JP2021056494A - 光学部材、光学機器、撮像装置および光学部材の製造方法 - Google Patents

光学部材、光学機器、撮像装置および光学部材の製造方法 Download PDF

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Masaaki Nakabayashi
正明 中林
田中 博幸
Hiroyuki Tanaka
博幸 田中
雅哉 久松
Masaya Hisamatsu
雅哉 久松
真奈美 冨塚
Manami Tomizuka
真奈美 冨塚
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Abstract

【課題】 入射角度が大きくても反射率を低くでき、かつ、経年劣化や振動による特性変動のおそれが少ない光学部材を提供する。【解決手段】 アルミニウムまたはアルミニウム合金よりなる基材3と、基材3の上に設けられた黒色の多孔質の酸化アルミニウムを備える第1層1と、第1層1の上に設けられた複数の突起部21を有する酸化アルミニウムを備える第2層2と、を備える光学部材10。【選択図】 図1

Description

本発明は、交換レンズの内壁等に用いられる、反射率が低い光学部材およびその製造方法に関する。また、その光学部材を用いた光学機器および撮像装置に関する。
交換レンズ等の光学機器は、筐体と該筐体内に設けられた複数のレンズを有する光学系を備える。光学機器に入射される光線は、主にレンズに入射され、結像されることにより被写体像を形成する。その一方で、結像されず、被写体像の形成に寄与しない光線も存在する。被写体像の形成に寄与しない光線は、無秩序な方向から入射されるため、レンズ以外の部分にも入射され、筐体内で不要な反射や散乱を発生する要因となる。これらの光は迷光と呼ばれる。迷光は撮像素子に達すると、フレアやゴーストが発生要因となる。
迷光を抑制する手段として、特許文献1は、カメラ等に使用可能な耐摩耗性に優れた無電解ニッケル黒色めっき膜を有する物品を開示している。特許文献2は、静電植毛法により金属板上にポリイミドを受け付けた物品を開示している。
特開2007−119851号公報 特開2002−45781号公報
しかしながら、特許文献1に開示された物品は表面の凹凸が小さいため、光線の入射角度が大きくなると反射率が高くなってしまうという課題があった。また、特許文献2に開示された物品は、経年劣化や振動によってポリイミドが剥がれ、光学特性が変動するおそれがあった。
上記課題を解決するための光学部材は、アルミニウムまたはアルミニウム合金よりなる基材と、前記基材上に設けられた、黒色の多孔質の酸化アルミニウムを備える第1層と、前記第1層上に設けられた、複数の突起部を有する酸化アルミニウムを備える第2層と、を備えることを特徴とする。
上記課題を解決するための光学部材の製造方法は、アルミニウムまたはアルミニウム合金よりなる基材をアルマイト処理し、前記基材の表面に多孔質の酸化アルミニウムを形成する工程と、前記多孔質の酸化アルミニウムをエッチングし、酸化アルミニウムからなる突起部を形成する工程と、前記突起部が形成された基材を黒色に染色し、前記基材上に黒色の多孔質の酸化アルミニウムを備える第1層と、前記第1層上に複数の突起部を有する酸化アルミニウムを備える第2層と、を形成する工程と、を備えることを特徴とする。
本発明によれば、入射角度が大きくても反射率を低くでき、かつ、経年劣化や振動による特性変動のおそれが少ない光学部材を提供することができる。
第1実施形態に係る光学部材の概略図である。 第1実施形態に係る光学部材の第1層の概略図である。 第1実施形態に係る光学部材の製造方法を示す概略図である。 第2実施形態に係る撮像装置の概略図である。 実施例1と実施例1の反射率を比較した図である。 実施例3の光学部材の反射率の第1層の厚み依存性を示した図である。
[第1実施形態]
(光学部材)
図1は第1実施形態に係る光学部材の概略図である。第1実施形態に係る光学部材10は、基材3と、第1層1と、第2層2と、を備える。
