JP2021059475A - 炭化珪素単結晶の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】容器の汚染を抑制しつつ、炭化珪素単結晶の成長速度が低下するのを抑制することが可能な炭化珪素単結晶の製造方法を提供する。【解決手段】炭化珪素単結晶の製造方法は、容器内部に炭化珪素原料粉末を充填する工程と、炭化珪素原料粉末の表面から炭化珪素原料粉末の内部に延在するように通路形成用部材を設置する工程と、通路形成用部材を設置した状態で炭化珪素原料粉末を加熱した後に冷却することによって炭化珪素原料粉末を一体化する工程と、炭化珪素原料粉末を一体化する工程の後に通路形成用部材を取り除く工程と、容器内部に種結晶を設置する工程と、種結晶を設置する工程の後に一体化した炭化珪素原料粉末を加熱することによって種結晶上に炭化珪素単結晶を成長させる工程とを備える。【選択図】図7

Description

本開示は、炭化珪素単結晶の製造方法に関する。
特許文献1には、容器内の下部の炭化珪素原料粉末の装填面から下方に延びるように通路形成材料を配し、炭化珪素の昇華温度よりも低い温度で通路形成材料を溶融、蒸発または昇華させて通路形成材料が抜けて形成された通路を有する炭化珪素焼結体原料を作製した後に、炭化珪素焼結体原料を用いて炭化珪素単結晶の成長を行う炭化珪素単結晶の製造方法が開示されている。
特開2017−100920号公報
特許文献1の炭化珪素単結晶の製造方法によれば、成長空間に露出する表面積が大きく、効率的に原料昇華ガスを放出することができるとされている。効率的な原料昇華ガスの放出は、炭化珪素単結晶の成長速度の低下の抑制につながる。
しかしながら、特許文献1の炭化珪素単結晶の製造方法においては、溶融、蒸発または昇華した通路形成材料が容器の内壁面で凝固して付着する。容器の内壁面に付着した通路形成材料は容器の汚染を引き起こし、容器の短寿命化を導く。
本開示の炭化珪素単結晶の製造方法は、容器内部に炭化珪素原料粉末を充填する工程と、炭化珪素原料粉末の表面から炭化珪素原料粉末の内部に延在するように通路形成用部材を設置する工程と、通路形成用部材を設置した状態で炭化珪素原料粉末を加熱した後に冷却することによって炭化珪素原料粉末を一体化する工程と、炭化珪素原料粉末を一体化する工程の後に通路形成用部材を取り除く工程と、容器内部に種結晶を設置する工程と、種結晶を設置する工程の後に一体化した炭化珪素原料粉末を加熱することによって種結晶上に炭化珪素単結晶を成長させる工程とを備える。
本開示によれば、容器の汚染を抑制しつつ、炭化珪素単結晶の成長速度が低下するのを抑制することが可能な炭化珪素単結晶の製造方法を提供することができる。
図1は、本実施形態に係る炭化珪素単結晶の製造方法の概略を示すフローチャートである。 図2は、容器内部に炭化珪素原料粉末を充填する工程の一例を図解する模式的な断面図である。 図3は、炭化珪素原料粉末の表面から炭化珪素原料粉末の内部に延在するように通路形成用部材を設置する工程の一例を図解する模式的な断面図である。 図4は、通路形成用部材を設置した状態で炭化珪素原料粉末を加熱した後に冷却することによって炭化珪素原料粉末を一体化する工程の一例を図解する模式的な断面図である。 図5は、炭化珪素原料粉末を一体化する工程の後に通路形成用部材を取り除く工程の一例を図解する模式的な断面図である。 図6は、容器内部に種結晶を設置する工程の一例を図解する模式的な断面図である。 図7は、種結晶を設置する工程の後に炭化珪素原料粉末を加熱することによって種結晶上に炭化珪素単結晶を成長させる工程の一例を図解する模式的な断面図である。 図8は、実施例と比較例の炭化珪素単結晶の成長時間における炭化珪素単結晶の成長速度比を評価した結果である。
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列記して説明する。
