JP2021030822A - エアバッグ装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】車両の運転席用フロンタルエアバッグ装置に於いて、エアバッグの展開開始時に運転者の体幹が前傾していたとしても、エアバッグの上部部分がより確実に運転者の頭部前面に展開できるようにする構成を提供すること。【解決手段】本発明のエアバッグ装置は、車両のステアリングホイールに於ける中央領域にて装備され、運転席に運転者が着席している場合にステアリングホイールよりも後方にて展開可能なエアバッグが収容されているエアバッグモジュールを含み、エアバッグモジュールが、エアバッグの展開時にエアバッグのエアバッグモジュールの上方への膨張を抑制するテザーを含み、テザーがエアバッグの運転者の胸部に当接することとなる方向のエアバッグの膨張後に破断してエアバッグのエアバッグモジュールの上方への膨張が許されるようになる。【選択図】図4

Description

本発明は、自動車等の車両に装備されるエアバック装置に係り、より詳細には、運転席用のエアバック装置に係る。
車両の運転席用のエアバック装置に於いては、典型的には、ステアリングホイール(ハンドル)の中央領域に、エアバックが折り畳まれて収納され、車両がある程度を超える衝撃を受けると、エアバック内へインフレータからのガスが噴射され、運転者とハンドルとの間にエアバックが展開される。かかるエアバックの展開時に於ける運転者に対する衝撃を適切に緩和できるように、エアバックの展開に関して種々の態様が提案されている。例えば、特許文献1では、車両が衝撃を受け、エアバックが展開する際に、乗員がエアバックの側方からその前方へ飛び出してしまうことを回避するために、乗員の真正面に向かうエアバックの中央領域よりも先に乗員の横方向に対応するエアバックの両側部を膨張させて、乗員の拘束性能を担保するように、エアバックの各部分の展開のタイミングを制御する構成が提案されている。また、特許文献2では、リム部が環状ではなく、左右一対の劣弧状をなす把持部と、それらの両把持部間を連結する連結部とから成る平面視略H字状をなす異形ステアリングホイールに於いて、エアバックが展開した状態でリム部が存在しないステアリングホイールの上部に於けるエアバックの車両後方側(運転者側)への反力を確保するために、ステアリングホイールと運転者の間に展開する主エアバックの他にステアリングホイールの上部に追加のエアバック又はその他の突出部材が展開され、運転者の主エアバッグへ付与する押力に対抗するように、車両後方側への反力を付与する構成が提案されている。
特開2005−343267 特開2007−062469
車両用のエアバック装置のうち、上記の如き運転席正面にエアバックが展開するエアバック装置(「運転席用フロンタルエアバック」とも称される。)に於いては、運転者の体幹とステアリングホイールとの直接的な接触を回避して、運転者の体幹に対する衝撃を緩和するべく、折り畳まれたエアバックを収容するエアバックモジュール(以下、「モジュール」と称する。)が、エアバックの展開時には、ステアリングホイールと運転者の体幹との間に膨張したエアバックが介在するようにステアリングホイールの中央領域にてステアリングシャフトの先端を覆うよう備えられる。かかる運転席用エアバック装置の構成に関して、運転者の体幹がステアリングホイールに近接又は接触した状態でエアバックが展開した場合には、エアバッグの上方部分が運転者の顎下に入り込み、これにより、運転者の頭部前面にエアバッグが展開しにくくなり得ることが見いだされた。この状況は、特に、ステアリングホイールが、所謂、異形ステア、即ち、通常の環状のホイールの上部領域(1R)がない形状のものである場合に生じやすい。実際、本発明の発明者等によるダミー人形を用いた車両のエアバックの展開実験によれば、ステアリングホイールが異形ステアホイールである場合に、OOP(Out Of Position)状態(ダミー人形が前傾し、その胸部がステアリングホイールの中央領域に当接し、その顎がステアリングホイールの中央領域の上方に延在した状態)でエアバックが展開されると、ダミー人形の頭部下部に設置された力・トルクセンサにて計測された力とトルクから算出されるダミー人形の受ける衝撃の程度を表す指標値が比較的大きくなってしまうことが見出されている。
上記の如き状況が生ずるのは、エアバックの上部部分の膨張時に運転者の体幹が前傾していると運転者の胸部がモジュールに近接しすぎ、運転者の頭部下方がエアバッグ展開前のモジュールの上方に位置してしまっていることに因っている。そこで、適切にエアバックが運転者の頭部正面にて展開できるようにするための手法としては、エアバックの上部部分の膨張を抑制した状態で、まず、エアバックの運転者の胸部に当接することとなる部分を膨張させ、運転者の体幹をモジュールから後方へ離隔し、これにより、モジュールの上方にてエアバックの上部部分の膨張を許す空間が確保されてからエアバックの上部部分の膨張が許されるように、エアバックの展開のタイミングを制御することが考えられる。
かくして、本発明の一つの主な課題は、車両の運転席用フロンタルエアバック装置に於いて、エアバックの展開開始時に運転者の体幹が前傾していたとしても、エアバックの上部部分がより確実に運転者の頭部前面に展開できるようにする構成を提供することである。
本発明のもう一つの課題は、上記の如き車両の運転席用フロンタルエアバック装置であって、エアバックの展開開始時にエアバックの上部部分の膨張を規制して、エアバックの運転者の胸部に当接することとなる部分を先に膨張させ、モジュールの上方にてエアバックの上部部分の膨張を許す空間が確保されてからエアバックの上部部分の膨張が許されるようにエアバックの展開のタイミングが制御される装置を提供することである。
本発明によれば、上記の課題の一つは、車両の運転席用のエアバッグ装置であって、
車両の異形ステアリングホイールに於ける中央領域にて装備され、前記車両の運転席に運転者が着席している場合に前記ステアリングホイールよりも後方にて膨張して展開可能なエアバッグが収容されているエアバッグモジュールを含み、
前記エアバッグモジュールが、前記エアバッグの展開時に前記エアバッグの前記エアバッグモジュールの上方への膨張を抑制するテザーを含み、前記テザーが前記エアバッグの前記運転者の胸部に当接することとなる方向の前記エアバッグの膨張後にその膨張に伴う張力によって破断して前記エアバッグの前記エアバッグモジュールの上方への膨張が許されるようになる装置
