JP2021045891A - 電子機器及びその制御方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】キャリッジのフィードバック制御の追従性とキャリッジ速度の振動抑制を両立できる制御を提供することである。【解決手段】対象物の移動を制御する電子機器において、前記対象物の移動を検出し、その検出信号に基づいて、第1の周期で前記対象物に対する第1のフィードバック制御を行うための制御量を推定する。一方、その検出信号に基づいて、第1の周期より短い第2の周期で前記対象物に対する第2のフィードバック制御を行うために、前記対象物の状態量を推定するタイミング信号を生成する。そして、その生成されたタイミング信号に基づいて、前記状態量を推定する。次に、推定された制御量に基づいて、第1のフィードバック制御のための第1操作量を生成する。一方、推定された状態量とに基づいて、第2のフィードバック制御のための第2操作量を生成し、第1操作量と第2操作量から前記対象物への操作量を生成する。【選択図】 図1
Description
本発明は電子機器及びその制御方法に関し、特に、例えば、シリアル型の記録装置のキャリッジ等の移動物体の駆動制御の技術に関する。
シリアル型プリンタにおいてモータにより往復移動するキャリッジの駆動はエンコーダを用いたPID制御などのフィードバック制御が一般的である。シリアル型のインクジェットプリンタにおいて、インクを吐出する記録ヘッドを搭載するキャリッジの走査を行う駆動部では、インク着弾位置の安定化のためにキャリッジ走査時の速度変動が重視されている。このため、キャリッジの速度変動を安定化させる制御を実現することが求められている。
特許文献1に記載の印刷装置およびゲイン補正方法では、特定の制御対象を動作させた所定期間における速度変動量に基づいた補正比率に応じて、PID制御のための定数(ゲイン)を補正する。特許文献1によれば、速度変動量が大きいほどPID制御のための補正比率を小さくすることができ、その結果、過剰な変動が抑制され、制御対象の速度変動の収束を実現させることができる。
特許文献1の印刷装置およびゲイン補正方法では、制御対象の速度変動を収束させるために、制御対象の制御ゲインを結果的に下げることになる。このため、制御対象物の過剰な振動を抑制することは可能かもしれないが、制御対象物の応答性を損なうことになる。制御対象物の状態変化の中における振動抑制と追従性の両立が課題となる。
本発明は上記従来例に鑑みてなされたもので、フィードバック制御の追従性と制御対象物の振動抑制を両立する電子機器とその制御方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために本発明の電子機器は、以下の構成を備える。
即ち、対象物の移動を制御する電子機器であって、前記対象物の移動を検出する検出手段と、前記検出手段から出力される検出信号に基づいて、第1の周期で前記対象物に対する第1のフィードバック制御を行うための制御量を推定する第1の推定手段と、前記検出手段から出力される検出信号に基づいて、前記第1の周期より短い第2の周期で前記対象物に対する第2のフィードバック制御を行うために、前記対象物の状態量を推定するタイミング信号を生成するタイミング信号生成手段と、前記タイミング信号生成手段によって生成されたタイミング信号に基づいて、前記状態量を推定する第2の推定手段と、前記第1の推定手段により推定された制御量に基づいて、前記第1のフィードバック制御のための第1操作量を生成する第1の生成手段と、前記第2の推定手段により推定された前記状態量に基づいて、前記第2のフィードバック制御のための第2操作量を生成する第2の生成手段と、前記第1操作量と前記第2操作量から前記対象物への操作量を生成する合成手段とを有することを特徴とする。
また本発明を別の側面から見れば、対象物の移動を制御する電子機器における制御方法であって、前記対象物の移動を検出する検出工程と、前記検出工程において出力される検出信号に基づいて、第1の周期で前記対象物に対する第1のフィードバック制御を行うための制御量を推定する第1の推定工程と、前記検出工程において出力される検出信号に基づいて、前記第1の周期より短い第2の周期で前記対象物に対する第2のフィードバック制御を行うために、前記対象物の状態量を推定するタイミング信号を生成するタイミング信号生成工程と、前記タイミング信号生成工程において生成されたタイミング信号に基づいて、前記状態量を推定する第2の推定工程と、前記第1の推定工程において推定された制御量に基づいて、前記第1のフィードバック制御のための第1操作量を生成する第1の生成工程と、前記第2の推定工程において推定された前記状態量に基づいて、前記第2のフィードバック制御のための第2操作量を生成する第2の生成工程と、前記第1操作量と前記第2操作量から前記対象物への操作量を生成する合成工程とを有することを特徴とする制御方法を備える。
本発明によれば、フィードバック制御の追従性と制御対象物の振動抑制を両立できるという効果がある。
