JP2021042441A - 導電部材の製造方法、及び、集電体又はセパレータ - Google Patents

導電部材の製造方法、及び、集電体又はセパレータ Download PDF

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Abstract

【課題】導電部材の表面に生成した官能基による親水性に頼らずとも、基材と活物質や導電助剤との密着力を長期的に維持することができ、従来よりも長期的にシート抵抗の低い導電部材を提供する。【解決手段】導電部材の基材を収容するプラズマ処理室内に炭化水素系原料ガスを供給するとともに、プラズマ処理室内にプラズマを発生させ、基材又は基材の周囲に設けられた高電圧パルス印加用電極に高電圧パルスを印加することで、基材の表面にDLC被膜を生成するDLC成膜工程と、DLC成膜工程の後に、プラズマ処理室内に酸素ガスを供給するとともに、プラズマ処理室内にプラズマを発生させ、基材又は基材の周囲に設けられた高電圧パルス印加用電極に高電圧パルスを印加することで、DLC被膜を酸素処理する酸素処理工程とを備え、酸素処理工程後の導電部材の表面粗さが0.1μm以上、0.5μm以下であるようにした。【選択図】図5

Description

本発明は、燃料電池、リチウム電池、キャパシタなどの電極に用いられる集電体やセパレータを構成する導電部材の製造方法に関するものである。
例えば、燃料電池用集電体や燃料電池用セパレータなどには、金属製の基材の表面に、活物質や導電助剤を混ぜ合わせたスラリーを塗布したものが用いられる。
これらの集電体やセパレータを構成する導電部材には、シート抵抗の低減が求められることから、基材の表面性状は、活物質や導電助剤との密着力が優れていることが望ましい。
そこで、特許文献1には、上述したスラリーと基材表面との接着力の向上を図るべく、基材の表面に導電性DLC被膜を形成し、その導電性DLC被膜に酸素と窒素とを含むガスを添加することで、親水性の表面性状を得るようにしている。このようにして親水性が得られるのは、上述したガスの添加により導電性DLC被膜の表面に、水酸基(−OH基)等の親水性を発揮させる官能基が生成されるからである。
しかしながら、このようにして得られた親水性は、化学結合状態が経時変化する可能性があることから、官能基が基材表面に長期的には残存しないことがあり、そのような場合には、基材と活物質や導電助剤との密着力も長期的には維持されない。
特許第6138007号
本発明は、上述した問題を一挙に解決すべくなされたものであり、基材表面の親水性に頼らずとも、基材と活物質や導電助剤との密着力を長期的に維持できるようにすることで、従来よりもシート抵抗の低い導電部材を提供できるようにすることその主たる課題とするものである。
すなわち本発明に係る導電部材の製造方法は、前記導電部材の基材を収容するプラズマ処理室内に炭化水素系原料ガスを供給するとともに、前記プラズマ処理室内にプラズマを発生させ、前記基材又は前記基材の周囲に設けられた高電圧パルス印加用電極に高電圧パルスを印加することで、前記基材の表面にDLC被膜を生成するDLC成膜工程と、前記DLC成膜工程の後に、プラズマ処理室内に酸素ガスを供給するとともに、前記プラズマ処理室内にプラズマを発生させ、前記基材又は前記基材の周囲に設けられた高電圧パルス印加用電極に高電圧パルスを印加することで、前記DLC被膜を酸素処理する酸素処理工程とを備え、前記酸素処理工程後の前記導電部材の表面粗さが0.1μm以上、0.5μm以下であることを特徴とする方法である。
このような導電部材の製造方法によれば、酸素プラズマを発生させるとともに、高電圧パルスを印加しているので、DLC被膜を酸素イオンによりスパッタすることができる。その結果、導電部材の表面粗さを0.1μm以上、0.5μm以下にしているので、導電部材の表面と活物質や導電助剤との密着力を機械的に向上させることができ、その効果は言わば半永久的なものとなる。