によって達成される。
上記の装置は、車両の運転席にて、そこに着席した運転者とステアリングホイールとの間にてエアバッグが展開可能となっている運転席用フロンタルエアバック装置である。「異形ステアリングホイール」とは、上記の如く、通常の環状のホイールの上部領域の円弧状のリム(1R)がない形状のもの、ホイールの両側部分を上方にて連結するリムが略水平に延在している形状のもの、或いは、リムがあってもステアリングホイールの中央領域へ偏倚するなどして、ステアリングホイールの中央領域の上方に運転者の頭部が進入可能な空間が生ずる形状のものであってよい。「エアバッグモジュール」は、折り畳まれたエアバッグと、そのエアバッグの展開時には、エアバッグ内にガスを送り込み、エアバッグを膨張させて展開できるように構成されたモジュールであり、通常の態様にて、ステアリングホイールの中央領域、即ち、ステアリングシャフトの先端を覆い、そこからスポークが放射方向に延在して、円弧状又は棒状のリムを支持する領域、に収納されるものであってよい。典型的には、エアバッグモジュールには、エアバッグ内に送入されるガスを発生するインフレータが備えられ、車両がその前後方向に設計者により適宜設定される所定の程度を超える衝撃を受けたとき、例えば、設計者により適宜設定される所定値以上の加速度がGセンサにて検知されたとき、インフレータがエアバッグ内へガスの送出を開始し、これにより、エアバッグは、膨張して、最終的に、ステアリングホイールよりも後方にて、運転者の胸部から頭部にかけての体幹の正面(前面)を覆うように展開し、運転者の体幹への衝撃が緩和されることが期待される。
上記の如きエアバッグ装置に於いて、既に述べた如く、運転者の体幹がエアバッグモジュールの装備されたステアリングホイールに近接又は当接し、そのモジュールの上方の空間に運転者の頭部が存在している状態で、エアバッグの展開が開始され、モジュールの上方へエアバッグが膨張してしまうと、エアバッグの上部が運転者の顎下に入り込み、運転者の頭部前面にエアバッグが展開しにくくなり得る。そこで、本発明の装置に於いては、上記の如く、エアバッグの展開時に、エアバッグのエアバッグモジュールの上方への膨張を抑制するテザーにして、所定の程度にて引っ張られると破断するテザーが設けられる。これにより、本発明の装置は、先ず、運転者の胸部に当接することとなる方向にエアバッグが膨張し、かかる膨張が所定の程度にて進んだ段階で、具体的には、エアバッグが運転者の胸部に当接することとなる方向に膨張して、運転者の体幹がモジュールに近接していたとしても、そこから車両の後方へ変位され、これにより、運転者の頭部が後退して、モジュールの上方の空間が開放される程度まで進んだ段階で、その膨張に伴う張力によってテザーが破断し、これにより、エアバッグがエアバッグモジュールの上方へ膨張できるよう構成される。かかる構成によれば、そして、モジュールの上方の空間が空いた状態で、エアバッグがモジュールの上方へ膨張することとなり、エアバッグがより確実に運転者の頭部前面に展開されることが期待される。
上記の装置に於いて、より具体的には、エアバッグモジュールには、エアバッグの展開時にエアバッグ内へ該エアバッグを膨張させるガスを流出するガス流出手段が設けられていてよい。ガス流出手段は、この分野に於いて、エアバックの展開時にエアバッグ内にガスを送り込むために採用されている任意の形式(ガス発生剤方式、蓄圧方式、ハイブリッド方式など)のインフレータ手段であってよい。そして、上記のテザーは、具体的には、エアバッグ内のモジュールに固定された部分とエアバッグの上方部分とを連結するよう配置されてよい。この構成によれば、ガス流出手段からエアバッグ内にガスが流入したとき、その初期に於いては、上記のテザーがエアバックの上方部分の膨張を抑制し、エアバッグは、運転者の胸部に当接することとなる部位が先に膨張し、運転者の体幹がモジュールに近接していたとしても、そこから車両の後方へ変位され、かくして、モジュールの上方の空間が空いた状況でテザーが破断され、その後、モジュールの上方方向への膨張が許されるようにすることができ、従って、より確実に、エアバッグを運転者の頭部前面に展開できることとなる。或いは、テザーは、エアバッグ上方部分と下方部分とを連結するよう配置され、ガス流出手段からエアバッグ内にガスが流入したとき、その初期に於いては、上記のテザーがエアバックの上下方向の膨張を抑制し、エアバッグが運転者の胸部に当接することとなる部位、車両の前後方向又は更に車両の横方向に先に膨張し、その後でエアバックの上下方向に膨張するようになっていてもよい。
実施の形態に於いて、上記のテザーは、例えば、一条の帯状体又は紐状体に於いて、スリットやミシン目が設けられ、所定の張力が作用すると、破断されるようになっていてよい。或いは、テザーは、二本の帯状体又は紐状体を端部にて互いに仮縫いして、一条のテザーとし、所定の張力が作用すると、仮縫い部分が破断されるようになっていてもよい。また、エアバッグ内に複数本のテザーが、エアバッグが所望の展開態様を実現するように設けられていてよい。更に、テザーは、エアバッグ展開開始後の所定の時間の経過後に、任意の形式の切断機によって、切断されるようになっていてもよい。
かくして、上記の本発明の装置に於いては、エアバックの展開に際して、エアバッグ全体が一様に膨張するのではなく、エアバッグの運転者の胸部に当接する部位が先ず膨張し、しかる後に、モジュールの上方の空間へエアバッグが膨張するように、エアバッグの展開の態様が制御される。かかる構成によれば、エアバックの展開開始時に運転者の体幹が前傾し、モジュールの上方の空間へ運転者の頭部が存在していたとしても、先ず、エアバッグの部分的な膨張によって運転者の胸部をモジュールから車両後方へ変位させ、これにより、運転者の体幹を後退させ、モジュールの上方の空間が開放され、しかる後に、エアバッグがモジュールの上方の空間へ展開することとなる。そうすると、エアバッグの上部が運転者の顎下に入り込む状態が回避され、エアバッグがより確実に運転者の頭部前面に展開されることが期待される。
本発明のその他の目的及び利点は、以下の本発明の好ましい実施形態の説明により明らかになるであろう。
