JP2021068230A - 電子機器及びその制御方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】複数の制御対象のフィードバック制御の追従性と対象物の振動抑制を両立できる電子機器を提供する。【解決手段】第1と第2の対象物夫々の移動を制御する電子機器は、第1と第2の対象物夫々の移動を検出し、各検出信号に基づき、第1の周期で第1と第2の対象物に対する第1のフィードバック制御を行うための制御量を推定する。一方、各検出信号に基づき、第1の周期より短い第2の周期で第1と第2の対象物に対する第2のフィードバック制御を行うために、第1と第2の対象物夫々の状態量を推定する。次に、推定された制御量に基づき、第1のフィードバック制御のための第1と第2の対象物夫々の第1操作量を生成し、推定された前記状態量に基づき、第2のフィードバック制御のための第1と第2の対象物夫々の第2操作量を時分割に生成する。そして、第1と第2の対象物夫々の第1操作量と第2操作量から第1と第2の対象物夫々への操作量を生成する。【選択図】図2
Description
本発明は電子機器及びその制御方法に関し、特に、例えば、シリアル型の記録装置のキャリッジ等の移動物体の駆動制御の技術に関する。
シリアル型プリンタにおいてモータにより往復移動するキャリッジの駆動や、別のモータにより記録媒体を搬送する搬送ローラの駆動はエンコーダを用いたPID制御などのフィードバック制御が一般的である。シリアル型のインクジェットプリンタにおいて、インクを吐出する記録ヘッドを搭載するキャリッジの走査を行う駆動部では、インク着弾位置の安定化のためにキャリッジ走査時の速度変動が重視されている。このため、キャリッジの速度変動を安定化させる制御を実現することが求められている。また、記録媒体を搬送する搬送ローラを回転させる駆動部でも、高い搬送精度を得るために記録媒体搬送時の速度安定性が重視されている。このため、負荷変動の中でも速度変動の少ない安定した制御を実現することが求められている。
特許文献1に記載の印刷装置およびゲイン補正方法では、特定の制御対象を動作させた所定期間における速度変動量に基づいた補正比率に応じて、PID制御のための定数(ゲイン)を補正する。特許文献1によれば、速度変動量が大きいほどPID制御のための補正比率を小さくすることができ、その結果、過剰な変動が抑制され、制御対象の速度変動の収束を実現させることができる。
特許文献1の印刷装置およびゲイン補正方法では、制御対象の速度変動を収束させるために、制御対象の制御ゲインを結果的に下げることになる。このため、制御対象物の過剰な振動を抑制することは可能かもしれないが、制御対象物の応答性を損なうことになる。制御対象物の状態変化の中における振動抑制と追従性の両立が課題となる。
さらに印刷装置のようにキャリッジや搬送ローラなど複数の制御対象がある場合に、これらを駆動するモータの制御を個別に行っていたのでは、制御回路の規模が大きくなってしまうという課題も生じる。
本発明は上記従来例に鑑みてなされたもので、複数の制御対象のフィードバック制御の追従性と制御対象物の振動抑制を両立しつつ、より小さな回路規模で複数の制御対象の制御を実現できる電子機器とその制御方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために本発明の電子機器は、以下の構成を備える。
即ち、少なくとも第1の対象物と第2の対象物それぞれの移動を制御する電子機器であって、前記第1の対象物の移動を検出する第1の検出手段と、前記第2の対象物の移動を検出する第2の検出手段と、前記第1の検出手段と前記第2の検出手段からそれぞれ出力される検出信号に基づいて、第1の周期で前記第1の対象物と前記第2の対象物に対する第1のフィードバック制御を行うための制御量を推定する第1の推定手段と、前記第1の検出手段と前記第2の検出手段からそれぞれ出力される検出信号に基づいて、前記第1の周期より短い第2の周期で前記第1の対象物と前記第2の対象物に対する第2のフィードバック制御を行うために、前記第1の対象物と前記第2の対象物それぞれの状態量を推定する第2の推定手段と、前記第1の推定手段により推定された前記制御量に基づいて、前記第1のフィードバック制御のための前記第1の対象物と前記第2の対象物それぞれの第1操作量を生成する第1の生成手段と、前記第2の推定手段により推定された前記状態量に基づいて、前記第2のフィードバック制御のための前記第1の対象物と前記第2の対象物それぞれの第2操作量を時分割に生成する第2の生成手段と、前記第1の対象物と前記第2の対象物それぞれの前記第1操作量と前記第2操作量から前記第1の対象物と前記第2の対象物それぞれへの操作量を生成する合成手段とを有することを特徴とする。
また本発明を別の側面から見れば、少なくとも第1の対象物と第2の対象物それぞれの移動を制御する電子機器における制御方法であって、前記第1の対象物の移動を検出する第1の検出工程と、前記第2の対象物の移動を検出する第2の検出工程と、前記第1の検出工程と前記第2の検出工程それぞれにおいて出力される検出信号に基づいて、第1の周期で前記第1の対象物と前記第2の対象物に対する第1のフィードバック制御を行うための制御量を推定する第1の推定工程と、前記第1の検出工程と前記第2の検出工程それぞれにおいて出力される検出信号に基づいて、前記第1の周期より短い第2の周期で前記第1の対象物と前記第2の対象物に対する第2のフィードバック制御を行うために、前記第1の対象物と前記第2の対象物それぞれの状態量を推定する第2の推定工程と、前記第1の推定工程において推定された前記制御量に基づいて、前記第1のフィードバック制御のための前記第1の対象物と前記第2の対象物それぞれの第1操作量を生成する第1の生成工程と、前記第2の推定工程において推定された前記状態量に基づいて、前記第2のフィードバック制御のための前記第1の対象物と前記第2の対象物それぞれの第2操作量を時分割に生成する第2の生成工程と、前記第1の対象物と前記第2の対象物それぞれの前記第1操作量と前記第2操作量から前記第1の対象物と前記第2の対象物それぞれへの操作量を生成する合成工程とを有することを特徴とする制御方法を備える。
本発明によれば、フィードバック制御の追従性と制御対象物の振動抑制を両立することができるという効果がある。さらに、規模の小さい回路を用いつつ、複数の制御対象の対する振動抑制制御を行うことができる。
