JP2021063146A - 封止用樹脂組成物、半導体装置およびパワーデバイス - Google Patents

封止用樹脂組成物、半導体装置およびパワーデバイス Download PDF

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Abstract

【課題】パワーデバイス等の半導体装置の信頼性を高めることが可能な封止用樹脂組成物を提供すること。【解決手段】エポキシ樹脂、硬化剤および充填材を含む封止用樹脂組成物。この封止用樹脂組成物の硬化物の、175℃での比誘電率をεr、ガラス転移温度をTg(℃)、40〜80℃における線熱膨張係数をα1(ppm/℃)、190〜230℃における線熱膨張係数をα2(ppm/℃)、25℃における弾性率をE1(MPa)、260℃における弾性率をE2(MPa)とし、かつ、以下数式(1)および(2)のようにS1およびS2をそれぞれ定義したとき、εrは7以下であり、かつ、S1+S2は40MPa以下である。S1=E1×α1×{Tg−(−40)} ・・・(1)S2=E2×α2×(260−Tg) ・・・(2)【選択図】図1

Description

本発明は、封止用樹脂組成物、半導体装置およびパワーデバイスに関する。より具体的には、封止用樹脂組成物、その封止用樹脂組成物の硬化物を備える半島体装置、および、その封止用樹脂組成物の硬化物を備えるパワーデバイスに関する。
半導体パッケージ等を封止するための材料として、エポキシ樹脂を含む熱硬化性の樹脂組成物(封止用樹脂組成物)が知られている。
例えば、特許文献1には、特定のジヒドロアントラセン骨格含有エポキシ樹脂を30〜100質量%含有するエポキシ樹脂、フェノール硬化剤、無機充填剤、およびステアリン酸ワックスを含有する封止用樹脂組成物が開示されている。特許文献1には、この封止用樹脂組成物は、反りが小さく、かつ室温からリフロー温度における反りの温度変化が小さいメリットを有すると記載されている。
特開2010−084091号公報
封止用樹脂組成物によりパワーモジュールを封止して、パワーデバイスを製造することが考えられる。
パワーデバイスは他のデバイスに比べて大電流が流れるため、特に高い信頼性が求められる。ここでの「信頼性」とは、例えば、(1)高温高電圧下の駆動時にも耐電圧の低下が抑えられることや、(2)MSL(Moisture Sensitivity Level)で評価される耐湿性が良好であること等である。
パワーデバイスの信頼性を高める手段として、封止用樹脂組成物を改良することが考えられる。
今回、本発明者は、パワーデバイス等の半導体装置の信頼性を高めることが可能な封止用樹脂組成物を提供するために、鋭意検討を行った。
本発明者らは、鋭意検討の結果、以下に提供される発明を完成させ、上記課題を解決した。
本発明によれば、以下の封止用樹脂組成物が提供される。
エポキシ樹脂、硬化剤および充填材を含む封止用樹脂組成物であって、
当該封止用樹脂組成物の硬化物の
175℃での比誘電率をεr、
ガラス転移温度をTg(℃)、
40〜80℃における線熱膨張係数をα(ppm/℃)、
190〜230℃における線熱膨張係数をα(ppm/℃)、
25℃における弾性率をE(MPa)、
260℃における弾性率をE(MPa)とし、
かつ、以下数式(1)および(2)のようにSおよびSをそれぞれ定義したとき、
εrは7以下であり、かつ、S+Sは40MPa以下である、封止用樹脂組成物。
=E×α×{Tg−(−40)} ・・・(1)
=E×α×(260−Tg) ・・・(2)
また、本発明によれば、
上記の封止用樹脂組成物の硬化物を備える半導体装置
が提供される。
また、本発明によれば、
上記の封止用樹脂組成物の硬化物を備えるパワーデバイス
が提供される。
本発明によれば、パワーデバイス等の半導体装置の信頼性を高めることが可能な封止用樹脂組成物が提供される。
半導体装置の一例を示す断面図である。 図1とは異なる半導体装置の一例を示す断面図である。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ、詳細に説明する。
すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。
煩雑さを避けるため、(i)同一図面内に同一の構成要素が複数ある場合には、その1つのみに符号を付し、全てには符号を付さない場合や、(ii)特に図2以降において、図1と同様の構成要素に改めては符号を付さない場合がある。
すべての図面はあくまで説明用のものである。図面中の各部材の形状や寸法比などは、必ずしも現実の物品と対応しない。
本明細書中、「略」という用語は、特に明示的な説明の無い限りは、製造上の公差や組立て上のばらつき等を考慮した範囲を含むことを表す。
本明細書中、数値範囲の説明における「x〜y」との表記は、特に断らない限り、x以上y以下のことを表す。例えば、「1〜5質量%」とは「1質量%以上5質量%以下」を意味する。
本明細書における基(原子団)の表記において、置換か無置換かを記していない表記は、置換基を有しないものと置換基を有するものの両方を包含するものである。例えば「アルキル基」とは、置換基を有しないアルキル基(無置換アルキル基)のみならず、置換基を有するアルキル基(置換アルキル基)をも包含するものである。
本明細書における「(メタ)アクリル」との表記は、アクリルとメタクリルの両方を包含する概念を表す。「(メタ)アクリレート」等の類似の表記についても同様である。
<封止用樹脂組成物>
本実施形態の封止用樹脂組成物は、エポキシ樹脂、硬化剤および充填材を含む。
本実施形態の封止用樹脂組成物の硬化物の、
・175℃での比誘電率をεr、
・ガラス転移温度をTg(℃)、
・40〜80℃における線熱膨張係数をα(ppm/℃)、
・190〜230℃における線熱膨張係数をα(ppm/℃)、
・25℃における弾性率をE(MPa)、
・260℃における弾性率をE(MPa)とする。
とする。
また、以下数式(1)および(2)のように、SおよびSをそれぞれ定義する。
=E×α×{Tg−(−40)} ・・・(1)
=E×α×(260−Tg) ・・・(2)
本実施形態の封止用樹脂組成物において、εrは7以下であり、かつ、S+Sは40MPa以下である。
この封止用樹脂組成物を用いて半導体装置(パワーデバイス等)を製造することで、半導体装置の信頼性を高めることができる。この理由は必ずしも明らかではないが、本発明者のこれまでの検討、知見、推測などに基づくと、以下のように説明することができる。
パワーデバイスは、しばしば高温状態で駆動される。よって、常温だけでなく「高温下」において、電流のリーク等が少ないことが、信頼性向上につながると考えられる。
よって、本発明者は「175℃での」比誘電率εrを、封止用樹脂組成物の設計因子の1つに設定した。
また、本発明者は、硬化物の熱膨張/硬化物中の水分が気化することによる膨張による「内部応力の発生」が、パワーデバイス等の半導体装置の信頼性に関係しているのではないかとも考えた。過剰な内部応力は、半導体素子構造の変形や、硬化物(封止材)の剥がれ等を引き起こすと推測されたためである。
この「内部応力の発生」について、本発明者は更に検討を進めた。そして、εrに加え、上述の数式(1)および(2)で定義されたSとSの和を、封止用樹脂組成物の設計指標とした。