図1(A)は、本実施形態による車両の運席用エアバッグ装置の構成の模式図である。図1(B)は、本実施形態によるエアバッグ装置が適用される異形ステアリングホイールの模式的な正面図である。図1(C)は、エアバッグ内に取り付けられるテザーの模式図である。 図2(A)は、本実施形態によるエアバッグ装置に於ける展開開始直後のエアバッグの状態を説明する異形ステアリングホイールの模式的な正面図であり、図2(B)は、エ展開開始後から所定時間の経過後のアバッグの状態を説明する異形ステアリングホイールの模式的な正面図である。 図3(A)は、エアバッグ内のテザーの配置について他の実施形態の模式的な側面図である。図3(B)、(C)は、それぞれ、図3(A)の構成に於けるエアバッグの展開開始後テザー破断前、破断後のエアバッグの状態を説明するエアバッグの模式的な正面図である。 図4(A)は、異形ステアリングホイールに適用された本実施形態によるエアバッグ装置のエアバッグ展開前の状態の模式的な側面図である。図に於いて、ダミー人形はOOP状態に配置されている。図4(B)は、図4(A)の状態からエアバッグの展開が開始され、上方部分の膨張がテザーで抑制されつつエアバッグが膨張している状態の模式的な側面図である。図4(C)は、図4(B)の状態からテザーが破断してエアバッグの上方部分の膨張が開始された状態の模式的な側面図である。 図5(A)は、異形ステアリングホイールに適用された2本のテザーが用いられている実施形態によるエアバッグ装置のエアバッグの展開が開始され、上方部分の膨張がテザーで抑制されつつエアバッグが膨張している状態の模式的な側面図である。図5(B)は、図5(A)の状態から一本のテザーが破断して、エアバッグの上方部分の膨張が開始された状態の模式的な側面図である。図5(C)は、図5(B)の状態から更にもう一本のテザーが破断して、エアバッグの上方部分の膨張が進行した状態の模式的な側面図である。
1…エアバッグ装置
1a…ステアリングシャフト
2…ステアリングホイール
2a…スポーク
3…エアバッグモジュール(ステアリングホイールの中央領域)
4…エアバッグ
5…インフレータ
6…テザー
D…ダミー人形
以下に添付の図を参照しつつ、本発明を幾つかの好ましい実施形態について詳細に説明する。図中、同一の符号は、同一の部位を示す。
装置の構成
図1(A)を参照して、本実施形態によるエアバッグ装置1に於いては、通常の運転席用フロンタルエアバッグ装置の場合と同様に、車両のステアリング装置のステアリングホイール2の略中央領域、即ち、ステアリングシャフト1aの先端付近にて、それを覆うように、エアバッグを収納したエアバッグモジュール3が備えられる。エアバッグモジュール3には、通常の態様であってよい運転者の腹部から頭部にかけての体幹の正面に膨張して展開可能なエアバッグ4が折り畳まれて収納され、エアバッグ4を膨張させるためのガスを発生するインフレータ5がエアバッグモジュール3の底面(図では、左後方に延在する面)に装備される。インフレータ5は、エアバッグ4内へ送出されるガスを、着火制御装置からの制御指令(ガス発生)に応答して、ガス発生剤方式、蓄圧方式、ハイブリッド方式などの任意の形式にて噴出するものであってよい。着火制御装置は、車両の前後Gを検出するGセンサの出力を受容し、Gセンサの出力により車両が所定値を超える前後方向加速度を受けたことを検知すると、インフレータ5に対して、ガス発生の制御指令を発するよう構成される。更に、本実施形態のエアバッグ装置に於いては、後に説明されるように、エアバッグの展開初期に於いてエアバッグの上方部分の膨張を抑制するテザー6が配置される。テザー6は、一つの態様に於いては、例えば、一方の端がエアバッグ内のモジュール3に固定された部位に取り付けられ、他方の端がエアバッグ内の上方部分に取り付けられてよい(図3(B)参照。図1(A)の如く、テザー6は、エアバッグの展開前は、エアバッグと共に、折り畳まれて収納されてよい。)。
なお、「発明の概要」の欄で述べた如く、本実施形態のエアバッグ装置は、運転者の体幹が前傾していたとしても、エアバックの上部部分がより確実に運転者の頭部前面に展開できるようにする構成であるところ、特に、ステアリングホイール2が、異形ステアリングホイールである場合、即ち、図1(B)に模式的に描かれている如く、その向きが直進方向となっている状態にて、点線にて示されている環状構造の上方の部分2b(1Rと称される。)が無いか、有っても、下方に偏移し、エアバッグモジュール3の両側から下方に亙る領域のみ、リム2cを有する形状である場合に、エアバッグモジュール3の上方の空間に前傾した運転者の頭部が進入しやすく、そのような構成に於いて、後に説明される態様に於ける本実施形態の利点がより有利に生かされることとなる。かくして、本実施形態のエアバッグ装置が適用されるステアリングホイール2は、異形ステアリングホイールであってよい。
上記の構成に於いて、「発明の概要」の欄にて述べた如く、エアバッグ内に配置されるテザー6は、エアバッグの膨張が所定の程度、具体的には、エアバッグが運転者の胸部に当接することとなる方向に膨張して、運転者の体幹がモジュールに近接していたとしても、そこから車両の後方へ変位され、これにより、運転者の頭部が後退して、モジュールの上方の空間が開放される程度まで進んだ段階で、その膨張により両端を引っ張る張力によって破断されるよう構成される。そのような張力により破断されるための構成として、テザー6は、帯状体又は紐状体に於いて、スリット6a(図1(C)左)やミシン目6b(図1(C)中)が穿たれて適当な張力で破断されるようになっていてよい。或いは、図1(C)右の如く、二本の帯状体又は紐状体が仮縫いや破断可能な状態6cで連結されて1条のテザー6が形成され、その連結部分が適当な張力で破断されるようになっていてよい。テザーの破断に対する強さは、エアバッグの膨張が上記の所定の程度になったとき張力でテザーの破断が生ずるように、実験等を通じて、適宜調節されてよい。
上記の如く、エアバッグ4内にテザー6が配置されている構成の場合、エアバッグ4へのガスの送出の開始から所定の時間Δtが経過するまでは、図2(A)に描かれている如く、エアバッグ4は、中間部分4Mから下方部分4Bにかけて、ガス流aにより膨張するが、エアバッグ4の上方部分4Tに於いては、テザー6が牽引されつつ、その膨張を抑制する(テザー6の長さ程度で膨張が止る)。その後、エアバッグ4に更にガスが送出され、所定の時間Δtが経過したときに、図2(B)に描かれている如く、テザー6がガスによる膨張しようとする力に因る張力に負けて破断され、そうすると、エアバッグ4の上方部分4Tへもガス流aが流入し、エアバッグ4の上方部分4Tが膨張することとなる。
