以下、図面を参照して、本発明の実施形態に係る画像形成装置について説明する。なお、図面において、同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、図面の寸法比率は、説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。本明細書において、2つの方向または面等がなす角度とは、2つの方向または面等がなす角度のうち小さい方の角度のことを意味する。
(第1実施形態)
図1は、画像形成装置100の構成を示す概略図である。図2は、画像形成装置100の構成を示すブロック図である。
画像形成装置100は、制御部110、記憶部120、通信部130、操作表示部140、画像読取部150、画像制御部160、および画像形成部170を有する。これらの構成要素は、バス180により互いに通信可能に連結されている。画像形成装置100は、MFP(MultiFunction Peripheral)により構成され得る。
制御部110は、CPU(Central Processing Unit)および各種メモリを備えており、プログラムにしたがって上記各部の制御や各種の演算処理を行う。制御部110の作用の詳細については後述する。
記憶部120は、SDD(Solid State Drive)またはHDD(Hard Disc Drive)等により構成され、各種プログラムおよび各種データを記憶する。
通信部130は、画像形成装置100と外部機器との間で通信を行うためのインターフェースである。通信部130として、イーサネット(登録商標)、SATA、IEEE1394等の規格によるネットワークインターフェースが用いられる。また、通信部130として、Bluetooth(登録商標)、IEEE802.11等の無線通信インターフェース等の各種ローカル接続インターフェース等が用いられる。
操作表示部140は、タッチパネル、テンキー、スタートボタン、およびストップボタン等を備えており、各種情報の表示および各種指示の入力に使用される。
画像読取部150は、蛍光ランプ等の光源およびCCD(Charge Coupled Device)イメージセンサー等の撮像素子を有する。画像読取部150は、所定の読み取り位置にセットされた原稿に光源から光を当て、その反射光を撮像素子で光電変換して、その電気信号から画像データを生成する。
画像制御部160は、通信部130により受信された印刷ジョブ等に含まれる印刷データのレイアウト処理およびラスタライズ処理を行い、ビットマップ形式の画像データを生成する。
印刷ジョブとは、画像形成装置100に対する印刷命令の総称であり、印刷データおよび印刷設定が含まれる。印刷データとは、印刷の対象である文書のデータであり、印刷データには、例えば、イメージデータ、ベクタデータ、テキストデータといった各種データが含まれ得る。具体的には、印刷データは、PDL(Page Description Language)データ、PDF(Portable Document Format)データまたはTIFF(Tagged Image File Format)データであり得る。印刷設定とは、用紙900への画像形成に関する設定であり、例えば、ページ数、印刷部数、紙種、カラーまたはモノクロの選択、およびページ割付等の各種設定が含まれる。印刷設定には、光沢を増加または減少させる設定がさらに含まれ得る。
画像形成部170は、作像部40、定着部50、給紙部60、および用紙搬送部70を含む。
作像部40は、Y(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)、およびK(ブラック)の各色のトナーに対応した作像ユニット41Y、41M、41C、41Kを有する。各作像ユニット41Y、41M、41C、41Kにより、画像データに基づいて、帯電、露光、および現像のプロセスを経て感光体ドラム上にトナー像が形成される。露光は、レーザー光により感光体ドラム上を走査することで行われる。感光体ドラム上に形成されたトナー像は、中間転写ベルト42上に順次重ねられて、2次転写ローラー43により用紙900上に転写される。
定着部50は、定着ローラー51aおよび加圧ローラー52を含み、定着ローラー51aと加圧ローラー52とが互いに圧接されることで、定着ローラー51aと加圧ローラー52との間で定着ニップN(図3のA参照)を形成する。定着ローラー51aは、定着ニップNにおいて、用紙900に形成された未定着のトナー像Tと接触する定着部材を構成する。加圧ローラー52は加圧部材を構成する。定着ニップNは、定着ベルト51b(図3のB参照)を用いて、定着ベルト51bの内周面に配置された定着ローラー51aと加圧ローラー52とが定着ベルト51bを介して互いに圧接されることで、定着ベルト51bと加圧ローラー52との間に形成されてもよい。この場合、定着ベルト51bが定着部材を構成する。
図3は、定着部50の簡略構成を示す図である。
