<実施の形態1>
<装置構成>
図1は本発明に係る実施の形態1の自動運転制御装置100の構成を示す機能ブロック図である。図1に示すように自動運転制御装置100は、自車両に搭載された車載機器121から車両の自車両状態を取得する自車両状態取得部101と、車載機器121から車両の周辺環境情報を取得する周辺環境情報取得部102と、運転手が運転操作する操作機器122から手動操作量を取得する手動操作量取得部103と、を備えている。
また、自車両状態取得部101で取得された自車両状態および周辺環境情報取得部102で取得された周辺環境情報に基づいて、自動運転モード制御値を算出する自動運転モード制御値算出部104と、手動操作量取得部103で取得された手動操作量に基づいて、手動運転モード制御値を算出する手動運転モード制御値算出部105と、を備えている。
また、自動運転モード制御値算出部104で算出された自動運転モード制御値および手動運転モード制御値算出部105で算出された手動運転モード制御値を履歴として格納する履歴格納部106と、履歴格納部106に格納された履歴を考慮した運転モードを決定する履歴考慮運転モード決定部107と、制御指令値報知指令情報決定部108と、を備えている。
制御指令値報知指令情報決定部108は、履歴考慮運転モード決定部107で決定した運転モードに従って制御対象機器131に制御指令する制御指令値および報知対象機器132に報知指令する報知指令情報を決定し、それぞれ制御対象機器131および報知対象機器132に出力する。
なお、履歴考慮運転モード決定部107は、運転モードを決定する際に、運転手による操作機器122の運転操作の有無に加えて、履歴格納部106に格納されている自動運転モード制御値および手動運転モード制御値を比較することで類似条件を満たすか否かの条件を判定することによって、履歴を考慮した運転モードとして自動運転モードまたは手動運転モードを選択し、運転モードを自動的に切り替える。
自動運転制御装置100は、マイコンまたはSoC(System-on-a-Chip)等のコンピュータを用いて構成されており、図1に示した各機能ブロックは、コンピュータがプログラムに従って動作することにより実現される。各機能ブロックは、必要となる情報、取得する情報、データ処理またはデータ生成した情報等を記憶するデータ記憶部を備える場合がある。各機能ブロックはそれぞれ独立したECUまたはコンピュータに搭載されても良いし、一部または全ブロックが単一のECUまたはコンピュータに搭載されても良い。
以下、より詳細に自動運転制御装置100の構成を説明する。自動運転制御装置100には、運転手の運転操作によらず車両のシステムが全て自動的に運転制御する自動運転機能が搭載されている。また、自動運転制御装置100には、車両のシステムが全て自動的に運転制御する自動運転モードと、運転手による全ての操作機器122の運転操作により運転制御する手動運転モードとを切替える機能が搭載されている。操作機器122とは、車両を運転制御するために用いる操作機器のことであり、例えば、運転手が操舵制御する操舵制御操作機器としてはハンドル等、運転手が加減速等の速度制御する速度制御運転操作機器としてはアクセル、ブレーキ等が挙げられる。このように定義することで、より現実的な自動運転制御装置を実現できる。
ここで、自動運転モードは、運転手の運転操作によらず車両のシステムのみが全ての制御対象機器131を制御し、車両のシステムが全て自動的に運転制御する状態、手動運転モードは運転手が全ての制御対象機器131の制御に介入し、運転手が全ての操作機器122の運転操作により運転制御する状態と定義する。このように定義することで、より現実的な自動運転制御装置を実現できる。例えば、広く製品化されているACC(Adaptive Cruise Control)、TJA(Traffic Jam Assist)、LKS(Lane Keep System)等の運転手の運転操作を運転支援する機能が適用されている場合でも、車両のシステムが全て自動的に運転制御する状態ではないため、運転手が運転制御に介入する手動運転モードとなる。
自動運転制御装置100は、自動運転制御装置100の適用の開始判定および終了判定をする機能を有している。例えば、自動運転制御装置100の開始判定は、運転手または運転手以外の搭乗者により目的地が設定された場合、運転手または運転手以外の搭乗者による強制的な開始操作、例えば、自動運転制御装置100の開始スイッチを押す動作等の介入が行われた場合に、自動運転制御装置100の適用を開始するように判定する。また、自動運転制御装置100の終了判定は、目的地に到着した場合、運転手または運転手以外の搭乗者による強制的な終了操作、例えば、自動運転制御装置100の終了スイッチを押す動作等の介入が行われた場合に、自動運転制御装置100の適用を終了するように判定する。
自車両状態取得部101は、車載センサ、車載ECUおよび通信機器等の車両状態を監視する車載機器121から、自車両状態を取得し、自動運転モード制御値算出部104に自車両状態を出力する。自車両状態は、自動運転モード制御値の算出に必要となる車両状態等の情報であり、例えば、車両の現在の速度、加減速度、操舵角、角速度、角加速度、車両重量、車両重心等が含まれる。
自車両状態の取得に使われる車載機器121は、例えば、車速センサ、ヨーレートセンサ、加速度センサ、ジャイロセンサ、方位センサ等が挙げられる。
周辺環境情報取得部102は、車載センサ、車載ECUおよび通信機器等の車両の周辺環境情報をセンシングにより取得、または保持する車載機器121から、車両の周辺環境情報を取得し、自動運転モード制御値算出部104に周辺環境情報を出力する。周辺環境情報は自動運転モード制御値の算出に必要となる周辺環境等の情報であり、例えば、道路形状、車線、標識、信号機、障害物等の静止物情報、他車両、歩行者および自転車等の速度、加減速度、操舵角等の移動体情報等が含まれる。また、自車両の現在位置、地図情報、自動運転可能領域情報、運転手および運転手以外の搭乗者の少なくとも一方の状態等が含まれても良い。
周辺環境情報の取得に使われる車載機器121は、例えば、周辺を監視するカメラ、ミリ波レーダ、LiDAR(Light Detection and Ranging)、超音波ソナー等の自律系車載センサ、V2X(Vehicle-to-Everything)、スマートフォン等の外部との通信が可能な車載通信機器およびモバイル機器が挙げられる。また、地図情報を保持し、現在位置を検出するロケータ、車内を監視するカメラ、運転手の視線および状態をモニタできるDMS(ドライバー・モニタリング・システム)等が含まれても良い。
手動操作量取得部103は、運転手が運転操作する操作機器122から、手動操作量を取得し、手動運転モード制御値算出部105に手動操作量を出力する。手動操作量は、手動運転モード制御値の算出に必要となるハンドルによる操舵制御手動操作量やアクセルおよびブレーキによる加減速度などの速度制御手動操作量である。このように定義することで、より現実的な自動運転制御装置を実現できる。
手動操作量取得部103は、運転手が運転操作していない場合には、運転操作を行っていないことが分かる情報を手動操作量として出力する。ここで、運転操作とは、ハンドルによる操舵制御運転操作およびアクセルおよびブレーキによる速度制御運転操作等、運転手が意思を持って運転操作することであり、通常は操作機器122であるハンドル、アクセルおよびブレーキ等を運転操作している場合、または物理的に触れている場合を意味する。
ただし、今後発展する自動運転技術への対応のため、ハンドル、アクセルおよびブレーキ等の操作機器122を物理的に触れずに、運転手が意思を持って運転制御することが考えられる。例えば、運転手が意思を持って惰性走行を行う場合、操作機器122を物理的に触れずに運転手が運転制御しているとも判断できるため、ハンドルをすぐにでも操作する可能性のある手の位置および体勢、アクセルおよびブレーキをすぐにでも操作する可能性のある足の位置および体勢等の運転手の状態を監視することで、運転手が運転操作していると判断しても良い。このような場合は、物理的には操作機器122に触れていないが、運転手が操作機器122に触れずに運転操作していると判断し、運転手が運転制御を行っていない場合と区別して手動操作量を出力しても良い。
