以下、複数の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、各実施形態において対応する構成要素には同一の符号を付すことにより、重複する説明を省略する場合がある。各実施形態において構成の一部分のみを説明している場合、当該構成の他の部分については、先行して説明した他の実施形態の構成を適用することができる。また、各実施形態の説明において明示している構成の組み合わせばかりではなく、特に組み合わせに支障が生じなければ、明示していなくても複数の実施形態の構成同士を部分的に組み合せることができる。
(第1実施形態)※一時的に消す。
図1に示すように、本開示の第1実施形態による表示制御装置は、HCU(Human Machine Interface Control Unit)100となっている。HCU100は、車両Aに用いられるHMI(Human Machine Interface)システム10を、ヘッドアップディスプレイ(Head Up Display;HUD)20等と共に構成している。HMIシステム10には、操作デバイス26及びドライバステータスモニタ(Driver Status Monitor;DSM)28等がさらに含まれている。HMIシステム10は、車両Aの乗員(例えばドライバ)によるユーザ操作を受け付ける入力インターフェース機能と、ドライバへ向けて情報を提示する出力インターフェース機能とを、備えている。
HMIシステム10は、車両Aに搭載された車載ネットワークの通信バス99に通信可能に接続されている。HMIシステム10は、車載ネットワークに設けられた複数のノードのうちの1つである。車載ネットワークの通信バス99には、例えば周辺監視センサ30、ロケータ40、運転支援ECU(Electronic Control Unit)50、及びDCM(Data Communication Module)53がそれぞれノードとして接続されている。通信バス99に接続されたこれらのノードは、相互に通信可能となっている。
周辺監視センサ30は、車両Aの外環境、より詳細には車両Aの周辺環境を監視する自律センサである。周辺監視センサ30は、車両Aの周囲の検出範囲から、歩行者、サイクリスト、人間以外の動物、及び他車両等の移動物体、さらに路上の落下物、ガードレール、縁石、道路標識、走行区画線等の路面標示、及び道路枠の構造物等の静止物体等を、検出可能である。本実施形態において道路標識には、路上の設置物であり、信号情報を表示する交通信号機TLが含まれる。周辺監視センサ30は、車両Aの周囲の物体を検出した検出情報を、通信バス99を通じて、運転支援ECU50及びHCU100等に提供する。
周辺監視センサ30は、物体検出のための検出構成として、フロントカメラ31及びミリ波レーダ32を有している。フロントカメラ31は、車両Aの前方範囲を撮影した撮像データ、及び撮像データの解析結果のうち少なくとも一方を、検出情報として出力する。ミリ波レーダ32は、例えば車両Aの前後の各バンパーに互いに間隔を空けて複数配置されている。ミリ波レーダ32は、ミリ波又は準ミリ波を、車両Aの前方範囲、前側方範囲、後方範囲及び後側方範囲等へ向けて照射する。ミリ波レーダ32は、移動物体及び静止物体等で反射された反射波を受信する処理により、検出情報を生成する。なお、ライダ及びソナー等の検出構成が、周辺監視センサ30に含まれていてもよい。
ロケータ40は、複数の取得情報を組み合わせる複合測位により、車両Aの高精度な位置情報等を生成する。ロケータ40は、例えば複数車線のうちで、車両Aが走行する車線を特定可能である。ロケータ40は、GNSS(Global Navigation Satellite System)受信機41、慣性センサ42、高精度地図データベース(以下、高精度地図DB)43、及びロケータECU44を含む構成である。
GNSS受信機41は、複数の人工衛星(測位衛星)から送信された測位信号を受信する。GNSS受信機41は、GPS、GLONASS、Galileo、IRNSS、QZSS、Beidou等の衛星測位システムのうちで、少なくとも1つの衛星測位システムの各測位衛星から、測位信号を受信可能である。
慣性センサ42は、例えばジャイロセンサ及び加速度センサを備えている。高精度地図DB43は、不揮発性メモリを主体に構成されており、通常のナビゲーションに用いられるよりも高精度な地図データ(以下、高精度地図データ)を記憶している。高精度地図データには、道路の三次元形状情報、レーン数情報、各レーンに許容された進行方向を示す情報等、自動運転及び高精度運転支援に利用可能な情報が含まれている。
ロケータECU44は、プロセッサ、RAM、記憶部、入出力インターフェース、及びこれらを接続するバス等を備えたコンピュータを主体として含む構成である。ロケータECU44は、GNSS受信機41で受信する測位信号、慣性センサ42の計測結果、及び通信バス99に出力された車速情報等を組み合わせ、車両Aの位置情報及び進行方向等を逐次測位する。ロケータECU44は、測位結果に基づく車両Aの位置情報及び方角情報を、通信バス99を通じて、運転支援ECU50及びHCU100等に提供する。
加えてロケータECU44は、HCU100等からの要求に応じて、必要とされた高精度地図データが高精度地図DB43にあるか否かを判定する。要求された高精度地図データが高精度地図DB43にある場合、ロケータECU44は、該当する高精度地図データを高精度地図DB43から読み出し、要求元であるHCU100に提供する。
運転支援ECU50は、プロセッサ、RAM、記憶部、入手力インターフェース、及びこれらを接続するバス等を備えたコンピュータを主体として含む構成である。運転支援ECU50は、ドライバの運転操作を支援する運転支援機能、及びドライバの運転操作を代行可能な運転代行機能の少なくとも一方を備えている。運転支援ECU50は、周辺監視センサ30から取得する検出情報に基づき、車両Aの周辺環境を認識する。
運転支援ECU50は、周辺環境認識のために実施した検出情報の解析結果を、解析済みの検出情報として、HCU100に提供可能である。一例として、運転支援ECU50は、フロントカメラ31の撮像データ等から抽出された情報、具体的には、前方範囲に存在する他車両(以下、前車B)の相対位置、移動速度、移動方向、大きさ及び種別等の前車情報を、HCU100に提供する。HCU100に提供する前車情報には、前車Bの移動速度及び移動方向に基づき解析された前車Bの進行状況の情報が含まれる。前車Bの進行状況の情報とは、前車Bが走行状態にあるか、あるいは停止状態にあるかを区別する情報である。また運転支援ECU50は、前方範囲に存在する道路標識の相対位置、大きさ及び種別等の情報を、HCU100に提供する。
