JP4468882B2 - 自動二輪車用エアバッグ装置 - Google Patents

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Description

本発明は、自動二輪車に搭載されて、衝突時の乗員を保護するためのエアバッグを備えて構成される自動二輪車用エアバッグ装置に関する。
従来、自動二輪車用エアバッグ装置では、作動時に、シートに着座した乗員の前方側に、膨張させたエアバッグを配設させる構成のものが知られている(例えば、特許文献1・2参照)。
特開平9−328087号公報 特開2003−261081号公報
従来から自動二輪車に好適なエアバッグ装置が望まれている。
本発明は、自動二輪車に好適なエアバッグ装置を提供することを目的とする。
本発明に係る自動二輪車用エアバッグ装置は、作動時に、シートに着座した乗員の前方側に、膨張させたエアバッグを配設させる自動二輪車用エアバッグ装置であって、
膨張完了時のエアバッグの前面側を支持可能に、エアバッグの前方側に、支持材が、配設され、
エアバッグが、
膨張用ガスの流入時、シートに着座した乗員の左右の脚部の間付近の収納部位から上方側へ展開膨張して、前方側へ移動する乗員の腰部を拘束可能な形状に膨張を完了させる構成とするとともに、
支持材の近傍に配設されて、膨張用ガスの流入当初時に最先に膨張を完了させる子バッグ部を備え、
子バッグ部が、駆動源として、支持材を収納部位から上方へ突出させるように支持材を引き上げ可能に、支持材と連結されるとともに、引き上げ完了時の支持材の後面側を覆い可能な形状に、形成されていることを特徴とする。
本発明に係る自動二輪車用エアバッグ装置では、作動時、膨張用ガスを流入させたエアバッグが、シートに着座した乗員の左右の脚部の間付近の収納部位から上方側へ展開膨張して、前方側へ移動する乗員の腰部を拘束可能な形状に膨張を完了させる。その際、エアバッグの子バッグ部が、膨張用ガスの流入時に、最先に膨張を完了させて、支持材をエアバッグの前方側に引き上げることから、支持材が、膨張完了時のエアバッグの前面側を支持する。そのため、膨張を完了させたエアバッグは、支持材によって前方側への移動が規制される。そして、乗員は、支持材に前面側を支持された状態のエアバッグにより、腰部を直ちに拘束され、運動エネルギーを吸収されて、移動速度が低減される。
なお、支持材は、後面側を、支持材を引き上げるために膨張する子バッグ部に覆われることから、エアバッグの膨張完了後は勿論、エアバッグの膨張完了前であっても、支持材が引き上げられた後では、支持材と乗員との間に、膨張した子バッグ部が、介在される。
また、支持材は、その突出動作がエアバッグの子バッグ部で行えることとなって、別途、支持材の駆動手段を設けなくとも良い。
このようなエアバッグとしては、前室と後室との前後に区画された2室を設けて構成して、前室を、子バッグ部として構成すればよい。
このようなエアバッグが前後2室から構成される場合には、エアバッグの膨張時、まず、前室が膨張を完了させ、ついで、後室が膨張を完了させることとなる。
そして、エアバッグにおける前室と後室とを区画する区画壁に、膨張用ガスを流通可能な流通口を、開口させ、後室を、流通口を経た膨張用ガスによって、膨張させる。
また、それぞれ、膨張用ガスを流入させるためのインフレーターを接続させる構成とし、各インフレーターの出力を対応させても良い。
さらにこれらの場合、後室が前室より容積を大きく設定されていれば、膨張完了直後の後室の内圧を低減させやすくなる。
なお、エアバッグとしては、少なくとも、乗員の腰部付近を拘束できる高さ寸法を、備えていれば良い。
また、エアバッグは、前後2室として構成する他、左室、中央室、及び、右室の左右方向に区画された3室を備えて構成し、中央室を子バッグ部として構成してもよい。
