JP2021032201A - ピストン式圧縮機 - Google Patents

ピストン式圧縮機 Download PDF

Info

Publication number
JP2021032201A
JP2021032201A JP2019156040A JP2019156040A JP2021032201A JP 2021032201 A JP2021032201 A JP 2021032201A JP 2019156040 A JP2019156040 A JP 2019156040A JP 2019156040 A JP2019156040 A JP 2019156040A JP 2021032201 A JP2021032201 A JP 2021032201A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
drive shaft
passage
spool
path
chamber
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2019156040A
Other languages
English (en)
Inventor
健一 角口
Kenichi Kadoguchi
健一 角口
久弥 近藤
Hisaya Kondo
久弥 近藤
賢 島田
Masaru Shimada
賢 島田
海 稲津
Umi Inazu
海 稲津
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toyota Industries Corp
Original Assignee
Toyota Industries Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toyota Industries Corp filed Critical Toyota Industries Corp
Priority to JP2019156040A priority Critical patent/JP2021032201A/ja
Publication of JP2021032201A publication Critical patent/JP2021032201A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Compressors, Vaccum Pumps And Other Relevant Systems (AREA)

Abstract

【課題】制御性に優れ、かつ冷媒の圧縮性能が高いピストン式圧縮機を提供する。【解決手段】本発明の圧縮機は、駆動軸3及び移動体10等を備えている。駆動軸3は、軸路33と、第1径路35とを有している。移動体10は、スプール13と、第1弁体11bとを有している。スプール13は、軸路33内に摺動可能に設けられており、駆動軸心O方向に筒状に延びている。第1弁体11bには、移動体通路47が形成されており、スプール13に連結されている。スプール13には、吸入通路13aと、第1連絡路114と、第2連絡路124とが形成されている。吸入通路13aは、スプール13の内部で駆動軸心O方向に延びている。第1連絡路114は、吸入通路13aと移動体通路47とに連通している。第2連絡路124は、吸入通路13aと第1径路35とに連通している。【選択図】図1