運転支援ECU50は、記憶部に記憶されたプログラムをプロセッサによって実行することにより、車両Aの自動運転又は高度運転支援を実現する。具体的に、運転支援ECU50は、ACC(Adaptive Cruise Control)の機能、LTC(Lane Trace Control)の機能、LCA(Lane Change Assist)の機能等を実現する。
ACC機能は、目標車速で車両Aを走行させる、又は前車Bとの車間距離を維持しつつ車両Aを追従走行させる機能である。ACC機能には、前車Bが、停止信号等により減速及び停止すると、当該前車Bと所定の車間距離を空けて車両Aを減速及び停止させる停止機能が含まれる。
LTC機能は、フロントカメラ31の撮像データから抽出される区画線の形状情報に基づき、車両Aの操舵輪の舵角を制御する機能である。LCA機能は、LTC機能が作動している状況下、車両Aの操舵輪の舵角を自動制御することにより、車両Aが走行する車線を変更する機能である。運転支援ECU50は、LTC機能、LCA機能に基づいて、車両Aの走行経路として予定される予定走行ラインを生成可能である。
DCM53は、車両Aに搭載される通信モジュールである。DCM53は、LTE(Long Term Evolution)及び5G等の通信規格に沿った無線通信により、車両Aと周囲の基地局との間で電波を送受信する。DCM53の搭載により、車両Aは、インターネットに接続されたコネクテッドカーとなる。DCM53は、クラウド上に設けられたプローブサーバから、車両Aが走行する道路の最新の高精度地図データを取得する。
次に、HMIシステム10に含まれる操作デバイス26、DSM28、HUD20及びHCU100の各詳細を、図2も用いて順に説明する。
操作デバイス26は、ドライバ等によるユーザ操作を受け付ける入力部である。操作デバイス26には、例えばACC機能、LTC機能、さらには冷暖房機能、オーディオ機能等について、起動及び停止の切り替え、並びに各種の設定変更を行なうユーザ操作が入力される。例えば、ステアリングホイールのスポーク部に設けられたステアスイッチ、ナビゲーション装置のディスプレイと一体構成とされたタッチパネル、及びステアリングコラム部8に設けられた操作レバー、ユーザ操作としてのジェスチャを検出するジェスチャ検出装置等が、操作デバイス26に含まれる。
また、操作デバイス26には、再発進スイッチ27が含まれる。再発進スイッチ27は、例えばステアリングホイールのスポーク部にステアスイッチの一部として設けられ、例えば上述の停止機能により停止状態となった車両Aを、再発進させるスイッチである。再発進スイッチ27にユーザ操作が入力されると、HCU100を通じて運転支援ECU50にユーザ操作の情報が入力され、運転支援ECU50が停止状態の車両Aを再発進させることが可能である。
DSM28は、近赤外光源及び近赤外カメラと、これらを制御する制御ユニット等を含む構成である。DSM28は、運転席のヘッドレスト部に近赤外カメラを向けた姿勢にて、例えばステアリングコラム部8の上面又はインスツルメントパネル9の上面等に設置されている。DSM28は、近赤外光源によって近赤外光を照射されたドライバの頭部を、近赤外カメラによって撮影する。近赤外カメラによる撮像画像は、制御ユニットによって画像解析される。制御ユニットは、ドライバのアイポイントEPの位置及び視線方向等の情報を撮像画像から抽出し、抽出した状態情報をHCU100へ向けて逐次出力する。
HUD20は、ウィンドシールドWSの下方にて、インスツルメントパネル9内の収容空間に収容されている。HUD20は、虚像Viとして結像される光を、ウィンドシールドWSの投影範囲へ向けて投影する。ウィンドシールドWSに投影された光は、車内の運転席側へ反射され、ドライバによって知覚される。ドライバは、ウィンドシールドWSを通して見える車両Aの外環境、すなわち風景に、虚像Viが重畳された表示を視認する。
HUD20は、表示器21及び導光部22を備えている。表示器21は、映像データの各フレーム画像を、表示画面に表示する。表示器21としては、バックライトからの光を液晶パネルに透過又は反射させて画像を投射する液晶方式の表示器、マイクロLED方式、有機EL方式等の自発光表示器、レーザスキャナ方式の表示器、DMD(Digital Micromirror Device)を用いたDLP(Digital Light Processing;登録商標)方式の表示器等を採用することができる。導光部22は、表示器21から射出された光を上述の投影範囲へと導光する。導光部22は、凹面鏡、平面鏡、凸面鏡等の1つ以上のミラーを含んで構成され、好ましくは、虚像Viの表示可能画角VAを拡大する機能を有する。
以上のHUD20には、表示可能画角VAが設定される。表示可能画角VAは、ドライバのアイポイントEPを基準とした、HUD100により虚像Viを表示可能な角度範囲である。詳述すると、仮に表示画面を全画素点灯した場合に、表示される虚像Viの結像面における垂直方向両外縁がアイポイントEPに対して張る角は、垂直画角と定義される。同様に、当該結像面における水平方向両外縁がアイポイントEPに対して張る角が垂直画角と定義される。HUD100では、車両Aの垂直方向に対応した垂直画角(例えば5〜10°程度)よりも、水平方向における水平画角(例えば15〜25°程度)の方が大きくされている。
HUD20は、表示コンテンツを、虚像Viとして表示する。表示コンテンツには、追従コンテンツ及び非追従コンテンツが含まれる。
追従コンテンツは、拡張現実(Augment Reality;AR)表示に用いられるAR表示物である。追従コンテンツの表示位置は、例えば路面、前車、歩行者及び道路標識等、車両Aの外環境に存在する特定の重畳対象に関連付けられている。重畳対象は、ドライバから視認可能であっても、死角内に隠れて視認不能であってもよい。追従コンテンツは、特定の重畳対象に追従して、アイポイントEPからの見た目上の表示位置を移動可能である。すなわち、車両Aの移動又は重畳対象の移動に伴って、追従コンテンツの重畳対象との重畳位置が、継続的に維持される。
非追従コンテンツは、車両Aの外環境に重畳される表示物のうちで、追従コンテンツを除いた非AR表示物である。非追従コンテンツは、追従コンテンツとは異なり、特定の重畳対象に非重畳の状態で、車両Aの外環境に重畳表示される。非追従コンテンツは、特定の重畳対象を追従することなく、ウィンドシールドWS等の車両構成に相対的に固定されているように表示される。なお、車両Aと重畳対象との位置関係により、非追従コンテンツであっても、偶発的ないし一時的に、歩行者等と重畳されることがある。