図3のAは、定着ローラー51aおよび加圧ローラー52を含む定着部50の構成である。この例では、定着ローラー51aと加圧ローラー52とが互いに圧接されることで形成された定着ニップNで、トナー像Tを加熱および加圧することでトナー像Tを用紙に定着させる。定着ローラー51aは、例えば、鉄等の金属から形成された芯金を弾性層で被覆したものである。弾性層として、例えば、耐熱性のシリコンゴムを用い得る。弾性層は、耐熱性のシリコンゴムを、耐熱性樹脂であるPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)で被覆した構成としてもよい。定着ローラー51aは、内部にハロゲンヒーター等の加熱源を含む。加圧ローラー52は、例えば、PI(ポリイミド)の基材の外周面を弾性層で被覆したものである。弾性層として、例えば、耐熱性のシリコンゴムを用い得る。弾性層は、耐熱性のシリコンゴムを、表面離形層としてPFA(パーフルオロアルコシ)のチューブで被覆した構成としてもよい。
図3のBは、定着ローラー51a、定着ベルト51b、および加圧ローラー52を含む定着部50の構成である。この例では、定着ローラー51aと加圧ローラー52とが定着ベルト51bを介して互いに圧接されることで、定着ベルト51bと加圧ローラー52との間で定着ニップNを形成している。定着ベルト51bは、PIの基材の外周面を弾性層として耐熱性のシリコンゴムで被覆し、さらに耐熱性樹脂であるPFAのチューブを被覆した構成とし得る。
以下、説明を簡単にするために、定着ベルト51bを用いない場合(図3のAの構成の場合)を例に説明する。また、トナー像Tが形成された、用紙900の表面が、定着ローラー51a側を向くことで、定着ニップNにおいて、定着ローラー51aにトナー像Tが接触しつつ用紙900が搬送されるものとして説明する。
図4は、定着ローラー51aおよび加圧ローラー52を回転させるためのローラー駆動機構55の簡略構成を示す図である。
定着ローラー51aは、駆動源としての第1モーター515に接続される。具体的には、定着ローラー51aの回転軸に設けられたギヤ512が中間ギヤ513と噛み合い、中間ギヤ513が第1モーター515の回転軸に設けられたギヤ514と噛み合う。これにより、第1モーター515のトルクが定着ローラー51aに伝達される。
加圧ローラー52は、駆動源としての第2モーター525に接続される。具体的には、加圧ローラー52の回転軸に設けられたギヤ522が中間ギヤ523と噛み合い、中間ギヤ523が第2モーター525の回転軸に設けられたギヤ524と噛み合う。これにより、第2モーター525のトルクが加圧ローラー52に伝達される。
定着ローラー51aおよび加圧ローラー52は、それぞれ第1モーター515および第2モーター525から伝達されるトルクにより回転制御される。
定着部50は、上述した構成により、定着ニップNに搬送された用紙900を、定着ニップNで加熱および加圧するとともに定着ローラー51aと加圧ローラー52とを回転させることで、用紙900上のトナー像を用紙900の表面に溶融定着(以下、単に「定着」と称する)する。
定着部50は、後述するように、印刷ジョブの印刷設定に基づいて、用紙900に形成された画像の光沢を増加させる光沢制御を行わない基準状態、または、光沢制御を行うために、定着ローラー51aにブレーキ動作またはアシスト動作をさせる状態で用紙900にトナー像を定着する。
定着部50は、定着時に溶融したトナー像の粘着力により定着ローラー51aに張り付いた用紙900を、定着ニップNの下流側へ向けてエアーを吹き付けることで分離する分離部53を含む。
図5は、分離部53の簡略構成を示す図である。
分離部53は、エアー吹出機構531を含む。分離部53は、例えば、誘導部材532、およびカム533をさらに含み得る。エアー吹出機構531は、シロッコファン531a、ダクト531b、およびダクト531bの外周面に設けられた突起部531cを含む。シロッコファン531aから吹き出されるエアーは、ダクト531bの内部を通って所定のエアーの吹き出し位置(以下、単に「吹出位置」と称する)まで導かれる。これにより、吹出位置から、所定の吹き出し方向(以下、単に「吹出方向」と称する)へエアーが吹き出される。吹出方向は、定着ニップNからの用紙900の排出方向73aに平行な面上の方向であり、エアーの吹き出し角度に対応する。
エアー吹出機構531は、突起部531cが、画像形成装置100の筐体に固定された誘導部材532の一定の曲率をもつレールに係合することで、レールに沿って移動する。エアー吹出機構531は、突起部531cが、回転軸532aを中心にモーター(図示せず)の駆動力により回転するカム533により垂直方向への力を受けることで、複数の所定の位置のいずれかへ移動する。所定の位置は、例えば、3つであり、図5において、それぞれ、実線、太い破線、および細い破線で示されている。エアー吹出機構531を、それぞれの所定の位置に移動させることで、吹出位置および吹出方向を変更できる。なお、所定の位置は上述した3つの位置に限定されない。