Description

本発明はピストン式圧縮機に関する。
特許文献1の図5に従来のピストン式圧縮機(以下、単に圧縮機という。)が開示されている。この圧縮機は、ハウジングと、駆動軸と、固定斜板と、ピストンと、吐出弁と、制御弁と、移動体とを備えている。
ハウジングは、シリンダブロックを有している。シリンダブロックには、複数のシリンダボアが形成されている他、シリンダボアに連通する第1連通路が形成されている。また、ハウジングには、吐出室、斜板室、軸孔及び制御圧室が形成されている。斜板室には冷媒が吸入される。制御圧室は制御圧力とされている。制御弁は制御圧力を制御する。
駆動軸は、軸孔内に回転可能に支承されている。固定斜板は、駆動軸の回転によって斜板室内で回転可能であり、駆動軸に垂直な平面に対する傾斜角度が一定である。ピストンは、シリンダボア内に圧縮室を形成しており、固定斜板に連結されている。圧縮室と吐出室との間には、リード弁式の吐出弁が設けられている。吐出弁は、圧縮室内の冷媒を吐出室に吐出させる。
また、駆動軸は、吸入通路と、第1径路と、第2径路とを有している。吸入通路は、駆動軸心方向に延びている。第1径路は、駆動軸心方向の略中央で駆動軸の径方向に延びており、吸入通路と斜板室とに連通している。第2径路は、第1径路と異なる位置で吸入通路と連通しており、駆動軸の径方向に延びている。第2径路は、駆動軸の回転に伴い間欠的に第1連通路と連通する。
移動体は、制御ピストンと、スプールとを有している。制御ピストンは、駆動軸に挿通されており、駆動軸と一体回転可能となっている。制御ピストンは、制御圧室と対向して配置されている。制御ピストンには、吸入通路内に位置するシリンダが形成されている。シリンダは、制御圧室と連通している。スプールは、吸入通路内に配置されている。スプールは、第1弁部と、第2弁部と、軸部とを有している。第1弁部はシリンダ内に収容されている。第2弁部は、駆動軸心方向で第1弁部の反対側に位置している。第2弁部は、吸入通路と第2径路との連通面積を変更可能である。軸部は、第1弁部と第2弁部とを連結している。
この圧縮機では、第1径路によって斜板室内から吸入通路内に冷媒が流入する。そして、移動体のスプールは、吸入通路内の冷媒を第2径路及び第1連通路を通じてシリンダボア内に吸入させる。また、この圧縮機では、制御弁が制御圧力を調整することにより、移動体が駆動軸に対して駆動軸心方向に移動する。これにより、スプールでは、第2弁部が吸入通路と第2径路との連通面積を変更することにより、シリンダボア内に吸入させる冷媒の流量を変化させる。こうして、この圧縮機では、圧縮室から吐出室に吐出される冷媒の流量である吐出流量が変化する。
特開平5−312145号公報
上記従来の圧縮機において、制御性の向上を図るためには、制御圧力によって移動体、より具体的には、スプールを駆動軸心方向に好適に移動させる必要がある。このため、スプールには、制御圧力によって吸入通路内で変形することがないように、高い剛性が要求される。そこで、例えば、スプールの軸部をより大型化させることが考えられるものの、この場合には、軸部の大型化によって、吸入通路の通路面積が減少し、その分、吸入通路内における冷媒の流通が妨げられる。このため、このような圧縮機では、斜板室の冷媒をシリンダボア内に吸入させ難く、駆動軸の一回転当たりの圧縮性能が低下する。
本発明は、上記従来の実情に鑑みてなされたものであって、制御性に優れ、かつ冷媒の圧縮性能が高いピストン式圧縮機を提供することを解決すべき課題としている。
本発明のピストン式圧縮機は、複数のシリンダボアが形成されたシリンダブロックを有し、吐出室と、冷媒が吸入される斜板室と、軸孔とが形成されたハウジングと、
前記軸孔内に回転可能に支承された駆動軸と、
前記駆動軸の回転によって前記斜板室内で回転可能であり、前記駆動軸に垂直な平面に対する傾斜角度が一定である固定斜板と、
前記シリンダボア内に圧縮室を形成し、前記固定斜板に連結されるピストンと、
前記圧縮室内の冷媒を前記吐出室に吐出させる吐出弁と、
前記駆動軸に設けられ、前記駆動軸と一体回転するとともに、制御圧力に基づいて前記駆動軸の駆動軸心方向に前記駆動軸に対して移動可能である移動体と、
前記制御圧力を制御する制御弁とを備え、
前記シリンダブロックには、前記シリンダボアに連通する第1連通路が形成され、
前記移動体には、前記駆動軸の回転に伴い間欠的に前記第1連通路と連通する第2連通路が形成され、
前記移動体の前記駆動軸心方向の位置に応じて、前記圧縮室から前記吐出室に吐出される冷媒の流量である吐出流量が変化するピストン式圧縮機であって、
前記駆動軸は、前記駆動軸心方向に延びる軸路と、前記駆動軸の径方向に延び、前記軸路と前記斜板室とに連通する径路とを有し、
前記移動体は、前記軸路内に摺動可能に設けられ、前記駆動軸心方向に筒状に延びるスプールと、前記第2連通路が形成され、前記スプールに連結される弁体とを有し、
前記スプールには、前記スプールの内部で前記駆動軸心方向に延びる吸入通路と、前記吸入通路と前記第2連通路とに連通する第1連絡路と、前記吸入通路と前記径路とに連通する第2連絡路とが形成されていることを特徴とする。
本発明のピストン式圧縮機では、移動体がスプールと弁体とを有しており、スプールは、駆動軸の軸路内に摺動可能に設けられている。そして、スプールは、駆動軸心方向に延びる筒状に形成されており、内部に吸入通路が形成されている。これにより、この圧縮機では、軸路内において、スプールとの間に吸入通路を設ける必要がない。このため、この圧縮機では、制御圧力によって、移動体を駆動軸心方向に好適に移動させるに当たって、スプールを大型化して剛性を確保しつつ、スプール内に吸入通路を好適に確保することができ、吸入通路内で冷媒を好適に流通させることができる。これにより、この圧縮機では、吸入通路から第2連通路及び第1連通路を通じて斜板室の冷媒をシリンダボア内、より具体的には、圧縮室内に好適に吸入させることができる。
したがって、本発明のピストン式圧縮機は、制御性に優れ、かつ冷媒の圧縮性能を高くできる。
第2連絡路と径路との連通面積は、常に一定であることが好ましい。この場合には、制御圧力によって移動体が駆動軸心方向に移動しても、径路から第1連絡路を経て吸入通路内に吸入される冷媒の流量を一定にすることが可能となる。このため、吸入通路から第2連通路及び第1連通を通じてシリンダボア内に吸入される冷媒の流量を調整し易い。
駆動軸には、軸路と連通するとともに軸孔内に開口し、弁体が配置される案内窓が形成され得る。また、弁体によって第1連通路と第2連通路とが連通され得る。そして、駆動軸によって第1連通路と第2連通路とが非連通とされることが好ましい。
この圧縮機では、圧縮行程や吐出行程にある圧縮室と連通する第1連通路を通じ、圧縮室内で圧縮された高圧の冷媒の一部が軸孔に向かって流通する。この点、この圧縮機では、駆動軸によって第1連通路と第2連通路とが非連通されることにより、高圧の冷媒による荷重(以下、圧縮荷重という。)は、第1連通路を通じて駆動軸に作用する。これにより、駆動軸が圧縮荷重を受け止めることで、弁体には、圧縮荷重が作用し難い。このため、移動体は、駆動軸心方向に移動し易い。
本発明のピストン式圧縮機は、制御性に優れ、かつ冷媒の圧縮性能を高くできる。
図1は、実施例1のピストン式圧縮機に係り、最少流量時における断面図である。 図2は、実施例1のピストン式圧縮機に係り、所定流量時における断面図である。 図3は、実施例1のピストン式圧縮機に係り、最大流量時における断面図である。 図4は、実施例1のピストン式圧縮機に係り、図1のA−A断面を示す要部拡大断面図である。 図5は、実施例1のピストン式圧縮機に係り、図2のB−B断面を示す要部拡大断面図である。 図6は、実施例1のピストン式圧縮機に係り、図3のC−C断面を示す要部拡大断面図である。 図7は、実施例1のピストン式圧縮機に係り、図1のD−D断面を示す要部拡大断面図である。 図8は、実施例1のピストン式圧縮機に係り、図3のE−E断面を示す要部拡大断面図である。 図9は、実施例1のピストン式圧縮機に係り、駆動軸を示す要部拡大断面図である。 図10は、実施例1のピストン式圧縮機に係り、図9のF−F断面を示す拡大断面図である。 図11は、実施例1のピストン式圧縮機に係り、第1移動体を示す断面図である。 図12は、実施例1のピストン式圧縮機に係り、第1弁体を示す図11のD1方向からの正面図である。 図13は、実施例1のピストン式圧縮機に係り、第2移動体を示す断面図である。 図14は、実施例1のピストン式圧縮機に係り、駆動軸、第1移動体及び第2移動体等を示す要部拡大断面図である。 図15は、実施例2のピストン式圧縮機に係り、最少流量時における駆動軸、第1移動体及び第2移動体等を示す要部拡大断面図である。 図16は、実施例2のピストン式圧縮機に係り、最大流量時における駆動軸、第1移動体及び第2移動体等を示す要部拡大断面図である。
以下、本発明を具体化した実施例1、2を図面を参照しつつ説明する。実施例1、2の圧縮機は、両頭ピストン式圧縮機である。これらの圧縮機は、車両に搭載されており、空調装置の冷凍回路を構成している。
(実施例1)
図1〜図3に示すように、実施例1の圧縮機は、ハウジング1と、駆動軸3と、固定斜板5と、複数のピストン7と、第1弁形成プレート8と、第2弁形成プレート9と、移動体10と、制御弁15とを備えている。第1弁形成プレート8は、本発明における「吐出弁」の一例である。
ハウジング1は、フロントハウジング17と、リヤハウジング19と、第1シリンダブロック21と、第2シリンダブロック22とを有している。第1、2シリンダブロック21、22によって、本発明における「シリンダブロック」が構成されている。
本実施例では、フロントハウジング17が位置する側を圧縮機の前方側とし、リヤハウジング19が位置する側を圧縮機の後方側として、圧縮機の前後方向を規定している。また、図1〜図3の紙面の上方を圧縮機の上方側とし、紙面の下方を圧縮機の下方側として、圧縮機の上下方向を規定している。そして、図4以降では、図1〜図3に対応させて前後方向及び上下方向を表示する。なお、実施例における前後方向等は一例であり、本発明の圧縮機は、搭載される車両に対応して、その姿勢が適宜変更される。
フロントハウジング17は、径方向に延びる前壁17aと、前壁17aと一体をなして、前壁17aから駆動軸3の駆動軸心O方向で後方に延びる周壁17bとを有しており、略円筒状をなしている。駆動軸心Oは、圧縮機の前後方向に平行に延びている。また、フロントハウジング17内には、フロント側吐出室27が形成されている。フロント側吐出室27は環状に形成されている。
前壁17aには、第1ボス部171と、第1軸孔173とが形成されている。第1ボス部171は駆動軸心O方向で前方に向かって突出している。第1軸孔173は、駆動軸心O方向で前壁17aを貫通している。第1軸孔173内には軸封装置16が設けられている。
リヤハウジング19には、制御圧室28と、リヤ側吐出室29とが形成されている。制御圧室28は、リヤハウジング19の中心側に位置している。リヤ側吐出室29は環状に形成されており、制御圧室28の外周側に位置している。リヤ側吐出室29は、本発明における「吐出室」の一例である。
第1シリンダブロック21は、第2シリンダブロック22とリヤハウジング19との間に位置している。第1シリンダブロック21には、第1凹部210と、第1吐出通路211とが形成されている。第1凹部210は、第1シリンダブロック21の前端から後方に向かって凹設されている。第1吐出通路211は、駆動軸心O方向に直線状に延びており、第1シリンダブロック21を貫通している。
また、図4〜図6に示すように、第1シリンダブロック21には、第1シリンダボア21a〜21eが形成されている他、第3軸孔25と、リヤ側連通路26a〜26eとが形成されている。第1シリンダボア21a〜21eは、本発明における「シリンダボア」の一例である。また、リヤ側連通路26a〜26eは、本発明における「第1連通路」の一例である。
第1シリンダボア21a〜21eは、それぞれ周方向に等角度間隔で配置されている。図1〜図3に示すように、第1シリンダボア21a〜21eは、それぞれ第1シリンダブロック21内を駆動軸心O方向に直線状に延びており、第1シリンダブロック21を貫通している。なお、第1シリンダボア21a〜21eの個数は適宜設計可能である。
第3軸孔25は、第1シリンダブロック21の中心側に位置している。第3軸孔25は、第1シリンダブロック21内を駆動軸心O方向に直線状に延びており、第1シリンダブロック21を貫通している。図4〜図6に示すように、リヤ側連通路26a〜26eは、第1シリンダボア21a〜21eと第3軸孔25との間に位置している。リヤ側連通路26a〜26eは、第1シリンダブロック21の径方向に延びており、第1シリンダボア21a〜21e及び第3軸孔25に開口している。こうして、リヤ側連通路26a〜26eは、第1シリンダボア21a〜21eと第3軸孔25とを連通している。
図1〜図3に示すように、第2シリンダブロック22は、フロントハウジング17と第1シリンダブロック21との間に位置している。第2シリンダブロック22には、第2凹部220と、吸入口221と、第2吐出通路222と、吐出口223とが形成されている。第2凹部220は、第2シリンダブロック22の後端から前方に向かって凹設されている。吸入口221は、第2凹部220と連通しており、第2シリンダブロック22の径方向に延びて第2シリンダブロック22の外部に開いている。吸入口221は、配管を介して蒸発器と接続している。
第2吐出通路222は、駆動軸心O方向に直線状に延びており、第2シリンダブロック22を貫通している。吐出口223は、第2吐出通路222と連通しており、第2シリンダブロック22の径方向に延びて第2シリンダブロック22の外部に開いている。吐出口223は、配管を介して凝縮器と接続している。なお、配管、蒸発器及び凝縮器の図示は省略する。また、吸入口221及び吐出口223を第1シリンダブロック21に形成しても良い。
また、図7及び図8に示すように、第2シリンダブロック22には、第2シリンダボア22a〜22eが形成されている他、第2軸孔23と、フロント側連通路24a〜24eとが形成されている。第2軸孔23は、図1〜図3に示す第1軸孔173及び第3軸孔25とともに、本発明における「軸孔」を構成している。
図7及び図8に示すように、第2シリンダボア22a〜22eは、それぞれ周方向に等角度間隔で配置されている。図1〜図3に示すように、第2シリンダボア22a〜22eは、それぞれ第2シリンダブロック22内を駆動軸心O方向に直線状に延びており、第2シリンダブロック22を貫通している。第2シリンダボア22a〜22eの内径は、それぞれ第1シリンダボア21a〜21eの内径と同径をなしている。なお、第2シリンダボア22a〜22eの個数は、第1シリンダボア21a〜21eの個数に応じて適宜設計可能である。また、第1シリンダボア21a〜21eの内径と、第2シリンダボア22a〜22eの内径とが異なるように設計しても良い。
第2軸孔23は、第2シリンダブロック22の中心側に位置している。第2軸孔23は、第2シリンダブロック22内を駆動軸心O方向に直線状に延びており、第2シリンダブロック22を貫通している。図7及び図8に示すように、フロント側連通路24a〜24eは、第2シリンダボア22a〜22eと第2軸孔23との間に位置している。フロント側連通路24a〜24eは、第2シリンダブロック22の径方向に延びており、第2シリンダボア22a〜22e及び第2軸孔23に開口している。こうして、フロント側連通路24a〜24eは、第2シリンダボア22a〜22eと第2軸孔23とを連通している。
図1〜図3に示すように、第1シリンダブロック21と第2シリンダブロック22との間には、ガスケット20が設けられている。そして、第1シリンダブロック21と第2シリンダブロック22とは、第1凹部210と第2凹部220とを対向させた状態で接合されている。こうして、第1凹部210と第2凹部220とにより、第1シリンダブロック21と第2シリンダブロック22との間、ひいては、ハウジング1内に斜板室31が形成されている。斜板室31には、吸入口221によって、蒸発器を経た低圧の冷媒ガスが吸入される。これにより、斜板室31は吸入圧力となっている。
また、第1シリンダブロック21と第2シリンダブロック22とが接合されることにより、第1吐出通路211と第2吐出通路222とが連通している。さらに、第1シリンダボア21a〜21eと第2シリンダボア22a〜22eとが、互いに同軸をなしつつ、斜板室31を挟んで対向している。同様に、第2軸孔23と第3軸孔25とが互いに同軸をなしつつ、斜板室31を挟んで対向している。ガスケット20は、第1、2凹部210、220同士と、第1、2吐出通路211、222同士とをそれぞれ連通させた状態で、第1シリンダブロック21と第2シリンダブロック22との間を封止している。
