〔第1実施形態〕
図1(a)は、本発明の第1実施形態に係る記録装置10を装着したユーザUがゴルフをプレーする様子を示す模式図である。また、図1(b)は、記録装置10によって記録したデータを、再生装置20に取り込んで表示する様子を示す模式図である。これらの図面に示したように、ユーザUは、記録装置10を手首に装着してゴルフのプレーを行う。そしてユーザUは、プレー後に、記録装置10により記録したデータを再生装置20に取り込んで表示させ、スコアの確認や編集をしたり、プレーの内容を振り返ったりする。以下では、記録装置10および再生装置20のそれぞれについて説明する。
〔第1実施形態の記録装置〕
図2は、記録装置10の外観を示す斜視図である。また、図3は、記録装置10をユーザUが手首に装着した状態を、加速度センサ112の軸方向とともに示す模式図である。また、図4は、記録装置10の構成を示すブロック図である。図2に示すように、記録装置10は、腕時計に類似した外観を有し、扁平のケース110を備えている。ケース110の中心を挟んで対向する両端部には、装着部材に相当するバンド部120がケース110と一体に形成されている。バンド部120は、剣先バンド121と親バンド122とで構成される。
剣先バンド121は、例えば、ウレタン等から成形されており、長尺方向に沿って複数の装着孔121a(図1参照)が形成されている。親バンド122は、例えば、ウレタン等から成形されており、ケース110とは反対側の端部には、カサ123aと装着つく棒123bとを備える美錠123が取り付けられている。また、親バンド122における美錠123とケース110の間には、剣先バンド121の先端部が挿入される遊革122aが設けられている。
剣先バンド121および親バンド122を手首に巻き付けつつ、カサ123aに剣先バンド121を通し、適切な装着孔121aに装着つく棒123bを通すことで、図3に示したように記録装置10をユーザUの手首に装着する。このとき、ゴルフクラブをスイングしても記録装置10が手首の装着位置からずれないように装着つく棒123bを通す装着孔121aを選択する。
記録装置10を上記のように装着した状態で外側に露出するケース110の正面には、表示部130が設けられる。表示部130は、小型の液晶パネルにより構成され、後述する制御部115による制御の下、動作モード、電池残量、時計表示等の各種の情報を表示する。
ケース110の一方の側面には、操作ボタン140が設けられている。操作ボタン140は、動作モードの選択、記録の開始と終了、電源のON/OFF等に使用するボタンである。操作ボタン140の操作に応じた動作については後述する。
ケース110の他方の側面には端子カバーが開閉可能に設けられ、その端子カバーを開くと、miniUSB端子150が露出する。このminiUSB端子150にACアダプターを接続することで充電することができる。また、USBケーブルを介して再生装置20と接続して記録装置10内のゴルフ場のデータ更新や再生装置20へのデータ取り込みなどを行うことができる。
ケース110の内部には、GPS衛星からのGPS信号を受信し現在位置(経度・緯度)を求めるGPS受信機111、3軸の加速度を検知する加速度センサ112、周囲の音声データを取得する音声取得部113、記録装置10内の各構成要素の制御を行う制御部115、電源となる電池116、および制御部115が実行するプログラムやゴルフ場のコースレイアウト等のゴルフ情報を予め格納したり制御部115の制御の下で各種の機能による出力データ等を格納したりする記憶部117等を備えている。
加速度センサ112は、慣性センサの一例であり、互いに直交する3軸のそれぞれの軸の加速度のデータを出力する。加速度センサ112の3つの軸方向は、互いに直交している。加速度センサ112が出力する3軸のデータを用いることで、1軸の加速度センサを用いる場合と比べスイングによる加速度を判別することが容易となる。図2には3つの軸方向を図示している。図2に示すように、第1の軸方向(X軸)は、表示部130の表示面において、親バンド122から剣先バンド121に向かう方向である。第2の軸方向(Y軸)は、表示部130の表示面において、操作ボタン140が設けられた側面からminiUSB端子150が設けられた側面に向かう方向である。第3の軸方向(Z軸)は、表示部130の表示面の法線方向である。
図3は、記録装置10をユーザUが装着した状態を示している。記録装置10は、操作ボタン140が指先側となる向きで、ケース110がユーザUの左手首の甲側に沿うように装着される。その結果、記録装置10は、概ね、X軸がユーザUの左手の小指から親指に向かう方向、Y軸がユーザUの前腕に沿って手首から肘に向かう方向、Z軸がユーザUの左手首の甲側にほぼ垂直な方向となる向きで、ユーザUの左手首に固定される。
このように軸方向を設定することで、記録した加速度のデータを分析して記録装置10を装着した手によるスイングや、手首の動き(例えば回内と回外)を判別することができる。手首の動きが判別できることにより、スイング時のグリップの特徴(例えば、スクエアグリップ、ウィークグリップ、ストロンググリップなど)を判別することができる。加速度センサ112が出力する3軸の加速度のデータは、制御部115が設定するサンプリング周波数(例えば30Hz)でサンプリングして取得される。
音声取得部113は、周囲の音声をアナログの電気信号に変換するマイク、マイクが出力する電気信号を所定のサンプリング周波数(例えば44.1KHz)でデジタルデータに変換するAD変換器等により構成される。音声取得部113は、少なくともゴルフクラブでボールを打つときの打球音およびユーザが発する声を取得できるようにケース110内に設置される。実際のゴルフコースでのプレーでは、例えば、スイング直前のアドレス時には周囲が静かになり、その後打球音が生じ、打球直後には「ナイスショット!」、「しまった!」などの音声が発せられることが多い。このような音声の特徴を利用して、打球音を打ったことの判定やあとで打球位置を確定するときの判断とすることができる。また、打球後の発言や会話(例えば、「しまった!だふっちゃった!」等)を記録しておき、後で再生することで、プレー内容を振り返り、分析する時に利用することができる。
電池116は、充電池のように充電可能な二次電池とし、miniUSB端子150から充電できるようにしている。
記憶部117は、着脱できない内部記憶装置でもよいし、マイクロSDカードスロットのような着脱可能な記録メディアを装着するためのスロット部(読み書きする機能を含む)でもよい。本例では内部記憶装置として記憶部117が設けられるものとして記載している。記憶部117は、書き換え可能回数が比較的少ないが大容量化が容易なフラッシュメモリ117aと、書き換え可能回数が多いが大容量化が困難であるRAM117bとを備える。フラッシュメモリ117aには書き換え頻度の低いデータを格納する。
フラッシュメモリ117aには、制御部115による制御を規定するプログラム、当該プログラムで用いるデータ、ゴルフ場の所在地やコースについてのデータ(例えば各ホールのコースレイアウト、ゴルフ場のグリーンやバンカー等コース上のハザードの位置)等を含むゴルフ場情報、プレーや練習の記録として残すスコア、加速度データ、音声セータ等の各種データ等を格納する。なお、ゴルフ場情報は、例えば、特開平7−57189号公報に記載の、第1ホールから第18ホールまでのレイアウト画像の情報、及び当該レイアウト画像上の緯度および経度データや、特開2003−339929号公報に記載の、ゴルフコースの各ホールのレイアウト、場所、コースの特徴等に関するデータとすることができる。フラッシュメモリ117aに格納するデータは、miniUSB端子150を介して再生装置20等の外部装置から更新したり、外部装置に取り込んだりすることができる。
フラッシュメモリ117aにプレーの記録として格納するデータファイルは、ヘッダ情報と、打球レコードとを含んでいる。ヘッダ情報としては、ゴルフコース名、ラウンド日時、天気、および風等の情報を含む。打球レコードは、後述の打球検出処理によってプレー中に打球が検出された回数に応じた数のレコードが含まれている。個々の打球レコードは、打球をしたホール、そのホールで何打目かを示す打数、打球検出時にGPS受信機111が出力した位置情報、打球検出時に加速度センサ112が出力した加速度のデータ、打球検出時に音声取得部113にて取得した音声データを含む。
また、練習の記録として格納するデータファイルも同様に、ヘッダ情報と、打球レコードとを含んでいる。ヘッダ情報としは、練習場名、練習日時、天気、および風等の情報を含む。打球レコードは、後述の打球検出処理によって練習中に打球が検出された回数に応じた数のレコードが含まれている。個々の打球レコードは、打球検出時にGPS受信機111が出力した打球位置、打球検出時に加速度センサ112が出力した加速度のデータ、打球検出時に音声取得部113にて取得した音声データを含む。
一方、RAM117bは一時記憶部に相当し、記録として残すことが未確定のデータ等を一時的に記憶する。フラッシュメモリ117aとRAM117bを用いたデータ格納制御については後述する。