ローラー駆動機構55は、定着ローラー51aと加圧ローラー52のいずれか一方のローラーを、用紙900の搬送を行う部材(以下、「駆動部材」と称する)として機能させる。駆動部材とは、具体的には、定着ニップNにおける用紙900の搬送速度を、画像形成部170で用いる基準速度(いわゆるプロセス速度)に一致させるように用紙900の搬送を駆動する部材である。例えば、基準状態においては、第1モーター515により駆動される補助駆動部材としての定着ローラー51aは、第2モーター525により駆動される駆動部材としての加圧ローラー52の回転に従動して回転する。このとき、加圧ローラー52は駆動部材として機能している。なお、定着ローラー51aを加圧ローラー52の回転に従動して回転させる場合、定着ローラー51aにトルクを伝達する第1モーター515は、OFFとされ得る。基準状態では、定着ローラー51aと加圧ローラー52の表層速度が等しくされる。従って、基準状態では、第1モーター515により定着ローラー51aにトルクを伝達し、駆動部材として機能させている加圧ローラー52と同じ周速で回転させてもよい。
上記では、定着ローラー51aと加圧ローラー52のうち、加圧ローラー52を駆動部材として機能させる一方のローラー(第1ローラー)とし、定着ローラー51aを補助駆動部材として機能させる他方のローラー(第2ローラー)とした。しかし、後述する第3実施形態のように、第1、第2のローラーは逆としてもよい。すなわち、第1ローラー(駆動部材)を定着ローラー51とし、第2ローラー(補助駆動部材)を加圧ローラー52としてもよい。補助駆動部材とは、定着ニップNにおけるトナー像Tと定着ローラー51aとの間のマイクロスリップ量を基準状態より増加させるブレーキ動作、または当該マイクロスリップ量を基準状態より減少させるアシスト動作、のいずれか一方の動作が可能な部材である。当該マイクロスリップ量は、例えば、定着ニップNにおける、駆動部材に対する補助駆動部材の単位時間あたりの移動量として間接的に測定できる。駆動部材に対する補助駆動部材の単位時間あたりの移動量は、例えば、補助駆動部材の表層速度と駆動部材の表層速度の差に基づいて算出できる。
以下、説明を簡単にするために、加圧ローラー52を駆動部材として機能させ、定着ローラー51aを補助駆動部材として機能させるものとして説明する。
定着ローラー51aに、補助駆動部材として、ブレーキ動作またはアシスト動作をさせることで、用紙900上の画像の光沢制御ができる。例えば、定着ローラー51aにブレーキ動作をさせることで、用紙900上の画像の光沢を増加させることができる。また、定着ローラー51aにアシスト動作をさせることで、用紙900上の画像の光沢を減少させることができる。
図5において、51a(N)は、基準状態における定着ローラー51aの、定着ニップNの用紙900排出側の形状を示している。51a(B)は、定着ローラー51aにブレーキ動作をさせた場合の、定着ローラー51aの、定着ニップNの用紙900排出側の形状を示している。51a(A)は、定着ローラー51aにアシスト動作をさせた場合の、定着ローラー51aの、定着ニップNの用紙900排出側の形状を示している。このように、定着ローラー51aにブレーキ動作やアシスト動作をさせることで、定着ニップNの用紙900排出側の形状が、基準状態と比較して僅かに変化する。
図5において、実線で示されるエアー吹出機構531の位置は、基準状態におけるエアー吹出機構531の位置を示している。太い破線で示されるエアー吹出機構531の位置は、定着ローラー51aにブレーキ動作をさせる場合におけるエアー吹出機構531の位置を示している。細い破線で示されるエアー吹出機構531の位置は、定着ローラー51aにアシスト動作をさせる場合におけるエアー吹出機構531の位置を示している。このような位置にエアー吹出機構531が移動することで、定着ローラー51aにブレーキ動作をさせるかアシスト動作をさせるかに応じて、吹出位置および吹出方向が基準状態から変更される。すなわち、定着ローラー51aにブレーキ動作をさせるかアシスト動作をさせるかに応じて、エアー吹出機構531のエアーの吹き出し位置および吹き出し角度が基準状態から変更される。定着ローラー51aのブレーキ動作時およびアシスト動作時における、吹出位置および吹出方向は、上述した、定着ニップNの用紙900排出側の形状の変化に対応して、定着ローラー51aからの用紙900の分離性が最も良好になる位置および方向として、実験により、それぞれ適当に決定し得る。
なお、定着ローラー51aに行わせるブレーキ動作の程度(マイクロスリップ量の値)、およびアシスト動作の程度(マイクロスリップ量の値)に応じて、基準状態から変更される吹出位置および吹出方向を変えてもよい。すなわち、例えば、定着ローラー51aにブレーキ動作を行わせる場合であっても、ブレーキ動作の程度が比較的大きいときと比較的小さいときとで、吹出位置および吹出方向を変えてもよい。
定着ローラー51aにブレーキ動作をさせる場合に、図5において、太い破線で示されるエアー吹出機構531の位置に、エアー吹出機構531が移動される。これにより、吹出位置が、定着ニップNからの用紙900の排出経路73に、基準状態より近づくとともに、吹出方向と、定着ニップNからの用紙900の排出方向73aとがなす角度が、基準状態より小さくなる。定着ローラー51aにアシスト動作をさせる場合に、図5において、細い破線で示されるエアー吹出機構531の位置に、エアー吹出機構531が移動される。これにより、吹出位置が、定着ニップNからの用紙900の排出経路73から、基準状態より遠ざかるとともに、吹出方向と、定着ニップNからの用紙900の排出方向73aとがなす角度が、基準状態より大きくなる。