以下添付図面を参照して本発明の好適な実施形態について、さらに具体的かつ詳細に説明する。なお、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。実施形態には、複数の特徴が記載されているが、これらの複数の特徴の全てが発明に必須のものとは限らず、また、複数の特徴は任意に組み合わせられても良い。さらに添付図面においては、同一若しくは同様の構成に同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
以下の説明においては、電子機器の代表的な例としてシリアル型記録装置のキャリッジを移動させるモータの駆動制御を例に挙げる。しかし、記録装置のキャリッジに限らず、モータの駆動により物体を移動させるものであれば、本発明のモータ制御を適用することが可能である。例えば、その記録装置において、記録用紙などの記録媒体を搬送するために用いる搬送モータの駆動制御に適用することもできる。さらには、CCDラインスキャナやCISなどをモータを駆動して移動させながら原稿の画像を光学的に読取るスキャナ装置なども本発明に含まれる。
1.フィードバック制御の説明
図1は記録装置のキャリッジモータの駆動制御部におけるフィードバック制御構成を示すブロック図である。図1において、(a)は一般的な制御構成を示す図であり、(b)はこの実施例において用いられる制御構成を示す図である。
図1は記録装置のキャリッジモータの駆動制御部におけるフィードバック制御構成を示すブロック図である。図1において、(a)は一般的な制御構成を示す図であり、(b)はこの実施例において用いられる制御構成を示す図である。
まず、図1(a)を参照して一般的なフィードバック制御構成について説明する。
図1(a)に示すように、制御対象(例えば、キャリッジ)21の状態を検出した検出信号(キャリッジの位置、速度)が制御量推定部(例えば、CPU)23に出力され、位置・速度情報等の制御量を推定する。その制御量が第1制御部(例えば、キャリッジドライバ)22に出力され、制御対象21を入力される目標値に収束させるための操作量が演算される。操作量が制御対象21に出力されることでフィードバック制御ループが構成される。
さて、制御対象を安定して動作させるためには、制御対象の特性を鑑みつつ制御上の余裕度を確保して、諸々のパラメタ設定を行う必要がある。余裕度が足りないと振動が発生し、発振現象から制御不能に至る場合もある。一方、この余裕度を取りすぎると制御対象の追従性能が低下するが振動抑制のために追従性能に制限をかけることは避けられない。
次に、図1(b)を参照してこの実施例で用いられるフィードバック制御構成について説明する。
図1(b)に示されているように、このフィードバック制御では、図1(a)で示したフィードバック制御ループに加えて、制御対象21からの検出信号を用いた別のフィードバック制御ループを形成する。即ち、制御対象21の状態を検出した検出信号が制御量推定部23に出力され、キャリッジの位置・速度情報等の制御量を推定する。その制御量が第1制御部22に出力され、第1制御部22で制御対象21を目標値に収束させるための第1操作量が演算される。次に、第1制御部21から第1操作量が出力され、合成部26を経て制御対象21に至ることで、第1のフィードバックループが形成される。
一方、制御対象21の状態を検出した検出信号は、第2操作量を算出する演算タイミングを生成するための演算タイミング生成部50にも入力される。ここで、制御対象21の状態に応じた演算タイミングが生成され、その演算タイミングに応じて状態量推定部25で第1状態量と第2状態量を推定する。
第2状態量は第1状態量を時間微分した関係がある。具体的には、第1状態量と第2状態量は位置と速度の組み合わせ、もしくは速度と加速度の組み合わせからなる値となり、これらが第2制御部24に出力されるものとなる。そして、第2の制御部24で第2操作量が演算される。次に、第2制御部24から第2操作量が出力され、合成部26で第1操作量と第2操作量とが合成されて制御対象21に至る。このように、制御対象21→状態量推定部25→第2制御部24→合成部26→制御対象21という第2のフィードバックループが形成される。
さて、第1状態量と第2状態量は、例えば、キャリッジの位置(x)と速度(v)、又は、キャリッジの速度(v)と加速度(a)の関係になるので、これら2つの状態量(2変数)の関係を2次元空間で表現できる。
図2は第1状態量と第2状態量との関係を示す2次元座標空間の図である。図2では、横軸に第1状態量を、縦軸に第2状態量を定義している。
図2に示されるように、その平面において、予め2分割の領域が定義され、その平面が切り替え線と呼ばれる関数により2つの領域に分割されている状態を示している。この領域分割を領域1、領域2と呼ぶ。この切り替え線を表す関数は、第1状態量をS1、第2状態量をS2とすれば、S2=k×S1という関係で表現される一次関数である。ここで、kは切り替え係数である。
図2に示されるように、切り替え線の上部領域(白色)が領域1、下部領域(斜線)が領域2となっている。そして、第1状態量と第2状態量の関係が領域1にある場合には+符号の操作量を出力し、第1状態量と第2状態量の関係が領域2にある場合には−符号の操作量を出力する。なお。動作条件によっては、領域1が−符号、領域2が+符号の場合もありえる。この2つの領域をまたぐ毎に符号が切り替わることで操作量はスイッチング動作に相当する動きを実現するものとなる。この様な操作量が第2操作量として第2制御部24の出力となり、合成部26を経て制御対象21に至る。