(1)本開示に係る炭化珪素単結晶の製造方法は、容器内部に炭化珪素原料粉末を充填する工程と、前記炭化珪素原料粉末の表面から前記炭化珪素原料粉末の内部に延在するように通路形成用部材を設置する工程と、前記通路形成用部材を設置した状態で前記炭化珪素原料粉末を加熱した後に冷却することによって前記炭化珪素原料粉末を一体化する工程と、前記炭化珪素原料粉末を一体化する工程の後に前記通路形成用部材を取り除く工程と、前記容器内部に種結晶を設置する工程と、前記種結晶を設置する工程の後に一体化した前記炭化珪素原料粉末を加熱することによって前記種結晶上に炭化珪素単結晶を成長させる工程と、を備える。本開示に係る炭化珪素単結晶の製造方法は、前記通路形成用部材を設置した状態で前記炭化珪素原料粉末を加熱した後に冷却することによって前記炭化珪素原料粉末を一体化する工程と、前記炭化珪素原料粉末を一体化する工程の後に前記通路形成用部材を取り除く工程とを備えているため、容器の汚染を抑制しつつ、炭化珪素単結晶の成長速度が低下するのを抑制することが可能となる。
(2)上記(1)の炭化珪素単結晶の製造方法は、前記通路形成用部材を設置する工程の前に前記通路形成用部材の外周に緩衝シートを巻く工程をさらに備える。この場合には、前記炭化珪素原料粉末を一体化する工程後の前記通路形成用部材を取り除く工程において、一体化した前記炭化珪素原料粉末から前記通路形成用部材を容易に取り除くことが可能になる。
(3)上記(2)の炭化珪素単結晶の製造方法においては、前記緩衝シートは炭素を主成分とする。この場合には、前記炭化珪素原料粉末を一体化する工程における前記緩衝シートの前記容器の内壁面への付着をさらに抑制することが可能になるとともに、前記炭化珪素原料粉末を一体化する工程後の前記通路形成用部材を取り除く工程において、一体化した前記炭化珪素原料粉末から前記通路形成用部材をより容易に取り除くことが可能になる。なお、本明細書において、「主成分」とは、構成成分のうち90質量%以上を占める成分を意味する。
(4)上記(1)〜(3)のいずれか1つの炭化珪素単結晶の製造方法においては、前記通路形成用部材が黒鉛を含む。この場合には、前記炭化珪素原料粉末を一体化する工程における前記通路形成用部材の前記容器の内壁面への付着をさらに抑制することが可能になるとともに、前記炭化珪素原料粉末を一体化する工程後の前記通路形成用部材を取り除く工程において、一体化した前記炭化珪素原料粉末から前記通路形成用部材をより容易に取り除くことが可能になる。
(5)上記(2)の炭化珪素単結晶の製造方法においては、前記緩衝シートが炭素を主成分とし、前記通路形成用部材が黒鉛を含み、前記緩衝シートの密度が前記通路形成用部材の密度よりも小さい。この場合には、前記炭化珪素原料粉末を一体化する工程後の前記通路形成用部材を取り除く工程において、一体化した前記炭化珪素原料粉末から前記通路形成用部材をさらに容易に取り除くことが可能になる。
(6)上記(1)〜(3)のいずれか1つの炭化珪素単結晶の製造方法においては、前記通路形成用部材が、タンタル、タングステン、モリブデン、ニオブ、炭化タンタル、炭化タングステン、炭化モリブデン、または炭化ニオブを含む。この場合には、前記炭化珪素原料粉末を一体化する工程における前記通路形成用部材の前記容器の内壁面への付着をさらに抑制することが可能になるとともに、前記炭化珪素原料粉末を一体化する工程後の前記通路形成用部材を取り除く工程において、一体化した前記炭化珪素原料粉末から前記通路形成用部材をより容易に取り除くことが可能になる。
(7)上記(1)〜(6)のいずれか1つの炭化珪素単結晶の製造方法においては、前記緩衝シートの厚さが、0.5mm以上である。この場合には、前記炭化珪素原料粉末を一体化する工程後の前記通路形成用部材を取り除く工程において、一体化した前記炭化珪素原料粉末から前記通路形成用部材をより容易に取り除くことが可能になる。
(8)上記(1)〜(7)のいずれか1つの炭化珪素単結晶の製造方法においては、前記炭化珪素原料粉末の密度が、1.3g/cm3以上である。この場合には、前記炭化珪素原料粉末を一体化する工程において一体化した前記炭化珪素原料粉末が後工程で崩れることを抑制することができる。