制御部115は、CPU及び各種の周辺回路等を備え、CPUが記憶部117に格納されたプログラムを実行することにより、上記の各種の入力機器(GPS受信機111、加速度センサ112、音声取得部113、miniUSB端子150、操作ボタン140等)から入力される情報及び記憶部117記憶されたデータを適宜利用して、出力機器(表示部130、記憶部117、miniUSB端子150等)を制御したり、処理の結果を保存したりする。
記録装置10は、時計モード、ゴルフ場モード、および練習場モードの3つの動作モードを有する。時計モードは、現在時刻を表示するモードである。ゴルフ場モードは、ゴルフ場でプレーをするときに用いるモードであり、スコア、打球位置等のプレー情報を自動的に記録する。練習場モードは、練習場等でスイングの練習をするときに用いるモードであり、加速度センサ112で取得したスイング時の加速度データを詳細に記録する。これらの動作モードは、操作ボタン140の操作によりモードを選択し決定することで切り替えることができる。
以下、記録装置10の各動作モードにおける動作に関し、制御部115が実行する制御を説明する。なお、以下の説明において主体が明記されていない処理は制御部115の制御によるものである。
ユーザUは使用に先立ち、電池116を予め充電しておく必要がある。電池116が十分に充電されている状態で、電源OFFの状態で操作ボタン140を2秒以上長押しされたことを制御部115が認識すると制御部115に接続された各部への電源を投入する制御を行い、表示部130に図5(a)に示したメイン画面を表示する。メイン画面は、時刻、日付、電池116の残量、現在の動作モード、およびモード切替のメニューを備える。また、電源ONの状態で操作ボタン140が5秒以上長押しされたことを制御部115が認識すると、制御部115は所定の終了画面を表示部130に描画後、制御部115に接続された各部への電源を切る制御を行う。
表示部130に表示されるメニューの選択・決定の操作としては、操作ボタン140の短押しにて次の項目を選択し、長押しにて選択中の項目に決定する。例えば、動作モードを切り替える操作は次のとおりである。操作ボタン140を何度か短押しして、図5(a)に示したように、三角形のカーソルがモード切替を指した状態とする。続いて、操作ボタン140を1回長押する。この長押しの操作を検知すると、図5(b)に示した動作モード選択画面を表示する。そして、操作ボタン140を短押しされると、押下の都度、カーソルを時計モード、ゴルフ場モード、練習場モードの順に移動する。そして、ユーザが希望する動作モードにカーソルを合わせた状態で操作ボタン140が長押しされると、カーソルの位置に応じた動作モードへと遷移する。他のメニューにおいても同様の操作ボタン140の操作が適用され、メニューに含まれる項目の選択し、決定する。決定したメニューの配下に更なる詳細なメニューある場合には、決定のための長押し操作がなされた後で当該詳細なメニューを表示する。このような操作により、ユーザUは、表示部130に表示されたメニューを選択し決定する。
(時計モード)
時計モードではGPS受信機111、加速度センサ112、および音声取得部113を動作させず、表示部130に図5(a)に示したメイン画面を表示する。電源が投入された直後の初期状態では、この時計モードで動作する。時計モードでは、GPS受信機111、加速度センサ112、および音声取得部113が動作しないため、消費電力を抑制することができ、電池116を長持ちさせることができる。
(ゴルフ場モード)
図5(b)に示したモード切替画面においてゴルフ場モードが選択されると、動作モードをゴルフ場モードに切り替える。ゴルフ場モードでは、GPS受信機111、加速度センサ112、および音声取得部113を動作させ、ゴルフコースのナビゲーション機能を実行するとともに、打数および打球位置の自動記録機能を実行する。ゴルフ場モードが選択されると、図6(a)に示したゴルフ場モードの初期画面を表示する。ゴルフ場モードの初期画面には、ゴルフ場の選択メニュー、天気情報入力メニュー、風情報入力メニュー、およびモード切替のメニューを表示する。ゴルフ場選択のメニューが選択されると、図6(b)に示したように、選択するゴルフ場の候補として、GPS受信機111にて取得した現在地に最も近いゴルフ場(本例では東京国際GC)を自動的に表示する。また、手動検索によりゴルフ場を検索して選択することも可能となっている。ユーザUは操作ボタン140を操作してプレーをするゴルフ場とゴルフコースのOUT・INを決定する。また、操作ボタンの操作により、天気情報入力メニューや風情報入力メニューを利用して任意で天気や風の情報を入力する。これらの操作によって設定されたゴルフ場情報、天気、風の情報は、データファイルのヘッダ部に記録する。
ゴルフ場の選択等が完了すると、図6(c)に示したように、ゴルフ場モードの初期画面に「プレー開始」メニューを追加して表示部130に表示する。プレー開始が選択されると、プレー開始の操作と認識し、ナビゲーション機能と自動記録機能を開始する。ユーザUは、プレー開始の前にこの操作を行う。
プレー開始後、ナビゲーション機能として、表示部130に図6(d)に示したナビゲーション画面を表示する。ナビゲーション画面では、電池残量、時刻、現在の動作モードに加え、現在いるホールのホール番号、パー打数、現在の打数、対象物(グリーンエッジ、カップ、ハザード等)まで距離を表示する。また、「プレー終了」メニューも選択可能に表示する。ホールの判別はGPS受信機111で取得した位置情報とゴルフ場情報とに基づいて行う。具体的には、グリーンからティーグランドへの移動をトリガとして、あるホールでのプレーを終了し次のホールのプレーを開始することを認識する。現在の打数は、後述する打球検出処理により打球を検出して、打数をホール毎にカウントすることにより自動的に得る。ユーザUはナビゲーション画面を見ることで、プレー中のホールの情報やスコアを確認することができる。制御部115は、定期的にGPS受信機111から位置情報を取得し、取得した位置情報に応じてナビゲーション画面の表示情報を更新する。
また、プレー開始後、自動記録機能も開始する。自動記録機能では、打球検出処理により打球を検出する都度、データファイルに打球レコードを追加する。打球レコードとしては、現在いるホールのホール番号や打数とともに、打球を検出したときの位置情報、加速度データ、および音声データを対応付けて記録する。
不定期に発生する打球を検出して加速度や音声のデータを記録するために、制御部115はフラッシュメモリ117aとRAM117bを利用して次のような記録制御を行う。まず、打球の発生を待ち受けるべく、一定時間(例えば15秒間)の加速度データと音声データをRAM117bに蓄積し、当該一定時間のデータが蓄積された後は、最新の一定時間のデータが残るように古いデータを上書きしていく。そして、打球検出処理により打球を検出すると、RAM117bに蓄積されている一定時間のデータを、打球を検出した時刻と対応付けてデータファイル内の打球レコードを構成する加速度データや音声データとしてフラッシュメモリ117aに書き写して格納する。このときフラッシュメモリ117aに書き写す一定時間のデータは、打球の検出時点を含み、例えば打球の検出時点の前後7.5秒のデータとする。このような制御をすることにより、スイングとの関係のないデータがフラッシュメモリ117aに蓄積されることを抑制することができ、記憶容量を抑制することができる。また、データの書き換えを繰り返すことによりフラッシュメモリ117aの寿命が縮まることを防ぐことができる。一定時間のデータをフラッシュメモリ117aに格納する際に、上書きが困難な状態とすべく上書き禁止の属性を付与して記録する。このようにすることで、誤ってデータが上書きされることを防ぐことができる。また、制御部115は、打球を検出した時にGPS受信機111が出力する位置情報を時刻と対応付けて、データファイル内の打球レコードを構成する位置情報としてフラッシュメモリ117aに格納するよう制御する。本実施形態ではGPS受信機111は1秒毎に位置情報を出力する。
以上のように加速度データ、音声データ、および位置情報を、それぞれ時刻と対応付けてフラッシュメモリ117aにデータファイル内の打球レコードとして記録することにより、加速度データ、音声データ、および位置情報が時刻を介して相互に対応付けて格納されたことになる。なお、位置情報を1秒毎に格納するのに対し、加速度データおよび音声データは、位置情報の格納とは同期せずに不定期に発生する打球検出時に格納するため、位置情報の得られた時刻と加速度データおよび音声データの時刻とは一致しない場合がある。このように記録した各種データの時刻が一致しない場合においては最も近い時刻のデータ同士を対応したものとして扱う。
このようにして、プレー中に継続してナビゲーション機能および自動記録機能を実行する。そしてGPS受信機111が出力する位置情報に基づき最終ホールのグリーンに到達後、グリーンから離れたことを認識すると、プレーが終了したとしてナビゲーション機能および自動記録機能を終了する。また、プレー開始操作後に、ユーザが操作ボタン140の操作により「プレー終了」メニューを選択し決定した場合にも、プレーが終了したとしてナビゲーション機能と自動記録機能を終了する。そして、図6(a)のゴルフ場モードの初期画面を表示部130に表示する。
(練習場モード)
