JP2021054346A - 乗物用シート - Google Patents
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Abstract
Description
図1〜図4に示すシートクッション4は、座部となる上方視で概ね矩形の部材であり、シートフレーム4F上のシートパッド4Pがシートカバー4Sで被覆されることで形成されている。なおシートカバー4Sは、シート外観をなす面材であり、例えば布帛(織物,編物,不織布)や皮革(天然皮革,合成皮革)で形成できる。またシートカバー4Sの下側には、着座性を考慮して発泡樹脂製のマット材4SSが配設されている。
図4に示すシートフレーム4Fは、シート骨格をなす上方視で略矩形の枠体であり、金属や硬質樹脂などの剛性に優れる素材で形成できる。このシートフレーム4Fの外形部分は、フロントフレーム10と、一対のサイドフレーム11と、リアフレーム12とを概ね矩形に組むことで形成されている(図4では、便宜上、各サイドフレームに共通の符号11を付す)。左右一対のサイドフレーム11は、それぞれ側部骨格をなす板状の部材であり、シートの左側と右側とに分かれて配設されている。また両サイドフレーム11の前端側には、前部骨格をなすフロントフレーム10(詳細後述)が固定されている。また両サイドフレーム11の後端側には、後部骨格をなすパイプ状のリアフレーム12が掛け渡されて固定され、両サイドフレーム11の前部側には、フロントフレーム10の後方位置に、パイプ状の補強フレーム13が掛け渡されて固定されている。そして補強フレーム13とリアフレーム12の間にはSバネ14が配設されており、このSバネ14によって、シートパッド4Pを弾性的に下支えすることができる。
そして図3及び図4を参照して、下側バッグ部材21は、エアなどの流体の流入により膨張する袋状の部材であり、収縮状態とされてバッグ装置20内に配置されている。この下側バッグ部材21は、図5に示すように、シート後方に向けて膨張して展開した展開状態に変位可能となっている(下側バッグ部材21の膨張可能な領域は後述する)。ここで下側バッグ部材21は、二枚の面材が周縁側で圧着又は接着されることで形成され、流体を保持可能な袋状のバッグ本体21aと、このバッグ本体21aの周縁に設けられているシール部位21bとを有している。そして本実施例では、下側バッグ部材21のバッグ本体21aが、適宜のタイミングでインフレータ22からの流体の供給を受けることにより、シート後方に向けて膨張しつつ展開することができる。
図4及び図5に示すシートパッド4Pは、シート外形をなす上方視で概ね矩形の部材であり、例えばポリウレタンフォーム(密度:10kg/m3〜60kg/m3)等の発泡樹脂で形成できる。このシートパッド4Pの上面である着座面は、天板メイン部4aと、左右一対の天板サイド部4b,4cと、後側の土手部4dとに区分けでき、さらに後述する複数の溝部31〜34が設けられている。ここで天板メイン部4aは、シート幅方向におけるシートクッション4の中央部分であり、適度なシート幅方向の寸法をもって前後方向に延びている。また天板メイン部4aの右側には、上方に突出する右側の天板サイド部4bが形成され、左側には、上方に突出する左側の天板サイド部4cが形成され、後側には、上方に突出する土手部4dが形成されている。そして各天板サイド部4b,4cと土手部4dとは、天板メイン部4aの前側を除く部分を囲むように一連となっている。
また図5及び図7を参照して、複数の孔部41H〜46Hは、それぞれ天板メイン部4aを上下に貫通する貫通孔であり、対応する接続部材61〜66(詳細後述)を挿通しておくことができる。そして図5に示す天板メイン部4aの前横溝部33の前側には第一孔部41Hと第二孔部42Hが設けられている。これら第一孔部41Hと第二孔部42Hは、シートパッド4Pの上面視において、概ね左右対称形状を有しているとともに、天板メイン部4aの左端側と右端側に分かれて設けられている。
ここで図5に示す展開状態の下側バッグ部材21では、バッグ本体21aが、バッグ装置20からシート後方に向けて膨張して展開した状態となる。そして展開状態のバッグ本体21aは、シートパッド4Pの上面視を基準とした場合に概ね半楕円状をなしており、天板メイン部4aよりも若干小さい左右の幅寸法を有して、前横溝部33と後横溝部34の間の中間位置まで展開している。そこで本実施例では、半楕円形状に膨張したバッグ本体21aを、下側バッグ部材21の膨張可能な領域(膨張領域EF)と規定し、このバッグ本体21aの右縁EF1と左縁EF2で囲まれた部分の外側を、膨張領域EFの外側とみなすこととする。そして膨張領域EF(膨張したバッグ本体21a)の右縁EF1は、右縦溝部31との間に若干の隙が生じた状態とされ、後方に向かうにつれて次第に左側に湾曲している。また膨張領域EF(膨張したバッグ本体21a)の左縁EF2は、左縦溝部32との間に若干の隙が生じた状態とされ、後方に向かうにつれて次第に右側に湾曲している。