なお、上記のような足の位置および体勢等の運転手の状態を監視するには、車内の様々な箇所にカメラを設置することで実現できる。また、運転手の状態を監視可能であればカメラ以外のセンサを用いても良い。
自動運転モード制御値算出部104は、自車両状態取得部101から出力された自車両状態および周辺環境情報取得部102から出力された周辺環境情報に基づいて、自動運転モード制御値を算出し、履歴格納部106および制御指令値報知指令情報決定部108に自動運転モード制御値を出力する。自動運転モード制御値は、車両のシステムが自動的に運転制御する自動運転モード中に、制御対象機器131に制御指令する制御指令値となる。一般的には、自動運転モード制御値は、算出直後に使われる瞬時の制御計画値だけではなく、ある範囲の期間またはある範囲の距離における制御計画値となり、逐次更新される自車両状態および周辺環境情報に基づいて逐次更新される。このように定義することで、より現実的な自動運転制御装置を実現できる。
自動運転モード制御値算出部104で算出される自動運転モード制御値を用いた制御の一例としては、舵角制御においては目標舵角を演算し、現在の舵角を目標舵角に近づけるようなフィードバック制御、および目標トルクを演算して操舵トルクを目標トルクに近づけるようなフィードバック制御などが挙げられ、制御対象機器131への制御指令値としては、EPS(Electric Power Steering)への電流量などが挙げられる。同様に、車速制御においては目標加速度および目標ジャーク(jerk)などに追従させるような制御が該当し、エンジン回転数およびブレーキ制動量を指示するための物理量となる。
手動運転モード制御値算出部105は、手動操作量取得部103から出力された手動操作量に基づいて、手動運転モード制御値を算出し、履歴格納部106および制御指令値報知指令情報決定部108に手動運転モード制御値を出力する。手動運転モード制御値は、運転手が運転制御する手動運転モード中に、制御対象機器131に制御指令する制御指令値となる。一般的には、手動運転モード制御値は、制御計画値の範囲としては自動運転モード制御値とは異なり、算出直後に使われる瞬時の制御計画値であり、手動操作量が逐次更新されるため、手動運転モード制御値は逐次算出される。このように定義することで、より現実的な自動運転制御装置を実現できる。
手動運転モード制御値算出部105は、運転手が運転操作していない場合には、運転操作を行っていないことが分かる情報を手動運転モード制御値として出力する。運転手が運転操作を行っているか否か、つまり運転手による操作機器122の運転操作の有無は、手動操作量から判断することができるが、操作機器122から直接に情報を取得して判断しても良い。
ここで、手動運転モード中に運転手の運転操作を支援する機能が適用されている場合があるため、手動運転モード制御値算出部105は、自車両状態取得部101から出力された自車両状態または周辺環境情報取得部102から出力された周辺環境情報を利用しても良い。これにより、運転手の運転操作を支援する手動運転モード制御値を算出することができる。
履歴格納部106は、自動運転モード制御値算出部104が算出した自動運転モード制御値および手動運転モード制御値算出部105が算出した手動運転モード制御値制御値を、履歴として格納する。前述の通り、一般的には、自動運転モード制御値は算出直後からある範囲の期間またはある範囲の距離における制御計画値であり、手動運転モード制御値は算出直後における瞬時の制御計画値である。
履歴格納部106には、自動運転モード制御値および手動運転モード制御値が算出される毎に逐次格納されるが、履歴を格納するために必要となるメモリ等の記憶容量を低減するため、算出時の時刻から特定の時間が経過したデータ、または算出時の位置から特定の距離が離れた分のデータを削除しても良い。また、記憶するデータ容量の制限を予め決めておき、その容量を超えると、古いデータから削除しても良い。さらに、後述する履歴考慮運転モード決定部107による条件判定において、使われる可能性がなくなった時点で削除しても良い。
履歴考慮運転モード決定部107は、履歴格納部106に格納されている履歴を考慮した運転モードを決定する。具体的には、履歴考慮運転モード決定部107が運転モードを決定する際に、運転手による操作機器122の運転操作の有無に加えて、格納されている自動運転モード制御値および手動運転モード制御値の履歴の比較で類似条件を満たすか否かを条件判定することによって、運転モードとして自動運転モードまたは手動運転モードを選択し、運転モードを自動的に切り替える。すなわち、運転手による操作機器122の運転操作の有無のみによって自動運転モードと手動運転モードの切り替えを行うのではなく、運転手による操作機器122の運転操作の有無に加えて、自動運転モード制御値および手動運転モード制御値の履歴の比較で類似条件を満たすか否かを条件判定することによって、車両のシステムが自動的に運転モードを切り替える。
履歴考慮運転モード決定部107は、運転手が運転操作を行っているか否か、つまり運転手による操作機器122の運転操作の有無を手動運転モード履歴から判断することができるが、操作機器122または手動操作量に基づいて直接判断しても良い。
制御指令値報知指令情報決定部108は、自動運転モード制御値算出部104から出力された自動運転モード制御値および手動運転モード制御値算出部105から出力された手動運転モード制御値に基づいて、履歴考慮運転モード決定部107が決定した運転モードに従って、制御対象機器131に制御指令する制御指令値および報知対象機器132に報知指令する報知指令情報を決定する。また、制御指令値報知指令情報決定部108は、決定した制御指令値を制御対象機器131に制御指令し、制御指令値を決定する際に選択した運転モードを報知指令情報として報知対象機器132に報知指令する。
ここで、制御指令値報知指令情報決定部108は、前述の通り、通常は履歴考慮運転モード決定部107が決定した運転モードを適用するが、特別状態の有無を判断することにより、特別状態である場合は、強制的に自動運転モードに切り替えることができる。特別状態の有無を判断するために、制御指令値報知指令情報決定部108は、自車両状態取得部101が取得した自車両状態または周辺環境情報取得部102が取得した周辺環境情報を用いても良い。
ここで、特別状態とは、危険が伴う緊急事態を想定しており、運転手の運転操作による運転制御を続ける、つまり手動運転モードを続けると危険であることを車両のシステムが判断した場合に、運転手による運転制御よりも車両のシステムが自動的に運転制御する方を優先させる必要があるため、そのような場合を特別状態として定義する。例えば、運転手の不注意が生じた場合、運転手が運転操作しながら意識を失った場合、突発的な自然災害および交通事故により運転手が適切な判断ができない場合等が考えられ、そのような特別状態である場合は、制御指令値報知指令情報決定部108が強制的に自動運転モードに切り替える。これにより、より安全な自動運転を実現できる。
制御対象機器131は、制御指令値に従って車両の運転制御を行い、自動運転モード中には車両のシステムが自動的に運転制御し、手動運転モード中には運転手の運転操作により運転制御される。制御対象機器131は、例えば、エンジン、変速機、走行用モータ、ブレーキ装置、ステアリング装置等が含まれる。
また、報知対象機器132は、報知指令情報に従って運転手または運転手以外の搭乗者に対して、決定した報知指令情報、つまり運転モードを報知するため、車両の運転手および運転手以外の搭乗者の少なくとも一方は運転モードを確認することができる。報知対象機器132は、例えば、ディスプレイ等の視覚的に確認できる表示機器、音声報知機器、振動機器等、または人間が認識できるその他報知手段を有するいずれかの機器が含まれる。また、運転手が報知指令情報を把握することが目的なので、自動運転モードと手動運転モードを区別するため、表示ランプなどを点灯または消灯することにより報知しても良い。
