以下、エンジン式フォークリフトを具体化した一実施形態を図1〜図3にしたがって説明する。
図1に示すように、エンジン式フォークリフト100の車体150には、荷役油圧機構101が装備されている。荷役油圧機構101は、マスト102を前後方向に前傾動作又は後傾動作させる油圧式のティルトシリンダ103と、マスト102に設けられたフォーク106を動作させる油圧式のリフトシリンダ104とで構成されている。マスト102は、左右一対のアウタマスト102aとインナマスト102bを備えている。アウタマスト102aには、ティルトシリンダ103が連結されている。インナマスト102bには、リフトシリンダ104が連結されている。マスト102は、ティルトシリンダ103に対する作動油の給排によって車体150の前後方向に前傾動作又は後傾動作を行う。インナマスト102bは、リフトシリンダ104に対して作動油を供給することによって車体150の上方向に動作する。また、インナマスト102bには、リフトブラケット105を介してフォーク106が設けられている。フォーク106は、インナマスト102bがアウタマスト102aに沿って車体150の上方向に動作することにより、リフトブラケット105とともに動作する。なお、エンジン式フォークリフト100には、荷役油圧機構101の各シリンダ103,104を動作させるための操作レバーがそれぞれ設けられている。そのため、操作レバーがマストを前傾動作又は後傾動作させるようにティルトシリンダ103を動作させる位置に操作されたときには、ティルトシリンダ103に作動油が供給される。操作レバーがリフトシリンダ104を動作させる位置に操作されたときには、リフトシリンダ104に作動油が供給される。また、リフトシリンダ104については、フォーク106を上昇させるときに作動油が供給される。フォーク106を下げるときには、フォーク106の重量や荷の重量等によりリフトシリンダ104の内部の作動油が排出され、フォーク106が下がる。なお、上記の操作レバーは、エンジン式フォークリフト100の動作状態を検出する検出部の一例である。
エンジン式フォークリフト100は、パワートレイン107を備えている。パワートレイン107は、エンジンやトランスミッションを有している。パワートレイン107の駆動力によりパワートレイン107に連結されている車軸108が回転する。これに伴い、車軸108に連結されている車輪としての前輪109が回転するため、エンジン式フォークリフト100が走行する。
図2に示すように、エンジン式フォークリフト100は、荷役用配管10と、オイルコントロールバルブ20と、荷役用ポンプ30と、を備えている。荷役用配管10は、荷役油圧機構101の各シリンダ103,104に接続されるとともに作動油が流動する。オイルコントロールバルブ20は、荷役用配管10により荷役油圧機構101の各シリンダ103,104に接続されている。オイルコントロールバルブ20は、荷役油圧機構101の各シリンダ103,104への作動油の給排を制御する機能を有している。荷役用ポンプ30は、パワートレイン107に連結されている。荷役用ポンプ30は、パワートレイン107が動作しているときに常に動作し、作動油が貯留されているタンクTからオイルコントロールバルブ20に対して作動油を供給する。
荷役用配管10は、ティルトシリンダ103に接続されるティルト荷役用配管11と、リフトシリンダ104に接続されるリフト荷役用配管12とで構成されている。ティルト荷役用配管11は、ティルトシリンダ103のボトム側に接続されるボトム荷役用配管11aと、ティルトシリンダ103のロッド側に接続されるロッド荷役用配管11bとで構成されている。リフト荷役用配管12は、リフトシリンダ104のボトム側に接続されている。なお、ボトム荷役用配管11a、ロッド荷役用配管11b、及びリフト荷役用配管12は、オイルコントロールバルブ20から各シリンダ103,104への作動油の供給経路と、各シリンダ103,104からオイルコントロールバルブ20への作動油の返送経路とで構成されている。当該供給経路には、各シリンダ103,104からオイルコントロールバルブ20への作動油の逆流を防止する逆止弁が設けられている。当該返送経路には、各シリンダ103,104からオイルコントロールバルブ20への作動油の流動を許容する開状態と、許容しない閉状態とを切り替える電磁切替弁が設けられている。また、図1に示す荷役用配管10は供給経路を示しており、返却経路の図示は割愛している。
エンジン式フォークリフト100は、作動油が貯留されているタンクTと荷役用配管10とを接続する制動用配管40を備えている。制動用配管40は、タンクTに貯留されている作動油を荷役油圧機構101の各シリンダ103,104に供給するために設けられている。制動用配管40は、ティルト荷役用配管11に接続されるティルト分岐配管41と、リフト荷役用配管12に接続されるリフト分岐配管42とで構成されている。ティルト分岐配管41は、ボトム荷役用配管11aに接続されるティルトボトム分岐配管41aと、ロッド荷役用配管11bに接続されるティルトロッド分岐配管41bとで構成されている。ティルトボトム分岐配管41aは、ティルトシリンダ103のボトム側に作動油を供給するために設けられている。ティルトロッド分岐配管41bは、ティルトシリンダ103のロッド側に作動油を供給するために設けられている。
エンジン式フォークリフト100は、タンクTに貯留されている作動油を制動用配管40に供給する制動用作動油供給機構50を備えている。制動用作動油供給機構50は、前輪109に連結される駆動軸110に対して連結されている制動用ポンプ51を含んでいる。制動用ポンプ51は、タンクTに貯留された作動油を吸引及び吐出する両回転ポンプである。制動用ポンプ51は、駆動軸110に対して連結されている状態において駆動軸110の回転に応じて動作する。なお、駆動軸110とは、例えばパワートレイン107に連結されているプロペラシャフトであってもよいし、車軸108であってもよい。すなわち、駆動軸110とは、前輪109に連結され、且つパワートレイン107の駆動に伴って回転するものである。
制動用作動油供給機構50は、制動用油路52を有している。制動用油路52は、制動用配管40に接続されている。制動用油路52は、第1流路52aと、第2流路52bと、逆止弁202,203とを有している。第1流路52aは、制動用ポンプ51とタンクTとの間に設けられるとともに制動用ポンプ51の作動油の出入り口に接続されることで閉回路をなしている。第2流路52bは、制動用ポンプ51を挟みこむように第1流路52aに接続されている。第1流路52aには、制動用ポンプ51における作動油の出入り口のどちらから作動油が吐出されたとしても作動用がタンクTに逆流しないように逆止弁202が設けられている。第2流路52bには、制動用ポンプ51における作動油の出入り口のどちらから作動油が吐出されたとしても制動用配管40に向けて作動油が流動し、且つ制動用配管40から制動用ポンプ51に向けて作動油が逆流しないように逆止弁203が設けられている。すなわち、制動用油路52は、制動用ポンプ51から吐出された作動油が制動用配管40に流動するように設けられている。