第1弁形成プレート8は、第1シリンダブロック21とリヤハウジング19との間に設けられている。この第1弁形成プレート8を介して、第1シリンダブロック21とリヤハウジング19とが接合されている。
第1弁形成プレート8は、第1バルブプレート80と、第1吐出弁プレート82と、第1リテーナプレート83とを有している。第1バルブプレート80には、第1シリンダボア21a〜21eに連通する5つの第1吐出孔811が形成されている。第1シリンダボア21a〜21eは、各第1吐出孔811を通じてリヤ側吐出室29に連通する。
第1吐出弁プレート82は、第1バルブプレート80の後面に設けられている。第1吐出弁プレート82には、弾性変形によって各第1吐出孔811を開閉可能な5つの第1吐出リード弁82aが設けられている。第1リテーナプレート83は、第1吐出弁プレート82の後面に設けられている。第1リテーナプレート83は、第1吐出リード弁82aの最大開度を規制する。
また、第1弁形成プレート8には、第1貫通孔8aと、第1連通孔8bとが形成されている。第1貫通孔8aと、第1連通孔8bとは、それぞれ第1バルブプレート80、第1吐出弁プレート82及び第1リテーナプレート83を貫通している。第1貫通孔8aには、第1シリンダブロック21の後端が挿通されている。第1連通孔8bによって、リヤ側吐出室29と第1吐出通路211とが連通している。
第2弁形成プレート9は、フロントハウジング17と第2シリンダブロック22との間に設けられている。この第2弁形成プレート9を介して、フロントハウジング17と第2シリンダブロック22とが接合されている。
第2弁形成プレート9は、第2バルブプレート90と、第2吐出弁プレート92と、第2リテーナプレート93とを有している。第2バルブプレート90には、第2シリンダボア22a〜22eに連通する5つの第2吐出孔911が形成されている。第2シリンダボア22a〜22eは、各第2吐出孔911を通じてフロント側吐出室27に連通する。
第2吐出弁プレート92は、第2バルブプレート90の前面に設けられている。第2吐出弁プレート92には、弾性変形によって各第2吐出孔911を開閉可能な5つの第2吐出リード弁92aが設けられている。第2リテーナプレート93は、第2吐出弁プレート92の前面に設けられている。第2リテーナプレート93は、第2吐出リード弁92aの最大開度を規制する。
また、第2弁形成プレート9には、第2貫通孔9aと、第2連通孔9bとが形成されている。第2貫通孔9aと、第2連通孔9bとは、それぞれ第2バルブプレート90、第2吐出弁プレート92及び第2リテーナプレート93を貫通している。第2貫通孔9aによって、第1軸孔173と第2軸孔23とが連通している。第2連通孔9bによって、フロント側吐出室27と第2吐出通路222とが連通している。こうして、この圧縮機では、第1、2吐出通路211、222及び第1、2連通孔8b、9bを通じて、フロント側吐出室27とリヤ側吐出室29とが連通している。そして、フロント側吐出室27及びリヤ側吐出室29は、第1、2吐出通路211、222及び第1、2連通孔8b、9bを通じて、吐出口223と連通している。
駆動軸3は、駆動軸心O方向でハウジング1の前方側から後方側に向かって延びている。駆動軸3は鉄鋼製であり、高圧の冷媒ガスの圧縮荷重に対する剛性を有している。駆動軸3には、ねじ孔3aが形成されている。ねじ孔3aは、駆動軸3の前端に開口しており、駆動軸3内を後方に向かって延びている。このねじ孔3aを介して駆動軸3は、図示しないプーリや電磁クラッチ等と連結されている。
また、図9に示すように、駆動軸3には、軸路33と、第1径路35と、第2径路37と、案内窓39とが形成されている。第1径路35は、本発明における「径路」の一例である。
図10に示すように、軸路33は円柱状をなしている。軸路33は、駆動軸3の後端面に開口しており、駆動軸3内を駆動軸心O方向で前方に向かって延びている。ここで、軸路33は、駆動軸3を駆動軸心O方向で前方に貫通はしていない。これにより、軸路33の前端面330は、駆動軸3内に位置している。軸路33は、大径部位33aと小径部位33bとを有している。大径部位33aと小径部位33bとの間には、段部33cが形成されている。
第1径路35は、駆動軸3における前後方向の略中央に位置している。第1径路35は、軸路33の小径部位33bと接続しつつ駆動軸3の径方向に延びており、駆動軸3の外周面に開口している。なお、第1径路35について、駆動軸3を径方向に貫通する形状としても良い。
第2径路37は、駆動軸3において、第1径路35よりも前方側に位置している。第2径路37は、軸路33の小径部位33bと接続しつつ駆動軸3の径方向に延びており、駆動軸3の外周面に開口している。より具体的には、第2径路37は、本体部37aと案内部37bとを有している。図7及び図8に示すように、本体部37aは、小径部位33bと接続しつつ、駆動軸3の径方向に直線状に延びている。案内部37bは、本体部37aと接続しつつ、駆動軸3の外周面を周方向に延びている。図9に示すように、案内部37bは、本体部37aよりも駆動軸心O方向に長い長孔形状となっている。なお、第2径路37の形状は、適宜設計可能である。
案内窓39は、駆動軸3において、第1径路35よりも後方側に位置しており、駆動軸心O方向に延びている。案内窓39は、軸路33の大径部位33aと連通している。また、図10に示すように、案内窓39は、駆動軸3を周方向に半周に亘って延びている。ここで、駆動軸3において、駆動軸心Oを挟んで案内窓39や第2径路37の反対側に位置する部分は、本体部3bとされている。なお、案内窓39について、駆動軸3の周方向に半周よりも大きく形成しても良く、また、駆動軸3の周方向に半周よりも小さく形成しても良い。
さらに、図9に示すように、案内窓39における前後方向の長さ、すなわち駆動軸心O方向の長さは、第2径路37の案内部37bにおける駆動軸心O方向の長さよりも長く形成されている。つまり、案内部37bを含め、第2径路37の開口面積は、案内窓39の開口面積よりも小さくなっている。
また、図7〜図9に示すように、駆動軸3において、案内窓39は、駆動軸心Oを挟んで第2径路37の反対側に位置している。つまり、駆動軸3において、案内窓39と第2径路37とは、位相を約180°ずらして形成されている。また、駆動軸3において、案内窓39及び第2径路37は、第1径路35と位相を約90°ずらして形成されている。なお、図9及び図10では、図1〜図3に示す位置よりも駆動軸3が駆動軸心O周りで回転した状態を図示している。また、図1〜図3、図14〜図16では、説明を容易にするため、第1径路35の位相を変更して図示している。
また、案内窓39が形成されることにより、図9に示すように、駆動軸3には、第1規制面301と、第2規制面302と、第1案内面303とが形成されている。第1規制面301は、駆動軸3の径方向に平面状に延びており、案内窓39に後向きに面している。第2規制面302は、第1規制面301と対向しつつ駆動軸3の径方向に平面状に延びており、案内窓39に前向きに面している。第1案内面303は、第1規制面301と第2規制面302との間に位置しており、駆動軸心O方向に平面状に延びている。
さらに、駆動軸3には、第2径路37の案内部37bによって、第3規制面304と、第4規制面305と、第2案内面306とが形成されている。第3規制面304は、駆動軸3の径方向に平面状に延びており、案内部37bに後向きに面している。第4規制面305は、第3規制面304と対向しつつ駆動軸3の径方向に平面状に延びており、案内部37bに前向きに面している。第2案内面306は、第3規制面304と第4規制面305との間に位置しており、駆動軸心O方向に平面状に延びている。
また、駆動軸3において、案内窓39よりも後方側には、第1保持溝3cが形成されている。第1保持溝3cは、駆動軸3の外周面を1周する環状をなしている。第1保持溝3c内には、第1シールリング41aが設けられている。
図1及び図2に示すように、駆動軸3は、ねじ孔3aを含む前端側を第1ボス部171内に位置させた状態で、第2軸孔23及び第3軸孔25内に支承させることにより、ハウジング1に回転可能に挿通されている。これにより、駆動軸3は駆動軸心O周りで回転可能となっている。より具体的には、本実施例では、駆動軸3は、図4〜図8に示すR1方向に回転する。
また、駆動軸3がハウジング1に支承されることにより、図4〜図6に示すように、案内窓39は、第3軸孔25内に位置する。これにより、案内窓39は、第3軸孔25内に開口しつつ、第3軸孔25内でリヤ側連通路26a〜26eと対向する。より具体的には、案内窓39は、リヤ側連通路26a〜26eのうち、再膨張行程又は吸入行程にある第1圧縮室43a〜43eに連通するリヤ側連通路26a〜26eと対向する。一方、本体部3bは、圧縮行程又は吐出行程にある第1圧縮室43a〜43eに連通するリヤ側連通路26a〜26eと対向する。なお、第1圧縮室43a〜43eについては後述する。
さらに、駆動軸3がハウジング1に支承されることにより、図7及び図8に示すように、第2径路37は、第2軸孔23内に位置する。これにより、第2径路37は、第2軸孔23内に開口しつつ、第2軸孔23内でフロント側連通路24a〜24eと対向する。こうして、第2径路37は、フロント側連通路24a〜24eと軸路33とを連通させている。より具体的には、第2径路37の案内部37bは、フロント側連通路24a〜24eのうち、再膨張行程又は吸入行程にある第2圧縮室45a〜45eに連通するフロント側連通路24a〜24eと対向する。一方、圧縮行程又は吐出行程にある第2圧縮室45a〜45eと連通するフロント側連通路24a〜24eは、本体部3bと対向する。なお、第2圧縮室45a〜45eについても後述する。
また、図1〜図3に示すように、駆動軸3の前端側は、第1軸孔173内で軸封装置16に挿通される。これにより、軸封装置16は、ハウジング1の内部とハウジング1の外部との間を封止する。
固定斜板5は、駆動軸3に圧入されることで、駆動軸3に固定されている。固定斜板5は、斜板室31内に配置されており、駆動軸3が回転することによって、斜板室31内で駆動軸3とともに回転可能となっている。ここで、固定斜板5は、駆動軸3に垂直な平面に対する傾斜角度が一定となっている。
固定斜板5には、駆動軸心O方向に延びる第2ボス部5aが形成されている。第2ボス部5aには、斜板通路5bが形成されている。斜板通路5bは、駆動軸3の径方向に延びており、第2ボス部5aを貫通している。斜板通路5bは、固定斜板5が駆動軸3に固定されることにより、第1径路35に整合して第1径路35と連通する。これにより、第1径路35は、斜板通路5bを介して斜板室31と軸路33の小径部位33bとを接続している。こうして、軸路33は、斜板通路5b及び第1径路35を介して斜板室31と連通している。
また、斜板室31内において、第1シリンダブロック21と第2ボス部5aとの間には、第1スラスト軸受6aが設けられている。一方、斜板室31内において、第2シリンダブロック22と第2ボス部5aとの間には、第2スラスト軸受6bが設けられている。
各ピストン7は、第1ヘッド7aと、第2ヘッド7bと、係合部7cとを有している。第1ヘッド7aは、ピストン7における後方側、つまり、第1シリンダブロック21側に位置している。第1ヘッド7aは、第1シリンダボア21a〜21e内にそれぞれ収容されている。こうして、第1ヘッド7aと、第1弁形成プレート8とにより、図4〜図6に示すように、第1シリンダボア21a〜21e内に第1圧縮室43a〜43eがそれぞれ形成されている。第1圧縮室43a〜43eは、本発明における「圧縮室」の一例である。第1圧縮室43a〜43eは、それぞれリヤ側連通路26a〜26eと連通している。
図1〜図3に示すように、第2ヘッド7bは、ピストン7における前方側、つまり、第2シリンダブロック22側に位置している。第2ヘッド7bは、第2シリンダボア22a〜22e内にそれぞれ収容されている。こうして、第2ヘッド7bと、第2弁形成プレート9とにより、図7及び図8に示すように、第2シリンダボア22a〜22e内に第2圧縮室45a〜45eがそれぞれ形成されている。第2圧縮室45a〜45eは、それぞれフロント側連通路24a〜24eと連通している。
係合部7cは、ピストン7において、第1ヘッド7aと第2ヘッド7bとの間に位置している。係合部7c内には、半球状のシュー14a、14bがそれぞれ設けられている。これらのシュー14a、14bによって、ピストン7は固定斜板5に連結されている。これにより、各シュー14a、14bは、固定斜板5の回転をピストン7の往復動に変換する変換機構として機能する。このため、ピストン7では、第1ヘッド7aが第1シリンダボア21a〜21e内を第1ヘッド7aの上死点と下死点との間で往復動することが可能となっているとともに、第2ヘッド7bが第2シリンダボア22a〜22e内を第2ヘッド7bの上死点と下死点との間で往復動することが可能となっている。
ここで、第1ヘッド7aが第1ヘッド7aの上死点にあるとき、第2ヘッド7bは、第2ヘッド7bの下死点にある。そして、第1ヘッド7aが第1ヘッド7aの下死点にあるとき、第2ヘッド7bは、第2ヘッド7bの上死点にある。以下では、第1ヘッド7aの上死点及び下死点と、第2ヘッド7bの上死点及び下死点とについて、それぞれ上死点及び下死点と記載する。
移動体10は、第1移動体11と、第2移動体12とで構成されている。図11に示すように、第1移動体11は、第1スプール11aと、第1弁体11bとからなる。第1弁体11bは、本発明における「弁体」の一例である。
第1スプール11aは、第1端壁111と、第1周壁112とを有している。第1端壁111は、軸路33の大径部位33aとほぼ同径をなす円板状に形成されている。第1周壁112は、第1端壁111の外周と接続しており、第1端壁111から、駆動軸心O方向で前方に向かって直線状に延びている。これらの第1端壁111及び第1周壁112により、第1スプール11aは、大径部位33aとほぼ同径をなす有底の略円筒状をなしている。つまり、第1スプール11aは、前端側が開口している。また、図14に示すように、第1スプール11aにおける駆動軸心O方向の長さは、大径部位33aにおける駆動軸心O方向の長さよりも短く形成されている。
図11に示すように、第1スプール11aの内部には、第1吸入通路113が形成されている。第1吸入通路113は、第1スプール11aの前端から駆動軸心O方向で後方に向かって延びている。ここで、第1吸入通路113は、第1スプール11aの内部を駆動軸心O方向で後方には貫通していない。第1吸入通路113は、第1径部113aと、第2径部113bとを有している。第1径部113aは、第1吸入通路113の前方側を構成している。第1径部113aは、後述する第2スプール12aの外形とほぼ同径に形成されている。第2径部113bは、第1径部113aの後端と接続しており、第1吸入通路113の後方側を構成している。第2径部113bは、第1径部113aよりも小径に形成されている。このように、第2径部113bが第1径部113aよりも小径であることから、第1吸入通路113において、第1径部113aと第2径部113bとの間には、段差113cが形成されている。
また、第1スプール11aにおいて、第1周壁112には、第1連絡路114と、第1係合溝115と、第2保持溝116とが形成されている。第1連絡路114は、第1吸入通路113の第2径部113bと連通しつつ、第1周壁112を第1スプール11aの径方向に延びており、第1周壁112の外周面に開口している。第1係合溝115は、第1連絡路114と第2保持溝116との間に位置している。第1係合溝115は、第1周壁112を周方向に1周する環状をなしている。第2保持溝116は、第1周壁112における後方側に位置している。第2保持溝116も、第1周壁112を周方向に1周する環状をなしている。第2保持溝116内には、第2シールリング41bが設けられている。
図4〜図7に示すように、第1弁体11bは、案内窓39と整合する半円の略樋状に形成されており、図11及び図12に示すように、駆動軸心O方向に延びている。ここで、第1弁体11bにおける駆動軸心O方向の長さは、案内窓39における駆動軸心O方向の長さに比べて短く設定されている。図11に示すように、第1弁体11bは、第1外周面117aと、第1内周面117bと、第1前端面117cと、第1後端面117dとを有している。
また、第1弁体11bには、第1係合突部118が形成されている他、移動体通路47が形成されている。移動体通路47は、本発明における「第2連通路」の一例である。
第1係合突部118は、第1弁体11bの後端に位置しており、第1内周面117bから第1スプール11aに向かって延びているとともに、第1内周面117bに沿って、第1弁体11bの周方向に延びている。