ここで、自動運転モード中に制御指令値報知指令情報決定部108が決定した制御指令値、つまり自動運転モード制御値を、運転手が運転操作する操作機器122に反映(入力)しても良い。操作機器122に自動運転モード制御値を反映(入力)するタイミングは様々な形態が考えられ、手動運転モードから自動運転モードに切り替わると同時または直後に反映(入力)しても良いし、手動運転モードから自動運転モードに切り替わると同時または直後から一定時間をかけて段階的に反映(入力)しても良いし、運転手が操作機器122に触れなくなると同時または直後に反映(入力)しても良いし、さらにはそれらのいずれかを組み合わせたタイミングで反映(入力)しても良い。運転手が操作機器122に触れている場合には、操作機器122に自動運転モード制御値を反映(入力)することによって、運転手に対して自動運転モード中であることを伝える効果がある。その一例としては、ハンドルが自動で操舵されることで、運転手には自動運転モード中であることが伝わる。
<動作>
次に、図2に示すフローチャートを用いて、実施の形態1の自動運転制御装置100の動作を説明する。
図2に示されるように、車両または車載システムを起動し、自動運転制御装置100を作動させると、自動運転制御装置100の動作フローが開始される。まず、ステップS1において、自動運転制御装置100の適用の開始判定をする。自動運転制御装置100の開始判定は、例えば、運転手または運転手以外の搭乗者により目的地が設定された場合、および運転手または運転手以外の搭乗者による強制的な開始操作等、例えば、自動運転制御装置の開始スイッチを押す動作等の介入が行われた場合に、自動運転制御装置100の適用開始と判定する。適用開始と判定された場合(「開始」)、自動運転制御装置100の適用を開始し、ステップS2の処理に移行するが、それ以外の場合は待機と判定され(「待機」)、ステップS1の判定が繰り返される。
自動運転制御装置100の適用が開始された際の運転モードの初期値は、通常は自動運転モードが設定されるが、運転手および運転手以外の搭乗者の少なくとも一方の好みを反映した設定でも良いし、変更可能としても良い。
自車両状態取得部101は、車載センサ、車載ECUおよび通信機器等の車両状態を監視する車載機器121から、自車両状態を取得し、自動運転モード制御値算出部104に自車両状態を出力する(ステップS2)。
周辺環境情報取得部102は、車載センサ、車載ECUおよび通信機器等の車両の周辺環境をセンシングする車載機器121から、車両の周辺環境情報を取得し、自動運転モード制御値算出部104に周辺環境情報を出力する(ステップS3)。
手動操作量取得部103は、運転手が運転操作する操作機器122から、手動操作量を取得し、手動運転モード制御値算出部105に手動操作量を出力する(ステップS4)。手動操作量の取得とは、例えば、手動運転モード制御値の算出に必要となるハンドルによる操舵制御手動操作量の取得、およびアクセルおよびブレーキによる加減速などの速度制御手動操作量の取得が挙げられる。
なお、ステップS2〜S4は、それぞれが独立した処理であるので、処理の順番を入れ替えても良いし、同時に処理しても良い。
次に、自動運転モード制御値算出部104は、自車両状態取得部101から出力された自車両状態および周辺環境情報取得部102から出力された周辺環境情報に基づいて、自動運転モード制御値を算出し、履歴格納部106および制御指令値報知指令情報決定部108に自動運転モード制御値を出力する(ステップS5)。
また、手動運転モード制御値算出部105は、手動操作量取得部103から出力された手動操作量に基づいて、手動運転モード制御値を算出し、履歴格納部106および制御指令値報知指令情報決定部108に手動運転モード制御値を出力する(ステップS6)。
なお、ステップS5およびS6は、それぞれが独立した処理であるので、処理の順番を入れ替えても良いし、同時に処理しても良い。
履歴格納部106は、自動運転モード制御値算出部104が算出した自動運転モード制御値および手動運転モード制御値算出部105が算出した手動運転モード制御値制御値を、履歴として格納する(ステップS7)。
履歴考慮運転モード決定部107は、履歴格納部106に格納されている履歴を考慮して運転モードを決定する(ステップS8)。
図3は、履歴考慮運転モード決定部107が履歴を考慮した運転モードを決定する処理を示すフローチャートである。図3に示すフローチャートを用いて、ステップS8の処理についてさらに説明する。
図3に示されるように、履歴を考慮した運転モードの決定が開始されると、運転手による強制的な運転モードの操作の有無を確認するため、強制手動運転モードの指定の有無(ON/OFF)を判定する(ステップS31)。ステップS31において、強制手動運転モードの指定があると判定された場合(「ON」の場合)は、ステップS35に移行して手動運転モードを選択する。一方、ステップS31において、強制手動運転モードの指定がないと判定された場合(「OFF」の場合)は、ステップS32に移行して運転手による操作機器122の運転操作の有無を判定する。ここで、強制手動運転モードの指定がない場合(「OFF」の場合)を、強制的に自動運転モードを指定することに利用しても良いし、強制自動運転モードの指定の有無の判定処理を新たに設けても良い。
ステップS32において、運転手による操作機器122の運転操作がないと判定された場合(「なし」の場合)は、ステップS34に移行して自動運転モードを選択する。一方、ステップS32において、運転手による操作機器122の運転操作があると判定された場合(「あり」の場合)は、ステップS33に移行して、自動運転モード制御値の履歴D1と手動運転モード制御値の履歴D2とを比較して、類似条件を満たすか否かの条件判定をする。
ステップS33において、条件判定結果が類似条件を満たすと判定される場合(「条件内」の場合)は、ステップS34に移行して自動運転モードを選択する。一方、ステップS33において、条件判定結果が類似条件を満たさないと判定される場合(「条件外」の場合)は、ステップS35に移行して手動運転モードを選択する。運転モードが選択されると、履歴を考慮した運転モードの決定が終了する。
ステップS33において条件判定をする際の自動運転モード制御値の履歴D1は、特定時刻に算出した自動運転モード制御値の履歴であり、算出直後から現在時刻までのある範囲の期間または算出直後から現在位置までのある範囲の距離における制御計画値である。一方、手動運転モード制御値の履歴D2は、自動運転モード制御値の履歴の算出と同じ特定時刻に算出された制御値から、逐次継続的に算出されている現在までの制御値の一連の算出データとなる。すなわち、自動運転モード制御値の履歴D1は特定時刻に算出された1つの制御計画値、手動運転モード制御値の履歴は特定時刻を含む、それ以外の現在時刻までに算出された複数の制御値であり、両者とも横軸が有限の時刻(時間)または位置(距離)で表される履歴の波形データとなる。
ステップS33の履歴の波形データの比較による類似条件の条件判定は、例えば、波形データの差分を定量的に算出し、差分が閾値以下の場合は類似条件を満たす、差分が閾値を超える場合は類似条件を満たさないとする。これにより、より現実的に類似条件を判定することができる。なお、比較する手法として、既存の波形データの比較技術を適用することができるが、これに限定されず、将来提案される波形データの比較技術を適用しても良い。
また、比較対象となる波形データの中で、現在時刻または現在位置により近いデータを重視する比較で類似条件を満たすか否かを判定しても良い。すなわち、手動モード制御値の履歴の古いデータよりも、新しいデータに重み付けして、自動運転モード制御値および手動モード制御値の履歴を比較することにより、類似条件を満たすか否かを判定する。現在時刻または現在位置に近いデータの重み付けにより、自動運転モードから手動運転モードへの切り替えを迅速に行うことが可能となり、運転手による運転制御の意思を適切に反映することができる。
ここで、新しいデータへの重み付けの例としては、例えば、5秒前のデータおよび1秒前のデータにそれぞれ差異がある場合であって、差分値としては同じ場合、重み付けしない場合は、両者とも同じ差分値なので類似条件の判定結果は等しくなるが、新しいデータに重み付けする場合は、1秒前のデータは5秒前のデータよりも新しいので、1秒前のデータを重視して数値を加えることになる。その結果、1秒前に差異のあるデータの方が、5秒前に差異のあるデータよりも類似条件を満たしにくくなる。
