JP2021046715A - 管継手及び管継手の設置構造 - Google Patents
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Abstract
Description
特許文献1に記載された排水集合管は、管本体に複数の横枝管を接続し、管本体の内側に管軸方向に張り出す逆流防止用の縦リブを複数設け、管本体の内側に流体旋回用の旋回羽根を設けた構造が採用されている。
また、以下の特許文献2に記載のように、複数の横枝管を接続した管状の継手構成部材において内部に複数の縦リブを一体的に設けた構造が知られている。
例えば、縦リブを一体化した排水集合管を成形する場合、肉厚な縦リブの部分に樹脂収縮に起因するヒケを生じるおそれがあり、ヒケの発生が原因となって排水集合管が変形するおそれがある。このため、排水集合管に形成可能な縦リブの形状には一定の制限を生じる問題がある。
なお、金型による成型時に型を抜く方向と平行な方向に沿ってのみ縦リブを形成することが可能となるが、このため、縦リブの形状に制約を生じる問題がある。
更に、縦リブを備えた排水集合管を樹脂により一体形成する場合、成形用金型のゲート位置に制約を生じる問題がある。例えば、縦リブを備える排水集合管の側面側にゲートを配置すると、金型の縦リブ成形用空所の隅々まで樹脂を充填することが難しくなるので、ゲート位置の選定が制約される問題がある。
「1」本形態に係る管継手は、筒状に形成された継手本体と、端部が前記継手本体の側面に接続され、前記端部に形成された開口が前記継手本体内に連通し、横管路部が接続される側方継手部と、前記継手本体の内部に挿入された環状体から延出されて前記継手本体の内周面から張り出すように設けられ、前記継手本体の軸線方向に延在し、前記側方継手部に望む位置に形成された逆流防止部と、を備えることを特徴とする。
逆流防止部を備えた環状体を継手本体内に設けることにより、逆流防止部を継手本体内部の目的の位置に設置できる。
逆流防止部を備えた環状体は継手本体と別体構成が可能であり、継手本体を成形する場合に逆流防止部と環状体を含めた構成としての成形性は考慮する必要が無い。このため、逆流防止部を備えた構成であっても、継手本体の成形性を難しくすることがなく、管継手を製造し易くできる。
このため、水が逆流防止部に当たって生じる音(異音)の発生を抑制できる結果、管継手の近くに建築物の使用者がいた場合に異音発生に伴うクレームを生じ難い。
逆流防止部を備えた環状体は継手本体と別体構成が可能であり、継手本体を成形する場合に逆流防止部と環状体を含めた構成としての成形性は考慮する必要が無い。このため、逆流防止部を備えた管継手の構成であっても、継手本体の成形性を難しくすることがない。
また、環状体を設置する位置を調整することで、継手本体内の目的の位置に逆流防止部を設置できる。
図1に、本実施形態の管継手24が使用される、集合住宅やオフィスビルディング等の建築物1を示す。建築物1は、その内部に排水路21を備えている。排水路21は、各階で発生した排水を集める横管路部22と、横管路部22が集めた排水を下方に向かって流す縦管路部23と、横管路部22と縦管路部23とを接続する管継手24と、を備えている。なお、図1においては、後述する側方継手部30Bは示していない。
建築物1は、各階を上下方向に仕切る床スラブ11を備えている。床スラブ11は、水平面に沿って延びている。
横管路部22は、管継手24側が水勾配程度に下方となるように、床スラブ11上をほぼ水平面に沿って延びている。縦管路部23は、上下方向に延びている。横管路部22及び縦管路部23は、樹脂等で管状に形成されている。
管継手24は、上方継手部28及び側方継手部30が床スラブ11よりも上方に位置するように、床スラブ11に形成された貫通孔11aに挿入されている(図2参照)。
継手本体27は、自身の軸線Cが上下方向に延びる円筒状に形成されている。継手本体27は、本体上部34と、本体中間部35と、本体下部36と、を備えている。本体上部34、本体中間部35、及び本体下部36は、円筒状に形成され、互いに同軸上に配置されている。
上方継手部28は、円筒状に形成され、本体上部34の上端部に本体上部34と同軸に設けられている。上方継手部28の内部空間は、本体上部34の内部空間と連通されている。
上方継手部28は、本体上部34の上端部に形成された開口に装着された状態で接着等により固定されている。上方継手部28内には、縦管路部23の下端部が挿入され、上方継手部28に縦管路部23が接着等により固定(接続)されている。すなわち、上方継手部28は縦管路部23の受口である。
側方継手部30A、30B、30Cは、継手本体27の軸線C周りに、例えば90°ごとに配置されている。側方継手部30Aと側方継手部30Cとは、本体上部34を介して対向している。