これにより、官能基による親水性に頼らずとも、導電部材と活物質や導電助剤との密着力を長期的に維持することができ、従来よりもシート抵抗が低く、しかもその低いシート抵抗が長期的に維持される導電部材を提供することが可能となる。
シート抵抗のさらなる低減を図るためには、前記酸素処理工程後の前記導電部材の表面状態が、C−O結合に対するO=C−O結合の比率が20%以上であることが好ましい。
このような構成であれば、σ結合に対するπ結合の比率が高まるので、導電部材の表面の自由電子が多くなり、シート抵抗のさらなる低減を図れる。
前記酸素処理工程における前記高電圧パルスが、−100V以上、−2kV以下であることが好ましい。
このような構成であれば、酸素プラズマ中の酸素イオンが、高エネルギー(例えば100eV〜1000eV)で基材表面のDLC被膜に衝突するので、この酸素処理において好適なスパッタ効果を発揮させることができる。これにより、導電部材の表面を、活物質や導電助剤との密着力を機械的に向上させる程度に適度に荒らすことができる。
酸素処理工程におけるより具体的な実施態様としては、前記プラズマ処理室内に供給する酸素ガスの圧力が、0.1Pa以上、10Pa以下である態様が挙げられる。
酸素処理工程が4分を超えると、いったんは減少した表面粗さが、再度増大する傾向にあり、活物質や導電助剤との密着力を担保するための適度な表面粗さにならことから、前記酸素処理工程が4分以内であることが好ましい。
DLC被膜の導電性を低下させる要因となる水素成分が基材に入り込むことを防ぐためには、前記DLC成膜工程において、前記基材を摂氏100度以上、摂氏450度以下に加熱することが好ましい。
具体的には、前記酸素処理工程後の前記DLC被膜の接触抵抗が、10mΩcm以下であることが好ましい。
前記DLC成膜工程及び前記酸素処理工程を、前記プラズマ処理室内の真空状態を維持したまま連続して行うことが好ましい。
これならば、DLC成膜工程において温度が上がった状態を保ったまま、酸素処理工程に進めるので、酸素を活性化させることができ、酸素処理の効果を高めることができる。
また、本発明に係る集電体又はセパレータは、基材と、基材の表面に形成されたDLC被膜とを有した集電体又はセパレータであって、前記DLC被膜の表面粗さが0.1μm以上、0.5μm以下であることを特徴とするものである。
このような集電体又はセパレータであっても、官能基による親水性に頼らずとも、基材と活物質や導電助剤との密着力が長期的に維持される。
このように構成した本発明によれば、導電部材の表面に生成した官能基による親水性に頼らずとも、基材と活物質や導電助剤との密着力を長期的に維持することができ、従来よりも長期的にシート抵抗の低い導電部材を提供することができる。
本実施形態に係るプラズマ処理装置の構成を示す模式図。 本実施形態に係る導電部材の製造方法を示すフローチャート図。 本実施形態に係る酸素プラズマ処理の時間と接触抵抗値との相関を示す実験結果。 本実施形態において製造された導電部材表面の化学結合情報を分析した分析結果。 酸素プラズマ処理の有無による親水性の違いを比較した比較結果。 酸素プラズマ処理の有無によるシート抵抗の違いを比較した比較結果。 その他の実施形態におけるプラズマ処理装置の構成を示す模式図。 その他の実施形態におけるプラズマ処理装置の構成を示す模式図。 その他の実施形態におけるプラズマ処理装置の構成を示す模式図。
以下に本発明に係る導電部材の製造方法の一実施形態について図面を参照して説明する。
本発明に係る製造方法により製造される導電部材は、例えば燃料電池、リチウム電池、キャパシタ等に用いられる集電体等を構成するものであり、本実施形態では燃料電池用セパレータを構成する導電部材の製造について取り上げる。
<装置構成>
まず、本製造方法に用いられるプラズマ処理装置の一例について説明する。