図5(b)に示したモード切替画面において練習場モードを選択すると、動作モードを練習場モードに切り替える。練習場モードでは、練習中の位置情報、加速度データ、および音声データを時間と対応付けて記憶部117に格納するよう制御する。練習場モードではゴルフ場モードでサンプリング周波数(例えば30Hz)よりも高いサンプリング周波数(例えば100Hz)で加速度データをサンプリングし、スイングの詳細の分析が可能な加速度データを記録する。
練習場モードが選択されると、図7(a)に示した練習場モードの初期画面を表示部130に表示する。練習場モードの初期画面には、練習場情報入力メニュー、天気情報入力メニュー、風情報入力メニュー、モード切替のメニュー、および練習開始メニューを表示する。操作ボタンの操作により、練習場情報入力メニュー、天気情報入力メニュー、および風情報入力メニューを利用して任意で練習場名、天気、および風の情報を入力する。入力されたこれらの情報は、データファイルのヘッダ部に記録する。ユーザUによって操作ボタン140が操作され練習開始メニューを選択されると、位置情報、加速度データ、および音声データの記録を開始する。練習の記録を開始すると、図7(b)に示したように、表示部130には、電池残量、時刻、日付、現在の動作モードに加え、練習終了メニューを選択可能に表示する。制御部115は、練習終了メニューが選択されるまで、打球を検出する都度、データファイルに打球レコードを追加して、位置情報、加速度データ、および音声データを記録する。ユーザによる操作ボタン140の操作により練習終了メニューが選択されると、練習が終了したと認識して記録を終了し、図7(a)のゴルフ場モードの初期画面を表示部130に表示する。
以上で説明したゴルフ場モードおよび練習場モードにおいて記録したデータは、後述するように、再生装置20にて可視化することにより、プレーや練習を振り返ることを支援する。
打球数のカウントやフラッシュメモリ117aへのデータ格納は、上述のとおり打球を検出したときに実行する。一般にゴルフのスイングは、アドレス、テイクバック、ダウンスイング、インパクト、フォロースイングという一連の動作で構成される。記録装置10は、加速度センサ112が出力する加速度データに基づいて、これらの一連の動作のうちの1つ以上を判別したときに、打球をしたものとして検出する。
(打球検出処理)
図8(a)〜(c)は、それぞれ、スイング時、歩行時、ランニング時に加速度センサ112が出力したX、Y、Z各軸方向の加速度の値の変化を示すグラフである。各グラフのデータを取得したときのサンプリング周波数は30Hzであり、グラフ中の縦軸は加速度の値(G値)、横軸はサンプリング数である。また、図8(a)にはアドレス、テイクバック、およびダウンスイングからフォロースイング(グラフ中では単に「スイング」と記載)に対応する部位を明示している。これらのグラフに示されるように、ダウンスイングからフォロースイングにかけては、歩行時やランニング時と比較しても極めて大きな加速度が発生する傾向があることを発明者等は見いだした。また、アドレス時には歩行時やランニング時と比較して、加速度の振幅が小さくなる傾向があること、および、ダウンスイングからフォロースイングにかけての加速度が個人差、スイングの強弱、クラブの番手等によりバラつくのに対しアドレス時及びテイクバック時の加速度にバラつきが少ない傾向があることを特に発明者等は見出した。これらの傾向を踏まえ、制御部115は、各軸方向の加速度の絶対値が一定時間(例えば1秒)以上継続して第1の閾値(例えば2G)以下となった時にアドレスに入ったと認識し、その直後(例えば3秒以内)に各軸方向の加速度の絶対値が所定の閾値(例えば4G)を超えたときにダウンスイングからフォロースイングがあったと認識する。このようにアドレスとダウンスイングからフォロースイングとの組み合わせによりスイングを判別することで、スイング検出の確度を高めることができる。
記録装置10では、上記の打球検出処理を行い、打球を検出したことに応じて各種の処理を実行する。
〔第1実施形態の再生装置〕
図9は、再生装置20の構成を示すブロック図である。本実施形態では、再生装置20として、一般的なパーソナルコンピュータを用いる。再生装置20は、再生装置20内の他の構成要素の制御を行う制御部210と、制御部210が実行するプログラムや記録装置10から取り込んだデータ等を格納する記憶部220と、音声データを再生するための音声再生部230と、外部の機器との間でデータや命令等の送受信を行うための入出力インタフェース240と、表示部に相当するディスプレイ250と、入力手段としてのキーボード261およびマウス262を備えている。
記憶部220はハードディスクやSSD等の記憶装置であり、記録装置10の記憶部117より容量が大きいものである。記憶部220は、制御部210による制御を規定するプログラム、当該プログラムで用いるデータ、ゴルフ場の所在地やコースについてのデータ(例えば各ホールのコースレイアウト、ゴルフ場のグリーンやバンカー等コース上のハザードの位置)等を含むゴルフ場情報、プレーのスコアや練習記録を格納したデータファイル、スコアや練習記録を統合して管理するデータベースであるスコアブック、比較するスイングを記録したスイング比較リスト等を格納する。
制御部210は、CPU、RAM等のメモリ及び各種の周辺回路等を備え、記憶部220に記録されたプログラムを実行することで、以下で説明する各種の処理を実行し、各種の機能を実現する。
音声再生部230は、DA変換器、スピーカ等により構成され、制御部210による制御の下、記憶部220に格納された音声データを再生する。入出力インタフェース240は、種々の外部機器と有線または無線により接続し通信をするためものであり、記録装置10のminiUSB端子150とケーブルを介して接続するために少なくともUSB端子を備えている。
以下、再生装置20で実行する再生用アプリケーションプログラムを使用してユーザUがプレーの記録を振り返るときの使用方法を、ディスプレイ250に表示される画面の例を参照しつつ説明する。ディスプレイ250の表示は制御部210が実行する制御に基づくものである。このディスプレイ250の表示制御を含め、以下の説明において主体が明記されていない処理は制御部210の制御によるものである。
(スコアの取り込み)
再生用アプリケーションプログラムは、実際のゴルフコースで記録したスコアや練習記録をスコアブックと呼ぶデータベースにて管理する。記録装置10のフラッシュメモリ117aに格納されたデータファイルを再生装置に取り込み、スコアブックにスコアや練習記録を登録すると、記録装置10で記録したスコアや練習記録を再生装置20の再生用アプリケーションプログラムで表示できるようになる。
記録装置10のフラッシュメモリ117aに格納されたデータファイルを再生装置20に取り込むには、再生装置20の入出力インタフェース240と記録装置10のminiUSB端子150とをUSBケーブルで接続する。そしてこの状態で、データ取込用のアプリケーションを用いてデータファイルを取り込み、記憶部220内に予め定められたスコア格納領域に格納する。
続いて、取り込んだデータファイルに記録されているスコアや練習記録を再生用アプリケーションプログラムで表示できるように、以下の手順でスコアブックに登録する。まず、ユーザUの再生用アプリケーションプログラムの起動操作に基づき再生用アプリケーションプログラムを起動する。再生用アプリケーションプログラムによる処理によって、図10に示したスコアブック画面を表示する。スコアブック画面は、既にスコアブックに登録されているスコアや練習記録を一覧表示する登録一覧領域R1と、操作ボタンやスコアレポートを表示するサイドバー領域R2とを含んでいる。サイドバー領域R2は、操作のためのインタフェースやスコアブックに登録済みのスコアの統計値や推移をまとめたスコアレポート等を表示するための領域である。サイドバー領域R2に、新たにスコアや練習の記録を登録するための登録ボタンB1とスイングを比較するためのスイング比較ボタンB2とを含んでいる。
スコアブック画面の登録一覧領域R1には、これまでに登録したスコアや練習記録を一覧表示する。スコアおよび練習記録は、ユーザUの選択に基づき、登録順、ラウンド順、スコア順、及びコース名順に、ソート可能となっている。登録一覧領域R1に表示するスコアとしては、合計スコア、ゴルフコース名、ラウンド日、天気、および風の情報を表示する。また、登録一覧領域R1に表示する練習記録としては、スコアと区別するためのアイコン、練習場名、ラウンド日、天気、および風の情報を表示する。一覧表示した各スコアに対して、それぞれスコア閲覧ボタンB3を設け、各練習記録に対しては、それぞれ練習結果閲覧ボタンB4を設ける。スコア閲覧ボタンB3がクリックされると、スコアの詳細を確認したり編集したりするためのスコアカード画面を表示する。また、練習結果閲覧ボタンB4がクリックされると、練習場で記録した加速度データを確認するための練習結果画面を表示する。このように、実際のゴルフコースで記録したスコアと練習記録とを1つのリスト内に混在させて一覧表示するとよく、練習記録とを区別可能に一覧に表示するとよい。
