JP2021034325A - 固体電解質シートおよび全固体リチウム二次電池 - Google Patents

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Abstract

【課題】 形状保持性に優れ、大面積化が可能な固体電解質シートと、前記固体電解質シートを有し、放電特性に優れた全固体リチウム二次電池とを提供する。
【解決手段】 本発明の固体電解質シートは、絶縁性多孔質基材を支持体とし、絶縁性多孔質基材の内部に固体電解質粒子とバインダとを含有しており、前記絶縁性多孔質基材が、(1)樹脂の繊維で構成されており、坪量をx(g/m)、引張強度をy(N)としたときに、y/x≧0.45を満たすか、または(2)液晶ポリエステルの繊維で構成されていることを特徴とするものである。本発明の全固体リチウム二次電池は、正極と、負極と、前記正極と前記負極との間に挿入された本発明の固体電解質シートとを有することを特徴とするものである。
【選択図】 図2

Description

本発明は、形状保持性に優れ、大面積化が可能な固体電解質シートと、前記固体電解質シートを有し、放電特性に優れた全固体リチウム二次電池に関するものである。
近年、携帯電話、ノート型パーソナルコンピュータなどのポータブル電子機器の発達や、電気自動車の実用化などに伴い、小型・軽量で、かつ高容量・高エネルギー密度の二次電池が必要とされるようになってきている。
現在、この要求に応え得るリチウム二次電池、特にリチウムイオン二次電池では、正極活物質にコバルト酸リチウム(LiCoO)、ニッケル酸リチウム(LiNiO)などのリチウム含有複合酸化物が用いられ、負極活物質に黒鉛などが用いられ、非水電解質として有機溶媒とリチウム塩とを含む有機電解液が用いられている。
そして、リチウムイオン二次電池の適用機器の更なる発達に伴って、リチウムイオン二次電池の更なる長寿命化・高容量化・高エネルギー密度化が求められていると共に、長寿命化・高容量化・高エネルギー密度化したリチウムイオン二次電池の安全性および信頼性も高く求められている。
しかし、リチウムイオン二次電池に用いられている有機電解液は、可燃性物質である有機溶媒を含んでいるため、電池に短絡などの異常事態が発生した際に、有機電解液が異常発熱する可能性がある。また、近年のリチウムイオン二次電池の高エネルギー密度化および有機電解液中の有機溶媒量の増加傾向に伴い、より一層リチウムイオン二次電池の安全性および信頼性が求められている。
以上のような状況において、有機溶媒を用いない全固体型のリチウム二次電池が注目されている。全固体型のリチウム二次電池は、従来の有機溶媒系電解質に代えて、有機溶媒を用いない固体電解質の成形体を用いるものであり、固体電解質の異常発熱の虞がなく、高い安全性を備えている。
他方、固体電解質の成形体は、脆いために加工性に乏しく、固体電解質の薄膜化、大面積化が困難である。そのため、電池製造時の固体電解質の取り扱い性が悪く、また固体電解質の成形体が厚くなることから、固体電解質のリチウムイオン伝導性が低くなり、電池性能が低下する問題もある。
その一方で、このような問題を解決するための技術も検討されている。例えば、特許文献1、2には、不織布などの多孔性基材からなる基材の空隙に固体電解質を充填することで、リチウムイオン伝導性と強度とを兼ね備えた固体電解質シートとし、この固体電解質シートを用いて全固体二次電池を構成することが提案されている。
このうち、特許文献1においては、多孔性基材の空隙に固体電解質を固定するに際し、多孔性基材の骨格部表面に付着させた粘着剤に、固体電解質を付着させる手法を採用している。また、特許文献2においては、固体電解質の粒子径と不織布の開口径との関係を調整する手法を採用している。
特開2015−153460号公報(特許請求の範囲など) 特開2016−139482号公報(特許請求の範囲など)
特許文献1、2に記載の技術は、固体電解質のみで構成したシートに比べて、ある程度の強度を高めることを可能としているものの、全固体リチウム二次電池用の固体電解質シートに求められている形状保持性を満たすには、未だ改善の余地がある。
本発明は、前記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、形状保持性に優れ、大面積化が可能な固体電解質シートと、前記固体電解質シートを有し、放電特性に優れた全固体リチウム二次電池とを提供することにある。
本発明の固体電解質シートは、絶縁性多孔質基材を支持体とし、前記絶縁性多孔質基材は、樹脂の繊維で構成されており、前記絶縁性多孔質基材の坪量をx(g/m)、前記絶縁性多孔質基材の引張強度をy(N)としたときに、y/x≧0.45であり、前記絶縁性多孔質基材の内部に固体電解質粒子とバインダとを含有していることを特徴とするものである。
また、本発明の固体電解質シートの別の態様は、絶縁性多孔質基材を支持体とし、前記絶縁性多孔質基材は、液晶ポリエステルの繊維で構成されており、前記絶縁性多孔質基材の内部に固体電解質粒子とバインダとを含有していることを特徴とするものである。
