以下、本発明の走行支援システムおよび走行支援方法を図に示した実施形態に基づいて説明する。図中のX方向は優先荷役装置10の横行方向X、Y方向は横行方向Xと水平方向において直交する優先荷役装置10の走行方向Y、Z方向は上下方向Z(鉛直方向)を示している。
図1に例示するように、本発明に係る実施形態の走行支援システム1は、予めコンテナCの荷役作業の優先度が相対的に高く設定されている優先荷役装置10と、予め優先荷役装置10に比してコンテナCの荷役作業の優先度が相対的に低く設定されている非優先荷役装置20とが併存しているコンテナターミナル50(以下、ターミナル50)で利用される。ターミナル50は、複数のコンテナCが配列して蔵置される蔵置レーン60と、優先荷役装置10が走行する優先荷役装置用走行路70と、非優先荷役装置20が走行する非優先荷役装置用走行路80とを有している。
この実施形態では、優先荷役装置10がクレーン10であり、非優先荷役装置20がコンテナCの水平搬送を行う搬送車20であり、優先荷役装置用走行路70が、クレーン10の走行装置12が走行するクレーン用走行路70であり、非優先荷役装置用走行路80が、搬送車20が走行する搬送車用走行路80である場合を例示する。以下では、優先荷役装置10をクレーン10、非優先荷役装置20を搬送車20、優先荷役装置用走行路70をクレーン用走行路70、非優先荷役装置用走行路80を搬送車用走行路80として説明する。
図2に例示するように、クレーン10は、クレーン構造体11と、クレーン構造体11の下部に設置された走行装置12と、コンテナCの荷役を行う荷役設備13と、クレーン10の運転手が搭乗する運転室14と、走行装置12および荷役設備13を制御する制御部15とを備えている。
この実施形態のクレーン構造体11は、クレーン10の走行方向Yに離間して配置されて横行方向Xに延在する2本のガーダ11aと、それぞれのガーダ11aの横行方向Xにおける両端部から下方に延設された4本の脚部11bと、走行方向Yに延在して走行方向Yに離間する脚部11bの下部どうしを連結する2本の下部フレーム11c(シルビームともいう)とを有して構成されている。
荷役設備13は、一対のガーダ11aの上部に架け渡されたトロリ13aと、コンテナCを係合して吊り上げる吊具13bと、トロリ13aと吊具13bとを接続するワイヤとを有して構成されている。運転室14はトロリ13aに付設されている。制御部15は、下部フレーム11cの上に配置されている。それぞれの下部フレーム11cの走行方向Yの前部と後部の下方にそれぞれ走行装置12が設けられている。走行装置12は、クレーン用走行路70上で転動する複数のタイヤを有している。
搬送車20としては、ターミナル50に属してターミナル50の内部でコンテナCの搬送を行う構内の搬送車20と、ターミナル50の外部と内部との間でコンテナCの搬入搬出を行う外来の搬送車20とがある。この実施形態では、搬送車20が運転手の運転によって走行する有人の搬送車20である場合を例示する。
図3に例示するように、ターミナル50には走行方向Yに延在する蔵置レーン60が横行方向Xに互いに離間して複数列設けられている。それぞれの蔵置レーン60の横行方向Xにおける片側には、蔵置レーン60に隣接して走行方向Yに延在するコンテナ受渡し用の搬送車用走行路80(以下、受渡し用走行路80a)が設けられている。蔵置レーン60と受渡し用走行路80aを挟むように、蔵置レーン60および受渡し用走行路80aの横行方向Xにおける両側にそれぞれ、走行方向Yに延在するクレーン用走行路70が設けられている。
この実施形態のターミナル50には、搬送車20が他の搬送車20を追越す際に走行する追越し用の搬送車用走行路80(以下、追越し用走行路80b)が設けられている。図3に例示するように、このターミナル50では、横行方向Xに隣り合う一対の蔵置レーン60の間にそれぞれの蔵置レーン60に対応する受渡し用走行路80aが横行方向Xに互いに離間して設けられている。その2本の受渡し用走行路80aの間にはそれぞれ異なるクレーン10が走行する2本のクレーン用走行路70が横行方向Xに互いに離間して設けられている。その2本のクレーン用走行路70の間に、1本の追越し用走行路80bが設けられている。
搬送車20がクレーン10とのコンテナCの受渡しを行う際には、搬送車20は受渡し用走行路80aに進入し、クレーン10とのコンテナCの受渡し位置まで走行して停車する。そして、受渡し用走行路80a上で搬送車20とクレーン10との間でコンテナCの受渡しが行われる。
ある搬送車20が受渡し用走行路80aを走行している際に、その搬送車20の前方に他の搬送車20が停車している場合や徐行している場合がある。このような場合には、後方の搬送車20は、図3の実線の矢印で示すように、受渡し用走行路80aからクレーン用走行路70に進入してクレーン用走行路70を横切り、追越し用走行路80bに進入する。そして、追越し用走行路80bを走行して受渡し用走行路80aの前方に位置していた他の搬送車20を追越す。追越しを終えた搬送車20は、そのまま追越し用走行路80bを走行する場合もあるし、追越しレーン80bからクレーン用走行路70を横切って再び受渡し用走行路80aに戻る場合もある。