エンジン式フォークリフト100は、制動用配管40に接続されるとともに制動用配管40に流動する作動油をタンクTに返送するための返送用配管55と、返送用配管55に設けられる圧力補償弁60とを備えている。また、エンジン式フォークリフト100は、パイロット圧力配管70と、切替弁80と、逆止弁90とを備えている。
パイロット圧力配管70は、制動用配管40と圧力補償弁60とを接続している。
切替弁80は、第1状態と第2状態とを切り替える機能を有している。第1状態とは、制動用配管40から荷役油圧機構101の各シリンダ103,104に対して作動油の流動を許容し、且つパイロット圧力配管70に作用する油圧であるパイロット圧力Phを圧力補償弁60に作用させる状態である。第2状態とは、制動用配管40から荷役油圧機構101の各シリンダ103,104に対して作動油の流動を許容せず、且つパイロット圧力配管70に作用する油圧であるパイロット圧力Phを圧力補償弁60に作用させない状態である。本実施形態において、切替弁80として電動式の切替弁が採用されている。
逆止弁90は、制動用配管40における荷役油圧機構101の各シリンダ103,104と切替弁80との間に配置されている。逆止弁90は、荷役油圧機構101からの作動油の逆流を防止する機能を有している。パイロット圧力配管70は、制動用配管40における逆止弁90よりも下流に接続されている。
パイロット圧力配管70は、ティルト分岐配管41に接続されるティルト用パイロット圧力配管71と、リフト分岐配管42に接続されるリフト用パイロット圧力配管72と、圧力補償弁60と接続される統合パイロット圧力配管73とで構成されている。
エンジン式フォークリフト100は、ティルト用パイロット圧力配管71、リフト用パイロット圧力配管72、及び統合パイロット圧力配管73が接続されるシャトル弁としての第1シャトル弁95を備えている。第1シャトル弁95は、ティルト用パイロット圧力配管71及びリフト用パイロット圧力配管72のうち作用する油圧が大きい方と統合パイロット圧力配管73とを接続する機能を有している。
切替弁80は、ティルト用切替弁81と、リフト用切替弁82とで構成されている。ティルト用切替弁81は、第1状態と第2状態とを切り替える。第1状態とは、ティルト分岐配管からティルトシリンダ103に対して作動油の流動を許容し、且つティルト用パイロット圧力配管71に作用する油圧を第1シャトル弁95に作用させる状態である。第2状態とは、ティルト分岐配管41からティルトシリンダ103に対して作動油の流動を許容せず、且つティルト用パイロット圧力配管71に作用する油圧を第1シャトル弁95に作用させない状態である。リフト用切替弁82は、第1状態と第2状態とを切り替える。第1状態とは、リフト分岐配管42からリフトシリンダ104に対して作動油の流動を許容し、且つリフト用パイロット圧力配管72に作用する油圧を第1シャトル弁95に作用させる状態である。第2状態とは、リフト分岐配管42からリフトシリンダ104に対して作動油の流動を許容せず、且つリフト用パイロット圧力配管72に作用する油圧を第1シャトル弁95に作用させない状態である。
逆止弁90は、ティルト用逆止弁91と、リフト用逆止弁92とで構成されている。ティルト用逆止弁91は、ティルト分岐配管41におけるティルトシリンダ103とティルト用切替弁81との間に配置されている。ティルト用逆止弁91は、ティルトシリンダ103からの作動油の逆流を防止する機能を有している。リフト用逆止弁92は、リフト分岐配管42におけるリフトシリンダ104とリフト用切替弁82との間に配置されている。リフト用逆止弁92は、リフトシリンダ104からの作動油の逆流を防止する機能を有している。
ティルト用パイロット圧力配管71は、ティルトボトム分岐配管41aに接続されるティルトボトム用パイロット圧力配管71aと、ティルトロッド分岐配管41bに接続されるティルトロッド用パイロット圧力配管71bと、第1シャトル弁95に接続される統合ティルト用配管71cとで構成されている。
エンジン式フォークリフト100は、ティルトボトム用パイロット圧力配管71a、ティルトロッド用パイロット圧力配管71b、及び統合ティルト用配管71cが接続されるシャトル弁として第2シャトル弁96を備えている。第2シャトル弁96は、マスト102を前傾動作させるようにティルトシリンダ103を動作させるときにティルトボトム用パイロット圧力配管71aと統合ティルト用配管71cとを開通する機能を有している。第2シャトル弁96は、マスト102を後傾動作させるようにティルトシリンダ103を動作させるときにティルトロッド用パイロット圧力配管71bと統合ティルト用配管71cとを開通する機能を有している。
ティルト用切替弁81は、ティルトボトム用切替弁81aと、ティルトロッド用切替弁81bとで構成されている。ティルトボトム用切替弁81aは、第1状態と第2状態とを切り替える機能を有している。第1状態は、ティルトボトム分岐配管41aからティルトシリンダ103のボトム側に対して作動油の流動を許容し、且つティルトボトム用パイロット圧力配管71aに作用する油圧を第2シャトル弁96に作用させる状態である。第2状態とは、ティルトボトム分岐配管41aからティルトシリンダ103のボトム側に対して作動油の流動を許容せず、且つティルトボトム用パイロット圧力配管71aに作用する油圧を第2シャトル弁96に作用させない状態である。ティルトロッド用切替弁81bは、第1状態と第2状態とを切り替える機能を有している。第1状態は、ティルトロッド分岐配管41bからティルトシリンダ103のロッド側に対して作動油の流動を許容し、且つティルトロッド用パイロット圧力配管71bに作用する油圧を第2シャトル弁96に作用させる状態である。第2状態は、ティルトロッド分岐配管41bからティルトシリンダ103のロッド側に対して作動油の流動を許容せず、且つティルトロッド用パイロット圧力配管71bに作用する油圧を第2シャトル弁96に作用させない状態である。
ティルト用逆止弁91は、ティルトボトム用逆止弁91aと、ティルトロッド用逆止弁91bとで構成されている。ティルトボトム用逆止弁91aは、ティルトボトム分岐配管41aにおけるティルトシリンダ103のボトム側とティルトボトム用切替弁81aとの間に配置されている。ティルトボトム用逆止弁91aは、ティルトシリンダ103のボトム側からの作動油の逆流を防止する機能を有している。ティルトロッド用逆止弁91bは、ティルトロッド分岐配管41bにおけるティルトシリンダ103のロッド側とティルトロッド用切替弁81bとの間に配置されている。ティルトロッド用逆止弁91bは、ティルトシリンダ103のロッド側からの作動油の逆流を防止する機能を有している。