さらに、本発明の全固体リチウム二次電池は、正極と、負極と、前記正極と前記負極との間に挿入された本発明のいずれかの態様の固体電解質シートとを有することを特徴とするものである。
本発明によれば、形状保持性に優れ、大面積化が可能な固体電解質シートと、前記固体電解質シートを有し、放電特性に優れた全固体リチウム二次電池とを提供することができる。
本発明の固体電解質シートの一例を模式的に表す平面図である。 本発明の全固体リチウム二次電池の一例を模式的に表す断面図である。
本発明の第一の態様の固体電解質シートは、絶縁性多孔質基材を支持体とし、前記絶縁性多孔質基材は、樹脂の繊維で構成されており、前記絶縁性多孔質基材の坪量をx(g/m)、前記絶縁性多孔質基材の引張強度をy(N)としたときに、y/x≧0.45であり、前記絶縁性多孔質基材の内部に固体電解質粒子とバインダとを含有している。
支持体を有する固体電解質シートの強度を高めるには、引張強度(y)の大きい支持体を使用すればよく、例えば、多孔質基材からなる支持体の場合、一般にその坪量を大きくすれば引張強度を高めることができる。しかしながら、多孔質基材の坪量を大きくするとイオン伝導性が低下する傾向にあるため、このような多孔質基材を有する固体電解質シートを使用すると、全固体リチウム二次電池の放電特性が低下してしまう。
そこで、本発明の固体電解質シートにおいては、固体電解質粒子を保持する支持体を、坪量当たりの引張強度(y/x)が0.45N/(g/m)以上の絶縁性多孔質基材で構成することとした。すなわち、前記絶縁性多孔質基材は、基材を構成する繊維の引張強度が大きいため、坪量を大きくしたり厚みを厚くしたりして引張強度を高める必要がなく、固体電解質シートのイオン伝導性と形状維持性を高め、全固体リチウム二次電池の放電特性を向上させることができる。
坪量当たりの引張強度が前記の値を満たす絶縁製多孔質基材は、例えば、液晶ポリエステルの繊維を用いて形成することができる。
すなわち、本発明の第二の態様の固体電解質シートは、支持体となる絶縁性多孔質基材が、液晶ポリエステルの繊維で構成されている。このような絶縁性多孔質基材であれば、坪量当たりの引張強度を例えば0.45N/(g/m)以上と大きくできるため、固体電解質シートのイオン伝導性と形状維持性を高め、全固体リチウム二次電池の放電特性を向上させることができる。
さらに、本発明の固体電解質シートにおいては、第一の態様、第二の態様のいずれにおいても、前記絶縁性多孔質基材を使用することに加えて、固体電解質粒子同士を結着するバインダを、固体電解質粒子と共に前記絶縁性多孔質基材の内部に含有させている。
本発明の固体電解質シートでは、絶縁性多孔質基材による前記の作用とバインダによる作用とによって全体の強度を高め得るため、前記基材の内部に充填された固体電解質粒子の脱落や前記固体電解質シートの亀裂によるイオン伝導性の低下を防ぐことができ、形状保持性が向上して大面積化が可能となる。具体的には、前記固体電解質シートの面積を1cm以上、好ましくは10cm以上とすることができる。
そして、本発明の固体電解質シートを用いて全固体リチウム二次電池を構成することにより、高容量・高エネルギー密度で放電特性に優れた全固体リチウム二次電池を提供することができる。
以下、本発明の実施形態について、詳細に説明する。
<固体電解質シート>
図1に固体電解質シートの一例を模式的に表す平面図を示す。図1に示す固体電解質シート10は、絶縁性多孔質基材11と、絶縁性多孔質基材11を構成する繊維同士の隙間(空孔)に充填された固体電解質粒子12とバインダ13とを有している。そして、バインダ13によって、固体電解質粒子12同士あるいは固体電解質粒子12と絶縁性多孔質基材11とが結着され固定されている。
第一の態様の固体電解質シートにおいては、絶縁性多孔質基材の坪量当たりの引張強度が、0.45N/(g/m)以上、好ましくは0.7N/(g/m)以上、より好ましくは1N/(g/m)以上である。これにより、イオン伝導の障害となり難く、全体の強度が大きい絶縁性多孔質基材となるため、固体電解質シートのイオン伝導性と強度を良好に高めることができる。なお、絶縁性多孔質基材の坪量当たりの引張強度の上限値は、通常、7N/(g/m)程度である。
さらに、第二の態様の固体電解質シートにおいても、絶縁性多孔質基材の坪量当たりの引張強度は、前記の範囲であることが好ましい。
本明細書でいう絶縁性多孔質基材の坪量当たりの引張強度は、長さ50mm、幅15mmの試験片を切り出し、チャック間距離を30mmとして引張速度:120mm/分で引張試験を行って求められる値である。なお、絶縁性多孔質基材が方向性を有する場合、例えば、MD方向とTD方向を有する場合には、MD方向の引張強度よりもTD方向の引張強度が低くなることがあるが、その場合は、引張強度が低くなる方向(TD方向)での値をその基材の引張強度とすればよい。