およびSは、線膨張係数(α)×特定の温度範囲(T)×弾性率(E)の掛け算である。線膨張係数は、温度の上昇によって物体が膨張する割合を1℃当たりで示したものであるから、α×Tは、硬化物の単位長さ当たりの「膨張(伸び)の度合い」に対応すると言える。そして、そのα×Tに、応力−ひずみ間の比例定数である弾性率(E)を掛けたSおよびSは、硬化物が膨張したときに発生する内部応力の指標であると言える。
ちなみに、数式(1)および(2)の2つの数式を設けた理由は、通常、樹脂の膨張率や弾性率の挙動は、ガラス転移温度を境として大きく異なるためである。通常、ガラス転移温度以下の温度領域では、樹脂の膨張率は小さく、弾性率は大きい。一方、ガラス転移温度以上の温度領域では、樹脂の膨張率は大きく、弾性率は小さい。
数式(1)で定義されるSは、−40℃から硬化物のガラス転移温度までの温度領域での内部応力を表す指標と言える。
数式(2)で定義されるSは、硬化物のガラス転移温度から260℃までの温度領域での内部応力を表す指標と言える。
つまり、SとSの和は、パワーデバイス等の半導体素子が置かれうる様々な環境下で発生する内部応力を表す指標と言える。
本発明者は、(i)εr、および、(ii)S+Sを設計指標として封止用樹脂組成物の設計を進めた。そして、εrが7以下であり、かつ、S+Sが40MPa以下である封止用樹脂組成物を新たに設計した。この新たな封止用樹脂組成物を用いてパワーモジュール等の半導体素子を封止することで、半導体装置の信頼性を高めることができた。
すなわち、εrが7以下であることにより、大電流が流れて高温状態にあるパワーデバイスにおいても、耐電圧の低下が抑えられたものと考えられる。また、S+Sが40MPa以下であることにより、様々な環境下で発生する内部応力を小さくすることができ、半導体素子構造の変形や硬化物(封止材)の剥がれ等が抑えられたものと考えられる。
本実施形態の封止用樹脂組成物を製造するためには、使用素材や各素材の配合比率などを注意深く選択することが好ましい。
本実施形態の封止用樹脂組成物を製造するに当たっては、例えば、エポキシ樹脂の少なくとも一部としてナフチルエーテル骨格を有するエポキシ樹脂を用いること、ポリロタキサンを用いること、シリコーンゴム粒子の表面がシリコーンレジンで被覆されたシリコーン複合粒子を用いること等が好ましい。また、これらの素材を適切な量で用いることが好ましい(もちろん、これら以外の素材を用いて、εrおよびS+Sが適切な値の組成物を製造してもよい)。好ましく用いられる素材や各素材の配合比率等の詳細については、追って説明する。
ちなみに、従来の封止用樹脂組成物の設計では、εrを7以下とし、かつ、S+Sを40MPa以下とすることは難しいと考えられる。これについては以下のように説明される。
樹脂材料においては、通常、分子運動が活発であればあるほどεrは大きくなりがちである(分子運動が活発なほど、外部電場により分極が起こりやすくなる)。よって、εrを小さくしようとした場合、樹脂材料のガラス転移温度Tgを大きくして、分子運動を抑えることが考えられる。
しかし、Tgを大きく設計してεrを小さくすると、今度はS+Sが大きくなりがちである。
これは、通常、樹脂材料の弾性率は、ガラス転移温度を挟んで、10〜10程度変化し、E>>Eである一方で、樹脂材料の熱膨張係数は、ガラス転移温度以下と以上で、最大でも7倍程度の違いである。
(ガラス転移温度を超えると、樹脂材料は急激にやわらかくなる。よって、弾性率についてはE>>Eとなる。一方、熱膨張係数については、α>αではあるものの、αの大きさはαの最大7倍程度には収まる。)
本実施形態では、使用素材や各素材の配合比率などを注意深く選択することで、εrおよびS+Sが適切な値の封止用樹脂組成物を製造することができる。
以下、本実施形態の封止用樹脂組成物が含むまたは含むことができる成分、本実施形態の封止用樹脂組成物の性状などについて、説明を続ける。
(エポキシ樹脂)
本実施形態の封止用樹脂組成物は、エポキシ樹脂を含む。
エポキシ樹脂は、具体的には、1分子内にエポキシ基を2個以上有するモノマー、オリゴマー、ポリマー全般でありうる。エポキシ樹脂の分子量や分子構造などは特に限定されない。
エポキシ樹脂は、ナフチルエーテル骨格を有するエポキシ樹脂を含むことが好ましい。これにより、特に、εrを7以下に設計しやすい。また、封止用樹脂組成物を硬化させる際の流動特性や収縮率などの観点からも、ナフチルエーテル骨格を有するエポキシ樹脂は好ましい。
ナフチルエーテル骨格を有するエポキシ樹脂として具体的には、下記一般式(NE)で表されるエポキシ樹脂が挙げられる。
Figure 2021063146
一般式(NE)中、
は、それぞれ独立して、水素原子又はメチル基を示し、
Ar及びArは、それぞれ独立して、ナフチレン基又はフェニレン基を示し、両基はそれぞれ炭素数1〜4のアルキル基又はフェニレン基を置換基として有してもよく、
は、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基又はアラルキル基を示し、
p及びqは、それぞれ独立して、0〜4の整数であり、ただし、pとqの何れか一方は1以上であり、
は、それぞれ独立して、水素原子、アラルキル基又はエポキシ基含有芳香族炭化水素基を示す。
一般式(NE)中、Rがアラルキル基である場合、そのアラルキル基は、下記一般式(A)で表されるアラルキル基であることができる。
一般式(NE)中、Rがアラルキル基である場合、そのアラルキル基は、下記一般式(A)で表されるアラルキル基であることができる。
Figure 2021063146
一般式(A)中、
及びRは、それぞれ独立して、水素原子又はメチル基を示し、
Arはフェニレン基、1〜3の水素原子が炭素数1〜4のアルキル基で核置換されたフェニレン基、若しくはナフチレン基、又は1〜3の水素原子が炭素数1〜4のアルキル基で核置換されたナフチレン基を表し、
rは、平均で0.1〜4の数である。
一般式(NE)中、Rがエポキシ基含有芳香族炭化水素基である場合、そのエポキシ基含有芳香族炭化水素基は、下記一般式(E)で表されるエポキシ基含有芳香族炭化水素基であることができる。
Figure 2021063146
一般式(E)中、
は、水素原子又はメチル基を示し、
Arは、ナフチレン基、又は、炭素数1〜4のアルキル基、アラルキル基若しくはフェニレン基を置換基として有するナフチレン基を示し、
sは1又は2の整数である。
本実施形態の封止用樹脂組成物は、エポキシ樹脂として、ナフチルエーテル骨格を有するエポキシ樹脂と、それ以外のエポキシ樹脂(以下、「他のエポキシ樹脂」とも表記する)とを含むことが好ましい。
別の言い方として、本実施形態では、ナフチルエーテル骨格を有するエポキシ樹脂と、他のエポキシ樹脂とが併用されることが好ましい。
他のエポキシ樹脂としては、例えば、ビフェニル型エポキシ樹脂;ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、テトラメチルビスフェノールF型エポキシ樹脂等のビスフェノール型エポキシ樹脂;スチルベン型エポキシ樹脂;フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂等のノボラック型エポキシ樹脂;トリフェノールメタン型エポキシ樹脂、アルキル変性トリフェノールメタン型エポキシ樹脂等の多官能エポキシ樹脂;フェニレン骨格を有するフェノールアラルキル型エポキシ樹脂、ビフェニレン骨格を有するフェノールアラルキル型エポキシ樹脂等のフェノールアラルキル型エポキシ樹脂;トリグリシジルイソシアヌレート、モノアリルジグリシジルイソシアヌレート等のトリアジン核含有エポキシ樹脂;ジシクロペンタジエン変性フェノール型エポキシ樹脂等の有橋環状炭化水素化合物変性フェノール型エポキシ樹脂などを挙げることができる。