定着部50によりトナー像が定着された用紙900は、印刷物として排紙トレイ90に排紙される。
給紙部60は、複数の給紙トレイ61、62を有し、給紙トレイ61、62に収容された用紙900を1枚ずつ下流側の搬送経路に送り出す。
用紙搬送部70は、用紙900を搬送するための複数の搬送ローラーを有し、作像部40、定着部50、および給紙部60の各部間で用紙900を搬送する。複数の搬送ローラーには、用紙900の傾きを矯正するためのレジストローラー71や、用紙900に所定量のループを形成するためのループローラー72が含まれる。
用紙搬送部70は、画像形成された用紙900を排紙トレイ90に排紙する。
制御部110の作用について説明する。
制御部110は、印刷ジョブに含まれる印刷設定に基づき、基準状態で用紙900にトナー像Tを定着させる場合、加圧ローラー52の回転に、定着ローラー51aを従動回転させるようにローラー駆動機構55を制御する。制御部110は、印刷設定に基づき、定着ローラー51aにブレーキ動作をさせることで光沢制御をする場合、定着ニップNにおけるトナー像Tと定着ローラー51aとのマイクロスリップ量を基準状態より増加させるようにローラー駆動機構55を制御する。制御部110は、印刷設定に基づき、定着ローラー51aにアシスト動作をさせることで光沢制御をする場合、定着ニップNにおけるトナー像Tと定着ローラー51aとのマイクロスリップ量を基準状態より減少させるようにローラー駆動機構55を制御する。
制御部110は、ローラー駆動機構55により、加圧ローラー52の駆動トルクが基準状態より増加するように定着ローラー51aの駆動を制御することで、定着ローラー51aにブレーキ動作をさせ得る。制御部110は、ローラー駆動機構55により、加圧ローラー52の駆動トルクが基準状態より減少するように定着ローラー51aの駆動を制御することで、定着ローラー51aにアシスト動作をさせ得る。例えば、基準状態で、定着ローラー51aを加圧ローラー52に従動させて回転させている状態における加圧ローラー52の駆動トルクを基準(1)とする。そして、加圧ローラー52の駆動トルクが基準に対し1.5倍になるように定着ローラー51aの駆動を制御することで、定着ローラー51aにブレーキ動作をさせ得る。また、加圧ローラー52の駆動トルクが基準に対し0.5倍になるように定着ローラー51aの駆動を制御することで、定着ローラー51aにアシスト動作をさせ得る。
一方、制御部110は、加圧ローラー52の表層速度に対する定着ローラー51aの表層速度を、基準状態より減少させるようにローラー駆動機構55を制御することで、定着ローラー51aにブレーキ動作をさせてもよい。制御部110は、加圧ローラー52の表層速度に対する定着ローラー51aの表層速度を、基準状態より増加させるようにローラー駆動機構55を制御することで、定着ローラー51aにアシスト動作をさせてもよい。表層速度は、例えば、定着ローラー51aの表面の端部にラダーパターンを形成し、当該ラダーパターンに向けて、固定された光源から照射された光の反射率を当該光源に隣接する光センサーを用いて測定し、反射率が増減する周期を計測することで検出し得る。
制御部110は、基準状態においては、エアー吹出機構531の位置を、図5における実線で示す位置に設定する。制御部110は、定着ローラー51aにブレーキ動作をさせる場合、吹出位置を、定着ニップからの用紙900の搬送経路に、基準状態より近づけるとともに、吹出方向と定着ニップNからの用紙900の排出方向がなす角度を、基準状態より小さくする。すなわち、制御部110は、定着ローラー51aにブレーキ動作をさせる場合、エアー吹出機構531の位置を、図5における太い破線で示す位置へ移動させる。制御部110は、定着ローラー51aにアシスト動作をさせる場合、吹出位置を、定着ニップからの用紙900の搬送経路に、基準状態より遠ざけるとともに、吹出方向と定着ニップNからの用紙900の排出方向がなす角度を、基準状態より大きくする。すなわち、制御部110は、定着ローラー51aにブレーキ動作をさせる場合、エアー吹出機構531の位置を、図5における細い破線で示す位置へ移動させる。これにより、定着ローラーにブレーキ動作をさせるかアシスト動作をさせるかに応じて、定着ニップNの用紙900の排出側端周辺の、定着ローラー51aから用紙900を分離させるために適当な吹き付け位置へ向けて、適当な角度でエアーを吹き付けることができる。
制御部110は、定着ローラー51aにブレーキ動作をさせるかアシスト動作をさせるかに応じて、定着ニップNの排紙側に配置された排紙側設置部材の位置および傾斜角度の少なくともいずれか一方を変更させる。
