JPH0774287B2 - ポリアミド発泡構造体およびその製造法 - Google Patents

ポリアミド発泡構造体およびその製造法

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JPH0774287B2
JPH0774287B2 JP63173948A JP17394888A JPH0774287B2 JP H0774287 B2 JPH0774287 B2 JP H0774287B2 JP 63173948 A JP63173948 A JP 63173948A JP 17394888 A JP17394888 A JP 17394888A JP H0774287 B2 JPH0774287 B2 JP H0774287B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明はポリアミド発泡構造体およびその製造法に関す
るものであり、更に詳しくはラクタム類を特定の活性化
剤および有機分解型発泡剤の存在下に陰イオン重合する
ことにより得られる特定の構造を有し、しかも表面外
観、機械的諸特性にすぐれたポリアミド発泡構造体およ
びその製造法に関するものである。
〔従来の技術〕
ポリアミドは、強度、剛性、耐衝撃性が高く、耐熱性、
耐摩耗性、耐薬品性も良好であるため、自動車部品、機
械部品、電気・電子部品などの用途に広範に用いられて
いる。
ナイロン6や66に代表される脂肪族ポリアミドは結晶性
ポリマであり、この結晶性故に上記の好ましい性質が発
現されるわけであるが、反面、結晶化の際に起こる体積
収縮によって成形品にソリ、ヒケなどが発生するという
問題がある。このような体積収縮による成形品のソリ、
ヒケなどを成形品中に気泡セルを含有する発泡成形体と
することにより回避し、更には成形品の軽量化をも達成
しようとする試みがいくつかなされている。例えば特開
昭60−208213号公報にはポリアミドに5−フェニルテト
ラゾールなどの発泡剤を添加していわゆるショートショ
ット法で射出成形して発泡成形品を得る方法が開示され
ている。またポリアミド発泡成形品を得る別の方法とし
てはラクタム類の陰イオン重合反応を利用した反応射出
成形法と発泡手法を組み合わせたものがいくつか知られ
ている。これらの例としては窒素ガス、アルゴンガス、
乾燥空気などの不活性ガスを原料ラクタムに溶解してお
き、金型内で重合すると同時に発泡を生起せしめるガス
ローディング法によりポリアミド発泡成形体を得るもの
(例えば特開昭60−18332号公報)、更にガスローディ
ング法における発泡挙動を改善するため、ラクタムに可
溶なスチレン系化合物の存在下に重合発泡を行い、発泡
成形体を得るもの(例えば特開昭62−131040号公報な
ど)ベンゼン、トルエンなどの炭化水素系揮発型発泡剤
を用いて重合発泡を行い、発泡成形体を得るもの(例え
ば特公昭51−1463号公報など)、ギ酸、酢酸などのカル
ボン酸や無水マレイン酸、無水フタル酸などの酸無水物
を発泡剤として用い発泡成形体を得るもの(例えば特開
昭55−43125号公報,特開昭57−153031号公報など)を
挙げることができる。
〔発明が解決しようとする課題〕
しかし上記従来技術によって得られるポリアミド発泡成
形品の特性は必ずしも満足できるものではない。ポリア
ミド発泡成形品に要求される特性としては発泡により成
形品のヒケ、ソリを防止し、軽量化することの他に、本
来ポリアミド成形品の有するすぐれた強度、剛性、耐摩
耗性、耐薬品性を保持すること、そして成形品の塗装の
際に必要とされる高い表面平滑性などがあるが、従来技
術で得られるポリアミド発泡成形品ではこれら要求の全
てを満足できるものはない。例えば特開昭60−208213号
公報に開示された溶融発泡射出成形法によって得られる
ナイロン6発泡成形品はヒケ、ソリの改良と表面平滑性
は比較的良好であるが、成形品表層部分の結晶化度が高
々20%と低く、球晶の成長も十分でないために耐摩耗性
が低く、またアルコールなどとの接触により表面が荒れ
るなど耐薬品性も損なわれるという問題がある。一方、
特開昭60−18332号公報のようにラクタム類の反応射出