なお、別の態様として、図3(A)に例示されている如く、テザー6は、一方の端がエアバッグ内の下方部分に取り付けられ、他方の端がエアバッグ内の上方部分に取り付けられてよい。この場合には、テザー6の破断前は、図3(B)の如く、エアバッグ4は、上方部分4Tと下方部分4Bとの膨張が抑制されつつ、中央部分4Mが膨張し、テザー6の破断後は、図3(C)の如く、上方部分4Tと下方部分4Bとも膨張が抑制することとなる。また、エアバッグ4内に、複数条のテザー6が配置されていてもよく(図5参照)、そのような場合も本発明の範囲に属する。
装置の作動
本実施形態の作動に於いては、Gセンサの出力を参照して着火制御装置にて車両に所定値を超える前後加速度がかかったことが検知されると、エアバッグ装置が作動開始される。この時点で、図4(A)のダミー人形Dの如く、運転者が前傾して、その胸部がステアリングホイール2に当接するほど接近していると(OOP状態)、運転者の頭部は、エアバッグモジュール3の上方空間に進入しやすくなり(特に、上記の如き異形ステアリングホイールの場合には、運転者の顎がエアバッグモジュール3の直上に位置することもあり得る。)、この状態で、エアバッグをその上方部分でも膨張すると、エアバッグは運転者の顎下に入り、運転者の頭部前面(顔面)にて展開しづらくなってしまう。そこで、本実施形態では、既に触れた如く、エアバッグの展開開始直後には、エアバッグ4の上方部分の膨張を抑制し、エアバッグ4の運転者の胸部に当接することとなる部分又は更にエアバッグ4の下方部分を膨張して、しかる後、所定時間が経過したとき、具体的には、図4(A)の如く運転者の体幹がエアバッグモジュール3に近接していたとしても、膨張した運転者の胸部に当接することとなる部分又は更に下方部分によって、運転者の体幹がエアバッグモジュール3から離隔され、運転者の頭部がエアバッグモジュール3の上方空間から外れる程度になってから、エアバッグの上方部分の膨張の抑制が解除される。
かくして、エアバッグ4は以下の如く展開される。まず、Gセンサの出力が所定値を超えると、着火制御装置からインフレータ5へガス発生の制御指令が与えられ、インフレータ5は、これに応答して、エアバッグ4へガスを送出し始める。ここで、図4(B)の如く、テザー6がモジュールに固定された部分とエアバッグ4の上方部分を連結しているため、エアバッグ4の中央部分の運転者の胸部に当接することとなる部分が膨張する一方で、エアバッグ4の上方部分の膨張は抑制されることとなる。そうすると、運転者の胸部に当接することとなる部分の膨張により、運転者の体幹がエアバッグモジュール3に近接していたとしても、運転者の胸部又は更に腹部が後方へ推され、これと共に運転者の頭部が後退し、エアバッグモジュール3の上方の空間が空くこととなる。この状態で、更に、エアバッグ4にガスが流入してその内圧が上昇すると、エアバッグ4の上方部分を膨張しようする力に応じてテザー6の張力が増大し、図4(C)の如く、テザー6が破断することとなる。そのときには既に、運転者の頭部がエアバッグモジュール3の上方の空間から後退しているので、エアバッグ4の上方部分がエアバッグモジュール3の上方空間へ膨張して運転者頭部前面に展開できることとなる。なお、エアバッグへのガスの送出開始からテザー6の破断までの所定時間Δtは、テザー6の破断に対する強さを実験的に調節することにより調節されてよい。テザー6の長さは、好適には、運転者の頭部がエアバッグモジュール3の上方の空間からより確実に後退されるようにエアバッグ4の運転者の胸部に当接することとなる部分が運転者の胸部を押してエアバッグモジュール3から離隔する距離ほど膨張可能となる長さに調節される。
また、本実施形態の別の態様として、エアバッグ4の内部に2本又はそれ以上のテザーが配置され、エアバッグの展開の態様が種々制御できるようになってもよい。例えば、図5(A)の如く、エアバッグ4内に、エアバッグモジュール3に固定された部位とエアバッグ4の上方部分とを連結するテザー6Xと、エアバッグ4の上方部分と下方部分とを連結するテザー6Yとが設けられていてよい。この場合に、例えば、テザー6Yが先に破断するように設定しているとすると、エアバッグ4へのガスの送出の開始時にOOP状態であったとしても、エアバッグ4の上方部分の膨張を抑制しつつ、エアバッグ4の運転者の胸部に当接することとなる部分が適当な程度にて膨張して、運転者の体幹を後退させ、これにより、エアバッグモジュール3の上方の空間が空くと(図5(A))、テザー6Yが、先ず、図5(B)の如く、破断して、エアバッグ4の上方部分が運転者の顎下に入り込むことなく、運転者頭部前面へエアバッグ4の展開が可能となる。そして、更なるエアバッグ4へのガスの送出によるエアバッグ4の膨張によって、テザー6Xが、図5(C)の如く、破断して、運転者頭部前面から胸部乃至腹部の正面に亙って、エアバッグ4が膨張して展開されることなる。
かくして、本実施形態によれば、エアバックの展開に際して、エアバックの展開開始時に運転者の体幹が前傾し、モジュールの上方の空間へ運転者の頭部が存在していたとしても、エアバッグ全体が一様に膨張するのではなく、エアバッグの運転者の胸部に当接する部位が先ず膨張し、運転者の胸部をモジュールから車両後方へ変位させ、これにより、運転者の体幹を後退させ、モジュールの上方の空間が開放され、しかる後に、モジュールの上方の空間へエアバッグが膨張するので、エアバッグがモジュールの上方の空間へより確実に展開できることとなる。また、上記の如く、エアバッグの運転者の胸部に当接する部位が先に膨張することで、ステアリングホイールと運転者の体幹との間に空間が確保され、その空間にてエアバッグが先ず膨らむことで、エアバッグの内圧は、ステアリングホイールと運転者の体幹との間に空間がない場合に比して相対的に低くなり、その分、エアバッグが上方に展開するときの膨張圧が相対的に抑えられるので、運転者への衝撃が緩和される点でも有利である。
なお、上記の構成に於いて、エアバック4内に配置されるテザー6は、エアバッグ展開開始後の上記の如き所定の時間の経過後に、任意の形式の切断機によって、切断されるようになっていてもよい。
以上の説明は、本発明の実施の形態に関連してなされているが、当業者にとつて多くの修正及び変更が容易に可能であり、本発明は、上記に例示された実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の概念から逸脱することなく種々の装置に適用されることは明らかであろう。
