JP2021037444A - 流動接触分解触媒、流動接触分解方法、流動接触分解装置、及び流動接触分解触媒のストリッピング性能の評価方法 - Google Patents

流動接触分解触媒、流動接触分解方法、流動接触分解装置、及び流動接触分解触媒のストリッピング性能の評価方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2021037444A
JP2021037444A JP2019159383A JP2019159383A JP2021037444A JP 2021037444 A JP2021037444 A JP 2021037444A JP 2019159383 A JP2019159383 A JP 2019159383A JP 2019159383 A JP2019159383 A JP 2019159383A JP 2021037444 A JP2021037444 A JP 2021037444A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
stripping
catalytic cracking
catalyst
cracking catalyst
cracking
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2019159383A
Other languages
English (en)
Inventor
達広 赤穂
Tatsuhiro Akaho
達広 赤穂
範人 千代田
Norihito Chiyoda
範人 千代田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Cosmo Oil Co Ltd
Original Assignee
Cosmo Oil Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Cosmo Oil Co Ltd filed Critical Cosmo Oil Co Ltd
Priority to JP2019159383A priority Critical patent/JP2021037444A/ja
Publication of JP2021037444A publication Critical patent/JP2021037444A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Catalysts (AREA)
  • Production Of Liquid Hydrocarbon Mixture For Refining Petroleum (AREA)

Abstract

【課題】ストリッピングコークを低減可能なストリッピング性能に優れた流動接触分解触媒、前記流動接触分解触媒を用いた流動接触分解方法、前記流動接触分解触媒を備える接触分解装置、並びに流動接触分解触媒のストリッピング性能の評価方法の提供。【解決手段】原料油の分解反応、ストリッピング処理、加熱による再生処理をこの順で繰り返し行う、流動接触分解方法に用いる流動接触分解触媒であって、前記分解反応後、かつ前記ストリッピング処理前の前記流動接触分解触媒を特定の前処理条件1で前処理を行った場合と、特定の前処理条件2で前処理を行ったときの、ガスクロマトグラフィー・質量分析法における、前記流動接触分解触媒に残存する芳香族炭化水素に由来する総ピーク面積(T)に対する、炭素数12以上の芳香族炭化水素に由来する総ピーク(A)面積との割合(A/T)の差が一定の値以下であることを特徴とする、流動接触分解触媒。【選択図】図1

