JP2021025047A - ポリエステル樹脂及びそれからなる射出成形体、ブロー成形体 - Google Patents

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勝則 小野
めぐみ 田中
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Abstract

【課題】ガスバリア性に優れ、かつ透明性も良好な射出成形体やブロー成形体を、生産性を損なうことなく得ることができるポリエステル樹脂を提供する。【解決手段】エチレンテレフタレートを主たる繰り返し単位とし、全酸成分の合計量を100モル%としたとき、共重合成分としてイソフタル酸を16〜30モル%含有し、全グリコール成分の合計量を100モル%としたときビスフェノールAのエチレンオキシド付加物を2〜20モル%含有するポリエステル樹脂を主成分とし、ガラス転移温度が65℃以上であることを特徴とするポリエステル樹脂である。【選択図】なし

Description

本発明は、酸素透過度が低く、ガスバリア性に優れ、かつ透明性と耐衝撃性にも優れたポリエステル樹脂に関するものである。
ポリエチレンテレフタレート(PET)は、機械的特性、化学的安定性、透明性等に優れ、かつ、安価であり、各種のシート、フィルム、容器等として幅広く用いられており、特に昨今では、炭酸飲料、果汁飲料、液体調味料、食用油、酒、ワイン用等の中空容器(ボトル)用途の伸びが著しい。
しかも、塩化ビニル樹脂製中空成形体におけるような残留モノマーや有害添加剤の心配が少なく、衛生性及び安全性が高い点から、従来の塩化ビニル樹脂などからなるボトルからの置き換えも進んでいる。
しかしながら、PETからなる容器は、ガスバリア性が不十分であるという問題を有している。ガスバリア性の不十分さはPET本来の材質に因るものであり、成形加工条件の変更により解決することは困難であった。
そこで、特許文献1には、PETと特定のコポリエステルとの混合物を用いることにより、ガスバリア性を改善したポリエステル容器が提案されている。しかしながら、ここで用いられるコポリエステルは、ジカルボン酸成分としてフタル酸(オルト体)を必須とするものであるため、ガラス転移温度(Tg)が低くなりやすく、射出成形時の操業性に劣るという欠点があった。
特開平10−182957号公報
本発明は、上記の問題を解決し、ガスバリア性に優れ、かつ透明性と耐衝撃性も良好な射出成形体やブロー成形体を、生産性を損なうことなく得ることができるポリエステル樹脂を提供することを技術的な課題とするものである。
本発明者らは、上記の課題を解決するために、鋭意検討した結果、本発明に到達した。すなわち、本発明の要旨は、次の通りである。
(1)エチレンテレフタレートを主たる繰り返し単位とし、全酸成分の合計量を100モル%としたとき共重合成分としてイソフタル酸を16〜30モル%含有し、全グリコール成分の合計量を100モル%としたとき共重合成分としてビスフェノールAのエチレンオキシド付加物を2〜20モル%含有するポリエステル樹脂を主成分とし、ガラス転移温度が65℃以上であることを特徴とするポリエステル樹脂。
(2)20℃×65%RH環境下での酸素透過度が300ml/(m・day・MPa)以下であることを特徴とする(1)のポリエステル樹脂。
(3)40℃、10Hzで測定した貯蔵弾性率が1400MPa以上であることを特徴とする、(1)または(2)のポリエステル樹脂。
(4)(1)〜(3)何れかのポリエステル樹脂からなる射出成形体。
(5)(1)〜(3)何れかのポリエステル樹脂からなるブロー成形体。
本発明のポリエステル樹脂は、イソフタル酸とビスフェノールAのエチレンオシド付加物を特定量共重合したポリエステルを主成分とし、ガラス転移温度が特定の温度以上を満足するものであり、酸素透過度が低く、透明性、耐衝撃性に優れた各種成形体を、生産性を損なうことなく得ることができる。そして、本発明の射出成形体やブロー成形体は、ガスバリア性、透明性、耐衝撃性に優れており、各種用途に好適に使用することができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明のポリエステル樹脂は、エチレンテレフタレートを主たる繰り返し単位とし、全酸成分の合計量を100モル%としたときイソフタル酸を共重合成分として16〜30モル%含有するものである。イソフタル酸の共重合量は中でも20〜25モル%であることが好ましい。イソフタル酸を比較的多く共重合することにより、非晶性のポリエステル樹脂となり、得られる成形体の透明性を向上させることができる。
