JP6528066B2 - 常温架橋性塗料組成物 - Google Patents
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Description
確かにこの試験条件によれば一定条件下における効果を確認することはできるが、たとえこの試験結果が良好であっても、現実的な用途における耐溶剤性が必ず良好であるとはいえず、不十分な耐溶剤性を示すことがあった。
しかしながら、切削油に関しては、上記の耐溶剤性のような試験はなく、しかも溶剤とは異なる性質および用途を有するので、耐溶剤性の試験結果を耐切削油の試験結果とすることができなかった。そして切削油は蒸発しにくいので、物品に付着した切削油は長期間に亘り付着し続ける性質を有し、金属加工機械、その周辺設備や工具等、頻繁に切削油が付着する物品も多く存在する。そのため、例えば十日間程度の試験期間によって、耐溶剤性に優れる塗膜が存在しても、切削油に対する現実に即した性質を確認できるものではなかった。
加えて、耐切削油性を向上させることに関して検討することはなかった。
本発明は、基材表面に対する塗膜の密着性、耐酸性、耐アルカリ性、耐温水性、耐塩水性、及び可撓性に優れることに加え、切削油に対しても、長期にわたって耐切削油性が良好な塗料組成物を得ることを課題とする。
1.下記a〜dの成分を含有する塗料組成物。
a.第三級アミノ基と、イソシアネートと反応する活性水素基、を有する重合体
b.一分子中にエポキシ基と加水分解性シリル基とを有する化合物
c.イソシアネート化合物
d.加水分解性シリル基加水分解縮合物
2.防錆顔料を含有する1に記載の塗料組成物。
3.防錆顔料が、カルシウム交換型シリカ、マグネシウムイオン交換型シリカ、リン酸亜鉛型防錆顔料、亜リン酸亜鉛型防錆顔料、亜リン酸カルシウム型防錆顔料、リン酸カルシウム亜鉛型防錆顔料、から選ばれた1種以上である2に記載の塗料組成物。
4.防錆顔料の平均粒子径が0.75μm以下である2又は3に記載の塗料組成物。
5.aの重合体の重量平均分子量(Mw)は5,000〜100,000である1〜4のいずれかに記載の塗料組成物。
6.aの重合体を構成する単量体成分のうちの第三級アミノ基を有する単量体成分は、そのaの重合体中2.0〜9.0重量%である1〜5のいずれかに記載の塗料組成物。
7.aの重合体一分子中の、イソシアネートと反応する活性水素基が、カルボン酸基及び/又は水酸基である1〜6のいずれかに記載の塗料組成物。
8.aの重合体を構成する単量体成分のうちのカルボン酸基を有する単量体成分は、そのaの重合体中0.3〜1.5重量%である7に記載の塗料組成物。
9.cは3官能以上のイソシアネート化合物である1〜8のいずれかに記載の塗料組成物。
10.aは、共重合成分として(メタ)アクリル酸アルキルエステルを含有し、その全ての(メタ)アクリル酸アルキルエステルのアルキル基は、その炭素数が7以下である1〜9のいずれかに記載の塗料組成物。
11.aの共重合体を構成する単量体成分のうち、ブチルアクリレートの含有量が50重量%以下である1〜10のいずれかに記載の塗料組成物。
12.a.第三級アミノ基と、イソシアネートと反応する活性水素基、を有する重合体100重量部に対して、b.一分子中にエポキシ基と加水分解性シリル基とを有する化合物を2.0〜30.0重量部含有する1〜11のいずれかに記載の塗料組成物。
また本発明の塗料組成物は、金属、樹脂、木材、コンクリート等の部材に対して十分に接着性を有するので、これらの部材表面に、予めプライマーや下塗塗料を塗装しておく必要はない。ただし、これらを塗装しておいてもよい。
そして本発明の塗料組成物による塗膜表面は十分な耐薬品性等を備えるので、本発明の塗料組成物のみを用いて、部材表面に一層のみの塗膜を形成させるのみでも良く、また本発明の塗料組成物を最外層の塗膜を形成させるために使用することができる。最外層の塗膜を形成させるときには、他の塗料組成物で得た塗膜のトップコート用としても使用することができる。
本発明におけるa.第三級アミノ基と、イソシアネートと反応する活性水素基、を有する重合体とは、a−1.第三級アミノ基を有する単量体、a−2.イソシアネートと反応する活性水素基を有する単量体、及びa−3その他の単量体を共重合してなる重合体である。
この重合体は、下記に示す一分子中にエポキシ基と加水分解性シリル基とを共に有する化合物と併用することによって、基材に対する塗膜の密着性、塗膜の耐食性が得られる。
重量平均分子量(Mw)は、一般に5,000〜100,000、好ましくは10,000〜50,000、さらに好ましくは15,000〜30,000の範囲内であることが好ましい。なお、重量平均分子量は、JIS K 0124−83に記載の方法に準じ、ゲルパーミエーションクロマトグラフで測定したクロマトグラムから標準ポリスチレンの分子量を基準にして算出した値である。
本発明において、aの重合体が第三級アミノ基を有するために共重合される単量体としては、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノブチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノブチル(メタ)アクリレート等のジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノメチル(メタ)アクリルアミド、ジエチルアミノメチル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド等のジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリルアミドが挙げられる。
そして、a.第三級アミノ基と、イソシアネートと反応する活性水素基、を有する重合体が、aの重合体を構成する単量体成分のうちの第三級アミノ基を有する単量体成分は、そのaの重合体中2.0〜9.0重量%であることが好ましく、さらに好ましくは3.0〜7.0重量%である。
本発明において、aの重合体がイソシアネートと反応する活性水素基を有するために共重合される単量体としては、水酸基やカルボン酸基を有する単量体である。
