JP3040711B2 - 抗腫瘍剤及びその製造法 - Google Patents

抗腫瘍剤及びその製造法

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JP3040711B2
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一智 大橋
康弘 門脇
哲郎 山本
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、抗腫瘍剤及びその
製造法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】現在主流となって使用されている抗腫瘍
剤は、細胞の増殖時にブロッキング剤として働く作用を
有するものがほとんどである。DNA合成阻害作用を有
するアルキル化剤及び白金製剤、細胞の代謝時に取り込
まれて酵素類の働きを阻害する代謝拮抗剤、天然物由来
で代謝酵素や核酸類などに働きかけて抗腫瘍作用を示す
抗癌性抗生物質や植物アルカロイドなどがあげられる。
これらの薬剤のほとんどは、活発に細胞分裂を繰り返し
ている細胞に対して特異的に作用するため、正常細胞で
も比較的細胞分裂周期の速い骨髄細胞や腸管上皮細胞に
も、癌細胞と同様に薬剤が作用する。そのため、白血球
機能低下による免疫力の低下や消化管障害などの重篤な
副作用が見られる。
【0003】リンパ球などの免疫細胞には、腫瘍細胞を
認知し、傷害する作用があることが知られている。それ
を利用した治療法が、BRM(Biological ResponseMod
ifiers)療法であり、細菌由来物質や多糖類などを投与
することによって、体内の免疫細胞、特にT細胞などの
エフェクター細胞を活発化させ、腫瘍細胞に対する障害
率を高める。これまで、レンチナン、OK−432、P
SK等の免疫賦活剤や、インターフェロンやインターロ
イキン等のサイトカインが使用されている。しかし、こ
れらの薬剤にも、発疹や薬剤過敏症、発熱などの副作用
がみられ、特に注射製剤ほど、副作用が出やすい傾向が
ある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】抗腫瘍剤として現在使
用されている化学療法剤は、作用機序上、必ず副作用が
出現する。一方でBRM製剤は、癌に羅患することによ
って低下する免疫能を回復させたり、腫瘍の増殖速度を
抑える作用をねらって使用されるものである。そのた
め、副作用がなく、より体内の免疫能を高め、腫瘍の増
殖を抑える効果の高い薬剤が求められている。
【0005】
【課題を解決しようとするための手段】乳酸菌の一種で
あるエンテロコッカス属には、BRM製剤の働き、すな
わち免疫力増強による抗腫瘍作用があることが知られて
いる(大橋ら、薬学雑誌、113、396−399(1
993))。本発明者らはこのような抗腫瘍作用のより
強い菌体又はその処理物を得るために種々検討した結
果、乳酸菌の菌体を酵素で処理して得られた菌体処理物
が、酵素非処理菌体よりもはるかに強い抗腫瘍作用を持
つことを見いだし、本発明を完成させた。
【0006】
【発明の実施の形態】本発明は、エンテロコッカス属に
属する乳酸菌菌体に酵素を作用させ、更に熱処理を加え
て菌体処理物を得ることを特徴とするものである。本発
明に使用される酵素は、リゾチームやキチナーゼ、N−
アセチルグルコサミニダーゼなどの溶菌酵素又は菌体表
面構造あるいは抗生物質などに対する変換又は分解酵素
であって、酵素処理によって菌体の抗腫瘍作用が増強さ
れるものであればどの酵素を使用することも可能である
が、特に有効な成績を得られるものはリゾチームであ
る。更に菌体処理条件を例示すれば、リゾチームの終濃
度10〜3000μg/ml、37℃で1〜3時間処理
が好ましい。
【0007】菌体又はその処理物を製剤するにはデンプ
ン、乳糖、大豆蛋白等の担体、賦形剤、結合剤、崩壊
剤、滑沢剤、安定剤、矯味矯具剤等の添加物を用いて周
知の方法で錠剤や顆粒剤に製剤される。
【0008】使用量は、症状、年齢等により異なるが、
有効成分として1日0.002〜0.1g/kg体重を通常成人に対
して1日1回又は数回に分けて投与することができる。
【0009】
【実施例】以下実施例を示すが、本発明はこれらの実施
例の記載によって何ら制限されるものではない。
【0010】実施例1.(乳酸菌の培養) エンテロコッカス・フェカリス(Enterococcus faecali
s)NF−1011(微工研菌寄第12564号)を以
下に示す組成のロゴサ液体培地に接種し、(菌数:10
6個/ml)、37℃で10〜16時間培養し、生菌数約1
9個/mlの培養液を得た。得られた培養液を12,000rpm
で20分間遠心分離して集菌し、蒸留水で2回洗浄して
菌体を得た。
【0011】ロゴサ液体培地の組成を示す。 トリプチケース 10g 酵母エキス 5g トリプトース 3g リン酸一カリウム 3g リン酸二カリウム 3g クエン酸三アンモニウム 2g ツイーン80(界面活性剤) 1g グルコース 20g システイン塩酸塩 0.2g 塩類溶液(1のとおり) 5ml 蒸留水 1000ml (pH7.0に調整、121℃で15分間加熱滅菌) (1)塩類溶液:MgSO4・7H2O 11.5g FeSO4・7H2O 0.68g MnSO4・2H2O 2.4g 蒸留水 100ml