HCU100は、HMIシステム10において、HUD10を含む複数の車載表示デバイスによる表示を統合的に制御する電子制御装置である。図1に示すようにHCU100は、処理部11、RAM12、記憶部13、入出力インターフェース14、及びこれらを接続するバス等を備えたコンピュータを主体として含む構成である。処理部11は、RAM12と結合された演算処理のためのハードウェアである。処理部11は、CPU(Central Processing Unit)及びGPU(Graphic Processing Unit)等の演算コアを少なくとも1つ含む構成である。処理部11は、FPGA(Field-Programmable Gate Array)及び他の専用機能を備えたIPコア等をさらに含む構成であってもよい。RAM12は、映像生成のためのビデオRAMを含む構成であってもよい。処理部11は、RAM12へのアクセスにより、後述する各機能部の機能を実現するための種々の処理を実行する。記憶部13は、不揮発性の記憶媒体を含む構成である。記憶部13には、処理部11によって実行される種々のプログラム(表示制御プログラム等)が格納されている。
HCU100は、記憶部13に記憶された表示制御プログラムを処理部11によって実行することで、HUD20による表示コンテンツの重畳表示を実現するための複数の機能部を有する。具体的に図3に示すように、HCU100には、視点位置特定部71、自車両位置特定部72、他車両情報取得部73、信号情報把握部75、仮想レイアウト部74、及び表示制御部76等の各機能部が構築される。
この各機能部は、機能部毎に個別に対応する少なくとも1つの演算コアによって実現されていてもよく、機能部毎に個別に対応する少なくとも1つ以上の記憶媒体によって実現されていてもよく、機能部毎に個別に対応する少なくとも1つの演算コアと少なくとも1つの記憶媒体との組み合わせによって実現されていてもよい。また、少なくとも1つの演算コアが複数の機能部を実現してもよく、少なくとも1つの記憶媒体が複数の機能部を実現してもよく、少なくとも1つの演算コアと少なくとも1つの記憶媒体との組み合わせが複数の機能部を実現してもよい。
視点位置特定部71は、DSM27から取得する状態情報に基づき、運転席に着座しているドライバのアイポイントEPの位置を特定する。視点位置特定部71は、アイポイントEPの位置を示す三次元の座標(以下、アイポイント座標)を生成し、生成したアイポイント座標を、仮想レイアウト部74に逐次提供する。
自車両位置特定部72は、車両Aについての最新の位置情報及び方角情報を、自車位置情報としてロケータECU44から取得する。加えて自車両位置特定部72は、車両Aの周辺範囲の高精度地図データを、ロケータECU44から取得する。自車両位置特定部72は、DCM53を通じて、プローブサーバ等から高精度位置データを取得してもよい。自車両位置特定部72が取得した自車位置情報及び高精度データから、車両Aの位置が高精度に特定される。自車両位置特定部72は、取得した自車位置情報及び高精度データを、表示制御部76に逐次提供する。
他車両情報取得部73は、周辺監視センサ30及び運転支援ECU50の少なくとも一方から、通信バス99を介して入力される信号に基づいて、車両Aの外環境の検出情報、すなわち外環境情報を取得する。この外環境情報には、車両Aの周辺に存在する他車両の情報、例えば上述の前車情報が含まれる。こうして他車両情報取得部73は、前車情報だけでなく、外環境情報全般を取得する外環境情報取得部としても機能する。
また、他車両情報取得部73は、DCM53を通じて、路車間通信又は車車間通信によって前車情報を含む外環境情報を取得してもよい。こうした情報取得では、夜間、天候不良時等に、周辺監視センサ30の機能を補完し、外環境情報の精度を高めることができる。他車両情報取得部73は、取得した外環境情報を、仮想レイアウト部74及び表示制御部76に逐次提供する。
信号情報把握部75は、周辺監視センサ30から、通信バス99を介して入力される信号に基づいて、交通信号機TLの検出情報、特に交通信号機TLに表示されている信号情報を取得する。なお信号情報把握部75は、この信号情報を、運転支援ECU50から取得してもよいし、他車両情報取得部73が取得した外環境情報から抜き出すことで取得してもよい。
また、信号情報把握部75は、DCM53を通じて、路車間通信又は車車間通信によって信号情報を取得する。こうした情報取得では、交通信号機TLがフロントカメラ31の画角外に位置することにより、周辺監視センサ30が交通信号機TLを検出不能な場合に、信号情報把握部75が信号情報を取得可能となる。また、こうした信号取得では、特に、夜間、天候不良時等に、周辺監視センサ30の機能を補完することができる。信号情報把握部75は、周辺監視センサ30からの信号情報と、DCM53からの信号情報とを統合し、より詳細かつ高精度の信号情報を把握する。
仮想レイアウト部74は、追従コンテンツの表示レイアウトを決定するために、視点位置特定部71、自車両位置特定部72及び他車両情報取得部73等により提供された種々の情報に基づき、仮想の三次元空間(以下、仮想空間)をシミュレーションする機能である。仮想レイアウト部74は、自車位置情報及び高精度地図データに基づき、現在の車両Aの外環境を仮想空間中に再現する。
より詳細に、仮想レイアウト部74は、仮想空間の基準位置に自車オブジェクトAOを設定する。仮想レイアウト部74は、高精度地図データの示す形状の道路モデルを、自車位置情報に基づき、自車オブジェクトAOに関連付けて、仮想空間にマッピングする。仮想レイアウト部74は、他車両が存在している場合、他車両のサイズ情報に基づく大きさの他車オブジェクトを、他車両の相対位置情報に基づいて配置する。図4のように、他車両として複数の前車Bが存在している場合には、他車オブジェクトとして、各前車に対応した複数の前車オブジェクトBO1,BO2が配置される。仮想レイアウト部74は、前車オブジェクトBO1,BO2の配置に伴って、前車BのブレーキランプBLに対応する位置も把握することが好ましい。仮想レイアウト部74は、外環境情報により交通信号機TLの存在が認められている場合、信号機オブジェクトTOを、当該交通信号機TLの設置位置情報に基づいて配置する。
仮想レイアウト部74は、予定走行ラインをなぞる仮想の予定走行ラインオブジェクトLOを、三次元空間における道路モデルの路面上に配置する。予定走行ラインオブジェクトLOは、予定走行ラインに重ねて配置され、道路モデルに沿って延伸する形状となる。なお、カーブを走行するシーン等で道路モデルが湾曲している場合、予定走行ライン及び予定走行ラインオブジェクトLOも、道路モデルに合わせた湾曲形状となる。