そのような単量体としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキブチル(メタ)アクリレート、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ジ−2−ヒドロキシエチルフマレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレートとε−カプロラクトンとの付加物、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレートとε−カプロラクトンとの付加物、「プラクセルFMないしはFAモノマー」((株)ダイセル化学製のカプロラクトン付加モノマー)の如き、α,β−エチレン性不飽和カルボン酸のヒドロキシアルキルエステルが挙げられる。
β−エチレン性不飽和カルボン酸ヒドロキシアルキルエステル類と、コハク酸、マレイン酸、フタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、テトラヒドロフタル酸、ベンゼントリカルボン酸、ベンゼンテトラカルボン酸、「ハイミック酸」、テトラクロルフタル酸、ドデシニルコハク酸等のポリカルボン酸類の無水物との付加物が挙げられる。
a.第三級アミノ基と、イソシアネートと反応する活性水素基、を有する重合体が、水酸基を含有する単量体を共重合成分として含有する場合、このaの重合体を構成する単量体成分のうちの水酸基を有する単量体成分は、そのaの重合体中2.0〜23.0重量%であることが好ましい。
また、a.第三級アミノ基と、イソシアネートと反応する活性水素基、を有する重合体が、カルボン酸基を含有する単量体を共重合成分として含有する場合、このaの重合体を構成する単量体成分のうちのカルボン酸基を有する単量体成分は、そのaの重合体中0.3〜1.5重量%であることが好ましい。この範囲であると、塗料組成物中の酸性成分の量が適切な範囲となり、イソシアネートと活性水素基との反応を促進することができ、かつ塗料組成物の保存安定性、可使時間を充分に保つことができる。
a.第三級アミノ基と、イソシアネートと反応する活性水素基、を有する重合体中のイソシアネートと反応する成分の含有量が上記の通りである場合、かつ下記のc.イソシアネート化合物の配合量の場合には、本発明の塗膜は特に耐薬品性(耐切削油性)に優れ、かつ場合によっては耐食性も優れることとなる。
本発明において、a.第三級アミノ基と、イソシアネートと反応する活性水素基、を有する重合体を構成するために、上記a−1及びa−2と共重合されるa−3その他の単量体としては以下のものが挙げられる。
メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、ターシャリー(tert−)ブチル(メタ)アクリレート、sec−ブチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート等の炭素数7以下のアクリル酸アルキルエステル、オクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレートもしくはステアリル(メタ)アクリレート、4−tert−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート等の炭素数が7を超えるアクリル酸アルキルエステル、スチレン、メチルスチレン、エチルスチレン、プロピルスチレン、イソプロピルスチレン、p−tert−ブチルスチレン等のスチレン系単量体、ベンジル(メタ)アクリレート、さらに、ジメチルマレート、ジエチルマレート、ジエチルフマレート、ジブチルマレート、ジブチルイタコネート等の、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸により代表される、各種の不飽和ジカルボン酸類と、1価アルコール類とのジエステル、酢酸ビニル、安息香酸ビニル、パーフルオロシクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジ−パーフルオロシクロヘキシルフマレートまたはN−イソプロピルパーフルオロオクタンスルホンアミドエチル(メタ)アクリレート等の、(パー)フルオロアルキル基含有−ビニルエステル類、−ビニルエーテル類、−(メタ)アクリレート類ないしは−不飽和ポリカルボン酸エステル類の含フッ素重合性化合物、さらに塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニルもしくはフッ化ビニリデン等の官能基不含の種々のハロゲン化オレフィン類、(メタ)アクリロニトリル、さらに、ジアルキル〔(メタ)アクリロイルオキシアルキル〕ホスフェート類ないしは(メタ)アクリロイルオキシアルキルアシッドホスフェート類;ジアルキル〔(メタ)アクリロイルオキシアルキル〕ホスファイト類または(メタ)アクリロイルオキシアルキルアシッドホスファイト類が挙げられる。
なかでもブチルアクリレート(n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、ターシャリー(tert−)ブチル(メタ)アクリレート合計)を好ましくは50重量%以下、さらに好ましくは30重量%以下含有することが望ましい。
