JP3649787B2 - 魚類の腸球菌感染症用予防剤およびその用途 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、魚類、とりわけブリ類を主とする海水養殖魚の腸球菌感染症による疾病被害の予防に有用な予防剤およびこれを含有してなる魚類用飼料に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、海水魚類養殖業が発展するにともなって、種々の疾病が発生し大きな被害を養魚者に与えている。中でも、国内で最も生産量の多いブリ養殖において、幼魚期から2〜3年魚まで幅広く発生している エンテロコッカス・セリオシダ を起因菌とする感染症の被害が大きく特に注目される。本菌は1974年頃に養殖ブリから初めて分離され、細菌学的分類でストレプトコッカス( Streptococcus )属に同定されるものの、従来のストレプトコッカス菌のいずれとも生化学性状が一致しないとして、アルファ(α)溶血性ストレプトコッカス・エスピー( Streptococcus sp.)と学術誌に報告されて来たが、1991年に現在の エンテロコッカス・セリオリシダ に改められた。そこで病名も細菌名に基づき連鎖球菌症としていたものを腸球菌感染症とかエンテロコッカス感染症と呼称することにもなったが、関係業界間では従来からの連鎖球菌症の方が未だ一般的には通用している。なお、魚類の連鎖球菌症にはベータ(β)溶血性ストレプトコッカス・エスピー (Streptococcus sp.)を起因菌とする疾病があり、それらは“β溶血性連鎖球菌症"として、本発明において対象としている腸球菌感染症とは区別されている。
エンテロコッカス・セリオリシダ(以下、本菌と記載する)に対してはマクロライド系薬剤(エリスロマイシン、スピラマイシン、ジョサマイシン、オレアンドマイシン、キタサマイシンなど)、リンコマイシン系薬剤(リンコマイシン、クリンダマイシンなど)あるいはテトラサイクリン系薬剤(オキシテトラサイクリン、ドキシサイクリンなど)が試験管内で強い抗菌活性を示すため、従来は本菌感染症の発生時には魚に与える飼料に上記のいずれかの薬剤を混合して3〜7日間、経口投薬するのが通常の対策であった。しかしながら、本菌感染の病理学的特徴として薬剤濃度が上昇しにくい膿瘍を肝臓、筋肉内に形成したり、薬剤が分布しにくい脳、心臓外膜に病巣を形成したりすることから、投薬効果はとうてい満足されるものでなく、保菌魚が残り慢性的経過をとって、へい死減耗の被害が拡大するのが一般的であった。さらに近年は薬剤耐性菌の増加もあって、ますます薬剤以外の対策が切に要望されていた。従来から投薬に併せて、又は投薬に頼らずに養殖小割り網内の飼育密度を下げたり、給餌を控えて呼吸酸素等の環境ストレスを出来るだけ少なくすると、それら処置をしないよりは被害が少ないことはは知られており、それらで病気の終息を待つ方法もあるが極めて消極的処置で根本的対策とは言えず、上記の病気の特性からも病気の治療ではなく、病気の発生を予防する必要があった。
【0003】
さて、ウイルスや細菌など病原微生物の感染症に対する対策で薬剤以外と言えばワクチン投与による予防療法が一般的である。魚類の細菌感染症においても、例えばニジマス、アユのビブリオ病、サケ・マス類のせっそう病に対するワクチンがすでに実用されている。しかしながら、本菌感染症に対するワクチンは未だに実用性のあるものは開発されていない。ただし、ワクチン、免疫に関連した研究がなかった訳ではない。例えば、ホルマリンで不活化した本菌を約100gの供試魚1尾当たり、凍結乾燥菌体として5mg/日または湿潤菌として20mg/日を2日〜16日間、飼料添加で経口投与して、あるいは湿潤菌1mg/mlのワクチン液に3分間浸漬して、あるいは1mgを腹腔内に注射して、数週間後に生菌の腹腔注射感染攻撃に対するへい死率をしらべた結果では、ワクチン投与後4週の腹腔、浸漬投与魚に防御効果が認められ、経口もワクチン投与日数が多い場合に2週後までなら防御効果が認められたとの報告がある( 飯田ら; 魚病研究:第16巻(4号)、201-206頁(1982年))。また、ホルマリンで不活化した本菌をブリの腹腔内に注射し、4週間後に血清の凝集抗体価、抗菌活性、マクロファージ貪食能、生菌感染にたいする防御性などをしらべ、不活化菌無投与魚と比較して抗菌活性、感染防御性に差異を認めたのでワクチン予防の可能性があるとした研究報告もある( 楠田ら;平成5年度日本水産学会春季大会講演要旨、297頁 )。