基材3は、アルミニウムまたはアルミニウム合金からなる。本明細書において、アルミニウム合金とは、アルミニウムを主成分とする合金のことであり、合金100質量部に対してアルミニウムが90質量部以上含まれている合金を指す。基材3の材質は、アルミニウムまたはアルミニウム合金であれば、特に限定されず、高純度アルミニウム、1000系、3000系、5000系等の中から適宜選択することができる。基材3の厚みは特に限定されないが、光学部材の機械的強度を保つという観点では500μm以上であることが好ましい。
図2は、第1層を説明するための概略図であり、説明の便宜上、第2層2を省略しており、基材3の厚みを薄くしている。第1層1は、第2層2から第1層1に侵入してきた光線を吸収する部材である。第1層1は、基材3上に設けられた多孔質の酸化アルミニウムであり、複数の細孔4を有する。その複数の細孔4に黒色染色材5が充填されることにより、黒色に染色されている。ここで黒色とは、光の波長が380nm以上780nm以下の範囲の全範囲において吸収がある色味のことを指す。また、第1層1は、光の波長が380nm以上780nm以下の範囲における最小吸収率に対する最大吸収率の比で示される黒色度が0.7以上であることが好ましい。
細孔4は、図2の光学部材10を上面から平面視した際に、円形状もしくは楕円形状であり、その直径もしくは長径は10nm以上60nm以下の範囲である。細孔4の深さは7μm以上100μm以下の範囲であり、換言すると、第1層1の厚さは7μm以上100μm以下の範囲である。第1層1の厚さが7μm未満であると、第2層2で反射、拡散、散乱された光線を十分に吸収できなくなり、反射率が十分に低減できないおそれがある。一方、第1層1の厚さを100μmより大きくすることは、後述する製造方法では難しく、歩留まりが十分でなくなるおそれがある。細孔4の深さ方向の形状は、黒色染色剤5が充填可能な形状であれば特に限定されず、前述した直径もしくは長径より太くなっていても細くなっていても構わない。
黒色染色材5は、第1層1に侵入してきた光線の吸収効率を高めるために用いられる。黒色染色材の種類は特に限定されず、染色インクなどの有機材料、ニッケル、コバルト、銅など金属を含む無機材料であってもよい。
図1に戻り、第2層2について説明する。第2層2は、複数の突起部21を有する酸化アルミニウムを備え、その突起部の間に光線を入射させることにより、突起部間で反射、拡散、散乱させる部材である。突起部間で反射、拡散、散乱された光線は、第1層1によって吸収されるため、光路に戻る光線の量を低減できる。結果、第1実施形態の光学部材は、フレアやゴーストの発生に起因する波長550nm以上650nm以下の範囲の光線に対する反射率を低くすることができる。複数の突起部21は、第1層1と接する方向から、突起が延びる方向に向かって細くなっていることが好ましい。複数の突起部21の先端が先細る形状であることにより、突起部間で生じる反射、拡散および散乱といった現象の効率が良くなる。その結果、光路に戻る光線の量をより低減することができる。
第2層2の厚みは2μm以上15μm以下の範囲であることが好ましい。換言すると、突起部21の高さは2μm以上15μm以下の範囲であることが好ましい。突起部21の高さがこの範囲であると、入射角度が大きくても反射率を低くでき、かつ、経年劣化や振動による特性変動のおそれが少ない。突起部21の高さが2μm未満であると、突起部間に入射した光線に対し反射、拡散、散乱が十分に生じないおそれがある。また、15μmより大きくなると経年劣化や振動によって突起部が破損するおそれがある。
突起部21の個数の第1層1の面積に対する割合は、光学部材10を突起部21の延伸方向から平面視した際に、50本/100μm以上150本/100μm以下の範囲であることが好ましい。上記割合が50本/100μm未満であると、突起部間に入射した光線に対し反射、拡散、散乱が十分に生じないおそれがある。また、上記割合が150本/100μmより大きくなると、全反射して光線が光路に戻り、反射率が十分に低減できなくなるおそれがある。
突起部21は、太さが0.1μm以上1.1μm以下の範囲の第1形状と、太さが10μm以上50μm以下の範囲の第2形状と、を備えることが好ましい。突起部21が第1形状のみで構成されると、第2層の厚みを2μm以上に保つのが難しくなるおそれがある。一方、突起部21が第2形状のみで構成されると、光線の入射角度が80度以上と大きくなったときに反射率が十分に低減できないおそれがある。なお、突起部21の太さとは、先端から2μmの位置における太さのことである。
