(第1実施形態)
本開示の第1実施形態による表示制御装置の機能は、図1および図2に示すHCU(Human Machine Interface Control Unit)100によって実現されている。HCU100は、自車両Aにおいて用いられるHMI(Human Machine Interface)システム10を、ヘッドアップディスプレイ(以下、「HUD」)20等と共に構成している。HMIシステム10には、操作デバイス26およびDSM(Driver Status Monitor)27等がさらに含まれている。HMIシステム10は、自車両Aの乗員(例えばドライバ等)によるユーザ操作を受け付ける入力インターフェース機能と、ドライバへ向けて情報を提示する出力インターフェース機能とを備えている。
HMIシステム10は、自車両Aに搭載された車載ネットワーク1の通信バス99に通信可能に接続されている。HMIシステム10は、車載ネットワーク1に設けられた複数のノードのうちの1つである。車載ネットワーク1の通信バス99には、例えば周辺監視センサ30、ロケータ40、DCM49、運転支援ECU(Electronic Control Unit)50、ナビゲーション装置60、およびボディECU70等がそれぞれノードとして接続されている。通信バス99に接続されたこれらのノードは、相互に通信可能である。
周辺監視センサ30は、自車両Aの周辺環境を監視する自律センサである。周辺監視センサ30は、自車周囲の検出範囲から、歩行者、サイクリスト、人間以外の動物、および他車両等の移動物体、さらに路上の落下物、ガードレール、縁石、道路標識、走行区画線等の路面表示、および道路脇の構造物等の静止物体、を検出可能である。周辺監視センサ30は、自車両Aの周囲の物体を検出した検出情報を、通信バス99を通じて、運転支援ECU50等に提供する。
周辺監視センサ30は、物体検出のための検出構成として、フロントカメラ31およびミリ波レーダ32を有している。フロントカメラ31は、自車両Aの前方範囲を撮影した撮像データ、および撮像データの解析結果の少なくとも一方を、検出情報として出力する。ミリ波レーダ32は、例えば自車両Aの前後の各バンパーに互いに間隔を開けて複数配置されている。ミリ波レーダ32は、ミリ波または準ミリ波を、自車両Aの前方範囲、前側方範囲、後方範囲および後側方範囲等へ向けて照射する。ミリ波レーダ32は、移動物体および静止物体等で反射された反射波を受信する処理により、検出情報を生成する。ソナー33は、自車両Aの前方範囲、前側方範囲、後方範囲および後側方範囲等へ向けて超音波を照射する。ソナー33は、照射方向に存在する移動物体および静止物体等で反射された超音波を受信する処理により、検出情報を取得する。なお、ライダ等の他の検出構成が、周辺監視センサ30に含まれていてもよい。
ロケータ40は、複数の取得情報を組み合わせる複合測位により、自車両Aの高精度な位置情報等を生成する。ロケータ40は、例えば複数車線のうちで、自車両Aが走行する車線を特定可能である。ロケータ40は、GNSS(Global Navigation Satellite System)受信器41、慣性センサ42、高精度地図データベース(以下、「高精度地図DB」)43、およびロケータECU44を含む構成である。
GNSS受信器41は、複数の人工衛星(測位衛星)から送信された測位信号を受信する。GNSS受信器41は、GPS、GLONASS、Galileo、IRNSS、QZSS、Beidou等の衛星測位システムのうちで、少なくとも1つの衛星測位システムの各測位衛星から、測位信号を受信可能である。
慣性センサ42は、例えばジャイロセンサおよび加速度センサを有している。高精度地図DB43は、不揮発性メモリを主体に構成されており、通常のナビゲーションに用いられるよりも高精度な地図データ(以下、「高精度地図データ」)を記憶している。高精度地図データは、少なくとも高さ(z)方向の情報について、詳細な情報を保持している。高精度地図データには、道路の三次元形状情報(道路構造情報)、レーン数情報、各レーンに許容された進行方向を示す情報等、高度運転支援および自動運転に利用可能な情報が含まれている。
ロケータECU44は、プロセッサ、RAM、記憶部、入出力インターフェース、およびこれらを接続するバス等を備えたマイクロコンピュータを主体として含む構成である。ロケータECU44は、GNSS受信器41で受信する測位信号、慣性センサ42の計測結果、および通信バス99に出力された車速情報等を組み合わせ、自車両Aの自車位置および進行方向等を逐次測位する。ロケータECU44は、測位結果に基づく自車両Aの位置情報および方角情報を、通信バス99を通じて、HCU100、および運転支援ECU50等に提供する。
なお、車速情報は、自車両Aの現在の走行速度を示す情報であり、自車両Aの各輪のハブ部分に設けられた車輪速センサの検出信号に基づいて生成される。車速情報を生成し、通信バス99に出力するノード(ECU)は、適宜変更されてよい。例えば、各輪の制動力配分を制御するブレーキ制御ECU、またはHCU100等の車載ECUが、各輪の車輪速センサと電気的に接続されており、車速情報の生成および通信バス99への出力を継続的に実施する。
ロケータECU44は、HCU100、および運転支援ECU50等からの要求に応じて、必要とされた高精度地図データが高精度地図DB43にあるか否かを判定する。要求された高精度地図データが高精度地図DB43にある場合、ロケータECU44は、該当する高精度地図データを高精度地図DB43から読み出し、要求元となるECUに提供する。
DCM(Data Communication Module)49は、自車両Aに搭載される通信モジュールである。DCM49は、LTE(Long Term Evolution)および5G等の通信規格に沿った無線通信により、自車両Aの周囲の基地局との間で電波を送受信する。DCM49の搭載により、自車両Aは、インターネットに接続可能なコネクテッドカーとなる。DCM49は、クラウド上に設けられたプローブサーバから、最新の高精度地図データを取得可能である。DCM49は、ロケータECU44と連携して、高精度地図DB43に格納された高精度地図データを、最新の情報に更新する。
運転支援ECU50は、プロセッサ、RAM、記憶部、入出力インターフェース、およびこれらを接続するバス等を備えたコンピュータを主体として含む構成である。運転支援ECU50は、ドライバの運転操作を支援する運転支援機能を備えている。一例として、米国自動車技術会の規定する自動運転レベルにおいて、運転支援ECU50は、レベル2以下の部分的な自動走行制御(高度運転支援)を可能にする。
運転支援ECU50は、周辺監視センサ30から取得する検出情報に基づき、自車両Aの周囲の走行環境を認識する。運転支援ECU50は、走行環境認識のために実施した検出情報の解析結果を、解析済みの検出情報として、HCU100に提供する。
一例として、運転支援ECU50は、自車両Aが現在走行する車線(以下、「自車車線Lns」 図4参照)の左右の区画線または道路端の相対位置を、HCU100に提供可能である。なお、左右の方向は、水平面上に静止した自車両Aの幅方向と一致する方向であり、自車両Aの進行方向を基準として設定される。