このとき使用できるラジカル重合開始剤としては、例えば、シクロヘキサノンパーオキサイド、3,3,5−トリメチルシクロヘキサノンパーオキサイド、メチルシクロヘキサノンパーオキサイドなどのケトンパーオキサイド類;1,1−ビス(tert−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(tert−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、n−ブチル−4,4−ビス(tert−ブチルパーオキシ)バレレート、2,2−ビス(4,4−ジtert−ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン、2,2−ビス(4,4−ジtert−アミルパーオキシシクロヘキシル)プロパン、2,2−ビス(4,4−ジtert−ヘキシルパーオキシシクロヘキシル)プロパン、2,2−ビス(4,4−ジtert−オクチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン、2,2−ビス(4,4−ジクミルパーオキシシクロヘキシル)プロパンなどのパーオキシケタール類;クメンハイドロパーオキサイド、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジハイドロパーオキサイドなどのハイドロパーオキサイド類;1,3−ビス(tert−ブチルパーオキシ−m−イソプロピル)ベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルパーオキシ)ヘキサン、ジイソプロピルベンゼンパーオキサイド、tert−ブチルクミルパーオキサイドなどのジアルキルパーオキサイド類;デカイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイドなどのジアシルパーオキサイド類;ビス(tert−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネートなどのパーオキシカーボネート類;tert−ブチルパーオキシベンゾエート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサンなどのパーオキシエステル類などの有機過酸化物系重合開始剤ならびに2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、1,1−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)(ABNE)などのアゾ系重合開始剤を挙げることができる。
本発明において、b.一分子中にエポキシ基と加水分解性シリル基とを有する化合物としては以下のものが挙げられる。
γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリイソプロぺニルオキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリイミノオキシシランなどが挙げられる。また、これらの化合物とテトラメトキシシランやテトラエトキシシランとの加水分解縮合物がある。
そのほか、γ−イソシアネートプロピルトリイソプロぺニルオキシシランやγ−イソシアネートプロピルトリメトキシシランのような化合物(イソシアネート基と加水分解性シリル基を併有する化合物)とグリシドール(エポキシ基と水酸基を併有する化合物)との反応物、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン(アミノ基と加水分解性シリル基を併有する化合物)とジエポキシ化合物との付加反応物などがある。
さらに、グリシジルメタクリレートに代表されるエポキシ基を含有するビニル系モノマーと3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランに代表される加水分解性シリル基を含有するビニル系モノマーから成る(メタ)アクリル系共重合体のような高分子量化合物もある。
本発明の塗料組成物においては、このようなb.一分子中にエポキシ基と加水分解性シリル基とを有する化合物を含有することによって、密着性及び褪色防止性の向上を図ることができる。
なお、b.一分子中にエポキシ基と加水分解性シリル基とを有する化合物としては、高分子量化合物ではないほうが、よりバランスがとれた効果を得る点において好ましい。
4.0重量部未満であると、得られた塗膜は耐薬品性、耐切削油性に劣ることなり、36.0重量部を超えると、塗装の際の作業性が悪くなる可能性がある。
本発明において、c.イソシアネート化合物としては以下のものが挙げられる。
特に、平均官能基数が2ないしはそれ以上のイソシアネート化合物として、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、メチルシクロヘキサン2,4(2,6)ジイソシアネート、1,3−(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、イソホロンジイソシアネート等の環状脂肪族ジイソシアネート類、m−またはp−キシリレンジイソシアネート、2,4−又は2,6−トリレンジイソシアネート、m−又はp−フェニレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート、これらの有機ジイソシアネート類と、多価アルコール類ないしは低分子量ポリエステル樹脂類または水などとの付加反応物、さらには、前掲した種々の有機ジイソシアネート類同士の重合体類が挙げられる。
そして、これらのイソシアネート化合物の中でも3官能以上の化合物が好ましい。このような化合物を選択して使用することによって、硬化塗膜の密度を向上させて、耐薬品性(耐切削油性)を向上させることができる。
2.0重量部未満であると、得られた塗膜は可撓性及び基材への密着性に劣る可能性があると共に、耐薬品性、耐切削油性に劣る可能性があり、30.0重量部を超えると、得られた塗膜は乾燥性と密着性が低下する可能性がある。
本発明において使用されるd.加水分解性シリル基加水分解縮合物としては、下記一般式(1)で示されるシリケートオリゴマーを採用できる。
一般式(1)において、nは2〜30であるが、特にn=4〜8が好ましく、また、n=4〜8を主成分にして更にn=2〜3やn=9〜20の成分を含有することもできる。
このd.加水分解性シリル基加水分解縮合物は、例えばテトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロピオキシシラン、テトラブトキシシラン等のテトラアルコキシシラン又はテトラフェノキシシランを加水分解縮合することにより得られる。nはこの場合の加水分解率を制御することにより調整できる。
