノ物質の前記懸濁液を得る工程
により得ることができる。
したがって、特定の実施形態によると、本発明による金属ナノワイヤーを精製する方法は、それらの合成反応混合物から細金属ナノワイヤーを単離するために行うことができ、
- 10mPa.秒以上の25℃における粘度を有する溶媒媒体中の分散体の形態の、細金属ナノワイヤー及び2次ナノ粒子を含む上で定義される通りの金属ナノ物質の混合物を用意する工程;
- 分散体を静置して、前記小粒子を含む上清相及び前記金属ナノ物質を含む沈殿物の形成に役立つ条件下で沈降させる工程;並びに
- 沈降の終了時に得られた沈殿物を単離し、前記沈殿物を厳密に10mPa.秒未満の25℃における粘度を有する水性アルコール溶媒媒体に分散させて、金属ナノ物質の懸濁液を得る工程;
- 金属ナノ物質の前記懸濁液に、金属又は半金属酸化物のナノ粒子を添加する工程;
- 金属又は半金属酸化物の前記ナノ粒子を添加したナノ物質の懸濁液を静置して、前記細金属ナノワイヤーを沈殿させるのに役立つ条件下で沈降させる工程;並びに
- 前記細金属ナノワイヤーで形成された沈降物質を回収する工程
を含みうる。
溶媒媒体中の分散体の形態の、上記の通りの細金属ナノワイヤーを望ましくない小金属粒子と一緒に含む金属ナノ物質を含む出発混合物は、適宜1種又は複数の溶媒で希釈された、溶液中でのナノワイヤーの従来の合成の終了時に得られた反応混合物でありうる。
金属ナノワイヤーの合成プロトコルは、当業者に周知である。一般に、それらは、核形成剤(一般にNaCl)及びポリビニルピロリドン(PVP)の存在下での、金属塩、例えば、銀ナノワイヤーの合成の場合、硝酸銀の、ポリオール、典型的にはエチレングリコールによる還元を含む。PVPは、様々な表面の銀ナノ結晶の成長速度を制御することが可能なブロッキング剤として作用する。
例として、それは、Toybouら、Environ. Sci.: Nano、2019、6、684[4]による論文に記載の合成の終了時に得られた反応混合物でありうる。
特定の実施形態によると、工程(a)の分散体のための溶媒媒体は、単一溶媒で形成される。例えば、それは、2~6個の炭素原子を有するポリオール、典型的にはエチレングリコールから従来選択される、金属ナノワイヤーの合成に用いられた反応溶媒で形成されうる。
なお別の変形実施形態によると、工程(a)の分散体のための溶媒媒体は、金属ナノワイヤーの合成に使用された反応溶媒とは異なる1種又は複数の溶媒で形成されうる。工程(a)の混合物は、例えば、反応溶媒の分離及び異なる性質の1種又は複数の溶媒の添加後、合成反応混合物から得られうる。
なお別の変形実施形態によると、工程(a)の分散体のための溶媒媒体は、好ましくは、イソプロパノール等のモノアルコール、特にC~C10、とりわけC~Cモノアルコールから選択される1種又は複数の溶媒が添加された反応溶媒、典型的にはエチレングリコールで形成されうる。
特に、工程(a)の混合物は、特に、モノアルコール、例えばイソプロパノールから選択される追加体積の溶媒が、場合により希釈目的で添加された、ナノワイヤーの合成の終了時に直接得られた反応混合物でありうる。
好ましくは、追加の溶媒、好ましくはモノアルコール、例えばイソプロパノールは、1:10~10:1、好ましくは2:1~1:2の範囲、とりわけ1:1の溶媒:反応混合物の体積比で、ナノワイヤーの合成のための反応混合物(「粗製反応混合物」とも呼ばれる)中で用いられる。
特定の実施形態によると、工程(a)の分散体のための溶媒媒体は、場合により1種又は複数のモノアルコール、特にC~C10モノアルコール、好ましくはイソプロパノールとの混合物中の、2~6個の炭素原子を有するポリオール、好ましくは2~4個の炭素原子を有するジオールから選択され、特にエチレングリコール及びプロピレングリコールから選択される1種又は複数の溶媒を含み、特にそれらで形成される。
好ましくは、前記ポリオール、好ましくはエチレングリコール及び前記モノアルコール、特にイソプロパノールは、1:10~10:1、好ましくは2:1~1:2の範囲、とりわけ1:1のポリオール/モノアルコールの体積比で存在する。
特定の実施形態によると、工程(a)の混合物は、0.1~10g/Lの間、特に1~4g/Lの間の濃度の前記金属ナノワイヤーを構成する金属材料を有する。