なお、自動運転制御装置100の適用を開始してしばらくは、十分な時間または距離の履歴がないため、通常時に比べて情報量の少ない履歴の波形データにより、条件判定をする。この場合、通常時とは類似条件を変更しても良い。前述の通り、運転モードの初期値は、通常は自動運転モードが設定されるが、運転手や運転手以外の搭乗者の好みを反映した設定でも良いし、変更可能としても良い。
ここで、図2のフローチャートの説明に戻る。制御指令値報知指令情報決定部108は、自動運転モード制御値算出部104から出力された自動運転モード制御値および手動運転モード制御値算出部105から出力された手動運転モード制御値に基づいて履歴考慮運転モード決定部107で決定された運転モードに従って、制御対象機器131に制御指令する制御指令値および報知対象機器132に報知指令する報知指令情報を決定する(ステップS9)。また、特別状態の有無を判断することにより、特別状態である場合は、強制的に自動運転モードに切り替える。
図4は、制御指令値報知指令情報決定部108が制御指令値および報知指令情報を決定する処理を示すフローチャートである。図4に示すフローチャートを用いて、ステップS9の処理についてさらに説明する。
図4に示されるように、制御指令値および報知指令情報の決定が開始されると、現在の運転モードが自動運転モードであるかどうかを判定する(ステップS41)。ステップS41において、自動運転モードであると判定された場合(「YES」の場合)は、ステップS44に移行して運転モードに対応した制御指令値を決定し、自動運転モード制御値が選択されると共に、自動運転モードであるとの報知指令情報を決定する。一方、ステップS41において、自動運転モードではない、つまり手動運転モードと判定された場合(「NO」の場合)は、ステップS42に移行して特別状態の有無を判断する。
ステップS42において、特別状態ではないと判定された場合(「ない」場合)は、ステップS44に移行して運転モードに対応した制御指令値を決定し、手動運転モード制御値が選択されると共に、手動運転モードあるとの報知指令情報を決定する。一方、ステップS42において、特別状態であると判定された場合(「あり」場合)は、ステップS43に移行して強制的に自動運転モードに切り替え、ステップS44に移行して運転モードに対応した制御指令値を決定し、自動運転モード制御値が選択されると共に、自動運転モードあるとの報知指令情報を決定する。制御指令値および報知指令情報を決定すると一連の処理を終了する。
ここで再び図2のフローチャートの説明に戻る。制御指令値報知指令情報決定部108は、決定した制御指令値を制御対象機器131に制御指令し(ステップS10)、制御指令値を決定する際に選択した運転モードを報知指令情報として報知対象機器132に報知指令する(ステップS11)。制御指令値と報知指令情報(運転モード)は対応する必要があるため、ステップS10およびS11は同時に処理されるか、または制御対象機器131および報知対象機器132において対応付けされた処理が実施される。
次に、自動運転モード中に制御指令値報知指令情報決定部108が決定した制御指令値、つまり自動運転モード制御値を、運転手が運転操作する操作機器122に反映(入力)する(ステップS12)。
以下、ステップS5〜S9の処理について、図5〜図11を用いて更に詳しく説明する。図5〜図11は、履歴を考慮した運転モード決定の動作を説明する図であり、横軸に時刻(時間)を、縦軸に操舵制御値を示したグラフを示している。図5〜図11においては、横軸には時刻をT00〜T34として表しているが、時刻の代わりに位置(距離)で表しても良い。また、縦軸には、操舵制御値として直進の場合を中心に上側ほど左旋回量が大きく、下側ほど右旋回量が大きくなることを表している。本実施の形態では、簡単化のため、操舵制御値のみを用いて説明するが、加減速の速度制御値も同様の考え方で扱うことができる。また、波形データの比較で類似条件を満たすか否かを条件判定する場合、簡単化のために、一致する場合は類似条件を満たす、一致しない場合は類似条件を満たさない、と規定する。実際に用いる類似条件は、一致する、一致しない以外の条件を用いても良い。また、線グラフは自動運転モード制御値、点グラフは手動運転モード制御値として、区別して記載する。
高速道路など片側2車線の道路で、時刻T00〜T02は直線、時刻T02〜T04は徐々に左旋回し、時刻T04〜T34は緩やかな一定の左旋回である道路において、道路上を走行する車両を仮定する。
図5の線グラフは自動運転モード制御値の例であり、車両のシステムが運転制御する自動運転モードで左側レーンを車両が走行する場合の自動運転モード制御値とする。また、運転手が左側レーンを走行する意思を続ける条件下では、手動運転モードの場合でも運転手にとって理想的な操舵制御値は自動運転モード制御値と一致するものと仮定し、点グラフで手動運転モード制御値が例示されている。
図6の点グラフは手動運転モード制御値の例であり、時刻T00〜T15までは左側レーンを走行し、時刻T15から運転手の意思により右側レーンにレーンチェンジを開始し、時刻T15〜T27でレーンチェンジが実施され、時刻T27で右側へのレーンチェンジが完了、時刻T27〜T34は右側レーンを車両が安定走行する場合の手動運転モード制御値を示している。
運転手によるレーンチェンジの動機には様々な条件が考えられ、例えば、左側レーンの前方に低速車両が走行中であることを運転手が確認した場合、右側レーンに移動することで運転手が快適と感じる景観がある場合、緩やかな一定の左旋回道路では右側レーンを走行する方が運転手にとっては安心感がある場合等、いずれの条件も車両のシステムが自動的に判断できないレーンチェンジの動機があると仮定する。
以下、図7〜図11を用いて、自動運転制御装置100における自動運転モードと手動運転モードの切り替え方法を説明する。図7に示すように、時刻T00〜T08は運転手が操作機器122に触れることなく、自動運転モードにおける自動運転モード制御値により運転制御されている。手動操作量取得部103は、運転手が操作機器122の運転操作を行っていないことが分かる情報を手動操作量として出力する。時刻T08から、運転手がハンドルに触れたため、手動操作量取得部103が運転手による操作機器122の運転操作を認識し、手動操作量が取得される。ただし、この時点ではハンドルに力を加える操作等は行っておらず、車両のシステムによる運転制御に従っており、この状態がT15まで継続する。ここで、時刻T14を現在時刻とし、履歴として6目盛分の比較で類似条件を満たすか否かの条件判定をする。時刻T14から6目盛分過去の時刻T08に算出した自動運転モード制御値は図7の線グラフとなり、線グラフ中の時刻T08〜T14の箇所と、時刻T08〜T14の各時刻に算出した手動運転モード制御値の点グラフは、履歴の波形データとして一致する。従って、履歴の比較により類似条件を満たすと条件判定されるため、現在の時刻T14では、そのまま自動運転モードが継続される。
時刻T15から運転手の意思により右側レーンにレーンチェンジを開始するため、時刻T16では車両のシステムが運転制御に利用する自動運転モード制御値よりも右旋回寄りに、運転手が意思を持ってハンドルを運転操作する。ここで、時刻T16を現在時刻とし、前述と同様に履歴として6目盛分の比較で類似条件を満たすか否かの条件判定をすると、時刻T16から6目盛分過去の時刻T10に算出した自動運転モード制御値は図8の線グラフとなり、線グラフ中の時刻T10〜T16の箇所と、T10〜T16の各時刻に算出した手動運転モード制御値の点グラフは時刻T15〜T16の箇所で差が生じるため、履歴の波形データとして一致しない。従って、履歴の比較により類似条件を満たさないと条件判定されるため、現在の時刻T16では、自動運転モードから手動運転モードに切り替えられる。
運転手の意思により右側レーンにレーンチェンジが開始され、手動運転モードに切り替えられた後、自動運転モードに戻すタイミングを考える。例えば、時刻T22を現在時刻とし、前述と同様に履歴として6目盛分の比較で類似条件を満たすか否かの条件判定をすると、6目盛分過去のT16に算出した自動運転モード制御値は図9の線グラフとなり、線グラフ中の時刻T16〜T22の箇所と、時刻T16〜T22の各時刻に算出した手動運転モード制御値の点グラフは差が生じるため、履歴の波形データとして一致しない。従って、履歴の比較により類似条件を満たさないと条件判定されるため、現在の時刻T22では、そのまま手動運転モードが継続される。