この加水分解縮合は、公知の方法によることができ、例えば、上記テトラアルコキシシランに所定量の水を加えて酸触媒の存在下に副生するアルコールを留去しながら、通常、室温程度〜100℃で反応させる。この反応によりアルコキシシランは加水分解し、さらに縮合した一般式(1)で示される液状のシリケートオリゴマーが得られる。そして残留するモノマーを除去するために、フラッシュ蒸留や真空蒸留を行ってもよい。
また、このd成分の含有量としては、上記a.第三級アミノ基と、イソシアネートと反応する活性水素基、を有する重合体100重量部に対して、4.0〜20.0重量部が好ましく、さらに好ましくは6.0〜16.0重量部である。
20.0重量部以下であると、得られた塗膜はさらに可撓性に富み、4.0重量部以上であると、得られた塗膜はさらに密着性、耐酸性、耐アルカリ性及び耐食性が向上し、加えて耐薬品性も向上する。
本発明の塗料組成物には、さらに防錆性を向上させることを目的として、公知の防錆顔料を配合することができる。中でもカルシウムイオン交換シリカ、マグネシウムイオン交換型シリカ、金属化合物で処理されたトリポリリン酸二水素アルミニウム型防錆顔料のうち亜鉛処理トリポリリン酸二水素アルミニウム型防錆顔料やマグネシウム処理トリポリリン酸二水素アルミニウム型防錆顔料、リン酸亜鉛型防錆顔料、亜リン酸亜鉛型防錆顔料、リンモリブデン酸アルミニウム型防錆顔料、リン酸カルシウム亜鉛型防錆顔料を防錆顔料として使用することが、塗料組成物のビヒクルの防錆性能と相まって、さらに防錆性能を向上させることができ、同時に塗膜が高い密着性、耐食性、耐薬品性(耐切削油性)を有することになり好ましい。特に、カルシウムイオン交換シリカ、マグネシウムイオン交換型シリカ、リン酸亜鉛型防錆顔料、亜リン酸亜鉛型防錆顔料、リン酸カルシウム亜鉛型防錆顔料を使用することが好ましい。
なお、リン酸二水素アルミニウム型防錆顔料、亜リン酸カルシウム型防錆顔料、亜リン酸アルミニウム型防錆顔料、モリブデン酸亜鉛型防錆顔料、アミノリン酸塩マグネシウム型防錆顔料も使用できるが、本発明中のa〜dの成分と関連した、防錆性の向上と、耐切削油性、耐酸性、耐アルカリ性、耐温水性の各性質のバランスを考慮すると、上記の防錆顔料のほうが好ましい。
本発明において使用する防錆顔料は、粉砕・分散処理することによって、十分に微細化されたものが好ましく、より好ましくは、その平均粒子径が0.75μm以下である。十分に微細化された防錆顔料を使用すると得られた塗膜の表面平滑性が向上し、高光沢で美観に優れる塗膜となる。
本発明中の塗料組成物に防錆顔料を含有させる際には、塗料組成物の固形分中の防錆顔料の含有量としては、5.0〜40.0重量%とすることができ、さらに好ましくは10.0〜40重量%とすることができる。この配合量は、塗料組成物に求める防錆性に応じて調整できる。
マグネシウムイオン交換シリカは、微細な多孔質のシリカ担体にイオン交換によって、マグネシウムイオンが導入されたシリカ微粒子である。マグネシウムイオン交換シリカの市販品としては、サイロマスク52M(富士シリシア社製)、ノビノックスACE−110(SNCZ社製・フランス)が挙げられる。
金属化合物で処理されたトリポリリン酸二水素アルミニウム型防錆顔料の金属化合物としては、亜鉛、カルシウム、マグネシウム、マンガン、ビスマス、コバルト、スズ、ジルコニウム、チタニウム、ストロンチウム、銅、鉄、リチウム、アルミニウム、ニッケル、及びナトリウムの塩化物、水酸化物、炭酸化物、硫酸物等が挙げられる。市販品としては、K−WHITE140、K−WHITE Ca650、K−WHITE#450H、K−WHITE G105、K−WHITE#105、K−WHITE#108、K−WHITE#82、K−WHITE#84S(以上、テイカ株式会社製、商品名)等が挙げられる。
リン酸亜鉛型防錆顔料の市販品としては、例えば、ZP−DL、P−WF、P−W−2、D−1、ZP−50S、ZP−SB、ZP−HS、MZP−500、MP−620PMG、ZP−600(キクチカラー株式会社製)、EXPERT NP−530(東邦顔料株式会社製)などが挙げられる。
亜リン酸亜鉛型防錆顔料の市販品としては、EXPERT NP−1500、NP−1530、EXPERT NP−1600(東邦顔料株式会社製)などが挙げられる。
リンモリブデン酸アルミニウム型防錆顔料の市販品としては、LFボウセイPM−300c、PM−303W(キクチカラー株式会社製)などが挙げられる。
リン酸カルシウム亜鉛型防錆顔料の市販品としては、LFボウセイCP−Z(キクチカラー株式会社製)などが挙げられる。
本発明の塗料組成物は、刷毛、ローラ、スプレー等の公知の手段によって塗装される塗料組成物であるため、溶剤は本発明中の各成分を溶解できることが必要である。そのため、ヘプタン、トルエン、キシレン、オクタン、ミネラルスピリットなどの炭化水素系溶剤;スワクリーンMCH、スワクリーン150(以上、いずれも丸善石油化学株式会社製)などの脂環式炭化水素系溶剤;酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸イソブチル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテートなどのエステル系溶剤;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン系溶剤、n−ブチルエーテル、ジオキサン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテルなどのエーテル系溶剤;トルエン、キシレン、スワゾール310、スワゾール1000、スワゾール1500(以上、いずれもコスモ石油社製、SWASOL/スワゾールは登録商標)、SHELLSOL A(シェルゾールA、シェル化学社製、シェルゾールは登録商標)などの芳香族炭化水素系溶剤、ダイアセトンアルコールなどのアルコール系溶剤等、塗料希釈用途として慣用の溶剤を採用することができる。そして溶剤の使用量としては、通常の塗料組成物と同様に、塗料組成物中の固形分が20〜70重量%となるように使用できる。