加えて、運転支援ECU50は、自車両Aの周囲の他車両の相対位置および自車両Aに対する相対速度を、HCU100に提供可能である。運転支援ECU50は、周辺監視センサ30の検出範囲にて他車両が検出された場合、または自車両Aに対する接近度合が所定のレベルを上回った場合等に、これらの情報を提供する。なお、運転支援ECU50は、相対速度に代えて他車両の絶対速度を算出して提供する構成であってもよい。
運転支援ECU50は、記憶部に記憶されたプログラムをプロセッサによって実行することにより、高度運転支援を実現する複数の機能を発揮可能である。例えば、運転支援ECU50は、ACC(Adaptive Cruise Control)制御部およびLTC制御部を有する。ACC制御部は、ACCの機能を実現する機能部である。ACC制御部は、目標車速で自車両Aを定速走行させるか、または前走車との車間距離を維持しつつ自車両Aを追従走行させる。LTC制御部は、LTC(Lane Trace Control)の機能を実現する機能部である。LTC制御部は、走行中の自車車線Lnsに沿って生成した予定走行ラインに従い、ACC制御部と連携して自車両Aを自車車線Lns内で走行させる。
ナビゲーション装置60は、設定される目的地までの経路を探索し、探索した経路に沿った走行を案内する。ナビゲーション装置60は、ナビ地図データベース(以下、ナビ地図DB)61、およびナビECU62を備える。
ナビECU62は、プロセッサ、RAM、記憶部、入出力インターフェース、およびこれらを接続するバス等を備えたマイクロコンピュータを主体に構成されている。ナビECU62は、自車両A(自車)の位置情報および方角情報を、通信バス99を通じてロケータECU44より取得する。ナビECU62は、通信バス99およびHCU100を通じて、操作デバイス26に入力された操作情報を取得し、ドライバ操作に基づく目的地を設定する。ナビECU62は、目的地までの複数経路を、例えば時間優先および距離優先等の条件を満たすように探索する。探索された複数経路のうちの1つが選択されると、ナビECU62は、当該設定経路に基づく経路情報を、関連するナビ地図データと共に、通信バス99を通じて、HCU100に提供する。
加えてナビECU62は、設定経路に含まれた右左折を行う交差点および分岐ポイント等の案内地点GPに自車両Aが接近すると、案内実施要求を、HCU100へ向けて順次出力する。案内地点GPは、一例として交差点区間および分岐可能区間の各中央付近に設定される。なお、案内地点GPは、交差点区間および分岐可能区間の各手前側または各奥側に設定されてもよい。
案内実施要求は、ドライバへの経路案内に用いられる案内情報であり、具体的には、案内地点GPの位置情報と、案内地点GPにて自車両Aが進むべき方向を示す情報とを含んでいる。案内実施要求は、自車両Aから案内地点GPまでの残距離Lr(図4参照)が第1閾値(例えば300m程度)未満となったタイミングで出力される。HCU100は、ナビECU62からの案内実施要求の取得に基づき、経路案内に関連した情報提示を実施する。
ボディECU70は、プロセッサ、RAM、記憶部、入出力インターフェース、およびこれらを接続するバス等を備えたマイクロコントローラを主体として含む構成である。ボディECU70は、前照灯および方向指示器等、自車両Aに搭載された灯火装置の作動を制御する機能を少なくとも有している。ボディECU70は、方向指示スイッチ71と電気的に接続されている。
方向指示スイッチ71は、ステアリングコラム部8に設けられたレバー状の操作部である。ボディECU70は、方向指示スイッチ71へ入力されるユーザ操作の検知に基づき、操作方向に対応した左右いずれかの方向指示器の点滅を開始させる。
次に、HMIシステム10に含まれる操作デバイス26、DSM27、HUD20およびHCU100の各詳細を、図1および図2に基づき順に説明する。
操作デバイス26は、ドライバ等によるユーザ操作を受け付ける入力部である。操作デバイス26には、例えば運転支援機能および自動運転機能等について、起動および停止の切り替えを行うユーザ操作が入力される。具体的には、ステアリングホイールのスポーク部に設けられたステアスイッチ、ステアリングコラム部8に設けられた操作レバー、およびドライバの発話を検出する音声入力装置等が、操作デバイス26に含まれる。
DSM27は、近赤外光源および近赤外カメラと、これらを制御する制御ユニットとを含む構成である。DSM27は、運転席のヘッドレスト部に近赤外カメラを向けた姿勢にて、例えばステアリングコラム部8の上面またはインスツルメントパネル9の上面等に設置されている。DSM27は、近赤外光源によって近赤外光を照射されたドライバの頭部を、近赤外カメラによって撮影する。近赤外カメラによる撮像画像は、制御ユニットによって画像解析される。制御ユニットは、アイポイントEPの位置および視線方向等の情報を撮像画像から抽出し、抽出した状態情報をHCU100へ向けて逐次出力する。
HUD20は、メータディスプレイおよびセンターインフォメーションディスプレイ等と共に、複数の車載表示デバイスの1つとして、自車両Aに搭載されている。HUD20は、HCU100と電気的に接続されており、HCU100によって生成された映像データを逐次取得する。HUD20は、映像データに基づき、例えばルート情報、標識情報、および各車載機能の制御情報等、自車両Aに関連する種々の情報を、虚像Viを用いてドライバに提示する。
HUD20は、ウィンドシールドWSの下方にて、インスツルメントパネル9内の収容空間に収容されている。HUD20は、虚像Viとして結像される光を、ウィンドシールドWSの投影範囲PAへ向けて投影する。ウィンドシールドWSに投影された光は、投影範囲PAにおいて運転席側へ反射され、ドライバによって知覚される。ドライバは、投影範囲PAを通して見える前景に、虚像Viが重畳された表示を視認する。
HUD20は、プロジェクタ21および拡大光学系22を備えている。プロジェクタ21は、LCD(Liquid Crystal Display)パネルおよびバックライトを有している。プロジェクタ21は、LCDパネルの表示面を拡大光学系22へ向けた姿勢にて、HUD20の筐体に固定されている。プロジェクタ21は、映像データの各フレーム画像をLCDパネルの表示面に表示し、当該表示面をバックライトによって透過照明することで、虚像Viとして結像される光を拡大光学系22へ向けて射出する。拡大光学系22は、合成樹脂またはガラス等からなる基材の表面にアルミニウム等の金属を蒸着させた凹面鏡を、少なくとも1つ含む構成である。拡大光学系22は、プロジェクタ21から射出された光を反射によって広げつつ、上方の投影範囲PAに投影する。