この場合のエアバッグでは、中央室の左右の左・右室の膨張が、中央室より遅れることから、エアバッグが、膨張完了時の形状を、シートに着座した乗員の左右の脚部の間付近の収納部位から上方側へ展開膨張し、下部側より上部側の左右方向の幅寸法を大きくする形状としている。すなわち、エアバッグの膨張時、先ず、中央室が膨張を完了させて、その後に、上部側の左右方向の幅寸法を広くすることとなる左・右室が膨張を完了させることとなる。
そして、このような構成のエアバッグでは、中央室の左室と右室とを区画する区画壁に、それぞれ、膨張用ガスを流通可能な流通口を、開口させ、左室と右室とを、流通口を経た膨張用ガスによって、膨張させるように構成すれば、エアバッグの膨張過程において、左室と右室との内圧を、中央室の内圧より抑えることができる。
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明すると、第1実施形態のエアバッグ装置10は、図1に示すように、自動二輪車1に搭載されるものであり、この自動二輪車1は、乗員Dの着座するシート7とシート7の前方のハンドル5との間に、乗員Dの左右の脚部LL・LRの足部Fを載せるステップ6が配設され、エアバッグ装置10は、シート7の前端付近に配設されている。
なお、本願の明細書等での前後左右の方向は、前進時の自動二輪車1を基準としており、自動二輪車1に着座した乗員Dの前後左右の方向と一致するものである。
エアバッグ装置10は、図1〜3に示すように、エアバッグ11、エアバッグ11に膨張用ガスを供給するインフレーター28、折り畳まれたエアバッグ11を収納して保持するとともにインフレーター28を保持するケース32、及び、膨張したエアバッグ11の前面11c側を後面36b側で支持する支持材36、を備えて構成されている。
ケース32は、折り畳まれたエアバッグ11の収納部位を構成するものであり、上方を開口させた箱形状の板金製として、長方形板状の底壁部33と、底壁部33の外周縁から上方に延びる略四角筒形状の周壁部34と、を備えて構成されている。底壁部33には、インフレーター28の本体部29を下方から挿入させる円形の開口33aが形成されている。なお、ケース32には、図示しない連結ブラケットが配設されて、この連結ブラケットが自動二輪車1のボディ(車体)2側のフレーム3から延びるブラケット4に連結固定されて、エアバッグ11とインフレーター28とを保持したケース32が、第1実施形態の場合、シート7の前端付近における着座した乗員Dの左右の脚部LL・LRにおける膝部KL・KR(図6参照)間付近に配置されて、ボディ2側に連結固定されている。
インフレーター28は、上部側に複数のガス吐出口29aを備えた円柱状の本体部29と、本体部29の外周面から突出するフランジ部30と、を備えて構成され、フランジ部30が、ケース32の底壁部33の下面側に固定されている。
なお、エアバッグ11の流入用開口12aの周縁に配置される略四角環状のリテーナ25が、四隅付近にボルト25aを備え(図7〜9参照)、これらのボルト25aを、エアバッグ11の流入用開口12aの周縁、ケース底壁部33、及び、フランジ部30に貫通させて、ナット26止めすることにより、フランジ部30が、エアバッグ11とともに、ケース底壁部33に対して、固定されることとなる。
また、インフレーター28は、図示しないリード線によって、二輪車1に搭載された図示しない制御回路に電気的に接続され、二輪車1に衝撃が作用した際、制御回路が、衝撃を検知した所定の検知センサからの信号を入力して、インフレーター28に作動信号を出力することとなる。
エアバッグ11は、図4〜9に示すように、膨張完了時の外形形状として、底壁部12、前壁部13、後壁部14、左右の側壁部15・16、及び、天井壁部17を備えた略四角柱状としている。さらに具体的に説明すると、第1実施形態のエアバッグ11は、膨張完了時の形状として、前方側から見た形状を、下部11b側より上部11a側の左右方向の幅寸法を大きくする上広がりの略台形形状とするとともに、側方から見た形状を、下部11b側から上部11a側に向かうにつれて、後面側を膨らませつつ、前後方向の厚さ寸法を増大させるテーパ形状として、構成されている。
