JP2021055042A - 可剥離塗膜、塗料セット、及び親水性塗膜形成用塗料 - Google Patents

可剥離塗膜、塗料セット、及び親水性塗膜形成用塗料 Download PDF

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Abstract

【課題】表面外観を劣化させることなく親水化可能な可剥離塗膜を提供する。【解決手段】水分散型樹脂組成物より形成された可剥離塗膜であって、前記塗膜の表面上にシリカ粒子が固定化されている可剥離塗膜。前記シリカ粒子がバインダを介して前記塗膜の表面上に固定化されており、バインダが無機系バインダであり、アルカリ金属ケイ酸塩、アルミノケイ酸塩、ホウケイ酸塩、アルカリ金属塩、及びホウ酸からなる群より選ばれる少なくとも1つである。【選択図】なし

Description

本発明は、可剥離塗膜、塗料セット、及び親水性塗膜形成用塗料に関する。
従来、構造物に対する汚れの付着及び擦傷を防止するために、構造物の表面を塗膜により保護する方法が用いられている。また、防汚効果を高めるため、塗膜表面を親水化する技術が知られている。
特許文献1には、メタノール及び/又はエタノールと、イソプロピルアルコール、ノルマルプロピルアルコール又はグリコールエーテルと、オルガノシリカゾルと、テトラヒドロフランと、ホウ酸とを含有する防曇防汚剤を、アクリル基材やポリカーボネート基材などの表面に塗布することにより、親水性、硬度、有機基材に対する密着強度及び耐水性が高く防汚防曇性能に優れる無機硬化塗膜を形成できることが開示されている。
特許文献2には、膨潤性層状珪酸塩、コロイダルシリカ及び架橋剤を含む組成物を用いることにより、耐汚染性、耐候性及び耐温水性に優れる親水性塗膜を形成できることが開示されている。
特開2013−203774号公報 特開2014−070138号公報
防汚塗膜においては、所定のタイミングまでは構造物に接着されて表面を保護し、適時容易に剥離可能であることが、防汚性・易交換性の観点から望ましい。このような剥離可能な塗膜(以下、可剥離塗膜ともいう)としては、水分散型樹脂組成物から形成された塗膜が挙げられる。
そこで、本発明者らは当該可剥離塗膜に対して、塗膜表面の親水化を試みた。しかしながら、上記特許文献1のように、溶媒として有機溶剤を含む溶剤系の塗料を用いて塗膜表面の親水化を行ったところ、可剥離塗膜が溶剤に耐え切れずに変形してしまい、外観が劣化することから、可剥離塗膜の親水化方法としては適さないことがわかった。また、そもそも溶剤系の塗料を用いると、揮発した有機溶剤による人体への影響が懸念され、溶剤系の塗料を用いずに塗膜表面を親水化することが望ましい。
また、特許文献2のように、溶媒として水等を用いる水系の塗料を用いる場合であっても、架橋剤を用いてシリカ粒子を塗膜表面に架橋して親水化を行う場合、可剥離塗膜に対しては塗膜とシリカ粒子との間に架橋構造を形成できず、可剥離塗膜の表面を親水化できないことがわかった。
そこで、本発明者らは、可剥離塗膜の表面を親水化する方法について鋭意研究を重ねた。その結果、コロイダルシリカ、バインダ及び水系溶媒を含む塗料を用いることにより、表面外観を劣化させることなく、バインダを介して塗膜表面にシリカ粒子が固定化され、可剥離塗膜表面を親水化できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は、下記〔1〕〜〔14〕のとおりである。
〔1〕
水分散型樹脂組成物より形成された可剥離塗膜であって、
前記塗膜の表面上にシリカ粒子が固定化されている可剥離塗膜。
〔2〕
前記シリカ粒子がバインダを介して前記塗膜の表面上に固定化されている、〔1〕に記載の可剥離塗膜。
〔3〕
前記バインダが無機系バインダである、〔2〕に記載の可剥離塗膜。
〔4〕
前記無機系バインダが、アルカリ金属ケイ酸塩、アルミノケイ酸塩、ホウケイ酸塩、アルカリ金属塩、及びホウ酸からなる群より選ばれる少なくとも1つのバインダを含有する、〔3〕に記載の可剥離塗膜。
〔5〕
前記塗膜の表面上に抗菌剤が固定化されている、〔1〕〜〔4〕のいずれか1項に記載の可剥離塗膜。
〔6〕
水分散型樹脂組成物からなる、可剥離塗膜を形成するための可剥離塗膜形成用塗料と、
コロイダルシリカ、バインダ及び水系溶媒を含有する、前記可剥離塗膜上に親水性塗膜を形成するための親水性塗膜形成用塗料と、を含む塗料セット。
〔7〕
前記バインダが無機系バインダである、〔6〕に記載の塗料セット。
〔8〕
前記無機系バインダが、アルカリ金属ケイ酸塩、アルミノケイ酸塩、ホウケイ酸塩、アルカリ金属塩、及びホウ酸からなる群より選ばれる少なくとも1つのバインダを含有する、〔7〕に記載の塗料セット。
〔9〕
前記親水性塗膜形成用塗料が抗菌剤をさらに含有する、〔6〕〜〔8〕のいずれか1項に記載の塗料セット。
〔10〕
前記親水性塗膜形成用塗料が湿潤剤をさらに含有する、〔6〕〜〔9〕のいずれか1項に記載の塗料セット。
〔11〕
前記親水性塗膜形成用塗料が、水系溶媒100重量部に対して、コロイダルシリカ(固形分)を0.1〜30重量部、バインダを0.01〜10重量部含有する、〔6〕〜〔10〕のいずれか1項に記載の塗料セット。
〔12〕
コロイダルシリカ、アルカリ金属ケイ酸塩及び水系溶媒を含有する、親水性塗膜形成用塗料。
〔13〕
抗菌剤をさらに含有する、〔12〕に記載の親水性塗膜形成用塗料。
〔14〕
湿潤剤をさらに含有する、〔12〕または〔13〕に記載の親水性塗膜形成用塗料。
本発明は、塗膜表面の親水性が高く、かつ表面外観が良好な可剥離塗膜を提供できる。
また、本発明は、塗膜表面の親水性が高く、かつ表面外観が良好な可剥離塗膜を形成可能な、塗料セットを提供できる。
図1は、実施形態の可剥離塗膜上に親水性塗膜が形成された状態を示す模式図である。 図2は、被着体上に親水化された可剥離塗膜が形成された状態を示す模式図である。
以下、本発明の実施形態について、詳細に説明する。なお、本明細書において、質量を基準とする百分率等は、重量を基準とする百分率等と同義である。
<シリカ粒子が固定化されている可剥離塗膜>
本実施形態の可剥離塗膜は、塗膜の表面上にシリカ粒子が固定化されている。これにより、可剥離塗膜の表面が優れた親水性を示す。
本実施形態の可剥離塗膜において、塗膜の表面にシリカ粒子を固定化するには、図1に示すように、可剥離塗膜31上にコロイダルシリカ、バインダ及び水系溶媒を含有する塗料(後述する親水性塗膜形成用塗料)を塗布し、塗膜表面に親水性塗膜21を形成することにより行うことができる。これによりバインダを介して可剥離塗膜の表面にシリカ粒子が固定化される。
〔可剥離塗膜〕
本実施形態における可剥離塗膜とは、塗膜が割れずにシート状に剥離可能な塗膜をいう。可剥離塗膜は、水分散型樹脂組成物からなる可剥離塗膜形成用塗料を塗布乾燥することにより形成することができ、シート剥離可能なため除去作業を容易にし得る。
本実施形態における可剥離塗膜において、引張試験による膜の破断強度(引張破断強度)と、SUS板(SUS304)に塗膜を形成した場合における塗膜とSUS板(SUS304)との接着力との比は、塗膜の可剥離性を表す指標とすることができる。引張破断強度は、塗膜を引張したときの塗膜の破断しにくさを示す強度である。引張破断強度が低いと、塗膜を被着体から剥離する際に、塗膜が破断し、剥離が困難になってしまう。また、接着力が高いと被着体から塗膜を剥離するために必要な力が大きくなり、その結果、塗膜が破断しやすくなる。したがって、塗膜を破断させずに容易に剥離するためには、引張破断強度の、接着力に対する比が高いことが必要となる。
本実施形態における可剥離塗膜は、以下の指標を満たすものであってよい。すなわち、下記引張破断強度(N/20mm)の接着力(N/20mm)に対する比率(剥離性指標)が、1.5以上である。剥離性指標は、剥離作業のしやすさの観点から2.5以上であることが好ましく、3.0以上であることがより好ましく、5.0以上であることがさらに好ましい。