本発明は、自動車等の車両に装備されるエアバッ装置に係り、より詳細には、運転席用のエアバッ装置に係る。
車両の運転席用のエアバッ装置に於いては、典型的には、ステアリングホイール(ハンドル)の中央領域に、エアバッが折り畳まれて収納され、車両がある程度を超える衝撃を受けると、エアバッ内へインフレータからのガスが噴射され、運転者とハンドルとの間にエアバッが展開される。かかるエアバッの展開時に於ける運転者に対する衝撃を適切に緩和できるように、エアバッの展開に関して種々の態様が提案されている。例えば、特許文献1では、車両が衝撃を受け、エアバッが展開する際に、乗員がエアバッの側方からその前方へ飛び出してしまうことを回避するために、乗員の真正面に向かうエアバッの中央領域よりも先に乗員の横方向に対応するエアバッの両側部を膨張させて、乗員の拘束性能を担保するように、エアバッの各部分の展開のタイミングを制御する構成が提案されている。また、特許文献2では、リム部が環状ではなく、左右一対の劣弧状をなす把持部と、それらの両把持部間を連結する連結部とから成る平面視略H字状をなす異形ステアリングホイールに於いて、エアバッが展開した状態でリム部が存在しないステアリングホイールの上部に於けるエアバッの車両後方側(運転者側)への反力を確保するために、ステアリングホイールと運転者の間に展開する主エアバッの他にステアリングホイールの上部に追加のエアバッ又はその他の突出部材が展開され、運転者の主エアバッグへ付与する押力に対抗するように、車両後方側への反力を付与する構成が提案されている。
特開2005−343267 特開2007−062469
車両用のエアバッ装置のうち、上記の如き運転席正面にエアバッが展開するエアバッ装置(「運転席用フロンタルエアバッ」とも称される。)に於いては、運転者の体幹とステアリングホイールとの直接的な接触を回避して、運転者の体幹に対する衝撃を緩和するべく、折り畳まれたエアバッを収容するエアバッモジュール(以下、「モジュール」と称する。)が、エアバッの展開時には、ステアリングホイールと運転者の体幹との間に膨張したエアバッが介在するようにステアリングホイールの中央領域にてステアリングシャフトの先端を覆うよう備えられる。かかる運転席用エアバッ装置の構成に関して、運転者の体幹がステアリングホイールに近接又は接触した状態でエアバッが展開した場合には、エアバッグの上方部分が運転者の顎下に入り込み、これにより、運転者の頭部前面にエアバッグが展開しにくくなり得ることが見いだされた。この状況は、特に、ステアリングホイールが、所謂、異形ステア、即ち、通常の環状のホイールの上部領域(1R)がない形状のものである場合に生じやすい。実際、本発明の発明者等によるダミー人形を用いた車両のエアバッの展開実験によれば、ステアリングホイールが異形ステアホイールである場合に、OOP(Out Of Position)状態(ダミー人形が前傾し、その胸部がステアリングホイールの中央領域に当接し、その顎がステアリングホイールの中央領域の上方に延在した状態)でエアバッが展開されると、ダミー人形の頭部下部に設置された力・トルセンサにて計測された力とトルから算出されるダミー人形の受ける衝撃の程度を表す指標値が比較的大きくなってしまうことが見出されている。
上記の如き状況が生ずるのは、エアバッの上部部分の膨張時に運転者の体幹が前傾していると運転者の胸部がモジュールに近接しすぎ、運転者の頭部下方がエアバッグ展開前のモジュールの上方に位置してしまっていることに因っている。そこで、適切にエアバッが運転者の頭部正面にて展開できるようにするための手法としては、エアバッの上部部分の膨張を抑制した状態で、まず、エアバッの運転者の胸部に当接することとなる部分を膨張させ、運転者の体幹をモジュールから後方へ離隔し、これにより、モジュールの上方にてエアバッの上部部分の膨張を許す空間が確保されてからエアバッの上部部分の膨張が許されるように、エアバッの展開のタイミングを制御することが考えられる。
かくして、本発明の一つの主な課題は、車両の運転席用フロンタルエアバッ装置に於いて、エアバッの展開開始時に運転者の体幹が前傾していたとしても、エアバッの上部部分がより確実に運転者の頭部前面に展開できるようにする構成を提供することである。
本発明のもう一つの課題は、上記の如き車両の運転席用フロンタルエアバッ装置であって、エアバッの展開開始時にエアバッの上部部分の膨張を規制して、エアバッの運転者の胸部に当接することとなる部分を先に膨張させ、モジュールの上方にてエアバッの上部部分の膨張を許す空間が確保されてからエアバッの上部部分の膨張が許されるようにエアバッの展開のタイミングが制御される装置を提供することである。
本発明によれば、上記の課題の一つは、車両の運転席用のエアバッグ装置であって、
車両の異形ステアリングホイールに於ける中央領域にて装備され、前記車両の運転席に運転者が着席している場合に前記ステアリングホイールよりも後方にて膨張して展開可能なエアバッグが収容されているエアバッグモジュールを含み、
前記エアバッグモジュールが、前記エアバッグの展開時に前記エアバッグの前記エアバッグモジュールの上方への膨張を抑制するテザーを含み、前記テザーが前記エアバッグの前記運転者の胸部に当接することとなる方向の前記エアバッグの膨張後にその膨張に伴う張力によって破断して前記エアバッグの前記エアバッグモジュールの上方への膨張が許されるようになる装置
によって達成される。
上記の装置は、車両の運転席にて、そこに着席した運転者とステアリングホイールとの間にてエアバッグが展開可能となっている運転席用フロンタルエアバッ装置である。「異形ステアリングホイール」とは、上記の如く、通常の環状のホイールの上部領域の円弧状のリム(1R)がない形状のもの、ホイールの両側部分を上方にて連結するリムが略水平に延在している形状のもの、或いは、リムがあってもステアリングホイールの中央領域へ偏倚するなどして、ステアリングホイールの中央領域の上方に運転者の頭部が進入可能な空間が生ずる形状のものであってよい。「エアバッグモジュール」は、折り畳まれたエアバッグと、そのエアバッグの展開時には、エアバッグ内にガスを送り込み、エアバッグを膨張させて展開できるように構成されたモジュールであり、通常の態様にて、ステアリングホイールの中央領域、即ち、ステアリングシャフトの先端を覆い、そこからスポークが放射方向に延在して、円弧状又は棒状のリムを支持する領域、に収納されるものであってよい。典型的には、エアバッグモジュールには、エアバッグ内に送入されるガスを発生するインフレータが備えられ、車両がその前後方向に設計者により適宜設定される所定の程度を超える衝撃を受けたとき、例えば、設計者により適宜設定される所定値以上の加速度がGセンサにて検知されたとき、インフレータがエアバッグ内へガスの送出を開始し、これにより、エアバッグは、膨張して、最終的に、ステアリングホイールよりも後方にて、運転者の胸部から頭部にかけての体幹の正面(前面)を覆うように展開し、運転者の体幹への衝撃が緩和されることが期待される。