そして、エアバッグ11は、収納部位であるケース32から突出して膨張を完了させた際、左右方向の幅寸法を、下部11b側の幅寸法C0(図3参照)が、シート7に着座した乗員Dの左右の脚部LL・LRにおける大腿部TL・TR間に配置可能とし、上部11a側の幅寸法C1(図3参照)が、乗員Dの腰部Wと胸部Bとの拘束が可能な範囲で、かつ、シート7に着座した乗員Dの乗車姿勢で、乗員Dの左右の腕部Aに干渉しない寸法として、設定されている。
エアバッグ11の底壁部12には、膨張用ガスを流入させるための円形の流入用開口12aが形成されて、流入用開口12aの周縁には、リテーナ25の各ボルト25aを挿通させる取付孔12bが、形成されている。この開口12aの周縁は、リテーナ25に押えられて、ケース32の底壁部33に取り付けられる取付固定部位11e、となる。
そして、第1実施形態のエアバッグ11は、区画壁18によって、前室20と後室21との前後2室に、区画されている。区画壁18は、エアバッグ11の内周面において、外周縁を、天井壁部17から左側壁部15や右側壁部16の下部側まで結合させた状態で配設され、エアバッグ11の膨張完了時に、略鉛直面に沿って配置されるように、構成されている。さらに、この区画壁18は、左右方向に沿って配置された下端18aを、底壁部12の上方で、底壁部12を前後に二分するように、配置させており、その状態で、上方へ延びて、そして、エアバッグの前後方向に沿った膨張完了形状が、上部11aの後面11d側を膨らませた形状としているため、区画壁18で区画された前室20は、後室21より容積を小さくしている。そして、底壁部12の中央の流入用開口12aに配置されるインフレーター28の各ガス吐出口29aから、膨張用ガスが吐出されれば、前室20と後室21との下端のガス流入口20a・21aから、それぞれの前・後室20・21には、略同量の膨張用ガスが流れることから、前室20が後室21より先に膨張を完了させる。すなわち、インフレーター28の作動時には、前室20が、膨張を完了させ、ついで、前室20の内圧がさらに高まるとともに、後室21が、内圧を抑えた状態で、膨張完了形状まで膨らみ、そして、後室21は、前室20と略同等となるように、内圧を高めて、エアバッグ20の全体の膨張が完了することとなる。そのため、前室20が、後室21より先に膨張を完了させる子バッグ部を構成することとなる。
また、エアバッグ11(前室20)の前面11c側における前壁部13の上部13aには、連結ベルト23が、配設されている。この連結ベルト23は、図2〜8に示すように、エアバッグ11の前面11c側に対し、上端23aを縫合させて、連結されている。連結ベルト23は、エアバッグ11の前室20の膨張に伴って、前室20が支持材36を引き上げることができるように、後室21より先に膨張を完了させる前室20と支持材36とを連結する連結材を構成するものであり、第1実施形態の場合、可撓性を有したポリアミドやポリエステル等の二枚の織布を二枚重ねとして形成され、前壁部13の左右方向の中央の上部13a側に、上端23aを連結させて、下端23b側を支持材36の上部36aとなる横棒部37に連結させている。下端23bは、横棒部37を包む二又状として、金属製の当板23c・23cで挟んで、当板23c・23c相互を、ボルト23dとナット23eとを利用して、結合させることにより、横棒部37を包んで、横棒部37と連結されている。
この連結ベルト23における上下端23a・23b間の長さ寸法は、折り畳まれて収納されているエアバッグ11の前室20が、膨張用ガスを流入させて展開膨張する際、連結ベルト23を利用して、ケース32の前方で収納されている状態から支持材36を引き上げ、膨張完了時のエアバッグ11の前面11c側で、エアバッグ11を支持できる高さ位置まで、支持材36を引き上げることができるように、設定されている。
