JP2021056258A - 定着装置および画像形成装置 - Google Patents

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圭祐 岩見
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Abstract

【課題】薄い用紙に対する定着処理の高速化を、ジャムを発生させることなく実現可能な画像形成装置を提供する。【解決手段】記録媒体に形成されたトナー像に接触して加熱および加圧することにより、トナー像を記録媒体に定着させる定着部材を含む定着器51と、複数のファンが直列に配置された複合ファン540を含み、複合ファンから吹き出される空気により、トナー像が定着された記録媒体を定着部材から分離する分離部54と、を有する。【選択図】図4

Description

本発明は、定着装置および画像形成装置に関する。
電子写真方式の画像形成装置においては、用紙にトナー像を形成し、画像形成装置が備える定着装置により用紙上のトナー像を定着させることで、用紙に画像を形成する。定着装置は、例えば、2つの定着用ローラー等の定着部材を圧接することで形成された定着ニップで、用紙を加圧および加熱しつつ搬送することで、用紙にトナー像を定着させる定着処理を行う。
ところで、用紙に形成されたトナー像のトナーは、定着ニップを通過する際に加熱されることで粘着力をもつ。そのため、定着ニップを通過した用紙が、トナー像と接触した方の定着部材の表面に巻き付くことでジャムを発生させることがある。そこで、定着ニップの用紙排出側に向けて送風することで、定着部材から用紙を分離させるエアー分離技術が知られている。
これに関連し、下記特許文献には、次の先行技術が開示されている。定着ニップを通過した用紙と接触することで回転する回転部材の当該回転を検出することで用紙の通過を検出し、定着装置へ当該用紙が送出されてから、当該用紙の通過が検出されるまでの時間に応じて、エアー分離のための送風量を制御する。これにより、送風量を最適化することで、用紙の巻き付きジャムを防止するとともに搬送姿勢を安定させることができる。
特願2017−142334号公報
しかし、用紙搬送速度の高速化に伴い、比較的薄い用紙が定着部を通過した場合、エアー分離のための風量が不足して、定着部材から用紙を分離できず、定着部材に用紙が巻き付き、ジャムを発生させることがある。上記特許文献に記載された先行技術は、このような問題に対応できない。
本発明はこのような問題を解決するためになされたものである。すなわち、薄い用紙に対する定着処理の高速化を、ジャムを発生させることなく実現可能な、画像形成装置および定着装置を提供することを目的とする。
本発明の上記課題は、以下の手段によって解決される。
(1)記録媒体に形成されたトナー像に接触して加熱および加圧することにより、前記トナー像を前記記録媒体に定着させる定着部材を含む定着器と、複数のファンが直列に配置された複合ファンを含み、前記複合ファンから吹き出される空気により、前記トナー像が定着された前記記録媒体を前記定着部材から分離する分離部と、を有する定着装置。
(2)前記複合ファンは、前記記録媒体の搬送方向に直交する、前記記録媒体の幅方向に沿って複数配置されている、上記(1)に記載の定着装置。
(3)前記分離部は、前記複合ファンにより吹き出される前記空気を、前記定着部材に直接当たるように吹き付ける、上記(1)または(2)に記載の定着装置。
(4)前記分離部は、前記複合ファンにより吹き出される前記空気を所定の吹き出し位置まで導く第1ダクトをさらに含み、前記複合ファンの、直列に配置された前記複数のファンのうち、最終段に配置された第1ファンの吹き出し方向と、前記第1ダクトからの前記空気の吹き出し方向とは交差する、上記(1)〜(3)のいずれかに記載の定着装置。
(5)前記第1ダクトは、前記第1ファンから吹き出された前記空気の流れ方向を複数回変化させて、前記所定の吹き出し位置まで導く複数の曲げ部を、前記空気の流路に有する、上記(4)に記載の定着装置。
