JP2021031317A - リチウムアルミノシリケートガラスの製造方法、およびフロートガラス板 - Google Patents

リチウムアルミノシリケートガラスの製造方法、およびフロートガラス板 Download PDF

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Abstract

【課題】失透の少ないリチウムアルミノシリケートガラスをフロート法により製造する方法を提供する。【解決手段】溶融ガラスを溶融金属浴上に流入させて板状に成形するリチウムアルミノシリケートガラスの製造方法であって、リチウムアルミノシリケートガラスは、酸化物基準のモル百分率表示でSiO2を45〜75%、Al2O3を1〜30%、Li2Oを1〜20%含有し、溶融金属浴の長さをLとして、その上流端から0.2L〜0.4L下流の領域における溶融ガラスの平均粘度η2(dPa・s)と、リチウムアルミノシリケートガラスのスポジュメンの結晶成長速度が0になる粘度ηB(dPa・s)とが、下記式(1)及び(2)を満足するリチウムアルミノシリケートガラスの製造方法。logη2−logηB<0.7 (1)logη2−logηB>0 (2)【選択図】図2

Description

本発明は、リチウムアルミノシリケートガラスの製造方法、およびフロートガラス板に関する。
携帯電話、スマートフォン、携帯情報端末(PDA)、タブレット端末等のモバイル機器のディスプレイ装置のカバーガラスには、落下の際にも割れにくいように高い強度が求められることから、化学強化ガラスが用いられている。化学強化に適したガラスとしては、リチウムアルミノシリケートガラスが提案されている(たとえば特許文献1)。リチウムアルミノシリケートガラスに対してナトリウムを含む強化塩とカリウムを含む強化塩とによるイオン交換処理を行うことで、表面圧縮応力値(CS)および圧縮応力層深さ(DOL)がいずれも大きい、優れた化学強化ガラスが得られる。
ガラス板を効率的に生産する方法として、フロート法が知られている。フロート法は、溶融金属層上に溶融ガラスを流し出して平板形状に成形する方法であり、化学強化処理を施すガラス(化学強化用ガラス)の製造にも用いられている(たとえば特許文献2)。
国際公開第2018/074335号 国際公開第2013/183449号
しかしながら、リチウムアルミノシリケートガラスは、例えばソーダライムガラスなどと比較して、フロート法により製造される際に失透が生じやすいという問題がある。これは、リチウムアルミノシリケートガラスの製造時に析出するスポジュメン結晶の成長速度が大きいためである。
本発明は上記に鑑みてなされたものであり、失透の少ないリチウムアルミノシリケートガラスをフロート法により製造する方法を提供することを目的とする。
また、本発明は、フロート法により製造された失透の少ないリチウムアルミノシリケートガラスを提供することを目的とする。
上記課題を解決する本発明のリチウムアルミノシリケートガラスの製造方法は、溶融ガラスを溶融金属浴上に流入させて板状に成形するリチウムアルミノシリケートガラスの製造方法であって、リチウムアルミノシリケートガラスは、酸化物基準のモル百分率表示でSiOを45〜75%、Alを1〜30%、LiOを1〜20%含有し、溶融金属浴の長さをLとして、その上流端から0.2L〜0.4L下流の領域における溶融ガラスの平均粘度η2(dPa・s)と、リチウムアルミノシリケートガラスのスポジュメンの結晶成長速度が0になる粘度ηB(dPa・s)とが、下記式(1)及び(2)を満足する。
logη2−logηB<0.7 (1)
logη2−logηB>0 (2)
本発明のリチウムアルミノシリケートガラスの製造方法の一態様において、レアー速度が300m/h以上であってもよい。
本発明のリチウムアルミノシリケートガラスの製造方法の一態様において、リチウムアルミノシリケートガラスは、酸化物基準のモル百分率表示でSiOを55〜75%、Alを8〜20%、LiOを7〜20%、NaOを0〜8%含有し、NaOとKOの含有量の合計が5〜10%であってもよい。
本発明のリチウムアルミノシリケートガラスの製造方法の一態様において、溶融ガラスは溶融窯においてガラス原料を溶融して得られた溶融ガラスであり、溶融窯は、上流側において溶融ガラスと接触する部分が高ジルコニア質レンガからなってもよい。
本発明のリチウムアルミノシリケートガラスの製造方法の一態様において、溶融金属上に供給される際の溶融ガラスの粘度η1と、溶融ガラスの失透粘度ηAとがlogη1<logηAを満足してもよい。
また、本発明のフロートガラス板は、酸化物基準のモル百分率表示でSiOを45〜75%、Alを1〜30%、LiOを1〜20%含有するフロートガラス板であって、フロートガラス板の主面を光学顕微鏡で観察して数えた全析出結晶の個数を、フロートガラス板の主面の面積で割った失透個数密度が100個/m以下である。