第1操作量と第2操作量は非同期に更新されるものであり、これらのタイミングを調整しつつ合算するのが合成部26であり、合算値となる第3操作量を制御対象21に出力する。
次に、図1(b)に示したフィードバック制御を、シリアル型記録装置において記録ヘッドを搭載して往復運動するキャリッジの速度制御に適用した例について説明する。
2.フィードバック制御の適用例の説明
ここでは、図1(b)を参照して説明したような2つのフィードバックループを形成する制御を適用するシリアル型の記録装置について説明する。
ここでは、図1(b)を参照して説明したような2つのフィードバックループを形成する制御を適用するシリアル型の記録装置について説明する。
<記録装置の説明(図3〜図4)>
図3は本発明の代表的な実施例であるインクジェット方式に従ってインク液滴を吐出するインクジェット記録ヘッド(以下、記録ヘッド)を搭載した記録装置の構成を示す外観斜視図である。
図3は本発明の代表的な実施例であるインクジェット方式に従ってインク液滴を吐出するインクジェット記録ヘッド(以下、記録ヘッド)を搭載した記録装置の構成を示す外観斜視図である。
記録ヘッド2を搭載するキャリッジ(移動物体)3はガイド軸4により摺動自在に支持されて、記録媒体(シート)1の上で往復移動する。キャリッジ3の移動範囲の一端にはプーリ付きのキャリッジモータ(DCモータ)5が配置され、他端にアイドルプーリ6が配置され、これらにタイミングベルト7が掛けまわされ、キャリッジ3とタイミングベルト7が連結されている。
また、ガイド軸4を中心としてキャリッジ3が回転するのを防ぐために、ガイド軸4と平行に延びて設置されたサポート部材8が設置され、キャリッジ3はサポート部材8によっても摺動自在に支持されている。また、記録ヘッド2には多数の記録素子が設けられており、記録装置の本体部から記録ヘッド2に記録素子の駆動信号を供給するためのFFC(フレキシブルフラットケーブル)11が配されている。FFC11は細長くかつ薄いフィルム形状をなしており、その内部または表面に駆動信号を伝達するための導体パターンが形成されており、キャリッジ3の移動に伴って屈曲しかつ曲げの中心位置が移動するように可撓性を有している。
さらに、キャリッジ3の外にインクタンク(不図示)が配置され、インクタンク内に貯留されたインクを記録ヘッド2に供給するチューブ12が配されている。チューブ12はキャリッジ3の移動に伴って屈曲しかつ曲げの中心位置が移動するように可撓性を有している。これらFFC11とチューブ12からなる接続部材10はキャリッジ3と記録装置本体の固定部9との間に接続されている。
また、キャリッジ3の位置情報を取得するために用いられるリニアスケール16は、キャリッジ移動方向(主走査方向)に沿って平行に配置され、キャリッジ3に取り付けられたエンコーダセンサ15で読取る構成となっている。さらに、記録媒体1の幅方向の両外側には記録ヘッド2の予備吐出したインクを回収する為のインク回収口14a、14bが設けられている。この予備吐出とは、記録開始直前もしくは記録実行中にノズル先端部に付着したインクを記録とは無関係な位置で排出する為の動作である。
このような構成により、キャリッジ3は矢印A方向(主走査方向)に往復移動する。また、記録媒体1は、搬送モータ(不図示)によってキャリッジ3と垂直に交差する矢印Bの方向(副走査方向)に搬送される。
図4は図3に示した記録装置の制御構成を示すブロック図である。
図4に示すように、コントローラ600は、MPU601、ROM602、特殊用途集積回路(ASIC)603、RAM604、システムバス605、A/D変換器606などで構成される。ここで、ROM602は後述する制御シーケンスに対応したプログラム、所要のテーブル、その他の固定データを格納する。
ASIC603は、キャリッジモータ5の制御、搬送モータ20の制御、及び、記録ヘッド2の制御のための制御信号を生成する。RAM604は、画像データの展開領域やプログラム実行のための作業用領域等として用いられる。システムバス605は、MPU601、ASIC603、RAM604を相互に接続してデータの授受を行う。A/D変換器606は以下に説明するセンサ群からのアナログ信号を入力してA/D変換し、デジタル信号をMPU601に供給する。
また、図4において、ホスト装置610は画像データの供給源となる。ホスト装置610と記録装置1との間ではインタフェース(I/F)611を介して画像データ、コマンド、ステータス等を、例えば、USB規格に基づくプロトコルを用いて送受信する。
さらに、スイッチ群620は、電源スイッチ621、印刷の開始指示などを行うプリントスイッチ622、回復スイッチ623などから構成される。
センサ群630は装置状態を検出するためのエンコーダセンサ15、温度センサ632等から構成される。
さらに、キャリッジモータドライバ640はキャリッジ3を矢印A方向に往復走査させるためのキャリッジモータ5を駆動させ、搬送モータドライバ642は記録媒体Pを搬送するための搬送モータ20を駆動させる。
