JP2021060047A - ブッシュ及び車両用ペダル装置 - Google Patents

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徳昭 加藤
Noriaki Kato
徳昭 加藤
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Abstract

【課題】相対回転するピンとボスとの間に配設されるブッシュにおいて、ブッシュとそのブッシュに対して摺動する部材との接触を面接触とすることにより、長期間の使用でもブッシュの摩耗を抑制し、ガタ詰めの持続性を高める。【解決手段】軸受部11gの軸方向の反フランジ部側端部は、ピン(12)の外径より内径が小さく形成されており、軸受部11gの軸方向のフランジ部側は、反フランジ部側端部からフランジ部側に向けて外径が漸次大きくなるように傾斜した傾斜面部11bとされており、傾斜面部11bのフランジ部側の外径は、ボス(13)の内径より大きく形成されており、軸受部11gは、軸方向に沿って螺旋状に延びるスリット11d、11e、11fを備え、スリット11d、11e、11fは、フランジ部11cの延出外端11nから軸受部11gの軸方向の反フランジ部側端11oまで繋がっている。【選択図】図4

Description

本発明は、ブッシュ及び車両用ペダル装置に関する。
特許文献1には、車両用ペダル装置の回転軸部において軸部材となるカラーと軸受部材となるボスとの間に配設されるブッシュに関する発明が開示されている。この発明において、ブッシュは、カラー及びボスの軸方向両側にそれぞれ設けられている。そして、各ブッシュは、カラーとボスとの隙間によるボスのガタつきを抑制する(以下、ガタ詰めという)ように、弾性変形可能な樹脂により形成され、円筒形を変形した鼓形状とされている。そのため、各ブッシュは、軸方向における中央部の内周面でカラーの外周面に接触し、軸方向における両端側の外周面でボスの内周面に接触してガタ詰め機能を達成している。
特開2016−31563号公報
しかし、特許文献1の場合、カラー及びボスの表面とブッシュとの各接触は、線接触であり、接触面積が小さいため長期間の使用では接触部分が摩耗し易く、長期間の使用ではブッシュの交換が必要となる場合があった。
本発明の課題は、相対回転する軸部材と軸受部材との間に配設されるブッシュにおいて、ブッシュとそのブッシュに対して摺動する部材との接触を面接触とすることにより、長期間の使用でもブッシュの摩耗を抑制し、ガタ詰めの持続性を高めることにある。
本発明の第1発明は、相対回転する軸部材であるピンと軸受部材であるボスとの間に配設され、前記ピンの外周面及び前記ボスの内周面間に挟まれる円筒形状の軸受部と、該軸受部における前記ボスの軸方向端部から露出する端部で、前記ボスの軸方向端部の端面に沿って前記ボスの半径方向外側に延出されるフランジ部とを備え、弾性変形可能素材により形成されたブッシュであって、前記軸受部の軸方向の反フランジ部側端部は、前記ピンの外径より内径が小さく形成されており、前記軸受部の軸方向のフランジ部側は、前記反フランジ部側端部から前記フランジ部側に向けて外径が漸次大きくなるように傾斜した傾斜面部とされており、該傾斜面部の前記フランジ部側の外径は、前記ボスの内径より大きく形成されており、前記軸受部は、軸方向に沿って螺旋状に延びるスリットを備え、該スリットは、前記フランジ部の延出外端から前記軸受部の軸方向の反フランジ部側端まで繋がっている。
本発明の第2発明は、上記第1発明において、前記螺旋状のスリットは、前記軸受部の周方向の一周以上に渡って形成されている。
本発明の第3発明は、上記第1又は第2発明において、前記軸受部は、前記傾斜面部と、軸方向に沿って延びる円筒部とを備え、該円筒部は、前記傾斜面部を挟んで前記フランジ部の反対側に一体に形成されている。
本発明の第4発明は、上記第3発明において、前記スリットは、前記軸受部の前記傾斜面部では螺旋状に形成され、前記軸受部の前記円筒部では軸方向に沿って直線状に形成され、前記フランジ部では半径方向に沿って直線状に形成されている。
本発明の第5発明は、上記第1〜第4発明のいずれかにおいて、前記軸受部及び前記フランジ部は、樹脂により一体成形されている。
本発明の第6発明は、上記第1〜第5発明のいずれかのブッシュが用いられ、ペダルアームの両端に、足踏み操作されるペダル及び足踏み操作時の回転中心となる回転軸部を備えた車両用ペダル装置であって、前記ピンは前記回転軸部の軸部材であり、前記ボスは前記回転軸部の軸受部材である。