本実施形態の封止用樹脂組成物は、他のエポキシ樹脂として、2種以上のエポキシ樹脂を含んでもよい。
耐湿性と成形性のバランス向上の観点などからは、他のエポキシ樹脂は、ビスフェノール型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、フェノールアラルキル型エポキシ樹脂、およびトリフェノールメタン型エポキシ樹脂のうちの少なくとも一つを含むこと好ましい。半導体装置の反りを抑制する観点からは、フェノールアラルキル型エポキシ樹脂およびノボラック型エポキシ樹脂のうちの少なくとも一つを含むことがとくに好ましい。流動性を向上させるためにはビフェニル型エポキシ樹脂が好ましい。高温の弾性率を制御するためにはビフェニレン骨格を有するフェノールアラルキル型エポキシ樹脂が好ましい。
他のエポキシ樹脂としてより具体的には、例えば、下記一般式(1)で表されるエポキシ樹脂、下記一般式(2)で表されるエポキシ樹脂、下記一般式(3)で表されるエポキシ樹脂、下記一般式(4)で表されるエポキシ樹脂および下記一般式(5)で表されるエポキシ樹脂からなる群から選択される少なくとも1種を挙げることができる。特に、下記一般式(5)で表されるエポキシ樹脂を含むものが好ましい。
Figure 2021063146
一般式(1)中、
Arはフェニレン基またはナフチレン基を表し、Arがナフチレン基の場合、グリシジルエーテル基はα位、β位のいずれに結合していてもよく、
Arはフェニレン基、ビフェニレン基またはナフチレン基のうちのいずれか1つの基を表し、
およびRは、それぞれ独立に炭素数1〜10の炭化水素基を表し、
gは0〜5の整数であり、
hは0〜8の整数であり、
は重合度を表し、その平均値は1〜3である。
Figure 2021063146
一般式(2)中、
複数存在するRは、それぞれ独立に水素原子または炭素数1〜4の炭化水素基を表し、
は重合度を表し、その平均値は0〜4である。
Figure 2021063146
一般式(3)中、
複数存在するRおよびRは、それぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜4の炭化水素基を表し、
は重合度を表し、その平均値は0〜4である。
Figure 2021063146
一般式(4)中、
複数存在するRは、それぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜4の炭化水素基を表し、
は重合度を表し、その平均値は0〜4である。
Figure 2021063146
一般式(5)中、
複数存在するRは、それぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜4の炭化水素基を表し、
は重合度を表し、その平均値は0〜4である。
ナフチルエーテル骨格を有するエポキシ樹脂と、他のエポキシ樹脂とを併用する場合、その併用比率を調整することで、種々の性能の一層の向上を図ることができる。
具体的には、エポキシ樹脂の全量を100質量部としたとき、ナフチルエーテル骨格を有するエポキシ樹脂の量は、1〜70質量部が好ましく、10〜65質量部がより好ましく、30〜60質量部が更に好ましい。そして、エポキシ樹脂の残部が、他のエポキシ樹脂(例えば上記一般式(1)〜(5)のようなもの)であることが好ましい。
エポキシ樹脂の含有量(2種以上のエポキシ樹脂を含む場合はそれらの合計量)は、成形時に好適な流動性を得て充填性や成形性の向上を図る観点から、封止用樹脂組成物の固形分全体(100質量%)に対して、好ましくは2質量%以上、より好ましくは3質量%以上、さらに好ましくは4質量%以上である。
また、エポキシ樹脂の含有量は、他の成分の含有量を十分に多くする観点から、封止用樹脂組成物の固形分全体(100質量%)に対して、好ましくは40質量%以下、より好ましくは30質量%以下、さらに好ましくは15質量%以下、特に好ましくは10質量%以下である。
(硬化剤)
本実施形態の封止用樹脂組成物は、硬化剤を含む。
硬化剤は、半導体封止用樹脂組成物に一般に使用されているものであれば特に制限はない。例えば、フェノール系硬化剤、アミン系硬化剤、酸無水物系硬化剤、メルカプタン系硬化剤などが挙げられる。
耐燃性、耐湿性、電気特性、硬化性、保存安定性等のバランスの点からは、フェノール系硬化剤が好ましい。
・フェノール系硬化剤
フェノール系硬化剤としては、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂をはじめとするフェノール、クレゾール、レゾルシン、カテコール、ビスフェノールA、ビスフェノールF、フェニルフェノール、アミノフェノール、α−ナフトール、β−ナフトール、ジヒドロキシナフタレン等のフェノール類とホルムアルデヒドやケトン類とを酸性触媒下で縮合又は共縮合させて得られるノボラック樹脂、上記したフェノール類とジメトキシパラキシレン又はビス(メトキシメチル)ビフェニルから合成されるビフェニレン骨格を有するフェノールアラルキル樹脂、フェニレン骨格を有するフェノールアラルキル樹脂などのフェノールアラルキル樹脂、トリスフェニルメタン骨格を有するフェノール樹脂、などが挙げられる。
・アミン系硬化剤
アミン系硬化剤としては、ジエチレントリアミン(DETA)やトリエチレンテトラミン(TETA)やメタキシリレンジアミン(MXDA)などの脂肪族ポリアミン、ジアミノジフェニルメタン(DDM)やm−フェニレンジアミン(MPDA)やジアミノジフェニルスルホン(DDS)などの芳香族ポリアミンのほか、ジシアンジアミド(DICY)や有機酸ジヒドララジドなどを含むポリアミン化合物などが挙げられる。
・酸無水物系硬化剤
酸無水物系硬化剤としては、ヘキサヒドロ無水フタル酸(HHPA)やメチルテトラヒドロ無水フタル酸(MTHPA)や無水マレイン酸などの脂環族酸無水物、無水トリメリット酸(TMA)や無水ピロメリット酸(PMDA)やベンゾフェノンテトラカルボン酸(BTDA)、無水フタル酸などの芳香族酸無水物などが挙げられる。
・メルカプタン系硬化剤
メルカプタン系硬化剤としては、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトブチレート)、トリメチロールエタントリス(3−メルカプトブチレート)などが挙げられる。
・その他硬化剤
その他の硬化剤としては、イソシアネートプレポリマーやブロック化イソシアネートなどのイソシアネート化合物、カルボン酸含有ポリエステル樹脂などの有機酸類などが挙げられる。これらを単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
封止用樹脂組成物は、硬化剤を1種のみ含んでもよいし、2種以上含んでもよい。ここでの「2種以上」とは、例えばフェノール系硬化剤とアミン系硬化剤のような、反応性官能基が異なる2種以上の硬化剤の併用であってもよいし、反応性官能基が同種の2種以上の硬化剤の併用であってもよい。
本実施形態において、硬化剤の量は、エポキシ樹脂の量100質量部に対し、45〜85質量部が好ましく、50〜80質量部がより好ましく、55〜75質量部が更に好ましい。