以下添付図面を参照して本発明の好適な実施形態について、さらに具体的かつ詳細に説明する。なお、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。実施形態には、複数の特徴が記載されているが、これらの複数の特徴の全てが発明に必須のものとは限らず、また、複数の特徴は任意に組み合わせられても良い。さらに添付図面においては、同一若しくは同様の構成に同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
以下の説明においては、電子機器の代表的な例としてシリアル型記録装置のキャリッジを移動させるモータの駆動制御と、記録用紙などの記録媒体を搬送する搬送ローラの回転に用いる搬送モータの駆動制御を例に挙げる。しかし、記録装置のキャリッジや搬送ローラに限らず、モータの駆動により物体を移動させるものであれば、本発明のモータ制御を適用することが可能である。例えば、CCDラインスキャナやCISなどのモータを駆動して移動させながら原稿の画像を光学的に読取るスキャナ装置なども本発明に含まれる。
1.フィードバック制御の説明
図1〜図2は記録装置のキャリッジモータや搬送モータの駆動制御部におけるフィードバック制御構成を示すブロック図である。図1は一般的な制御構成を示す図であり、図2はこの実施例において用いられる制御構成を示す図である。
図1〜図2は記録装置のキャリッジモータや搬送モータの駆動制御部におけるフィードバック制御構成を示すブロック図である。図1は一般的な制御構成を示す図であり、図2はこの実施例において用いられる制御構成を示す図である。
まず、図1を参照して一般的なフィードバック制御構成について説明する。
図1に示すように、制御対象21b(キャリッジモータや搬送モータ)の状態を検出したエンコーダ21cからの検出信号(キャリッジや搬送ローラの位置、速度)が制御量推定部(例えば、CPU)23に出力され、位置・速度情報等の制御量を推定する。その制御量が第1制御部(例えば、CPU)22に出力され、制御対象21bを目標値に収束させるための操作量が演算される。その操作量が駆動信号生成部21aに出力されることでフィードバック制御ループが構成される。
図1で示唆されているように、記録装置は複数のモータの駆動を制御するので、駆動するモータ21bの数に応じた数の制御量推定部23と駆動信号生成部21aとエンコーダ21cとが備えられる。
さて、制御対象を安定して動かすためには、制御対象の特性を鑑みつつ制御上の余裕度を確保して、諸々のパラメタ設定を行う必要がある。余裕度が足りないと振動が発生し、発振現象から制御不能に至る場合もある。一方、この余裕度を取りすぎると制御対象の追従性能が低下するが、振動抑制のために追従性能に制限をかけることは避けられない。
次に、図2を参照してこの実施例で用いられるフィードバック制御構成について説明する。
図2に示されているように、このフィードバック制御では、図1で示したフィードバック制御ループに加えて、エンコーダ21cから出力された検出信号を用いた別のフィードバック制御ループを形成する。即ち、制御対象21b(キャリッジモータや搬送モータ)の状態を検出した検出信号が制御量推定部23に出力され、キャリッジや搬送ローラの位置・速度情報等の制御量を推定する。その制御量が第1制御部22に出力され、第1制御部22で制御対象21bを目標値に収束させるための第1操作量が演算される。次に、第1制御部21から第1操作量が出力され、合成部26を経て駆動信号生成部21a、そして制御対象21bに至ることで、第1のフィードバックループが形成される。
記録装置のモータをPWM制御することを想定した場合、第1制御部21は制御量推定部23から出力された位置・速度情報からPWM信号波形の周期(Period)とデューティ値(Duty)を計算して合成部26に出力する。そして、駆動信号生成部21aは合成部26から出力された周期(Period)とデューティ値(Duty)とに基づいてモータドライバ(不図示)に対してPWM波形信号を出力する。一般的にモータを駆動するためのPWM波形信号は、PHASE信号に対して出力されるものと、ENABLE信号に対して出力されるものがあるが、ここで扱うPWM波形はどちらに対しても有効である。
一方、制御対象21bの状態を検出したエンコーダ21cからの検出信号は状態量推定部25にも出力され、状態量推定部25で第1状態量と第2状態量を推定する。第2状態量は第1状態量を時間微分した関係がある。具体的には、第1状態量と第2状態量は位置と速度の組み合わせ、もしくは速度と加速度の組み合わせからなる値となる。推定された位置と速度、もしくは推定された速度と加速度は、動作目標と比較されてその動作目標との誤差量が算出され、これらが第1状態量と第2状態量として第2制御部24に出力される。そして、第2制御部24で第2操作量が演算される。次に、第2制御部24から第2操作量が出力され、合成部26で第1操作量と第2操作量とが合成されて駆動信号生成部21a、そして制御対象21bに至る。
このように、制御対象21b→エンコーダ21c→状態量推定部25→第2制御部24→合成部26→駆動信号生成部21a→制御対象21bという第2のフィードバックループが形成される。
さて、第1状態量と第2状態量は、例えば、キャリッジの位置誤差(x)と速度誤差(v)、又は、キャリッジの速度誤差(v)と加速度誤差(a)の関係になるので、これら2つの状態量(2変数)の関係を2次元空間で表現できる。
図3は第1状態量と第2状態量との関係を示す2次元座標空間の図である。図3では、横軸に第1状態量を、縦軸に第2状態量を定義している。
図3に示されるように、その平面において、予め2分割の領域が定義され、その平面が切り替え線と呼ばれる関数により2つの領域に分割されている状態を示している。この領域分割を領域1、領域2と呼ぶ。この切り替え線を表す関数は、第1状態量をS1、第2状態量をS2とすれば、S2=k×S1という関係で表現される一次関数である。ここで、kは切り替え係数である。ただし、特別な場合として切り替え線は、加速度誤差量また速度誤差量、或いは、位置誤差量または速度誤差量の両方を使用せずに何れか1方のみであっても良い。