(9)上記(1)〜(8)のいずれか1つの炭化珪素単結晶の製造方法においては、前記炭化珪素原料粉末を一体化する工程における前記容器内部の温度が2200℃以上であり、前記容器内部の圧力が5kPa以下である。この場合には前記炭化珪素原料粉末をさらに強固に一体化することが可能となる。
[本開示の実施形態の詳細]
以下、本開示の実施形態の詳細について説明する。以下の説明では、同一または対応する要素には同一の符号を付し、それらについて同じ説明は繰り返さない。
<炭化珪素単結晶の製造方法>
図1は、本実施形態に係る炭化珪素単結晶の製造方法の概略を示すフローチャートである。図1に示されるように、本実施形態に係る炭化珪素単結晶の製造方法は、炭化珪素原料粉末を充填する工程(S1)と、通路形成用部材を設置する工程(S2)と、炭化珪素原料粉末を一体化する工程(S3)と、通路形成用部材を取り除く工程(S4)と、種結晶を設置する工程(S5)と、炭化珪素単結晶を成長させる工程(S6)とを含む。以下、各工程について説明する。
<炭化珪素原料粉末を充填する工程(S1)>
本実施形態に係る炭化珪素単結晶の製造方法においては、まず、たとえば図2の模式的断面図に示すように、容器1の内部に炭化珪素原料粉末2を充填する工程が行われる。
容器1としては、たとえば従来から炭化珪素単結晶の製造に用いられている坩堝等の成長容器を用いることができる。
炭化珪素原料粉末2としては、たとえば従来から公知の炭化珪素粉末を用いることができる。炭化珪素原料粉末2の密度は1.3g/cm3以上とすることができる。炭化珪素原料粉末2の密度が1.3g/cm3以上である場合には、後述の炭化珪素原料粉末2を一体化する工程(S3)において一体化した炭化珪素原料粉末2が後工程で崩れることを抑制することができる。
<通路形成用部材を設置する工程(S2)>
炭化珪素原料粉末2を充填する工程(S1)の後には、たとえば図3の模式的断面図に示すように、炭化珪素原料粉末2の表面2aから炭化珪素原料粉末2の内部に延在するように通路形成用部材3を設置する工程が行われる。炭化珪素原料粉末2の表面から炭化珪素原料粉末2の内部に延在する通路形成用部材3の長さは、後述する昇華ガス用の通路5(図5〜図7を参照)を形成することができれば、特に限定されない。ただ、炭化珪素単結晶7の成長速度の低下をより抑制する観点からは、通路形成用部材3は容器1の底部1aまで延在していることが好ましい。
通路形成用部材3としては、炭化珪素原料粉末2を一体化する工程(S3)において、通路形成用部材3が溶融、蒸発または昇華しない材料が用いられる。このような材料を通路形成用部材3として用いることによって、炭化珪素原料粉末2を一体化する工程(S3)において、通路形成用部材3が溶融、蒸発または昇華して、容器1の内壁面で凝固して付着することを抑制することができる。
通路形成用部材3としては、黒鉛を含む材料を用いることができる。通路形成用部材3として黒鉛を含む材料を用いた場合には、炭化珪素原料粉末2を一体化する工程(S3)における通路形成用部材3の容器1の内壁面への付着をさらに抑制することが可能になるとともに、炭化珪素原料粉末2を一体化する工程(S3)後の通路形成用部材3を取り除く工程(S4)において、一体化した炭化珪素原料粉末20から通路形成用部材3をより容易に取り除くことが可能になる。
通路形成用部材3としては、タンタル、タングステン、モリブデン、ニオブ、炭化タンタル、炭化タングステン、炭化モリブデン、または炭化ニオブを含む材料を用いることもできる。この場合にも、炭化珪素原料粉末2を一体化する工程(S3)における通路形成用部材3の容器1の内壁面への付着をさらに抑制することが可能になるとともに、炭化珪素原料粉末2を一体化する工程(S3)後の通路形成用部材3を取り除く工程(S4)において、一体化した炭化珪素原料粉末20から通路形成用部材3をより容易に取り除くことが可能になる。