また、テレフタル酸に加えて、イソフタル酸を多く含むことにより、ポリエステル樹脂の分子構造が平面構造に近いものとなるためと想定されるが、酸素透過度の低いものとすることができる。このため、得られる成形体は、ガスバリア性に優れたものとなる。
イソフタル酸の共重合量が16モル%未満であると、ポリエステル樹脂中のテレフタル酸の量が多くなり、ポリエステル樹脂の分子構造を平面構造に近いものにすることが困難となるため、酸素透過度が高いものとなる。また、透明性に劣るものとなる。
一方、イソフタル酸の共重合量が30モル%を超えると、ガラス転移温度が本発明の範囲とならず、成形時に樹脂を冷却固化させるために時間を要したり、金型からの離形性が悪くなるなど、操業性が悪化する。また、イソフタル酸とエチレングリコールの環状2量体が副生しやすく、樹脂中の含有量が増えるため、成形体の外観不良や、成形装置や金型の汚染が起こりやすくなる。
本発明のポリエステル樹脂は、エチレンテレフタレートを主たる繰り返し単位とし、全グリコール成分の合計量を100モル%としたときビスフェノールAのエチレンオキシド付加物を共重合成分として2〜20モル%含有するものである。ビスフェノールAのエチレンオキシド付加物の共重合量は中でも5〜15モル%であることが好ましい。ビスフェノールAのエチレンオキシド付加物の共重合量が2モル%未満では、後述する貯蔵弾性率が低下し、耐衝撃性に劣るものとなる。一方、20モル%を超えると酸素透過度が増大し、ガスバリア性に劣るものとなる。
本発明に使用されるビスフェノールAのエチレンオキシド付加物における、エチレンオキシドの付加割合は特に限定されないが、例えば、ビスフェノールA1モル当たり1〜5モルである。
本発明におけるポリエステル樹脂はエチレンテレフタレートを主たる繰り返し単位とするものであるが、全酸成分100モル%中、テレフタル酸の割合は50モル%以上であることが好ましく、また、全グリコール成分100モル%中、エチレングリコールの割合は80モル%以上であることが好ましい。
テレフタル酸とイソフタル酸以外のジカルボン酸成分としては、フタル酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、無水フタル酸、ナフタレンジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、ダイマー酸等が挙げられ、これらを2種類以上併用してもよく、これらの酸のエステル形成性誘導体を使用してもよい。ただし、イソフタル酸による分子構造を平面構造とすることによる効果を阻害しないものとすることが好ましい。
エチレングリコール以外のグリコール成分としては、例えば、ネオペンチルグリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサメチレンジオール、ジエチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ダイマージオール、ビスフェノールSのエチレンオキシド付加物等を用いることができる。
本発明のポリエステル樹脂は、酸成分がテレフタル酸およびイソフタル酸のみからなることが好ましく、グリコール成分がエチレングリコールおよびビスフェノールAのエチレンオキシド付加物のみからなることが好ましい。これにより、ガラス転移温度を本発明の範囲とし易くなる。
本発明のポリエステル樹脂には、各種化合物を添加することができるが、前記したようなポリエステル樹脂の優れたガスバリア性、透明性、耐衝撃性を阻害しないものとすることが好ましい。添加される各種化合物の割合は、10質量%以下であることが好ましく、5質量%以下であることがより好ましい。
