JP2021052606A - 容器詰飲料及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】紅茶液成分と果実成分とを含有する容器詰飲料に関し、ジューススタンドなどで提供されるフルーツティーを志向して、トップの紅茶感、後味の余韻及び舌触りの強さが、従来の容器詰飲料よりも高評価である新たな容器詰飲料を提供する。【解決手段】タンニン類量が10.0mg/100mL〜40.0mg/100mLであり、且つ、有機酸量に対するクエン酸量の比率(クエン酸/有機酸)が0.50〜0.95である容器詰飲料を提供する。【選択図】なし

Description

本発明は、紅茶液成分と果実成分とを含有する容器詰飲料及びその製造方法並びに容器詰飲料の呈味の向上方法に関する。
輪りしたフルーツ(典型的には柑橘類)を紅茶に浮かべて飲む飲み方は、日本国内外を問わず古くから親しまれてきたものであり、一般家庭では勿論、喫茶店などにおいて広く普及したフルーツティーの飲み方である。
ところが最近、このようなフルーツティーをテイクアウト式で提供する店舗(例えば、ジューススタンドのようなもの)が鉄道駅やデパートなどにおいて増加しており、特に女性を中心に広く人気を集めている。
しかしながら、このような飲み方、すなわち輪切りしたフルーツを紅茶に浮かべたような風合いのフルーツティーを工業的に提供する飲料、すなわち容器詰飲料(RTD)として再現することは技術的に極めて困難であった。
その理由は幾つかあり、その一つとして、工業製品としての容器詰飲料(RTD)は、一定程度の長期に亘っての保存を前提とするため加熱殺菌処理が法律上要請されるが、このような加熱殺菌処理をすると、加熱劣化や経時劣化を生じるため、一般家庭や店舗(ジューススタンド)で提供するものと似ても似つかぬものとなってしまうことが挙げられる。
このような問題を解決するために、工業的に容器詰飲料(RTD)を提供する企業は、香料等の副素材を用いるなどして、法律上要請される加熱殺菌処理をしながらも、一般家庭や店舗(ジューススタンド)で提供するものに近しいものを提供しようと試みてきた。これにより、加熱殺菌処理による品質の変化は一定程度の制御が可能になったものの、一般家庭等では決して使用しない香料等の副素材を使用すること等により、一般家庭等で提供するものとは依然として似ても似つかぬもののままであった。
ところで、フルーツティーを工業的な容器詰飲料(RTD)として再現しようとする試みは、これまでに様々な形で為されている。
例えば、特許文献1には、果汁含有率が10wt%未満であっても、リンゴらしい酸味の付与と、後味のキレの向上が可能なリンゴ風味を付与するリンゴ風味食品組成物が開示されている。
特許文献2には、果汁を10〜90質量%含有する果汁入り容器詰紅茶飲料であって、テオガリンを10ppm〜24ppm含有し、且つカリウムの含有量に対するテオガリンの含有量の比率(テオガリン/K)が0.015〜0.100であることを特徴とする果汁入り容器詰紅茶飲料が開示されている。
特許文献3には、カフェインを0.001〜0.005質量%含有し、かつ、甘味料と果汁を含有する容器詰紅茶飲料であって、酸度が0.02〜0.08%の範囲にあり、かつ酸度が前記範囲にある時の糖度と酸度で表される甘辛度が1.50〜2.50の範囲にあることを特徴とする容器詰紅茶飲料が開示されている。
特許文献4には、マスカット、桃、オレンジ、ベルガモット、リンゴからなる群から選ばれる1種類又は2種類以上の果汁を含む容器詰非アルコール性果汁含有紅茶飲料であって、ブリックス値が0.4〜5.0であり、茶由来ポリフェノール類が10〜400ppmであり、且つ果汁由来ポリフェノール類が0.6〜150ppmであると共に、甘味料が添加されておらず、カフェイン含有量が100ppm以下であることを特徴とする容器詰非アルコール性果汁含有紅茶飲料が開示されている。
特開2011−152095公報 特開2011−155892号公報 特開2011−155891号公報 特許第5978466号
本発明は、ジューススタンドなどで提供されるフルーツティーを、容器詰飲料(RTD)の態様で提供することを志向したものである。より具体的には、加熱殺菌処理することにより失われる傾向にあるトップの紅茶感、後味の余韻及び舌触りの強さが、従来の容器詰飲料(RTD)と比較して高評価が得られる容器詰飲料(RTD)を提供することを第一の目的とする。
また、本発明は、トップの紅茶感、後味の余韻及び舌触りの強さにおいて高評価を得たものの中でも、さらに紅茶と果実の香味保持性に優れた容器詰飲料(RTD)を提供することを第二の目的とする。
本発明は、紅茶液成分と果実成分とを含有する容器詰飲料であって、タンニン類量が10.0mg/100mL〜40.0mg/100mLであり、且つ、有機酸量に対するクエン酸量の比率(クエン酸/有機酸)が0.50〜0.95であることを特徴とする、容器詰飲料を提案する。
本発明はまた、紅茶液成分と果実成分とを含有する容器詰飲料の製造方法であって、
タンニン類量を10.0mg/100mL〜40.0mg/100mLに調整すると共に、クエン酸量の比率(クエン酸/有機酸)を0.50〜0.95に調整することを特徴とする、容器詰飲料の製造方法を提案する。
本発明により、加熱殺菌処理することにより失われる傾向にあるトップの紅茶感、後味の余韻及び舌触りの強さが、従来の容器詰飲料(RTD)と比較して高評価が得られる容器詰飲料(RTD)を提供できるようになり、容器詰飲料(RTD)でありながらもジューススタンドなどで提供されるフルーツティーらしさが感じられる、これまでにない容器詰飲料(RTD)を提供することができる。
以下、本発明の実施の形態の一例について説明する。但し、本発明の技術的範囲が、下記実施の形態の一例に制限されるものでない。
<容器詰飲料>
本発明の容器詰料飲料は、紅茶液成分と果実成分とを少なくとも含有するものである。
ここで、当該容器詰飲料は、該飲料を容器詰めして法令等により要請される加熱殺菌処理をしたものをいう。
本発明の容器詰飲料は、工業製品であって市場流通できるものであり、一定期間の保管期間(いわゆる賞味期間)が担保されたものである。したがって、本発明の容器詰飲料は、家庭や飲食店等で調製して直ちに飲用する飲料とは技術的及び産業的に性質を異にするものである(例えば、『最新・ソフトドリンクス』,全国清涼飲料工業会他監修,光琳,2003年を参照)。
また、容器詰飲料は、法令等の要請により容器やラベル等の包装材に品名を記載する必要がある。本発明の容器詰飲料の品名は、特に限定されるものではない。但し、紅茶液成分と果実成分とを少なくとも含有するものであるから、紅茶飲料、果汁飲料、果汁入り飲料、清涼飲料等であってよい。
また、本発明の容器詰飲料は、開栓したら希釈せずそのまま飲用できる態様(所謂シングルストレングス)であるのが好ましい。
(紅茶液成分)
本発明において紅茶液成分とは、紅茶葉由来の成分を含む液体成分の意味であり、例えば、紅茶葉を抽出して得られる液(紅茶葉抽出液)や、紅茶葉抽出液を濃縮して得られる濃縮液(紅茶葉濃縮液)や、紅茶葉抽出液を乾燥して得られる乾燥物(紅茶葉乾燥物)や、紅茶葉濃縮液を乾燥して得られる乾燥物(紅茶葉濃縮乾燥物)などを挙げることができ、必要に応じて、これらの1種又は2種以上を用いてよい。
また、これらを調製するにあたり、各種の公知技術、例えば固液分離、活性炭処理、酵素処理などの1種又は2種以上を適宜選択して実施してよい。
なお、本発明の容器詰飲料は、食品に香りや味の一部を付与する食品添加物(フレーバー)の使用を排除するものではない。しかしながら、消費者における添加物を忌避する昨今の傾向から、このような食品添加物(フレーバー)を使用しないのが好ましい。
前述の紅茶葉としては、一般に紅茶飲料に使用されている紅茶葉、すなわち、生茶葉を発酵させ、必要に応じて製茶して得られる茶葉を用いることができる。
紅茶葉の茶期、産地、品種、等級、および発酵条件などは特に限定するものではない。例えば中国種(var.sinensis)であっても、アッサム種(var.assamica)であっても、2種以上の茶葉をブレンドしたものでもよい。
容器詰飲料が紅茶液成分を含むか否かは、容器やラベル等の包装材に記載された品名、原材料名、その他の記載事項で判断することができる。かかる事項は、製品に記載された情報のみならず、書籍、新聞、インターネット情報などで代替できる。
