JP2021049647A - ポリアミドrim成形体およびポリアミドrim成形体の製造方法 - Google Patents

ポリアミドrim成形体およびポリアミドrim成形体の製造方法 Download PDF

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隆志 土井
Takashi Doi
隆志 土井
松浦 綱男
Tsunao Matsuura
綱男 松浦
西尾 正幸
Masayuki Nishio
正幸 西尾
古谷 敏男
Toshio Furuya
敏男 古谷
藤井 博行
Hiroyuki Fujii
博行 藤井
真典 阿部
Masanori Abe
真典 阿部
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Abstract

【課題】反応時間の短い、その結果、生産性が高いポリアミドRIM成形体を提供する。【解決手段】ポリアミドRIM成形体は、ラクタム類を成形型枠内で重合され、成形される。その際、触媒と添加剤が用いられる。リチウムは触媒または添加剤に含有されている。カルボン酸化合物は添加剤に含有されている。たとえば、添加剤としてステアリン酸リチウムを用いる。その結果、ポリアミドRIM成形体は、リチウムおよびステアリン酸化合物を含有する。【選択図】図1

Description

本発明は、ラクタム類を成形型枠内で重合、成形するポリアミドRIM成形に関するものである。
近年、自動車や飛行機等の分野では、CO2の排出量低減や低燃費化のため金属に代替する軽量高強度材料として樹脂や繊維強化樹脂が注目されている。繊維強化樹脂は、樹脂にガラス繊維または炭素繊維等の補強材を含有したものであり、熱硬化性樹脂を用いた繊維強化熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂を用いた繊維強化熱可塑性樹脂に大別される。繊維強化熱可塑性樹脂は、繊維に熱可塑性樹脂のモノマーを含有させて製造するものと熱可塑性樹脂と繊維を溶融混合させて製造するものに大別される。
従来、繊維強化樹脂は、エポキシ樹脂や不飽和ポリエステル等の熱硬化性樹脂を用いた繊維強化熱硬化性樹脂や熱可塑性樹脂と繊維を溶融混合させた繊維強化熱可塑性樹脂が主流であるが、エポキシ樹脂や不飽和ポリエステル等の熱硬化性樹脂を用いた繊維強化熱硬化性樹脂は、生産性に劣り高コストとなることから高級車などの特定の部材に使用されるに過ぎなかった。さらに熱硬化性樹脂を用いる為、リサイクルもできない。一方、熱可塑性樹脂と繊維を溶融混合する繊維強化熱可塑性樹脂は、生産性はよいが、大型成形品の射出成形をする場合等、高い成形圧力、その圧力を発生する大型の装置、大型の金型等が必要になる上、繊維を含有しなくても、金型の隅々に到達する前に固化することがあり、成形面、費用面ともに高いハードルがある。
一方、繊維に熱可塑性樹脂のモノマーを含有させて製造する繊維強化熱可塑性樹脂は、流れやすい(低粘度の)モノマーを比較的低い温度で扱うことができる為、大型部品や精密部品を製造する場合でも、あまり圧力を必要としない上に、リサイクルや二次賦形が容易にできることから熱可塑性樹脂も見直されている。熱可塑性樹脂の中でもこのようなリサイクル性や低コストの特徴を活かしてポリアミド(ナイロン)など安価な樹脂材料を用いた繊維強化熱可塑性樹脂への転換が期待されている。
ポリアミドを用いた繊維強化熱可塑性樹脂成形体の製造方法の一つとして、ポリアミド(ナイロン)RIM(Reaction Injection Molding)(反応射出成形)がある(例えば特許文献1)。
ポリアミドRIMはラクタム類のアニオン重合であり、重合と成形がほぼ同時におこなわれる。
重合温度はポリアミドの融点(ポリアミド6の場合、約220℃)以下であり、比較的低温(一般的に140〜170℃)である。また、重合開始から成形品取り出しまで、1〜10分と極めて短時間で行われる。
また、低粘度の液体を注入するので低圧で成形できる。その結果、簡便な成形装置を用いることができ、金型を薄くできる。これらの要因により低コスト化が図れる。
さらに、低粘度の液体であるため、型内に充填したガラス繊維または炭素繊維等の補強材の隅々まで含浸され、また大型で薄肉の成形が可能となる。
なお、低粘度の液体は数分で高粘度化し、形を形成する。
ここで、一般的なポリアミドRIM成形体の製造方法について説明する。
カプロラクタム50モルに対し、触媒としてN−ナトリウムカプロラクタム1〜2モルの割合で混ぜたA液と、カプロラクタム50モルに対し、開始剤としてN−アセチルカプロラクタム1〜2モルの割合で混ぜたB液とを例えばカプロラクタムが溶解する温度である70℃〜110℃で混合する。その混合液を補強繊維とともに混合液を金型内に注入するか、または予め補強繊維を充填した金型内に混合液を注入する。ポリアミド6の融点以下の重合温度(たとえば140〜170℃)にて重合をおこない、数分で重合を完了させ、離型して成形品を金型より取り出す。
特開昭62−32121号公報
上記のとおり、ポリアミドRIM成形体において、生産性を高め製造コストを削減するためには重合から取り出しまでの時間の短縮化が重要である。
一方、特許文献1にも、添加剤により、重合反応を阻害するため、ラクタム類の重合速度が低下するおそれについて言及されている。