重縮合触媒としては、一般的にPETに用いられる公知の化合物、例えば、ゲルマニウム、アンチモン、チタンおよびコバルト化合物などの1種以上を用いることができるが、好ましくはゲルマニウムまたはアンチモンの化合物を使用する。ゲルマニウムまたはアンチモンの化合物としては、それらの酸化物、無機酸塩、有機酸塩、ハロゲン化物、硫化物などが例示される。これらの重縮合触媒は、生成するポリエステル樹脂の酸成分1モルに対し5×10−5モル〜3.0×10−4モルの範囲内、中でも6×10−5モル〜2.0×10−4モルの範囲内となるような量で用いることが好ましい。5.0×10−5よりも少ないと、目標の重合度のポリエステル樹脂を得ることが困難となりやすい。一方、3.0×10−4モルを超えると、副生物により、ポリエステル樹脂の経時安定性が悪くなり、長期保存後のポリエステル樹脂の極限粘度の低下や色調の悪化が起こるため、好ましくない。
本発明のポリエステル樹脂には、得られる成形体の外観を改良する目的で、酢酸コバルト等のコバルト化合物、酢酸マンガン等のマンガン化合物、アントラキノン系染料化合物、銅フタロシアニン系化合物等の色調調整剤が含有されていてもよい。中でも、重合触媒活性、得られるポリエステル樹脂の物性及びコストの点から、酢酸コバルトが好ましい。
色調調整剤の含有量は、ポリエステルの酸成分1モルに対し1.0×10−5〜1.0×10−4モルであることが好ましく、中でも0.2×10−4モル〜0.8×10−4モルとすることが好ましい。色調調整剤の含有量が、1.0×10−5モルよりも少ないと、ポリエステル樹脂の色調が悪くなりやすい。一方、1.0×10−4モルを超えると、ポリエステル樹脂の透明性が悪くなり、さらに、ポリエステル樹脂の経時安定性も悪くなりやすい。
また、本発明のポリエステル樹脂には酸化防止剤が添加されていてもよい。酸化防止剤の含有量は特に限定されないが、例えば、ポリエステル樹脂中の0.1〜1.0質量%である。
酸化防止剤としては、例えば、ヒンダードフェノール系酸化防止剤などが挙げられる。
ヒンダードフェノール系酸化防止剤としては、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、n−オクタデシル−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、テトラキス〔メチレン−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕メタン、トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、4,4’−ブチリデンビス−(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、トリエチレングリコール−ビス〔3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート〕、3,9−ビス{2−〔3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ〕−1,1’−ジメチルエチル}−2,4,8,10−テトラオキサスピロ〔5,5〕ウンデカン等が用いられるが、効果とコストの点で、テトラキス〔メチレン−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕メタンが好ましい。
本発明のポリエステル樹脂には、上記のような酸化防止剤の他、着色防止剤として、例えば、亜リン酸、リン酸、トリメチルフォスファイト、トリエチルフォスファイト、トリフェニルフォスファイト、トリデシルフォスファイト、トリメチルフォスフェート、トリデシルフォスフェート、トリフェニルフォスフォート等のリン化合物を用いることができ、これらのリン化合物は単独で使用しても2種以上使用しても良い。
そして、本発明のポリエステル樹脂は、ガラス転移温度が65℃以上であり、中でも70℃以上であることが好ましい。ガラス転移温度が65℃未満であると、チップにした際の乾燥工程において融着が生じやすく、また成形時においては、冷却に時間を要し、金型からの離形性が悪くなるなど、操業性が悪化する。
さらに、本発明のポリエステル樹脂は、20℃×65%RH環境下での酸素透過度が300ml/(m・day・MPa)以下であることが好ましく、中でも230ml/(m・day・MPa)以下であることがより好ましい。酸素透過度が300ml/(m・day・MPa)を超えると、ガスバリア性に乏しいものとなり、本発明のポリエステル樹脂より得られる成形体もガスバリア性に乏しいものとなる。