別観点として、硬化剤の量は、例えば、封止用樹脂組成物の全固形分(100質量%)に対して0.5質量%以上が好ましく、1質量%以上がより好ましく、1.5質量%以上がさらに好ましい。これにより、成形時に優れた流動性となり、充填性や成形性の向上が図られる。
硬化剤の含有量の上限値は特に無いが、例えば、封止用樹脂組成物の全固形分(100質量%)に対して9質量%以下が好ましく、8質量%以下がより好ましく、7質量%以下がさらに好ましい。
硬化剤の量を適切に調整することにより、耐湿性や耐リフロー性などを一層向上させることができる。また、基材の反り発生を抑制することができる場合がある。
(充填材)
本実施形態の封止用樹脂組成物は、充填材を含む。
充填材としては、例えば、シリカ、アルミナ、チタンホワイト、水酸化アルミニウム、タルク、クレー、マイカ、ガラス繊維等の無機充填材が挙げられる。
充填材は、シリカを含むことが好ましい。シリカとしては、溶融破砕シリカ、溶融球状シリカ、結晶シリカ、2次凝集シリカ等を挙げることができる。これらの中でも特に溶融球状シリカが好ましい。
本実施形態の封止用樹脂組成物は、充填材を1種のみ含んでもよいし、2種以上含んでもよい。
充填材の含有量(比率)は特に制限されない。充填材の含有量は、例えば、封止用樹脂組成物の全固形分(100質量%)に対して65〜98質量%以下が好ましく、68〜95質量%がより好ましく、70〜93質量%が更に好ましい。
充填材の量が65質量%以上であることにより、封止物が吸湿しにくくなり、耐湿性や耐リフロー性などを一層向上させることができることができる場合がある。また、充填材を適度に多くして、相対的にエポキシ樹脂や硬化剤などを少なくすれば、理論上は硬化収縮が少なくなる。これにより、反りを一層低減しうる。
充填材の量が98質量%以下であることにより、成形時の流動性の低下にともなう成形性の低下等を抑制しやすい。
(ポリロタキサン)
本実施形態の封止用樹脂組成物は、好ましくは、ポリロタキサンを含む。
ポリロタキサンの使用は、内部応力の低減に効果的である。ポリロタキサンの使用により、弾性率EやEを小さく設計しやすく、ひいてはS+Sを小さくしやすい。つまり、ポリロタキサンを使用することで、硬化物の耐湿性などを特に高めやすい。
ポリロタキサンは、通常、開口を形成している環状分子と、環状分子の開口を貫通する直鎖状分子鎖と、直鎖状分子鎖の両端にそれぞれ結合した封鎖基とを備える。封鎖基によって、環状分子が直鎖状分子鎖から脱離することが防がれている。1本の直鎖状分子鎖は、1または2以上の環状分子の開口を貫通することができる。
ポリロタキサン中の環状分子は、直鎖状分子鎖が貫通可能な開口を形成している分子であれば、特に制限されない。環状分子は、開口を貫通する直鎖状分子鎖が脱離することがなければ、共有結合によって完全に閉環していなくてもよい。
環状分子としては、例えば、シクロデキストリン、クラウンエーテル、ベンゾクラウン、ジベンゾクラウン、ジシクロヘキサノクラウン、および、これらの誘導体又は変性体を挙げることができる。直鎖状分子鎖の包接能の観点から、環状分子は、好ましくはシクロデキストリン又はこれの誘導体若しくは変性体である。
環状分子がシクロデキストリン又はこれの誘導体若しくは変性体である場合、シクロデキストリン中のヒドロキシ基の一部または全部は、疎水性の基によって置換されていることが好ましい。ヒドロキシ基が疎水性基で置換されていることで、ポリロタキサンの有機溶媒への溶解性が向上する。
環状分子が直鎖状分子鎖により貫通される場合において、環状分子が直鎖状分子鎖に最大限に包接される量を1とした場合、包接される環状分子の相対量(モル比)の下限値は、例えば0.001、好ましくは0.01、より好ましくは0.1以上であり、上限値は、例えば0.7以下、好ましくは0.6以下、より好ましくは0.5以下である。環状分子の包接量が上記範囲内にあることにより、直鎖状分子鎖上での環状分子の運動性が保たれやすい。
ポリロタキサン中の直鎖状分子鎖は、環状分子を貫通しうる分子鎖であって、環状分子が直鎖状分子鎖上で移動可能である限り、特に限定されない。直鎖状分子鎖は、実質的に直鎖状の部分を含んでいればよく、分岐鎖又は環状の置換基等を有することも許容される。直鎖状の部分の長さや分子量は特に制限されない。
直鎖状分子鎖としては、例えば、アルキレン鎖、ポリエステル鎖、ポリエーテル鎖、ポリアミド鎖、ポリアクリレート鎖を挙げることができる。これらの中でも、直鎖状分子鎖自体の柔軟性の観点などから、ポリエステル鎖またはポリエーテル鎖が好ましく、ポリエーテル鎖がより好ましい。ポリエーテル鎖として好ましくは、ポリエチレングリコール鎖(ポリオキシエチレン鎖)などを挙げることができる。
ポリロタキサン中の封鎖基は、直鎖状分子鎖の両末端に配置され、直鎖状分子鎖が環状分子を貫通した状態を保持できる基である限り、特に限定されない。
封鎖基としては、環状分子の開口より大きな構造を有する基、イオン性の相互作用により環状分子の開口を通過し得ない基などが挙げられる。封鎖基として具体的には、アダマンチル基、シクロデキストリンを含む基、アントラセン基、トリフェニレン基、ピレン基、トリチル基及びこれらの異性体、誘導体などが挙げられる。
ポリロタキサンにおいて、環状分子と直鎖状分子鎖との組み合わせは、好ましくは、環状分子としてのα−シクロデキストリン又はその誘導体と、直鎖状分子鎖としてのポリエチレングリコール鎖又はその誘導体との組み合わせである。この組み合わせとすることで、直鎖状分子鎖上を環状分子が移動しやすくなる。また、この組み合わせは合成が比較容易であるというメリットもある。
ポリロタキサンは、好ましくは架橋性基を有する。ポリロタキサンが架橋性基を有することにより、封止用樹脂組成物の熱硬化性、基板との密着性などが向上する。
ポリロタキサンが架橋性基を有する場合、ポリロタキサン中の環状分子が架橋性基を有することが好ましい。環状分子が架橋性基を有することで、組成物の熱硬化(架橋)後も、環状分子が直鎖状分子鎖に沿ってスライド可能な状態が維持される。よって、熱硬化後の膜の柔軟性や伸びやすさを一層高めることができる。
架橋性基は、好ましくはカチオン架橋性基またはラジカル架橋性基であり、より好ましくはラジカル架橋性基である。架橋性基は、好ましくは、(メタ)アクリロイル基などのエチレン性炭素−炭素二重結合含有基である。(メタ)アクリロイル基とは異なる態様として、架橋性基は、エポキシ基および/またはオキセタニル基を含んでもよい。
ポリロタキサンは、公知の方法に準じて合成したものであってもよいし、市販品であってもよい。市販品としては、アドバンスト・ソフトマテリアルズ株式会社から販売されている「セルム」(登録商標、アルファベットではSeRM)シリーズを挙げることができる。
ポリロタキサンを用いる場合、1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
ポリロタキサンを用いる場合、その量は、封止用樹脂組成物の固形分全体を基準(100質量%)として、好ましくは0.1〜0.9質量%、より好ましくは0.2〜0.8質量%、さらに好ましくは0.3〜0.7質量%である。
ポリロタキサンの量を0.1質量%以上とすることで、ポリロタキサンを用いることによる効果(内部応力の低減など)を十分に得やすい。
ポリロタキサンの量を0.9質量%以下とすることで、封止用樹脂組成物を硬化させる際の流動特性を良好に保つことができる。