また、その他必要に応じて、防錆剤(例えば、ベンゾトリアゾール、トリルトリアゾール、ジシクロヘキシルアンモニウムナイトレートなど)、着色顔料、体質顔料、消泡剤、レベリング剤、紫外線吸収剤、光安定剤等の塗料組成物用の慣用の添加剤や、グリセリン、プロピレングリコール、エチレングリコール等の多価アルコールを添加することができる。
ただし、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン等のノニオン性水溶性高分子を積極的に添加することはない。
前記各成分がそれぞれ別々に準備されていても良いし、例えば、b成分とc成分とd成分を含む混合物が、a成分とは別に準備されていてもよい。また、本発明の塗料組成物が前記の防錆顔料を含むものであるときは、防錆顔料とa成分とを含む混合物の状態で準備されていてもよい。溶剤及びその他添加剤についても同様に扱えば良い。
撹拌機、温度計、還流冷却器および窒素ガス導入管を備えたフラスコにN−酢酸ブチルを90部仕込み還流温度まで昇温し、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)10部、ブチルアクリレート(BA)26.5部、ジメチルアミノエチルメタクリレート(DM)8部、メタクリル酸(MAA)0.5部、メチルメタクリレート(MMA)35部、スチレン(Sty)20部、V-40(和光純薬工業株式会社製、1,1−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)2部からなる混合液を2時間かけて滴下し、2時間反応させた。
さらに、n−酢酸ブチルを10部、ABNE (株式会社日本ファインケム製、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル))を0.5部滴下し、3時間反応させ、固形分50.0%の重合体を含む重合体組成物A−1(50重量%溶液)を得た。
重合体組成物A−2〜A−9(50重量%溶液)については表1に示すモノマー配合で、同様に合成を行って作製した。
・ DM:ジメチルアミノエチルメタクリレート
・ MAA:メタクリル酸
・ MMA:メチルメタクリレート
・ BA:ブチルアクリレート
・ Sty:スチレン
重量平均分子量(Mw)は、以下のゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)システム測定条件で行った。
使用機器 :HLC8220GPC(東ソー株式会社製)
使用カラム:TSKgel SuperHZM−M、TSKgel GMHXL−H、TSKgel G2500HXL、TSKgel G5000HXL(東ソー株式会社製)カラム温度:40℃
標準物質 :TSKgel 標準ポリスチレンA1000、A2500、A5000、F1、F2、F4、F10(東ソー株式会社製)
検出器 :RI
溶離液 :テトラヒドロフラン
流速 :1ml/min
塗料組成物の作製
重合体組成物A−1(50重量%溶液)を100部、着色顔料として酸化チタン(石原産業株式会社製タイペークPF-699)を30部添加して混合液を作製した。作製した混合液を、チタニアビーズとともにポリエチレン製容器に封入し、ペイントシェーカー(浅田鉄工株式会社製)を用いて2時間分散させて主剤溶液を調製した。
得られた主剤溶液に、イソシアネート化合物(ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート変性体:BASFジャパン株式会社製バソナート(登録商標)HI100)8部、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(Glymo)8部、テトラメトキシシランの部分加水分解オリゴマーであるメチルシリケートオリゴマー(三菱化学株式会社製MKCシリケートMS−51)4部、シリコン系表面調整剤(BYK-Chemie社製 BYK−342)0.3部、ジブチル錫ラウレート(TN−12)0.001部を添加して塗料組成物を作製した。
作製した塗料組成物に適宜シンナーを添加して希釈し、基材として市販の冷延鋼板(日本テストパネル社製、SPCC-SD:幅75mm×長さ150mm×厚み0.8mm)に、乾燥膜厚が約50μmとなるようにエアスプレーで塗装し、次いで常温で7日間乾燥して、各々塗装された試験板を作製した。このようにして得られた各試験板を使い、各種物性試験を行った。
表2に示した配合で、実施例1と同様に塗料組成物を作製し、また上記のようにして試験板を作製した。
(切削油試験(表2))
切削油として以下のメーカーとグレードの5種類を使用した。
ハングスターファー社 ハングスターファーS−500
ブラザー・スイスルーブ社 ブラソカット4000ストロング
カストロール社 シンタイロ9954
ユシロ化学工業株式会社 ユシローケン シンセティック#663
ユシロ化学工業株式会社 ユシローケン EC50T3
まず、試験板に、カッターナイフの切り刃を30度に保持して、素地に達するよう2mm間隔の平行線を11本引き、それらの平行線に直交する2mm間隔の平行線を11本引いて、塗膜に100個の碁盤目を形成した。上記の各切削油を5%水溶液に調製し、前記の碁盤目を形成した試験板を各水溶液に60℃で2ヶ月浸漬した。2ヶ月経過後に試験板を各水溶液から取り出し、試験板の外観異常の有無及び塗膜の剥離の有無について、目視で観察を行い、以下の評価基準で評価した。
5…外観異常、塗膜の剥離ともに無し
4…浸漬1ヶ月以上2ヶ月未満の間にブリスター発生等の外観異常または剥離が見られる
3…浸漬2週間以上1ヶ月未満の間にブリスター発生等の外観異常または剥離が見られる
2…浸漬1週間以上2週間未満の間にブリスター発生等の外観異常または剥離が見られる
1…浸漬1週間未満の間にブリスター発生等の外観異常または剥離が見られる
各種試験板を5%硫酸水溶液に10日間浸漬させ、浸漬後の各種試験板の塗膜の状態について目視で観察を行い、また、塗膜の密着性について評価を行った。
各種試験板を5%水酸化ナトリウム水溶液に10日間浸漬させた後の各種試験板の塗膜の状態について目視で観察を行い、また、塗膜の密着性について評価を行った。