ここで、ティルトボトム用切替弁81a、ティルトロッド用切替弁81b、及びリフト用切替弁82は、エンジン式フォークリフト100が前輪109へ制動力を発生させない、且つ荷役油圧機構101を動作させない状態で走行している状態において常に第2状態に維持されている。ティルトボトム用切替弁81aが第2状態であるとき、ティルトボトム用パイロット圧力配管71aにおけるティルトボトム用切替弁81aよりも上流寄りの部分は、ティルトボトム用切替弁81aに接続される第1返送油路L1に接続される。第1返送油路L1は、タンクTに接続されている。ティルトロッド用切替弁81bが第2状態であるとき、ティルトロッド用パイロット圧力配管71bにおけるティルトロッド用切替弁81bよりも上流寄りの部分は、ティルトロッド用切替弁81bに接続される第2返送油路L2に接続される。第2返送油路L2は、タンクTに接続されている。リフト用切替弁82が第2状態であるとき、リフト用パイロット圧力配管72におけるリフト用切替弁82よりも上流寄りの部分は、リフト用切替弁82に接続される第3返送油路L3に接続される。第3返送油路L3は、タンクTに接続されている。
図3に示すように、オイルコントロールバルブ20は、アンロード機構21と、ボトム荷役用配管11a及びロッド荷役用配管11bに接続されるティルト供給機構22と、リフト荷役用配管12に接続されるリフト供給機構23と、を有している。アンロード機構21、ティルト供給機構22、及びリフト供給機構23は、供給油路31を介して荷役用ポンプ30に接続されている。そのため、アンロード機構21、ティルト供給機構22、及びリフト供給機構23には、荷役用ポンプ30から吐出された作動油が供給される。また、アンロード機構21、ティルト供給機構22、及びリフト供給機構23は、タンクTに通じるタンクラインTLに接続されている。
ティルト供給機構22は、供給油路31を介して供給された作動油をボトム荷役用配管11a及びロッド荷役用配管11bの供給経路に供給する機能を有している。また、ティルト供給機構22は、荷役油圧機構101のティルトシリンダ103からボトム荷役用配管11a及びロッド荷役用配管11bの返送経路を介して返送された作動油をタンクラインTLを介してタンクTに返送する機能を有している。すなわち、ティルト供給機構22は、ティルトシリンダ103への作動油の給排を制御している。
リフト供給機構23は、供給油路31を介して供給された作動油をリフト荷役用配管12の供給経路に供給する機能を有している。また、リフト供給機構23は、荷役油圧機構101のリフトシリンダ104からリフト荷役用配管の返送経路を介して返送された作動油をタンクラインTLを介してタンクTに返送する機能を有している。すなわち、リフト供給機構23は、リフトシリンダ104への作動油の給排を制御している。
アンロード機構21は、電磁リリーフ弁を含んでいる。アンロード機構21の電磁リリーフ弁が開状態になると、供給油路31に供給された作動油はアンロード機構21を介してタンクラインTLに戻される。そのため、供給油路31に油圧が立たず、荷役用ポンプ30から供給油路31に供給された作動油は、ティルト供給機構22及びリフト供給機構23に供給されない。また、アンロード機構21の電磁リリーフ弁が閉状態になると、供給油路31に供給された作動油はアンロード機構21からタンクラインTLに返送されない。すなわち、アンロード機構21の電磁リリーフ弁が閉状態になると、供給油路31に供給された作動油は、ティルト供給機構22及びリフト供給機構23に供給される。上述した操作レバーがマスト102を前傾動作又は後傾動作させるようにティルトシリンダ103を動作させる位置に操作されたときには、ティルト供給機構22からボトム荷役用配管11a又はロッド荷役用配管11bに作動油を供給する。操作レバーがティルトシリンダ103を前傾動作又は後傾動作させる位置にないときには、ティルト供給機構22に供給される作動油はタンクラインTLに返送される。操作レバーがリフトシリンダ104を動作させる位置に操作されたときには、リフト供給機構23からリフト荷役用配管12に作動油を供給する。操作レバーがリフトシリンダ104を動作させる位置にないときには、リフト供給機構23に供給される作動油はタンクラインTLに返送される。すなわち、アンロード機構21は、荷役用ポンプ30から供給される作動油をタンクTに返送させる無負荷状態と、荷役用ポンプ30から供給される作動油をティルト供給機構22及びリフト供給機構23を介して荷役油圧機構101の各シリンダ103,104に供給させる負荷状態とを切り替え可能に構成されている。
図2に示すように、圧力補償弁60は、プランジャ61を有している。プランジャ61は、統合パイロット圧力配管73に接続されている。プランジャ61は、返送用配管55を流動する作動油のタンクTへの返送し易さを調整する機能を有している。具体的には、プランジャ61は、返送用配管55に流動する作動油をタンクTに返送するときには第1設定圧P1に設定され、返送用配管55に流動する作動油をタンクTに返送し難くするときには第1設定圧P1よりも大きい油圧である第2設定圧P2に設定される。第2設定圧P2は、統合パイロット圧力配管73に作用する油圧であるパイロット圧力Phを第1設定圧P1に加算することで設定される。
エンジン式フォークリフト100は、制御装置65と、エンジン式フォークリフト100の車速を検出する車速センサSとを備えている。制御装置65は、車速センサSにより検出された車速に基づきエンジン式フォークリフト100の動作状態を確認する。制御装置65は、操作レバーの操作状態及びエンジン式フォークリフト100の車速といったエンジン式フォークリフト100の動作状態に基づきオイルコントロールバルブ20及び切替弁80を制御する。なお、車速センサSは、エンジン式フォークリフト100の動作状態を検出する検出部の一例である。
ここで、例えばエンジン式フォークリフト100には、インチングペダルが設けられている。エンジン式フォークリフト100が走行しているときに荷役油圧機構101を動作させるときには、インチングペダルを踏み込むことでブレーキが連動して動作し、エンジン式フォークリフト100を減速させつつ荷役油圧機構101を動作させることが知られている。本実施形態は、制動時に発生するエネルギーにより荷役油圧機構101を動作させることができる構成となっている。以下、エンジン式フォークリフト100の動作及び本実施形態の作用について説明する。