なお、図9では時刻T18においてピークを有するオーバーシュートの線グラフとなっているが、このように制御しないと、元の経路に戻らないためである。なお、図においては便宜的に線グラフで記載しているが、現実には滑らかに遷移するような制御値となる。
ここで、時刻T16では、運転手の意思により右側レーンにレーンチェンジを開始した場合と、運転手による運転操作の不安定さが要因で手動運転モード制御値が変動した場合の両方が考えられ、今回は車両のシステムが後者と判断して、左側レーンの走行を維持する自動運転モード制御値を算出するものと仮定した。ここでは、危険が伴うような特別状態ではないものとする。
次に、時刻T23を現在時刻とし、前述と同様に履歴として6目盛分の比較で類似条件を満たすか否かの条件判定をすると、6目盛分過去の時刻T17に算出した自動運転モード制御値は図10の線グラフとなり、線グラフ中の時刻T17〜T23の箇所と、時刻T17〜T23の各時刻に算出した手動運転モード制御値の点グラフは履歴の波形データとして一致する。従って、履歴の比較により類似条件を満たすと条件判定されるため、現在の時刻T23では、手動運転モードから自動運転モードに切り替えられる。ここで、時刻T17では、運転手の意思により右側レーンにレーンチェンジを開始して一定の時間が経過するため、今回は運転手の意思と同様に車両のシステムが右側レーンへのレーンチェンジするための自動運転モード制御値を算出するものと仮定した。
時刻T23以降は自動運転モードとなり、車両のシステムが自動的に運転制御するため、操作機器122の運転操作を運転手が意思を持って放棄、つまりハンドルから手を放しても問題はない。実際には、車両のシステムが安定走行するまで運転手が操作機器122に触れていることが考えられ、図11には、時刻T29までハンドルを運転操作し、時刻T30以降はハンドルから手を放す場合の一連の操舵制御値を示した。再度整理すると、時刻T00〜T08は運転手による操作機器122の運転操作はなく、自動運転モード制御値により運転制御される。時刻T08〜T15は運転手による操作機器122の運転操作が加わったが、手動運転モード制御値が自動運転モード操作制御値と一致するため、自動運転モード操作制御値により運転制御される。時刻T15〜T23は手動運転モード制御値が自動運転モード制御値と不一致となるため、運転手による操作機器122の運転操作が主体となり、手動運転モード制御値により運転制御される。時刻T23〜T29は依然として運転手による運転操作は加わったままであるが、手動運転モード制御値が自動運転モード制御値と再び一致するため、手動運転モードから自動運転モードに移行し、自動運転モード制御値により運転制御される。時刻T30〜T34は車両のシステムが自動的に運転制御する認識が得られたので、操作機器122の運転操作を運転手が意思を持って放棄し、自動運転モード制御値により運転制御される。
再び、図2のフローチャートの説明に戻る。自動運転制御装置100は、ステップS2〜ステップS12の一連の処理を行う毎に自動運転制御装置100の適用の終了判定をする(ステップS13)。例えば、自動運転制御装置100は、目的地に到着した場合、運転手または運転手以外の搭乗者による強制的な終了操作、例えば、自動運転制御装置の終了スイッチを押す動作等の介入が行われた場合(「終了」の場合)に、自動運転制御装置100の適用を終了する。一方、自動運転制御装置100を終了するように判定されなかった場合(「継続」の場合)は、自動運転制御装置100の適用を継続するものとし、ステップS2以下の処理を繰り返す。
なお、図2のフローは、通常は繰り返し逐次実行され、自動運転制御装置100は、制御指令値を制御対象機器131に制御指令をすること、および報知指令情報を報知対象機器132に報知指令することを継続的に実施する。
以上説明したように、実施の形態1に係る自動運転制御装置100によれば、運転手による操作機器の運転操作の有無に加えて、自動運転モード制御値および手動運転モード制御値の履歴の比較で類似条件を満たすか否かの条件判定をすることによって、履歴を考慮した運転モードを決定し、自動運転モードと手動運転モードの切り替えを自動的に行う。このため、運転手および運転手以外の搭乗者の少なくとも一方に、車両のシステムへの不安感、急な操舵および急な加減速を伴う速度変化による違和感を与えることなく、車両のシステムが自動的にスムーズに運転モードを切り替えることが実現できる。
<実施の形態2>
以上説明した実施の形態1の自動運転制御装置100においては、車両のシステムが自動的に運転制御する自動運転モードと、運転手の運転操作により運転制御する手動運転モードとを、車両のシステムが自動的にスムーズに切り替えることが実現できた。
実施の形態1の自動運転制御装置100においては、自動運転モード中に、複数の制御対象機器131への制御指令値に対応する自動運転モード制御値と手動運転モード制御値の一部履歴でも閾値以上の差が生じると、自動運転モードから手動運転モードに切り替えられる。例えば、自動運転モード中に、運転手が操舵制御運転操作することで、自動運転モード制御値および手動運転モード制御値の履歴に閾値以上の差が生じると、運転手が速度制御の運転操作していなくても、操舵の自動運転制御のみならず加減速の速度の自動運転制御もキャンセルされる。当然、操舵制御運転操作と速度制御運転操作が逆の場合でも同様のことが考えられる。このため、実施の形態1の自動運転制御装置100では、車両のシステムによる自動運転モードと手動運転モードの切り替えにより、運転手の運転操作の負担を十分に軽減することができない場合がある。
特許第6470403号には、オーバーライド検出部により操舵制御運転操作および加減速の速度制御運転操作のいずれか一方によるオーバーライドが検出された場合に、運転モードを、操舵制御運転操作および速度制御運転操作による両方のオーバーライドが検出された場合と比べて、自動運転制御の度合いが高い半自動運転モードに切り替えることが開示されている。
しかしながら、特許第6470403号の技術では、先に説明した課題があった。すなわち、運転手が運転操作しないことにより手動運転モードから自動運転モードに切り替えるため、ハンドルによる操舵制御運転操作およびアクセルまたはブレーキによる速度制御運転操作を運転手が意思を持って放棄する、換言すれば操作しないで開放する必要があり、これは運転手が自動運転制御装置の車両のシステムに慣れて、車両のシステムを信頼するまでは、運転手が車両のシステムに不安を持ちながら行動することとなる。また、手動運転モード中の車両走行状態によっては、手動運転モードから自動運転モードにスムーズに切り替えられず、急な操舵および急な加減速等の速度変化により、運転手および運転手以外の搭乗者の少なくとも一方に違和感を与える可能性があった。
本発明に係る実施の形態2の自動運転制御装置200は、実施の形態1の運転モードの切り替えをさらに改善することで、上記のような問題を解消し、運転手の運転操作の負担を軽減する自動運転制御装置を提供する。
<装置構成>
図12は本発明に係る実施の形態2の自動運転制御装置200の構成を示す機能ブロック図である。なお、図12においては、図1を用いて説明した自動運転制御装置100と同一の構成および機能については同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
図12に示すように自動運転制御装置200は、自動運転制御装置100と同様に自車両状態取得部101、周辺環境情報取得部102、手動操作量取得部103、自動運転モード制御値算出部104、手動運転モード制御値算出部105、履歴格納部106、履歴考慮運転モード決定部107および制御指令値報知指令情報決定部108を備え、さらに自動手動混在運転モード制御値を算出する自動手動混在運転モード制御値算出部201を備えている。