なお、上記のポリエステル樹脂の酸素透過度は、Optical Control Systems社製のフィッシュアイカウンター(ゲルカウンター)にて厚み80μmの未延伸フィルムを作製し、該未延伸フィルムをモコン社製酸素透過率測定装置OXTRAN2/21MHを用い、JIS K7126−2法(20℃×65%RH環境下)に従って酸素透過度を測定するものである。
次に、本発明のポリエステル樹脂は、40℃、10Hzで測定した貯蔵弾性率が1400MPa以上であることが好ましく、中でも1450MPa以上であることがより好ましい。貯蔵弾性率が1400MPaを下回ると、得られる成形体の強度や耐衝撃性が低下したものとなる。このため、剛性設計する場合には成形体の厚肉化につながり、経済性に劣るものとなる。一方、貯蔵弾性率は、1600MPa以下とすることが好ましい。貯蔵弾性率が1600MPaを超えると、得られる成形体が硬くなりすぎるため、この場合においても耐衝撃性が低下した物となりやすい。
なお、本発明のポリエステル樹脂の貯蔵弾性率は、280℃にて溶融成形することで、52×10×2mmのサンプル片を作成し、レオメトリックスサイエンティフィック社(現・TAインスツルメント社)製のレオメーター RSAIIで、温度40℃、周波数10Hz、ひずみ0.1%、支点間距離48mmの条件下で測定するものである。
また、本発明のポリエステル樹脂の極限粘度は、0.60以上であることが好ましく、中でも0.64以上であることが好ましい。極限粘度が0.60未満の場合は、成形が困難となりやすく、特にブロー成形が困難になり、均一な厚さの成形体を得ることが困難となりやすい。
また、本発明のポリエステル樹脂のイソフタル酸とエチレングリコールの環状2量体の含有量は、0.3質量%以下であることが好ましく、中でも0.2質量%以下であることが好ましい。イソフタル酸とエチレングリコールの環状2量体が0.3質量%を超えると、成形体の外観不良や成形装置の汚染が起こりやすくなる。
次に、本発明のポリエステル樹脂の製造方法について説明する。
酸成分としてテレフタル酸あるいはそのエステル形成性誘導体、グリコール成分としてエチレングリコールを所定の割合でエステル化反応器に仕込み、加圧下、160〜280℃の温度でエステル化反応またはエステル交換反応を行った後、ポリエステルオリゴマーを重合反応器に移し、イソフタル酸とエチレングリコールの反応溶液、またはイソフタル酸とエチレングリコールの分散液、重合触媒としてゲルマニウム、アンチモン、チタンおよびコバルト化合物のうち1種以上、ヒンダードフェノール系酸化防止剤を必要に応じて添加し、通常1hPa以下の減圧下で240〜290℃、好ましくは250〜280℃の温度で溶融重縮合反応を行う。
本発明のポリエステル樹脂を用いて、押出成形、ブロー成形、射出成形、プレス成形、発泡成形などの成形方法によって成形体を製造することができる。中でも成形体としては、射出成形体とブロー成形体が好ましい。
次に、本発明の射出成形体について説明する。本発明の射出成形体は、本発明のポリエステル樹脂からなるものである。
射出成形法としては、一般的な射出成形法を用いることができ、さらにはガス射出成形法、射出成形プレス成形法等も採用できる。射出成形時のシリンダー温度は、ポリエステル樹脂の融点(Tm)又は流動開始温度以上であることが必要であり、好ましくは(Tm+10)℃〜(Tm+60)℃、更に好ましくは(Tm+15)℃〜(Tm+40)℃の範囲である。成形温度が低すぎると、成形時にショートが発生して成形が不安定になったり、過負荷に陥ったりしやすい。逆に成形温度が高すぎると、ポリエステル樹脂が分解し、得られる成形体の強度が低下したり、着色する等の問題が発生しやすくなる。また、金型温度は、(Tm−20℃)以下にすることが好ましい。
さらに、本発明のブロー成形体について説明する。本発明のブロー成形体は、本発明のポリエステル樹脂からなるものである。ブロー成形の方法としては、射出成形あるいは押出成形により一段で製品を成形する方法、あるいは、射出成形あるいは押出成形により得られたパリソンを延伸ブロー成形する方法などが挙げられる。
中でも、本発明の成形体としては、射出成形あるいは押出成形によりパリソンを形成し、パリソンを延伸ブローする方法により得られたブロー成形体であることが好ましい。延伸ブロー成形することにより、ポリエステル樹脂の分子構造がより平面的に配列するためであると想定されるが、酸素透過度がより低くなり、ガスバリア性に優れた成形体を得やすくなる。