ASIC603は、記録ヘッドによる記録走査の際に、RAM604の記憶領域に直接アクセスしながら記録ヘッドに対して記録素子(吐出用のヒータ)を駆動するためのデータを転送する。加えて、この記録装置には、ユーザインタフェースとしてLCDやLEDで構成される操作パネル18が備えられている。また、装置実装上は、スイッチ群620が操作パネル18に含まれていても良い。
ASIC603は画像処理やアクチュエータ制御を行うため演算処理部として動作し、MPU601から命令を受けて演算処理を実行する。詳細は後述するが、ループバック制御演算の一部はASIC603で実行される。MPU601はキャリッジのフィードバック制御のための演算の一部を担当し、印刷シーケンスに従って、キャリッジモータ5の駆動演算を実行する。インタフェース611を経由してホスト装置610からプリント命令が発行された際、記録動作のためにキャリッジ3が往復動作する。
3.記録装置のキャリッジ制御のためのフィードバック制御構成の詳細
ここでは、図1(b)を参照して説明したフィードバック制御構成を、図3〜図4を参照して説明した記録装置のキャリッジ駆動制御への適用について詳細に説明する。
ここでは、図1(b)を参照して説明したフィードバック制御構成を、図3〜図4を参照して説明した記録装置のキャリッジ駆動制御への適用について詳細に説明する。
図5は図3〜図4で示した記録装置におけるキャリッジ駆動制御の詳細を説明するブロック図である。
記録装置のキャリッジ制御には、記録ヘッド2による印刷品位を担保するために正確な位置にインクを着弾させるための精度が求められる。記録ヘッド2からのインク液滴の吐出タイミングはキャリッジ3の移動速度(v)から算出されるものであり、その速度変動を最小化することが重要になる。その為、この実施例に従うフィードバック制御における抑制すべき振動対象は、キャリッジ速度になる。従って、図1(b)を参照して説明したフィードバック制御における第1状態量と第2状態量は、キャリッジの速度と加速度の組み合わせとなり、これらの状態量が第2制御部24に入力される。
また、フィードバック制御における制御対象はキャリッジ3となり、エンコーダセンサ15からエンコーダ信号が制御量推定部23と演算タイミング生成部25に出力される。一般的にエンコーダ信号は、A相B相と呼ばれる位相が90度異なる2本のパルス信号が用いられる。この実施例においてもA相B相の2本のパルス信号をエンコーダ信号として用いる。
図6はA相B相のエンコーダ信号を示す図である。
制御量推定部23はこのパルス信号をカウントすることで位置情報を推定し、パルス信号のパルス幅を計測することで速度情報を推定する。この位置・速度情報等が制御量として、第1制御部22に相当するPID制御演算部36に出力される。
目標値演算部35は、キャリッジ3を所望の加速度条件や速度条件に従って目標位置まで移動させるための目標プロファイルを生成し、これを目標値として出力する。PID制御演算部35は、目標値演算部35からの目標値と制御量推定部23からの制御量とを用いてPID制御演算を行い、第1操作量として出力する。
エンコーダセンサ15からのエンコーダ信号は演算タイミング生成ブロック50にも出力され、そこで生成されたタイミング信号が状態量推定部25に出力される。状態量推定部25は、速度・加速度情報生成部を備え、演算タイミングに応じた速度・加速度情報が生成され、さらに状態量推定部25には前処理演算部38からの出力となるレジスタ設定値も入力される。レジスタ設定値は、目標値演算部35からの目標値を、前処理演算部38により状態量推定部内で使用する単位系に置換した値である。状態量推定部25は、エンコーダ信号から速度情報と加速度情報とを推定し、動作目標となるレジスタ設定値との誤差量を計算する。そして、その誤差量となる速度誤差量、加速度誤差量の2つが速度次元と加速度次元の状態量の組み合わせとして、第2制御部24に相当するスライディングモード制御演算部39に出力される。
スライディングモード制御演算部39では、速度誤差量、加速度誤差量の2変数からなる2次元平面空間が形成される。図2を参照して説明した2次元平面の領域判別は、
位相切り替え線(S) = 切り替え係数 × 加速度誤差量 + 速度誤差量
から求められる。例えば、S>0であれば、現在の状態量は切り替え線の上部となる領域1に位置する。これに対して、S<0であれば、現在の状態量は切り替え線の下部となる領域2に位置する。また、S=0の場合は、S>0かS<0のどちらか一方と定義して扱うものとなる。そして、その領域判別結果に基づき操作量の符号が決定され、第2操作量として出力される。なお、切り替え係数も、前処理演算部38からの出力となるレジスタ設定値により更新される。ただし、特別な場合として位相切り替え線は、加速度誤差量また速度誤差量の両方を使用せずに何れか1方のみであっても良い。
位相切り替え線(S) = 切り替え係数 × 加速度誤差量 + 速度誤差量