(6)前記第1ダクトからの前記空気の吹き出し方向と、前記第1ダクトからの前記空気の吹き出し方向に変化される直前の前記空気の流れ方向とがなす角度は、前記第1ファンの吹き出し方向と、前記第1ファンから吹き出された前記空気の流れ方向が最初に変化された後の前記空気の流れ方向とがなす角度より小さい、上記(5)に記載の定着装置。
(7)前記ファンはシロッコファンである、上記(4)〜(6)のいずれかに記載の定着装置。
(8)前記複合ファンは、前記第1ファンと直列に配置された第2ファンと、前記第2ファンから吹き出される前記空気を前記第1ファンの前記空気の吸い込み方向へ導く第2ダクトとを含む、上記(7)に記載の定着装置。
(9)前記第2ファンは、前記第1ファンに対して、前記記録媒体の搬送経路の反対側の位置に設置された、上記(8)に記載の定着装置。
(10)前記第2ファンの回転軸に垂直な面と、前記第1ファンの回転軸に垂直な面とがなす角度は鋭角である、上記(8)または(9)に記載の定着装置。
(11)前記第2ダクトは、前記第2ファンの前記空気の吹き出し方向に平行な壁と、前記第2ファンから吹き出された前記空気が流入される前記第1ファンの前記空気の吸い込み方向に平行な壁とを含む、上記(8)〜(10)のいずれかに記載の定着装置。
(12)前記第2ファンは、前記第2ファンの回転軸に垂直な面が、前記定着器の筐体の外壁面と対向し、かつ前記外壁面と平行になるように配置されている、上記(10)または(11)に記載の定着装置。
(13)前記第2ファンの前記空気の吸い込み口は、前記定着器の反対側に向けられている、上記(10)〜(12)のいずれかに記載の定着装置。
(14)前記複合ファンから前記空気が吹き出される際、前記第1ファンと前記第2ファンとは同時に動作する、上記(8)〜(13)のいずれかに記載の定着装置。
(15)前記第1ファンと前記第2ファンは、同じ電力で駆動される、上記(10)〜(14)のいずれかに記載の定着装置。
(16)前記記録媒体に前記トナー像を形成する作像部と、上記(1)〜(15)のいずれかに記載の定着装置と、を有する画像形成装置。
複数のファンを直列に配置した複合ファンから吹き出される空気により、トナー像が定着された記録媒体を定着部材から分離する。これにより、薄い用紙に対する定着処理の高速化を、ジャムを発生させることなく実現できる。
画像形成装置の構成を示す概略図である。 画像形成装置の構成を示すブロック図である。 定着部の構成を示す概略図である。 定着部の構成を示す概略図である。 定着部の構成を示す斜視図である。 第1ファンの空気の吹き出し方向、第1ダクト内の空気の流れ方向、および第1ダクトからの空気の吹き出し方向を説明するための説明図である。
以下、図面を参照して、本発明の実施形態に係る画像形成装置について説明する。なお、図面において、同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、図面の寸法比率は、説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。本明細書において、2つの方向または面等がなす角度とは、2つの方向または面等がなす角度のうち小さい方の角度のことを意味する。
図1は、画像形成装置100の構成を示す概略図である。図2は、画像形成装置100の構成を示すブロック図である。図3は、定着部50の構成を示す概略図である。
画像形成装置100は、通信部130によりネットワークを介して、画像形成装置100に対して印刷指示等の各種指示をするための1つまたは複数の端末(図示せず)と接続され得る。画像形成装置100は、当該端末から受信した印刷ジョブに基づいて、用紙900に画像を形成する。
印刷ジョブとは、画像形成装置100に対する印刷命令の総称であり、印刷データおよび印刷設定が含まれる。印刷データとは、印刷の対象である文書のデータであり、印刷データには、例えば、イメージデータ、ベクタデータ、テキストデータといった各種データが含まれ得る。具体的には、印刷データは、PDF(Portable Document Format)データ、PDL(Page Description Language)データ、またはTIFF(Tagged Image File Format)データであり得る。印刷設定とは、用紙900への画像形成に関する設定であり、例えば、ページ数、印刷部数、紙種、カラーまたはモノクロの選択、およびページ割付等の各種設定が含まれる。