また、これらに加えて、紅茶液に通常含まれる各種成分、例えばテアフラビン、テアルビジン、タンニン類などが分析等により検出できるかにより判断することもできる。
通常の紅茶液は、テアフラビン、テアルビジン、プロアントシアニジンポリマー、テアニン及びカフェインを含んでいるから、これらの成分を含んでいるか否かを判断すれば、さらに確実に判断することができる。後述する実施例で調製した容器詰飲料はいずれも、これらの成分を含んでいるものであった。
(果実成分)
本発明において果実成分とは、果実に由来する成分を意味するものであり、例えば、果実を抽出、搾汁、粉砕などの加工したものの一部又は全部を配合することなどを挙げることができる(以下、これらを総称して「果実抽出物」ともいう)。
なお、果実抽出物を濃縮処理や乾燥処理などをしたもの(果実濃縮物、果実乾燥物)を、果実抽出物に代えて又は果実抽出物と併用してもよく、これらはいずれも本発明における「果実成分」に該当する。
前記果実抽出物や果実濃縮物の態様は、液体と固体のいずれでもよく、両者を併用することもできる。
果実抽出物等に由来する果実は、青果、青果を冷凍したもの、青果を乾燥したもののいずれか又はこれらを組み合わせて用いることができる。特に好ましくは、青果、青果を冷凍したものであって、具体的には40℃以上に加熱処理されていない果物を抽出、搾汁若しくは粉砕して得られた成分であることが好ましく、果肉片などの固体であっても、果汁などの液体であってもよい。但し、容器詰とする際に行われる加熱殺菌による加熱は前記加熱処理に含まれない。
本発明の容器詰飲料を規定する条件を満たす限りにおいて、果実成分に係る果実種は特に限定されるものではない。例えば、該果実種としては、オレンジ、蜜柑、グレープフルーツ、レモン、ベルガモット、日向夏などの柑橘類、モモ、りんご、ホワイトグレープ、いちご、梨、西洋ナシ、杏、スモモ、さくらんぼ、ウメ、プルーンなどのバラ科の果物、パパイヤ、ライチ、ブドウ、マンゴー、カシス、キウイ、アセロラ、バナナ、ブルーベリー、メロン、グアバなどを挙げることができる。これらのうちの1種であっても、これらのうちの2種以上の組合せであってもよい。
容器詰飲料が果実成分を含むか否かは、容器やラベル等の包装材に記載された品名、原材料名、その他の記載事項で判断することができる。かかる事項は、製品に記載された情報のみならず、書籍、新聞、インターネット情報などで代替できる。
また、これらに加えて、果実に通常含まれる各種成分、例えばクエン酸、有機酸などが分析等により検出できるかにより判断することもできる。
(その他の成分)
本発明の容器詰飲料には、紅茶液成分と果実成分以外に、必要に応じて、容器詰飲料に用いることができる各種成分が含まれていてもよい(例えば、『最新・ソフトドリンクス』,全国清涼飲料工業会他監修,光琳,2003年を参照)。例えば砂糖、果糖などの糖類、クエン酸及びその塩、炭酸水素ナトリウム等のpH調整剤、ビタミンC等の酸化防止剤、甘味料、香料、色素成分、保存料、調味料、酸味料、ビタミン、アミノ酸等を含有してもよい。但し、先述のとおり、消費者における添加物を忌避する昨今の傾向から、これら成分を極力含まない方が好ましく、例えば香料などを使用しない方が好ましい。
なお、本発明の容器詰飲料は、アルコール含有量が1質量%未満であること、すなわち、非アルコール性飲料であることが好ましい。
(タンニン類量)
本発明の容器詰飲料において、タンニン類量は、10.0mg/100mL〜40.0mg/100mLであるのが好ましい。タンニン類量が、10.0mg/100mLを下回ると、トップの紅茶感が弱まってしまうため好ましくなく、40.0mg/100mLを上回ると、舌触りの強さが弱まってしまうため好ましくない。
かかる観点から、本発明の容器詰飲料のタンニン類量は10.0mg/100mL以上であるのが好ましく、中でも15.0mg/100mL以上、その中でも20.0mg/100mL以上であるのがさらに好ましい。他方、40.0mg/100mL以下であるのが好ましく、中でも35.0mg/100mL以下、その中でも30.0mg/100mL以下であるのがさらに好ましい。
タンニン類量は、紅茶液成分の量、すなわち紅茶葉抽出液、紅茶葉濃縮液、紅茶葉乾燥物、紅茶葉濃縮乾燥物からなる群から選ばれる1種又は2種以上を選択し、それぞれの使用割合を適宜調整することにより調整することができる。また、紅茶葉抽出液、紅茶葉濃縮液、紅茶葉乾燥物、紅茶葉濃縮乾燥物からなる群から選ばれる1種又は2種以上を調製するにあたり、各種の公知技術、例えば固液分離、活性炭処理、酵素処理などの1種又は2種以上を適宜選択し、それぞれの条件を調整することによっても、タンニン類量を調整することができる。さらには、市販のタンニン類製剤を併用してその量を調整することでも、タンニン類量を調整することができる。
なお、タンニン類とは、単一の成分名ではなく、植物に含有されタンパク質、アルカロイド、金属イオンと反応し、強く結合して難溶性の塩を形成する水溶性化合物であり、ポリフェノール類に含まれる成分の総称である。
本発明におけるタンニン類量とは、発酵茶に含まれる縮合型タンニン類の量であり、酒石酸鉄法(茶業研究報告71(1990)43-74)により測定することができる。
(クエン酸/有機酸)
本発明の容器詰飲料において、有機酸量に対するクエン酸量の比率(クエン酸/有機酸)は0.50〜0.95であるのが好ましい。
有機酸量に対するクエン酸量の比率(クエン酸/有機酸)が0.50を下回ると、後味の余韻が弱くなってしまうため好ましくなく、0.95を上回ると、舌触りの強さが弱まってしまうため好ましくない。
かかる観点から、本発明の容器詰飲料の当該比率(クエン酸/有機酸)は0.50以上であるのが好ましく、中でも0.70以上、その中でも0.80以上であるのがさらに好ましい。他方、0.95以下であるのが好ましく、中でも0.93以下、その中でも0.90以下であるのがさらに好ましい。
本発明の容器詰飲料において、クエン酸及び有機酸の由来は、特に限定されるものではないが、果実に由来するものであるのが好ましい。例えば、本発明の容器詰飲料におけるクエン酸及び有機酸は、果実成分、例えば上述の果実抽出物、果実濃縮物、果実乾燥物からなる群から選ばれる1種又は2種以上に由来するものであってよい。
また、果実種については、特に限定されるものではないことは上述のとおりであり、例えば上述の果実種のうち1種又は2種以上であってもよい。
また、前記果実抽出物、果実濃縮物、果実乾燥物からなる群から選ばれる1種又は2種以上を調製するにあたり、各種の公知技術、例えば固液分離、活性炭処理、酵素処理などの1種又は2種以上を適宜選択して実施してよい。さらには、市販のクエン酸製剤や有機酸製剤を併用して用いることもできる。
有機酸量に対するクエン酸量の比率(クエン酸/有機酸)を前記範囲に調整する手段としては、例えば果実種の混合、特に非加熱果実原料の混合などによればよい。なぜなら、非加熱果実原料を用いることによって、果実由来の後味の余韻がより向上するのに寄与するからである。
また、酸度調整剤を添加することでも、当該比率を調整することもできる。酸度調整剤としては、酸味料としては、例えば、クエン酸、クエン酸三ナトリウム、アジピン酸、グルコン酸、コハク酸、酒石酸、乳酸、フマル酸、リンゴ酸、又はそれらの塩類を挙げることができる。
但し、当該比率の調整方法をこれらの方法に限定するものではない。
本発明において有機酸量は、クエン酸、リンゴ酸、コハク酸、乳酸、ギ酸及び酢酸の合計含有量である。
有機酸量及びクエン酸量は、高速液体クロマトグラム(HPLC)などを用い、検量線法などによって測定することができる。
(クエン酸量)
本発明の容器詰飲料におけるクエン酸量は、0.80mg/100mL〜58.0mg/100mLであるのが好ましく、中でも0.90mg/100mL以上或いは55.0mg/100mL以下であるのがさらに好ましく、その中でも1.00mg/100mL以上或いは50.0mg/100mL以下であるのがさらに好ましく、その中でも5.00mg/100mL以上或いは40.0mg/100mL以下であるのがより好ましく、その中でも10.0mg/100mL以上或いは30.0mg/100mL以下であるのが特に好ましい。