以上のHUD20には、画角VAが設定される。HUD20にて虚像Viを結像可能な空間中の仮想範囲を結像面ISとすると、画角VAは、ドライバのアイポイントEPと結像面ISの外縁とを結ぶ仮想線に基づき規定される視野角である。画角VAは、アイポイントEPから見て、ドライバが虚像Viを視認できる角度範囲となる。HUD20では、垂直方向における垂直画角よりも、水平方向における水平画角の方が大きくされている。アイポイントEPから見たとき、結像面ISと重なる前方範囲が画角VA内の範囲となる。
HUD20は、重畳コンテンツCTs(図5および図6参照)および非重畳コンテンツCTnを、虚像Viとして表示する。重畳コンテンツCTsは、拡張現実(Augmented Reality,以下「AR」)表示に用いられるAR表示物である。重畳コンテンツCTsの表示位置は、例えば路面の特定位置、前方車両、歩行者および道路標識等、前景に存在する特定の重畳対象に関連付けられている。重畳コンテンツCTsは、前景中にある特定の重畳対象に重畳表示され、当該重畳対象に相対固定されているように、重畳対象を追って、ドライバの見た目上で移動可能である。即ち、ドライバのアイポイントEPと、前景中の重畳対象と、重畳コンテンツCTsとの相対的な位置関係は、継続的に維持される。そのため、重畳コンテンツCTsの形状は、重畳対象の相対位置および形状に合わせて、所定の周期で継続的に更新されてよい。重畳コンテンツCTsは、非重畳コンテンツCTnよりも水平に近い姿勢で表示され、例えばドライバから見た奥行方向(進行方向)に延伸した表示形状とされる。
非重畳コンテンツCTnは、前景に重畳表示される表示物のうちで、重畳コンテンツCTsを除いた非AR表示物である。非重畳コンテンツCTnは、重畳コンテンツCTsとは異なり、重畳対象を特定されないで、前景に重畳表示される。非重畳コンテンツCTnは、投影範囲PA内の決まった位置に表示されることで、ウィンドシールドWS等の車両構成に相対固定されているように表示される。
HCU100は、HMIシステム10において、HUD20を含む複数の車載表示デバイスによる表示を統合的に制御する電子制御装置である。HCU100は、処理部11、RAM12、記憶部13、入出力インターフェース14、およびこれらを接続するバス等を備えたコンピュータを主体として含む構成である。処理部11は、RAM12と結合された演算処理のためのハードウェアである。処理部11は、CPU(Central Processing Unit)等の演算コアを少なくとも1つ含む構成である。RAM12は、映像生成のためのビデオRAMを含む構成であってよい。処理部11は、RAM12へのアクセスにより、後述する各機能部の機能を実現するための種々の処理を実行する。記憶部13は、不揮発性の記憶媒体を含む構成である。記憶部13には、処理部11によって実行される種々のプログラム(表示制御プログラム等)が格納されている。
図1~図3に示すHCU100は、記憶部13に記憶された表示制御プログラムを処理部11によって実行することで、HUD20によるコンテンツの重畳表示の制御部としての複数の機能部を有する。具体的に、HCU100には、ドライバ情報取得部101、外界情報取得部102、操作情報取得部103、ロケータ情報取得部104、案内情報取得部105、確認判定部106、および表示生成部109等の機能部が構築される。
ドライバ情報取得部101は、DSM27から取得する状態情報に基づき、運転席に着座しているドライバのアイポイントEPの位置および視線方向を特定し、ドライバ情報として取得する。ドライバ情報取得部101は、アイポイントEPの位置を示す三次元の座標(以下、「アイポイント座標」)を生成し、生成したアイポイント座標を、表示生成部109に逐次提供する。また、ドライバ情報取得部101は、アイポイント座標および視線方向を、確認判定部106および表示生成部109に逐次提供する。
外界情報取得部102は、運転支援ECU50から、自車両Aの周辺範囲についての検出情報を取得する。具体的に、外界情報取得部102は、自車車線Lnsの左右の区画線または道路端の相対位置を示す検出情報を取得する。加えて外界情報取得部102は、自車両Aの周囲に存在する他車両の検出情報を、他車両情報として取得する。他車両情報には、他車両の有無情報、他車両の相対位置を示す位置情報および相対速度を示す速度情報等が含まれている。外界情報取得部102は、取得した検出情報を確認判定部106および表示生成部109に逐次提供する。なお、外界情報取得部102は、運転支援ECU50から取得する解析結果としての検出情報に替えて、フロントカメラ31の撮像データを、検出情報として取得してもよい。外界情報取得部102は、他車両情報取得部の一例である。
操作情報取得部103は、自車両Aの操作に関する操作情報を、ボディECU70から取得する。特に操作情報取得部103は、自車両Aの右左折または車線変更に関わる操作情報を取得する。より具体的には、操作情報取得部103は、方向指示スイッチ71のユーザ操作に関する情報を取得する。また、操作情報取得部103は、操舵角センサおよび操舵トルクセンサ等から取得される自車両Aの操舵に関する情報、アクセルペダルセンサおよびブレーキペダルセンサ等から取得される自車両Aの加減速操作に関する情報などを、操作情報として取得してもよい。操作情報取得部103は、操作情報を確認判定部106に逐次提供する。
ロケータ情報取得部104は、自車両Aについての最新の位置情報および方角情報を、自車位置情報としてロケータECU44から取得する。加えてロケータ情報取得部104は、自車両Aの周辺範囲の高精度地図データを、ロケータECU44から取得する。ロケータ情報取得部104は、取得した自車位置情報および高精度地図データを、表示生成部109に逐次提供する。
案内情報取得部105は、ナビゲーション装置60に目的地が設定されている場合に、目的地までのルート案内に用いられる経路情報を取得する。加えて案内情報取得部105は、案内地点GPへの接近に伴い、ナビECU62から出力される案内実施要求を取得する。案内情報取得部105は、経路情報および案内実施要求を表示生成部109へと逐次提供する。
確認判定部106は、ドライバ情報および外界情報に基づき、自車両Aのドライバが他車両を確認したか否かの確認判定を実行する。具体的には、確認判定部106は、他車両の検出情報を取得している場合に、ドライバが当該他車両を確認したか否かを判定する。例えば、確認判定部106は、ドライバのアイポイント座標および視線方向と、他車両の位置情報とに基づき、ドライバが他車両を所定の期間視認したと推定される場合に、他車両を確認したと判定する。また、確認判定部106は、他車両が自車両Aよりも後方側に位置する場合、ドライバがドアミラーまたはバックミラーを閾時間視認したと推定される場合に他車両を確認したと判定してもよい。確認判定部106は、以上の確認判定を、右左折または車線変更に関わる操作情報を取得した場合に実行する。具体的には、確認判定部106は、方向指示スイッチ71がオン状態になると確認判定を開始し、オフ状態になるまで繰り返し実行する。または、確認判定部106は、ステアリングホイールの舵角情報や、自車両Aの現在位置情報等を、右左折または車線変更に関わる操作情報として取得してもよい。確認判定部106は、判定結果を表示生成部109へと逐次提供する。
