JP2021025360A - 連結式鋼管矢板の打設方法及び連結式鋼管矢板の打設に用いる拡径リング - Google Patents
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Abstract
【課題】連結用の継手を有する鋼管矢板の打設方法において、継手用の下穴を形成するための時間や労力を削減し、コスト上も比較的負担にならない、連結式鋼管矢板の打設方法を提供する。【解決手段】鋼管矢板100を牽引追従させた衝突式のダウンザハンマーのハンマー衝突動作によって、鋼管矢板100の矢板本体11の径よりも所定の拡径量だけ拡径された穿穴径で穿穴を衝突形成する穿穴工程と、前記穿穴工程と共に、穿穴工程の前記ハンマー衝突動作によって、衝突形成直後の穿穴内に、牽引追従させた連結式鋼管矢板100の矢板本体11及び連結用継手12を衝突打設する打設工程と、を具備するものであり、前記鋼管矢板100の連結用継手12の下端に、穿穴の側部内面の一部分を瓦解させる瓦解構造を形成しておくことで、前記打設工程において、矢板本体11の両側部の連結用継手12によって穿穴の穴縁を瓦解させながら鋼管矢板100を打設する。【選択図】図3
Description
本発明は、隣接する鋼管矢板同士で連結させる連結式鋼管矢板に関し、連結式鋼管矢板の打設方法、及び連結式鋼管矢板の打設においてハンマーヘッドに取り付けて用いる拡径リングに関する。
連結式矢板は、矢板の本体部の左右それぞれに継手を固設した製品からなり、土留め壁、河川・港湾の護岸壁等として打設される。各継手は互いに連結可能となっており、複数本の鋼管矢板を順に打設する際、隣り合う継手同士を連結させることで、互いに連結した複数の矢板からなる遮蔽壁又は遮断壁が構成される。特に、鋼管矢板の本体部を円形筒状とした鋼管矢板は、運搬が容易であると共に、比較的大きな断面からなるため、基礎杭や仮締切り壁に適した矢板強度を確保することができる。
鋼管矢板の圧入工法に関し、例えば、特許文献1には、鋼管矢板の圧入工法として、鋼管矢板より小径の円筒形状であって、先端に拡径掘削工具を備える掘削用ケーシングを、地面に対して押圧すると同時に回転させることにより、鋼管矢板に対応する地面を掘削する掘削工程と、ケーシングにはめ合わせた鋼管矢板を、拡径掘削工具によって掘削された部分に圧入する打設工程とを行う旨が開示される。
また鋼矢板の打設工法および装置として、特許文献2には、ダウンザホールハンマで削孔をしながら同時に鋼矢板を打込むことができる工法とその装置が開示される。この工法は、掘削軸下部に設けるダウンザホールハンマに鋼矢板下端部の掛止手段を設け、鋼矢板下端にはこの掛止手段が着脱自在に掛止する被掛止手段を設け、吊り下げるダウンザホールハンマに下端を掛止して鋼矢板を沿わせ、これによりダウンザホールハンマによる掘削とダウンザホールハンマが鋼矢板に与える振動を用いて鋼矢板を打設する、とされる。
ここで、鋼管矢板などのような連結式の鋼管矢板においては鋼管矢板本体の両側部に連結用のセクション継手が突設されている。このため、従来は、鋼管矢板本体を打設する前に、連結用のセクション継手を地盤内に挿入するための下穴(例えば図9の符号PH)を、打設ピッチごとに予め形成する必要があった。すなわち、例えば図9に示すように複数の鋼管矢板11A、11B、・・・を地盤内へ掘削と共に打設する際に、セクション継手12A,12B,・・・の部分の掘削手段がないために、連結状態の隣り合うセクション継手(12A及び12B、12B及び12C、12C及び12D・・・)の断面全体を囲う大きさで、下穴PHを所定の打設ピッチで予め形成する必要があった。