本発明は上記課題を解決するものであり、取り出しの短い、その結果、生産性が高いポリアミドRIM成形体を提供することを目的とする。
本発明者らは、前記課題を解決するために、鋭意検討した結果、触媒および添加剤を工夫することで、型からの取り出し時間が短くなることを見出し、本願発明を完成するに至った。
本願発明は、
高周波誘導結合プラズマ発光分光分析法で測定したリチウムの含有量が0.001質量%以上であり、
ガスクロマトグラフィーで測定したカルボン酸の含有量が0.01質量%以上である
ポリアミドRIM成形体である。
ポリアミドRIM成形体は、ラクタム類を成形型枠内で重合、成形し、製造される。
より好ましくは、上記記載のポリアミドRIM成形体では、高周波誘導結合プラズマ発光分光分析法で測定したナトリウムの含有量が0.001質量%以上である。
上記発明において好ましくは、前記カルボン酸化合物が、炭素数6〜30の脂肪族カルボン酸である。
上記発明において好ましくは、前記カルボン酸化合物が、炭素数10〜25の脂肪族カルボン酸である。
上記発明において好ましくは、前記脂肪族カルボン酸が、飽和脂肪族カルボン酸である。
上記発明において好ましくは、ラクタム類を原料とし、前記ラクタム類がカプロラクタムまたはラウロラクタムである。
上記発明において好ましくは、前記ポリアミドがポリアミド6またはポリアミド12である。
上記発明において好ましくは、高速液体クロマトグラフィーで測定したポリアミドRIM成形体中のモノマーと環状ダイマーから環状ヘプタマーまでのオリゴマーの合計の含有量が7.0質量%以下である。
本願発明は、ラクタム類を成形型枠内で重合、成形するポリアミドRIM成形体の製造方法である。触媒として、N−ナトリウムカプロラクタムを用いる。添加剤として、カルボン酸化合物とリチウムまたはカリウムの化合物を用いる。
上記発明において好ましくは、前記カルボン酸化合物が、炭素数6〜30の脂肪族カルボン酸である。
本願発明は、ラクタム類を成形型枠内で重合、成形するポリアミドRIM成形体の製造方法である。触媒として、N−カリウムカプロラクタムまたはN−リチウムカプロラクタムを用いる。添加剤として、カルボン酸化合物とリチウムまたはカリウムの化合物を用いる。
本願発明は、ラクタム類を成形型枠内で重合、成形するポリアミドRIM成形体である。ポリアミドRIM成形体は、カリウムを含有し、カルボン酸化合物を含有する。
本発明では、ポリアミドRIM成形後の型からの取り出し時間が短い。その結果、ポリアミドRIM成形体の生産性が高い。
さらに、本発明は、ポリアミドRIM成形の成形時間(反応時間)も短く、ポリアミドRIM成形体の生産性を高かくできるため、より好ましい。
触媒による重合挙動
本実施形態のポリアミドRIM成形体(ナイロンRIM成形体)におけるポリアミドは、特に制限はない。好ましくは、ポリアミド6またはポリアミド12である。
本実施形態におけるポリアミドRIM成形体の製造方法は、基本的に一般的なポリアミドRIM成形体の製造方法と同様である。
例えば、カプロラクタム50モルに対し、触媒としてN−ナトリウムカプロラクタム1〜2モルの割合で混ぜたA液と、カプロラクタム50モルに対し、開始剤としてN−アセチルカプロラクタム1〜2モルの割合で混ぜたB液とを混合し、金型内に注入するか、または予め補強繊維を充填した金型内に混合液を注入する。ポリアミドの融点以下の重合温度(たとえば150〜170℃)にて重合をおこない、数分で重合を完了させ、離型して成形品を金型より取り出す。
ポリアミドRIM成形体の製造方法としては、ラクタム類を成形型枠内で重合、成形するポリアミドRIM成形体の製造方法であって、触媒、添加剤を用いるポリアミドRIM成形体の製造方法が好ましい。さらに、ラクタム類を成形型枠内で重合、成形するポリアミドRIM成形体の製造方法であって、触媒、添加剤、開始剤を用いるポリアミドRIM成形体の製造方法がより好ましい。使用するラクタム類、触媒、添加剤の具体例は以下の通りである。
<ラクタム類>
ラクタム類としては、α-ラクタム(三員環)、β-ラクタム(四員環)、γ−ブチロラクタム、δ−バレロラクタム、ε−カプロラクタム、ω−エナントラクタム、ω−カプリルラクタム、ω−ウンデカノラクタム及びω−ラウロラクタムなどが挙げられる。入手性や価格の観点から、ε−カプロラクタムおよび/又はω−ラウロラクタムが好ましく、融点が重合温度以下である観点から、ε−カプロラクタムが好ましい。これらのラクタム類は、単独で用いてもかまわないし、複数用いてもかまわない。
使用するラクタム類は触媒の活性低下を抑制する観点から含有水分量は1000ppm以下が好ましく、500ppm以下であることがさらに好ましい。
<触媒>
本実施形態では、触媒としては、例えばアルカリ金属、アルカリ土類金属、これらの水素化物、酸化物、水酸化物、炭酸塩、アルキル化物又はアルコキシド、グリニヤール化合物、ナトリウムナフタレニド、さらに上記金属又は金属化合物とラクタム類との反応生成物などを用いる。
