以下、本発明の一実施形態に係る多方向入力装置を図面に基づいて説明する。なお、以下の説明においては、図1に示すY1−Y2方向が多方向入力装置の前後方向(奥行方向)、図1に示すX1−X2方向が多方向入力装置の左右方向(幅方向)、図1に示すZ1−Z2方向が多方向入力装置の上下方向(高さ方向)である。
本発明の一実施形態に係る多方向入力装置は、図1から図19に示すように、ケース100と、第1連動部材である上アーム200と、第2連動部材である下アーム300と、操作部材である操作軸400と、作動部材500と、弾性部材である圧縮コイルバネ600と、第1スライダ700と、第2スライダ800と、プッシャ900と、第1検出部である第1可変抵抗器1000と、第2検出部である第2可変抵抗器1100と、第3検出部である押下スイッチ1200と、基板1300とを備えて構成されている。
ケース100は、図1から図3、図6から図9、図12から図19に示すように、絶縁性合成樹脂製で直方体状をなすケース本体であるボディ110と、絶縁性合成樹脂製で上方に向かって径が小さくなる上向き凸状のドーム形状をなし、頂部に操作軸400を挿通させる円形の開口121が設けられ、ボディ110の上面に載置される上カバー120と、板金製でボディ110の下面を覆う矩形状の底板131を有するフレーム130とを備え、上カバー120とフレーム130とがボディ110に対してそれぞれ位置決めされた状態で結合されて組み立てられている。
ボディ110は、図1、図6から図9、図13から図17、図19に示すように、操作軸400の下端部を回動可能に収容するための操作軸収容部111と、操作軸400の抜け止めも兼ねながら操作軸400の下端部を回動可能に支持するための受け部112と、作動部材500を介して操作軸400の軸回りでの回動を規制するためのガイド溝113と、第1スライダ700を前後方向に移動可能に収容するための第1スライダ収容部114と、第2スライダ800を左右方向に移動可能に収容するための第2スライダ収容部115と、押下スイッチ1200を収容するための押下スイッチ収容部116と、プッシャ900を上下方向に移動可能に収容するためのプッシャ収容部117と、上アーム200を前後方向に円弧状に移動させるための左右一対の第1ガイド部118a、118bと、下アーム300を左右方向に円弧状に移動させるための前後一対の第2ガイド部119a、119bとを備える。
操作軸収容部111は、図1、図6、図13から図14、図19に示すように、ボディ110の中央部を上下方向に貫通した円柱状の孔である。
受け部112は、図1、図4、図9、図13から図14、図19に示すように、下アーム300の下方に突出する操作軸400の下端部に設ける上方に向かって径が小さくなる上向き凸状の球台形部410の受け部であり、操作軸収容部111の上端開口縁から内側に張り出した状態で上方に向かって径が小さくなる上向き凹状の球台形に形成され、上向き凸状の球台形部410の側面部分の球帯411の曲率半径と同径の球帯形状の面で構成される受け面であって、上向き凸状の球台形部410の球帯411が圧縮コイルバネ600により下方から押し付けられる受け面112aを有し、操作軸400の抜け止めも兼ねながら、操作軸400を受け面112aの曲率中心を中心として回動可能に支持する。
ガイド溝113は、図1、図6に示すように、操作軸収容部111の周壁に上下方向に延びた状態で設けられた断面コ字形の溝である。ガイド溝113は、操作軸収容部111の周壁に周方向に等間隔で複数設けられている。ガイド溝113は、ボディ110の対角方向となる4方向に1つずつ設けられている。
第1スライダ収容部114は、図1、図6、図9、図13、図15、図19に示すように、ボディ110の操作軸収容部111とボディ110の左側面との間に設けられ、第1下移動路114aと、第1上移動路114bとを有している。第1下移動路114aは、ボディ110の操作軸収容部111とボディ110の左側面との間にあるボディ110の下面に設けられている。第1下移動路114aは、前後方向を長手方向とした矩形状の有底の穴であり、その穴の矩形状の平坦な底面、すなわち第1下移動路114aの平坦な天面の中央部に第1上移動路114bが設けられている。第1上移動路114bは、前後方向を長手方向とした矩形状の孔であって、ボディ110の上面に貫通して第1下移動路114aと上カバー120の内部とを連通接続している。
第2スライダ収容部115は、図1、図6、図9、図14、図16に示すように、ボディ110の操作軸収容部111とボディ110の後側面との間に設けられ、第2下移動路115aと、第2上移動路115bとを有している。第2下移動路115aは、ボディ110の操作軸収容部111とボディ110の後側面との間にあるボディ110の下面に設けられている。第2下移動路115aは、左右方向を長手方向とした矩形状の有底の穴であり、その穴の矩形状の平坦な底面、すなわち第2下移動路115aの平坦な天面の中央部に第2上移動路115bが設けられている。第2上移動路115bは、左右方向を長手方向とした矩形状の孔であって、ボディ110の上面に貫通して第2下移動路115aと上カバー120の内部とを連通接続している。
押下スイッチ収容部116は、図6、図14、図17に示すように、ボディ110の操作軸収容部111とボディ110の前側面との間にあるボディ110の下面に設けられている。押下スイッチ収容部116は、左右方向を長手方向とした矩形状の有底の浅い穴である。
プッシャ収容部117は、図6、図9、図14、図17に示すように、ボディ110の操作軸収容部111とボディ110の前側面との間に設けられている。プッシャ収容部117は、押下スイッチ収容部116である穴の矩形状の底面、すなわち押下スイッチ収容部116の天面に設けられている。プッシャ収容部117は、左右方向を長手方向とした矩形状の孔であって、ボディ110の上面に貫通して押下スイッチ収容部116と上カバー120の内部とを連通接続している。