しかしながら、連結用の継手用の下穴を形成するためには、下穴の径に対応した、本穴(鋼管矢板本体用の穴)と異なるハンマーヘッドなど、下穴形成用の器具が必要であった。また下穴形成を行うための時間と労力がかかり、コスト上の負担にもなるという課題があった。さらに予め所定のピッチで下穴を形成すると、現場での鋼管矢板本体の設置位置のズレや設計変更に対応することが困難であった。
本発明は上記課題に鑑みなされたものであって、連結用の継手を有する鋼管矢板の打設方法において、継手用の下穴を形成するための時間や労力を削減し、コスト上も比較的負担にならないものを提供することを目的としている。
上記目的を達成するために本開示に係る連結式鋼管矢板の打設方法は、以下の手段を講じている。
(1)長尺柱体からなる矢板本体の両側部に一対の連結用継手が特定の突出量で突出固設された連結式鋼管矢板を、隣接する連結用継手同士で互いに連結しながら順に地中内へ打設する打設方法であって、
鋼管矢板を牽引追従させた衝突式のダウンザハンマーのハンマー衝突動作によって、鋼管矢板の矢板本体の径よりも所定の拡径量だけ拡径された穿穴径で穿穴を衝突形成する穿穴工程と、
前記穿穴工程と共に、穿穴工程の前記ハンマー衝突動作によって、衝突形成直後の穿穴内に、牽引追従させた連結式鋼管矢板の矢板本体及び連結用継手を衝突打設する打設工程と、を具備するものであり、
前記鋼管矢板の連結用継手の下端に、穿穴の側部内面の一部分を瓦解させる瓦解構造を形成しておくことで、
前記打設工程において、矢板本体の両側部の連結用継手によって穿穴の穴縁を瓦解させながら鋼管矢板を打設することを特徴とする。
(1)長尺柱体からなる矢板本体の両側部に一対の連結用継手が特定の突出量で突出固設された連結式鋼管矢板を、隣接する連結用継手同士で互いに連結しながら順に地中内へ打設する打設方法であって、
鋼管矢板を牽引追従させた衝突式のダウンザハンマーのハンマー衝突動作によって、鋼管矢板の矢板本体の径よりも所定の拡径量だけ拡径された穿穴径で穿穴を衝突形成する穿穴工程と、
前記穿穴工程と共に、穿穴工程の前記ハンマー衝突動作によって、衝突形成直後の穿穴内に、牽引追従させた連結式鋼管矢板の矢板本体及び連結用継手を衝突打設する打設工程と、を具備するものであり、
前記鋼管矢板の連結用継手の下端に、穿穴の側部内面の一部分を瓦解させる瓦解構造を形成しておくことで、
前記打設工程において、矢板本体の両側部の連結用継手によって穿穴の穴縁を瓦解させながら鋼管矢板を打設することを特徴とする。
上記連結式鋼管矢板の打設方法(1)によれば、鋼管矢板本体の径ではなく、鋼管矢板本体の径に拡径量を加算させた穿穴径で穿穴を衝突形成し、穿穴径の周囲の打設領域を連結用継手自体で瓦解させながら打設することとなる。穿穴径が拡径量を加算させた穿穴径からなり、連結用継手の瓦解は継手断面の一部で済むため、比較的容易な打設が可能となっている。また、継手本体の衝突形成を行う穿穴工程のハンマー衝突動作と同じ衝突動作によって、穿穴工程と時間的にオーバーラップさせた打設工程を連続的に行うことで、ハンマー衝突動作の衝撃を利用した、比較的容易な穴縁の瓦解が可能となっている。
(2)また本発明に係る連結式鋼管矢板の打設方法において、 前記穿穴工程における穿穴径の前記拡径量は、鋼管矢板両側部の一対の連結継手による側方への合計突出量の三分の一以上であって半分以下の範囲に設定されることが好ましい。
上記連結式鋼管矢板の打設方法(2)によれば、鋼管矢板側部の連結継手の合計突出量に応じて、所定の割合(30%以上50% 以下)の範囲内で設定した拡径量の穿穴径で穿穴を衝突形成し、同時に、穿穴径の周囲の打設領域を連結用継手自体で瓦解させながら打設することとなる。穿穴径が拡径量を加算させた穿穴径からなり、連結用継手の瓦解範囲は、継手断面の最外部から50%〜70%以下の突出量の部分で済むため、比較的容易な打設が可能となっている。