Description

本発明は、流動接触分解触媒、流動接触分解方法、流動接触分解装置、及び流動接触分解触媒のストリッピング性能の評価方法に関する。
流動接触分解反応は流動接触分解触媒を用い、重質油をはじめとする原料油を分解処理して、ガソリンや灯油・軽油などの付加価値の高い分解油を得る反応である。流動接触分解触媒としては、例えば、ゼオライト及び活性アルミナを主成分として含む固体酸触媒が使用される。流動接触分解反応においては、副生物としてコークが生成し、このコークが流動接触分解触媒の活性点を被覆、細孔を閉塞することにより触媒活性(分解活性)が低下する。
流動接触分解装置では、コークにより活性が低下した流動接触分解触媒を、高温条件下、スチーム等のガスを流通させ、生成物等を流動接触分解触媒から除去し(以下、ストリッピング処理ともいう。)、その後再生塔に移送し、空気流通下、高温でコークを燃焼除去することによって流動接触分解触媒を再生し、反応に再利用している。したがって、流動接触分解触媒再生時の再生塔の温度は、再生塔に移送される流動接触分解触媒中のコークの含有量に依存することになる。
流動接触分解反応において生成するコークは、流動接触分解触媒による分解反応により生成するコーク(以下、触媒コークともいう。)、原料油中に含まれるNi等の金属が流動接触分解触媒に堆積し、この金属が脱水素反応を触媒することにより生成するコーク(以下、金属コークともいう)、原料油中に含まれる残炭やアスファルテンとしてのコーク(以下、原料コークともいう。)、前記ストリッピング処理によって除去しきれなかった軽質炭化水素からなるコーク(以下、ストリッピングコークともいう。)の4種類がよく知られている。
触媒コークは流動接触分解触媒の性能に依存するコークであり、原料コークは原料油の種類に依存するコークである。また、金属コークは、流動接触分解触媒の性能及び原料油の種類に依存するコークである。したがって、流動接触分解触媒、並びに原料油の種類を最適化することにより、触媒コーク、原料コーク、金属コークの量を制御することが可能である。
例えば触媒コークの低減に関し、特許文献1には、ゼオライト、複合金属酸化物、粘土及び単一金属酸化物からなり、ゼオライト以外の触媒構成部分についての全酸量が0.02〜0.08mmol/gであることを特徴とする重質油の接触分解用添加触媒が開示されている。特許文献1の触媒は、ゼオライト以外の触媒構成部分についての全酸量を特定の量とすることで触媒コークを低減できることを開示している。
特開平11−000561号公報
一方、流動接触分解触媒の構造等とストリッピングコークの量との関係については、不明な点が多く、ストリッピングコークは主に流動接触分解装置のストリッパーの能力に依存する。したがって、ストリッパーの能力が低い流動接触分解装置で運転を行う場合、再生塔に持ち込まれるストリッピングコークの量が増え、触媒再生時のコーク燃焼により再生塔の温度が上昇する。一方、再生塔には通常、その材質、構造に応じた使用最高温度が設定されており、当該使用最高温度以下で運転しなければならないという制約がある。したがって、ストリッパーの能力が低い場合は、ストリッピング処理工程がボトルネックとなり、高分解活性の触媒を使用しても生産性を向上できないという問題がある。
本発明は、前記事情に鑑みてなされたものであって、ストリッピングコークを低減可能であり、ストリッピング性能に優れた流動接触分解触媒、前記流動接触分解触媒を用いた流動接触分解方法、前記流動接触分解触媒を備える流動接触分解装置、並びに流動接触分解触媒のストリッピング性能の評価方法を提供することを課題とする。
上記課題を解決するため、本発明は、以下の態様を有する。
[1] 原料油の分解反応、ストリッピング処理、加熱による再生処理をこの順で繰り返し行う、流動接触分解方法に用いる流動接触分解触媒であって、前記分解反応後、かつ前記ストリッピング処理前の前記流動接触分解触媒を以下に示す前処理条件1で前処理を行った後に、ガスクロマトグラフィー・質量分析法で分析を行ったときに得られる芳香族炭化水素に由来する総ピーク面積(T1)に対する、炭素数が12以上の芳香族炭化水素に由来する総ピーク面積(A1)の割合(A1/T1)と、前記分解反応後、かつ前記ストリッピング処理前の前記流動接触分解触媒を以下に示す前処理条件2で前処理を行った後に、ガスクロマトグラフィー・質量分析法で分析を行ったときに得られる芳香族炭化水素に由来する総ピーク面積(T2)に対する、炭素数が12以上の芳香族炭化水素に由来する総ピーク面積(A2)の割合(A2/T2)との差である(A1/T1)−(A2/T2)が0.15以下である、流動接触分解触媒。
[前処理条件1]
前記分解反応後、かつ前記ストリッピング処理前の前記流動接触分解触媒120gに対し、系内温度500℃、系内圧力102kPaで窒素を0.5時間流通する。
流通させる窒素の流量:0.6NL/分
流通させる窒素の線速度:0.024m/秒
[前処理条件2]
前記分解反応後、かつ前記ストリッピング処理前の前記流動接触分解触媒120gに対し、系内温度500℃、系内圧力102kPaで窒素を0.5時間流通する。
流通させる窒素の流量:2.0NL/分
流通させる窒素の線速度:0.08m/秒
[2] 前記ストリッピング処理を以下に示すストリッピング条件1で行う流動接触分解方法に用いるための[1]に記載の流動接触分解触媒。
<ストリッピング条件1>
ストリッピングガス:スチーム
ストリッピングSTM比エンタルピー(MJ/時間)/触媒循環量(Ton/時間):12.0以下
[3] 原料油の分解反応、ストリッピング処理、加熱による再生処理をこの順で繰り返し行う、流動接触分解方法であって、[1]に記載の流動接触分解触媒を、以下に示すストリッピング条件2で前記ストリッピング処理を行う、流動接触分解方法。
<ストリッピング条件2>
ストリッピングガス:スチーム
ストリッピングSTM比エンタルピー(MJ/時間)/触媒循環量(Ton/時間):12.0以下
[4] [1]又は[2]に記載の流動接触分解触媒を備える流動接触分解装置。
[5] 原料油の分解反応、ストリッピング処理、加熱による再生処理をこの順で繰り返し行う、流動接触分解方法に用いる流動接触分解触媒のストリッピング性能を評価する方法であって、前記分解反応後、かつ前記ストリッピング処理前の前記流動接触分解触媒を以下に示す前処理条件1で前処理を行った後に、ガスクロマトグラフィー・質量分析法で分析を行い、芳香族炭化水素に由来する総ピーク面積(T1’)に対する、炭素数が12以上の芳香族炭化水素に由来する総ピーク面積(A1’)の割合(A1’/T1’)を得るステップと、前記分解反応後、かつ前記ストリッピング処理前の前記流動接触分解触媒を以下に示す前処理条件2で前処理を行った後に、ガスクロマトグラフィー・質量分析法で分析を行ったときに得られる芳香族炭化水素に由来する総ピーク面積(T2’)に対する、炭素数が12以上の芳香族炭化水素に由来する総ピーク面積(A2’)の割合(A2’/T2’)を得るステップと、を有する、流動接触分解触媒のストリッピング性能を評価する方法。
[前処理条件1]
前記分解反応後、かつ前記ストリッピング処理前の前記流動接触分解触媒120gに対し、系内温度500℃、系内圧力102kPaで窒素を0.5時間流通する。
流通させる窒素の流量:0.6NL/分
流通させる窒素の線速度:0.024m/秒
[前処理条件2]
前記分解反応後、かつ前記ストリッピング処理前の前記流動接触分解触媒120gに対し、系内温度500℃、系内圧力102kPaで窒素を0.5時間流通する。
流通させる窒素の流量:2.0NL/分
流通させる窒素の線速度:0.08m/秒