本発明に係る実施形態の走行支援システム1は、前述したような搬送車20が、クレーン10が走行するクレーン用走行路70を横切る際の安全性を高めるシステムである。図4に例示するように、走行支援システム1は、相対位置取得手段2と制御装置4と伝達手段5とを備えている。この実施形態の走行支援システム1は、さらに、速度取得手段3と警報手段6と伝達機器7とを備えている。
相対位置取得手段2、速度取得手段3、伝達手段5、警報手段6、伝達機器7、および制御部15はそれぞれ、制御装置4に有線または無線で通信可能に接続されている。速度取得手段3はさらに、制御部15に通信可能に接続されている。なお、速度取得手段3、警報手段6、および伝達機器7は走行支援システム1の必須な構成要素ではなく、必要に応じて任意に設けることができる。
相対位置取得手段2は、クレーン10の所定距離以内に存在する搬送車20のクレーン10に対する相対位置情報を取得し、その取得した相対位置情報を制御装置4に入力する構成を有している。より詳しくは、相対位置取得手段2は、受渡し用レーン80aに隣接するクレーン用走行路70上に位置するクレーン10の走行装置12と、クレーン10の進行方向前方においてその走行装置12に最も近い搬送車20との相対位置情報を取得する。
図5の(a)に例示するように、この実施形態では、相対位置取得手段2として、受渡し用レーン80aに隣接するクレーン用走行路70を走行する走行装置12に2台の二次元レーザセンサが設置されている。図5の(a)では、紙面右側がクレーン10の前方を示し、紙面左側がクレーン10の後方を示している。1台の二次元レーザセンサは走行方向におけるクレーン10の前方に位置する走行装置12の前部に設置されており、もう一台の二次元レーザセンサは、クレーン10の後方に位置する走行装置12の後部に設置されている。この実施形態では、この二台の二次元レーザセンサによって受渡し用レーン80aに隣接するクレーン用走行路70を走行する走行装置12の周囲の全周を走査する構成になっている。
より詳しくは、この実施形態では、前方の二次元レーザセンサは、横行方向Xにおける走行装置12の外側に配置されており、後方の二次元レーザセンサは、横行方向Xにおける走行装置12の内側に配置されている。それぞれの二次元レーザセンサのレーザ光の走査方向は略水平方向に設定されている。図5の(a)に示す一点鎖線の矢印のように、前方の二次元レーザセンサは、クレーン10の前部よりも前方の受渡し用レーン80a、クレーン用走行路70、および追越し用レーン80bに渡る所定範囲と、クレーン10の前部よりも後方の追越し用レーン80bおよびクレーン用走行路70に渡る所定範囲にレーザ光を走査する構成になっている。後方の二次元レーザセンサは、クレーン10の後部よりも後方の追越し用レーン80b、クレーン用走行路70、および受渡し用レーン80aに渡る所定範囲と、クレーン10の後部よりも前方の受渡し用レーン80aおよびクレーン用走行路70に渡る所定範囲にレーザ光を走査する構成になっている。
このように、相対位置取得手段2をクレーン10に設置した二次元レーザセンサで構成すると、クレーン10に対する搬送車20の相対位置情報を短いタイムラグで精度よく取得できる。相対位置取得手段2は、クレーン10に対する搬送車20の相対位置情報を取得できる構成であれば、この実施形態の構成に限定されず、他にも様々な構成にすることができる。
例えば、相対位置取得手段2は、3台以上の二次元レーザセンサで構成することもできるし、三次元レーザセンサや超音波センサなどの他の測定機器で構成することもできる。また、相対位置取得手段2は、例えば、全地球測位システム(GNSS)などを利用してクレーン10と搬送車20のそれぞれの絶対位置情報を取得し、その絶対位置情報に基づいてクレーン10に対する搬送車20の相対位置情報を取得する構成にすることもできる。また、相対位置取得手段2は、例えば、ターミナル1にトランスポンダなどの測位機器を設置して、その測位機器によって取得したターミナル1におけるクレーン10の位置情報と搬送車20の位置情報とに基づいて、クレーン10と搬送車20との相対位置情報を取得する構成にすることもできる。
速度取得手段3は、クレーン10の走行速度情報V1を取得し、その取得した走行速度情報を制御装置4に入力する。この実施形態の速度取得手段3は、クレーン10の制御部15からクレーン10の走行速度情報V1を取得する構成になっている。速度取得手段3は、クレーン10の走行速度情報V1を取得できる構成であれば、この実施形態の構成に限定されず、他にも様々な構成にすることができる。
制御装置4は、各種情報処理を行うCPU、その各種情報処理を行うために用いられるプログラムや情報処理結果を読み書き可能な内部記憶装置、および各種インターフェースなどから構成されるハードウェアである。この実施形態では、制御装置4を下部フレーム11cの上に設置しているが、制御装置4の設置位置は特に限定されず、例えば、クレーン10の他の位置やクレーン10から離間した位置に設置することもできる。