図6は、定着ローラー51aにブレーキ動作をさせるかアシスト動作をさせるかに応じて変更される排紙ガイド74の傾斜角度を示す説明図である。図7は、定着ローラー51aにブレーキ動作をさせるかアシスト動作をさせるかに応じて変更される下分離爪75の位置を示す説明図である。排紙ガイド74および下分離爪75は、排紙側設置部材に含まれる。図6および図7における、実線で示す排紙ガイド74および下分離爪75は、それぞれ基準状態における排紙ガイド74および下分離爪75を示している。太い破線で示す排紙ガイド74および下分離爪75は、それぞれ、定着ローラー51aにブレーキ動作をさせる時の、排紙ガイド74および下分離爪75を示している。細い破線で示す排紙ガイド74および下分離爪75は、それぞれ、定着ローラー51aにアシスト動作をさせる時の、排紙ガイド74および下分離爪75を示している。排紙ガイド74および下分離爪75は併用されてもよい。
図6に示すように、定着ローラー51aにブレーキ動作をさせる時は、定着ニップNから排紙される用紙900の搬送をガイドするための排紙ガイド74の、水平面に対する傾斜角度を、用紙900の搬送方向に対する、排紙ガイド74の下流端の垂直方向の位置を下げることで、基準状態より大きくする。定着ローラー51aにアシスト動作をさせる時は、排紙ガイド74の水平面に対する傾斜角度を、用紙900の搬送方向に対する、排紙ガイド74の下流端の垂直方向の位置を上げることで、基準状態より大きくする。定着ローラー51aにブレーキ動作をさせる時は、上述したように、エアー吹出機構531を垂直下方向に移動させる。一方、定着ローラー51aにブレーキ動作をさせると、基準状態より用紙900が僅かに下向きに排紙される。このため、定着ニップNから排紙された用紙900が搬送される空間が過小になり得る。そこで、定着ローラー51aにブレーキ動作をさせる時は、排紙ガイド74の水平面に対する傾斜角度を、用紙900の搬送方向に対する、排紙ガイド74の下流端の垂直方向の位置を下げることで、基準状態より大きくする。定着ローラー51aにアシスト動作をさせる時は、エアー吹出機構531を垂直上方向に移動させる。一方、定着ローラー51aにアシスト動作をさせると、基準状態より用紙900が僅かに上向きに排紙される。このため、定着ニップNから排紙された用紙900が搬送される空間が過大になり得る。そこで、定着ローラー51aにアシスト動作をさせる時は、排紙ガイド74の水平面に対する傾斜角度を、用紙900の搬送方向に対する、排紙ガイド74の下流端の垂直方向の位置を上げることで、基準状態より大きくする。このように、定着ローラー51aにブレーキ動作をさせるかアシスト動作をさせるかに対応して、排紙ガイド74の水平面に対する傾斜角度を変更することで、定着ニップNから排紙された用紙900が搬送される空間を適当な大きさにすることができる。これにより、排紙ガイド74の機能を確保できるとともに、用紙900の搬送性を安定させることができる。
図7に示すように、定着ローラー51aにブレーキ動作をさせる時は、定着ニップNから排紙される用紙900が加圧ローラー52に巻き込まれないようにするための下分離爪75の垂直方向の位置を基準状態より下げる。上述したように、定着ローラー51aにブレーキ動作をさせると、基準状態より用紙900が僅かに下向きに排紙される。このため、定着ニップNから排紙された用紙900と下分離爪75との間隔が過小になり得る。定着ローラー51aにアシスト動作をさせる時は、下分離爪75の垂直方向の位置を基準状態より上げる。上述したように、定着ローラー51aにアシスト動作をさせると、基準状態より用紙900が僅かに上向きに排紙される。このため、定着ニップNから排紙された用紙900と下分離爪75との間隔が過大になり得る。定着ローラー51aにブレーキ動作をさせるかアシスト動作をさせるかに対応して下分離爪の位置を変更することで、定着ニップNから排紙された用紙900と下分離爪75との間隔を適当な間隔に保つことができる。これにより、下分離爪75の機能を確保できるとともに、用紙900の搬送性を安定させることができる。
制御部110は、定着ローラー51aに行わせるブレーキ動作およびアシスト動作といった動作と、印刷設定に設定された用紙900の種類とに基づいて吹出位置および吹出方向(吹き出し角度)を変更し得る。例えば、光沢制御を行うために、定着ローラー51aにブレーキ動作またはアシスト動作をさせる場合、定着ローラー51aからの用紙900の分離性が比較的良くない坪量の小さい用紙900に定着を行う場合は、各動作に対応して吹出位置および吹出方向を変更する。一方、光沢制御を行うために、定着ローラー51aにブレーキ動作またはアシスト動作をさせる場合であっても、定着ローラー51aからの用紙900の分離性が比較的良い坪量の大きい用紙900への定着を行う場合は、吹出位置および吹出方向を変更しないようにし得る。
画像形成装置100の動作について説明する。
図8は、画像形成装置100の動作を示すフローチャートである。本フローチャートは、制御部110により、記憶部120に記憶されたプログラムに従い実行され得る。
制御部110は、印刷ジョブを取得したかどうか判断する(S101)。制御部110は、例えば、通信部130により印刷ジョブが受信されたことにより、印刷ジョブを取得したと判断し得る。
制御部110は、印刷ジョブの印刷データをラスタライズ処理して画像データを生成し、生成した画像データおよび印刷設定に基づいて用紙900にトナー像Tを形成する(S102)。