銀ナノワイヤーの場合、したがって、工程(a)の混合物中の銀の濃度は、0.1~10g/Lの間、特に1~4g/Lの間でありうる。
この濃度は、例えば、プラズマトーチ分光法(ICP-MS又はICP-OES)によって、又は原子吸光法によって測定できる。
当然のことながら、当業者は、好適な量の1種又は複数の溶媒、特に上記の通りの1種又は複数のモノアルコール、例えばイソプロパノールの添加によって、出発混合物中の金属材料の濃度を適合させることが完全に可能である。
上で示される通り、次いで、工程(a)の混合物を、静置して沈降させる。この第1の沈降により、上記の通りの望ましくない小粒子の一部を、混合物中に存在する金属ナノ物質(細ナノワイヤー及び次ナノ粒子)から分離することが可能になる。
より正確には、この第1の沈降の結果、溶媒媒体に分散した小粒子の一部を含む上清が生じる一方、沈降から生じた沈殿物(「沈降物」又は「沈降物質」とも呼ばれる)は、目的の細ナノワイヤーを含む金属ナノ物質を含む。
特に初期混合物の溶媒媒体の性質に関して、所望の分離を得るために、特に継続時間に関して沈降の操作条件を調節することは、当業者に任される。
沈降は、周囲温度で行われてもよい。
一般に、工程(b)の沈降は、2時間~18時間、好ましくは4時間~12時間の範囲の継続時間、特におよそ10時間、行われてもよい。
当然のことながら、この第1の沈降の継続時間は、短縮されてもよいが、分離の質の悪化の原因となりうる。過度に短い沈降継続時間は、沈降しなかった大量のナノワイヤーの損失につながりうることが理解される。
混合物(a)中に最初に存在する細金属ナノワイヤーの大部分を含む、この第1の沈降工程の終了時に得られた沈殿物は、次いで、単離され、次いで、上記の通りの水性アルコール溶媒媒体に分散される。
沈降生成物は、例えば、吸引装置、例えばピペットによって上清相を除去することによって回収されうる。
除去された上清相は、出発材料を回収するために、特に、銀等の金属材料を再利用するために、別途処理されうる。
金属又は半金属酸化物のナノ粒子によって補助された沈降
金属又は半金属酸化物のナノ粒子
上で示される通り、本発明の方法の工程(ii)において、例えば上記の通りに得られた目的の細ナノワイヤーを含む金属ナノ物質の懸濁液は、金属又は半金属酸化物のナノ粒子を添加される。
これらの金属又は半金属酸化物のナノ粒子は、有利には、球形の形状でありうる。用語「球形」の粒子は、球の形状又は実質的に球の形状を有する粒子を指すことが意図される。
本発明に従って用いられる金属又は半金属酸化物のナノ粒子は、細金属ナノワイヤーの平均直径の50%以下、特に細金属ナノワイヤーの平均直径の20%以下、好ましくは細金属ナノワイヤーの平均直径の10%以下の平均直径を有する。
特に、それらは、25nm以下、好ましくは15nm以下、特に5~12nmの間の平均直径を有しうる。
金属又は半金属酸化物のナノ粒子は、BET法に従って測定して、80~500m/gの間、特に100~250m/gの間の比表面積を有しうる。
ナノ粒子は、金属酸化物、半金属酸化物及びその混合物、特にアルミナ(Al)、シリカ(SiO)、酸化鉄、酸化マンガン、酸化チタン及び酸化亜鉛から選択される材料で構成される。
特定の実施形態によると、本発明に従って用いられる金属又は半金属酸化物のナノ粒子は、シリカナノ粒子である。
金属又は半金属酸化物のナノ粒子は、上で定義される通りの、水性アルコール溶媒媒体中の前記ナノ粒子の懸濁液の形態の金属ナノ物質の懸濁液に添加されうる。
例えば、それらは、水及びC~C10モノアルコール、例えばメタノールから選択される1種又は複数の溶媒中の金属又は半金属酸化物のナノ粒子の懸濁液の形態で用いられうる。
金属又は半金属酸化物のナノ粒子の懸濁液は、購入してもよく、又は市販の懸濁液から、例えば1種又は複数のナノ粒子モノアルコール中で希釈することによって調製してもよい。
例として、Sigma-Aldrich社によってLudox(登録商標)の名称で販売されているシリカナノ粒子の懸濁液を挙げることができる。
好ましくは、金属又は半金属酸化物のナノ粒子は、細金属ナノワイヤー/金属又は半金属酸化物のナノ粒子の質量比1:1~1:100の間で、目的の前記細ナノワイヤーを含む金属ナノ物質の懸濁液に導入される。