(有機酸量)
本発明の容器詰飲料における有機酸量は、0.60mg/100mL〜116.0mg/100mLであるのが好ましく、中でも0.80mg/100mL以上或いは100.0mg/100mL以下であるのがより好ましく、その中でも1.0mg/100mL以上或いは80.0mg/100mL以下であるのがさらに好ましく、その中でも5.0mg/100mL以上或いは70.0mg/100mL以下であるのがより好ましく、その中でも10.0mg/100mL以上或いは50.0mg/100mLであるのが最も好ましい。
(タンニン類/クエン酸)
本発明の容器詰飲料において、クエン酸量に対するタンニン類量の比率(タンニン類/クエン酸)は、特に限定されるものではない。しかしながら、本発明の容器詰飲料における舌触りの強さを鑑みると、0.2〜40.0であるのが好ましく、中でも0.5以上、その中でも1.0以上、さらにその中でも1.5以上であるのが好ましい。また、同様の理由から、中でも20.0以下、その中でも10.0以下、さらにその中でも5.0以下であるのが好ましい。
本発明の容器詰飲料において、クエン酸量に対するタンニン類量の比率(タンニン類/クエン酸)の調整は、上述のタンニン量の調整方法とクエン酸の調整方法を併用することにより実施できる。
(タンニン類/エピ体カテキン類)
本発明の容器詰飲料において、エピ体カテキン量に対するタンニン類量の比率(タンニン類/エピ体カテキン)が8.6〜30.0であれば、紅茶の風味が感じられながらも果実の風味を損なわないため、好ましい。
かかる観点から、本発明の容器詰飲料の当該比率(タンニン類/エピ体カテキン)は
8.6以上であるのが好ましく、中でも10.0以上、その中でも12.0以上であるのがさらに好ましい。他方、30.0以下であるのが好ましく、中でも25.0以下、その中でも20.0以下であるのがさらに好ましい。
エピ体カテキン量に対するタンニン類量の比率(タンニン類/エピ体カテキン)を前記範囲に調整する手段としては、茶葉の種類もしくは抽出条件の調整などすればよい。但し、この方法に限定するものではない。
本発明において、エピ体カテキン類は、エピカテキン(EC)、エピカテキンガレート(ECg)、エピガロカテキン(EGC)、エピガロカテキンガレート(EGCg)の総称である。
エピ体カテキン量は、高速液体クロマトグラム(HPLC)などを用い、検量線法など公知の方法でもって測定することができる。
エピ体カテキン類量は、加熱されると徐々に非エピ体カテキン類、すなわちカテキン、カテキンガレート、ガロカテキン、ガロカテキンガレートに夫々変化することが知られている。このため、エピ体カテキン類量は、原料調製、飲料調製、殺菌工程などの加熱する各種工程における熱履歴を管理することにより、適宜調整することができる。但し、この方法に限定するものではない。
(エピ体カテキン類量)
本発明の容器詰飲料において、エピ体カテキン類量は0.1mg/100mL〜8.0mg/100mLであるのが好ましい。
エピ体カテキン類量が0.1mg/100mL〜8.0mg/100mLであれば、保存時の沈殿の発生が抑制できるから好ましい。
かかる観点から、本発明の容器詰飲料のエピ体カテキン類量は0.1mg/100mL以上であるのが好ましく、中でも0.3mg/100mL以上、その中でも0.7mg/100mL以上であるのがさらに好ましい。他方、8.0mg/100mL以下であるのが好ましく、中でも5.0mg/100mL以下、その中でも3.5mg/100mL以下であるのがさらに好ましい。
(タンニン類/カフェイン)
本発明の容器詰飲料において、カフェイン量に対するタンニン類量の比率(タンニン類/カフェイン)は、2.9〜11.5であるのが好ましい。紅茶由来の苦渋味が好適な強さとなるからである。その中でも3.5以上、さらにその中でも4.5以上であるのがさらに好ましい。他方、11.5以下であるのが好ましく、中でも10.0以下、その中でも8.0以下であるのがさらに好ましい。
カフェイン量に対するタンニン類量の比率(タンニン類/カフェイン)を前記範囲に調整する手段としては、抽出条件の調整などすればよい。但し、この方法に限定するものではない。
カフェイン量の定量方法は、Gotoらの方法(T.Goto,Y.Yoshida,M.Kiso and H.Nagashima,Journal of Chromatography A,749(1996)295-299)に準拠し、高速液体クロマトグラム(HPLC)などを用い、検量線法などによって測定することができる。
(カフェイン量)
本発明の容器詰飲料において、カフェイン量は15.0mg/100mL以下であるのが好ましい。カフェイン量が15.0mg/100mL以下であれば、保存時の果実の香味が保持されるから好ましい。
かかる観点から、本発明の容器詰飲料のカフェイン量は15.0mg/100mL以下であるのが好ましく、中でも11.0mg/100mL以下、その中でも10.5mg/100mL以下であるのがさらに好ましい。他方、0.1mg/100mL以上であるのが好ましく、中でも1.0mg/100mL以上、その中でも2.0mg/100mL以上であるのがさらに好ましい。
本発明の容器詰飲料においてカフェイン量は、原料となる茶葉の種類や茶期、茶葉の抽出条件を変更することにより調整することができる。但し、この方法に限定されるものではない。
(タンニン類/テアニン)
本発明の容器詰飲料において、テアニン量に対するタンニン類量の比率(タンニン類/テアニン)が、12.0〜50.0であれば、後味の渋さと旨味が適度となるから、好ましい。
かかる観点から、本発明の容器詰飲料の当該比率(タンニン類/テアニン)は12.0以上であるのが好ましく、その中でも15.0以上、その中でも20.0以上であるのがさらに好ましく、他方、50.0以下であるのが好ましく、中でも45.0以下、その中でも40.0以下であるのがさらに好ましい。
テアニン量に対するタンニン類量の比率(タンニン類/テアニン)を前記範囲に調整する手段としては、抽出条件の調整などすればよい。但し、この方法に限定するものではない。
テアニン量は、高速液体クロマトグラム(HPLC)などを用い、検量線法などによって測定することができる。
(テアニン量)
本発明の容器詰飲料において、テアニン量は0.4mg/100mL〜5.0mg/100mLであるのが好ましい。
テアニン量が0.4mg/100mL〜5.0mg/100mLであれば、容器詰飲料を保存した時の紅茶の香味を保持できるから好ましい。
かかる観点から、本発明の容器詰飲料のテアニン量は0.4mg/100mL以上であるのが好ましく、中でも0.5mg/100mL以上、その中でも0.6mg/100mL以上であるのがさらに好ましい。他方、5.0mg/100mL以下であるのが好ましく、中でも3.5mg/100mL以下、その中でも2.5mg/100mL以下であるのがさらに好ましい。
本発明の容器詰飲料においてテアニン量は、原料となる茶葉の種類や茶期、茶葉の抽出条件を変更することにより調整することができる。但し、この方法に限定されるものではない。
(エピ体カテキン類/クエン酸)
本発明の容器詰飲料において、クエン酸量に対するエピ体カテキン量の比率(エピ体カテキン/クエン酸)が0.08〜0.30であれば、後味のキレが良好であるから、好ましい。
かかる観点から、本発明の容器詰飲料の当該比率(エピ体カテキン/クエン酸)は0.08以上であるのが好ましく、その中でも0.13以上、その中でも0.15以上であるのがさらに好ましく、他方、0.30以下であるのが好ましく、中でも0.23以下、その中でも0.25以下であるのがさらに好ましい。
クエン酸量に対するエピ体カテキン量の比率(エピ体カテキン/クエン酸)を前記範囲に調整する手段としては、茶葉の使用量や抽出条件の調整などすればよい。但し、この方法に限定するものではない。
(カフェイン/クエン酸)
本発明の容器詰飲料において、クエン酸量に対するカフェイン量の比率(カフェイン/クエン酸)が0.2〜0.9であれば、後味の苦さが適度であるから、好ましい。
かかる観点から、本発明の容器詰飲料の当該比率(カフェイン/クエン酸)は0.2〜0.9であるのが好ましく、その中でも0.3以上、その中でも0.4以上であるのがさらに好ましく、他方、0.9以下であるのが好ましく、中でも0.8以下、その中でも0.7以下であるのがさらに好ましい。