制御部110は、印刷ジョブに含まれる印刷設定に基づいて、定着部50による定着において光沢制御をするかどうか判断する(S103)。制御部110は、印刷設定において、光沢を増加させる設定や、光沢を減少させる設定がされている場合に、光沢制御をすると判断する。
制御部110は、光沢制御をしないと判断した場合は(S103:NO)、基準状態でトナー像Tを用紙900に定着し、基準状態に対応したデフォルトの位置(図5において実線で示された位置)に配置されたエアー吹出機構531から、所定のタイミングでエアーを吹き出させることで、定着ローラー51aから用紙900を分離する(S109)。
制御部110は、光沢制御をすると判断した場合は(S103:YES)、印刷設定に基づいて光沢を増加させるかどうか判断する(S104)。制御部110は、印刷設定において、光沢を増加させる設定がされている場合は、光沢を増加させると判断する。
制御部110は、光沢を増加させると判断した場合は(S104:YES)、定着ローラー51aにブレーキ動作をさせる場合に対応した吹出位置および吹出方向になるように、エアー吹出機構531の配置を変更する(S105)。そして、制御部110は、定着ローラー51aにブレーキ動作をさせて、トナー像Tを用紙900に定着させるとともに、エアー吹出機構531からエアーを吹き出させることで、トナー像Tの定着後の用紙900を定着ローラー51aから分離する(S106)。
制御部110は、光沢を増加させないと判断した場合は(S104:NO)、定着ローラー51aにアシスト動作をさせる場合に対応した吹出位置および吹出方向になるように、エアー吹出機構531の配置を変更する(S107)。そして、制御部110は、定着ローラー51aにアシスト動作をさせて、トナー像Tを用紙900に定着させるとともに、エアー吹出機構531からエアーを吹き出させることで、トナー像Tの定着後の用紙900を定着ローラー51aから分離する(S108)。
制御部110は、トナー像Tの定着後の用紙900を排出する(S110)。
(実施例)
吹出位置および吹出方向を、定着ローラー51aにブレーキ動作をさせた場合と、アシスト動作をさせた場合とにそれぞれ対応して変更させた場合の、エアー吹き出しによる用紙900の分離性を測定した。
1.測定条件
定着ローラー:外径φ70、ゴム厚20mm
加圧ローラー:外径φ70、ゴム厚3mm
定着ベルト:外径φ120、基体PI(70μm厚)、ゴム層(220μm厚)、表層PFAチューブ(30μm厚)
定着ニップ幅:23mm
用紙搬送速度:約460mm/s
2.測定および評価方法
(1)マゼンタ:100%、シアン:100%のソリッド画像のトナー像Tを、用紙上の全面に形成する。さらに、用紙の先端に帯状の余白をもつように、マゼンタ:100%、シアン:100%のソリッド画像のトナー像Tを、用紙ごとに余白幅を変えて用紙上に形成し、余白幅を段階的に増大させる。
(2)吹出位置および吹出方向を、定着ベルトにブレーキ動作をさせた場合と、アシスト動作をさせた場合にそれぞれ対応して変更させて、エアー吹き出しによる、定着ベルトからの用紙の分離性を評価した。吹出位置および吹出方向は、図5に示すエアー吹出機構531のダクト531bの先端を、定着ベルトにブレーキ動作をさせる場合は、基準状態に対応するデフォルトの位置から、排出経路73に近づく方向に3°回転させることで変更した。定着ベルトにアシスト動作をさせる場合は、ダクト531bの先端を、基準状態に対応するデフォルトの位置から、排出経路73から遠ざかる方向に3°回転させることで、吹出位置および吹出方向を変更した。用紙の分離性は、上記(1)でトナー像Tが形成された用紙についてエアー吹き出しによる、定着ベルトからの用紙の分離がされた最小の余白幅を測定することにより評価した。
(3)比較例として、吹出位置および吹出方向を基準状態における設定のままとし、上記(1)、(2)を行った。
3.結果
(1)定着ベルトにブレーキ動作をさせた場合、比較例では、定着ベルトからの用紙の分離がされた最小の余白幅は3mmであったのに対し、実施例では、1mmとなった。
(2)定着ベルトにアシスト動作をさせた場合、比較例では、定着ベルトからの用紙の分離がされた最小の余白幅は4mmであったのに対し、実施例では、2mmとなった。
(3)上記(1)、(2)により、実施例により、高い分離性を実現できることが実証された。
(第2実施形態)
本発明の第2実施形態について説明する。本実施形態と第1実施形態で異なる点は次の点である。第1実施形態においては、定着ローラーにブレーキ動作をさせるかアシスト動作をさせるかに応じて、吹出位置および吹出方向を変更する。一方。本実施形態では、定着ローラーにブレーキ動作をさせるかアシスト動作をさせるかに応じて、吹出位置は変更せずに、吹出方向を変更する。すなわち、定着ローラーにブレーキ動作をさせるかアシスト動作をさせるかに応じて、吹出位置は固定して、吹出方向と定着ニップNから排紙される用紙の排出方向73aとがなす角度を変更する。その他の点については、本実施形態は第1実施形態と同様であるので、重複となる説明は省略または簡略化する。