各種試験板を40℃の温水に10日間浸漬させた後の各種試験板の塗膜の状態について目視で観察を行い、また、塗膜の密着性について評価を行った。
各種試験後の試験板に、カッターナイフの切り刃を30度に保持して、素地に達するよう2mm間隔の平行線を11本引き、それらの平行線に直交する2mm間隔の平行線を11本引いて、塗膜に100個の碁盤目を形成した。この碁盤目の上に接着テープ(ニチバン(株)製の工業用セロハンテープ)を気泡が残らないように指先で均一に圧着させた後、接着テープの端を持ち、塗面に対して60度の角度で引っ張って、塗面からテープを剥がし、100個の碁盤目の剥がれの有無を確認した。
目視観察及び密着性評価の結果を合わせて、以下のような5段階で判定を行った。
5…目視観察による外観異常は無く、また、密着性試験でも剥離は無い
4…ブリスター発生等の外観異常が若干見受けられるが、密着性試験では剥離は無い
3…ブリスター発生等の外観異常が有り、かつ、密着性試験では50/100未満の剥離がある。
2…ブリスター発生等の外観異常が有り、かつ、密着性試験でも50/100以上の剥離がある
1…浸漬溶液中で塗膜が自然剥離してしまっている
各試験板について、試験板の素地に到達するように、幅1mmのカットを、試験板端部から約10mm内側に対角上に交差するように施し、JIS K 5600-7-1 に準拠した試験方法で240時間塩水噴霧を行った。塩水噴霧試験後、3時間常温にて放置した後に、カットラインに沿いつつ、かつ、カットラインがセンターになるように24mm幅の接着テープ(ニチバン社製の工業用セロハンテープ)を気泡が残らないように指先で均一に圧着させた後、接着テープの端を持ち、塗面に対して60度の角度で引っ張って、塗面からテープを剥がし、カットラインをセンターにした片側最大剥離幅を計測した。なお、このとき、剥離する最大幅は24mm幅の接着テープの半分である12mmとなる。剥離する数値が小さいほど耐食性に優れることになる。
なお表2中の「12<」は、テープに引っ張られて、テープの接着面以上に塗膜が大きく剥離したことを意味する。
23℃の室温下で、デュポン式耐衝撃試験機を使用し、各試験板の塗膜面に対し、落錘重量500g、撃芯の尖端直径1/2インチ、落下高度10〜50cmの条件で衝撃試験を行い、塗膜の割れが見られない最大の高さを測定した。
これに対して本発明の通りに実施されていない比較例2及び3によれば、元々耐温水性が不良であり、塩水噴霧試験によって塗膜が大きく剥離することになり、比較例1においては5種の切削油のうち、過半の3種の切削油に対して良好な結果が得られず、比較例4及び5によれば、少なくとも一部の切削油に対して十分耐切削油性を有しなかった。さらに、比較例6によれば、基本的な性質である耐酸性に劣る結果となり、比較例7に至っては塗料化した後にすぐに固化するため、塗料として使用することができなかった。
表3に示した配合で、実施例1と同様に塗料組成物を作製し、また上記のようにして試験板を作製した。
切削油試験以外の、耐酸性、耐アルカリ性、耐温水性及び塩水噴霧試験の試験方法は表2に記載の実施例と同じ方法を採用した。切削油試験については、以下のように実施した。
切削油としては、前記表2で使用した5種のうち以下の2種を選択して使用した。
ブラザー・スイスルーブ社 ブラソカット4000ストロング(エマルションタイプ)ユシロ化学工業株式会社 ユシローケン シンセティック#663(ソリュブルタイプ)
まず、試験板に、カッターナイフの切り刃を30度に保持して、素地に達するよう2mm間隔の平行線を11本引き、それらの平行線に直交する2mm間隔の平行線を11本引いて、塗膜に100個の碁盤目を形成した。上記の各切削油を5%水溶液に調製し、前記の碁盤目を形成した試験板を各水溶液に60℃で20日間浸漬した。20日経過後に試験板を各水溶液から取り出し、試験板の外観異常の有無及び塗膜の剥離の有無について、目視で観察を行い、以下の評価基準で評価した。
○…外観異常、塗膜の剥離ともに無し
△…ブリスター発生等の外観異常があるが、剥離は見られない
×…塗膜の剥離が見られる
・ サイロマスク52 … カルシウムイオン交換型シリカ
・ サイロマスク55 … カルシウムイオン交換型シリカ
サイロマスク52と比べて粒径が粗い
・ サイロマスク52M … マグネシウムイオン交換型シリカ
(テイカ株式会社製)
・ K-WHITE 108 … 亜鉛処理トリポリリン酸二水素アルミニウム型防錆顔料
Zn処理量が多い
・ K-WHITE G105 … マグネシウム処理トリポリリン酸二水素アルミニウム型
防錆顔料
・ EXPERT NP-530 … リン酸亜鉛型防錆顔料
・ EXPERT NP-1530 … 亜リン酸亜鉛型防錆顔料
・ EXPERT NP-1600 … 亜リン酸亜鉛型防錆顔料
・ EXPERT NP-1007 … 亜リン酸カルシウム型防錆顔料
・ EXPERT NP-1020c … 亜リン酸カルシウム型防錆顔料
粒径がNP-1007と比べて細かい
・ EXPERT NP-1162 … 亜リン酸アルミニウム型防錆顔料
(キクチカラー株式会社製)
・ LFボウセイ PM-300c … リンモリブデン酸アルミニウム型防錆顔料
・ LFボウセイ PM-303W … リンモリブデン酸アルミニウム型防錆顔料
(PM-300c、PM-303Wは構成成分比率が違う)
・ LFボウセイ CP-Z … リン酸カルシウム亜鉛型防錆顔料
・ LFボウセイ ZP-600 … 亜リン酸亜鉛型防錆顔料
・ LFボウセイ P-WF … 塩基性リン酸亜鉛型防錆顔料
・ Pigmentan 465M … アミノリン酸塩マグネシウム型防錆顔料
(Pigmentan社製)
重合体組成物A−4(50重量%溶液)を60部、カルシウムイオン交換シリカ(富士シリシア化学株式会社製サイロマスク52)30部、N−酢酸ブチル10部からなる混合液を、チタニアビーズとともにポリエチレン製容器に封入し、ペイントシェーカーを用いて2時間分散させて、防錆顔料分散体B−1を作製した。
分散体B−2、B−3については表4に示す配合で、B−1と同様に作製した。
分散体作製後の、分散体中の防錆顔料の粒径は以下のようにして測定を行った。