上記の如きエアバッグ装置に於いて、既に述べた如く、運転者の体幹がエアバッグモジュールの装備されたステアリングホイールに近接又は当接し、そのモジュールの上方の空間に運転者の頭部が存在している状態で、エアバッグの展開が開始され、モジュールの上方へエアバッグが膨張してしまうと、エアバッグの上部が運転者の顎下に入り込み、運転者の頭部前面にエアバッグが展開しにくくなり得る。そこで、本発明の装置に於いては、上記の如く、エアバッグの展開時に、エアバッグのエアバッグモジュールの上方への膨張を抑制するテザーにして、所定の程度にて引っ張られると破断するテザーが設けられる。これにより、本発明の装置は、先ず、運転者の胸部に当接することとなる方向にエアバッグが膨張し、かかる膨張が所定の程度にて進んだ段階で、具体的には、エアバッグが運転者の胸部に当接することとなる方向に膨張して、運転者の体幹がモジュールに近接していたとしても、そこから車両の後方へ変位され、これにより、運転者の頭部が後退して、モジュールの上方の空間が開放される程度まで進んだ段階で、その膨張に伴う張力によってテザーが破断し、これにより、エアバッグがエアバッグモジュールの上方へ膨張できるよう構成される。かかる構成によれば、そして、モジュールの上方の空間が空いた状態で、エアバッグがモジュールの上方へ膨張することとなり、エアバッグがより確実に運転者の頭部前面に展開されることが期待される。
上記の装置に於いて、より具体的には、エアバッグモジュールには、エアバッグの展開時にエアバッグ内へ該エアバッグを膨張させるガスを流出するガス流出手段が設けられていてよい。ガス流出手段は、この分野に於いて、エアバッの展開時にエアバッグ内にガスを送り込むために採用されている任意の形式(ガス発生剤方式、蓄圧方式、ハイブリッド方式など)のインフレータ手段であってよい。そして、上記のテザーは、具体的には、エアバッグ内のモジュールに固定された部分とエアバッグの上方部分とを連結するよう配置されてよい。この構成によれば、ガス流出手段からエアバッグ内にガスが流入したとき、その初期に於いては、上記のテザーがエアバッの上方部分の膨張を抑制し、エアバッグは、運転者の胸部に当接することとなる部位が先に膨張し、運転者の体幹がモジュールに近接していたとしても、そこから車両の後方へ変位され、かくして、モジュールの上方の空間が空いた状況でテザーが破断され、その後、モジュールの上方方向への膨張が許されるようにすることができ、従って、より確実に、エアバッグを運転者の頭部前面に展開できることとなる。或いは、テザーは、エアバッグ上方部分と下方部分とを連結するよう配置され、ガス流出手段からエアバッグ内にガスが流入したとき、その初期に於いては、上記のテザーがエアバッの上下方向の膨張を抑制し、エアバッグが運転者の胸部に当接することとなる部位、車両の前後方向又は更に車両の横方向に先に膨張し、その後でエアバッの上下方向に膨張するようになっていてもよい。
実施の形態に於いて、上記のテザーは、例えば、一条の帯状体又は紐状体に於いて、スリットやミシン目が設けられ、所定の張力が作用すると、破断されるようになっていてよい。或いは、テザーは、二本の帯状体又は紐状体を端部にて互いに仮縫いして、一条のテザーとし、所定の張力が作用すると、仮縫い部分が破断されるようになっていてもよい。また、エアバッグ内に複数本のテザーが、エアバッグが所望の展開態様を実現するように設けられていてよい。更に、テザーは、エアバッグ展開開始後の所定の時間の経過後に、任意の形式の切断機によって、切断されるようになっていてもよい。
かくして、上記の本発明の装置に於いては、エアバッの展開に際して、エアバッグ全体が一様に膨張するのではなく、エアバッグの運転者の胸部に当接する部位が先ず膨張し、しかる後に、モジュールの上方の空間へエアバッグが膨張するように、エアバッグの展開の態様が制御される。かかる構成によれば、エアバッの展開開始時に運転者の体幹が前傾し、モジュールの上方の空間へ運転者の頭部が存在していたとしても、先ず、エアバッグの部分的な膨張によって運転者の胸部をモジュールから車両後方へ変位させ、これにより、運転者の体幹を後退させ、モジュールの上方の空間が開放され、しかる後に、エアバッグがモジュールの上方の空間へ展開することとなる。そうすると、エアバッグの上部が運転者の顎下に入り込む状態が回避され、エアバッグがより確実に運転者の頭部前面に展開されることが期待される。
本発明のその他の目的及び利点は、以下の本発明の好ましい実施形態の説明により明らかになるであろう。
図1(A)は、本実施形態による車両の運席用エアバッグ装置の構成の模式図である。図1(B)は、本実施形態によるエアバッグ装置が適用される異形ステアリングホイールの模式的な正面図である。図1(C)は、エアバッグ内に取り付けられるテザーの模式図である。 図2(A)は、本実施形態によるエアバッグ装置に於ける展開開始直後のエアバッグの状態を説明する異形ステアリングホイールの模式的な正面図であり、図2(B)は、エ展開開始後から所定時間の経過後のアバッグの状態を説明する異形ステアリングホイールの模式的な正面図である。 図3(A)は、エアバッグ内のテザーの配置について他の実施形態の模式的な側面図である。図3(B)、(C)は、それぞれ、図3(A)の構成に於けるエアバッグの展開開始後テザー破断前、破断後のエアバッグの状態を説明するエアバッグの模式的な正面図である。 図4(A)は、異形ステアリングホイールに適用された本実施形態によるエアバッグ装置のエアバッグ展開前の状態の模式的な側面図である。図に於いて、ダミー人形はOOP状態に配置されている。図4(B)は、図4(A)の状態からエアバッグの展開が開始され、上方部分の膨張がテザーで抑制されつつエアバッグが膨張している状態の模式的な側面図である。図4(C)は、図4(B)の状態からテザーが破断してエアバッグの上方部分の膨張が開始された状態の模式的な側面図である。 図5(A)は、異形ステアリングホイールに適用された2本のテザーが用いられている実施形態によるエアバッグ装置のエアバッグの展開が開始され、上方部分の膨張がテザーで抑制されつつエアバッグが膨張している状態の模式的な側面図である。図5(B)は、図5(A)の状態から一本のテザーが破断して、エアバッグの上方部分の膨張が開始された状態の模式的な側面図である。図5(C)は、図5(B)の状態から更にもう一本のテザーが破断して、エアバッグの上方部分の膨張が進行した状態の模式的な側面図である。