本発明によれば、失透の少ないリチウムアルミノシリケートガラスをフロート法により製造する方法が提供される。また、本発明によればフロート法により製造された失透の少ないリチウムアルミノシリケートガラスが提供される。
図1は、フロート法によるガラスの製造装置の概略図である。 図2はフロート法によるガラスの製造装置を上から見た概略図である。
以下、図面を用いて、本発明を実施するための形態について詳述する。なお、本発明は、以下に説明する実施形態に限定されるものではない。また、以下の図面において、同じ作用を奏する部材・部位には同じ符号を付して説明することがあり、重複する説明は省略または簡略化することがある。また、図面に記載の実施形態は、本発明を明瞭に説明するために模式化されており、実際のサイズや縮尺を必ずしも正確に表したものではない。
<リチウムアルミノシリケートガラスの製造方法>
本実施形態のリチウムアルミノシリケートガラスの製造方法(以下単に「本実施形態のガラスの製造方法」ともいう)は、酸化物基準のモル百分率表示でSiOを45〜75%、Alを1〜30%、LiOを1〜20%含有するリチウムアルミノシリケートガラスの製造方法である。
また、本実施形態のガラスの製造方法は、溶融ガラスを溶融金属浴上に流入させて板状に成形するリチウムアルミノシリケートガラスの製造方法であって、溶融金属浴の長さをLとして上流端から0.2L〜0.4L下流の領域における溶融ガラスの平均粘度をη2(dPa・s)、リチウムアルミノシリケートガラスのスポジュメンの結晶成長速度が0になる粘度をηB(dPa・s)として、下記式(1)及び(2)を満足する製造方法である。
logη2−logηB<0.7 (1)
logη2−logηB>0 (2)
このように溶融ガラスを溶融金属浴上に流入させて板状に成形する製造方法は、フロート法と呼ばれる。以下、図面を参照して本実施形態のガラスの製造方法について説明する。
なお、本明細書において、溶融金属浴の上流とは溶融ガラスが流入する側を、下流とはリボン状に成形されたガラスが搬出される側をいう。
図1にフロート法によるガラスの製造装置の概略図を示す。また、図2にフロートバスを上から見た概略図を示す。
図1に示すように、フロート法によるガラスの製造装置は、溶融炉10と、フロートバス20と、徐冷炉(レアー)30とを有する。
フロート法によるガラスの製造においては、まず溶融炉10でガラス原料を溶融して溶融ガラスを得る。
溶融炉10は、溶融窯11を有し、溶融窯11において、投入されたガラス原料1が溶融されて溶融ガラス2が得られる。より詳細には、溶融窯11は、上流側の溶解槽12と、下流側の冷却槽13とを備え、これらがネック14(またはスロート)により接続された構成を有し、上流側(すなわち溶解槽)においてガラス原料1が溶融されて溶融ガラス2となり、下流側では溶融ガラス2の温度が調整される。
溶融窯11の溶融ガラスと接触する部分は、Alを45質量%以上含有するアルミナ質、ムライト質、ジルコンアルミナ質等のレンガにより構成されることがある。しかしながら、リチウムアルミノシリケートガラスを製造する場合は、特に、溶融窯の上流側(すなわち、溶解槽)においては、溶融ガラスとレンガとが反応しやすく、その反応でスポジュメン結晶が生成して失透が生じる恐れがある。このことから、本実施形態のガラスの製造方法において用いる溶融窯11は、特に上流側(すなわち溶解槽)において溶融ガラスと接触する部分が高ジルコニア質レンガからなることが好ましい。高ジルコニア質レンガはリチウムアルミノシリケートガラスとの反応性が低く、上記のような問題の生じる恐れが少ない。高ジルコニア質レンガとはジルコニア含有量が90質量%以上、好ましくは95質量%以上のレンガである。
溶融窯の下流側やフロートバスの入口付近(たとえばリストリクター23周辺)は、溶融窯の上流ほど溶融ガラスの温度が高くないので、高価な高ジルコニア質レンガを用いなくてもよい。しかし、その場合でもAlを45質量%以上含有するレンガはスポジュメン結晶の析出による失透の原因になりやすいので、Al含有量が少ないレンガを用いることが好ましい。Al含有量が多いレンガを用いる場合には、溶融ガラスと直接接触する部分に、たとえば高シリカ質のカバーをつける等の方法でスポジュメン結晶の生成を抑制することが好ましい。