(シリコーン複合粒子)
本実施形態の封止用樹脂組成物は、好ましくは、シリコーンゴム粒子の表面がシリコーンレジンで被覆されたシリコーン複合粒子を含む。本明細書では、この粒子を、単に「シリコーン複合粒子」とも表記する。
シリコーン複合粒子は、コアがシリコーンゴム、シェルがシリコーンレジンであるコアシェル粒子ということもできる。コアとシェルの間は必ずしも明瞭な境界線を有していなくてもよい。
シリコーン複合粒子としては、コアのガラス転移温度または弾性率より高いガラス転移温度または弾性率を有するシェルを有するもの、コアの周りにグラフト層状のシェルを有するものなどが挙げられる。
シリコーン複合粒子のコアは、比較的柔軟なシリコーンゴムである。よって、封止用樹脂組成物にシリコーン複合粒子を含めることで、弾性率EやEを小さく設計しやすい。その結果として、S+Sを小さく設計しやすい。
シリコーン複合粒子のシェルはシリコーンレジンである。よって、シリコーン複合粒子は、被覆の無いシリコーンゴム粒子に比べると、耐熱性などの点で好ましい。
シリコーン複合粒子のコアもシェルも、素材は「シリコーン」である。シェルとコアは同種のポリマーを含んでもよいし、互いに異なるポリマーを含んでもよいが、コア層とシェル層の物性が異なることが好ましい。一例として、コアのガラス転移温度よりもシェルのガラス転移温度が大きいほうが好ましい。別の例として、コアの弾性率よりもシェルの弾性率が大きいほうが好ましい。
一態様として、シリコーン複合粒子のシェルは、架橋構造を有していることが好ましい。これにより、コアの安定化、形状維持などを図りやすい。シェルの架橋構造は、3次元網目構造を有する架橋構造であることが好ましい。
シリコーン複合粒子の市販品としては、例えば、信越化学工業株式会社が「シリコーン複合パウダー」(Hybrid Silicone Powder)として販売している粒子を挙げることができる。より具体的には、同社の製品名KMP−600、KMP−601、KMP−602、KMP−605、X−52−7030などを挙げることができる。
シリコーン複合粒子の平均粒径は、例えば0.05〜25μm、好ましくは0.1〜20μm、より好ましくは0.6〜10μmである。適当な平均粒径のシリコーン複合粒子を用いることで、弾性率EやEを小さく設計しやすく(つまりはS+Sを小さく設計しやすく)、かつ、耐熱性を一層高めやすい。
平均粒径は、例えばシリコーン複合粒子として市販品を用いる場合には、カタログ値を採用することができる。
シリコーン複合粒子の構造などを確認する手法については、例えば、特開2017−52956号公報の段落0056、0057等を参照されたい。
シリコーン複合粒子を用いる場合、1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。例えば、平均粒径が異なるものを2種併用するなどしてもよい。
シリコーン複合粒子を用いる場合、その量は、封止用樹脂組成物の固形分全体を基準(100質量%)として、好ましくは0.1〜4質量%、より好ましくは0.25〜3質量%、さらに好ましくは0.5〜2.5質量%である。
シリコーン複合粒子の量を0.1質量%以上とすることで、シリコーン複合粒子を用いることによる効果(内部応力の低減など)を十分に得やすい。
シリコーン複合粒子の量を4質量%以下とすることで、封止用樹脂組成物を硬化させる際の流動特性を良好に保つことができる。
(硬化促進剤)
本実施形態の封止用樹脂組成物は、硬化促進剤を含むことができる。硬化促進剤は、熱硬化性樹脂の硬化を促進させるものであればよく、熱硬化性樹脂の種類に応じて選択される。
本実施形態において、硬化促進剤は、たとえば有機ホスフィン、テトラ置換ホスホニウム化合物、ホスホベタイン化合物、ホスフィン化合物とキノン化合物との付加物、ホスホニウム化合物とシラン化合物との付加物等のリン原子含有化合物;2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール(EMI24)、2−フェニル−4−メチルイミダゾール(2P4MZ)、2−フェニルイミダゾール(2PZ)、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシイミダゾール(2P4MHZ)、1−ベンジル−2−フェニルイミダゾール(1B2PZ)などのイミダゾール化合物;1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7、ベンジルジメチルアミン等が例示されるアミジンや3級アミン、上記アミジンやアミンの4級塩等の窒素原子含有化合物からなる群から選択される1種類または2種類以上を含む。封止用樹脂組成物の硬化性を向上する観点および封止材と金属との密着性を向上する観点から、硬化促進剤は好ましくはイミダゾール化合物を含む。
硬化促進剤を用いる場合、1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
硬化促進剤を用いる場合、その量は、樹脂組成物の硬化性を効果的に向上させる観点から、封止用樹脂組成物の固形分全体に対して好ましくは0.01質量%以上であり、より好ましくは0.03質量%以上、さらに好ましくは0.05質量%以上である。
また、封止用樹脂組成物のハンドリングを向上させる観点から、封止用樹脂組成物中の硬化促進剤の含有量は、封止用樹脂組成物の固形分全体に対して好ましくは5質量%以下であり、より好ましくは3質量%以下、さらに好ましくは1質量%以下である。
(カップリング剤)
本実施形態の封止用樹脂組成物は、カップリング剤を含むことができる。封止用樹脂組成物がカップリング剤を含むことにより、例えば、基材との密着性の更なる向上や、組成物中での充填材の分散性の向上などを図ることができる。充填材の分散性が向上すると、最終的に得られる硬化物の均質性が向上する。これは硬化物の機械的強度の向上などに寄与しうる。
カップリング剤としては、例えば、エポキシシラン、メルカプトシラン、アミノシラン、アルキルシラン、ウレイドシラン、ビニルシラン、(メタ)アクリルシラン等の各種シラン系化合物、チタン系化合物、アルミニウムキレート類、アルミニウム/ジルコニウム系化合物等の公知のカップリング剤を用いることができる。
より具体的には、以下を例示することができる。
アミノ基含有シランカップリング剤、例えば、ビス(2−ヒドロキシエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、またはN−フェニル−γ−アミノ−プロピルトリメトキシシラン等。
エポキシ基含有シランカップリング剤、例えば、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、またはβ−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシジルプロピルトリメトキシシラン等
(メタ)アクリロイル基含有シランカップリング剤、例えば、3−((メタ)アクリロイルオキキシプロピル)トリメトキシシラン、3−((メタ)アクリロイルオキキシプロピル)メチルジメトキシシラン、または3−((メタ)アクリロイルオキキシプロピル)メチルジエトキシシラン等。
メルカプト基含有シランカップリング剤、例えば、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等。