1…エアバッグ装置
1a…ステアリングシャフト
2…ステアリングホイール
2a…スポーク
3…エアバッグモジュール(ステアリングホイールの中央領域)
4…エアバッグ
5…インフレータ
6…テザー
D…ダミー人形
以下に添付の図を参照しつつ、本発明を幾つかの好ましい実施形態について詳細に説明する。図中、同一の符号は、同一の部位を示す。
装置の構成
図1(A)を参照して、本実施形態によるエアバッグ装置1に於いては、通常の運転席用フロンタルエアバッグ装置の場合と同様に、車両のステアリング装置のステアリングホイール2の略中央領域、即ち、ステアリングシャフト1aの先端付近にて、それを覆うように、エアバッグを収納したエアバッグモジュール3が備えられる。エアバッグモジュール3には、通常の態様であってよい運転者の腹部から頭部にかけての体幹の正面に膨張して展開可能なエアバッグ4が折り畳まれて収納され、エアバッグ4を膨張させるためのガスを発生するインフレータ5がエアバッグモジュール3の底面(図では、左後方に延在する面)に装備される。インフレータ5は、エアバッグ4内へ送出されるガスを、着火制御装置からの制御指令(ガス発生)に応答して、ガス発生剤方式、蓄圧方式、ハイブリッド方式などの任意の形式にて噴出するものであってよい。着火制御装置は、車両の前後Gを検出するGセンサの出力を受容し、Gセンサの出力により車両が所定値を超える前後方向加速度を受けたことを検知すると、インフレータ5に対して、ガス発生の制御指令を発するよう構成される。更に、本実施形態のエアバッグ装置に於いては、後に説明されるように、エアバッグの展開初期に於いてエアバッグの上方部分の膨張を抑制するテザー6が配置される。テザー6は、一つの態様に於いては、例えば、一方の端がエアバッグ内のモジュール3に固定された部位に取り付けられ、他方の端がエアバッグ内の上方部分に取り付けられてよい(図3(B)参照。図1(A)の如く、テザー6は、エアバッグの展開前は、エアバッグと共に、折り畳まれて収納されてよい。)。
なお、「発明の概要」の欄で述べた如く、本実施形態のエアバッグ装置は、運転者の体幹が前傾していたとしても、エアバッの上部部分がより確実に運転者の頭部前面に展開できるようにする構成であるところ、特に、ステアリングホイール2が、異形ステアリングホイールである場合、即ち、図1(B)に模式的に描かれている如く、その向きが直進方向となっている状態にて、点線にて示されている環状構造の上方の部分2b(1Rと称される。)が無いか、有っても、下方に偏移し、エアバッグモジュール3の両側から下方に亙る領域のみ、リム2cを有する形状である場合に、エアバッグモジュール3の上方の空間に前傾した運転者の頭部が進入しやすく、そのような構成に於いて、後に説明される態様に於ける本実施形態の利点がより有利に生かされることとなる。かくして、本実施形態のエアバッグ装置が適用されるステアリングホイール2は、異形ステアリングホイールであってよい。
上記の構成に於いて、「発明の概要」の欄にて述べた如く、エアバッグ内に配置されるテザー6は、エアバッグの膨張が所定の程度、具体的には、エアバッグが運転者の胸部に当接することとなる方向に膨張して、運転者の体幹がモジュールに近接していたとしても、そこから車両の後方へ変位され、これにより、運転者の頭部が後退して、モジュールの上方の空間が開放される程度まで進んだ段階で、その膨張により両端を引っ張る張力によって破断されるよう構成される。そのような張力により破断されるための構成として、テザー6は、帯状体又は紐状体に於いて、スリット6a(図1(C)左)やミシン目6b(図1(C)中)が穿たれて適当な張力で破断されるようになっていてよい。或いは、図1(C)右の如く、二本の帯状体又は紐状体が仮縫いや破断可能な状態6cで連結されて1条のテザー6が形成され、その連結部分が適当な張力で破断されるようになっていてよい。テザーの破断に対する強さは、エアバッグの膨張が上記の所定の程度になったとき張力でテザーの破断が生ずるように、実験等を通じて、適宜調節されてよい。
上記の如く、エアバッグ4内にテザー6が配置されている構成の場合、エアバッグ4へのガスの送出の開始から所定の時間Δtが経過するまでは、図2(A)に描かれている如く、エアバッグ4は、中間部分4Mから下方部分4Bにかけて、ガス流aにより膨張するが、エアバッグ4の上方部分4Tに於いては、テザー6が牽引されつつ、その膨張を抑制する(テザー6の長さ程度で膨張が止る)。その後、エアバッグ4に更にガスが送出され、所定の時間Δtが経過したときに、図2(B)に描かれている如く、テザー6がガスによる膨張しようとする力に因る張力に負けて破断され、そうすると、エアバッグ4の上方部分4Tへもガス流aが流入し、エアバッグ4の上方部分4Tが膨張することとなる。
なお、別の態様として、図3(A)に例示されている如く、テザー6は、一方の端がエアバッグ内の下方部分に取り付けられ、他方の端がエアバッグ内の上方部分に取り付けられてよい。この場合には、テザー6の破断前は、図3(B)の如く、エアバッグ4は、上方部分4Tと下方部分4Bとの膨張が抑制されつつ、中央部分4Mが膨張し、テザー6の破断後は、図3(C)の如く、上方部分4Tと下方部分4Bとも膨張が抑制することとなる。また、エアバッグ4内に、複数条のテザー6が配置されていてもよく(図5参照)、そのような場合も本発明の範囲に属する。
装置の作動