次に、フロートバス20に貯留された溶融金属浴21の表面に、上流側から溶融ガラス2を連続的に供給してガラスリボン3を成形する。そして、フロートバス20の下流側端部から成形後のガラスリボン3を引き出し、徐冷炉(レアー)30に導入して徐冷することで板状のガラスが製造される。レアー30内に導入されたガラスリボン3は、ローラーコンベア等の搬送手段によって搬送されながら徐冷される。溶融金属浴21上の溶融ガラス2とレアー30内のガラスリボン3は連続しているので、レアー30内における搬送速度(レアー速度)は、溶融金属浴21上を溶融ガラス2が上流から下流へと流れる速度に依存する。レアー30内のガラスリボン3は固化しているが、溶融ガラス2は流動するので、溶融ガラス2の速度はレアー速度より遅く、溶融金属浴21上の溶融ガラス2の速度は、下流ほど速い傾向がある。
溶融金属の種類は特に限定はされないが一般的には溶融錫が用いられる。
なお、フロートバス20には、ガラスリボン3の幅が表面張力により、また、下流側でのガラスリボンの搬送による引張により収縮することを防ぐために、適宜トップロール22が設置される。
通常、フロート法によるガラスの製造においては、溶融窯11においてガラス原料1が加熱されて溶融ガラス2となり、溶融ガラス2がキャナル及びスパウトを通過し、流路が絞られて溶融金属21上に供給される。なお、溶融ガラス2がキャナル及びスパウトを通過せず、流路が絞られない状態で溶融金属21上に供給される場合もある。
溶融金属21上に供給される際の溶融ガラス2の粘度η1(dPa・s)が溶融ガラス2の失透粘度(液相粘度)ηA(dPa・s)以上であると、ガラスが失透する恐れがある。したがって、フロート法によりガラスを製造する際には、logη1<logηAとすることが好ましい。
なお、ガラスの失透粘度ηAとは、ガラスにおいて最も析出しやすい結晶(すなわち、溶融したガラスを冷却した際に最も高い温度で析出する結晶)が析出する温度である失透温度(液相温度)TAにおける溶融ガラスの粘度である。最も析出しやすい結晶はガラスの組成によっても異なるが、例えばガラスがZrOを含む場合は、最も析出しやすい結晶はジルコニアの結晶であることが多い。すなわち、ガラスがZrOを含む場合の失透粘度ηAは、溶融ガラスを降温させた際にジルコニアの結晶が析出する温度における溶融ガラスの粘度である場合が多い。
η1は、溶融金属上に供給される際の溶融ガラスの温度を調節することにより調節することができる。logη1は一般的には4程度である。失透を抑制するためには、3.8以下が好ましく、3.6以下がより好ましい。しかし、η1が小さすぎるとロールを用いてガラスリボンの厚さや幅を調整することが困難になる。成形しやすさのためには、3以上が好ましい。
ηAは、溶融ガラスの組成に依存する。
溶融ガラスの温度を調節するためには、フロートバスの入口付近、たとえばリストリクタータイルで囲まれるフロートバス入り口付近にヒーターを設置して加熱してもよい。フロートバス入口の温度を上げるとη1が小さくなるので、logη1<logηAとなりやすい。
ガラスの粘度は、例えば回転円筒法により測定できる。しかし、フロートバス内の溶融ガラスの粘度は直接測定することができない。同じガラス組成であれば、溶融ガラスの温度と粘度の関係は一定なので、フロートバス内の溶融ガラスの粘度は、ガラス組成と溶融ガラスの温度から求められる。
本発明者らの検討によると溶融金属浴の長さをLとして、上流端から0.2L〜0.4L下流の領域(図1中(A)で示した領域)において溶融ガラスの降温速度が遅く、したがって、この領域における溶融ガラスの粘度が特に結晶成長速度の速いスポジュメンの結晶が成長しやすい粘度であると、失透が生じやすいことがわかった。このことに鑑みて、本発明者らはこの領域における溶融ガラスの粘度を適切に制御することで、フロート法によりリチウムアルミノシリケートガラスを製造した場合においても、失透の少ないガラス板を得られることを見出した。
具体的には、たとえば、フロートバスの入り口付近にヒータを設置して加熱した場合には、クーラー等を使って急速に温度下げることで粘度を調節できる
具体的には、溶融金属浴の上流端から0.2L〜0.4L下流の領域における溶融ガラスの平均粘度η2(dPa・s)の対数(logη2)が、製造されるリチウムアルミノシリケートガラスにおいてスポジュメンの結晶成長速度が0になる粘度ηB(dPa・s)の対数(logηB)より0.7以上大きくなるとスポジュメンの結晶が成長しやすくなり、失透が生じやすいことを見出した。したがって、本実施形態のガラスの製造方法では、η2とηBが下記式(1)を満足するようにする。
logη2−logηB<0.7 (1)
一方、logη2がlogηB以下であるとガラスの成形性が悪化して、板状のガラスが得られにくくなる。したがって、本実施形態のガラスの製造方法では、η2とηBとが、下記式(2)を満足するようにする。
logη2−logηB>0 (2)
η2は、例えばヒーターの配置やレアー速度を調節することにより調節することができる。
また、ηBは、溶融ガラスの組成を調節することにより調節することができる。