移動体通路47は、第1弁体11bにおいて、第1係合突部118よりも前方側に位置しており、第1弁体11bを径方向に貫通している。また、図12に示すように、移動体通路47は、第1弁体11bにおいて、前後方向に延びるように形成されている。そして、移動体通路47は、前端から後端に向かうにつれて、次第に第1弁体11bの周方向に大きく形成されている。つまり、第1弁体11bの周方向に大きく形成された第1部位47aが移動体通路47の後端側に位置しており、第1弁体11bの周方向に小さく形成された第2部位47bが移動体通路47の前端側に位置している。なお、移動体通路47の形状は適宜設計可能である。
図13に示すように、第2移動体12は、第2スプール12aと、蓋体12bとからなる。第2スプール12aは、第2端壁121と、第2周壁122とを有している。第2端壁121は、外周側が軸路33の小径部位33bとほぼ同径に形成されており、中心部分が前方に突出する略円板状に形成されている。第2周壁122は、第2端壁121の外周と接続しており、第2端壁121から、駆動軸心O方向で後方に向かって直線状に延びている。これらの第2端壁121及び第2周壁122により、第2スプール12aは、小径部位33bとほぼ同径をなす略円筒状をなしている。つまり、第2スプール12aは、第1スプール11aよりも小径をなしている。また、図14に示すように、第2スプール12aにおける駆動軸心O方向の長さは、第1スプール11aにおける駆動軸心O方向の長さよりも長く形成されている。
図13に示すように、第2スプール12aの内部には、第2吸入通路123が形成されている。第2吸入通路123は、第2スプール12aを駆動軸心O方向に貫通している。
この圧縮機では、第1スプール11a及び第2スプール12aによって、スプール13が構成されている。また、第1吸入通路113及び第2吸入通路123によって、吸入通路13aが構成されている。
また、第2スプール12aにおいて、第2周壁122には、第2連絡路124と、第3連絡路125と、第2係合溝126とが形成されている。第2連絡路124は、第2吸入通路123と連通しつつ、第2周壁122を第2スプール12aの径方向に延びており、第2周壁122の外周面に開口している。図14に示すように、第2連絡路124は、駆動軸3の第1径路35よりも駆動軸心O方向に長い長孔形状に形成されている。
第3連絡路125は、第2周壁122において、第2連絡路124よりも前方側に位置している。第3連絡路125は、第2吸入通路123と連通しつつ、第2周壁122を第2スプール12aの径方向に延びており、第2周壁122の外周面に開口している。第2係合溝126は、第3連絡路125よりも前方側に位置している。第2係合溝126は、第2周壁122を周方向に1周する環状をなしている。
図7に示すように、蓋体12bは、第2径路37の案内部37bと整合する円弧状に形成されており、図13に示すように、駆動軸心O方向に延びている。ここで、蓋体12bにおける駆動軸心O方向の長さは、案内部37bにおける駆動軸心O方向の長さに比べて短く設定されている。蓋体12bは、第2外周面127aと、第2内周面127bと、第2前端面127cと、第2後端面127dとを有している。
また、蓋体12bには、第2係合突部128が形成されている。第2係合突部128は、蓋体12bの後方に位置しており、第2内周面127bから第2スプール12aに向かって延びているとともに、第2内周面127bに沿って、蓋体12bの周方向に延びている。
図14に示すように、第1移動体11及び第2移動体12は、駆動軸3の後端から軸路33内に挿入されている。具体的には、第2移動体12の第2スプール12aが軸路33の小径部位33b内に挿入されている。これにより、第2スプール12aは、小径部位33b内で駆動軸心O方向に前後に摺動可能となっている。また、第2スプール12aでは、第2吸入通路123が小径部位33bと連通している。さらに、第2吸入通路123は、第2連絡路124を通じて、駆動軸3の第1径路35と連通可能となっている。こうして、第2連絡路124は、第1径路35及び固定斜板5の斜板通路5bを通じて、斜板室31と連通している。さらに、第2スプール12aが小径部位33b内で駆動軸心O方向に前後に摺動することにより、第2吸入通路123は、第3連絡路125を通じて、駆動軸3の第2径路37と連通可能となっている。
また、第2移動体12では、第2係合突部128を第2スプール12a側に向けた状態で、蓋体12bが第2径路37から挿通されている。そして、第2径路37内で第2係合突部128が第2係合溝126に係合されることにより、第2スプール12aに蓋体12bが連結されている。こうして、蓋体12bは、第2径路37内に配置されている。また、蓋体12bは、第2スプール12aが小径部位33b内で駆動軸心O方向に前後に摺動することにより、第2径路37内を駆動軸心O方向に前後に摺動可能となっている。
図7に示すように、蓋体12bは、駆動軸心Oを挟んで駆動軸3の本体部3bの反対側に位置して、第2軸孔23内に露出する。この際、蓋体12bは、第2径路37内に設けられることにより、本体部3bとともに第2軸孔23とほぼ同径をなす円筒体を構成する。これにより、蓋体12bは、本体部3bとともに第2軸孔23と整合する。
一方、図14に示すように、第1スプール11aは、第2スプール12aが軸路33の小径部位33b内に挿入された状態で、軸路33の大径部位33a内に挿入されている。この際、第1吸入通路113の第1径部113aに第2スプール12aの後端を挿入させている。こうして、第1スプール11aと第2スプール12aとが組み付けられており、第1スプール11aは、第2スプール12aに対して、相対移動しつつ、大径部位33a内で駆動軸心O方向に前後に摺動可能となっている。そして、第1スプール11aは、第1吸入通路113の段差113cを通じて、第2スプール12a、ひいては第2移動体12を駆動軸心O方向で前方に押圧可能となっている。また、第1スプール11aが大径部位33a内に挿入されることにより、第2シールリング41bは、大径部位33aの内壁面と第1周壁112の外周面との間を封止している。
また、第1径部113aに第2スプール12aの後端を挿入させることにより、第1吸入通路113と第2吸入通路123とが連通している。これにより、第1吸入通路113も斜板室31と連通している。このため、第1、2連通路113、123内、すなわち吸入通路13a内は、吸入圧力となっている。
また、第1移動体11では、第1係合突部118を第1スプール11a側に向けた状態で、第1弁体11bが案内窓39から挿通されている。そして、案内窓39内で第1係合突部118が第1係合溝115に係合されることにより、第1スプール11aに第1弁体11bが連結されている。こうして、第1弁体11bは、案内窓39内に配置されている。また、第1弁体11bは、第1スプール11aが大径部位33a内で駆動軸心O方向に前後に摺動することにより、案内窓39内を駆動軸心O方向に前後に摺動可能となっている。
図4〜図6に示すように、第1弁体11bは、駆動軸心Oを挟んで駆動軸3の本体部3bの反対側に位置して、第3軸孔25内に露出する。この際、第1弁体11bは、案内窓39内に設けられることにより、本体部3bとともに第3軸孔25とほぼ同径をなす円筒体を構成する。これにより、第1弁体11bは、本体部3bとともに第3軸孔25と整合する。
また、図14に示すように、第1スプール11aに第1弁体11bが連結されることにより、第1連絡路114と移動体通路47とが対向して連通している。こうして、移動体通路47は、第1連絡路114を通じて、第1、2吸入通路113、123と連通している。
このように、大径部位33a内に第1スプール11aが挿入されることにより、図1〜図3に示すように、第1スプール11aでは、第1端壁111が制御圧室28と対向している。これにより、第1スプール11aは、第1端壁111を通じて、制御圧室28の制御圧力が作用する。一方、第2スプール12aは、第1スプール11aによって、制御圧室28から区画されている。このため、第2スプール12a、ひいては第2移動体12には、制御圧力が直接作用しなくなっている。そして、第1、2立壁111、121及び第1、2周壁112、122によって、第1、2吸入通路113、123、すなわち、吸入通路13aが制御圧室28から区画されている。なお、制御圧力については後述する。なお、制御圧力については後述する。
また、図14に示すように、大径部位33a内において、段部33cと、第1スプール11aとの間には、第1コイルばね51が設けられている。第1コイルばね51は、第1スプール11aの第1周壁112と当接しつつ、第1移動体11を駆動軸心O方向で制御圧力に抗する方向、つまり、後方側に付勢している。
一方、小径部位33bの前端面330と、第2スプール12aとの間には、第2コイルばね53が設けられている。第2コイルばね53は、第1コイルばね51よりも小径に形成されている。第2コイルばね53は、第2スプール12aの第2端壁121と当接しつつ、第2移動体12を駆動軸心O方向で制御圧力に抗する方向、つまり、後方側に付勢している。ここで、第2コイルばね53の付勢力は、第1コイルばね51の付勢力よりも小さく設定されている。なお、第1、2コイルばね51、53の各付勢力は適宜設計可能である。
図4〜図6に示すように、この圧縮機では、駆動軸3が駆動軸心O周りに回転することにより、第1案内面303を通じて、第1弁体11bに駆動軸3の回転が伝達される。これにより、第1移動体11は、駆動軸3とともに駆動軸心O周りに回転可能となっている。ここで、第1係合溝115と第1係合突部118とが係合することにより、第1スプール11aは、大径部位33a内において、第1弁体11bから独立して駆動軸心O周りに回転することが規制されている。
また、駆動軸3が回転することによって、移動体通路47がリヤ側連通路26a〜26eに間欠的に連通する。そして、移動体通路47は、第1弁体11bの案内窓39内における位置に応じて、駆動軸3の1回転当たりでリヤ側連通路26a〜26eと連通する駆動軸心O周りの連通角度が変化する。以下では、駆動軸3の1回転当たりで移動体通路47とリヤ側連通路26a〜26eとが連通する駆動軸心O周りの連通角度について、単に連通角度と記載する。
さらに、図7に示すように、この圧縮機では、駆動軸3が駆動軸心O周りに回転することにより、第2案内面306を通じて、蓋体12bにも駆動軸3の回転が伝達される。これにより、第2移動体12も、駆動軸3とともに駆動軸心O周りに回転可能となっている。ここで、第2係合溝126と第2係合突部128とが係合することにより、第2スプール12aは、小径部位33b内において、蓋体12bから独立して駆動軸心O周りに回転することが規制されている。
さらに、この圧縮機では、駆動軸3が回転することによって、図7及び図8に示すように、第2径路37がフロント側連通路24a〜24eと間欠的に連通する。そして、蓋体12bの第2径路37内における位置に応じて、第2径路37とフロント側連通路24a〜24eとの連通面積が変化する。
図1〜図3に示すように、制御弁15は、リヤハウジング19に設けられている。また、リヤハウジング19には、給気通路15aと、第1抽気通路15bとが形成されている他、図示しない検知通路が形成されている。さらに、リヤハウジング19及び第1シリンダブロック21に亘って、第2抽気通路15cが形成されている。給気通路15aは、リヤ側吐出室29と制御圧室28とに接続している。第1抽気通路15bは、制御圧室28と制御弁15とに接続している。第2抽気通路15cは、制御弁15と斜板室31とに接続している。検知通路は、斜板室31と制御弁15とに接続している。
制御圧室28には、給気通路15aを通じて、リヤ側吐出室29内の冷媒ガスの一部が導入される。また、制御圧室28は、第1、2抽気通路15b、15cを通じて、制御圧室28内の冷媒ガスが斜板室31に導出される。そして、制御弁15は、検知通路を通じて斜板室31内の吸入圧力を感知することで、弁開度が調整される。これにより、制御弁15は、弁開度を調整することで、第1、2抽気通路15b、15cを流通する冷媒ガスの流量を調整する。具体的には、制御弁15は、弁開度を大きくすることにより、第1、2抽気通路15b、15cを経て制御圧室28から斜板室31に導出される冷媒ガスの流量を増大させる。一方、制御弁15は、弁開度を小さくすることにより、第1、2抽気通路15b、15cを経て制御圧室28から斜板室31に導出される冷媒ガスの流量を減少させる。こうして、制御弁15は、リヤ側吐出室29から制御圧室28に導入される冷媒ガスの流量に対して、制御圧室28から斜板室31に導出される冷媒ガスの流量を変化させることで、制御圧室28の冷媒ガスの圧力である制御圧力を制御する。
以上のように構成された圧縮機では、駆動軸3が駆動軸心O周りで回転することにより、斜板室31内で固定斜板5が回転する。これにより、ピストン7では、第1ヘッド7aが第1シリンダボア21a〜21e内を上死点と下死点との間で往復動し、第2ヘッド7bが第2シリンダボア22a〜22e内を上死点と下死点との間で往復動する。このため、第1圧縮室43a〜43e及び第2圧縮室45a〜45eでは、内部の冷媒ガスが再膨張する再膨張行程と、内部に冷媒ガスを吸入する吸入行程と、内部の冷媒ガスを圧縮する圧縮行程と、圧縮された冷媒ガスをフロント側吐出室27やリヤ側吐出室29に吐出する吐出行程とが繰り返し行われることとなる。こうして、フロント側吐出室27及びリヤ側吐出室29に吐出された冷媒ガスは、第1、2連通孔8b、9b、第1、2吐出通路211、222及び吐出口223を経て凝縮器に吐出される。
具体的には、この圧縮機では、駆動軸3が図7及び図8に示す回転角度にある際、第2圧縮室45aは、再膨張行程乃至吸入行程の初期段階となる。これにより、第2圧縮室45bでは、第2圧縮室45aよりも吸入行程が進んだ状態となり、吸入行程の中期段階となる。そして、第2圧縮室45cでは、ピストン7の第2ヘッド7bが下死点となり、吸入行程から圧縮行程に移行する状態となる。つまり、第2圧縮室45cでは、吸入行程の後期段階から圧縮行程の初期段階に移行する状態にある。また、第2圧縮室45dでは、第2圧縮室45cよりも圧縮行程が進んだ状態となり、圧縮行程の中期段階となる。そして、第2圧縮室45eでは、圧縮行程の後期段階から吐出行程に移行する状態となる。なお、図7及び図8では、説明を容易にするため、第2ヘッド7bの図示を省略している。
ここで、この圧縮機では、第2径路37は、再膨張行程乃至吸入行程の初期段階にある第2圧縮室45a〜45eと連通するフロント側連通路24a〜24eと、吸入行程の中期段階にある第2圧縮室45a〜45eと連通するフロント側連通路24a〜24eとに対向する。より厳密には、第2径路37とフロント側連通路24a〜24eとが対向した際には、第2圧縮室45a〜45eでは、再膨張行程が終了し、吸入行程の初期段階となる。一方、駆動軸3の本体部3bは、圧縮行程又は吐出行程にある第2圧縮室45a〜45eに連通するフロント側連通路24a〜24eと対向する。つまり、駆動軸3の回転角度が図7及び図8に示す状態にあるときには、第2圧縮室45aが吸入行程の初期段階にあり、第2圧縮室45bが吸入行程の中期段階にあることから、第2径路37は、フロント側連通路24a及びフロント側連通路24bと対向する。また、本体部3bは、フロント側連通路24c〜24eと対向する。
そして、駆動軸3が図7及び図8に示す位置よりもR1方向にさらに回転すれば、第2径路37は、フロント側連通路24eとフロント側連通路24aとに対向する。この際、フロント側連通路24eと連通する第2圧縮室45eは、吸入行程の初期段階となっており、フロント側連通路24aと連通する第2圧縮室45aは、吸入行程の中期段階となっている。こうして、駆動軸3が回転することにより、第2径路37は、吸入行程の初期段階にある第2圧縮室45a〜45eに連通するフロント側連通路24a〜24eと、吸入行程の中期段階にある第2圧縮室45a〜45eと連通するフロント側連通路24a〜24eとに順次対向する。また、本体部3bは、圧縮行程又は吐出行程にある第2圧縮室45a〜45eに連通するフロント側連通路24a〜24eと順次対向する。
第2圧縮室45a〜45eが上記のような吸入行程や吐出行程等にあるとき、図4〜図6に示す第1圧縮室43aは、圧縮行程の中期段階にある。また、第1圧縮室43bでは、第1圧縮室43aよりも圧縮行程が進んだ状態となり、圧縮行程の後期段階となる。そして、第1圧縮室43cでは、ピストン7の第1ヘッド7aが上死点となり、吐出行程から再膨張行程乃至吸入行程の初期段階に移行する状態となる。また、第1圧縮室43dでは、第1圧縮室43cよりも吸入行程が進んだ状態となり、吸入行程の中期段階となる。そして、第1圧縮室43eでは、第1圧縮室43dよりも吸入行程がさらに進んだ状態となり、吸入行程の後期段階となる。つまり、第1圧縮室43a〜43eのうち、第1圧縮室43a、43bは高圧の状態となり、第1圧縮室43cは高圧から低圧に移行する状態となる。そして、第1圧縮室43d、43eは低圧の状態となる。