まずは、エンジン式フォークリフト100の通常走行時について説明する。なお、通常走行とは、エンジン式フォークリフト100が減速しておらず、且つ荷役油圧機構101を動作させない状態で走行していることを示す。
エンジン式フォークリフト100の制御装置65は、操作レバーが操作されず、且つ車速センサSから検出される車速によりエンジン式フォークリフト100が減速していないと判断したとき、オイルコントロールバルブ20のアンロード機構21の電磁リリーフ弁を開状態にする。すなわち、アンロード機構21は、荷役用ポンプ30から供給される作動油をタンクTに返送する無負荷状態に切り替えられる。よって、オイルコントロールバルブ20から荷役用配管10を介して荷役油圧機構101の各シリンダ103,104に対して作動油が供給されない。また、エンジン式フォークリフト100の制御装置65は、切替弁80を第2状態に維持する。これにより、圧力補償弁60のプランジャ61は、第1設定圧P1に設定される。制動用ポンプ51が駆動軸110の回転に応じてタンクTに貯留されている作動油を制動用配管40に供給しても、制動用配管40に流動する作動油は切替弁80によって荷役油圧機構101の各シリンダ103,104に供給されない。また、制動用配管40に供給される作動油は、返送用配管55及び圧力補償弁60を介してタンクTに作動油が返送される。
次に、エンジン式フォークリフト100を減速させつつ荷役油圧機構101のティルトシリンダ103によりマスト102を前傾動作させるときについて説明する。このとき、エンジン式フォークリフト100のインチングペダルが踏まれることでブレーキが連動して動作し、且つ操作レバーがマスト102を前傾動作させるようにティルトシリンダ103を動作させる位置に操作されたことを前提としている。
エンジン式フォークリフト100の制御装置65は、インチングペダルが踏まれている状態で操作レバーがマスト102を前傾動作させるようにティルトシリンダ103を動作させる位置に操作されたとき、車速センサSから検出される車速を確認する。エンジン式フォークリフト100の制御装置65は、エンジン式フォークリフト100が減速しつつティルトシリンダ103を動作させることを検知したとき、アンロード機構21を無負荷状態にする。すなわち、オイルコントロールバルブ20から荷役用配管10を介して荷役油圧機構101の各シリンダ103,104に対して作動油を供給させない。また、エンジン式フォークリフト100の制御装置65は、ティルトボトム用切替弁81aを第1状態にする。これにより、制動用ポンプ51からティルトボトム分岐配管41aを介してティルトシリンダ103のボトム側に作動油が供給される。そして、ティルトシリンダ103が伸び、マスト102が前傾動作する。このとき、ティルトボトム分岐配管41aに作用する油圧は、ティルトボトム用パイロット圧力配管71a、第2シャトル弁96、統合ティルト用配管71c、第1シャトル弁95、及び統合パイロット圧力配管73を介して圧力補償弁60のプランジャ61に作用する。ここで、プランジャ61は、統合パイロット圧力配管73に作用する油圧、すなわちティルトシリンダ103のボトム側の油圧であるパイロット圧力Phを第1設定圧P1に加算することで第2設定圧P2に設定される。そのため、返送用配管55に流動する作動油は、圧力補償弁60を介してタンクTに返送され難くなる。そして、制動用ポンプ51の作動油の吐出圧が圧力補償弁60のプランジャ61の第2設定圧P2と同じとなるため、制動用配管40の内部の油圧が高まる。制動用配管40の内部の油圧が高まることで、制動用ポンプ51が動作し難くなる。ひいては、制動用ポンプ51が連結されている駆動軸110が回転し難くなり、前輪109へ制動力が発生する。
なお、エンジン式フォークリフト100が停止し、マスト102の前傾動作が終了したときを考える。このとき、制御装置65は、車速センサSから検出される車速によってエンジン式フォークリフト100が停止していると判断し、且つ操作レバーがマスト102を前傾動作させるようにティルトシリンダ103を動作させる位置に操作されていないと判断したとき、ティルトボトム用切替弁81aを第2状態にする。ティルトボトム用切替弁81aが第2状態に切り替えられると、パイロット圧力配管70におけるティルトボトム用切替弁81aよりも上流の部分であるティルトボトム用パイロット圧力配管71aは、第1返送油路L1に接続される。そのため、ティルトボトム用パイロット圧力配管71a、統合ティルト用配管71c、及び統合パイロット圧力配管73の内部の作動油は、第1返送油路L1を介してタンクTに返送される。よって、圧力補償弁60のプランジャ61は再び第1設定圧P1に設定される。
また、エンジン式フォークリフト100が停止し、マスト102の前傾動作が継続中であるときを考える。このとき、制御装置65は、車速センサSから検出される車速によってエンジン式フォークリフト100が停止していると判断し、且つ操作レバーがマスト102を前傾動作させるようにティルトシリンダ103を動作させる位置に操作されていると判断したとき、ティルトボトム用切替弁81aを第2状態にする。また、制御装置65は、アンロード機構21を負荷状態にする。これにより、ティルトシリンダ103のボトム側には、オイルコントロールバルブ20のティルト供給機構22からボトム荷役用配管11aの供給経路を介して作動油が供給される。これによりティルトシリンダ103が伸び、マスト102が前傾動作する。
次に、エンジン式フォークリフト100を減速させつつ荷役油圧機構101のティルトシリンダ103によりマスト102を後傾動作させるときについて説明する。このとき、エンジン式フォークリフト100のインチングペダルが踏まれることでブレーキが連動して動作し、且つ操作レバーがマスト102を後傾動作させるようにティルトシリンダ103を動作させる位置に操作されたことを前提としている。なお、マスト102が後傾動作する前には、マスト102が前傾動作している。すなわち、ティルトシリンダ103のボトム側には、マスト102の前傾動作時に供給された作動油が残っていることを前提として以下説明する。
