JP2021023895A - 液処理装置及び液処理方法 - Google Patents

液処理装置及び液処理方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2021023895A
JP2021023895A JP2019145358A JP2019145358A JP2021023895A JP 2021023895 A JP2021023895 A JP 2021023895A JP 2019145358 A JP2019145358 A JP 2019145358A JP 2019145358 A JP2019145358 A JP 2019145358A JP 2021023895 A JP2021023895 A JP 2021023895A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
liquid
tank
separated
granules
aggregate
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2019145358A
Other languages
English (en)
Inventor
政彦 徳安
Masahiko Tokuyasu
政彦 徳安
佳典 山田
Yoshinori Yamada
佳典 山田
藤井 正
Tadashi Fujii
正 藤井
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nomura Micro Science Co Ltd
Original Assignee
Nomura Micro Science Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nomura Micro Science Co Ltd filed Critical Nomura Micro Science Co Ltd
Priority to JP2019145358A priority Critical patent/JP2021023895A/ja
Publication of JP2021023895A publication Critical patent/JP2021023895A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Separation Of Suspended Particles By Flocculating Agents (AREA)

Abstract

【課題】被処理液を効率的に処理し、廃棄固形物と廃液にする。【解決手段】被処理液を収容し、被処理液に含まれる粉粒物を凝集剤によって凝集させて沈降させゲル状の凝集体を生成する凝集沈降槽22と、凝集体を収容し凝集体を希釈液により希釈して分離対象液を生成する希釈槽16と、分離対象液から粉粒物を遠心力で分離する遠心分離装置18と、を有する。【選択図】図1