表示生成部109は、取得した種々の情報に基づき、重畳コンテンツCTs(図5および図6参照)の表示レイアウトをシミュレートする仮想レイアウト機能と、情報提示に用いるコンテンツを選定するコンテンツ選定機能とを備えている。加えて、表示生成部109は、仮想レイアウト機能およびコンテンツ選定機能から提供される情報に基づき、HUD20に逐次出力させる映像データを生成する生成機能を備えている。表示生成部109は、表示制御部の一例である。
表示生成部109は、仮想レイアウト機能の実行により、自車位置情報、高精度地図データおよび検出情報等に基づいて自車両Aの現在の走行環境を仮想空間中に再現する。詳記すると、図4に示すように、表示生成部109は、仮想の三次元空間の基準位置に自車オブジェクトAOを設定する。表示生成部109は、高精度地図データの示す形状の道路モデルを、自車位置情報に基づき、自車オブジェクトAOに関連付けて、三次元空間にマッピングする。表示生成部109は、他車両が検出されている場合、他車両のサイズ情報に基づく大きさの他車両オブジェクトBOを、他車両の相対位置情報に基づいて配置する。図4では、他車両としてバイクが検出されている場合の他車両オブジェクトBOを示している。表示生成部109は、他車両の予想軌跡PTを、道路モデル上に設定する。他車両の予想軌跡PTは、他車両の自車両Aおよび道路標示等に対する相対位置の変化や、他車両の方向指示器の点滅有無等に基づき推定される。また、表示生成部109は、案内情報に基づく走行予定経路を道路モデル上に設定する。
表示生成部109は、自車オブジェクトAOに関連付けて、仮想カメラ位置CPおよび重畳範囲SAを設定する。仮想カメラ位置CPは、ドライバのアイポイントEPに対応する仮想位置である。表示生成部109は、ドライバ情報取得部101にて取得される最新のアイポイント座標に基づき、自車オブジェクトAOに対する仮想カメラ位置CPを逐次補正する。重畳範囲SAは、虚像Viの重畳表示が可能となる範囲である。表示生成部109は、仮想カメラ位置CPと、記憶部13(図1参照)等に予め記憶された投影範囲PAの外縁位置(座標)情報とに基づき、仮想カメラ位置CPから前方を見たときに結像面ISの内側となる前方範囲を、重畳範囲SAとして設定する。重畳範囲SAは、HUD20の画角VAに対応している。
表示生成部109は、仮想空間中に第1仮想オブジェクトVO1、第2仮想オブジェクトVO2、および第3仮想オブジェクトVO3を配置する。第1仮想オブジェクトVO1は、三次元空間の道路モデルの路面上に配置された走行予定経路に重なるように配置される。第1仮想オブジェクトVO1は、後述する経路コンテンツCTrを虚像表示させる場合に、仮想空間中に設定される。第1仮想オブジェクトVO1は、走行予定経路の仮想路面を平面的に覆うように配置される帯状のオブジェクトとされる。第1仮想オブジェクトVO1は、交差点の右左折シーンでは、進入車線と退出車線とを繋ぐ湾曲形状となる。第1仮想オブジェクトVO1は、経路コンテンツCTrの位置および形状を規定する。すなわち、仮想カメラ位置CPから見た第1仮想オブジェクトVO1の形状が、アイポイントEPから視認される経路コンテンツCTrの虚像形状となる。
第2仮想オブジェクトVO2は、他車両の予想軌跡PTに重なるように配置される。第2仮想オブジェクトVO2は、後述の他車両コンテンツCTbを重畳コンテンツCTsとして虚像表示させる場合に、仮想空間中に設定される。第2仮想オブジェクトVO2は、予想軌跡PTに沿って他車両の進行方向に伝播する波紋状のオブジェクトとされる。第2仮想オブジェクトVO2は、他車両コンテンツCTbの位置および形状を規定する。すなわち、仮想カメラ位置CPから見た第2仮想オブジェクトVO2の形状が、アイポイントEPから視認される他車両コンテンツCTbの虚像形状となる。
第3仮想オブジェクトVO3は、第1仮想オブジェクトVO1と同様に、自車両Aの走行予定経路に重なるように配置される。第3仮想オブジェクトVO3は、後述する自車予定軌跡コンテンツCTatを虚像表示させる場合に、仮想空間中に設定される。第3仮想オブジェクトVO3は、同じ区間に配置された場合の第1仮想オブジェクトVO1と形状の異なるオブジェクトとされる。具体的には、第3仮想オブジェクトVO3は、走行予定経路に沿って仮想路面上に並ぶように配置される複数の三角形状のオブジェクトである。第3仮想オブジェクトVO3は、自車予定軌跡コンテンツCTatの位置および形状を規定する。
表示生成部109は、コンテンツ選定機能の実行により、案内情報、外界情報、確認判定部106の判定結果、および表示レイアウトのシミュレーション結果等に基づいて、映像データに描画するコンテンツを選択する。そして表示生成部109は、HUD20に逐次出力される映像データの生成機能の実行により、HUD20によるドライバへの情報提示を制御する。表示生成部109は、取得した種々の情報に基づき、コンテンツを描画する機能およびコンテンツの表示期間を制御する機能を有している。表示生成部109は、コンテンツ選定機能による選定結果に基づき、映像データを構成する各フレーム画像に描画する元画像を決定する。表示生成部109は、重畳コンテンツCTs(図5および図6参照)の元画像をフレーム画像に描画する場合、アイポイントEPおよび重畳対象の各位置に応じて、フレーム画像における元画像の描画位置および描画形状を補正する。以上により、重畳コンテンツCTsは、アイポイントEPから見たとき、重畳対象に正しく重畳される位置および形状で表示されるようになる。
表示生成部109は、自車両Aの起動中に常に表示されるコンテンツとして自車アイコンCTaを選定する。自車アイコンCTaは、画角VA内において、左右方向の中央付近で、上下方向の下方寄りに固定表示される非重畳コンテンツCTnである。自車アイコンCTaは、1つの頂点を画角VAにおける上方側に向けた略三角形形状の画像コンテンツとされる。なお、表示生成部109は、路面を重畳対象とした重畳コンテンツCTsとして自車アイコンCTaを表示させてもよい。
表示生成部109は、ナビゲーション装置60からの案内実施要求を取得した場合に、案内地点GPにおける経路案内に用いる経路コンテンツCTrを選定する。具体的には、交差点等の分岐ポイントにおける右左折を案内するコンテンツ、所定距離の直進を案内するコンテンツ、および車線変更を案内するコンテンツ等が、経路コンテンツCTrとして適宜選定される。
経路コンテンツCTrは、自車両Aの走行予定経路の表示に用いられるコンテンツである(図5参照)。経路コンテンツCTrは、走行予定経路の路面を重畳対象とする重畳コンテンツCTsであり、表示シミュレーションにて配置される第1仮想オブジェクトVO1に基づいて描画形状を決定される。経路コンテンツCTrは、案内実施要求が取得された時点、すなわち自車両Aから案内地点GPまでの残距離Lrが閾値(例えば300m程度)を下回った時点で表示される。