(3)また本発明に係る連結式鋼管矢板の打設方法は、上記連結式鋼管矢板の打設方法において、
衝突式のダウンザハンマーのハンマーヘッドのヘッド下端から上方へずれたヘッド側部に、ヘッドよりも大きい拡径リングを取り付け可能に備え、
拡径リングの拡径環の下面又は側面に多数のチップを分散形成し、
前記穿穴工程において、拡径リングのチップの衝突によって穿穴側面を瓦解形成することが好ましい。
衝突式のダウンザハンマーのハンマーヘッドのヘッド下端から上方へずれたヘッド側部に、ヘッドよりも大きい拡径リングを取り付け可能に備え、
拡径リングの拡径環の下面又は側面に多数のチップを分散形成し、
前記穿穴工程において、拡径リングのチップの衝突によって穿穴側面を瓦解形成することが好ましい。
上記連結式鋼管矢板の打設方法(3)によれば、ダウンザハンマーのハンマーヘッドとは別構造からなる、ヘッドよりも大きい拡径リングを取り付け可能に備えることで、
前記穿穴工程において、チップの衝突によって穿穴側面を瓦解形成するために必要な強度の拡径リングで効率的に穿穴側面を瓦解形成することができ、また、必要に応じて取り付ける拡径リングを交換して取り付けることが可能となる。
前記穿穴工程において、チップの衝突によって穿穴側面を瓦解形成するために必要な強度の拡径リングで効率的に穿穴側面を瓦解形成することができ、また、必要に応じて取り付ける拡径リングを交換して取り付けることが可能となる。
(4)本発明に係る連結式鋼管矢板の打設方法は、上記連結式鋼管矢板の打設方法において、
ダウンザハンマーのハンマーヘッドは、ヘッド下端から上方へずれたヘッド下端の第一側部(リング取付け部よりも上部)の全周部分又は部分周部分に、ヘッド外周に凸部又は凹部形成された第一係止部を一体的に備え、
鋼管矢板は、矢板本体内の先端近傍の全周部分又は部分周部分に、ハンマーヘッドの前記第一係止部と係止する、凹部又は凸部からなる第二係止部を備え、
前記穿穴工程及び前記打設工程の前に、ダウンザハンマーのハンマーヘッドの第一側部に鋼管矢板の第二係止部を係止して、鋼管矢板を周方向に回転自在の状態で係止取付けする取り付け工程と、
前記打設工程の完了後に、鋼管矢板をハンマーヘッドから係止解除して当該鋼管矢板を穿穴の穴底近傍へ残置してダウンザハンマーのハンマーヘッドを地表へ回収する回収工程と、を更に備えることを特徴とする。
ダウンザハンマーのハンマーヘッドは、ヘッド下端から上方へずれたヘッド下端の第一側部(リング取付け部よりも上部)の全周部分又は部分周部分に、ヘッド外周に凸部又は凹部形成された第一係止部を一体的に備え、
鋼管矢板は、矢板本体内の先端近傍の全周部分又は部分周部分に、ハンマーヘッドの前記第一係止部と係止する、凹部又は凸部からなる第二係止部を備え、
前記穿穴工程及び前記打設工程の前に、ダウンザハンマーのハンマーヘッドの第一側部に鋼管矢板の第二係止部を係止して、鋼管矢板を周方向に回転自在の状態で係止取付けする取り付け工程と、
前記打設工程の完了後に、鋼管矢板をハンマーヘッドから係止解除して当該鋼管矢板を穿穴の穴底近傍へ残置してダウンザハンマーのハンマーヘッドを地表へ回収する回収工程と、を更に備えることを特徴とする。
上記連結式鋼管矢板の打設方法(3)によれば、打設した拡径リングを穴底に残置したままハンマーヘッドを回収することで、隣接する打設位置への鋼管矢板の連結打設を連続的に行うことができる。すなわち、回収工程の後は、再び新たな鋼管矢板をヘッドに取り付ける取り付け工程と、取り付けた新たな鋼管矢板を、残置した先の打設済み鋼管矢板の片側の連結継手に連結させるようにして、新たな鋼管矢板を新たな穿穴工程と共に新たな打設工程で打設し、所定の打設深さとなったのちに再び新たな回収工程を経る。このようにして、取り付け工程、穿穴工程、打設工程、回収工程からなる第一の工程セットと、他の工程セット(第一又は第二の工程セット)によって打設された設置済みの鋼管矢板に新たな鋼管矢板を連結しつつ打設する、取り付け工程、穿穴工程、打設工程、回収工程からなる第二の工程セットと、その後に繰り返される、新たな第二の工程セットと、からなる打設方法によって、鋼管矢板を連結しながら順に打設することができる。