図9は、分離部53の簡略構成を示す図である。図10は、分離部53のダクト531bの簡略構成を示す図である。
図9において、太い一点鎖線は、定着ローラー51aにブレーキ動作をさせる場合に、エアー吹出機構531から吹き出されるエアーの経路を示している。細い一点鎖線は、定着ローラー51aにアシスト動作をさせる場合に、エアー吹出機構531から吹き出されるエアーの経路を示している。中間の太さの一点鎖線は、基準状態における、エアー吹出機構531から吹き出されるエアーの経路を示している。このように、定着ローラー51aにブレーキ動作をさせる場合、吹出位置を基準状態から変えずに、吹出方向と、定着ニップNから排紙される用紙900の排出方向73aとがなす角度を基準状態より大きくする。また、定着ローラー51aにアシスト動作をさせる場合、吹出位置を基準状態から変えずに、吹出方向と、定着ニップNから排紙される用紙900の排出方向73aとがなす角度を基準状態より小さくする。これにより、定着ローラーにブレーキ動作をさせるかアシスト動作をさせるかに応じて、定着ニップNの用紙900の排出側端周辺の、定着ローラー51aから用紙900を分離させるために適当な吹き付け位置へ向けて、適当な角度でエアーを吹き付けることができる。
図10に示すように、分離部53のダクト531bは、送風角度制御版531dを含む。送風角度制御版531dの傾斜角を変えることで、吹出位置を変えずに吹出方向を変更できる。すなわち、吹出位置を変えずに、吹出方向と、定着ニップNから排紙される用紙900の排出方向73aとがなす角度を変更できる。送風角度制御版531dの傾斜角は、例えば、送風角度制御版531dの、ダクト531bのエアーの吹出位置に近い側の辺をダクト531bに固定し、吹出位置から遠い側の辺を、カム(図示せず)を用いて垂直上側に持ち上げることで変更し得る。
(第3実施形態)
本発明の第3実施形態について説明する。本実施形態と第1実施形態で異なる点は次の点である。第1実施形態においては、加圧ローラー52を駆動部材として機能させ、定着ローラー51aを補助駆動部材として機能させている。一方、本実施形態では、定着ローラー51a補助駆動部材として機能させ、加圧ローラー52を補助駆動部材として機能させる。その他の点については、本実施形態は第1実施形態と同様であるので、重複となる説明は省略または簡略化する。
図11は、定着ローラー51aにブレーキ動作およびアシスト動作をさせた場合と、加圧ローラー52にブレーキ動作およびアシスト動作をさせた場合とで、定着ニップNの用紙900排出側の形状の変化を比較して示す図である。図5と同様に、51a(N)は、基準状態における定着ローラー51aの、定着ニップNの用紙900排出側の形状を示している。51a(B)は、定着ローラー51aにブレーキ動作をさせた場合の、定着ローラー51aの、定着ニップNの用紙900排出側の形状を示している。51a(A)は、定着ローラー51aにアシスト動作をさせた場合の、定着ローラー51aの、定着ニップNの用紙900排出側の形状を示している。
図11のAは、定着ローラー51aに、補助駆動部材として、ブレーキ動作およびアシスト動作のそれぞれをさせた場合の定着ニップNの用紙900排出側の形状の変化を示している。図11のBは、加圧ローラー52に、補助駆動部材として、ブレーキ動作およびアシスト動作のそれぞれをさせた場合の定着ニップNの用紙900排出側の形状の変化を示している。
図11のAとBとを比較すると、定着ローラー51aにブレーキ動作およびアシスト動作させた場合と、加圧ローラー52にブレーキ動作およびアシスト動作させた場合とで、基準状態に対する定着ニップNの用紙900排出側の形状の変化が逆になる。
従って、定着ローラー51aにブレーキ動作およびアシスト動作させた場合と、加圧ローラー52にブレーキ動作およびアシスト動作させた場合とで、基準状態における吹出位置および吹出方向に対して、吹出位置および吹出方向を変化させる方向を逆にする。すなわち、定着ローラー51aにブレーキ動作およびアシスト動作させた場合は、第1実施形態において述べたように、定着ローラー51aにブレーキ動作をさせる場合は、吹出位置を、定着ニップからの用紙900の搬送経路に、基準状態より近づけるとともに、吹出方向と定着ニップNからの用紙900の排出方向がなす角度を、基準状態より小さくする。定着ローラー51aにアシスト動作をさせる場合は、吹出位置を、定着ニップからの用紙900の搬送経路に、基準状態より遠ざけるとともに、吹出方向と定着ニップNからの用紙900の排出方向がなす角度を、基準状態より大きくする。一方、本実施形態のように、加圧ローラー52にブレーキ動作をさせる場合は、吹出位置を、定着ニップからの用紙900の搬送経路から、基準状態より遠ざけるとともに、吹出方向と定着ニップNからの用紙900の排出方向がなす角度を、基準状態より大きくする。加圧ローラー52にアシスト動作をさせる場合は、吹出位置を、定着ニップからの用紙900の搬送経路に、基準状態より近づけるとともに、吹出方向と定着ニップNからの用紙900の排出方向がなす角度を、基準状態より小さくする。これにより、定着ローラー51aおよび加圧ローラー52のいずれを補助駆動部材として機能させても、補助駆動部材としてブレーキ動作をさせるかアシスト動作をさせるかに応じて、定着ニップNの用紙900の排出側端周辺の適当な吹き付け位置へ、適当な吹出位置および吹出角度でエアーを吹き付けることができる。