本実施形態の作動に於いては、Gセンサの出力を参照して着火制御装置にて車両に所定値を超える前後加速度がかかったことが検知されると、エアバッグ装置が作動開始される。この時点で、図4(A)のダミー人形Dの如く、運転者が前傾して、その胸部がステアリングホイール2に当接するほど接近していると(OOP状態)、運転者の頭部は、エアバッグモジュール3の上方空間に進入しやすくなり(特に、上記の如き異形ステアリングホイールの場合には、運転者の顎がエアバッグモジュール3の直上に位置することもあり得る。)、この状態で、エアバッグをその上方部分でも膨張すると、エアバッグは運転者の顎下に入り、運転者の頭部前面(顔面)にて展開しづらくなってしまう。そこで、本実施形態では、既に触れた如く、エアバッグの展開開始直後には、エアバッグ4の上方部分の膨張を抑制し、エアバッグ4の運転者の胸部に当接することとなる部分又は更にエアバッグ4の下方部分を膨張して、しかる後、所定時間が経過したとき、具体的には、図4(A)の如く運転者の体幹がエアバッグモジュール3に近接していたとしても、膨張した運転者の胸部に当接することとなる部分又は更に下方部分によって、運転者の体幹がエアバッグモジュール3から離隔され、運転者の頭部がエアバッグモジュール3の上方空間から外れる程度になってから、エアバッグの上方部分の膨張の抑制が解除される。
かくして、エアバッグ4は以下の如く展開される。まず、Gセンサの出力が所定値を超えると、着火制御装置からインフレータ5へガス発生の制御指令が与えられ、インフレータ5は、これに応答して、エアバッグ4へガスを送出し始める。ここで、図4(B)の如く、テザー6がモジュールに固定された部分とエアバッグ4の上方部分を連結しているため、エアバッグ4の中央部分の運転者の胸部に当接することとなる部分が膨張する一方で、エアバッグ4の上方部分の膨張は抑制されることとなる。そうすると、運転者の胸部に当接することとなる部分の膨張により、運転者の体幹がエアバッグモジュール3に近接していたとしても、運転者の胸部又は更に腹部が後方へ推され、これと共に運転者の頭部が後退し、エアバッグモジュール3の上方の空間が空くこととなる。この状態で、更に、エアバッグ4にガスが流入してその内圧が上昇すると、エアバッグ4の上方部分を膨張しようする力に応じてテザー6の張力が増大し、図4(C)の如く、テザー6が破断することとなる。そのときには既に、運転者の頭部がエアバッグモジュール3の上方の空間から後退しているので、エアバッグ4の上方部分がエアバッグモジュール3の上方空間へ膨張して運転者頭部前面に展開できることとなる。なお、エアバッグへのガスの送出開始からテザー6の破断までの所定時間Δtは、テザー6の破断に対する強さを実験的に調節することにより調節されてよい。テザー6の長さは、好適には、運転者の頭部がエアバッグモジュール3の上方の空間からより確実に後退されるようにエアバッグ4の運転者の胸部に当接することとなる部分が運転者の胸部を押してエアバッグモジュール3から離隔する距離ほど膨張可能となる長さに調節される。
また、本実施形態の別の態様として、エアバッグ4の内部に2本又はそれ以上のテザーが配置され、エアバッグの展開の態様が種々制御できるようになってもよい。例えば、図5(A)の如く、エアバッグ4内に、エアバッグモジュール3に固定された部位とエアバッグ4の上方部分とを連結するテザー6Xと、エアバッグ4の上方部分と下方部分とを連結するテザー6Yとが設けられていてよい。この場合に、例えば、テザー6Yが先に破断するように設定しているとすると、エアバッグ4へのガスの送出の開始時にOOP状態であったとしても、エアバッグ4の上方部分の膨張を抑制しつつ、エアバッグ4の運転者の胸部に当接することとなる部分が適当な程度にて膨張して、運転者の体幹を後退させ、これにより、エアバッグモジュール3の上方の空間が空くと(図5(A))、テザー6Yが、先ず、図5(B)の如く、破断して、エアバッグ4の上方部分が運転者の顎下に入り込むことなく、運転者頭部前面へエアバッグ4の展開が可能となる。そして、更なるエアバッグ4へのガスの送出によるエアバッグ4の膨張によって、テザー6Xが、図5(C)の如く、破断して、運転者頭部前面から胸部乃至腹部の正面に亙って、エアバッグ4が膨張して展開されることなる。
かくして、本実施形態によれば、エアバッの展開に際して、エアバッの展開開始時に運転者の体幹が前傾し、モジュールの上方の空間へ運転者の頭部が存在していたとしても、エアバッグ全体が一様に膨張するのではなく、エアバッグの運転者の胸部に当接する部位が先ず膨張し、運転者の胸部をモジュールから車両後方へ変位させ、これにより、運転者の体幹を後退させ、モジュールの上方の空間が開放され、しかる後に、モジュールの上方の空間へエアバッグが膨張するので、エアバッグがモジュールの上方の空間へより確実に展開できることとなる。また、上記の如く、エアバッグの運転者の胸部に当接する部位が先に膨張することで、ステアリングホイールと運転者の体幹との間に空間が確保され、その空間にてエアバッグが先ず膨らむことで、エアバッグの内圧は、ステアリングホイールと運転者の体幹との間に空間がない場合に比して相対的に低くなり、その分、エアバッグが上方に展開するときの膨張圧が相対的に抑えられるので、運転者への衝撃が緩和される点でも有利である。
なお、上記の構成に於いて、エアバッ4内に配置されるテザー6は、エアバッグ展開開始後の上記の如き所定の時間の経過後に、任意の形式の切断機によって、切断されるようになっていてもよい。
以上の説明は、本発明の実施の形態に関連してなされているが、当業者にとつて多くの修正及び変更が容易に可能であり、本発明は、上記に例示された実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の概念から逸脱することなく種々の装置に適用されることは明らかであろう。

Claims (1)

  1. 車両の運転席用のエアバッグ装置であって、
    車両の異形ステアリングホイールに於ける中央領域にて装備され、前記車両の運転席に運転者が着席している場合に前記ステアリングホイールよりも後方にて膨張して展開可能なエアバッグが収容されているエアバッグモジュールを含み、
    前記エアバッグモジュールが、前記エアバッグの展開時に前記エアバッグの前記エアバッグモジュールの上方への膨張を抑制するテザーを含み、前記テザーが前記エアバッグの前記運転者の胸部に当接することとなる方向の前記エアバッグの膨張後にその膨張に伴う張力によって破断して前記エアバッグの前記エアバッグモジュールの上方への膨張が許されるようになる装置。
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