延伸ブロー法としては、ポリエステル樹脂を乾燥した後、シリンダー各部およびノズル温度を240〜270℃とした射出成型機を用いてプリフォームを作製し、このプリフォームが射出成形又は押出成形の予熱を維持し、そのままブロー成形工程に移るホットパリソン法、あるいは、プリフォームの射出成形機又は押出成形機とブロー成形機が離れ、プリフォームが一度冷却された後再加熱されてブロー成形されるコールドパリソン法を適用することができる。また、延伸倍率は縦方向に1.1〜3.5倍、円周方向に1.1〜5倍の範囲とするのが適当である。
本発明の射出成形体、ブロー成形体の形態は、特に限定されないが、ガスバリア性や透明性、耐衝撃性に優れることから、液体を充填する容器とすることが好ましい。このような容器の具体例としては、乳製品や清涼飲料水や酒類等のための飲料用コップ及び飲料用ボトル、醤油、ソース、マヨネーズ、ケチャップ、食用油等の調味料の保存容器、シャンプー・リンス等の容器、化粧料用容器、薬品や薬剤用容器等が挙げられる。
次に、実施例により本発明を具体的に説明する。なお、実施例中の各種特性値は次のようにして測定又は評価を行った。
(a)ガラス転移温度
得られたポリエステル樹脂を、パーキンエルマー社製示差走査型熱量計(Diamond DSC)を用いて、窒素気流中、温度範囲25℃〜280℃、昇温(降温)速度20℃/分、試料量8mgで測定した。
(b)極限粘度〔η〕
得られたポリエステル樹脂を、フェノールと四塩化エタンとの等重量混合物を溶媒として、温度20℃で測定した。
(c)イソフタル酸とビスフェノールAのエチレンオキシド付加物の共重合量、ヒンダードフェノール系酸化防止剤の含有量
得られたポリエステル樹脂を、重水素化ヘキサフルオロイソプロパノールと重水素化クロロホルムとの容量比が1/20の混合溶媒に溶解させ、日本電子社製LA−400型NMR装置にて1H−NMRを測定し、得られたチャートの各成分のプロトンのピークの積分強度から、共重合量と含有量を求めた。
(d)ゲルマニウム化合物、アンチモン化合物の含有量
得られたポリエステル樹脂を、リガク社製蛍光X線分析装置3270を用いて測定した。
(e)ポリエステル樹脂の酸素透過度(20℃×65%RH環境下)、貯蔵弾性率
前記の方法で測定した。
(f)イソフタル酸とエチレングリコールの環状2量体
得られたポリエステル樹脂100mgをヘキサフルオロイソプロパノールとクロロホルムとの容量比が1/20の混合溶媒に溶解させ、アセトニトリルを加え、抽出したのち、液体クロマトグラフィーを用いて以下の条件にて測定し、環状2量体の量を算出した。
カラム:Waters マイクロボンダスフィア
充填剤:Si−C18 5μ 100A
検出器: Waters 2996型 PDA検出器(光源波長 254nm)
測定時流速:1ml/分
移動相溶媒:アセトニトリル/水=7/3及びアセトニトリル
(g)生産性
(g−1)操業性
射出成形体を得る際の操業性を以下のように評価した。金型温度15℃のキャビティ内に溶融樹脂を射出した直後からの冷却時間が20秒以内で割れやひびのない成形体が得られる場合を合格とし、サンプル20個を得る際に、合格のサンプル数が18個以上である場合は○、合格のサンプル数が17個以下であるものは×とした。
(g−2)金型汚染
前記射出成形体を得る際の金型汚れの有無を目視で観察した。
〇:金型汚れが見られない。
△:やや金型汚れが見られる。
×:金型汚れが顕著であった。
(h)成形体の酸素透過度(20℃×65%RH環境下)
射出成形体及びブロー成形体について、モコン社製酸素透過率測定装置OX−TRAN2/21MHを用い、JIS K7126−2法(20℃×65%RH環境下)に従って測定した。
(i)ヘーズ
得られた射出成形体から切り出してサンプル片(20個)を作成し、濁度を日本電色工業社製の濁度計 MODEL 1001DPで測定し(空気:ヘーズ0%)、n数20の平均値とした。この値が小さいほど透明性が良好であり、5%以下であれば透明性に優れていると判定した。
(j)耐衝撃性
(耐衝撃性 その1)
操業性が合格基準を満たしたポリエステル樹脂に関して、ブロー成型にて得られた中空容器(サンプル数100本)に、水道水150mlを充填し、室温下にて、Pタイル上に、200cmの高さから、容器の底面を下向き、側面を下向きにして容器を1回ずつ落下させた。このとき割れなかった容器の本数で耐衝撃性を評価した。割れなかった容器の本数が75本以上を合格と判定した。
