JP2021035262A - フラットケーブルの被覆除去方法 - Google Patents
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一方、絶縁体501を除去する領域の全域にレーザ光を照射する被覆除去方法では、炭化物等からなる残渣の付着が懸念されるとともに、高精度でかつ高価な装置が必要となった。
(1) 帯状の導体の外周が絶縁体で覆われたフラットケーブルを、前記導体の長手方向に交差する折り曲げ線で表面側と裏面側とに繰り返し折り曲げてフラットケーブル内の前記導体を破断する破断工程と、前記導体の破断位置から前記絶縁体を除去したい長さの位置で前記絶縁体に切込みを入れる切込み工程と、前記破断位置及び前記切込みを中央に挟み前記フラットケーブルの両側を保持して前記絶縁体が除去されるまで前記導体の破断面に対して垂直方向へ前記フラットケーブルの両側を離反方向に加熱しながら引っ張る引張り工程と、を含むことを特徴とするフラットケーブルの被覆除去方法。
そして、導体が破断されたフラットケーブルには、絶縁体に切込みが入れられる。切込みは、導体の破断線に沿うものとなる。この切込みの位置は、導体の破断位置から絶縁体を除去したい長さの位置で導体に強く触れないようにして絶縁体(可能であれば、絶縁体のみ)に入れられる。切込みは、フラットケーブルの表裏面に入れられる。フラットケーブルは、導体の破断位置から、絶縁体に入れた切込みの位置までの長さが、導体の露出長さとなる。
更に、切込みが入れられたフラットケーブルは、破断位置及び切込みを挟んで(フラットケーブルの長手方向における中央に挟んで)、フラットケーブルの両側が保持される。つまり、二つのクランプ等により両側が保持されたフラットケーブルは、二つのクランプの間に、導体の破断位置と切込みとが配置される。この状態で、フラットケーブルは、絶縁体が導体から除去されるまで、導体の破断面に対して垂直方向へ両側を離反方向に加熱しながら引っ張られる。この際の加熱温度は、絶縁体のガラス転移点近傍の温度とすることが好ましい。
即ち、フラットケーブルは、破断位置及び切込みを挟んで長手方向の両側が離反方向に引っ張られることにより、導体の破断位置で分離された二つの導体が徐々に離間して行く。離間空間を表裏から挟む絶縁体は、二つの導体が離間するのに伴って伸ばされて行く。フラットケーブルの長手方向に加熱しながら伸ばされる絶縁体は、軟化することにより厚みが減少する方向に変形し、この薄厚化する方向の変形力が導体から剥離を生じ易くする。更にフラットケーブルの両側が離反方向に引っ張られると、剪断力と上記した剥離力により、絶縁体は、切込みの位置まで導体から剥離される。これにより、フラットケーブルは、絶縁体が切込みの位置で分離される。この結果、フラットケーブルは、切込みを入れた導体側が、所定の長さで端末に導体が露出された状態となって、被覆の除去が完了する。
このフラットケーブルの被覆除去方法では、絶縁体を除去する際に、絶縁体に切込みを入れたブレードをフラットケーブルの表裏面と平行に動かして絶縁体を除去する必要がない。そこで、導体の傷付きや破損を防止することができる。
また、このフラットケーブルの被覆除去方法では、導体が破断されて脆弱となった絶縁体に引っ張り応力を集中させ、絶縁体の薄厚化に伴う剥離力と剪断力とを、導体と絶縁体の密着面に同時に作用させることができる。これにより、導体から絶縁体を剥離し易くできる。また、絶縁体を除去する領域の全域にレーザ光を照射する必要がないので、炭化物等からなる残渣の付着を防止できる。その結果、絶縁体を導体から安定して綺麗な状態で完全に除去することが可能となる。
更に、このフラットケーブルの被覆除去方法は、主な手順が、フラットケーブルの折り曲げによる導体の破断工程と、絶縁体に切込みを入れる切込み工程と、フラットケーブルの両側を引っ張る引張り工程とからなる。これらの工程は、電動のアクチュエータ等を用いない手動装置によっても可能となる。このため、レーザ光の照射で絶縁体を加熱除去するレーザ発生器や、導体を露出させる領域にレーザ光の照射を走査する移動装置等の高精度でかつ高価な装置が不要となる。その結果、設備コストや、ランニングコストを安価にでき、製造コストも安価にできる。
従って、このフラットケーブルの被覆除去方法では、このように複数の導体が同一平面上に平行に配置されたフラットケーブルにおいても、上記と同様の導体の破断工程、切込み工程及び引張り工程による被覆除去が可能となる。この場合、それぞれの導体の表裏面における絶縁体は、上記と同様の作用により導体から除去される。一方、それぞれの導体同士の間の絶縁隔壁は、切込み工程によっては切断されない。しかしながら、この未切断の絶縁隔壁は、引張り工程の際に、切込みにより分離されて除去される絶縁体と一体となって一括除去が可能となる。
二つの切込みが入れられた後、引張り工程による加工が行われる。この場合の引張り工程では、先ず、一方の切込みにより一方の導体から絶縁体を除去する。この際、他方の導体を覆って他方の切込みが入れられた絶縁体は、導体の破断位置と他方の切込みとの間が保持される。これにより、絶縁体は、他方の切込みで先に分離されるのを防ぎ、一方の切込みから確実に除去できる。一つのフラットケーブルは、一方の切込みから絶縁体が除去されることにより、被覆の除去が完了して端末に導体が露出した一方の加工済みフラットケーブルとなる。