また、この圧縮機では、第1弁体11bが案内窓39内に設けられることにより、第1弁体11bは、再膨張行程又は吸入行程にある第1圧縮室43a〜43eに連通するリヤ側連通路26a〜26eに対向する。つまり、駆動軸3が図4〜6に示す回転角度にあるとき、第1弁体11bは、第1圧縮室43cに連通するリヤ側連通路26cと、第1圧縮室43dに連通するリヤ側連通路26dと、第1圧縮室43eに連通するリヤ側連通路26eとに対向する。一方、駆動軸3の本体部3bは、圧縮行程又は吐出行程にある第1圧縮室43a〜43eに連通するリヤ側連通路26a〜26eと対向する。このため、駆動軸3が図4〜6に示す回転角度にあるとき、本体部3bは、第1圧縮室43aに連通するリヤ側連通路26aや、第1圧縮室43bに連通するリヤ側連通路26bに対向する。ここで、上記のように、第1圧縮室43cは、吐出行程から再膨張行程乃至吸入行程の初期段階に移行する状態にある。これにより、本体部3bは、第1圧縮室43cが吐出行程にある期間の大部分において、リヤ側連通路26cとも対向する。
そして、駆動軸3が図4〜図6に示す位置よりもR1方向にさらに回転すれば、第1圧縮室43b〜43dが再膨張行程又は吸入行程となり、第1圧縮室43e、43aが圧縮行程又は吐出行程となる。これにより、第1弁体11bは、リヤ側連通路26b〜26dに対向し、本体部3bは、リヤ側連通路26e、26aに対向する。こうして、駆動軸3が回転することにより、第1弁体11bは、再膨張行程又は吸入行程にある第1圧縮室43a〜43eに連通するリヤ側連通路26a〜26eと順次対向し、本体部3bは、圧縮行程又は吐出行程にある第1圧縮室43a〜43eに連通するリヤ側連通路26a〜26eと順次対向する。
この圧縮機では、移動体10を駆動軸3に対して駆動軸心O方向に移動させることにより、駆動軸3の1回転当たりで斜板室31から第1圧縮室43a〜43eに吸入される冷媒ガスの流量を変更することができるとともに、斜板室31から第2圧縮室45a〜45eに吸入される冷媒ガスの流量を変更することができる。これらにより、この圧縮機では、第1圧縮室43a〜43eからリヤ側吐出室29に吐出される冷媒ガスの流量と、第2圧縮室45a〜45eからフロント側吐出室27に吐出される冷媒ガスの流量とからなる吐出流量を変更することができる。
具体的には、吐出流量を増大させる場合には、制御弁15が弁開度を小さくすることで、制御圧室28から斜板室31に導出される冷媒ガスの流量を減少させる。こうして、制御弁15は、制御圧室28の制御圧力を増大させる。これにより、制御圧力と吸入圧力との差圧である可変差圧が大きくなる。
このため、移動体10では、軸路33の大径部位33a内において、第1移動体11の第1スプール11aが第1コイルばね51の付勢力に抗しつつ、図1に示す位置から駆動軸心O方向で前方に移動し始める。このため、第1弁体11bは、案内窓39内を駆動軸心O方向で前方に移動し始める。これにより、移動体通路47は、リヤ側連通路26a〜26eに対して前方に相対移動する。このため、移動体通路47は、第1部位47aに近い位置でリヤ側連通路26a〜26eと連通する。こうして、この圧縮機では、駆動軸3の1回転当たりにおける連通角度が徐々に大きくなる。
そして、制御弁15が弁開度をさらに小さくし、制御圧室28の制御圧力をさらに増大させることにより、第1スプール11aが大径部位33a内をさらに前方に移動した状態となり、図2に示すように、第1吸入通路113内において、段差113cに第2スプール12aが当接する。この状態で、制御弁15が制御圧力を最大まで増大させることにより、可変差圧が最大となる。これにより、図3に示すように、第1スプール11aは、段差113cを通じて第2スプール12aを前方に押圧しつつ、大径部位33a内を最も前方に移動した状態となる。また、第1弁体11bが案内窓39内を最も前方に移動した状態となり、第1前端面117cが第1規制面301と当接する。これにより、第1弁体11bの前方への移動が規制される。そして、第1弁体11bを通じて、第1スプール11aの前方への移動も規制される。このように、第1弁体11bが案内窓39内を最も前方に移動することにより、移動体通路47は、第1部位47aにおいてリヤ側連通路26a〜26eと連通する。こうして、この圧縮機では、駆動軸3の1回転当たりにおける連通角度が最大となる。
また、第1スプール11aに押圧されて、第2スプール12aが小径部位33b内を前方に移動することにより、第2連絡路124が第1径路35に対して前方に相対移動する。ここで、第2連絡路124は、第1径路35よりも駆動軸心O方向に長い長孔形状であるため、第2連絡路124が第1径路35に対して相対移動しても、第2連絡路124と第1径路35との連通面積は一定となっている。換言すれば、第2連絡路124の駆動軸心O方向の長さは、第2連絡路124が第1径路35に対して相対移動しても、第2連絡路124と第1径路35との連通面積が変化しない長さに設定されている。
そして、可変差圧が最大の状態では、駆動軸3が図6に示す回転角度にあるとき、第1弁体11bは、リヤ側連通路26c〜26eと移動体通路47とを連通させる。すなわち、第1弁体11bは、再膨張行程乃至吸入行程の初期段階にある第1圧縮室43a〜43eに連通するリヤ側連通路26a〜26eと、吸入行程の中期段階にある第1圧縮室43a〜43eに連通するリヤ側連通路26a〜26eと、吸入行程の後期段階にある第1圧縮室43a〜43eに連通するリヤ側連通路26a〜26eとに対し、移動体通路47を連通させる。ここで、リヤ側連通路26a〜26eと移動体通路47とが連通した時点では、第1圧縮室43a〜43eでは、再膨張行程が終了し、吸入行程の初期段階となる。また、駆動軸3の本体部3bは、圧縮行程又は吐出行程にある第1圧縮室43a〜43eに連通するリヤ側連通路26a〜26eと対向する。
このように、可変差圧が最大となることで、第1圧縮室43a〜43eには、吸入行程の初期段階から後期段階に亘って、斜板室31内の冷媒ガスが第1、2吸入通路113、123、第1連絡路114、移動体通路47及びリヤ側連通路26a〜26eを経て吸入される。このため、第1圧縮室43a〜43e内に吸入される冷媒ガスの流量が増大する。このため、この圧縮機では、第1圧縮室43a〜43eからリヤ側吐出室29に吐出される冷媒ガスの流量が最大となる。
また、可変差圧が最大となることにより、第2スプール12aは、第1スプール11aに押圧されつつ、小径部位33b内を最も前方に移動する。これにより、第3連絡路125が第2径路37の本体部37aと対向するとともに、第3連絡路125と第2径路37との連通面積が最大となる。このため、第2径路37と第2吸入通路123との連通面積、すなわち、第2径路37と吸入通路13aとの連通面積が最大となる。この際、蓋体12bが第2径路37内を最も前方に移動した状態となり、第2前端面127cが第3規制面304と当接する。これにより、蓋体12bの前方への移動が規制される。また、蓋体12bを通じて、第2スプール12aの前方への移動も規制される。
そして、蓋体12bは、第2径路37内を最も前方に移動することにより、フロント側連通路24a〜24eに対する第2径路37の開度を最大にする。こうして、第2径路37とフロント側連通路24a〜24eとの連通面積、ひいては、フロント側連通路24a〜24eと第2吸入通路123との連通面積が最大となる。なお、蓋体12bの前方への移動が第3規制面304によって規制されるタイミングと、第1弁体11bの前方への移動が第1規制面301によって規制されるタイミングとは同じである。
こうして、可変差圧が最大であるときには、図8に示すように、斜板室31内から、第2吸入通路123、第3連絡路125、第2径路37及びフロント側連通路24a〜24eを経て、吸入行程の初期段階や吸入行程の中期段階にある第2圧縮室45a〜45e内に吸入される冷媒ガスの流量が最大となる。このため、この圧縮機では、第2圧縮室45a〜45eからフロント側吐出室27に吐出される冷媒ガスの流量が最大となる。
このように、この圧縮機では、制御弁15が可変差圧を最大とすることにより、吐出流量が最大流量となる。
一方、吐出流量を減少させる場合には、制御弁15が弁開度を大きくすることで、制御圧室28から斜板室31に導出される冷媒ガスの流量を増大させる。こうして、制御弁15は、制御圧室28の制御圧力を減少させる。これにより、可変差圧が最大の状態から小さくなる。
このため、大径部位33a内において、第1スプール11aが第1コイルばね51の付勢力によって、図3に示す位置から駆動軸心O方向で後方に移動し始める。このため、第1弁体11bは、案内窓39内を駆動軸心O方向で後方に移動し始める。これにより、移動体通路47は、リヤ側連通路26a〜26eに対して後方に相対移動する。このため、移動体通路47は、第2部位47bに近い位置でリヤ側連通路26a〜26eと連通する。こうして、この圧縮機では、駆動軸3の1回転当たりにおける連通角度が徐々に小さくなる。
また、第1スプール11aと同様、小径部位33b内において、第2スプール12aが第2コイルばね53の付勢力によって、駆動軸心O方向で後方に移動し始める。このため、第3連絡路125と第2径路37との連通面積が減少し、第2径路37と吸入通路13aとの連通面積が減少する。さらに、蓋体12bが第2径路37内を駆動軸心O方向で後方に移動し始めることにより、蓋体12bは、フロント側連通路24a〜24eに対する第2径路37の開度を減少させ始める。これにより、第2径路37とフロント側連通路24a〜24eとの連通面積が徐々に減少する。
そして、制御弁15が弁開度をさらに大きくし、制御圧室28の制御圧力をさらに減少させることで、第1コイルばね51の付勢力によって、第1スプール11aがさらに後方に移動し、図2に示す位置まで移動する。こうして、この状態では、駆動軸3の1回転当たりにおける連通角度が最大である際の約半分となる。
この状態では、駆動軸3が図5に示す回転角度にあるとき、第1弁体11bは、リヤ側連通路26c、26dと移動体通路47とを連通させる。そして、第1弁体11bは第1外周面117aによって、リヤ側連通路26eと、移動体通路47とを非連通とさせる。すなわち、第1弁体11bは、吸入行程の初期段階にある第1圧縮室43a〜43eに連通するリヤ側連通路26a〜26eと、吸入行程の中期段階にある第1圧縮室43a〜43eに連通するリヤ側連通路26a〜26eとに対し、移動体通路47を連通させる。また、駆動軸3の本体部3bは、圧縮行程又は吐出行程にある第1圧縮室43a〜43eに連通するリヤ側連通路26a〜26eと対向する。
こうして、第1圧縮室43a〜43eには、吸入行程の初期段階から中期段階に亘って、斜板室31内の冷媒ガスが吸入される。このため、第1圧縮室43a〜43e内に吸入される冷媒ガスの流量が最大流量時に比べて減少することから、第1圧縮室43a〜43eからリヤ側吐出室29に吐出される冷媒ガスの流量が減少する。この結果、吐出流量が最大流量と最少流量との間に設定された所定流量となる。ここで、この圧縮機では、所定流量が最大流量の約半分に設定されている。なお、所定流量は、最大流量と最少流量との間において適宜設定可能である。
また、吐出流量が所定流量にあるときには、第2コイルばね53の付勢力によって、第2スプール12aがさらに後方に移動するため、第3連絡路125と第2径路37とが非連通となる。さらに、蓋体12bが第2径路37内を駆動軸心O方向に最も後方側に移動することで、図14に示すように、第2後端面127dが第4規制面305と当接する。このため、第2径路37内における蓋体12bの後方への移動、ひいては、第2移動体12の後方への移動が規制される。そして、蓋体12bは、第2径路37内を駆動軸心O方向に最も後方側に移動することで、フロント側連通路24a〜24eに対する第2径路37の開度をほぼゼロとする。これらにより、第2径路37とフロント側連通路24a〜24eとの連通面積がほぼゼロとなる。ここで、第4規制面305によって、第2径路37内における蓋体12bの後方への移動が規制された状態においても、案内窓39内において、第1弁体11bの第1後端面117dは、第2規制面302とは当接していない。このため、吐出流量が所定流量の状態では、案内窓39内における第1弁体11bの後方への移動は規制されていない。
こうして、吐出流量が所定流量にあるときには、図7に示すように、第2径路37は、駆動軸3が回転することによって、吸入行程の初期段階や吸入行程の中期段階にある第1圧縮室43a〜43eと連通するフロント側連通路24a〜24eと対向するものの、蓋体12bによって、第2吸入通路123からフロント側連通路24a〜24eへ冷媒ガスがほぼ流通しなくなる。
この結果、この圧縮機では、吐出流量が所定流量にあるときには、斜板室31から第2圧縮室45a〜45eに吸入される冷媒ガスの流量がほぼゼロとなる。こうして、この圧縮機では、第2圧縮室45a〜45eからフロント側吐出室27に吐出される冷媒ガスの流量がほぼゼロとなる。つまり、吐出流量が所定流量であるときには、第2圧縮室45a〜45eは、吸入仕事や圧縮仕事が行われない気筒休止状態となる。換言すれば、所定流量の値は、第1圧縮室43a〜43eからリヤ側吐出室29に吐出される冷媒ガスの流量のみで決定される。
そして、制御弁15が弁開度をさらに大きくし、制御圧室28の制御圧力をさらに減少させることで、可変差圧が最小となる。ここで、第4規制面305によって、第2径路37内における蓋体12bの後方への移動が規制されているため、第2スプール12aは、第2コイルばね53の付勢力によっても、小径部位33b内を後方に移動することができなくなっている。つまり、第2移動体12における後方側の移動が規制されたままとなる。このため、図1に示すように、第1スプール11aは、第1コイルばね51の付勢力によって、第2スプール12aとは独立して後方にさらに移動する。これにより、第1弁体11bが案内窓39内を最も後方に移動した状態となり、第1後端面117dが第2規制面302と当接する。こうして、第1弁体11bの後方への移動が規制される。また、第1弁体11bを通じて、第1スプール11aの後方への移動も規制される。このように、第1弁体11bが案内窓39内を最も後方に移動することにより、移動体通路47は、第2部位47bにおいてリヤ側連通路26a〜26eと連通する。こうして、この圧縮機では、駆動軸3の1回転当たりにおける連通角度が最小となる。
この状態では、駆動軸3が図4に示す回転角度にあるとき、第1弁体11bは、リヤ側連通路26cと移動体通路47とを連通させる。ここで、上記のように、駆動軸3がこの回転角度にあるときには、リヤ側連通路26cが連通する第1圧縮室43cは、吐出行程から再膨張行程乃至吸入行程の初期段階に移行する状態にあるものの、移動体通路47がリヤ側連通路26cと連通した段階では、第1圧縮室43cは、吸入行程の初期段階となっている。また、第1弁体11bは、第1外周面117aによって、リヤ側連通路26d、26eと、移動体通路47とを非連通とさせる。すなわち、第1弁体11bは、吸入行程の初期段階にある第1圧縮室43a〜43eに連通するリヤ側連通路26a〜26eのみ、移動体通路47と連通させる。また、駆動軸3の本体部3bは、圧縮行程又は吐出行程にある第1圧縮室43a〜43eに連通するリヤ側連通路26a〜26eと対向することにより、圧縮行程又は吐出行程にある第1圧縮室43a〜43eに連通するリヤ側連通路26a〜26eと、移動体通路47とを非連通とさせる。
このように、可変差圧が最小であるときには、第1圧縮室43a〜43eには、吸入行程の初期段階にあるときだけ、移動体通路47及びリヤ側連通路26a〜26e等を通じて、斜板室31から冷媒ガスが吸入される。このため、斜板室31から第1圧縮室43a〜43eに吸入される冷媒ガスの流量が最も少なくなる。第1圧縮室43a〜43eからリヤ側吐出室29に吐出される冷媒ガスの流量が最少となる。また、第2圧縮室45a〜45eは、引き続き気筒休止状態となっている。こうして、この圧縮機では、吐出流量が最少流量となる。つまり、最少流量の値についても、第1圧縮室43a〜43eからリヤ側吐出室29に吐出される冷媒ガスの流量のみで決定される。
この圧縮機では、第1、2スプール11a、12aによって、スプール13が構成されている。そして、第1スプール11aは、軸路33の大径部位33aとほぼ同径をなして駆動軸心O方向に延びる有底の円筒状に形成されており、第2スプール12aは、軸路33の小径部位33bとほぼ同径をなして駆動軸心O方向に延びる略円筒状に形成されている。これらにより、この圧縮機では、第1、2スプール11a、12a、ひいてはスプール13について、軸路33内に摺動可能としつつ、十分な大きさで形成することが可能となっている。こうして、この圧縮機では、第1、2スプール11a、12a、ひいては、第1、2移動体11、12の剛性を十分に高くすることが可能となっており、制御圧力によって、第1、2移動体11、12を駆動軸心O方向に好適に移動させることが可能となっている。