から求められる。例えば、S>0であれば、現在の状態量は切り替え線の上部となる領域1に位置する。これに対して、S<0であれば、現在の状態量は切り替え線の下部となる領域2に位置する。また、S=0の場合は、S>0かS<0のどちらか一方と定義して扱うものとなる。そして、その領域判別結果に基づき操作量の符号が決定され、第2操作量として出力される。なお、切り替え係数も、前処理演算部38からの出力となるレジスタ設定値により更新される。ただし、特別な場合として位相切り替え線は、加速度誤差量また速度誤差量の両方を使用せずに何れか1方のみであっても良い。
ここで、第1操作量と第2操作量の更新タイミングについて説明する。
第1操作量はPID制御演算部36が実行される毎に更新される。図1(b)に示したフィードバック制御が適用される記録装置のキャリッジモータ駆動制御部(キャリッジモータドライバ)には、1KHz程度の周期で制御演算が実行されることが多い。これに対して、第2操作量はスライディングモード制御演算部39が実行される毎に更新される。ここでは、エンコーダ信号のパルス変化を想定しており、およそ数KHz〜20KHz程度の周期で制御演算が実行される。このような非同期な関係な入力に対し、合成部26ではタイミングを調整しつつ合算する。合成部26では、操作量の合算結果に基づくPWM信号をモータドライバ640に出力する。そして、モータドライバ640によりキャリッジモータ5が回転し、タイミングベルト7を経由してキャリッジ3が移動する。
スライディングモード制御演算部39をエンコーダ信号のパルス変化に起因した高速演算を実現するため、ここではASIC等のハードウェアで実行することを想定している。
図5において、2点鎖線で囲まれた範囲がASIC603において実現される。図5から分かるように、ASIC603は、スライディングモード制御演算部39、状態量推定部23、演算タイミング生成部50、状態量推定部25、合成部26の機能を担当する。これに対して、図5において、太い点線で囲まれた範囲はMPU601においてプログラムを実行することにより実現される。図5から分かるように、MPU601は、PID制御演算部36、目標値演算部35、前処理演算部38の機能を担当する。
このように、MPU601とASIC603とでフィードバック制御を分担するのは、ASIC(ハードウェア)603で実現される部分で扱われる情報の更新周期が、MPU601で実現される部分で扱われる情報の更新周期よりも短いためである。
目標値演算部35により目標値が更新される毎に前処理演算部38も実行され、ASIC603のレジスタ領域に、最新のレジスタ設定値が設定される。前処理部演算部38では、スライディングモード制御演算39で実行する位相切り替え線の演算や状態量推定部25の推定演算で時々刻々と変化する変数値の一部を、PID制御演算部36の演算周期の間のみパラメタ値として管理するための計算を行う。フィードバック制御全てをASICで実行することは集積回路の肥大化を招き、処理の柔軟性や融通性を欠くものとなるので、この実施例では、演算精度と回路規模で折り合いをつけ、計算の一部をMPUの前処理演算部38が更新タイミングで実行する。
また、スライディングモード制御演算部39で用いる制御パラメータを、キャリッジ3の動作状態により変更しても良い。その場合、目標値演算部35による目標値から、キャリッジ3が加速状態や定速状態や減速状態のうち、いずれの状態の区間にあるかの判別を行う。そして、その区間ごとに、位相切り替え線の算出に用いる切り替え係数を変更することで、キャリッジ動作条件に応じた適切な切り替え線を選択し、速やかな収束を実現できるようにしても良い。
4.演算タイミング生成部50で生成されたタイミング信号の説明
図7は図3に示した記録装置のキャリッジの速度プロファイルを示す図である。
図7は図3に示した記録装置のキャリッジの速度プロファイルを示す図である。
図7において、(a)は記録装置1のキャリッジ駆動機構によって駆動されるキャリッジ3の速度プロファイルの一例を示している。この速度プロファイルは、加速領域、定速領域、減速領域の3つの範囲に分割され、定速領域の速度が最高速になるものとする。この速度プロファイルを実現するために、図1(b)で示した第1制御部22を含む第1のフィードバックループで主な制御を実行する。
また、(b)は第2制御部24を含む第2のフィードバックループで演算される演算タイミングを下向きの太い矢印で速度プロファイル上に示している。加速領域と減速領域では演算タイミングの生成に必要な速度差分はある程度の大きさで得られ、この大きさが上下方向の矢印で示されている。一方、定速領域では速度差分が小さくなり、小さな矢印、または、矢印はないことで、そのことが示されている。
図8は、図7(b)に示した定速領域で第2のフィードバックループで演算される演算タイミングをエンコーダ信号のA相立上りエッジとした場合を下向きの太い矢印で表した拡大図である。
図8に示した時間領域は、図7に示した速度プロファイル全体から見ると、その一部の定速領域であるが、図8に示されるように、定速領域でもモータコギングなどの影響により、微小な速度変動が発生している。このような微小な速度変動が発生しているときに、状態量推定部25において、入力されたエンコーダ信号のパルス幅を計測し速度を算出する場合、量子化誤差の影響を大きく受けてしまう。
図9はエンコーダ入力の立上りエッジタイミングで速度情報を取得する場合の量子化誤差について説明する図である。