制御装置4は、相対位置取得手段2から入力されたクレーン10に対する搬送車20の相対位置情報に基づいて、クレーン10の走行装置12が走行しているクレーン用走行路70に搬送車20が進入可能な状況であるか否かを判定し、その判定結果を伝達手段5に入力する構成になっている。
搬送車20がクレーン用走行路70に進入可能な状況とは、クレーン用走行路70に搬送車20が進入した場合に、クレーン10(走行装置12)と搬送車20との離間距離が比較的長く、クレーン10と搬送車20とが衝突するリスクが非常に低い状況である。言い換えると、逆に、搬送車20がクレーン用走行路70に進入不可な状況とは、クレーン用走行路70に搬送車20が進入した場合に、クレーン10と搬送車20との離間距離が比較的短くなり、クレーン10と搬送車20とが衝突するリスクが生じる状況、即ち、搬送車20がクレーン用走行路70に進入することが好ましくない状況である。
図5および図6に例示するように、この実施形態の制御装置4は、クレーン用走行路70に搬送車20が進入可能な状況であるか否かの境界となる、クレーン10の進行方向におけるクレーン用走行路70上のクレーン10の前端位置と搬送車20の後端位置との離間距離D4を、閾値D1として予め設定する。そして、相対位置取得手段2から入力された相対位置情報に基づいて、クレーン10に対する搬送車20の離間距離D4が、予め設定された閾値D1以上である場合には、クレーン用走行路70に搬送車20が進入可能な状況であると判定する。一方で、クレーン10に対する搬送車20の離間距離D4が、予め設定された閾値D1よりも短い場合には、クレーン用走行路70に搬送車20が進入不可な状況であると判定する構成になっている。
この制御装置4は、さらに、クレーン用走行路70上に位置するクレーン10(走行装置12)の周辺領域の所定範囲を進入不可エリアNAとして設定する。そして、図7の(a)に例示するように、相対位置取得手段2から入力された相対位置情報に基づいて、予め設定した進入不可エリアNAに搬送車20が進入していると判定した場合に、警告手段6に警報を発信させる構成になっている。
進入不可エリアNAは、搬送車20が進入した場合に、クレーン10と搬送車20とが衝突するリスクは比較的低いが、クレーン10と搬送車20との衝突を回避するために搬送車20に対して注意を促す必要がある範囲として設定される。即ち、進入不可エリアNAは、搬送車20が進入することが好ましくないエリアである。
この制御装置4は、さらに、クレーン用走行路70上に位置するクレーン10(走行装置12)の所定範囲を非常停止エリアEAとして設定する。そして、図7の(b)に例示するように、相対位置取得手段2から入力された相対位置情報に基づいて、予め設定した非常停止エリアEAに搬送車20が進入していると判定した場合に、クレーン10の走行を停止させる構成になっている。
非常停止エリアEAは、搬送車20が進入した場合に、クレーン10の走行を停止させなければ、クレーン10と搬送車20とが衝突するリスクが比較的高い範囲として設定される。非常停止エリアEAは、進入不可エリアNAの内側の進入不可エリアEAよりも狭い所定範囲として設定される。
図中では、制御装置4によって設定される閾値D1に相当する仮想的な閾値ラインTLを太線の実線で示している。太線の破線で囲われた斜線部分が進入不可エリアNAを示し、進入不可エリアNAの内側に位置する太線の二点鎖線で囲われた白抜き部分が非常停止エリアEAを示している。この実施形態では、進入不可エリアNAと非常停止エリアEAをそれぞれ平面視で矩形状のエリアとして設定している。進入不可エリアNAと非常停止エリアEAは、平面視で多角形状や台形状、楕円形状などの異なる形状のエリアとして設定することもできる。
この実施形態の制御装置4では、速度取得手段3が取得したクレーン10の走行速度情報V1に応じて、閾値D1と、進入不可エリアNAの広さと、非常停止エリアEAの広さとをそれぞれ変更する構成になっている。
より詳しくは、図5の(a)に例示するように、クレーン10が停止している状況では、クレーン10の前方を走行している搬送車20がクレーン用走行路70に進入した場合にも、クレーン10と搬送車20とが衝突するリスクは非常に低い。それ故、制御装置4は、クレーン10が停止している場合には、閾値D1と、クレーン用走行路70上に位置するクレーン10(走行装置12)の前端位置から進入不可エリアNAの前端位置までの距離D2(以下、進入不可エリアNAの距離D2)を比較的短く設定する。
この実施形態では、クレーン10が停止している場合の閾値D1と進入不可エリアNAの距離D2とを同じ距離に設定しているが、閾値D1を進入不可エリアNAの距離D2よりも長く設定することもできる。進入不可エリアNAの横行方向Xにおける両側の外側端部の位置は、例えば、クレーン用走行路70よりも外側で、かつ、クレーン用走行路70に隣接する搬送車用走行路80(80a、80b)よりも内側の位置に設定する。制御装置4は、クレーン10が停止している場合には非常停止エリアEAは設定しない。