引張破断強度は、以下の方法で測定する値を意味する。PETフィルム(製品名「ルミラー(登録商標)S10」、東レ(株)製、厚み75μm)の表面に、水分散型樹脂組成物からなる可剥離塗膜形成用塗料をアプリケーターで塗工し、25℃で12時間乾燥させ、厚み(引張膜厚)が100μmのサンプルを作製する。得られた膜をさらに35℃で4時間乾燥させた後、20mm×80mmの大きさになるように切り取り、引張試験機を用いて初期長60mm、引張速度300mm/minにて引張破断強度を測定する。サンプルの幅を20mmとしたものとして換算した値を引張破断強度(N/20mm)とする。
接着力は、以下の方法で測定する値を意味する。SUS板(SUS304)の表面に、水分散型樹脂組成物からなる可剥離塗膜形成用塗料をアプリケーターで塗工し、25℃で12時間乾燥させ、更に35℃で4時間乾燥させ、厚み(ピール膜厚)100μmのサンプルを作製する。次に塗膜が20mm×100mmの大きさになるように、それ以外の部分を取り除く。引張試験機を用いて、塗膜をSUS基板から、剥離角度180度、剥離速度300mm/minで引きはがした際の力を接着力として測定する。サンプルの幅を20mmとしたものとして換算した値を接着力(N/20mm)とする。
上記引張破断強度は、2.0N/20mm以上であることが好ましく、2.5N/20mm以上であることがより好ましく、3.0N/20mm以上であることがさらに好ましい。塗膜の引張破断強度が2.0N/20mm以上であれば、塗膜の強度が十分に高く、可剥離塗膜とすることができる。また、外力による塗膜の変形が防止される。
上記接着力は、密着性の観点から、0.5N/20mm以上であることが好ましく、1.0N/20mm以上であることがより好ましい。また、剥離する際の作業性の観点から15N以下であることが好ましく、10N/20mm以下であることがより好ましく、5N/20mm以下であることがさらに好ましい。
本実施形態における可剥離塗膜は、水分散型樹脂組成物からなる可剥離塗膜形成用塗料を塗布乾燥することにより形成する。水分散型樹脂組成物は、常温(25℃)で成膜が可能なため取り扱い性に優れる。また、水分散型樹脂組成物により成膜した塗膜は一定程度膨潤することにより、後述するシリカ粒子をバインダを介して塗膜表面に固定化することができ、かつ、膨潤しすぎないため汚れが付着した場合においても塗膜内部に汚れが浸透するのを防ぎ、優れた防汚効果を発揮する。また、塗膜の表面を水等で洗浄することも可能となる。
本実施形態において、可剥離塗膜の含水率は膨潤性の指標とすることができ、塗膜の膨潤性と防汚効果とは相関性がある。
塗膜が優れた防汚効果を発揮するには、可剥離塗膜の含水率は200%以下であることが好ましく、120%以下であることがより好ましい。また、水分散型樹脂組成物としてアクリル系エマルションを用いる場合、含水率が120%以下であることが好ましく、110%以下であることがより好ましい。一方、水分散型樹脂組成物としてウレタン系エマルションを用いる場合、含水率が200%以下であることが好ましく、120%以下であることがより好ましい。
また、バインダを介してシリカ粒子が塗膜表面に固定化されるという観点では、含水率が103%以上であることが好ましく、105%以上であることがより好ましい。なお、含水率が100%に近いほど膨潤性が低いことを示す。ここで含水率とは、初期を100%としたときの質量変化率を示す。
本実施形態において、可剥離塗膜の含水率は、塗膜を25℃の5%エタノール水溶液に2時間浸漬し、浸漬前後の質量を測定し、下記式(1)により算出することができる。
式(1):含水率(%)=100+〔(浸漬後質量−浸漬前質量)/浸漬前質量〕×100
また、本実施形態の可剥離塗膜の剥離性や膨潤性は、水分散型樹脂組成物からなる親水性塗膜形成用塗料の組成により調整することができる。例えば、含有されうる樹脂の種類及び含有量、樹脂と併用されうる剥離剤又は成膜助剤の種類および含有量等により調整することができる。
水分散型樹脂組成物は、少なくとも樹脂が水中に分散含有されている水分散液である。当該水分散液としては、通常は、界面活性剤の存在下に樹脂が分散しているものが用いられるが、樹脂が水中に分散含有されているものであれば、自己分散性樹脂の自己分散によって、水分散液になっているものを用いることができる。
(樹脂)
水分散型樹脂組成物においては、各種の樹脂を用いることができ、例えば、アクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ゴム系樹脂、シリコーン系樹脂、ビニルアルキルエーテル系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリビニルピロリドン系樹脂、ポリアクリルアミド系樹脂、セルロース系樹脂、ポリエステル系樹脂、フッ素系樹脂などが挙げられる。アクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ゴム系樹脂より選択される少なくとも1種が好ましく、アクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂がより好ましい。
アクリル系樹脂としては、例えば、アルキル(メタ)アクリレートを含むモノマー成分を乳化重合することにより得られたものであることが好ましい。
アルキル(メタ)アクリレートとしては、例えばメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、テトラデシル(メタ)アクリレート等が挙げられる。このようなアルキル(メタ)アクリレートは、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。なかでも好ましいアルキル(メタ)アクリレートとして、n−ブチルアクリレート(BA)および2−エチルヘキシルアクリレート(2EHA)が挙げられる。
本明細書において、「(メタ)アクリル」とは、アクリルおよび/またはメタクリルを意味する。アクリル系樹脂は、アクリル酸またはその誘導体を構成モノマー成分とするもの、およびメタクリル酸またはその誘導体を構成モノマー成分とするものを包含する。
アクリル系樹脂の合成に用いられる全モノマー成分に占めるアルキル(メタ)アクリレートの割合は、好ましくは70質量%以上、より好ましくは85質量%以上、さらに好ましくは90質量%以上である。アルキル(メタ)アクリレートの割合の上限は特に限定されないが、通常は99.5質量%以下(例えば99質量%以下)とすることが好ましい。あるいは、アクリル系樹脂は実質的にアルキル(メタ)アクリレートのみを重合したものであってもよい。
ポリウレタン系樹脂は、代表的には、ポリオールとポリイソシアネートの反応生成物である。ポリオール成分としては、ポリアクリルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール等の高分子ポリオールが好ましく用いられる。
ポリアクリルポリオールは、代表的には、(メタ)アクリル酸エステルと水酸基含有モノマーとの重合により得られる。(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル等が挙げられる。水酸基含有モノマーとしては、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸3−ヒドキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシペンチル等の(メタ)アクリル酸のヒドロキシアルキルエステル;グリセリン、トリメチロールプロパン等の多価アルコールの(メタ)アクリル酸モノエステル;N−メチロール(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。