ここで、第1スプール11aの内部に第1吸入通路113が形成されており、第2スプール12aの内部に第2吸入通路123が形成されている。これらの第1吸入通路113及び第2吸入通路123は、吸入通路13aを構成しており、第2連絡路124及び第1径路35を通じて斜板室31と連通している。このため、第1、2吸入通路113、123内には斜板室31から吸入された冷媒ガスが流通可能となっている。このように、この圧縮機では、軸路33内において、スプール13との間に吸入通路13aを設ける必要がない。このため、この圧縮機では、制御圧力によって、移動体10を駆動軸心O方向に好適に移動させるに当たって、スプール13を大型化して剛性を確保しても、スプール13内に吸入通路13aを好適に確保することが可能となっており、冷媒ガスが吸入通路13a内を好適に流通可能となっている。これにより、この圧縮機では、吸入通路13aから移動体通路47及びリヤ側連通路26a〜26eを通じて、斜板室31の冷媒ガスを第1圧縮室43a〜43e内に好適に吸入させることが可能となっている。また、この圧縮機では、吸入通路13aから第2径路37及びフロント側連通路24a〜24eを通じて、斜板室31の冷媒ガスを第2圧縮室45a〜45e内にも好適に吸入させることが可能となっている。
したがって、実施例1の圧縮機は、制御性に優れ、かつ冷媒の圧縮性能を高くできる。
特に、この圧縮機では、第2連絡路124が第1径路35よりも駆動軸心O方向に長く延びる長孔形状となっている。このため、第2スプール12aが駆動軸心O方向に移動しても、第1径路35と第2連絡路124との連通面積が常に一定となっている。こうして、この圧縮機では、吐出流量が最大流量と最少流量との間で変化しても、斜板室31から吸入通路13a内に吸入される冷媒ガスの流量を一定にすることが可能となっており、斜板室31から吸入通路13a内に安定的に冷媒ガスを吸入させることが可能となっている。
また、この圧縮機では、圧縮行程又は吐出行程にある第1圧縮室43a〜43eと連通するリヤ側連通路26a〜26eを通じて、圧縮行程で圧縮された高圧の冷媒ガスの一部が第3軸孔25内に向かって流通する。同様に、圧縮行程又は吐出行程にある第2圧縮室45a〜45eと連通するフロント側連通路24a〜24eを通じて、圧縮行程で圧縮された高圧の冷媒ガスの一部が第2軸孔23内に向かって流通する。この点、この圧縮機では、第3軸孔25内において、駆動軸3の本体部3bが圧縮行程又は吐出行程にある第1圧縮室43a〜43eと連通するリヤ側連通路26a〜26eと対向する。また、第2軸孔23内において、本体部3bが圧縮行程又は吐出行程にある第2圧縮室45a〜45eと連通するフロント側連通路24a〜24eと対向する。
これにより、本体部3b、ひいては駆動軸3は、圧縮行程又は吐出行程にある第1圧縮室43a〜43eと連通するリヤ側連通路26a〜26eと、移動体通路47とを非連通にする。さらに、駆動軸3は、圧縮行程又は吐出行程にある第2圧縮室45a〜45eと連通するフロント側連通路24a〜24eと、第2径路37とを非連通にする。そして、駆動軸3は鉄鋼製であることから、駆動軸3は、圧縮行程や吐出行程にある第1、2圧縮室43a〜43e、45a〜45eからの圧縮荷重を好適に受け止めることが可能となっている。この結果、第1弁体11b及び蓋体12b、ひいては移動体10には、圧縮荷重が作用し難くなっている。この点においても、この圧縮機では、移動体10が駆動軸心O方向に移動し易くなっている。
さらに、この圧縮機では、吐出流量が所定流量から最少流量まで減少する間、第1移動体11が第2移動体12とは独立して後方側に移動可能となっている。つまり、この圧縮機では、吐出流量が所定流量から最少流量まで減少する間において、第2移動体12における駆動軸心O方向の移動量に比べて、第1移動体11における駆動軸心O方向の移動量を大きくすることが可能となっている。このため、この圧縮機では、第1移動体11における駆動軸心O方向の移動量と、第2移動体12における駆動軸心O方向の移動量とが等しく設定されている場合に比べて、駆動軸3の軸長の短小化による小型化を実現しつつ、吐出流量を最大流量と最少流量との間で好適に変化させることが可能となっている。また、この圧縮機では、第2移動体12における駆動軸心O方向の移動量を小さくすることにより、駆動軸3内において、小径部位33bを含め、軸路33を駆動軸心O方向に過度に長く形成する必要がない。このため、この圧縮機では、駆動軸の剛性の低下を抑制することが可能となっている。
また、この圧縮機では、駆動軸3において、第2径路37の開口面積が案内窓39の開口面積よりも小さくなっている。このため、第2径路37の開口面積と案内窓39の開口面積とが同等である場合に比べて、第2径路37及び案内窓39等が形成されることによる駆動軸3の剛性の低下を抑制することが可能となっている。
さらに、この圧縮機では、第1スプール11a内に第2スプール12aが挿入されて、第1スプール11aと第2スプール12aとが組み付けられることから、内部に第2吸入通路123を確保しつつ、第2スプール12aを可及的に小径化させることが可能となっている。また、第2コイルばね53は、第1コイルばね51よりも小径とされている。これらにより、この圧縮機では、軸路33の小径部位33bを十分に小径化させることが可能となっている。この点においても、この圧縮機では、駆動軸3の剛性の低下を抑制することが可能となっている。
また、この圧縮機では、第1、2抽気通路15b、15cを経て制御圧室28から斜板室31に導出される冷媒ガスの流量を制御弁15によって変化させる抜き側制御を行っている。これにより、この圧縮機では、吐出流量を変化させるに当たって使用するリヤ側吐出室29内の冷媒ガスの量を少なくできることから、圧縮機の効率を高くすることが可能となっている。
(実施例2)
図15及び図16に示すように、実施例2の圧縮機では、駆動軸3の軸路33が小径部位33bのみで構成されている。また、この圧縮機では、第1移動体11がスプール61と、第1弁体11bとからなる。
スプール61は、実施例1の圧縮機における第1スプール11aよりも駆動軸心O方向に長く形成されている。スプール61は、後壁611と、周壁612と、前壁613とを有している。後壁611は、小径部位33bとほぼ同径をなす円板状に形成されている。周壁612は、後壁611の外周と接続しており、後壁611から、駆動軸心O方向で前方に向かって直線状に延びている。前壁613は、外周側が小径部位33bとほぼ同径に形成されており、中心部分が前方に突出する略円板状に形成されている。前壁613は、周壁612の前端と接続している。
スプール61の内部には、吸入通路63が形成されている。吸入通路63は、スプール61の後端から前方に向かって駆動軸心O方向に向かって延びており、前壁613を貫通している。これにより、スプール61は、軸路33とほぼ同径をなして駆動軸心O方向に延びる有底の円筒状をなしている。また、周壁612には、第1連絡路614と、第2連絡路615と、第3連絡路616とが形成されている。第1連絡路614は、周壁612の後方側に配置されている。第1連絡路614は、吸入通路63と連通しつつ、周壁612をスプール61の径方向に延びており、周壁612の外周面に開口している。第2連絡路615は、周壁612において、第1連絡路614よりも前方側に配置されている。第2連絡路615は、吸入通路63と連通しつつ、周壁612をスプール61の径方向に延びており、周壁612の外周面に開口している。第2連絡路615は、実施例1の圧縮機における第2連絡路124と同様、駆動軸3の第1径路35よりも駆動軸心O方向に長い長孔形状に形成されている。第3連絡路616は、周壁612において、第2連絡路615よりも前方側に配置されている。第3連絡路616は、吸入通路63と連通しつつ、周壁612をスプール61の径方向に延びており、周壁612の外周面に開口している。
さらに、周壁612には、第1係合溝115と、第2保持溝116と、第2係合溝126とが形成されている。第2保持溝116内には、第2シールリング41bが設けられている。
スプール61は、軸路33内に挿入されており、軸路33内で駆動軸心O方向に前後に摺動可能となっている。また、スプール61が軸路33内に挿入されることにより、後壁611は制御圧室28と対向する。そして、吸入通路63は、軸路33と連通しているとともに、後壁611、周壁612及び前壁613によって、制御圧室28から区画されている。さらに、吸入通路63は、第2連絡路615を通じて、第1径路35と連通可能となっている。これにより、吸入通路63は斜板室31と連通している。さらに、スプール61が軸路33内で駆動軸心O方向に前後に摺動することにより、吸入通路63は、第3連絡路616を通じて、駆動軸3の第2径路37と連通可能となっている。
また、軸路33の前端面330とスプール61の前壁613との間に第2コイルばね53が設けられている。そして、実施例1の圧縮機と同様に、第1弁体11bの第1係合突部118が第1係合溝115に係合されることにより、スプール61に第1弁体11bが連結されている。こうして、移動体通路47は、第1連絡路614と対向して連通している。また、実施例1の圧縮機と同様に、蓋体12bの第2係合突部128が第2係合溝126に係合されることにより、スプール61に蓋体12bが連結されている。この圧縮機における他の構成は、実施例1の圧縮機と同様であり、同一の構成については同一の符号を付して構成に関する詳細な説明を省略する。
この圧縮機では、斜板室31内の冷媒ガスが吸入通路63、第1連絡路614、移動体通路47及びリヤ側連通路26a〜26eを経て、第1圧縮室43a〜43eに吸入される。また、斜板室31内の冷媒ガスが吸入通路63、第3連絡路616、第2径路37及びフロント側連通路24a〜24eを経て、第2圧縮室45a〜45eに吸入される。
そして、制御弁15が可変差圧を増大させることにより、スプール61が軸路33内を前方に移動する。このため、第1弁体11bが案内窓39内を前方に向かって移動するとともに、蓋体12bが第2径路37内を前方に向かって移動する。そして、制御弁15が可変差圧を最大とすれば、図16に示すように、第1弁体11bが案内窓39内を最も前方に移動するため、駆動軸3の1回転当たりにおける連通角度が最大となる。これにより、実施例1の圧縮機と同様、第1圧縮室43a〜43eからリヤ側吐出室29に吐出される冷媒ガスの流量が最大となる。
また、制御弁15が可変差圧を最大とし、スプール61が軸路33内を最も前方に移動することにより、第3連絡路616と第2径路37との連通面積が最大となる。このため、第2径路37と吸入通路63との連通面積が最大となる。そして、スプール61が軸路33内を最も前方に移動することに伴い、蓋体12bについても第2径路37内を最も前方に移動することから、蓋体12bは、フロント側連通路24a〜24eに対する第2径路37の開度を最大にする。これらのため、実施例1の圧縮機と同様、第2圧縮室45a〜45eからフロント側吐出室27に吐出される冷媒ガスの流量が最大となり、ひいては吐出流量が最大流量となる。
一方、制御弁15が可変差圧を減少させることにより、スプール61が軸路33内を後方に移動する。このため、第1弁体11bが案内窓39内を後方に向かって移動する。また、スプール61が軸路33内を後方に移動することにより、第3連絡路616と第2径路37との連通面積が減少するため、第2径路37と吸入通路63との連通面積が減少する。この際、蓋体12bも第2径路37内を後方に向かって移動する。
そして、制御弁15が可変差圧を最小とすれば、図15に示すように、スプール61が軸路33内を最も後方に移動するため、第1弁体11bが案内窓39内を最も後方に移動する。このため、駆動軸3の1回転当たりにおける連通角度が最小となる。これにより、実施例1の圧縮機と同様、第1圧縮室43a〜43eからリヤ側吐出室29に吐出される冷媒ガスの流量が最少となる。
また、制御弁15が可変差圧を最小とし、スプール61が軸路33内を最も後方に移動することにより、第3連絡路616と第2径路37とが非連通となる。さらに、スプール61が軸路33内を最も後方に移動することに伴い、蓋体12bについても第2径路37内を最も後方に移動する。このため、蓋体12bは、フロント側連通路24a〜24eに対して第2径路37を閉鎖し、フロント側連通路24a〜24eに対する第2径路37の開度をほぼゼロとする。これらにより、実施例1の圧縮機と同様、第2圧縮室45a〜45eは気筒休止状態となる。こうして、この圧縮機では、吐出流量が最少流量となる。
この圧縮機では、スプール61が軸路33とほぼ同径をなして駆動軸心O方向に延びる有底の円筒状に形成されている。また、実施例1の圧縮機と異なり、スプール61は単一の部材で構成されている。これらにより、この圧縮機でも、スプール61の剛性を十分に高くすることが可能となっており、移動体10を駆動軸心O方向に好適に移動させることが可能となっている。また、スプール61の内部に吸入通路63が形成されているため、吸入通路63等を通じて、斜板室31の冷媒ガスを第1、2圧縮室43a〜43e、45a〜45e内に好適に吸入させることが可能となっている。この圧縮機における他の作用は、実施例1の圧縮機と同様である。
以上において、本発明を実施例1、2に即して説明したが、本発明は上記実施例1、2に制限されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更して適用できることはいうまでもない。
例えば、実施例1、2の圧縮機について、第2圧縮室45a〜45eの形成を省略した片頭ピストン式圧縮機として構成しても良い。
また、実施例1、2の圧縮機において、蓋体12bを省略しても良い。
さらに、実施例1の圧縮機において、吐出流量が最大流量から減少するにつれて、第2連絡路124と第1径路35との連通面積が減少するように、第2連絡路124を形成しても良い。実施例2の圧縮機における第2連絡路615についても同様である。
また、実施例1、2の圧縮機では、第1スプール11aに第2スプール12aを挿入させることで、第1スプール11aと第2スプール12aとを組み付けている。しかし、これに限らず、第2スプール12aに第1スプール11aの一部を挿入させることで、第1スプール11aと第2スプール12aとを組み付けても良い。
さらに、実施例1、2の圧縮機では、第1弁体11bの案内窓39内における位置、すなわち、移動体10の駆動軸心O方向の位置に応じて、駆動軸3の1回転当たりにおける連通角度を変化させることにより、吐出流量を変化させている。しかし、これに限らず、移動体10の駆動軸心O方向の位置に応じて、リヤ側連通路26a〜26eと移動体通路47との連通面積を変化させることにより、吐出流量を変化させる構成としても良い。
また、実施例1、2の圧縮機において、外部から制御弁15への電流のONとOFFとを切り替えて制御圧力を制御する外部制御を行っても良く、外部からの電流に依らずに制御圧力を制御する内部制御を行っても良い。ここで、外部制御を行う場合であって、制御弁15への電流をOFFにすることによって、制御弁15が弁開度を大きくするように構成すると、圧縮機の停止時において、弁開度が大きくなり、制御圧室28の制御圧力を低くできる。このため、吐出流量が最少流量の状態で圧縮機を起動できることから、起動ショックを低減することができる。
さらに、実施例1、2の圧縮機において、給気通路15aを経てリヤ側吐出室29から制御圧室28に導入される冷媒ガスの流量を制御弁15によって変化させる入れ側制御を行っても良い。この場合には、制御圧室28を迅速に高圧にすることができ、吐出流量を速やかに増大させることができる。ここで、外部制御を行う場合であって、制御弁15への電流をOFFにすることによって、制御弁15が弁開度を小さくするように構成すると、圧縮機の停止時において、弁開度が小さくなり、制御圧室28の制御圧力を低くできる。このため、吐出流量が最少流量の状態で圧縮機を起動できることから、起動ショックを低減することができる。
また、実施例1、2の圧縮機において、制御弁15に換えて、給気通路15aと第1、2抽気通路15b、15cとの両者で開度を調整可能な三方弁を採用しても良い。
本発明は車両の空調装置等に利用可能である。
1…ハウジング
3…駆動軸
5…固定斜板
7…ピストン
8…第1弁形成プレート(吐出弁)
10…移動体
11b…第1弁体(弁体)
13…スプール
13a…吸入通路
15…制御弁
21…第1シリンダブロック(シリンダブロック)
22…第2シリンダブロック(シリンダブロック)
21a〜21e…第1シリンダボア(シリンダボア)
23…第2軸孔(軸孔)
25…第3軸孔(軸孔)
26a〜26e…リヤ側連通路(第1連通路)
29…リヤ側吐出室(吐出室)
31…斜板室
33…軸路
35…第1径路(径路)
37…第2径路
39…案内窓
43a〜43e…第1圧縮室(圧縮室)
47…移動体通路(第2連通路)
61…スプール
63…吸入通路
114…第1連絡路
124…第2連絡路
614…第1連絡路
615…第2連絡路
O…駆動軸心