ついでながら、前述の“β溶血性連鎖球菌症"においてもホルマリン不活化菌の経口、浸漬および腹腔注射ルート投与の予防ワクチンの有効性が検討されており、腹腔投与(約10gの供試魚に湿潤菌:0.2mg)のみに20日,35日後感染攻撃に対する防御性を認めたが、経口投与(体重1kgあたり湿潤菌:4g/日、7日間)は防御性がなかったとの報告がある(佐古、水産増殖、第40巻(4号)、393−397頁(1992年))。
【0004】
魚のワクチン投与ルートとしては、陸上の家畜動物とは違い比較的個体が小さく、飼育個体数が多い養殖魚の場合、注射は最も作業効率が上がらず、注射時取り上げによる魚の損傷などもあって実用性からは問題が多い方法である。逆に、作業が最も簡便で実用性のあるのは、感染症予防剤であるワクチンに限らず薬剤においても餌に混合して経口的に投与する方法である。浸漬方法は大量の個体を一度に処理できるので陸地での池養殖には利用出来るが、ブリ等の海水養殖魚ではワクチンを入れたタンクに魚を移すなどの何らかの作業が必要で、作業が困難で大変なだけでなく注射時と同様の損傷また処理中の酸素不足による事故も生じ易い。さらに大きな問題点として、大量のワクチンを消費するため経済性の面からも不適当で、薬剤においても浸漬法は極く特別な場合以外には利用されていない。
ただし、注射法は1回の注射で6ケ月とか1年に及ぶ持続効果を発揮して本菌感染症の発注を予防できそうな技術は未だないものの、上記の例でも腹腔等へのワクチンの注射は投与量が少なくて効果が最も良く得られる方法であるから、作業は大変であっても先ずは注射しておきその後に経口ワクチンの投与を適当な間隔で行ない(追加免疫)感染防御効果を保持する両者の組み合わせにおいては注射法の有用性も出てくる。いずれにせよ、実用的な経口投与ワクチンの開発が強く要望されていることに変わりはなかった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明は経口投与方法においてより実用性のあるワクチン、すなわち、従来知見の投与量よりもできる限り少ない投与量で、しかもより有効性が高く、持続性のあるワクチンの調製法および投与法を提供しようとするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らはかかる背景のもとに、鋭意研究を重ねたところ、魚類の腸球菌感染症の原因菌である、エンテロコッカス・セリオリシダ( Enterococcus seriolicida )の培養菌体を加熱などの不活化処理した上清および/または菌体、若しくは菌体を溶菌化したものを養殖魚、特にブリを主とする海水養殖魚に投与することが、その腸球菌感染症の予防に効果があることを見いだし、これらの知見に基づいてさらに研究した結果、本発明を完成した。
即ち、本発明は、
(1)不活化されかつ菌体外壁蛋白を含むエンテロコッカス属細菌溶出処理物を含有する魚類の腸球菌感染症用予防剤、(2)加熱処理により得られる溶出処理物である上記(1)記載の予防剤、(3)溶菌処理により得られる溶出処理物である上記(1)記載の予防剤、(4)溶菌酵素で溶菌処理される上記(3)記載の予防剤、(5)溶菌酵素とアニオン性界面活性剤存在下で溶菌処理される上記(3)記載の予防剤、および(6)上記(1)、(2)、(3)、(4)または(5)記載の予防剤を含有してなる魚類用飼料に関するものである。
本発明で対象とする感染症の原因菌とは、魚類特にブリを主とする海水養殖魚の腸球菌感染症の起因菌であるエンテロコッカス属細菌、特にエンテロコッカス・セリオリシダ( Enterococcus seriolicida )である。この菌は、腸球菌感染症に感染した海水養殖魚から普遍的に常法により分離されるものであり、エンテロコッカス・セリオリシダであれば何れの株も使用することができる。感染防御効果の高い予防剤即ちワクチンを調製するためには、病魚から分離後継代数の少ない菌株ほど好ましく、また低温保存株も好ましく用いられる。低温保存は、分離後に継代を重ねることなく、公知の凍結乾燥保存法または適当な培地(ニュウトリエント・ブロス、トッド・ヒューイト・ブロスまたはスキムミルク水など)に懸濁し、−80℃以下で保存することが好ましい。