経路コンテンツCTrは、走行予定経路に沿った形状に描画され、自車両Aの走行すべき車線や、右左折および車線変更の必要な地点等を、路面ペイントのような表示によって示す。経路コンテンツCTrは、走行予定経路の車線の形状を象る描画形状であり、自車両Aの進行方向に沿って帯状に延伸するシート形状である。経路コンテンツCTrは、車線が直線状の場合には直線状の態様となり、カーブ状の場合にはカーブに沿って湾曲した態様となる。また、経路コンテンツCTrは、交差点内においては、走行予定経路上の進入車線と退出車線とを繋ぐ態様となる。経路コンテンツCTrは、自車両Aの走行に合わせて、アイポイントEPから見える路面形状に適合するように、所定の更新周期で描画形状を更新される。
また、表示生成部109は、他車両の検出情報を取得した場合に他車両コンテンツCTbを選定する。他車両コンテンツCTbは、他車両の存在をドライバに提示する他車両表示に用いられるコンテンツである(図6参照)。他車両コンテンツCTbは、経路コンテンツCTrより優先的に選定される。すなわち、案内実施要求が有る場合であっても、他車両が検出されていると、経路コンテンツCTrは少なくとも一時的に選定されず、他車両コンテンツCTbが選定される。言い換えると、他車両コンテンツCTbが表示される場合、経路コンテンツCTrは、少なくとも一時的に非表示とされ、視認性が低下する。
表示生成部109は、他車両コンテンツCTbの表示開始から所定期間内である場合、および確認判定部106にてドライバが他車両を確認したと判定された場合には、他車両コンテンツCTbを非重畳コンテンツCTnとして設定する(図6A,図6C参照)。換言すれば、他車両コンテンツCTbの表示開始から所定期間内である場合と、確認判定部106にてドライバが他車両を確認したと判定された場合とで、他車両コンテンツCTbは同等の態様とされる。ここで同等の態様とは、同一の走行状況において実質的に同一の表示色、形状および重畳状態(重畳コンテンツCTsおよび非重畳コンテンツCTnのどちらか)であることを意味する。非重畳コンテンツCTnとしての他車両コンテンツCTbは、画角VAの中央領域を避けた縁部付近に表示される。他車両コンテンツCTbは、例えば当該縁部によって一部が欠けた略円形状とされる。
他車両コンテンツCTbは、他車両の自車両Aに対する相対位置に基づき、画角VA内における表示位置を設定される。他車両が左右方向において自車両Aよりも左方に位置する場合、他車両コンテンツCTbは、画角VAの左縁付近を表示位置に設定される。他車両が前後方向において自車両Aよりも後方に位置する場合、他車両コンテンツCTbは、画角VAの下縁付近を表示位置に設定される。
総合すると、図4に示すように他車両が自車両Aの左後方に位置している場合、他車両コンテンツCTbは、画角VAの四隅のうち左下の隅部分に表示される。同様に、他車両コンテンツCTbは、他車両が右方に位置する場合には画角VAの右縁付近に表示され、他車両が前方に位置する場合には画角VAの上方付近に表示されることになる。以上により、他車両コンテンツCTbは、他車両の存在に加えて、自車両Aに対する他車両の相対位置を提示する。
表示生成部109は、確認判定部106にてドライバが他車両を確認していないと判定された場合には、他車両コンテンツCTbを重畳コンテンツCTsとして設定する(図6B参照)。重畳コンテンツCTsとしての他車両コンテンツCTbは、路面を重畳対象とするコンテンツであり、表示シミュレーションにて配置される第2仮想オブジェクトVO2に基づいて描画形状を決定される。
重畳コンテンツCTsとしての他車両コンテンツCTbは、画角VAの縁部近傍を中心にして画角VAの内部に広がる波紋状とされる。より具体的には、他車両コンテンツCTbは、他車両の存在する方向から、他車両の予想軌跡PTに沿って路面上を伝播する波紋として表示される。他車両コンテンツCTbは、波紋を象る複数の同心円弧状の画像が他車両の予想軌跡PTに沿って順に出現するアニメーションを、継続的に繰り返すように表示される。以上により、他車両コンテンツCTbは、他車両の存在に加えて、自車両Aに対する他車両の相対位置および予想軌跡PTを提示する。なお、他車両コンテンツCTbは、その表示開始から所定期間か否かに関わらず、確認判定部106の判定結果に基づく表示態様とされてもよい。すなわち、他車両コンテンツCTbは、確認判定部106にてドライバが他車両を確認していないと判定された場合、表示開始の時点から重畳コンテンツCTsとされてもよい。
加えて、表示生成部109は、確認判定部106にてドライバが他車両を確認していないと判定された場合には、重畳コンテンツCTsとしての他車両コンテンツCTbに加えて、自車予定軌跡コンテンツCTatを選定する(図6B参照)。
自車予定軌跡コンテンツCTatは、他車両が存在する場合における自車両Aの進行予定軌跡を提示するコンテンツである。自車予定軌跡コンテンツCTatは、経路コンテンツCTrの異なる表示態様ということもできる。自車予定軌跡コンテンツCTatは、路面を重畳対象とするコンテンツであり、表示シミュレーションにて配置される第3仮想オブジェクトVO3に基づいて描画形状を決定される。自車予定軌跡コンテンツCTatは、自車アイコンCTaに類似した形状である略三角形形状の複数の画像が、自車両Aの進行方向に沿って並べられた態様とされる。自車予定軌跡コンテンツCTatは、複数の当該画像が自車両Aの進行方向に沿って順に出現するアニメーションを、継続的に繰り返すように表示される。
なお、表示生成部109は、ドライバが他車両を確認したと判定されていても、他車両の速度が閾値以上である場合には、他車両を確認していないと判定された場合と同等の態様である重畳コンテンツCTsとして他車両コンテンツCTbを表示させる。例えば表示生成部109は、後方の他車両の速度に関して、自車両Aの走行速度を閾値とする。すなわち、表示生成部109は、他車両が自車両Aに接近している場合または自車両Aと実質的に等速で走行している場合に、他車両コンテンツCTbの態様を、他車両を確認していないと判定された場合と同等の態様とする。
次に、表示制御プログラムに基づき、経路案内および他車両の存在提示に関連した各表示を切り替える表示制御方法の詳細を、図7および図8に示すフローチャートに基づき、図3および図4~図6を参照しつつ、以下説明する。図7および図8に示す表示制御処理は、例えば車両電源のオン状態への切り替えにより、起動処理等を終えたHCU100により、開始される。
まずHCU100は、図7のステップS10にて、ナビECU62からの案内実施要求が有るか否かを判定する。案内実施要求があると判定すると、ステップS15へと進み、経路コンテンツCTrの表示を実行してステップS20へと進む。一方で案内実施要求が無いと判定すると、経路コンテンツCTrの表示を実行することなくステップS20へと進む。
ステップS20では、ボディECU70からの操作情報に基づいて方向指示スイッチ71がオン状態であるか否かを判定する。方向指示スイッチ71がオン状態でないと判定した場合には、ステップS10に戻る。一方で方向指示スイッチ71がオン状態であると判定すると、ステップS30へと進む。