成形法とガスローディング法を組み合わせて得られる発
泡成形品は、ラクタム原液が低粘度であるために発生し
た気泡が成形品表面にまで出てきてしまい表面平滑性の
劣った成形品しか得られず、また気泡の凝集、粗大化の
ため強度、剛性の低下も避けられない。特開昭62−1310
40号公報には上記の欠点を改良するため、ラクタムに可
溶なスチレン系樹脂の存在下に重合/発泡せしめる方法
が記載されているが、これでもまだ十分な表面平滑性を
得ることはできず、更にポリスチレン系樹脂の添加によ
り、強度、耐薬品性が低下するという問題がある。特公
昭51−1463号公報のように揮発型発泡剤を用いて得られ
た発泡成形品は成形品中の気泡が大きいために、強度、
剛性が不十分であり、特開昭55−43125号公報、特開昭5
7−153031号公報のようにカルボン酸やカルボン酸無水
物を用いて得られた成形品は発泡剤の発泡効率が低いた
めにヒケ、ソリが完全に解消されず表面外観が不良であ
る。
〔課題を解決するための手段〕
本発明者らポリアミド発泡構造体に対する諸要求、すな
わち、成形品にヒケ、ソリがないこと、軽量性、すぐれ
た強度、剛性、耐摩耗性、耐薬品性そして表面塗装に十
分耐える良好な表面平滑性の全てを満たす実用的価値の
高いポリアミド発泡構造体を得るべく鋭意検討したとこ
ろ、特定の結晶化度、球晶サイズと厚さを備えた表面ス
キン層を有し、且つ特定の鏡面光沢度を有するポリアミ
ド発泡構造体が上記要求特性全てを満足することを見出
し、またはそのようなポリアミド発泡構造体がラクタム
類を特定の活性化剤と分解型発泡剤の存在下に陰イオン
重合せしめることにより効率的に得られることを見出し
本発明に到達した。
すなわち本発明は、ラクタム類の反応射出成形によって
得られるポリアミドマトリクス中に分散した発泡セルを
含有するポリアミド発泡構造体において、実質的に発泡
セルを含まず、35%以上の結晶化度を有し、且つその結
晶から形成される球晶が5μm以上である厚さ0.01〜2m
mの表面スキン層と発泡セルを含む内部コア層よりな
り、該成形品の鏡面光沢度が40%以上であることを特徴
とするポリアミド発泡構造体および下記(A)成分およ
び(B)成分を90〜140℃で混合し、該混合物を直ちに1
40〜170℃の型中へ注入した後、型内で重合発泡をせし
めて発泡構造体を得ることを特徴とする上記ポリアミド
発泡構造体の製造法に提供するものである。
(A)成分:(イ)実質的に無水のラクタムおよび
(ロ)全ラクタムに対して0.05〜5モル%の陰イオン重
合触媒の混合物。
(B)成分:(イ)実質的に無水のラクタム,(ロ)全
ラクタムに対して0.01〜3モル%の(I)式で表わされ
る活性化剤および(ハ)全ラクタム100重量部に対して
0.05〜5重量部の有機アゾ化合物および有機スルホニル
ヒドラゾン化合物の中から選ばれた少なくとも一種の有
機分解型発泡剤の混合物。
(ここでnは4〜11の整数を表わし、Rは炭素数4〜20
の炭化水素基又は一部ハロゲン置換された炭化水素基を
表わす。) 本発明のポリアミド発泡構造体の特徴は、発泡セルを含
む内部コア層以外に、厚さ0.01〜2mmの発泡セルを実質
的に含まず、35%以上の結晶化度と5μm以上の球晶径
を有する特定の表面スキン層を持ち、なおかつ成形体表
面が40%以上の鏡面光沢度を有することであり、これら
の特性を全て兼ね備えることによってはじめてヒケ、ソ
リがなく軽量で強度、剛性、耐摩耗性、耐薬品性がすぐ
れ、表面外観良好な実用価値の高い成形体となるのであ
る。
まず、表面スキン層の結晶化度と球晶径は発泡構造体の
耐摩耗性、耐薬品性を高レベルに保つために決定的に重
要である。そもそもポリアミド樹脂の耐摩耗性、耐薬品
性はその結晶相において特にすぐれていることが知られ
ており、本発明の発泡構造体のように、成形品表面スキ
ン層が35%以上という極めて高い結晶化度と5μm以上
の球晶径をもつ成長度合の高い結晶をもつことにより極
めてすぐれた耐摩耗性、耐薬品性が付与されるのであ
る。この特定の結晶形態をもつ表面スキン層は特定の触
媒系を用いたラクタムの反応射出成形法によって初めて
得られるものであり、通常の溶融射出成形法のように溶
融ポリマが金型表面で急冷される成形法では決して得ら
