JP2021050289A - 皮膚常在細菌lps及びその配合物 - Google Patents

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Abstract

【課題】食品及び化粧品などに機能的特長を与えるLPSとして、皮膚常在グラム陰性菌のLPSを得ること。【解決手段】本発明の皮膚常在細菌LPSは、健常者皮膚に常在するグラム陰性菌から得られることを特徴とする。【選択図】図3

Description

本発明は、皮膚常在細菌LPS及びその配合物に関する。
リポ多糖(LPS)はグラム陰性菌の細胞壁の外膜成分のひとつである。最初はコレラ菌から発見され、強い炎症を誘導するエンドトキシンとして知られてきた(非特許文献1)。しかし近年、LPSは、環境中にも普遍的に存在し、生物全般、特に動物は知らずに環境中からLPSを経口及び経皮的に自然摂取していたこと、LPSは免疫を統御して免疫の賦活や鎮静化などの幅広い機能を果たして来たことが明らかになりつつある。さらにこのようなLPSの機能故にLPSは積極的に経口又は経皮的に摂取することによって種々の疾患の予防改善及び健康維持効果があることが明らかとなった(非特許文献2)。そこで現在、小麦から単離されたパントエア・アグロメランスのLPS(特許文献1)、稲から単離されたエンテロバクター・アスブリエのLPS(特許文献2)、柿から単離されたアセトバクター・オキシダンスのLPS(特許文献3)、林檎から単離されたパントエア・バガンスのLPS(特許文献4)が産業化され健康食品、化粧品、ペットサプリ、日用品雑貨、飼料等に使われている。
ところで、LPSはリピドAと呼ばれる脂質に糖鎖(コア多糖、O抗原多糖等)が結合した基本構造を持つ。LPSの生物活性は、細胞の膜表面にあるLPS受容体であるトル様受容体−4(TLR−4)にリピドA部分が結合することで起こる。TLR−4とLPSの結合の度合いはLPSを構成するリピドAや糖鎖の構造により異なり、そのためLPSの構造の違いは生物活性に影響を与える。たとえば腸内細菌である大腸菌(Escherichia coli)とバクテロイデス菌(Nacetroides dorei)のLPSでは、リピドA部分において、グルコサミン分子に結合するリン酸基と脂肪酸の数が異なっているが、両LPSでマクロファージを刺激した際のIL−6やTNF−αなどサイトカイン誘導能を調べると、バクテロイデス菌LPSは大腸菌LPSの100分の1であることがわかっている。(非特許文献3)。また、歯周病菌(Porphyromonas gingivalis)のLPSも、大腸菌LPSと比較して、リピドA部分においてグルコサミンに結合するリン酸基と脂肪酸の数が少なく、バクテロイデスLPSと同様に、マクロファージからのサイトカイン誘導がほとんど見られないことがわかっている(非特許文献4)。このように起源が異なり、構造が異なるLPSは異なる生物活性を持つ。
したがって異なったグラム陰性菌から構造の異なるLPSを得ることができれば、それぞれのLPSの特徴を反映させた食品や化粧品等の開発に有益である。特に、腸内常在菌又は皮膚常在菌で病原性がないことがわかっているグラム陰性菌のLPSは抽出工程において危険性が低く、かつ当該LPSが宿主の健康維持に寄与している可能性があり探索の価値があると考えられる。
常在菌に関して言えば、近年、腸内細菌の研究が目覚ましく、古くから有用とされている乳酸菌、ビフィズス菌などのグラム陽性細菌のほか、グラム陰性菌の作用も注目されてきた。例えば、幼児の自己免疫疾患の発症率は、バクテロイデス菌と大腸菌の相対比率と相関があり、バクテロイデス菌優勢の場合に発症率が高いことが報告された。この報告では、LPSの構造上免疫原性の低いバクテロイデス菌LPSが、免疫系の成熟過程に負の影響を与えていることが推察されている(非特許文献5)。
一方、皮膚常在細菌については、保湿作用に関係する皮膚ブドウ球菌(Staphylococcus epidermidis)、増えすぎるとニキビの原因になるアクネ桿菌(Propionibacterium acnes)、病原性細菌である黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)などのグラム陽性細菌が良く知られている(非特許文献6)。実際、皮膚には、グラム陽性細菌が多いが、グラム陰性菌も存在する(非特許文献7)。グラム陰性菌については、近年、健常人皮膚から単離したロゼオモナス菌(Roseomonas mucosa)をアトピー性皮膚炎の患者の皮膚に移植することにより、患者のアトピー性皮膚炎が改善されることが報告された(非特許文献8)。腸内グラム陰性菌の例でも見られるように、グラム陰性菌のLPSは免疫の統御に関与しているので、皮膚常在グラム陰性菌のLPSが、アトピー性皮膚炎等のアレルギー疾患を含む皮膚疾患の改善に寄与する可能性や、皮膚を健常に保つ機能を持つ可能性がある。しかし、これまで、皮膚常在菌のLPSについて、疾患改善作用等を調べたり、商業上の有用性を検討することは行われてこなかった。