クエン酸量に対するカフェイン量の比率(カフェイン/クエン酸)を前記範囲に調整する手段としては、抽出条件の調整などすればよい。但し、この方法に限定するものではない。
(ミネラル)
ミネラルの含有用量に関しては、本発明の容器詰飲料において、ナトリウム(Na)含有量は、5.0mg/100mL〜17.0mg/100mLであるのが好ましく、中でも6.0mg/100mL以上或いは15.0mg/100mL以下、その中でも7.0mg/100mL以上或いは14.0mg/100mL以下であるのがさらに好ましい。
カリウム(K)含有量は、3.0mg/100mL〜15.0mg/100mLであるのが好ましく、中でも4.0mg/100mL以上或いは12.0mg/100mL以下、その中でも5.0mg/100mL以上或いは10.0mg/100mL以下であるのがさらに好ましい。
カルシウム(Ca)含有量は、0.1mg/100mL〜1.0mg/100mLであるのが好ましく、中でも0.2mg/100mL以上或いは0.9mg/100mL以下、その中でも0.3mg/100mL以上或いは0.8mg/100mL以下であるのがさらに好ましい。
マグネシウム(Mg)含有量は、0.1mg/100mL〜1.0mg/100mLであるのが好ましく、中でも0.2mg/100mL以上或いは0.9mg/100mL以下、その中でも0.3mg/100mL以上或いは0.8mg/100mL以下であるのがさらに好ましい。
本発明の容器詰飲料において、上記ミネラル含有量の調整は、上述の原料選択、原料加工、原料の使用割合等により適宜調整することができる。例えば、紅茶液成分や果実成分の選択や組み合わせ、その加工や使用割合等により適宜調整することができる。但し、これらの方法に限定するものではない。
容器詰飲料におけるミネラル含有量は、ICP発光分光分析装置により測定することができる。
(ナトリウム/タンニン類)
本発明の容器詰飲料において、タンニン類量に対するナトリウム(Na)含有量の比率(ナトリウム/タンニン類)は、特に限定されるものではない。しかしながら、本発明の第二の目的である、紅茶と果実の香味保持性(バランスの良さ)を鑑みると、タンニン類量に対するナトリウム(Na)含有量の比率(ナトリウム/タンニン類)は、2.0以下であるのが好ましく、中でも1.0以下であるのが好ましく、その中でも0.8以下であるのが好ましく、さらにその中でも0.5以下であるのが好ましく、0.3以下であるのが最も好ましい。
本発明の容器詰飲料において、上記比率(ナトリウム/タンニン類)を上記範囲に調整するには、上述したタンニン類量の調整方法及びミネラル含有量の調整を組み合わせて調整すればよい。
(果実成分由来ポリフェノール量)
本発明において、果実成分由来ポリフェノール類とは、果実中に含まれる成分であって、当該成分の分子内に複数のフェノール性ヒドロキシ基(ベンゼン環、ナフタレン環などの芳香環に結合したヒドロキシ基)を持つものをいう。より具体的には、柑橘類に含まれるヘスペリジン(配糖体)に代表されるフラバノン類や、ブドウやブルーベリー等に含まれ、アントシアニンやディルフィニジンに代表されるアントシアニジン類や、リンゴのプロシアニジン及びピーチ類に含まれるフラバノール類や、プルーン等に含まれるクロロゲン酸類や、イチゴやザクロ等に含まれるエラグ酸等を挙げることができる。
本発明の容器詰飲料に関しては、果実成分由来ポリフェノール量(質量)が100ppm〜500ppmであれば、果実の良好な風味が感じられるため、好ましい。中でも200ppm以上、その中でも250ppm以上であるのがさらに好ましく、他方、500ppm以下であるのが好ましく、中でも400ppm以下、その中でも350ppm以下であるのがさらに好ましい。
果実成分由来ポリフェノール量の調整は、前述の果実種の1種類又は2種類以上を適宜組み合わせることによって調整することができる他、果実の熟度や部位(皮、果実部、種子部)に含まれる果実成分由来ポリフェノール類濃度を公知の知見に基づいて適宜組み合わせて調整することもできる。また、原料となる果実から得た搾汁液に濃縮や精製などの加工を行い、当該原料に含まれる果実成分由来ポリフェノール類濃度を確認してから適宜組み合わせることによっても調整できる。さらに、必要に応じて、果実成分由来ポリフェノール類製剤を用いて調整することもできる。但し、これらの方法に限定するものではない。
なお、果実成分由来ポリフェノール類は、フォーリン・デニス法によって測定することができる(例えば「五訂 日本食品標準成分表 分析マニュアルの解説」を参照)。
(果汁Brix/紅茶Brix)
本発明の容器詰飲料において、果汁Brix/紅茶Brixは、特に限定されるものではない。例えば6〜90であるのが好ましく、特に14以上或いは50以下、その中でも特に20以上或いは35以下であるのがさらに好ましい。
容器詰飲料の果汁Brixは、果汁の種類、含有量から調整することができる。これに対して、紅茶由来のBrixは、茶葉の種類、抽出温度、抽出時間等により調整することができる。但し、これらの方法に限定するものではない。
なお、本発明において果汁Brixとは、本発明の容器詰飲料に含まれる、果汁のショ糖換算したときの果汁の濃度をいい、紅茶Brixとは、ビタミンCなどの添加物を含まない、ショ糖換算した時の紅茶の濃度をいう。
(固形量:Bx)
本発明の容器詰飲料の固形量(Bx)は、特に限定されるものではないが、6.0%以下であれば、甘味が強すぎず香味的に好ましい。かかる観点から、6.0%以下であるのが好ましく、中でも5.5%以下、その中でも5.0%以下であるのがさらに好ましい。
なお、固形量(Bx)の下限値については、2.0%以上であれば、甘味があり、本格的な果汁感が得られ好ましい。かかる観点から、2.0%以上であるのが好ましく、中でも2.5%以上、その中でも3.0%以上であるのがさらに好ましい。
容器詰飲料の固形量(Bx)は、市販のBx測定器を用いることにより測定できる。
固形量(Bx)を前記範囲に調整する手段としては、果実の種類、果実成分乃至果汁の含有量、糖類の量により調整することができる。但し、これらの方法に限定するものではない。
(pH)
本発明の容器詰飲料は、そのpHが4.0以上7.0未満であれば、紅茶本来の風味が余韻に感じられるため、好ましい。
かかる観点から、本発明の容器詰飲料のpHは4.0以上であるのが好ましく、中でも4.3以上、その中でも4.5以上であるのがさらに好ましく、他方、7.0未満であるのが好ましく、中でも6.5以下、その中でも6.0以下であるのがさらに好ましい。
容器詰飲料のpHは、市販のpH測定器を用いることにより測定できる。
容器詰飲料のpHを前記範囲に調整する手段としては、果汁の使用量もしくはpH調整剤の使用量の調整などすればよい。但し、この方法に限定するものではない。
(透過率(T%))
本発明の容器詰飲料は、その透過率(T%)が50以上90未満であれば、舌触りの強さがより良好となるから、好ましい。
かかる観点から、本発明の容器詰飲料の透過率(T%)は50以上であるのが好ましく、中でも53以上、その中でも55以上であるのがさらに好ましい。他方、90未満であるのが好ましく、中でも80以下、その中でも70以下であるのがさらに好ましい。
容器詰飲料の透過率(T%)を調整する手段としては、果汁の使用量の調節などすればよい。但し、これらの方法に限定されるものではない。
(酸度)
本発明の容器詰飲料の酸度は0.001%〜0.050%であるのが好ましい。
酸度がかかる範囲であれば、後味のキレが良好であるから、好ましい。
かかる観点から、本発明の容器詰飲料における酸度は0.001%以上であるのが好ましく、中でも0.005%以上、その中でも0.010%以上であるのがさらに好ましい。他方、0.050%以下であるのが好ましく、中でも0.040%以下、その中でも0.030%以下であるのがさらに好ましい。
なお、容器詰飲料の酸度は、主に果汁の種類と含有量、酸味料の種類と添加量等によって調整することができる。但し、これらの方法に限定されるものではない。
(甘辛度)
本発明の容器詰飲料に関しては、甘辛度が1.50〜2.50であれば、十分な飲みごたえを感じながらも後味のキレが良好であるから、好ましい。