画像形成装置100は、制御部110、記憶部120、通信部130、操作表示部140、画像読取部150、画像制御部160、および画像形成部170を備える。これらの構成要素は、バスにより互いに通信可能に連結されている。画像形成装置100は、例えばMFP(MultiFunction Peripheral)により構成され得る。
制御部110は、CPU(Central Processing Unit)および各種メモリを備えており、プログラムにしたがって上記各部の制御や各種の演算処理を行う。制御部110の作用の詳細については後述する。
記憶部120は、SDD(Solid State Drive)、またはHDD(Hard Disc Drive)等により構成され、各種プログラムおよび各種データを記憶する。
通信部130は、画像形成装置100と外部機器との間で通信を行うためのインターフェースである。通信部130として、イーサネット(登録商標)、SATA、IEEE1394等の規格によるネットワークインターフェースが用いられる。また、通信部130として、Bluetooth(登録商標)、IEEE802.11等の無線通信インターフェース等の各種ローカル接続インターフェース等が用いられる。
操作表示部140は、タッチパネル、テンキー、スタートボタン、およびストップボタン等を備えており、各種情報の表示および各種指示の入力に使用される。
画像読取部150は、蛍光ランプ等の光源およびCCD(Charge Coupled Device)イメージセンサー等の撮像素子を有する。画像読取部150は、所定の読み取り位置にセットされた原稿に光源から光を当て、その反射光を撮像素子で光電変換して、その電気信号から画像データを生成する。
画像制御部160は、通信部130により受信された印刷ジョブ等に含まれる印刷データのレイアウト処理、スクリーニング、ラスタライズ処理等を行い、ビットマップ形式の画像データを生成する。画像データは、画素ごとのCMYK値またはRGB値である。
画像形成部170は、作像部40、定着部50、給紙部60、および用紙搬送部70を含む。
(作像部40)
作像部40は、Y(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)、およびK(ブラック)の各色のトナーに対応した作像ユニット41Y、41M、41C、41Kを有する。各作像ユニット41Y、41M、41C、41Kにより、画像データに基づいて、帯電、露光、および現像のプロセスを経て感光体ドラム47上にトナー像が形成される。露光は、レーザー光により感光体ドラム47上を走査することで行われる。像担持体である感光体ドラム47上に形成されたトナー像は、感光体ドラム47と1次転写ローラー48が中間転写ベルト42を介して圧着され、駆動ローラー45の駆動力により中間転写ベルト42が回転走行することで中間転写ベルト42上に順次重ねられてカラーのトナー像が形成される。中間転写ベルト42は、副走査方向(図1における直線矢印の方向)へ走行する。中間転写ベルト42上に形成されたカラーのトナー像は、2次転写ローラー43と対向ローラー44が中間転写ベルト42を介して圧着されることにより、搬送される用紙900上に転写される。
(定着部50)
定着部50は、定着ローラー51a、定着ベルト51b、加熱ローラー51c、加圧ローラー51d、ヒーター51e、エアー分離部54、および駆動機構55を含む。定着部50は、定着装置を構成する。定着ベルト51bは、定着部材を構成する。定着ローラー51a、定着ベルト51b、加熱ローラー51c、加圧ローラー51d、およびヒーター51eは、定着器51を構成する。エアー分離部54は分離部を構成する。
