JP2021061289A - セラミック電子部品の製造方法、およびカバーシート - Google Patents

セラミック電子部品の製造方法、およびカバーシート Download PDF

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Abstract

【課題】 カバー層におけるクラックを抑制することができる、セラミック電子部品の製造方法、およびカバーシートを提供する。【解決手段】 セラミック電子部品の製造方法は、チタン酸バリウムを主成分セラミックとする誘電体グリーンシートと金属導電ペーストのパターンとが交互に積層された積層部分と、チタン酸バリウムを主成分セラミックとしてガラスを含み前記積層部分の積層方向の上面および下面に配置されたカバーシートと、を含むセラミック積層体を準備する準備工程と、前記セラミック積層体を焼成する焼成工程と、を含み、前記カバーシートにおいて、前記チタン酸バリウムに対して前記ガラスの添加量は0.1wt%以上10wt%以下であり、前記ガラスのガラス軟化点(Ts)は900℃以下であって、前記ガラスの前記ガラス軟化点(Ts)とガラス転移点(Tg)との差分(Ts−Tg)は300℃以下であることを特徴とする。【選択図】 図1

Description

本発明は、セラミック電子部品の製造方法、およびカバーシートに関する。
積層セラミックコンデンサなどのセラミック電子部品では、内部電極層と誘電体層とが交互に積層された容量領域と、容量領域を上下から覆うカバー層などを備えている(例えば、特許文献1参照)。このようなセラミック電子部品では、小型大容量化が求められている。そこで、誘電体層および内部電極層を薄層化して積層数を増やすことが求められている。
特開2004−356305号公報
しかしながら、内部電極層の積層数が増えると、容量領域とカバー層との間の焼結完了温度差に起因して収縮特性のズレが大きくなり、カバー層に焼結過程でクラックが生じるおそれがある。
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、カバー層におけるクラックを抑制することができる、セラミック電子部品の製造方法、およびカバーシートを提供することを目的とする。
本発明に係るセラミック電子部品の製造方法は、チタン酸バリウムを主成分セラミックとする誘電体グリーンシートと金属導電ペーストのパターンとが交互に積層された積層部分と、チタン酸バリウムを主成分セラミックとしてガラスを含み前記積層部分の積層方向の上面および下面に配置されたカバーシートと、を含むセラミック積層体を準備する準備工程と、前記セラミック積層体を焼成する焼成工程と、を含み、前記カバーシートにおいて、前記チタン酸バリウムに対して前記ガラスの添加量は0.1wt%以上10wt%以下であり、前記ガラスのガラス軟化点(Ts)は900℃以下であって、前記ガラスの前記ガラス軟化点(Ts)とガラス転移点(Tg)との差分(Ts−Tg)は300℃以下であることを特徴とする。
上記セラミック電子部品の製造方法において、前記焼成工程によって前記セラミック積層体において、前記金属導電ペーストから得られる内部電極層の積層数は、1300層/mm以上としてもよい。
上記セラミック電子部品の製造方法において、前記焼成工程によって前記カバーシートから得られるカバー層の厚みは、10μm以上、30μm以下としてもよい。
上記セラミック電子部品の製造方法において、前記金属導電ペーストは、ニッケルを主成分金属としてもよい。
本発明に係るカバーシートは、主成分セラミックとしてのチタン酸バリウムと、ガラスと、を備え、前記チタン酸バリウムに対して前記ガラスの添加量は0.1wt%以上10wt%以下であり、前記ガラスのガラス軟化点(Ts)は900℃以下であって、前記ガラスの前記ガラス軟化点(Ts)とガラス転移点(Tg)との差分(Ts−Tg)は300℃以下であることを特徴とする。
本発明によれば、カバー層におけるクラックを抑制することができる、セラミック電子部品の製造方法、およびカバーシートを提供することができる。
積層セラミックコンデンサの部分断面斜視図である。 図1のA−A線断面図である。 図1のB−B線断面図である。 積層セラミックコンデンサの製造方法のフローを例示する図である。 (a)はシート部材を例示する図であり、(b)はセラミック積層体を例示する図である。 焼結過程の破壊強度を示す図である。