側方継手部30A、30B、30Cは円筒状に形成され、自身の軸線が水平面に沿うように配置されている。側方継手部30A、30B、30Cの各端部は、本体上部34の側面に接続されている。側方継手部30A、30B、30Cの端部に形成された開口30aA、30aB、30aCは、本体上部34内に連通されている。
側方継手部30A、30B、30Cの端部における開口30aA、30aB、30aCの周縁部には、側方継手部30A、30B、30Cの径方向内側に向かって突出する側方ストッパ30bA、30bB、30bCがそれぞれ形成されている。側方ストッパ30bA、30bB、30bCは、環状に形成され、側方継手部30A、30B、30Cの端部における内周面に設けられている。
横管路部22の端部は側方ストッパ30bA、30bB、30bCに係止されている。側方継手部30B、30Cの内径、及びこれらに対応する横管路部22の端部の外径は、互いに同等である。また、側方継手部30Aの内径、及びこれに対応する横管路部22の端部の外径は、側方継手部30B、30Cの内径、及びこれに対応する横管路部22の端部の外径より小さく形成されている。側方ストッパ30bA、30bB、30bCの壁部の径方向の長さは、横管路部22の壁部の径方向の長さよりも短い。このため、横管路部22の継手本体27側の端部の内周面の下端よりも、側方ストッパ30bA、30bB、30bCの内周面の下端の方が下方に配置されている。
図2の詳細構造に示すように側方継手部30Aには、円筒状の第1ブッシュ32と第1パッキン33と第1リング37が設けられている。第1ブッシュ32は、本体管32Aからなり、その外周部よりの内側位置に小径円筒状の区画壁32Bが形成されている。
第1ブッシュ32を側方継手部30Aに装着した状態で軸線を水平向きとする区画壁32Bの内側に第1パッキン33を介して横管路部22Aの先端部が挿入されている。図2の例では側方継手部30Aに小径の横管路部22Aが接続されるので、区画壁32Bが横管路部22Aの受口となる。
第一旋回羽根45は、本体上部34の内周面のうち、開口30aCに対して開口30aBとは継手本体27の周方向に反対向きの位置である開口30aCの縁部に配置されている。
第一旋回羽根45は、本体上部34に接着等により固定されているか、射出形成等により本体上部34と一体に形成されている。
本体上部34の下端部内周側であって、床スラブ11の上面と略同一高さ位置に内周段部34aが形成され、この内周段部34aの直下に環状体43が配置されている。内周段部34aの下面34bは床スラブ11の上面より若干低い位置に形成されているので、下面34bは床スラブ11に形成されている貫通孔11aの内側に配置されている。
環状体43は、本体上部34の内周段部34aと本体中間部35の上端部との間に挟持された状態で接着等により本体上部34内に固定されている。
なお、逆流防止リブ31は環状体43と一体成形した樹脂製のものが望ましいが、それぞれ別体構成としてそれらを接着や嵌合により組み立てたものでも良い。環状体43と逆流防止リブ31は継手本体27を構成する樹脂と同等の樹脂からなるが、環状体43と逆流防止リブ31を別体とする場合は個々に異なる樹脂から構成されていても良い。
逆流防止リブ31は、本体上部34の内周面における側方継手部30A、30B、30Cの開口30aA、30aB、30aCから継手本体27の周方向に位置をずらした部分から軸線Cに向かって張り出すように設置されている。
逆流防止リブ31は、その下端を側方継手部30A、30B、30Cの開口30aA、30aB、30aCのいずれの下端よりも若干下方に配置させて本体上部内に設けられている。
例えば、上部継手部28から流れ落ちる排水との干渉を回避できるとは、図3に示すように継手本体内部を平面視した状態において、上部継手部28の開口部39a内に逆流防止リブ31が配置されていないことを意味する。
逆流防止リブ31Bは、本体上部34の内周面のうち、開口30aAと開口30aBとの間の位置に配置されている。逆流防止リブ31A、31Bは、開口30aAを継手本体27の周方向に左右両側から挟み込んでいる。
逆流防止リブ31Cは、本体上部34の内周面のうち、開口30aBと開口30aCとの間の位置に配置されている。逆流防止リブ31B、31Cは、開口30aBを周方向に左右両側から挟み込んでいる。
逆流防止リブ31Dは、本体上部34の内周面のうち、開口30aAと開口30aCとの間であって開口30aCの縁部に配置されている。逆流防止リブ31C、31Dは、開口30aCを周方向に左右両側から挟み込んでいる。
本体下部36において前記段部36aよりも上に位置する上端壁36Aは、一定の内径を有するリング状に形成され、上端壁36Aの内径は、本体下部36の上端壁以外の部分の内径よりも大きい。前記上端壁36Aの内部には、本体中間部35の下端部が挿入され、本体中間部35が段部36aにより下方に向かって係止されている。本体中間部35は、本体下部36に接着等により固定されている。