アルカリ金属としては、リチウム、ナトリウム、カリウムが挙げられ、アルカリ土類金属としては、マグネシウム、カルシウムが挙げられ、アルカリ金属の水素化物としては、水素化リチウム、水素化ナトリウム、水素化カリウムが挙げられ、アルカリ金属の酸化物としては、酸化リチウム、酸化ナトリウム、酸化カリウムが挙げられ、アルカリ金属の水酸化物としては、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムが挙げられ、アルカリ金属の炭酸塩としては、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムが挙げられ、アルカリ金属のアルキル化合物としては、メチルリチウム、エチルリチウム、メチルナトリウム、エチルナトリウム、メチルカリウム、エチルカリウムが挙げられ、アルカリ金属のアルコキシドとしては、リチウムメチラート、リチウムエチラート、ナトリウムメチラート、ナトリウムエチラート、カリウムメチラート、カリウムエチラートが挙げられ、グリニヤール化合物としては、メチルマグネシウムブロマイド、エチルマグネシウムブロマイド等が挙げられる。
金属化合物とラクタム類の反応生成物としては、N−ナトリウムカプロラクタム、N−カリウムカプロラクタム、N−リチウムカプロラクタム、N−ナトリウムラウロラクタム、N−カリウムラウロラクタム、N−リチウムラウロラクタムが挙げられる。好ましくは、N−ナトリウムカプロラクタム、N−カリウムカプロラクタム、N−リチウムカプロラクタムである。これらの触媒は、単独で用いてもかまわないし、複数用いてもかまわない。
図1は、触媒としてN−ナトリウムカプロラクタムを用いた場合および触媒としてN−リチウムカプロラクタムを用いた場合の、150℃での重合挙動を粘度により評価した一例である。
触媒としてN−ナトリウムカプロラクタムを用いた場合、およそ70秒経過すると、急激に高粘度化する。さらに、触媒としてN−リチウムカプロラクタムを用いた場合、およそ30秒経過すると、急激に高粘度化する。すなわち、触媒を変えることにより反応速度が向上することを示唆している。
触媒は予め所定濃度に調製した後、密閉容器に封入してA液として使用することができる。
<開始剤>
反応開始剤としては、イソシアネート類、酸塩化物、酸無水物、尿素誘導体、カルボジイミド、ケテン類、さらに上記化合物とラクタム類との反応生成物、およびカルバミドラクタム類、アシルラクタム類等を挙げることができる。例えば、イソシアネート類としてnーブチルイソシアネート、フェニルイソシアネート、オクチルイソシアネート等やトリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、m-キシレンジイソシアネート、4,4'-ジフェニルメタンジイソシアネート等のポリイソシアネート及び上記ポリイソシアネートのビウレット、ウレトジオン、イソシアヌレート、アロファネート等の化合物が挙げられる。イソシアネート基はカプロラクタム等のブロック体であっても構わない。酸塩化物として塩化アセチル、塩化アクリル、塩化アジポイル、塩化ベンゾイル等が挙げられ、酸無水物として無水酢酸、無水プロピオン酸、無水シュウ酸、無水安息香酸、無水フタル酸等が挙げられ、尿素誘導体として1,3-ジフェニル尿素が挙げられ、カルボジイミドとして、ジシクロヘキシルカルボジイミド、ジイソプロピルカルボジイミド等が挙げられ、ケテン類として、ケテン、メチルケテン、フェニルケテン、ジメチルケテン、ジケテン等が挙げられ、カルバミドラクタム類として1,6-ヘキサメチレンビスカルバミドカプロラクタム、アシルラクタム類としてN−アセチル-ε-カプロラクタム、N−プロピオニル−ε−カプロラクタム、N−ベンゾイル−ε−カプロラクタム、N−シクロヘキサンカルボニル−ε−カプロラクタムが挙げられる。価格や反応性の観点から1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート、N−アセチル-ε-カプロラクタム、ジシクロヘキシルカルボジイミドが好ましく。取扱い上の安全性の観点からN−アセチル-ε-カプロラクタムが好ましい。これらの重合助触媒を単独で用いても構わないし、二種以上の混合物として用いても構わない。
さらに、本実施形態では、添加剤としてラクタム類100molに対して0.01〜2mol、好ましくは、0.02〜0.4molのカルボン酸化合物を添加してもよい。
カルボン酸化合物としては、カルボン酸、カルボン酸から誘導される化合物、カルボン酸金属塩を含む。
本願における一実施形態のポリアミドRIM成形体では、ガスクロマトグラフィーで測定したカルボン酸の含有量が0.01質量%以上である。
カルボン酸の測定方法は、ポリアミドRIM成形体から切り出したポリアミドを溶媒(たとえば、ヘキサフルオロ−2−プロパノール(HFIP))に溶解させ、塩酸で酸性にした後、メタノール等を入れ、ポリアミドを析出させ、ろ過したものを検液とし、予めカルボン酸の検量線を引いておいたガスクロマトグラフに検液を注入し、外部検量線法により定量することができる。
カルボン酸は、芳香族カルボン酸、脂環式カルボン酸、脂肪族カルボン酸を含む。
芳香族カルボン酸として、安息香酸、フルオロ安息香酸、クロロ安息香酸、ジクロロ安息香酸、トルイル酸、アニス酸、サリチル酸、ナフタレンカルボン酸、アントラセンカルボン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トルイル酸、フランカルボン酸、チオフェンカルボン酸、ピリジンカルボン酸、ピロールカルボン酸等が挙げられる。