図5及び図7を参照して、天板メイン部4aの上には、四つの上側バッグ部材(第一上側バッグ部材51,第二上側バッグ部材52,第三上側バッグ部材53、第四上側バッグ部材54)を配設することができる。これら各上側バッグ部材51〜54は、エアなどの流体の流入により膨張する部材であり、配置位置や寸法が異なる以外は概ね同一の基本構成を有している。例えば第一上側バッグ部材51は、図7に示すように上方視で概ね矩形の袋材であり、第一収容部位41に収容可能な外形寸法を有している。この第一上側バッグ部材51は、二枚の面材が周面側で圧着又は接着されることで形成されている。そして第一上側バッグ部材51は、周縁のシール部51aと、シール部51aの内側に設けられた袋状部51bとを有し、この袋状部51bが、流体の流入により膨張し且つ流体の排出により収縮することとなる。また第一上側バッグ部材51の適宜の位置には、配設用の貫通孔Hを設けておくことができる(図7では、一部の貫通孔に符号Hを付し、その他の貫通孔は丸孔で図示する)。例えば第一上側バッグ部材51では、袋状部51bの四隅にそれぞれ配設用の貫通孔Hが設けられ、さらに前縁右側から前方に延長する帯部51cにも配設用の貫通孔Hが設けられている。
図7に示す天板メイン部4aには、各上側バッグ部材51〜54の配設数に応じて、複数の接続部材61〜66が配索される。そして各上側バッグ部材51〜54には、対応する複数又は単数の接続部材61〜66が接続されることで、これら各接続部材61〜66によって流体の流入と排出が可能となっている。すなわち第一上側バッグ部材51には第一接続部材61が接続され、第二上側バッグ部材52には第二接続部材62が接続されている。これら第一接続部材61と第二接続部材62は、エアなどの流体の通過を許容する管状の部材であり、配索位置が左右対称である以外は概ね同一の基本構成を有している。また第三上側バッグ部材53には、前後一対の第三接続部材63,64が接続され、第四上側バッグ部材54には、前後一対の第四接続部材65,66が接続されている。そして各第三接続部材63(64)と各第四接続部材65(66)も、エアなどの流体の通過を許容する管状の部材であり、配索位置が左右対称である以外は概ね同一の基本構成を有している。そこで以下に、専ら第一接続部材61と各第三接続部材63,64を一例にその詳細を説明する。
図3及び図4を参照して、シートクッション4の形成においては、シートパッド4Pを、シートフレーム4F上に配設したのちシートカバー4Sで被覆する。このとき図5及び図7を参照して、各上側バッグ部材51〜54を、対応する収容部位41〜44に配設してシートパッド4Pの上側に配置しておく。例えば第一上側バッグ部材51は、天板メイン部4aの前部右側の第一収容部位41内に配置されたのち、配設用の貫通孔Hに挿設されたビス(図示省略)で位置固定される。そして第一接続部材61を、図8及び図9に示すように第一孔部41Hを介してシートパッド4Pの上側から下側に配索していく。このとき第一管部位61aは、第一孔部41Hに嵌め込まれるように配置されて、第一管部位61aの右端が、第一回避部位41HHとなる第一孔部41Hの右端側に配置される。そして第一チューブ部位61bは、第一管部位61aの右端下部から第一回避部位41HHの右端側に挿通されて、シートパッド4Pの上側から下側に配索される。この第一チューブ部位61bの下側は、シートフレーム4Fの下側から左方に引き込まれたのち、他のチューブ部位(図示省略)を介して又は直接的に吸排気装置15に接続することができる。
シートクッション4では、図3及び図5を参照して、適宜のタイミングで下側バッグ部材21(バッグ本体21a)を収縮状態から展開状態に変位させることができる。例えば乗物衝突時において、図示しない制御部から発信された信号によってバッグ装置20内のインフレータ22が作動する。つぎに下側バッグ部材21のバッグ本体21aが、インフレータ22からの流体の流入によって膨張しつつ、バッグ装置20の後面から飛び出してシート後方に向けて展開していく。こうして展開状態とされた下側バッグ部材21のバッグ本体21aによって天板メイン部4aの前部を上方に持ち上げることで、乗員の前すべり等を極力阻止することが可能となる。そしてシートクッション4は、下側バッグ部材21の展開性が確保されるように構成されており、例えば上側バッグ部材用の接続部材61〜66が、後述のように下側バッグ部材21に配慮しつつシートクッション4に配索されている。