(5)本発明に係る連結式鋼管矢板の打設方法は、上記連結式鋼管矢板の打設方法において、
ダウンザハンマーのハンマーヘッドは、ヘッド下端から上方へずれたヘッド下端の第二側部(第一係止部よりも下部のリング取付け部)に、ヘッド外周よりも所定の拡径量だけ拡径された拡径リングを係止取付け可能に備え、
前記拡径リングが、ハンマーヘッドに対して一方向へ所定量だけ回転することで係止解除されるものであり、
前記穿穴工程及び前記打設工程の前に、ダウンザハンマーのハンマーヘッドのリング取付け部に拡径リングを係止取付けする取り付け工程を更に備え、
前記穿穴工程においては、ハンマーヘッドを前記一方向と逆の他方向へ回転させながら穿穴を形成するものであり、
また、前記打設工程の後に、ハンマーヘッドを一方向へ回転させて拡径リングをハンマーヘッドから係止解除する係止解除工程と、
係止解除した拡径リングを穿穴の穴底近傍へ残置してダウンザハンマーのハンマーヘッドを地表へ回収する回収工程と、を更に備えることを特徴とする。
ダウンザハンマーのハンマーヘッドは、ヘッド下端から上方へずれたヘッド下端の第二側部(第一係止部よりも下部のリング取付け部)に、ヘッド外周よりも所定の拡径量だけ拡径された拡径リングを係止取付け可能に備え、
前記拡径リングが、ハンマーヘッドに対して一方向へ所定量だけ回転することで係止解除されるものであり、
前記穿穴工程及び前記打設工程の前に、ダウンザハンマーのハンマーヘッドのリング取付け部に拡径リングを係止取付けする取り付け工程を更に備え、
前記穿穴工程においては、ハンマーヘッドを前記一方向と逆の他方向へ回転させながら穿穴を形成するものであり、
また、前記打設工程の後に、ハンマーヘッドを一方向へ回転させて拡径リングをハンマーヘッドから係止解除する係止解除工程と、
係止解除した拡径リングを穿穴の穴底近傍へ残置してダウンザハンマーのハンマーヘッドを地表へ回収する回収工程と、を更に備えることを特徴とする。
上記連結式鋼管矢板の打設方法(5)によれば、打設した拡径リングと鋼管矢板を穴内に残置したままハンマーヘッドを回収することで継手用の第二穿穴を形成するための時間や労力を削減し、コスト上も比較的負担にならないものを提供することができる。
上記手段を講じることで、連結用の継手用に予め下穴を形成する必要が無くなり、下穴の形成のためのハンマー等の器具や、時間、労力を削減し、コスト上の負担を解消することができた。
以下、本発明に係る連結式鋼管矢板の打設方法、情報処理装置、及び連結式矢板の打設方法の実施の形態を図面に基づいて説明する。
本発明は、連結式鋼管矢板を、隣接する連結用継手同士で互いに連結しながら順に打設する打設方法である。
[第一の適用例]
図1及び図2は、打設方法の実施の形態に係る連結式鋼管矢板(鋼管矢板)の版断面図及びその部分拡大図である。本発明に使用する連結式鋼管矢板100は、長尺柱体からなる鋼管の矢板本体11の長手方向に沿って、矢板本体の両側部に一対のスリット12E入りの連結用継手12が特定の合計突出量で突出固設されてなる。連結式鋼管矢板同士を互いに近接させて連続的に設置する際は、図6や図7に示すように、一の連結式鋼管矢板の一側方に突出した連結継手12と、隣り合う他の連結式鋼管矢板の他側方に突出した、近接側の連結継手12とを、各スリット12E同士を組み合わせて互いに連結させることで、隣接する連結継手同士で連結された多数本の鋼管矢板を立設することができる。