かかる観点から、本発明の容器詰飲料の甘辛度は1.50以上であるのが好ましく、中でも1.70以上、その中でも1.90以上であるのがさらに好ましい。他方、2.50未満であるのが好ましく、中でも2.30以下、その中でも2.10以下であるのがさらに好ましい。
なお、甘辛度とは、糖度(固形分)と酸度で表される指標であって、甘辛度=0.86×固形量(Bx)−1.16×酸度−1.31の式から算出される値である。
容器詰飲料の甘辛度を前記範囲に調整する手段としては、例えば糖類(砂糖・果糖)の種類と量、果汁の種類と量、酸味料の添加量などによって調整することができる。但し、これらの方法に限定されるものではない。
<容器詰飲料の製造方法>
本発明の容器詰飲料の製造方法として、紅茶液成分と果実成分とを含有する容器詰飲料の製造方法であって、タンニン類量を10.0mg/100mL〜40.0mg/100mLに調整すると共に、クエン酸量の比率(クエン酸/有機酸)を0.50〜0.95に調整することを特徴とする、容器詰飲料の製造方法を挙げることができる。
上述のとおり、容器詰飲料におけるタンニン類量は、タンニン類量は、10.0mg/100mL〜40.0mg/100mLであるのが好ましい。タンニン類量が、10.0mg/100mLを下回ると、トップの紅茶感が弱まってしまうため好ましくなく、40.0mg/100mLを上回ると、舌触りの強さが弱まってしまうため好ましくない。
また、有機酸量に対するクエン酸量の比率(クエン酸/有機酸)は0.50〜0.95であるのが好ましい。有機酸量に対するクエン酸量の比率(クエン酸/有機酸)が、0.50を下回ると、後味の余韻が弱くなってしまうため好ましくなく、0.95を上回ると、舌触りの強さが弱まってしまうため好ましくない。
本発明の容器詰飲料の製造方法において、抽出液のタンニン類量を調整する方法は、特に限定されるものではないが、例えば上述のとおり、タンニン量とクエン酸量を調整する方法を適宜選択して用いることができる。
また、本発明の容器詰飲料の製造方法においては、さらに酸度を0.001%〜0.050%に調整することができる。酸度を調整する場合、0.001%以上或いは0.050%以下に調整するのが好ましく、中でも0.002%以上或いは0.045%以下に調整するのが好ましく、その中でも0.003%以上或いは0.040%以下に調整するのが好ましく、0.004%以上或いは0.035%以下に調整するのがもっとも好ましい。
また、本発明の容器詰飲料の製造方法においては、紅茶葉と生果実とを合わせて一緒に抽出する工程を有することができる。ここでいう、紅茶葉とは、紅茶液成分を取得するにあたって用いるものであって上述のとおりである。また、生果実とは、上述のとおり、40℃以上の熱を加えられていない果実(加熱処理していない果実)を意味し、例えば、加熱処理していない果実をスライスしたもの等を挙げることができる。また、例えば、果実そのもののほか、皮付きの果実を裁断、粉砕、搾汁などの加工を施して得られたもの、皮を除いた果実を裁断、粉砕、搾汁などの加工を施して得られたものを包含する。中でも、皮付きの果実を裁断したもの、具体的には皮付きのオレンジを裁断した皮付きオレンジスライス等を挙げることができる。
本発明の容器詰飲料の製造方法においては、さらに果汁を加えることができる。例えば、紅茶葉と生果実とを合わせて一緒に抽出して得た混合抽出液に、1種又は2種以上の果汁を加えること等をあげることができる。また、果汁量は特に限定されるものではないものの、紅茶と果実の香味保持性(バランス)を考慮すると、飲料全体に対して30重量%以下が好ましく、中でも20重量%以下が好ましく、その中でも10重量%以下が好ましく、さらにその中でも5重量%以下が好ましく、1重量%以下であるのが最も好ましい。
本発明の容器詰飲料の製造方法の一態様としては、例えば、原料としての紅茶葉と生果実とを合わせて一緒に抽出し(この処理を「抽出工程」と称する)、必要に応じて、得られた抽出液に果汁を加え(この処理を「果汁添加工程」と称する)、さらに必要に応じて添加成分を加え(この処理を「調合工程」と称する)、そして殺菌乃至容器充填する(この処理を「殺菌乃至容器充填工程」と称する)製造方法において、原料の選択、各処理の条件調整などによって、上記各成分量乃至比率を調整して本発明の容器詰飲料を製造する方法を挙げることができる。但し、この製造方法に限定するものではない。
(紅茶葉)
原料とする紅茶葉の茶期や形状、産地等の紅茶の種類は、特に限定するものではない。
(生果実)
本発明において生果実とは、40℃以上の熱を加えられていない果実を意味し、例えば、果実そのもののほか、皮付きの果実を裁断、粉砕、搾汁などの加工を施して得られたもの、皮を除いた果実を裁断、粉砕、搾汁などの加工を施して得られたものを包含する。中でも、皮付きの果実を裁断したもの、具体的には皮付きのオレンジを裁断した皮付きオレンジスライスなどである。なお、かかる生果実は、他の成分と共に配合される工程又はそれ以降の工程において、法令上要請される加熱殺菌処理をする。
紅茶葉と生果実との配合割合に関しては、紅茶葉100質量部に対して生果実を1.0〜5.0の割合で配合するのが好ましく、中でも1.5以上或いは4.0以下、その中でも2.0以上或いは3.0以下の割合で配合するのがさらに好ましい。
(抽出工程)
紅茶葉(「原料茶」とも称する)及び生果実の抽出は、例えば、常法に従ってニーダーと呼ばれる抽出装置を用いて、原料茶に対して5〜100倍量、10〜100℃の湯水で約1分〜40分間、必要に応じて1回〜数回攪拌して、常圧で抽出を行えばよい。適度な香味を維持しつつ、液色変化抑制を図る観点によると、10〜90℃、特に20〜80℃、中でも30〜70℃、中でも60℃以下、その中でも50℃以下で抽出を行うのが好ましい。
但し、抽出方法及び抽出条件等を特に限定するものではなく、例えば加圧抽出を行うこともできる。
抽出に用いる湯水は、純水、硬水、軟水、イオン交換水、天然水などのほか、アスコルビン酸含有水溶液及びpH調製水等を例示することができる。
湯水にアスコルビン酸ナトリウム等の有機酸又は有機酸塩類を添加してもよい。
本発明においては、特に紅茶葉と生果実を共存下で抽出すること、もしくは生果実の抽出液、或は粉砕物を含有する溶媒を用いて、紅茶葉の抽出を行うことが好ましい。果実成分中で紅茶葉を抽出することにより、トップの紅茶感と果実由来の後味の余韻のバランスが好適になるからである。
抽出後の固液分離は、濾過や遠心分離等により行い、紅茶葉を除去して抽出液を得るようにすればよい。例えばステンレスフィルターやネル布、ストレーナー、その他抽出残渣を除去するために現在採用されている濾過方法を任意に採用することができる。
また、必要に応じて、さらに遠心分離や珪藻土濾過を行ってもよい。
(果汁添加工程)
「果汁」とは、果物を搾汁等の加工をすることにより得られる液体成分を意味する。例えば、果物を適当な大ききに破砕し、当該破砕物を搾汁することにより、果汁を得ることができる。果汁は特に限定されず、濃縮や希釈などの処理が行われていないストレート果汁、ストレート果汁に加熱濃縮法や冷凍濃縮法などによって果汁中の水分を取り除き濃度を高めた濃縮果汁、濃縮果汁を水等で希釈したもの(例えば計算上、ストレート果汁と同等の濃度となるように希釈した濃縮還元果汁)を挙げることができる。
前記生果実や前記果汁における果実の種類は特に限定するものではない。例えばオレンジ、蜜柑、グレープフルーツ、レモン、ベルガモット、日向夏などの柑橘類、モモ、りんご、ホワイトグレープ、いちご、梨、西洋ナシ、杏、スモモ、さくらんぼ、ウメ、プルーンなどのバラ科の果物、パパイヤ、ライチ、ブドウ、マンゴー、カシス、キウイ、アセロラ、バナナ、ブルーベリー、メロン、グアバなどを挙げることができる。これらのうちの1種であっても、これらのうちの2種以上の組合せであってもよい。なお、使用する果汁は、1種類であってもよいし、また、2種以上を組み合わせて添加してもよい。
前記生果実における果実の種類と、果汁における果実の種類は同じあっても、異なるものであってもよい。
また、皮付きの上記果実を搾汁して得られる果汁を前記抽出液に加えるようにしてもよい。