(耐衝撃性 その2)
容器を落下させる高さを50cmとした以外は、(耐衝撃性 その1)と同様に行った。割れなかった容器の本数で耐衝撃性を評価し、割れなかった容器の本数が95本以上を合格と判定した。
実施例1
〔ポリエステル樹脂〕
エステル化反応器に、テレフタル酸(TPA)とエチレングリコール(EG)のスラリー(TPA/EGモル比=1/1.6)を供給し、温度250℃、圧力50hPaの条件で反応させ、エステル化反応率95%のPETオリゴマー(数平均重合度:5)を得た。別のエステル化反応缶に、イソフタル酸(IPA)とエチレングリコールとからなるスラリー(IPA/EGモル比=1/3.1)を仕込み、温度200℃で3時間エステル化反応を行い、イソフタル酸とエチレングリコールの反応溶液を得た。
PETオリゴマー48.2kgを重合反応器に仕込み、続いて、イソフタル酸とエチレングリコールの反応溶液20.1kg、ビスフェノールAのエチレンオキシド付加物(ビスフェノールA1モル当たり2モルのエチレンオキシド付加物)とエチレングリコールスラリー(50質量%)9.5kg、触媒として三酸化アンチモン17.5g、コバルト化合物として酢酸コバルト3.0g、着色防止剤としてトリエチルフォスファイト5.2gそれぞれ加え、反応器を減圧にして60分後に最終圧力0.9hPa、温度280℃で5時間、溶融重縮合反応を行い、ポリエステル樹脂を得た。
〔射出成形体〕
得られたポリエステル樹脂を乾燥した後、シリンダー各部およびノズル温度を220〜250℃、スクリュー回転数100rpm、射出時間10秒、冷却時間10秒、金型温度15℃に設定した小型射出成型機(日精樹脂工業社製、PS−20)を用いて射出成形体(50×50×1mm平板)を作製した。
〔延伸ブロー成形体〕
また、得られたポリエステル樹脂を乾燥した後、シリンダー各部およびノズル温度を270℃、スクリュー回転数100rpm、射出時間10秒、冷却時間10秒、金型温度15℃に設定した射出成型機(日精エーエスビー社製、ASB−50HT)を用いてプリフォームを成形し、次いで、このプリフォームを100℃雰囲気下、ブロー圧力2MPaで延伸ブロー成形(ホットパリソン法を採用)し、胴部の平均肉厚300μm、内容積150mlのブロー成形体を作製した。
実施例2〜6
イソフタル酸とビスフェノールAのエチレンオキシド付加物の共重合量、極限粘度(溶融重縮合反応時間を変更することにより調整)を表1のように変更した以外は、実施例1と同様にしてポリエステル樹脂を製造した。
そして、実施例1と同様にして射出成形および延伸ブロー成形を行い、射出成形体およびブロー成形体を作製した。
実施例7
溶融反応重合時に、ヒンダードフェノール系抗酸化剤としてテトラキス〔メチレン−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕メタン(ADEKA社製:アデカスタブAO−60)120gを添加した以外は、実施例1と同様にしてポリエステル樹脂を製造した。
そして、実施例1と同様にして射出成形および延伸ブロー成形を行い、射出成形体およびブロー成形体を作製した。
実施例8
ヒンダードフェノール系抗酸化剤の含有量が表1の値になるように変更した以外は、実施例9と同様にしてポリエステル樹脂を製造した。
そして、実施例1と同様にして射出成形および延伸ブロー成形を行い、射出成形体およびブロー成形体を作製した。
実施例9
触媒を三酸化アンチモンから二酸化ゲルマニウム12.0gに変更した以外は、実施例1と同様にしてポリエステル樹脂を製造した。
そして、実施例1と同様にして射出成形および延伸ブロー成形を行い、射出成形体およびブロー成形体を作製した。
比較例1〜4
イソフタル酸とビスフェノールAのエチレンオキシド付加物の共重合量、極限粘度(溶融重縮合反応時間を変更することにより調整)を表1のように変更した以外は、実施例1と同様にしてポリエステル樹脂を製造した。
そして、実施例1と同様にして射出成形および延伸ブロー成形を行い、射出成形体およびブロー成形体を作製した。
比較例5
〔ポリエステル樹脂〕