ポリエステルポリオールは、代表的には、多塩基酸とポリオールとの反応により得られる。多塩基酸としては、オルトフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、2,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、ビフェニルジカルボン酸、テトラヒドロフタル酸等の芳香族ジカルボン酸;シュウ酸、コハク酸、マロン酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、デカンジカルボン酸、ドデカンジカルボン酸、オクタデカンジカルボン酸、酒石酸、アルキルコハク酸、リノレイン酸、マレイン酸、フマル酸、メサコン酸、シトラコン酸、イタコン酸等の脂肪族ジカルボン酸;ヘキサヒドロフタル酸、テトラヒドロフタル酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環式ジカルボン酸;あるいは、これらの酸無水物、アルキルエステル、酸ハライド等の反応性誘導体等が挙げられる。
ポリエーテルポリオールは、代表的には、多価アルコールにアルキレンオキシドを開環重合して付加させることにより得られる。多価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン等が挙げられる。アルキレンオキシドとしては、例えば、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、スチレンオキシド、テトラヒドロフラン等が挙げられる。
ポリイソシアネートとしては、テトラメチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、1,4−ブタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、2−メチルペンタン−1,5−ジイソシアネート、3−メチルペンタン−1,5−ジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート;イソホロンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、4,4′−シクロヘキシルメタンジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、メチルシクロヘキシレンジイソシアネート、1,3−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン等の脂環族ジイソシアネート;トリレンジイソシアネート、2,2′−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4′−ジフェニルジメチルメタンジイソシアネート、4,4′−ジベンジルジイソシアネート、1,5−ナフチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、1,3−フェニレンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート;ジアルキルジフェニルメタンジイソシアネート、テトラアルキルジフェニルメタンジイソシアネート、α,α,α,α−テトラメチルキシリレンジイソシアネート等の芳香脂肪族ジイソシアネート等が挙げられる。
ポリスチレン系樹脂としては、例えば、SBS(スチレン・ブタジエンブロック共重合体)、SIS(スチレン・イソプレンブロック共重合体)、SEBS(スチレン・エチレン・ブチレン・スチレンブロック共重合体)、SEPS(スチレン・エチレン・プロピレン・スチレンブロック共重合体)、SEEPS(スチレン・エチレン・エチレン・プロピレン・スチレンブロック共重合体)を用いることができる。
ゴム系樹脂としては、例えば、アクリルゴム、ジエン系ゴム、ブチルゴム、ニトリルゴム、水素化ニトリルゴム、フッ素ゴム、シリコーンゴム、エチレンプロピレンゴム、クロロプレンゴム、ウレタンゴム、エピクロルヒドリンゴムを用いることができ、特に、アクリルゴム、ジエン系ゴム、ウレタンゴムを用いることが好ましい。ジエン系ゴムとしては、天然ゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、スチレンブタジエンゴム、クロロプレンゴム、アクリロニトリルブタジエンゴムを用いることができ、スチレンブタジエンゴムを用いることが好ましい。
水分散型樹脂組成物に、極性基を含有する化合物を含有させてもよい。このような化合物として、例えば、前記極性基を含有する樹脂、シランカップリング剤、架橋剤、シリコーンオイル等が挙げられる。極性基を含有する樹脂としては、例えば、アイオノマー、ロジン樹脂、シリコーンレジン等が挙げられる。
水分散型樹脂組成物中の樹脂成分に対する上記化合物の含有量は樹脂成分の総質量に対して、0.1〜95質量%であることが好ましく、0.5〜60質量%であることがより好ましく、更に好ましくは0.5〜40質量%であり、特に好ましくは0.5〜20質量%であり、最も好ましくは1〜20質量%である。
水分散型樹脂組成物中の樹脂成分の含有割合は、好ましくは5〜95質量%であり、より好ましくは10〜90質量%であり、さらに好ましくは15〜80質量%であり、特に好ましくは20〜70質量%であり、最も好ましくは25〜60質量%である。
水分散型樹脂組成物は、エマルションであってもよく、乳化重合により得られたポリマーエマルションを用いたエマルション型樹脂組成物であることが好ましい。
エマルション型樹脂組成物としては、例えば、上記の樹脂成分を含むエマルションが挙げられ、アクリル系樹脂を含むアクリル系エマルション、又はウレタンゴムを含むウレタン系エマルションが好ましい。
乳化重合は、常法により、モノマー成分を水に乳化させた後に、乳化重合することにより行う。これにより水分散液(ポリマーエマルション)を調製する。乳化重合では、例えば、モノマー成分とともに、界面活性剤(乳化剤)、ラジカル重合開始剤、必要に応じて連鎖移動剤などが適宜配合される。より具体的には、例えば、一括仕込み法(一括重合法)、モノマー滴下法、モノマーエマルション滴下法などの公知の乳化重合法を採用することができる。
なお、モノマー滴下法、モノマーエマルション滴下法では、連続滴下又は分割滴下が適宜選択される。これらの方法は適宜に組み合わせることができる。反応条件などは、適宜選択されるが、重合温度は、例えば、40〜95℃程度であるのが好ましく、重合時間は30分間〜24時間程度であるのが好ましい。
乳化重合に用いる開始剤は、従来公知の重合開始剤から適宜選択することができる。例えば、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ系重合開始剤を好ましく使用し得る。重合開始剤の他の例としては、過硫酸カリウム等の過硫酸塩;ベンゾイルパーオキサイド、過酸化水素等の過酸化物系開始剤;フェニル置換エタン等の置換エタン系開始剤;芳香族カルボニル化合物;等が挙げられる。
重合開始剤のさらに他の例として、過酸化物と還元剤との組み合わせによるレドックス系開始剤が挙げられる。このような重合開始剤は、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。重合開始剤の使用量は、通常の使用量であればよく、モノマー原料100質量部に対して0.005〜1質量部(典型的には0.01〜1質量部)程度の範囲から選択することができる。
乳化剤としては、アニオン系、ノニオン系、カチオン系のいずれも使用可能である。これらは1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。通常は、アニオン系またはノニオン系の乳化剤の使用が好ましい。