さらに仮想レイアウト部74は、自車オブジェクトAOに関連付けて、仮想カメラ位置CP及び仮想画角SAを設定する。仮想カメラ位置CPは、運転者のアイポイントEPに対応する仮想位置である。仮想レイアウト部74は、視点位置特定部71にて取得される最新のアイポイント座標に基づき、自車オブジェクトAOに対する仮想カメラ位置CPを逐次補正する。仮想画角SAは、虚像Viの重畳表示が可能となる範囲であり、HUD20の表示可能画角VAに対応する仮想範囲である。
表示制御部76は、HUD20に逐次表示させる映像データを生成することで、HUD20による情報提示を制御する。表示制御部76は、虚像Viとして表示される表示コンテンツの元画像を、映像データを構成する個々のフレーム画像に描画する。表示制御部76は、追従コンテンツの元画像をフレーム画像に描画する場合、仮想レイアウト部74によるシミュレーションに基づき、アイポイントEP及び重畳対象の各位置に応じて、描画位置及び描画形状を補正する。以上により、追従コンテンツは、アイポイントEPから見たとき、重畳対象に正しく重畳されるようになる。
表示制御部76は、情報提示に用いる表示コンテンツを選定する。表示制御部76は、仮想レイアウト部74、他車両情報取得部73、及び信号情報把握部75等から取得した各種情報に基づき、映像データに描画する表示コンテンツを選定する。
表示制御部76によって描画される表示コンテンツには、ドライバへ車両Aの発進可否の情報を提供する発進可否情報コンテンツが含まれる。発進可否情報コンテンツには、信号情報と連携した情報を表示する信号情報連携コンテンツTCが含まれる。図5に示すように、信号情報連携コンテンツTCは、実物の交通信号機TLの形状を模したアイコン状に表示される。
表示制御部76は、例えば車両Aと交通信号機TLとの相対位置に基づき、信号情報連携コンテンツTCを表示するか否かを決定する。詳細に、表示制御部76は、仮想レイアウト部74がシミュレーションした仮想空間を用いて、信号機オブジェクトTOに対応する実物の交通信号機TLが、ドライバに直接視認可能な死角外か、ドライバに直接視認不能な死角内かを判定可能である。仮想カメラ位置CPと信号機オブジェクトTOの位置との間に、前車オブジェクトBO1,BO2が配置され、仮想カメラ位置CPから見た場合に、信号機オブジェクトTOが前車オブジェクトBO1,BO2に隠れる相対位置であれば、表示制御部76は、交通信号機TLが死角内に存在すると判定する。そうでなければ、表示制御部76は、交通信号機TLが死角外に存在すると判定する。なお、死角外かどうかの判定は、表示制御部76の代わりに仮想レイアウト部74によって処理されてもよい。
表示制御部76は、交通信号機TLが死角外に存在するか死角内に存在するかに応じて、信号情報連携コンテンツTCを表示するか否かを決定する。表示制御部76は、交通信号機TLが死角外に存在するとの判定を下した場合に、信号情報連携コンテンツTCを非表示とすることを決定する。ドライバが実物の交通信号機TLを直接視認可能であるからである。表示制御部76は、交通信号機TLが死角内に存在するとの判定を下した場合に、信号情報連携コンテンツTCを表示することを決定する。実物の交通信号機TLが前車Bによって隠れると、ドライバが実物の交通信号機TLを視認不能となるので、何らかの形態で、信号情報そのもの、又は信号情報と連携した情報がドライバに提供されることが望まれるからである。
表示制御部76は、信号情報連携コンテンツTCを表示することを決定した場合に、表示可能画角VA内において、信号情報連携コンテンツTCを表示する表示位置を決定する。本実施形態において、信号情報連携コンテンツTCは、非追従コンテンツとして機能し、表示開始時に決定された、ウィンドシールドWS等の車両構成に相対的に固定されているように認識される表示位置に、位置決めされる。
信号情報連携コンテンツTCの表示位置は、ウィンドシールドWSを通してドライバにより視認される前車BのブレーキランプBLの位置に基づき決定される。信号情報連携コンテンツTCの表示位置は、前車BのブレーキランプBLとの重畳を避けた位置に決定される。信号情報連携コンテンツTCがブレーキランプBLと重畳すると、ブレーキランプBLの点灯色が、信号情報連携コンテンツTCによる表示と混同される可能性があるからである。
具体的に、表示制御部76は、仮想レイアウト部74がシミュレーションした仮想空間を用いて、前車オブジェクトBO1のブレーキランプBLの位置と、仮想画角SAとの位置関係を把握する。そして、表示制御部76は、仮想画角SA内のうち、仮想カメラ位置CPから見たブレーキランプBLの角度方向に対して、所定角度よりも大きく離れた角度方向の範囲を検索する。表示制御部76は、この検索された範囲のうち、他の表示コンテンツと重複しない位置を、信号情報連携コンテンツTCの表示位置に決定する。
図5に示すように、実際の車両Aの走行シーンにおいて、前車BのブレーキランプBLは、表示可能画角VAのうち、表示可能画角VAの中心よりも垂直画角方向の車両下方となる下半分の範囲に視認されることが多い。このため、信号情報連携コンテンツTCの表示位置は、表示可能画角VAのうち、中心よりも垂直画角方向の車両上方となる上半分の角度範囲となることが多く、具体的には、右上のコーナー部又は左上のコーナー部となることが多い。図5の例では右上のコーナー部となっている。
さらに表示制御部76は、車両Aから交通信号機TLまでの距離に基づき、信号情報連携コンテンツTCの表示サイズを決定する。具体的に、車両Aから交通信号機TLまでの距離が小さな程、表示サイズは大きくされる。車両Aが前方へ走行しており、交通信号機TLまでの距離が漸次小さくなる状況においては、表示サイズが漸次大きくなるように更新される。
表示制御部76は、信号情報把握部75により把握された信号情報と、他車両情報取得部73により取得された前車情報とに基づき、信号情報連携コンテンツTCの表示内容を決定する。表示制御部76は、例外期間を除き、実物の交通信号機TLが現在表示している信号情報に同調した情報を、信号情報連携コンテンツTCに表示させる。表示制御部76による表示制御の同調状態において、実物の交通信号機TLが停止信号(例えば赤信号の点灯、黄色信号の点灯、赤信号及び黄色信号の同時点灯)を表示している場合には、表示制御部76は、停止信号の情報を信号情報連携コンテンツTCに表示させる。同調状態において、実物の交通信号機TLが進行信号(例えば青信号の点灯)を表示している場合には、表示制御部76は、進行信号の情報を信号情報連携コンテンツTCに表示させる。本実施形態にて表示制御部76は、実物の交通信号機TLの点灯色と実質的に同じ点灯色に点灯した状態の点灯アイコンを、信号情報連携コンテンツTCに表示させる。