定着ベルト51bは、無端状のベルトであり、加熱ローラー51cおよび定着ローラー51a等により張架される。定着ベルト51bは、駆動モーター(図示せず)の駆動力により回転駆動される定着ローラー51aの回転に従動して、図3における時計回り方向へ回転する。定着ローラー51aと加圧ローラー51dとは、定着ベルト51bを介して互いに圧接されることで、定着ベルト51bと加圧ローラー51dとの間で定着ニップNを形成する。定着部50に搬送された用紙900は、定着ニップNで所定の定着温度で加熱され、かつ加圧されることでトナー像が定着(溶融定着)されるとともに、定着ベルト51bおよび加圧ローラー51dの回転により搬送される。定着温度は、例えば、160〜200℃に設定される。定着温度は、用紙900の種類等によって異ならせ得る。定着ベルト51bは、例えば、厚さ70μmのPI(ポリイミド)の基体の外周面を弾性層で被覆したものである。弾性層としては、例えば、厚さ200μmの耐熱性のシリコーンゴム(硬度JIS−A30°)が使用される。耐熱性樹脂としては、例えば、厚さ30μmのPFA(パーフルオロアルコシキ)が使用される。
加熱ローラー51cは、内蔵するヒーター51eが発生する熱を定着ベルト51bに伝導することで、定着ベルト51bを加熱する。加熱ローラー51cは、例えば、中空の金属(例えばアルミ)からなる芯金、および、その表面に形成したPFAまたはPTFEのコートから構成される。芯金は例えばφ80mmで厚さ2.5mmである。PFAまたはPTFEコートは厚さ15μmである。ヒーター51eは、複数本のハロゲンランプで構成され、加熱ローラー51cの芯金の内部空間に配置される。
定着ローラー51aは、駆動モーター(図示せず)の駆動力により、図3における時計回り方向に回転する。定着ローラー51aの周速度は、例えば、200mm/s程度に設定される。定着ローラー51aは、定着ベルト51bを介してヒーター51eにより間接的に加熱される。定着ローラー51aは、例えば、内側から順に、円筒形の金属からなる芯金、その表面に形成されたシリコーンゴムまたは発泡シリコーンゴム等の素材からなる弾性層、およびフッ素樹脂等の離型層を備える。
加圧ローラー51dは、定着ベルト51bを介して定着ローラー51aを加圧する。加圧ローラー51dは、例えば、内側から順に、円筒形の金属からなる芯金、その表面に形成された発泡シリコーンゴム弾性層、およびフッ素樹脂等の離型層を備える。
(エアー分離部54)
エアー分離部54は、複数のファンが直列に配置された複合ファン540(図4参照)を含む。直列に配置とは、一方のファンから吹き出された空気が他方のファンに吸い込まれるように2つのファンが配置されることをいう。これにより、直列に配置されたファンの数に比例して風圧(風速)が増加される。複合ファン540から吹き出される風の風速は、10〜80m/secであり得る。複合ファン540の複合ファン540に含まれる複数のファンは、シロッコファンであることが好ましい。複合ファン540に含まれる複数のファンは、軸流ファンであってもよい。以下、例として、複合ファン540は、直列に接続された、第1ファン540aと第2ファン540bの2つのシロッコファンにより構成されるものとして説明する。第1ファン540aと第2ファン540bとは、第2ファン540bから吹き出された空気が第1ファン540aで吸い込まれるように直列に接続される。
エアー分離部54は、複合ファン540から吹き出される空気(すなわち、第1ファン540aから吹き出される空気)を、後述する、所定の吹き出し位置(以下、単に「吹出位置」とも称する)から所定の吹き付け位置(以下、単に「吹付位置」とも称する)へ向けて吹き出す。これにより、エアー分離部54は、トナー像が定着された用紙900を定着ベルト51bから分離させる。
エアー分離部54についてさらに詳細に説明する。
図4は、定着部50の構成を示す概略図である。図5は、定着部50の構成を示す斜視図である。図4は、第1ファン540aと第2ファン540bを、シロッコファンの翼が見えるように、一部が切欠図として図示されている。