エンジン式フォークリフト100の制御装置65は、インチングペダルが踏まれている状態で操作レバーがマスト102を後傾動作させるようにティルトシリンダ103を動作させる位置に操作されたとき、車速センサSから検出される車速を確認する。エンジン式フォークリフト100の制御装置65は、エンジン式フォークリフト100が減速しつつティルトシリンダ103を動作させることを検知したとき、アンロード機構21を無負荷状態にする。すなわち、オイルコントロールバルブ20から荷役用配管10を介して荷役油圧機構101の各シリンダ103,104に対して作動油を供給させない。また、エンジン式フォークリフト100の制御装置65は、ティルトロッド用切替弁81bを第1状態にする。これにより、制動用ポンプ51からティルトロッド分岐配管41bを介してティルトシリンダ103のロッド側に作動油が供給される。同時に、制御装置65は、ボトム荷役用配管11aの返送経路に設けられている電磁切替弁を開状態にする。そのため、ティルトシリンダ103のロッド側に作動油が供給されつつ、ティルトシリンダ103のボトム側に残った作動油は、ボトム荷役用配管11aの返送経路を介してオイルコントロールバルブ20のティルト供給機構22に返送される。ティルト供給機構22に返送された作動油は、タンクラインTLを介してタンクTに返送される。そして、ティルトシリンダ103が縮み、マスト102が後傾動作する。このとき、ティルトロッド分岐配管41bに作用する油圧は、ティルトロッド用パイロット圧力配管71b、第2シャトル弁96、統合ティルト用配管71c、第1シャトル弁95、及び統合パイロット圧力配管73を介して圧力補償弁60のプランジャ61に作用する。ここで、プランジャ61は、統合パイロット圧力配管73に作用する油圧、すなわちティルトシリンダ103のロッド側の油圧であるパイロット圧力Phを第1設定圧P1に加算することで第2設定圧P2に設定される。そのため、返送用配管55に流動する作動油は、圧力補償弁60を介してタンクTに返送され難くなる。そして、制動用ポンプ51の作動油の吐出圧が圧力補償弁60のプランジャ61の第2設定圧P2と同じとなるため、制動用配管40の内部の油圧が高まる。制動用配管40の内部の油圧が高まることで、制動用ポンプ51が動作し難くなる。ひいては、制動用ポンプ51が連結されている駆動軸110が回転し難くなり、前輪109へ制動力が発生する。
なお、エンジン式フォークリフト100が停止し、マスト102の後傾動作が終了したときを考える。このとき、制御装置65は、車速センサSから検出される車速によってエンジン式フォークリフト100が停止していると判断し、且つ操作レバーがマスト102を後傾動作させるようにティルトシリンダ103を動作させる位置に操作されていないと判断したとき、ティルトロッド用切替弁81bを第2状態にする。ティルトロッド用切替弁81bが第2状態に切り替えられると、パイロット圧力配管70におけるティルトロッド用切替弁81bよりも上流の部分であるティルトロッド用パイロット圧力配管71bは、第2返送油路L2に接続される。そのため、ティルトロッド用パイロット圧力配管71b、統合ティルト用配管71c、及び統合パイロット圧力配管73の内部の作動油は、第2返送油路L2を介してタンクTに返送される。よって、圧力補償弁60のプランジャ61は再び第1設定圧P1に設定される。
また、エンジン式フォークリフト100が停止し、マスト102の後傾動作が継続中であるときを考える。このとき、制御装置65は、車速センサSから検出される車速によってエンジン式フォークリフト100が停止していると判断し、且つ操作レバーがマスト102を後傾動作させるようにティルトシリンダ103を動作させる位置に操作されていると判断したとき、ティルトロッド用切替弁81bを第2状態にする。また、制御装置65は、アンロード機構21を負荷状態にする。これにより、ティルトシリンダ103のロッド側には、オイルコントロールバルブ20のティルト供給機構22からロッド荷役用配管11bの供給経路を介して作動油が供給される。同時に、制御装置65は、ボトム荷役用配管11aの返送経路に設けられている電磁切替弁を開状態に維持する。そのため、ティルトシリンダ103のロッド側に作動油が供給されつつ、ティルトシリンダ103のボトム側に残った作動油は、ボトム荷役用配管11aの返送経路を介してオイルコントロールバルブ20のティルト供給機構22に返送される。ティルト供給機構22に返送された作動油は、タンクラインTLを介してタンクTに返送される。これによりティルトシリンダ103が縮み、マスト102が後傾動作する。
次に、エンジン式フォークリフト100を減速させつつ荷役油圧機構101のリフトシリンダ104によりフォーク106を動作させるときについて説明する。このとき、エンジン式フォークリフト100のインチングペダルが踏まれることでブレーキが連動して動作し、且つ操作レバーがリフトシリンダ104を動作させる位置に操作されたことを前提としている。
エンジン式フォークリフト100の制御装置65は、インチングペダルが踏まれている状態で操作レバーがリフトシリンダ104を動作させる位置に操作されたとき、車速センサSから検出される車速を確認する。エンジン式フォークリフト100の制御装置65は、エンジン式フォークリフト100が減速しつつリフトシリンダ104を動作させることを検知したとき、アンロード機構21を無負荷状態にする。すなわち、オイルコントロールバルブ20から荷役用配管10を介して荷役油圧機構101の各シリンダ103,104に対して作動油を供給させない。また、エンジン式フォークリフト100の制御装置65は、リフト用切替弁82を第1状態にする。これにより、制動用ポンプ51からリフト分岐配管42を介してリフトシリンダ104に作動油が供給される。そして、リフトシリンダ104が伸び、フォーク106が上昇する。このとき、リフト分岐配管42に作用する油圧は、リフト用パイロット圧力配管72、第1シャトル弁95、及び統合パイロット圧力配管73を介して圧力補償弁60のプランジャ61に作用する。ここで、プランジャ61は、統合パイロット圧力配管73に作用する油圧、すなわちリフトシリンダ104の油圧であるパイロット圧力Phを第1設定圧P1に加算することで第2設定圧P2に設定される。そのため、返送用配管55に流動する作動油は、圧力補償弁60を介してタンクTに返送され難くなる。そして、制動用ポンプ51の作動油の吐出圧が圧力補償弁60のプランジャ61の第2設定圧P2と同じとなるため、制動用配管40の内部の油圧が高まる。制動用配管40の内部の油圧が高まることで、制動用ポンプ51が動作し難くなる。ひいては、制動用ポンプ51が連結されている駆動軸110が回転し難くなり、前輪109へ制動力が発生する。
なお、エンジン式フォークリフト100が停止し、リフトシリンダ104の動作が終了したときを考える。このとき、制御装置65は、車速センサSから検出される車速によってエンジン式フォークリフト100が停止していると判断し、且つ操作レバーがリフトシリンダ104を動作させる位置に操作されていないと判断したとき、リフト用切替弁82を第2状態にする。リフト用切替弁82が第2状態に切り替えられると、パイロット圧力配管70におけるリフト用切替弁82よりも上流の部分であるリフト用パイロット圧力配管72は、第3返送油路L3に接続される。そのため、リフト用パイロット圧力配管72及び統合パイロット圧力配管73の内部の作動油は、第3返送油路L3を介してタンクTに返送される。よって、圧力補償弁60のプランジャ61は再び第1設定圧P1に設定される。同時に、制御装置65は、リフト荷役用配管12の返送経路に設けられている電磁切替弁を開状態にする。そのため、リフトシリンダ104に残った作動油は、フォーク106の重量や荷の重量等によりリフト荷役用配管12の返送経路を介してオイルコントロールバルブ20のリフト供給機構23に返送される。リフト供給機構23に返送された作動油は、タンクラインTLに返送される。そして、リフトシリンダ104が縮み、フォーク106が下がる。