また、履歴考慮運転モード決定部107が運転モードを決定する際に、履歴格納部106に格納されている自動運転モード制御値、手動運転モード制御値および自動手動混在運転モード制御値の履歴のいずれかの組合せの比較で類似条件を満たすか否かの条件判定をすることによって、履歴を考慮した運転モードとして自動運転モード、手動運転モードまたは自動手動混在運転モードを選択し、運転モードを自動的に切り替える構成を有している。
自動運転制御装置200は、自動運転制御装置100と同様に、マイコンまたはSoC等のコンピュータを用いて構成されており、上記の各機能ブロックは、コンピュータがプログラムに従って動作することにより実現される。各機能ブロックは、必要となる情報、取得する情報、データ処理またはデータ生成した情報等を記憶するデータ記憶部を備える場合がある。各機能ブロックはそれぞれ独立したECUまたはコンピュータに搭載されても良いし、一部または全ブロックが単一のECUまたはコンピュータに搭載されても良い。
以下、より詳細に自動運転制御装置200の構成を説明する。自動運転制御装置200には、運転手の運転操作によらず車両のシステムが全て自動的に運転制御する自動運転機能が搭載されている。また、制御対象機器の一部を車両のシステムが自動的に運転制御し、車両のシステムが運転制御しない残りの制御対象機器を運転手による操作機器122の運転操作により運転制御する自動手動混在運転機能が搭載されている。さらに、自動運転制御装置200には、車両のシステムが全て自動的に運転制御する自動運転モード、運転手による全ての操作機器122の運転操作により運転制御する手動運転モード、および制御対象機器の一部を車両のシステムが自動的に運転制御し、車両のシステムが運転制御しない残りの制御対象機器を運転手が運転制御する自動手動混在運転モードを切替える機能が搭載されている。
ここで、自動運転モードは運転手の運転操作によらず車両のシステムのみが全ての制御対象機器131を制御し、車両のシステムが全て自動的に運転制御する状態と定義し、手動運転モードは運転手が全ての制御対象機器の制御に介入し、運転手が全ての操作機器122の運転操作により運転制御する状態と定義する。また、自動手動混在運転モードは、制御対象機器の一部を車両のシステムが自動的に運転制御し、車両のシステムが運転制御しない残りの制御対象機器を運転手による操作機器122の運転操作により運転制御する状態と定義する。このように定義することで、より現実的な自動運転制御装置を実現できる。自動手動混在運転モードと表現したのは、車両のシステムによる自動運転制御と運転手による手動運転制御が混在することを意味する。具体的には、運転手は操舵制御用の操舵制御機器であるハンドルの運転操作には介入せず、車両のシステムが操舵運転制御し、運転手が加減速の速度制御用の速度制御機器であるアクセル、ブレーキを運転操作することで速度運転制御する状態または、その逆に、車両のシステムが速度運転制御し、運転手が操舵制御用の操舵制御機器であるハンドルを運転操作することで操舵運転制御する状態が挙げられる。
自車両状態取得部101、周辺環境情報取得部102および手動操作量取得部103は、実施の形態1と同様の機能であるが、各ブロックの取得情報となる自車両状態、周辺環境情報および手動操作量は、自動手動混在運転モード制御値算出部201にも出力され、自動手動混在運転モード制御値算出部201は、それらの情報に基づいて自動手動混在運転モード制御値の算出を行う。
自動運転モード制御値算出部104および手動運転モード制御値算出部105は、実施の形態1と同様の機能である。
自動手動混在運転モード制御値算出部201は、自車両状態取得部101から出力された自車両状態、周辺環境情報取得部102から出力された周辺環境情報および手動操作量取得部103から出力された手動操作量に基づいて、自動手動混在運転モード制御値を算出し、履歴格納部106および制御指令値報知指令情報決定部108に自動手動混在運転モード制御値を出力する。自動手動混在運転モード制御値は、制御対象機器の一部を車両のシステムが自動的に運転制御し、車両のシステムが運転制御しない残りの制御対象機器を運転手による操作機器122の運転操作により運転制御する自動手動混在運転モード中に、制御対象機器131に制御指令する制御指令値となる。
ここで、自動手動混在運転モードには、車両のシステムが自動的に操舵運転制御して、運転手が速度制御機器の運転操作により速度運転制御する自動操舵手動速度混在運転モードと、車両のシステムが自動的に速度運転制御して、運転手が操舵制御機器の運転操作により操舵運転制御する自動速度手動操舵混在運転モードとが含まれる。従って、自動手動混在運転モード制御値には、自動操舵手動速度混在運転モードに対応する自動操舵手動速度混在運転モード制御値と、自動速度手動操舵混在運転モードに対応する自動速度手動操舵混在運転モード制御値が含まれる。一般的には、自動手動混在運転モード制御値は、車両のシステムが運転制御する側は自動運転モード制御値と同様に、算出直後からある範囲の期間またはある範囲の距離における制御計画値となり、運転手が運転制御する側は手動運転モード制御値と同様に算出直後における瞬時の制御計画値となる。自車両状態、周辺環境情報および手動操作量が逐次更新されため、自動手動混在運転モード制御値は逐次更新される。このように定義することで、より現実的な自動運転制御装置を実現できる。
履歴格納部106は、自動運転モード制御値算出部104が算出した自動運転モード制御値、手動運転モード制御値算出部105が算出した手動運転モード制御値および自動手動混在運転モード制御値算出部201が算出した自動手動混在運転モード制御値を、履歴として格納する。実施の形態1と同様の機能を有するが、格納する情報として、自動手動混在運転モード制御値が加わる。
履歴考慮運転モード決定部107は、履歴格納部106に格納されている履歴を考慮した運転モードを決定する。具体的には、履歴考慮運転モード決定部107が運転モードを決定する際に、運転手による操作機器122の運転操作の有無に加えて、格納されている自動運転モード制御値、手動運転モード制御値および自動手動混在運転モード制御値の履歴のいずれかの組合せの比較で類似条件を満たすか否かの条件判定をすることによって、運転モードとして自動運転モード、手動運転モードまたは自動手動混在運転モードを選択し、運転モードを自動的に切り替える。実施の形態1と同様の機能を有するが、決定すべき運転モードとして、自動手動混在運転モードが加わる。
制御指令値報知指令情報決定部108は、自動運転モード制御値算出部104から出力された自動運転モード制御値、手動運転モード制御値算出部105から出力された手動運転モード制御値および自動手動混在運転モード制御値算出部201から出力された自動手動混在運転モード制御値に基づいて履歴考慮運転モード決定部107が決定した運転モードに従って、制御対象機器131に制御指令する制御指令値および報知対象機器132に報知指令する報知指令情報を決定する。また、制御指令値報知指令情報決定部108は、決定した制御指令値を制御対象機器131に制御指令し、制御指令値を決定する際に選択した運転モードを報知指令情報として報知対象機器132に報知指令する。
制御対象機器131は、制御指令値に従って車両の運転制御を行い、自動運転モード中には車両のシステムが自動的に運転制御し、手動運転モード中には運転手の運転操作により運転制御し、自動手動混在運転モード中には制御対象機器の一部を車両のシステムが自動的に運転制御し、車両のシステムが運転制御しない残りの制御対象機器は運転手による操作機器122の運転操作により運転制御される。
また、報知対象機器132は、報知指令情報に従って運転手または運転手以外の搭乗者に対して、決定した報知指令情報、つまり運転モードを報知するため、車両の運転手や運転手以外の搭乗者は運転モードを確認することができる。
ここで、自動運転モード中に制御指令値報知指令情報決定部108が決定した制御指令値、または自動手動混在運転モード中に制御指令値報知指令情報決定部108が決定した車両のシステムが運転制御する側の制御指令値、つまり自動運転モード制御値または自動手動混在運転モード制御値を、運転手が運転操作する操作機器122に反映(入力)しても良い。運転手が操作機器122に触れている場合には、操作機器122に自動運転モード制御値または自動手動混在運転モード制御値を反映(入力)することによって、運転手に対して自動運転モード中または自動手動混在運転モード中であることを伝える効果がある。操作機器122に自動運転モード制御値または自動手動混在運転モード制御値を反映(入力)するタイミングは、実勢の形態1の自動運転モード制御値を操作機器122に反映(入力)するのと同様のタイミングとなる。