本発明によれば、ストリッピングコークを低減可能であり、ストリッピング性能に優れた流動接触分解触媒、前記流動接触分解触媒を用いた流動接触分解方法、前記流動接触分解触媒を備える流動接触分解装置、並びに流動接触分解触媒のストリッピング性能の評価方法を提供することができる。
本発明の一実施形態に係る流動接触分解装置の構成を示す構成図である。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明するが、以下の記載は本発明の実施態様の一例であり、本発明はこれらの内容に限定されず、その要旨の範囲内で変形して実施することができる。
<流動接触分解触媒>
本実施形態の流動接触分解触媒(以下、単に「FCC触媒」ともいう。)は、原料油の分解反応、ストリッピング処理、加熱による再生処理をこの順で繰り返し行う、流動接触分解方法に用いられる。前記分解反応後、かつ前記ストリッピング処理前の前記FCC触媒を以下に示す前処理条件1で前処理を行った後に、ガスクロマトグラフィー・質量分析法(以下、単に「GC−MS」ともいう。)で分析を行ったときに得られる芳香族炭化水素に由来する総ピーク面積(T1)に対する、炭素数が12以上の芳香族炭化水素に由来する総ピーク面積(A1)の割合(A1/T1)と、前記分解反応後、かつ前記ストリッピング処理前の前記流動接触分解触媒を以下に示す前処理条件2で前処理を行った後に、GC−MSで分析を行ったときに得られる芳香族炭化水素に由来する総ピーク面積(T2)に対する、炭素数が12以上の芳香族炭化水素に由来する総ピーク面積(A2)の割合(A2/T2)との差である(A1/T1)−(A2/T2)が0.15以下であることを特徴とする。
[前処理条件1]
前記分解反応後、かつ前記ストリッピング処理前の前記流動接触分解触媒120gに対し、系内温度500℃、系内圧力102kPaで窒素を0.5時間流通する。
流通させる窒素の流量:0.6NL/分
流通させる窒素の線速度:0.024m/秒
[前処理条件2]
前記分解反応後、かつ前記ストリッピング処理前の前記流動接触分解触媒120gに対し、系内温度500℃、系内圧力102kPaで窒素を0.5時間流通する。
流通させる窒素の流量:2.0NL/分
流通させる窒素の線速度:0.08m/秒
GC−MSの条件としては、特に限定されないが、例えば以下の条件が挙げられる。
[GC−MS条件]
前記前処理後の流動接触分解触媒0.8mgを加熱炉でヘリウム雰囲気下、50℃から500℃まで20℃/分で昇温し揮発した成分を全量、ガスクロマトグラフで分析を行う。
<ガスクロマトグラフ条件>
カラム:材質ヒューズドシリカ、液相化学結合型5%ジフェニル−95%ジメチルポリシロキサン、長さ30m、内径0.25mm、膜厚0.5μm
注入条件:スプリット比1:20
注入口温度:280℃
キャリアガス:ヘリウムガス、ガス流量1.8mL/分
カラム温度:40℃から280℃まで10℃/分で昇温し、280℃で16分保持
<質量分析条件>
装置:四重極型質量分析計
インターフェース温度:300℃
イオン化方法:EI(イオン化電圧70eV)
走査質量範囲:m/z 10〜600
前記(A1/T1)−(A2/T2)は、0.15以下であり、0.12以下であることが好ましく、0.10以下であることがより好ましく、0.08以下であることがさらに好ましい。(A1/T1)−(A2/T2)が前記上限値以下であると、ストリッピングコークを低減することができる。
前記(A1/T1)−(A2/T2)の下限値は、本発明の効果を有する限り、特に限定されず低ければ低いほどよく、0が最も好ましい。
本明細書において、ストリッピングコークとは、流動接触分解方法における分解反応後のFCC触媒にストリッピング処理を行った後のFCC触媒(以下、ストリッピングFCC触媒ともいう。)に含まれる軽質炭化水素分を意味し、単環芳香族炭化水素、2環以上の芳香族炭化水素、及びパラフィンを含むその他の炭化水素分を意味する。より具体的には、前記ストリッピングFCC触媒を熱重量・質量分析装置(TG−GC/MS)で50〜500℃まで分析を行ったときに検出される炭化水素分を意味する。
前記(A1/T1)は、0.25以下であることが好ましく、0.20以下であることがより好ましく、0.18以下であることがさらに好ましい。(A1/T1)が前記上限値以下であると、ストリッピングコークを低減することができる。
前記(A1/T1)の下限値は、本発明の効果を有する限り、特に限定されず低ければ低いほどよく、0が最も好ましい。
前記芳香族炭化水素に由来する総ピーク面積(T1)及び(T2)を構成する芳香族炭化水素としては、単環芳香族炭化水素、2環以上の芳香族炭化水素が例示される。
単環芳香族炭化水素としては、例えば、トルエン、キシレン、エチルメチルベンゼン、トリメチルベンゼン、テトラメチルベンゼン、シメン、ジメチルクメン、トリエチルベンゼン、ジイソプロピルジメチルベンゼン、tert−ブチルエチルベンゼン、ジイソプロピルジメチルベンゼン等が挙げられる。
2環以上の芳香族炭化水素としては、例えば、ナフタレン、メチルナフタレン、エチルナフタレン、ジメチルナフタレン、イソプロピルナフタレン等の2環の芳香族炭化水素;アントラセン、メチルアントラセン、ジメチルフェナントレン等の3環の芳香族炭化水素;ピレン、メチルピレン等の4環の芳香族炭化水素が挙げられる。
前記炭素数が12以上の芳香族炭化水素に由来する総ピーク面積(A1)及び(A2)を構成する炭化水素としては、上述の単環芳香族炭化水素、2環以上の芳香族炭化水素のうち、炭素数が12以上の化合物が挙げられる。前記炭素数が12以上の芳香族炭化水素に由来する総ピーク面積(A1)及び(A2)を構成する炭化水素としては、例えば、トリエチルベンゼン、ジイソピルメチルベンゼン、tert−ブチルベンゼン、エチルナフタレン、ジイソプロピルジメチルベンゼン、ジメチルナフタレン、イソプロピルナフタレン、アントラセン、メチルアントラセン、ジメチルフェナントレン、ピレン、メチルピレンが挙げられる。
本実施形態において、FCC触媒のストリッピング性能は、上述の加熱による再生処理において分析されるコーク由来のC量に対するコーク由来のH量の質量比である(H量/C量)により評価することができる。具体的には、図1の流動接触分解装置1の排ガスライン34の排出ガスのO量、CO量、CO量をガスクロマトグラフィー及び排出ガスの流量より定量する。得られたCO、COは全てコークの燃焼により生じたとし、コーク由来のC量を求める。また、空気供給ライン31から供給された空気の流量より供給された空気中のO量を算出し、上述のガスクロマトグラフィー及び排出ガスの流量より定量されたO量、及びCO量、CO量から求められる総O量との差を計算する。得られたO量は全てHの燃焼に使用され、HOが生じたとして、H量を算出する。なお、図1の流動接触分解装置1については、後ほど詳細に説明を行う。
上記(H量/C量)が低いほど、ストリッピングコークが少なく、ストリッピング性能が高いFCC触媒であると判断することができる。
本実施形態のFCC触媒は、ソーダライトケージ構造を有するゼオライト、βゼオライト、ZSM−5型ゼオライト等のゼオライトを含むことが好ましく、ソーダライトケージ構造を有するゼオライトを含むことがより好ましい。
FCC触媒全質量に対するゼオライトの含有量は25〜45質量%であることが好ましく、28〜42質量%であることがより好ましく、30〜40質量%であることがさらに好ましい。
本明細書において、ソーダライトケージ構造を有するゼオライトとは、ソーダライトケージ構造、すなわちアルミニウム及びケイ素四面体を基本単位とし、頂点の酸素をアルミニウム又はケイ素が共有することにより形成される立体的な正八面体の結晶構造の各頂点を切り落とした、四員環や六員環等により規定される十四面体結晶構造により構成される空隙を有し、このソーダライトケージ同士が結合する場所や方法が変化することによって、種々の細孔構造、骨格密度、チャンネル構造を有するものを意味する。