図9に示されるように、あるタイミングにおいて、エンコーダ入力を周波数Aでサンプリングすると、サイクル1とサイクル2の速度カウント値は同じ(“16”)になる。一方、周波数Bでサンプリングすると、サイクル1とサイクル2の速度カウント値はそれぞれ“27”と“25”であり、速度カウント値に差が生じる。このようなカウント値の丸め込みを量子化誤差と呼ぶ。
サンプリング周波数が高いほどカウンタの分解能があがり、量子化誤差の影響が少なくなるため、より精度のよいカウント結果が得られるが、デバイスの周波数が高くなると消費電力が増大するなどのデメリットも生じてしまう。そのため、ある程度の量子化誤差が含まれることを認識した上で、ある程度の周波数でデバイスを設計することが現実的である。
さて、図7に示した速度プロファイルにおいて、速度差分の小さくなる定速領域での速度カウントでは、速度差分の大きい加速領域や減速領域での速度カウントに比べて量子化誤差の占める割合が増えてしまう。また、振動抑制のために実行しているスライディングモード制御演算部39の演算結果に対して、却って悪影響を与えてしまうことが考えられる。このため、演算タイミング生成部50では、量子化誤差の影響を低減するために、制御対象の速度がある速度に達した場合、もしくは制御対象の移動位置がある位置に達した場合に、演算タイミングを間引く処理を挿入する。これにより、図7に示した速度プロファイルに基づいて、演算の間隔が変更されるので、量子化誤差による影響を低減できる。
図10は図8に示したエンコーダ信号のA相立上りエッジを演算タイミングとした場合において演算タイミングの一部を間引いた場合の演算タイミングを示した図である。
図10によれば、制御量推定部23によって制御対象が特定位置に達したことを検知した時には、演算タイミング生成部50は演算タイミング信号を生成し、制御対象に対して演算結果が反映される。しかしながら、エンコーダ信号の次のA相立上りエッジが検出された時には、演算タイミング生成部50は演算タイミング信号生成を間引きし、状態量推定部25に演算タイミング信号を出力しないため、第2のフィードバックループの演算処理は実行されない。エンコーダ信号のさらに次のA相立上りエッジが検出された時には、演算タイミング生成部50は演算タイミング信号を生成するため、第2のフィードバックループの演算処理が実行される。
このような制御を制御対象が演算間引き終了位置に達するまで繰り返す。具体的には、キャリッジ3の移動が定速領域から減速領域に移行するまで、この制御が実行される。ここで、状態量推定部25はA相立上りエッジ検出タイミングのひとつ前の検出タイミングで得られた速度、加速度情報と、現在の速度、加速度情報の加算されたものが保持されることとなる。このため、それに応じた演算をスライディングモード制御演算部39で実行する。
なお、図10に示した例では、制御対象が所定位置に達した際に間引き処理を実行する例を説明しているが、制御対象が所定速度に達したときも同様の間引き処理が実行されても良い。
演算タイミングの間引き処理は、上述のように、速度プロファイル上で制御対象の速度が最高速に達して定速領域となった場合に実行する。このとき第2のフィードバックループの演算処理を実行するタイミングは、量子化誤差の影響を鑑みるとエンコーダセンサから得られる情報は片相・片エッジ(例えば、A相、立上りエッジ)で取得することが望ましい。ここで、演算タイミングの間引き処理を実行した場合、量子化誤差の影響を低減できるが、速度・加速度情報の更新周期が長くなるため、フィードバック制御の追従性が低下するという不都合が発生する。これを解決するため、この実施例では、演算タイミング生成部50が、エンコーダ信号の両相の情報を使用し、間引き処理を実行しても速度・加速度情報の更新周期が長くならず、フィードバック制御の追従性が低下しないように、演算タイミング信号を生成する。
図11は図8に示したA相立上りエッジを演算タイミングとした場合において演算タイミングの一部を間引き、さらにB相立上りエッジを速度情報更新のタイミングとした様子を示す図である。
図11によれば、制御量推定部23により制御対象が特定位置に達したことを検知した時に、演算タイミング生成部50は演算タイミング信号を生成し、制御対象に対して演算結果が反映される。しかしながら、エンコーダ信号の次のA相立上りエッジが検出された時、演算タイミング生成部50は演算タイミング信号の生成を間引き、状態量推定部25に対して演算タイミング信号を出力しないため、第2のフィードバックループの演算処理は実行されない。
しかしながら、図11に示すように、間引きが発生したA相立上りエッジのすぐ次のB相立上りエッジが検出されたとき、演算タイミング生成部50はエンコーダ信号B相に基づいて速度情報を取得し、この速度情報を状態量推定部25に対して入力する。これにより、次にA相立上りエッジが検出されて演算タイミング生成部50が演算タイミング信号を生成出力し、第2のフィードバックループの演算処理が実行されたときに更新されたエンコーダ信号B相に基づく速度情報も反映される。