脂環式カルボン酸として、シクロペンタンカルボン酸、シクロヘキサンカルボン酸、1−メチルシクロヘキサンカルボン酸、デカリンカルボン酸、1−アダマンタンカルボン酸等が挙げられる。
脂肪族カルボン酸として、ペラルゴン酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、パルミトレイン酸、マルガリン酸、ステアリン酸、オレイン酸、バクセン酸、リノール酸、(9,12,15)-リノレン酸、(6,9,12)-リノレン酸、エレオステアリン酸、アラキジン酸、ミード酸、アラキドン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、ネルボン酸、セロチン酸、モンタン酸、メリシン酸等が挙げられる。
脂肪族カルボン酸は、飽和脂肪族カルボン酸が好ましい。
飽和脂肪族カルボン酸としては、炭素数6〜30の脂肪族カルボン酸が好ましく、さらに、炭素数10〜25の脂肪族カルボン酸が好ましく、炭素数12〜22の脂肪族カルボン酸がより好ましい。
飽和脂肪族カルボン酸金属塩の具体例としては、オクチル酸(8)、ペラルゴン酸(9)、カプリン酸(10)、ラウリン酸(12)、ミリスチン酸(14)、ペンタデシル酸(15)、パルミチン酸(16)、マルガリン酸(17)、ステアリン酸(18)、アラキジン酸(20)、ベヘン酸(22)、リグノセリン酸(24)、セロチン酸(26)、モンタン酸(28)、メリシン酸(30)等が挙げられる。なお、括弧内は、炭素数を示す。
本発明のポリアミドRIM成形体中のカルボン酸は、カルボン酸から誘導される化合物の状態で存在してもかまわない。カルボン酸から誘導される化合物としては、カルボン酸金属塩が挙げられる。カルボン酸金属塩の金属については特に制限は無いが、アルカリ金属、アルカリ土類金属、亜鉛およびアルミニウム等の金属が好ましい。目的とする重合速度向上の観点から、アルカリ金属がより好ましい。
飽和脂肪族カルボン酸金属塩の具体例としては、オクチル酸リチウム、オクチル酸ナトリウム、オクチル酸カリウム、オクチル酸マグネシウム、オクチル酸カルシウム、オクチル酸亜鉛、ペラルゴン酸リチウム、ペラルゴン酸ナトリウム、ペラルゴン酸カリウム、ペラルゴン酸マグネシウム、ペラルゴン酸カルシウム、ペラルゴン酸亜鉛、カプリン酸リチウム、カプリン酸ナトリウム、カプリン酸カリウム、カプリン酸マグネシウム、カプリン酸カルシウム、カプリン酸亜鉛、ラウリン酸リチウム、ラウリン酸ナトリウム、ラウリン酸カリウム、ラウリン酸カルシウム、ラウリン酸マグネシウム、ラウリン酸バリウム、ラウリン酸ストロンチウム、ラウリン酸アルミニウム、ミスチリン酸リチウム、ミリスチン酸ナトリウム、ミリスチン酸カリウム、ミスチリン酸マグネシウム、ミリスチン酸カルシウム、ミリスチン酸亜鉛、ミリスチン酸バリウム、ペンタデシル酸リチウム、ペンタデシル酸ナトリウム、ペンタデシル酸カリウム、ペンタデシル酸マグネシウム、ペンタデシル酸カルシウム、ペンタデシル酸亜鉛、パルチミン酸リチウム、パルミチン酸ナトリウム、パルチミン酸カリウム、パルミチン酸亜鉛、マルガリン酸リチウム、マルガリン酸ナトリウム、マルガリン酸カリウム、マルガリン酸マグネシウム、マルガリン酸カルシウム、マルガリン酸亜鉛、ステアリン酸カリウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸リチウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸アルミニウム、アラキジン酸リチウム、アラキジン酸ナトリウム、アラキジン酸カリウム、アラキジン酸マグネシウム、アラキジン酸カルシウム、アラキジン酸亜鉛、ベヘン酸リチウム、ベヘン酸ナトリウム、ベヘン酸カリウム、ベヘン酸マグネシウム、ベヘン酸カルシウム、ベヘン酸亜鉛、リグノセリン酸リチウム、リグノセリン酸ナトリウム、リグノセリン酸カリウム、リグノセリン酸マグネシウム、リグノセリン酸カルシウム、リグノセリン酸亜鉛、セロチン酸リチウム、セロチン酸ナトリウム、セロチン酸カリウム、セロチン酸マグネシウム、セロチン酸カルシウム、セロチン酸亜鉛、モンタン酸リチウム、モンタン酸ナトリウム、モンタン酸カリウム、モンタン酸マグネシウム、モンタン酸カルシウム、モンタン酸亜鉛、メリシン酸リチウム、メリシン酸ナトリウム、メリシン酸カリウム、メリシン酸マグネシウム、メリシン酸カルシウム、メリシン酸亜鉛等が挙げられる。
これらの中でも、飽和脂肪族カルボン酸のアルカリ金属塩が好ましい。脂肪族カルボン酸金属塩は単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
アルカリ金属としては、ナトリウム、リチウム、カリウムが挙げられ、重合速度向上の観点から、カリウムまたはリチウムが好ましく、リチウムがより好ましい。
ポリアミドRIM成形体中に含有する金属は、高周波誘導結合プラズマ発光分光分析法(ICP−AES)で測定できる。ニッパー等で細断したポリアミドRIM成形体の試料を、硫酸と硝酸で完全分解し、純水で定容して検液とし、予め検量線を引いたICP−AESで検液中の金属成分の定量を行う。得ら