【0012】実施例2.(酵素処理及び熱処理) 実施例1で得られた菌体:滅菌蒸留水=1:10(v/
v)の割合となるように再懸濁した。これにフィルター
滅菌した食添用卵白リゾチーム(太陽化学(株)製)を
最終濃度100μg/ml量になるように添加し、37
℃で2時間保温した。次に、この酵素処理した菌体を1
10℃で10分間オートクレーブによる熱処理を行い、
菌液が冷却した後に凍結乾燥機にて乾燥後、粉末標品を
得た。
【0013】実施例3.(熱処理) 実施例1で得られた菌体:滅菌蒸留水=1:10(v/
v)の割合になるよう懸濁した。これを110℃で10
分間オートクレーブによる熱処理を行った後、110℃
で10分間加熱して失活させた実施例2で使用の卵白リ
ゾチームを最終濃度100μg/ml量に相当する量を
添加した。次に、凍結乾燥を行い粉末標品を得た。
【0014】実施例4.(抗腫瘍効果) 日本SLC社より購入したC3H/He N系マウス
(雄性、7週齢)を体重によって、実施例2で得た標品
投与群(A群)、実施例3で得た標品投与群(B群)及
び対照群(C群)の3群(各々10匹)に分けた。
【0015】C3H/He N系マウス腹腔内にMM4
6乳癌を移植し、1週間後、癌細胞を採取し、CaCl
2とMgCl2・6H2Oを含まないリン酸緩衝生理的食
塩水(PBS(−))に浮遊させ、700rpm、5分
の遠心操作を3回繰り返して細胞を洗浄した後、PBS
(−)で細胞濃度を調整した。この細胞浮遊液を上記の
全群のマウス腹部皮内に生細胞数が1×106個/匹に
なるように移植した。
【0016】実施例2及び実施例3で得た標品をそれぞ
れ、粉末飼料(CE−2:日本クレア社)に5%量配合
して配合飼料を調製した。これをMM46乳癌細胞を移
植した次の日からそれぞれのマウス群(A群及びB群)
に連日自由摂取させた。C群には標品を含まない粉末飼
料を与えた。
【0017】癌移植後、形成された腫瘍の大きさを測定
した。癌移植後4日目から3日おきに、ノギスを用いて
長径(a)及び短径(b)を測定し、以下の計算式によ
って腫瘍の大きさ(径)を求めた。結果を図1に示す。 腫瘍径(mm)=(a×b)1/2
【0018】A群及びB群はC群と比較して、癌移植後
18日から有意に腫瘍径が小さく(危険率1%〜5%)
この効果は、癌移植後38日まで持続した。また、A群
とB群を比較すると、A群の腫瘍径が癌移植後25日よ
り小さくなる傾向を示した。
【0019】癌移植後41日に、全マウスの腫瘍部分を
摘出し重量を測定した。結果を図2に示す。C群に対し
て、B群は危険率5%で有意な重量抑制を示した。一
方、A群も危険率1%で有意に腫瘍重量の抑制を示し、
B群よりも抑制効果が高かった。
【0020】
【発明の効果】本発明で得られた乳酸菌体の酵素処理物
は、副作用もなく、又、免疫賦活効果が高いため、腫瘍
の増殖をより効率よく抑制する。又、この菌体処理物を
既存の抗癌剤と併用することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】MM46乳癌の腫瘍径の変化を表した図であ
る。
【図2】マウス1匹当たりの腫瘍重量の平均を表した図
である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI C12R 1:01) (56)参考文献 特開 平8−27010(JP,A) 特開 昭56−158717(JP,A) 薬学雑誌,Vol.113,No.5, (1993),p.396−399 日本農芸化学会誌,Vol.69,N o.4,(1995),p.443−446 岡山雑誌,Vol.14,(1995), p.89−105 阪大歯学雑誌,Vol.39,No. 2,(1994),p.356−377 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A61K 35/74 A61P 35/00 C12N 1/20 CA(STN) REGISTRY(STN)

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】有効成分としてエンテロコッカス属に属す
    る微生物を溶菌酵素など菌体に作用する酵素処理と熱処
    理とをした菌体処理物である抗腫瘍剤
  2. 【請求項2】エンテロコッカス属に属する微生物がエン
    テロコッカス・フェカリスである請求項1に記載の抗腫
    瘍剤
  3. 【請求項3】エンテロコッカス属に属する微生物の菌体
    を溶菌酵素など菌体に作用する酵素処理及び熱処理をす
    ることを特徴とする抗腫瘍剤の製造法
  4. 【請求項4】エンテロコッカス属に属する微生物がエン
    テロコッカス・フェカリスである請求項3に記載の抗腫
    瘍剤の製造法。
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CN1054581C (zh) * 1995-04-06 2000-07-19 本田技研工业株式会社 动力装置传动箱的防水结构
JP2017001961A (ja) * 2015-06-04 2017-01-05 学校法人同志社 生体抗酸化能賦活剤

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