図1及び図2は、打設方法の実施の形態に係る連結式鋼管矢板(鋼管矢板)の版断面図及びその部分拡大図である。本発明に使用する連結式鋼管矢板100は、長尺柱体からなる鋼管の矢板本体11の長手方向に沿って、矢板本体の両側部に一対のスリット12E入りの連結用継手12が特定の合計突出量で突出固設されてなる。連結式鋼管矢板同士を互いに近接させて連続的に設置する際は、図6や図7に示すように、一の連結式鋼管矢板の一側方に突出した連結継手12と、隣り合う他の連結式鋼管矢板の他側方に突出した、近接側の連結継手12とを、各スリット12E同士を組み合わせて互いに連結させることで、隣接する連結継手同士で連結された多数本の鋼管矢板を立設することができる。
連結用継手12は、下端が傾斜端面でカットされた円筒体からなり、カット面に形成される楕円形の傾斜端面の頂部よりも特定の片側へ僅かにずれた位相位置で、筒体の長手方向にスリット12Eが形成される。この傾斜端面は、矢板本体の地中への突入の際に地盤の瓦解を促す、いわゆる瓦解構造となっている。図1に示す実施例では、傾斜端面の円筒端面の一部分が段差部を介して先側へ突出した突出面12Pを形成したものとなっている。
なお上記構造の他の瓦解構造として、連結用継手の下端の一部分に張硬質体の円柱型チップが埋め込まれたものとしてもよい。
傾斜端面の傾斜先部の挟み角は、好ましくは40度よりも小さくなるように形成される。また好ましくは、傾斜端面のうち矢板本体の固定部側の半部領域が、段差部を介して残りの領域に対して突出した突出面からなる。傾斜端面の形成箇所は、矢板本体11の下端から所定距離11Eをあけた位置となっている。
また矢板本体11の下端には、鋼管矢板をハンマーヘッドの係止部に係止させるための第二係止部たるカラー11Cが溶接固定される。カラー11Cは外方へ拡径した台形断面のリング体からなる。リング体は、上部が矢板本体11の下端内面に沿って挿入される挿入部となっており、下部が矢板本体11の外径よりも大きく拡径した拡径部となっている。
図3及び図4は、鋼管矢板100にハンマーヘッド300及び拡径リング200を挿入係止させ、鋼管矢板を周方向に回転自在の状態で係止取付けする取り付け工程を示す。具体的には、ハンマーヘッド300挿入途中の第一状態(S1)、鋼管矢板100取付け後のハンマーヘッド300に拡径リング200を取り付けるリング取付け途中の第二状態(S2)、並びに、鋼管矢板100取付け後のハンマーヘッド300に拡径リング200を取り付けた取付け後の第三状態(S3)を示す。
ダウンザハンマーのハンマーヘッドの下端よりやや上方の位置である第一側部の全周部分又は部分周部分には、ヘッド外周に凸部形成された第一係止部31が一体的に備えられる。鋼管矢板とハンマーヘッドの取り付け状態では、この第一係止部31がカラー11C上端の第二係止部110に係止して、ハンマーヘッドが所定量以上、鋼管矢板の下端から突出しないように規制される(図3のS2)。
また、ハンマーヘッドの外径には外周方向へ等間隔に窪み部32が多数形成されており、この窪み部32は、側面視にてL字状に屈曲した屈曲溝からなる。L字状の屈曲溝のうち、屈曲部よりも下方(溝の片端の開口からみて手前側)の溝方向は中心軸100Aと平行な方向であって、ハンマーヘッドの下端に溝の片端が開口している。L字状の屈曲溝のうち、屈曲部よりも先方(溝の片端の開口からみて奥側)の溝方向は、中心軸100Aを中心とした特定の一回転方向(実施例では底面視にて右回り方向)となっている。屈曲した先は溝奥部32Eとなっており、この溝奥部32Eに拡径リング200の突出部22が回転して、拡径リング200が係止状態となる。