また、第一の態様の固体電解質シートおよび第二の態様の固体電解質シートにおいては、絶縁性多孔質基材の坪量が、10g/m以下であることが好ましく、より好ましくは、7g/m以下であり、特に好ましくは、5g/m以下である。このように坪量の小さな絶縁性多孔質基材を使用することで、固体電解質シート内でのイオン伝導性がより良好となるため、全固体リチウム二次電池の放電特性をさらに向上させることができる。また、固体電解質シートの形状維持のため、絶縁性多孔質基材の坪量は、2g/m以上であることが好ましい。
樹脂の繊維で構成された絶縁性多孔質基材としては、不織布や織布、メッシュなどが挙げられるが、不織布が好ましい。
また、前記繊維を構成する樹脂は、ポリエチレンテレフタレート(PET)、アラミド、ポリアリレート(液晶ポリエステルなど)などを用いることができる。ただし、繊維自体の強度が高くても、不織布などの基材を構成したときの強度が高くなるとは限らず、繊維同士がきちんと絡み合わされ強度が高められたような基材を用いる必要がある。また、基材の強度が高い場合でも、坪量が低すぎる場合には、固体電解質粒子を保持し難くなるため、一定以上の坪量の基材を用いることが望ましい。
第二の態様の固体電解質シートにおいては、液晶ポリエステルの繊維で構成された絶縁性多孔質基材を使用する。また、第一の態様の固体電解質シートにおいても、液晶ポリエステルの繊維で構成された絶縁性多孔質基材を使用することが好ましい。
絶縁性多孔質基材を構成する液晶ポリエステルは、例えば、以下の(1)〜(6)のいずれかの構造単位の組み合わせによって構成されたものが挙げられる。
Figure 2021034325
Figure 2021034325
これらの液晶ポリエステルの中でも、パラヒドロキシ安息香酸由来の構造単位と2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸由来の構造単位とを有する共重合体〔前記(5)の組み合わせ〕が好ましい。
絶縁性多孔質基材を構成する樹脂は、耐熱温度が200℃以上であることが好ましく、これにより、固体電解質シートの耐熱性、ひいてはこれを用いた全固体リチウム二次電池の耐熱性がより向上する。前記液晶ポリエステルは、前記の耐熱温度を満たしている。
本明細書でいう樹脂の耐熱温度は、樹脂が融点(融解温度)を有する場合は、JIS K 7121に規定の方法で示差走査熱量計(DSC)を用いて求められる融解温度を意味し、樹脂が融点を有しない場合は、JIS K 7206に規定の方法に従って求められる軟化点を意味している。
液晶ポリエステルの繊維で構成された絶縁性多孔質基材としては、不織布や織布、メッシュなどが挙げられるが、不織布が好ましい。
液晶ポリエステルなどの繊維で構成された不織布は、例えばメルトブロー法によって製造することができる。メルトブロー法であれば、不織布を構成する樹脂の繊維の径を小さくすることが容易であるため、良好なイオン透過性を保持しつつ、繊維同士の絡み合いが多く、坪量当たりの引張強度が前記の値を満たすような大きな強度の不織布を得ることができる。
絶縁性多孔質基材を構成する樹脂の繊維は、必要に応じて不織布などで通常添加されている添加剤(無機フィラー、酸化防止剤、紫外線吸収剤など)を含有していてもよい。
絶縁性多孔質基材を構成する液晶ポリエステルの繊維の径は、2〜10μmであることが好ましい。
また、第一の態様の固体電解質シートおよび第二の態様の固体電解質シートにおいては、絶縁性多孔質基材の厚みが、50μm以下であることが好ましく、30μm以下であることがより好ましく、20μm以下であることが特に好ましい。このように厚みの薄い絶縁性多孔質基材を使用することで、固体電解質シートの厚みを低減することができるので、全固体リチウム二次電池の内部抵抗を減少させ、放電特性をさらに向上させることができる。本発明においては、絶縁性多孔質基材の坪量当たりの引張強度が、0.45N/(g/m)以上であることにより、あるいは、液晶ポリエステルの繊維で構成されていることにより、厚みが薄くなっても、固体電解質シートの形状を良好に維持することができる。
固体電解質シートに使用可能な固体電解質粒子を構成する固体電解質としては、リチウムイオン伝導性を有していれば特に限定されず、例えば、硫化物系固体電解質、水素化物系固体電解質、酸化物系固体電解質などが使用できる。
硫化物系固体電解質としては、例えば、LiS−P、LiS−SiS、LiS−P−GeS、LiS−B系ガラスなどが挙げられる他、近年、リチウムイオン伝導性が高いものとして注目されているLGPS系(Li10GeP12など)やアルジロダイト系(LiPSClなど)も使用することができる。これらの中でも、特にリチウムイオン伝導性が高く、化学的に安定性の高いアルジロダイト系材料が好ましく用いられる。
水素化物系固体電解質としては、例えば、LiBH、LIBHと下記のアルカリ金属化合物との固溶体(例えば、LiBHとアルカリ金属化合物とのモル比が1:1〜20:1のもの)などが挙げられる。前記固溶体におけるアルカリ金属化合物としては、ハロゲン化リチウム(LiI、LiBr、LiF、LiClなど)、ハロゲン化ルビジウム(RbI、RbBr、RbiF、RbClなど)、ハロゲン化セシウム(CsI、CsBr、CsF、CsClなど)、リチウムアミド、ルビジウムアミドおよびセシウムアミドよりなる群から選択される少なくとも1種が挙げられる。