れないものである。スキン層の結晶化度、球晶径が規定
の範囲を外れると、限界摩擦指数が低下したり、成形品
塗装の前工程の脱脂又はプライマー処理工程において表
面が薬品に浸されて外観不良となるなどの問題が発生す
るので好ましくない。更に成形品の鏡面光沢度は40%以
上であることが必要であり、鏡面光沢度が40%に満たな
いと塗装する際に均一な塗装ができず、塗装膜の均一性
不足、塗膜強度の低下を招くので好ましくない。
本発明で用いるラクタムとしてはピロリドン、バレロラ
クタム、カプロラクタム、エナントラクタム、カプリル
ラクタム、ラウロラクタムなどを挙げることができ、な
かでもε−カプロラクタムまたはε−カプロラクタムを
主成分とし、他のω−ラクタムを共重合成分とする混合
物の使用が好ましい。
本発明で用いるラクタムはいかなる方法で製造されたも
のも使用可能であるが、実質的に無水のものであること
が必要である。
本発明の方法におけるラクタムの陰イオン重合は触媒お
よび活性化剤を用いて実施される。
上記触媒はアルカリ金属、アルカリ土類金属、該金属の
水素化物、水酸化物、酸化物、炭酸塩、アルコキシ化合
物、アルキル化合物、アリール化合物、グリニヤール試
薬、アルミニウム化合物およびこれら金属とラクタムの
塩の内から選ばれた少なくとも一種の化合物が好まし
く、特に好適な金属はリチウム、ナトリウム、カリウ
ム、マグネシウム、カルシウムおよびアルミニウムであ
る。中でも特に本発明において有用な触媒の具体例とし
ては、水素化リチウム、メチルリチウム、リチウムメト
キシド、ナトリウム、水素化ナトリウム、ナトリウムメ
トキシド、ナトリウムエトキシド、水酸化ナトリウム、
炭酸ナトリウム、ナトリウムラクタメート、カリウム、
水酸化カリウム、カリウムメトキシド、カリウムエトキ
シド、水酸化カリウム、炭酸カリウム、カリウムラクタ
メート、水酸化カルシウム、エチルマグネシウムブロミ
ド、ブチルマグネシウムブロミド、プロピルマグネシウ
ムブロミド、フェニルマグネシウムブロミド、エチルマ
グネシウムクロリド、プロピルマグネシウムクロリド、
ブチルマグネシウムクロリド、フェニルマグネシウムク
ロリドおよびこれらグリニヤール試薬とε−カプロラク
タムとの反応生成物、トリエチルアルミニウム、ジエチ
ルクロロアルミニウム、エチルジクロロアルミニウム、
アルミニウムプロポキシドおよびこれらアルミニウム化
合物とε−カプロラクタムとの反応生成物などを挙げる
ことができる。
触媒の添加量は重合活性の点から全ラクタムに対して0.
05〜5モル%であり、好ましくは0.1〜3モル%の範囲
内、更に好ましくは0.2〜2モル%の範囲内である。
本発明の方法において用いられるラクタム類の陰イオン
重合活性化剤は前記(I)式で表わされるビスアシルラ
クタム化合物である。一般にラクタム類の陰イオン重合
においては、重合反応速度および生成する重合体の分子
量や直鎖性に最も影響を与えるのが活性化剤である。本
発明のごとく、反応射出成形法に用いて重合と発泡を同
時に進行せしめ前記の特定の構造を有する発泡成形品を
得るためには、重合速度と発泡剤の発泡速度がうまくバ
ランスするよう、活性化剤を選択することが必要であ
る。本発明で用いられるビスアシルラクタム化合物は分
子内に2個の活性基を有しているため重合活性化効果が
大きく、また2官能性であるために生成するポリアミド
分子は側鎖や架橋点を実質的にもたない直鎖状ポリマで
ある。このため極めて結晶化に好都合であり、スキン層
においても35%以上という高い結晶化度と大きく成長し
た球晶を与えることができるのである。このようなビス
アシルラクタム化合物の例としては、アジポイルビスカ
プロラクタム、アジポイルビスピロリドン、セバコイル
ビスカプロラクタム、セバコイルビスピロリドン、テレ
フタロイルビスカプロラクタム、イソフタロイルビスカ
プロラクタム、2−クロロテレフタロイルビスカプロラ
クタム、2,5−ジクロロテレフタロイルビスカプロラク
タムなどを挙げることができ、これらは各々単独又は混
合物の形で用いることができる。
活性化剤の添加量はε−カプロラクタムに対して0.01〜
3モル%の範囲内であり、重合速度、重合率の点から好
ましくは0.05〜2モル%である。