(拡径リング200)
ダウンザハンマーのハンマーヘッドは、ヘッド下端から上方へずれたヘッド下端の第二側部(第一係止部よりも下部のリング取付け部)に、ヘッド外周よりも所定の拡径量だけ拡径された拡径リングを係止取付け可能に備える。
前記拡径リングは、ハンマーヘッドに対して一方向へ所定量だけ回転することで係止解除されるものである。
ダウンザハンマーのハンマーヘッドは、ヘッド下端から上方へずれたヘッド下端の第二側部(第一係止部よりも下部のリング取付け部)に、ヘッド外周よりも所定の拡径量だけ拡径された拡径リングを係止取付け可能に備える。
前記拡径リングは、ハンマーヘッドに対して一方向へ所定量だけ回転することで係止解除されるものである。
拡径リング200はリングの内径側に、前記窪み部32と係止可能な突出部22が周方向へ等間隔に多数形成されており、隣り合う突出部22間に係止枠22Hがそれぞれ設けられる。拡径リング200は、前記第二状態(S2)にてリングの各突出部22がハンマーヘッドの各窪み部32と係止するように挿入され、その後、窪み部32の屈曲溝の屈曲方向へ回転してL字型の溝奥へ収容され、前記第三状態となる(S3)。
拡径リング200は平坦なリング状端面25を有すると共に、リング状端面25の外周側に傾斜して拡径した拡径面24を有する。リング状端面25及び拡径面24の各面内に亘って、超硬体からなる半球型の多数のビット23が散設固定される。多数のビット23は傾斜方向に並んだ各位置へ埋設固定されている。
図5は、鋼管矢板を牽引追従させた衝突式のダウンザハンマーのハンマー衝突動作によって、鋼管矢板の矢板本体の径よりも所定の拡径量だけ拡径された穿穴径で穿穴を衝突形成する「穿穴工程」、及び、この穿穴工程と共に、穿穴工程の前記ハンマー衝突動作によって、衝突形成直後の穿穴内に、牽引追従させた連結式鋼管矢板の矢板本体及び連結用継手を衝突打設する「打設工程」の、各工程の途中状態(a)、並びに各工程後の状態(b)を示す。
前記鋼管矢板の連結用継手の下端に、穿穴の側部内面の一部分を瓦解させる瓦解構造を形成しておくことで、打設工程において、矢板本体の両側部の連結用継手によって穿穴の穴縁を瓦解させながら鋼管矢板を打設する。
上記連結式鋼管矢板の打設方法(1)によれば、鋼管矢板本体の径ではなく、鋼管矢板本体の径に拡径量を加算させた穿穴径で穿穴を衝突形成し、穿穴径の周囲の打設領域を連結用継手自体で瓦解させながら打設することとなる。穿穴径が拡径量を加算させた穿穴径からなり、連結用継手の瓦解は継手断面の一部で済むため、比較的容易な打設が可能となっている。また、継手本体の衝突形成を行う穿穴工程のハンマー衝突動作と同じ衝突動作によって、穿穴工程と時間的にオーバーラップさせた打設工程を連続的に行うことで、ハンマー衝突動作の衝撃を利用した、比較的容易な穴縁の瓦解が可能となっている。
また前記穿穴工程における穿穴径の前記拡径量は、鋼管矢板両側部の一対の連結継手による側方への合計突出量の三分の一以上であって半分以下の範囲に設定されている。
鋼管矢板側部の連結継手の合計突出量に応じて、所定の割合(30%以上50% 以下)の範囲内で設定した拡径量の穿穴径で穿穴を衝突形成し、同時に、穿穴径の周囲の打設領域を連結用継手自体で瓦解させながら打設することとなる。穿穴径が拡径量を加算させた穿穴径からなり、連結用継手の瓦解範囲は、継手断面の最外部から50%〜70%以下の突出量の部分で済むため、比較的容易な打設が可能となっている。
また穿穴工程において、衝突式のダウンザハンマーのハンマーヘッドのヘッド下端から上方へずれたヘッド側部に備えた拡径リングの下面又は側面に多数のチップを分散形成しているため、拡径リングのチップの衝突によって穿穴側面を瓦解形成することとなる。