ステップS30では、自車両Aの周囲に他車両が検出されているか否かを判定する。具体的には、他車両情報が取得できた場合に他車両が検出されていると判定する。他車両が検出されていないと判定された場合には、ステップS20へと戻る。一方で、他車両が検出されていると判定された場合には、図8のステップS40へと進む。ステップS40では、経路コンテンツCTrを表示中であるか否かを判定する。経路コンテンツCTrを表示中であると判定されると、ステップS45へと進み、経路コンテンツCTrの表示を中断してステップS50へと進む。これにより、経路コンテンツCTrは非表示とされる。一方で、ステップS40にて経路コンテンツCTrを表示していないと判定した場合には、ステップS45をスキップしてステップS50へと進む。
ステップS50では、他車両コンテンツCTbを非重畳コンテンツCTnとして表示する。ステップS50の処理を実行すると、ステップS60へと進む。なお、ステップS60へは、非重畳コンテンツCTnとしての他車両コンテンツCTbの表示を開始して所定期間経過してから進む。または、ステップS50では、非重畳コンテンツCTnを表示させなくてもよい。換言すれば、ステップS50を実行しなくてもよい。
ステップS60では、DSM27からのドライバ情報および運転支援ECU50からの外界情報に基づき、ドライバが他車両を確認したか否かを判定する。ドライバが他車両を確認していないと判定した場合には、ステップS70へと進み、他車両コンテンツCTbを重畳コンテンツCTsへと切り替える。次いでステップS80へと進み、自車予定軌跡コンテンツCTatを表示する。ステップS80の処理を実行すると、ステップS100へと進む。
一方で、ステップS60にてドライバが他車両を確認したと判定された場合には、ステップS65へと進む。ステップS65では、外界情報に基づき、他車両の速度が閾値を上回るか否かを判定する。他車両の速度が閾値を上回ると判定すると、ステップS70へと進む。一方で、速度が閾値以下であると判定されると、ステップS90へと進む。
ステップS90では、他車両コンテンツCTbを非重畳コンテンツCTnとして表示する。すなわち、直前まで他車両コンテンツCTbを重畳コンテンツCTsとして表示していた場合には、非重畳コンテンツCTnへと切り替える。そして、直前まで非重畳コンテンツCTnとして表示していた場合には、非重畳コンテンツCTnとしての表示を継続する。
なお、ステップS90の直前に自車予定軌跡コンテンツCTatが表示されていた場合、すなわち、他車両コンテンツCTbを重畳コンテンツCTsから非重畳コンテンツCTnに切り替える場合には、自車予定軌跡コンテンツCTatを非表示とする。また、経路コンテンツCTrの表示を中断中であった場合には、ステップS90の時点で経路コンテンツCTrの表示を再開してもよい。ステップS90の処理を実行すると、ステップS100へと進む。
ステップS100では、方向指示スイッチ71がオフ状態であるか否かを判定する。方向指示スイッチ71がオフ状態ではなくオン状態であると判定した場合、すなわち右左折または車線変更操作が完了していないと推定される場合には、ステップS60へと戻る。一方で、方向指示スイッチ71がオフ状態であると判定した場合、すなわち右左折または車線変更操作が完了した場合には、ステップS110へと進み、他車両コンテンツCTbの表示を終了した後、一連の処理を終了する。なお、ステップS100では、方向指示スイッチ71の状態に代えて、ステアリングホイールの舵角や、自車両Aの現在位置等に基づいて、右左折または車線変更操作が完了したか否かを判定してもよい。
次に第1実施形態のHCU100の構成および作用効果について説明する。
HCU100の表示生成部109は、確認判定部106にてドライバが他車両を確認していないと判定された場合には、路面を重畳対象とした重畳コンテンツCTsとして他車両コンテンツCTbを表示させる。一方で、表示生成部109は、ドライバが他車両を確認したと判定された場合には、特定の重畳対象に重畳されない非重畳コンテンツCTnとして他車両コンテンツCTbを表示させる。
これによれば、乗員であるドライバが他車両を確認していない場合には、他車両コンテンツCTbが重畳コンテンツCTsとして表示され、ドライバが他車両を確認した場合には、非重畳コンテンツCTnとして表示される。このため、ドライバが他車両を確認したにも関わらず、他車両を確認していない場合と同様に他車両コンテンツCTbが重畳コンテンツCTsとして表示される煩わしさを低減できる。以上により、HCU100は、煩わしさを低減した表示が可能である。
表示生成部109は、操作情報取得部103にて自車両Aの右左折または車線変更に関わる操作情報が取得された場合に、他車両コンテンツCTbを表示する。これによれば、右左折または車線変更といった他車両を確認する必要性の比較的高い状況で、他車両コンテンツCTbが表示される。故に、表示生成部109は、ドライバに対してより適切なタイミングで他車両の存在を提示することができる。
表示生成部109は、経路コンテンツCTrの重畳表示中に他車両コンテンツCTbを表示させる場合、経路コンテンツCTrを非表示とする。これによれば、表示生成部109は、ドライバに対して他車両コンテンツCTbを経路コンテンツCTrよりも強く印象付けることができる。したがって、表示生成部109は、経路案内中であっても他車両の存在にドライバの意識を誘導し易い表示が可能である。
表示生成部109は、他車両コンテンツCTbの表示開始から所定期間経過するまでは、ドライバが他車両を確認したと判定された場合と同等の態様、すなわち非重畳コンテンツCTnとして他車両コンテンツCTbを表示させる。これによれば、他車両コンテンツCTbの表示開始から所定期間経過するまでは、ドライバが他車両を確認しているか否かに関わらず、他車両コンテンツCTbが非重畳コンテンツCTnとして表示される。故に、他車両コンテンツCTbが重畳コンテンツCTsとして表示されるまでに、時間的猶予が生じ得る。したがって、表示生成部109は、他車両コンテンツCTbが重畳コンテンツCTsとして表示される時間を短縮し、煩わしさをより低減することができる。
表示生成部109は、ドライバが他車両を確認したと判定された場合であっても、他車両の速度が閾値を上回る場合には、他車両コンテンツCTbを重畳コンテンツCTsとして表示させる。これによれば、他車両の速度が閾値を上回る場合に、他車両を確認していない場合と同様に他車両コンテンツCTbを表示できる。したがって、他車両の速度が比較的速い場合に、他車両を確認していない場合と同等のレベルで他車両の存在をドライバに注意喚起できる。特に第1実施形態の場合、自車両Aに対する後方の他車両の相対速度がゼロ以上の場合に上述の表示制御を実施するので、自車両Aに接近する可能性の高い他車両の存在を、より強調してドライバに提示することができる。
(第2実施形態)
第2実施形態では、第1実施形態におけるHCU100の変形例について説明する。図9~図11において第1実施形態の図面中と同一符号を付した構成要素は、同様の構成要素であり、同様の作用効果を奏するものである。