エステル化反応器に、テレフタル酸(TPA)とエチレングリコール(EG)のスラリー(TPA/EGモル比=1/1.6)を供給し、温度250℃、圧力50hPaの条件で反応させ、エステル化反応率95%のPETオリゴマー(数平均重合度:5)を得た。別のエステル化反応缶に、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸(CHDA)とエチレングリコールとからなるスラリー(CHDA/EGモル比=1/3.1)を仕込み、温度200℃で3時間エステル化反応を行い、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸とエチレングリコールの反応溶液を得た。
PETオリゴマー48.2kgを重合反応器に仕込み、続いて、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸とエチレングリコールの反応溶液10.3kg、ビスフェノールAのエチレンオキシド付加物とエチレングリコールスラリー(50質量%)9.5kg、触媒として二酸化ゲルマニウム7.8g、コバルト化合物として酢酸コバルト7.1g、ヒンダードフェノール系抗酸化剤としてテトラキス〔メチレン−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕メタン(ADEKA社製:アデカスタブAO−60)120gを、それぞれ加え、反応器を減圧にして60分後に最終圧力0.9hPa、温度280℃で4時間、溶融重縮合反応を行い、ポリエステル樹脂を得た。
そして、実施例1と同様にして射出成形および延伸ブロー成形を行い、射出成形体およびブロー成形体を作製した。
実施例1〜9、比較例1〜5で得られたポリエステル樹脂の樹脂組成、特性値及び射出成形体とブロー成形体の特性値、評価結果を表1および表2に示す。
表1から明らかなように、実施例1〜9で得られたポリエステル樹脂は、本発明で規定する組成、特性値を満足するものであったため、生産性に優れ、良好な射出成形体およびブロー成形体を得ることができた。そして、得られた射出成形体およびブロー成形体は、表面の白化や荒れがなく、透明性に優れ、かつ酸素透過度が低く(ガスバリア性に優れ)、耐衝撃性に優れたものであった。
一方、比較例1で得られたポリエステル樹脂は、イソフタル酸の共重合量が少なかったため、酸素透過度が高いものであった。このため、得られた成形体は酸素透過度が大きく、ガスバリア性に劣るものであった。さらには、射出成形および延伸ブロー成形時に成形体表面に白化が生じ、透明性に劣る成形体となった。比較例2で得られたポリエステル樹脂は、イソフタル酸の共重合量が多く、ガラス転移温度が低かったため、金型からの離型性が悪く、操業性が悪化した。また、イソフタル酸とエチレングリコールの環状2量体の含有量が多く、金型への付着物が増え生産性が悪化した。
比較例3で得られたポリエステル樹脂は、ビスフェノールAのエチレンオキシド付加物の共重合量が少なかったため、貯蔵弾性率が低く、耐衝撃性に劣るものであった。比較例4で得られたポリエステル樹脂は、ビスフェノールAのエチレンオキシド付加物の共重合量が多かったため、酸素透過度が高く、ガスバリア性に劣るものであった。比較例5で得られたポリエステル樹脂は、CHDAを共重合したものであったため、ガラス転移温度が低く、また酸素透過度が高いものであった。このため、チップにした際に融着が生じ、射出成形時の操業性に劣っていた。また、得られた成形体は、ガスバリア性に劣るものであった。

Claims (5)

  1. エチレンテレフタレートを主たる繰り返し単位とし、全酸成分の合計量を100モル%としたとき共重合成分としてイソフタル酸を16〜30モル%含有し、全グリコール成分の合計量を100モル%としたとき共重合成分としてビスフェノールAのエチレンオキシド付加物を2〜20モル%含有するポリエステル樹脂を主成分とし、ガラス転移温度が65℃以上であることを特徴とするポリエステル樹脂。
  2. 20℃×65%RH環境下での酸素透過度が300ml/(m・day・MPa)以下であることを特徴とする請求項1記載のポリエステル樹脂。
  3. 40℃、10Hzで測定した貯蔵弾性率が1400MPa以上であることを特徴とする請求項1または2に記載のポリエステル樹脂。
  4. 請求項1〜3の何れか1項に記載のポリエステル樹脂からなる射出成形体。
  5. 請求項1〜3の何れか1項に記載のポリエステル樹脂からなるブロー成形体。
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