れた値を純水、硫酸、硝酸の重量とポリアミドRIM成形体の重量で計算することによりポリアミドRIM成形体中に含まれる金属成分量を求める。
本願における一実施形態のポリアミドRIM成形体では、高周波誘導結合プラズマ発光分光分析法で測定したリチウムの含有量が0.001質量%以上である。
開始剤および添加剤は予め所定濃度に調製した後、密閉容器に封入してB液として使用することができる。
<その他の添加剤>
ポリアミドRIM成形体を重合、成形する際に各種添加剤を用いてもよい。例えば導電剤、耐熱剤、耐候剤、顔料、UV吸収剤、酸化防止剤、磁性体粉末、滑剤、核剤、充填剤、難燃剤等の各種添加剤が挙げられる。これらは分散性の観点から予めラクタム類に分散させておくことが好ましい。
<補強繊維>
ポリアミドRIM成形体を重合、成形する際に各種繊維を同時に加えることで複合化することができる。各種繊維の形態はミルド繊維、短繊維、長繊維、織物(クロス)、不織布、マット等を用いる事ができる。各種繊維の材質はガラス繊維、炭素繊維、ボロン繊維、アラミド繊維、ダイニーマ繊維、ザイロン、金属繊維等が挙げられる。成形体の強度および軽量化の観点から、ガラス繊維および/又は炭素繊維が好ましい。また各種繊維の含有量は特に指定されるものではないが、成形性やコストの観点から50質量%以下が好ましい。また使用する各種繊維は予め乾燥したものを用いることが好ましい。
<ポリアミドRIM成形体中のモノマーとオリゴマー>
ポリアミドRIM成形体中に含まれるモノマーおよびオリゴマーは高速液体クロマトグラフィーで測定することができる。測定方法の一例としては、ポリアミドRIM成形体から切り出したポリアミドを、ヘキサフルオロ−2−プロパノール(HFIP)等で溶解させ、メタノール等でポリアミドを析出させスラリー化させる。このスラリー状物をろ過したものを検液とする。予めモノマーおよびオリゴマーの検量線を引いたクロマトグラフィーに検液を注入し、外部検量線法により定量することができる。
ポリアミドRIM成形体中に含有するモノマーと環状ダイマーから環状ヘプタマーまでのオリゴマーの合計8.5質量%以下が成形体の強度を損なわない観点から好ましく、7.5質量%以下がより好ましく、7.0質量%以下がさらに好ましい。
より詳細には、ポリアミドRIM成形体中に含有するモノマーが6.0質量%以下、環状ダイマーが1.0質量%以下および環状トリマーから環状ヘプタマーまでのオリゴマー1.5質量%以下が成形体の強度を損なわない観点から好ましく、モノマーが5.0質量%以下、環状ダイマーが1.0質量%以下および環状トリマーから環状ヘプタマーまでのオリゴマー1.5質量%以下がより好ましく、モノマーが5.0質量%以下、環状ダイマーが0.80質量%以下および環状トリマーから環状ヘプタマーまでのオリゴマー1.2質量%以下がさらに好ましい。
<その他>
重合、成形する方法として1液系でもよいし2液系でもよい。1液系の場合ラクタム類、触媒、開始剤、添加剤を同一容器に計量し溶解後型枠内に注入する。また2液系の場合ラクタム類と触媒およびラクタム類と開始剤、添加剤を予め各々混合、溶解させ、計量した液を混合後型枠内に注入する。ラクタム類と触媒および開始剤の混合した状態(1液系)では溶解加熱により重合が進行するため2液系が好ましい。
水分またはアルコール類を含有することで触媒または開始剤の性能が低下する観点からラクタム類、触媒、開始剤および添加剤を混合させ重合する際、各材料、器具および配管内を十分乾燥させることが好ましい。
ポリアミドRIM成形体を重合、成形する際の雰囲気は特に制限は無いが、吸湿性の観点から乾燥空気または窒素下が好ましい。
ポリアミドRIM成形体を重合、成形する方法は熱および使用薬品に耐えうる材質の型枠であれば、密閉型または開放型加圧のどちらでもよい。また原料の注入、重合、成形は減圧、常圧、加圧のいずれの方法でもよく、各工程の途中で圧力を変動させても何ら差し支えない。
以下に実施例及び比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
(カルボン酸の分析)
ポリアミドRIM成形体中に含まれるカルボン酸はガスクロマトグラフィーで測定した。カルボン酸の測定方法は、10mlメスフラスコにポリアミドRIM成形体から切り出したポリアミド0.25gを秤取り、ヘキサフルオロ−2−プロパノール(HFIP)を4ml入れ超音波洗浄機で溶解させ、(微量の塩酸を加えて酸性にした後)メタノールを10mlになるまでメスアップ後しばらく放置するとポリアミドが析出しスラリー化する。このスラリー状物をシリンジフィルター(φ32、孔径0.45μm)でサンプル瓶にろ過したものを検液とする。予めステアリン酸の検量線を引いた島津製作所製ガスクロマトグラフGC−2014(カラム:GLサイエンス製TC−WAX 30m×φ0.25mm、キャリアガス:ヘリウム、カラム流量1.0ml/min.、スプリット比10、温度50℃(10min.保持)→15℃/min.250℃(20min.保持))に検液を0.5μL注入し外部検量線法により定量することができる。
(実施例1)
窒素ボックス中で、カプロラクタム(富士フィルム和光純薬(株)製)100モルに対し、触媒として、N-ナトリウムカプロラクタム(特開平7−62089号公報参照による合成品)1モルの割合になるよう混ぜた。さらに、添加剤としてステアリン酸リチウム(堺化学工業(株)製)をカプロラクタム100モルに対して0.20モルの割合になるよう添加した。窒素で置換した試験菅に上記混合物と回転子を入れシリコン栓で封止後、95℃に過熱したシリコンオイル中に試験管を浸漬し溶融、混合した。