以下、図面を参照しつつ、実施形態について説明する。
(実施形態)
図1は、実施形態に係る積層セラミックコンデンサ100の部分断面斜視図である。図2は、図1のA−A線断面図である。図3は、図1のB−B線断面図である。図1〜図3で例示するように、積層セラミックコンデンサ100は、直方体形状を有する積層チップ10と、積層チップ10のいずれかの対向する2端面に設けられた外部電極20a,20bとを備える。なお、積層チップ10の当該2端面以外の4面のうち、積層方向の上面および下面以外の2面を側面と称する。外部電極20a,20bは、積層チップ10の積層方向の上面、下面および2側面に延在している。ただし、外部電極20a,20bは、互いに離間している。
積層チップ10は、誘電体として機能するセラミック材料を含む誘電体層11と、金属材料を含む内部電極層12とが、交互に積層された構成を有する。各内部電極層12の端縁は、積層チップ10の外部電極20aが設けられた端面と、外部電極20bが設けられた端面とに、交互に露出している。それにより、各内部電極層12は、外部電極20aと外部電極20bとに、交互に導通している。その結果、積層セラミックコンデンサ100は、複数の誘電体層11が内部電極層12を介して積層された構成を有する。また、誘電体層11と内部電極層12との積層体において、積層方向の最外層には内部電極層12が配置され、当該積層体の上面および下面は、カバー層13によって覆われている。カバー層13は、セラミック材料を主成分とする。例えば、カバー層13の材料は、誘電体層11とセラミック材料の主成分が同じである。
積層セラミックコンデンサ100のサイズは、例えば、長さ0.25mm、幅0.125mm、高さ0.125mmであり、または長さ0.4mm、幅0.2mm、高さ0.2mm、または長さ0.6mm、幅0.3mm、高さ0.3mmであり、または長さ1.0mm、幅0.5mm、高さ0.5mmであり、または長さ3.2mm、幅1.6mm、高さ1.6mmであり、または長さ4.5mm、幅3.2mm、高さ2.5mmであるが、これらのサイズに限定されるものではない。
内部電極層12は、Ni(ニッケル),Cu(銅),Sn(スズ)等の卑金属を主成分とする。内部電極層12として、Pt(白金)、Pd(パラジウム)、Ag(銀)、Au(金)などの貴金属やこれらを含む合金を用いてもよい。誘電体層11は、例えば、一般式ABOで表されるペロブスカイト構造を有するセラミック材料を主成分とする。なお、当該ペロブスカイト構造は、化学量論組成から外れたABO3−αを含む。本実施形態では、当該セラミック材料として、BaTiO(チタン酸バリウム)を用いる。
図2で例示するように、外部電極20aに接続された内部電極層12と外部電極20bに接続された内部電極層12とが対向する領域は、積層セラミックコンデンサ100において電気容量を生じる領域である。そこで、当該領域を、容量領域14と称する。すなわち、容量領域14は、異なる外部電極に接続された2つの隣接する内部電極層12が対向する領域である。
外部電極20aに接続された内部電極層12同士が、外部電極20bに接続された内部電極層12を介さずに対向する領域を、エンドマージン15と称する。また、外部電極20bに接続された内部電極層12同士が、外部電極20aに接続された内部電極層12を介さずに対向する領域も、エンドマージン15である。すなわち、エンドマージン15は、同じ外部電極に接続された内部電極層12が異なる外部電極に接続された内部電極層12を介さずに対向する領域である。エンドマージン15は、容量を生じない領域である。
図3で例示するように、積層チップ10において、積層チップ10の2側面から内部電極層12に至るまでの領域をサイドマージン16と称する。すなわち、サイドマージン16は、上記積層構造において積層された複数の内部電極層12が2側面側に延びた端部を覆うように設けられた領域である。
積層セラミックコンデンサ100では、小型大容量化が求められている。そこで、誘電体層11および内部電極層12を薄層化して積層数を増大することが考えられる。例えば、高さ0.5mmの1005形状では、内部電極層12の積層数が550層(1100層/mm)程度で、22μFの容量を実現している。高さ0.3mmの0603形状では、内部電極層12の積層数が350層(1170層/mm)程度で、4.7μFの容量を実現している。高さ0.2mmの0402形状では、内部電極層12の積層数が170層(850層/mm)程度で、0.47μFの容量を実現している。各カバー層13は、10μm〜30μm程度の厚みを有している。なお、単位厚み(mm)あたりの積層数は、積層チップ10の全体(容量領域14とカバー層13を含む)の単位厚みあたりの積層数を表している。