図3に示されるように、切り替え線の上部領域(白色)が領域1、下部領域(斜線)が領域2となっている。そして、第1状態量と第2状態量の関係が領域1にある場合には+符号の操作量を出力し、第1状態量と第2状態量の関係が領域2にある場合には−符号の操作量を出力する。なお。動作条件によっては、領域1が−符号、領域2が+符号の場合もありえる。この2つの領域をまたぐ毎に符号が切り替わることで操作量はスイッチング動作に相当する動きを実現するものとなる。この様な操作量が第2操作量として第2制御部24の出力となり、合成部26を経て駆動信号生成部21a、そして制御対象21bに至る。
第1操作量と第2操作量は非同期に更新されるものであり、これらのタイミングを調整しつつ合算するのが合成部26であり、合算値となる第3操作量を制御対象21に出力する。
合成部26では、第1制御部22により第1操作量が更新されると、駆動信号生成部21aにより更新された第1操作量の値を第3操作量として出力する。その後、第2制御部24により第2操作量の演算が終了すると、同期制御部(後述)からの演算終了信号(END)を受信して、駆動信号生成部21aに第1操作量と第2操作量を合算した値を第3操作量として出力する。合成部26は、第1制御部22による第1操作量の更新と、第2制御部24による第2操作量の演算が同時に実行された場合、第1操作量を優先するか、第2操作量と第1操作量の合算値を優先するか、またはこれら2つの値からいずれかを任意に選択する。
次に、図2を参照して説明したフィードバック制御構成において、複数のモータの駆動制御を1つの第2制御部24で実現するための詳細な構成について説明する。
図4は第2制御部24の詳細な内部構成を示すブロック図である。
図4に示されるように、第2制御部24は時分割的に異なる演算を行う第2操作量演算部42と複数の制御対象に対応して備えられた複数の状態量推定部25のうち、いずれの状態量推定部からの状態量を入力するかを切替える状態量切替部40を備える。また、第2制御部24は第2操作量演算部42で演算された操作量を複数の制御対象に対応して備えられた複数の合成部26のうち、いずれかの合成部に出力するのかを切替える第2操作量切替部41と、同期制御部43を備える。
第2制御部24は、時分割された第2操作量演算部42を用いて、複数の制御対象の第2のフィードバック制御の演算を実行する。分割された1期間の時間は、1回のスライディングモード制御演算に必要な時間の長さである。1つの制御対象の1回のスライディングモード制御演算は、時分割の演算期間の1つを占有して実行する。従って、複数の制御対象がある場合、第2のフィードバック制御の演算は、分割された期間を交互に使用して演算を行う。
同期制御部43は、どの演算期間で、どの制御対象の演算を行うかの制御を行う。この実施例では、同期制御部43は、予め設定された設定値に応じて、各制御対象に演算期間を割当て、その割当てに基づいて、第2操作量演算部42に演算開始信号と、状態量切替部40と第2操作量切替部41に切替信号をそれぞれ出力する。予め設定している設定とは、1つの制御対象の第2のフィードバック制御の演算の開始のタイミングと演算の周期である。
駆動信号生成部21aは制御対象となるモータをPWM制御するために、PWM波形の駆動信号を出力する。出力するPWM波形のDuty値の更新は、PWM周期(Period)ごとに特定のタイミングで行われる。この特定のタイミングとは、PWM波形のPeriodの開始のタイミングでもよい。
さて、第2操作量演算部42の演算結果を速やかに駆動信号に反映させるためには、前記のDuty値の更新を行うタイミングの直前で、演算が終了するようにすることが望ましい。そのため、同期制御部43は、演算タイミングと駆動信号の更新タイミングを調整するために駆動信号生成部21aに同期信号を出力する。
状態量切替部40は、同期制御部43からの切替信号に基づき、複数の状態量推定部25から、第2操作量演算部42でスライディングモード制御演算を実行する制御対象の速度誤差量と加速度誤差量(又は位置誤差量と速度誤差量)についての情報を選択する。第2操作量切替部41は、同期信号部43からの切替信号に基づいて、第2操作量演算部42で算出された第2操作量を複数の合成部26から、演算を実行した制御対象への駆動信号の生成を行う駆動信号生成部21aに接続されている合成部を選択する。
出力するPWM波形のDuty値の更新タイミングがPWM波形のPWM周期(Period)の開始タイミングと一致する場合、駆動信号生成部21aは、PWM波形のPWM周期を、第2操作量演算部42の1回演算に必要な時間の整数倍に設定するとよい。さらに、同期制御部43は、各制御対象の第2フィードバック制御の演算周期を、PWM周期と同じに設定するとよい。このように設定にすることで、同期信号の出力タイミングは常に駆動信号の更新タイミングに一致するため、駆動信号のPWM周期がずれることなく制御することが可能になる。
次に同期制御部43の演算タイミング調整について説明する。
図5は演算タイミング調整に係る種々の信号のタイミングチャートである。
図5には、キャリッジモータと搬送モータの2つを制御対象とする制御を行う場合の例が示されている。図5ではキャリッジモータを第1軸、搬送モータを第2軸として記載している。
図5において、第1軸_エンコーダA相信号と第1軸エンコーダB相信号はそれぞれ、制御対象となるキャリッジモータのエンコーダからの検出信号、第1軸速度情報は、状態量推定部25で生成されるキャリッジの速度誤差量と加速度誤差量である。同様に、第2軸_エンコーダA相信号と第2軸エンコーダB相信号はそれぞれ、制御対象となる搬送モータのエンコーダからの検出信号、第2軸速度情報は、状態量推定部25で生成される搬送ローラの位置誤差量と速度誤差量である。入力されるエンコーダ信号により、第1軸速度情報と第2軸速度情報はそれぞれ更新される。
また、図5における「演算部の状態」は、第2操作量演算部42の時分割演算の様子を示している。それぞれの制御対象の第2のフィードバック制御に必要な演算を実行するために、設定された演算開始タイミングと演算周期に基づいて、時分割された期間を予約されている。「演算部の状態」の破線で示している期間は、どの演算も予約されていない状態を示している(演算の不実行期間)。それぞれの制御対象の演算は予約されている演算期間を使用して行われる。予約されている演算期間の終了のタイミングで、同期制御部43は演算を実行した制御対象の駆動信号生成部21aに対して同期信号を出力する(図5における第1軸同期信号、第2軸同期信号)。駆動信号生成部21aは、同期信号を受信して、制御対象に出力するPWM波形信号のデューティ値の更新タイミングが演算終了直後になるように制御する。