上記ソーダライトケージ構造を有するゼオライトとしては、ソーダライト、A型ゼオライト、EMT、X型ゼオライト、Y型ゼオライト、安定化Y型ゼオライト等から選ばれる一種以上を挙げることができ、安定化Y型ゼオライトであることが好ましい。
安定化Y型ゼオライトは、Y型ゼオライトを出発原料として合成され、Y型ゼオライトと比較して、結晶化度の劣化に対して耐性を示すものであり、一般には、Y型ゼオライトに対し高温での水蒸気処理を数回行った後、必要に応じて、塩酸等の鉱酸、水酸化ナトリウム等の塩基、フッ化カルシウム等の塩、エチレンジアミン四酢酸等のキレート剤で処理することにより作製される。
上記方法で得られた安定化Y型ゼオライトは、水素、アンモニウムあるいは多価金属から選ばれるカチオンでイオン交換された形で使用することができる。また、安定化Y型ゼオライトとして、より安定性に優れたヒートショック結晶性アルミノシリケートゼオライト(特許第2544317号公報参照)を使用することもできる。
本実施形態のFCC触媒は、さらに結合剤、粘土鉱物等を含むことが好ましい。
結合剤としては、例えば、シリカゾルが例として挙げられる。シリカゾルを使用することにより、FCC触媒を造粒するときの成形性が向上し、容易に球状化することを可能にする。また、造粒後のFCC触媒の流動性及び耐摩耗性を容易に向上することができる。FCC触媒全質量に対する結合剤の含有量は15〜35質量%であることが好ましく、18〜32質量%であることがより好ましく、20〜30質量%であることがさらに好ましい。
粘土鉱物としては、例えば、モンモリロナイト、カオリナイト、ハロイサイト、ベントナイト、アタパルガイト、ボーキサイト等を挙げることができる。また、本実施形態のFCC触媒においては、シリカ、シリカ−アルミナ(上述のゼオライトを除く)、アルミナ、シリカ−マグネシア、アルミナ−マグネシア、リン−アルミナ、シリカ−ジルコニア、シリカ−マグネシア−アルミナ等の通常のFCC触媒に使用される公知の無機酸化物の微粒子を上記粘土鉱物と併用することができる。
FCC触媒全質量に対する粘土鉱物と無機酸化物の含有量の和は35〜55質量%であることが好ましく、38〜52質量%であることがより好ましく、40〜50質量%であることがさらに好ましい。
FCC触媒全質量に対する粘土鉱物の含有量は25〜50質量%であることが好ましく、30〜45質量%であることがより好ましく、32〜42質量%であることがさらに好ましい。
また、本実施形態のFCC触媒は、ゼオライト安定性向上剤を含んでいてもよい。ゼオライト安定性向上剤は、ゼオライト結晶の崩壊を抑制する機能を有する。ゼオライト安定性向上剤としてはリン酸、リン酸水素二アンモニウム、リン酸二水素アンモニウム、第一リン酸アルミニウム及びその他の水溶性リン酸塩等のリン系ゼオライト安定性向上剤、スカンジウム、イットリウム、ランタン、セリウム、プラセオジム、ネオジム、サマリウム、ガドリニウム、ディスプロシウム及びホルミウム等の希土類金属系ゼオライト安定性向上剤があげられる。FCC触媒がゼオライト安定性向上剤を含む場合、FCC触媒全質量に対するゼオライト安定性向上剤の含有量は、0.1〜5質量%であることが好ましい。
FCC触媒は一定の大きさに造粒された上で、流動接触分解反応に使用される。FCC触媒の粒子径は、通常流動接触分解反応に使用可能な粒子径であれば、特に制限されないが、粒子径が20〜150μmの範囲内にあるものが好ましい。
FCC触媒の粒子径は、例えば、筒井理化学器械製“ミクロ形電磁振動ふるい器 M−2型”により測定することができる。
<平衡触媒>
流動接触分解反応において、FCC触媒は上述のコークによる活性低下以外に、重金属の堆積、水熱劣化によっても活性が低下する。上述したとおり、コークにより活性が低下したFCC触媒は、流動接触分解装置の再生塔で空気流通下、高温でコークを燃焼除去することにより流動接触分解装置内で再生することが可能である。一方、重金属の堆積、水熱劣化によって活性が低下したFCC触媒は、流動接触分解装置内で再生することは実質的に不可能である。そのため、重金属の堆積、水熱劣化によって活性が低下したFCC触媒の一部を定期的あるいは定常的に抜出し、必要量の新触媒を投入することにより、流動接触分解装置内のFCC触媒の活性を維持するという方法がとられている。このように流動接触分解装置内におけるFCC触媒は、投入と抜出しを行いながら活性を一定に保っていることから平衡触媒と呼ばれている。
したがって、流動接触分解装置内の平衡触媒は、投入直後でほとんど活性が低下してないものから、長期間流動接触分解装置内に滞留してほぼ完全に失活したものまで、滞留時間が異なるFCC触媒が混合した状態にある。本実施形態の流動接触分解触媒としては、平衡触媒であることが好ましい。
<流動接触分解装置>
本発明の一つの側面は、本発明の流動接触分解触媒を備える流動接触分解装置である。 本実施形態の流動接触分解装置(以下、FCC装置ともいう。)は、FCC触媒に原料油を接触させて前記原料油を分解することによって分解生成物を生成するライザー、分解生成物とFCC触媒とを分離する反応塔、及び分離したFCC触媒を燃焼することによって触媒を再生する再生塔を備える。以下、図1を参照して、本実施形態のFCC装置の一例を説明する。図1は、FCC装置の一例を示す構成図である。FCC装置1はライザー10、反応塔20、及び再生塔30を備える。
(ライザー)
ライザー10は、FCC触媒に原料油を接触させて前記原料油を分解することによって分解生成物を生成する装置である。ライザー10は、例えば、再生塔30で再生されたFCC触媒を供給する再生触媒移送ライン33及び原料油を供給する原料油供給ライン11と接続している。また、原料油供給ライン上には、不図示の予熱装置が備えられている。さらにライザー10の上方は、サイクロン21と接続されている。
(反応塔)
反応塔20は、分解生成物とFCC触媒とを分離する装置である。反応塔20は、例えば、サイクロン21、分解生成物排出ライン22、ストリッパー23及び反応後触媒移送ライン24を備える。サイクロンの上方は、分解生成物排出ライン22と接続されている。一方、サイクロンの下方は、ストリッパー23と接続されている。さらにストリッパー23の底部と再生塔30の下部とは反応後触媒移送ライン24で接続されている。
(再生塔)
再生塔30は、反応塔20で分離したFCC触媒上のコークを燃焼させることによって触媒を再生する装置である。再生塔30は、たとえば、空気供給ライン31、サイクロン32、再生触媒移送ライン33及び排ガスライン34を備える。再生塔の底部は、空気供給ライン31と接続されている。さらに再生塔の上部にはサイクロン32が設置されており、サイクロン32の上方は排ガスライン34と接続されている。
<流動接触分解装置の運転方法>
本実施形態の流動接触分解触媒は、ストリッピング性能が高いため、後述するストリッピング能力が低い条件でストリッピング処理を行う流動接触分解方法において好適に使用される。以下、本実施形態の流動接触分解装置1の運転方法について説明する。
本発明において原料油の流動接触分解方法は、本分野において公知の方法によって実施することができる。原料油の分解反応は、FCC触媒と原料油とを接触させることにより実施することができる。
本発明において、分解される原料油としては、ガソリンの沸点よりも高い温度で沸騰する炭化水素油(炭化水素混合物)を挙げることができる。
ガソリンの沸点よりも高い温度で沸騰する炭化水素油としては、原油の常圧あるいは減圧蒸留で得られる軽油留分や常圧蒸留残渣油及び減圧蒸留残渣油等から選ばれる一種以上を挙げることができ、コーカー軽油、溶剤脱瀝油、溶剤脱瀝アスファルト、タールサンド油、シェールオイル油、石炭液化油、GTL(Gas to Liquids)油、植物油、廃潤滑油、廃食油等から選ばれる一種以上も挙げることができる。