このように、内部電極層12の積層数が増えると、容量領域14とカバー層13との間の焼結完了温度差に起因して収縮特性のズレが大きくなり、カバー層13に焼結過程でクラックが生じるおそれがある。特に、内部電極層12の単位厚みあたりの積層数が1300層/mmを超える場合には、収縮特性のズレの影響が特に大きくなる。
そこで、本実施形態においては、カバー層13のクラックを抑制することができる、積層セラミックコンデンサ100の製造方法について説明する。図4は、積層セラミックコンデンサ100の製造方法のフローを例示する図である。
(原料粉末作製工程)
誘電体層11に含まれるAサイト元素およびBサイト元素は、通常はABOの粒子の焼結体の形で誘電体層11に含まれる。例えば、BaTiOは、ペロブスカイト構造を有する正方晶化合物であって、高い誘電率を示す。このBaTiOは、一般的に、二酸化チタンなどのチタン原料と炭酸バリウムなどのバリウム原料とを反応させてチタン酸バリウムを合成することで得ることができる。誘電体層11を構成するセラミックの合成方法としては、従来種々の方法が知られており、例えば固相法、ゾル−ゲル法、水熱法等が知られている。本実施形態においては、これらのいずれも採用することができる。
得られたセラミック粉末に、目的に応じて所定の添加化合物を添加する。添加化合物としては、Mo(モリブデン)、Nb(ニオブ)、Ta(タンタル)、W(タングステン)、Mg(マグネシウム)、Mn(マンガン)、V(バナジウム)、Cr(クロム)、希土類元素(Y(イットリウム)、Sm(サマリウム)、Eu(ユウロピウム)、Gd(ガドリニウム)、Tb(テルビウム)、Dy(ジスプロシウム)、Ho(ホルミウム)、Er(エルビウム)、Tm(ツリウム)およびYb(イッテルビウム))の酸化物、並びに、Co(コバルト)、Ni、Li(リチウム)、B(ホウ素)、Na(ナトリウム)、K(カリウム)およびSi(シリコン)の酸化物もしくはガラスが挙げられる。
例えば、セラミック粉末の平均粒径は、誘電体層11の薄層化の観点から、好ましくは50〜300nmである。例えば、上記のようにして得られたセラミック粉末について、必要に応じて粉砕処理して粒径を調節し、あるいは分級処理と組み合わせることで粒径を整えてもよい。以上により、誘電体材料が得られる。
次に、カバー層13を形成するためのカバー材料を用意する。カバー材料の主成分セラミックとして、上記誘電体材料と同様のものを用いることができる。次に、カバー材料の主成分セラミックに、目的に応じて所定の添加化合物を添加する。添加化合物としては、Mo、Nb、Ta、W、Mg、Mn、V、Cr、希土類元素(Y、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、TmおよびYb)の酸化物、並びに、Co、Ni、Li、B、Na、KおよびSiの酸化物もしくはガラスが挙げられる。
本実施形態においては、焼成工程においてカバー層13に柔軟性を持たせるために、カバー材料の主成分セラミックにガラスを添加する。ガラスの添加量が少なすぎると、焼成工程においてカバー層13に十分に柔軟性を持たせることができないおそれがある。そこで、本実施形態においては、主成分セラミックに対するガラスの添加量を0.1wt%以上とする。主成分セラミックに対するガラスの添加量は、0.5wt%以上であることが好ましい。一方で、ガラスの添加量が多すぎると、容量領域14にガラスが含浸することにより、誘電体層11の異常粒成長や内部電極層12の球状化が著しくなり、内部電極層12の連続率低下(容量悪化)や絶縁不良などの信頼性低下が生じるおそれがある。すなわち、容量領域14の電気特性が悪化するおそれがある。そこで、本実施形態においては、カバー材料の主成分セラミックに対するガラスの添加量を10wt%以下とする。主成分セラミックに対するガラスの添加量は、5.0wt%以下であることが好ましい。なお、ここでの「wt%」は、主成分セラミックとガラスの合計の重量に対するガラスの重量のことを表す。したがって、ガラスの添加量が10wt%であれば、主成分セラミックは90wt%である。