スコアブック画面の登録ボタンB1がクリックされるとファイル選択画面を表示して、スコア格納領域に格納したデータファイルをユーザUが選択できるようにする。ユーザUがデータファイルを選択すると、当該選択したデータファイルに記録されているスコアや練習記録を新たにスコアブックに登録し、当該選択したデータファイルのヘッダ部および打球レコードに記録された内容をスコアブック画面に表示する。
(スコアの表示)
図11は、スコアブック画面におけるスコア閲覧ボタンB3がクリックされたときに表示するスコアカード画面の一例を示している。スコアカード画面での表示情報は、クリックされたスコア閲覧ボタンB3に対応するスコアに対応するスコアのデータファイルから読み出して表示する。スコアカード画面は、概要領域R3と、ホール一覧領域R4とを含んでいる。概要領域R3とホール一覧領域R4は、スコアブック画面における登録一覧領域R1に重ねて表示する。概要領域R3の上端部にはスコアブックタブT1とスコアカードタブT2を表示する。スコアブックタブT1は概要領域R3の背景と異なる色で表示するとともに、スコアカードタブT2は概要領域R3の背景と同じ色で表示する。これにより、スコアカード画面が表示されていることをユーザUが容易に認識できるようになる。スコアブックタブT1がクリックされるとスコアカード画面からスコアブック画面に戻る。概要領域R3には、合計スコア、ゴルフコース名、ラウンド日、天気、および風の情報を表示する。ホール一覧領域には、ホール毎のパー数、スコア(すなわち当該ホールでの総打数)、パット数、ユーザUが任意で編集可能なメモ、および軌跡情報表示アイコンB5等を表示する。パット数についてはスコアの下に括弧書きで表示する。軌跡情報表示アイコンB5としては、当該ホールのコースマップのサムネイル画像を表示する。図11に示すように、スコアカード画面は、概要領域R3と、ホール一覧領域R4の他、スコアブック画面におけるものと同様のサイドバー領域R2を含む。
軌跡情報表示アイコンB5がクリックされると、図12に示したように、概要領域R3およびホール一覧領域R4の右にサイドバー領域R2に重畳して、コースマップ領域R5を表示し、ホール一覧領域R4の下方に加速度データ領域R6を表示する。コースマップ領域R5には、当該ホールのコースマップとともに、記録された打球位置および打球位置を打球順に結んだ直線を表示する。打球位置は例えば、スコアマップ上の打球位置から引出し線を引出し、その引出し線の端部に隣接して打数を表示することにより表示する。このようにすれば、ユーザUは、ゴルフ場のコースレイアウトともに打球位置を把握することができ、プレーを振り返ることを容易にすることができる。
加速度データ領域R6には、各打球位置に対応する加速度データの時間的変化を示す波形を左から順に1打目から並べて表示する。本例では、加速度データの時間的変化を示す値として加速度センサの各軸間の加速度値の差の絶対値を合計した値(|X−Y|+|Y−Z|+|Z−X|)を用いる。このような構成により、ユーザUは、打球位置とともに加速度データの時間的変化を示す波形を視認できるので、プレーを振り返る際に個々のスイングの細部を思い出すことが容易となる。そして加速度データの時間的変化を分析することにより、スイングの速度、リズム、トップ位置での静止時間等のスイングの内容、例えばクリーンヒット、ダフり、トップ等のインパクトの質についての情報を得ることができる。また、表示されている打球位置が正しいか否かの判断材料として加速度データの波形を用いることができる。また、波形を並べて表示することにより、複数のスイングを比較しつつプレーを振り返ることが容易となる。各波形は互いに間隔を空けて表示する。このようにすれば、ユーザUは各スイング時の波形を区別して視認しやすくなる。各波形の表示の上には打数を示す数字と後述するスイング比較機能における比較対象とする波形を選択するためのチェックボックスBX1を表示する。また、各波形の下には打球を削除するための削除ボタンB6を表示し、各波形の左右には、打球を追加登録するための追加ボタンB7を表示する。加速度データ領域R6の右下端部には、追加や削除等をした修正後のスコアや打球位置をデータファイルに記録するための登録ボタンB8を表示する。
コースマップ領域R5に表示される打球位置の表示と当該打球位置で記録された加速度データの波形とは、打数に対応する共通の数字を付すことにより関連付けて表示する。また、加速度データ領域R6に並べて表示された波形のうちの一つがクリックされると、コースマップ領域R5において当該加速度データに対応する打球位置を他の打球位置よりも目立つように(例えば図13に示したように、太字かつ下線を付して)表示する。このようにすれば、ユーザUは、加速度データの時間的変化を示す波形を視認して、その中からクリックにより指定した部分に対応する位置情報を素早く知ることができる。反対に、コースマップ領域R5の打球位置の表示のうちの一つがクリックされると、加速度データ領域R6において当該打球位置に対応する加速度データの波形を他の波形よりも目立つように(例えば図13に示したように、太枠で囲んで)表示する。このようにすれば、ユーザUは、指定された打球位置での加速度データを素早く視認することができるようになり、スイングの振り返りを容易とすることができる。また、推定した打球位置を個別に無効とすることができる構成においては、ユーザは打球位置の候補に対応する波形を素早く特定することができ、判断に要する時間を抑制することができる。
また、加速度データの波形や打球位置の表示がクリックされると、これらに対応付けられている音声データを音声再生部230にて再生し出力する。このような構成により、ユーザUはスイング時の加速度データの波形を見るだけでなくスイング時の音声を聞くことができるようになり、スイングの振り返りをさらに容易とすることができる。また、打球音の有無により正しい打球位置か否かの判断の確度を高めることができる。
ここで、図12は、記録装置10から取り込んだデータを編集・修正する前の状態の一例を示している。記録装置10で記録したデータには、上述した打球検出機能により打球が検出された場所の位置情報が打球位置として記録されている。記録装置10では、打球検出に誤りがある可能性があり、不要な打球位置が記録されていたり、必要な打球位置が記録されていなかったりといったことが起こり得る。このため、記録装置10から取り込んだデータをそのまま利用して表示しても、表示されるスコアは必ずしも正確なものではない場合がある。そこで、再生装置20では、コースマップ領域R5および加速度データ領域R6への操作により、スコアや打球位置を修正可能としている。
図12に示した例では、2番ホールのスコアは4、パット数は0となっている。これは記録装置10で記録したデータとしては2番ホールでトータル4打がカウントされ、そのうちパットは1打もカウントされていないことを意味する。以下では、記録装置10にて記録したデータを、プレー時に紙のスコアカードに記録した実スコアであるトータル5打、2パットに合うように修正する場合を例に説明する。
まず、図12に示した例では、3打目と4打目の打球位置が同地点となっている。この3打目が素振りを打球として誤って検出したものであるのでこの打球を削除する。3打目と4打目のどちらが素振りかが定かでない場合には、3打目と4打目に対応付けられた音声をそれぞれ再生し、打球音が聞こえた方を打球として残し、他方を削除するとよい。この場合、ユーザUは、加速度データ領域R6に表示された3打目の加速度データの下に設けられた削除ボタンB6をクリックする。当該削除ボタンB6のクリック操作を検出すると、3打目の打球を削除する。3打目を削除すると当初の4打目を3打目に繰り上げ、図14に示したように表示する。
続いて、図14における3打目の後に、パットである4打目と5打目を追加する。打球を追加するには、左から順に1打目から並べて加速度データを表示した加速度データ領域R6において、打球を追加すべき位置の追加ボタンB7をクリックする。3打目の後に打球を追加するには、3打目の加速度データの右に表示された追加ボタンB7をクリックする。この操作を認識すると、図15に示したように、加速度データ領域R6に4打目を追加する。この段階で、追加した4打目に関しては、加速度データの波形や位置情報が無いので、加速度データ領域R6には波形の代わりに打球位置登録ボタンB9を表示する。続いて、追加した4打目について、打球位置を登録するには、打球位置登録ボタンB9をクリックする。この操作を認識すると、打球位置の指定を待ち受ける状態となる。そして、この状態で、ユーザはコースマップ領域R5に表示しているコースマップの中で4打目の打球位置に対応する位置をクリックする。この操作を認識すると、クリックされた位置を4打目の打球位置としてコースマップ領域R5に表示するとともに、コースマップ内のクリックされた位置に対応する位置情報(例えば緯度・経度)を求める。加速度データ領域R6には、引き続き波形の代わりに打球位置登録ボタンB9を表示し、このボタンを押して上記の操作を繰り返すことで打球位置の修正を可能とする。
4打目と同様にして5打目を追加する。このようにして実際のプレー内容に整合してから、登録ボタンB8をクリックすることで修正後のスコアや打球位置にてデータファイルを更新する。スコアカード画面においても修正後のスコアを反映して、図16のようにプレー内容に整合した結果を表示する。