Claims (3)

  1. 複数のシリンダボアが形成されたシリンダブロックを有し、吐出室と、冷媒が吸入される斜板室と、軸孔とが形成されたハウジングと、
    前記軸孔内に回転可能に支承された駆動軸と、
    前記駆動軸の回転によって前記斜板室内で回転可能であり、前記駆動軸に垂直な平面に対する傾斜角度が一定である固定斜板と、
    前記シリンダボア内に圧縮室を形成し、前記固定斜板に連結されるピストンと、
    前記圧縮室内の冷媒を前記吐出室に吐出させる吐出弁と、
    前記駆動軸に設けられ、前記駆動軸と一体回転するとともに、制御圧力に基づいて前記駆動軸の駆動軸心方向に前記駆動軸に対して移動可能である移動体と、
    前記制御圧力を制御する制御弁とを備え、
    前記シリンダブロックには、前記シリンダボアに連通する第1連通路が形成され、
    前記移動体には、前記駆動軸の回転に伴い間欠的に前記第1連通路と連通する第2連通路が形成され、
    前記移動体の前記駆動軸心方向の位置に応じて、前記圧縮室から前記吐出室に吐出される冷媒の流量である吐出流量が変化するピストン式圧縮機であって、
    前記駆動軸は、前記駆動軸心方向に延びる軸路と、前記駆動軸の径方向に延び、前記軸路と前記斜板室とに連通する径路とを有し、
    前記移動体は、前記軸路内に摺動可能に設けられ、前記駆動軸心方向に筒状に延びるスプールと、前記第2連通路が形成され、前記スプールに連結される弁体とを有し、
    前記スプールには、前記スプールの内部で前記駆動軸心方向に延びる吸入通路と、前記吸入通路と前記第2連通路とに連通する第1連絡路と、前記吸入通路と前記径路とに連通する第2連絡路とが形成されていることを特徴とするピストン式圧縮機。
  2. 前記第2連絡路と前記径路との連通面積は、常に一定である請求項1記載のピストン式圧縮機。
  3. 前記駆動軸には、前記軸路と連通するとともに前記軸孔内に開口し、前記弁体が配置される案内窓が形成され、
    前記弁体によって前記第1連通路と前記第2連通路とが連通され、
    前記駆動軸によって前記第1連通路と前記第2連通路とが非連通とされる請求項1又は2記載のピストン式圧縮機。
JP2019156040A 2019-08-28 2019-08-28 ピストン式圧縮機 Pending JP2021032201A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2019156040A JP2021032201A (ja) 2019-08-28 2019-08-28 ピストン式圧縮機