左右第1ガイド部118a、118bは、図9、図13、図15、図19に示すように、ボディ110の上面の左右両端部から立ち上げられ、左右方向で対向する左右一対の第1ガイド板118c、118dの内面に設けられた上向き凸状の円弧状の段面であって、受け面112aの曲率中心を通過して左右方向に延びる水平な1本の軸線(以下、「X軸線」という。)上に同軸状に配置される円筒面に沿って設けられた上向き凸状の円弧状の段面からなる。左右第1ガイド部118a、118b及び左右第1ガイド板118c、118dはボディ110に一体形成されている。ボディ110の上面には、左第1ガイド板118cの内面に沿って第1上移動路114bが開口されている。
前後第2ガイド部119a、119bは、図9、図10、図14、図17に示すように、ボディ110の上面の前後両端部から立ち上げられ、前後方向で対向する前後一対の第2ガイド板119c、119dの内面に設けられた上向き凸状の円弧状の段面であって、受け面112aの曲率中心を通過して前後方向に延びる水平な1本の軸線(以下、「Y軸線」という。)上に同軸状に配置される円筒面に沿って設けられた上向き凸状の円弧状の段面からなる。後第2ガイド部119b及び前後第2ガイド板119c、119dはボディ110に一体形成されている。ボディ110の上面には、後第2ガイド板119dの内面に沿って第2上移動路115bが開口され、前第2ガイド板119cの内面に沿ってプッシャ収容部117が開口されている。前第2ガイド部119aはプッシャ収容部117から前第2ガイド板119cの内面に沿ってボディ110の上面に突出するプッシャ900の上部の端面、すなわち、プッシャ900の上端面からなる。
上カバー120は、図1から図3、図7、図13から図14、図19に示すように、ボディ110の上面に上カバー120を載置したとき、左右第1ガイド板118c、118dが嵌合する左右一対の第1切り欠き部121a、121bと、前後第2ガイド板119c、119dが嵌合する前後一対の第2切り欠き部122a、122bとを有している。
ケース100は、左右第1ガイド部118a、118bを介して左右第1ガイド板118c、118dと左右第1切り欠き部121a、121bとの間に上アーム200の左右端部を前後方向に円弧状に移動可能に挿入するためのケース100内に開口された左右一対の第1ガイド溝101a、101bを形成すると共に、前後第2ガイド部119a、119bを介して前後第2ガイド板119c、119dと前後第2切り欠き部122a、122bとの間に下アーム300の前後端部を左右方向に円弧状に移動可能に挿入するためのケース100内に開口された前後一対の第2ガイド溝102a、102bを形成している。
以上のように構成されたケース100の内部に、上アーム200と、下アーム300と、操作軸400の下部と、作動部材500と、圧縮コイルバネ600と、第1スライダ700と、第2スライダ800と、プッシャ900と、第1可変抵抗器1000と、第2可変抵抗器1100と、押下スイッチ1200と、基板1300とを収容すると共に、操作軸400の上部がケース100の内部から上カバー120の開口121を通してケース100の外部に突出されている。
基板1300は、図1、図10から図11、図13から図17、図19に示すように、矩形状のフレキシブルプリント基板(FPC)であり、ボディ110の下面と底板131との間に挟み込まれ、ボディ110に対して位置決めされた状態で配置されている。基板1300の中央部には底板131の中央部を操作軸収容部111に露出するための円形状の開口1310が設けられている。基板1300には外部接続用のテール部1320が設けられている。テール部1320は、基板1300の右側縁の中央部から右側に帯状に延出され、ケース100の右側に引き出されている。
上アーム200は、図1、図8、図13から図15、図19に示すように、絶縁性合成樹脂製で上向き凸のアーチ形(前後方向から見て円弧状)の部材である。上アーム200は、長孔210と、左右一対の脚部220a、220bと、左右一対のスライド部230a、230bと、係合凸部240とを有している。
長孔210は、操作軸400の直径と同じ幅を有し、上アーム200のアーチ形部分の長手方向(左右方向)に設けられている。上アーム200のアーチ形部分は、Y軸線上に同軸状に配置される円筒面に沿って設けられている。左右脚部220a、220bは、上アーム200のアーチ形部分の左右両端から下方に延びた部分である。左右スライド部230a、230bは、左右脚部220a、220bの下端から左右外側に突出し、左右方向から見て円弧状の突条部分である。左右スライド部230a、230bは、X軸線上に同軸状に配置される円筒面に沿って設けられている。係合凸部240は、左スライド部230aの下面の前後中央部から下方に突出した断面形状がΩ状の突起である。
上アーム200は、左右スライド部230a、230bを左右第1ガイド溝101a、101b内に挿入することにより、ケース100内の最上部にて左右方向に架設され、その状態で左右第1ガイド部118a、118bに沿って前後方向に円弧状に移動可能に支持されている。
下アーム300は、図1、図8、図13から図14、図16、図19に示すように、絶縁性合成樹脂製で上向き凸の弓形(左右方向から見て弓形)の部材である。下アーム300は、長孔310と、前後一対のスライド部320a、320bと、係合凸部330とを有している。