図4に示すように、複合ファン540により吹き出される空気(図4において白抜きの矢印で示す)は、第1ダクト541により吹出位置まで導かれる。第1ダクトにより導かれた空気は、第1ダクト541の出力口である吹出位置から、定着ベルト51bの表面上の吹付位置へ向けて、定着ベルト51bに直接空気が当たるように、用紙900の先端が定着ニップNを抜ける前後の所定のタイミングで吹き出される。吹付位置に達した空気は、定着ベルト51b表面に沿って流れて、定着ベルト51bと、トナー像が定着された用紙900の搬送方向下流側の先端との間に入ることで、用紙900を定着ベルト51bから分離する。吹付位置は、定着ベルト51bからの用紙900の分離性の観点から、定着ニップNにおける用紙900の搬送方向下流側の端部からの距離等として、実験により適当に設定し得る。吹出位置は、吹付位置に障害なく空気を吹き付けられること、および定着ベルト51bからの用紙900の分離性との観点から、実験により適当に設定し得る。所定のタイミングは、定着ベルト51bと、トナー像が定着された用紙900の搬送方向下流側の先端との間に効率的に空気を入れることができる位置に用紙900が到達するタイミングとして、実験により適当に設定し得る。
複合ファン540から空気が吹き出される際、第1ファン540aと第2ファン540bとを所定のタイミングで同時に動作させる。すなわち、第1ファン540aと第2ファン540bは、同じタイミングで回転および停止制御がなされる。これにより、駆動機構55に対する制御部110の制御を簡易化できる。
第1ファン540aと第2ファン540bは同じ仕様のファンであり、これらは同じ電力(パワー)で駆動される。これにより、複合ファン540から吹き出される空気の風量に対する電力の効率を増大できる。
複合ファン540の、直列に配置された複数のファンのうち、最終段に配置された第1ファン540aの吹き出し方向d(図6参照)と、第1ダクト541からの空気の吹き出し方向d(図6参照)とを交差させる。これにより、複合ファン540が用紙900の搬送経路上に配置されることを回避できる。
第2ファン540bは、第1ファン540aに対して、用紙900の搬送経路の反対側に配置される。これにより、第2ファン540bが用紙900の搬送経路上に配置されることを回避できる。
第2ファン540bの回転軸に垂直な面540b1と、第1ファン540aの回転軸に垂直な面540a1とがなす角を鋭角にする。これにより、定着器51と複合ファン540の位置が干渉することを防止できるとともに、定着部50の大きさが増大することを抑制できる。
第2ファン540bは、第2ファン540bの回転軸に垂直な面540b1が、定着器51の筐体の外壁面51fと対向し、かつ平行になるように配置され得る。これにより、定着器51と第2ファン540bの位置が干渉することを防止できるとともに、第1ファン540aと第2ファン540bとを近づけることができる。
第2ファン540bの空気の吸い込み口540b2は、定着器51の反対側に向けられる。これにより、複合ファン540への定着器51の温度の影響を低減できる。
複合ファン540は、第2ファン540bの空気の吹き出し方向Oから吹き出される空気を、第1ファン540aの空気の吸い込み方向Iへ導く第2ダクト542を含む。第2ダクト542は、第2ファン540bの空気の吹き出し方向Oに平行な壁542bと、第1ファン540aの空気の吸い込み方向Iに平行な壁542aとを備える。これにより、第2ファン540bから吹き出される空気を第1ファン540aの空気の吸い込み方向(シロッコファンの回転軸に平行な方向)へ向けて送ることができるため、風量の損失を抑止できる。
図5に示すように、複合ファン540は、用紙900の搬送方向(図5において黒い矢印で示す方向)に直交する、用紙900の幅方向に沿って、複数(図5の例では2つ)配置され得る。複数の複合ファン540からそれぞれ吹き出される空気は、それぞれの第1ダクト541により別個の吹出位置まで導かれ、各吹出位置から別個の吹付位置へ向けて、同じタイミングで吹き出される。複数の複合ファン540から吹き出される空気がそれぞれ吹き付けられる複数の吹付位置は、定着ニップNにおける用紙900の搬送方向下流側の端部からの距離が等しくなるように設定され得る。設定された複数の吹付位置を結ぶ直線は、定着ローラー51aの回転軸と平行になる。