また、エンジン式フォークリフト100が停止し、リフトシリンダ104の動作が継続中であるときを考える。このとき、制御装置65は、車速センサSから検出される車速によってエンジン式フォークリフト100が停止していると判断し、且つ操作レバーがリフトシリンダ104を動作させる位置に操作されていると判断したとき、リフト用切替弁82を第2状態にする。また、制御装置65は、アンロード機構21を負荷状態にする。これにより、リフトシリンダ104には、オイルコントロールバルブ20のリフト供給機構23からリフト荷役用配管12の供給経路を介して作動油が供給される。これによりリフトシリンダ104が伸び、フォーク106が上昇する。
次に、エンジン式フォークリフト100を減速させつつ荷役油圧機構101の各シリンダ103,104を動作させるときについて説明する。このとき、エンジン式フォークリフト100のインチングペダルが踏まれることでブレーキが連動して動作し、且つ操作レバーがティルトシリンダ103を前傾動作又は後傾動作させる位置、及びリフトシリンダ104を動作させる位置に操作されたことを前提としている。なお、前輪109に制動力を発生させつつ各シリンダ103,104を動作させるときのエンジン式フォークリフト100の動作は、上記した動作と同じであるが、パイロット圧力Phの選択方法が異なる。よって、その点についてのみ説明する。
エンジン式フォークリフト100を減速させつつリフトシリンダ104を動作させ、且つマスト102を前傾動作させるようにティルトシリンダ103を動作させるときを考える。
ティルトボトム用パイロット圧力配管71aに作用する油圧は、第2シャトル弁96、及び統合ティルト用配管71cを介して第1シャトル弁95に作用する。また、リフト用パイロット圧力配管72に作用する油圧は、第1シャトル弁95に作用する。そのため、第1シャトル弁95は、統合ティルト用配管71c及びリフト用パイロット圧力配管72のうち作用する油圧の大きい方と統合パイロット圧力配管73とを接続する。よって、統合パイロット圧力配管73に作用する油圧は、ティルトボトム用パイロット圧力配管71aに作用する油圧及びリフト用パイロット圧力配管72に作用する油圧のうち大きい方の油圧となる。したがって、統合パイロット圧力配管73に作用する油圧であるパイロット圧力Phは、ティルトボトム用パイロット圧力配管71aに作用する油圧及びリフト用パイロット圧力配管72に作用する油圧のうち大きい方の油圧となる。
エンジン式フォークリフト100を減速させつつリフトシリンダ104を動作させ、且つマスト102を後傾動作させるようにティルトシリンダ103を動作させるときを考える。
ティルトロッド用パイロット圧力配管71bに作用する油圧は、第2シャトル弁96、及び統合ティルト用配管71cを介して第1シャトル弁95に作用する。また、リフト用パイロット圧力配管72に作用する油圧は、第1シャトル弁95に作用する。そのため、第1シャトル弁95は、統合ティルト用配管71c及びリフト用パイロット圧力配管72のうち作用する油圧の大きい方と統合パイロット圧力配管73とを接続する。よって、統合パイロット圧力配管73に作用する油圧は、ティルトロッド用パイロット圧力配管71bに作用する油圧及びリフト用パイロット圧力配管72に作用する油圧のうち大きい方の油圧となる。したがって、統合パイロット圧力配管73に作用する油圧であるパイロット圧力Phは、ティルトロッド用パイロット圧力配管71bに作用する油圧及びリフト用パイロット圧力配管72に作用する油圧のうち大きい方の油圧となる。
上記のようにして決まったパイロット圧力Phを第1設定圧P1に加算することで圧力補償弁60のプランジャ61の第2設定圧P2が設定される。なお、上記のように構成されたエンジン式フォークリフト100において、圧力補償弁60は、エンジン式フォークリフト100が減速していないときに返送用配管55に流動する作動油がタンクTに返送されるように設定された第1設定圧P1と、エンジン式フォークリフト100を減速させつつ荷役油圧機構101を動作させるときにパイロット圧力Phを第1設定圧P1に加算した第2設定圧P2とを切り替え可能に構成されている。
本実施形態の効果について説明する。
(1)本実施形態では、制御装置65は、エンジン式フォークリフト100を減速させつつ荷役油圧機構101を動作させることを検知したとき、切替弁80を第1状態にする。そのため、圧力補償弁60には、パイロット圧力配管70に作用する油圧であるパイロット圧力Phが作用する。そして、圧力補償弁60は第1設定圧P1にパイロット圧力Phを加算した第2設定圧P2に設定される。制動用作動油供給機構50から制動用配管40に供給された作動油は、返送用配管55からタンクTに返送され難くなると同時に切替弁80と逆止弁90を介して荷役油圧機構101に供給される。これにより制動用配管40に流動する作動油の油圧が高くなり、制動用ポンプ51が動作し難くなる。ひいては、駆動軸110が回転し難くなり、前輪109へ制動力を発生させることができる。そして、前輪109へ制動力を発生させているときに制動用配管40に流動する作動油の油圧エネルギーは、荷役油圧機構101にも作用するため荷役油圧機構101が動作する。したがって、前輪109へ制動力を発生するときに発生するエネルギーを荷役油圧機構101を動作させるために使用できるため、エネルギー効率を向上させることができる。
(2)本実施形態では、エンジン式フォークリフト100が減速しつつ荷役油圧機構101を動作させるとき、オイルコントロールバルブ20のアンロード機構21が無負荷状態となる。そのため、荷役用ポンプ30を動作させるためにパワートレイン107を必要以上に稼働させる必要がなく、制動用作動油供給機構50から供給される作動油の油圧により荷役油圧機構101を動作させることができる。したがって、荷役油圧機構101を動作させるためにパワートレイン107を必要以上に稼働させなくてもよいため、エンジン式フォークリフト100の燃費を向上させることができる。
(3)エンジン式フォークリフト100が前進及び後進するとき、駆動軸110の回転方向が異なる。