支持材36は、図2〜6に示すように、第1実施形態の場合、左右方向に延びた横棒部37と横棒部37の左右両端から下方に延びる縦棒部38・38とを備えた逆U字形の一体構造としたパイプ材から、形成されている。この支持材36は、縦棒部38・38が、それぞれ、案内スリーブ40によって、上下動可能に保持されている。案内スリーブ40は、ボディ2側のフレーム3から延びる図示しないブラケットに、固定されている。
なお、支持材36は、左右方向の幅寸法を、乗員Dの両膝部KL・KR付近間から上方に突出可能に、構成されている。また、支持材36の上方への突出完了時の上部36aの配置位置は、膨張を完了させた前室20の上部11aの前面側を支持でき、かつ、後面36b側が上部11aによって覆われる位置、としている。すなわち、引き上げらた支持材36が、後面36b側の上下左右の全域を、膨張を完了させた前室20に覆われるように、支持材36の上下左右の寸法が、設定されている。
また、支持材36とエアバッグ11とは、収納状態で、シート7の前端側を構成しているカバー8によって覆われていることから、上方へ突出する際、このカバー8を押し開かせて、上方へ突出することとなる。
つぎに、エアバッグ装置10の自動二輪車1への搭載の概略を述べると、先ず、エアバッグ11を折り畳む。この折り畳みは、各ボルト25aを取付孔12bから突出させるように、リテーナ25をエアバッグ11内に収納させた状態で、ケース32に収納可能に折り畳み、折り畳みを完了したエアバッグ11は、折り崩れしないように、破断可能なラッピング材で包んでおく。ちなみに、連結ベルト23は、下端23b側を、ラッピング材から突出させるとともに、リテーナ25の各ボルト25aも、ラッピング材から突出させておき、さらに、エアバッグ11の流入用開口12aも、インフレーター28の本体部29を挿入可能となるように、開口させておく。
そして、折り畳みを完了したエアバッグ11は、各ボルト25aを底壁部33から突出させるようにして、ケース32内に収納し、ケース32の底壁部33の下方から、各ボルト25aをフランジ部30に挿通させつつ、インフレーター28の本体部29を、開口33a・12aに挿入させ、各ボルト25aにナット26を締結し、ケース32に対して、エアバッグ11とインフレーター28とを取り付ける。
その後、ケース32を、図示しない連結ブラケットを利用して、ブラケット4に取り付けるとともに、当板23c、ボルト23d、及び、ナット23eを使用して、連結ベルト23の下端23bを、フレーム3側に取り付け済みの支持材36の横棒部37に連結する。
その後、インフレーター28に、所定の作動信号を入力させるリード線を結線するとともに、シート7を装着して、エアバッグ装置10を自動二輪車1に搭載する。
そして、この第1実施形態の自動二輪車1では、走行時に他の四輪自動車と衝突して、エアバッグ装置10が作動すれば、インフレーター28が各ガス吐出口29aから膨張用ガスを吐出させることから、膨張用ガスを流入させたエアバッグ11は、図4のA・Bや図5・6に示すように、シート7に着座した乗員Dの左右の脚部LL・LRの間付近の収納部位(ケース32)から上方側へ展開膨張して、前方側へ移動する乗員Dの少なくとも腰部Wを拘束可能な形状に膨張を完了させる。その際、エアバッグ11の子バッグ部としての前室20が、膨張用ガスの流入時に、最先に膨張を完了させて、支持材36をエアバッグ11の前方側に引き上げることから、支持材36が、膨張完了時のエアバッグ11の前面11c側を支持できる。そのため、膨張を完了させたエアバッグ11は、支持材36によって前方側への移動が規制される。乗員Dは、支持材36に前面11c側を支持された状態のエアバッグ11の上部11a側により、腰部Wを直ちに拘束され、運動エネルギーを吸収されて、移動速度が低減される。
なお、支持材36は、後面36b側を、支持材36を引き上げるために膨張する子バッグ部としての前室20に覆われることから、エアバッグ11の膨張完了後は勿論、エアバッグ11の膨張完了前であっても、支持材36が引き上げられた後には、支持材36と乗員Dとの間に、膨張した子バッグ部としての前室20が、介在される(図4のA参照)。