通路形成用部材3の形状および大きさは特に限定されないが、たとえば、炭化珪素原料粉末2の表面から炭化珪素原料粉末2の内部に延在するように通路形成用部材3を設置することができるような大きさの円柱状または角柱状等の柱状とすることができる。
本実施形態に係る炭化珪素単結晶の製造方法は、通路形成用部材3を設置する工程(S2)の前に通路形成用部材3の外周に緩衝シート4を巻く工程をさらに備えることができる。この場合には、炭化珪素原料粉末2を一体化する工程(S3)後の通路形成用部材3を取り除く工程(S4)において、一体化した炭化珪素原料粉末2から通路形成用部材3を容易に取り除くことが可能になる。
緩衝シート4としては、炭化珪素原料粉末2を一体化する工程(S3)において、溶融、蒸発または昇華せず、炭化珪素原料粉末2を一体化する工程(S3)後の通路形成用部材3を取り除く工程(S4)において、一体化した炭化珪素原料粉末20(図4参照)から通路形成用部材3を取り除くことを容易にすることができる材料が用いられる。
緩衝シート4としては、炭素を主成分とする材料を用いることができる。緩衝シート4として炭素を主成分とする材料を用いた場合には、炭化珪素原料粉末2を一体化する工程(S3)において緩衝シート4の容器1の内壁面への付着をさらに抑制することが可能になるとともに、炭化珪素原料粉末2を一体化する工程(S3)後の通路形成用部材3を取り除く工程(S4)において、一体化した炭化珪素原料粉末2から通路形成用部材3をより容易に取り除くことが可能になる。緩衝シート4としては、たとえば、NeoGraf社製のGRAFOIL(登録商標)などの炭素を主成分とする黒鉛シートを用いることができる。
緩衝シート4が炭素を主成分とし、通路形成用部材3が黒鉛を含む場合には、緩衝シート4の密度を通路形成用部材3の密度よりも小さくすることができる。この場合には、炭化珪素原料粉末2を一体化する工程(S3)後の通路形成用部材3を取り除く工程(S4)において、一体化した炭化珪素原料粉末20から通路形成用部材3をさらに容易に取り除くことが可能になる。緩衝シート4の密度が通路形成用部材3の密度よりも小さい場合には、緩衝シート4は通路形成用部材3よりも柔らかくなる。したがって、仮に、炭化珪素原料粉末2を一体化する工程(S3)において緩衝シート4に炭化珪素原料粉末2が固着したとしても、炭化珪素原料粉末2が通路形成用部材3に固着した場合と比べて、緩衝シート4を湾曲等させることによって、緩衝シート4を一体化した炭化珪素原料粉末20から容易に取り除くことが可能になる。通路形成用部材3の密度は、たとえば1.6g/cm3以上2.0g/cm3以下とすることができる。また、緩衝シート4の密度は、たとえば0.9g/cm3以上1.2g/cm3以下とすることができる。
緩衝シート4の厚さは0.5mm以上とすることができる。緩衝シート4の厚さが0.5mm以上である場合には、炭化珪素原料粉末2を一体化する工程(S3)後の通路形成用部材3を取り除く工程(S4)において、一体化した炭化珪素原料粉末2から通路形成用部材3をより容易に取り除くことが可能になる。
<炭化珪素原料粉末を一体化する工程(S3)>
通路形成用部材3を設置する工程(S2)の後には、たとえば図4の模式的断面図に示すように、通路形成用部材3を設置した状態で炭化珪素原料粉末2を加熱した後に冷却することによって炭化珪素原料粉末2を一体化する工程が行われる。これにより、炭化珪素原料粉末2同士が固着して一体化した炭化珪素原料粉末20を得ることができる。炭化珪素原料粉末2の一体化は、炭化珪素原料粉末2が加熱されて焼結することにより行なわれると考えられる。
炭化珪素原料粉末を一体化する工程(S3)における炭化珪素原料粉末2の加熱は、たとえば炭化珪素原料粉末2ができるだけ昇華しない条件で行なうことができる。また、炭化珪素原料粉末2の加熱は、容器1の内部の温度を2200℃以上とし、容器1の内部の圧力を5kPa以下とした条件で行なうこともできる。炭化珪素原料粉末2の加熱は、容器1の内部の温度を2200℃以上とし、容器1の内部の圧力を5kPa以下とした条件で炭化珪素原料粉末を一体化する工程(S3)における炭化珪素原料粉末2の加熱を行なった場合には、炭化珪素原料粉末2をさらに強固に一体化することが可能となる。これは、炭化珪素原料粉末2の一部が昇華して生成された昇華ガスが炭化珪素原料粉末2の加熱後の冷却により、一体化した炭化珪素原料粉末20の外表面で再結晶化することによるものと考えられる。