搬送車20が搬送車用走行路80から曲がってクレーン用走行路70に進入する際には、走行方向Yにおける搬送車20の速度は減速する。それ故、図5の(b)に例示するように、クレーン10が走行している状況では、クレーン10の走行速度が速いほど、クレーン10の前方に位置している搬送車20がクレーン用走行路70に進入する際に、クレーン10と搬送車20とが接近し易くなる。そのため、この制御装置4は、速度取得手段3が取得したクレーン10の走行速度情報V1が速いほど、閾値D1と、進入不可エリアNAの距離D2と、クレーン用走行路70上に位置するクレーン10の前端位置から非常停止エリアEAの前端位置までの距離D3(以下、非常停止エリアEAの距離D3)と、をより長く設定する構成になっている。
制御装置4は、進入不可エリアNAの距離D2を、非常停止エリアEAの距離D3よりも長く設定する。この実施形態では、閾値D1を進入不可エリアNAの距離D2よりも長く設定しているが、クレーン10が走行している場合の閾値D1と進入不可エリアNAの距離D2とを同じ距離に設定することもできる。非常停止エリアEAの横行方向Xにおける両側の外側端部の位置は、例えば、横行方向Xにおける走行装置12の両端部の位置と同じ位置に設定する。
この制御装置4は、さらに、搬送車20がクレーン用走行路70に進入可能な状況であるか否かの判定結果と、進入不可エリアNAに搬送車20が進入しているか否かの判定結果と、非常停止エリアEAに搬送車20が進入しているか否かの判定結果とをそれぞれ伝達機器7に入力する構成になっている。
伝達手段5は、制御装置4から入力された、搬送車20がクレーン用走行路70に進入可能な状況であるか否かの判定結果を搬送車20に知らせる手段である。伝達手段5は例えば、搬送車20の運転手に判定結果を視覚的に知らせる表示灯や電光掲示板等の表示機器や、判定結果を聴覚的に知らせるスピーカー等の音響機器などで構成される。
この実施形態では、クレーン10のガーダ11aの横行方向Xの端部に、伝達手段5として表示灯が設置されている。この表示灯は、制御装置4からクレーン用走行路70に搬送車20が進入可能な状況であるとの判定結果が入力されている場合には青色に点灯し、搬送車20が進入不可な状況であるとの判定結果が入力されている場合には赤色に点灯する構成になっている。伝達手段5として表示灯などの表示機器をクレーン10に設置する場合には、表示機器を搬送車20の運転手がサイドミラーやバックミラーで視認可能な位置に配置することが好ましい。伝達手段5は、ガーダ11aの他にも例えば、脚部11bや走行装置12などに設置することもできる。
警報手段6は、制御装置4から警報を発信させる指令が入力されると、進入不可エリアNAに進入している搬送車20に対して警報を発信する構成になっている。警報手段6は例えば、警報音を発生させる音響機器や、搬送車20の運転手に警報を視覚的に知らせる表示機器などで構成される。この実施形態では、クレーン10の脚部11bの下部に、警報手段6として警告音を発生させる音響機器を設置している。警報手段6は、脚部11bの他にも例えば、走行装置12や下部フレーム11cなどに設置することもできる。
伝達手段5や警報手段6は、搬送車20の運転手に判定結果や警報を知らせることができる位置に設置すればよく、例えば、搬送車用走行路80の地面や、搬送車用走行路80の近傍に設置することもできる。また、伝達手段5や警報手段6は、例えば、構内の搬送車20の運転席に設置することもできる。
伝達機器7は、制御装置4から入力された判定結果をクレーン10の運転手に知らせる機器である。伝達機器7は例えば、表示機器や音響機器で構成され、クレーン10の運転室14に設置される。
次に、この走行支援システム1を使用した走行支援方法を図8に例示するフロー図と図5〜図7に例示するターミナル50の平面図とを参照して説明する。
図8に例示するように、クレーン10を駆動させると走行支援方法のフローが開始する。速度取得手段3がクレーン10の走行速度情報V1を取得し、その取得した走行速度情報V1を制御装置4に入力する(S1)。次いで、制御装置4が、速度取得手段3から入力されたクレーン10の走行速度情報V1に基づいて、閾値D1、進入不可エリアNA、および非常停止エリアEAを設定する(S2)。クレーン10が停止している場合には、制御装置4は、非常停止エリアEAは設定せずに、閾値D1と進入不可エリアNAを設定する。
そして、相対位置取得手段2がクレーン10の所定距離以内に存在する搬送車20のクレーン10に対する相対位置情報を取得し、その取得した相対位置情報を制御装置4に入力する(S3)。前述したステップS1〜S2とステップS3は、実行する順番を入れ替えてもよいし、並行して実行してもよい。