一方、この加工済みフラットケーブルから分離された他方のフラットケーブルは、端末が、一方の切込みで分離された絶縁体により覆われた状態となる。このフラットケーブルの被覆除去方法では、更に、この他方のフラットケーブルの端末を覆っている絶縁体を除去するための絶縁体引き抜き工程による加工が行われる。この絶縁体引き抜き工程では、一方の導体が抜去されて中空状となった絶縁体を表裏からクランプ等で挟んで保持する。他方のクランプは、他方の切込みを挟んで導体の破断位置と反対側を挟んで保持する。絶縁体が除去されるまで双方のクランプ等を離反方向に移動させる。これにより、他方のフラットケーブルの末端から絶縁体が除去される。その結果、他方のフラットケーブルは、末端に残された絶縁体の除去が完了して端末に導体が露出した他方の加工済みフラットケーブルとなる。
このフラットケーブルの被覆除去方法では、導体の破断位置で二つに分離される双方のフラットケーブルを、加工済みフラットケーブルとすることができる。そこで、廃材を低減でき、同時に二つの加工済みフラットケーブルが得られるので、生産性も向上させることができる。
本実施形態に係るフラットケーブルの被覆除去方法は、帯状の導体をシート状の絶縁体で覆って、可撓性を有する帯状ケーブルに形成したFFC(フレキシブル・フラット・ケーブル)や、可撓性を有する絶縁基板に導体をパターン印刷したFPC(フレキシブル・プリント・配線板)等のフラットケーブルの被覆を除去する際の加工時に用いることができる。
フラットケーブル13は、導体15の破断面CFに対して垂直方向へ引っ張られることにより、絶縁体17が切込み19で分離され、導体15から剥離される。フラットケーブル13は、導体15が露出した一方の加工済みフラットケーブル13(図3の左側のフラットケーブル13)と、導体15から除去された絶縁体17を有する他方のフラットケーブル13(図3の右側のフラットケーブル13)とに分離される。この場合、一方のフラットケーブル13が加工済みの製品となり、他方のフラットケーブル13が廃材となる。
引張り工程による加工が終了したフラットケーブル13は、それぞれの導体15が、同一長さで露出される。それぞれの導体同士の間の絶縁隔壁11(図1の(a)参照)は、切込み工程によっては切断されない。しかしながら、この未切断の絶縁隔壁11は、導体同士の離間距離が小さいため(即ち、絶縁隔壁11は、導体同士の離間方向の厚みが小さいため)、引張り工程の際に、切込み19により分離されて除去される絶縁体17と一体となって切込み方向の延長面によって容易に切断されて廃材側の絶縁体17と共に一括除去が可能となる。
本第1実施形態に係るフラットケーブルの被覆除去方法では、帯状の導体15の外周が絶縁体17で覆われたフラットケーブル13が、導体15の長手方向に交差する折り曲げ線BLで表面側と裏面側とに繰り返し折り曲げられる。導体15の長手方向に交差する折り曲げ線BLは、仮想線でもよく、実際にフラットケーブル13の表面に付した罫書き線でもよい。この折り曲げ線BLは、フラットケーブル13の延在方向に例えば直交する方向となるが、導体15の長手方向に所定の角度で傾斜して交差してもよい。この折り曲げ線BLを境に表面側と裏面側とに繰り返し折り曲げられたフラットケーブル13は、金属からなる導体15が、金属疲労(疲労破壊)を起こし、折り曲げ線BLに沿って破断する。この際、外周の絶縁体17は、破断せずにそのままの状態で残る。即ち、フラットケーブル13は、外観上は変わりなく、内部の導体15のみが破断された状態となる。
なお、繰り返し荷重は、導体15の狭い範囲で局所的に加えられることが望ましい。これは、破断後の導体15に微細な亀裂が進展しないようにするためである。
即ち、フラットケーブル13は、破断位置C及び切込み19を挟んで長手方向の両側が離反方向に引っ張られることにより、導体15の破断位置Cで分離された二つの導体15が徐々に離間して行く。離間空間を表裏から挟む絶縁体17は、二つの導体15が離間するのに伴って伸ばされて行く。フラットケーブル13の長手方向に加熱しながら伸ばされる絶縁体17は、軟化することにより厚みが減少する方向(図4中の矢印a方向)に変形し、この薄厚化する方向の変形力が導体15から剥離部21を生じ易くする。更にフラットケーブル13の両側が離反方向に引っ張られると、剪断力と上記した剥離力により、絶縁体17は、切込み19の位置まで導体15から剥離される。これにより、フラットケーブル13は、絶縁体17が切込み19の位置で分離される。その結果、フラットケーブル13は、切込み19を入れた導体側が、所定の長さで端末に導体15が露出された状態となって、被覆の除去が完了する(図3及び図4参照)。
図6は、本発明の第2実施形態に係るフラットケーブルの被覆除去方法の手順を説明する工程図であり、二つの加工済みフラットケーブル13を得る場合の切込み工程の説明図である。図7は、本発明の第2実施形態に係るフラットケーブルの被覆除去方法の手順を説明する工程図であり、二つの加工済みフラットケーブル13を得る場合の絶縁体引き抜き工程の説明図である。