さらに、上記炭化水素油としては、当業者に周知の水素化処理、すなわち、Ni−Mo系触媒、Co−Mo系触媒、Ni−Co−Mo系触媒、Ni−W系触媒などの水素化処理触媒の存在下、高温・高圧下で水素化脱硫した水素化処理油も挙げることができる。
本実施形態の原料油の分解反応は、通常、垂直に据え付けられたライザー10、反応塔20、再生塔30からなるFCC装置1に、FCC触媒を連続的に循環させることにより行うことができる。なお、本明細書において、流動接触分解装置(FCC装置)には、残油流動接触分解装置(RFCC装置)も含まれる。すなわち、本明細書において、流動接触分解反応には、残油流動接触分解反応も含まれる。
以下、FCC装置によって行われる流動接触分解方法を具体的に説明する。
ライザー10内には、揚送用流体が上方に向かって流通しており、再生触媒移送ライン33より供給されたFCC触媒は、揚送用流体とともにライザー10内を上方へ流れる。原料油は、不図示の余熱装置によって所定の温度に加熱され、スチームを加えられた後、原料油供給ライン11からライザー10に供給される。ライザー10内に供給された原料油はFCC触媒と接触し分解する。原料油が分解して生成した分解生成物とFCC触媒とは反応塔20へ移送される。
ライザー10の運転条件としては、反応温度が400〜600℃であることが好ましく、450〜550℃であることがより好ましい。反応圧力は常圧〜0.49MPa(5kg/cm)であることが好ましく、常圧〜0.29MPa(3kg/cm)であることがより好ましい。FCC触媒/炭化水素油の質量比は2〜20であることが好ましく、4〜15であることがより好ましい。
ライザー10における反応温度が400℃以上であると、原料油の分解反応が進行して、分解生成物の収率が向上する。また、ライザー10における反応温度が600℃以下であると、分解により生成するドライガスやLPGなどの軽質ガス生成量を軽減することができ、ガソリン留分の収率を相対的に増大させ易くなるため経済的である。
分解反応は、反応物のモル数に対し、生成物のモル数が増加する反応であるため、ライザー10における反応圧力が0.49MPa以下であると、熱力学的(平衡的)に有利となる。また、ライザー10における本発明に係るFCC触媒/原料油の質量比が2以上であると、ライザー10内の触媒濃度を適度に保つことができ、原料油の分解効率が向上する。ライザー10におけるFCC触媒/原料油の質量比が20以下である場合も、原料油の分解反応が効果的に進行し、触媒濃度の上昇に見合った分解反応を進行させ易くなる。
ライザー10内で原料油の分解により生成した分解生成物は、サイクロン21に供給される。サイクロン21は、遠心力を利用して、分解生成物をFCC触媒から分離する。そして、ドライガス、LPG、ガソリン留分、LCO、重質留分の混合物である分解生成物は、分解生成物排出ライン22により、反応塔20から排出され、次の工程へと移送される。分解生成物から分離したLCOや重質留分の一部あるいは全部を、ライザー10に再循環させて分解反応をさらに進めてもよい。サイクロン21によって分離されたFCC触媒はストリッパー23に供給される。ストリッパー23には、スチーム、窒素等が供給されている。ストリッパー23では、スチーム、窒素等によりFCC触媒上の炭化水素を除去する。そして、FCC触媒は、反応後触媒移送ライン24により反応塔20から排出され、再生塔30に移送される。
本実施形態における、ストリッパー23におけるストリッピング条件としては、特に限定されないが、ストリッピングSTM比エンタルピー(MJ/時間)を触媒循環量(Ton/時間)で除した値(以下、ストリッピング性能値ともいう)が12.0以下でもよい。ストリッピング性能値は、ストリッパーのストリッピング性能を表す指標であり、値が大きいほど、ストリッパーのストリッピング能力が高いことを意味する。
なお、本明細書において、「ストリッピングSTM比エンタルピー(MJ/時間)」は、STM比エンタルピー(MJ/Ton)にストリッピングに使用したスチーム量(Ton/時間)を乗じることにより得ることができる。また、「STM比エンタルピー(MJ/Ton)」は、使用したスチームの温度と圧力から、日本機械学会の「蒸気表」から得ることができる。
ストリッパー23におけるストリッピング処理時の温度は、通常470〜530℃であり、480〜520℃であることが好ましく、490〜510℃であることがより好ましい。ストリッピングに使用されるガスとしては、ボイラーにより発生されたスチームやコンプレッサー等により昇圧された窒素等の不活性ガスなどが使用される。
ストリッピング処理におけるガスの線速度は、0.03〜0.12m/sであり、0.04〜0.11m/sであることがより好ましく、0.05〜0.10m/sであることがより好ましい。
本実施形態のFCC触媒は、ストリッピング性能が高いため、上述のストリッピング条件でFCC装置を運転しても、ストリッピングコークを低減することができる。
すなわち、本実施形態のFCC触媒は、上述のストリッピング条件で流動接触分解方法を行うためのFCC触媒である。
空気供給ライン31から再生塔30内に空気が供給され、再生塔30に移送されたストリッピング処理後のFCC触媒上のコークが燃焼し、FCC触媒は再生される。再生したFCC触媒と、コークの燃焼により生じた排ガスとはサイクロン32により分離される。再生したFCC触媒は再生触媒移送ライン33により再生塔30から排出され、ライザー10に供給される。排ガスは、排ガスライン34により再生塔30から排出される。
再生塔30の運転条件としては、再生温度が600〜800℃であることが好ましく、700〜750℃であることがより好ましい。
再生塔30における再生温度が600℃以上であると、コークの燃焼が充分に進み、触媒活性が充分に回復する。また、触媒再生塔における再生温度が800℃以下であると、装置材質への悪影響が低い。
本発明の一つの側面は、原料油の分解反応、ストリッピング処理、加熱による再生処理をこの順で繰り返し行う、流動接触分解方法に用いる流動接触分解触媒のストリッピング性能を評価する方法であって、前記分解反応後、かつ前記ストリッピング処理前の前記流動接触分解触媒を前記前処理条件1で前処理を行った後に、ガスクロマトグラフィー・質量分析法で分析を行い、芳香族炭化水素に由来する総ピーク面積(T1’)に対する、炭素数が12以上の芳香族炭化水素に由来する総ピーク面積(A1’)の割合(A1’/T1’)を得るステップと、前記分解反応後、かつ前記ストリッピング処理前の前記流動接触分解触媒を以下に示す前処理条件2で前処理を行った後に、ガスクロマトグラフィー・質量分析法で分析を行ったときに得られる芳香族炭化水素に由来する総ピーク面積(T2’)に対する、炭素数が12以上の芳香族炭化水素に由来する総ピーク面積(A2’)の割合(A2’/T2’)を得るステップと、を有する、流動接触分解触媒のストリッピング性能を評価する方法である。
本実施形態の流動接触分解触媒のストリッピング性能を評価する方法は、上述の再生処理において分析されるコーク由来のC量に対するコーク由来のH量の質量比である(H量/C量)により流動接触分解触媒のストリッピング性能を評価する方法を代替することができる。
前記(A1’/T1’)と前記(A2’/T2’)の差である(A1’/T1’)−(A2’/T2’)が0.15以下である場合、ストリッピング性能が高いFCC触媒であると評価することができる。前記(A1’/T1’)−(A2’/T2’)は、0.12以下であることが好ましく、0.10以下であることがより好ましく、0.08以下であることがさらに好ましい。