長孔310は、操作軸400の直径と同じ幅を有し、下アーム300の弓形部分の長手方向(前後方向)に設けられている。下アーム300の弓形部分の上面は、X軸線上に同軸状に配置される円筒面に沿って設けられており、下アーム300は、その弓形部分の上面であって、X軸線上に同軸状に配置される円筒面に沿って設けられる湾曲上面300aを有している。前後スライド部320a、320bは、下アーム300の弓形部分の前後両端から前後外側に突出し、前後方向から見て円弧状の突条部分である。前後スライド部320a、320bは、Y軸線上に同軸状に配置される円筒面に沿って設けられている。前スライド部320aは後スライド部320bよりも肉厚に形成されている。係合凸部330は、後スライド部320bの下面の左右中央部から下方に突出した断面形状がΩ状の突起である。
下アーム300は、前後スライド部320a、320bを前後第2ガイド溝102a、102b内に挿入することにより、ケース100内の上アーム200の直下にて上アーム200に対して直交した状態で前後方向に架設され、その状態で前後第2ガイド部119a、119bに沿って左右方向に円弧状に移動可能に支持されている。
下アーム300は、後スライド部320bを支点に前スライド部320aが下方に押下移動可能になっている。
以上のように上アーム200と下アーム300は、底板131を有するケース100内に直交する2方向に移動可能に支持され、それぞれが移動方向と直交する方向に延びる長孔210、310を有している。
操作軸400は、図1、図4、図7から図10、図12から図14、図18から図19に示すように、上下アーム200、300の長孔210、310の幅と同じ直径を有する絶縁性合成樹脂製の丸棒状の部材である。操作軸400の軸方向中間部を上下アーム200、300の長孔210、310に挿通させることにより、上アーム200の上方に突出する操作軸400の上端部を上カバー120の開口121を挿通してケース100の外部に突出すると共に、下アーム300の下方に突出する操作軸400の下端部をボディ110の受け部112の内径を挿通してボディ110の操作軸収容部111内に挿入した状態で、操作軸400はケース100に配置されている。
操作軸400は、操作軸400の抜け止めも兼ねながら操作軸400の下端部を回動可能に支持するための球台形部410と、操作軸400の下端部に作動部材500を操作軸400の軸回りの回動を規制した状態で操作軸400の軸方向に移動可能に支持すると共に、操作軸400と作動部材500との間に圧縮コイルバネ600を設けるための中空部である段付きの軸穴420と、操作軸400の押下移動時に下アーム300を押下移動させるための左右一対の係合部430a、430bと、操作軸400の上端部に例えば円盤状のキートップをネジ止めするための取り付け穴440と、キートップを回り止めするための二面カット部450とを有している。
球台形部410は、ケース100の操作軸収容部111内に配置される。球台形部410は、操作軸400の下端部に上方に向かって径が小さくなる上向き凸状の球台形状に形成されており、球台形部410の上面の半径が操作軸400の半径と等しくなり、球台形部410の側面部分の球帯411がケース100の受け部112の受け面112aに下方から嵌合可能である。
段付きの軸穴420は、操作軸400の軸芯部分に操作軸400と同軸上に設けられ、球台形部410の下端面(操作軸400の下端面)にて開口される有天の穴である。段付きの軸穴420は、下から上に向かって、断面四角形の軸穴421、軸穴421よりも小形(小径)な断面四角形で軸穴421よりも長い断面四角形の軸穴422、軸穴422と同径で軸穴422と略同じ長さで圧縮コイルバネ600が収容可能な断面円形の軸穴423と、軸穴423よりも小径で軸穴423よりも短い断面円形の軸穴424を有し、軸穴421と軸穴422との間と、軸穴422と軸穴423との間と、軸穴423と軸穴424との間に、それぞれ下向き段面425、426、427を設けている。
左右係合部430a、430bは、上アーム200の長孔210内にて操作軸400の軸方向中間部の外面から左側と右側に向かって突出した断面直角三角形の突起であって、その底辺部分で下アーム300の湾曲上面300aにおける長孔310の左右側縁部分に上方から僅かな隙間(クリアランス)を持って対向する係合面431a、431bを有している。各係合面431a、431bは、X軸線上に同軸状に配置される円筒面に沿って設けられており、下アーム300の湾曲上面300aに沿って湾曲し、操作軸400の回動時に下アーム300の湾曲上面300aに沿って移動可能であって、操作軸400の押下移動に伴って下アーム300を下動させる下向きの係合面である。
取り付け穴440は、操作軸400の軸芯部分に操作軸400と同軸上に設けられ、操作軸400の上端面にて開口される有底の穴である。二面カット部450は、操作軸400の上端部に設けられ、操作軸400の上端部を断面小判形で二面幅を有する軸部に形成している。
作動部材500は、図1、図5〜図6、図11、図13〜図14、図19に示すように、球台形部510と、段付きの軸部520と、突起530とを有している。
球台形部510は、作動部材500の下端部に設けられ、ケース100の操作軸収容部111内に露出された底板131の中央部に載置される。球台形部510は、下方に向かって径が小さくなる下向き凸状の球台形状に形成されており、操作軸400が、その軸方向がケース100の底板131に対して垂直となる図7から図10、図12から図14に示す中立状態から、ケース100の受け部112の受け面112aの曲率中心を中心として回動されたとき、すなわち中立状態から周囲の任意方向に傾倒操作されたとき、図19に示すようにケース100の底板131に対して球台形部510の側面部分の球帯511が当接すると共に、操作軸400が中立状態に復帰しているとき、図7から図10、図12から図14に示すようにケース100の底板131に対して球台形部510の平坦な下面512が当接するものである。