本実施形態のプラズマ処理装置100は、所謂ロール・ツー・ロール方式のものであり、図1に示すように、例えばアルミニウム等のシート状基材Zを送り出す送り出し機構10と、送り出された基材Zをプラズマ処理するプラズマ処理室Xと、プラズマ処理室Xにプラズマを生成するための高周波電源2と、基材Zに高電圧パルスを印加するための高電圧パルス電源3とを具備し、ここでは基材Zを鉛直方向に沿って搬送するように構成されている。
送り出し機構10は、基材Zが巻回されてなるコイル材から基材Zを送り出すものであり、コイル材がセットされる送り出しローラ11を少なくとも備えたものである。この送り出しローラ11は、セットされたコイル状の基材Zと電気的に接続されており、後述のプラズマ処理において、高電圧パルス電源3から負の高電圧パルスが印加される。
プラズマ処理室Xは、基材Zをプラズマ処理するための部屋であり、高周波電源2からの高周波電力が印加される高周波アンテナ4が設けられている。このプラズマ処理室Xは、プラズマの原料ガスが供給されて所定の圧力に保持される。
本実施形態では、異なるプラズマ処理を行う少なくとも2つのプラズマ処理室Xが、基材Zの搬送方向に沿って直列に設けられている。以下では、上流側のプラズマ処理室Xを第1プラズマ処理室X1と呼び、下流側のプラズマ処理室Xを第2プラズマ処理室X2と呼ぶ。なお、この実施形態では、図1に示すように、基材Zの表面をプラズマ処理するための第1プラズマ処理室X1及び第2プラズマ処理室X2と、基材Zの裏面をプラズマ処理するための第1プラズマ処理室X1及び第2プラズマ処理室X2との計4つのプラズマ処理室Xを設けてある。
具体的に第1プラズマ処理室X1は、基材Zに酸やアルカリに対する耐食性を有するガスバリヤ被膜たる導電性DLC被膜を形成する部屋である。また、第2プラズマ処理室X2は、第1プラズマ処理室X1において製膜された導電性DLC被膜の表面を酸素プラズマ処理する部屋である。
このように基材Zをプラズマ処理して製造された導電部材Z’は、この実施形態では巻き取り機構60によって巻き取られる。巻き取り機構60は、ここではシート状の導電部材Z’をコイル状に巻き取る巻き取りローラ61を少なくとも備えたものである。
<製造方法>
次に、上述したプラズマ処理装置100を用いて導電部材Z’を製造する方法について、図2のフローチャートを参照しながら説明する。
まず、送り出し機構10によりシート状の基材Zを第1プラズマ処理室X1に送り出し、第1プラズマ処理室X1において、基材ZにDLC被膜を生成する(S2:DLC成膜工程)。
より具体的に説明すると、第1プラズマ処理室X1には例えばメタンとアセチレンと窒素の混合ガスが原料ガスとして供給されて0.1Pa以上、1Pa以下、より好ましくは0.3Pa以上、0.5Pa以下に保持されており、高周波アンテナ4に図示しない整合器を介して高周波電源2からの高周波電力を印加することで、基材Zの表面近傍には炭素イオンを含む放電プラズマが発生する。このとき、導電性DLC被膜の導電性を低下させる要因となる水素成分が基材Zに入り込むことを防ぐべく、ここでは基材Zをヒータ5によって例えば200℃以上、450℃以下、より好ましくは200℃以上、300℃以下に保持している。そして、上述した送り出しローラ11を介して、例えば−2kV以上、−800V以下、より好ましくは−2kV以上、−100V以下の負のパルス電圧を基材Zに印加することで、基材Zの表面に導電性DLC被膜が生成される。
ところで、基材Zの表面には、例えば圧延凹凸のように比較的大きな周期で繰り返される凹凸(例えば高さ0.5μm、横幅50μm程度のもの)と、その凹凸に重畳するように存在するより細かい凹凸(例えば高さ0.1μm、横幅10μm程度のもの)とがある。
かかる基材Zの表面に上述した導電性DLC被膜を生成すると、導電性DLC被膜が大きな周期の凹凸に沿って形成されて、基材Z表面の細かい凹凸は導電性DLC被膜に埋もれてしまうので、表面粗さの数値は増大する。
このDLC成膜工程の後、導電性DLC被膜が生成された基材Zは、第2プラズマ処理室X2に搬送され、この第2プラズマ処理室X2において、基材Zの表面に生成された導電性DLC被膜を酸素プラズマ処理する(S2:酸素処理工程)。