FCC触媒の前記(A1’/T1’)−(A2’/T2’)が前記上限値以下である場合、ストリッピング性能が高いFCC触媒であると評価することができる。
前記(A1’/T1’)−(A2’/T2’)の下限値は、特に限定されず、低ければ低いほどよく、0が最も好ましい。
前記(A1’/T1’)は、0.25以下であることが好ましく、0.20以下であることがより好ましく、0.18以下であることがさらに好ましい。(A1’/T1’)が前記上限値以下である場合、ストリッピング性能が高いFCC触媒であると評価することができる。
前記(A1’/T1’)の下限値は、本発明の効果を有する限り、特に限定されず低ければ低いほどよく、0が最も好ましい。
以下、実施例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
[製造例1]
シリカゾル(結合剤)42.0g(乾燥基準、SiO換算量)を25%硫酸で希釈し、攪拌することによりシリカゾルの水溶液を得た。安定化Y型ゼオライト64.0g(乾燥基準)に蒸留水を加え、ゼオライトスラリーを調製した。上記のシリカゾル水溶液に、カオリナイト63.4g(乾燥基準)とアルミナ水和酸化物26g(乾燥基準)を加えて混合し、さらに上記のゼオライトスラリーおよび第一リン酸アルミニウム2.0g(乾燥基準、Al・3P換算量)とを加えて、ディスパーサーを用いて10分間攪拌混合して水性スラリーを得た。得られた水性スラリーを210℃の入口温度、及び140℃の出口温度の条件で噴霧乾燥し、得られた微小球体を触媒前駆体とした。該触媒前駆体を、60℃の5質量%の硫酸アンモニウム水溶液3Lで2回イオン交換した後、さらに3Lの蒸留水で洗浄した。次いで、洗浄した微小球体を、乾燥基準での酸化ランタン含有量が0.3質量%となるように硝酸ランタン水溶液で15分間イオン交換し、次いで、3Lの蒸留水で洗浄した。その後、乾燥機中、110℃で一晩乾燥し、触媒Aを得た。
[製造例2]
表1に示す組成になるように原料の使用量を変更した以外は、製造例1と同様の方法により触媒Bを得た。
[製造例3]
表1に示す組成になるように原料の使用量を変更した以外は、製造例1と同様の方法により触媒Cを得た。
[製造例4]
表1に示す組成になるように原料の使用量を変更した以外は、製造例1と同様の方法により触媒Dを得た。
表1に示す組成になるように原料の使用量を変更した以外は、製造例1と同様の方法により触媒Eを得た。
Figure 2021037444
[実施例1]
・流動接触分解反応
前記触媒Bを、反応容器(図1のライザーと反応塔とストリッパーの機能を備える)と触媒再生器(図1の再生塔の機能を備える)とを有するFCC装置であるベンチスケールプラントを用い、原料油を一定の条件の下で接触分解させた。具体的には、触媒2kgをベンチスケールプラントに充填し、先ず、流動接触分解に先立ち、実際の使用状態に近似させるべく、即ち平衡化させるべく、FCC触媒を、500℃で5時間乾燥した後、FCC触媒のニッケル及びバナジウムの含有量がそれぞれ1000wtppm及び2000wtppmになるように、オクチル酸ニッケル及びオクチル酸バナジウムを含むシクロヘキサン溶液を吸収させた後、乾燥させ、500℃で5時間焼成を行い、引き続き、FCC触媒を100%水蒸気雰囲気中785℃で6時間処理した。
続いて、上記の通り実際の使用状態に近似させたFCC触媒を用い、表2に記載の性状を有する減圧脱硫軽油と常圧脱硫残渣油(容量比50/50)の混合油を、表3に記載の反応条件により、流動接触分解反応を行った。
なお、ストリッピング処理は図1に示すストリッパー(触媒滞留量120g)にて表4(前記前処理条件1に相当)又は表5(前記前処理条件2に相当)に示す条件で行い、図1の触媒移送ラインを通じて再生塔に供給した。また、ストリッピング処理後のストリッピング触媒は触媒移送ラインから抜出し、分析に使用した。
Figure 2021037444
Figure 2021037444
Figure 2021037444
Figure 2021037444
・分析条件
ヘリウム雰囲気の加熱炉内に前記前処理後のFCC触媒を移し、以下の方法で分析した。
前記前処理後のFCC触媒0.8mgを下記条件で加熱を行い、揮発した成分全量をガスクロマトグラフで分析を行った。
加熱炉:EGA/PY−3030D(フロンティア・ラボ製)
加熱条件:ヘリウム雰囲気下、50℃から500℃まで20℃/分で昇温
<クロマトグラフ条件>
カラム:Rtx−5Amine(株式会社島津ジーエルシー製、長さ30m、内径0.25mm、膜厚:0.5μm)
カラム温度:40℃から280℃まで10℃/分で昇温し、280℃で16分保持
キャリアガス:ヘリウムガス、ガス流量1.8mL/分
注入条件:スプリット比1:20
注入口温度:280℃
<質量分析条件>
質量分析装置:ガスクロマトグラフ質量分析装置 QP−2010 Ultra(島津製作所製)
インターフェース温度:300℃
イオン化方法:EI(イオン化電圧:70eV)
操作質量範囲:m/z 10〜600
前記前処理1を行ったあとのFCC触媒の分析結果(ピーク面積)、前記前処理2を行ったあとのFCC触媒の分析結果(ピーク面積)を表6に示す。
・FCC触媒のストリッピング性能(H量/C量)の評価
前記ベンチスケールプラントにおける前記再生塔における加熱による再生処理において、以下の方法でコーク由来のC量と、コーク由来のH量を分析し、H量/C量を求めた。結果を表6に示す。
1.再生塔から排出される排出ガス中のO、CO濃度、及びCO濃度を以下の条件でガスクロマトグラフィーにより求めた。
<クロマトグラフ条件>
カラム:Molecular Sieve 13X 60/80 SUS 1.8×2m
カラム温度:40℃
キャリアガス:ヘリウムガス、ガス流量25mL/分
検出器:熱伝導度検出器(TCD)
検出器温度:70℃
2.排出ガスの流量と、上記O濃度、CO濃度、及びCO濃度から排出ガス中のO量、CO量、CO量を定量した。
3.上記CO量、CO量は全てコークの燃焼により生じたとし、コーク由来のC量を算出した。
4.上記2.で定量されたO量、CO量、CO量から総O量を算出した。
5.再生塔に供給された空気の流量より、供給された空気中のO量を算出した。得られたO量と、上記3.で得られた総O量との差を計算し、得られたO量は全てHの燃焼に使用され、HOが生じたとして、H量を算出した。
6.上記5.で得られたH量を上記3で得られたC量で除することにより、(H量/C量)を得た。
[実施例2]
触媒Bの代わりに触媒Cを用いた以外は、実施例1と同様にして、評価を行った。結果を表6に示す。
[実施例3]
触媒Bの代わりに触媒Dを用いた以外は、実施例1と同様にして、評価を行った。結果を表6に示す。
[比較例1]
触媒Bの代わりに触媒Aを用いた以外は、実施例1と同様にして、評価を行った。結果を表6に示す。
[比較例2]
触媒Bの代わりに触媒Eを用いた以外は、実施例1と同様にして、評価を行った。結果を表6に示す。
Figure 2021037444
表6に示すように、(A1/T1)−(A2−T2)が0.15以下である実施例1〜3のFCC触媒は、(H量/C量)がいずれも3.1以下と低く、ストリッピングコークが少なく、ストリッピング性能の高いFCC触媒であった。一方、(A1/T1)−(A2−T2)が0.15超である比較例1〜2のFCC触媒は、(H量/C量)がいずれも実施例1〜3の触媒と比較して高く、ストリッピングコークが多く、ストリッピング性能の低いFCC触媒であった。
1…流動接触分解装置、10…ライザー、11…原料油供給ライン、20…反応塔、21…サイクロン、22…分解生成物排出ライン、23…ストリッパー、24…反応後触媒移送ライン、30…再生塔、31…空気供給ライン、32…サイクロン33…再生触媒移送ライン、34…排ガスライン