本発明によれば、ピンが軸受部に挿通され、更に軸受部がボスに挿通された状態では、軸受部の反フランジ部側端部は、弾性変形により拡径してピンの外周面に巻き付いて面接触する。また、軸受部の傾斜面部の外周がボスの内周面により縮径されることにより、軸受部がボスの軸方向端部から抜け出る方向に弾性的に付勢され、フランジ部は、ピンの端部でピンを支持する部材(例えば、ペダルブラケット)に面接触する。ブッシュは、これらの面接触により線接触の場合に比べて耐摩耗性が高められ、ガタ詰め効果の持続性を高めることができる。
本発明の車両用ペダル装置の一実施形態を示す正面図である。 図1のII−II線断面矢視拡大図である。 上記車両用ペダル装置の回転軸部にブッシュを組み付ける様子を示す説明図である。 本発明のブッシュの一実施形態を示す拡大斜視図である。 上記ブッシュの拡大側面図である。 上記ブッシュの拡大正面図である。
<車両用ペダル装置の一実施形態>
図1、2は、本発明の車両用ペダル装置の一実施形態を示す。この実施形態は、ブレーキペダルのペダルアーム2がペダルブラケット3に回転自在に取り付けられている。ペダルアーム2の先端にはペダル2aが固定されており、その反対側の回転中心側部2bは、回転軸部1を介してペダルブラケット3に固定されている。従って、ペダル2aが足踏み操作されることにより、回転軸部1を中心にペダルアーム2が回転してブレーキ操作が行われる。
図2のように、回転軸部1は、軸部材であるピン12が軸受部材であるボス13に挿通されて構成されている。しかも、ピン12の両端部では、ボス13との隙間に樹脂製のブッシュ11が対を成して挿入されている。このようにブッシュ11が挿入された状態で、ピン12の両端は、ペダルブラケット3の嵌合孔3aに嵌合され、その状態でピン12の両端が加締められて、ピン12の両端にはカシメ部12aが形成されている。このカシメ部12aによりペダルブラケット3がピン12の両端に挟持され、回転軸部1がペダルブラケット3に固定されている。ボス13の軸方向の中央部の外周には、ペダルアーム2の回転中心側部2bが溶接結合されている。
<ブッシュの一実施形態>
図4〜6は、一つのブッシュ11の一実施形態を示す。なお、一対のブッシュ11は、互いに同一のものが使用されている。ブッシュ11は、上述のようにピン12とボス13との間に挟持される概ね円筒形状の軸受部11gと、その軸受部11gの軸方向端部に一体に形成されたフランジ部11cとを備える。フランジ部11cは、ブッシュ11がピン12とボス13との間に挟持された状態で、ボス13の軸方向端部から露出し、ボス13の端面13aに沿ってボス13の半径方向外側に延出されて円板状に形成されている。
ブッシュ11の軸受部11gは、フランジ部11c側に傾斜面部11bを備え、反フランジ部側に円筒部11aを一体に備える。傾斜面部11bは、反フランジ部11c側からフランジ部11c側に向けて外径が漸次大きくなるように傾斜した傾斜面を備える。また、円筒部11aは、傾斜面部11bの小径側と同一径の円筒形状に形成されている。
ブッシュ11には、フランジ部11cから円筒部11aまでブッシュ11の軸方向の全長に渡って延びるスリット11f、11d、11eが形成されている。傾斜面部11bのスリット11dは、軸受部11gの軸方向に沿って螺旋状に形成されており、フランジ部11cのスリット11fは、フランジ部11cの半径方向に沿って直線状に形成されている。また、円筒部11aのスリット11eは、円筒部11aの軸方向に沿って直線状に形成されている。スリット11f、11d、11eは、フランジ部11cの延出外端11nから円筒部11aの反フランジ部側端11oまで繋がっている。スリット11dは、傾斜面部11bの周方向で1周(360度)以上となるように形成されている。この実施形態の場合、図6に矢印で示すように430度程度とされている。
円筒部11aは、その内径がピン12の外径より僅かに小さく形成されている。例えば、ピン12の外径が13mmのとき、円筒部11aの内径は12.6mmとされている。ブッシュ11は弾性変形可能な樹脂により形成されており、円筒部11aにピン12が挿通されると、円筒部11aは、弾性変形して拡径され、ピン12の外周面に巻き付くように面接触する。ブッシュ11は、樹脂の一体成形により形成されており、樹脂材料として、例えば、POM(ポリアセタール)、若しくはPVC(ポリ塩化ビニル)が用いられる。なお、耐油性、弾性変形特性、摩擦係数等の条件を満たせば、他の樹脂を使用してもよい。