酸化物系固体電解質としては、例えば、LiLaZr12、LiTi(PO、LiGe(PO、LiLaTiOなどが挙げられる。
前記例示の固体電解質の中でも、リチウムイオン伝導性の高い硫化物系固体電解質を用いることがより好ましい。
固体電解質粒子は、1種を単独で用いることができるが、2種以上を併用することもできる。また、前記例示の固体電解質の粒子を2種以上併用する場合は、それぞれの固体電解質粒子を混合してもよいし、固体電解質シートの厚み方向に、それぞれの固体電解質粒子が異なる領域を層状に形成するように存在させてもよい。
固体電解質粒子のサイズとしては、絶縁性多孔質基材の空孔内への充填性をより高め、良好なリチウムイオン伝導性を確保する観点から、平均粒子径が、5μm以下であることが好ましく、2μm以下であることがより好ましい。ただし、固体電解質粒子のサイズが小さすぎると、取扱い性が低下したり、より多くの量のバインダが必要となって抵抗値が増大したりする虞がある。よって、固体電解質粒子の平均粒子径は、0.3μm以上であることが好ましく、0.5μm以上であることがより好ましい。
本明細書でいう固体電解質粒子や、その他の粒子(正極活物質粒子、負極活物質粒子など)の平均粒子径は、例えば、レーザー散乱粒度分布計(例えば、HORIBA社製「LA−920」)を用い、これらの粒子を溶解したり膨潤させたりしない媒体に、粒子を分散させて測定した数平均粒子径である。
固体電解質シートのバインダは、固体電解質と反応しないものが望ましく、ブチルゴム、クロロピレンゴム、アクリル樹脂およびフッ素樹脂よりなる群から選択される少なくとも一種の樹脂が好ましく用いられる。
固体電解質シートにおける絶縁性多孔質基材の割合(空孔部分を除く実体積の割合)は、良好なリチウムイオン伝導性を確保する観点から、30体積%以下であることが好ましく、25体積%以下であることがより好ましい。ただし、固体電解質シートにおける絶縁性多孔質基材の割合が小さすぎると、固体電解質シートの形状保持性の向上効果が小さくなる虞がある。よって、固体電解質シートの強度をより高める観点からは、固体電解質シートにおける絶縁性多孔質基材の割合は、5体積%以上であることが好ましく、10体積%以上であることがより好ましい。
また、固体電解質シートにおけるバインダの含有量は、固体電解質シートの形状保持性をより高める観点から、固体電解質粒子とバインダとの総量中、0.5質量%以上であることが好ましく、1質量%以上であることが好ましく、また、バインダの量をある程度制限して、リチウムイオン伝導性の低下を抑制する観点からは、5質量%以下であることが好ましく、3質量%以下であることが好ましい。
固体電解質シートの厚みは、固体電解質シートを用いる電池の正極−負極間距離を適正にして、短絡の発生や抵抗増大を抑制する観点から、5μm以上であることが好ましく、10μm以上であることがより好ましく、また、50μm以下であることが好ましく、30μm以下であることがより好ましい。
固体電解質シートの製造方法については特に制限はないが、固体電解質粒子をバインダとともに溶媒に分散させてスラリーなどとし、これを湿式で絶縁性多孔質基材の空孔に充填する工程を備える方法で製造することが好ましい。これにより、固体電解質シートの強度が向上し、大面積の固体電解質シートの製造が容易となる。
固体電解質粒子およびバインダを含むスラリーを絶縁性多孔質基材の空孔に充填する際の充填方法としては、スクリーン印刷法、ドクターブレード法、浸漬法などの塗工法が採用できる。
前記スラリーは、固体電解質粒子およびバインダを溶媒に投入し、混合して調製する。スラリーの溶媒は、固体電解質を劣化させ難いものを選択することが好ましい。特に、硫化物系固体電解質や水素化物系固体電解質は、微少量の水分によって化学反応を起こすため、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、デカリン、トルエン、キシレンなどの炭化水素溶媒に代表される非極性非プロトン性溶媒を使用することが好ましい。特に、含有水分量を0.001質量%(10ppm)以下とした超脱水溶媒を使用することがより好ましい。また、三井・デュポンフロロケミカル社製の「バートレル(登録商標)」、日本ゼオン社製の「ゼオローラ(登録商標)」、住友3M社製の「ノベック(登録商標)」などのフッ素系溶媒、並びに、ジクロロメタン、ジエチルエーテルなどの非水系有機溶媒を使用することもできる。
前記のように絶縁性多孔質基材の空孔にスラリーを充填した後には、乾燥によってスラリーの溶媒を除去し、必要に応じて加圧成形を行うことで、固体電解質シートを得ることができる。
なお、前記の通り、固体電解質シートの製造方法は、前記の湿式法に制限されず、例えば、絶縁性多孔質基材の空孔に、固体電解質粒子とバインダ粒子との混合物を乾式で充填し、その後に加圧成形を行う方法で固体電解質シートを製造してもよい。