各波形の表示の上に表示したチェックボックスBX1をクリックすると、クリックするごとに選択と非選択が交互に切り替わる。図16の修正が完了した状態において、登録ボタンB8がクリックされると、追加や削除等をした修正後のスコアや打球位置を表示中のスコアに対応するデータファイルに記録するとともに、登録ボタンB8がクリックされたときのチェックボックスBX1の選択/非選択に応じてスイング比較リストを更新する。
(練習結果の表示)
図17は、スコアブック画面の登録一覧領域R1に表示した練習記録について、練習結果閲覧ボタンB4がクリックされたときに表示する練習結果画面の一例を示している。練習結果画面での表示情報は、クリックされた練習結果閲覧ボタンB4に対応する練習結果のデータファイルから読み出して表示する。練習結果画面では、記録装置10の練習場モードで記録したスイング時の加速度データの時間変化を示す波形を並べて一覧表示するとともに、画面の右上には登録ボタンB10を表示する。このとき視認し易さに配慮して、各波形は互いに間隔をあけて表示する。このようにスイング時の加速度の時間変化を示す波形を一覧表示することにより、練習時に記録したスイング時の加速度データの比較が容易となり、練習時のスイングを分析することを支援することができる。
各波形の表示の上には打数を示す数字と後述するスイング比較機能における比較対象とする波形を選択するためのチェックボックスBX2を表示する。チェックボックスBX2をクリックすると、クリックするごとに選択と非選択が交互に切り替わる。比較対象とする波形のチェックボックスBXを選択状態として登録ボタンB10をクリックすると、このチェックボックスBX2の選択/非選択に応じてスイング比較リストを更新する。また、各波形の下には打球を削除するための削除ボタンB11を表示する。ある波形の削除ボタンB11のクリック操作を検出すると、当該波形を削除する。
(スイングの比較)
スコアブック画面のスイング比較ボタンB2がクリックされると、図18に示したスイング比較画面を表示する。スイング比較画面では、スコアカード画面や練習結果画面でチェックボックス(BX1、BX2)にて選択することによりスイング比較リストに登録した複数のスイングの波形を対比して表示する。対比して表示する手法としては、波形を並べて表示する方法と波形を重ねて表示する方法を可能とする。スイング比較画面は、左にスイングに関する情報を表示する情報表示領域R7、中央部に加速度データの波形を表示する波形表示領域R8、右に各種のメニューボタンを表示するメニュー領域R9を備える。情報表示領域R7には、スイング比較リストに登録されている各スイングについての情報(例えば日時、ゴルフ場名や練習場名、ゴルフ場の場合はホール、打数、天気、風等)を表示する。また、諸条件の下に、波形を横軸(時間軸)方向に移動させるためのスクロールボタンB12と、重ねて表示する波形を選択するためのチェックボックスBX3を表示する。メニュー領域には、対比表示の方法を選択するためのボタンB13、スコアブック画面に戻るためのボタンB14、および表示する波形の縦軸を変更するためのレンジ変更ボタンB15を表示する。
図18は、並べて表示することを選択した時のスイング比較画面の一例を示している。画面中央部の波形表示領域R8には、情報表示領域R7に表示した各スイングの情報の右側に、スイング比較リストに登録されているスイングの波形を上下方向に並べて表示する。表示する波形の縦軸および横軸のスケールは共通とする。このようにすることでスイングの比較が容易となる。ユーザUは、スクロールボタンB12やレンジ変更ボタンB15を操作することで、複数の波形を比較しやすいように表示させることができる。また、重ねて比較したい波形については、情報表示領域の当該波形に対応するチェックボックスBX3をクリックして選択状態とする。
図19は、重ねて表示することを選択した時のスイング比較画面の一例を示している。画面中央部の波形表示領域R8には、情報表示領域R7のチェックボックスが選択状態となっているスイングの波形を同じ描画領域内に表示する。重ねて表示する波形の縦軸および横軸のスケールは共通とする。このようにすることで選択したスイングをより詳細に比較することが可能となる。情報表示領域R7のチェックボックスBX3をクリックして選択状態を切り替えることにより、重ねて表示する波形を増減することができる。ユーザUは、スクロールボタンB12やレンジ変更ボタンB15を操作することで、複数の波形を比較しやすいように表示させることができる。
このような比較表示により、ユーザUは選択した波形を詳しく比較することが可能となり、スイングの振り返りや分析を容易にすることができる。例えば、同じクラブでの打球で飛距離に差があったもの同士を比較したり、狙い通りの打球となったスイングと狙いから外れたと思われるスイングを比較したりすることが可能となる。その他、人工芝(例えば練習場)と天然芝(例えばゴルフ場)とでのスイングの比較、斜面と平坦地とでのスイングの比較、別の日のデータとの比較など、様々な条件での比較をすることが可能となる。また、ダフり、ターフ、クリーンヒット等のスイングの質を加速度データの波形を分析することにより比較・分析することができる。
以上で説明した再生装置20によれば、パーソナルコンピュータのようなディスプレイを備えた再生装置20により、ユーザUは、記録しておいたスイング時の加速度データと位置情報とを、プレー後に関連付けて認識することができるようになり、プレーを振り返ることを容易にすることができる。なお、記録装置10に含まれる表示部130で位置情報と加速度データとを関連づけて表示すると、プレーの妨げになりやすく好ましくない。
〔第2実施形態〕
本発明の第2実施形態は、第1実施形態と同様に、ユーザUが記録装置10を装着してゴルフをプレーすることによりデータを記録し、記録装置10によって記録したデータを、再生装置20に取り込んで表示・再生する。以下では、第2実施形態における記録装置10および再生装置20のそれぞれについて、第1実施形態と異なる部分を中心に説明する。
〔第2実施形態の記録装置〕
第2実施形態における記録装置10の外観および構成は、以下で説明する記憶部117の構成および記憶部117へデータを格納するための制御を除き、図2および図4に示した第1実施形態の記録装置10と同様である。
第2実施形態の記録装置10では、制御部115は、加速度データにより打球を検出したか否かに関わらず、プレー開始からプレー終了までの間継続して、GPS受信機111が出力する位置情報、加速度センサ112が出力する加速度データ、および音声取得部113が出力する音声データを記憶部117に格納するよう制御する。記憶部117は、プレー開始から終了までの各データを格納できる十分な容量が必要となるが、書き換え可能回数が多いRAM等を混在させた構成とする必要は無い。なお、各データの記録は打球検出とは無関係に継続的に行われるが、打球検出処理を利用して行われる各ホールでの打数カウントは第1実施形態と同様に実行する。
記憶部117にプレーの記録として格納するデータファイルは、ヘッダ情報と、ホールレコードとを含んでいる。ヘッダ情報とてしは、ゴルフコース名、ラウンド日時、天気、および風等の情報を含む。ホールレコードとしては、ホール数に応じた数のレコードを含む。個々のホールレコードは、当該ホールで打球検出処理により検出した打数をカウントして得たスコア、当該ホールでのプレー中にGPS受信機111が出力した一連の位置情報、当該ホールでのプレー中に加速度センサ112が出力した一連の加速度のデータ、当該ホールでのプレー中に音声取得部113にて取得した一連の音声データを含む。
また、練習の記録として格納するデータファイルは、ヘッダ情報と、練習レコードとを含んでいる。ヘッダ情報としは、練習場名、練習日時、天気、および風等の情報を含む。練習レコードは、練習中にGPS受信機111が出力した一連の位置情報、練習中に加速度センサ112が出力した一連の加速度のデータ、練習中に音声取得部113にて取得した一連の音声データを含む。
以下、ゴルフ場モードおよび練習場モードにおける記録装置10の動作に関し、制御部115が実行する制御を説明する。なお、以下の説明において主体が明記されていない処理は制御部115の制御によるものである。
ゴルフ場モードでは、プレー開始の操作を認識してから、プレー終了の操作を認識するまで、または最終ホールのグリーンから離れたことを認識するまでの間、各データを記憶部117に格納する。このとき、GPS受信機111が出力する位置情報と記憶部117に格納されているゴルフ場情報とに基づいてプレー中のホールを判別し、ホール毎に、当該ホールのスコア、一連の位置情報、一連の加速度のデータ、一連の音声データを含むホールレコードをデータファイルの一部として記憶部117に格納する。
また、練習場モードでは、練習開始の操作を認識してから練習終了の操作を認識するまでの間、練習レコードをデータファイルの一部として記憶部117に格納する。なお、練習場モードではゴルフ場モードにおけるよりも高いサンプリング周波数(例えば100Hz)で加速度データをサンプリングし、スイングの詳細の分析が可能な加速度データを記録する。加速度データのサンプリング周波数を高めることで単位時間当たりのデータ量が増加して記録可能な時間が短くなるが、練習場での練習時間はゴルフ場でプレーする時間よりも短いことが通常であるので、加速度の詳細なデータを記録しつつ十分な記録時間を確保することができる。