ηBは、以下の方法で測定することができる。
(ηBの測定方法)
まず、測定対象のガラスを溶融し、スポジュメンの結晶が析出した状態で固化させる。次に、これを顕微鏡等で観察しながら昇温し、析出したスポジュメンの結晶が消失する温度TBを記録する。当該温度TBにおけるガラスの粘度がスポジュメンの結晶成長速度が0になる粘度ηBである。
また、レアー速度が大きいとガラスが失透しにくい傾向がある。そのためにレアー速度は好ましくは300m/h以上、より好ましくは400m/h以上、さらに好ましくは500m/h以上である。レアー速度は、大きすぎるとガラスの品質が悪化しやすいので、1000m/h以下が好ましい。
<リチウムアルミノシリケートガラス>
次に、本実施形態のガラスの製造方法により製造されるリチウムアルミノシリケートガラス(以下、「本ガラス」ともいう)について説明する。本ガラスは、上記のようにフロート法により製造されるガラス、即ち、フロートガラスである。
まず、本ガラスの組成について説明する。本実施形態におけるリチウムアルミノシリケートガラスは、酸化物基準のモル百分率表示でSiOを45〜75%、Alを1〜30%、LiOを1〜20%含有する。以下、成分ごとに詳しく説明する。
SiOはガラスのネットワークを形成する成分であり、必須の成分である。SiOの含有量は45%以上であり、好ましくは55%以上、より好ましくは60%以上、さらに好ましくは63%以上、特に好ましくは65%以上である。一方、溶融性をよくするために、SiOの含有量は75%以下、好ましくは72%以下、さらに好ましくは70%以下、特に好ましくは68%以下とする。
Alは化学強化により高いCS及び大きなDOLを有する化学強化ガラスを得るために必須の成分である。ガラス内において、Alの付近に存在するLiイオンがNaイオンに交換された際に特に大きなCSが生じるためである。
この効果を得るために、本ガラスのAlの含有量は1%以上とする。ヤング率を高くするためには、本ガラスのAlの含有量は好ましくは8%以上、より好ましくは9%以上、さらに好ましくは10%以上、特に好ましくは11%以上、最も好ましくは12%以上である。
一方、Alの含有量が多すぎるとスポジュメンの結晶成長速度が大きくなるのでガラスの溶融時に失透が生じやすくなり、また、粘度が増大して溶融性が低下する。したがって、本ガラスのAlの含有量は30%以下であり、好ましくは20%以下、より好ましくは18%以下、さらに好ましくは16%以下である。
LiOは、イオン交換により表面圧縮応力を形成させる成分であり、ガラスの溶融性を向上させる成分であり、必須の成分である。LiOを含有するガラスの表面のLiイオンをNaイオンにイオン交換し、さらにNaイオンをKイオンにイオン交換することにより、表面圧縮応力および圧縮応力層がともに大きな応力プロファイルが得られる。
本ガラスに化学強化処理を施して得られる化学強化ガラスにおいて高いCS及び大きなDOLを達成するために、本ガラスのLiOの含有量は1%以上、好ましくは5%以上、より好ましくは7%以上、さらに好ましくは9%以上、特に好ましくは10%以上である。
一方、LiOの含有量が多すぎるとスポジュメンの結晶成長速度が大きくなるのでガラスの溶融時に失透が生じやすくなる。したがって、本ガラスのLiOの含有量は20%以下、好ましくは15%以下、より好ましくは13%以下、さらに好ましくは12%以下である。
NaOおよびKOは、いずれも必須ではないが、ガラスの溶融性を向上させ、結晶成長速度を小さくする成分であり、イオン交換性能を向上させる目的で添加してもよい。
NaOは、カリウム塩を用いる化学強化処理において表面圧縮応力層を形成させる成分であり、またガラスの溶融性を向上させ得る成分である。当該効果を得るために、本ガラスのNaOの含有量は1%以上が好ましく、2%以上がより好ましく、3%以上がさらに好ましく、4%以上が特に好ましく、5%以上が最も好ましい。
一方、ナトリウム塩による強化処理において表面圧縮応力(CS)が低下するのを避けるために、本ガラスのNaOの含有量は10%以下が好ましく、8%以下がより好ましく、6%以下がさらに好ましく、5%以下が特に好ましい。
Oは、イオン交換性能を向上させる等の目的で含有させてもよい。本ガラスにKOを含有させる場合の含有量は0.5%以上が好ましく、1%以上がより好ましく、1.5%以上がさらに好ましく、2%以上が特に好ましく、3%以上が最も好ましい。
一方、カリウム塩による強化処理において表面圧縮応力(CS)が低下するのを避けるために、本ガラスにKOを含有させる場合の含有量は10%以下が好ましく、5%以下がより好ましく、3%以下がさらに好ましく、2%以下が特に好ましい。