また、固体電解質とバインダとの混合物を成形して得られるシートを、絶縁性多孔質基材の空孔に固体電解質粒子およびバインダを充填したシートの片面または両面に貼り付けて、固体電解質シートとしてもよい。この場合、固体電解質とバインダとの混合物を成形して得られるシートにおいては、固体電解質として、比較的柔軟性の高い硫化物系固体電解質を使用することが好ましい。
<全固体リチウム二次電池>
本発明の全固体リチウム二次電池(以下、単に「電池」という場合がある)は、正極と負極とを有し、さらに、正極と負極との間に挿入された本発明の固体電解質シートを有するものである。
本発明の全固体リチウム二次電池の一例を模式的に表す断面図を図2に示す。図2に示す電池1は、外装缶40と、封口缶50と、これらの間に介在する樹脂製のガスケット60で形成された外装体内に、正極20、負極30、および正極20と負極30との間に挿入された固体電解質シート10が封入されている。
封口缶50は、外装缶40の開口部にガスケット60を介して嵌合しており、外装缶40の開口端部が内方に締め付けられ、これによりガスケット60が封口缶50に当接することで、外装缶40の開口部が封口されて素子内部が密閉構造となっている。
外装缶および封口缶にはステンレス鋼製のものなどが使用できる。また、ガスケットの素材には、ポリプロピレン、ナイロンなどを使用できるほか、電池の用途との関係で耐熱性が要求される場合には、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルコキシエチレン共重合体(PFA)などのフッ素樹脂、ポリフェニレンエーテル(PEE)、ポリスルフォン(PSF)、ポリアリレート(PAR)、ポリエーテルスルフォン(PES)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)などの融点が240℃を超える耐熱樹脂を使用することもできる。また、電池が耐熱性を要求される用途に適用される場合、その封口には、ガラスハーメチックシールを利用することもできる。
次に、全固体リチウム二次電池の、固体電解質シート以外の構成要素について説明する。
(正極)
全固体リチウム二次電池の正極は、正極活物質を含み、また、通常、固体電解質を含有している。
正極活物質は、従来から知られているリチウムイオン二次電池に用いられている正極活物質、すなわち、Liイオンを吸蔵・放出可能な活物質であれば特に制限はない。正極活物質の具体例としては、LiMMn2−x(ただし、Mは、Li、B、Mg、Ca、Sr、Ba、Ti、V、Cr、Fe、Co、Ni、Cu、Al、Sn、Sb、In、Nb、Mo、W、Y、RuおよびRhよりなる群から選択される少なくとも1種の元素であり、0.01≦x≦0.5)で表されるスピネル型リチウムマンガン複合酸化物、LiMn(1−y−x)Ni(2−k)(ただし、Mは、Co、Mg、Al、B、Ti、V、Cr、Fe、Cu、Zn、Zr、Mo、Sn、Ca、SrおよびWよりなる群から選択される少なくとも1種の元素であり、0.8≦x≦1.2、0<y<0.5、0≦z≦0.5、k+l<1、−0.1≦k≦0.2、0≦l≦0.1)で表される層状化合物、LiCo1−x(ただし、Mは、Al、Mg、Ti、Zr、Fe、Ni、Cu、Zn、Ga、Ge、Nb、Mo、Sn、SbおよびBaよりなる群から選択される少なくとも1種の元素であり、0≦x≦0.5)で表されるリチウムコバルト複合酸化物、LiNi1−x(ただし、Mは、Al、Mg、Ti、Zr、Fe、Co、Cu、Zn、Ga、Ge、Nb、Mo、Sn、SbおよびBaよりなる群から選択される少なくとも1種の元素であり、0≦x≦0.5)で表されるリチウムニッケル複合酸化物、LiM1−xPO(ただし、Mは、Fe、MnおよびCoよりなる群から選択される少なくとも1種の元素で、Nは、Al、Mg、Ti、Zr、Ni、Cu、Zn、Ga、Ge、Nb、Mo、Sn、SbおよびBaよりなる群から選択される少なくとも1種の元素であり、0≦x≦0.5)で表されるオリビン型複合酸化物、LiTi12で表されるリチウムチタン複合酸化物などが挙げられ、これらのうちの1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
正極活物質のサイズとしては、表面積を大きくして充放電を容易にする観点から、平均粒子径が、50μm以下であることが好ましく、30μm以下であることがより好ましい。ただし、正極活物質のサイズが小さすぎると、取扱い性が低下したり、より多くの量のバインダが必要となって抵抗値が増大したりする虞がある。よって、正極活物質の平均粒子径は、0.1μm以上であることが好ましく、3.0μm以上であることがより好ましい。
正極の固体電解質には、固体電解質シートの固体電解質粒子を構成する固体電解質として先に例示したものと同じもののうちの1種または2種以上を使用することができる。電池特性をより優れたものとするためには、硫化物系固体電解質を含有させることが望ましい。