本発明で用いられる分解型発泡剤は有機アゾ化合物およ
び有機スルホニルヒドラゾン化合物の内から選ばれるも
のであり、特に半減期が10時間を示す分解温度が80〜17
0℃の範囲内にある有機アゾ化合物および分解温度100〜
200℃の範囲内にある有機スルホニルヒドラゾン化合物
が好ましい。これら分解型発泡剤はラクタムの重合時に
外部熱と重合熱により分解を起こし、分子状の窒素を主
成分とするガスを発生する。このため、発泡剤として溶
存不活性ガスや揮発型発泡剤を用いたのでは得られない
微細で均一な発泡セルを生起せしめることができるので
ある。このような分解型発泡剤の例として2,2′−アゾ
ビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2′−アゾビ
ス(2−メチルブチロニトリル)、1,1′−アゾビス
(1−シクロヘキサンカルボニトリル)、2,2′−アゾ
ビス(2,4,4−トリメチルペンタン)、2−フェニルア
ゾ−2,4−ジメチル−4−メトキシバレロニトリルなど
のアゾ化合物およびトルエンスルホニルアセトンヒドラ
ゾン、ベンゼンスルホニルアセトヒドラゾン、4,4′−
オキシビスベンゼンスルホニルヒドラゾン、トルエン−
2,4−ジスルホニルヒドラゾン、p,p′−メチレン(ベン
ゼンスルホニルヒドラゾン)などのスルホニルヒドラゾ
ン化合物などを挙げることができる。これらの分解型発
泡剤は各々単独又は混合物の形で用いることができ、そ
の添加量はラクタム100重量部に対して0.05〜5重量
部、好ましくは0.1〜3重量部である。添加量が0.05重
量部に満たないと、ラクタムの重合中に十分な発泡が起
こらず、ヒケ、ソリ防止効果が小さいので好ましくな
く、逆に添加量が5重量部を越えると過度の発泡により
表面スキン層の消失と鏡面光沢度の低下が起こるので好
ましくない。
本発明のポリアミド発泡構造体は上記のラクタムと陰イ
オン重合触媒からなる(A)成分とラクタム、活性化
剤、発泡剤からなる(B)成分を原料として反応射出成
形を行うことによって得られるが、その際には保温、混
合温度を90〜140℃に、型内での重合成形温度を140〜17
0℃に制御する必要がある。保温、混合温度が90℃に満
たないと原料ラクタムの固化が起こるので好ましくな
く、一方、140℃を越えると発泡剤の消失が顕在化する
ので好ましくない。また重合成形温度が140℃に満たな
いと、重合速度の低下および球晶径の低下が起きるので
好ましくなく、逆に170℃を越えると重合と発泡のバラ
ンスがくずれ、発生した泡の凝集、巨大化が発生するの
で好ましくない。
本発明のポリアミド発泡構造体には重合性、物性を損な
わない限りにおいて他の添加剤、例えば、繊維状或いは
非繊維状の無機質補強材、顔料、染料、耐熱剤、酸化防
止剤、耐候剤、離型剤、難燃剤、整泡剤、帯電防止剤、
結晶核剤などを添加導入することができる。
特にポリアミド発泡構造体の強度、剛性などの機械的特
性を改良する目的で無機質補強材を添加導入することは
本発明においても好ましい態様である。無機質補強材の
例としては、ガラス繊維のチョップドストランド、ミル
ド繊維、炭素繊維のチョッドストランド、ミルド炭素繊
維、チタン酸カリウィスカー、タルク、炭酸カルシウ
ム、ワラステナイト、マイカ、アスベスト繊維、ガラス
フレーク、アルミニウムフレーク、カオリン、シリカ、
ガラスビーズなどを挙げることができ、これら補強材を
添加する場合の添加量は全ラクタム100重量部に対して1
0〜150重量部であり、好ましくは20〜100重量部であ
る。無機補強材は(A)成分、(B)成分いずれに添加
してもよく、両方に添加することも可能である。
本発明のポリアミド発泡構造体は各種機械部品、自動車
部品、電気・電子部品、一般雑貨などに有用である。
〔実施例〕
以下に実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明する。な
お、以下の例で述べる諸特性は次の方法で測定した。
(1) 表面スキン層厚み:成形品表面付近の断面を顕
微鏡観察し、測定した。
(2) 表面スキン層球晶径:成形品表層部切片の偏光
顕微鏡写真を撮影し、その写真から読み取った。
(3) 表面スキン層結晶化度:成形品表層部の切片を