段付きの軸部520は、球台形部510の上面中央部に垂設され、操作軸400の軸穴420内に操作軸400の軸方向に移動可能に挿入配置されている。軸部520は、下から上に向かって、軸穴421内に軸方向に移動可能に挿入される断面四角形の角軸部521と、軸穴422内に軸方向に移動可能に挿入される断面四角形の角軸部522と、圧縮コイルバネ600の内径に挿入した状態で圧縮コイルバネ600と共に軸穴423内に挿入され、上端部が軸穴424内に軸方向に移動可能に挿入されるバネガイドである断面円形の丸軸部523とを有し、角軸部521と角軸部522との間と、角軸部522と丸軸部523との間に、それぞれ上向き段面524、525を設けている。
作動部材500は、軸部520の下端部に下方に向かって径が小さくなる下向き凸状の球台形部510を設け、軸部520を操作軸400の軸穴420内に操作軸400の軸方向に移動可能に挿入配置することにより、軸部520を介して下向き凸状の球台形部510を操作軸400の下端部に設ける上向き凸状の球台形部410の直下に操作軸400の軸方向に移動可能に支持している。突起530は、下向き凸状の球台形部510の上端部から径方向外側に90°間隔に突出する4つを有し、各突起530を各ガイド溝113内に上下移動可能に挿入することにより、作動部材500の操作軸400の軸回りでの回動を規制する。
圧縮コイルバネ600は、金属線材からなり、図1、図11、図13から図14、図19に示すように、作動部材500の軸部520の丸軸部523の外周に嵌めた状態で作動部材500の軸部520と共に操作軸400の軸穴420内に挿入されてその軸穴423内に収容されており、上下の巻き端部を、軸穴420の下向き段面427と軸部520の上向き段面525にそれぞれ当接させることにより、作動部材500の球台形部510の球帯511や下面512をケース100の底板131に上方から押し付けるように作動部材500を操作軸400の軸方向に沿って下方に付勢すると共に、操作軸400の球台形部410の球帯411をケース100の受け部112の受け面112aに下方から押し付けるように操作軸400をその軸方向に沿って上方に付勢している。
以上のように操作軸400は、図13から図14に示すように、上下アーム200、300の長孔210、310に挿通した状態で回動可能であって、圧縮コイルバネ600により作動部材500の球台形部510をケース100の底板131に上方から押し付けると共に、操作軸400の球台形部410の球帯411をケース100の受け部112の受け面112aに下方から押し付けることにより、ケース100の受け部112によって抜け止めされた状態で、作動部材500と共にケース100の受け部112の受け面112aの曲率中心を中心として回動可能、且つ、軸方向に押下移動可能に支持されている。
第1スライダ700は絶縁合成樹脂製である。第1スライダ700は、図1、図9から図10、図13、図15、図19に示すように、第1スライダ本体710と、第1係合片720と、第1係合溝730と、第1係合凸部740とを有している。第1スライダ本体710は、直方体状のブロックである。第1係合片720は、第1スライダ本体710の平坦な上面の中央部に立設されている。第1係合溝730は、第1係合片720の上端部に設けられている。第1係合凸部740は、第1スライダ本体710の平坦な下面の中央部から下方に突出した円柱である。
第1スライダ700は、第1スライダ本体710を第1下移動路114aに収容すると共に、第1係合片720を第1上移動路114bに挿通し、第1係合片720の上端部を上カバー120の内部に突出した状態で、第1スライダ収容部114に前後方向に移動可能に配置されている。また、上アーム200の係合凸部240が第1係合溝730に係合され、上アーム200が前後方向に円弧状に移動するとき、上アーム200の係合凸部240に第1係合片720が押圧されることによって、第1スライダ700が前後方向に移動可能となっている。
第2スライダ800は絶縁合成樹脂製である。第2スライダ800は、図1、図9から図10、図14、図16に示すように、第2スライダ本体810と、第2係合片820と、第2係合溝830と、第2係合凸部840とを有している。第2スライダ本体810は、直方体状のブロックである。第2係合片820は、第2スライダ本体810の平坦な上面の中央部に立設されている。第2係合溝830は、第2係合片820の上端部に設けられている。第2係合凸部840は、第2スライダ本体810の平坦な下面の中央部から下方に突出した円柱である。
第2スライダ800は、第2スライダ本体810を第2下移動路115aに収容すると共に、第2係合片820を第2上移動路115bに挿通し、第2係合片820の上端部を上カバー120の内部に突出した状態で、第2スライダ収容部115に左右方向に移動可能に配置されている。また、下アーム300の係合凸部330が第2係合溝830に係合され、下アーム300が左右方向に円弧状に移動するとき、下アーム300の係合凸部330に第2係合片820が押圧されることによって、第2スライダ800が左右方向に移動可能となっている。
第1可変抵抗器1000は、第1スライダ700の移動方向及び移動量を抵抗値の変化として検出することによって、上アーム200の移動方向及び移動量を検出可能である。第1可変抵抗器1000は、図1、図11、図13、図15、図19に示すように、第1接触子1010と、第1抵抗回路1020とを有している。第1抵抗回路1020は基板1300に形成されている。第1接触子1010は金属板バネ片である。第1接触子1010は、第1スライダ本体710の下面に第1係合凸部740を介して固定されている。第1接触子1010は、第1抵抗回路1020に接触し、第1抵抗回路1020を導通させている。第1接触子1010は、第1スライダ700の前後方向の移動に応じて第1抵抗回路1020上を摺動可能である。このように第1接触子1010が第1抵抗回路1020上を摺動することによって、第1可変抵抗器1000の抵抗値が変化する。