正極には、例えば、正極活物質および固体電解質、さらには必要に応じて添加される導電助剤やバインダを含有する正極合剤からなる層(正極合剤層)を、集電体の片面または両面に形成した構造のものや、前記正極合剤をペレット状などに加圧成形した成形体(正極合剤成形体)を使用することができる。
正極のバインダとしては、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)などのフッ素樹脂などが使用できる。また、正極の導電助剤としては、例えば、カーボンブラックなどの炭素材料などが使用できる。
正極に集電体を使用する場合、その集電体としては、アルミニウムやステンレス鋼などの金属の箔、パンチングメタル、網、エキスパンドメタル、発泡メタル;カーボンシート;などを用いることができる。
正極を製造するに際しては、例えば、集電体を有する正極の場合には、正極活物質、および固体電解質、さらには必要に応じて添加される導電助剤、バインダなどをキシレンなどの溶媒に分散させた正極合剤含有組成物(ペースト、スラリーなど)を、集電体に塗布し、乾燥した後、必要に応じてカレンダ処理などの加圧成形をして、集電体の表面に正極合剤の層(正極合剤層)を形成する方法が採用できる。
正極合剤含有組成物に使用する溶媒は、固体電解質シート形成用のスラリーに使用する溶媒と同様に、固体電解質を劣化させ難いものを選択することが望ましく、固体電解質シート形成用のスラリーの溶媒として先に例示した各種溶媒を使用することが好ましく、含有水分量を0.001質量%(10ppm)以下とした超脱水溶媒を使用することが特に好ましい。
また、正極合剤の成形体からなる正極の場合には、正極活物質、および固体電解質、さらには必要に応じて添加される導電助剤、バインダなどを混合して調製した正極合剤を、加圧成形などによって圧縮することで形成することができる。
正極における正極合剤の組成としては、例えば、正極活物質の含有量が50〜90質量%であることが好ましく、固体電解質の含有量が10〜50質量%であることが好ましく、バインダの含有量が0.1〜10質量%であることが好ましい。また、正極合剤に導電助剤を含有させる場合、その含有量は0.1〜10質量%であることが好ましい。さらに、集電体を有する正極における正極合剤層の厚みや正極合剤成形体の厚みは、50〜1000μmであることが好ましい。
全固体リチウム二次電池の負極としては、従来から知られているリチウムイオン二次電池に用いられている負極活物質、すなわち、Liイオンを吸蔵・放出可能な活物質を含有する負極が使用される。
負極活物質としては、例えば、黒鉛、熱分解炭素類、コークス類、ガラス状炭素類、有機高分子化合物の焼成体、メソカーボンマイクロビーズ(MCMB)、炭素繊維などのリチウムを吸蔵・放出可能な炭素系材料の1種または2種以上の混合物が用いられる。また、Si、Sn、Ge、Bi、Sb、Inなどの元素を含む単体、化合物およびその合金;リチウム含有窒化物またはリチウム含有酸化物などのリチウム金属に近い低電圧で充放電できる化合物;リチウム金属;リチウム/アルミニウム合金;も、負極活物質として用いることができる。
負極活物質のサイズとしては、表面積を大きくして充放電を容易にする観点から、平均粒子径が、50μm以下であることが好ましく、30μm以下であることがより好ましい。ただし、負極活物質のサイズが小さすぎると、取扱い性が低下したり、より多くの量のバインダが必要となって抵抗値が増大したりする虞がある。よって、負極活物質の平均粒子径は、0.1μm以上であることが好ましく、0.5μm以上であることがより好ましい。
負極には、負極活物質に、固体電解質や、ブチルゴム、クロロピレンゴム、アクリル樹脂およびフッ素樹脂などのバインダ、さらには必要に応じて導電助剤(カーボンブラックなどの炭素材料など)適宜添加した負極合剤を、加圧成形などにより圧縮してペレット状などの成形体(負極合剤成形体)としたものや、集電体を芯材として成形体(負極合剤層)に仕上げたもの、または前記の各種合金やリチウム金属の箔を単独、もしくは集電体上に活物質層として積層したものなどを用いることができる。
負極に固体電解質を含有させる場合、その固体電解質には、固体電解質シートの固体電解質粒子を構成する固体電解質として先に例示したものと同じもののうちの1種または2種以上を使用することができる。電池特性をより優れたものとするためには、硫化物系固体電解質を含有させることが望ましい。
負極に集電体を用いる場合、その集電体としては、銅製やニッケル製の箔、パンチングメタル、網、エキスパンドメタル、発泡メタル;カーボンシート;などを用いることができる。
負極活物質および固体電解質などを含有する負極合剤層を有する負極を製造するに際して使用する負極合剤含有組成物(ペースト、スラリーなど)は、例えば、負極活物質および固体電解質、さらには、バインダや必要に応じて使用する導電助剤などを溶媒に分散させて調製する。この場合、バインダは溶媒に溶解していてもよい。