本発明の実施形態は以下の効果を奏する。
定着部材のうち、一方の第1部材を用紙の搬送を行う駆動部材として機能させ、他方の第2部材を定着部材とトナー像との間のマイクロスリップ量を基準状態より増加させるブレーキ動作、または減少させるアシスト動作のいずれかを行う補助駆動部材として機能させる。そして、第2部材にブレーキ動作をさせるかアシスト動作をさせるかに応じて、定着部材から用紙を分離させるためのエアーの吹き出し位置および吹き出し角度の少なくともいずれか一方を変更する。これにより、画像の光沢度を制御しつつ、定着部材からの用紙の分離性の低下を抑止できる。
さらに、基準状態より第1部材の駆動トルクが増加するように第2部材の駆動を制御することで、第2部材にブレーキ動作をさせる。そして、基準状態より第1部材の駆動トルクが減少するように第2部材の駆動を制御することで、第2部材にアシスト動作をさせる。これにより、第2部材を容易に補助駆動部材として機能させることができる。
さらに、第1部材の表層速度に対する第2部材の表層速度を、基準状態より減少させるように第2部材の駆動を制御することで、第2部材にブレーキ動作をさせる。そして、第1部材の表層速度に対する第2部材の表層速度を、基準状態より増加させるように第2部材の駆動を制御することで、第2部材に前記ブレーキ動作をさせる。これにより、第2部材を容易に補助駆動部材として機能させることができる。
さらに、加圧部材を駆動部材として機能させ、定着部材を補助駆動部材として機能させる。定着部材にブレーキ動作をさせる場合、エアーの吹き出し位置を、定着ニップからの記録媒体の排出経路に基準状態より近づけるとともに、エアーの吹き出し方向と、定着ニップからの記録媒体の排出方向とがなす角度を基準状態より小さくする。そして、定着部材にアシスト動作をさせる場合、エアーの吹き出し位置を、定着ニップからの記録媒体の排出経路から基準状態より遠ざけるとともに、エアーの吹き出し方向と、定着ニップからの記録媒体の排出方向とがなす角度を基準状態より大きくする。これにより、効果的に、定着部材からの記録媒体の分離性を向上できる。
さらに、加圧部材を駆動部材として機能させ、定着部材を補助駆動部材として機能させる。定着部材にブレーキ動作をさせる場合、エアーの吹き出し位置を基準状態から変えずに、エアーの吹き出し方向と、定着ニップから排紙される記録媒体の排紙方向とがなす角度を基準状態より大きくする。そして、定着部材にアシスト動作をさせる場合、エアーの吹き出し位置を基準状態から変えずに、エアーの吹き出し方向と、定着ニップから排紙される記録媒体の排紙方向とがなす角度を基準状態より小さくする。これにより、効果的に、定着部材からの記録媒体の分離性を向上できるとともに部材の数を低減できる。
さらに、第2部材に、ブレーキ動作をさせるか、アシスト動作をさせるかに応じて、定着ニップの排紙側に配置された排紙側設置部材の位置および傾斜角度の少なくともいずれか一方を変更させる。これにより、排紙側設置部材の機能を確保できるとともに、記録媒体の搬送性を安定させることができる。
さらに、第2部材に行わせる前記動作、および記録媒体の種類に基づいて、エアーの吹き出し位置および吹き出し角度を変更する。これにより、記録媒体の分離性の良否に応じて、エアーの吹き出し位置および吹き出し角度を変更するかどうか判断することで、効果的に定着部材からの記録媒体の分離性を向上できるとともに、不要な、エアーの吹き出し位置および吹き出し角度の変更を抑制できるため印刷物の生産性の低下を抑制できる。
さらに、記録媒体上のトナー像Tに基づく画像の光沢を制御するために第2部材にブレーキ動作をさせるか、アシスト動作をさせるかを制御する。これにより、第2部材にブレーキ動作およびアシスト動作をさせることによる効果をより有効に利用できる。
さらに、定着部材をベルトにする。これにより、定着部材をベルトにより構成することで、定着部材および加圧部材のいずれか一方を補助駆動部材として機能させたときの、基準状態に対する定着ニップの記録媒体の排出側の形状の変化が大きくなる。これは、ローラーの歪に加えてベルトの弛みも加わるためである。これにより、第2部材にブレーキ動作をさせるかアシスト動作をさせるかに応じて、定着部材から記録媒体を分離させるためのエアーの吹き出し位置および吹き出し角度の少なくともいずれか一方を変更することによる効果をより向上できる。
本発明は、上述した実施形態に限定されない。
例えば、実施形態においては、記憶媒体として用紙を例に説明したが、記録媒体は用紙に限定されず、樹脂フィルム等であってもよい。
また、実施形態においては、エアーがダクト531bから吹き出されるとして説明したが、ダクト531bを設けずに、シロッコファン531aから吹出方向へ直接エアーが吹き出されてもよい。
また、実施形態においてプログラムにより実行される処理の一部または全部を回路等のハードウェアに置き換えて実行され得る。