また、傾斜面部11bは、フランジ部11c側の外径がボス13の内径より僅かに大きく形成されている。例えば、ボス13の内径が15mmのとき、傾斜面部11bのフランジ部11c側の外径は15.4mmとされている。そのため、図2のように傾斜面部11bがボス13内に嵌合されると、傾斜面部11bは、弾性変形して縮径される。このとき、傾斜面部11bは、樹脂の弾性及び傾斜面によりボス13に嵌合された状態から抜け出る方向に弾性的に付勢される。その結果、フランジ部11cの外側面11hがペダルブラケット3の側面に面接触する。
以上のように、ブッシュ11の円筒部11aがピン12の外周面に面接触するため、ピン12に対するボス13の径方向のガタ詰めが行われる。また、フランジ部11cの外側面11hがペダルブラケット3の側面に面接触するため、ピン12に対するボス13の軸方向のガタ詰めがペダルブラケット3を介して行われる。
ブレーキ操作によりペダルアーム2が回転軸部1を中心に回転されると、ボス13がピン12に対して回転される。このとき、ブッシュ11は、通常は、ボス13と共に回転し、ピン12の外周面及びペダルブラケット3の側面に対し摺動する。この摺動に伴う摩擦抵抗を小さくするため、スリット11f、11d、11eには、潤滑用グリースが充填されている。
<ブッシュの組付け手順>
図3は、ブッシュ11の軸受部11gをピン12とボス13との隙間に挿入する様子を示す。ピン12とボス13との隙間にブッシュ11の軸受部11gを挿入する際は、図3の矢印で示すように、ピン12とボス13との隙間をめがけて軸受部11gを挿入する。このとき、軸受部11gの先端の円筒部11aの内径は、ピン12の外径より僅かに小さいため、作業者は、指先、若しくは所定の治具を使って、円筒部11aの内径をピン12の外径より大きくなるように拡げて、ピン12の外周に円筒部11aを被せる。この状態で、ブッシュ11をピン12とボス13との隙間に押し込むことにより、ブッシュ11の軸受部11gをピン12とボス13との隙間に挿入することができる。
一方、ブッシュ11の傾斜面部11bの外径は、ボス13の内径より僅かに大きいため、傾斜面部11bの外周面がボス13の内周面に当接した位置より押し込んでもブッシュ11は自らの弾性力により当初の位置まで押し戻される。この状態で、図2で説明したように、ペダルブラケット3を取り付けることにより、ブッシュ11のフランジ部11cは、ブッシュ11の弾性力に抗してペダルブラケット3の側面に押されて、円筒部11aはピン12とボス13との隙間に圧入される。そのため、フランジ部11cは、ペダルブラケット3の側面に面接触する。図3では、片方のブッシュ11のみの組付け手順について説明したが、対を成す別のブッシュ11についても全く同様に組み付けられる。
<その他の実施形態>
以上、特定の実施形態について説明したが、本発明は、それらの外観、構成に限定されず、種々の変更、追加、削除が可能である。例えば、上記実施形態では、ブッシュ11を車両用ブレーキ装置の回転軸部1のブッシュ11として使用したが、一般的な回転軸部のブッシュとして使用してもよい。
上記実施形態では、スリット11dを軸受部11gの周方向の一周以上に渡って形成したが、ブッシュ11の素材の弾性変形特性によっては一周より短くしてもよい。また、螺旋状のスリット11dの螺旋の回転方向は実施形態とは反対方向としてもよい。
上記実施形態では、軸受部11gに円筒部11aと傾斜面部11bとを備える構成としたが、軸受部11gを傾斜面部11bのみにより構成し、ブッシュ11にピン12が挿通された状態で、傾斜面部11bの反フランジ部側が変形してピン12の外周面に面接触する部分が形成されるものとしてもよい。
上記実施形態では、軸受部11gの円筒部11a及びフランジ部11cのスリット11e、11fを直線状に形成したが、傾斜面部11bのスリット11dを延長して螺旋状に形成してもよい。
上記実施形態では、ブッシュ11を樹脂の一体成形により形成したが、ばね鋼等、他の素材により形成してもよい。
上記実施形態では、回転軸部1の軸部材をピン12により構成し、ピン12をペダルブラケット3に対しカシメ部12aにより固定したが、回転軸部1の軸部材を中空体のカラーにより構成し、ペダルブラケット3に対するカラーの固定を、カラーの中空部を貫通するボルトとナットにより行うようにしてもよい。
上記実施形態では、車両用ペダル装置をブレーキペダルに適用したが、クラッチペダル、足踏み式パーキングブレーキペダル等の他のペダル装置に適用してもよい。
<各発明に対応する上記実施形態の作用効果>
なお、最後に上述の「課題を解決するための手段」における第1発明以降の各発明に対応する上記実施形態の作用効果を付記しておく。