上述の例外期間としては、実物の交通信号機TLが示す信号が停止信号から進行信号に変更された直後、かつ、交通信号機TLよりも車両A側に位置する前車Bが停止している停止状態にある期間である。すなわち、実物の交通信号機TLが停止信号を表示している時には、交通信号機TLよりも車両A側に位置する前車Bは、信号待ちのために停車状態となる。実物の交通信号機TLが進行信号に変更された瞬間から、信号待ちをしていた停止状態の前車Bが発進するまでには、タイムラグが生じる。このタイムラグが生じている期間が、上述の例外期間に該当する。ここで特に、交通信号機TLよりも車両A側に位置する前車が複数存在する場合には、車両Aの直前の前車B(すなわち車両Aから前方に伸びる予定走行ラインオブジェクトLOが最初に到達する前車)が発進するまでの期間が、上述の例外期間に該当する。
この例外期間において、表示制御部76による表示制御は、信号情報連携コンテンツTCの表示内容を、実物の交通信号機TLが現在表示している信号情報に同調させない非同調状態となる。本実施形態では、非同調状態にて表示制御部76は、信号情報連携コンテンツTCに、停止信号の情報も進行信号の情報も表示しない。表示制御部76は、全ての点灯アイコンを消灯した状態にて、信号情報連携コンテンツTCを表示する。したがって、この期間の信号情報連携コンテンツTCは、進行信号の表示が完全に規制された表示内容となる。
図5では、死角内の交通信号機TLが青信号GLを表示する一方、信号情報連携コンテンツTCの点灯アイコンが全て消灯されている非同調状態が示されている。なお、図5及び後に説明する図8,13では、実物の交通信号機TL及び点灯アイコンにおける青信号GLがドットハッチングで示され、実物の交通信号機TL及び点灯アイコンにおける赤信号RLがクロスハッチングで示されている。
直前の前車Bが停車状態から発進するタイミングに合わせて、表示制御部76による表示制御は、非同調状態から同調状態に遷移する。具体的に、進行信号の表示の規制が解除される。すなわち、直前の前車Bの発進タイミングに合わせて(例えば発進タイミングと同時又は発進タイミングの直後)、信号情報連携コンテンツTCの表示内容が変更されることとなる。
ドライバは、直前の前車Bの発進タイミングに合わせて変更された信号情報連携コンテンツTCの表示内容を視認することで、車両Aが発進可能となったことへの理解を深めることができる。ドライバは、車両Aが発進可能となったことを認識した後、再発進スイッチ27を操作して車両Aを発進させるこができる。
なお、実物の交通信号機TLが示す信号が停止信号から進行信号に変更された直後であっても、該当の前車Bがそもそも存在しない場合、又は、前車Bが停止状態でなく走行状態である場合には、表示制御部76による表示制御は、同調状態を維持する。
次に、表示制御プログラムに基づき、信号情報連携コンテンツTCの表示内容を変更する表示制御方法の特に非同調状態となる場合の処理を、図6のフローチャート及び図7のタイムチャートを用いて説明する。図6のフローチャートの表示制御処理は、例えば車両Aの前方範囲に交通信号機TLの存在が把握され、かつ、交通信号機TLと車両Aとの間に前車Bが停車状態であることによって、交通信号機TLが死角内となっている場合に開始される。
まず、S11では、表示制御部76は、実物の交通信号機TLが赤信号を表示しているか否かを判定する。S11にて否定判定が下されると、表示制御部76は、次のフレーム画像の表示内容を決定するタイミングにて、再びS11の判定を実施する。なお、S11にて否定判定が下された場合に、実物の交通信号機TLが青信号を表示していることが判っていれば、再度のS11の判定まで、青信号に対応する点灯アイコンを、信号情報連携コンテンツTCに表示させる。S11にて肯定判定が下されると、S12へ移る。
S12では、表示制御部76は、青信号に対応する点灯アイコンを消灯すると共に、赤信号に対応する点灯アイコンを、信号情報連携コンテンツTCに表示させる。すなわち、実物の交通信号機TLと信号情報連携コンテンツTCとの両方が、赤信号を表示した状態となる。S12の処理後、S13へ移る。
S13では、表示制御部76は、実物の交通信号機TLが赤信号から青信号に変化したか否かを判定する。S13にて否定判定が下されると、表示制御部76は、S12の表示制御を継続し、次のフレーム画像の表示内容を決定するタイミングにて、再びS13の判定を実施する。S13にて肯定判定が下されると、S14へ移る。
S14では、表示制御部76は、赤信号に対応する点灯アイコンを消灯することにより、全ての点灯アイコンを消灯した状態にて、信号情報連携コンテンツTCを表示する。すなわち、実物の交通信号機TLが、青信号を表示した状態である一方、信号情報連携コンテンツTCは、実質的に信号情報を表示していない状態となる。S14の処理後、S15へ移る。
S15では、表示制御部76は、直前の前車Bが停止状態から発進したか否かを判定する。S15にて否定判定が下されると、表示制御部76は、S14の表示制御を継続し、次のフレーム画像の表示内容を決定するタイミングにて、再びS15の判定を実施する。S15にて肯定判定が下されると、S16へ移る。
S16では、表示制御部76は、青信号に対応する点灯アイコンを、信号情報連携コンテンツTCに表示させる。すなわち、実物の交通信号機TLと信号情報連携コンテンツTCとの両方が、青信号を表示した状態となる。S16を以って一連の処理を終了する。
なお、第1実施形態では、HCU100がHUD20を制御する「表示制御装置」に相当する。車両Aが「自車両」に相当する。他車両情報取得部73が自車両よりも前方の他車両の進行状況の情報を把握する「前車進行状況把握部」に相当する。
(作用効果)
以上説明した第1実施形態の作用効果を以下に改めて説明する。
第1実施形態によると、車両Aの発進可否の情報を表示する発進可否情報コンテンツの表示内容は、車両Aよりも前方の前車Bの停止状態からの発進のタイミングに合わせて変更される。故に、前車Bの進行状況の変化に応じた車両Aの発進可否が、車両Aの乗員としてのドライバに対して提示される。したがって、ドライバは、車両Aの発進可否をより的確に認識できる。
また、第1実施形態によると、発進可否情報コンテンツには、信号情報と連携した情報を表示する信号情報連携コンテンツTCが含まれる。信号情報連携コンテンツTCが、信号情報に発進可否を加味した、信号情報と連携した情報をドライバへ提示することによって、ドライバは、車両Aの発進可否をより的確に認識できる。