第2可変抵抗器1100は、第2スライダ800の移動方向及び移動量を抵抗値の変化として検出することによって、下アーム300の移動方向及び移動量を検出可能である。第2可変抵抗器1100は、図1、図11、図14、図16に示すように、第2接触子1110と、第2抵抗回路1120とを有している。第2抵抗回路1120は基板1300に形成されている。第2接触子1110は金属板バネ片である。第2接触子1110は、第2スライダ本体810の下面に第2係合凸部840を介して固底されている。第2接触子1110は、第2抵抗回路1120に接触し、第2抵抗回路1120を導通させている。第2接触子1110は、第2スライダ800の左右方向の移動に応じて第2抵抗回路1120上を摺動可能である。このように第2接触子1110が第2抵抗回路1120上を摺動することによって、第2可変抵抗器1100の抵抗値が変化する。
押下スイッチ1200は、操作軸400の押下移動を検出する。押下スイッチ1200は、図1、図11、図14、図17に示すように、メタルドームシート1210と、スイッチ回路1220とを有している。メタルドームシート1210は、カバーシート1211と、メタルドーム1212とを有している。カバーシート1211は片面粘着シートである。メタルドーム1212は上向き凸状のドーム状金属板からなる可動接点である。カバーシート1211の下面にメタルドーム1212の上面が貼り付けされてメタルドームシート1210が形成されている。スイッチ回路1220は、中央固定接点1221と、外側固定接点1222とを有している。中央固定接点1221は、円形をなし、押下スイッチ収容部116の下面となる基板1300の上面に形成されている。中央固定接点1221は、プッシャ収容部117の直下に配置されている。外側固定接点1222は、中央固定接点1221を間隔を設けて取り囲むように馬蹄状をなし、基板1300の上面に形成されている。
押下スイッチ1200は、押下スイッチ収容部116の下面となる基板1300の上面にメタルドームシート1210が貼り付けされ、メタルドーム1212が中央固定接点1221を跨いだ状態で外側固定接点1222上に固定され、メタルドーム1212の左右方向の両端部が外側固定接点1222と接触し、メタルドーム1212の頂部がその直下の中央固定接点1221と隙間を設けて離反対向した状態となっている。
プッシャ900は、操作軸400の押下移動を下アーム300と共にメタルドーム1212の頂部に伝達するための駆動部材である。プッシャ900は、図1、図9から図10、図14、図17に示すように、絶縁性合成樹脂製で矩形板状に形成されており、下アーム300の前スライド部320aを摺動可能に載置する上端面910と、押下スイッチ1200を押下する押圧部920とを有している。プッシャ900は、ケース100内に上下方向に移動可能に支持されている。プッシャ900は、プッシャ収容部117に上下方向に移動可能に嵌合保持され、プッシャ900の上端部を前第2ガイド板119cの内面側に突出してプッシャ900の上端面910を前第2切り欠き部122aに対向させる一方、プッシャ900の下端面を押下スイッチ収容部116内に露出してメタルドームシート1210に対向させている。プッシャ900の上端面910は、Y軸線上に同軸状に配置される円筒面に沿って設けられて上向き凸状の円弧状に湾曲しており、前第2ガイド部119aを構成している。押圧部920は、プッシャ900の下端面の中央部に設けられ、下方に向かって径が小さくなる円錐台形のボスであり、下端面がメタルドーム1212の頂部に対応するメタルドームシート1210の頂部に当接されている。プッシャ900は、下アーム300の前スライド部320aと押下スイッチ1200との間に介在している。
以上のように構成された本発明の一実施形態に係る多方向入力装置の動作について説明する。
先ず、操作軸400の上端部に操作力が印加されていないときは、図13、図14に示すように、圧縮コイルバネ600の付勢力(弾性力)により、作動部材500の下向き凸状の球台形部510の平坦な下面512が、ケース100の底板131に押し付けられて、その底板131に対して水平状態となり、操作軸400は、その軸方向がケース100の底板131に対して垂直になる中立状態に保持される。
この中立状態の操作軸400の上端部が、上アーム200の長孔210に沿って右方向に押圧されると、操作軸400は、図18、図19に示すように、ケース100の受け部112によって抜け止めされた状態で、作動部材500と共にケース100の受け部112の受け面112aの曲率中心を中心として回動し、上アーム200の長孔210に沿って右方向に傾倒する。
すると、操作軸400によって下アーム300が長孔310の長手方向と直交する右方向に押圧され、下アーム300が前後スライド部320a、320bを前後第2ガイド部119a、119b上で摺動させながら前後第2ガイド部119a、119bに沿って右方向に円弧状に移動(回動)する。このとき、操作軸400が上アーム200の長孔210内を左方向に移動するので、上アーム200及び第1スライダ700はそれぞれの中立位置(初期位置)に位置保持される。
一方、下アーム300の移動に伴って、下アーム300の係合凸部330によって第2スライダ800の第2係合片820が右方向に押圧され、第2スライダ800が第2スライダ収容部115にガイドされて右方向に移動(スライド)する。
すると、第2スライダ800の右方向への移動に伴って、第2可変抵抗器1100の第2接触子1110が第2抵抗回路1120上を右方向に摺動することによって、第2可変抵抗器1100の抵抗値が変化する。これにより、第2可変抵抗器1100が、第2スライダ800の移動方向及び移動量を下アーム300の移動方向及び移動量として検出する。これが基板1300のテール部1320からコネクタを介して電子機器の制御部に入力され、その制御部により操作軸400の回動方向(傾倒方向)及び回動量(傾倒量)として検出される。