第1発明によれば、ピン12がブッシュ11の軸受部11gに挿通され、更に軸受部11gがボス13に挿通された状態では、軸受部11gの反フランジ部側端部は、弾性変形により拡径してピン12の外周面に巻き付いて面接触する。また、軸受部11gの傾斜面部11bの外周がボス13の内周面により縮径されることにより、軸受部11gがボス13の軸方向端部から抜け出る方向に弾性的に付勢され、フランジ部11cは、ペダルブラケット3の側面に面接触する。ブッシュ11は、これらの面接触により線接触の場合に比べて耐摩耗性が高められ、ガタ詰め効果の持続性を高めることができる。
第2発明によれば、ブッシュ11の軸受部11gの円筒部11aが拡径される動きと、軸受部11gの傾斜面部11bが縮径される動きとを、拡径部分と縮径部分とに挟まれ、スリット11dにより変形可能とされた傾斜面部11bの帯状部分11k(図4参照)で吸収している。従って、軸受部11gの中で、円筒部11aにおける拡径と、傾斜面部11bにおける縮径を可能としている。
第3発明によれば、ブッシュ11の軸受部11gの円筒部11aによりピン12の外周面に巻き付く面の面積を確保することができる。
ブッシュ11の全体に螺旋状のスリット11f、11d、11eを形成した場合、円筒部11a及びフランジ部11cでは、螺旋の終端となり、螺旋終端部に図4に仮想線で示すように先鋭端部11mが形成され、先鋭端部11mは破損し易すい。第4発明によれば、円筒部11a及びフランジ部11cのスリット11e、11fを直線状にしているため、先鋭端部11mが形成されないようにすることができる。
第5発明によれば、ブッシュ11を樹脂の一体成形により形成することにより軽量化し、且つ生産性を高めることができる。
第6発明によれば、ブッシュ11の径方向及び軸方向のガタ詰め効果が長期間維持されるため、ペダル2aの操作感を長期間に渡って良好に維持することができる。
1 回転軸部
2 ペダルアーム
2a ペダル
2b 回転中心側部
3 ペダルブラケット
3a 嵌合孔
11 ブッシュ
11a 円筒部
11b 傾斜面部
11c フランジ部
11d、11e、11f スリット
11g 軸受部
11h 外側面
11k 帯状部分
11m 先鋭端部
11n 延出外端
11o 反フランジ部側端
12 ピン(軸部材)
12a カシメ部
13 ボス(軸受部材)
13a 端面

Claims (6)

  1. 相対回転する軸部材であるピンと軸受部材であるボスとの間に配設され、前記ピンの外周面及び前記ボスの内周面間に挟まれる円筒形状の軸受部と、
    該軸受部における前記ボスの軸方向端部から露出する端部で、前記ボスの軸方向端部の端面に沿って前記ボスの半径方向外側に延出されるフランジ部とを備え、
    弾性変形可能素材により形成されたブッシュであって、
    前記軸受部の軸方向の反フランジ部側端部は、前記ピンの外径より内径が小さく形成されており、
    前記軸受部の軸方向のフランジ部側は、前記反フランジ部側端部から前記フランジ部側に向けて外径が漸次大きくなるように傾斜した傾斜面部とされており、
    該傾斜面部の前記フランジ部側の外径は、前記ボスの内径より大きく形成されており、
    前記軸受部は、軸方向に沿って螺旋状に延びるスリットを備え、
    該スリットは、前記フランジ部の延出外端から前記軸受部の軸方向の反フランジ部側端まで繋がっているブッシュ。
  2. 請求項1において、
    前記螺旋状のスリットは、前記軸受部の周方向の一周以上に渡って形成されているブッシュ。
  3. 請求項1又は2において、
    前記軸受部は、前記傾斜面部と、軸方向に沿って延びる円筒部とを備え、該円筒部は、前記傾斜面部を挟んで前記フランジ部の反対側に一体に形成されているブッシュ。
  4. 請求項3において、
    前記スリットは、前記軸受部の前記傾斜面部では螺旋状に形成され、前記軸受部の前記円筒部では軸方向に沿って直線状に形成され、前記フランジ部では半径方向に沿って直線状に形成されているブッシュ。
  5. 請求項1〜4のいずれかにおいて、
    前記軸受部及び前記フランジ部は、樹脂により一体成形されているブッシュ。
  6. 請求項1〜5のいずれかのブッシュが用いられ、
    ペダルアームの両端に、足踏み操作されるペダル及び足踏み操作時の回転中心となる回転軸部を備えた車両用ペダル装置であって、
    前記ピンは前記回転軸部の軸部材であり、前記ボスは前記回転軸部の軸受部材である車両用ペダル装置。
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