第2実施形態において、表示生成部109は、確認判定部106にてドライバが他車両を確認したと判定された場合には、確認していないと判定された場合よりも、他車両コンテンツCTbの視認性を低下させる(図9Bおよび図9C参照)。より具体的には、表示生成部109は、ドライバが他車両を確認したと判定された場合に、他車両コンテンツCTbの視認性が無い状態、すなわち非表示状態とする設定を行う。なお、表示生成部109は、他車両コンテンツCTbの表示開始から所定期間内は、第1実施形態と同様に他車両コンテンツCTbを非重畳コンテンツCTnに設定する(図9A参照)。
また、表示生成部109は、非重畳コンテンツCTnとして他車両コンテンツCTbを表示する際、経路コンテンツCTrの表示態様を、他車両コンテンツCTbを表示しない場合と異なるものに変更する(図9Aおよび図9B参照)。すなわち、表示生成部109は、非重畳コンテンツCTnとして他車両コンテンツCTbを表示する場合でも、経路コンテンツCTrを非表示としない。
具体的には、表示生成部109は、経路コンテンツCTrの輝度を、他車両コンテンツCTbを表示しない場合よりも低下させた状態で表示させることで、その視認性を低下させる。なお、表示生成部109は、経路コンテンツCTrの透過率を上昇させることで異なる表示態様としてもよい。この場合、他車両コンテンツCTbを重畳コンテンツCTsとして表示する場合と非重畳コンテンツCTnとして表示する場合とで、経路コンテンツCTrの表示態様は同等となる。そして、表示生成部109は、確認判定部106にてドライバが他車両を確認したと判定された場合には、経路コンテンツCTrの輝度を元に戻すことで、視認性を高める(図9C参照)。
加えて、表示生成部109は、ドライバが他車両を確認していない状態が継続している場合には、停止警告表示を行う(図10参照)。表示生成部109は、他車両を確認していない状態で所定時間以上経過した場合、または他車両を確認していない状態で案内地点GPまでの残距離Lrが所定距離を下回った場合等に、他車両を確認していない状態が継続したと判断する。
停止警告表示として、表示生成部109は、停止コンテンツCTspの表示および経路コンテンツCTrの表示制限を行う。停止コンテンツCTspは、自車両Aの停車を促すコンテンツであり、路面を重畳対象とする重畳コンテンツCTsである。停止コンテンツCTspは、案内地点GPよりも手前側において、自車車線Lnsを横断する直線状とされる。停止コンテンツCTspは、仮想の停止線をドライバに提示するコンテンツである。停止コンテンツCTspは、自車両Aが停止コンテンツCTspの重畳される地点を通過するまで、継続的に表示される。
加えて表示生成部109は、停止警告表示において、経路コンテンツCTrの表示範囲を、停止コンテンツCTspの重畳される地点よりも手前側に制限する。換言すれば、経路コンテンツCTrのうち、停止コンテンツCTspよりも進行方向前方の部分は、非表示とされる。
第2実施形態における表示制御方法について、図11のフローチャートを用いて説明する。なお、ステップS10~S30までの処理は、第1実施形態の図7の処理と同様である。HCU100は、ステップS40にて経路コンテンツCTrを表示中であると判定された場合には、ステップS45へと進む。ステップS45では、経路コンテンツCTrの表示態様を変更する。具体的には、経路コンテンツCTrの輝度を低下させて、視認性を下げる。
ステップS60またはステップS65の判定後にステップS70へと進み、当該ステップの処理を実行すると、ステップS71へと進む。ステップS71では、ドライバが他車両を未確認である状態が継続しているか否かを判定する。継続していないと判定するとステップS100へと進む。
一方で、他車両を未確認である状態が継続していると判定すると、ステップS72へと進む。ステップS72では、停止警告表示を開始する。すなわち、停止コンテンツCTspを表示させ、さらに経路コンテンツCTrを表示中であった場合、経路コンテンツCTrの表示を制限する。ステップS72の後にはステップS73へと進み、自車両Aが停止コンテンツCTspの重畳地点を通過したか否かを判定する。重畳地点を通過していないと判定されている場合には停止警告表示を継続する。一方で重畳地点を通過したと判定された場合には、ステップS74へと進み、停止警告表示を終了した後、一連の処理を終了する。なお、停止警告表示を終了した場合に、経路コンテンツCTrの表示を再開してもよい。
また、ステップS60にてドライバが他車両を確認していないと判定し、ステップS65で他車両の速度が閾値未満であると判定した場合には、ステップS91へと進む。ステップS91では、他車両コンテンツCTbを非表示とする。次いで、ステップS95では、経路コンテンツCTrを表示中の場合、ステップS45にて変更した表示態様を元に戻し、一連の処理を終了する。
第2実施形態のHCU100では、確認判定部106にてドライバが他車両を確認したと判定された場合には、ドライバが他車両を確認していないと判定された場合よりも、他車両コンテンツCTbの視認性を低下させる。これによれば、ドライバが他車両を確認した場合には、他車両コンテンツCTbの視認性が低下する。このため、ドライバが他車両を確認したにもかかわらず、他車両を確認していない場合と同様の視認性で他車両コンテンツCTbが表示される煩わしさを低減できる。以上により、HCU100は、煩わしさを低減した表示が可能である。
表示生成部109は、経路コンテンツCTrの視認性を低下させている間に、ドライバが他車両を確認したと判定された場合には、経路コンテンツCTrの視認性を高める。これによれば、表示生成部109は、ドライバが他車両を確認した場合に、経路コンテンツCTrをより容易に視認させるように表示を制御できる。したがって、表示生成部109は、ドライバに他車両の存在を把握させた上で、経路案内を分かり易くドライバに提示することが可能となる。
(他の実施形態)
この明細書における開示は、例示された実施形態に制限されない。開示は、例示された実施形態と、それらに基づく当業者による変形態様を包含する。例えば、開示は、実施形態において示された部品および/または要素の組み合わせに限定されない。開示は、多様な組み合わせによって実施可能である。開示は、実施形態に追加可能な追加的な部分をもつことができる。開示は、実施形態の部品および/または要素が省略されたものを包含する。開示は、ひとつの実施形態と他の実施形態との間における部品および/または要素の置き換え、または組み合わせを包含する。開示される技術的範囲は、実施形態の記載に限定されない。開示されるいくつかの技術的範囲は、特許請求の範囲の記載によって示され、さらに特許請求の範囲の記載と均等の意味および範囲内での全ての変更を含むものと解されるべきである。