トルエン/四塩化炭素を溶媒とする密度勾配管中に投入
して25℃における密度を測定し、その密度から下記式に
従って算出した。
x:結晶化度 d:試料の密度 dc:結晶質の密度 da:非晶質の密度 (4) 鏡面光沢度:JIS−Z−8741に従って村上色彩技
術研究所製グロスメーターGMを用いて入射角60℃におけ
る鏡面光沢度を測定した。
(5) 引張特性:ASTM D638 (6) 曲げ特性:ASTM D790 (7) アイゾット衝撃強度:ASTM D256 (8) 耐摩耗性:鈴木式摩耗試験機を用い、すべり速
度20〜50m/分、荷重20〜50kg/cm2の条件下で摩耗試験し
た際の限界PV値を目安とした。
(9) 耐薬品性:試験片を沸騰メタノールに30分浸漬
した後の鏡面光沢度を目安とした。
実施例1 実質的に無水のε−カプロラクタム100gに4.01gのカリ
ウムラクタメートを添加し、90℃で均一溶解し、(A)
成分とした。一方、実質的に無水のε−カプロラクタム
100gに6.30gのテレフタロイルビスカプロラクタムおよ
び1,1−アゾビス(1−シクロヘキサンカルボニトリ
ル)1.0gを添加し、90℃で均一溶解し、(B)成分とし
た。(A)成分および(B)成分を別々の容器に90℃で
保存し、同量の(A),(B)両成分を混合器を用いて
混合した後、160℃に加熱した金型中に注入し、重合を
実施した。成形品は80×150×3mmの大きさの平板であ
る。重合開始から6分後に金型を開いて成形品を取り出
したところ、表面外観良好な成形品が得られた。このも
のは厚さ0.3mmの表面スキン層を有し、そのスキン層部
分の結晶化度は42%、球晶径は10〜20μmであり、鏡面
光沢度は65%と高い数値を示した。またこのものの他の
特性は第1表に示す通りであり、ここで得られた成形品
が外観良好、且つ強度、剛性および耐摩耗性、耐薬品性
にすぐれた極めて実用価値の高いものであることが判明
した。
比較例1 1,1′−アゾビス(1−シクロヘシサンカルボニトリ
ル)を用いずに、原液に乾燥窒素ガスを0.8kg/cm2の加
圧下に溶解し、以下実施例1と同様の方法で発泡反応射
出成形を実施したが、ここで得られた成形品には発泡セ
ルを含まないスキン層が存在せず、このため鏡面光沢度
が10%と極めて低く、更に強度、剛性も不足しており、
実用に耐えられないものであった。
比較例2 分子量18,000のナイロン6ペレット100重量部に発泡剤
5−フェニルテトラゾール0.3重量部をドライブレンド
して射出成形温度280℃、金型温度80℃の条件で低圧シ
ョートショット法で成形し、80×80×3mmの角板を得
た。このものは比較的良好な表面外観を有し、60%の鏡
面光沢度であったが、表面スキン層部分の結晶化度が20
%と低いために限界PV値が350kg・m/cm2・分と不足であ
り、また沸騰メタノール処理により、鏡面光沢度が20%
に低下するなど耐薬品性も不十分であった。
実施例2 カリウムラクタメートの代わりに3.83gのブロモマグネ
シウムラクタメートを用いて(A)成分を作成し、1,
1′−アゾビス(1−シクロヘキサンカルボニトリル)
の代わりに0.8gの2,2′−アゾビス(2,4,4−トリメチル
ペンタン)を用い、テレフタロイルビスカプロラクタム
の代わりに6.91gの2−クロロテレフタロイルカプロラ
クタムを用いて(B)成分を作成した。ここで得られた
(A)成分、(B)成分を以下実施例1と全く同様の方
法で反応射出成形に供し、ここでも重合時間5分で表面
外観良好な成形品が得られた。このものの特性は第1表
に示す通りであり、所定の結晶化度と球晶径を持つスキ
ン層を有し、機械的諸特性、耐薬品性にもすぐれた実用
価値の高いものであることが判明した。
実施例3 反応射出成形装置を用いて成形した例を下記に示す。成
形型は物性・面品質評価の容易さから平板形状に所々リ
ブが設置されているリブ付平板型を用いた。Aタンクに
は実質的に無水のε−カプロラクタム11.3kg(100モ
ル)、全カプロラクタムに対し1.5モル%のカプロラク
タムマグネシウムプロミドを、Bタンクには実質的に無
水のε−カプロラクタム11.3kg(100モル)、全カプロ
ラクタムに対し0.5モル%の2−クロロテレフタロイル