操作軸400の右方向への押圧が解除されると、圧縮コイルバネ600の付勢力により、作動部材500の下向き凸状の球台形部510の平坦な下面512を水平状態に戻しながら、操作軸400が作動部材500と共に中立状態に復帰する。
操作軸400が中立状態に復帰すると、それに伴って、下アーム300が中立位置に復帰移動し、下アーム300が中立位置に復帰移動すると、それに伴って、第2スライダ800が中立位置に復帰移動する。
また、中立状態の操作軸400の上端部が、下アーム300の長孔310に沿って前方向に押圧されると、操作軸400は、ケース100の受け部112によって抜け止めされた状態で、作動部材500と共にケース100の受け部112の受け面112aの曲率中心を中心として回動し、下アーム300の長孔310に沿って前方向に傾倒する。
すると、操作軸400によって上アーム200が長孔210の長手方向と直交する前方向に押圧され、上アーム200が左右スライド部230a、230bを左右第1ガイド部118a、118b上で摺動させながら左右第1ガイド部118a、118bに沿って前方向に円弧状に移動(回動)する。このとき、操作軸400が下アーム300の長孔310内を前方向に移動するので、下アーム300及び第2スライダ800はそれぞれの中立位置(初期位置)に位置保持される。
一方、上アーム200の移動に伴って、上アーム200の係合凸部240によって第1スライダ700の第1係合片720が前方向に押圧され、第1スライダ700が第1スライダ収容部114にガイドされて前方向に移動(スライド)する。
すると、第1スライダ700の前方向への移動に伴って、第1可変抵抗器1000の第1接触子1010が第1抵抗回路1020上を前方向に摺動することによって、第1可変抵抗器1000の抵抗値が変化する。これにより、第1可変抵抗器1000が、第1スライダ700の移動方向及び移動量を上アーム200の移動方向及び移動量として検出する。これが基板1300のテール部1320からコネクタを介して電子機器の制御部に入力され、その制御部により操作軸400の回動方向(傾倒方向)及び回動量(傾倒量)として検出される。
操作軸400の前方向への押圧が解除されると、圧縮コイルバネ600の付勢力により、作動部材500の下向き凸状の球台形部510の平坦な下面512を水平状態に戻しながら、操作軸400が作動部材500と共に中立状態に復帰する。
操作軸400が中立状態に復帰すると、それに伴って、上アーム200が中立位置に復帰移動し、上アーム200が中立位置に復帰移動すると、それに伴って、第1スライダ700が中立位置に復帰移動する。
さらに、操作軸400は、ケース100の受け部112によって抜け止めされた状態で、操作軸400の周囲360°の全方位に、作動部材500と共にケース100の受け部112の受け面112aの曲率中心を中心として回動(傾倒)できると共に、傾倒した状態で、上カバー120の開口121に沿った方向に傾倒位置を変えて回動させることができる。
この際、作動部材500の各突起530の端部がケース100のガイド溝113内で上下方向に移動すると共に、作動部材500の作動部材500の下向き凸状の球台形部510の球帯511がケース100の底板131にスリップすることなく転がり接触する。
また、操作軸400の上端部が下方向に押下されたときには、圧縮コイルバネ600に抗して作動部材500の軸部520を操作軸400の軸穴420内に押し込みながら、操作軸400の球台形部410の球帯411をケース100の受け部112の受け面112aから引き離すように操作軸400が押下移動し、操作軸400の左右係合部430a、430bの左右係合面431a、431bによって下アーム300の湾曲上面300aにおける長孔310の左右側縁部分を下方向に押圧する。
それにより、ケース100の後第2ガイド部119bによって下方から支えられている下アーム300の後端側の後スライド部320bを支点にして、プッシャ900の上端面からなる前第2ガイド部119aに摺動可能に載置されている下アーム300の前端側の前スライド部320aが押下移動する。それに伴いプッシャ900が下方向に移動する。
すると、プッシャ900の下方向への移動に伴って、押下スイッチ1200のメタルドーム1212の頂部がプッシャ900の押圧部920によって押下され、メタルドーム1212の頂部がクリック感を伴って下向き凸状に弾性変形し、押下スイッチ1200のスイッチ回路1220の中央固定接点1221に接触し、中央固定接点1221と外側固定接点1222との間がメタルドーム1212を介して電気的に導通接続したスイッチオン状態となり、操作軸400の押下移動が検出される。
この際、下アーム300は「てこ」として機能し、支点(下アーム300の後スライド部320b)を力点(操作軸400の左右係合部430a、430b)と作用点(下アーム300の前スライド部320a)の外側で、かつ力点に近い場所に置くことにより、力点に加えた小さな運動は、作用点において大きな運動となると共に、加えた力よりも小さい力が伝えられる。これにより、押下スイッチ1200を動作させる操作軸400の押下移動量を少なくすることができると共に、良好なクリック感触を得ることができる。
操作軸400の押下が解除されると、圧縮コイルバネ600の付勢力により、作動部材500の軸部520を操作軸400の軸穴420から引き出しながら、操作軸400の球台形部410の球帯411をケース100の受け部112の受け面112aに押し付けるように操作軸400が押し上げ移動して、押下移動前の状態に復帰する。