Description

本願は、液処理装置及び液処理方法に関し、たとえば、半導体製造プロセスにおいて生じた粉粒物を含む被処理液から、粉粒物を除去するための液処理装置及び液処理方法に関する。特に、被処理液が微細粉粒物を含む場合でも、この微細粉粒物を被処理液から除去可能な液処理装置及び液処理方法に関する。
特許文献1には、シリコン材料を切断する際に生じたシリコン切削屑を含む使用済クーラントから、シリコン切削屑を分離するクーラント再生方法として、シリコン切削屑が凝集するように高分子凝集剤を使用済クーラントに添加し、凝集したシリコン切削屑を分離して再生クーラントを得る方法が記載されている。
特許文献2には、凝集混和池において無機凝集剤が注入された被処理水をフロック形成池で撹拌して粗大フロックを形成した後、沈殿池で凝集沈殿汚泥と沈殿上澄水に分離し、凝集沈殿汚泥が集積されて沈殿池の底部から排出されて濃縮手段へ送られる上水汚泥処理方法が記載されている。濃縮手段で濃縮された濃縮汚泥は、脱水手段で脱水され、過剰水分が除去される。
また、半導体製造、精密電子部品製造、リチウムイオン二次電池製造等において、カーボンナノチューブの使用が試みられている。カーボンナノチューブを使用した場合、排水として、粒径がナノ〜数十ナノオーダーの微細紛粒が含まれることになるが、この微細紛粒物の除去は特に困難である。例えば、カーボンナノチューブを含む排水に対し、高濃度の次亜塩素酸処理による分解が試みられているが、微細粉粒物の除去は難しい。
特開2015−139861号公報 特開2018−153730号公報
シリコン研磨屑等の粉粒物が含まれる液体は、粉粒物を濃縮・脱水することで廃棄固形分と廃水を得、これらを廃棄する。たとえば、遠心分離装置を用いて、被処理液から遠心力で粉粒物を除去する方法や、フィルターで脱水するフィルタプレス法を採り得る。
しかし、遠心分離装置を用いた分離においては、粉粒物の粒径には限界がある。微細粉粒物まで含めて十分脱水した廃棄固形分を得るには、大きな遠心力が必要になる。遠心分離機の回転数を例えば10000rpm程度まで上げる等の工夫が必要になるため、装置の大型化になり、かつ、高価なものになる。また、得られた廃棄固体は十分な脱水ができていないため、さらなる処理が必要になる場合もある。また、残液は、微細な粉粒体の十分な除去ができないため、残液はさらに処理が必要になる場合もある。このため、より効率的に、被処理液から粉粒物を除去できるようにすることが望まれる。
また、フィルタプレスの場合には、脱水は十分行えるものの、装置が大型になるとともに、構造上フィルターが目詰まりすることは避けられないため、定期的なメンテナンスが必要となるという課題が生じる。
また、紛粒物が微細な場合、特に粉粒物の粒径がナノオーダーの場合、被処理液からの粉粒物の分離が特に難しいという課題もある。
本願では、被処理液を効率的に処理し、廃棄固形物と廃液にすることが目的である。
第一態様では、被処理液を収容し、前記被処理液に含まれる粉粒物を凝集剤によって凝集させて沈降させゲル状の凝集体を生成する凝集沈降槽と、前記凝集体を収容し前記凝集体を希釈液により希釈して分離対象液を生成する希釈槽と、前記分離対象液から前記粉粒物を遠心力で分離する遠心分離装置と、を有する。
この液処理装置では、凝集沈殿槽が被処理液を収容し、被処理液に含まれる粉粒物を、凝集剤によって凝集させ沈降させる。これにより、凝集沈殿槽では、ゲル状の凝集体が生成される。凝集沈降槽の上澄液は、廃液として外部に排出できる。
希釈槽は、この凝集体を収容し、希釈液により希釈する。ここで希釈の際は、ゲル状の凝集体を、移送循環ポンプ、撹拌機、散気(管)等により細断化し流動性を付加することも併用可能である。 これにより、希釈槽では、分離対象液が生成される。分離対象液は、凝集体が希釈液により希釈された液体なので、後段での操作を行うために、十分な流動性を有する。
遠心分離装置は、分離対象液から、粉粒物を遠心力で分離し、廃棄固形物を生成する。分離対象液は、ゲル状の凝集体が混合されており、この凝集体を構成する粒子(凝集体粒子)は、凝集前の被処理液に含まれる粉粒物よりも実質的な粒径が大きい。また、凝集体は、凝集前の被処理液よりも高比重である。しかも、分離対象液は、凝集体を含有するものの、流動性を有するので、遠心分離装置への導入が容易である。また、分離対象液は、凝集体を含有しているため、この凝集体を構成する凝集体粒子が、核となって処理原液中の粉粒物を付着させて、凝集沈殿により、沈殿物である凝集体を分離しやすい。これらにより、被処理液から粉粒物を効率的に除去できる。
第二態様では、第一態様において、前記希釈槽において前記凝集体が導入される凝集体導入口が、前記凝集沈降槽において前記凝集体が排出される排出口よりも下側にある。
したがって、凝集沈降槽の内部で生成されたゲル状の凝集体を、凝集沈降槽の排出口から希釈槽の凝集体導入口へ、重力により移動させることができる。たとえば、希釈槽の凝集体導入口が凝集沈降槽の排出口の直下に位置する構造であれば、重力により、ゲル状の凝集体をそのまま落下させて、凝集沈降槽の排出口から希釈槽の導入口へ移動させることができる。また、希釈槽の凝集体導入口が凝集沈降槽の排出口の斜め下方に位置する構造であっても、凝集体導入口と排出口とを繋ぐ経路、たとえば管路や滑り台等を設ける等により、ゲル状の凝集体を凝集沈降槽の排出口から希釈槽の導入口へ、他の動力を要することなく案内して移動させることができる。
第三態様では、第一又は第二態様において、前記粉粒物が凝集されていない状態の処理原液を、前記希釈液として前記希釈槽に導入する原液導入部材を有する。