また、第1実施形態によると、交通信号機TLが示す信号が停止信号から進行信号に変更された直後、かつ、交通信号機TLよりも車両A側に位置する前車Bの停止状態において、信号情報連携コンテンツTCの表示内容は、進行信号の表示が少なくとも一部規制された表示内容とされる。交通信号機TLが進行信号を示していたとしても、前車Bが停止状態であれば、前車Bへの追突を回避すべく、車両Aを発進させるべきではない。対して、上記の表示制御では信号情報連携コンテンツTCによる進行信号の表示に規制が加えられることで、車両Aを発進させるべきでないという含意を、ドライバへ伝えることができる。したがって、ドライバは、車両Aの発進可否の状況をより的確に認識できる。
さらに、前車Bの発進のタイミングに合わせて、進行信号の表示の規制が解除されるので、ドライバは、車両Aが発進可能となったことをより的確に認識できる。
また、第1実施形態によると、交通信号機TLが示す信号が停止信号から進行信号に変更された直後、かつ、交通信号機TLよりも車両A側に位置する前車Bの停止状態において、進行信号の表示及び停止信号の表示が両方非表示状態とされる。これにより、進行信号の表示に規制が加えられつつも、交通信号機TLの表示状態の事実から逸脱した表示内容を、信号情報連携コンテンツTCが表示してしまう事態を回避することができる。
また、第1実施形態によると、交通信号機TLが前車Bによる死角内に位置する場合に、信号情報連携コンテンツTCが表示される。ドライバが交通信号機TLを直接視認できない場合に、信号情報連携コンテンツTCが表示され、さらにこのコンテンツTCは、死角の原因である前車Bの進行状況も加味された、信号情報と連携した情報をドライバに提示する。故に、ドライバが置かれた状況に即した的確な情報を、HUD20により提示することができる。
また、第1実施形態によると、信号情報連携コンテンツTCは、前車BのブレーキランプBLとの重畳を避けた位置に表示される。したがって、ブレーキランプBLの点灯による光が信号情報連携コンテンツTCの表示と混同されることを抑制することができる。故に、ドライバは、車両Aの発進可否をより的確に認識できる。
また、第1実施形態によると、信号情報連携コンテンツTCの表示サイズは、車両Aから交通信号機TLまでの距離に基づき決定される。したがって、ドライバは、表示サイズから交通信号機TLまでの距離を感覚的に把握することができる。
(第2実施形態)
図8〜10に示すように、第2実施形態は第1実施形態の変形例である。第2実施形態について、第1実施形態とは異なる点を中心に説明する。
第2実施形態の表示制御部76は、交通信号機TLが示す信号が停止信号から進行信号に変更された直後、かつ、直前の前車Bの停止状態においても、実物の交通信号機TLが現在表示している信号情報に同調した情報を、信号情報連携コンテンツTCに表示させる。例えば、表示制御部76の表示制御は、常に同調状態となる。
図8に示すように、第2実施形態の発進可否情報コンテンツには、車両Aの停止を促す停止コンテンツSCがさらに含まれる。すなわち、停止コンテンツSC単独によって、又は停止コンテンツSCと信号情報連携コンテンツTCとの組み合わせによって、ドライバへ車両Aの発進可否の情報が提示される。停止コンテンツSCは、通常、路上の停止線を模した白線又は黄線状の停止バーとなっている。
表示制御部76は、直前の前車Bが走行状態である場合に、停止コンテンツSCを非表示とすることを決定する。表示制御部76は、直前の前車Bが停止状態である場合に、停止コンテンツSCを表示することを決定する。
表示制御部76は、停止コンテンツSCを表示することを決定した場合に、停止コンテンツSCを表示する表示位置を決定する。本実施形態において、表示制御部76は、直前の前車Bの後端から車両A側に所定の間隔を空けた路上の位置が表示可能画角VA内である場合に、当該路上の位置に重畳する位置を、停止コンテンツSCの表示位置に決定する。この場合、停止コンテンツSCは、重畳対象である路上の位置に追従する追従コンテンツとして機能する。表示制御部76は、直前の前車Bの後端から車両A側に所定の間隔を空けた路上の位置が表示可能画角VA外である場合に、停止コンテンツSCを、停止を促すアイコン状の表示又は文字による表示(例えば“追突注意”等の文字による表示)に変更する。この場合、停止コンテンツSCは、非追従コンテンツとして機能する。
次に、表示制御プログラムに基づき、信号情報連携コンテンツTC及び停止コンテンツSCの表示内容を変更する表示制御方法の詳細を、図9のフローチャート及び図10のタイムチャートを用いて説明する。図9のフローチャートの表示制御処理は、例えば車両Aの前方範囲に交通信号機TLの存在が把握され、かつ、交通信号機TLと車両Aとの間に前車Bが存在することによって、交通信号機TLが死角内となっている場合に開始される。
S21は、第1実施形態のS11と同様である。S21にて肯定判定が下されると、S22へ移る。
S22では、表示制御部76は、青信号に対応する点灯アイコンを消灯すると共に、赤信号に対応する点灯アイコンを、信号情報連携コンテンツTCに表示させる。すなわち、実物の交通信号機TLと信号情報連携コンテンツTCとの両方が、赤信号を表示した状態となる。さらに表示制御部76は、前車Bの停止状態に伴って、停止コンテンツSCを表示させる。S22の処理後、S23へ移る。
S23は、第1実施形態のS13と同様である。S23にて肯定判定が下されると、S24へ移る。
S24では、表示制御部76は、赤信号に対応する点灯アイコンを消灯すると共に、青信号に対応する点灯アイコンを、信号情報連携コンテンツTCに表示させる。すなわち、実物の交通信号機TLと信号情報連携コンテンツTCとの両方が、青信号を表示した状態となる。さらに表示制御部76は、停止コンテンツSCの表示を継続させる。S24の処理後、S25へ移る。
S25では、第1実施形態のS15と同様である。S25にて肯定判定が下されると、S26へ移る。
S26では、表示制御部76は、青信号に対応する点灯アイコンを、信号情報連携コンテンツTCに表示させることを継続する。一方で、表示制御部76は、停止コンテンツSCを消去させる。S26を以って一連の処理を終了する。
こうして、直前の前車Bの発進タイミングに合わせたS25,26の処理では、発進可否情報コンテンツのうち、信号情報連携コンテンツTCの表示内容は変更されていないが、停止コンテンツSCの表示内容は変更されている。すなわち、直前の前車Bの発進タイミングに合わせて、発進可否情報コンテンツの表示内容が変更されることとなる。
以上説明した第2実施形態によると、発進可否情報コンテンツには、車両Aの停止を促す停止コンテンツSCが含まれる。停止コンテンツSCが、車両Aが発進不可であることを直接的にドライバへ示すことにより、ドライバは、車両Aの発進可否をより的確に認識できる。