また、同期制御部43は演算を実行した場合、演算終了時に演算を実行した制御対象を制御している駆動信号生成部に対する第3操作量を合成する合成部26に対し、演算終了信号を出力する。そして、合成部26はその演算終了信号を受信して、第1操作量に第2操作量を加算した第3操作量を合成する。
図5によれば、エンコーダ信号入力により第1軸速度情報、第2軸速度情報が更新された後、割当られている演算タイミングで演算が実行され、その結果が速やかに駆動信号であるPWM波形信号に反映されている。図5において、第1軸_pwm_dutyのduty_aは、第1軸速度情報のAに基づいた第3操作量を、また、duty_bは、第1軸速度情報のBに基づいた第3操作量を示している。同様に、第2軸_pwm_dutyのduty_cは、第2軸速度情報のCに基づいた第3操作量を、また、duty_dは、第2軸速度情報のDに基づいた第3操作量を示している。エンコーダ信号の入力により、速度情報が更新され、その後の演算予約されている演算期間に更新された速度情報に基づいて演算が実行される。その後、その演算結果に基づいて、PWM波形信号のDUTYが更新される。
図5では、デューティ値の更新タイミングがPWM波形信号の立上りである場合の波形を示している。駆動信号生成部21aは、第1軸同期信号、第2同期軸信号のそれぞれ受信後に、第1軸駆動制御信号、第2軸駆動制御信号であるPWM波形信号の立上がりが来るように制御する。PWM波形信号のデューティ値の更新タイミングの周期が、PWM信号周期ごとの一定間隔であり、演算周期がPWM信号周期と同じであれば、PWM波形制御の開始タイミングのみを制御すればよい。2回目以降は、常に、デューティ値の更新タイミングと演算終了タイミングが一致することになる。
図5に示した例では、各制御対象のPWM波形信号の周期毎に演算を実行しているが、演算実行は、必要なタイミングのみ行えばよい。演算が必要なタイミングとは、第1状態量および第2状態量が変化した時である。そのため、エンコーダ信号が変化したタイミングを検出し、そのタイミングのみ演算を実行するだけでもよい。
2.フィードバック制御の適用例の説明
ここでは、図2を参照して説明したような2つのフィードバックループを形成する制御を適用するシリアル型の記録装置について説明する。
ここでは、図2を参照して説明したような2つのフィードバックループを形成する制御を適用するシリアル型の記録装置について説明する。
<記録装置の説明(図6〜図7)>
図6は本発明の代表的な実施例であるインクジェット方式に従ってインク液滴を吐出するインクジェット記録ヘッド(以下、記録ヘッド)を搭載した記録装置の構成を示す外観斜視図である。
図6は本発明の代表的な実施例であるインクジェット方式に従ってインク液滴を吐出するインクジェット記録ヘッド(以下、記録ヘッド)を搭載した記録装置の構成を示す外観斜視図である。
記録ヘッド2を搭載するキャリッジ(移動物体)3はガイド軸4により摺動自在に支持されて、記録媒体(シート)1の上で往復移動する。キャリッジ3の移動範囲の一端にはプーリ付きのキャリッジモータ(DCモータ)5が配置され、他端にアイドルプーリ6が配置され、これらにタイミングベルト7が掛けまわされ、キャリッジ3とタイミングベルト7が連結されている。なお、アイドルプーリ6をモータにして、複数のモータによってキャリッジを駆動する構成にしても良い。
また、ガイド軸4を中心としてキャリッジ3が回転するのを防ぐために、ガイド軸4と平行に延びて設置されたサポート部材8が設置され、キャリッジ3はサポート部材8によっても摺動自在に支持されている。また、記録ヘッド2には多数の記録素子が設けられており、記録装置の本体部から記録ヘッド2に記録素子の駆動信号を供給するためのFFC(フレキシブルフラットケーブル)11が配されている。FFC11は細長くかつ薄いフィルム形状をなしており、その内部または表面に駆動信号を伝達するための導体パターンが形成されており、キャリッジ3の移動に伴って屈曲しかつ曲げの中心位置が移動するように可撓性を有している。
さらに、キャリッジ3の外にインクタンク(不図示)が配置され、インクタンク内に貯留されたインクを記録ヘッド2に供給するチューブ12が配されている。チューブ12はキャリッジ3の移動に伴って屈曲しかつ曲げの中心位置が移動するように可撓性を有している。これらFFC11とチューブ12からなる接続部材10はキャリッジ3と記録装置本体の固定部9との間に接続されている。
また、キャリッジ3の位置情報を取得するために用いられるリニアスケール16は、キャリッジ移動方向(主走査方向)に沿って平行に配置され、キャリッジ3に取り付けられたエンコーダセンサ15で読取る構成となっている。さらに、記録媒体1の幅方向の両外側には記録ヘッド2の予備吐出したインクを回収する為のインク回収口14a、14bが設けられている。この予備吐出とは、記録開始直前もしくは記録実行中にノズル先端部に付着したインクを記録とは無関係な位置で排出する為の動作である。
このような構成により、キャリッジ3は矢印A方向(主走査方向)に往復移動する。また、記録媒体1は、搬送モータ(不図示)によってキャリッジ3と垂直に交差する矢印Bの方向(副走査方向)に搬送される。
図7は図6に示した記録装置の制御構成を示すブロック図である。
図7に示すように、コントローラ600は、MPU601、ROM602、特殊用途集積回路(ASIC)603、RAM604、システムバス605、A/D変換器606などで構成される。ここで、ROM602は後述する制御シーケンスに対応したプログラム、所要のテーブル、その他の固定データを格納する。
ASIC603は、キャリッジモータ5の制御、搬送モータ20の制御、及び、記録ヘッド2の制御のための制御信号を生成する。RAM604は、画像データの展開領域やプログラム実行のための作業用領域等として用いられる。システムバス605は、MPU601、ASIC603、RAM604を相互に接続してデータの授受を行う。A/D変換器606は以下に説明するセンサ群からのアナログ信号を入力してA/D変換し、デジタル信号をMPU601に供給する。
また、図5において、ホスト装置610は画像データの供給源となる。ホスト装置610と記録装置1との間ではインタフェース(I/F)611を介して画像データ、コマンド、ステータス等を、例えば、USB規格に基づくプロトコルを用いて送受信する。
さらに、スイッチ群620は、電源スイッチ621、印刷の開始指示などを行うプリントスイッチ622、回復スイッチ623などから構成される。