なお、必要に応じて取り付ける拡径リングの種類を、径の異なるもの、或いはビット数の異なるものに交換して取り付けることが可能となる。
図6に示すように、本発明の打設方法においては、前記打設工程の完了後に、ハンマーヘッドを逆回転させて鋼管矢板をハンマーヘッドから係止解除し(図6(c))、当該鋼管矢板を穿穴の穴底近傍へ残置すると共に、係止解除したハンマーヘッドを地表へ回収する(図6(d))回収工程を更に備える。
上記回収工程によって、打設した拡径リングを穴底に残置したままハンマーヘッドを回収することで、隣接する打設位置への鋼管矢板の連結打設を連続的に行うことができる。すなわち、回収工程の後は、再び新たな鋼管矢板をヘッドに取り付ける取り付け工程と、取り付けた新たな鋼管矢板を、残置した先の打設済み鋼管矢板の片側の連結継手に連結させるようにして、新たな鋼管矢板を新たな穿穴工程と共に新たな打設工程で打設し、所定の打設深さとなったのちに再び新たな回収工程を経る。
このようにして、取り付け工程、穿穴工程、打設工程、回収工程からなる第一の工程セットと、他の工程セット(第一又は第二の工程セット)によって打設された設置済みの鋼管矢板に新たな鋼管矢板を連結しつつ打設する、取り付け工程、穿穴工程、打設工程、回収工程からなる第二の工程セットと、その後に繰り返される、新たな第二の工程セットと、からなる打設方法によって、鋼管矢板を連結しながら順に打設することができる。
<打設方法>
(取り付け工程)
前記穿穴工程及び前記打設工程の前に、ダウンザハンマーのハンマーヘッドのリング取付け部に拡径リングをあらかじめ係止取付けする取り付け工程を備える。拡径リングは、ダウンザハンマーのハンマーヘッドとは別構造からなり、ヘッドよりも最大外径が大きい。拡径リングの内穴の周方向に等間隔に設けられた突起部が、ハンマーヘッドの外周に等間隔に対応形成されたL字溝の縦部分に嵌合するように差し込まれ、一の周方向(他方向)に回転させることでL字溝の奥部分に収容される。
(穿穴工程)
前記穿穴工程においては、ハンマーヘッドを前記一方向と逆の他方向へ回転させながら穿穴を形成する。
(係止解除工程)
また、前記打設工程の後に、ハンマーヘッドを一方向へ回転させて拡径リングをハンマーヘッドから係止解除する係止解除工程を備える。
(回収工程)
そして、係止解除した拡径リングを穿穴の穴底近傍へ残置してダウンザハンマーのハンマーヘッドを地表へ回収する回収工程を備える。
(取り付け工程)
前記穿穴工程及び前記打設工程の前に、ダウンザハンマーのハンマーヘッドのリング取付け部に拡径リングをあらかじめ係止取付けする取り付け工程を備える。拡径リングは、ダウンザハンマーのハンマーヘッドとは別構造からなり、ヘッドよりも最大外径が大きい。拡径リングの内穴の周方向に等間隔に設けられた突起部が、ハンマーヘッドの外周に等間隔に対応形成されたL字溝の縦部分に嵌合するように差し込まれ、一の周方向(他方向)に回転させることでL字溝の奥部分に収容される。
(穿穴工程)
前記穿穴工程においては、ハンマーヘッドを前記一方向と逆の他方向へ回転させながら穿穴を形成する。
(係止解除工程)
また、前記打設工程の後に、ハンマーヘッドを一方向へ回転させて拡径リングをハンマーヘッドから係止解除する係止解除工程を備える。
(回収工程)
そして、係止解除した拡径リングを穿穴の穴底近傍へ残置してダウンザハンマーのハンマーヘッドを地表へ回収する回収工程を備える。
Claims (5)
- 長尺柱体からなる鋼管矢板本体の長手方向に沿って、長尺柱体からなる矢板本体の両側部に一対の連結用継手が特定の合計突出量で突出固設された連結式鋼管矢板を、隣接する連結用継手同士で互いに連結しながら順に打設する打設方法であって、