次いで、制御装置4が、ステップS2で設定した閾値D1と、ステップ3で入力された相対位置情報とに基づいて、クレーン用走行路70に搬送車20が進入可能な状況であるか否かを判定する(S4)。この実施形態では、図5の(a)、(b)や図6の(a)に例示するように、クレーン10の進行方向におけるクレーン10に対する搬送車20の離間距離D4が、予め設定した閾値D1以上である場合には、制御装置4はクレーン用走行路70に搬送車20が進入可能な状況であると判定し、その判定結果を伝達手段5と伝達機器7とにそれぞれ入力する(S4:YES)。図6の(b)に例示するように、クレーン10に対する搬送車20の離間距離D4が、予め設定した閾値D1よりも短い場合には、制御装置4はクレーン用走行路70に搬送車20が進入不可な状況であると判定し、その判定結果を伝達手段5と伝達機器7にそれぞれ入力する(S4:NO)。
ステップS4において、制御装置4が、クレーン用走行路70に搬送車20が進入可能な状況であると判定した場合(S4:YES)には、伝達手段5が、制御装置4から入力された、クレーン用走行路70に搬送車20が進入可能であるとの判定結果を搬送車20に知らせる(S5)。この実施形態では、伝達手段5としてクレーン10に設置された表示灯が青色に点灯することで、搬送車20の運転手にクレーン用走行路70に進入可能な状況であることを知らせる。さらに、伝達機器7が、クレーン用走行路70に搬送車20が進入可能な状況であるとの判定結果をクレーン10の運転手に知らせる。ステップS5が完了すると、図8のフローのスタートに戻る。
一方で、ステップS4において、制御装置4が、クレーン用走行路70に搬送車20が進入不可な状況であると判定した場合(S4:NO)には、伝達手段5が、制御装置4から入力された、クレーン用走行路70に搬送車20が進入不可な状況であるとの判定結果を搬送車20に知らせる(S6)。この実施形態では、伝達手段5としてクレーン10に設置された表示灯を赤色に点灯することで、搬送車20の運転手にクレーン用走行路70に進入不可な状況であることを知らせる。さらに、伝達機器7が、クレーン用走行路70に搬送車20が進入不可な状況であるとの判定結果をクレーン10の運転手に知らせる。
ステップS6に進んだ場合には、次いで、制御装置4が、ステップS2で設定した進入不可エリアNAと、ステップS3で入力された相対位置情報とに基づいて、進入不可エリアNAに搬送車20が進入しているか否かを判定する(S7)。図6の(b)に例示するように、ステップS7において、制御装置4が進入不可エリアNAに搬送車20が進入していないと判定した場合(S7:NO)には、そのまま図8のフローのスタートに戻る。
一方で、図7の(a)に例示するように、ステップS7において、制御装置4が進入不可エリアNAに搬送車20が進入していると判定した場合(S7:YES)には、制御装置4は警報手段6に警報を発信させる指令を入力し、伝達機器7には進入不可エリアNAに搬送車20が進入している判定結果を入力する。すると、警報手段6が、進入不可エリアNAに進入している搬送車20に対して、進入不可エリアNAに進入していることを知らせる警報を発信する(S8)。この実施形態では、クレーン10に設置された音響機器が警報音を発信する。さらに、伝達機器7が、進入不可エリアNAに搬送車20が進入しているとの判定結果をクレーン10の運転手に知らせる。
ステップS8に進んだ場合には、次いで、制御装置4が、ステップS2で設定した非常停止エリアEAと、ステップS3で入力された相対位置情報とに基づいて、非常停止エリアNAに搬送車20が進入しているか否かを判定する(S9)。図7の(a)に例示するように、ステップS9において、制御装置4が非常停止エリアEAに搬送車20が進入していないと判定した場合(S9:NO)には、制御装置4はクレーン10の制御部15に、クレーン10の走行速度V1を自動減速させる指令を入力し、伝達機器7にはクレーン10の走行速度V1を自動減速させる情報を入力する。すると、制御部15により、クレーン10の走行速度V1が自動減速される(S10)。さらに、伝達機器7が、クレーン10の走行速度V1が自動減速されることをクレーン10の運転手に知らせる。ステップS10が完了すると図8のフローのスタートに戻る。なお、前述したステップS10を省略したフローにすることもできる。つまり、ステップS9において、制御装置4が非常停止エリアEAに搬送車20が進入していないと判定した場合(S9:NO)に、そのまま図8のフローのスタートに戻る構成にすることもできる。
一方で、図7の(b)に例示するように、ステップS9において、制御装置4が非常停止エリアEAに搬送車20が進入していると判定した場合(S9:YES)には、制御装置4はクレーン10の制御部15に、クレーン10の走行を停止させる指令を入力し、伝達機器7には非常停止エリアEAに搬送車20が進入している判定結果とクレーン10を非常停止させる情報を入力する。すると、制御部15により、クレーン10の走行が自動的に非常停止される(S11)。さらに、伝達機器7が、非常停止エリアEAに搬送車20が進入しているとの判定結果と自動的にクレーン10を非常停止させることをクレーン10の運転手に知らせる。ステップS11が完了すると図8のフローのスタートに戻る。クレーン10が駆動してからクレーン10の駆動が停止するまで、図8に示すフローのステップS1〜S11が周期的に繰り返される。