より具体的に説明すると、第2プラズマ処理室X2には例えば酸素を含む酸素ガスが原料ガスとして供給されて0.1Pa以上、10Pa以下、より好ましくは0.5Pa以上、2Pa以下に保持されており、高周波アンテナ4に図示しない整合器を介して高周波電源2からの高周波電力を印加することで、基材Zの表面近傍には酸素イオンを含む放電プラズマが発生する。そして、上述した送り出しローラ11を介して、例えば−2kV以上、−500V以下、より好ましくは−1.5kV以上、−100V以下の負のパルス電圧を基材Zに印加することで、導電性DLC被膜に酸素イオンが注入されてスパッタされる。このように酸素イオンでスパッタすることにより、大きな周期の凹凸に沿って製膜された導電性DLC被膜は徐々に平坦に近づき、表面粗さ減少する。この酸素処理工程は、4分以下が好ましく、より好ましくは2分以下である。酸素処理工程が4分を超えると、いったんは減少した表面粗さが、再度増大する傾向にあり、活物質や導電助剤との密着力を担保するための適度な表面粗さを得られず、接触抵抗値が増大してしまうからである(図3参照)。
この実施形態では、上述したDLC成膜工程と酸素処理工程とが、プラズマ処理室X内の真空状態を維持したまま連続して行われており、具体的には第1プラズマ処理室X1及び第2プラズマ処理室X2におけるそれぞれのプラズマ処理が、各プラズマ処理室X1、X2内の真空状態を維持したまま連続して行われる。
DLC成膜工程及び酸素処理工程を経て、基材Zと、その基材Zの表面に生成されたDLC被膜とを有し、そのDLC被膜が表面粗さ(水平算術平均粗度)Raが0.1μm以上、0.5μm以下である導電部材が製造される。ここでの導電部材は、セパレータを構成する部材であり、活物質や導電助剤を混ぜ合わせたスラリーが塗布される前のものである。
<導電部材の特徴構成>
続いて、上述した製造方法により製造された導電部材の特徴構成について説明する。
本実施形態の導電部材は、上述した酸素処理工程におけるスパッタ効果によって、酸素処理工程後において、表面粗さRaが0.1μm以上、0.5μm以下のものであり、より好ましくは表面粗さが0.1μm以上、0.3μm以下のものである。
また、この導電部材は、酸素処理工程後において、表面状態が、C−O結合に対するO=C−O結合の比率が20%以上である。
ここで、酸素処理工程を行っていないサンプル(No1、2)と、酸素処理工程を行ったサンプル(No3〜6)とに対して、表面の化学結合情報をXPSにより分析した結果を図4に示す。具体的にこの分析結果は、C−O結合のピーク強度に対するO=C−O結合のピーク強度の比率を求めたものである。
この分析結果から分かるように、酸素処理工程における酸素プラズマ処理により、C−O結合に対するO=C−O結合の比率が向上していることが見て取れる。この比率は、酸素処理工程を行っていないサンプルでは15%以下であるのに対して、酸素処理工程を行ったサンプルでは20%以上、より具体的には30%以上である。
このことから、酸素プラズマ処理によって、σ結合に対するπ結合の比率が向上し、導電部材のシート抵抗が低減することが分かる。
さらに、酸素プラズマ処理により、導電部材の表面には、水酸基(−OH基)やカルボキシル基(−COOH)などの官能基が形成され、この官能基による親水性が得られる。
ここで、酸素処理工程の有無(より詳細には、酸素プラズマ処理の処理時間)の違いによる、親水性の差異を確認すべく、導電部材の表面に滴下した液滴の接触角を測定した測定結果を図5に示す。なお、グラフ中の線種の違いは、酸素処理工程後の経過時間の違いであり、具体的にそれぞれの線種は、10日、11日、12日、14日、46日後に接触角を測定した結果を示している。
この測定結果から分かるように、酸素処理工程における酸素プラズマ処理により、接触角が大幅に低減し、親水性が得られていることが分かる。この親水性は、導電部材を巻き取りローラ61に巻き取った状態でも保持されており、そのうえ、巻き取りローラ61から巻き出しても、乾燥雰囲気で保持すれば、1か月程度は親水性が保持されている。