なお、第2層2は黒色に染色されていても、染色されていなくても構わない。
光学部材10の波長550nm以上650nm以下の範囲の入射角度85度における平均の反射率は、2.0%以下であることが好ましい。前記範囲の平均の反射率が2.0%以下であれば、高い光学性能が要求される光学機器においても適用可能である。より好ましい前記範囲の平均の反射率は1.0%以下であり、さらに好ましい前記範囲の平均の反射率は0.8%以下である。
(光学部材の製造方法)
続いて、第1実施形態に係る光学部材の製造方法について説明する。
まず、基材3であるアルミニウムまたはアルミニウム合金の板材を用意する。板材は、一般的に切削加工されているため、切削加工時に板材に付着した汚れや油分を除去する。板材をアセトン等の有機溶媒に浸漬し、超音波洗浄をすることによって脱脂する。また、超音波洗浄では除去できない汚れや傷に対しては、水酸化ナトリウム等の強アルカリ溶液に浸漬して化学的研磨を行う。さらに、化学的研磨で板材の表面に生じるスマットは硫酸もしくは硝酸に浸漬して除去する。
次に、アルミニウムまたはアルミニウム合金の板材に対して、陽極酸化処理を行う。陽極酸化処理を行うと、板材は図3(a)の状態から、図3(b)のようにその表面に複数の細孔を備える、多孔質(ポーラス構造ともいう)の酸化アルミニウムの被膜が生成される。
処理槽に、電解液として硫酸アルミを添加した硫酸を溜める。陽極をアルミニウムまたはアルミニウム合金の板材とし、陰極とともに電源と電気的に接続する。陰極の材質は、電解液との反応性が低ければよく、例えば、カーボン、白金、チタン、SUSを用いることができる。また、電解液の温度はチラーによって制御されることが好ましい。電源から陽極、陰極に電圧を10分から120分印加し、陽極酸化処理を行うことにより、図3(b)のようにアルミニウム金属もしくはアルミニウム合金の表面近傍に細孔4が生成される。処理槽から取り出した板材に対し、水を用いて電解液を洗い流す。
次に、陽極酸化処理によって図3(b)のような形状になった板材の細孔4に対し、溶剤を浸漬させる。溶剤は酸化アルミニウムに対して濡れ性が良いものが好ましい。溶剤としては、アセトン、イソプロピルアルコール等を使用することができる。また、細孔内に水が多量に残っていると、溶剤との置換に時間を要するため、陽極酸化を施した板材は一度加熱乾燥をすることが好ましい。浸漬時間は例えば、1時間から10時間である。なお、この浸漬工程は省いても構わない。
次に、板材の細孔が形成された表面に対してエッチングを行う。処理槽にエッチング液を用意し、その中に細孔が形成された板材を浸漬する。エッチング液の温度は40℃から60℃、エッチング時間は5分から30分であることが好ましい。エッチング液中にポンプにより液流を発生させることが好ましく、液流を均一な速度にすることにより、エッチングレートを制御することができる。エッチング液は、溶剤が充填された細孔内へ溶剤と相溶しながら置換し、細孔深部に侵入していく。そこで、板材の表面と細孔の内壁が同時にエッチングされることにより、図3(c)のように酸化アルミニウムの突起部が形成される。
なお、第2層の厚みおよび突起部の形状は、このエッチングレートにより制御できる。エッチングレートは溶剤の種類、溶剤の浸漬時間およびエッチング液の種類により制御することができる。具体的には、エッチングをより進行させることにより、第2層の厚みを薄くすることができる、また、エッチングをより進行させることにより、突起部の先端を細く、かつ短くできる。突起部をより細くして1μm程度にすると、突起部の一部は近接する突起部同士で凝集し、太さが10μm以上50μm以下の範囲の第2形状の突起を形成する。すなわち、太さが0.1μm以上1.1μm以下の範囲である第1形状と、第2形状とを共存させることが可能となる。
最後に、図3(c)のような突起部が形成された酸化アルミニウムを黒色に染色する。エッチング後、水洗した酸化アルミニウムの表面を活性化するため、突起部を有する酸化アルミニウムを硫酸に浸漬する。浸漬時間は30秒から3分である。また、染色するために前処理剤に30秒から3分浸漬し、純水で湯煎する。湯煎したのちに染料を溶解した水溶液に5分から20分浸漬する。そして、最後に再度、水洗してから乾燥させて、図3(d)のような第1実施形態の光学部材を得ることができる。すなわち、細孔4は黒色染色材によって充填され、アルミニウムまたは合金よりなる基材上に黒色の多孔質の酸化アルミニウムを備える第1層1が形成される。それと同時に、第1層1の上には複数の酸化アルミニウムの突起部を備える第2層2が形成される。