<動作>
次に、図13に示すフローチャートを用いて、実施の形態2の自動運転制御装置200の動作を説明する。
図13に示されるように、車両または車載システムを起動し、自動運転制御装置200を作動させると、自動運転制御装置200の動作フローが開始される。まず、実施の形態1と同様に、自動運転制御装置200の適用の開始判定をする(ステップS1)。
適用開始と判定された場合(「開始」)、自動運転制御装置200の適用を開始し、ステップS2の処理に移行するが、それ以外の場合は待機と判定され(「待機」)、ステップS1の判定が繰り返される。
自動運転制御装置200の適用が開始された際の運転モードの初期値は、実施の形態1と同様に、通常は自動運転モードが設定されるが、運転手および運転手以外の搭乗者の少なくとも一方の好みを反映した設定でも良いし、変更可能としても良い。
ステップS2〜S4の動作は、実施の形態1と同様の動作であるが、各ブロックの取得情報となる自車両状態、周辺環境情報および手動操作量は、自動手動混在運転モード制御値算出部201にも出力され、それらの情報に基づいて自動手動混在運転モード制御値が算出される。
ステップS5およびプS6の動作は、実施の形態1と同様の動作であり、自動手動混在運転モード制御値算出部201は、自車両状態取得部101から出力された自車両状態、周辺環境情報取得部102から出力された周辺環境情報および手動操作量取得部103から出力された手動操作量に基づいて、自動手動混在運転モード制御値を算出し、履歴格納部106および制御指令値報知指令情報決定部108に自動手動混在運転モード制御値を出力する(ステップS21)。
なお、ステップS5、S6およびS21は独立した処理のため、処理の順番を入れ替えても良いし、同時に処理しても良い。
履歴格納部106は、自動運転モード制御値算出部104で算出されて自動運転モード制御値、手動運転モード制御値算出部105で算出された手動運転モード制御値および自動手動混在運転モード制御値算出部201で算出された自動手動混在運転モード制御値を、履歴として格納する(ステップS7)。実施の形態1と同様の動作であるが、格納する情報として、自動手動混在運転モード履歴が加わる。
履歴考慮運転モード決定部107は、履歴格納部106に格納されている履歴を考慮した運転モードを決定する(ステップS8)。
図14は、履歴考慮運転モード決定部107が履歴を考慮した運転モードを決定する処理を示すフローチャートである。図14に示すフローチャートを用いて、ステップS8の処理についてさらに説明する。
図14に示されるように、履歴を考慮した運転モードの決定が開始されると、運転手による強制的な運転モードの操作有無を確認するため、強制手動運転モードの指定の有無(ON/OFF)を判定する(ステップS51)。ステップS51において、強制手動運転モードの指定があると判定された場合(「ON」の場合)は、ステップS61に移行して手動運転モードを選択する。一方、ステップS51において、強制手動運転モードの指定がないと判定された場合(「OFF」の場合)は、ステップS52に移行して運転手による操舵制御操作機器の操舵制御運転操作の有無を判定する。ここで、強制手動運転モードの指定がない場合(「OFF」の場合)を、強制的に自動運転モードを指定することに利用しても良いし、強制自動運転モードの指定の有無の判定処理を新たに設けても良い。
ステップS52において、運転手による操舵制御操作機器の操舵制御運転操作がないと判定された場合(「なし」の場合)は、ステップS53に移行して運転手による速度制御操作機器の速度制御運転操作の有無を判断する。
ステップS53において、運転手による速度制御操作機器の速度制御運転操作がないと判定された場合(「なし」の場合)は、ステップS60に移行して自動運転モードを選択する。一方、ステップS53において、運転手による速度制御操作機器の速度制御運転操作があると判定された場合(「あり」の場合)は、ステップS54に移行して自動運転モード制御値の履歴D1と自動操舵手動速度混在運転モード制御値の履歴D3との比較で類似条件を満たすか否かの条件判定をする。
ステップS54において、条件判定結果が類似条件を満たすと判定される場合(「条件内」の場合)は、ステップS60に移行して自動運転モードを選択する。一方、ステップS54において、条件判定結果が類似条件を満たさないと判定される場合(「条件外」の場合)は、ステップS62に移行して自動操舵手動速度混在運転モードを選択する。
また、ステップS52において、運転手による操舵制御操作機器の操舵制御運転操作があると判定された場合(「あり」の場合)は、ステップS55に移行して運転手による速度制御操作機器の速度制御運転操作の有無を判断する。
ステップS55において、運転手による速度制御操作機器の速度制御運転操作がないと判定された場合(「なし」の場合)は、ステップS56に移行して自動運転モード制御値の履歴D1と自動速度手動操舵混在運転モード制御値の履歴D4の比較で類似条件を満たすか否かの条件判定をする。
ステップS56において、条件判定結果が類似条件を満たすと判定される場合(「条件内」の場合)は、ステップS60に移行して自動運転モードを選択する。一方、ステップS56において、条件判定結果が類似条件を満たさないと判定される場合(「条件外」の場合)は、ステップS63に移行して自動速度手動操舵混在運転モードを選択する。
なお、ステップS55において、運転手による速度制御操作機器の速度制御運転操作があると判定された場合(「あり」の場合)は、ステップS57に移行して自動運転モード制御値の履歴D1と手動運転モード制御値の履歴D2の比較で類似条件を満たすか否かの条件判定をする。
ステップS57において、条件判定結果が類似条件を満たすと判定される場合(「条件内」の場合)は、ステップS60に移行して自動運転モードを選択する。一方、ステップS57において、条件判定結果が類似条件を満たさないと判定される場合(「条件外」の場合)は、ステップS58に移行して手動運転モード制御値の履歴D2と自動操舵手動速度混在運転モード制御値の履歴D3の比較で類似条件を満たすか否かの条件判定をする。
ステップS58において、条件判定結果が類似条件を満たすと判定される場合(「条件内」の場合)は、ステップS62に移行して自動操舵手動速度混在運転モードを選択する。一方、ステップS57において、条件判定結果が類似条件を満たさないと判定される場合(「条件外」の場合)は、ステップS59に移行して手動運転モード制御値の履歴D2と自動速度手動操舵混在運転モード制御値の履歴D4の比較で類似条件を満たすか否かの条件判定をする。
ステップS59において、条件判定結果が類似条件を満たすと判定される場合(「条件内」の場合)は、ステップS63に移行して自動速度手動操舵混在運転モードを選択する。一方、ステップS59において、条件判定結果が類似条件を満たさないと判定される場合(「条件外」の場合)は、ステップS61に移行して手動運転モードを選択する。運転モードが選択されると、履歴を考慮した運転モードの決定が終了する。なお、図14のフローは一例であり、速度と操舵の判定順、例えばステップS52とステップS53、ステップS58とステップS59などを入れ替えることが可能である。
ここで、図13のフローチャートの説明に戻る。制御指令値報知指令情報決定部108は、自動運転モード制御値算出部104から出力された自動運転モード制御値、手動運転モード制御値算出部105から出力された手動運転モード制御値および自動手動混在運転モード制御値算出部201から出力された自動手動混在運転モード制御値に基づいて履歴考慮運転モード決定部107が決定した運転モードに従って、制御対象機器131に制御指令する制御指令値および報知対象機器132に報知指令する報知指令情報を決定する(ステップS9)。また、特別状態の有無を判断することにより、特別状態である場合は、強制的に自動運転モードに切り替える。