このような導電部材の製造方法によれば、DLC被膜を酸素プラズマ処理するので、そのスパッタ効果によってDLC被膜の表面粗さを0.1μm以上、0.5μm以下にすることができ、導電部材の表面と活物質や導電助剤との密着力を機械的に向上させることができ、その効果は言わば半永久的なものとなる。
これにより、従来のように、導電部材の表面に生成した官能基による親水性に頼らずとも、基材Zと活物質や導電助剤との密着力を長期的に維持することができ、従来よりも長期的にシート抵抗の低い導電部材を提供することができる。
また、酸素プラズマ処理により、C−O結合に対するO=C−O結合の比率が20%以上とすることで、σ結合に対するπ結合の比率を高めているので、シート抵抗のさらなる低減を図れる。
さらに、酸素プラズマ処理により、DLC被膜の表面に水酸基(−OH基)やカルボキシル基(−COOH)などの官能基が形成し、親水性を発揮させているので、活物質や導電助剤を塗布する際に用いられるスラリーとDLC被膜との密着性が良い。これにより、導電部材の表面に活物質や導電助剤をより多く塗布することができ、このこともシート抵抗の低減に寄与する。
このように、酸素プラズマ処理による種々の作用効果によって、導電部材のシート抵抗は従来よりも飛躍的に低くなり、しかもその低いシート抵抗を長期的に維持することができる。
ここで、酸素処理工程を行っていないサンプル(No4〜6)と、酸素処理工程を行ったサンプル(No1〜3、7)とに対して、シート抵抗を測定した測定結果を図6に示す。なお、各サンプルに対する測定値は、活物質を塗布していない状態において測定されたものである。
この結果から分かるように、酸素プラズマ処理を行わなかった場合のDLC被膜のシート抵抗は、10mΩcm以上であるのに対して、酸素プラズマ処理を行った場合のDLC被膜のシート抵抗は、10mΩcm以下であり、酸素プラズマ処理がシート抵抗の低減に効果的であることが分かる。
なお、本発明は前記実施形態に限られるものではない。
例えば、プラズマ処理装置100としては、前記実施形態で述べた構成に限定されず、図7に示すように、基材Zの周囲に設けられた高電圧パルス印加用電極7(メッシュ電極)を備え、この高電圧パルス印加用電極7に高電圧パルスを印加するように構成されたものであっても良い。また、この図7に示す構成では、高周波電源からの高周波電力と、高電圧パルス電源3からの高電圧パルスとを同時にメッシュ電極に印加するように構成された容量結合型プラズマ(CCP)方式のものであるが、図8に示すように、高周波電力と高電圧パルスとを独立させてメッシュ電極に印加するように構成された誘導結合型プラズマ(ICP)方式のものであっても良い。なお、図7及び図8に示す構成では、メッシュ電極に高電圧パルスを印加しているが、メッシュ電極を設けることなく、基材Zに直接高電圧パルスを印加するようにしても良い。
また、前記実施形態では、基材Zを鉛直方向に沿って搬送しながらプラズマ処理しているが、基材Zを例えば水平方向に搬送しながらプラズマ処理するようにしても良い。
さらに、DLC成膜工程の前に、DLC被膜の密着性を向上させるべく、基材Zに核(云わば髪の毛でいう毛根のようなもの)を形成しても良い。より具体的に説明すると、第1プラズマ処理室X1には例えばシアン化アンモニウム等の炭素化合物ガスが原料ガスとして供給されて1Paに保持されており、高周波アンテナ4に図示しない整合器を介して高周波電源2からの高周波電力を印加することで、基材Zの表面近傍には炭素イオンを含む放電プラズマが発生する。そして、上述した送り出しローラ11を介して、負の直流電圧又は負のパルス電圧を基材Zに印加することで、基材Zの表面に炭素イオンが注入されて核が形成される。なお、核の形成は、窒素イオンの注入により行われても良い。
加えて、DLC成膜工程の前に、基材Zの酸化被膜(Al)を除去するプラズマ処理を行っても良い。具体的にかかるプラズマ処理としては、プラズマ処理室Xに例えばアルゴンガスを導入して1Paに保ち、プラズマを発生させることにより酸化被膜を除去するアルゴンガスクリーニングを挙げることができる。