特許第4026722号公報 特許第5449834号公報 特許第5603537号公報 特開2018−199643号公報
INADA, K、"エンドトキシンとは?"、[online]、[2019年7月30日検索]、インターネット〈URL:http://www.asahi-net.or.jp/~CP6K-IND/whatendotoxin.html#label1〉 Kohchi, C、他5名、"Applications of lipopolysaccharide derived from Pantoea agglomerans (IP-PA1) for health care based on macrophage network theory"、Journal of Bioscience and Bioengineering、102(6)、p.485-496(2006) Hennezel, E、他3名、"Total Lipopolysaccharide from the Human Gut Microbiome Sile-ces Toll Like Receptor Signaling"、AMERICAN SOCIETY FOR MICROBIOLOGY、Volume 2 Issue 6 e00046-17 (2007) Burns E、他3名、" TLR2 is required for the innate response to Porphyromonas gingivalis: activation leads to bacterial persistence and TLR2 deficiency attenuates induced alveolar bone resorption"、J Immunol、177: 8296-8300 (2006) Vatanen T、他24名、"Variation in Microbiome LPS Immunogenicity Contributes to Autoimmunity in Humans", Cell, 165: 842-853 (2016) 吉田理香、"皮膚の常在菌について"、[online]、[2019年7月30日検索]、インターネット〈URL:http://www.thcu.ac.jp/research/column/detail.html?id=110〉 Grice, EA、他12名、"Topographical and Temporal diversity of the Human Skin Microbiome", Science, 324: 1190-1192 (2009) Myles, IA、他13名、"First-in-human topical microbiome transplantation with Roseomonas mucosa for atopic dermatitis"、JCI Insight、2018;3(9):e120608 Han, XY、他6名、"Bacteriologic Characterization of 36 Strains of Roseomonas Species and Proposal of Roseomonas mucosa sp nov and Roseomonas gilardii subsp rosea subsp nov", Am J Clin Pathol, 120:256-264 (2003)
本発明は、食品及び化粧品などに機能的特長を与えるLPSとして、皮膚常在グラム陰性菌のLPSを得ることを目的とする。
本発明の皮膚常在細菌LPSは、健常者皮膚に常在するグラム陰性菌から得られることを特徴とする。
前記グラム陰性菌は、ロゼオモナス属菌であることが望ましい。
前記ロゼオモナス属菌は、ロゼオモナス・ムコザであることがさらに望ましい。
本発明のエキスは、前記皮膚常在細菌LPSを含むことを特徴とする。
本発明のエキス末は、前記皮膚常在細菌LPSを含むことを特徴とする。