ビニル基含有シランカップリング剤、例えば、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン等。
これらの中でも、流動性等の観点から、アミノ基含有シランカップリング剤またはエポキシ基含有シランカップリング剤を含むことがより好ましく、2級アミノ基含有シランカップリング剤を含むことがさらに好ましい。
本実施形態の封止用樹脂組成物がカップリング剤を含む場合、カップリング剤を1種のみ含んでもよいし、2種以上のカップリング剤を含んでもよい。
カップリング剤を用いる場合、その量の下限は特に制限されない。下限は、例えば、封止用樹脂組成物の固形分全体に対して0.05質量%以上が好ましく、0.1質量%以上がより好ましい。カップリング剤の含有量をこれら下限値以上とすることにより、カップリング剤を添加することによる効果を十分に得やすくなる。
カップリング剤を用いる場合、その量の上限は特に制限されない。下限は、封止用樹脂組成物の固形分全体に対して2.0質量%以下が好ましく、1.0質量%以下がより好ましい。カップリング剤の含有量をこれら上限値以下とすることにより、封止成形時における封止用樹脂組成物の流動性が適当となり、良好な充填性や成形性を得やすい。
(その他の成分)
本実施形態の封止用樹脂組成物は、さらに必要に応じて、pH調整剤、イオン捕捉剤、難燃剤、着色剤、離型剤、低応力剤、酸化防止剤、重金属不活性化剤等の各種添加剤を含んでもよい。
pH調整剤としては、例えば、ハイドロタルサイトを用いることができる。ハイドロタルサイトは、組成物中のpHを中性付近に保持し、その結果としてClなどのイオンを生じにくくすると言われている。
イオン捕捉剤(イオンキャッチャー、イオントラップ剤などとも呼ばれる)としては、例えば、ビスマス酸化物やイットリウム酸化物などを用いることができる。
pH調整剤および/またはイオン捕捉剤を用いる場合、1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
pH調整剤および/またはイオン捕捉剤を用いる場合、その量は、封止用樹脂組成物の固形分全体に対して例えば0.05〜0.3質量%、好ましくは0.1〜0.2質量%である。
難燃材としては、無機系難燃剤(例えば水酸化アルミニウム等の水和金属系化合物、住友化学株式会社等から入手可能)、ハロゲン系難燃剤、リン系難燃剤、有機金属塩系難燃剤などを挙げることができる。
難燃剤を用いる場合、1種のみ用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
難燃材を用いる場合、含有量に特に制限はない。含有量は、封止用樹脂組成物の固形分全体に対して例えば10質量%以下、好ましくは5質量%以下である。これら上限値以下とすることにより、パッケージの電気信頼性を保持することができる。
着色剤としては、具体的には、カーボンブラック、ベンガラ、酸化チタン等が挙げられる。
着色剤を用いる場合、1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
着色剤を用いる場合、その量は、封止用樹脂組成物の固形分全体に対して例えば0.1〜0.5質量%、好ましくは0.2〜0.4質量%である。
離型剤としては、天然ワックス、モンタン酸エステル等の合成ワックス、高級脂肪酸もしくはその金属塩類、パラフィン、酸化ポリエチレン等が挙げられる。
離型剤を用いる場合、1種のみ用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
離型剤を用いる場合、その量は、封止用樹脂組成物の固形分全体に対して例えば0.1〜0.5質量%、好ましくは0.2〜0.3質量%である。
低応力剤としては、例えば、シリコーンオイル、シリコーンゴム、ポリイソプレン、1,2−ポリブタジエン、1,4−ポリブタジエン等のポリブタジエン、スチレン−ブタジエンゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、ポリクロロプレン、ポリ(オキシプロピレン)、ポリ(オキシテトラメチレン)グリコール、ポリオレフィングリコール、ポリ−ε−カプロラクトン等の熱可塑性エラストマー、ポリスルフィドゴム、フッ素ゴム等を挙げることができる。
低応力剤を用いる場合、1種のみ用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
低応力剤を用いる場合、その量は、封止用樹脂組成物の固形分全体に対して例えば0.05〜5.0質量%とすることができる。
(εr、Tg、α、α、E、E、SおよびSに関する補足)
εrは、7以下であればよいが、好ましくは6.8以下、さらに好ましくは6.5以下である。εrの下限は特にないが、現実的な組成物設計の点から、例えば2以上である。
Tgは、好ましくは170℃以上、より好ましくは175℃以上である。Tgの上限は特にないが、現実的な組成物設計の点から、例えば300℃以下である。
αそのものの値は特に限定されないが、通常4〜8ppm/℃、好ましくは5〜7.5ppm/℃である。
αそのものの値は特に限定されないが、通常20〜50ppm/℃、好ましくは25〜45ppm/℃
そのものの値は特に限定されないが、通常15000〜25000MPa、好ましくは17000〜24000MPaである。
そのものの値は特に限定されないが、通常500〜1500MPa、好ましくは650〜1000MPaである。
は、S+Sが40MPa以下である限り特に限定されないが、好ましくは35MPa以下、より好ましくは33MPa以下、さらに好ましくは30MPa以下である。Sの下限は特にないが、現実的な組成物設計の点から、例えば10以上である。
は、S+Sが40MPa以下である限り特に限定されないが、通常1〜10MPa、好ましくは1〜5MPa、より好ましくは1〜3MPaである。
(封止用樹脂組成物の性状)
本実施形態の封止用樹脂組成物の性状は、例えば粒子状またはシート状である。
粒子状の封止用樹脂組成物として具体的には、タブレット状または粉粒体のものが挙げられる。
封止用樹脂組成物がタブレット状である場合は、例えばトランスファー成形法を用いて封止用樹脂組成物を成形することができる。
封止用樹脂組成物が粉粒体である場合には、例えば、圧縮成形法を用いて封止用樹脂組成物を成形することができる。ここで、封止用樹脂組成物が粉粒体であるとは、粉末状または顆粒状のいずれかである場合を指す。
(封止用樹脂組成物の製造方法)
本実施形態の封止用樹脂組成物の製造方法は特に限定されない。
例えば、上述の各成分を、公知の手段で混合し、さらにロール、ニーダーまたは押出機等の混練機で溶融混練し、冷却し、その後に粉砕する方法により得ることができる。
必要に応じて、粉砕後にタブレット状に打錠成形してもよい。
必要に応じて、粉砕後に例えば真空ラミネート成形または圧縮成形によりシート状にしてもよい。
必要に応じて、得られた封止用樹脂組成物の分散度や流動性等を調整してもよい。
<半導体装置、パワーデバイス>
本実施形態の封止用樹脂組成物を用いて基板上の半導体素子(パワー半導体素子等)を封止するなどして、本実施形態の封止用樹脂組成物の硬化物を備える半導体装置(パワーデバイス等)を製造することができる。
図1は、半導体装置100の一例を示す断面図である。