上述のように打球を検出したか否かに関わらず位置情報を記録することにより、ゴルフ場でのプレー中の位置情報を継続的に記録しておくことができる。そして、打球が検出できなかった場合に、この記録した位置情報を参照して打球位置を追加・編集することができる。また、打球を検出したか否かに関わらず加速度データを記録することにより、後述する第2実施形態の再生装置において加速度データを解析しても打球位置を推定できない場合であっても、この記録した加速度データを参照してユーザUが手動で打球位置を追加・編集することを補助することができる。また、打球を検出したか否かに関わらず音声データを記録することにより、この記録した音声をもとに打球時以外の状況や会話を振り返ったり、慣性力によって打球が検出できない場合に音声に基づいて打球位置を追加・編集したりすることができる。
〔第2実施形態の再生装置〕
第2実施形態における再生装置20の構成は、以下で説明するスコアカード画面および練習記録画面の表示や操作を除き、第1実施形態の再生装置20と同様である。
記録装置10に格納されたデータファイルを再生装置20に取り込む方法、スコアや練習結果を登録する方法等は第1実施形態と同様なので説明を省略する。スコアを登録後のスコアブック画面においてスコア閲覧ボタンB3がクリックされると、スコアの詳細を確認したり編集したりするためのスコアカード画面を表示する。また、練習結果閲覧ボタンB4がクリックされると、練習場で記録した加速度データを確認するための練習結果画面を表示する。
(スコアの表示)
第2実施形態のスコアカード画面は、第1実施形態と同様の概要領域R3と、ホール一覧領域R4とを含んでいる。ホール一覧領域R4に表示される軌跡情報表示アイコンB5がクリックされると、図20に示したように、概要領域R3およびホール一覧領域R4の右にコースマップ領域R5を表示し、下部に加速度データ領域R6を表示する。なお、概要領域R3、ホール一覧領域R4等に表示する初期状態のスコアの数値としては、データファイルのホールレコードに記録された各ホールのスコアに基づく値を表示する。
コースマップ領域R5には、当該ホールのコースマップとともに、データファイルのホールレコードに記録された一連の位置情報の推移を示す破線、打球位置および打球位置を打球順に結んだ直線を表示する。なお、本実施形態では、記録装置10で記録したデータには、打球検出機能により打球が検出された場所の位置情報が特定できるようには記録されていない。そこで、再生装置20の制御部210が、以下のようにして打球位置を推定する。まず、記録装置10から取り込んだ加速度データを解析して、ホール内でスイングしたときの加速度の変化を識別する。そして識別されたスイング時の時刻を打球時刻として記憶部220に記録する。1つのホール内で複数のスイングが検出される場合には、複数の打球時刻が記録される。また、打球時刻に対応する位置情報を特定し、その位置を打球位置と推定する。
加速度データ領域R6には、当該ホールのホールレコードに含まれる一連の加速度データを、縦軸を加速度データに基づく値、横軸を時刻とした波形として表示する。本実施形態の記録装置10は、ホール毎に当該ホールでのプレー中に加速度センサ112が出力した一連の加速度データを記録するため、表示する波形は1つである。このようにすれば、コースを回った際の過程を容易に振り返ることができる。表示した波形の上部には、打球したと推定される時刻に対応する位置に打数を示す数字を表示する。波形の右下には、打球を追加登録するための追加ボタンB16、打球を削除するための削除ボタンB17、および追加や削除等した修正後のスコアや打球位置をデータファイルに記録するための登録ボタンB18を表示する。また、加速度データ領域R6に表示した波形がクリックされると、当該ホールで記録した音声データを、クリックされた位置に対応する時刻から再生する。これによりユーザはクリックした位置に対応する時刻に録音した音声を聞くことができる。
加速度データ領域R6の波形の任意の箇所へのクリック操作を認識すると、図21に示したように、クリックされた位置を通る垂直な破線(以下ではこの破線をカーソルC1という)を表示する。そして、コースマップ領域R5に表示したコースマップにおける当該カーソルC1に対応する時間にGPS受信機111が出力した位置にアイコンICを表示する。これにより、ユーザUは、波形の中で指定する箇所に対応する位置を、コースマップ上で容易に確認することができる。キーボードの左/右キーを押下されると、カーソルC1は押下されたキーに応じて左または右に移動する。カーソルC1の移動に伴ってコースマップ上でのアイコンの表示位置を更新する。
ここで、図20は、記録装置10から取り込んだデータを再生装置20の制御部210が解析して打球位置を推定し、編集・修正する前の状態の一例を示している。制御部210による解析では、打球の識別に誤りがある可能性があり、不要な打球位置が含まれていたり、必要な打球位置が識別されていなかったりといったことが起こり得る。このため、推定した打球位置をそのまま利用して表示しても、表示されるスコアは必ずしも正確なものではない場合がある。そこで、再生装置20では、コースマップ領域R5および加速度データ領域R6への操作により、スコアや打球位置を修正可能としている。
図20に示した例では、2番ホールのスコアは4、パット数は0となっている。これは制御部210が解析して推定した打球としては2番ホールでトータル4打が推定され、そのうちパットは1打も推定されていないことを意味する。以下では、記録装置10にて記録したデータを、プレー時に紙のスコアカードに記録した実スコアであるトータル5打、2パットに合うように修正する場合を例に説明する。
まず、図20に示した例では、3打目と4打目の打球位置が同地点となっている。この3打目が素振りを打球として誤って検出したものであるのでこの打球を削除する。3打目と4打目のどちらが素振りかが定かでない場合には、加速度データ領域R6に表示されている波形の3打目付近と4打目付近をクリックして、3打目および4打目の前後に記録された音声をそれぞれ再生し、打球音が聞こえた方を打球として残し、他方を削除するとよい。この場合、ユーザUは、まず削除ボタンB17をクリックする。当該削除ボタンB17のクリック操作を認識すると、削除すべき打球の指定を待ち受ける状態となる。この状態で、加速度データ領域の波形の上に表示された3打目の数字のクリック操作を認識すると、3打目を削除すべき旨の指定と認識して3打目の打球を削除する。3打目を削除すると当初の4打目を3打目に繰り上げて表示する。
続いて、上記修正後の3打目の後に、パットである4打目と5打目を追加する。打球を追加するには、まず追加ボタンB16をクリックしてから、波形の打球に対応する位置をクリックする。まず、追加ボタンB16のクリック操作を認識すると、打球を追加すべき時刻の指定を待ち受ける状態となる。この状態で、加速度データ領域R6の波形における、4打目の打球に対応する箇所へのクリック操作を認識すると、クリックされた位置に対応する時刻での打球追加が指定されたものと認識する。そして、この指定された時刻よりも前の最後の打球が3打目であることから、追加する打球を4打目とする。また、指定された時刻よりも後に打球がないことからこの例では特に処理を行わないが、後に打球がある場合には、以後の打数を1ずつ増加させる。加速度データ領域R6の波形の上部に、修正後の打球時刻に対応する位置に打数を示す数字を表示する。また、指定された時刻に対応付けられた位置情報を特定し、追加した打球の打球位置としてコースマップ領域R5に表示する。同様の操作で4打目の次に5打目を追加する。
また、記憶部220に格納しているゴルフ場情報に基づいてグリーン内での打球位置を特定し、グリーン内での打数をパット数としてスコア表示する。その後、登録ボタンB18のクリック操作を認識すると、修正後のスコアや打球位置にてデータファイルを更新する。このようにして、図22のようにプレー内容に整合した結果を表示する。
(練習結果の表示)
図23は、スコアブック画面の登録一覧領域R1に表示した練習記録について、練習結果閲覧ボタンB4がクリックされたときに表示する練習結果画面の一例を示している。練習結果画面は、概略表示領域R10と詳細表示領域R11を含む。概略表示領域R10には、記録装置10の練習場モードで記録した一連の加速度データの時間変化を示す波形を表示する。また、概略表示領域R10には波形の一部を囲む枠(以下ではこの枠をカーソルC2と呼ぶ)を表示する。概略表示領域R10の波形内の位置がクリックされると、カーソルC2をクリックした位置に移動する。そして、詳細表示領域R11には、概略表示領域R10のカーソルC2で囲まれた範囲に対応する波形を拡大して詳細に表示する。その他、詳細表示領域R11には、スコアブック画面に戻るためのボタンB19、波形を移動させるためのスクロールボタンB20、および波形の縦軸を変更するためのレンジ変更ボタンB21を表示する。ユーザUは、概略表示領域R10の波形をクリックして、詳細表示領域R11に表示する波形の範囲を概略的に指定すると共に、スクロールボタンB20およびレンジ変更ボタンB21を操作することで、波形を見やすいように表示させることができる。このようにすれば、練習中に記録したスイングの加速度の時間変化を概略的に把握すると共に詳細についても確認することができ、練習時のスイングを分析することを支援することができる。また、単なるスイングの分析ができるだけなく、練習の全過程を容易に振り返ることができる。