炭化珪素原料粉末を一体化する工程(S3)における炭化珪素原料粉末2の加熱後の冷却は、炭化珪素原料粉末2の加熱後に、たとえば容器1の内部の温度を室温(約25℃)まで低下することにより行うことができる。
<通路形成用部材を取り除く工程(S4)>
炭化珪素原料粉末を一体化する工程(S3)の後には、たとえば図5の模式的断面図に示すように、一体化した炭化珪素原料粉末20から通路形成用部材3を取り除く工程が行われる。これにより、一体化した炭化珪素原料粉末20に、通路形成用部材3に対応した形状および大きさの昇華ガス用の通路5が形成される。
なお、通路形成用部材3の外周に緩衝シート4を巻く工程を行なった場合には、一体化した炭化珪素原料粉末20から通路形成用部材3とともに緩衝シート4を取り除くことによって、一体化した炭化珪素原料粉末20に、通路形成用部材3および緩衝シート4に対応した形状および大きさの昇華ガス用の通路5が形成されることは言うまでもない。
<種結晶を設置する工程(S5)>
通路形成用部材を取り除く工程(S4)の後には、たとえば図6の模式的断面図に示すように、容器1の内部に種結晶6を設置する工程が行われる。種結晶6は、たとえば、容器1の内部の一体化した炭化珪素原料粉末20の設置側とは反対側に設置することができる。
種結晶6としては、たとえば従来から公知の炭化珪素単結晶からなる種結晶を用いることができる。
<炭化珪素単結晶を成長させる工程(S6)>
種結晶を設置する工程(S5)の後には、たとえば図7の模式的断面図に示すように、一体化した炭化珪素原料粉末20を加熱することによって種結晶6上に炭化珪素単結晶7を成長させる工程が行われる。
種結晶6上に炭化珪素単結晶7を成長させる条件は、たとえば一体化した炭化珪素原料粉末20を昇華させて昇華ガスを発生させることが可能な従来から公知の条件を用いることができる。
従来の炭化珪素単結晶の製造方法においては、炭化珪素原料粉末2を一体化させることなく、かつ通路形成用部材3および緩衝シート4を設置することなく、粉末状の炭化珪素原料粉末2を昇華させて種結晶6上に炭化珪素単結晶7を成長させていた。このとき、炭化珪素原料粉末2は、炭化珪素原料粉末2の上側(種結晶6側)の表面にカーボンの残渣を残しながら昇華するため、炭化珪素単結晶7の成長時間が経過するにしたがって炭化珪素原料粉末2の上側の表面のカーボンの残渣量が増加していく。
そのため、従来の炭化珪素単結晶の製造方法においては、炭化珪素原料粉末2の下側(種結晶6側とは反対側)から発生する昇華ガスは、炭化珪素原料粉末2の上側の表面で増加するカーボンの残渣に進行を阻まれるため、炭化珪素単結晶7の成長時間が経過するにしたがって炭化珪素単結晶7の成長速度が低下していった。
一方、本実施形態に係る炭化珪素単結晶の製造方法においては、容器1の内部の炭化珪素原料粉末2に通路形成用部材3を設置した状態で炭化珪素原料粉末2を一体化させ、その後、一体化した炭化珪素原料粉末20から通路形成用部材3を取り除いて昇華ガス用の通路5を形成してから一体化した炭化珪素粉末20を昇華させている。
そのため、本実施形態に係る炭化珪素単結晶の製造方法においては、一体化した炭化珪素粉末20の下側から発生する昇華ガスが、たとえば図7に示される矢印30のように、通路5を通って種結晶6に到達することが可能となる。これにより、本実施形態に係る炭化珪素単結晶の製造方法においては、炭化珪素単結晶7の成長時間が経過するにつれて炭化珪素単結晶7の成長速度が低下するのを抑制することができる。炭化珪素単結晶7の成長時間の経過に伴う炭化珪素単結晶7の成長速度の低下の抑制は、炭化珪素単結晶7の生産性の向上につながる。