一方、メタルドーム1212の頂部が元の上向き凸状に復帰する。それに伴ってメタルドーム1212の頂部がスイッチ回路1220の中央固定接点1221から離れ、中央固定接点1221と外側固定接点1222との間が電気的に切断されたスイッチオフ状態となる。メタルドーム1212の付勢力によってプッシャ900が上方向に移動して元の位置に復帰し、それに伴って下アーム300が元に水平状態に復帰する。
以上のように本発明の一実施形態に係る多方向入力装置は、ケース100と、ケース100の内部から外部に上向きに突出して周囲の任意の方向に傾倒操作可能な操作部材である操作軸400と、操作軸400の傾倒操作に応じて移動すると共に互いに直交する状態に延在してケース100内に保持された第1連動部材である上アーム200及び第2連動部材である下アーム300と、上アーム200及び下アーム300の移動を検出する第1検出部である第1可変抵抗器1000及び第2検出部である第2可変抵抗器1100とを備える。また、図2、図3、図7、図12、図13、図14、図18、図19に示すように、上アーム200及び下アーム300を下方に付勢する第1ばね部123及び第2ばね部124を有する。
また、第1ばね部123及び第2ばね部124は、ケース100に形成されている。
また、ケース100は、上アーム200及び下アーム300を下方から支える第1ガイド部118a、118b及び第2ガイド部119a、119bを備える樹脂製のケース本体であるボディ110と、ボディ110に固定される樹脂製の上カバー120とを有し、上カバー120に第1ばね部123及び第2ばね部124が形成されている。
また、第1検出部は、上アーム200の一端部に係合連結されて上アーム200と連動可能にケース100内に保持された第1スライダ700の移動方向及び移動量を検出する第1可変抵抗器1000であり、第2検出部は、下アーム300の一端部に係合連結されて下アーム300と連動可能にケース100内に保持された第2スライダ800の移動方向及び移動量を検出する第2可変抵抗器1100であり、第1ばね部123は、第1スライダ700に係合連結された上アーム200の一端部を下方に付勢し、第2ばね部124は、第2スライダ800に係合連結された下アーム300の一端部を下方に付勢している。
より具体的には、図2、図3、図7、図12、図13、図14、図17、図18、図19、図20から図22に示すように、第1スライダ700に係合凸部240及び第1係合溝730を介して係合連結された上アーム200の左端部である左スライド部230aの上面には上カバー120の左第1切り欠き部121aの端面が隙間(クリアランス)を設けて対向する一方、第1スライダ700に係合連結されない上アーム200の右端部である右スライド部230bの上面には上カバー120の右第1切り欠き部121bの端面が隙間(クリアランス)を設けて対向しており、第1ばね部123は、上カバー120の左第1切り欠き部121aより所定寸法内側(右側)に入った位置に前後方向に延在して左第1切り欠き部121aの幅と略同じ長さを有する切り込み123aを設けることにより、前後方向に延在して前後両端部が上カバー120に繋がり、前後中央部が上下方向に撓み変形可能な両端固定梁構造を有し、上アーム200の左スライド部230aの上面に隙間(クリアランス)を設けて対向する状態で上カバー120に一体形成されている。
第1ばね部123は、上アーム200の左スライド部230aの上面を下方に押圧する押圧部123bを有している。押圧部123bは、第1ばね部123の下面の前後中央部に設けられ、下方に向かって突出している。
また、第2スライダ800に係合凸部330及び第2係合溝830を介して係合連結された下アーム300の後端部である後スライド部320bの上面には上カバー120の後第2切り欠き部122bの端面が隙間(クリアランス)を設けて対向する一方、第2スライダ800に係合連結されない下アーム300の前端部である前スライド部320aの上面にはカバー120の前第2切り欠き部122aの端面が隙間(クリアランス)を設けて対向しており、第2ばね部124は、上カバー120の後第2切り欠き部122bより所定寸法内側(前側)に入った位置に左右方向に延在して後第2切り欠き部122bの幅と略同じ長さを有する切り込み124aを設けることにより、左右方向に延在して左右両端部が上カバー120に繋がり、左右中央部が上下方向に撓み変形可能な両端固定梁構造を有し、下アーム300の後スライド部320bの上面に隙間(クリアランス)を設けて対向する状態で上カバー120に一体形成されている。
第2ばね部124は、下アーム300の後スライド部320bの上面を下方に押圧する押圧部124bを有している。押圧部124bは、第2ばね部124の下面の左右中央部に設けられ、下方に向かって突出している。
以上のように構成された第1ばね部123は、押圧部123bを介して上アーム200の左スライド部230aを下方に押圧し、操作軸400によって上アーム200が長孔210の長手方向と直交する前後方向に押圧されたとき、上アーム200の左スライド部230aを左第1ガイド部118aに押し付けた状態でその上を摺動させながら左右第1ガイド部118a、118bに沿って前後方向に円弧状に移動(回動)させ、上アーム200の上下方向のガタつきを抑え、第2ばね部124は、押圧部124bを介して下アーム300の後スライド部320bを下方に押圧し、操作軸400によって下アーム300が長孔310の長手方向と直交する左右方向に押圧されたとき、下アーム300の後スライド部320bを後第2ガイド部119bに押し付けた状態でその上を摺動させながら前後第2ガイド部119a、119bに沿って左右方向に円弧状に移動(回動)させ、下アーム300の上下方向のガタつきを抑える。