図6は、第1ファン540aの空気の吹き出し方向、第1ダクト541内の空気の流れ方向、および第1ダクト541からの空気の吹き出し方向を説明するための説明図である。
第1ダクト541は、第1ファン540aから吹き出された空気の流れ方向を複数回変化させて、吹出位置まで導く複数の曲げ部c1〜c3を、空気の流路に有する。曲げ部c1〜c3は、第1ダクト541の内壁の、空気の流れ方向に対する曲げとして構成され得る。これにより、図6においてそれぞれ白抜きの矢印で示すように、第1ファン540aの空気の吹き出し方向dへ吹き出された空気が、第1ダクト541の内部(内壁)の形状に沿って流れることで、流れ方向d、流れ方向d、の順に流れ方向が変化する。そして最後に、第1ダクト541からの空気の吹き出し方向dに空気の流れ方向が変化する。すなわち、第1ダクト541は、第1ファン540aの空気の吹き出し方向dへ吹き出された空気の流れ方向を複数回変化させて、吹出位置まで導き得る。これにより、空気の流れ方向が大きく変化されないため、空気の送風量の損失を抑止できるとともに、エアー分離部54の占める体積を低減できる。また、第1ダクト541からの空気の吹き出し方向dと、当該吹き出し方向dに変化される直前の空気の流れ方向dとがなす角度θを、第1ファン540aの吹き出し方向dと、第1ファン540aから吹き出された空気の流れ方向が最初に変化された後の流れ方向dとがなす角度θより小さくする。これにより、流速が小さい領域(流路の断面積が大きい領域)の方が、空気の流れ方向の変化が大きくなるようにすることで、空気の送風量の損失を抑止できる。
定着部50によりトナー像が定着された用紙900は、印刷物として排紙トレイ90に排紙される。
給紙部60は、複数の給紙トレイ61、62を有し、給紙トレイ61、62に収容された用紙900を1枚ずつ下流側の搬送経路に送り出す。
次に、制御部110の作用について詳細に説明する。
制御部110は、通信部130により印刷ジョブを受信すると、画像制御部160により印刷データのラスタライズ処理等をして画像データを生成し、作像部40により画像データに基づいて用紙900にトナー像を形成する。制御部110は、定着ベルト51bと加圧ローラー51dとの間の定着ニップNで、用紙900を加圧および加熱しつつ搬送することで、用紙900上のトナー像を用紙900に定着させる。
制御部110は、駆動機構55に制御信号を送信することにより、第1ファン540aと第2ファン540bとを同時に、同じ電力で動作させることで、第1ダクト541の出力口である吹出位置から、定着ベルト51bの表面上の吹付位置へ空気を吹き付ける。この際、制御部110は、上述した所定のタイミングで、第1ファン540aと第2ファン540bとを動作させる。これにより、定着ベルト51bから用紙900が分離される。
制御部110は、トナー像が定着された用紙900を排紙トレイ90に排紙する。
上述した実施形態は、以下の効果を奏する。
複数のファンを直列に配置した複合ファンから吹き出される空気により、トナー像が定着された記録媒体を定着部材から分離する。これにより、薄い用紙に対する定着処理の高速化を、ジャムを発生させることなく実現できる。
さらに、複合ファンを、記録媒体の搬送方向に直交する、用紙の幅方向に沿って対複数配置する。これにより、記録媒体の幅方向に均一に空気を吹き付けることで、より効果的に記録媒体を定着部材から分離できる。
さらに、複合ファン540により吹き出される空気を、第1ダクト541で導き、第1ダクト541から定着部材に直接当たるように吹き付ける。これにより、定着部材の表面に沿って空気が流れることで、定着部材からの記録媒体の分離性能を向上できる。
さらに、複合ファンにより吹き出される空気を所定の吹き出し位置まで導く第1ダクトを設け、複合ファンの、直列に配置された複数のファンのうち、最終段に配置された第1ファンの吹き出し方向と、第1ダクトからの空気の吹き出し方向とを交差するようにする。これにより、複合ファン540が用紙900の搬送経路上に配置されることを回避できる。