半導体装置100は、基板30上に搭載された半導体素子20と、半導体素子20を封止する封止材50とを備えている。
半導体素子20は、好ましくはパワー半導体素子である。パワー半導体素子は、例えばSiC、GaN、Ga、ダイヤモンドなどにより構成されている。
封止材50は、本実施形態の封止用樹脂組成物を硬化して得られる硬化物により構成されている。
上述のように、半導体素子20は、好ましくはパワー半導体素子であり、通常、200℃以上の高温で動作する。このような高温環境での長時間使用においても、本実施形態の封止用樹脂組成物を用いて形成した封止材50は、上述したとおり優れた耐熱性を示すものである。このため、半導体装置100の信頼性を向上させることが可能となる。
半導体素子20は、例えば、入力電力が1.7W以上であるパワー半導体素子である。
図1においては、基板30が回路基板である場合が例示されている。この場合、図1に示されるように、基板30のうちの半導体素子20を搭載する一面とは反対側の他面には、例えば複数の半田ボール60が形成される。半導体素子20は、基板30上に搭載され、かつワイヤ40を介して基板30と電気的に接続される。
一方、半導体素子20は、基板30に対してフリップチップ実装されていてもよい。ここで、ワイヤ40は、例えば銅で構成される。
封止材50は、例えば半導体素子20のうちの基板30と対向する一面とは反対側の他面を覆うように半導体素子20を封止する。図1においては、半導体素子20の上記他面と側面を覆うように封止材50が形成されている。封止材50は、例えば封止用樹脂組成物をトランスファー成形法または圧縮成形法等の公知の方法を用いて封止成形することにより形成することができる。
図2は、図1とは異なる半導体装置100の例を示すものである。
図2の半導体装置100は、基板30としてリードフレームを使用している。この場合、半導体素子20は、例えば基板30のうちのダイパッド32上に搭載され、かつワイヤ40を介してアウターリード34へ電気的に接続される。半導体素子20は、図1の例と同様に、好ましくはSiC、GaN、Ga、ダイヤモンド等により構成されたパワー半導体素子である。また、封止材50は、図1の例と同様に、本実施形態の封止用樹脂組成物を用いて形成される。
以上、本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することができる。また、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれる。
本発明の実施態様を、実施例および比較例に基づき詳細に説明する。念のため述べておくと、本発明は実施例のみに限定されない。
<封止用樹脂組成物の製造>
まず、表1に記載の配合量(質量部)の各成分を、常温でミキサーを用いて混合して混合物を得た。
次に、その混合物を、70℃以上100℃以下の温度で加熱混練した。
そして、常温まで冷却し、その後粉砕して、封止用樹脂組成物を得た。
Figure 2021063146
表1に記載の各原料成分の量の単位は、質量部である。
表1に記載の各原料成分の詳細は以下のとおりである。
(エポキシ樹脂)
・エポキシ樹脂1:三菱ケミカル社製、エピコートYX4000K(4,4−ビフェニル型、前掲の一般式(2)の構造に対応)
・エポキシ樹脂2:DIC社製、EPICLON HP−7200L(ジシクロペンタジエン型)
・エポキシ樹脂3:DIC社製、HP−6000L(前掲の一般式(NE)で表される、ナフチルエーテル骨格を有するエポキシ樹脂)
・エポキシ樹脂4:日本化薬社製、NC3000(ビフェニルアラルキル型)
・エポキシ樹脂5:三菱ケミカル社製、1032H−60(トリフェニルメタン型)
(硬化剤)
・硬化剤1:明和化成社製のビフェニルアラルキル型硬化剤(MEH−7851SS)
・硬化剤2:明和化成社製のビフェニルアラルキル型硬化剤(フェノール・レゾルシン−4,4'−ビスクロロメチルビフェニル重縮合物、国際公開第2013/136685号の式(12A)(MutiFunctionBipheylAralkyl型フェノール樹脂))
・硬化剤3:明和化成社製のトリスフェニルメタン型硬化剤(MEH−7500)
(充填剤)
・充填材1:デンカ社製の球状溶融シリカ、FB−950
・充填材2:デンカ社製の球状溶融シリカ、FB−105
・充填材3:アドマテックス社製の球状溶融シリカ、SC−2500−SQ
(ポリロタキサン)
・ポリロタキサン1:アドバンスト・ソフトマテリアルズ社製、SH2400P(水酸基を有する修飾ポリロタキサン、全体分子量(代表値):40万)
(シリコーン複合粒子)
・シリコーン複合粒子1:信越化学社製、KMP−600(球状、平均粒径(カタログ値):5μm)
(硬化促進剤)
・硬化促進剤1:住友ベークライト社製、テトラフェニルホスホニウム・4,4'−スルフォニルジフェノラート
・硬化促進剤2:ケイアイ化成社製、TPP−BQ
(カップリング剤)
・カップリング剤1:JNC社製、S810(3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン)
・カップリング剤2:東レ・ダウコーニング社製、CF−4083(フェニルアミノプロピルトリメトキシシラン)
(イオン捕捉剤)
・イオン捕捉剤1:協和化学社製、DHT−4H(マグネシウム・アルミニウム・ハイドロオキサイド・カーボネート・ハイドレート)
(着色剤)
・着色剤1:東海カーボン社製、ERS−2001
(離型剤)
・離型剤1:クラリアントジャパン社製、リコワックス PED191(酸化ポリエチレンワックス)
(低応力剤)
・低応力剤1:住友ベークライト社製、M69B
・低応力剤2:宇部興産社製、CTBN1008SP(カルボキシル基末端ブタジエン・アクリロニトリル共重合体)
・低応力剤3:信越ケミカル社製、KR−480(シリコーンレジン)
<硬化物の各種物性の測定>
(弾性率(EおよびE))
弾性率は、JIS K 6911に準じて、具体的には以下のような手順で測定した。
(1)低圧トランスファー成形機(コータキ精機社製「KTS−15」)を用いて、金型温度175℃、注入圧力10.0MPa、硬化時間120秒の条件で封止用樹脂組成物を注入成形し、80mm×10mm×4mmの成形品を得た。
(2)上記成形品を、オーブンを用いて175℃で4時間加熱し、十二分に硬化させた。そして、測定用の試験片(硬化物)を得た。
(3)上記試験片を、DMA測定装置(セイコーインスツルメンツ社製)を用いた3点曲げ法により、測定温度範囲0℃〜300℃、5℃/minの条件で昇温測定した。そして、25℃での硬化物の弾性率E、および、260℃での硬化物の弾性率Eを測定した。弾性率の単位はMPaである。
(線膨張係数(αおよびα)、ガラス転移温度)
以下のような手順で測定した。
(1)トランスファー成形機を用いて、金型温度175℃、注入圧力10.0MPa、硬化時間120秒の条件で封止用樹脂組成物を注入成形し、15mm×4mm×3mmの成形品を得た。
(2)得られた成形品を、オーブンを用いて175℃で4時間加熱し、十二分に硬化させた。そして、測定用の試験片(硬化物)を得た。
(3)熱機械分析装置(セイコー電子工業(株)製、TMA100)を用いて、測定温度範囲0℃〜320℃、昇温速度5℃/分の条件下で測定を行った。測定結果から、ガラス転移温度Tg(℃)、40〜80℃における線膨張係数(α)、および、190〜230℃における線膨張係数(α)を算出した。αとαの単位はppm/℃であり、ガラス転移温度の単位は℃である。