また、焼成工程でカバー層13に生じるクラックは、カバー層13と容量領域14との間の収縮差異が生じる温度域で生じる傾向にある。そこで、カバー層13と容量領域14との間の収縮差異が生じる温度以下で軟化するガラスが添加されることが望まれる。加えて、焼成工程において、カバー層13の焼結完了温度が容量領域14の焼結完了温度よりも高くなる傾向にあるため、カバー層13の焼結完了温度を低くすることが望まれる。そこで、本実施形態においては、ガラス軟化点(Ts)が900℃以下のガラスを用いる。ガラス軟化点(Ts)は、800℃以下であることが好ましく、600℃以下であることがより好ましい。
また、焼成工程において、カバー層13の柔軟性を十分に確保するため、本実施形態においては、ガラス軟化点(Ts)とガラス転移点(Tg)との差分(Ts−Tg)に着目する。なお、差分(Ts−Tg)は、熱に対する粘度挙動の指標でもある。この差分(Ts−Tg)が小さいほど、焼成工程でガラスがカバー材料の主成分セラミックの空隙に含浸しやすくなり、カバー層13の柔軟性を担保できる。そこで、本実施形態においては、差分(Ts−Tg)を300℃以下とする。差分(Ts−Tg)は、200℃以下であることが好ましい。
例えば、ガラス軟化点(Ts)を低下させるガラス成分として、LiO(酸化リチウム)、NaO(酸化ナトリウム)、KO(酸化カリウム)、MgO(酸化マグネシウム)、CaO(酸化カルシウム)、SrO(酸化ストロンチウム)、BaO(酸化バリウム)、ZnO(酸化亜鉛)、SnO(酸化スズ)、B(酸化ホウ素)、P(五酸化二リン)などが挙げられる。ガラス軟化点(Ts)を上昇させるガラス成分として、Al(酸化アルミニウム)、CeO(酸化セリウム)、CuO(酸化銅)、Fe(酸化鉄)、AgO(酸化銀)、WO(酸化タングステン)、MoO(酸化モリブデン)、Nb(酸化ニオブ)、Ta(酸化タンタル)、Ga(酸化ガリウム)、Sb(酸化アンチモン)、CsO(酸化セシウム)などが挙げられる。ガラス転移点(Tg)を低下させるガラス成分として、LiCO(炭酸リチウム)、Bi(酸化ビスマス)、ZnO、Bなどが挙げられる。これらの成分の組み合わせや組成比を調整することで、ガラス軟化点(Ts)およびガラス転移点(Tg)を調整し、ガラス軟化点(Ts)が900℃以下で差分(Ts−Tg)が300℃以下となるガラスを得ることができる。
(積層工程)
次に、得られた誘電体材料に、ポリビニルブチラール(PVB)樹脂等のバインダと、エタノール、トルエン等の有機溶剤と、可塑剤とを加えて湿式混合する。得られたスラリーを使用して、例えばダイコータ法やドクターブレード法により、基材上に例えば厚み0.8μm以下の帯状の誘電体グリーンシート41を塗工して乾燥させる。
次に、図5(a)で例示するように、誘電体グリーンシート41の表面に、有機バインダを含む内部電極形成用の金属導電ペースト42をスクリーン印刷、グラビア印刷等により印刷する。それにより、シート部材43を得る。金属導電ペーストに含まれる金属材料には、例えば、平均粒径が150nm以下のものを用いる。また、粒径の標準偏差は、15以下とする。これにより、シャープな粒度分布が得られる。平均粒径は、100nm以下であることが好ましく、70nm以下であることがより好ましい。粒径の標準偏差は、15以下であることが好ましく、12以下であることがより好ましい。また、累積粒度分布の傾きは、8以上であることが好ましい。なお、累積粒度分布の傾きは、累積粒度分布を対数プロットしD20とD80間の傾き(=1/(logD80−logD20)と定義することができる。
また、金属導電ペースト42には、共材としてセラミック粒子を添加しておく。セラミック粒子の主成分セラミックは、特に限定するものではないが、誘電体層11の主成分セラミックと同じであることが好ましい。例えば、共材として、チタン酸バリウムを均一に分散させてもよい。共材には、例えば平均粒径が10nm以下のものを用いる。また、粒径の標準偏差は、5以下とする。これにより、シャープな粒度分布が得られる。平均粒径は、15nm以下であることが好ましく、10nm以下であることがより好ましい。粒径の標準偏差は、5以下であることが好ましく、3以下であることがより好ましい。また、累積粒度分布の傾きは、7以上であることが好ましい。なお、累積粒度分布の傾きは、累積粒度分布を対数プロットしD20とD80間の傾き(=1/(logD80−logD20)と定義することができる。