〔実施形態の変形例〕
なお、本発明は、上記の各実施形態に限定されるものではなく変形、改良等は本発明に含まれる。
例えば、上記の実施形態では、記録装置10が備える装着部材の一例として記録装置10を腕時計のように手首に装着するためのバンドを用いる場合を例に説明したが、装着部材は、スイングに伴って動く部位に装着することができればいかなるものでもよい。例えば、グローブや帽子などの一部を挟むことにより取り付けるクリップ状の部材等としてもよい。
また、装着部材を装着する「スイングに伴って動く部位」として、上記の実施形態では、手首を例に説明したが、スイングをするときに決まった動きをする部位であれば手首に限定されない。例えば、手の甲、頭部、腰等としてもよい。手首や手の甲はスイング時における動きの速度及び量が肩、腰、頭等の近傍と比較して大きいため、慣性力を検出し易く特に好ましい。
また、上記の実施形態では、ユーザUが1つの記録装置10を片方の手首に装着する場合を例に説明したが、ユーザが複数の装置を部位に装着し、複数の部位の慣性力を検出したり記録したりするようにしてもよい。この場合、複数の部位の慣性力は、同期して検出および/または記録をするとよい。また、記録した複数の部位の慣性力を、再生装置20にて時間的変化を示すグラフ等として表示するとよい。同期して検出および/または記録することにより、スイングを判別確実に判別することが可能となる。複数の部位としては、例えば両手首(あるいは手にはめるグローブ)、帽子、靴、ベルト等とするとよい。例えば、手首と帽子の鍔に記録装置を装着して同期して加速度を記録することにより、スイング時の頭のぶれを把握することができ、フォームの矯正に活用することができる。
また、上記の実施形態では、位置情報検出器としてGPS受信機を用いる場合を例に説明したが、位置情報検出器は、ゴルフコース内での位置を特定できる装置であればGPS受信機に限らずいかなる物を用いてもよい。
また、上記の実施形態では、慣性センサとして加速度センサを用いる場合を例に説明したが、慣性センサはスイングに伴う慣性力の値を出力できるセンサであればこれに限定されず、例えばジャイロセンサ等としてもよい。慣性センサが備える軸の数は2つ以上であることが好ましく、3つとすると特によい。加速度センサの3軸の向きは上記実施形態にて例示した向きには限定されない。歩行時や走行時など、スイングしていないときでも加速度に変化は生じるが、スイング時には3軸が同時に反応するのでスイングを判別することが容易となる。慣性センサの出力値は、複数の方向の出力値をベクトル成分とする合成ベクトルの変化の履歴として記憶部に格納し、当該合成ベクトルの変化のパターンに基づきゴルフスイングに伴う慣性力を識別すると特によい。再生装置において合成ベクトルの三次元表示を可能とすれば、ユーザがスイングをしたか否か等を判断したり、スイングの質等の情報を得たりすることをさらに容易にすることができる。
上記の実施形態では、加速度センサの軸方向を図3に示したように設定したが、軸の方向はこれに限定されない。「スイング検出と打球検出の第2例」のようにしてテイクバックを判別する場合には、アドレス時からテイクバック時になる過程で、ゼロクロスして符号が反転する軸が2軸あるように各軸の方向を設定すると良く、その2軸の値はテイクバック時に近い値となるように両軸の方向を設定するとよく、テイクバック時にそれ以外の1軸の値が他の2軸と近い値になるように設定するとよい。
上記の第1実施形態では、記憶部117が、書き換え可能回数が比較的少ないが大容量化が容易なフラッシュメモリ117aと書き換え可能回数が多いが大容量化が困難であるRAM117bとを備え、RAM117bを一時記憶部として利用する場合を例に説明したが、記憶部117の構成はこれに限らない。例えばEEPROMのような大容量かつ書き換え可能回数が多い記憶媒体を記憶部117として採用し、当該記憶媒体の一部の領域を一時記憶部として利用してもよい。
波形ごとに付加情報(例えば、メモ、クラブの番手、ゴルフ場、ホール、何打目、スイングの質(例えば、ベストショット、クリーンヒット、ダフり、トップ、等)、風、天気、日付、飛距離等)を対応付けて記録するように構成してもよい。これらの付加情報を再生装置のスコアカード画面や練習結果画面等で表示するようにするとさらによい。このようにすれば、プレーや練習を振り返ることが容易となる。
また、上記の実施形態での打球検出処理は、アドレス時とダウンスイングからフォロースイングとの組み合わせによりスイングを判別したが、打球検出処理の実現方法はこれ説明したものに限らない。
打球検出処理の第1の変形例としては、例えば、テイクバック時の加速度を判別してスイングを検出するようにするとよい。アドレス時の加速度の傾向はプレーヤ毎に様々に異なる(たとえばアドレス時に足踏みをして揺する癖があるなど)場合があるが、テイクバック時の加速度の傾向のばらつきは比較的小さいので、スイング検出の確度を高めるために利用することができる。
図8に示されるように、実施形態の中で説明したように加速度センサ112の軸方向が設定されている場合には、テイクバック時には3軸の加速度データがすべて正の値になり、かつ3軸の値が互いに近くなる傾向があることを発明者等は見いだした。このような傾向は歩行時や走行時には見られず、スイングを判別するのに適していると考えられる。そこでこの傾向を踏まえ、制御部115は、各軸間の加速度値の差の絶対値を合計した値(|X−Y|+|Y−Z|+|Z−X|)を算出し、得られた値が一定時間(例えば1秒)以上継続して第3の閾値(例えば1G)以下となった時にテイクバックであると認識するとよい。
スイング検出の手順としては、加速度の絶対値が所定の閾値(例えば4G)を超えたときにダウンスイングからフォロースイングがあったと推定し、ダウンスイングを始める直前にテイクバックが有ったか否かを判別するとよい。そして、テイクバックが無かった場合にはスイングではないと扱う一方、テイクバックがあった場合にはさらにテイクバックの直前にアドレスがあったかを判別し、アドレスが無かった場合にはスイングではないとして扱う一方、アドレスがあった場合にはスイングであったとして扱うとよい。このようにして、アドレス、テイクバックを経てダウンスイングからフォロースイングの動作が行われた場合にスイングである判別することで、スイング検出の確度を高めることができる。そして、スイングを検出した後、上記の実施形態と同様にして打球の判別を行うとよい。
第1の変形例により打球検出処理を行う場合、アドレスに相当する加速度のパターンが検出された場合に、加速度データの記録を開始するようにするとよい。この場合、あらかじめ個人ごとにアドレス時の3軸の加速度データのパターンを取得しておき、そのパターンと所定の一致度合いがあるパターンが検出された場合に記録を開始する構成とするとよい。記録の終了は例えば記録開始から所定の時間(例えば10秒)としてもよい。
打球検出処理の第2の変形例としては、テイクバック時は、3軸の加速度のパターンが個人ごとに比較的同じようなパターンとなることを利用し、この各人で共通するテイクバック時のパターンがあった場合にスイングがあったと判定するようにしてもよい。例えば、各軸間の加速度値の差の絶対値を合計した値(|X−Y|+|Y−Z|+|Z−X|)を算出し、得られた値が一定時間(例えば1秒)以上継続して第3の閾値(例えば1G)以下となった時にテイクバックであると認識するとよい。
その他、スイングの検出に関して、アドレス、テイクバック、ダウンスイング、インパクト、フォロースイングという一連の動作の全体または一部について、プレーヤ毎に加速度の変化のパターンを予め登録しておき、登録してあるパターン(各動作についての3軸の値と継続時間、あるいは、波形パターン)にマッチする(例えば、一致度や相関値が所定の閾値以上である)ときに登録に対応した動作がなされたと判断してもよい。
また、複数の打球検出処理の方法(例えば上記の実施形態、第1および第2の変形例等)をメニュー画面から選択できるように構成しておき、選択された打球検出処理の方法で打球検出処理するように構成するとよい。
また、上記の実施形態や第1および第2の変形例の方法によって加速度データに基づき検出したスイングには、素振りなどのように実際にはボールを打っていないものも含まれ得る。記録装置10の制御部115は、このような実際にはボールを打っていないスイングを、音声データや位置情報等を利用して球の推定から除外する処理をさらに行うことが好ましい。例えば、制御部115は、スイングを認識したタイミングを含む時間範囲について、音声取得部113が取得した音声データを解析し、打球音が記録されていた場合に打球がなされたと認識するとよい。
また、ゴルフでは打球の直前に騒いではならないというマナーがあることを利用し、所定の音量以下の音声データである場合にスイングの直前であると推定してもよい。また、スイング時にはユーザUは静止するので、位置情報の変化が大きいときには、スイングに相当する加速度を検出してもスイングであると判定しないようにしてもよい。なお、静止していてもGPSの誤差等により出力される位置情報は変動し得る。このため、静止しているか否かの判定については、再生装置20でコースマップを表示したときにマップ上で位置がずれていると気づかない程度の範囲に収まっている場合に静止していると判定するとよい。