また、第2実施形態によると、交通信号機TLが示す信号が停止信号から進行信号に変更された直後、かつ、交通信号機TLよりも車両A側に位置する前車Bの停止状態において、信号情報連携コンテンツTCが進行信号の表示を含む表示内容とされると共に、停止コンテンツSCが表示される。このようにすると、交通信号機TLの表示状態の事実と同じ進行信号の表示が信号情報連携コンテンツTCに表示されつつも、別途、停止コンテンツSCにより停止が促されることとなる。したがって、ドライバは、車両Aの発進可否を的確に認識しつつ、交通信号の情報も正確に把握することができる。
また、第2実施形態によると、前車Bの停止状態において表示していた停止コンテンツSCは、前車Bの発進のタイミングに合わせて、消去される。故に、ドライバは、車両Aが発進可能となったことをより的確に認識できる。
(第3実施形態)
図11,12に示すように、第3実施形態は第1実施形態の変形例である。第3実施形態について、第1実施形態とは異なる点を中心に説明する。
信号待ちをしていた停止状態の前車Bが発進するまでのタイムラグが生じている期間において、第3実施形態の表示制御部76は、実物の交通信号機TLによる進行信号の表示に同調させて、進行信号の情報を信号情報連携コンテンツTCに表示させる。ただし、進行信号の表示は、一部規制されている。具体的に、表示制御部76は、実物の交通信号機TLの点灯色と同系色ではあるが、実際の交通信号機TLの点灯色よりも彩度が低い点灯色に点灯した状態の点灯アイコンを、信号情報連携コンテンツTCに表示させる。この期間において、彩度は一定値に低下された状態を維持する。
第1実施形態と同様に、直前の前車Bが停車状態から発進する発進タイミングに合わせて、信号情報連携コンテンツTCは、実物の交通信号機TLの点灯色と実質的に同じ点灯色に点灯した状態に戻る。したがって、表示制御部76は、上述の期間において、進行信号の表示が少なくとも一部規制された表示内容とし、発進タイミングに合わせて、進行信号の表示の規制を解除していることとなる。ここでいう進行信号の表示が少なくとも一部規制された表示内容とは、規制の解除後に対してトーンダウンされた状態の表示内容を意味する。
トーンダウンは、上述のような進行信号の表示の彩度を下げる処理、輝度を下げる処理、表示サイズを縮小する処理、進行信号の表示を構成する線を細くする処理等の表示内容を変更する表示処理が含まれる概念である。したがって、点灯アイコンの彩度が低くされる代わりに、信号情報連携コンテンツTCの表示サイズが縮小されること等への変更は、許容される。
次に、表示制御プログラムに基づき、信号情報連携コンテンツTCの表示内容を変更する表示制御方法の詳細を、図11のフローチャート及び図12のタイムチャートを用いて説明する。ここで、S31〜S34及びS35〜S36は、第1実施形態のS11〜S13及びS15〜S16と同様であるので、説明を省略する。
S34では、表示制御部76は、赤信号に対応する点灯アイコンを消灯すると共に、青信号に対応する点灯アイコンを、信号情報連携コンテンツTCに表示させる。ただし、点灯アイコンの点灯色は薄い青色(換言すると、淡い青色)となっている。
以上説明した第3実施形態によると、交通信号機TLが示す信号が停止信号から進行信号に変更された直後、かつ、交通信号機TLよりも車両A側に位置する前車Bの停止状態において、停止信号の表示が非表示状態とされると共に、進行信号の表示は、規制の解除後に対してトーンダウンされた状態で表示される。トーンダウンにより、進行信号の表示に規制が加えられつつも、交通信号機TLの表示状態の事実から逸脱した表示内容を、信号情報連携コンテンツTCが表示してしまう事態を回避することができる。
(第4実施形態)
図13〜15に示すように、第4実施形態は第1実施形態の変形例である。第4実施形態について、第1実施形態とは異なる点を中心に説明する。
信号待ちをしていた停止状態の前車Bが発進するまでのタイムラグが生じている期間において、第4実施形態の表示制御部76は、実物の交通信号機TLによる進行信号の表示に対して、停止信号の情報を表示する。図13では、死角内の交通信号機TLが青信号GLを表示する一方、信号情報連携コンテンツTCの点灯アイコンが赤信号RLを表示している非同調状態が示されている。
したがって、この期間の信号情報連携コンテンツTCは、進行信号の表示が完全に規制された表示内容となる。
次に、表示制御プログラムに基づき、信号情報連携コンテンツTCの表示内容を変更する表示制御方法の詳細を、図14のフローチャート及び図15のタイムチャートを用いて説明する。ここで、S41〜S44及びS45〜S46は、第1実施形態のS11〜S13及びS15〜S16と同様であるので、説明を省略する。
S44では、表示制御部76は、赤信号に対応する点灯アイコンを継続して信号情報連携コンテンツTCに表示させる。
以上説明した第4実施形態によると、交通信号機TLが示す信号が停止信号から進行信号に変更された直後、かつ、交通信号機TLよりも車両A側に位置する前車Bの停止状態において、進行信号の表示が非表示状態とされると共に、停止信号の表示が表示状態とされる。このようにすると、ドライバにより車両Aが発進可能であると誤認される可能性を格段に小さくすることができるので、前車Bへの追突の回避効果を高めることができる。
(他の実施形態)
以上、複数の実施形態について説明したが、本開示は、それらの実施形態に限定して解釈されるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲内において種々の実施形態及び組み合わせに適用することができる。
具体的に変形例1としては、運転支援ECU50は、信号停止支援機能及び再発進支援機能のうち少なくとも一方を実現していてもよい。信号停止支援機能は、前方の交通信号機TLが停止信号を表示していることが把握された場合に、車両Aを停止させる機能である。再発進支援機能は、前方の交通信号機TLが進行信号への変化又は直前の前車Bの発進に合わせて、車両Aを再発進させる機能である。
変形例2としては、車両Aにおいて、運転支援機能及び運転代行機能が実現されていなくてもよく、車両Aの運転は、ドライバによる手動運転のみによって実現されていてもよい。
変形例3としては、図16に示すように、第1実施形態の信号情報連携コンテンツTCの表示制御に、第2実施形態の停止コンテンツSCの表示制御を組み合わせてもよい。また、第3実施形態又は第4実施形態の信号情報連携コンテンツTCの表示制御に、第2実施形態の停止コンテンツSCの表示制御を組み合わせてもよい。