本ガラスのNaOおよびKOの含有量の合計([NaO]+[KO])は0〜10%が好ましい。[NaO]+[KO]は5%以上がより好ましく、6%以上がさらに好ましく、また、8%以下がより好ましく、7%以下がさらに好ましい。
MgO、CaO、SrOおよびBaOはいずれも必須の成分ではないが、安定性を高めるために、本ガラスはこれらの成分のいずれか一種以上を含有することが好ましい。本ガラスにおけるこれらの成分の含有量の合計([MgO]+[CaO]+[SrO]+[BaO])は、好ましくは1%以上、より好ましくは2%以上、さらに好ましくは3%以上、特に好ましくは4%以上である。一方、化学強化によるイオン交換能向上の観点からは、本ガラスにおけるこれらの成分の含有量の合計は20%以下が好ましく、15%以下がより好ましく、10%以下がさらに好ましく、8%以下がよりさらに好ましい。
特にMgOは、溶融性を増大させつつ、結晶成長速度を小さくする観点から本ガラスに含有させることが好ましい。本ガラスのMgOの含有量は、好ましくは1%以上、より好ましくは2%以上、さらに好ましくは3%以上、特に好ましくは4%以上、最も好ましくは5%以上である。一方、MgOの含有量が多すぎると化学強化処理時に圧縮応力層を大きくしにくくなる。本ガラスのMgOの含有量は好ましくは15%以下、より好ましくは10%以下、さらに好ましくは8%以下、特に好ましくは6%以下である。
本実施形態のガラスがMgOと、CaO、SrOおよびBaOのいずれか1種類以上を含有する場合、ガラスの表面反射率を低くする観点から、CaO、SrOおよびBaOの含有量の合計に対するMgOの含有量の割合([MgO]/([CaO]+[SrO]+[BaO]))は、10以上が好ましく、15以上がより好ましく、20以上がさらに好ましく、25以上が特に好ましい。CaO、SrO、BaOおよびZnOは、MgOと比較して屈折率を大きくするからである。[MgO]/([CaO]+[SrO]+[BaO])は、失透温度を低くする観点から、60以下が好ましく、55以下がより好ましく、50以下がさらに好ましく、45以下が特に好ましい。
CaOは、溶融性を向上させる成分であり、含有させてもよい。CaOを含有させる場合の含有量は、好ましくは0.1%以上であり、より好ましくは0.15%以上であり、さらに好ましくは0.5%以上である。一方、CaOの含有量が過剰であると化学強化処理時に圧縮応力値を大きくしにくくなる。CaOの含有量は好ましくは5%以下であり、より好ましくは3%以下であり、さらに好ましくは1%以下であり、特に好ましくは0.5%以下である。
SrOも溶融性を向上させる成分であり、含有させてもよい。SrOを含有させる場合の含有量は、好ましくは0.1%以上であり、より好ましくは0.15%以上であり、さらに好ましくは0.5%以上である。一方、SrOの含有量が過剰であると化学強化処理時に圧縮応力値を大きくしにくくなる。SrOの含有量は好ましくは3%以下であり、より好ましくは2%以下であり、さらに好ましくは1%以下であり、特に好ましくは0.5%以下である。
BaOも溶融性を向上させる成分であり、含有させてもよい。BaOを含有させる場合の含有量は、好ましくは0.1%以上であり、より好ましくは0.15%以上であり、さらに好ましくは0.5%以上である。一方、BaOの含有量が過剰であると化学強化処理時に圧縮応力値を大きくしにくくなる。BaOの含有量は好ましくは3%以下であり、より好ましくは2%以下であり、さらに好ましくは1%以下であり、特に好ましくは0.5%以下である。
ZnOも溶融性を向上させる成分であり、含有させてもよい。ZnOを含有させる場合の含有量は、好ましくは0.1%以上であり、より好ましくは0.15%以上であり、さらに好ましくは0.5%以上である。一方、ZnOの含有量が過剰であると化学強化処理時に圧縮応力値を大きくしにくくなる。ZnOの含有量は好ましくは3%以下であり、より好ましくは2%以下であり、さらに好ましくは1%以下であり、特に好ましくは0.5%以下である。
ZrOは含有させなくともよいが、本ガラスに化学強化処理を施して得られる化学強化ガラスの表面圧縮応力を増大させる観点から含有させることが好ましい。ZrOの含有量は、好ましくは0.1%以上、より好ましくは0.2%以上、さらに好ましくは0.5%以上、特に好ましくは0.8%以上、典型的には1%以上である。一方、ZrOの含有量が多すぎると化学強化処理時に圧縮応力値を大きくしにくくなる。ZrOの含有量は好ましくは5%以下であり、より好ましくは3%以下であり、さらに好ましくは2%以下であり、特に好ましくは1.5%以下である。