アニオン系乳化剤としては、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸アンモニウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸アンモニウム、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸ナトリウム等が例示される。
ノニオン系乳化剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル等が例示される。
上述したようなアニオン系またはノニオン系乳化剤にプロペニル基等のラジカル重合性基が導入された構造のラジカル重合性乳化剤(反応性乳化剤)を使用してもよい。特に限定するものではないが、樹脂の合成時における重合安定性や粘着剤組成物の保存安定性等の観点から、ラジカル重合性基を有しない乳化剤のみを使用する態様を好ましく採用し得る。
上記重合には、必要に応じて、従来公知の各種の連鎖移動剤(分子量調節剤あるいは重合度調節剤としても把握され得る。)を使用することができる。かかる連鎖移動剤は、例えば、n−ラウリルメルカプタン、tert−ラウリルメルカプタン、グリシジルメルカプタン、2−メルカプトエタノール等のメルカプタン類から選択される1種または2種以上であり得る。なかでも好ましい連鎖移動剤として、n−ラウリルメルカプタンおよびtert−ラウリルメルカプタンが挙げられる。
モノマー原料の重合において連鎖移動剤を使用する場合、その使用量は特に制限されない。例えば、モノマー原料100質量部に対して0.001〜0.5質量部程度とすることができ、通常は0.01〜0.1質量部とすることが好ましい。
得られる樹脂のMwは、典型的には10×10以上であり、通常は20×10以上が適当である。粘着力と凝集力とを好適に両立する観点から、Mwは、30×10以上であることが好ましく、40×10以上(例えば50×10以上)であることがより好ましい。Mwの上限は特に制限されず、例えば500×10以下、典型的には200×10以下、好ましくは150×10以下であり得る。
Mwは、例えば、重合開始剤の種類と使用量、重合温度、乳化剤の種類と使用量、連鎖移動剤の使用の有無および使用する場合における種類と使用量、モノマー原料の組成、架橋の種類および程度(ゲル分率)等により調節することができる。
(剥離剤及び成膜助剤)
水分散型樹脂組成物は、剥離剤又は成膜助剤を含んでいてもよい。
剥離剤とは、形成した塗膜の接着力を調整し、被着体からの剥離を助ける添加剤である。剥離剤を含むことにより、水分散型樹脂組成物により形成された塗膜と保護すべき被着体とが適度な密着性を有し、塗膜剥離する際は該塗膜を傷付けることなく完全に剥離できる機能を長期間維持しやすくなる。
剥離剤としては、界面活性剤系、多価アルコール系、ワックス系などから選ばれる少なくとも1種以上の化合物が好適に使用できる。これらは水に溶解、もしくは分散化されたもの、もしくは粉末状のいずれのものであっても使用できる。
アニオン系界面活性剤としては、例えば、オレイン酸ソーダ、半硬化牛脂ソーダ、オレイン酸カリ等の脂肪酸塩、ラウリル硫酸エステルソーダ、高級アルコール硫酸エステルソーダ、ラウリルアルコール硫酸エステルトリエタノールアミン塩、ラウリルアルコール硫酸エステルアンモニウム塩等の高級アルコール硫酸エステル塩、ドデシルベンゼンスルホン酸ソーダ等のアルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルフォン酸ソーダ等のアルキルナフタレンスルフォン酸塩、ナフタレンスルフォン酸ホルマリン縮合物、ジオクチルスルフォ琥珀酸ソーダ等のジアルキルスルフォ琥珀塩、アルキルリン酸塩、及び上記アニオン系界面活性剤に酸化エチレンを付加したもの等が挙げられ、これらは、単独で使用しても又2種以上を併用して使用しても良い。
特にリン酸エステル型界面活性剤(例えば、フォスファノールRS−410(東邦化学工業(株)製)等)が好ましく、その使用量は、本発明の水分散型樹脂組成物中、0.001〜5質量%、好ましくは0.005〜3質量%、更に好ましくは0.005〜1質量%である。
また、上記アニオン系界面活性剤に、ノニオン系の界面活性剤、例えばポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンモノラウレート、ポリオキシエチレンモノステアレート等のポリオキシエチレンアルキルエステル、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノステアレート等のソルビタンエステル、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート等のポリオキシエチレンソルビタンアルキルエステル、ポリオキシエチレンポリプロピレンブロックポリマー等を併用することもできる。
さらに、両性界面活性剤、例えば、ジメチルアルキルベタイン、ラウリルベタイン、ステアリルベタイン等のベタイン型両性界面活性剤、少量のカチオン界面活性剤等を併用することもできる。
多価アルコールとしては、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、カテコール、ブタンジオール、ペンタンジオール、エリスリトール、グリセリンモノアルキルエステル、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等が例示でき、好ましくはエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン等があげられる。
ワックス系としては、具体的には植物系;キャンデリワックス、カルナバワックス、ライスワックス、木ろう、ホホバ油など、動物系;みつろう、ラノリン、鯨ろうなど、鉱物系;モンタンワックス、オゾケライト、セレシンなど、石油系;パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ペトロラタムなど、合成炭化水素系;フィッシャー・トロブシュワックス、酸化ポリエチレンワックス、ポリエチレンワックス、アクリル−エチレン共重合体ワックスなど、変性ワックス系;モンタンワックス誘導体、パラフィンワックス誘導体、マイクロクリスタリンワックス誘導体など、水素系ワックス;硬化ひまし油、硬化ひまし油誘導体など、その他;12−ヒドロキシステアリン酸、ステアリン酸アミド、無水フタル酸イミド、ビスアマイド、アマイド、グリセリンエステル、ソルビタンエステル、高級アルコール(C12以上、好ましくはC16以上)、高級脂肪酸(C12以上、好ましくはC16以上)などが挙げられる。
成膜助剤とは、塗膜の形成を助ける添加剤である。成膜助剤は、塗膜が形成された後においては比較的速やかに蒸発して塗膜の強度を向上させる一時的な可塑化機能を担うものであり、沸点が110〜200℃の有機溶剤が好適に用いられる。
例えば、水分散型樹脂組成物が、樹脂成分を含むエマルションである場合、成膜助剤を配合することで、MFTが室温(15〜35℃)以上の樹脂成分であっても室温環境下で成膜が可能となり、均一性の高い塗膜が得られる。
具体的には、テキサノール、プロピレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールメチルエーテル、エチレングリコールエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、カルビトール、ブチルカルビトール、ジブチルカルビトール、又は、ベンジルアルコール等が挙げられる。中でも、テキサノールは少量で高い成膜助剤効果を有するため特に好ましい。
これら成膜助剤は、上記水分散型樹脂組成物中に0.5〜15質量%含まれることが好ましい。
水分散型樹脂組成物が、樹脂(樹脂成分)として、例えば、アクリル系樹脂を含む場合には、成膜助剤としてテキサノール、又は剥離剤としてリン酸エステル型界面活性剤を含むことが好ましい。
水分散型樹脂組成物が、樹脂としてアクリル系樹脂を含有し、剥離剤を更に含有することが好ましい。