従って以上説明した実施例に従えば、第1制御部と第2制御部からなるフィードバック制御構成を記録装置のキャリッジ駆動制御に適用することで、従来は抑制できなかった速度振動を抑制することが可能になる。また、第1制御部のパラメータ設定では、制御対象の変動要因への対処領域を少なくできるので、フィードバック制御の追従性の低下を最小限に抑えることができる。このように、この実施例によれば、フィードバック制御の制御対象物であるキャリッジ振動抑制と追従性を両立できるので、キャリッジ駆動制御をより精確に行うことが可能になり、高品位な画像記録を実現することができる。
これに加えて、以上説明した実施例に従えば、エンコーダB相側から速度情報を取得することで、A相立上りエッジに基づいて演算タイミング信号生成が間引かれている間にキャリッジの速度情報の更新がされる。従って、演算処理を間引いても速度情報の更新頻度は維持されるので、フィードバック制御の追従性の低下を防ぐことができる。なお、A相とB相の両方を利用する場合は、更新タイミングが不等間隔になる。したがって、特定の周波数のノイズに対して有利な場合がある。
なお、図11ではB相立上りエッジの検出タイミングで速度情報を更新する例を示しているが、図12に示すようにB相立下りエッジの検出タイミングで速度情報を更新するようにしても同様に、フィードバック制御の追従性の低下を防ぐことができる。
また、演算間引きを実行するタイミングについては、上記例により本発明が限定されるものではない。例えば、エンコーダ信号のエッジ検出タイミングの複数回に渡って、演算間引きを行っても良いし、またそのときに演算タイミング間引きに使用していない側の相のエンコーダ信号に基づいた速度情報更新のタイミングについては任意に定めるようにしても良い。
5.フィードバック制御の別の適用例の説明
本発明は上述のように、モータの駆動により物体を移動させるものであれば適用することが可能なので、例えば、多機能プリンタ(MFP)のスキャナユニットや単機能のスキャナ装置のCISやCCDセンサを移動させるスキャナモータの制御に適用できる。
本発明は上述のように、モータの駆動により物体を移動させるものであれば適用することが可能なので、例えば、多機能プリンタ(MFP)のスキャナユニットや単機能のスキャナ装置のCISやCCDセンサを移動させるスキャナモータの制御に適用できる。
スキャナユニットは、画像読取性能を担保するためにCISやCCDセンサの光源点灯タイミングとスキャナユニットの移動量を一致させて画像信号を取得する必要がある。通常、光源点灯タイミングは、スキャナユニットの移動速度が一定であることを前提としているので、スキャナユニットの速度変動を抑制することが重要である。このため、抑制すべき振動対象がスキャナユニットの移動速度になるので、速度と加速度の状態量の組み合わせを上述の第2制御部を適用する。そして、基本的には、図5を参照して説明したキャリッジ制御構成と同じ構成で制御すれば良い。
これにより、従来の制御のみでは抑えきれなかったスキャナユニットの高周波数での微小な振動を抑制するとともに、フィードバック制御追従性を改善することができる。その結果、高品位な画像読取が達成できる。
さらに本発明は図5〜図6で説明したような記録装置の搬送ローラ駆動制御にも適用できる。記録装置ではキャリッジ走査ごとに搬送ローラを回転させて、記録媒体を間欠搬送するが、このときの搬送量変動を抑制するために本発明のフィードバック制御を適用することができる。この場合、制御対象物は記録媒体の搬送量(位置変動)となるので、搬送ローラの回転量を第1状態量とし、搬送ローラの回転速度を第2状態量として上述の第2制御部に入力すればよい。
これにより、より高精度な搬送制御を実現することが可能になる。
発明は上記実施形態に制限されるものではなく、発明の精神及び範囲から離脱することなく、様々な変更及び変形が可能である。従って、発明の範囲を公にするために請求項を添付する。
1 記録媒体、2 記録ヘッド、3 キャリッジ、4 ガイド軸、
5 キャリッジモータ、6 アイドルプーリ、7 タイミングベルト、
8 サポート部材、9 固定部、10 接続部材、11 FFC、12 チューブ、
13 サブフレーム、14a、14b インク回収口、15 エンコーダセンサ、
16 リニアスケール、21 制御対象、22 第1制御部、23 制御量推定部、
24 第2制御部、25 状態量推定部、26 合成部、50 演算タイミング生成部
5 キャリッジモータ、6 アイドルプーリ、7 タイミングベルト、
8 サポート部材、9 固定部、10 接続部材、11 FFC、12 チューブ、
13 サブフレーム、14a、14b インク回収口、15 エンコーダセンサ、
16 リニアスケール、21 制御対象、22 第1制御部、23 制御量推定部、
24 第2制御部、25 状態量推定部、26 合成部、50 演算タイミング生成部
Claims (12)
- 対象物の移動を制御する電子機器であって、
前記対象物の移動を検出する検出手段と、
前記検出手段から出力される検出信号に基づいて、第1の周期で前記対象物に対する第1のフィードバック制御を行うための制御量を推定する第1の推定手段と、
前記検出手段から出力される検出信号に基づいて、前記第1の周期より短い第2の周期で前記対象物に対する第2のフィードバック制御を行うために、前記対象物の状態量を推定するタイミング信号を生成するタイミング信号生成手段と、