本発明の容器詰飲料の製造方法の具体的な一態様として、例えば、生のオレンジスライスを紅茶と一緒に抽出し(「生オレンジ抽出製法」)、皮まで丸ごと搾ったオレンジ果汁すなわち皮付きのオレンジをそのまま搾汁して得られたオレンジ果汁を加えることによる製法を挙げることができる。この製法においては、香料を使用しないことが好ましい。
(調合工程)
前記抽出工程で得られた抽出液に対して、必要に応じて、例えば甘味料、酸味料、酒石酸やその他の配合物、例えば水(純水、硬水、軟水、イオン交換水、天然水その他)、アスコルビン酸、アスコルビン酸ナトリウム、重曹、糖類、デキストリン、香料、乳化剤、安定剤、或いはその他の呈味原料などのいずれか或いはこれらのうち二種以上の組み合わせを添加し、主にpH調整、濃度調整、味の調整を行うようにすればよい。
(殺菌乃至容器充填工程)
上記のように調整した抽出液は、常法によって殺菌乃至容器詰めするのが好ましい。充填容器としては、金属製の缶、紙製パック、プラスチックボトルなどを挙げることができる。この際、例えばプラスチック容器を用いる場合は、25℃、湿度55%RHにおける容器の酸素透過量(cc/Day/500mLボトル)が、0.01〜0.10であるのが好ましく、中でも0.015以上或いは0.08以下、その中でも0.02以上或いは0.06以下であるのが更に好ましい。
殺菌方法及び充填方法に関しては、具体的には、例えば缶詰飲料であれば、容器充填後に加熱殺菌、例えばレトルト殺菌、例えば、適宜加圧下(1.2Kg/cm2など)、121℃で7分間加熱殺菌すればよい。PETボトル詰飲料であれば、UHT殺菌、例えば120〜150℃で1秒〜数十秒保持した後、容器充填を行うようにすればよい。
<容器詰飲料の呈味の向上方法>
紅茶液成分と果実成分とを含有する容器詰飲料において、少なくとも、当該容器詰飲料のタンニン類量を10.0mg/100mL〜40.0mg/100mLとし、且つ、有機酸量に対するクエン酸量の比率(クエン酸/有機酸)を0.50〜0.95とするように容器詰飲料を製造すれば、特に呈味の向上させることができる。ここで、呈味の向上とは、トップの紅茶感、後味の余韻及び舌触りの強さからなる群から選ばれる1種又は2種以上をいう。
すなわち、かかる製造方法は、容器詰飲料の呈味の向上方法として提供することができる。この点につき、本発明は特に限定されるものではないが、紅茶葉と生果実とを合わせて一緒に抽出する工程を有することもでき、さらに、生果実が、加熱処理していない果実をスライスしたものであってよい。例えば、紅茶葉と、皮付きの生のオレンジスライスとを合わせて一緒に抽出することもできる。
なお、本発明の容器詰飲料は、実施例に記載されるように、紅茶の香味保持性や果実の香味保持性において効果を奏するものである。したがって、前記製造方法は、容器詰飲料の紅茶の香味保持方法や果実の香味保持方法としても提供することができる。
(語句の説明)
本明細書において「X〜Y」(X,Yは任意の数字)と表現する場合、特にことわらない限り「X以上Y以下」の意と共に、「好ましくはXより大きい」或いは「好ましくはYより小さい」の意も包含する。
また、「X以上」(Xは任意の数字)或いは「Y以下」(Yは任意の数字)と表現した場合、「Xより大きいことが好ましい」或いは「Y未満であることが好ましい」旨の意図も包含する。
以下に本発明を実施例によってさらに具体的に説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。
[各種物性の測定]
実施例及び比較例で調製した容器詰緑茶飲料(サンプル)の各物性値は次のように測定した。
(タンニン類量)
タンニン量類の定量は、阿南他(茶業研究報告71(1990)43-74)による酒石酸鉄法に準じて実施した。なお、測定に使用するリン酸緩衝液のpHは、5.5に変更して行った。
(有機酸量)
LC−10ADvp(株式会社 島津製作所)を用いて、HPLC法に基づいてクエン酸、リンゴ酸、コハク酸、乳酸、ギ酸及び酢酸の含有量を測定し、クエン酸、リンゴ酸、コハク酸、乳酸、ギ酸及び酢酸の合計含有量を有機酸量とした。
サンプル調整法:
サンプルを適量測りとり、蒸留水に懸濁後、フィルターろ過して分析に供した。
HPLC測定条件:
検出器:紫外可視吸光光度計 SPD−20AV(株式会社 島津製作所)
カラム:Shodex RSpak KC−811×2、φ8mm×300mm(昭和電工株式会社)
カラム温度:40℃
移動相:3mmol/L過塩素酸
反応液:0.2mmol/Lブロムチモールブルー含有
15mmol/Lりん酸水素二ナトリウム溶液
流量:移動相0.5ml/min、反応液0.5ml/min
測定波長:445nm
(エピ体カテキン類量)
エピ体カテキン類量は、Allianceシステム(Waters株式会社製)を用いて高速液体クロマトグラフィ(HPLC)を以下の条件で操作し、検量線法により定量して測定した。
カラム:wakosil 3C18HG φ3.0×100mm(和光純薬工業株式会社製)
カラム温度:40℃
移動相:A相5%アセトニトリル(リン酸0.1%含有)
B相:50%アセトニトリル(リン酸0.1%含有)
流速:0.43mL/min
注入量:5μL
検出:UV230nm
グラジエントプログラム:表1
Figure 2021052606
(カフェイン量)
カフェイン量は、Allianceシステム(Waters株式会社製)を用いて高速液体クロマトグラフィ(HPLC)を以下の条件で操作し、検量線法により定量して測定した。
カラム:wakosil 3C18HG φ3.0×100mm(和光純薬工業株式会社製)
カラム温度:40℃
移動相:A相
5%アセトニトリル(リン酸0.1%含有)
B相:50%アセトニトリル(リン酸0.1%含有)
流速:0.43mL/min
注入量:5μL
検出:UV230nm
グラジエントプログラム:表1
(テアニン量)
Allianceシステム(Waters株式会社製)を用いて高速液体クロマトグラフィ(HPLC)を以下の条件で操作し、検量線法により定量して測定した。
サンプル調整法:
サンプルを適量測りとり、蒸留水に懸濁後、フィルターろ過して分析に供した。
HPLC測定条件:
カラム:XBridge Shield RP18 3.0×100mm
温度:40℃
注入量:5μL
移動相A:50mM酢酸ナトリウムバッファー(pH6.0)
移動相B:アセトニトリル
検出器:Waters 2475マルチ波長蛍光検出器
検出波長:励起335nm エミッション450nm
グラジエントプログラム:表2
Figure 2021052606
(pH)
pHメーターをpH標準溶液による校正を実施し、実施例及び比較例で得られた容器詰飲料(サンプル)をビーカーに採取し、pHメーターのガラス電極をサンプル中に挿入し、測定(機器の表示値を記録)した。
(透過率(T%)の測定)
容器の光透過散乱部における全光線透過率およびヘーズ値は、「ヘーズメーターHM−150型(株式会社村上色彩技術研究所製)」を用い、CIE標準光源D65にて透過率(T%)を測定した。波長660nmの透過率は「紫外可視分光光度計UV−1800(島津製作所)」を用いて測定した。
(固形量)
測定装置の温度を所定の温度に調整し、測定装置(屈折計)を校正し、実施例及び比較例で得られた容器詰飲料(サンプル)を測定装置のプリズム上に薄く塗布し、可溶性固形量(Bx)を測定した。
(酸度)
実施例及び比較例で得られた容器詰飲料(サンプル)を、並びに果汁に純水を加えた後、電位差滴定法により0.1mol/L水酸化ナトリウム溶液でpH8.3まで測定した。水酸化ナトリウム溶液の滴定量から酸度(クエン酸換算)を算出した。算出は測定機器により実施し、機器の表示値を酸度として記録した。
(甘辛度)
上記の方法で測定した固形量と酸度とから、次の式で甘辛度を算出した。
甘辛度=0.86×固形量(Bx)−1.16×酸度−1.31
<実施例1>
紅茶(茶葉種類:ウバ、ダージリンを4:1で使用)35gに、皮付きオレンジスライス(厚さ1〜10mm)2gを加え、さらに純水1050mL(30倍)を加え、80℃で5分間抽出した。その際、1分毎に各15秒間ずつ撹拌しながら抽出し、抽出液を得た。
得られた抽出液を20℃まで冷却した後、遠心分離を用いて微細濾過し、濾過して得られた抽出液に、オレンジ濃縮混濁果汁10g(ストレート換算)、ビタミンC(「VC」)3gを加えたほか、クエン酸、グラニュー糖を加え、pH5.0になるように重炭酸ナトリウムを加え、7000gになるように純水でメスアップした。