引き続き、溶融混合物に、カプロラクタム100モルに対し、開始剤として、N-アセチルカプロラクタムが1モルの割合になるようN-アセチルカプロラクタムをマイクロシリンジで注入後、撹拌し、160℃で加熱したシリコンオイル中に浸漬させた。
混合物は約5gであり、モル比は、カプロラクタム/触媒/開始剤/添加剤=100/1/1/0.1になるようにした。
開始剤として、N-アセチルカプロラクタムをマイクロシリンジで注入後から非流動化(回転子が停止)するまでの時間(固化時間)および非流動化(回転子が停止)してから試験管内壁から剥離するまでの時間(剥離時間)を計測した。
開始剤として、N-アセチルカプロラクタムをマイクロシリンジで注入後、100秒で回転子が停止した。そのまま静置させると、重合した内容物は回転子が停止後、200秒で剥離した。
さらに、冷却後、試験管を割り、内容物を取り出した。ニッパーで約3mm角のペレット状に切断し、次いでヘキサフルオロ−2−プロパノール(HFIP)に溶解し高速液体クロマトグラフィ(HPLC)で残存モノマー/オリゴマーを定量した。
カプロラクタム(モノマー)が5.0質量%、環状ダイマーから環状ヘプタマーまでの環状オリゴマー合計が1.9質量%、モノマーと環状オリゴマーの合計が6.9質量%(7%以下)であった。
すなわち、添加剤添加により、反応速度が向上した。未反応成分が抑制され、適切に重合された。離型性も改善し、ボイド発生も抑制された。
内容物をICP−AESで測定したところナトリウムが0.197質量%およびリチウムが0.012質量%であった。またガスクロマトグラフィーで測定したところステアリン酸が0.487質量%であった。
(実施例2)
実施例1の添加剤をベヘン酸リチウムにした以外は、実施例1と同様にした。
開始剤として、N-アセチルカプロラクタムをマイクロシリンジで注入後、100秒で回転子が停止した。そのまま静置させると、重合した内容物は回転子が停止後、180秒で剥離した。
カプロラクタム(モノマー)が4.5質量%、環状ダイマーから環状ヘプタマーまでの環状オリゴマー合計が1.9質量%、モノマーと環状オリゴマーの合計が6.4質量%(7%以下)であった。
すなわち、添加剤添加により、反応速度が向上した。未反応成分が抑制され、適切に重合された。離型性も改善し、ボイド発生も抑制された。
内容物をICP−AESで測定したところナトリウムが0.197質量%およびリチウムが0.012質量%であった。またガスクロマトグラフィーで測定したところベヘン酸が0.583質量%であった。
(実施例3)
実施例1の添加剤をベヘン酸リチウムにした以外は、実施例1と同様にした。
開始剤として、N-アセチルカプロラクタムをマイクロシリンジで注入後、97秒で、回転子が停止した。そのまま静置させると、重合した内容物は回転子が停止後、240秒で剥離した。
カプロラクタム(モノマー)が5.3質量%、環状ダイマーから環状ヘプタマーまでの環状オリゴマー合計が1.6質量%、モノマーと環状オリゴマーの合計が6.9質量%(7%以下)であった。
すなわち、添加剤添加により、反応速度が向上した。未反応成分は抑制され、適切に重合された。離型性も改善し、ボイド発生も抑制された。
内容物をICP−AESで測定したところナトリウムが0.198質量%およびリチウムが0.001質量%であった。またガスクロマトグラフィーで測定したところベヘン酸が0.059質量%であった。
(比較例1)
実施例1において、添加剤を添加しなかった以外は、実施例1と同様にした。
開始剤として、N-アセチルカプロラクタムをマイクロシリンジで注入後、120秒で、回転子が停止した。そのまま静置させたが、剥離しなかった。
カプロラクタム(モノマー)が5.8質量%、環状ダイマーから環状ヘプタマーまでの環状オリゴマー合計が1.9質量%、モノマーと環状オリゴマーの合計が7.7質量%(7%超)であった。
すなわち、反応速度が充分でなく、未反応成分が多く重合も充分でなかった。また、離型性にも問題があった。さらに、ポリアミドRIM成形体表面にボイドが発生していた。
(比較例2)
実施例1の添加剤をステアリン酸マグネシウムにした以外は、実施例1と同様にした。
開始剤として、N-アセチルカプロラクタムをマイクロシリンジで注入後、145秒で回転子が停止した。そのまま静置させると、重合した内容物は回転子が停止後、260秒で剥離した。
カプロラクタム(モノマー)が6.3質量%、環状ダイマーから環状ヘプタマーまでの環状オリゴマー合計が2.1質量%、モノマーと環状オリゴマーの合計が8.4質量%(7%超)であった。
すなわち、添加剤添加により、反応速度が低下した。未反応成分が多く重合も充分でなかった。
(比較例3)
実施例1の添加剤をステアリン酸カルシウムにした以外は、実施例1と同様にした。
開始剤として、N-アセチルカプロラクタムをマイクロシリンジで注入後、137秒で回転子が停止した。そのまま静置させると、重合した内容物は回転子が停止後、260秒で剥離した。