その後、図5(b)で例示するように、シート部材43から基材を剥離した状態で、金属導電ペースト42が互い違いになるように、かつ金属導電ペースト42が誘電体グリーンシート41の長さ方向両端面に端縁が交互に露出するように、所定層数(例えば100〜500層)だけシート部材43を積層する。それにより、積層部分が得られる。
次に、原料粉末作製工程で得られたカバー材料に、ポリビニルブチラール(PVB)樹脂等のバインダと、エタノール、トルエン等の有機溶剤と、可塑剤とを加えて湿式混合する。得られたスラリーを使用して、例えばダイコータ法やドクターブレード法により、基材上にカバーシート44を塗工して乾燥させる。上記積層部分の上下にカバーシート44を所定数(例えば2〜10層)だけ積層して熱圧着させ、所定チップ寸法(例えば1.0mm×0.5mm)にカットし、その後に外部電極20a,20bとなる金属導電ペーストを、カットした積層体の両側面にディップ法等で塗布して乾燥させる。これにより、セラミック積層体が得られる。なお、所定数のカバーシート44を積層して圧着してから、積層された誘電体グリーンシート41の上下に貼り付けてもよい。セラミック積層体において、シート部材43の積層数は、例えば1300層/mm以上である。また、セラミック積層体において、各カバー層13に対応する部分の厚みは、例えば10μm以上、30μm以下である。
なお、一枚の誘電体グリーンシート41上の複数箇所に、内部電極層12に対応する金属導電ペースト42を印刷してもよい。この場合、得られるシート部材43を積層し、カバーシート44を圧着した後に所定チップ寸法(例えば1.0mm×0.5mm)ずつにカットし、カットされた積層体のそれぞれの両端面に、外部電極20a,20bの下地層となる金属導電ペーストをディップ法等で塗布して乾燥させてもよい。
(焼成工程)
このようにして得られた成型体を、250〜500℃のN雰囲気中で脱バインダ処理した後に、酸素分圧10−5〜10−8atmの還元雰囲気中で1100〜1300℃で10分〜2時間焼成する。このようにして、積層セラミックコンデンサ100が得られる。なお、焼成工程において昇温速度を大きくすることで、共材が金属導電ペースト42から吐き出される前に主成分金属が焼結するため、共材が内部電極層12に残存しやすくなる。そこで、焼成工程において室温から最高温度までの平均昇温速度は、30℃/分以上とすることが好ましく、45℃/分以上とすることがより好ましい。なお、平均昇温速度が大きすぎると、成型体に残留する有機成分(脱バインダ処理だけで取り切れなかったもの)の排出が十分に行われず、焼成工程中にクラックが発生するなどの不具合が生じるおそれがある。そこで、平均昇温速度を、80℃/分以下とすることが好ましく、65℃/分以下とすることがより好ましい。
(再酸化処理工程)
その後、Nガス雰囲気中で600℃〜1000℃で再酸化処理を行ってもよい。
(めっき処理工程)
その後、めっき処理により、外部電極20a,20bの下地層に、Cu,Ni,Sn等の金属コーティングを行う。
本実施形態に係る積層セラミックコンデンサの製造方法によれば、カバー材料において、主成分セラミックに対するガラスの添加量を0.1wt%以上10wt%以下とすることで、容量領域14の電気特性の悪化を抑制しつつ、焼成工程においてカバー層13に柔軟性を持たせることができる。また、ガラス軟化点(Ts)が900℃以下のガラスをカバー材料に添加することで、カバー層13の焼結完了温度を低くすることができる。さらに、ガラス軟化点(Ts)とガラス転移点(Tg)との差分(Ts−Tg)が300℃以下となるガラスをカバー材料に添加することで、焼成工程においてガラスがカバー材の主成分セラミックの空隙に含浸しやすくなり、カバー層13の柔軟性が担保できる。以上のことから、焼成工程におけるカバー層13のクラックの発生を抑制することができる。したがって、積層セラミックコンデンサ100の小型化および低背化されても、実装時の衝撃による割れが生じないような高い抗折強度を実現することができる。
上記各実施形態においては、セラミック電子部品の一例として積層セラミックコンデンサについて説明したが、それに限られない。例えば、バリスタやサーミスタなどの、他の電子部品を用いてもよい。
(実施例1〜10、比較例1〜3)
以下、実施形態に係る積層セラミックコンデンサを作製し、特性について調べた。