本実施形態では、エンジン式フォークリフト100が前進及び後進するときに駆動軸110の回転方向が異なる場合であっても制動用ポンプ51から吐出された作動油は制動用油路52を介して制動用配管40に流動する。したがって、エンジン式フォークリフト100が前進している状態で前輪109へ制動力を発生させつつ荷役油圧機構101を動作させることもでき、エンジン式フォークリフト100が後進している状態で前輪109へ制動力を発生させつつ荷役油圧機構101を動作させることもできる。
(4)荷役油圧機構101がリフトシリンダ104とティルトシリンダ103とで構成されているとき、圧力補償弁60を第2設定圧P2に設定するときに使用するパイロット圧力Phとして、リフトシリンダ104の油圧及びティルトシリンダ103の油圧のうち小さい方を採用すると、リフトシリンダ104及びティルトシリンダ103を同時に動作させる場合にいずれか一方が適切に動作しない虞がある。
その点、本実施形態では、前輪109へ制動力を発生させつつリフトシリンダ104及びティルトシリンダ103を同時に動作させるときには、第1シャトル弁95によりティルト用パイロット圧力配管71及びリフト用パイロット圧力配管72のうち作用する油圧が大きい方が統合パイロット圧力配管73に接続される。そのため、統合パイロット圧力配管73には、ティルト用パイロット圧力配管71又はリフト用パイロット圧力配管72が接続され、圧力補償弁60の第2設定圧P2は、ティルトシリンダ103の油圧及びリフトシリンダ104の油圧のうち大きい方をパイロット圧力Phとして第1設定圧P1に加算することで設定される。
よって、圧力補償弁60において荷役油圧機構101の動作状態によって適したパイロット圧力Phを第1シャトル弁95により選択できるため、前輪109へ制動力を発生させつつ荷役油圧機構101を適切に動作させることができる。
(5)本実施形態では、ティルトシリンダ103の動作状態によってティルトシリンダ103のボトム側に作用する油圧及びティルトシリンダ103のロッド側に作用する油圧のいずれか一方が第2シャトル弁96に作用する。そのため、リフトシリンダ104を動作させつつマスト102を前傾動作させるようにティルトシリンダ103を動作させるとき、リフトシリンダ104の油圧及びティルトシリンダ103のボトム側の油圧のうち大きい方が第1シャトル弁95により統合パイロット圧力配管73に作用する。また、リフトシリンダ104を動作させつつマスト102を後傾動作させるようにティルトシリンダ103を動作させるとき、リフトシリンダ104の油圧及びティルトシリンダ103のロッド側の油圧のうち大きい方が第1シャトル弁95により統合パイロット圧力配管73に作用する。よって、前輪109へ制動力を発生させつつ荷役油圧機構101を適切に動作させることができる。
(6)前輪109へ制動力を発生させつつ荷役油圧機構101を動作させるときにオイルコントロールバルブ20のアンロード機構21により荷役用ポンプ30から供給された作動油は、タンクラインTLを介してタンクTに返送される。そのため、荷役用ポンプ30及び制動用ポンプ51の双方を使用して荷役油圧機構101を動作させることがなくなる。よって、エンジン式フォークリフト100として油圧エネルギーを効率的に使用することができる。
なお、本実施形態は、以下のように変更して実施できる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施できる。
〇 本実施形態では、マスト102が後傾動作する前には、マスト102が前傾動作していることを前提としたが、マスト102が前傾動作する前には、マスト102が後傾動作していることもある。すなわち、マスト102を前傾動作する前の状態で、ティルトシリンダ103のロッド側には、マスト102の後傾動作時に供給された作動油が残っていることもある。マスト102が前傾動作する前には、マスト102が後傾動作していることを前提として、エンジン式フォークリフト100が停止し、マスト102の前傾動作が継続中であるときの動作を以下に説明する。
このとき、制御装置65は、車速センサSから検出される車速によってエンジン式フォークリフト100が停止していると判断し、且つ操作レバーがマスト102を前傾動作させるようにティルトシリンダ103を動作させる位置に操作されていると判断したとき、ティルトボトム用切替弁81aを第2状態にする。また、制御装置65は、アンロード機構21を負荷状態にする。これにより、ティルトシリンダ103のボトム側には、オイルコントロールバルブ20のティルト供給機構22からボトム荷役用配管11aの供給経路を介して作動油が供給される。同時に、制御装置65は、ロッド荷役用配管11bの返送経路に設けられている電磁切替弁を開状態に維持する。そのため、ティルトシリンダ103のボトム側に作動油が供給されつつ、ティルトシリンダ103のロッド側に残った作動油は、ロッド荷役用配管11bの返送経路を介してオイルコントロールバルブ20のティルト供給機構22に返送される。ティルト供給機構22に返送された作動油は、タンクラインTLを介してタンクTに返送される。これによりティルトシリンダ103が伸び、マスト102が前傾動作する。
〇 本実施形態では、ティルト用切替弁81は、ティルトボトム用切替弁81aと、ティルトロッド用切替弁81bとで構成されていたが、これに限らない。例えば、ティルトボトム用切替弁81a及びティルトロッド用切替弁81bの機能を有する1つのティルト用切替弁を採用してもよい。
〇 第2シャトル弁96及び統合ティルト用配管71cを割愛してもよい。このように変更する場合、ティルト用パイロット圧力配管71をティルトボトム用パイロット圧力配管71aのみで構成し、ティルトボトム用パイロット圧力配管71aを第1シャトル弁95に接続してもよい。そして、ティルト用切替弁81をティルトボトム用切替弁81aのみで構成し、且つティルト用逆止弁91をティルトボトム用逆止弁91aのみで構成してもよい。
〇 また、第2シャトル弁96及び統合ティルト用配管71cを割愛する場合、ティルト用パイロット圧力配管71をティルトロッド用パイロット圧力配管71bのみで構成し、ティルトロッド用パイロット圧力配管71bを第1シャトル弁95に接続してもよい。そして、ティルト用切替弁81をティルトロッド用切替弁81bのみで構成し、且つティルト用逆止弁91をティルトロッド用逆止弁91bのみで構成してもよい。
〇 ティルト分岐配管41、ティルト用パイロット圧力配管71、ティルト用切替弁81、及びティルト用逆止弁91を割愛してもよい。すなわち、制動用配管40をリフト分岐配管42のみで構成し、パイロット圧力配管70をリフト用パイロット圧力配管72のみで構成し、切替弁80をリフト用切替弁82のみで構成し、且つ逆止弁90をリフト用逆止弁92でのみ構成するように変更してもよい。このように構成しても、前輪109に制動力を発生させつつ荷役油圧機構101のリフトシリンダ104によりフォーク106を動作させることができる。なお、このように変更する場合、第1シャトル弁95を割愛し、リフト用パイロット圧力配管72を圧力補償弁60のプランジャ61に接続するように変更する。