さらに加えて、前記実施形態では、4つのプラズマ処理室Xが設けられていたが、図9に示すように、3つのプラズマ処理室Xを設けても良い。具体的には、基材Zの表面に導電性DLC被膜を形成する第1プラズマ処理室X1、基材Zの裏面に導電性DLC被膜を形成する第1プラズマ処理室X1、基材Zの両面を酸素プラズマ処理する第2プラズマ処理室X2がこの順で設けられていても良い。
基材Zは、アルミニウムに限らず、ニッケル(Ni)、鉄(Fe)、マグネシウム(Mg)、チタニウム(Ti)又はこれらの金属を含む合金のうち、少なくとも1種類の金属を有するものであっても良い。
その他、本発明は前記実施形態に限られず、その趣旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であるのは言うまでもない。
100・・・プラズマ処理装置
X ・・・プラズマ処理室
Z ・・・基材
10 ・・・送り出し機構
2 ・・・高周波電源
3 ・・・高電圧パルス電源
4 ・・・アンテナ
5 ・・・ヒータ
60 ・・・巻き取り機構

Claims (9)

  1. 導電部材の製造方法であって、
    前記導電部材の基材を収容するプラズマ処理室内に炭化水素系原料ガスを供給するとともに、前記プラズマ処理室内にプラズマを発生させ、前記基材又は前記基材の周囲に設けられた高電圧パルス印加用電極に高電圧パルスを印加することで、前記基材の表面にDLC被膜を生成するDLC成膜工程と、
    前記DLC成膜工程の後に、プラズマ処理室内に酸素ガスを供給するとともに、前記プラズマ処理室内にプラズマを発生させ、前記基材又は前記基材の周囲に設けられた高電圧パルス印加用電極に高電圧パルスを印加することで、前記DLC被膜を酸素処理する酸素処理工程とを備え、
    前記酸素処理工程後の前記導電部材の表面粗さが0.1μm以上、0.5μm以下であることを特徴とする導電部材の製造方法。
  2. 前記酸素処理工程後の前記導電部材の表面状態が、C−O結合に対するO=C−O結合の比率が20%以上であることを特徴とする請求項1記載の導電部材の製造方法。
  3. 前記酸素処理工程における前記高電圧パルスが、−100V以上、−2kV以下であることを特徴とする請求項1又は2記載の導電部材の製造方法。
  4. 前記酸素処理工程において前記プラズマ処理室内に供給する酸素ガスの圧力が、0.1Pa以上、10Pa以下であることを特徴とする請求項1乃至3のうち何れか一項に記載の導電部材の製造方法。
  5. 前記酸素処理工程が4分以内であることを特徴とする請求項1乃至4のうち何れか一項に記載の導電部材の製造方法。
  6. 前記DLC成膜工程において、前記基材を摂氏100度以上、摂氏450度以下に加熱することを特徴とする請求項1乃至5のうち何れか一項に記載の導電部材の製造方法。
  7. 前記酸素処理工程後の前記DLC被膜の接触抵抗が、10mΩcm以下であることを特徴とする請求項1乃至6のうち何れか一項に記載の導電部材の製造方法。
  8. 前記DLC成膜工程及び前記酸素処理工程を、前記プラズマ処理室内の真空状態を維持したまま連続して行うことを特徴とする請求項1乃至7のうち何れか一項に記載の導電部材の製造方法。
  9. 基材と、基材の表面に形成されたDLC被膜とを有した集電体又はセパレータであって、
    前記DLC被膜の表面粗さが0.1μm以上、0.5μm以下であることを特徴とする集電体又はセパレータ。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2016056466A1 (ja) * 2014-10-05 2016-04-14 太陽誘電ケミカルテクノロジー株式会社 抗菌積層構造体及びその製造方法

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