また、支持材36は、その突出動作がエアバッグ11の子バッグ部としての前室20で行えることとなって、別途、支持材36の駆動手段を設けなくとも良い。
なお、第1実施形態のエアバッグ11では、支持材36を引き上げ可能にエアバッグ11と支持材36とを連結する連結材としての連結ベルト23が、支持材36とエアバッグ11の上部11a・36a付近相互を連結していることから、支持材36に対するエアバッグ11の上部11a側のずれを防止できる。
また、第1実施形態では、エアバッグ11が前後2室から構成されて、エアバッグ11の膨張時、まず、前室20が膨張を完了させ、ついで、後室21が膨張を完了させることとなる。そして、乗員Dと干渉する後室21は、まず、低い内圧状態で膨張を完了させて、ついで、内圧を高める状態となることから、エアバッグ11の全体の膨張完了直後では、後室21は、内圧が低く抑えられている。
なお、内圧を抑えた後室21を備えたエアバッグ装置としては、図10〜13に示す第2実施形態のエアバッグ装置10Aのように構成してもよい。このエアバッグ装置10Aでは、エアバッグ11Aが、前室20と後室21との前後2室を、区画壁18Aによって、完全に分離させて、それぞれの前・後室20・21が、インフレーター28Aの本体部29を挿入させる流入用開口12aを有した底壁部12Aを、備えて構成されている。そして、第1実施形態のエアバッグ11と同様に、前室20が、後室21より容積を小さくして、同じ出力のインフレーター28Aを使用している。
そのため、この第2実施形態のエアバッグ装置10Aでも、作動時、前室20が、支持材36を引き上げて、先に膨張を完了させ、ついで、後室21が膨張を完了させることとなる。そして、乗員Dと干渉する後室21は、前室20より容積を大きくしていることから、まず、低い内圧状態で膨張を完了させて、ついで、内圧を高める状態となることから、エアバッグ11の全体の膨張完了直後では、後室21は、内圧が低く抑えられている。
なお、第2実施形態では、前室20と後室21とで使用するインフレーター28Aを同一として、同じ出力のインフレーター28Aを使用したが、前室20が、膨張を完了させ、ついで、後室21が、内圧を抑えた状態で、膨張完了形状まで膨らみ、さらに、後室21が、前室20と略同等となるように、内圧を高めて、エアバッグ11Aの全体の膨張が完了すれば、容積に応じて、出力の相違したインフレーターを前室20と後室21とで使用するようにしてもよい。
さらに、このような内圧を抑えた後室21を備えたエアバッグ装置として、図14〜17に示す第3実施形態のエアバッグ装置10Bのように構成してもよい。このエアバッグ装置10Bでは、エアバッグ11Bが、前室20と後室21とを区画する区画壁18Bに、膨張用ガスを流通可能な流通口19を、開口させ、後室21が、流入口19を経た膨張用ガスによって、膨張するように構成されている。なお、区画壁18Bの下端18aは、後壁部14の下端14a付近の全域に結合されており、後室21は、流通口19から流入する膨張用ガスだけで、膨張することとなる。また、流通口19の配置位置は、区画壁18Bの左右方向と上下方向との略中間部位に、配置されている。
この第3実施形態のエアバッグ装置10Bでも、作動時、前室20が、支持材36を引き上げて、先に膨張を完了させ、ついで、後室21が膨張を完了させることとなる。そして、乗員Dと干渉する後室21は、前室20と連通している流通口19から膨張用ガスを流入させることにより、まず、低い内圧状態で膨張を完了させ、ついで、内圧を高める状態となることから、エアバッグ11の全体の膨張完了直後では、後室21は、内圧が低く抑えられている。
なお、エアバッグ11Bに関して、前室20が、膨張を完了させ、ついで、前室20の内圧がさらに高まるとともに、後室21が、内圧を抑えた状態で、膨張完了形状まで膨らみ、そして、後室21が、前室20と略同等となるように、内圧を高めて、エアバッグ11Bの全体の膨張が完了する構成であれば、区画壁18Bに設ける流通口19の配置・数・開口面積は、適宜、変更してもよく、流通口19の配置を上部側に配置させたり、流通口19を二つ配設したり等してもよい。