また、上記の実施形態では、スイング時のテイクバック動作の判定において、3軸の加速度データがすべて正の値になり、かつ3軸の値が互いに近くなる傾向があることを判別しやすくするために、軸間の加速度値の差の絶対値を合計した値(|X−Y|+|Y−Z|+|Z−X|)を算出してこの値が一定時間以上継続して閾値以下となることを判定の基準としたが、判定のために用いる値はこれに限定されず、3軸の値が同程度になったことを感度よく検出できる指標をとなればいかなる値を用いてもよい。
また、上記の実施形態では、スイング時のダウンスイングからフォロースイングにかけての動作の判定において、3軸の加速度の値から大きな加速度を強調できる値を求めて、この値をスイングの判定に利用してもよい。このような値として、例えば、3軸の加速度のそれぞれの絶対値の和(|X|+|Y|+|Z|)を用いるとよい。大きな加速度を強調することにより、ノイズと切り離してスイングを判定(素振りでも)することができる。
上記の実施形態において、消費電力を抑制すべく、アドレスに入ったと認識するまでの待機状態では、加速度センサ112のサンプリング周波数を低くし、アドレスに入ったと認識すると所定時間(例えば10秒間)サンプリング周波数を高めるよう制御するとよい。アドレスに入ったと認識した後のサンプリング周波数は、動作モードによって異ならせてもよい。具体的には、待機状態でのサンプリング周波数を15Hzとし、アドレスに入った途認識すると、ゴルフ場モードではサンプリング周波数を30Hz、練習場モードでは100Hzとする。このような制御により、消費電力を抑制しつつ、各モードにおいて必要なサンプリング周波数で加速度データを記録することができる。
また、上記の実施形態では、ゴルフ場でのプレー中に打球位置の登録操作を一切行わない構成を例に説明したが、操作ボタンを操作することにより、GPS受信機111が出力する現在位置を手動で打球位置として登録できるようにしてもよい。この場合、記録装置10は、スピーカやバイブレータを備え、スイングや打球を検出したときに、音や振動によって手動での打球位置登録をユーザUに促すよう構成してもよい。
また、上記の実施形態では、加速度データに基づきスイングを検出した地点でなければ打球位置とならない打球位置の検出方法であったが、加速度データではスイングに相当する変化がない地点についても位置情報や音声データに基づき打球位置の候補とするように構成してもよい。弱いスイングやパットでは加速度データからスイングを検出できないことが起こりうるが、例えば、打球をする際には一地点に留まることや音声が静まる傾向があることを利用して、打球位置の候補を増やすことができる。
また、上記の第2実施形態では、記録装置10ではスイングや打球を検出したときの位置や時間に関する情報を記録していないが、これらの一方または両方を記録するように構成してもよい。このようにすれば、再生装置20側で加速度データを解析せずとも打球位置を表示・再生することができる。
上記の実施形態では、加速度データを用いてスイングや打球の発生を検出したが、スイングや打球の発生だけでなく、記録装置または再生装置により加速度データを解析して、スイングに関する各種の情報(例えば、スイングの質、使用したクラブ等)を判別してもよい。また、判別した情報を加速度データと対応付けて記録し、表示するとよい。
上記の実施形態では、再生装置20としてパーソナルコンピュータを用いる場合を例に説明したが、再生装置はパーソナルコンピュータに限らず、タブレット、スマホなどでもよい。また、記録装置10から取り込んだデータを再生装置20の記憶部220に格納しておく代わりに、インターネット等のネットワークを介して接続された外部の機器(例えばいわゆるクラウド)にデータを格納するように構成してもよい。
また、上記の実施形態の再生装置では、スコアカード画面のコースマップ領域に、引出し線を用いて打球位置を表示したが、打球位置の表示方法はこれに限定されず、例えば打球位置にアイコンを表示する等としてもよい。
上記の実施形態の再生装置では、加速度データの時間的変化を示す値として加速度センサの各軸間の加速度値の差の絶対値を合計した値を表示したが、波形として表示する値はこの値に限定されない。例えば、3つの軸方向の加速度をベクトル成分とする加速度ベクトルの絶対値を求めてこの値を波形として表示するようにしてもよい。また、加速度データの時間的変化は、波形以外の表現により表示してもよい。例えば、図24に示したように、加速度データの時間変化を、3つの軸方向の加速度の値をベクトル成分とする合成ベクトルの軌跡として表示してもよい。図24は5回分のスイングを1つのグラフに3次元的に重ねて表示している。このように重ねて表示することで複数のスイングを比較することができきるが、見づらくなるという問題があるそこで図12、図17のように、重ねずに並べて表示すると特によい。また、図12、図17のように2次元のグラフとして表示するようにすると特によい。
上記の第1実施形態の再生装置では、スイング比較画面で対比表示する加速度データをチェックボックスにより選択するように構成したが、比較対象の選択操作はこれに限定されない。例えば、波形を画面内の所定の位置にドラッグアンドドロップすることにより比較対象としてスイング比較リストに登録するように構成してもよい。
また、上記の第2実施形態の再生装置でもスイング比較処理を可能に構成してもよい。例えば、スコアカード画面の加速度データ領域に表示する1ホール分の加速度データの中で、指定する範囲を、例えば1秒〜3秒単位で保存できるように構成し、保存した加速度データ同士を第1実施形態と同様にして比較できるようにするとよい。
上記の第2実施形態の再生装置では、1ホール分の波形の全体を表示し、当該波形中のクリックされた位置を通る垂直な破線として、カーソルC1を表示したが、他の態様で1ホール分の波形やカーソルを表示してもよい。例えば、1ホール分の波形における1回のスイングの波形が詳しく表示できる程度の範囲(例えば15秒間)を拡大して表示し、この拡大表示する範囲を横方向(時間軸方向)にスクロール可能に構成するとよい。このようにすることで、ユーザUはスイング時の波形の細部を視認することができる。そして、表示している波形の任意の箇所へのクリック操作を認識すると、クリックされた位置を含む1秒間の波形を囲む枠をカーソルとして表示するとよい。このカーソルC1で囲む時間範囲である1秒間はGPS受信機111のデータ更新周期に対応している。そして、コースマップ領域R5に表示したコースマップにおける当該カーソルC1に対応する時間にGPS受信機111が出力した位置にアイコンICを表示する。これにより、ユーザUは、波形の中で指定する箇所に対応する位置を、コースマップ上で容易に確認することができる。キーボードの左/右キーを押下されると、カーソルC1は、1秒単位で(つまりGPS受信機111による位置情報更新周期を単位として)、押下されたキーに応じて左または右に移動するとよく、カーソルC1の移動に伴ってコースマップ上でのアイコンの表示位置を更新するとよい。
従来の装置ではスコアの記録(打数)はできるが、プレー中に打球位置を登録する操作が必要であった。しかし、実際のプレー中は、紙のスコアカードを持ち歩き、そちらを主にスコアを記録することや、プレーに集中したり、一緒にラウンドする他のプレーヤと会話をしたり、周囲に気を配ったりすることにより、打球位置の登録忘れが頻発する。また、同じ場所で複数登録操作をしたり、登録し忘れを思い出して違う場所で登録操作をしたりすることもあり、記録したデータが使い物にならないこともある。このため、後でスコアのデータを見ても飛び飛びのデータしか残っておらず使い物にならないことが少なからずあった。また、記録に不備があると、OBになった、どこまで飛んだ、ミスをした、等の記憶をプレー後に振り返ることが容易ではない。特に、ミスが多いプレーヤは、どこのホールで何をやったのかを思い出すのが困難であり、後からプレー内容を振り返って分析したり反省したりすることが容易でない。本発明は、例えば上記のような従来の装置の課題に着目してなされたものである。
また、上記の第2実施形態の再生装置において、図20から図22のグラフ表示に替えてまたは図20から図22のグラフ表示に加えて図25のようなグラフ表示を行うようにしてもよい。このグラフは図20から図22のグラフから打球の可能性がある時間領域以外のデータを削除して打球の可能性がある時間領域を拡大して表示したものである。ユーザはこの拡大した波形が、図8に示したスイング時の一連の動作に対応する波形かを目視して確認することで、打球かどうかを判断することが容易にできる。
本願発明は上述した実施形態に記載の構成に限定されない。上述した各実施形態の構成要素は組み合わせ可能な範囲で任意に選択して組み合わせて構成するとよい。また各実施形態の任意の構成要素と、発明を解決するための手段に記載の任意の構成要素または発明を解決するための手段に記載の任意の構成要素を具体化した構成要素とは組み合わせ可能な範囲で任意に組み合わせて構成するとよい。