特に、細金属ナノワイヤー/金属又は半金属酸化物のナノ粒子の質量比は、1:2~1:20の間、とりわけ1:8~1:12、特におよそ1:10でありうる。
有利には、金属又は半金属酸化物の前記ナノ粒子を添加した金属ナノ物質の懸濁液は、前記金属ナノワイヤーを構成する金属材料、例えば銀ナノワイヤーの精製の場合は銀の質量濃度が0.1~10g/Lの間、特に1~5g/Lの間である。
沈降
本発明の方法の工程(iii)において、金属又は半金属酸化物の前記ナノ粒子を添加した金属ナノ物質の懸濁液を静置して、沈降させる。
この第2の沈降の結果、細金属ナノワイヤーを含む沈殿物(沈降物質)が生じる一方、前記ナノワイヤーとは異なる2次ナノ粒子は、上清中に残る。
所望の分離を得るために、特に継続時間に関して沈降の操作条件を調節することは、当業者に任される。
沈降は、周囲温度で行われてもよい。
有利なことに、細金属ナノワイヤー及び2次ナノ粒子は、短い沈降の継続時間、特に6時間以下、とりわけ2~4時間の間の持続時間で良好に分離することができる。
有利には、沈降の終了時、沈降物質は、ナノ物質の出発懸濁液中に存在する細金属ナノワイヤーの80%超、特に細金属ナノワイヤーの90%超を含む。
有利には、沈降物質は、10質量%未満、特に5質量%未満、有利には2質量%未満の、所望の細ナノワイヤー以外の金属ナノ物質を含む。
当然のことながら、沈降の継続時間は、細金属ナノワイヤーに許容される副生成物の量に応じて、分離の質が悪化するまで短縮してもよい。
この沈降工程の終了時、表面に金属又は半金属酸化物の前記ナノ粒子を有する、細金属ナノワイヤーで本質的に形成される沈降物質が、上清相から単離される。
前記細ナノワイヤーとは異なる2次金属ナノ粒子、例えば銀ナノ粒子を含む上清相について、これは、出発材料を回収するために、特に金属材料、例えば銀を再利用するために、別途処理されうる。
浸透回路網の形成のためのその使用の観点から、表面に金属又は半金属酸化物のナノ粒子が存在する、細金属ナノワイヤー、例えば細銀ナノワイヤーから本質的になる、工程(iv)の終了時に得られた沈降物質は、水性アルコール溶媒媒体、例えば、水又はメタノール中に再分散することができ、前記分散体は、金属ナノワイヤーの浸透回路網を形成するのに使用することができる。
所望濃度の金属ナノワイヤー、典型的には、50~1000mg/Lの間の濃度の金属材料を得るために、水性アルコール溶媒媒体の含有量を調節することは、当業者に任される。
本発明の方法の終了時に精製され、水性アルコール溶媒媒体に分散された金属ナノワイヤーは、透明な電気伝導性材料、例えば透明電極を製造するのに使用されうる。
そのような透明な電気伝導性材料を製造する方法は、当業者に公知である。
例えば、ナノワイヤーの浸透回路網は、例えば、噴霧、蒸発、スピンコーティング、コーティング、スクリーン印刷等によって、好ましくはスプレーコーティングによって、ナノワイヤーの懸濁液から、基板、例えばガラス基板の表面に堆積されうる。
有利なことに、細金属ナノワイヤーの分散体中における金属又は半金属酸化物のナノ粒子の存在は、前記金属ナノワイヤーに基づく浸透回路網の性能に有害な影響を及ぼさない。シリカナノ粒子等のそのような金属又は半金属酸化物のナノ粒子の存在により、ナノ複合体の形成のための、エポキシマトリックス等のポリマーマトリックス中の銀ナノワイヤー等の金属ナノワイヤーの分散が改善しうる。
(例1)(反例)
ナノワイヤーの従来の精製
銀ナノワイヤーを、論文Environ. Sci.: Nano、2019、6、684[4]に記載のポリオール媒体の合成に従って合成して、10μmの平均長及び30nmの平均直径のナノワイヤーを得る。
ナノワイヤーの合成後、反応混合物を冷却する。
次いで、4g/kgの銀の質量濃度の混合物を、10cm直径の晶析装置に分注する。懸濁液は、6cmの高さまで存在する。
混合物を72時間静置して沈降させる。
72時間の沈降の終了時、ナノ粒子及び目的のナノワイヤーの分離は不十分であり、ナノ物質をほとんど回収できない。
単離された沈降物質中に存在するナノワイヤーは、電極の製造に使用できるが、なお、無視できない量の2次ナノ粒子を含有する。
数回の沈降工程で、満足のいく分離(目的のナノワイヤーに対して5%質量未満の銀ナノ粒子)を得るのに、約3週間を要する。
(例2)(反例)
金属又は半金属酸化物のナノ粒子の補助なしでの沈降による精製