これにより、図5の(a)(b)や図6の(a)に例示するように、搬送車20がクレーン用走行路70に進入可能な状況では、伝達手段5を構成する表示灯が青色に点灯し、警報手段6による警報音の発信が行われていない状態となる。図6の(b)に例示するように、搬送車20がクレーン用走行路70に進入不可な状況であるが、搬送車20が進入不可エリアNAに進入していない状況では、表示灯が赤色に点灯し、警報手段6による警報音の発信が行われていない状態となる。
図7の(a)に例示するように、搬送車20が進入不可エリアNAに進入している状況では、表示灯が赤色に点灯し、警報手段6により警報音が発信されている状態となる。図7の(b)に例示するように、搬送車20が非常停止エリアEAに進入している状況では、表示灯が赤色に点灯し、警報手段6により警報音が発信され、クレーン10が非常停止した状態となる。即ち、伝達手段5(表示灯)により搬送車20に対してクレーン用走行路70に進入可能な状況であるか進入不可な状況であるかのいずれかの情報が常に伝達(表示)されている状態となる。
このように、この走行支援システム1および走行支援方法では、クレーン10に対する搬送車20の相対位置情報に基づいて、クレーン用走行路70に、搬送車20が進入可能な状況であるか否かを判定し、その客観的な判定結果を、伝達手段5によって搬送車20に知らせる。これにより、クレーン用走行路70に搬送車20が進入不可な状況であるにもかかわらず、搬送車20がクレーン用走行路70に不用意に進入してしまうことを抑制でき、搬送車20がクレーン用走行路70を安全に横切ることができる。
この実施形態のように、伝達手段5を、クレーン10に設置した表示機器で構成すると、構内の搬送車20に限らず、外来の搬送車20に対してもクレーン用走行路70に搬送車20が進入可能な状況であるか否かを知らせることができる。
クレーン10が走行している場合の閾値D1と進入不可エリアNAの距離D2とを同じ距離に設定することもできるが、この場合には、次のような状況になる場合がある。搬送車20が閾値D1よりも前方であるが閾値D1のすぐ近くを走行している場合に、搬送車20が、伝達手段5によってクレーン用走行路70に進入可能な状況であることを確認してクレーン用走行路70へ進入したが、クレーン用走行路70を横切っている途中で進入不可エリアNAに搬送車20が入ってしまう場合がある。
このような場合には、搬送車20が、伝達手段5によってクレーン用走行路70に進入可能な状況であると確認してクレーン用走行路70へ進入したにもかかわらず、警報手段6により警報が発信されるため、搬送車20がそのまま進入不可エリアNAを横切ってもよいか否かを判断しかねる状況になってしまう場合がある。一方で、この実施形態のように、制御装置4が、クレーン10が走行している場合の閾値D1を進入不可エリアNAの距離D2よりも長く設定する構成にすると、前述したような搬送車20が進入不可エリアNAを横切ってもよいか否かを判断しかねる状況となる可能性をより低くできる。
この実施形態のように、制御装置4が予め設定した進入不可エリアNAに搬送車20が進入している場合に、警告手段6が警報を発信する構成にすると、警報により搬送車20に対して、搬送車20がクレーン10に接近していてこれ以上クレーン10に近づくとクレーン10に衝突するリスクが高くなることを認識させることができる。また、警報により、搬送車20に対して、クレーン10から離れて進入不可エリアNAよりも外側に移動するように促すことができる。そのため、搬送車20の安全性を向上させるには有利になる。また、警報により、搬送車20が非常停止エリアEAに進入することを未然に抑制できるので、クレーン10が非常停止する頻度を少なくできる。それ故、クレーン10の荷役効率を高く維持するにも有利になる。
制御装置4が予め設定した非常停止エリアEAに搬送車20が進入している場合に、クレーン10の走行を停止させる構成にすると、搬送車20の運転手が警報手段6による警報に気づかない場合などの人為的な要因とは無関係に、クレーン10と搬送車20との衝突をより確実に防止できる。それ故、搬送車20の安全性を向上させるにはより一層有利になる。
伝達機器7を設けると、クレーン10の運転手が、伝達機器7から伝達される制御装置4の判定結果から、クレーン10と搬送車20との位置関係や、搬送車20の挙動を把握できる。また、非常停止エリアEAに搬送車20が進入してクレーン10が自動的に非常停止する場合にも、その状況をクレーン10の運転手が明確に認識できる。それ故、伝達機器7を設けることで、クレーン10の運転手がクレーン10と搬送車20との接近を回避するための回避行動や、クレーン10の非常停止後の復帰行動をより的確に行うことが可能となり、搬送車20の安全性を向上するには有利になる。
クレーン用走行路70に搬送車20が進入可能な状況であるか否かの境界となるクレーン10と搬送車20との過不足ない離間距離D4の閾値D1は、クレーン10の走行速度の条件によって異なる。それ故、この実施形態のように、速度取得手段3が取得したクレーン10の走行速度情報V1に応じて、制御装置4が閾値D1を変更する構成にするとよい。