負極合剤含有組成物に使用する溶媒も、固体電解質シート形成用のスラリーに使用する溶媒と同様に、固体電解質を劣化させ難いものを選択することが望ましく、固体電解質シート形成用のスラリーの溶媒として先に例示した各種溶媒を使用することが好ましく、含有水分量を0.001質量%(10ppm)以下とした超脱水溶媒を使用することが特に好ましい。
負極活物質および固体電解質を含有する負極合剤の成形体や、集電体の表面に負極合剤の層(負極合剤層)を有する負極の場合、負極合剤の組成としては、例えば、負極活物質の含有量が50〜80質量%であることが好ましく、固体電解質の含有量が20〜50質量%であることが好ましく、バインダの含有量が0.1〜10質量%であることが好ましい。また、負極合剤に導電助剤を含有させる場合には、その含有量は0.1〜10質量%であることが好ましい。さらに、集電体を有する負極における負極合剤層の厚みや負極合剤成形体の厚みは、50〜1000μmであることが好ましい。
(電極体)
正極と負極とは、本発明の固体電解質シートを介して積層した積層電極体や、さらにこの積層電極体を巻回した巻回電極体の形態で、電池に用いることができる。
なお、電極体を形成するに際しては、正極と負極と固体電解質シートとを積層した状態で加圧成形することが、電極体の機械的強度を高める観点から好ましい。
(電池の形態)
全固体リチウム二次電池の形態は、図2に示すような、外装缶と封口缶とガスケットとで構成された外装体を有するもの、すなわち、一般にコイン形電池やボタン形電池と称される形態のものに限定されず、例えば、樹脂フィルムや金属−樹脂ラミネートフィルムで構成された外装体を有するものや、金属製で有底筒形(円筒形や角筒形)の外装缶と、その開口部を封止する封止構造とを有する外装体を有するものであってもよい。
本発明の全固体リチウム二次電池は、従来から知られている二次電池と同様の用途に適用し得るが、有機電解液に代えて固体電解質を有していることから耐熱性に優れており、高温に曝されるような用途に好ましく使用することができる。
以下、実施例に基づいて本発明を詳細に述べる。ただし、下記実施例は本発明を制限するものではない。
<正極>
溶媒としてキシレンを用い、平均粒子径3μmの表面にLiとNbの非晶質複合酸化物が形成されたLiNi0.6Co0.2Mn0.2と、硫化物系固体電解質(LiPSCl)、導電助剤であるカーボンナノチューブ(昭和電工社製「VGCF」(商品名)〕と、アクリル樹脂バインダとを、質量比で50:44:3:3の割合とし、固形分比が50%となるように混合し、シンキーミキサーで10分間撹拌して均一なスラリーを調製した。このスラリーを、厚みが20μmのAl箔上にアプリケータを用いてギャップを200μmとして塗布し、120℃で真空乾燥を行って正極を得た。
<負極>
溶媒としてキシレンを用い、平均粒子径20μmの黒鉛と、硫化物系固体電解質(LiPSCl)と、アクリル樹脂バインダとを、質量比で50:47:3の割合とし、固形分比が50%となるように混合し、シンキーミキサーで10分間撹拌して均一なスラリーを調製した。このスラリーを、厚みが20μmのSUS箔上にアプリケータを用いてギャップを200μmとして塗布し、120℃で真空乾燥を行って負極を得た。
実施例1
絶縁性多孔質基材として、メルトブロー方式により作製され、全芳香族ポリエステルからなる液晶ポリエステルの繊維で構成された不織布〔クラレフレックス株式会社製、ベクルス(商品名)、厚み:16μm、坪量:4g/m、引張強度:5N〕を用いた。この基材の坪量当たりの引張強度は、1.25N/(g/m)であった。
含有水分量を0.001質量%(10ppm)以下とした超脱水溶媒として、キシレン(「超脱水」グレード)を用い、平均粒子径:1.0μmの硫化物系固体電解質(LiPSCl)と、アクリル樹脂バインダと、分散剤とを、質量比で100:3:1の割合とし、かつ固形分比が40%となるように混合し、シンキーミキサーで10分間攪拌して均一なスラリーを調製し、前記スラリー中に前記不織布を通して引き上げた後、120℃で1時間の真空乾燥を行い、厚み:18μmの固体電解質シートを作製した。
実施例2
絶縁性多孔質基材を、厚み:18μm、坪量:6g/m、引張強度:10Nの液晶ポリエステルの繊維で構成された不織布に変更した以外は実施例1と同様にして、厚み: 20μmの固体電解質シートを作製した。前記基材の坪量当たりの引張強度は、1.67N/(g/m)であった。
実施例3
絶縁性多孔質基材を、厚み:46μm、坪量:9g/m、引張強度:4.2Nの液晶ポリエステルの繊維で構成された不織布に変更した以外は実施例1と同様にして、厚み:50μmの固体電解質シートを作製した。。前記基材の坪量当たりの引張強度は、0.47N/(g/m)であった。
比較例1
絶縁性多孔質基材として、厚み:16μm、坪量:4g/m、引張強度:1.5Nのポリエチレンテレフタレートの繊維で構成された不織布を用いた以外は、実施例1と同様にして、厚み:18μmの固体電解質シートを作製した。前記基材の坪量当たりの引張強度は、0.38N/(g/m)であった。