前記タイミング信号生成手段によって生成されたタイミング信号に基づいて、前記状態量を推定する第2の推定手段と、
前記第1の推定手段により推定された制御量に基づいて、前記第1のフィードバック制御のための第1操作量を生成する第1の生成手段と、
前記第2の推定手段により推定された前記状態量に基づいて、前記第2のフィードバック制御のための第2操作量を生成する第2の生成手段と、
前記第1操作量と前記第2操作量から前記対象物への操作量を生成する合成手段とを有することを特徴とする電子機器。 - 前記状態量は、対象物の第1状態量と該第1状態量を時間微分して得られる第2状態量であることを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
- 前記タイミング信号生成手段は、前記検出信号のパルスのエッジが検知されるタイミングで、前記タイミング信号を生成することを特徴とする請求項2に記載の電子機器。
- 前記タイミング信号生成手段は、前記対象物の移動速度が予め定められた速度に達した場合、或いは、前記対象物の移動位置が予め定められた位置に達した場合に、前記タイミング信号の生成を間引くことを特徴とする請求項2に記載の電子機器。
- 前記電子機器は、記録ヘッドを搭載したキャリッジを往復移動させて前記記録ヘッドにより記録媒体に記録を行う記録装置であり、
前記対象物は前記キャリッジであることを特徴とする請求項2乃至4のいずれか1項に記載の電子機器。 - 前記キャリッジの往復移動の範囲には、前記キャリッジの加速領域と、前記キャリッジの定速領域と、前記キャリッジの減速領域とを含み、
前記第1状態量は、前記キャリッジの位置であり、
前記第2状態量は、前記キャリッジの速度であることを特徴とする請求項5に記載の電子機器。 - 前記検出手段は、前記キャリッジの位置を検出するエンコーダセンサを備え、
前記エンコーダセンサから出力されるエンコーダ信号のパルス信号をカウントすることで前記キャリッジの位置を推定し、前記パルス信号のパルス幅を計測することで前記キャリッジの速度を推定することを特徴とする請求項6に記載の電子機器。 - 前記エンコーダ信号は、位相が互いに90度異なるA相のエンコーダ信号のパルスとB相のエンコーダ信号のパルスとからなり、
前記タイミング信号生成手段は、前記キャリッジの定速領域において、前記A相のエンコーダ信号のパルスの立上りエッジが検出された場合に前記タイミング信号の生成の一部を間引くことを特徴とする請求項7に記載の電子機器。 - 前記タイミング信号生成手段は、前記タイミング信号の生成の間引きが発生した前記A相のエンコーダ信号のパルスの立上りエッジのすぐ次の前記B相のエンコーダ信号のパルスの立上りエッジが検出されたとき、該検出されたB相のエンコーダ信号のパルスの立上りに基づいて前記キャリッジの速度情報を取得し、該取得した速度情報を前記第2の推定手段に出力することを特徴とする請求項8に記載の電子機器。
- 前記タイミング信号生成手段は、前記タイミング信号の生成の間引きが発生した前記A相のエンコーダ信号のパルスの次の前記A相のエンコーダ信号のパルスの立上りエッジが検出された場合に、前記タイミング信号を生成し、
前記第2の推定手段は、該生成されたタイミング信号を入力して、前記第2のフィードバック制御を行うために、前記検出されたB相のエンコーダ信号のパルスの立上りに基づいて取得された前記キャリッジの速度情報を前記キャリッジの位置と前記キャリッジの速度の推定に反映することを特徴とする請求項9に記載の電子機器。 - 前記電子機器は、CIS又はCCDセンサを搭載したスキャナユニットを移動させて前記スキャナユニットにより原稿の画像を読取るスキャナ装置、又は、記録ヘッドを搭載したキャリッジを往復移動させて前記記録ヘッドにより記録媒体に記録を行う記録装置に該スキャナ装置を備えた多機能プリンタであり、
前記対象物は前記スキャナユニットであることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の電子機器。 - 対象物の移動を制御する電子機器における制御方法であって、
前記対象物の移動を検出する検出工程と、
前記検出工程において出力される検出信号に基づいて、第1の周期で前記対象物に対する第1のフィードバック制御を行うための制御量を推定する第1の推定工程と、
前記検出工程において出力される検出信号に基づいて、前記第1の周期より短い第2の周期で前記対象物に対する第2のフィードバック制御を行うために、前記対象物の状態量を推定するタイミング信号を生成するタイミング信号生成工程と、
前記タイミング信号生成工程において生成されたタイミング信号に基づいて、前記状態量を推定する第2の推定工程と、
前記第1の推定工程において推定された制御量に基づいて、前記第1のフィードバック制御のための第1操作量を生成する第1の生成工程と、
前記第2の推定工程において推定された前記状態量に基づいて、前記第2のフィードバック制御のための第2操作量を生成する第2の生成工程と、
前記第1操作量と前記第2操作量から前記対象物への操作量を生成する合成工程とを有することを特徴とする制御方法。
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