TiOは、ソラリゼーションを抑制する成分であり、含有させてもよい。TiOを含有させる場合の含有量は、好ましくは0.02%以上であり、より好ましくは0.05%以上、さらに好ましくは0.1%以上であり、特に好ましくは0.12%以上であり、典型的には0.15%以上である。一方、TiOの含有量が1%超であると失透が発生しやすくなる。TiOの含有量は1%以下であることが好ましく、より好ましくは0.5%以下、さらに好ましくは0.25%以下である。
は、本ガラスに化学強化処理を施して得られる化学強化ガラスの表面圧縮応力を増大させつつ、結晶成長速度を小さくする成分である。Yの含有量は、好ましくは0.1%以上、より好ましくは0.2%以上、さらに好ましくは0.5%以上、特に好ましくは0.8%以上、典型的には1%以上である。一方、Yの含有量が多すぎると化学強化処理時に圧縮応力層を大きくしにくくなる。Yの含有量は好ましくは5%以下であり、より好ましくは3%以下であり、さらに好ましくは2%以下であり、特に好ましくは1.5%以下である。
は必須ではないが、脆性を小さくし耐クラック性を向上させる目的で、また、溶融性を向上させる目的で含有させてもよい。Bを含有させる場合の含有量は、好ましくは0.5%以上、好ましくは1%以上、さらに好ましくは2%以上である。一方、Bの含有量が多すぎると耐酸性が悪化しやすいため、Bを含有させる場合の含有量は好ましくは10%以下、より好ましくは6%以下、さらに好ましくは4%以下、典型的には2%以下である。溶融時に脈理が発生することを防止する観点から実質的に含有しないことがより好ましい。
は必須ではないが、本ガラスに化学強化処理を施して得られる化学強化ガラスの圧縮応力層を大きくする目的で含有してもよい。Pを含有させる場合の含有量は、好ましくは0.5%以上、好ましくは1%以上、さらに好ましくは2%以上である。一方、耐酸性を高くする観点からPの含有量は6%以下が好ましく、より好ましくは4%以下、さらに好ましくは2%以下である。溶融時に脈理が発生することを防止する観点から、実質的に含有しないことがより好ましい。
とPの含有量の合計は0〜10%が好ましく、下限としては1%以上がより好ましく、2%以上がさらに好ましい。また、BとPの含有量の合計は6%以下がより好ましく、4%以下がさらに好ましい。
La、Nb5、Ta、Gdは、結晶成長速度を小さくし、溶融性を改善する成分であり、含有させてもよい。これらの成分を含有させる場合のそれぞれの含有量は、好ましくは0.1%以上、より好ましくは0.2%以上、さらに好ましくは0.5%以上、特に好ましくは0.8%以上、典型的には1%以上である。一方、これらの含有量が多すぎると化学強化処理時に圧縮応力値を大きくしにくくなることから、好ましくは3%以下、より好ましくは2%以下、さらに好ましくは1%以下、特に好ましくは0.5%以下である。
Feは熱線を吸収するので溶解性を向上させる効果があり、含有させることが好ましい。本ガラスにFeを含有させる場合の含有量は酸化物基準の重量%において、好ましくは0.002%以上、より好ましくは0.005%以上、さらに好ましくは0.007%以上、特に好ましくは0.01%以上である。一方、Feを過剰に含有させると着色が生じるので、本ガラスにFeを含有させる場合の含有量はガラスの透明性を高める観点から、酸化物基準の重量%において、0.3%以下が好ましく、より好ましくは0.04%以下、さらに好ましくは0.025%以下、特に好ましくは0.015%以下である。
なお、ここではガラス中の鉄酸化物をすべてFeとして説明したが、実際には、酸化状態のFe(III)と還元状態のFe(II)が混在しているのが普通である。このうちFe(III)は黄色の着色を生じ、Fe(II)は青色の着色を生じ、両者のバランスでガラスに緑色の着色が生じる。
さらに、所望の化学強化特性の達成を阻害しない範囲において上記以外の成分を添加してもよい。例えば、着色成分を添加してもよい。着色成分としては、例えば、Co、MnO、NiO、CuO、Cr、V、Bi、SeO、CeO、Er、Nd等が好適なものとして挙げられる。
着色成分の含有量は、酸化物基準のモル百分率表示で、合計で5%以下が好ましい。5%を超えるとガラスが失透しやすくなる場合がある。着色成分の含有量は好ましくは3%以下、さらに好ましくは1%以下である。透過率を高くしたい場合は、これらの成分は実質的に含有しないことが好ましい。
また、ガラスの溶融の際の清澄剤として、SO、塩化物、フッ化物などを適宜添加してもよい。Asは含有しないことが好ましい。Sbを含有する場合は、0.3%以下が好ましく、0.1%以下がより好ましく、含有しないことが最も好ましい。
次に、本ガラスの物性について説明する。
本ガラスの粘度が10dPa・sとなる温度(T2)は1750℃以下が好ましく、1700℃以下がより好ましく、1650℃以下であることがさらに好ましく、1600℃以下が特に好ましい。T2はガラスの溶解温度の目安となる温度であり、T2が低いほどガラスを製造しやすい傾向がある。T2の下限は特に限定されるものではないが、T2が低いガラスは安定性が乏しい場合があるので、T2は通常、1400℃以上、好ましくは1450℃以上である。