本体下部36の下端部の内周面には、本体下部36の径方向内側に向かって突出した第三旋回羽根49が設けられている。
下方継手部29内には、縦管路部26の上端部が挿入され、下方継手部29に縦管路部26が接着等により固定されている。縦管路部26が下方ストッパ29aに下方ストッパ29aの下方から係止されることにより、下方継手部29に対し縦管路部26が上方に移動することを規制している。
建築物1において、各階で横管路部22により集められた排水は、管継手24内に流れ込む。排水は、流量が多いときには横管路部22内の大部分を占めて流れるが、流量が少ないときには、横管路部22内の下端部に沿って流れる。
例えば、図3において、横管路部22Bから管継手24の継手本体27内に流れ込んだ排水は、開口30aBに対向する継手本体27の内周面に突き当たる。排水の反射流が逆流防止リブ31A、31Dにぶつかって下方に導かれるため、排水が横管路部22A側、22C側に逆流することを抑制できる。
管継手24から縦管路部23内を通って下方に流れた排水は、図示しない排水処理設備により適宜処理される。
従って、排水が逆流防止リブ31に当たりにくくなり、排水が逆流防止リブ31に当たって生じる音(異音)の発生を抑えることができる。従って、管継手24の近くに建築物1の使用者がいた場合であっても、騒音に関しクレーム発生のおそれを抑制できる。
この点において上述の構造であるならば、旋回羽根45との位置的干渉を避けることを考慮すると、その他の制約はなく、逆流防止リブ31A、31B、31C、31Dを設ける位置と形状の自由度を高くすることができる構造となる。
図4に示す管継手56のように、本体中間部35を略し、本体下部36の上端壁36Aを本体上部34の下端部内側に直接挿入して継手本体27を構成しても良い。
この構造の場合、第1実施形態において環状体43の内側に設けていた4つの逆流防止リブ31A、31B、31C、31Dを本体下部36の環状体である上端壁36Aの内側に設けることができる。
本体下部36の上端壁36Aを本体上部34の内周段部34aに突き当てた状態で上端壁36Aが本体上部34の内周面に接着等により固定されている。
このように構成することにより、本体中間部35を略し、継手本体27の構成を簡略化することができる。
図6に示す管継手66のように、先の実施形態の管継手24において、第一旋回羽根45に代えて、逆流防止リブ31である逆流防止リブ31Dのみを他の逆流防止リブ31A、31Bと同じ高さとして備えてもよい。逆流防止リブ31C、31Dは、開口30aCを継手本体27の周方向に左右から挟み込んでいる。
図7に示す管継手71のように、変形例の管継手61において、旋回羽根45、47を備えなくてもよい。
以上の構成のように、管継手が備える逆流防止リブ31の数や配置は特に限定されない。また、管継手は、旋回羽根を備えなくてもよい。
継手本体77は、射出形成等により樹脂等を用いて一体に形成されている。蓋部材82、第一旋回羽根45、及び連結片83は、射出形成等により一体に形成されている。
その他の構成は図2に示す構造と同等である。
本体中間部92は、本体中間部35とは形成されている材料が異なる。本体中間部92は、ポリ塩化ビニル系樹脂と吸熱剤とを含む樹脂組成物(A)、又は、ポリ塩化ビニル系樹脂と熱膨張開始温度が240℃以上である熱膨張性黒鉛とを含む樹脂組成物(B)を含有する熱膨張管である。
本体中間部92は、逆流防止リブ31の下端よりも下方に配置されていることが好ましい。
樹脂組成物(A)に含まれる吸熱剤は、加熱された際に吸熱作用を有して温度上昇を抑制する化合物である。例えば、加熱された際に脱水反応等の吸熱反応が生じる化合物を吸熱剤として使用できる。
樹脂組成物(B)に含まれる熱膨張性黒鉛は、熱膨張開始温度が240℃以上、好ましくは260℃以上のものである。
この際、逆流防止リブ31の下端は本体中間部92の上端よりも上方に配置されているため、本体中間部92が膨張する際に逆流防止リブ31が支障となることを抑えることができる。
樹脂組成物(B)における熱膨張性黒鉛の熱膨張開始温度である240℃は、管継手91を作製するときの成形温度(例えば、140℃以上240℃未満)よりも高い。そのため、管継手91を作製する際に、熱膨張性黒鉛が膨張することを防止できる。
これらの構造の場合、本体上部34と上端壁36Aの嵌合部の外周に上述の熱膨張性黒鉛を含む材料からなる耐火層を設ける構造とすることができる。