また、本実施形態に係る炭化珪素単結晶の製造方法は、炭化珪素原料粉末2を一体化する工程において、通路形成用部材3が溶融、蒸発または昇華するのを抑制することができるため、通路形成用部材3の凝固による付着の容器1の内壁面の汚染を抑制することができる。
以上の理由により、本実施形態に係る炭化珪素単結晶の製造方法によれば、容器の汚染を抑制しつつ炭化珪素単結晶の成長速度が低下するのを抑制することが可能となる。
<実施例>
実施例においては、以下のようにして、炭化珪素単結晶7を成長させた。まず、図2に示すように、容器1の内部に炭化珪素原料粉末2を充填した。炭化珪素原料粉末2の密度は、1.3g/cm3以上であった。
次に、円柱状の黒鉛からなる通路形成用部材3(密度:1.6g/cm3以上2.0g/cm3以下)の外周面に、厚さ0.5mm以上のシート状の黒鉛からなる緩衝シート4(密度:0.9g/cm3以上1.2g/cm3以下)を巻き付けた。
次に、図3に示すように、炭化珪素原料粉末2の表面から炭化珪素原料粉末2の内部に延在するように通路形成用部材3および緩衝シート4を設置した。
次に、図4に示すように、通路形成用部材3および緩衝シート4を設置した状態で炭化珪素原料粉末2を加熱した後に冷却することによって炭化珪素原料粉末2を一体化した。これにより、容器1の内部に一体化した炭化珪素原料粉末20が形成された。ここで、炭化珪素原料粉末2の加熱は、容器1の内部の温度を2200℃以上とし、容器1の内部の圧力を5kPa以下とした条件で行なった。また、炭化珪素原料粉末2の冷却は、炭化珪素原料粉末2の加熱後に容器1の内部の温度を室温まで冷却することにより行なった。
次に、図5に示すように、一体化した炭化珪素原料粉末20から通路形成用部材3および緩衝シート4を取り除いた。これにより、一体化した炭化珪素原料粉末20に、通路形成用部材3および緩衝シート4に対応した形状および大きさの昇華ガス用の通路5が形成された。
次に、図6に示すように、容器1の内部に種結晶6を設置した。種結晶6としては、従来から公知の炭化珪素単結晶7からなる種結晶6を用いた。
次に、図7に示すように、一体化した炭化珪素原料粉末20を加熱することによって種結晶6上に炭化珪素単結晶7を成長させた。炭化珪素単結晶7の成長条件は、一体化した炭化珪素原料粉末20を昇華させて昇華ガスを発生させることが可能な従来から公知の条件を用いた。
<比較例>
炭化珪素原料粉末2を一体化させることなく、かつ通路形成用部材3および緩衝シート4を設置することなく、粉末状の炭化珪素原料粉末2を昇華させたこと以外は、実施例と同一の方法および同一の条件で、種結晶6上に炭化珪素単結晶7を成長させた。
<評価>
表1および図8に、実施例と比較例の炭化珪素単結晶7の経過した成長時間における炭化珪素単結晶7の成長速度比を評価した結果を示す。図8は、表1の経過した成長時間における炭化珪素単結晶7の成長速度比の値をプロットしたものである。図8の横軸が炭化珪素単結晶7の経過した成長時間を示し、縦軸が炭化珪素単結晶7の成長速度比を示している。なお、図8および表1に示される成長速度比は、実施例と比較例の炭化珪素単結晶7の成長開始時における炭化珪素単結晶7の成長速度を1.00としたときの相対値で表されている。
また、炭化珪素単結晶7の成長速度の算出は、炭化珪素単結晶7の成長中に定期的に窒素濃度が濃い領域を作成し、炭化珪素単結晶7を縦方向にスライスして、窒素濃度が濃い領域の間隔を測定することによって算出した(Daisuke Nakamura, “Simple and quick enhancement of SiC bulk crystal growth using a newly developed crucible material”, Applied Physics Express 9, 055507 (2016)のFig.3を参照)。
Figure 2021059475
図8および表1に示されるように、実施例においては、比較例と比べて、炭化珪素単結晶7の成長時間の経過に伴う炭化珪素単結晶7の成長速度の低下を抑制することができることが確認された。