鋼管矢板を牽引追従させた衝突式のダウンザハンマーのハンマー衝突動作によって、鋼管矢板の矢板本体の径よりも所定の拡径量だけ拡径された穿穴径で穿穴を衝突形成する穿穴工程と、
前記穿穴工程のハンマー衝突動作によって、衝突形成直後の穿穴内に、牽引追従させた連結式鋼管矢板の矢板本体及び連結用継手を衝突打設する打設工程と、を具備するものであり、
前記鋼管矢板の連結用継手の下端に、穿穴の側部内面の一部分を瓦解させる瓦解構造を形成しておくことで、
前記打設工程において、矢板本体の両側部の連結用継手によって穿穴の穴縁を瓦解させながら鋼管矢板を打設することを特徴とする。 - 前記穿穴工程における穿穴径の前記拡径量は、鋼管矢板の連結継手による側方突出量の三分の一以上であって半分以下の範囲に設定される、請求項1に記載の連結式鋼管矢板の打設方法。
- ダウンザハンマーのハンマーヘッドのヘッド下端から上方へずれたヘッド側部に、ヘッドよりも大きい拡径リングを備え、
拡径リングの拡径環の下面又は側面に多数のチップを分散形成し、
前記穿穴工程において、拡径リングのチップの衝突によって穿穴側面を瓦解形成する、請求項1又は2に記載の連結式鋼管矢板の打設方法。 - ダウンザハンマーのハンマーヘッドは、ヘッド下端から上方へずれたヘッド下端の第一側部の全周部分又は部分周部分に、ヘッド外周に凸部又は凹部形成された第一係止部を一体的に備え、
鋼管矢板は、矢板本体内の先端近傍の全周部分又は部分周部分に、ハンマーヘッドの前記第一係止部と係止する、凹部又は凸部からなる第二係止部を備えるものであり、
前記穿穴工程及び前記打設工程の前に、ダウンザハンマーのハンマーヘッドの第一側部に鋼管矢板の第二係止部を係止して、鋼管矢板を周方向に回転自在の状態で係止取付けする取り付け工程と、
前記打設工程の完了後に、鋼管矢板をハンマーヘッドから係止解除して当該拡径リングを穿穴の穴底近傍へ残置してダウンザハンマーのハンマーヘッドを地表へ回収する回収工程と、を更に備える、請求項1、2、又は3のいずれかに記載の連結式鋼管矢板の打設方法。 - 本発明に係る連結式鋼管矢板の打設方法は、上記連結式鋼管矢板の打設方法において、
ダウンザハンマーのハンマーヘッドは、ヘッド下端から上方へずれたヘッド下端の第三側部に、ヘッド外周よりも所定の拡径量だけ拡径された拡径リングを係止取付け可能に備え、
前記拡径リングが、ハンマーヘッドに対して一方向へ所定量だけ回転することで係止解除されるものであり、
前記穿穴工程及び前記打設工程の前に、ダウンザハンマーのハンマーヘッドのリング取付け部に拡径リングを係止取付けする取り付け工程を更に備え、
前記穿穴工程においては、ハンマーヘッドを前記一方向と逆の他方向へ回転させながら穿穴を形成するものであり、
また、前記打設工程の後に、ハンマーヘッドを一方向へ回転させて拡径リングをハンマーヘッドから係止解除する係止解除工程と、
係止解除した拡径リングを穿穴の穴底近傍へ残置してダウンザハンマーのハンマーヘッドを地表へ回収する回収工程と、を更に備える、請求項1、2、3、又は4のいずれかに記載の連結式鋼管矢板の打設方法。
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JP2019145867A JP2021025360A (ja) | 2019-08-08 | 2019-08-08 | 連結式鋼管矢板の打設方法及び連結式鋼管矢板の打設に用いる拡径リング |
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2019
- 2019-08-08 JP JP2019145867A patent/JP2021025360A/ja active Pending
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