【0007】
本菌体を得るために使用する培地および培養条件は、菌体が効率的に得られるように適宜に選択すればよい。
培地としては、公知の液体培地または固形培地のいずれを用いてもよく、例えば、市販のハート・インフュジョンまたはブレイン・ハート・インフュジョン(BHI)のブイヨン培地または寒天培地が挙げられる。また、実施例中に挙げたトッド・ヒューイト・ブロス(THB)に酵母エキスまたはグルコースなどを加えて本菌の増殖を高め、菌体の収量をあげる改良をしてもよい。
培養は、前記の培地をその使用法に従って滅菌したものに本菌を植菌し、20〜35℃、好ましくは25〜30℃で、15時間〜1週間程度、好ましくは24〜48時間振盪あるいは静置して行えばよい。
菌体は培養液に懸濁された状態のものでもよいが、後の処理をより効率的に行うためには、培養後、培養物から遠心沈澱、濾過または凝集沈降など公知の方法により沈殿物または濃縮物として回収することが好ましい。
本発明の菌体溶出処理物を得る工程において、上記培養菌体に「少なくとも菌体外壁蛋白を溶出せしめる処理」および「不活化処理」を施すが、どちらの処理を先に行ってもよく、両処理が同時に行われる操作を選択することもできる。
本発明における菌体溶出処理物は少なくとも菌体外壁蛋白を含むように調整されるが、これ以外に菌体内成分などの他の菌体成分が含まれていてもよい。このような菌体溶出処理物の調整において、「少なくとも菌体外壁蛋白を溶出せしめる処理」(以下、単に「溶出処理」と称することがある)とは、少なくとも菌体外壁蛋白を部分的にでも菌体から遊離または溶出せしめる処理のことを言う。この処理の代表例として、加熱処理または溶菌処理が挙げられる。
加熱処理は、培養菌体またはその懸濁液を、60〜100℃好ましくは70〜80℃で、10〜60分間好ましくは20〜30分間で行われる。該処理条件は、菌体量および菌体を入れ加熱を行う処理容器の材質および形状などに応じて適宜選択される。
溶菌処理とは、菌体細胞壁または菌体外膜のムコ多糖類または蛋白質の、少なくとも一部を溶解または遊離せしめる処理であり、例えば、溶菌酵素処理、超音波処理破砕法または凍結と解凍を繰り返す方法(凍結融解法)などの物理的処理、またはこれらを組み合わせて行う処理が挙げられる。さらに、培養条件によって起こりうる菌の自己消化(autolysis)も含まれる。
【0008】
溶菌酵素としては、菌体細胞壁または菌体外膜のムコ多糖類または蛋白質に抗原性を損わない程度に作用する加水分解酵素であればいずれでもよく、リゾチーム、セルラーゼ、アクロモペプチダーゼ、セラチオペプチダーゼ(商品名:ダーゼン、武田薬品工業株式会社製)などが挙げられ、とりわけ、リゾチームがより好ましく用いられる。リゾチームは市販の容易に入手出来る卵白製のものが適当である。溶菌酵素処理は使用する加水分解酵素により公知の方法に従って行えばよいが、菌体が溶菌し難い場合には特に、溶菌酵素処理後または溶菌酵素処理と同時にアニオン性界面活性剤を加えて反応させるとよい。
アニオン性界面活性剤としては、その疎水基が脂肪族炭化水素基または芳香族炭化水素基であることが好ましく、親水基がカルボン酸塩(一般式は、R1COONa)、親水基が硫酸エステル塩(一般式は、R2OSO3Na)または親水基がスルホン酸塩(一般式は、R2SO3Na または R2C6H4SO3Na)などで表されるものが挙げられる〔上記一般式において R1はCH3(CH2)m(mは2以上11以下の整数)を、R2はCH3(CH2)n(nは4以上15以下の整数、好ましくはnは7以上11以下の整数)で表される基をそれぞれ示す〕。上記のアニオン性界面活性剤の中でも特に、溶菌酵素が作用し得る温度範囲とりわけ室温付近で水溶性に優れかつ溶菌性が強いものが好ましく、また容易に入手出来るという点で、具体的には例えば、次のようなものが挙げられる。R1COONaで表される化合物としては、R1=CH3(CH2)8のデカン酸またはR1=CH3(CH2)10のラウリン酸などが好ましく用いられる。R2OSO3Naで表される化合物としては、R2=CH3(CH2)11のラウリル硫酸ナトリウム酸などが好ましく用いられる。R2SO3Naで表される化合物としては、R2=CH3(CH2)9のデカンスルホン酸ナトリウムなどが好ましく、またR2C6H4SO3Naで表される化合物としては、R2=CH3(CH2)11であるラウリルベンゼンスルホン酸ナトリウムなどが好ましく用いられる。魚毒性の強いアニオン性界面活性剤を使用する場合、溶菌処理後に洗浄除去することにより該界面活性剤の濃度を下げておく方が好ましい。