また、実施例においては、シート状の黒鉛からなる緩衝シート4を外周面に巻き付けた円柱状の黒鉛からなる通路形成用部材3を炭化珪素原料粉末2の表面から内部に延在するように設置した状態で容器1の内部の温度を2200℃以上とし容器1の内部の圧力を5kPa以下とした条件で炭化珪素原料粉末2を一体化した後に、通路形成用部材3および緩衝シート4を取り除いて一体化した炭化珪素原料粉末20を昇華させている。そのため、実施例においては、容器1の内壁面に通路形成用部材3および緩衝シート4が付着しなかったため、容器1の汚染が抑制できることも確認された。
今回開示された実施形態および実施例はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した実施形態および実施例ではなく特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味、および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1 容器
1a 底部
2 炭化珪素原料粉末
2a 表面
3 通路形成用部材
4 緩衝シート
5 通路
6 種結晶
7 炭化珪素単結晶
20 一体化した炭化珪素原料粉末
30 矢印

Claims (9)

  1. 容器内部に炭化珪素原料粉末を充填する工程と、
    前記炭化珪素原料粉末の表面から前記炭化珪素原料粉末の内部に延在するように通路形成用部材を設置する工程と、
    前記通路形成用部材を設置した状態で前記炭化珪素原料粉末を加熱した後に冷却することによって前記炭化珪素原料粉末を一体化する工程と、
    前記炭化珪素原料粉末を一体化する工程の後に前記通路形成用部材を取り除く工程と、
    前記容器内部に種結晶を設置する工程と、
    前記種結晶を設置する工程の後に一体化した前記炭化珪素原料粉末を加熱することによって前記種結晶上に炭化珪素単結晶を成長させる工程と、を備える、炭化珪素単結晶の製造方法。
  2. 前記通路形成用部材を設置する工程の前に前記通路形成用部材の外周に緩衝シートを巻く工程をさらに備える、請求項1に記載の炭化珪素単結晶の製造方法。
  3. 前記緩衝シートが、炭素を主成分とする、請求項2に記載の炭化珪素単結晶の製造方法。
  4. 前記通路形成用部材が、黒鉛を含む、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の炭化珪素単結晶の製造方法。
  5. 前記緩衝シートが、炭素を主成分とし、
    前記通路形成用部材が、黒鉛を含み、
    前記緩衝シートの密度が、前記通路形成用部材の密度よりも小さい、請求項2に記載の炭化珪素単結晶の製造方法。
  6. 前記通路形成用部材が、タンタル、タングステン、モリブデン、ニオブ、炭化タンタル、炭化タングステン、炭化モリブデン、または炭化ニオブを含む、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の炭化珪素単結晶の製造方法。
  7. 前記緩衝シートの厚さが、0.5mm以上である、請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の炭化珪素単結晶の製造方法。
  8. 前記炭化珪素原料粉末の密度が、1.3g/cm3以上である、請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の炭化珪素単結晶の製造方法。
  9. 前記炭化珪素原料粉末を一体化する工程における前記容器内部の温度が2200℃以上であり、前記容器内部の圧力が5kPa以下である、請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の炭化珪素単結晶の製造方法。
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