Claims (5)

  1. 原料油の分解反応、ストリッピング処理、加熱による再生処理をこの順で繰り返し行う、流動接触分解方法に用いる流動接触分解触媒であって、前記分解反応後、かつ前記ストリッピング処理前の前記流動接触分解触媒を以下に示す前処理条件1で前処理を行った後に、ガスクロマトグラフィー・質量分析法で分析を行ったときに得られる芳香族炭化水素に由来する総ピーク面積(T1)に対する、炭素数が12以上の芳香族炭化水素に由来する総ピーク面積(A1)の割合(A1/T1)と、前記分解反応後、かつ前記ストリッピング処理前の前記流動接触分解触媒を以下に示す前処理条件2で前処理を行った後に、ガスクロマトグラフィー・質量分析法で分析を行ったときに得られる芳香族炭化水素に由来する総ピーク面積(T2)に対する、炭素数が12以上の芳香族炭化水素に由来する総ピーク面積(A2)の割合(A2/T2)との差である(A1/T1)−(A2/T2)が0.15以下である、流動接触分解触媒。
    [前処理条件1]
    前記分解反応後、かつ前記ストリッピング処理前の前記流動接触分解触媒120gに対し、系内温度500℃、系内圧力102kPaで窒素を0.5時間流通する。
    流通させる窒素の流量:0.6NL/分
    流通させる窒素の線速度:0.024m/秒
    [前処理条件2]
    前記分解反応後、かつ前記ストリッピング処理前の前記流動接触分解触媒120gに対し、系内温度500℃、系内圧力102kPaで窒素を0.5時間流通する。
    流通させる窒素の流量:2.0NL/分
    流通させる窒素の線速度:0.08m/秒
  2. 前記ストリッピング処理を以下に示すストリッピング条件1で行う流動接触分解方法に用いるための請求項1に記載の流動接触分解触媒。
    <ストリッピング条件1>
    ストリッピングガス:スチーム
    ストリッピングSTM比エンタルピー(MJ/時間)/触媒循環量(Ton/時間):12.0以下
  3. 原料油の分解反応、ストリッピング処理、加熱による再生処理をこの順で繰り返し行う、流動接触分解方法であって、請求項1に記載の流動接触分解触媒を、以下に示すストリッピング条件2で前記ストリッピング処理を行う、流動接触分解方法。
    <ストリッピング条件2>
    ストリッピングガス:スチーム
    ストリッピングSTM比エンタルピー(MJ/時間)/触媒循環量(Ton/時間):12.0以下
  4. 請求項1又は2に記載の流動接触分解触媒を備える流動接触分解装置。
  5. 原料油の分解反応、ストリッピング処理、加熱による再生処理をこの順で繰り返し行う、流動接触分解方法に用いる流動接触分解触媒のストリッピング性能を評価する方法であって、前記分解反応後、かつ前記ストリッピング処理前の前記流動接触分解触媒を以下に示す前処理条件1で前処理を行った後に、ガスクロマトグラフィー・質量分析法で分析を行い、芳香族炭化水素に由来する総ピーク面積(T1’)に対する、炭素数が12以上の芳香族炭化水素に由来する総ピーク面積(A1’)の割合(A1’/T1’)を得るステップと、前記分解反応後、かつ前記ストリッピング処理前の前記流動接触分解触媒を以下に示す前処理条件2で前処理を行った後に、ガスクロマトグラフィー・質量分析法で分析を行ったときに得られる芳香族炭化水素に由来する総ピーク面積(T2’)に対する、炭素数が12以上の芳香族炭化水素に由来する総ピーク面積(A2’)の割合(A2’/T2’)を得るステップと、を有する、流動接触分解触媒のストリッピング性能を評価する方法。
    [前処理条件1]
    前記分解反応後、かつ前記ストリッピング処理前の前記流動接触分解触媒120gに対し、系内温度500℃、系内圧力102kPaで窒素を0.5時間流通する。
    流通させる窒素の流量:0.6NL/分
    流通させる窒素の線速度:0.024m/秒
    [前処理条件2]
    前記分解反応後、かつ前記ストリッピング処理前の前記流動接触分解触媒120gに対し、系内温度500℃、系内圧力102kPaで窒素を0.5時間流通する。
    流通させる窒素の流量:2.0NL/分
    流通させる窒素の線速度:0.08m/秒
JP2019159383A 2019-09-02 2019-09-02 流動接触分解触媒、流動接触分解方法、流動接触分解装置、及び流動接触分解触媒のストリッピング性能の評価方法 Pending JP2021037444A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2019159383A JP2021037444A (ja) 2019-09-02 2019-09-02 流動接触分解触媒、流動接触分解方法、流動接触分解装置、及び流動接触分解触媒のストリッピング性能の評価方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2019159383A JP2021037444A (ja) 2019-09-02 2019-09-02 流動接触分解触媒、流動接触分解方法、流動接触分解装置、及び流動接触分解触媒のストリッピング性能の評価方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2021037444A true JP2021037444A (ja) 2021-03-11