なお、水洗した後に酸化アルミニウムの表面に対し硫酸アルミニウムを微量コーティングすることにより、細孔の封孔処理を行っても構わない。
[第2実施形態]
(光学機器、撮像装置)
図4は、本発明の撮像装置の好適な実施形態の一例である、一眼レフデジタルカメラの構成を示している。図4において、カメラ本体602と光学機器であるレンズ鏡筒601とが結合されているが、レンズ鏡筒601はカメラ本体602対して着脱可能ないわゆる交換レンズである。
被写体からの光は、レンズ鏡筒601の筐体620内の撮影光学系の光軸上に配置された複数のレンズ603、605などからなる光学系を通過し、撮像素子610に受光される。ここで、レンズ605は内筒604によって支持されて、フォーカシングやズーミングのためにレンズ鏡筒601の外筒に対して可動支持されている。内筒604はレンズ605を支持する支持体である。
撮影前の観察期間では、被写体からの光は、カメラ本体の筐体621内の主ミラー607により反射され、プリズム611を透過後、ファインダレンズ612を通して撮影者に撮影画像が映し出される。主ミラー607は例えばハーフミラーとなっており、主ミラーを透過した光はサブミラー608によりAF(オートフォーカス)ユニット613の方向に反射され、例えばこの反射光は測距に使用される。また、主ミラー607は主ミラーホルダ640に接着などによって装着、支持されている。不図示の駆動機構を介して、撮影時には主ミラー607とサブミラー608を光路外に移動させ、シャッタ609を開き、撮像素子610にレンズ鏡筒601から入射した撮影光像を結像させる。また、絞り606は、開口面積を変更することにより撮影時の明るさや焦点深度を変更できるよう構成される。
第1実施形態の光学部材は、筐体620、内筒604を基材として、内壁側に酸化アルミニウム630(黒色の多孔質の酸化アルミニウムと、複数の突起部を有する酸化アルミニウムの積層構造)を形成することにより、撮像装置および光学機器に使用できる。また、内壁側に突起部がくるように配置するのであれば、筐体620、内筒604をマグネシウム等の金属で形成し、前記光学部材を筐体620、内筒604とは別部材として設けてもよい。
第2実施形態である光学機器は、筐体内に大きな入射角度に対しても低い反射率を有する部分を有する。そのため第2実施形態の光学機器と撮像素子を有する撮像装置を用いて撮影した画像は、フレアやゴーストの発生確率を十分に小さくすることができる。
実施例の説明に先立って、実施例で製造した光学部材の評価方法を説明する。
[形状評価]
第1層の厚み、第2層の厚み、第2層の突起部の太さおよび第1層に対する個数割合は、走査型電子顕微鏡で倍率2000倍の画像から算出した。具体的には、光学部材を積層方向に切断した断面10か所に対し、画像をそれぞれ取得し、取得した画像から各パラメータを測定し、その10か所の平均値を採用した。
[光学特性評価]
光学部材を、紫外可視近赤外分光光度計(日本分光株式会社製、商品名:V−770)を用いて、光線の入射角度を所望の値にして、波長550nm以上650nm以下の範囲における反射率を1nmごとに測定し、その平均値を当該入射角度における反射率とした。なお、測定は、バックグラウンドの補正を行ってから測定した。
(実施例1)
アルミニウムの板材として、厚さ10mmのアルミニウム板材を用い、この板材から40mm×40mm×10mmの大きさのアルミニウム片を切り出した。切り出したアルミニウム片をアセトンに浸漬し、超音波洗浄を3分行った。その後、濃度1Nの水酸化ナトリウムに4分浸漬し化学的研磨を行い、さらに濃度1Nの硝酸に1分浸漬したスマットを除去した。
次に、アルミニウム片を陽極、カーボンを陰極として陽極酸化処理を行った。電解液は、硫酸180g/L、硫酸アルミニウムのアルミニウムイオンが8g/Lとなるよう濃度を調整した。チラーを用いて、処理槽の電解液の温度を20℃に保持して、電源を用いて陽極及び陰極に電圧を印加した。電圧は、陽極酸化する部分の面積に対し電流密度が1A/dmとなるように電圧を調整した。電圧を40分間印加することにより、図3(b)に示すような細孔を形成した。形成された細孔は直径が30nmの円形であり、深さは40μmであった。