また、クレーン10と搬送車20とが衝突するリスクを低くしつつ、不要な警報を回避できる過不足ない進入不可エリアNAの距離D2は、クレーン10の走行速度の条件によって異なる。クレーン10と搬送車20との衝突を確実に防止しつつ、クレーン10の不要な非常停止を回避できる過不足ない非常停止エリアEAの距離D3も、クレーン10の走行速度の条件によって異なる。それ故、この実施形態のように、速度取得手段3が取得したクレーン10の走行速度情報V1に応じて、制御装置4が進入不可エリアNAの広さと非常停止エリアEAの広さを変更する構成にするとよい。
より厳密には、クレーン用走行路70に搬送車20が進入可能な状況であるか否かの境界となるクレーン10と搬送車20との過不足ない離間距離D4の閾値D1は、クレーン10に対する搬送車20の相対速度の条件によって異なる。具体的には、例えば、クレーン10の進行方向における、クレーン10に対する搬送車20の相対速度が正の値の場合、即ち、搬送車20がクレーン10と同じ進行方向にクレーン10よりも速い速度で走行している場合には、クレーン10と搬送車20との離間距離D4が比較的短くとも、搬送車20がクレーン用走行路70を安全に横切ることができる。
逆に、例えば、クレーン10の進行方向における、クレーン10に対する搬送車20の相対速度が負の値の場合、即ち、搬送車20がクレーン10と同じ進行方向にクレーン10よりも遅い速度で走行している場合や搬送車20がクレーン10の進行方向と逆向きに走行している場合には、搬送車20がクレーン用走行路70を安全に横切るには、クレーン10と搬送車20との離間距離D4を比較的長く確保する必要がある。
それ故、過不足ない閾値D1をより精度よく設定するには、速度取得手段3がクレーン10に対する搬送車20の相対速度情報を取得する構成とし、制御装置4は速度取得手段3が取得した相対速度情報に応じて閾値D1を変更する構成にすることがより好ましい。この場合の走行支援方法は、図8のフローのステップS1において、速度取得手段3がクレーン10に対する搬送車20の相対速度情報を取得し、その取得した相対速度情報を制御装置4に入力する。そして、ステップS2において、制御装置4が入力された相対速度情報に基づいて、閾値D1を設定する構成となる。
同様に、制御装置4が、速度取得手段3が取得した相対速度情報に応じて、進入不可エリアNAの距離D2と非常停止エリアEAの距離D3を変更する構成にすると、過不足ない進入不可エリアNAの広さと非常停止エリアEAの広さをより精度よく設定できる。
クレーン10に対する搬送車20の相対速度情報を取得する速度取得手段3は、例えば、走行方向Yにおける、クレーン10の走行速度情報V1と搬送車20の走行速度情報V2とをそれぞれ取得して、演算によりクレーン10に対する搬送車20の相対速度情報を取得する構成とする。搬送車20の走行速度情報V2は例えば、搬送車20の制御部から取得することができる。搬送車用走行路80が一方通行であれば、クレーン10に対する搬送車20の進行方向は、クレーン10の進行方向から特定できる。搬送車用走行路80が一方通行でない場合には、例えば、搬送車20にRFIDタグを装備させ、ターミナル50の各所にRFIDの読み取り機器を設ける。そして、読み取り機器が取得したRFIDのデータとターミナル50の管理を行う上位の運行管理システムのデータとを照合することで、クレーン10に対する搬送車20の進行方向を特定できる。
速度取得手段3は、他にも例えば、所定の周期毎に相対位置取得手段2によって取得されるクレーン10に対する搬送車20の相対位置情報を時間で微分処理する演算を行うことで、クレーン10に対する搬送車20の相対速度情報を取得する構成にすることもできる。
なお、走行支援システム1は、速度取得手段3を有さずに、制御装置4が閾値D1、進入不可エリアNAの距離D2、および非常停止エリアEAの距離D3をそれぞれ予め決定した一定の距離に設定する構成にすることもできる。この場合の走行支援方法は、図8のフローのステップS1が省略されたフローとなる。
走行支援システム1は、制御装置4が進入不可エリアNAおよび非常停止エリアEAのいずれかまたは両方を設定しない構成にすることもできる。制御装置4が閾値D1のみを設定する場合の走行支援方法は、図8のフローのステップS7〜S10が省略され、ステップS6を完了するとスタートに戻るフローとなる。制御装置4が閾値D1と進入不可エリアNAとを設定する場合の走行支援方法は、図8のフローのステップS9、S10が省略され、ステップS8を完了するとスタートに戻るフローとなる。制御装置4が閾値D1と非常停止エリアEAとを設定する場合の走行支援方法は、図8のフローのステップS7、S8が省略され、ステップS6を完了するとステップS9に進むフローとなる。
図9に例示するように、走行支援システム1は、追越し用走行路80bを有していないターミナル50においても適用できる。このようなターミナル50の場合には、搬送車20が前方に位置する他の搬送車20を追越す場合には、図9の実線の矢印で示すように、搬送車20は走行している受渡し用走行路80aから、それぞれ異なるクレーン10が走行する2本のクレーン用走行路70を横切って、隣の蔵置レーン60の受渡し用走行路80aに進入することになる。