(誘電体材料の作製)
チタン酸バリウム粉末を、誘電体材料の主成分セラミック粉末として用意した。
チタン酸バリウム粉末に必要な添加物を添加し、ボールミルで十分に湿式混合粉砕して誘電体材料を得た。
(カバー材料の作製)
チタン酸バリウム粉末を、カバー材料の主成分セラミック粉末として用意した。実施例1では、チタン酸バリウム粉末に、ガラス軟化点(Ts)が600℃で、差分(Ts−Tg)が100℃のガラスを10.0wt%添加した。その他、必要な添加物をチタン酸バリウム粉末に添加し、ボールミルで十分に湿式混合粉砕してカバー材料を得た。
実施例2では、ガラス軟化点(Ts)が600℃で、差分(Ts−Tg)が100℃のガラスを5.0wt%添加した。実施例3では、ガラス軟化点(Ts)が600℃で、差分(Ts−Tg)が100℃のガラスを1.0wt%添加した。実施例4では、ガラス軟化点(Ts)が600℃で、差分(Ts−Tg)が100℃のガラスを0.1wt%添加した。実施例5では、ガラス軟化点(Ts)が600℃で、差分(Ts−Tg)が200℃のガラスを10.0wt%添加した。実施例6では、ガラス軟化点(Ts)が700℃で、差分(Ts−Tg)が200℃のガラスを10.0wt%添加した。実施例7では、ガラス軟化点(Ts)が800℃で、差分(Ts−Tg)が200℃のガラスを10.0wt%添加した。実施例8では、ガラス軟化点(Ts)が900℃で、差分(Ts−Tg)が200℃のガラスを10.0wt%添加した。実施例9では、ガラス軟化点(Ts)が900℃で、差分(Ts−Tg)が300℃のガラスを10.0wt%添加した。比較例1では、ガラスを添加しなかった。比較例2では、ガラス軟化点(Ts)が900℃で、差分(Ts−Tg)が350℃のガラスを10.0wt%添加した。比較例3では、ガラス軟化点(Ts)が600℃で、差分(Ts−Tg)が100℃のガラスを20.0wt%添加した。
(積層セラミックコンデンサの作製)
誘電体材料に有機バインダとしてブチラール系、溶剤としてトルエン、エチルアルコールを加えてドクターブレード法にて誘電体グリーンシート41を作製した。得られた誘電体グリーンシート41に内部電極層形成上の金属導電ペースト42を印刷した。誘電体グリーンシート41上に金属導電ペースト42が印刷されたシート部材43を390枚重ねた。
カバー材料に有機バインダとしてブチラール系、溶剤としてトルエン、エチルアルコールを加えてドクターブレード法にてカバーシート44を作製した。シート部材43の積層体の上下に、カバーシート44を積層して熱圧着した。カバーシート44の厚みは、15μmとした。その後、所定の形状に切断し、N雰囲気で脱バインダ処理した。得られた積層体にNi外部電極をディップ法で形成し、還元雰囲気下(O分圧:10−5〜10−8atm)、1250℃で焼成して焼結体を得た。形状寸法は、長さ0.6mm、幅0.3mm、高さ0.3mmであった。焼結体をN雰囲気下800℃の条件で再酸化処理を行った後、めっき処理して外部電極端子の表面にCu,Ni,Snの金属コーティングを行い、積層セラミックコンデンサ100を得た。室温から最高温度までの平均昇温速度は、30℃/分以上80℃/分とした。なお、焼成後において、誘電体層11の厚みは、0.35μmであった。内部電極層12の厚みは、0.35μmであった。カバー層13の厚みは、15μmであった。単位厚みあたりの内部電極層12の積層数は、1300層/mmであった。これらの条件を表1に示す。
Figure 2021061289
(分析)
実施例1〜9および比較例1〜3の積層セラミックコンデンサについて、容量領域14の電気特性悪化の有無を調べた。具体的には、内部電極層12の連続率悪化(容量低下)、絶縁不良等の信頼性低下の有無を調べた。設計容量に対して5%以上低下したら不合格「×」と判定した。ショートが発生した場合も不合格「×」と判定した。設計容量に対して5%以上低下せず、かつショートが発生しなかった場合には合格「〇」と判定した。
次に、実施例1〜9および比較例1〜3の積層セラミックコンデンサについて、カバー層13におけるクラックの発生を調べた。カバー層13にクラックが発生していなければクラック抑制が合格「〇」と判定し、カバー層13にクラックが発生していればクラック抑制が不合格「×」と判定した。クラック発生の有無は、光学顕微鏡で100倍の倍率で確認した。