水分散型樹脂組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切なオイルを含んでいてもよい。このようなオイルとしては、例えば、シリコーンオイル、流動パラフィン、界面活性剤、液状炭化水素、フッ化オイル、ワックス、ペトロラタム、動物脂類、脂肪酸などが挙げられる。これらは、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
水分散型樹脂組成物が、このようなオイルを含む場合、塗膜の防汚効果がより十分に発現できる場合がある。また、長期にわたって汚れの付着をより効果的に防止できる場合がある。そのため、塗膜の外観特性や機械的特性がより十分に発現できる場合がある。
界面活性剤としては、例えば、アニオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、両性界面活性剤、カチオン系界面活性剤、などが挙げられる。
アニオン系界面活性剤としては、例えば、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルまたはアルケニルエーテル硫酸塩、アルキルまたはアルケニル硫酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、α−スルホ脂肪酸またはエステル塩、アルカンスルホン酸塩、飽和または不飽和脂肪酸塩、アルキルまたはアルケニルエーテルカルボン酸塩、アミノ酸型界面活性剤、N−アシルアミノ酸型界面活性剤、アルキルまたはアルケニルリン酸エステルまたはその塩などが挙げられる。アニオン界面活性剤は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
ノニオン系界面活性剤としては、例えば、ポリオキシアルキレンアルキルまたはアルケニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、高級脂肪酸アルカノールアミドまたはそのアルキレンオキサイド付加物、ショ糖脂肪酸エステル、アルキルグリコキシド、脂肪酸グリセリンモノエステル、アルキルアミンオキサイドなどが挙げられる。ノニオン界面活性剤は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
両性界面活性剤としては、例えば、カルボキシ型またはスルホベタイン型両性界面活性剤などが挙げられる。両性界面活性剤は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
カチオン系界面活性剤としては、例えば、第4級アンモニウム塩などが挙げられる。カチオン界面活性剤は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
水分散型樹脂組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な他の添加剤を含んでいてもよい。このような他の添加剤としては、例えば、増粘剤(例えば会合型、合成高分子型、アルカリ増粘型等)、着色剤、耐候剤として紫外線吸収剤、光安定剤、抗菌剤、酸化防止剤、消泡剤、珪藻付着防止剤、農薬、医薬品(メデトミジンなど)、酵素活性阻害剤(アルキルフェノール、アルキルレゾルシノールなど)、生物忌避剤、フィラー等が挙げられる。
抗菌剤としては、本発明の効果を損なわない範囲で任意の適切な抗菌剤を採用し得る。このような抗菌剤としては、いわゆる抗菌剤、防カビ剤などが挙げられる。
いわゆる抗菌剤としては、例えば、アゾキシストロビン、ベナラキシル、ベノミル、ビテルタノール、ブロムコナゾール、キャプタホール、キャプタン、カルベンダジム、キノメチオネート、クロロタロニル、クロゾリナート、シプロジニル、ジクロフルアニド、ジクロフェン、ジクロメジン、ジクロラン、ジエトフェンカルブ、ジメトモルフ、ジニコナゾール、ジチアノン、エポキシコナゾール、ファモキサドン、フェナリモル、フェンブコナゾール、フェンフラム、フェンピクロニル、フェンチン、フルアジナム、フルジオキソニル、フルオルイミド、フルキンコナゾール、フルスルファミド、フルトラニル、ホルペット、ヘキサクロロベンゼン、ヘキサコナゾール、イミベンコナゾール、イポコナゾール、イプロジオン、クレソキシムメチル、マンゼブ、マンネブ、メパニピリム、メプロニル、メトコナゾール、メチラム、ニッケルビス(ジメチルジチオカルバメート)、ヌアリモル、オキシン銅、オキソリン酸、ペンシクロン、フタリド、プロシミドン、プロピネブ、キントゼン、硫黄、テブコナゾール、テクロフタラム、テクナゼン、チフルザミド、チオフェネートメチル、チラム、トルクロホスメチル、トリルフルアニド、トリアジメホン、トリアジメノール、トリアゾキシド、トリホリン、トリチコナゾール、ビンクロゾリン、ジネブ、ジラムなどが挙げられる。
また、天然物の抗菌剤として、例えば、孟宗竹抽出物、ヒノキチオール、ニンニクエキス、カンゾウなどの漢方成分が挙げられる。また、銀、銅、亜鉛、錫、鉛、金などの無機抗菌剤が挙げられる。また、必要に応じて、これら無機抗菌剤の担体として、ゼオライト、ヒドロキシアパタイト、炭酸カルシウム、ケイ酸アルミニウムカルシウム、ポリシロキサン化合物、リン酸ジルコニウム、硫酸ジルコニウム、イオン交換体、酸化亜鉛などが使用できる。
合成物の抗菌剤としては、例えば、2−ピリジンチオール−1−オキサイド、p−クロロ−m−クレゾール、ポリヘキサメチレンヒグアナイド、ハイドロクロライド、塩化ベンゼトニウム、アルキルポリアミノエチルグリシン、ベンズイソチアゾリン、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン、2,2’−ジチオ−ビス−(ピリジン−1−オキサイド)などが挙げられる。
防カビ剤としては、例えば、デヒドロ酢酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、ナトリウムピリジンチオン−1−オキシド、p−ヒドロキシ安息香酸エチルエステル、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン及びその塩等が挙げられる。
水分散型樹脂組成物には、強度を向上させるために、フィラーなどを添加させることができる。フィラーとしては、例えば、シリカ粒子、マイカ、カオリン、タルク、珪藻土などが挙げられる。また、粒子の大きさとしては、好ましくは、平均粒径が5nm〜300nmである。粒子の大きさを上記範囲内に調整することにより、塗膜に十分な強度を付与し得るとともに、塗膜中に該粒子が均一に分散し得、塗膜に衝撃が加わった際にクラックが生じにくくなり得る。また、塗膜と被着体との間の密着性も向上し得る。粒子の添加量は、樹脂成分の総質量に対して、好ましくは0.1質量%〜10質量%である。
〔シリカ粒子〕
本実施形態の可剥離塗膜は、塗膜の表面上にシリカ粒子が固定化されている。塗膜の表面上にシリカ粒子を固定化するには、可剥離塗膜の表面に、コロイダルシリカ、バインダ及び水系溶媒を含有する塗料(親水性塗膜形成用塗料)を塗布乾燥し、塗膜表面に親水性塗膜を形成することにより行うことができる。これにより、バインダを介して、可剥離塗膜の表面にシリカ粒子が固定化される。
コロイダルシリカは、塗膜に親水性を付与し、防汚性を向上させることができる。コロイダルシリカとしては、例えば、特開昭53−112732号公報、特公昭57−9051号公報、特公昭57−51653号公報などにも記載されるように、二酸化ケイ素(無水ケイ酸)の微粒子のコロイドなどが挙げられる。
また、コロイダルシリカは、必要により、例えば、アルミナ、アルミン酸ナトリウムなどを含有することができ、また、必要により、無機塩基(例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、アンモニアなど)や、有機塩基(例えば、テトラメチルアンモニウムなど)などの安定剤を含有することもできる。