さらに、第1ダクトの空気の流路に、第1ファンから吹き出された空気の流れ方向を複数回変化させて、所定の吹き出し位置まで導く複数の曲げ部を設ける。これにより、空気の流れ方向が大きく変化されないことで、空気の送風量の損失を抑止できるとともに、装置の大きさを低減できる。
さらに、第1ダクトからの空気の吹き出し方向と、第1ダクトからの空気の吹き出し方向に変化される直前の空気の流れ方向とがなす角度を、第1ファンの吹き出し方向と、第1ファンから吹き出された空気の流れ方向が最初に変化された後の空気の流れ方向とがなす角度より小さくする。これにより、流速が小さい領域の方が、空気の流れ方向の変化が大きくなるようにすることで、空気の送風量の損失を抑止できる。
さらに、複数のファンをそれぞれシロッコファンとする。軸流ファン等に比べて風量が大きいシロッコファンを用いることで、定着部材から記録媒体を分離するための空気の風量を容易に増大できる。
さらに、複合ファンを、第1ファンと直列に配置された第2ファンと、第2ファンから吹き出される空気を第1ファンの空気の吸い込み方向へ導く第2ダクトとを含んで構成する。これにより、空気の漏れを抑止することで、送風量の損失を低減できる。
さらに、第2ファンは、第1ファンに対して、記録媒体の搬送経路の反対側の位置に設置する。これにより、第2ファンが記録媒体の搬送経路上に配置されることを回避できる。
さらに、第2ファンの回転軸に垂直な面と、第1ファンの回転軸に垂直な面とがなす角度を鋭角にする。これにより、定着器と複合ファンの位置が干渉することを防止できるとともに、装置の大きさの増大を抑制できる。
さらに、第2ダクトを、第2ファンの空気の吹き出し方向に平行な壁と、第2ファンから吹き出された空気が流入される第1ファンの空気の吸い込み方向に平行な壁とを含んで構成する。これにより、風量の損失を抑止できる。
さらに、第2ファンを、第2ファンの回転軸に垂直な面が、定着器を包含する筐体の外壁面と対向し、かつ当該外壁面と平行になるように配置する。これにより、定着器と第2ファンの位置が干渉することを防止できるとともに、第1ファンと第2ファンとを近づけることができる。
さらに、第2ファンの空気の吸い込み口を、定着器の反対側に向ける。これにより、複合ファンへの定着器の温度の影響を低減できる。
さらに、複合ファンから空気が吹き出される際、第1ファンと第2ファンとを同時に動作させる。これにより、複合ファンの駆動機構に対する制御部の制御を簡易化できる。
さらに、第1ファンと第2ファンを、同じ電力で駆動する。これにより、複合ファンから吹き出される空気の風量に対する電力の効率を増大できる。
本発明は、上述した実施形態に限定されない。
例えば、実施形態においては、記憶媒体として用紙を例に説明したが、記録媒体は用紙に限定されず、樹脂フィルム等であってもよい。
また、実施形態においては、複合ファンを2つのシロッコファンで構成される例を説明したが、複合ファンは3つ以上のシロッコファンまたは軸流ファンで構成されてもよい。
また、実施形態においては用紙の搬送方向に対し垂直な方向に2つの複合ファンが配置される例を説明したが、3つ以上の複合ファンが配置されてもよい。
また、実施形態においては、複合ファン540により吹き出される空気を、第1ダクト541で導き、第1ダクト541から定着部材に直接当たるように吹き付けている。しかし、第1ダクト541を設けずに、複合ファン540により吹き出される空気を、定着部材に直接当たるように吹き付けてもよい。
また、実施形態においてプログラムにより実行される処理の一部または全部を回路等のハードウェアに置き換えて実行され得る。
c1、c2、c3 曲げ部、
空気の吸い込み方向、
空気の吹き出し方向、
N 定着ニップ、
40 作像部、
50 定着部、
51 定着器、
51a 定着ローラー、
51b 定着ベルト、
51c 加熱ローラー、
51d 加圧ローラー、
51e ヒーター、
51f 外壁面、
54 エアー分離部、