装置状態を検出するためのセンサ群630は、エンコーダセンサ15、温度センサ632等から構成される。
さらに、モータドライバ640はキャリッジ3を矢印A方向に往復走査させるためのキャリッジモータ5を駆動するとともに、記録媒体Pを搬送するための搬送モータ20を駆動する。なお、モータドライバ640はキャリッジモータ5と搬送モータ20に加えて、記録媒体Pを積載したADF(不図示)から記録装置にフィードするためのフィードモータなど他のモータを駆動することもできる。
ASIC603は、記録ヘッドによる記録走査の際に、RAM604の記憶領域に直接アクセスしながら記録ヘッドに対して記録素子(吐出用のヒータ)を駆動するためのデータを転送する。加えて、この記録装置には、ユーザインタフェースとしてLCDやLEDで構成される操作パネル18が備えられている。また、装置実装上は、スイッチ群620が操作パネル18に含まれていても良い。
ASIC603は画像処理やアクチュエータ制御を行うため演算処理部として動作し、MPU601から命令を受けて演算処理を実行する。詳細は後述するが、ループバック制御演算の一部はASIC603で実行される。MPU601はキャリッジのフィードバック制御のための演算の一部を担当し、印刷シーケンスに従って、キャリッジモータ5の駆動演算を実行する。インタフェース611を経由してホスト装置610からプリント命令が発行された際、記録動作のためにキャリッジ3が往復動作する。
3.記録装置のキャリッジ制御のためのフィードバック制御構成の詳細
記録装置のモータドライバ640は複数のモータを制御可能であるが、ここでは一例として図2を参照して説明したフィードバック制御構成を、図6〜図7を参照して説明した記録装置のキャリッジ駆動制御への適用について詳細に説明する。
記録装置のモータドライバ640は複数のモータを制御可能であるが、ここでは一例として図2を参照して説明したフィードバック制御構成を、図6〜図7を参照して説明した記録装置のキャリッジ駆動制御への適用について詳細に説明する。
図8は図6〜図7で示した記録装置におけるキャリッジ駆動制御の詳細を説明するブロック図である。
記録装置のキャリッジ制御には、記録ヘッド2による印刷品位を担保するために正確な位置にインクを着弾させるための精度が求められる。記録ヘッド2からのインク液滴の吐出タイミングはキャリッジ3の移動速度(v)から算出されるものであり、その速度変動を最小化することが重要になる。その為、この実施例に従うフィードバック制御における抑制すべき振動対象は、キャリッジ速度になる。従って、図2を参照して説明したフィードバック制御における第1状態量と第2状態量は、キャリッジの速度と加速度の組み合わせとなり、これらの状態量が第2制御部24に入力される。
また、フィードバック制御における制御対象はキャリッジ3となり、エンコーダセンサ15からエンコーダ信号が制御量推定部23と制御量推定部25に出力される。一般的にエンコーダ信号は、A相B相と呼ばれる位相が90度異なる2本のパルス信号が用いられる。この実施例においてもA相B相の2本のパルス信号をエンコーダ信号として用いる。
制御量推定部23はこのパルス信号をカウントすることで位置情報を推定し、パルス信号のパルス幅を計測することで速度情報を推定する。この位置・速度情報等が制御量として、第1制御部22に相当するPID制御演算部36に出力される。
目標値演算部35は、キャリッジ3を所望の加速度条件や速度条件に従って目標位置まで移動させるための目標プロファイルを生成し、これを目標値として出力する。PID制御演算部35は、目標値演算部35からの目標値と制御量推定部23からの制御量とを用いてPID制御演算を行い、第1操作量として出力する。
エンコーダセンサ15からのエンコーダ信号は状態量推定部25にも出力される。状態量推定部25は、前処理演算部38からの出力となるレジスタ設定値も入力される。レジスタ設定値は、目標値演算部35からの目標値を、前処理演算部38により状態量推定部内で使用する単位系に置換した値である。状態量推定部25は、エンコーダ信号から速度情報と加速度情報とを推定し、動作目標となるレジスタ設定値との誤差量を計算する。そして、その誤差量となる速度誤差量、加速度誤差量の2つが速度次元と加速度次元の状態量の組み合わせとして、第2制御部24に相当するスライディングモード制御演算部39に出力される。
スライディングモード制御演算部39では、速度誤差量、加速度誤差量の2変数からなる2次元平面空間が形成される。図3を参照して説明した2次元平面の領域判別は、
速度誤差量 = 切り替え係数 × 加速度誤差量
から求められる。そして、その領域判別結果に基づき操作量の符号が決定され、第2操作量として出力される。なお、切り替え係数も、前処理演算部38からの出力となるレジスタ設定値により更新される。
速度誤差量 = 切り替え係数 × 加速度誤差量
から求められる。そして、その領域判別結果に基づき操作量の符号が決定され、第2操作量として出力される。なお、切り替え係数も、前処理演算部38からの出力となるレジスタ設定値により更新される。
ここで、第1操作量と第2操作量の更新タイミングについて説明する。
第1操作量はPID制御演算部36が実行される毎に更新される。図2に示したフィードバック制御が適用される記録装置のキャリッジモータ駆動制御部(キャリッジモータドライバ)には、1KHz程度の周期で制御演算が実行されることが多い。これに対して、第2操作量はスライディングモード制御演算部39が実行される毎に更新される。ここでは、エンコーダ信号のパルス変化を想定しており、およそ数KHz〜20KHz程度の周期で制御演算が実行される。このような非同期な関係な入力に対し、合成部26ではタイミングを調整しつつ合算する。合成部26では、操作量の合算結果に基づくPWM信号をモータドライバ640に出力する。そして、モータドライバ640によりキャリッジモータ5が回転し、タイミングベルト7を経由してキャリッジ3が移動する。
以上の構成から分かるように、駆動信号生成部21aは、モータドライバ640を介してキャリッジモータ5を駆動するためにPWM信号を出力する。このため、MPU601はPWM信号を生成するためのPWM信号波形のデューティ値(PWM_Duty値)を第1操作量として出力する。一方、スライディングモード制御演算部39からは第1操作量と同じ次元のPWM波形のデューティ値(PWM_Duty値)を第2操作量として出力する。