(175℃での比誘電率εr)
以下のような手順で測定した。
(1)トランスファー成形機を用いて、金型温度175℃、注入圧力10.0MPa、硬化時間120秒の条件で封止用樹脂組成物を金型に注入成形し、φ100mm×2mmtの成形品を得た。
(2)得られた成形品を、オーブンを用いて175℃で4時間加熱し、十二分に硬化させた。そして、測定用の試験片(硬化物)を得た。
(3)測定装置としてprecision LCR meter HP−4284A(アジレント・テクノロジー(株)製)を、測定用電極としてSE−70(安藤電機(株)製)を用いて、測定周波数20Hzにおける並列容量Cp[F]を測定した。そして、比誘電率εrを次式にて算出した。
Figure 2021063146
上記数式において、tは試験片厚さ[m]、dは主電極直径[m]、εは真空の誘電率[F/m]である。
<性能評価>
(MSL評価用の半導体装置の作製)
各種性能評価のために、次のようにして半導体装置を作製した。後述の評価のため、各実施例/比較例において、12個ずつの半導体パッケージを作製した。
(1)シリコンチップ(長さ4mm×幅4mm、厚み0.35mm)を、表面がAgによりめっきされたリードフレームのダイパッド部上に搭載した。
(2)(1)で得られた構造体を、低圧トランスファー成形機を用いて、金型温度175℃、注入圧力10.0MPa、硬化時間2分の条件で、各実施例または比較例の封止用樹脂組成物を用いて封止成形し、半導体パッケージを作製した。
(3)その後、得られた半導体パッケージを175℃、4時間の条件で後硬化し、半導体装置を得た。
(MSL(耐リフロー性評価))
まず、得られた半導体装置12個を、85℃相対湿度60%の環境下に168時間放置した。その後、IRリフロー処理(260℃)を行った。
処理後の半導体装置内部を、超音波探傷装置で観察した。そして、封止樹脂と、リードフレームと、の界面において剥離が生じた面積を算出した。全ての半導体装置について剥離面積が5%未満の場合を◎(特に良い)、5%以上10%以下の場合を○(良い)、10%を超える場合を×(悪い)とした。
(HTRB試験用の半導体装置の作製)
まず、定格電圧1200VのIGBT(絶縁ゲートバイポーラトランジスタ)素子を、パッケージ仕様:TO−247のフレームに半田を用いてダイボンディングし、そしてAlワイヤでワイヤボンディングした。これを、封止用樹脂組成物で封止し、HTRB評価用パッケージを作成した。封止用樹脂組成物の成形条件は175℃で2分、アフターキュア条件は175℃で4時間とした。
(HTRB試験)
エスペック社製の恒温槽(型式:ST−120)を150℃に設定し、恒温槽の中に上記のHTRB評価用パッケージを入れた。そして、松定プレシジョン社製の高圧電源(型式:HAR−2P300)を用いて、HTRB評価用パッケージに960Vの直流電圧を1週間印加し続けた。
その後、恒温槽を常温に戻し、印可していた電圧を切り、HTRB評価用パッケージを恒温槽から取り出した。取り出したパッケージについて、岩通通信機社製カーブトレーサ(型式:CS−3200)を用いて耐圧を測定し、以下の基準で評価した。
○(良い):処理前の耐電圧に対する処理後の耐電圧の低下率が5%未満
×(悪い):処理前の耐電圧に対する処理後の耐電圧の低下率が5%以上
硬化物の各種物性と、評価結果を、まとめて表2に示す。
Figure 2021063146
表2に示されるとおり、硬化物の比誘電率εrが7以下であり、かつ、S+Sが40MPa以下である実施例1および2においては、MSL評価、HTRB評価、ともに良好であった。特に、ポリロタキサンやシリコーン複合粒子を用いた実施例2においては、MSL評価が◎であった。
100 半導体装置
20 半導体素子
30 基板
32 ダイパッド
34 アウターリード
40 ワイヤ
50 封止材
60 半田ボール

Claims (9)

  1. エポキシ樹脂、硬化剤および充填材を含む封止用樹脂組成物であって、
    当該封止用樹脂組成物の硬化物の
    175℃での比誘電率をεr、
    ガラス転移温度をTg(℃)、
    40〜80℃における線熱膨張係数をα(ppm/℃)、
    190〜230℃における線熱膨張係数をα(ppm/℃)、
    25℃における弾性率をE(MPa)、
    260℃における弾性率をE(MPa)とし、
    かつ、以下数式(1)および(2)のようにSおよびSをそれぞれ定義したとき、
    εrは7以下であり、かつ、S+Sは40MPa以下である、封止用樹脂組成物。
    =E×α×{Tg−(−40)} ・・・(1)
    =E×α×(260−Tg) ・・・(2)
  2. 請求項1に記載の封止用樹脂組成物であって、
    前記エポキシ樹脂は、ナフチルエーテル骨格を有するエポキシ樹脂を含む、封止用樹脂組成物。
  3. 請求項2に記載の封止用樹脂組成物であって、
    前記ナフチルエーテル骨格を有するエポキシ樹脂は、下記一般式(NE)で表される、封止用樹脂組成物。
    Figure 2021063146
    一般式(NE)中、
    は、それぞれ独立して、水素原子又はメチル基を示し、
    Ar及びArは、それぞれ独立して、ナフチレン基又はフェニレン基を示し、両基はそれぞれ炭素数1〜4のアルキル基又はフェニレン基を置換基として有してもよく、
    は、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基又はアラルキル基を示し、
    p及びqは、それぞれ独立して、0〜4の整数であり、ただし、pとqの何れか一方は1以上であり、
    は、それぞれ独立して、水素原子、アラルキル基又はエポキシ基含有芳香族炭化水素基を示す。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の封止用樹脂組成物であって、
    前記エポキシ樹脂中の、前記ナフチルエーテル骨格を有するエポキシ樹脂の比率は、1〜70質量%である、封止用樹脂組成物。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の封止用樹脂組成物であって、
    さらにポリロタキサンを含む、封止用樹脂組成物。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の封止用樹脂組成物であって、
    さらにシリコーンゴム粒子の表面がシリコーンレジンで被覆されたシリコーン複合粒子を含む、封止用樹脂組成物。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の封止用樹脂組成物であって、
    前記硬化剤が、フェノール系硬化剤、アミン系硬化剤、酸無水物系硬化剤およびメルカプタン系硬化剤からなる群より選ばれる1または2以上である、封止用樹脂組成物。
  8. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の封止用樹脂組成物の硬化物を備える半導体装置。
  9. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の封止用樹脂組成物の硬化物を備えるパワーデバイス。
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