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2019156040A JP2021032201A (ja) 2019-08-28 2019-08-28 ピストン式圧縮機

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2021032201A true JP2021032201A (ja) 2021-03-01

Family

ID=74678003

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2019156040A Pending JP2021032201A (ja) 2019-08-28 2019-08-28 ピストン式圧縮機

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2021032201A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP2728182A2 (en) Swash plate type variable displacement compressor
KR101611080B1 (ko) 용량 가변형 사판식 압축기
EP2728183A2 (en) Swash plate type variable displacement compressor
JP7136003B2 (ja) ピストン式圧縮機
JP2018204439A (ja) 容量可変型斜板式圧縮機
JP2014190266A (ja) 容量可変型斜板式圧縮機
JP2021032201A (ja) ピストン式圧縮機
JP2021032202A (ja) ピストン式圧縮機
JP2021032200A (ja) ピストン式圧縮機
JP2021032199A (ja) ピストン式圧縮機
JP7088113B2 (ja) ピストン式圧縮機
KR102169408B1 (ko) 피스톤식 압축기
WO2020196577A1 (ja) ピストン式圧縮機
KR102186963B1 (ko) 피스톤식 압축기
JP7120103B2 (ja) ピストン式圧縮機
CN110821778B (zh) 活塞式压缩机
US11047373B2 (en) Piston compressor including a suction throttle
JP7151037B2 (ja) ピストン式圧縮機
JP2020023963A (ja) ピストン式圧縮機
JP2020023962A (ja) ピストン式圧縮機
WO2014157209A1 (ja) 容量可変型斜板式圧縮機
JP2020056403A (ja) ピストン式圧縮機
JP2019183837A (ja) ピストン式圧縮機
JP2020056404A (ja) ピストン式圧縮機
JP2018145968A (ja) 容量可変型斜板式圧縮機