スライディングモード制御演算部39をエンコーダ信号のパルス変化に起因した高速演算を実現するため、ここではASIC等のハードウェアで実行することを想定している。
図8において、2点鎖線で囲まれた範囲がASIC603において実現される。図8から分かるように、ASIC603は、スライディングモード制御演算部39、状態量推定部23、状態量推定部25、合成部26の機能を担当する。これに対して、図8において、太い点線で囲まれた範囲はMPU601においてプログラムを実行することにより実現される。図8から分かるように、MPU601は、PID制御演算部36、目標値演算部35、前処理演算部38の機能を担当する。
このように、MPU601とASIC603とでフィードバック制御を分担するのは、ASIC603で実現される部分で扱われる情報の更新周期が、MPU601で実現される部分で扱われる情報の更新周期よりも短いためである。
目標値演算部35により目標値が更新される毎に前処理演算部38も実行され、ASIC603のレジスタ領域に、最新のレジスタ設定値が設定される。前処理部演算部38では、スライディングモード制御演算39で実行する位相切り替え線の演算や状態量推定部25の推定演算で時々刻々と変化する変数値の一部を、PID制御演算部36の演算周期の間のみパラメタ値として管理するための計算を行う。フィードバック制御全てをASICで実行することは集積回路の肥大化を招き、処理の柔軟性や融通性を欠くものとなるので、この実施例では、演算精度と回路規模で折り合いをつけ、計算の一部をMPUの前処理演算部38が更新タイミングで実行する。
なお、複数のキャリッジモータを制御する場合は、第2制御部から合成部までを共通して使用してもよい。この場合、合成部からの出力を、各モータに対して切替えることになる。
さらに本発明は図6〜図7で説明したような記録装置の搬送ローラ駆動制御にも適用できる。記録装置ではキャリッジ走査ごとに搬送ローラを回転させて、記録媒体を間欠搬送するが、このときの搬送量変動を抑制するために本発明のフィードバック制御を適用することができる。この場合、制御対象物は記録媒体の搬送量(位置変動)となるので、搬送ローラの回転量を第1状態量とし、搬送ローラの回転速度を第2状態量として上述の第2制御部に入力すればよい。
これにより、より高精度な搬送制御を実現することが可能になる。
従って以上説明した実施例に従えば、第1制御部と第2制御部からなるフィードバック制御構成を記録装置のキャリッジ駆動制御と搬送ローラ駆動制御に適用することで、従来は抑制できなかった速度振動や位置変動を抑制することが可能になる。特に、この実施例によれば、複数の第2操作量の演算を時分割的に切替て実行することで1つの回路を用いて複数のモータ制御を実現することが可能になる。その結果、フィードバック制御の制御対象の振動抑制と追従性を両立して、キャリッジ駆動制御と搬送ローラ制御をより精確に行うことが可能になり、高品位な画像記録を実現することができる。
<他の実施例>
ここでは、上述した実施例における第2制御部の一部の機能を変更した例について説明する。
ここでは、上述した実施例における第2制御部の一部の機能を変更した例について説明する。
図9は他の実施例に従う第2制御部24の構成を示すブロック図である。なお、図9において、既に図4を参照して説明したのと同じ構成要素には同じ参照番号を付し、その説明は省略する。ここでは、この実施例に特有の特徴についてのみ説明する。
同期制御部43’は、前述の実施例と同様に、どのタイミングで、どの制御対象の第2のフィードバック制御の演算を行うかを制御する。この実施例では、同期制御部43’は、駆動信号生成部21aから、同期信号と駆動制御量を受信する。駆動信号生成部21aから出力される同期信号とは、駆動信号生成部21aが生成するPWM波形信号のデューティ値(Duty)の更新タイミングを示す信号である。また、駆動制御量とは、現在のPWM波形信号の周期(Period)とデューティ値(Duty)である。
同期制御部43’は、同期信号を受信すると、駆動制御量の値から、次のデューティ値(Duty)の更新タイミングを推定し、推定された更新タイミングから最適な演算タイミングを選び、時分割されている演算期間の1つを演算予約する。ここで、既に別の制御対象の演算が予約されている場合は、その演算期間の前の空いている期間を調べ、空いている期間を予約する。なお、予め設定された優先度に従って、演算予約を行う制御対象を選択し、優先度の低い制御対象は、演算予約を1つ前の演算期間に移動させるように構成しても良い。
図10は既に第2軸(搬送モータ)演算が予約されている期間に第1軸(キャリッジモータ)演算のタイミングが発生した場合の状態を示す図である。
図10(A)は、新たに演算の予約を行いたい側が所望の演算期間が既に予約されている場合、一つ前の演算期間を予約する様子を示している。なお、一つ前の演算期間もすでに予約済みの演算期間である場合は、未使用の演算期間を探索し、見つかった期間を予約する。
図10(B)は、予め設定された優先度に基づいて演算期間を割当てる方法を示している。図10(B)に示す例では、優先度は第1軸演算のほうが第2軸演算より高く設定されており、第2軸演算が一つ前の演算期間に移動していることを示している。なお、一つ前の演算期間も既に予約済みの演算期間である場合は、移動させた制御対象と既に予約されている制御対象について優先度を比較して演算期間を割当てる。
予約されている演算期間のタイミングで、同期制御部43’は、切替信号を出力し、指定された制御対象の演算が行えるように状態量切替部40を切り替える。その後、演算開始信号を出力し、スライディング制御演算を行う。これにより、第2操作量演算部42の演算結果を速やかに駆動信号に反映させることができる。
次に同期制御部43’の演算タイミング調整について詳しく説明する。
演算タイミング調整に係る種々の信号のタイミングチャートである。
演算タイミング調整に係る種々の信号のタイミングチャートである。
図11は演算タイミング調整に係る種々の信号のタイミングチャートである。
図11には、キャリッジモータと搬送モータの2つを制御対象とする制御を行う場合の例が示されている。図11ではキャリッジモータを第1軸、搬送モータを第2軸として記載している。なお、図11において、既に図5を参照して説明したのと同様の信号やその特徴についての省略し、この実施例における特徴的な構成についてのみ説明する。