溶菌酵素処理の好ましい具体例としてリゾチームを用いる場合について以下に述べるが、操作の条件については何ら本発明を拘束するものではない。遠心沈澱や濾過など公知の方法により培養物から菌体を分離し、好ましくは濃密度に蒸留水、生理食塩水またはリン酸緩衝液など公知の緩衝液に懸濁する。この場合例えば1ml当たり乾燥質量5〜20mg程度の菌体を懸濁するとよい。乾燥菌体1mg当たり0.1〜1mgのリゾチームを加えて、30〜37℃に15〜60分間放置後、乾燥菌体1mg当たり脂肪酸塩を0.5〜50mg加えて、20〜37℃で5〜60分間反応させる。リゾチームの量は懸濁した菌体の濃度に応じて適宜選択すればよく、また脂肪酸塩は種類によっては少量では溶菌が不十分なことがあるので多目に使用した方がよいが、魚への副作用も考慮すると一般的には2〜20mgの範囲で選択するのがよいであろう。リゾチームは容易に入手出来る市販の卵白製が適当である。
物理的破砕法における超音波破砕法は市販の超音波発生機を使用して公知の方法で行えばよく、例えば、菌体懸濁液を発振周波数20KHz、出力が200Wで5〜30分処理するとよい。
【0009】
凍結融解法は公知の方法で行えばよく、例えば、−20℃程度に菌体を凍結した後30〜40℃で融解する操作を繰り返すことにより菌体の1部を破壊する方法が挙げられる。アセトン等の有機溶媒を用いた脱水乾燥、加温真空乾燥、凍結乾燥などを行い、さらに固体や粉体の破砕に用いる機械処理を加えてもよい。
上記のように作成した溶菌液は凍結または冷蔵保存が可能であり、水などで適当に希釈後、飼料に添加するなどの方法で魚に投与してもよい。また、さらに凍結乾燥、アセトン脱水乾燥などで乾燥粉末化し、さらに適度に澱粉、糖類で希釈、調製してから投与してもよい。
本発明における不活化処理とは、本菌の有する病原性即ち感染力を失わせしめる処理のことを言う。具体的には、増殖能さえ失わせしめればよく、殺菌または前述の菌体外壁蛋白を溶出せしめる処理と同一処理によってもこの目的が達せられる場合が多い。また、ホルマリン、酢酸、クロロホルムなどで不活化した菌体を使用して溶菌酵素に界面活性剤を作用させてもよい。なお、ホルマリンによる不活化処理または弱酸下での不活化処理菌体に、さらに溶菌酵素処理を行う場合には、処理菌体を生理食塩水またはリン酸緩衝液などで過剰の酸または有機溶媒を洗浄除去し、酵素反応に支障の無いpH範囲あるいは溶媒濃度の範囲に調整することが好ましい。
菌体外壁蛋白を溶出せしめる処理および不活化処理をしたものは、凍結保存しておき必要時に解凍しそのまま飼料に添加投与しても良い。雑菌の混入、有効成分の安定性等から、菌体を処理したものを遠心沈降や濾過など公知の方法、アセトンやエタノール等の有機溶媒で蛋白物質を沈澱させる方法、または硫酸ソーダや硫酸アンモニウムなどの飽和水溶液を用いる塩析法により濃縮し、沈殿として回収後、乾燥粉末化して保存することが好ましい。乾燥粉末化を行う場合、適当な媒体、例えばジャガ芋澱粉、とうもろこし澱粉等の澱粉類、大豆粉、米糠等の穀類(粕)粉末に吸着させて真空、通風、凍結乾燥などにより乾燥粉末化してもよい。
【0010】
上記に説明した処理菌体およびその乾燥物は、養殖魚の腸球菌感染症用予防剤として十分に有用性がある。魚に経口投与するには、通常は飼料に添加して与えるのがよいが、この際に飼料から菌体溶出処理物の水中への流出や魚類の胃液酵素による菌体蛋白の分解をできるだけ少なくすることで、腸管からの吸収利用性を高めてより少ない量で強い感染防御能を発揮させるために、乾燥菌体成分をデカン酸などの脂肪酸あるいは硬化油脂などの生理的に許容できる脂溶性物質あるいは腸溶性製剤の製造に用いられる腸溶性高分子化合物で被覆剤にしたり、油脂および界面活性剤を用い溶菌液を水に分散しない油中水型乳化液剤としたり、あるいはリポゾーム製剤などの既知の製剤技術を応用して調製してもよい。