本発明のLPS配合物は、前記皮膚常在細菌LPS、エキス又はエキス末が配合されている医薬品、動物用医薬品、動物用食品、動物用スキンケア製品、動物用雑貨、医薬部外品、化粧品、食品、機能性食品、飼料、日用品雑貨、植物用薬品、植物用肥料又は浴用剤であることを特徴とする。
健常人皮膚から、グラム陰性菌をスクリーニングし単離する。単離されたグラム陰性菌のLPSは、当該細菌を水等に懸濁し凍結融解や加熱処理を行うことにより遊離させることができるが、これらの方法に限定されるわけではない。遊離LPSを含む溶液は、不純物を除去するか、そのまま凍結乾燥したりスプレードライすることで粉末化すれば保存性が高まる。より純度の高いLPSを得る場合には、菌を有機溶媒で溶菌させた後LPSを水層に抽出し、さらにタンパク質分解酵素や核酸分解酵素を作用させることで取得できる。
本発明によれば、皮膚常在グラム陰性菌のLPSが得られるので、これを配合した食品、化粧品、飼料及び医薬品など、健康に寄与するLPS配合商品を提供することが可能となる。
各細菌LPSの分子量を表わすSDS電気泳動写真である。 各細菌LPSのNO産生量を表わす図である。 加熱処理前後のリムラス活性を表わす図である。
皮膚からのグラム陰性菌の単離
8名の健常人の皮膚を生理食塩水で湿らせた綿棒でこすり、この綿棒を2mlのR2A培地(300μg/mlのバンコマイシン、5μg/mlのアンホテリシンBを含む)に浸して撹拌後、32℃で2日間培養した。この操作によりグラム陽性菌と真菌の増殖を抑え、グラム陰性菌を選択的に増殖させた。
2日間培養後、培養液から100μLを分取して寒天培地に塗布した。菌溶液を塗布した寒天培地を、37℃で1日培養した。
寒天培地に出現したコロニー7個のグラム染色を行った。その結果、全てグラム陰性菌であったため、MALDI細菌同定試験にて菌の同定を行った。同定の結果、7個中6個がロゼオモナス菌と同定された。そこで皮膚常在グラム陰性菌としてはロゼオモナス菌が優勢であると判断し、ロゼオモナス菌6種をルリアブロス(LB)液体培地に植菌し、37℃で培養を行い増殖性の高いものから4菌株を以後の試験に供した。
ロゼオモナスLPSの熱水抽出
実施例1で選択した増殖性の高かった4菌株についてLPSの抽出を試みた。4菌株のコロニーを滅菌済みLB培地100mLの入った培養用フラスコに入れ、37℃にて1日振盪培養した。培養後、遠心チューブに培養液を移し、3500回転/分(rpm)で遠心分離を行い、ロゼオモナス菌体を回収した。湿菌体重量100mgに対し1mlの蒸留水を加え懸濁し、90℃で20分間、オートクレーブで加熱処理を行った。加熱後、ボルテックスミキサーで攪拌し、37℃で10分間超音波処理を行った。その後、3500rpmで遠心分離を行い、上清のリムラス活性を測定した。
リムラス活性の測定は、リムルスES−2シングルテストワコー(和光純薬工業株式会社)を用い、添付の説明資料に従って、トキシノメーターを用いた、比濁時間分析を行った。トキシノメーターでの測定は、LAL試薬のLPSによるゲル化機構を利用し、ゲル化に伴って生じる濁度を透過光量比として、前もって設定した閾値に達するまでの時間をゲル化時間(Tg)とし、TgとLPS濃度の関係から濃度を算出する。測定には、エンドトキシン標準品として、キットに添付されているCSE(E.coli UKT-B)を用いた。
結果を表1に示した。上記の熱水抽出法にて、湿菌体重量1gあたり約2mgから4mgのLPSが抽出されることがわかった。
Figure 2021050289
ロゼオモナス菌LPSの簡易精製
実施例1で選択した4菌株をLB液体培地に植菌してから、37℃で培養した。培養後、2.0mlの培養液を遠心分離し、沈殿を回収。沈殿物にTAE(0.04M:Tris・acetate、0.001M:EDTA)とアルカリ溶液を添加し、60℃で70分処理した。熱処理後、フェノールクロロホルム溶液を加えてから、再度60℃で15分処理し、遠心分離してから、上清を回収し、プロテイナーゼKを加えて60℃で60分処理した。その後、水、酢酸ナトリウム、エタノールを加え、遠心分離後、沈殿を回収し、水を加えてLPS簡易精製サンプルを調製した。抽出及び簡易精製したLPSを電気泳動で確認した。