図11によれば、同期制御部43’が駆動信号生成部21aから第1軸同期信号と第1軸駆動制御量を受信し、次のデューティ値(Duty)更新のタイミングを予測し、時分割された期間を予約している。第1軸駆動制御量とは、PWM波形信号の周期(Period(不図示))とデューティ値(Duty)(第1軸_pwm_duty)である。なお、図11における「演算部の状態」の破線で示している期間は、どの演算も予約されていない状態を示している(演算を未実行期間)。同期制御部43’はそれぞれの制御対象の演算に関し、どの演算も予約されていない期間を予約し、予約されている演算期間が到来したならその演算を実行する。
図11によれば、各演算終了のタイミングで、第1軸演算終了信号と第2軸演算終了信号をそれぞれ合成部26に出力する。合成部26はその信号を受信して、第1操作量に第2操作量を加算する。そして、駆動信号生成部21aにおいて、最新の第3操作量に基づいて、駆動信号を生成する。図11において、第1軸_pwm_dutyのduty_aは、第1軸速度情報のAに基づいた第3操作量を、またduty_bは、第1軸速度情報のBに基づいた第3操作量を示している。同様に、第2軸_pwm_dutyのduty_cは、第2軸速度情報のCに基づいた第3操作量を、またduty_dは、第2軸速度情報のDに基づいた第3操作量を示している。エンコーダ信号の入力により、速度情報が更新され、その後の演算予約されている演算期間に更新された速度情報に基づいて、演算が実行される。その後、その演算結果に基づいて、PWM波形信号のDutyが更新される。
図11では、デューティ値の更新タイミングがPWM波形信号の立上りであり、同期信号の出力周期が一定である場合の波形を示しているが、デューティ値の更新タイミングがPWM波形信号の立下りであって、同期信号の出力周期が変化する構成でもよい。また、図11では、各制御対象のPWM波形信号の周期(Period)毎に演算を実行しているが、演算実行は、必要なタイミングのみ行えばよい。演算が必要なタイミングとは、第1状態量と第2状態量が変化した時である。そのため、検出されたエンコーダ信号が変化したタイミングを検出し、そのタイミングのみ演算を実行するだけでよい。
以上説明した実施例に従えば、前述の実施例と同様に、1つの第2制御部により複数の制御対象の制御を行うので、回路を構成するASICの規模を削減できる。また、第2のフィードバック制御の演算と駆動信号の生成のタイミングとの同期をとることで、より高精度の搬送制御を実現することが可能となる。
4.フィードバック制御の別の適用例の説明
本発明は上述のように、モータの駆動により物体を移動させるものであれば適用することが可能なので、例えば、多機能プリンタ(MFP)のスキャナユニットや単機能のスキャナ装置のCISやCCDセンサを移動させるスキャナモータの制御に適用できる。
本発明は上述のように、モータの駆動により物体を移動させるものであれば適用することが可能なので、例えば、多機能プリンタ(MFP)のスキャナユニットや単機能のスキャナ装置のCISやCCDセンサを移動させるスキャナモータの制御に適用できる。
スキャナユニットは、画像読取性能を担保するためにCISやCCDセンサの光源点灯タイミングとスキャナユニットの移動量を一致させて画像信号を取得する必要がある。通常、光源点灯タイミングは、スキャナユニットの移動速度が一定であることを前提としているので、スキャナユニットの速度変動を抑制することが重要である。このため、抑制すべき振動対象がスキャナユニットの移動速度になるので、速度と加速度の状態量の組み合わせを上述の第2制御部を適用する。そして、基本的には、図6を参照して説明したキャリッジ制御構成と同じ構成で制御すれば良い。
これにより、従来の制御のみでは抑えきれなかったスキャナユニットの高周波数での微小な振動を抑制するとともに、フィードバック制御追従性を改善することができる。その結果、高品位な画像読取が達成できる。
本発明は上記実施形態に制限されるものではなく、発明の精神及び範囲から離脱することなく、様々な変更及び変形が可能である。従って、発明の範囲を公にするために請求項を添付する。
1 記録媒体、2 記録ヘッド、3 キャリッジ、4 ガイド軸、
5 キャリッジモータ、6 アイドルプーリ、7 タイミングベルト、
8 サポート部材、9 固定部、10 接続部材、11 FFC、12 チューブ、
13 サブフレーム、14a、14b インク回収口、15 エンコーダセンサ、
16 リニアスケール、21a 駆動信号生成部、21b 制御対象(モータ)、
21c エンコーダ、22 第1制御部、23 制御量推定部、24 第2制御部、
25 状態量推定部、26 合成部、40 状態量切替部、41 第2操作量切替部、
42 第2操作量演算部、43、43’ 同期制御部
5 キャリッジモータ、6 アイドルプーリ、7 タイミングベルト、
8 サポート部材、9 固定部、10 接続部材、11 FFC、12 チューブ、
13 サブフレーム、14a、14b インク回収口、15 エンコーダセンサ、
16 リニアスケール、21a 駆動信号生成部、21b 制御対象(モータ)、
21c エンコーダ、22 第1制御部、23 制御量推定部、24 第2制御部、
25 状態量推定部、26 合成部、40 状態量切替部、41 第2操作量切替部、
42 第2操作量演算部、43、43’ 同期制御部
Claims (13)
- 少なくとも第1の対象物と第2の対象物それぞれの移動を制御する電子機器であって、
前記第1の対象物の移動を検出する第1の検出手段と、
前記第2の対象物の移動を検出する第2の検出手段と、
前記第1の検出手段と前記第2の検出手段からそれぞれ出力される検出信号に基づいて、第1の周期で前記第1の対象物と前記第2の対象物に対する第1のフィードバック制御を行うための制御量を推定する第1の推定手段と、
前記第1の検出手段と前記第2の検出手段からそれぞれ出力される検出信号に基づいて、前記第1の周期より短い第2の周期で前記第1の対象物と前記第2の対象物に対する第2のフィードバック制御を行うために、前記第1の対象物と前記第2の対象物それぞれの状態量を推定する第2の推定手段と、
前記第1の推定手段により推定された前記制御量に基づいて、前記第1のフィードバック制御のための前記第1の対象物と前記第2の対象物それぞれの第1操作量を生成する第1の生成手段と、
前記第2の推定手段により推定された前記状態量に基づいて、前記第2のフィードバック制御のための前記第1の対象物と前記第2の対象物それぞれの第2操作量を時分割に生成する第2の生成手段と、