被覆化に用いられる脂溶性物質としては、デカン酸(カプリン酸)、ステアリン酸、ラウリン酸、パルミチン酸などの脂肪酸、硬化牛脂または硬化大豆油などの油脂が挙げられる。脂肪酸油脂による被覆化は例えば、菌体粉末に溶融した脂溶性物質を添加して混合した後冷却固化したものを粉砕造粒するなどの公知の被覆製剤技術により行われる。また、腸溶性高分子化合物による被覆化としては、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレートやカルボキシメチルエチルセルロースなどのセルロース誘導体をアルコールなどの溶媒に溶かした中に菌体粉末を分散後、溶媒を除去して粉砕する等の公知方法を利用してもよい。
油中水型乳化に用いられる油脂としては、大豆油、パーム油、コーン油などがあげられ、界面活性剤としては、グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステルなどが挙げられる。油中水型乳化は例えば、水溶液とした菌体溶液と界面活性剤を添加した油脂とを撹拌又は超音波処理にて乳化するなどの公知の方法で行われる。
上記で説明した調製物を魚に経口投与して本発明目的を達成するための投与量とその期間ないしは間隔については、投与する季節ならびに水温、魚の種類と年令(一般に幼魚期は免疫応答性が鈍い)などの要因で一概には言えないが、投与量は魚体重1kg、1日当たり乾燥菌体相当量として0.05〜3mgを2〜7日間連続して1〜6週間毎の間隔で投与すれば良い。これらをさらに具体的に試験例1〜3に示す。また、本発明の予防剤は後述の実施例に示すように腹腔内投与と併用することも可能である。
本発明における魚類の腸球菌感染症用予防剤を含有してなる魚類用飼料は、以下に述べるように調製され、経口投与される。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下に試験例および実施例により本発明を具体的に説明するが、これが本発明の範囲を制限するものでないことは言うまでもない。
試験例1
本発明を完成する過程において、エンテロコッカス・セリオリシダ菌の48時間培養液を加熱処理により不活化し、培養菌液そのまま(以下、全菌液と呼ぶ)および全菌液から遠心分離した上清と菌体、および加熱せずに遠心分離後に加熱した上清を、それぞれ、経口投与したブリの本菌にたいする感染防御性をホルマリン不活菌投与魚のそれと比較してみたところ、全菌液が最も防御性に優れ、次いで加熱後分離上清液、加熱不活菌体、ホルマリン不活菌の順で未加熱分離上清が最も劣る結果を得た。
【0012】
即ち、市販のトッド・ヒューイト・ブロス((Todd Hewitt Broth)Difco社製、以下、THBと略す)の使用法に従い滅菌・調製した培地に、腸球菌感染症に感染した養殖ブリから約3週間前に分離しブレイン・ハート・インヒュジョン(BHI)寒天培地(栄研化学株式会社製)に継代していたエンテロコッカス・セリオリシダ菌の1株を植菌し、30℃で48時間培養し加熱処理により不活化(75℃で30分間加熱)したそのままの全菌液(A)、加熱処理により不活化後全菌液を10,000rpmで10分遠心分離した上清液(B)、およびその沈澱菌体を培養液と同量の生理食塩水に再懸濁した菌液(C)とにわけた。また、培養液を未加熱のまま10,000rpm、5℃で10分間、遠心分離して分離後に加熱した上清(D)、およびその沈澱菌体を培養液の10分の1の生理食塩水で再懸濁菌液としてから0.5%量のホルマリンを加え1週間冷蔵庫で不活化し、生理食塩水で10倍希釈した液(E)に分け、いずれの液もブリに投与する直前まで、ホルマリン菌液は冷蔵、その他は −20℃に凍結保存した。
約80gのブリを1試験区当たり50尾ずつ供試し、上記菌液あるいは上清を解凍して、いずれも魚体重1kg、1日当たり5mlずつ、2週間連続して、固形飼料(林兼産業株式会社製)に吸着し投与した後、腸球菌感染症に感染したブリから分離したエンテロコッカス・セリオリシダ菌(BHI寒天斜面で25℃、18時間培養)の生理食塩水懸濁菌液(約107cfu/ml)を1尾当たり0.2mlずつ、各試験区ともランダムに選んだ20尾と何も投与しないで同様に飼育した対照区の20尾の腹腔内に注射して感染攻撃を行った。感染後10日間のへい死数と発症瀕死数の合計数とそれらの供試数に対する比率(%)は〔表1〕の通りであった。
【表1】
【0013】
試験例2