変形例4としては、信号情報連携コンテンツTCの表示位置は、前車B(特にブレーキランプBLの位置)の移動に応じて、当該ブレーキランプBLと所定の距離よりも離間するように、逐次変更されてもよい。
変形例5としては、信号情報連携コンテンツTCは、追従コンテンツとして機能するようにしてもよい。信号情報連携コンテンツTCは、重畳対象としての交通信号機TLに追従する。
変形例6としては、信号情報連携コンテンツTCは、実物の交通信号機TLの形状を模したアイコン状の表示でなくてもよい。例えば信号情報連携コンテンツTCは、文字による表示であってもよい。
第1実施形態に関する変形例7としては、信号待ちをしていた停止状態の前車Bが発進するまでのタイムラグが生じている期間において、表示制御部76は、信号情報連携コンテンツTC自体を非表示としてもよい。また、信号情報連携コンテンツTCの表示色を灰色等の単色に変更してもよい。
第3実施形態に関する変形例8としては、表示制御部76は、信号待ちをしていた停止状態の前車Bが発進するまでのタイムラグが生じている期間の開始時に、低下させた点灯アイコンの点灯色の彩度及び輝度の一方又は両方を、規制の解除後の標準の彩度及び輝度の一方又は両方に向けて、漸次高めるようにしてもよい。
変形例9としては、表示制御部76は、例えば車両Aと交通信号機TLとの相対位置に基づかずに、車両Aの前方範囲に交通信号機TLが存在していれば、常時、信号情報連携コンテンツTCを表示するようにしてもよい。
変形例10としては、仮想レイアウト部74が設けられていなくてもよく、仮想レイアウト部74の機能は、より簡易的な計算、又はニューラルネットワークを用いた人工知能により代替的に実現されていてもよい。
変形例11としては、他車進行状況把握部は、前車Bの進行状況の情報を把握する機能を有していればよく、その把握の方法は、第1実施形態の他車両情報取得部73のように、外部機器から前車Bの進行状況の情報を取得する方法に限られない。例えば、他車進行状況把握部に入力される情報は、事後的に解析及び算出可能な情報であれば、フロントカメラ31の撮像データ及びミリ波レーダ32の計測データ等、解析前の情報であってもよい。そして、他車進行情報把握部が自ら解析前の情報を解析することによって、前車Bの進行状況の情報を把握するようにしてもよい。この場合においても他車進行情報把握部は、把握した前車Bの進行状況の情報を、仮想レイアウト部74及び表示制御部76に逐次提供する。
変形例12としては、信号情報把握部75は、車両Aが走行する道路の交通信号機TLに示される信号情報を把握する機能を有していればよい。例えば信号情報把握部75は、周辺監視センサ30からの信号情報と、DCM53からの信号情報とを統合する機能を有していなくてもよい。例えば信号情報把握部75は、運転支援ECU50等の外部機器により統合された信号情報を、単に取得することによって把握する信号情報取得部であってもよい。この場合においても信号情報把握部75は、把握した信号情報を、表示制御部76に逐次提供する。
変形例13としては、HMIシステム10の車載表示デバイスには、車両用メータが含まれていてもよい。HCU100の表示制御部76は、HUD20に表示される信号情報連携コンテンツTCと重複させて、車両用メータに交通信号機TLに示される信号情報に関するコンテンツを表示させてもよい。あるいは、表示制御部76は、一時的に、HUD20に信号情報連携コンテンツTCを表示させる代わりに、車両用メータに交通信号機TLに示される信号情報に関するコンテンツを表示させてもよい。これらの場合、表示制御部76は、車両用メータに表示させる信号情報に関するコンテンツを、信号情報連携コンテンツTCと同期した表示又は連携した表示となるように制御してもよい。
変形例14としては、HCU100によって提供されていた各機能は、ソフトウェア及びそれを実行するハードウェア、ソフトウェアのみ、ハードウェアのみ、あるいはそれらの複合的な組み合わせによっても提供可能である。さらに、こうした機能がハードウェアとしての電子回路によって提供される場合、各機能は、多数の論理回路を含むデジタル回路、又はアナログ回路によっても提供可能である。
変形例15としては、上記の表示制御方法を実現可能なプログラム等を記憶する記憶媒体の形態も、適宜変更されてもよい。例えば記憶媒体は、回路基板上に設けられた構成に限定されず、メモリカード等の形態で提供され、スロット部に挿入されて、HCU100の制御回路に電気的に接続される構成であってもよい。さらに、記憶媒体は、HCU100へのプログラムのコピー基となる光学ディスク及びハードディスク等であってもよい。
変形例16としては、HCU100及び運転支援ECU50が統合され、1つの電子制御装置を構成していてもよい。
変形例17としては、HCU100及び運転支援ECU50のうち少なくとも1つは、車両Aに搭載されていなくてもよい。HCU100が車両Aに搭載されず、車両Aの外に固定配置されている場合又は他車両に搭載されている場合には、インターネット、路車間通信、車車間通信等の通信によって、HUD20による表示が遠隔制御されてもよい。
変形例18としては、HUD20は、虚像Viを表示するものに限られず、例えばウィンドシールドWSに設けられた自発光デバイス等により実像が表示されるものであってもよい。
変形例19としては、HCU100を用いる車両Aは、一般的な自家用の乗用車に限定されず、レンタカー用の車両、有人タクシー用の車両、ライドシェア用の車両、貨物車両及びバス等であってもよい。さらに、車両Aは、モビリティサービスに用いられる無人運転用の車両であってもよい。
変形例20としては、HCU100を用いる車両Aは、それぞれの国及び地域の道路交通法に応じて最適化されてよい。さらにHCU100に用いられる交通信号情報及び交通信号機TLの仕様等は、それぞれの国及び地域の道路交通法に応じて最適化されてよい。
本開示に記載の制御部及びその手法は、コンピュータプログラムにより具体化された一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサを構成する専用コンピュータにより、実現されてもよい。あるいは、本開示に記載の装置及びその手法は、専用ハードウエア論理回路により、実現されてもよい。もしくは、本開示に記載の装置及びその手法は、コンピュータプログラムを実行するプロセッサと一つ以上のハードウエア論理回路との組み合わせにより構成された一つ以上の専用コンピュータにより、実現されてもよい。また、コンピュータプログラムは、コンピュータにより実行されるインストラクションとして、コンピュータ読み取り可能な非遷移有形記録媒体に記憶されていてもよい。