続いて、細孔が形成されたアルミ片を溶剤であるアセトンに5時間浸漬させ、細孔に溶剤を浸透させた。
続いて、アルミ片の細孔が形成された表面に対してエッチングを行った。処理槽にエッチング液として濃度1mol/Lのリン酸を用意し、リン酸の温度を55℃に保持して、10分間浸漬させることにより、図3(c)のような突起構造を有する酸化アルミニウムをアルミ片の表面に形成した。
そして、酸化アルミニウムの表面を活性化するために、濃度100ml/Lの硫酸に1分浸漬した。さらに、表面状態を調整するため、染色の前処理剤(奥野製薬工業製、商品名:TACソーマル―120)の濃度50g/L濃度の溶液を温度45℃に保持して1分浸漬させ、さらに、55℃の純水で10分湯煎した。そして、黒色の染色材料(奥野製薬工業製、商品名:TAC BLACK―SLH(ブラック415))の濃度10.1g/Lで溶解した水溶液を温度55℃に保持して、10分間浸漬させた。最後に水洗を行い、乾燥させて実施例1の光学部材を得た。
実施例1の光学部材は、第1層の厚さが10μmであった。第2層の厚さは12.7μmであった。突起部は太さが0.1μm以上1.1μm以下の範囲の第1形状と、太さが10μm以上50μm以下の範囲の第2形状と、で構成されていた。また、突起部の個数の第1層の面積に対する割合は、128本/100μmであった。
(実施例2)
溶剤に浸漬する工程を行わなかった点以外は実施例1と同様の方法で実施例2の光学部材を得た。実施例2の光学部材は、第1層の厚さが9μmであった。第2層の厚さは10.5μmであった。突起部の太さが全て10μm以上50μm以下の範囲であった。すなわち、突起部は第2形状のみで構成されていた。また、突起部の個数の第1層の面積に対する割合は、62本/100μmであった。
実施例1と実施例2の光学部材の反射率の光線入射角度依存性を表す結果を図5に示す。光線の入射角度が大きくなるにつれて実施例2と実施例1の反射率の差が大きくなっていることが分かる。実施例1の光学部材には、第2形状のみならず、第1形状の突起部も存在していたため、実施例2の光学部材より反射率が低くできたと考えられる。
(実施例3)
陽極酸化時間および/又は陽極酸化処理の際の電流密度を変更し、エッチングレートを制御することにより、第1層の厚みを変更した点以外は実施例1と同様の方法で実施例3の光学部材を得た。得られた光学部材の第1層の厚みは、それぞれ3.7μm、5.8μm、7μm、8μm、9μm、16μm、17μm、18.5μm、21μmであった。横軸に第1層の厚みをとり、縦軸に光学部材の入射角度5度における反射率をとり、プロットした結果を図6に示した。
図6より、第1層の厚みが7μm未満となると、反射率が0.01%を超えていることが分かる。
(実施例4)
溶剤に浸漬する工程において、溶媒をアセトンからイソプロピルアルコールに変更した点以外は実施例1と同様の方法で実施例4の光学部材を得た。
実施例4の光学部材は、入射角度85度における反射率が1.8%であった。アセトンを用いた実施例1と比較すると反射率は高かったが、2.0%以下と良好な値であった。
なお、第1層の厚さは7μmであった。第2層の厚さは10.2μmであった。突起部は太さが0.1μm以上1.1μm以下の範囲の第1形状と、太さが10μm以上50μm以下の範囲の第2形状と、で構成されていた。また、突起部の個数の第1層の面積に対する割合は、118本/100μmであった。
(比較例1)
染色する工程を行わなかった点以外は実施例1と同様の方法で比較例1の光学部材を得た。
比較例1の光学部材は、入射角度85度における反射率が5%であった。これは黒色の多孔質の酸化アルミニウムを備える第1層がなかったことに起因していると考えられる。