試験例1と同様に1試験区あたり約80gのブリを50尾ずつ設定して保存方法の異なる菌株を培養、加熱した全菌液を2週間、飼料添加投与し、20尾の腹腔に感染攻撃た時の防御効果を比較した。投与した全菌液の培養に使用した菌株は試験例1の株(試験区:A)、腸球菌感染症に感染した養殖ブリから約10カ月前に分離されニュトリエント・ブロスに懸濁して -80℃で凍結保存しておいた株(試験区:B)および腸球菌感染症に感染した養殖ブリから約10カ月前に分離し3週間毎にBHI寒天斜面に継代しておいた株(試験区:C)である。10日間観察後のへい死・瀕死数ならびに感染しなかった各10尾の血液の感染菌に対する抗菌指標値と凝集性をしらべた結果は〔表2〕の通りであった。なお、抗菌指標値は血漿とリン酸生理食塩水(PBS)希釈菌液とを混合後、1時間の無投与対照区の生菌数を1.00とした場合の生菌数の比率で表した(数値が小さいほど抗菌活性が強い)。
【表2】
分離後、あまり継代していない菌株または低温保存株で感染防御効果が認められたが、継代を重ねた菌株では感染防御効果が認められなかった。
【0014】
試験例3
試験例1で使用した菌株と同一の菌株を滅菌THB培地に植菌し、25℃で48時間または1週間培養後、加熱処理により不活化(80℃で30分間加熱)して遠心分離した上清(それぞれ、A又はB)、ならびに25℃で48時間または1週間培養後、加熱処理により不活化(80℃で30分間加熱)して遠心分離し得られた沈澱菌体を上清と同量の生理食塩水に再懸濁した菌液(それぞれ、C又はD)、さらには、1週間培養菌体の懸濁液を加熱処理をせずに0.5%ホルマリン又は5%酢酸を添加し1週間冷蔵して不活化処理後の遠心上清液(それぞれ、E又はF)およびその沈澱菌体を培養液と同量の生理食塩水に再懸濁した菌液(それぞれ、G又はH)とに分けた(酢酸不活のFとHは苛性ソーダ水でPH:7.5に中和)。また、1週間培養菌体の懸濁液を加熱処理により不活化した後、9倍量のアセトンを加え遠心分離した沈澱物をアセトン除去して乾燥してから(65℃)培養液と同量の生理食塩水に再懸濁した液(I)も調製した。
上記のA〜Iの液は作成後に凍結保存しておき、投与直前に解凍して約100gのブリに魚体重1kg、1日当たり5mlずつ2週間、固形飼料(林兼産業株式会社製)に添加投与して実施例:1に示したのと同様の腹腔感染攻撃による投与物の防御効果につき判定した。実験結果は〔表3〕に示す通りであった。
【表3】
加熱上清は48時間より1週間培養の方がやや良かったが大きな差はなく、培養時間より加熱要因が大きいと判断された。ホルマリンあるいは酢酸を添加した上清はいずれもワクチン効果を示さず、ホルマリン、酢酸により上清中のワクチン効果の賦与成分は沈澱除去されたと考えられた。一方、菌体および沈澱物は加熱処理では1週間と48時間の上清に差はなく、アセトン処理の菌体及び沈澱物は加熱の上清に近い良い効果を示した。しかしながら、ホルマリンと酢酸処理の沈澱物のワクチン効果はかなり低かった。なお、ホルマリン、酢酸の沈澱物はアセトン処理の沈澱物と比較して、蒸留水に懸濁したときに不溶性が目立った。
以上の試験例1及び3からの知見は本菌の産生する水溶化した成分がかなり主体的にワクチン効果に関与しているか、そのような比較的低分子物が腸管から良く吸収された結果か、または、それらが複合してもたらしたものか、その他の理由によるものかは不明である。だが、少なくとも既に報告のあるホルマリン不活化菌体を経口投与するよりは良いワクチン効果を与える方法があること、この場合の最も良い方法は菌体と培養液に産生または溶解した菌成分も一緒に投与するのが最もよいことを新たに見いだしたと言える。
【0015】
【実施例】
実施例1
蒸留水1Lに市販のTHB培地末25g、酵母エキス末5g、ぶどう糖3g、炭酸ナトリウム1g、リン酸1水素ナトリウム0.2g、食塩3gを溶かし、120℃で10分滅菌して冷却後に腸球菌感染症に感染したブリの脳から分離して−80℃に保存しておいたエンテロコッカス・セリオリシダ菌を植菌して25℃で48時間、振とう培養し、培養菌液を80℃で30分間加熱処理することにより溶出処理および不活化処理を同時に行った後、−20℃で凍結した。融解した培養菌液1Lに9Lのアセトンを加え、一夜放置して上澄みを静かに除去し、下層の沈澱物を含む液をさらに遠心機で除いて約50mlの濃縮菌液を得た。次に濃縮液を60メッシュ金網で篩過した脱脂米糠100gに混合吸着させ、40℃加温の減圧(760mmHg)乾燥機で1時間乾燥し、それに米糠を追加、混合して最終的に200gの均一な粉末を得た。養殖ブリに体重1kg、1日当たり、上記の乾燥粉末を0.5g、給餌飼料に添加して最初は10日間投与し、その後は3週毎に3日間与えることを繰り返すことにより、腸球菌感染症の発生は見られなかった。