図1は、SDS電気泳動後のゲルを銀染色した後の写真である。レーンMは分子量マーカー、レーン(1)、(2)は精製した小麦から単離したパントエア・アグロメランスLPS、レーン(3)は精製した稲から単離したエンテロバクター・アスブリエLPS、レーン(4)は精製した林檎から単離したパントエア・バガンスLPS、レーン(5)から(8)は、ロゼオモナス菌から簡易精製したLPSを電気泳動している。SDS電気泳動の結果から、ロゼオモナス菌のLPSは、高分子LPSのバンドが、その他のLPSに比較して、より高い位置にあることから、O抗原多糖が長く平均分子量が大きいことが推測される。4種のロゼオモナス菌LPS間で、SDS電気泳動パターンに違いが認められなかったため、以後の試験では、レーン(7)と(8)の2菌株のLPSを使用することとした。
ロゼオモナス菌LPSの精製
実施例3の後選択したロゼオモナス菌2株を菌株(1)、(2)として、2菌株のシングルコロニーをそれぞれ1mLの食塩水に懸濁し、滅菌済みLB培地100mLの入った培養用フラスコ5本に200μLずつ植菌し、37度にて2日間振盪培養した。培養後、同菌株の5本の培養液を1本の遠心チューブにまとめ、3500rpmで遠心分離を行い上清の除去を行った。菌体からのLPSの精製はWestphalらの方法に従って行った。すなわち、湿菌体重量100mgに対し1mLとなるように蒸留水を加えた。菌を懸濁してこの液に同容量の90%フェノールを加え、65℃から70℃で20分間攪拌した。その後、4℃まで液を冷却し、3500rpmで遠心分離を行った。上層の水層を別の容器に回収し、残りのフェノール層と中間層に、回収した水層と同量の蒸留水を加え、再度65℃から70℃で10分間攪拌しLPSを再抽出した。その後、4℃まで液を冷却し、遠心分離を行った。2回目の水層を一回目の水層と合わせ蒸留水で透析しフェノールを除去した。この透析内液をDNA分解酵素(ベンゾナーゼ)(50ng/ml)とタンパク分解酵素(プロティナーゼK)(100μg/ml)で処理し、フェノール抽出を行い、回収した水層をアミコンウルトラ15(ミリポア)を用いて限外ろ過により濃縮し凍結乾燥を行った。この凍結乾燥品をロゼオモナス菌の精製LPSとした。
得られた凍結乾燥品の重量を測定し、蒸留水に溶解し、純度の測定を行った。その結果、菌株(1)から精製したLPSのタンパク量は3.25%、核酸量は3.0%で純度は93.8%であった。菌株(2)はタンパク量2.26%、核酸1.0%で純度は96.7%であった。
次に両菌株LPSのリムラス活性(LPSによるカブトガニの血液凝集誘導活性)の測定を行った。LPSに特異的に反応するリムラス活性測定キットとして生化学工業のエンドスペシーを用いた。標準LPSは生化学工業のLPS標準品(大腸菌由来)を用いた。ロゼオモナス菌LPS1mgあたりのリムラス活性は、大腸菌由来の標準LPS換算にすると、菌株(1)LPSは1.56mg、菌株(2)LPSは1.32mgであった。このことから、ロゼオモナスLPSは、リムラス活性を誘導するリピドAを有することが明らかとなった。このことは、ロゼオモナスLPSが、TLR−4レセプターに結合してマクロファージなど自然免疫担当細胞を活性化し、ひいては自然免疫を活性化することを意味する。したがって、ロゼオモナスLPSは、経口あるいは経皮投与することで、感染抵抗性を高めること、創傷の自然治癒を促進すること等に寄与する。この作用は、産業動物の生産性を高める飼料、人やペットの疾病予防のための健康食品、肌の美しさを保つ化粧品やヘアケア製品、また病気の治療のための医薬品に応用できるものである。さらに、自然免疫は植物にも備わる生体防御機能であることから、植物の感染抵抗性を高めるために利用することも可能である。すなわち、本発明は、医薬品、動物用医薬品、動物用食品、動物用スキンケア製品、動物用雑貨、医薬部外品、化粧品、食品、機能性食品、飼料、日用品雑貨、植物用薬品、植物用肥料及び浴用剤として有用である。
ロゼオモナス菌LPSのマクロファージ活性化能:一酸化窒素誘導能
LPSはマクロファージ細胞に働きかけることで、体の免疫力を活性化する。そこで、ロゼオモナス菌LPSについて、一酸化窒素(NO)産生量を指標として、マクロファージ細胞の活性化能を評価した。
マクロファージ細胞株RAW264.7を、96穴平底プレートに1.6×10細胞/プレートになるように播種し、37℃で3時間インキュベートし細胞を接着させた。続いて、各ウエルに実施例4で2菌株から調整したロゼオモナス菌LPSと別途精製されたパントエア菌LPSをそれぞれ5段階の濃度で加え、24時間37℃でインキュベートした。培養後、培養上清を別のプレートに移し、グリース試薬を加え、室温で10分インキュベートし、吸光度計で、NO産生量を計測した。図2と表2にその結果を示す。被検LPSはパントエア菌LPSと2種のロゼオモナス菌LPSで、縦軸はそれらのLPSの刺激によりマクロファージから分泌されたNOの量を示す。