実施例1〜3および比較例1の固体電解質シートに使用した絶縁性多孔質基材の物性値を表1に示す。
Figure 2021034325
実施例1〜3および比較例1の固体電解質シートを用い、露点管理された雰囲気下で、以下のようにして全固体リチウム二次電池を10個ずつ作製した。
実施例4
正極、負極および実施例1の固体電解質シートを、いずれも10mmφの大きさに打抜き、SUSの上下ピンの間に正極−固体電解質シート−負極の順に重ね、PETの筒に入れて10トン/cmで加圧したまま保持し、大気に触れない封止状態のセル(全固体リチウム二次電池)を構成した。
実施例5〜6、比較例2
固体電解質シートを、実施例2のもの(実施例5)、実施例3のもの(実施例6)または比較例1のもの(比較例2)に変更した以外は、実施例4と同様にして全固体リチウム二次電池を作製した。
実施例4〜6および比較例2の全固体リチウム二次電池を、加圧したままの状態で、0.05Cの電流値で電圧が4.2Vになるまで定電流充電し、続いて所定の電流値で電圧が2.7Vになるまで0.05Cの定電流放電を行う充放電試験を行い、正極活物質1g当たりの放電容量を測定した。
このとき、固体電解質シートにおける固体電解質粒子の脱落やシートの割れに起因して、比較例2の電池のうちの4個において短絡が認められた。
前記短絡した電池を除き、残りの電池について、さらに、充電電流値および放電電流値を、それぞれ1.0Cに変更した以外は前記と同じ条件で充放電試験を行い、正極活物質1g当たりの放電容量を測定した。
また、0.05Cの電流値での充放電において、充電電気量に対する放電電気量の割合から充放電効率を求めた。
前記の測定結果の平均値を表2に示す。
Figure 2021034325
表2に示す通り、実施例4の全固体リチウム二次電池は、同じ厚みの固体電解質シートを用いた比較例2の電池に比べて、充放電効率、および各電流値での放電容量のいずれもが優れており、良好な放電特性を有していた。
実施例4の電池に使用した実施例1の固体電解質シートは、その作製に用いた絶縁性多孔質基材の坪量当たりの引張強度が高く、比較例2の電池に使用した比較例1の固体電解質シートに比べて形状維持性が高くなっていることから、放電特性が向上したと考えられる。
また、実施例4〜6の電池の放電容量の比較から、絶縁性多孔質基材の坪量が小さくなるほど放電特性が向上することがわかる。
1 全固体リチウム二次電池
10 固体電解質シート
11 絶縁性多孔質基材
12 固体電解質粒子
13 バインダ
20 正極
30 負極
40 外装缶
50 封口缶
60 ガスケット

Claims (12)

  1. 絶縁性多孔質基材を支持体とする固体電解質シートであって、
    前記絶縁性多孔質基材は、樹脂の繊維で構成されており、
    前記絶縁性多孔質基材の坪量をx(g/m)、前記絶縁性多孔質基材の引張強度をy(N)としたときに、y/x≧0.45であり、
    前記絶縁性多孔質基材の内部に固体電解質粒子とバインダとを含有していることを特徴とする固体電解質シート。
  2. 前記絶縁性多孔質基材のxが、10(g/m)以下である請求項1に記載の固体電解質シート。
  3. 絶縁性多孔質基材を支持体とする固体電解質シートであって、
    前記絶縁性多孔質基材は、液晶ポリエステルの繊維で構成されており、
    前記絶縁性多孔質基材の内部に固体電解質粒子とバインダとを含有していることを特徴とする固体電解質シート。
  4. 前記液晶ポリエステルは、パラヒドロキシ安息香酸由来の構造単位と2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸由来の構造単位とを有する共重合体である請求項3に記載の固体電解質シート。
  5. 前記繊維を構成する樹脂は、耐熱温度が200℃以上である請求項1〜4のいずれかに記載の固体電解質シート。
  6. 固体電解質粒子とバインダとの総量中、前記バインダの割合が、0.5〜5質量%である請求項1〜5のいずれかに記載の固体電解質シート。
  7. 前記絶縁性多孔質基材は、織布または不織布である請求項1〜6のいずれかに記載の固体電解質シート。
  8. 前記固体電解質粒子として、硫化物系固体電解質粒子を含有している請求項1〜7のいずれかに記載の固体電解質シート。
  9. 前記絶縁性多孔質基材の割合が20体積%以下である請求項1〜8のいずれかに記載の固体電解質シート。
  10. 前記絶縁性多孔質基材の割合が5体積%以上である請求項9に記載の固体電解質シート。
  11. 前記固体電解質粒子の平均粒子径が、0.3〜5μmである請求項1〜10のいずれかに記載の固体電解質シート。
  12. 正極と、負極と、前記正極と前記負極との間に挿入された請求項1〜11のいずれかに記載の固体電解質シートとを有することを特徴とする全固体リチウム二次電池。
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