また同様に、所定の内圧状態で、エアバッグ11Bの後室21が膨張できれば、前室20と後室21との容積に関して、後室21の容積が、前室20と同等、若しくは、前室20より小さくともよい。
さらに、エアバッグを前後2室から構成しなくとも、図18〜20に示す第4実施形態のエアバッグ装置10Cのように、エアバッグ11Cを、左右方向に区画された3室の左室42、中央室43、及び、右室44から、構成し、中央室43を、支持材36を引き上げる子バッグ部として、エアバッグ11Cにおける中央室43の部位の前面11c側の上部11aに、連結ベルト23の上端23aを連結させてもよい。
なお、エアバッグ11Cを3室に区画する二枚の区画壁46・46は、エアバッグ11Cの展開膨張完了時に、前後方向に沿って相互に平行に配置されるように配設され、それぞれ、下端46aをエアバッグ11Cの底壁部12の左右両縁に、結合させて、他の周縁をエアバッグ11Cの前・後・天井壁部13・14・17に結合させて、そして、上下方向でかつ前後方向の中央付近に、中央室43から膨張用ガスを流入させる流通口47を、配設させている。
そのため、インフレーター28の本体部29の各ガス吐出口29aから吐出される膨張用ガスは、先ず、中央室43の膨張を完了させ、ついで、中央室43の内圧がさらに高まるとともに、各流通口47を経て流入した膨張用ガスにより、左・右室42・44が、内圧を抑えた状態で、膨張完了形状まで膨らみ、そして、さらに、左・右室42・44が、中央室43と略同等となるように、内圧を高めて、エアバッグ11Cの全体の膨張が完了する。
そして、このエアバッグ11Cでは、各実施形態のエアバッグ11・11A・11Bと同様に、膨張完了時の形状を、シート7に着座した乗員Dの左右の脚部LL・LRの間付近の収納部位であるケース32から上方側へ展開膨張し、下部11b側より上部11a側の左右方向の幅寸法を大きくする形状としている。そのため、エアバッグ11Cの膨張時、先ず、中央室43が膨張を完了させて、その後に、上部11a側の左右方向の幅寸法を広くすることとなる左・右室42・44が膨張を完了させることとなる。
特に、第4実施形態のエアバッグ11Cでは、中央室43の左室42と右室44とを区画する区画壁46に、それぞれ、膨張用ガスを流通可能な流通口47が開口され、左室42と右室44とが、流通口47を経た膨張用ガスによって、膨張させるように構成されている。そのため、エアバッグ11Cの膨張過程において、左室42と右室44との内圧を、中央室43の内圧より抑えることができる。
上記点を考慮しなければ、左右の区画壁46・46に関し、下端46aを、底壁部12や左・右側壁部15・16に結合させずに、底壁部12の上方に配置させるとともに、流通口47を設けずに構成し、左・右室42・44の下端側に、左・右室42・44のガス流入口を設けるような構成としてもよい。
さらに、支持材36を引き上げる子バッグ部としては、エアバッグにおける左・右側壁部や後壁部から離れた前壁部側だけに、配設させてもよい。図21〜23に示す第5実施形態のエアバッグ装置10Dは、エアバッグ11Dが、支持材36を引き上げる子バッグ部49が、前面11c側の左右方向の中央で、上下方向に延びるように配設され、子バッグ部49の左右両側と後方側とに、エアバッグ11Dにおける子バッグ部49以外の部位となる一般部としての乗員接触部52を、配設させている。
すなわち、子バッグ部49と乗員接触部52とを区画する区画壁50は、エアバッグ11Dの膨張完了時の横断面において、コ字形状としており、下端50aを底壁部12の左右の縁と後縁とに結合させて、左右の前端50bを前壁部13に結合させ、さらに、上端50cを天井壁部17に結合させている。さらに、区画壁50の上下方向の中間位置付近には、子バッグ部49に流入した膨張用ガスを乗員接触部52へ流出させる流通口51が、左右両側と後方側とに向けるように、開口されている。