このように調合した紅茶飲料を、UHT殺菌機で136℃・30秒殺菌した後、PETボトル容器に充填し冷却して、容器詰飲料(サンプル)を得た。
<実施例2>
実施例1において、紅茶を9gに変更した以外は、実施例1と同様にして容器詰飲料を得た。
<実施例3>
実施例1において、紅茶を27g使用し、オレンジ濃縮混濁果汁を100gに変更した以外は、実施例1と同様にして、容器詰飲料を得た。
<実施例4>
実施例1において、紅茶を18g使用し、オレンジ濃縮混濁果汁を200gに変更した以外は、実施例1と同様にして、容器詰飲料を得た。
<実施例5>
実施例1において、オレンジ濃縮混濁果汁を500gに変更した以外は、実施例1と同様にして、容器詰飲料を得た。
<実施例6>
実施例1において、紅茶を9g使用し、オレンジ濃縮混濁果汁を500gに変更した以外は、実施例1と同様にして、容器詰飲料を得た。
<比較例1>
実施例1において、紅茶を40g使用し、オレンジ濃縮混濁果汁を7gに変更した以外は、実施例1と同様にして、容器詰飲料を得た。
<比較例2>
実施例1において、紅茶を6g使用し、オレンジ濃縮混濁果汁を7gに変更した以外は、実施例1と同様にして、容器詰飲料を得た。
<比較例3>
実施例1において、紅茶を40g使用し、オレンジ濃縮混濁果汁を600gに変更した以外は、実施例1と同様にして、容器詰飲料を得た。
<比較例4>
実施例1において、紅茶を6g使用し、オレンジ濃縮混濁果汁を600gに変更した以外は、実施例1と同様にして、容器詰飲料を得た。
<実施例7>
実施例2において、皮付きオレンジスライスを皮付きレモンスライスに変更し、オレンジ濃縮混濁果汁をレモン濃縮混濁果汁に変更した以外は、実施例2と同様にして、容器詰飲料を得た。
<実施例8>
実施例3において、皮付きオレンジスライスを皮付きレモンスライスに変更し、オレンジ濃縮混濁果汁をレモン濃縮混濁果汁に変更した以外は、実施例3と同様にして、容器詰飲料を得た。
<実施例9>
実施例5において、皮付きオレンジスライスを皮付きレモンスライスに変更し、オレンジ濃縮混濁果汁をレモン濃縮混濁果汁に変更した以外は、実施例5と同様にして、容器詰飲料を得た。
<実施例10>
実施例2において、皮付きオレンジスライスを皮付きりんごスライスに変更し、オレンジ濃縮混濁果汁をりんご濃縮混濁果汁に変更した以外は、実施例2と同様にして、容器詰飲料を得た。
<実施例11>
実施例3において、皮付きオレンジスライスを皮付きりんごスライスに変更し、オレンジ濃縮混濁果汁をりんご濃縮混濁果汁に変更した以外は、実施例3と同様にして、容器詰飲料を得た。
<実施例12>
実施例5において、皮付きオレンジスライスを皮付きりんごスライスに変更し、オレンジ濃縮混濁果汁をりんご濃縮混濁果汁に変更した以外は、実施例5と同様にして、容器詰飲料を得た。
<実施例13>
実施例2において、皮付きオレンジスライスを皮付きももスライスに変更し、オレンジ濃縮混濁果汁をもも濃縮混濁果汁に変更した以外は、実施例2と同様にして、容器詰飲料を得た。
<実施例14>
実施例3において、皮付きオレンジスライスを皮付きももスライスに変更し、オレンジ濃縮混濁果汁をもも濃縮混濁果汁に変更した以外は、実施例3と同様にして、容器詰飲料を得た。
<実施例15>
実施例5において、皮付きオレンジスライスを皮付きももスライスに変更し、オレンジ濃縮混濁果汁をもも濃縮混濁果汁に変更した以外は、実施例5と同様にして、容器詰飲料を得た。
<比較例5>
実施例3において、皮付きオレンジスライス及びオレンジ濃縮混濁果汁を配合しなかったこと以外は、実施例3と同様にして、容器詰飲料を得た。
<実施例16>
実施例1において、紅茶をウバのみに変更した以外は、実施例1と同様にして、容器詰飲料を得た。
<実施例17>
実施例1において、紅茶をウバとダージリンの使用割合を9:1に変更した以外は、実施例1と同様にして、容器詰飲料を得た。
<実施例18>
実施例1において、紅茶をウバとダージリンの使用割合を1:1に変更した以外は、実施例1と同様にして、容器詰飲料を得た。
<実施例19>
実施例1において、紅茶をウバとダージリンの使用割合を2:3に変更した以外は、実施例1と同様にして、容器詰飲料を得た。
<実施例20>
実施例1において、紅茶を70g使用し、抽出条件を40℃、20分間に変更した以外は、実施例1と同様にして、容器詰飲料を得た。
<実施例21>
実施例1において、紅茶を50g使用し、抽出条件を60℃、10分間に変更した以外は、実施例1と同様にして、容器詰飲料を得た。
<実施例22>
実施例1において、紅茶をダージリンのみとし、45g使用し、抽出条件を95℃、2分間に変更した以外は、実施例1と同様にして、容器詰飲料を得た。
<実施例23>
実施例1において、紅茶をダージリンのみとし、50g使用し、抽出条件を97℃、2分間に変更した以外は、実施例1と同様にして、容器詰飲料を得た。
<実施例24>
実施例1において、紅茶をダージリンのみとし、20g使用し、抽出条件を95℃、10分間に変更した以外は、実施例1と同様にして、容器詰飲料を得た。
<実施例25>
実施例1において、紅茶をダージリンのみとし、25g使用し、抽出条件を95℃、10分間に変更した以外は、実施例1と同様にして、容器詰飲料を得た。
<実施例26>
実施例1において、紅茶をダージリンのみとし、100g使用し、抽出条件を30℃、40分間に変更した以外は、実施例1と同様にして、容器詰飲料を得た。
<実施例27>
実施例1において、紅茶をダージリンのみとし、120g使用し、抽出条件を25℃、40分間に変更した以外は、実施例1と同様にして、容器詰飲料を得た。
(官能審査1)
実施例1〜15及び比較例1〜5で得られた容器詰飲料(サンプル)について、5人の審査官(パネラー)が、トップの紅茶感、後味の余韻、舌触りの強さの3項目について以下の基準で1〜5の5段階で点数を付け、5人の平均点が4.1以上を「◎」、3.0以上4.1未満であり、且つ「1」及び「2」の評価がないものを「○」、2.0以上3.0未満であり、且つ「1」の評価がないものを「△」、2.0未満、もしくは評価に「1」があるものを「×」として、総合評価した。
この際、従来の容器詰飲料に相当するサンプルを陰性対照(基準1)とする一方、ジューススタンドで提供されるフルーツティーに相当するサンプルを陽性対照(基準5)として各審査官(パネラー)が評価し、さらに5人の審査官(パネラー)の合議議の結果、最も多かった評価を採用することとした。
なお、陰性対照品と陽性対照品は、以下のとおり調製した。
[陰性対照(従来の製法)]
紅茶(茶葉種類:ウバ)35gに、純水1050mL(30倍)を加え、80℃で5分間抽出した。その際、1分毎に各15秒間ずつ撹拌しながら抽出し、抽出液を得た。
得られた抽出液を20℃まで冷却した後、遠心分離を用いて微細濾過し、濾過して得られた抽出液に、オレンジ濃縮透明果汁1.0g(ストレート換算)、ビタミンC(「VC」)3g、クエン酸4g、グラニュー糖50gを加え、pH3.8になるように重炭酸ナトリウムを加え、7000gになるように純水でメスアップした。
このように調合した紅茶飲料を、95℃達温まで加熱して殺菌した後、PETボトル容器に充填し冷却して、容器詰飲料(サンプル)を得た。
[陽性対照]
紅茶(茶葉種類:ウバ)2.5gに、純水125mL(50倍)を加え、95℃で2.5分間抽出した。その際、撹拌は行なわず蓋をして静置し、抽出液を得た。
得られた抽出液を5℃まで急冷した後、砂糖10g、手絞りのオレンジ果汁30mLを加え、冷水で250gになるようにメスアップした。
=トップの紅茶感=
5:紅茶の渋味が適度であり、トップの紅茶感が非常に良好である(陽性対照と同等)。
4:紅茶の渋味があり、トップの紅茶感が良好である(陽性対照よりはわずかに弱い/強い)。
3:紅茶の渋味があり、トップの紅茶感が良好である(陰性対照よりは良好だが、陽性対照より明らかに弱い/強い)。
2:紅茶の渋味が弱く/強く、トップの紅茶感を感じない(陰性対照と同等)。
1:紅茶の渋味が非常に弱く/強く、トップの紅茶感を感じない(陰性対照よりも弱い/強い)。
=後味の余韻=
5:果実の香味のキレが適度であり、果実由来の後味の余韻が非常に良好である(陽性対照と同等)。