55 駆動機構、
60 給紙部、
70 用紙搬送部、
100 画像形成装置、
110 制御部、
120 記憶部、
130 通信部、
140 操作表示部、
150 画像読取部、
160 画像制御部、
170 画像形成部、
540 複合ファン、
540a 第1ファン、
540b 第2ファン、
541 第1ダクト、
542 第2ダクト、
900 用紙。

Claims (16)

  1. 記録媒体に形成されたトナー像に接触して加熱および加圧することにより、前記トナー像を前記記録媒体に定着させる定着部材を含む定着器と、
    複数のファンが直列に配置された複合ファンを含み、前記複合ファンから吹き出される空気により、前記トナー像が定着された前記記録媒体を前記定着部材から分離する分離部と、
    を有する定着装置。
  2. 前記複合ファンは、前記記録媒体の搬送方向に直交する、前記記録媒体の幅方向に沿って複数配置されている、請求項1に記載の定着装置。
  3. 前記分離部は、前記複合ファンにより吹き出される前記空気を、前記定着部材に直接当たるように吹き付ける、請求項1または2に記載の定着装置。
  4. 前記分離部は、前記複合ファンにより吹き出される前記空気を所定の吹き出し位置まで導く第1ダクトをさらに含み、
    前記複合ファンの、直列に配置された前記複数のファンのうち、最終段に配置された第1ファンの吹き出し方向と、前記第1ダクトからの前記空気の吹き出し方向とは交差する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の定着装置。
  5. 前記第1ダクトは、前記第1ファンから吹き出された前記空気の流れ方向を複数回変化させて、前記所定の吹き出し位置まで導く複数の曲げ部を、前記空気の流路に有する、請求項4に記載の定着装置。
  6. 前記第1ダクトからの前記空気の吹き出し方向と、前記第1ダクトからの前記空気の吹き出し方向に変化される直前の前記空気の流れ方向とがなす角度は、前記第1ファンの吹き出し方向と、前記第1ファンから吹き出された前記空気の流れ方向が最初に変化された後の前記空気の流れ方向とがなす角度より小さい、請求項5に記載の定着装置。
  7. 前記ファンはシロッコファンである、請求項4〜6のいずれか一項に記載の定着装置。
  8. 前記複合ファンは、前記第1ファンと直列に配置された第2ファンと、前記第2ファンから吹き出される前記空気を前記第1ファンの前記空気の吸い込み方向へ導く第2ダクトとを含む、請求項7に記載の定着装置。
  9. 前記第2ファンは、前記第1ファンに対して、前記記録媒体の搬送経路の反対側の位置に設置された、請求項8に記載の定着装置。
  10. 前記第2ファンの回転軸に垂直な面と、前記第1ファンの回転軸に垂直な面とがなす角度は鋭角である、請求項8または9に記載の定着装置。
  11. 前記第2ダクトは、前記第2ファンの前記空気の吹き出し方向に平行な壁と、前記第2ファンから吹き出された前記空気が流入される前記第1ファンの前記空気の吸い込み方向に平行な壁とを含む、請求項8〜10のいずれか一項に記載の定着装置。
  12. 前記第2ファンは、前記第2ファンの回転軸に垂直な面が、前記定着器の筐体の外壁面と対向し、かつ前記外壁面と平行になるように配置されている、請求項10または11に記載の定着装置。
  13. 前記第2ファンの前記空気の吸い込み口は、前記定着器の反対側に向けられている、請求項10〜12のいずれか一項に記載の定着装置。
  14. 前記複合ファンから前記空気が吹き出される際、前記第1ファンと前記第2ファンとは同時に動作する、請求項8〜13のいずれか一項に記載の定着装置。
  15. 前記第1ファンと前記第2ファンは、同じ電力で駆動される、請求項10〜14のいずれか一項に記載の定着装置。
  16. 前記記録媒体に前記トナー像を形成する作像部と、
    請求項1〜15のいずれか一項に記載の定着装置と、
    を有する画像形成装置。
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