銀ナノワイヤーを、例1に記載の通りに合成する。
ナノワイヤーの合成後、反応混合物を冷却する。4g/kgの銀のこの混合物にイソプロパノールを添加する(体積で1:1)。12時間後に得られた沈降物質を単離し、メタノール中に再分散させる。
銀ナノ物質(ナノワイヤー及び望ましくない銀ナノ粒子)の大部分を含有するこの懸濁液を、液体高さ6cmで晶析装置中で4時間静置して、沈降させる。
細ナノワイヤー及び2次ナノ粒子間の顕著な分離は観察されない。
(例3)
金属又は半金属酸化物のナノ粒子によって補助された沈降による精製
銀ナノワイヤーを、例1に記載の通りに合成する。
ナノワイヤーの合成後、反応混合物を冷却する。4g/kgの銀のこの混合物にイソプロパノールを添加する(体積で1:1)。12時間後に得られた沈降物質を単離し、メタノール中に再分散させる。
0.35質量%の銀の濃度の、銀ナノ物質(ナノワイヤー及び望ましくない銀ナノ粒子)の大部分を含有するこの懸濁液に、Ludox(登録商標)の名称で販売されている数種類のシリカナノ粒子溶液から調製したアルコール水溶液を添加する。
用いたシリカナノ粒子溶液の特性を以下の表にまとめる。
Figure 2022538326000001
Ludox溶液(登録商標)の各々を、メタノール中で希釈して、銀ナノワイヤーの溶液の質量濃度に近い質量濃度を得る(溶液1kg当たりおよそ4g)。
銀ナノワイヤーの溶液の体積を、アルコールLudox(登録商標)水溶液の体積と混合する。これらの混合物を、異なるナノワイヤー/シリカナノ粒子の質量比:1/1、1/10及び1/100で作製する。
溶液を、走査型電子顕微鏡(SEM)で観察する。
図1及び図2は、それぞれ、銀ナノワイヤー、及びナノワイヤー/ナノ粒子の質量比1/10の銀ナノワイヤーとLudox(登録商標)AM-30溶液からのシリカナノ粒子との混合物について得られたSEM画像を示す。ナノワイヤーがシリカナノ粒子によって十分被覆されていることが観察できる。
溶液を晶析装置(液体高さ6cm)中で4時間静置して、沈降させる。
沈降は迅速である。このようにして、4時間の沈降の結果、多量かつ良質な分離がもたらされる(不適合アスペクト比を有する銀ナノ粒子5質量%未満、比は走査型電子顕微鏡で推定する)。
こうして精製したナノワイヤーにより、金属酸化物ナノ粒子の添加なしに3週間沈降した後に得られたナノワイヤーと同じ、2次元浸透回路網電子光学性能を実現することが可能になる。
(参考文献)
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[2]Namら、ACS Nano 7、851-856 (2013);
[3]Choら、J. Appl. Phys. 115、154307 (2014);
[4]Toybouら、Environ. Sci.: Nano、2019、6、684。

Claims (14)

  1. 金属ナノワイヤーを精製する方法であって、少なくとも、
    (i)厳密に10mPa.秒未満の25℃における粘度を有する水性アルコール溶媒媒体中の金属ナノ物質の懸濁液を用意する工程であり、前記金属ナノ物質が、
    - 50以上のアスペクト比及び60nm以下の平均直径を有する、「細ナノワイヤー」と呼ばれるナノワイヤー;及び
    - 30以下のアスペクト比及び200nm以下の体積平均相当直径を有する、前記細ナノワイヤーとは異なる2次ナノ粒子
    を含む、工程;
    (ii)金属ナノ物質の前記懸濁液に、前記ナノワイヤーの平均直径の50%以下の直径を有する金属又は半金属酸化物のナノ粒子を添加する工程;
    (iii)金属又は半金属酸化物の前記ナノ粒子を添加した金属ナノ物質の前記懸濁液を静置して、前記細金属ナノワイヤーを沈殿させるのに役立つ条件下で沈降させる工程;並びに
    (iv)前記細金属ナノワイヤーから形成された沈降物質を回収する工程
    を含む、方法。
  2. 工程(i)の前記懸濁液の金属ナノ物質が、細銀ナノワイヤー、及び前記細ナノワイヤーとは異なる2次銀ナノ粒子を含む、又はそれらで形成される、請求項1に記載の方法。
  3. 前記細金属ナノワイヤーが、10~60nm、特に20~50nm、とりわけ30~40nmの範囲の平均直径;及び/又は厳密に50超、好ましくは100以上、より優先的には150以上、特に200以上、とりわけ200~1000の間のアスペクト比を有する、請求項1又は2に記載の方法。