そして、上記した引張り工程により一方の切込み19により一方の導体15から絶縁体17を除去する。その後、図7に示すように、他方の導体15の端末に残る絶縁体17を引っ張って他方の切込み19から絶縁体17を分離して除去する。
本第3実施形態に係るフラットケーブルの被覆除去方法は、図8の(a)に示すように、破断位置Cから絶縁体17を除去したい長さL2に、予め仕上げ代としての余長23を含めておく。フラットケーブル13は、絶縁体17が除去された後、余長切断工程により破断位置Cから余長23を除去して導体15の端部を仕上げる。
[1] 帯状の導体(15)の外周が絶縁体(17)で覆われたフラットケーブル(13)を、前記導体(15)の長手方向に交差する折り曲げ線(BL)で表面側と裏面側とに繰り返し折り曲げてフラットケーブル(13)内の前記導体(15)を破断する破断工程と、
前記導体(15)の破断位置(C)から前記絶縁体(17)を除去したい長さ(L)の位置で前記絶縁体(17)に切込み(19)を入れる切込み工程と、
前記破断位置(C)及び前記切込み(19)を中央に挟み前記フラットケーブル(13)の両側を保持して前記絶縁体(17)が除去されるまで前記導体(15)の破断面(CF)に対して垂直方向へ前記フラットケーブル(13)の両側を離反方向に加熱しながら引っ張る引張り工程と、
を含むことを特徴とするフラットケーブルの被覆除去方法。
[2] 複数の前記導体(15)が同一平面上で平行に配置されて前記絶縁体(17)に覆われていることを特徴とする上記[1]に記載のフラットケーブルの被覆除去方法。
[3] 前記破断された二つの前記導体(15)を覆うそれぞれの前記絶縁体(17)に前記切込み(19)を入れ、
一方の前記切込み(19)により一方の前記導体(15)から前記絶縁体(17)を除去した後、他方の前記導体(15)の端末に残る前記絶縁体(17)を引っ張って他方の前記切込み(19)から分離して除去する絶縁体引き抜き工程を有することを特徴とする上記[1]または[2]に記載のフラットケーブルの被覆除去方法。
[4] 前記破断位置(C)から前記絶縁体(17)を除去したい長さ(L)に、予め仕上げ代としての余長(23)を含めておき、前記絶縁体(17)が除去された後、前記破断位置(C)から前記余長(23)を除去して前記導体(15)の端部を仕上げる余長切断工程を有することを特徴とする上記[1]〜[3]のいずれか一つに記載のフラットケーブルの被覆除去方法。
15…導体
17…絶縁体
19…切込み
23…余長
BL…折り曲げ線
C…破断位置
Claims (4)
- 帯状の導体の外周が絶縁体で覆われたフラットケーブルを、前記導体の長手方向に交差する折り曲げ線で表面側と裏面側とに繰り返し折り曲げてフラットケーブル内の前記導体を破断する破断工程と、
前記導体の破断位置から前記絶縁体を除去したい長さの位置で前記絶縁体に切込みを入れる切込み工程と、
前記破断位置及び前記切込みを中央に挟み前記フラットケーブルの両側を保持して前記絶縁体が除去されるまで前記導体の破断面に対して垂直方向へ前記フラットケーブルの両側を離反方向に加熱しながら引っ張る引張り工程と、
を含むことを特徴とするフラットケーブルの被覆除去方法。 - 複数の前記導体が同一平面上で平行に配置されて前記絶縁体に覆われていることを特徴とする請求項1に記載のフラットケーブルの被覆除去方法。
- 前記破断された二つの前記導体を覆うそれぞれの前記絶縁体に前記切込みを入れ、
一方の前記切込みにより一方の前記導体から前記絶縁体を除去した後、他方の前記導体の端末に残る前記絶縁体を引っ張って他方の前記切込みから分離して除去する絶縁体引き抜き工程を有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載のフラットケーブルの被覆除去方法。 - 前記破断位置から前記絶縁体を除去したい長さに、予め仕上げ代としての余長を含めておき、前記絶縁体が除去された後、前記破断位置から前記余長を除去して前記導体の端部を仕上げる余長切断工程を有することを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載のフラットケーブルの被覆除去方法。
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---|---|---|---|---|
JP2001250429A (ja) * | 2000-03-02 | 2001-09-14 | Sumitomo Electric Ind Ltd | フラットケーブル用絶縁シート、フラットケーブル及びその製造方法 |
JP2004064970A (ja) * | 2002-07-31 | 2004-02-26 | Hitachi Cable Ltd | 同軸ケーブルの端末部加工方法及び接続方法 |
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