Family

ID=74847907

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2019159383A Pending JP2021037444A (ja) 2019-09-02 2019-09-02 流動接触分解触媒、流動接触分解方法、流動接触分解装置、及び流動接触分解触媒のストリッピング性能の評価方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2021037444A (ja)

Citations (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH01151942A (ja) * 1987-09-25 1989-06-14 Mobil Oil Corp 触媒再活性化方法
JPH08173816A (ja) * 1994-12-27 1996-07-09 Catalysts & Chem Ind Co Ltd 炭化水素の流動接触分解用触媒組成物および該組成物の製造方法
JPH10503545A (ja) * 1994-08-03 1998-03-31 モービル・オイル・コーポレーション Fcc触媒ストリッパー
JPH11179192A (ja) * 1997-12-22 1999-07-06 Cosmo Sogo Kenkyusho Kk 平衡触媒の製造方法及びその装置
JP2010095574A (ja) * 2008-10-14 2010-04-30 Nippon Oil Corp 流動接触分解方法
JP2010253469A (ja) * 2009-03-31 2010-11-11 China Petroleum & Chemical Corp 触媒選択性を向上させる触媒再生方法
JP2015183000A (ja) * 2014-03-26 2015-10-22 コスモ石油株式会社 キシレンの製造方法
JP2017205744A (ja) * 2016-05-17 2017-11-24 日揮触媒化成株式会社 鉄堆積流動接触分解用触媒の再活性化方法、再活性化装置、流動接触分解方法

Patent Citations (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH01151942A (ja) * 1987-09-25 1989-06-14 Mobil Oil Corp 触媒再活性化方法
JPH10503545A (ja) * 1994-08-03 1998-03-31 モービル・オイル・コーポレーション Fcc触媒ストリッパー
JPH08173816A (ja) * 1994-12-27 1996-07-09 Catalysts & Chem Ind Co Ltd 炭化水素の流動接触分解用触媒組成物および該組成物の製造方法
JPH11179192A (ja) * 1997-12-22 1999-07-06 Cosmo Sogo Kenkyusho Kk 平衡触媒の製造方法及びその装置
JP2010095574A (ja) * 2008-10-14 2010-04-30 Nippon Oil Corp 流動接触分解方法
JP2010253469A (ja) * 2009-03-31 2010-11-11 China Petroleum & Chemical Corp 触媒選択性を向上させる触媒再生方法
JP2015183000A (ja) * 2014-03-26 2015-10-22 コスモ石油株式会社 キシレンの製造方法
JP2017205744A (ja) * 2016-05-17 2017-11-24 日揮触媒化成株式会社 鉄堆積流動接触分解用触媒の再活性化方法、再活性化装置、流動接触分解方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US8696887B2 (en) Catalytic conversion process
JP5879038B2 (ja) 低品質の原料から軽質燃料を得るための方法
KR101796132B1 (ko) 디젤 및 프로필렌의 생산성을 높이기 위한 촉매식 변환 방법
JP5537220B2 (ja) 触媒選択性を向上させる触媒再生方法
EP0171460B1 (en) Residual oil cracking process using dry gas as lift gas initially in riser reactor
US10683458B2 (en) FCC catalyst compositions containing boron oxide and phosphorus
JP2003510406A (ja) 流動接触分解においてガソリン硫黄を削減するための改良方法
JP2013506548A (ja) Fccプロセス用改良重金属捕捉助触媒
KR20020024305A (ko) 나프타 공급물로부터의 경질 올레핀류의 촉매성 제조방법
RU2672919C2 (ru) Повышение активности присадки zsm-5 с помощью улучшенного взаимодействия цеолита и фосфора
KR101816668B1 (ko) 디젤의 세탄가 베럴을 증가시키기 위한 촉매 전환 방법
US4780195A (en) Addition of water to regeneration air
US4384949A (en) Pretreating hydrocarbon feed stocks using deactivated FCC catalyst
US20130131412A1 (en) Resid catalytic cracker and catalyst for increased propylene yield
JP2021037444A (ja) 流動接触分解触媒、流動接触分解方法、流動接触分解装置、及び流動接触分解触媒のストリッピング性能の評価方法
US20140148632A1 (en) Resid catalytic cracker and catalyst for increased propylene yield
JP3950437B2 (ja) 重質油の流動接触分解法
WO2015111566A1 (ja) 重質油の流動接触分解法
JP6329436B2 (ja) 重質油の流動接触分解法
JP6857060B2 (ja) 流動接触分解用触媒の賦活方法
JP2021143290A (ja) 流動接触分解プロセスにおける流動接触分解残油のリサイクル方法、流動接触分解残油のリサイクル量の制御方法、及び精製油の製造方法
JP2003105345A (ja) 重質炭化水素油の流動接触分解方法
CN115894151A (zh) 一种轻烃催化裂解制取乙烯和丙烯的方法

Legal Events

Date Code Title Description
RD03 Notification of appointment of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7423

Effective date: 20200925

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20220704

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20230217

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20230328

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20230926