  4. 前記細ナノワイヤーとは異なる前記2次金属ナノ粒子が、10以下、特に1~8の間、とりわけ2~5の間のアスペクト比;及び/又は100nm以下、特に1~50nmの間の体積平均相当直径を有する、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
  5. 前記水性アルコール溶媒媒体が、水及び/又はアルコール、特にC~C10モノアルコール、特にメタノールから選択される1種又は複数の溶媒で形成される、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
  6. 前記水性アルコール溶媒媒体が、5mPa.秒以下、好ましくは3mPa.秒以下、とりわけ2mPa.秒以下、特に0.1~1mPa.秒の範囲の25℃における粘度を有する、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
  7. 工程(i)の金属ナノ物質の前記懸濁液が、
    (a)10mPa.秒以上の25℃における粘度を有する溶媒媒体中の分散体の形態の、請求項1から4のいずれか一項に規定の細ナノワイヤー及び2次ナノ粒子を含む金属ナノ物質の混合物を用意する工程;
    (b)工程(a)の分散体を静置して、前記小粒子を含む上清相及び前記金属ナノ物質を含む沈殿物の形成に役立つ条件下で沈降させる工程;並びに
    (c)沈降(b)の終了時に得られた沈殿物を単離し、前記沈殿物を、特に請求項6又は7に規定の、厳密に10mPa.秒未満の25℃における粘度を有する水性アルコール溶媒媒体に分散させて、金属ナノ物質の前記懸濁液を得る工程
    により事前に得られる、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
  8. 工程(a)の混合物が、溶液中、特にエチレングリコール等のポリオール溶媒中での金属ナノワイヤーの合成の終了時に得られた反応混合物であり、前記溶液には、特にイソプロパノール等のモノアルコールから選択された溶媒の追加体積が、場合により希釈目的で添加される、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
  9. 工程(ii)で用いられる金属又は半金属酸化物の前記ナノ粒子が、細金属ナノワイヤーの平均直径の20%以下、特に細金属ナノワイヤーの平均直径の10%以下の平均直径を有する、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
  10. 工程(ii)で用いられる金属又は半金属酸化物の前記ナノ粒子が、金属酸化物、半金属酸化物及びその混合物から、特にアルミナ(Al)、シリカ(SiO)、酸化鉄、酸化マンガン、酸化チタン及び酸化亜鉛から選択される材料で構成され、好ましくはシリカナノ粒子である、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
  11. 金属又は半金属酸化物の前記ナノ粒子が、細金属ナノワイヤー/金属又は半金属酸化物のナノ粒子の質量比1:1~1:100の間、特に1:2~1:20の間、とりわけ1:8~1:12、特におよそ1:10で工程(ii)において用いられる、請求項1から10のいずれか一項に記載の方法。
  12. 工程(ii)の終了時に得られた金属又は半金属酸化物の前記ナノ粒子を添加した金属ナノ物質の前記懸濁液は、前記金属ナノワイヤーを構成する金属材料、例えば銀ナノワイヤーの場合は銀の質量濃度が0.1~10g/Lの間、特に1~5g/Lの間である、請求項1から11のいずれか一項に記載の方法。
  13. 工程(iii)の沈降が、6時間以下、とりわけ2~4時間の間の継続時間、行われる、請求項1から12のいずれか一項に記載の方法。
  14. 工程(iv)の終了時に得られた沈降物質を、水性アルコール溶媒媒体に再分散させ、次いで前記分散体を、金属ナノワイヤーの浸透回路網を形成するのに使用することができる、請求項1から13のいずれか一項に記載の方法。
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