次に、実施例1〜9および比較例1〜3の積層セラミックコンデンサについて、焼結過程における破壊強度を調べた。具体的には、観察炉内で荷重をかけ、破壊した時の荷重を確認することによって破壊強度を調べた。800℃での破壊荷重が2倍以上となっていれば合格「〇」と判定し、2倍未満の場合に「不合格」と判定した。
比較例1では、カバー層13にクラックが発生した。これは、カバー材料にガラスを添加しなかったことで、焼成工程においてカバー層13に柔軟性を持たせなかったからであると考えられる。また、比較例1では、破壊強度が不合格と判定された。これは、カバー層13にクラックが発生したことで強度が低下したからであると考えられる。
比較例2でも、カバー層13にクラックが発生した。これは、差分(Ts−Tg)が300℃を上回ったことでカバー層13の柔軟性が十分でなかったからであると考えられる。また、比較例2では、破壊強度が不合格と判定された。これは、カバー層13にクラックが発生したことで強度が低下したからであると考えられる。
比較例3では、電気特性が悪化したと判定された。これは、カバー材料へのガラスの添加量が10wt%を上回ったことで、容量領域14にガラスが含浸されて、誘電体層11の異常粒成長や内部電極層12の連続率悪化などが生じたからであると考えられる。
これらに対して、実施例1〜実施例9では、電気特性が悪化せず、カバー層13にクラックが発生せず、十分な破壊強度が得られた。これは、ガラス軟化点(Ts)が900℃以下であって、ガラス軟化点(Ts)とガラス転移点(Tg)との差分(Ts−Tg)が300℃以下となるガラスの添加量を主成分セラミックに対して0.1wt%以上10wt%以下としたからであると考えられる。なお、図6は、焼結過程の破壊強度を示す図である。図6の実線は、比較例1の結果を表している。図6の丸印は、実施例1の結果を表している。図6に示すように、比較例1に対して、実施例1では、焼結過程において破壊強度が最も低くなる800℃付近の破壊強度が大きくなった。
以上、本発明の実施例について詳述したが、本発明は係る特定の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
10 積層チップ
11 誘電体層
12 内部電極層
13 カバー層
14 容量領域
15 エンドマージン
16 サイドマージン
20a,20b 外部電極
100 積層セラミックコンデンサ

Claims (5)

  1. チタン酸バリウムを主成分セラミックとする誘電体グリーンシートと金属導電ペーストのパターンとが交互に積層された積層部分と、チタン酸バリウムを主成分セラミックとしてガラスを含み前記積層部分の積層方向の上面および下面に配置されたカバーシートと、を含むセラミック積層体を準備する準備工程と、
    前記セラミック積層体を焼成する焼成工程と、を含み、
    前記カバーシートにおいて、前記チタン酸バリウムに対して前記ガラスの添加量は0.1wt%以上10wt%以下であり、前記ガラスのガラス軟化点(Ts)は900℃以下であって、前記ガラスの前記ガラス軟化点(Ts)とガラス転移点(Tg)との差分(Ts−Tg)は300℃以下であることを特徴とするセラミック電子部品の製造方法。
  2. 前記焼成工程によって前記セラミック積層体において、前記金属導電ペーストから得られる内部電極層の積層数は、1300層/mm以上であることを特徴とする請求項1記載のセラミック電子部品の製造方法。
  3. 前記焼成工程によって前記カバーシートから得られるカバー層の厚みは、10μm以上、30μm以下であることを特徴とする請求項1または2に記載のセラミック電子部品の製造方法。
  4. 前記金属導電ペーストは、ニッケルを主成分金属とすることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のセラミック電子部品の製造方法。
  5. 主成分セラミックとしてのチタン酸バリウムと、
    ガラスと、を備え、
    前記チタン酸バリウムに対して前記ガラスの添加量は0.1wt%以上10wt%以下であり、前記ガラスのガラス軟化点(Ts)は900℃以下であって、前記ガラスの前記ガラス軟化点(Ts)とガラス転移点(Tg)との差分(Ts−Tg)は300℃以下であることを特徴とするカバーシート。
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