このようなコロイドダルシリカは、特に制限されず、公知のゾル−ゲル法など、具体的には、例えば、Werner Stober et al;J.Colloid and Interface Sci.,26,62−69(1968)、Rickey D.Badley et al;Langmuir 6,792−801(1990)、色材協会誌,61[9]488−493(1988)などに記載されるゾル−ゲル法などにより、製造することができる。
コロイダルシリカは、防汚性の観点から、球状のシリカ粒子が水中に分散したタイプの水分散コロイダルシリカを使用することが好ましい。また、コロイダルシリカ中に分散する球状シリカ粒子は、平均粒子径が、5〜100nmであることが好ましい。該平均粒子径が5nm未満では下塗り層である可剥離塗膜との密着性が十分でなく剥がれやすくなる、一方、100nmを超えると膜の透明性が損なわれる傾向がある。
また、コロイダルシリカの粘度は1〜25mPa・sであることが好ましい。
また、コロイダルシリカのpHは7〜12であることが好ましく、8〜10であることがより好ましい。
また、このようなコロイダルシリカとしては、市販品を用いることができ、具体的には、例えば、商品名「スノーテックス(登録商標)−XL」、「スノーテックス(登録商標)−YL」、「スノーテックス(登録商標)−ZL」、「PST−2」、「スノーテックス(登録商標)−20」、「スノーテックス(登録商標)−30」、「スノーテックス(登録商標)−30L」、「スノーテックス(登録商標)−C」、「スノーテックス(登録商標)−O」、「スノーテックス(登録商標)−OS」、「スノーテックス(登録商標)−OL」、「スノーテックス(登録商標)−50」(以上、日産化学工業社製)、商品名「アデライト(登録商標)AT−30」、「アデライト(登録商標)AT−40」、「アデライト(登録商標)AT−50」(以上、日本アエロジル社製)などが挙げられる。
バインダとしては、可剥離塗膜の表面にシリカ粒子等を固定化する機能を有していれば、特に制限されるものではないが、シリカ粒子の可剥離塗膜への固定化の観点からシラノール基を有する無機系バインダであることが好ましい。
無機系バインダとしては、アルカリ金属ケイ酸塩、アルミノケイ酸塩、ホウケイ酸塩、アルカリ金属塩、及びホウ酸等が挙げられる。なかでもアルカリ金属ケイ酸塩が、シリカ粒子の可剥離塗膜への固定化の観点から好ましい。アルカリ金属ケイ酸塩としては、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、及びケイ酸リチウム等が挙げられる。
また、バインダとしては、セルロースナノファイバーを用いてもよい。
水系溶媒としては、水を含む溶液を用いることができる。ここで、水を含む溶液とは、純水であってもよく、水と水以外の物質との混合溶液又は混合溶媒であってもよい。水以外の物質としては、例えばエタノール等のアルコールが挙げられる。
可剥離塗膜の厚みは、用途や使用環境などによって、任意の適切な厚みを採用し得る。可剥離塗膜の厚みは、好ましくは10μm〜1000μmである。塗膜の厚みが上記範囲内に収まることにより、防汚効果が十分に長く有効に働く。可剥離塗膜の厚みが10μm以上であれば、防汚効果が有効に発揮され、実用的である。塗膜の厚みが1000μm以下であれば、作業効率に優れる。
また、親水性塗膜の厚みは、耐久性及び可剥離塗膜との密着性の観点から、好ましくは0.01μm〜1μmである。0.01μm以上であることにより塗膜表面に十分な耐久性が得られ、1μm以下であることにより可剥離塗膜との優れた密着性が得られる。
上記塗膜の膜厚は、例えば、PEAKOCK社製 RI−205を用いて測定することができる。
本実施態様のシリカ粒子が固定化されている可剥離塗膜は、2μmの水を塗膜表面に滴下し、5分間経過後にJIS R 3257:1999による静滴法により測定される塗膜表面の接触角が、40°以下であることが好ましく、20°以下であることがより好ましく、10°以下であることがさらに好ましい。
<塗料セット>
本実施形態の塗料セットは、水分散型樹脂組成物からなる、可剥離塗膜を形成するための可剥離塗膜形成用塗料と、コロイダルシリカ、バインダ及び水系溶媒を含有する、可剥離塗膜上に親水性塗膜を形成するための親水性塗膜形成用塗料とを含む。
〔可剥離塗膜形成用塗料〕
可剥離塗膜形成用塗料は、上記水分散型樹脂組成物からなり、上述したものを使用できる。
可剥離塗膜形成用塗料は、図2に示すように、被着体41に塗布し、乾燥させることにより、可剥離塗膜31を形成することができる。室温(25℃)下の乾燥でも均一性の高い塗膜を得ることができる。
塗布方法としては、スプレー、ハケ塗り、ローラー、カーテンフロー、ロール、ディップ、コーターなどの公知の塗布方法により任意の被着体に直接塗布することができる。
乾燥方法としては、例えば、0℃から250℃までの温度(好ましくは、室温(25℃)から180℃の温度、より好ましくは室温から160℃の温度)で、例えば2分〜12時間乾燥させることができる(第1の乾燥)。
必要に応じ、更に、例えば、0℃から250℃までの温度(好ましくは、室温(25℃)から180℃の温度、より好ましくは室温から160℃の温度)で、例えば2分〜12時間更に乾燥(第2の乾燥)させることができる。これにより粒界の融着が進み、塗膜の均一性が高くなるため、より膨潤しにくく、防汚効果に優れた塗膜を形成することができる。
第2の乾燥は、第1の乾燥温度より0〜20℃高い温度で、第1の乾燥温度より短時間の乾燥とすることが好ましい。
被着体としては、具体的には、金属製品、木工製品、プラスチック製品、ガラス製品、医療用部材(例えば、カテーテル、ステント、手袋、ピンセット、容器、ガイド、トレー等)、建造物(内外壁面、床面、及び天井面)、電子機器、運輸機器(例えば、自動車、二輪車及び鉄道等の車両、並びに船舶等)等、様々な構造物が挙げられる。
水分散型樹脂組成物は、有機溶剤の含有量が極めて少ないため、細胞培養用のシャーレ、マイクロウェル等のプレート、搬送トレー、容器、タンク、ガイド、食品製造機器、病院、老人ホームや幼稚園の壁や台、食品を取り扱う場所でのコーティング等の用途にも利用可能である。医療用機器等の医療用の防汚塗膜の形成に用いることができる。
〔親水性塗膜形成用塗料〕
親水性塗膜形成用塗料は、コロイダルシリカ、バインダ及び水系溶媒を含有し、これらは上記したものを使用できる。
親水性塗膜形成用塗料におけるコロイダルシリカ(固形分)の含有量は、水系溶媒100重量部に対して0.1重量部以上であることが好ましく、0.5重量部以上であることがより好ましく、1重量部以上であることがさらに好ましい。0.1重量部以上であることによって、塗工方法に依らず均一性の高いシリカ含有層が形成できる。また、30重量部以下であることが好ましく、20重量部以下であることがより好ましく、15重量部以下であることがさらに好ましい。30重量部以下であることによって、塗膜外観の劣化を防ぐことができる。
親水性塗膜形成用塗料におけるバインダの含有量は、水系溶媒100重量部に対して0.01重量部以上であることが好ましく、0.05重量部以上であることがより好ましく、0.1重量部以上であることがさらに好ましい。0.01重量部以上であることによって、シリカ粒子の密着性が高くなる。また、10重量部以下であることが好ましく、5重量部以下であることがより好ましく、1重量部以下であることがさらに好ましい。10重量部以下であることによって、ゲル化等の塗料組成物の不安定化を防ぐことができる。
親水性塗膜形成用塗料は、湿潤剤を含んでもよい。親水性塗膜形成用塗料が湿潤剤を含むことにより、可剥離塗膜の表面上に塗布する際、該表面の濡れ性を向上させることができ、該塗料を液ムラ無く塗布することができる。