また、本ガラスの粘度が10dPa・sとなる温度(T4)は1350℃以下が好ましく、1250℃以下がより好ましく、1200℃以下であることがさらに好ましく、1150℃以下が特に好ましい。T4はガラスを板状に成形する温度の目安となる温度であり、T4が高いガラスは成形設備への負荷が高くなる傾向がある。T4の下限は特に限定されるものではないが、T4が低いガラスは安定性が乏しい場合があるので、T4は、通常900℃以上、好ましくは950℃以上、より好ましくは1000℃以上である。
本ガラスの軟化点は850℃以下が好ましく、820℃以下がより好ましく、790℃以下がさらに好ましい。ガラスの軟化点が低いほど、曲げ成形における熱処理温度が低くなり、消費エネルギーが小さくなるのに加え、設備の負荷も小さくなるからである。軟化点は曲げ成形温度を低くする観点からは低いほど好ましいが、通常の化学強化用ガラスでは700℃以上である。また、軟化点が低すぎるガラスは、化学強化処理の際に導入する応力が緩和しやすく低強度になりやすい傾向にあることから、軟化点は好ましくは700℃以上、より好ましくは720℃以上、さらに好ましくは740℃以上である。
軟化点はJIS R3103−1:2001に記載の繊維引き伸ばし法で測定できる。
本ガラスのガラス転移点(Tg)は、化学強化後の反りを低減する観点から、好ましくは500℃以上、より好ましくは520℃以上、さらに好ましくは540℃以上である。フロート成形における成形性の観点からは、好ましくは750℃以下、より好ましくは700℃以下、さらに好ましくは650℃以下、特に好ましくは600℃以下、最も好ましくは580℃以下である。
上記の本実施形態のガラスの製造方法によって製造された本ガラスは、失透が抑制されている。失透の程度は種々の方法により評価できるが、例えば、実施例の欄に記載の方法により測定された失透個数密度により評価することができる。
本ガラスの失透個数密度は、好ましくは100個/m以下、より好ましくは10個/m以下、さらに好ましくは1個/m以下、特に好ましくは0.1個/m以下、最も好ましくは0である。
以下に、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれに限定されない。
<例1>
(ガラス板の製造)
表1の例1の欄に示す組成となるようにガラス原料を混合し、白金るつぼに入れ、1650℃で溶解した後、冷却することによってガラスブロックを得た。該ガラスブロックを後述する粘度の評価に用いた。また、該ガラスブロックの一部を粉砕し、失透温度TA、スポジュメンの結晶成長速度が0になる温度TBの評価を行った。さらに、該ガラスブロックを白金るつぼに入れ、1650℃で再溶融させて溶融ガラスを得た。得られた溶融ガラスを図1に示すようなガラスの製造装置の溶融金属浴に供給して、フロート法によりガラス板を製造した。製造方法の条件は表1に示す通りであった。
(物性の測定及び評価)
得られたガラス板のT2、T4、失透温度TA、失透粘度ηA、スポジュメンの結晶成長速度が0になる温度TB及び粘度ηB、を以下のように測定した。また、得られたガラス板の失透個数密度を以下のように評価した。結果を表1に示す。なお、表中の空欄は未測定を意味する。
また、上記のガラス板の製造時におけるη1及びη2の測定方法についても以下に説明する。
<T2及びT4>
ASTM C965−96(2012年)に規定されている方法に従い、回転粘度計を用いてガラスの粘度の温度依存性データを取得した。粘度が10dPa・sとなる温度をT2、10dPa・sとなる温度をT4とした。
<TA及びηA>
平均粒径が500μm程度になるように粉砕したガラス5gを35mlの白金皿に入れ、所定温度の電気炉中に17時間保持した後、取り出して倍率10倍〜50倍の偏光顕微鏡で観察し、結晶析出の有無を調べた。800℃〜1500℃の温度域で、保持する温度を変えながら結晶析出の有無を調べる操作を繰り返し、結晶が析出しない最低の温度を液相温度TAとした。
<TB及びηB>
スポジュメンの結晶成長速度が0になる温度をTBとした。スポジュメンの結晶成長速度は以下の方法で評価した。
まず、ガラス片を乳鉢で粉砕して分級し、3.35mmメッシュの篩を通過し、2.36mmメッシュの篩を通過しなかったガラス粒子をイオン交換水で洗浄し、乾燥したものを試験に用いた。多数の凹部を有する細長い白金セルの個々の凹部にガラス粒子を1個のせ、1000〜1100℃の電気炉内にてガラス粒子の表面が溶けて平滑になるまで加熱した。次いで、そのガラスを、所定の温度に保った温度傾斜炉中に投入し、一定時間(tとする)、熱処理を行った後、室温に取り出して急冷した。この方法によれば、温度傾斜炉内に細長い容器を設置して同時に多数のガラス粒子を加熱処理できるので、所定の温度範囲内でのスポジュメンの失透成長速度が測定できる。