このようなターミナル50の場合には、図9に例示する閾値ラインTLのように、制御装置4は閾値D1を、クレーン10がコンテナCの荷役を行う蔵置レーン60に対応する受渡し用走行路80aから、横行方向Xに隣り合う別の蔵置レーン60に対応する受渡し用走行路80aまで設定する。そして、相対位置取得手段2は、クレーン10がコンテナCの荷役を行う蔵置レーン60に対応する受渡し用走行路80aから、横行方向Xに隣り合う別の蔵置レーン60に対応する受渡し用走行路80aまで、クレーン10に対する搬送車20の相対位置情報を取得する構成とする。
このようなターミナル50の場合には、隣り合う2台のクレーン10の両方の伝達手段5が、クレーン用走行路70に搬送車20が進入可能な状況であると搬送車20に知らせている場合に、搬送車20がクレーン用走行路70に進入して2本のクレーン用走行路70を横切ることになる。即ち、2台のクレーン10の両方または片方の伝達手段5が、搬入車20がクレーン用走行路70に進入不可な状況であると搬送車20に知らせている場合には、搬送車20はクレーン用走行路70に進入しない。
なお、既述した実施形態では、非優先荷役装置20が、運転手が運転して走行する有人の搬送車20である場合を例示したが、走行支援システム1は非優先荷役装置20が、自動運転で走行する無人の搬送車20である場合にも適用できる。非優先荷役装置20が無人の搬送車20である場合には、伝達手段5は無人の搬送車20の自動運転を制御する自動運転制御部に、搬入車20がクレーン用走行路70に進入可能な状況であるか否かの判定結果を入力することで、制御装置4による判定結果を無人の搬送車20に知らせる構成とする。
そして、自動運転制御部により、無人の搬入車20が他の搬送車20を追越す自動運転を行う場合には、伝達手段5から自動運転制御部にクレーン用走行路70に進入可能な状況であるとの判定結果が入力されている場合に、搬送車20をクレーン用走行路70に進入させる自動運転制御が許可される構成とする。一方で、伝達手段5からクレーン用走行路70に進入不可な状況であるとの判定結果が入力されている場合には、搬送車20をクレーン用走行路70に進入させる自動運転制御が禁止される構成とする。これにより、無人の搬送車20のクレーン用走行路70への不用意な進入を防ぐことができ、無人の搬送車20がクレーン用走行路70を安全に横切ることができる。
優先荷役装置用走行路70に非優先荷役装置20が進入可能な状況であるか否かの判定方法は、相対位置取得手段2が取得した相対位置情報に基づいて判定する方法であれば、既述した実施形態の判定方法に限定されず、異なる判定方法にすることもできる。具体的には例えば、優先荷役装置10の周辺領域の所定範囲を横切り不可エリアとして予め設定して、相対位置取得手段2が取得した相対位置情報に基づいて、横切り不可エリアに非優先荷役装置20が進入していない場合には、優先荷役装置用走行路70に非優先荷役装置20が進入可能な状況であると判定し、横切り不可エリアに非優先荷役装置20が進入している場合には、優先荷役装置用走行路70に非優先荷役装置20が進入不可な状況であると判定する構成にすることもできる。
この実施形態では、優先荷役装置10が、タイヤ式の門型のクレーン(RTG)である場合を例示したが、本発明に係る走行支援システム1および走行支援方法は、例えば、優先荷役装置10が、クレーン用走行路70に敷設されたレールに沿って走行するレールマウント式の門型のクレーン(RMG)である場合にも適用できる。
また、本発明に係る走行支援システム1および走行支援方法は、例えば、優先荷役装置10が、岸壁において船舶に対するコンテナCの荷役を行う岸壁クレーンであり、非優先荷役装置20が岸壁クレーンとのコンテナCの受け渡しを行う搬送車である場合にも適用できる。この場合には、優先荷役装置用走行路70は、岸壁に設けられた岸壁クレーンの走行装置が走行するクレーン用走行路となり、非優先荷役装置用走行路80は、そのクレーン用走行路の側方に設けられた搬送車が走行する搬送車用走行路となる。
また、本発明に係る走行支援システム1および走行支援方法は、その他にも例えば、優先荷役装置10が、予めコンテナCの荷役作業の優先度が相対的に高く設定されている搬送車であり、非優先荷役装置20が、予め優先荷役装置10である搬送車に比してコンテナCの荷役作業の優先度が相対的に低く設定されているその他の搬送車である構成にすることもできる。この場合には、優先荷役装置用走行路70は、優先荷役装置10である搬送車が走行する搬送車用走行路となり、非優先荷役装置用走行路80は、非優先荷役装置20である搬送車が走行する隣の別の搬送車用走行路となる。そして、走行支援システム1および走行支援方法は、非優先荷役装置20である搬送車が、優先荷役装置10である搬送車が走行する搬送車用走行路を横切る際の安全性を高めるシステムおよび方法となる。