湿潤剤としては特に限定はされず、例えば、アニオン系、ノニオン系、両性系、カチオン系の各種界面活性剤を用いることができる。具体的には、親水基にカルボキシル基、スルホン基をもつアニオン系界面活性剤として、脂肪酸石鹸、アルキルベンゼンスルホン酸塩が挙げられる。また第4級アンモニウム基を持つカチオン系界面活性剤、長鎖アルキルアミノ酸のように同一分子中にカチオン、アニオンの両方を持つ両性界面活性剤、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルのようなノニオン性の極性基を持つノニオン系界面活性剤などを挙げることもできる。
親水性塗膜形成用塗料における湿潤剤の含有量は、水系溶媒100重量部に対して0.01重量部以上であることが好ましく、0.1重量部以上であることがより好ましく、1重量部以上であることがさらに好ましい。0.01重量部以上であることによって、可剥離塗膜の表面の濡れ性を十分に向上させることができる。また、10重量部以下であることが好ましく、5重量部以下であることがより好ましく、2.5重量部以下であることがさらに好ましい。10重量部以下であることによって、コロイダルシリカの安定性を維持できる。
親水性塗膜形成用塗料は、抗菌剤を含んでもよい。親水性塗膜形成用塗料が抗菌剤を含むことにより、可剥離塗膜上に親水性塗膜を形成する際に、上述したバインダ等を介して抗菌剤を可剥離塗膜の表面上に固定化させることができる。これにより、塗膜表面において抗菌作用を発揮できる。抗菌剤による抗菌性は、例えば、JIS Z 2801:2010で評価できる。
抗菌剤としては、本発明の効果を損なわない範囲で任意の適切な抗菌剤を採用し得る。このような抗菌剤としては、いわゆる抗菌剤、防カビ剤などが挙げられる。具体的には、上記水分散型樹脂組成物が含有しうる抗菌剤と同様のものを使用できる。
親水性塗膜形成用塗料における抗菌剤の含有量は、水系溶媒100重量部に対して0.001重量部以上であることが好ましく、0.01重量部以上であることがより好ましく、0.1重量部以上であることがさらに好ましい。0.001重量部以上であることにより、良好な抗菌効果が得られる。また、20重量部以下であることが好ましく、10重量部以下であることがより好ましく、5重量部以下であることがさらに好ましい。20重量部以下であることにより、親水性塗膜形成用塗料の液体状態での保存安定性が高くなり、塗布後の外観への影響も少なくなる。
親水性塗膜形成用塗料は、その他任意の適切な添加剤を含んでいてもよい。他の添加剤としては、例えば、紫外線吸収剤、光安定剤、フィラー等が挙げられる。
可剥離塗膜の表面に、コロイダルシリカ、バインダ及び水系溶媒を含有する塗料を適用する方法は特に制限されず、スプレーコート、ディップコート、スピンコート、ハケ塗り、スポンジ塗り、ローラー、カーテンフロー、ロール、コーターなどの公知の塗布方法により可剥離塗膜上に直接塗布することができる。これにより、可剥離塗膜31上に、親水性塗膜21を形成できる。
乾燥方法としては、例えば、0℃から250℃までの温度(好ましくは、室温(25℃)から180℃の温度、より好ましくは室温から160℃の温度)で、例えば2分〜12時間乾燥させることができる(第1の乾燥)。
必要に応じ、更に、例えば、0℃から250℃までの温度(好ましくは、室温(25℃)から180℃の温度、より好ましくは室温から160℃の温度)で、例えば2分〜12時間更に乾燥(第2の乾燥)させることができる。
第2の乾燥は、第1の乾燥温度より0〜20℃高い温度で、第1の乾燥温度より短時間の乾燥とすることが好ましい。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例になんら限定されるものではない。
(実施例1)
[下地層の作製]
アクリル樹脂(アクリル樹脂、商品名「AP−609LN」、昭和電工(株)製):100重量部、添加剤として剥離剤(リン酸エステル型界面活性剤、商品名「フォスファノール RS−410」、東邦化学工業(株)製):0.01重量部を混合し、ディスパーにて3000rpmの回転速度で3分以上攪拌し、あわとり練太郎((株)シンキー製)にて2200rpmで5分間真空脱泡し実施例1の水分散型樹脂組成物(可剥離塗膜形成用塗料)を作製した。
上記作製した水分散型樹脂組成物を、厚み75μmのPETフィルム(製品名「ルミラー(登録商標)S10」、東レ(株)製)の表面にアプリケーターにてウェット厚250μmで塗工した。室温(25℃)で12時間乾燥させ、形成した塗膜を、さらに35℃、4時間乾燥させることで、PETフィルム上に下地層を作製し、これを積層体サンプルとした。
[親水化処理]
コロイダルシリカ(商品名「スノーテックス(登録商標)−30」、日産化学(株)製、):3重量部(固形分)、バインダとしてケイ酸ナトリウム(富士化学(株)製):0.3重量部、湿潤剤としてノニオン系界面活性剤(商品名「SNウェット366」、サンノプコ(株)製):0.2重量部、水系溶媒として水100重量部を混合し、親水性塗膜形成用塗料を作製した。
当該親水性塗膜形成用塗料に、上記作製した積層体サンプルを約5秒浸し、引き上げた。サンプルが斜め45度になるよう立てかけ、10分間25℃で乾燥させたのち、上向きにして25℃で24時間静置、乾燥させ、親水化処理を行った。その後、可剥離塗膜の表面に水を滴下し、紙ワイパーで擦り洗いする作業を3回行い、塗膜表面の湿潤剤や、サンプルに密着していない成分を除去した。
(実施例2〜10)
各成分の種類及び配合量を表1に記載のとおり変更した以外は実施例1と同様にして、実施例2〜10の積層体サンプルを作製し、親水化処理を行った。
(実施例11〜16)
表1に記載のとおり抗菌剤を添加し、その他各成分の種類及び配合量を表1に記載のとおり変更した以外は実施例1と同様にして、実施例11〜16の積層体サンプルを作製し、親水化処理を行った。
(比較例1〜6)
各成分の種類及び配合量を表1に記載のとおり変更した以外は実施例1と同様にして、比較例1〜6の積層体サンプルを作製し、親水化処理を行った。
(比較例7〜9)
可剥離塗膜を作製する代わりに表1に記載の板を使用し、実施例1と同様に親水化処理を行った。
[剥離性の評価]
実施例1、3〜9、11、13、15及び比較例1〜6において「AP−609LN」を用いて作製した塗膜、実施例2において「WLS210」を用いて作製した塗膜、及び実施例10、12、14、16において「WS−6021」を用いて作製した塗膜について、剥離性の評価を行うべく、引張破断強度及び接着力を測定し、引張破断強度(N/20mm)の接着力(N/20mm)に対する比率(剥離性指標)を求めた。
(引張破断強度の測定)
PETフィルム(製品名「ルミラー(登録商標)S10」、東レ(株)製、厚み75μm)の表面に、実施例1〜16、及び比較例1〜6における水分散型樹脂組成物をアプリケーターで塗工し、25℃で12時間乾燥させ、厚み(引張膜厚)が100μmのサンプルを作製した。得られた膜をさらに35℃で4時間乾燥させた後、20mm×80mmの大きさになるように切り取り、引張試験機(装置名「AUTOGRAPH AGS−X」、(株)島津製作所製)を用いて初期長60mm、引張速度300mm/minにて引張破断強度を測定した。サンプルの幅を20mmとしたものとして換算した値を引張破断強度(N/20mm)とした。
(接着力の測定方法)
以下の方法で塗膜を作成し、接着力を測定した。SUS板(SUS304)の表面に、実施例1〜16、及び比較例1〜6における水分散型樹脂組成物をアプリケーターで塗工し、25℃で12時間乾燥させ、更に35℃で4時間乾燥させ、厚み(ピール膜厚)100μmのサンプルを作製した。次に塗膜が20mm×100mmの大きさになるように、それ以外の部分を取り除いた。引張試験機(AUTOGRAPH AGS−X、(株)島津製作所製)を用いて、塗膜をSUS基板から、剥離角度180度、剥離速度300mm/minで引きはがした際の力を接着力として測定した。サンプルの幅を20mmとしたものとして換算した値を引張破断強度(N/20mm)とした。