Figure 2021050289
この結果、すでに産業的に利用されているパントエア菌LPSが1〜1,000ng/mlの濃度範囲において濃度依存的にNOを誘導するのに対し、ロゼオモナス菌LPSは10〜100,000ng/mlの濃度範囲において、NO誘導能がなくパントエア菌LPSとロゼオモナス菌LPSでは、生物活性が異なることが明らかとなった。このことは、両菌株のLPS構造が異なることを示している。
ロゼオモナス菌LPSの16SリボゾーマルDNA解析による菌種の同定
実施例4で使用したロゼオモナス菌2株について、16SリボゾーマルDNA解析を行ったところ、菌株(1)及び菌株(2)の配列はロゼオモナス・ムコザMDA5527株の配列と相同率が100%であった。すなわち、菌株(1)、(2)ともにロゼオモナス・ムコザ(Roseomonas mucosa)であると同定された。ロゼオモナス・ムコザMDA5527株は、2003年に初めて血液から単離され、コロニーに顕著に粘液性があるためムコザと命名された菌である(非特許文献9)。
ロゼオモナス菌LPSエキス及びエキス末の調整
実施例6でロゼオモナス・ムコザと同定された2菌株のうち、菌株(1)を使い、エキス末の調整を行った。
菌株(1)のロゼオモナス・ムコザのコロニーを滅菌済みLB培地100mLに植菌し、37℃にて2日間振盪培養した。培養後、遠心チューブに培養液を移し、3,500rpmで遠心分離を行って菌体を回収した。回収した菌体に蒸留水を加えて菌体を洗い、再度遠心を行い、上清を捨てることで培地成分を除去した。洗浄した湿菌体の重量を測定し、湿菌重量100mgに対し1mLの蒸留水を加え90℃で20分間加熱処理を行った。
加熱処理前後の溶液について、懸濁液のままと遠心分離した上清について、それぞれ懸濁液エキス及び上清エキスとし、リムラス活性(実施例2記載の操作)を測定した。その結果、加熱処理前後のリムラス活性については、懸濁液エキス(懸濁液)でも上清エキス(上清)でも大きな差はないことが示された(表3、図3)。この結果を受けて、加熱処理後の懸濁液エキスを凍結乾燥することでエキス末を調整した。凍結乾燥に当たっては、水に懸濁した状態と、担体として懸濁液にデキストリンを加えた場合の2種類の調整を行った。
Figure 2021050289
凍結乾燥は、溶液を50mlのコニカルチューブに入れて凍結乾燥機(FDU−2100、EYELA製)に装着し36時間行った。水に懸濁した状態の溶液6.6mlを凍結乾燥して得たエキス末の乾燥重量は40mgであり、ほぼ同量の懸濁液に担体として1gのデキストリンを加えて凍結乾燥して得たエキス末の乾燥重量は約1gであった。回収した凍結乾燥品は乳鉢で磨り潰し均一な粉体にしてエキス末とした。
本調整法により、ロゼオモナス菌LPSのエキス及びエキス末調整が可能であることがわかった。ただし、エキス末にする方法は、凍結乾燥に限らず、スプレードライ法であっても構わない。この場合の担体は、デキストリンに限らず、アラビアガムやトレハロース等でも構わない。またエキス末を水に再溶解する際に、グリセリンやブチレングリコールなど防腐作用のある溶媒を加えても良い。

Claims (6)

  1. 健常者皮膚に常在するグラム陰性菌から得られることを特徴とする皮膚常在細菌LPS。
  2. 前記グラム陰性菌が、ロゼオモナス属菌であることを特徴とする請求項1記載の皮膚常在細菌LPS。
  3. 前記ロゼオモナス属菌が、ロゼオモナス・ムコザであることを特徴とする請求項2記載の皮膚常在細菌LPS。
  4. 請求項1乃至3いずれかに記載の皮膚常在細菌LPSを含むことを特徴とするエキス。
  5. 請求項1乃至3いずれかに記載の皮膚常在細菌LPSを含むことを特徴とするエキス末。
  6. 請求項1乃至3いずれかに記載の皮膚常在細菌LPS、請求項4記載のエキス又は請求項記載5記載のエキス末が配合されている医薬品、動物用医薬品、動物用食品、動物用スキンケア製品、動物用雑貨、医薬部外品、化粧品、食品、機能性食品、飼料、日用品雑貨、植物用薬品、植物用肥料又は浴用剤であることを特徴とするLPS配合物。
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KR101842668B1 (ko) 신규한 살모넬라균 특이 박테리오파지 sg2 및 이를 포함하는 항균 조성물

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