装置としては、Malvern製ゼータサイザー ナノ ZSを使用し、各分散体をN-酢酸ブチルにて希釈し、25℃にて動的光散乱法にて測定した。得られたデータを光強度分布よりキュムラント解析(ISO13321)し、得られたZ平均粒子径の値を平均粒子径とした。
防錆顔料分散体を利用した塗料組成物の作製
重合体組成物A−4(50重量%溶液)を60部、防錆顔料分散体B−1を67部、酸化チタン(石原産業株式会社製タイペークPF-699)30部を混合した。作製した混合液を、チタニアビーズとともにポリエチレン製容器に封入し、ペイントシェーカー(浅田鉄工株式会社製)を用いて2時間分散させて主剤溶液を調製した。
得られた主剤溶液に、イソシアネート化合物(ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート変性体:BASFジャパン株式会社製バソナート(登録商標)HI 100)8部、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(エボニックデグサジャパン株式会社製Dynasylan(登録商標)GLYMO)6部、テトラメトキシシランの部分加水分解オリゴマーであるメチルシリケートオリゴマー(三菱化学株式会社製MKCシリケートMS-51)4部、シリコン系表面調整剤(BYK-Chemie社製 BYK-342)0.3部、ジブチル錫ラウレート(堺化学工業株式会社製TN-12)0.001部を添加して塗料組成物を作製した。
試験板の作製
試験板については、実施例1と同様にして作製した。
表5に示した配合で、実施例23と同様に塗料組成物を作製し、また、試験板を作製した。
実施例23〜25について、切削油試験、耐酸性、耐アルカリ性、耐温水性、塩水噴霧試験及び可撓性の各種評価については、前記の表2の実施例・比較例で実施した方法と同じようにして、評価を行った。その結果を、先の実施例6、実施例15の結果とともに表5に示す。
表6に示した配合で、実施例23と同様に、実施例26〜33の塗料組成物を作製し、試験板を作製した。図1に、実施例27〜29の試験板(塗板)と、その塗膜表面の顕微鏡写真を示す。
表6中の「BYK-342」「KP-110」「KP-310B」「XP-21-3043」はシリコン系表面調整剤であり、「R-972」は疎水性フュームドシリカである。その詳細を以下に示す。また、表6中の括弧書きの数値は不揮発成分量を示すものである。
・BYK−342:BYK-Chemie社製、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン溶液(不揮発分52.5%)、下記ポリジメチルシロキサン基本構造中の「n」は10程度
・KP−110:信越化学工業株式会社製、ポリジメチルシロキサン(不揮発分100%)、下記ポリジメチルシロキサン基本構造中の「n」は40程度
・KP−310B:信越化学工業株式会社製、ポリジメチルシロキサン溶液(不揮発分10%)、下記ポリジメチルシロキサン基本構造中の「n」は900程度
・X−21−3043:信越化学工業株式会社製、ポリジメチルシロキサン(不揮発分100%)、下記ポリジメチルシロキサン基本構造中の「n」は2700程度
・R−972:日本アエロジル株式会社製、ジメチルジクロロシランによる表面処理を施した疎水性ヒュームドシリカ、平均粒子径16nm
それぞれ作製した実施例26〜33の各試験板の意匠性(ハンマートーン調)について、以下の3つの方法により評価を行った。
(塗膜外観)
各試験板の塗膜表面について目視観察を行い、以下の評価基準によって評価した。
○:凹凸感が認められる。
×:凹凸感がほとんど認められない、あるいは全く無い。
(凹部の数)
各試験板の塗膜表面を、デジタルマイクロスコープ(株式会社キーエンス社製、VHX−1000)を用い、倍率100倍の条件で観察を行った。塗膜面1cm2あたりに存在する凹部の数をカウントした。観察する場所を変えて、同様の操作を5回行った。5回の測定により得られた凹部の数の平均値を算出した。
(凹部の面積)
各試験板の塗膜表面を、デジタルマイクロスコープ(株式会社キーエンス社製、VHX−1000)を用い、測定倍率100倍の条件で観察を行って、観察される凹部を無作為に10個選出した。選定した凹部について、マイクロスコープに付属されている面積測定機能を用いて、その底部の面積をそれぞれ測定した。得られた面積値の10個の平均値を算出した。
表6中の「測定不能」は、凹部は観察されるものの底が浅いため、底部の面積を測定できなかったことを意味する。
Claims (31)
- 下記a〜dの成分を含有する、塗膜表面に切削油が付着する用途の装置や物品用塗料組成物。
a.第三級アミノ基と、イソシアネートと反応する活性水素基、を有する重合体(なお、この重合体を構成する単量体成分のうち、カルボン酸基を有する単量体成分は0.3〜1.5重量%である)
b.一分子中にエポキシ基と加水分解性シリル基とを有する化合物
c.イソシアネート化合物
d.加水分解性シリル基加水分解縮合物 - 防錆顔料を含有する請求項1に記載の塗膜表面に切削油が付着する用途の装置や物品用塗料組成物。
- 防錆顔料が、カルシウムイオン交換型シリカ、マグネシウムイオン交換型シリカ、リン酸亜鉛型防錆顔料、亜リン酸亜鉛型防錆顔料、亜リン酸カルシウム型防錆顔料、リン酸カルシウム亜鉛型防錆顔料、から選ばれた1種以上である請求項2に記載の塗膜表面に切削油が付着する用途の装置や物品用塗料組成物。
- 防錆顔料の平均粒子径が0.75μm以下である請求項2又は3に記載の塗膜表面に切削油が付着する用途の装置や物品用塗料組成物。
- aの重合体の重量平均分子量(Mw)は5,000〜100,000である請求項1〜4のいずれかに記載の塗膜表面に切削油が付着する用途の装置や物品用塗料組成物。
- aの重合体を構成する単量体成分のうちの第三級アミノ基を有する単量体成分は、そのaの重合体中2.0〜9.0重量%である請求項1〜5のいずれかに記載の塗膜表面に切削油が付着する用途の装置や物品用塗料組成物。
- aの重合体一分子中の、イソシアネートと反応する活性水素基が、カルボン酸基及び/又は水酸基である請求項1〜6のいずれかに記載の塗膜表面に切削油が付着する用途の装置や物品用塗料組成物。