測定の結果、「AP−609LN」を用いて作製した実施例1、3〜9、11、13、15及び比較例1〜6おける塗膜の剥離性指標は2.4、「WLS210」を用いて作製した実施例2における塗膜の剥離性指標は77、「WS−6021」を用いて作製した実施例10、12、14、16における塗膜の剥離性指標は11.4であった。すなわち、いずれの塗膜も、剥離性指標が1.5以上で可剥離性が示された。
[含水率の測定]
実施例1、3〜9、11、13、15及び比較例1〜6で用いた「AP−609LN」を含む水分散型樹脂組成物、実施例2で用いた樹脂「WLS210」を含む水分散型樹脂組成物、及び実施例10、12、14、16で用いた「WS−6021」を含む水分散型樹脂組成物について、厚み75μmのPET基材フィルム(製品名「ルミラー(登録商標)S10」、東レ(株)製)の表面に、アプリケーターで塗工し、25℃で12時間乾燥させ、厚み(引張膜厚)が100μmのサンプルを作製した。さらに35℃で4時間乾燥させた後、得られた塗膜を20mm×20mmの大きさになるように切り取り、PET基材から剥がすことなく質量を測定した。サンプルを溶液(5%エタノール水溶液)が入ったガラス瓶に投入して25℃で2時間静置(浸漬)した。2時間後にサンプルを取り出し、表面に付着している水滴を速やかに拭った後に質量を測定し、浸漬前後の質量を求めた。また、別途前記PET基材を20mm×20mmの大きさになるように切り取りとったものの質量(WPET)を測定し、下記式(1)により含水率を算出した。
式(1):含水率(%)=100+〔((浸漬後質量−WPET)−(浸漬前質量−WPET))/(浸漬前質量−WPET)〕×100
測定の結果、「AP−609LN」を用いて作製した実施例1、3〜9、11、13、15及び比較例1〜6おける塗膜の含水率は107%、「WLS210」を用いて作製した実施例2における塗膜の含水率は184%、「WS−6021」を用いて作製した実施例10、12、14、16における塗膜の含水率は103%であった。
[接触角の測定]
実施例及び比較例の親水化処理を行って得られたサンプルについて、2μLの水を塗膜表面に滴下し、5分間経過後の塗膜表面の接触角を、JIS R 3257による静滴法により、接触角系(DropMaster、協和界面科学(株)製)を用いて測定した。結果を表1に示す。
[外観評価]
親水化処理の前後の外観の変化について、変化なしの場合には〇、変化ありの場合には×として評価した。結果を表1に示す。
[抗菌性評価]
実施例9〜16の親水化処理を行って得られたサンプルについて、JIS Z 2801:2010に従って抗菌活性値を求めた。また、抗菌活性値が2.0以上であれば〇、2.0未満であれば×として評価した。結果を表1に示す。
各実施例及び比較例について、各成分組成および各測定・試験結果を表1にまとめて示す。
Figure 2021055042
上記表1中における品名の詳細は以下の通りである。
〔下地層〕
(樹脂)
・AP−609LN(昭和電工(株)製、アクリルエマルション)
・WLS210(DIC(株)製、ウレタンディスパージョン)
・WS−6021(三井化学(株)製、ウレタンディスパージョン)
(板)
・PMMA板(日本テストパネル(株)製)
・ABS板(日本テストパネル(株)製)
・POM板(日本テストパネル(株)製)
〔親水性塗膜形成用塗料〕
(コロイダルシリカ)
・スノーテックス(登録商標)−30(日産化学(株)製、水分散コロイダルシリカ、
固形分(SiO)30質量%、粒子径10〜15nm、pH9.5〜10.5、粘度1.0〜6.0mPa・s)
・スノーテックス(登録商標)−30L(日産化学(株)製、水分散コロイダルシリカ、固形分(SiO)30質量%、粒子径40〜50nm、pH9.5〜10.5、粘度1.0〜6.0mPa・s)
・スノーテックス(登録商標)−C(日産化学(株)製、水分散コロイダルシリカ、固形分(SiO)20質量%、粒子径10〜15nm、pH8.5〜9.0、粘度1.0〜10.0mPa・s)
(バインダ)
・ケイ酸ソーダ(富士化学(株)製、ケイ酸ナトリウム)
・ケイ酸リチウム(日産化学(株)製、ケイ酸リチウム)
・MS51(三菱ケミカル(株)製、メチルシリケート)
・K−2010E(三菱ケミカル(株)製、オキサゾリン系架橋剤)
・V−02(日清紡ケミカル(株)製、カルボジイミド系架橋剤)
・KBM402(信越化学(株)製、エポキシ基含有シランカップリング剤)
・cellenpia(登録商標)(日本製紙(株)製、セルロースナノファイバー)
・アルミニウム(III)アセチルアセトナート(TCI(株)製、架橋剤)
・A−21S(ヤマグチマイカ(株)製、マイカ)
(抗菌剤)
・銀ナノパーティクル(Skyspring Nanomaterials社製、銀系無機抗菌剤)
・イオンピュア(石塚硝子(株)製、銀系無機抗菌剤)
・ゼオミック(シナネンゼオミック(株)製、銀系無機抗菌剤)
(湿潤剤)
・SNウェット366(サンノプコ(株)製、非イオン系界面活性剤)
・ポリエチレングリコールモノラウレート(TCI(株)製、湿潤剤)
表1の結果からもわかるとおり、コロイダルシリカ及びバインダを含む水系の塗料を用いることにより、表面外観を劣化させることなく、可剥離塗膜表面を親水化できた。なお、比較例1、3〜6はシリカの固定化が確認されなかった。
また、実施例11〜16における親水性塗形成用塗料は抗菌剤を含むことにより、可剥離塗膜表面に抗菌性を付与できた。
以上、本発明の好ましい実施の形態について説明したが、本発明は、上述した実施の形態に制限されるものではなく、本発明の範囲を逸脱しない範囲において、上述した実施の形態に種々の変形及び置換を加えることができる。
1 表面が親水化された可剥離塗膜
21 親水性塗膜
31 可剥離塗膜
41 被着体

Claims (14)

  1. 水分散型樹脂組成物より形成された可剥離塗膜であって、
    前記塗膜の表面上にシリカ粒子が固定化されている可剥離塗膜。
  2. 前記シリカ粒子がバインダを介して前記塗膜の表面上に固定化されている、請求項1に記載の可剥離塗膜。
  3. 前記バインダが無機系バインダである、請求項2に記載の可剥離塗膜。
  4. 前記無機系バインダが、アルカリ金属ケイ酸塩、アルミノケイ酸塩、ホウケイ酸塩、アルカリ金属塩、及びホウ酸からなる群より選ばれる少なくとも1つのバインダを含有する、請求項3に記載の可剥離塗膜。
  5. 前記塗膜の表面上に抗菌剤が固定化されている、請求項1〜4のいずれか1項に記載の可剥離塗膜。
  6. 水分散型樹脂組成物からなる、可剥離塗膜を形成するための可剥離塗膜形成用塗料と、
    コロイダルシリカ、バインダ及び水系溶媒を含有する、前記可剥離塗膜上に親水性塗膜を形成するための親水性塗膜形成用塗料と、を含む塗料セット。
  7. 前記バインダが無機系バインダである、請求項6に記載の塗料セット。
  8. 前記無機系バインダが、アルカリ金属ケイ酸塩、アルミノケイ酸塩、ホウケイ酸塩、アルカリ金属塩、及びホウ酸からなる群より選ばれる少なくとも1つのバインダを含有する、請求項7に記載の塗料セット。
  9. 前記親水性塗膜形成用塗料が抗菌剤をさらに含有する、請求項6〜8のいずれか1項に記載の塗料セット。
  10. 前記親水性塗膜形成用塗料が湿潤剤をさらに含有する、請求項6〜9のいずれか1項に記載の塗料セット。
  11. 前記親水性塗膜形成用塗料が、水系溶媒100重量部に対して、コロイダルシリカ(固形分)を0.1〜30重量部、バインダを0.01〜10重量部含有する、請求項6〜10のいずれか1項に記載の塗料セット。
  12. コロイダルシリカ、アルカリ金属ケイ酸塩及び水系溶媒を含有する、親水性塗膜形成用塗料。
  13. 抗菌剤をさらに含有する、請求項12に記載の親水性塗膜形成用塗料。
  14. 湿潤剤をさらに含有する、請求項12または13に記載の親水性塗膜形成用塗料。
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