このように耐火層を設ける場合、耐火層の内側に位置する上端壁36Aや本体上部34の下端あるいはパイプなどの管材が重なって接続されるほど、接続部の剛性が高くなる。接続部の剛性が向上しすぎると火災時に耐火層が膨張しても管材を閉塞できなくなるおそれがあるため、接続部分の剛性が必要以上に高くならない構造とすることが好ましい。
このため、上述の構造の場合、接続部分の管材は2重構造を超えないようにすることが望ましく、管材の内側に旋回羽根などを設けない構造を採用することが好ましい。
このように構成された管継手96によっても、火災の熱によって熱膨張シート97が径方向内側に膨張し、本体中間部35の内部空間を閉塞する。従って、変形例の管継手91と同様の効果を奏することができる。
例えば、先の実施形態では、継手本体27、77が円筒状に形成されている構成としたが、継手本体27、77の水平面に沿う断面形状は、楕円形や、角筒状等でもよい。
また、環状体43は平面視O字型であって良いし、継手本体27、77の水平断面形状が楕円形や角筒状の場合はそれらに合わせた楕円環状体あるいは角型環状体の形状を採用しても良い。
先の実施形態では、上方継手部28及び下方継手部29、78に縦管路部23が挿入されることにより、上方継手部28及び下方継手部29、78と縦管路部23とが接続される構成とした。しかし、上方継手部28及び下方継手部29、78と縦管路部23との接続は、上方継手部及び下方継手部を差口として縦管路部23内に挿入して行ってもよいし、両端部に設けたフランジ同士を接続してして行ってもよい。
側方継手部30と横管路部22との接続についても同様である。
24、56、61、66、71、76、91、96…管継手、
27、77…継手本体、28…上方継手部、29、78…下方継手部、
30、30A、30B、30C…側方継手部、
30aA,30aB,30aC…開口、
31、31A、31B、31C、31D…逆流防止リブ(逆流防止部)、
34…本体上部、35…本体中間部、36…本体下部、43…環状体、
45…第一旋回羽根、47、57…第二旋回羽根、48…充填材、49…第三旋回羽根、
92…本体中間部(熱膨張管)、97…熱膨張シート、
C…軸線。
Claims (10)
- 筒状に形成された継手本体と、
端部が前記継手本体の側面に接続され、前記端部に形成された開口が前記継手本体内に連通し、横管路部が接続される側方継手部と、
前記継手本体の内部に挿入された環状体から延出されて前記継手本体の内周面から張り出すように設けられ、前記継手本体の軸線方向に延在し、前記側方継手部に望む位置に形成された逆流防止部と、を備える管継手。 - 前記継手本体が、上下方向に延びるように配置され、かつ、筒状の本体上部と筒状の本体中間部と筒状の本体下部を有し、前記側方継手部が前記本体上部に設けられ、前記環状体が前記本体上部と前記本体中間部との間に介挿された請求項1に記載の管継手。
- 前記継手本体が、上下方向に延びるように配置され、かつ、筒状の本体上部と筒状の本体下部を有し、前記側方継手部が前記本体上部に設けられ、前記本体下部の上端部に前記環状体が形成された請求項1に記載の管継手。
- 前記継手本体が、上下方向に延びるように配置され、かつ、筒状の本体上部と筒状の本体中間部と筒状の本体下部を有し、前記側方継手部が前記本体上部に設けられ、前記本体中間部の上端部に前記環状体が形成された請求項1に記載の管継手。
- 前記側方継手部が、前記逆流防止部の前記軸線方向の両端部よりも、前記軸線方向の内側に位置された請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の管継手。
- 前記環状体から前記軸線方向に突出するように延在され、前記継手本体内を通過する水の流れを旋回させる旋回羽根が設けられた請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載の管継手。
- 前記環状体と前記逆流防止部が樹脂一体形成物からなる請求項1〜請求項6のいずれか一項に記載の管継手。
- 前記継手本体が、上下方向に延びるように配置され、
前記継手本体の上端部に設けられ、縦管路部が接続される上方継手部を備え、
前記逆流防止部の前記継手本体の軸線に向かう張り出し高さが、前記上方継手部から流れ落ちる水との干渉を回避する高さである請求項1〜請求項7のいずれか一項に記載の管継手。 - 請求項1〜請求項8のいずれか一項に記載の管継手が、
スラブを上下方向に貫通する貫通孔に前記継手本体を挿通し、前記継手本体周りの貫通孔に充填材を充填し、前記逆流防止部の底部側を前記充填材の充填位置の内側に配置して前記スラブに設置された管継手の設置構造。 - 前記継手本体において、前記スラブの貫通孔を挿通した部分に熱により膨張して前記継手本体の管路を閉じる熱膨張管または熱膨張シートが配置された請求項9に記載の管継手の設置構造。
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