図1〜図3に示すシートクッション4に乗員が着座した際には、各上側バッグ部材51〜54が、膨張と収縮を繰り返すことでシートクッション4上の乗員をマッサージすることができる。このとき各上側バッグ部材51〜54は、各々、対応する接続部材61〜66を介して膨張と収縮が可能である。例えば図示しない制御部を介した吸排気装置15の作動によって、各接続部材61〜66に対して独立又は連動して流体を供給又は排出することができる。このため複数の上側バッグ部材51〜54を、それぞれ独立に膨張又は収縮させたり、連動させて膨張又は収縮させたりすることができる。そして各接続部材61〜66は、上述のとおり、対応する孔部41H〜46Hに挿通されることで、下側バッグ部材に配慮しつつ配索されている。このため本実施例では、下側バッグ部材21の展開性を確保しつつ、シートクッション4上の乗員の適宜の位置を各上側バッグ部材51〜54で押圧することが可能となり、優れたシート性能の確保に資する構成となっている。
4 シートクッション
6 シートバック
8 ヘッドレスト
9 スライドレール
4S シートカバー
4SS マット材
4P シートパッド
4F シートフレーム
4a 天板メイン部
4b 右側の天板サイド部
4c 左側の天板サイド部
4d 土手部
10 フロントフレーム
10a 上側板部
10b 前側板部
11 サイドフレーム
12 リアフレーム
13 補強フレーム
14 Sバネ
15 吸排気装置
16 送風装置
20 バッグ装置
21 下側バッグ部材
21a バッグ本体
21b シール部位
22 インフレータ
23 支持面材
31 右縦溝部
32 左縦溝部
33 前横溝部
34 後横溝部
35 通路部
36,37 開口部
41 第一収容部位
42 第二収容部位
43 第三収容部位
44 第四収容部位
41H 第一孔部
41HH 第一回避部位
42H 第二孔部
42HH 第二回避部位
43H 前側の第三孔部
44H 後側の第三孔部
45H 前側の第四孔部
46H 後側の第四孔部
51 第一上側バッグ部材
51a シール部
51b 袋状部
51c 帯部
52 第二上側バッグ部材
52a 別のシール部
52b 別の袋状部
52c 別の帯部
53 第三上側バッグ部材
53a 外側シール部
53aa 中央シール部
53bb 前側の袋状部
53b 後側の袋状部
53cc 前側の帯部
53c 後側の帯部
54 第四上側バッグ部材
54a 別の周縁シール部
54aa 別の中央シール部
54bb 別の前側の袋状部
54b 別の後側の袋状部
54cc 別の前側の帯部
54c 別の後側の帯部
61 第一接続部材
61a 第一管部位
61b 第一チューブ部位
62 第二接続部材
62a 第二管部位
62b 第二チューブ部位
63 前側の第三接続部材
63a 前側の第三管部位
63b 前側の第三チューブ部位
64 後側の第三接続部材
64a 後側の第三管部位
64b 後側の第三チューブ部位
65 前側の第四接続部材
65a 前側の第四管部位
65b 前側の第四チューブ部位
66 後側の第四接続部材
66a 後側の第四管部位
66b 後側の第四チューブ部位
EF 膨張領域(本発明の下側バッグ部材の膨張可能な領域)
EF1 膨張領域の右縁
EF2 膨張領域の左縁
FS 床面
Claims (3)
- 座部となるシートクッションが、シートフレームに支持されているシートパッドと、前記シートパッドの下側に配置されて前記シートフレームに支持されている下側バッグ部材と、前記シートパッドの上側に配置された上側バッグ部材とを備え、
前記下側バッグ部材は、前記シートパッドの前部で収縮している収縮状態からシート後方に向けて膨張しつつ展開した展開状態に変位可能であり、前記上側バッグ部材に接続されている管状又は線状の接続部材が、前記シートパッドの上側から下側に向けて配索されている乗物用シートにおいて、
前記シートパッドを上下に貫通する孔部が設けられているとともに、前記孔部の少なくとも一部は、前記シートパッドの上面視を基準として前記下側バッグ部材の膨張可能な領域を避けるように形成された回避部位となっており、前記接続部材は、前記回避部位に挿通された状態で前記シートパッドの上側から下側に向けて配索されている乗物用シート。 - 前記接続部材は、展開状態の前記下側バッグ部材の外側で、前記シートパッドの上側から下側に向けて配索されている請求項1に記載の乗物用シート。
- 前記シートクッションは、マッサージ用の複数の前記上側バッグ部材と、前記上側バッグ部材の配設数に応じた数の前記接続部材とを備え、
前記複数の上側バッグ部材は、各々、対応する接続部材を介して膨張と収縮が可能であるとともに、各接続部材は、対応する前記孔部に挿通されて配索されている請求項1又は2に記載の乗物用シート。
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