そして、子バッグ部49の領域におけるエアバッグ11Dの前面11cの上部11a側には、支持材36を引き上げるための連結ベルト23の上端23aが、連結されている。
この第5実施形態のエアバッグ装置10Dでは、作動時、インフレーター28の本体部29における各ガス吐出口29aから膨張用ガスが吐出されれば、子バッグ部49が、支持材36を引き上げて、先に膨張を完了させ、ついで、乗員接触部52が膨張を完了させることとなる。そして、乗員Dと接触する乗員接触部52は、子バッグ部49と連通している流通口51から膨張用ガスを流入させることにより、まず、低い内圧状態で膨張を完了させ、ついで、内圧を高める状態となることから、エアバッグ11Dの全体の膨張完了直後では、乗員接触部52は、内圧が低く抑えられている。
また、図24・25に示す第6実施形態のエアバッグ装置10Eのエアバッグ11Eのように、後室21が乗員Dの頭部H付近の前方側を覆い可能な延設部54を備えていたり、あるいは、図26に示す第7実施形態のエアバッグ装置10Fのエアバッグ11Fのように、前室20も乗員Dの頭部H付近の前方側を覆い可能な延設部55を備えて構成されていてもよい。
また、各実施形態において、支持材36は、実施形態のような軽量化を図れる一体構造の逆U字形のパイプ材から形成せずに、複数のパイプ材等の剛性を有した金属等の棒材を連結して、形成したり、あるいは、金属等の板材から形成してもよい。
本発明の第1実施形態の自動二輪車用エアバッグ装置を搭載した自動二輪車の側面図である。 第1実施形態のエアバッグ装置の前後方向に沿った概略部分断面図である。 第1実施形態のエアバッグ装置を前方側から見た概略説明図である。 第1実施形態のエアバッグ装置の作動時を説明する概略側面図である。 第1実施形態のエアバッグ装置の作動完了時を説明する概略斜視図である。 第1実施形態のエアバッグ装置の作動完了時を説明する概略平面図である。 第1実施形態のエアバッグ装置に使用するエアバッグを膨張させた状態を示す斜視図である。 第1実施形態のエアバッグ装置に使用するエアバッグを膨張させた状態を示すエアバッグ等の前後方向に沿った縦断面図であり、図7のVIII−VIII部位に対応する。 第1実施形態のエアバッグ装置に使用するエアバッグを膨張させた状態を示す前後方向に沿った横断面図であり、図7のIX−IX部位に対応する。 第2実施形態のエアバッグ装置に使用するエアバッグを膨張させた状態を示す斜視図である。 第2実施形態のエアバッグ装置に使用するエアバッグを膨張させた状態を示すエアバッグ等の前後方向に沿った縦断面図であり、図10のXI−XI部位に対応する。 第2実施形態のエアバッグ装置に使用するエアバッグを膨張させた状態を示す前後方向に沿った横断面図であり、図10のXII−XII部位に対応する。 第2実施形態のエアバッグ装置の作動時を説明する概略側面図である。 第3実施形態のエアバッグ装置に使用するエアバッグを膨張させた状態を示す斜視図である。 第3実施形態のエアバッグ装置に使用するエアバッグを膨張させた状態を示すエアバッグ等の前後方向に沿った縦断面図であり、図14のXV−XV部位に対応する。 第3実施形態のエアバッグ装置に使用するエアバッグを膨張させた状態を示す前後方向に沿った横断面図であり、図14の XVI− XVI部位に対応する。 第3実施形態のエアバッグ装置の作動時を説明する概略側面図である。 第4実施形態のエアバッグ装置に使用するエアバッグを膨張させた状態を示す斜視図である。 第4実施形態のエアバッグ装置に使用するエアバッグを膨張させた状態を示す前後方向に沿った横断面図であり、図18のXIX−XIX部位に対応する。 第4実施形態のエアバッグ装置の作動時を説明する概略正面図である。 第5実施形態のエアバッグ装置に使用するエアバッグを膨張させた状態を示す斜視図である。 第5実施形態のエアバッグ装置に使用するエアバッグを膨張させた状態を示す前後方向に沿った横断面図であり、図21のXXII−XXII部位に対応する。 第5実施形態のエアバッグ装置の作動時を説明する概略側面図である。 第6実施形態のエアバッグ装置に使用するエアバッグを膨張させた状態を示すエアバッグ等の前後方向に沿った縦断面図である。 第6実施形態のエアバッグ装置の作動時を説明する概略側面図である。 第7実施形態のエアバッグ装置の作動時を説明する概略側面図である。