- cは3官能以上のイソシアネート化合物である請求項1〜7のいずれかに記載の塗膜表面に切削油が付着する用途の装置や物品用塗料組成物。
- aは、共重合成分として(メタ)アクリル酸アルキルエステルを含有し、その全ての(メタ)アクリル酸アルキルエステルのアルキル基は、その炭素数が7以下である請求項1〜8のいずれかに記載の塗膜表面に切削油が付着する用途の装置や物品用塗料組成物。
- aの共重合体を構成する単量体成分のうち、ブチルアクリレートの含有量が50重量%以下である請求項1〜9のいずれかに記載の塗膜表面に切削油が付着する用途の装置や物品用塗料組成物。
- a.第三級アミノ基と、イソシアネートと反応する活性水素基、を有する重合体100重量部に対して、b.一分子中にエポキシ基と加水分解性シリル基とを有する化合物を2.0〜30.0重量部含有する請求項1〜10のいずれかに記載の塗膜表面に切削油が付着する用途の装置や物品用塗料組成物。
- 下記a〜dの成分を含有する塗料組成物。
a.第三級アミノ基と、イソシアネートと反応する活性水素基、を有する重合体(なお、この重合体を構成する単量体成分のうち、カルボン酸基を有する単量体成分は0.3〜1.5重量%である)
b.一分子中にエポキシ基と加水分解性シリル基とを有する化合物
c.イソシアネート化合物
d.加水分解性シリル基加水分解縮合物
(ただし、下記の一般式(I)で示されるラクトン化合物で、変性前の第三級アミノ基含有ビニル系重合体/ラクトン化合物の重量比が0.1〜100となるように変性せしめて得られる、主鎖末端および/または側鎖に、(a)カルボキシル基と、(b)イソシアネ−ト基と反応性の活性水素原子を有する基とのどちらか一方あるいは両方を有し、かつ、第三級アミノ基をも有するビニル系重合体(A)と、一分子中にエポキシ基と加水分解性シリル基とを併せ有する化合物(B)とを含有することを特徴とする、常温硬化性樹脂組成物を除く。
(一般式(I))
ただし、Rは水素原子または炭素数が1〜12なるアルキル基、アリール基またはアラルキル基を表すものとし、また、nは1〜4なる自然数であるものとする。) - 防錆顔料を含有する請求項12に記載の塗料組成物。
- 防錆顔料が、カルシウムイオン交換型シリカ、マグネシウムイオン交換型シリカ、リン酸亜鉛型防錆顔料、亜リン酸亜鉛型防錆顔料、亜リン酸カルシウム型防錆顔料、リン酸カルシウム亜鉛型防錆顔料、から選ばれた1種以上である請求項13に記載の塗料組成物。
- 防錆顔料の平均粒子径が0.75μm以下である請求項13又は14に記載の塗料組成物。
- aの重合体の重量平均分子量(Mw)は5,000〜100,000である請求項12〜15のいずれかに記載の塗料組成物。
- aの重合体を構成する単量体成分のうちの第三級アミノ基を有する単量体成分は、そのaの重合体中2.0〜9.0重量%である請求項12〜16のいずれかに記載の塗料組成物。
- aの重合体一分子中の、イソシアネートと反応する活性水素基が、カルボン酸基、又は、カルボン酸基と水酸基である請求項12〜17のいずれかに記載の塗料組成物。
- cは3官能以上のイソシアネート化合物である請求項12〜18のいずれかに記載の塗料組成物。
- aは、共重合成分として(メタ)アクリル酸アルキルエステルを含有し、その全ての(メタ)アクリル酸アルキルエステルのアルキル基は、その炭素数が7以下である請求項12〜19のいずれかに記載の塗料組成物。
- aの共重合体を構成する単量体成分のうち、ブチルアクリレートの含有量が50重量%以下である請求項12〜20のいずれかに記載の塗料組成物。
- a.第三級アミノ基と、イソシアネートと反応する活性水素基、を有する重合体100重量部に対して、b.一分子中にエポキシ基と加水分解性シリル基とを有する化合物を2.0〜30.0重量部含有する請求項12〜21のいずれかに記載の塗料組成物。
- 下記a〜dの成分、
及びカルシウムイオン交換型シリカ、マグネシウムイオン交換型シリカ、リン酸亜鉛型防錆顔料、亜リン酸カルシウム型防錆顔料、リン酸カルシウム亜鉛型防錆顔料、から選ばれた1種以上、
を含有する塗料組成物。
a.第三級アミノ基と、イソシアネートと反応する活性水素基、を有する重合体(なお、この重合体を構成する単量体成分のうち、カルボン酸基を有する単量体成分は0.3〜1.5重量%である)
b.一分子中にエポキシ基と加水分解性シリル基とを有する化合物
c.イソシアネート化合物
d.加水分解性シリル基加水分解縮合物 - 上記カルシウムイオン交換型シリカ、マグネシウムイオン交換型シリカ、リン酸亜鉛型防錆顔料、亜リン酸カルシウム型防錆顔料、リン酸カルシウム亜鉛型防錆顔料の平均粒子径が0.75μm以下である請求項23に記載の塗料組成物。
- aの重合体の重量平均分子量(Mw)は5,000〜100,000である請求項23又は24に記載の塗料組成物。
- aの重合体を構成する単量体成分のうちの第三級アミノ基を有する単量体成分は、そのaの重合体中2.0〜9.0重量%である請求項23〜25のいずれかに記載の塗料組成物。
- aの重合体一分子中の、イソシアネートと反応する活性水素基が、カルボン酸基及び/又は水酸基である請求項23〜26のいずれかに記載の塗料組成物。
- cは3官能以上のイソシアネート化合物である請求項23〜27のいずれかに記載の塗料組成物。
- aは、共重合成分として(メタ)アクリル酸アルキルエステルを含有し、その全ての(メタ)アクリル酸アルキルエステルのアルキル基は、その炭素数が7以下である請求項23〜28のいずれかに記載の塗料組成物。
- aの共重合体を構成する単量体成分のうち、ブチルアクリレートの含有量が50重量%以下である請求項23〜29のいずれかに記載の塗料組成物。
- a.第三級アミノ基と、イソシアネートと反応する活性水素基、を有する重合体100重量部に対して、b.一分子中にエポキシ基と加水分解性シリル基とを有する化合物を2.0〜30.0重量部含有する請求項23〜30のいずれかに記載の塗料組成物。
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