以上より、アルミニウムを主成分とする基材に対し、アルマイト処理と染色処理を行うことにより、基材上に黒色の多孔質の酸化アルミニウムを備える第1層、複数の突起部を有する酸化アルミニウムを備える第2層を積層させることができた。第1層と第2層が積層された光学部材は、いずれも波長550nm以上650nm以下の範囲の入射角度85度における平均の反射率が2.0%以下と良好な値を示した。また、本発明はアルマイト処理を用いた簡便な製法を用いるため、突起部が基材から脱落する可能性も低い。そのため、静電植毛のように、経年劣化や振動により光学特性が変動するおそれが少ない光学部材を提供することができる。
1 第1層
2 第2層
3 基材
4 細孔
5 黒色染色材
10 光学部材
21 突起部
600 一眼レフデジタルカメラ
601 レンズ鏡筒
602 カメラ本体
604 内筒
620 筐体

Claims (12)

  1. アルミニウムまたはアルミニウム合金よりなる基材と、
    前記基材上に設けられた、黒色の多孔質の酸化アルミニウムを備える第1層と、
    前記第1層上に設けられた、複数の突起部を有する酸化アルミニウムを備える第2層と、を備えることを特徴とする光学部材。
  2. 前記複数の突起部は、先端が先細る形状である請求項1に記載の光学部材。
  3. 前記第2層の厚みが2μm以上15μm以下の範囲である請求項1または2に記載の光学部材。
  4. 前記第1層の厚みが7μm以上100μm以下の範囲である請求項1乃至3のいずれか1項に記載の光学部材。
  5. 前記光学部材を前記突起部の延伸方向から平面視した際に、
    前記突起部の個数の前記第1層の面積に対する割合が、50本/100μm以上150本/100μm以下の範囲である請求項1乃至4のいずれか1項に記載の光学部材。
  6. 前記突起部は、太さが0.1μm以上1.1μm以下の範囲の第1形状と、太さが10μm以上50μm以下の範囲の第2形状と、を備える請求項1乃至5のいずれか1項に記載の光学部材。
  7. 前記光学部材の波長550nm以上650nm以下の範囲の入射角度85度における平均の反射率が2.0%以下である請求項1乃至6のいずれか1項に記載の光学部材。
  8. 筐体と、該筐体内に複数のレンズを有する光学系を備える光学機器であって、
    前記複数のレンズを支持する支持体および/又は前記筐体の少なくとも一部が、請求項1乃至7のいずれか1項に記載の光学部材からなり、前記支持体および/又は前記筐体の内壁側に前記第2層が設けられた光学機器。
  9. 筐体と、該筐体内に複数のレンズを有する光学系と、該光学系を通過した光を受光する撮像素子と、を備える撮像装置であって、
    前記複数のレンズを支持する支持体および/又は前記筐体の少なくとも一部が、請求項1乃至7のいずれか1項に記載の光学部材からなり、前記支持体および/又は前記筐体の内壁側に前記第2層が設けられた撮像装置。
  10. アルミニウムまたはアルミニウム合金よりなる基材をアルマイト処理し、前記基材の表面に多孔質の酸化アルミニウムを形成する工程と、
    前記多孔質の酸化アルミニウムをエッチングし、酸化アルミニウムからなる突起部を形成する工程と、
    前記突起部が形成された基材を黒色に染色し、前記基材上に黒色の多孔質の酸化アルミニウムを備える第1層と、前記第1層上に複数の突起部を有する酸化アルミニウムを備える第2層と、を形成する工程と、
    を備えることを特徴とする光学部材の製造方法。
  11. 前記基材の表面に多孔質の酸化アルミニウムを形成する工程と、前記酸化アルミニウムからなる突起部を形成する工程との間に、前記多孔質の酸化アルミニウムが形成された基材を溶剤に浸漬する工程を備える請求項10の光学部材の製造方法。
  12. 前記溶剤がアセトン又はイソプロピルアルコールである請求項11に記載の光学部材の製造方法。
JP2020129816A 2019-09-30 2020-07-31 光学部材、光学機器、撮像装置および光学部材の製造方法 Pending JP2021056494A (ja)

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CN113163092A (zh) * 2021-04-30 2021-07-23 维沃移动通信(杭州)有限公司 感光芯片及摄像头模组
WO2023022070A1 (ja) * 2021-08-20 2023-02-23 株式会社小糸製作所 画像照射装置

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