ビスカプロラクタム及び0.3wt%の2,2′−アゾビス(2,
4,4−トリメチルペンタン)を投入し、窒素雰囲気中で1
05℃,1時間加熱溶融撹拌した。
前述型温を160℃に加熱し、衝突圧力10kg/cm2で5秒型
内に混合注入し、5分後に脱型したところ、外観良好な
成形品が得られた。このものは0.2mmの表面スキン層を
有し、結晶化度は47%、球晶径は13〜24μmであり、鏡
面光沢度が68%であった。他の物性については第1表に
示す。
また、本実施例で得られたリブ部の断面顕微鏡写真(10
倍)を第1図として示す。第1図において、上方に黒く
見えるのが表面スキン層1であり、他の部分は内部コア
層2であり、発泡セルが白い点として観察される。3は
リブである。
〔発明の効果〕 ラクタム類の反応射出成形法によって得られるポリアミ
ド発泡構造体において本発明のように特定の結晶化度と
結晶構造をもつ表面スキン層を有し、且つ、所定以上の
鏡面光沢度を有する発泡構造体がヒケ、ソリのない強
度、剛性、耐摩耗性、耐薬品性、良外観などの諸要求特
性の全てを満たすことができ、そのような特定の発泡構
造体は特定の重合活性剤と分解型発泡剤の存在下にラク
タム類を反応射出成形せしめることにより効率的に製造
することが可能になった。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明のポリアミド発泡構造体の断面における
泡粒子の構造写真である。 1……表面スキン層、2……内部コア層、3……リブ。
フロントページの続き (72)発明者 千葉 一正 愛知県名古屋市港区大江町9番地の1 東 レ株式会社名古屋事業場内 (72)発明者 土屋 泰広 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動 車株式会社内 (72)発明者 影山 裕史 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動 車株式会社内 (72)発明者 藤森 功吉 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動 車株式会社内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ラクタム類の反応射出成形によって得られ
    るポリアミドマトリクス中に分散した発泡セルを含有す
    るポリアミド発泡構造体であって、実質的に発泡セルを
    含まず、35%以上の結晶化度を有し、且つその結晶から
    形成される球晶が5μm以上である厚さ0.01〜2mmの表
    面スキン層と発泡セルを含む内部コア層よりなり、該成
    形品の鏡面光沢度が40%以上であることを特徴とするポ
    リアミド発泡構造体。
  2. 【請求項2】下記(A)成分および(B)成分を90〜14
    0℃で混合し、該混合物を直ちに140〜170℃の型中へ注
    入した後、型内で重合発泡をせしめて発泡構造体を得る
    ことを特徴とする実質的に発泡セルを含まず、35%以上
    の結晶化度を有し、且つその結晶から形成される球晶が
    5μm以上である厚さ0.01〜2mmの表面スキン層と発泡
    セルを含む内部コア層よりなり、該成形品の鏡面光沢度
    が40%以上であるポリアミド発泡構造体の製造法。 (A)成分:(イ)実質的に無水のラクタムおよび
    (ロ)全ラクタムに対して0.05〜5モル%の陰イオン重
    合触媒の混合物。 (B)成分:(イ)実質的に無水のラクタム,(ロ)全
    ラクタムに対して0.01〜3モル%の(I)式で表わされ
    る活性化剤および(ハ)全ラクタム100重量部に対して
    0.05〜5重量部の有機アゾ化合物および有機スルホニル
    ヒドラゾン化合物の中から選ばれた少なくとも一種の有
    機分解型発泡剤の混合物。 (ここでnは4〜11の整数を表わし、Rは炭素数4〜20
    の炭化水素基又は一部ハロゲン置換された炭化水素基を
    表わす。)
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