以上のように本発明の一実施形態に係る多方向入力装置は、ケース100と、ケース100の内部から外部に上向きに突出して周囲の任意の方向に傾倒操作可能な操作部材である操作軸400と、操作軸400の傾倒操作に応じて移動すると共に互いに直交する状態に延在してケース100内に保持された第1連動部材である上アーム200及び第2連動部材である下アーム300と、上アーム200及び下アーム300の移動を検出する第1検出部である第1可変抵抗器1000及び第2検出部である第2可変抵抗器1100とを備える多方向入力装置であって、上アーム200及び下アーム300を下方に付勢する第1ばね部123及び第2ばね部124を有することで、第1ばね部123及び第2ばね部124が上アーム200及び下アーム300を下方に付勢し、上アーム200及び下アーム300の上下方向のガタつきを抑えることができるため、操作軸400への追随性が良くなり、出力のヒステリシスを小さくできる。これによって、多方向入力装置の出力の精度を良くする。
また、第1ばね部123及び第2ばね部124は、ケース100に形成されていることで、第1ばね部123及び第2ばね部124による多方向入力装置の部品点数の増加がなく、コストアップ及びサイズアップを防止できる。
また、ケース100は、上アーム200及び下アーム300を下方から支える第1ガイド部118a、118b及び第2ガイド部119a、119bを備える樹脂製のケース本体であるボディ110と、ボディ110に固定される樹脂製の上カバー120とを有し、上カバー120に第1ばね部123及び第2ばね部124が形成されていることから、第1ばね部123及び第2ばね部124によって上アーム200及び下アーム300を第1ガイド部118a、118b及び第2ガイド部119a、119bに押し付け、上アーム200及び下アーム300の上下方向のガタつきを抑えるため、上アーム200及び下アーム300の操作軸400への追随性がさらに良くなり、出力のヒステリシスをさらに小さくできる。これによって、多方向入力装置の出力の精度をさらに良くする。
また、第1検出部は、上アーム200の一端部に係合連結されて上アーム200と連動可能にケース100内に保持された第1スライダ700の移動方向及び移動量を検出する第1可変抵抗器1000であり、第2検出部は、下アーム300の一端部に係合連結されて下アーム300と連動可能にケース100内に保持された第2スライダ800の移動方向及び移動量を検出する第2可変抵抗器1100であり、第1ばね部123は、第1スライダ700に係合連結された上アーム200の一端部を下方に付勢し、第2ばね部124は、第2スライダ800に係合連結された下アーム300の一端部を下方に付勢していることから、第1ばね部123は、第1スライダ700に係合連結された上アーム200の一端部を下方に付勢し、第2ばね部124は、第2スライダ800に係合連結された下アーム300の一端部を下方に付勢しているため、第1ばね部123及び第2ばね部124を効果的に利用して第1可変抵抗器1000及び第2可変抵抗器1100のそれぞれの出力のヒステリシスを小さくできる。
また、以上のように本発明の一実施形態に係る多方向入力装置は、操作軸400の押下操作に応じて押下移動可能にケース100内に保持された駆動部材であるプッシャ900と、プッシャ900の押下移動に伴って押下される押下スイッチ1200を備えることで、上アーム200の直下で上アーム200に対して直交する状態に延在する下アーム300でプッシャ900が押下される場合、第2ばね部124が下アーム300の上下方向のガタつきを抑えている分、プッシャ900の操作軸400への追随性を良くする。
また、以上のように本発明の一実施形態に係る多方向入力装置は、操作軸400とともに傾倒する樹脂製の作動部材500と、操作軸400と作動部材500との間に設けられて作動部材500をケース100の底面側に付勢する弾性部材である圧縮コイルバネ600とを備え、作動部材500は、下方に向かって径が小さくなる下向き凸状の球台形部510と、球台形部510に垂設された軸部520と、下部が球台形部510と軸部520とを貫通した状態で上部が軸部520から上方に向けて突出する金属製の芯部材540とを有し、操作軸400は、作動部材500の軸部520及び芯部材540の上部を軸方向に移動可能に挿入する中空部である段付きの軸穴420を有する。作動部材500が金属製の芯部材540を有することで、作動部材500の強度が向上し、操作軸400を傾倒操作した際、作動部材500の操作軸400の軸穴420に挿入されている部分が変形するのを防止し、操作軸400の直立精度や復帰精度を向上できる。
より具体的には、図1、図5、図11、図13、図14、図19に示すように、芯部材540は、作動部材500の下端(球台形部510の下面)から作動部材500の上端(丸軸部523の端面)までの距離に相当する長さを有すると共に、丸軸部523の直径と同じ直径を有する丸棒状の金属ロッドからなり、下部が球台形部510の下面から角軸部522の上端面にわたってそれらの内部を挿通した状態で、上部が角軸部522の上端面から上方に向けて突出して金属製の丸軸部523を形成している。作動部材500は、丸軸部523のみが未成形で、球台形部510の下面から角軸部522の上端面に貫通する芯部材圧入孔を有する作動部材500の半製品を樹脂材料を成形して形成した後、芯部材540を作動部材500の半製品の芯部材圧入孔に圧入することにより、作動部材500の完成品を製造しても良いし、樹脂と金属(芯部材5 40)の複合製品である作動部材500をインサート成形で製造しても良い。芯部材540は、金属棒材規格品の長さカットで得られるため、経済性に優れる。また、多方向入力装置が操作軸400側を下方にして自由落下された際、全ての衝撃が操作軸400に加わるが、作動部材500の芯部材540が支柱の役割をすることで、操作軸400への負荷を緩和することができ、多方向入力装置の耐衝撃性が向上する。