カプロラクタム(モノマー)が5.5質量%、環状ダイマーから環状ヘプタマーまでの環状オリゴマー合計が1.9質量%、モノマーと環状オリゴマーの合計が7.4質量%(7%超)であった。
すなわち、添加剤添加により、反応速度が低下した。未反応成分が多く重合も充分でなかった。
(比較例4)
実施例1の添加剤を臭化リチウムにした以外は、実施例1と同様にした。
開始剤として、N-アセチルカプロラクタムをマイクロシリンジで注入後、117秒で回転子が停止した。そのまま静置させたが、剥離しなかった。
カプロラクタム(モノマー)が5.7質量%、環状ダイマーから環状ヘプタマーまでの環状オリゴマー合計が2.3質量%、モノマーと環状オリゴマーの合計が8.0質量%(7%超)であった。
すなわち、添加剤添加により、反応速度は若干向上したが、未反応成分が多く重合も充分でなかった。また、離型性にも問題があった。さらに、ポリアミドRIM成形体表面にボイドが発生していた。
(実施例4)
実施例1の開始剤注入後の浸漬させるシリコンオイルの温度を140℃にした以外は、実施例1と同様にした。
開始剤として、N-アセチルカプロラクタムをマイクロシリンジで注入後、135秒で回転子が停止した。そのまま静置させると、重合した内容物は回転子が停止後、155秒で剥離した。
カプロラクタム(モノマー)が4.2質量%、環状ダイマーから環状ヘプタマーまでの環状オリゴマー合計が1.2質量%、モノマーと環状オリゴマーの合計が5.4質量%(7%以下)であった。
すなわち、添加剤添加により、反応速度が向上した。未反応成分が抑制され、適切に重合された。離型性も改善し、ボイド発生も抑制された。
内容物をICP−AESで測定したところナトリウムが0.197質量%およびリチウムが0.012質量%であった。またガスクロマトグラフィーで測定したところステアリン酸が0.487質量%であった。
(比較例5)
実施例4において、添加剤を添加しなかった以外は、実施例4と同様にした。
開始剤として、N-アセチルカプロラクタムをマイクロシリンジで注入後、145秒で回転子が停止した。そのまま静置させると、重合した内容物は回転子が停止後255秒で剥離した。
カプロラクタム(モノマー)が5.0質量%、環状ダイマーから環状ヘプタマーまでの環状オリゴマー合計が1.3質量%、モノマーと環状オリゴマーの合計が6.3質量%(7%以下)であった。
すなわち、重合温度低下により、反応速度が低下した。未反応成分は抑制された。剥離はしたが離型性には問題があった。ボイド発生も確認された。
(比較例6)
実施例4の添加剤をステアリン酸ナトリウムにした以外は、実施例4と同様にした。
開始剤として、N-アセチルカプロラクタムをマイクロシリンジで注入後、185秒で回転子が停止した。そのまま静置させると、重合した内容物は回転子が停止後、290秒で剥離した。
カプロラクタム(モノマー)が6.1質量%、環状ダイマーから環状ヘプタマーまでの環状オリゴマー合計が1.7質量%、モノマーと環状オリゴマーの合計が7.8質量%(7%超)であった。
すなわち、添加剤添加により、反応速度が低下した。未反応成分が多く重合も充分でなかった。
(添加剤に対する考察)
実施例1、実施例2、実施例3および実施例4によれば、添加剤の化合物としてリチウム塩を含むことにより、反応速度向上が確認できた。
とくに、実施例3によれば、添加剤が少量でも効果が確認できた。
比較例2および比較例3によれば、添加剤の化合物としてアルカリ土類金属塩を含む場合、反応速度が低下した。
比較例4によれば、添加剤にカルボン酸を含まない場合、離形性に問題があった。
(実施例5)
実施例4の触媒をN−カリウムカプロラクタムにした以外は、実施例4と同様にした。
開始剤として、N-アセチルカプロラクタムをマイクロシリンジで注入後、85秒で回転子が停止した。そのまま静置させると、重合した内容物は回転子が停止後、115秒で剥離した。
カプロラクタム(モノマー)が3.9質量%、環状ダイマーから環状ヘプタマーまでの環状オリゴマー合計が1.3質量%、モノマーと環状オリゴマーの合計が5.2質量%(7%以下)であった。
すなわち、添加剤添加により、反応速度が向上した。未反応成分が抑制され、適切に重合された。離型性も改善し、ボイド発生も抑制された。
内容物をICP−AESで測定したところカリウムが0.335質量%およびリチウムが0.012質量%であった。またガスクロマトグラフィーで測定したところステアリン酸が0.486質量%であった。
(実施例6)
実施例4の触媒をN−リチウムカプロラクタムとした以外は、実施例4と同様にした。
開始剤として、N-アセチルカプロラクタムをマイクロシリンジで注入後、100秒で回転子が停止した。そのまま静置させると、重合した内容物は回転子が停止後、155秒で剥離した。
カプロラクタム(モノマー)が2.9質量%、環状ダイマーから環状ヘプタマーまでの環状オリゴマー合計が1.1質量%、モノマーと環状オリゴマーの合計が4.0質量%(7%以下)であった。
すなわち、添加剤添加により、反応速度が向上した。未反応成分が抑制され、適切に重合された。離型性も改善し、ボイド発生も抑制された。
内容物をICP−AESで測定したところリチウムが0.072質量%であった。またガスクロマトグラフィーで測定したところステアリン酸が0.487質量%であった。触媒による反応速度向上が維持されたため、実施例とした。
(実施例7)