熱処理後のガラスを、偏光顕微鏡(ニコン社製:ECLIPSE LV100ND)で観察し、観察されたスポジュメン結晶の内、最大の大きさのものの直径(lμmとする)を測定した。接眼レンズ10倍、対物レンズ5倍〜100倍、透過光、偏光観察の条件で観察した。スポジュメン結晶は等方的に成長すると考えてよいので、その結晶成長速度はl/(2t)[単位:μm/h]である。ただし、測定する結晶は、容器との界面から析出していない結晶を選択した。金属界面における結晶成長はガラス内部やガラス−雰囲気界面で起こる失透成長挙動とは異なる傾向にあるからである。
以上の方法で、スポジュメン結晶成長速度の温度依存性を評価し、成長速度が0になる温度をTBとした。また、その温度における粘度をηBとした。
<失透個数密度>
フロート法で成形したガラス板の主面を、倍率10倍〜50倍の光学顕微鏡で観察し、結晶析出の有無を調べた。
観察された失透(析出結晶)の個数を、観察したガラス板の主面の面積で除することにより、表1に示す単位面積あたりの失透個数密度を得た。また、失透(析出結晶)の平均直径も調べた。結果を表1に示す。
<η1>
溶融窯から流れ出たガラス融液が、溶融金属浴に最初に接する点の溶融ガラスの温度におけるガラスの粘度をη1とした。なお、表1のη1における空欄は、未測定を意味する。
<η2>
溶融金属浴の長さをLとして上流端から0.2L〜0.4L下流の領域における溶融金属浴の平均温度を測定し、その温度におけるガラスの粘度をη2とした。
<例2〜8>
ガラスの組成、製造方法の条件を表2に示すように変更した以外は例1と同様にして例2〜8のガラス板を製造した。また、得られた例2〜8のガラス板に対して、例1と同様に物性の測定及び評価を行った。結果を表1に示す。
Figure 2021031317
logη2−logηBが0.7以上である例4及び5は、失透が多かった。
一方、logη2−logηBが0より大きく0.7より小さい例1から3及び例6〜8では、失透が少ないガラスが得られた。
1 ガラス原料;2 溶融ガラス;3 ガラスリボン;10 溶融炉;11 溶融窯;12 溶解槽;13 冷却槽;14 ネック;20 フロートバス;21 溶融金属浴;22 トップロール;23 リストリクター;30 徐冷炉(レアー)

Claims (6)

  1. 溶融ガラスを溶融金属浴上に流入させて板状に成形するリチウムアルミノシリケートガラスの製造方法であって、
    前記リチウムアルミノシリケートガラスは、酸化物基準のモル百分率表示でSiOを45〜75%、Alを1〜30%、LiOを1〜20%含有し、
    前記溶融金属浴の長さをLとして、その上流端から0.2L〜0.4L下流の領域における前記溶融ガラスの平均粘度η2(dPa・s)と、前記リチウムアルミノシリケートガラスのスポジュメンの結晶成長速度が0になる粘度ηB(dPa・s)とが、下記式(1)及び(2)を満足するリチウムアルミノシリケートガラスの製造方法。
    logη2−logηB<0.7 (1)
    logη2−logηB>0 (2)
  2. レアー速度が300m/h以上である、請求項1に記載のリチウムアルミノシリケートガラスの製造方法。
  3. 前記リチウムアルミノシリケートガラスは、酸化物基準のモル百分率表示でSiOを55〜75%、Alを8〜20%、LiOを7〜20%、NaOを0〜8%含有し、NaOとKOの含有量の合計が5〜10%である、請求項1または2に記載のリチウムアルミノシリケートガラスの製造方法。
  4. 前記溶融ガラスは溶融窯においてガラス原料を溶融して得られた溶融ガラスであり、前記溶融窯は、上流側において前記溶融ガラスと接触する部分が高ジルコニア質レンガからなる、請求項1から3のいずれか1項に記載のリチウムアルミノシリケートガラスの製造方法。
  5. 前記溶融金属上に供給される際の溶融ガラスの粘度η1と、前記溶融ガラスの失透粘度ηAとがlogη1<logηAを満足する、請求項1から4のいずれか1項に記載のリチウムアルミノシリケートガラスの製造方法。
  6. 酸化物基準のモル百分率表示でSiOを45〜75%、Alを1〜30%、LiOを1〜20%含有するフロートガラス板であって、
    前記フロートガラス板の主面を光学顕微鏡で観察して数えた全析出結晶の個数を、前記フロートガラス板の主面の面積で割った失透個数密度が100個/m以下である、フロートガラス板。
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