上述の実施形態において、重畳コンテンツCTsとしての他車両コンテンツCTbは、波紋状の画像コンテンツであるとしたが、他車両コンテンツCTbの形状はこれに限定されない。例えば、重畳コンテンツCTsとしての他車両コンテンツCTbは、他車両の予想軌跡PTに沿って延びる矢印状の画像コンテンツであってもよい(図12参照)。そして、矢印状の画像コンテンツは、他車両の大きさによって、画像コンテンツの幅を変えるようにしてもよい。例えば、他車両がバイクである場合、他車両が乗用車である場合と比べて、画像コンテンツの幅を細く表示させる。さらに、他車両コンテンツCTbは、実際の車種に対応した車両形状の画像コンテンツであってもよい。例えば、バイクであればバイクの形状の画像コンテンツとし、乗用車であれば乗用車の形状の画像コンテンツとする。これにより、他車両コンテンツCTbを、経路案内を示すコンテンツと誤認することが抑制されるため、利便性が向上する。また、矢印状の画像コンテンツと、車両形状の画像コンテンツとを併用して表示させてもよい。例えば、矢印状の画像コンテンツを路面に張り付くように重畳表示させ、車両形状の画像コンテンツが矢印状の画像コンテンツの上を、繰り返し移動するように表示させる。
上述の実施形態において、重畳コンテンツCTsとしての他車両コンテンツCTbは、路面を重畳対象として重畳表示されるとしたが、他車両コンテンツCTbの重畳対象はこれに限定されない。例えば、他車両コンテンツCTbは、他車両が画角VA内に含まれる場合には、他車両を重畳対象として重畳表示されてもよい。
第2実施形態において、HCU100は、ドライバが他車両を確認していないと判定された場合、他車両コンテンツCTbを非表示とすることで、他車両コンテンツCTbの視認性を低下させるとした。これに代えて、HCU100は、ドライバが他車両を確認していないと判定された場合、重畳コンテンツCTsとしての他車両コンテンツCTbの表示面積を小さくすることで、視認性を低下させてもよい(図13参照)。または、HCU100は、非重畳コンテンツCTnとしての他車両コンテンツCTbの表示面積を小さくすることで、視認性を低下させてもよい(図14参照)。また、HCU100は、他車両コンテンツCTbをドライバに視認可能な程度に輝度を低下させたり、透過率を上昇させたりすることで、視認性を低下させてもよい。
上述の実施形態では、交差点の右左折時における他車両表示について説明したが、HCU100は、車線変更においても他車両表示を実行可能である(図15参照)。車線変更においてドライバが他車両を確認していないと判定されると、HCU100は、他車両コンテンツCTbおよび自車予定軌跡コンテンツCTatに加えて進入不可コンテンツCTwを重畳表示する(図15B参照)。進入不可コンテンツCTwは、自車両Aの進行予定軌跡と他車両の予想軌跡PTとの交点付近の路面に重畳される重畳コンテンツCTsである。進入不可コンテンツCTwは、他車両によって車線変更先の車線への進入が困難であることを提示するコンテンツであり、バツ印状の形状とされる。なお、HCU100は、交差点の右左折等の車線変更以外の走行シーンにおいても進入不可コンテンツCTwを表示させる構成であってもよい。また、HCU100は、ドライバが他車両を確認したと判定された場合には、進入不可コンテンツCTwを非表示とし、自車予定軌跡コンテンツCTatを車線変更先の車線内まで重畳表示する(図15C参照)。
また、HCU100は、車線変更先に存在し、かつ、自車両Aよりも後方に存在する他車両の速度が、自車両Aの速度とほぼ同じであり、かつ、同様の速度が所定時間継続した場合、他車両が自車両Aに対して、道を譲っていると判定されるため、矢印状の他車両コンテンツCTbよりも強調しない他車両コンテンツCTb(図15C参照)を表示生成部109にて表示させる。また、表示生成部109は、経路案内および他車両の存在提示に関連した各表示を切り替える表示制御を行う場合と、車線変更および他車両の存在提示に関連した各表示を切り替える表示制御を行う場合とで、他車両コンテンツCTbの態様を変えてもよい。例えば、表示生成部109は、経路案内の表示制御を行う場合、経路案内の進行方向と誤認しないように、他車両コンテンツCTbを車両形状の画像コンテンツとする。一方、車線変更の表示制御を行う場合、ドライバは、自身で方向指示操作を行っており、進行方向について把握しているため、表示生成部109にて他車両コンテンツCTbを矢印状の画像コンテンツとしても問題にならない。さらに、矢印状の画像コンテンツとすることで、自車両Aと走行経路が交わる可能性があることをより認識し易くすることができる。
上述の実施形態において、確認判定部106は、自車両Aにおける方向指示スイッチ71の操作情報に基づき、他車両の確認判定を開始するとした。これに代えて、またはこれに加えて、確認判定部106は、他の情報に基づいて確認判定を開始してもよい。例えば、確認判定部106は、自車両Aの進行予定軌跡と他車両の予想軌跡PTとが交わる場合に確認判定を開始してもよい。また、確認判定部106は、単に他車両の自車両Aへの接近を検出した場合に確認判定を開始してもよい。すなわち、HCU100は、他車両の割込みや、他車両とのすれ違い等、他車両が自車両Aに接近する状況において他車両コンテンツCTbを表示してもよい。
上述の実施形態の処理部およびプロセッサは、1つまたは複数のCPU(Central Processing Unit)を含む。こうした処理部およびプロセッサは、CPUに加えて、GPU(Graphics Processing Unit)およびDFP(Data Flow Processor)等を含む処理部であってよい。さらに処理部およびプロセッサは、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、並びにAIの学習および推論等の特定処理に特化したIPコア等を含む処理部であってもよい。こうしたプロセッサの各演算回路部は、プリント基板に個別に実装された構成であってもよく、またはASIC(Application Specific Integrated Circuit)およびFPGA等に実装された構成であってもよい。
制御プログラムを記憶するメモリ装置には、フラッシュメモリおよびハードディスク等の種々の非遷移的実体的記憶媒体(non-transitory tangible storage medium)が採用可能である。こうした記憶媒体の形態も、適宜変更されてよい。例えば記憶媒体は、メモリカード等の形態であり、車載ECUに設けられたスロット部に挿入されて、制御回路に電気的に接続される構成であってよい。
本開示に記載の制御部およびその手法は、コンピュータプログラムにより具体化された1つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサを構成する専用コンピュータにより、実現されてもよい。あるいは、本開示に記載の装置およびその手法は、専用ハードウェア論理回路により、実現されてもよい。もしくは、本開示に記載の装置およびその手法は、コンピュータプログラムを実行するプロセッサと1つ以上のハードウェア論理回路との組み合わせにより構成された1つ以上の専用コンピュータにより、実現されてもよい。また、コンピュータプログラムは、コンピュータにより実行されるインストラクションとして、コンピュータ読み取り可能な非遷移有形記録媒体に記憶されていてもよい。