符号の説明
1…自動二輪車、
7…シート、
10・10A・10B・10C・10D・10E・10F…エアバッグ装置、
11・11A・11B・11C・11D・11E・11F…エアバッグ、
18・18A・18B・46・50…区画壁、
19・47・51…流通口、
20…(子バッグ部)前室、
21…後室、
28・28A…インフレーター、
32…(エアバッグの収納部位)ケース、
36…支持材、
36b…(支持材の)後面、
42…左室、
43…(子バッグ部)中央室、
44…右室、
49…子バッグ部、
54・55…延設部、
D…乗員、
W…腰部、
H…頭部、
LL…左脚部、
LR…右脚部。

Claims (9)

  1. 作動時に、シートに着座した乗員の前方側に、膨張させたエアバッグを配設させる自動二輪車用エアバッグ装置であって、
    膨張完了時の前記エアバッグの前面側を支持可能に、前記エアバッグの前方側に、支持材が、配設され、
    前記エアバッグが、
    膨張用ガスの流入時、シートに着座した乗員の左右の脚部の間付近の収納部位から上方側へ展開膨張して、前方側へ移動する乗員の腰部を拘束可能な形状に膨張を完了させる構成とするとともに、
    前記支持材の近傍に配設されて、膨張用ガスの流入当初時に最先に膨張を完了させる子バッグ部を備え、
    該子バッグ部が、駆動源として、前記支持材を収納部位から上方へ突出させるように前記支持材を引き上げ可能に、前記支持材と連結されるとともに、引き上げ完了時の前記支持材の後面側を覆い可能な形状に、形成されていることを特徴とする自動二輪車用エアバッグ装置。
  2. 膨張完了時の前記エアバッグが、前室と後室との前後に区画された2室を備えて構成され、
    前室が、前記子バッグ部として構成されていることを特徴とする請求項1に記載の自動二輪車用エアバッグ装置。
  3. 前記エアバッグにおける前記前室と前記後室とを区画する区画壁に、膨張用ガスを流通可能な流通口が、開口され、
    前記後室が、前記流通口を経た膨張用ガスによって、膨張するように構成されていることを特徴とする請求項2に記載の自動二輪車用エアバッグ装置。
  4. 前記エアバッグにおける前記前室と前記後室とに、それぞれ、膨張用ガスを流入させるインフレーターが接続されていることを特徴とする請求項2に記載の自動二輪車用エアバッグ装置。
  5. 前記エアバッグにおける前記後室が、前記前室より、容積を大きく設定されていることを特徴とする請求項2乃至請求項4のいずれか1項に記載の自動二輪車用エアバッグ装置。
  6. 前記エアバッグにおける前記後室が、膨張完了時に前記乗員の頭部付近の前方側を覆い可能な延設部を備えて構成されていることを特徴とする請求項2乃至請求項5のいずれか1項に記載の自動二輪車用エアバッグ装置。
  7. 前記エアバッグにおける前記前室にも、膨張完了時に前記乗員の頭部付近の前方側を覆い可能な延設部を備えて構成されていることを特徴とする請求項6に記載の自動二輪車用エアバッグ装置。
  8. 膨張完了時の前記エアバッグが、左室、中央室、及び、右室の左右方向に区画された3室を備えて構成されて、前記中央室を前記子バッグ部として構成されていることを特徴とする請求項1に記載の自動二輪車用エアバッグ装置。
  9. 前記エアバッグにおける前記中央室の前記左室と前記右室とを区画する区画壁に、それぞれ、膨張用ガスを流通可能な流通口が、開口され、
    前記左室と前記右室とが、前記流通口を経た膨張用ガスによって、膨張するように構成されていることを特徴とする請求項8に記載の自動二輪車用エアバッグ装置。

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