【0016】
実施例2
実施例1で使用した菌株を、実施例1の培地1Lで25℃、30時間、静置培養後、遠心分離し、凍結乾燥したエンテロコッカス・セリオリシダ菌体1.13gを得た。この1g を蒸留水50mlに均等に懸濁し、卵白リゾチーム(和光純薬工業株式会社)0.3gを加え、37℃に1時間置いてから、蒸留水に4%濃度に溶解したデカン酸ナトリウム液100mlを加えて溶菌処理を行い、ほぼ透明で粘稠性の溶菌液を得た。冷蔵庫に保管の溶菌液の0.1mlを水道水で10倍に希釈して、養殖ブリの体重1kg、1日当たりの飼料に添加して1週間投与し、その後も1カ月間隔で5〜7日間投与して腸球菌感染症の発生を予防した。
実施例3
実施例2の培養液1Lから遠心分離後の湿菌体を蒸留水80mlに再懸濁した菌液に卵白リゾチーム(和光純薬工業株式会社) 150mgを加え良く撹拌して37℃ふらん器に30分間置いてから、10%濃度に蒸留水に溶かしたドデシル硫酸ナトリウム液 16mlを加えて溶菌処理を行い、ほぼ透明の粘稠性のある不活性化された溶菌液を得た。溶菌液に1Lのアセトンを加えて生じた沈澱、不溶物を濾紙で濾過した固形物を湿ったまま、20gのデキストリンと乳鉢で摩砕混合して流動性の良い粉末を得た。次に、50℃熔融のデカン酸 50gを粉末に加えて直ちに均等に混合後に冷却固化させ、デキストリンを適当に加えながら粉砕して最終的に500gの粉末を得た。この粉末0.3gを養殖ブリ1kg,1日当たりの飼料に混合して3日間ずつ1週間間隔で3回繰り返し、その後は1カ月間隔で3日間飼料添加で経口投与して腸球菌感染症の被害を予防できた。
【0017】
実施例4
腸球菌感染症に感染したブリの脳から分離後、10%のスキムミルク水に懸濁して−80℃に保存しておいたエンテロコッカス・セリオリシダ菌株を0.5%食塩のTHBに植菌して、25℃で30時間培養した。培養菌液をそのまま加熱(80℃、30分間)処理することにより溶出処理と不活化処理を併せて行った。得られた全菌液(A液)、培養菌液を10,000rpmで10分間(5℃)、遠心分離した菌体を元の培養液の10分の1の量の蒸留水に懸濁(アセトン脱水乾燥時菌体換算量:約9.6mg/ml)して、その1ml当たりに卵白リゾチーム(和光純薬工業株式会社)を5mgを添加して37℃に30分おいてから、等量の4%デカン酸ナトリウム水を加えほぼ透明に溶菌化した液(B液)を調製後、いずれも凍結保存しておき、平均体重が120gのブリ(1試験区当たり80尾に設定)に投与前に解凍したA液、B液を魚体重1kg当たりの乾燥菌体換算量が同一となる3段階の用量で1週間、固形飼料へ吸着して投与し、その後10日間をおいて再び1週間投与し、また10日間をおいてから感染攻撃した。感染は実施例1と同じ菌株の腹腔注射の外に、浸漬による菌浴感染も実施した。なお、菌浴は食塩を2%としたTHBで20時間(30℃)培養した菌液を海水1L当たりに10ml加え(水温:28.5℃)、その中に5分間、供試魚を浸した。感染防御性の結果を〔表4〕に示す。
【表4】
上表から明らかなようにいずれの投与区においても感染防御効果が認められたが、投与量の少ない場合は全菌液(A)が優れていた。
【0018】
実施例5
実施例4で得た溶菌液(A)に9倍量のアセトンを加えて出来た沈澱を濾紙で濾過して集め、さらにアセトンを加えてほぼ脱水した後に室温で減圧乾燥し、乳鉢で粉砕して乾燥粉末を得た。溶菌液の100ml分に相当する乾燥粉末について、デキストリンで100gにまで希釈した散剤(B)、50℃で熔融のデカン酸を25g加え混合して冷蔵庫で冷却、固化後に粉砕しながらデキストリンを加え100gになるまでで希釈することにより被覆処理した散剤(C)、および50mlの蒸留水に溶解した液に、1%のポリグリセロール重合脂肪酸エステル(ポエムR-200 :理研ビタミン)含有の大豆油を50g加えて超音波処理した油中水型の乳液(D)を調製し、いずれも乾燥菌末換算量で魚体重1kg当たりで同じとなる様にブリに投与し感染防御性を比較した。