4:果実の香味のキレがあり、果実由来の後味の余韻が良好である(陽性対照よりはわずかに弱い/強い)。
3:果実の香味のキレがあり、果実由来の後味の余韻が良好である(陰性対照よりは良好だが、陽性対照より明らかに弱い/強い)。
2:果実の香味のキレが弱く/強く、果実由来の後味の余韻を感じない(陰性対照と同等)。
1:果実の香味のキレが非常に弱く/強く、果実由来の後味の余韻を感じない(陰性対照よりも弱い/強い)。
=舌触りの強さ=
5:舌触りが非常に良好である(陽性対照と同等)。
4:舌触りが良好である(陽性対照よりはわずかに弱い/強い)。
3:舌触りが良好である(陰性対照よりは良好だが、陽性対照より明らかに弱い/強い)。
2:舌触りが弱い/強い(陰性対照と同等)。
1:舌触りが非常に弱い/強い(陰性対照よりも弱い/強い)。
(官能審査2)
実施例3及び16〜27で得られた容器詰飲料(サンプル)を3ヶ月間、25℃の暗室に保管し、保管後のサンプルを評価することによって、保管後の性状及び香味の保持性を検証した。5人の審査官(パネラー)が、沈殿、紅茶の香味保持性、果実の香味保持性の3項目について以下の基準で1〜3の3段階で点数を付け、5人の平均点が2.5以上を「◎」、2.0以上2.5未満を「○」、2.0未満を「△」として総合評価した。
なお、コントロールとしては、実施例16〜27と同様のサンプルを、官能審査当日に再度製造したサンプルを採用した。
=沈殿=
3:濁りがありつつも沈殿が見られず、長期保存に適する(コントロールと同等)。
2:沈殿が見られるが、長期保存に適する。
1:沈殿が多く、底部にリング状の堆積が見られ、長期保存に適さない。
=紅茶の香味保持性=
3:紅茶の香味が十分に感じられ、長期保存に適する(コントロールと同等)。
2:紅茶の香味を感じ、長期保存に適する。
1:紅茶の香味が感じられず、長期保存に適さない。
=果実の香味保持性=
3:果実の香味が十分に感じられ、長期保存に適する(コントロールと同等)。
2:果実の香味を感じ、長期保存に適する(コントロールよりは弱く感じる)。
1:果実の香味が感じられず、長期保存に適さない。
Figure 2021052606
Figure 2021052606
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実施例1〜27で得た容器詰飲料(サンプル)はいずれも、タンニン類量に対するナトリウム(Na)含有量の比率(タンニン類/ナトリウム)が1.7未満であった。
(考察)
上記実施例及びこれまで本発明が行ってきた様々な試験結果から、紅茶液成分と果実成分とを含有する容器詰飲料に関しては、タンニン類量が10.0mg/100mL〜40.0mg/100mLであり、且つ、有機酸量に対するクエン酸量の比率(クエン酸/有機酸)が0.50〜0.95であれば、トップの紅茶感、及び、後味の余韻及び舌触りの強さが、従来の容器詰飲料(RTD)と比較して高評価が得られ、ジューススタンドなどで提供されるフルーツティーらしさが感じられることが分かった。
また、そのような容器詰飲料を製造するには、紅茶葉と生果実とを合わせて一緒に抽出する工程を有する容器詰飲料の製造方法において、抽出液のタンニン類量を10.0mg/100mL〜40.0mg/100mLに調整すると共に、抽出液の有機酸量に対するクエン酸量の比率(クエン酸/有機酸)を0.50〜0.95に調整することが好ましいことも分かった。

Claims (26)

  1. 紅茶液成分と果実成分とを含有する容器詰飲料であって、
    タンニン類量が10.0mg/100mL〜40.0mg/100mLであり、且つ、有機酸量に対するクエン酸量の比率(クエン酸/有機酸)が0.50〜0.95であることを特徴とする、容器詰飲料。
  2. クエン酸量に対するタンニン類量の比率(タンニン類/クエン酸)が、0.2〜40.0であることを特徴とする、請求項1に記載の容器詰飲料。
  3. クエン酸量が、0.8mg/100mL〜58.0mg/100mLであることを特徴とする、請求項1又は2に記載の容器詰飲料。
  4. 有機酸量が、0.60mg/100mL〜116.0mg/100mLであることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の容器詰飲料。
  5. カフェイン量に対するタンニン類量の比率(タンニン類/カフェイン)が、2.9〜11.5であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の容器詰飲料。
  6. クエン酸量に対するカフェイン量の比率(カフェイン/クエン酸)が、0.2〜0.9であることを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載の容器詰飲料。
  7. カフェイン量が、15.0mg/100mL以下であることを特徴とする、請求項1〜6のいずれかに記載の容器詰飲料。
  8. テアニン量に対するタンニン類量の比率(タンニン類/テアニン)が、12.0〜50.0であることを特徴とする、請求項1〜7のいずれかに記載の容器詰飲料。
  9. テアニン量が、0.4mg/100mL〜5.0mg/100mLであることを特徴とする、請求項1〜8のいずれかに記載の容器詰飲料。
  10. エピ体カテキン類量に対するタンニン類量の比率(タンニン類/エピ体カテキン類)が、8.6〜30.0であることを特徴とする、請求項1〜9のいずれかに記載の容器詰飲料。
  11. クエン酸量に対するエピ体カテキン類量の比率(エピ体カテキン類/クエン酸)が、0.08〜0.30であることを特徴とする、請求項1〜10のいずれかに記載の容器詰飲料。
  12. エピ体カテキン類量が、0.1mg/100mL〜8.0mg/100mLであることを特徴とする、請求項1〜11のいずれかに記載の容器詰飲料。
  13. 固形量が6.0%以下であることを特徴とする、請求項1〜12のいずれかに記載の容器詰飲料。
  14. pHが4.00以上7.00未満であることを特徴とする、請求項1〜13のいずれかに記載の容器詰飲料。
  15. 透過率(T%)が50以上90未満であることを特徴とする、請求項1〜14のいずれかに記載の容器詰飲料。
  16. 甘辛度が1.50〜2.50であることを特徴とする、請求項1〜15のいずれかに記載の容器詰飲料。
  17. 紅茶飲料又は果汁飲料であることを特徴とする、請求項1〜16のいずれかに記載の容器詰飲料。
  18. 非アルコール性飲料であることを特徴とする、請求項1〜17のいずれかに記載の容器詰飲料。
  19. 紅茶液成分と果実成分とを含有する容器詰飲料の製造方法であって、
    タンニン類量を10.0mg/100mL〜40.0mg/100mLに調整すると共に、クエン酸量の比率(クエン酸/有機酸)を0.50〜0.95に調整することを特徴とする、容器詰飲料の製造方法。
  20. さらに酸度を0.001%〜0.050%に調整することを特徴とする、請求項19に記載の容器詰飲料の製造方法。
  21. 紅茶葉と生果実とを合わせて一緒に抽出する工程を有することを特徴とする、請求項19又は20に記載の容器詰飲料の製造方法。
  22. 前記生果実が、加熱処理していない果実をスライスしたものであることを特徴とする、請求項21に記載の容器詰飲料の製造方法。
  23. さらに果汁を加えることを特徴とする、請求項19〜22のいずれかに記載の容器詰飲料の製造方法。
  24. 生のオレンジスライスを紅茶と一緒に抽出し、皮まで丸ごと搾ったオレンジ果汁を加えることを特徴とする、請求項19〜23のいずれかに記載の容器詰飲料の製造方法。
  25. 紅茶液成分と果実成分とを含有する容器詰飲料の呈味の向上方法であって、
    タンニン類量を10.0mg/100mL〜40.0mg/100mLに調整すると共に、クエン酸量の比率(クエン酸/有機酸)を0.50〜0.95に調整することを特徴とする、容器詰飲料の呈味の向上方法。
  26. 前記呈味が、トップの紅茶感、後味の余韻及び舌触りの強さからなる群から選ばれる1種又は2種以上であることを特徴とする、請求項25に記載の呈味の向上方法。
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