制御指令値報知指令情報決定部108は、決定した制御指令値を制御対象機器131に制御指令し(ステップS10)、制御指令値を決定する際に選択した運転モードを報知指令情報として報知対象機器132に報知指令する(ステップS11)。制御指令値と報知指令情報(運転モード)は対応する必要があるため、ステップS10およびS11は同時に処理されるか、または制御対象機器131および報知対象機器132において対応付けされた処理が実施される。
次に、自動運転モード中に制御指令値報知指令情報決定部108が決定した制御指令値、または自動手動混在運転モード中に制御指令値報知指令情報決定部108が決定した車両のシステムが運転制御する側の制御指令値、つまり自動運転モード制御値または自動手動混在運転モード制御値を、運転手が運転操作する操作機器122に反映(入力)する(ステップS12)。
自動運転制御装置200は、ステップS2〜ステップS6、ステップS21、ステップS7〜ステップS12の一連の処理を行う毎に自動運転制御装置200の適用の終了判定をする(ステップS13)。例えば、自動運転制御装置200は、目的地に到着した場合、運転手または運転手以外の搭乗者による強制的な終了操作、例えば、自動運転制御装置の終了スイッチを押す動作等の介入が行われた場合(「終了」の場合)に、自動運転制御装置200の適用を終了する。一方、自動運転制御装置200を終了するように判定されなかった場合(「継続」の場合)は、自動運転制御装置200の適用を継続するものとし、ステップS2以下の処理を繰り返す。
なお、図13のフローは、通常は繰り返し逐次実行され、自動運転制御装置200は、制御指令値を制御対象機器131に制御指令をすること、および報知指令情報を報知対象機器132に報知指令することを継続的に実施する。
以上説明したように、実施の形態2に係る自動運転制御装置200によれば、運転手による操作機器122の運転操作の有無に加えて、自動運転モード制御値、手動運転モード制御値および自動手動混在運転モード制御値の履歴のいずれかの組合せの比較で類似条件を満たすか否かの条件判定をすることによって、履歴を考慮した運転モードを決定し、自動運転モード、手動運転モードまたは自動手動混在運転モードの切り替えを自動的に行う。このため、運転手および運転手以外の搭乗者の少なくとも一方に、車両のシステムへの不安感、急な操舵および急な加減速を伴う速度変化による違和感を与えることなく、車両のシステムが自動的によりスムーズに運転モードを切り替えることが実現でき、運転手の運転操作の負担をさらに軽減することができる。
<実施の形態3>
以上説明した実施の形態1および2に係る自動運転制御装置100および200においては、運転手による操作機器の運転操作の有無に加えて、各運転モードに対応する制御値の履歴の比較で類似条件を満たすか否か条件判定することによって、履歴を考慮した運転モードを決定し、車両のシステムが運転モードを自動的に切り替える構成を示したが、履歴として、制御値の代わりに、走行経路または走行速度を用いても良い。
この場合、自動運転制御装置100および200における自動運転モード制御値算出部104は、自動運転モード制御値の算出時に車両の走行経路および走行速度を計画立案するので、自動運転モード制御値の代わりに自動運転モード走行経路または自動運転モード速度として履歴格納部106に出力する。
また、自動運転制御装置100および200における手動運転モード制御値算出部105は、手動運転モード制御値を用いて制御対象機器を制御した場合の走行経路および走行速度を算出し、手動運転モード制御値の代わりに手動運転モード走行経路および手動運転モード走行速度として履歴格納部106に出力する。
同様に、自動運転制御装置200における自動手動混在運転モード制御値算出部201は、自動手動混在運転モード制御値の代わりに自動手動混在運転モード走行経路または自動手動混在運転モード走行速度を履歴格納部106に出力する。
また、自動運転制御装置100および200における履歴格納部106は、制御値の代わりに、走行経路または走行速度の履歴を格納する。つまり、履歴格納部106は、自動運転モード制御値の代わりに自動運転モード走行経路または自動運転モード走行速度を、手動運転モード制御値の代わりに手動運転モード走行経路または手動運転モード走行速度を、自動手動混在運転モード制御値の代わりに自動手動混在運転モード走行経路または自動手動混在運転モード走行速度を格納する。
また、自動運転制御装置100および200における履歴考慮運転モード決定部107は、履歴格納部106に格納されている走行経路または走行速度の履歴から、履歴を考慮した運転モードを決定する。その他の動作や効果は、実施の形態1および2と同様となるため、説明は省略する。実施の形態3の構成を採ることで、履歴を考慮した運転モードを走行経路および走行速度に基づいて決定することができる。
なお、以上説明した自動運転制御装置100および200の各構成要素はコンピュータを用いて構成することができ、コンピュータがプログラムを実行することで実現される。すなわち、自動運転制御装置100および200は、例えば図15に示す処理回路501により実現される。処理回路501には、CPU(Central Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)等のプロセッサが適用され、記憶装置に格納されるプログラムを実行することで各部の機能が実現される。
なお、処理回路501には、専用のハードウェアが適用されても良い。処理回路501が専用のハードウェアである場合、処理回路501は、例えば、単一回路、複合回路、プログラム化したプロセッサ、並列プログラム化したプロセッサ、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、またはこれらを組み合わせたもの等が該当する。
自動運転制御装置100および200は、構成要素の各々の機能が個別の処理回路で実現されても良いし、それらの機能がまとめて1つの処理回路で実現されても良い。
また、図16には、処理回路501がプロセッサを用いて構成されている場合におけるハードウェア構成を示している。この場合、自動運転制御装置100および200の各部の機能は、ソフトウェア等(ソフトウェア、ファームウェア、またはソフトウェアとファームウェア)との組み合わせにより実現される。ソフトウェア等はプログラムとして記述され、メモリ602に格納される。処理回路501として機能するプロセッサ601は、メモリ602(記憶装置)に記憶されたプログラムを読み出して実行することにより、各部の機能を実現する。すなわち、このプログラムは、自動運転制御装置100および200の構成要素の動作の手順および方法をコンピュータに実行させるものであるといえる。
ここで、メモリ602は、例えば、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリー、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)等の、不揮発性または揮発性の半導体メモリ、HDD(Hard Disk Drive)、磁気ディスク、フレキシブルディスク、光ディスク、コンパクトディスク、ミニディスク、DVD(Digital Versatile Disc)およびそのドライブ装置等、または、今後使用されるあらゆる記憶媒体であっても良い。
以上、自動運転制御装置100および200の各構成要素の機能が、ハードウェアおよびソフトウェア等のいずれか一方で実現される構成について説明した。しかしこれに限ったものではなく、自動運転制御装置100および200の一部の構成要素を専用のハードウェアで実現し、別の一部の構成要素をソフトウェア等で実現する構成であっても良い。例えば、一部の構成要素については専用のハードウェアとしての処理回路501でその機能を実現し、他の一部の構成要素についてはプロセッサ601としての処理回路501がメモリ602に格納されたプログラムを読み出して実行することによってその機能を実現することが可能である。
以上のように、自動運転制御装置100および200は、ハードウェア、ソフトウェア等、またはこれらの組み合わせによって、上述の各機能を実現することができる。
なお、本発明は、その発明の範囲内において、各実施の形態を自由に組み合わせたり、各実施の形態を適宜、変形、省略することが可能である。