実験条件は供試魚の平均体重が135gであるほかは実施例4と同様とした。
【表5】
この結果、被覆化および乳化することにより少量でも防御効果が認められ、脂溶性物質で被覆剤にしたり、水に分散しない油中水型乳化液剤にすることで、本発明の有用性をさらに高めることが出来た。
【0019】
実施例6
0.5%食塩のTHB培地(Difco社製)1Lに15gの酵母エキス粉末および20gのポリペプトン(いずれも日本製薬株式会社製)を加えて滅菌した培地に、ブリの脳から分離後10%スキムミルク水に懸濁し−85℃で約9カ月間保存のエンテロコッカス・セリオリシダ菌株を植菌して25℃、24時間後に遠心分離して乾燥重量換算で約2.3gの菌体を得た。菌体を400mlの蒸留水に再懸濁して卵白リゾチーム(太陽化学株式会社製)を1.2g加え37℃に1時間おいてから4%デカン酸ナトリウム水を800ml加え、室温(26℃)で5分間撹拌して得た溶菌液を小分けして凍結(−20℃)保存しておき、約40gの体重のブリ幼魚に体重1kg、一日当たり 0.4mlの解凍した溶菌液を給餌する固形飼料に吸着して.1週間投与し、その後も4週間隔で4日間の投与を繰り返して4カ月間、疾病の発生状況並びに成長性を観察したところ、腸球菌感染症の発生は皆無で成長に影響する副作用もなかった。
【0020】
実施例7
0.5%食塩のTHBに実施例6と同じ低温保存のエンテロコッカス・セリオリシダ菌株を植菌して25℃、30時間後に遠心分離して得た菌体を蒸留水に再懸濁(1ml当たり乾燥菌として5.5mg)した500mlに卵白リゾチーム(太陽化学株式会社製)を2g加え37℃に30分おいてから15%デカン酸ナトリウム水を130ml加え、室温(26℃)で10分間撹拌して得た溶菌液を凍結乾燥した。乾燥物の全量を乳鉢に入れ、80℃で液状にしておいた硬化牛脂(日本油脂株式会社製)380gを加えて撹拌、磨砕しながら均一に分散後、低温室内(6℃)でなおも撹拌を続けながら冷却、固化させた。次いで粗く粉砕してからデキストリン300gと混合し30メッシュの金網で篩過造粒し、さらにデキストリンを加え最終的に1kgの散剤を調製し冷蔵庫に保管しておき、体重が約150gのブリ幼魚に体重1kg、一日当たり 0.25gとなるよう粉末配合飼料に混合し,水を加えモイストペレット餌に調餌して実施例6と同じ投与期間と投与間隔で繰り返し与え、4カ月間の疾病の発生状況並びに成長性を観察したが実施例6と同様に腸球菌感染症の発生は皆無で成長に影響する副作用もなかった。
【0021】
実施例8
0.5%食塩のTHBに実施例6と同じ低温保存のエンテロコッカス・セリオリシダ菌株を植菌して25℃、30時間後に遠心分離して得た菌体を1%食塩水100mlに懸濁(1ml中乾燥菌体として0.5mg)してからホルマリン水0.5mlを加え、冷蔵庫に3日間おいて不活化した菌液を体重が40gのブリ幼魚の腹腔内に0.2mlずつ注射した。1カ月間の給餌飼育後に半数ずつA群とB群に2分し、A群の飼料には実施例6の溶菌液を3日間、体重1kg、1日当たり0.4ml添加し、その後もA群には1カ月毎に同様の添加を繰り返したがB群の飼料には一切添加しなかった。両群とも同一の条件で5カ月間飼育した結果、腹腔注射に経口投与を併用したA群には腸球菌感染症の発生は皆無であったが、腹腔注射だけのB群には2カ月を経過した頃から腸球菌感染症によるへい死が飼育魚100尾あたりの換算で1日に0.125〜0.75尾認められる日が続いた。
【0022】
【発明の効果】
本発明によれば、魚類、特にブリ類を主とする海水養殖魚の腸球菌感染症の予防剤および該予防剤を含有する魚類用飼料を製造することができる。腸球菌感染による疾病被害に対して、従来のホルマリン不活化による予防剤よりも効果の良い経口ワクチンを提供することができる。
Claims (3)
- 不活化されかつ、60〜100℃で10〜60分間の加熱あるいは溶菌、または前記条件下での加熱と溶菌により溶出処理された後の培養全菌液からなるエンテロコッカス属細菌溶出処理物を含有する魚類の腸球菌感染症用予防剤。
- 溶出処理物が、溶菌酵素とアニオン性界面活性剤存在下で溶出処理することにより得られる請求項1記載の予防剤。
- 請求項1または2記載の予防剤を含有してなる魚類用飼料。
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