実施例1の添加剤をラウリン酸カリウムにした以外は、実施例1と同様にした。
開始剤として、N-アセチルカプロラクタムをマイクロシリンジで注入後、102秒で、回転子が停止した。そのまま静置させると、重合した内容物は回転子が停止後、132秒で剥離した。
カプロラクタム(モノマー)が5.7質量%、環状ダイマーから環状ヘプタマーまでの環状オリゴマー合計が1.8質量%、モノマーと環状オリゴマーの合計が7.5質量%(7%超)であった。
すなわち、添加剤添加により、反応速度が向上した。しかしながら、未反応成分が多く重合も充分でなかった。反応速度向上が認められたため、実施例とした。離型性は改善した。
内容物をICP−AESで測定したところナトリウムが0.198質量%およびカリウムが0.067質量%であった。またガスクロマトグラフィーで測定したところラウリン酸が0.343質量%であった。
実施例7によれば、添加剤の化合物としてカリウム塩を含む場合、反応速度が向上した。比較例6によれば、添加剤の化合物としてナトリウム塩を含む場合、反応速度が低下した。
実施例1、実施例2、実施例4および実施例7によれば、カルボン酸の炭素数が10〜25であれば、離型性が改善され、ボイド発生も抑制できた。
カルボン酸の炭素数が少ない場合、沸点が低くなり、気化によりボイドが発生しやすくなるおそれがある。一方、カルボン酸の炭素数が多い場合、添加剤がラクタム液に溶けにくく、添加剤としての効果が得られなくなり、反応速度向上に係る効果が得られなくなるおそれがある。
以上から、添加剤として、所定のカルボン酸化合物とリチウムの化合物を用いることにより、反応速度が向上し、離型性が改善し、ボイド発生を抑制できる。
Figure 2021049647
・速度効果の判定基準
〇:固化時間が110秒未満
△:固化時間が110秒以上〜140秒未満
×:固化時間が140秒以上
・離形効果の判定基準
〇:離形時間が250秒未満
×:離形時間が250秒以上
(触媒に対する考察)
実施例5および実施例6によれば、触媒の化合物をナトリウム塩からリチウム塩またはカリウム塩に代えると、更なる反応速度向上が確認できた。
(添加剤に対する考察)
実施例5および実施例6によれば、実施例1、実施例2、実施例3および実施例4と同様に、添加剤の化合物としてリチウム塩を含むことにより、反応速度向上が確認できた。
実施例5と実施例6とを比較すると、実施例5において顕著な効果が確認できた。これによれば、触媒の化合物としてのアルカリ金属塩と、添加剤の化合物としてのアルカリ金属塩が異なっていることが好ましい。
以上から、添加剤として、所定のカルボン酸化合物とリチウムの化合物を用いることにより、反応速度が向上し、離型性が改善し、ボイド発生を抑制できる。

Claims (12)

  1. 高周波誘導結合プラズマ発光分光分析法で測定したリチウムの含有量が0.001質量%以上であり、
    ガスクロマトグラフィーで測定したカルボン酸の含有量が0.01質量%以上である
    ポリアミドRIM成形体。
  2. さらに高周波誘導結合プラズマ発光分光分析法で測定したナトリウムの含有量が0.001質量%以上である請求項1記載のポリアミドRIM成形体。
  3. 前記カルボン酸が、炭素数6〜30の脂肪族カルボン酸である請求項1または2に記載のポリアミドRIM成形体。
  4. 前記カルボン酸が、炭素数10〜25の脂肪族カルボン酸である請求項1または2に記載のポリアミドRIM成形体。
  5. 前記脂肪族カルボン酸が、飽和脂肪族カルボン酸である請求項3または4に記載のポリアミドRIM成形体。
  6. ラクタム類を原料とし、
    前記ラクタム類がカプロラクタムまたはラウロラクタムである請求項1〜5のいずれかに記載のポリアミドRIM成形体。
  7. 前記ポリアミドがポリアミド6またはポリアミド12である請求項1〜6のいずれかに記載のポリアミドRIM成形体。
  8. 高速液体クロマトグラフィーで測定したポリアミドRIM成形体中のモノマーと環状ダイマーから環状ヘプタマーまでのオリゴマーの合計の含有量が7.0質量%以下である請求項1〜7のいずれかに記載のポリアミドRIM成形体。
  9. ラクタム類を成形型枠内で重合、成形するポリアミドRIM成形体の製造方法であって、
    触媒として、N−ナトリウムカプロラクタムを用い、
    添加剤として、カルボン酸化合物とリチウムまたはカリウムの化合物を用いる
    ポリアミドRIM成形体の製造方法。
  10. 前記カルボン酸化合物が、炭素数6〜30の脂肪族カルボン酸である請求項9に記載のポリアミドRIM成形体の製造方法。
  11. ラクタム類を成形型枠内で重合、成形するポリアミドRIM成形体の製造方法であって、
    触媒として、N−カリウムカプロラクタムまたはN−リチウムカプロラクタムを用い、
    添加剤として、カルボン酸化合物とリチウムまたはカリウムの化合物を用いる
    ポリアミドRIM成形体の製造方法。
  12. ラクタム類を成形型枠内で重合、成形するポリアミドRIM成形体であって、
    カリウムを含有し、
    カルボン酸化合物を含有する
    ポリアミドRIM成形体。
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