前記第1の対象物と前記第2の対象物それぞれの前記第1操作量と前記第2操作量から前記第1の対象物と前記第2の対象物それぞれへの操作量を生成する合成手段とを有することを特徴とする電子機器。 - 前記状態量は、前記第1の対象物と前記第2の対象物それぞれの第1状態量と該第1状態量を時間微分して得られる第2状態量からなり、
前記第1状態量と前記第2状態量の組み合わせは、前記第1の対象物と前記第2の対象物それぞれの、位置と速度、又は、速度と加速度であり、
前記第2の生成手段は、前記位置と前記速度、又は、前記速度と前記加速度との関係から前記第2操作量の符号を決定することを特徴とする請求項1に記載の電子機器。 - 前記第1の対象物又は前記第2の対象物の位置変動を制御する場合には、前記第1状態量と前記第2状態量として、前記第1の対象物又は前記第2の対象物の位置と速度の組み合わせを選択し、
前記第1の対象物又は前記第2の対象物の速度変動を制御する場合には、前記第1状態量と前記第2状態量として、前記第1の対象物又は前記第2の対象物の速度と加速度の組み合わせを選択することを特徴とする請求項2に記載の電子機器。 - 前記第1の生成手段は、前記第1の対象物を移動させるための第1のモータを駆動する駆動信号を生成し、
前記第2の生成手段は、前記第2の対象物を移動させるための第2のモータを駆動する駆動信号を生成し、
前記第2の推定手段は少なくとも、前記第1の対象物と前記第2の対象物それぞれの状態量を推定する第1の推定部と第2の推定部を含み、
前記合成手段は少なくとも、前記第1の対象物と前記第2の対象物それぞれへの操作量を生成する第1の合成部と第2の合成部を含むことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の電子機器。 - 前記第2の生成手段は、
前記第2の推定手段から出力される前記第1の対象物と前記第2の対象物それぞれの状態量から制御対象となる対象物の状態量を推定する推定部に切替える第1の切替え手段と、
前記第1の切替え手段によって切替えられた推定部から出力された状態量に基づいて、前記制御対象となる対象物の第2操作量を演算する演算手段と、
前記制御対象となる対象物への操作量を生成する合成部に切替えて前記演算手段により演算された前記第2操作量を該合成部に出力する第2の切替え手段とを含むことを特徴とする請求項4に記載の電子機器。 - 前記第2の生成手段はさらに、前記演算手段に対して演算開始信号を出力し、前記合成部に対して演算終了信号を出力し、前記時分割におけるどの演算期間で演算を行うかの制御を行い、その制御に基づいて同期信号を出力する同期制御手段を含み、
前記第2の生成手段はさらに、前記同期制御手段から出力される同期信号に基づいて、前記制御対象となる対象物を移動させるためのモータを駆動する駆動信号の生成を制御する機能を有することを特徴とする請求項5に記載の電子機器。 - 前記同期制御手段は、1回の演算に必要な時間ごとに演算期間を分割し、予め設定された設定値に応じて、各制御対象に演算期間を時分割に割当て、該割当てに基づいて前記演算開始信号と前記第1の切替え手段への切替信号と前記第2の切替え手段への切替信号をそれぞれ出力することを特徴とする請求項6に記載の電子機器。
- 前記第2の生成手段はさらに、前記制御対象となる対象物を移動させるための生成手段から出力される同期信号と駆動制御量とに基づいて前記時分割におけるどの演算期間で演算を行うかの制御を行うよう、前記演算手段に対して演算開始信号を出力し、前記合成部に対して演算終了信号を出力する同期制御手段を含むことを特徴とする請求項5に記載の電子機器。
- 前記同期信号は、モータを駆動するのに用いるPWM波形信号のデューティ値の更新タイミングを示す信号であり、
前記駆動制御量とは、現在のPWM波形信号の周期とデューティ値であることを特徴とする請求項8に記載の電子機器。 - 前記電子機器は、記録ヘッドを搭載したキャリッジを往復移動させて前記記録ヘッドにより、搬送ローラにより搬送された記録媒体に記録を行う記録装置であり、
前記第1の対象物は前記キャリッジを駆動するキャリッジモータであり、
前記第2の対象物は前記搬送ローラを駆動する搬送モータであることを特徴とする請求項2乃至9のいずれか1項に記載の電子機器。 - 前記キャリッジモータの第1状態量は、前記キャリッジの速度であり、
前記キャリッジモータの第2状態量は、前記キャリッジの加速度であり、
前記搬送モータの第1状態量は、前記搬送ローラの位置であり、
前記搬送モータの第2の状態量は、前記搬送ローラの速度であることを特徴とする請求項10に記載の電子機器。 - 前記第1の生成手段は、プログラムをCPUが実行することにより実現され、
前記第1の推定手段と、前記第2の推定手段と、前記第2の生成手段と、前記合成手段とはASICにより実現されることを特徴とする請求項10又は11に記載の電子機器。 - 少なくとも第1の対象物と第2の対象物それぞれの移動を制御する電子機器における制御方法であって、
前記第1の対象物の移動を検出する第1の検出工程と、
前記第2の対象物の移動を検出する第2の検出工程と、
前記第1の検出工程と前記第2の検出工程それぞれにおいて出力される検出信号に基づいて、第1の周期で前記第1の対象物と前記第2の対象物に対する第1のフィードバック制御を行うための制御量を推定する第1の推定工程と、
前記第1の検出工程と前記第2の検出工程それぞれにおいて出力される検出信号に基づいて、前記第1の周期より短い第2の周期で前記第1の対象物と前記第2の対象物に対する第2のフィードバック制御を行うために、前記第1の対象物と前記第2の対象物それぞれの状態量を推定する第2の推定工程と、
前記第1の推定工程において推定された前記制御量に基づいて、前記第1のフィードバック制御のための前記第1の対象物と前記第2の対象物それぞれの第1操作量を生成する第1の生成工程と、
前記第2の推定工程において推定された前記状態量に基づいて、前記第2のフィードバック制御のための前記第1の対象物と前記第2の対象物それぞれの第2操作量を時分割に生成する第2の生成工程と、
前記第1の対象物と前記第2の対象物それぞれの前記第1操作量と前記第2操作量から前記第1の対象物と前記第2の対象物それぞれへの操作量を生成する合成工程とを有することを特徴とする制御方法。
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