〇 制動用配管40をティルト分岐配管41のみで構成し、パイロット圧力配管70をティルト用パイロット圧力配管71のみで構成し、切替弁80をティルト用切替弁81のみで構成し、且つ逆止弁90をティルト用逆止弁91のみで構成するように変更してもよい。このように変更する場合、ティルト用パイロット圧力配管71を構成する統合ティルト用配管71cを圧力補償弁60のプランジャ61に接続するように変更する。
〇 制動用配管40をティルトボトム分岐配管41aのみで構成し、パイロット圧力配管70をティルトボトム用パイロット圧力配管71aのみで構成し、切替弁80をティルトボトム用切替弁81aのみで構成し、且つ逆止弁90をティルトボトム用逆止弁91aのみで構成するように変更してもよい。このように変更する場合、ティルトボトム用パイロット圧力配管71aを圧力補償弁60のプランジャ61に接続するように変更する。
〇 制動用配管40をティルトロッド分岐配管41bのみで構成し、パイロット圧力配管70をティルトロッド用パイロット圧力配管71bのみで構成し、切替弁80をティルトロッド用切替弁81bのみで構成し、且つ逆止弁90をティルトロッド用逆止弁91bのみで構成するように変更してもよい。このように変更する場合、ティルトロッド用パイロット圧力配管71bを圧力補償弁60のプランジャ61に接続するように変更する。
〇 制動用作動油供給機構50は、制動用ポンプ51のみで構成されていてもよい。このように変更する場合、制動用ポンプ51を制動用配管40に設ける。そして、制動用ポンプ51を例えばタンクTに貯留されている作動油を制動用配管40のみに吐出できるような構成を有する回転ポンプに変更するとよい。すなわち、駆動軸110の回転方向に関わらず一定の方向に回転する回転ポンプであるとよい。
〇 また、制動用ポンプ51は、駆動軸110の一方の回転方向に応じて制動用配管40に作動油を吐出する構成としてもよい。すなわち、制動用ポンプ51は、エンジン式フォークリフト100の前進又は後進のいずれかのときのみタンクTから作動油を制動用配管40に吐出する構成としてもよい。
〇 本実施形態において、リフトシリンダ104に作動油が供給されることでマスト102に取り付けられたフォーク106が車体150の上方向に動作していたが、これに限らない。例えば、リフトシリンダ104に作動油を供給することでマスト102に取り付けられたフォーク106を昇降動作させるように変更してもよい。すなわち、本実施形態においてフォーク106を下げるときには、フォーク106の重量や荷の重量等によりリフトシリンダ104の内部の作動油が排出され、フォーク106が下がるように構成していたが、フォーク106を下げるときにも作動油の油圧を使用してもよい。
この場合、例えばリフト分岐配管42を、リフトシリンダ104のボトム側に接続されるリフトボトム分岐配管と、リフトシリンダ104のボトム側と反対側のトップ側に接続されるリフトトップ分岐配管とで構成するとよい。そして、リフト用パイロット圧力配管72を、リフトボトム分岐配管に接続されるリフトボトム用パイロット圧力配管と、リフトトップ分岐配管と接続されるリフトトップ用パイロット圧力配管と、第1シャトル弁95に接続される統合リフト用配管とで構成するようにしてもよい。さらに、このように変更する場合、リフトボトム用パイロット圧力配管、リフトトップ用パイロット圧力配管、及び統合リフト用配管が接続されるシャトル弁としての第3シャトル弁を採用するとよい。よって、前輪109へ制動力を発生させつつ各シリンダ103,104を動作させるときに、第1シャトル弁95、第2シャトル弁96、及び第3シャトル弁により荷役油圧機構101の動作状態に応じて適したパイロット圧力Phを選択することができる。
〇 制動用ポンプ51と駆動軸110とは連結されていたが、これに限らない。例えば、制動用ポンプ51と駆動軸110とは、前輪109へ制動力を発生させつつ荷役油圧機構101を動作させるときにのみ制動用ポンプ51と駆動軸110とを連結させるクラッチを介して接続されていてもよい。すなわち、制動用ポンプ51は、駆動軸110に対して連結されている状態において駆動軸110の回転に応じて動作する。
〇 また、荷役用ポンプ30とパワートレイン107とは連結されていたが、これに限らない。例えば、荷役用ポンプ30とパワートレイン107とは、オイルコントロールバルブ20から荷役油圧機構101へ作動油を供給するときのみ荷役用ポンプ30とパワートレイン107とを連結させるクラッチを介して接続されていてもよい。
〇 エンジン式フォークリフト100が減速している期間が短く、制動用配管40から荷役油圧機構101に対して供給する作動油だけでは、各シリンダ103,104が十分に動作しない場合が考えられる。そのため、エンジン式フォークリフト100を減速させつつ荷役油圧機構101の各シリンダ103,104を動作させるとき、アンロード機構21を無負荷状態にすることで、オイルコントロールバルブ20から荷役油圧機構101に作動油を供給させないようにしていたが、これに限らない。例えば、制動用配管40を介して荷役油圧機構101の各シリンダ103,104へ作動油を供給しつつ、オイルコントロールバルブ20から荷役油圧機構101の各シリンダ103,104に対して作動油を供給してもよい。このように変更しても、前輪109に制動力を発生させたときの油圧エネルギーを用いて荷役油圧機構101を動作させるための補助とすることができる。そのため、エネルギー効率を向上させることができる。
〇 エンジン式フォークリフト100の制御装置65は、車速センサSにより検出される車速によりエンジン式フォークリフト100の動作状態を確認していたが、これに限らない。例えば、車速センサSを制動用ポンプ51の回転数を検出するセンサに代替してもよい。この場合、当該センサにより検出される制動用ポンプ51の回転数が低下するときにエンジン式フォークリフト100が減速していると判断するようにしてもよい。
〇 車輪の一例として前輪109を挙げて説明したが、車輪の一例は後輪であってもよい。また、車輪の一例として前輪109及び後輪の双方であってもよい。
〇 エンジン式フォークリフト100の荷役油圧機構101は、ティルトシリンダ103及びリフトシリンダ104で構成されていたが、ティルトシリンダ103及びリフトシリンダ104の一方で構成されていてもよい。荷役油圧機構101がティルトシリンダ103及びリフトシリンダ104の一方で構成されている場合、上記した変更例に合わせて荷役用配管10、制動用配管40、パイロット圧力配管70、切替弁80、及び逆止弁90を構成するとよい。
〇 タンクTは、エンジン式フォークリフト100の製品仕様によって適宜分けて構成してもよい。