原液導入部材により、処理原液を希釈槽に導入すると、凝集体が処理原液によって希釈され、希釈された凝集体の凝集体粒子が核となり、凝集体粒子中に残存する凝集剤の残留分により、処理原液中の粉粒物の少なくとも一部が凝集体粒子に付着する。すなわち、処理原液を希釈液として希釈槽に導入することで、特段の操作なく、処理原液中の粉粒物を凝集させた分離対象液を得ることができる。希釈用に、処理原液とは異なる液体を用いる場合と比較して、効率的に分離対象液を生成できる。
第四態様では、第一〜第三のいずれか1つの態様において、前記遠心分離装置と前記凝集沈降槽とを連通し、前記遠心分離装置で前記分離対象液から前記粉粒物が分離された後の分離残液を前記被処理液として前記凝集沈降槽に移送する残液移送経路を有する。
遠心分離装置で分離対象液から粉粒物が分離された後の分離残液は、残液移送経路により、被処理液として凝集沈降槽に移送される。すなわち、分離残液に粉粒物が残留している場合には、この粉粒物を、凝集沈降槽において凝集剤によって凝集させて沈降させ、ゲル状の凝集体を生成する。そして、ゲル状の凝集体を、希釈槽で希釈液により希釈して分離対象液を生成し、さらに、分離対象液から粉粒物を遠心分離装置で分離できる。すなわち、分離残液に含まれる粉粒物を凝集沈殿槽及び希釈槽へ移送させることで、粉粒物の分離にあたって、あらためて遠心分離装置を使用可能となる。
第五態様では、第四態様において、前記残液移送経路から分岐部により分岐し、前記分離残液を前記希釈槽に導入する分岐経路と、前記分岐部に設けられ前記分離残液の導入先を前記凝集沈降槽と前記希釈槽のいずれか一方に切り替える切替弁と、を有する。
分離残液は通常は切換弁を経由して凝集沈降槽へ導入されるが、分離が不十分等の場合には切換弁を切り替えて、分離残液を再度希釈槽へ送り、遠心分離処理することも可能である。この場合、分離残液に残存する粉粒物は、希釈槽内で凝集体粒子に付着するため、この希釈槽から分離対象液を遠心分離装置に送ることで、容易に遠心分離される。
さらに、分離残液は、処理原液よりも粉粒物の濃度が低いので、希釈槽において処理残液の量と分離残液の量とを調整することで、生成される分離対象液の粉粒物濃度を調整することも可能である。
第六態様では、第五態様において、前記残液移送経路に設けられ前記分離残液を貯留する貯留槽を有する。
したがって、分離残液の量が多い場合に、貯留槽に分離残液を一時的に貯留することで、凝集沈降槽を小型化することができる。
第七態様では、被処理液に含まれる粉粒物を凝集剤によって凝集させて沈降させゲル状の凝集体を生成し、前記凝集体を希釈液により希釈して分離対象液を生成し、前記分離対象液から前記粉粒物を遠心分離装置により遠心力で分離する。
この液処理方法では、処理液に含まれる粉粒物を、凝集剤によって凝集させ沈降させて、ゲル状の凝集体を生成する。
そして、この凝集体を希釈液により希釈し、分離対象液を生成する。分離対象液は、凝集体が希釈液により希釈された液体なので、流動性を有する。
次に、分離対象液から、粉粒物を遠心分離装置により遠心力で分離し、廃棄固形物を生成する。分離対象液は、ゲル状の凝集体が混合されており、この凝集体を構成する凝集体粒子は、凝集前の被処理液に含まれる粉粒物よりも実質的な粒径が大きい。また、凝集体粒子は、凝集前の被処理液よりも高比重であるため、遠心分離が容易である。しかも、分離対象液は、凝集体を含有するものの、流動性を有するので、遠心分離装置への導入が容易である。また、分離対象液は、凝集体を含有しているため、この凝集体を構成する凝集体粒子が、核となって処理原液中の紛粒物を付着させてフロックを形成するため、被処理液から粉粒物を効率的に除去できる。
第八態様では、第七態様において、前記凝集体を前記希釈液で希釈して前記分離対象液を生成する希釈槽へ、重力により前記凝集体を移動させる。
重力により、ゲル状の凝集体をそのまま落下させて、凝集沈降槽から希釈槽へ移動させるので、凝集体を凝集沈降槽から希釈槽へ移動させる作業や動力が不要である。
第九態様では、第七又は第八態様において、前記希釈液として、前記粉粒物が分離及び凝集されていない状態の処理原液を用いる。
希釈液として処理原液を用いると、凝集体が処理原液によって希釈され、希釈された凝集体を構成する凝集体粒子が核となり、凝集剤の残留分により、処理原液中の粉粒物の少なくとも一部が凝集体粒子に付着する。すなわち、処理原液を希釈液として用いることで、特段の操作なく、処理原液中の粉粒物の一部を凝集させることができる。
第十態様では、第七〜第九のいずれか1つの態様において、前記遠心分離装置で前記分離対象液から前記粉粒物が分離された後の分離残液を前記被処理液として凝集沈降槽に移送する。
遠心分離装置で分離対象液から粉粒物が分離された後の分離残液には、微細粒径の粉粒物が一部残留しているので、この粉粒物を凝集沈降槽において凝集剤によって凝集させて沈降させ、ゲル状の凝集体を生成する。そして、ゲル状の凝集体を希釈液により希釈して分離対象液を生成し、さらに、分離対象液から粉粒物を遠心分離装置で分離して廃棄固形物を生成できる。すなわち、分離残液に含まれる粉粒物に対し、凝集沈殿と希釈のプロセスを経て、あらためて遠心分離装置で分離できる。
本願では、被処理液を効率的に処理し、廃棄固形物と廃水にすることができる。
図1は第一実施形態の液処理装置を示す構成図である。 図2は第一実施形態の液処理装置において生成される凝集体粒子を示す図である。 図3は第一実施形態の液処理装置において凝集体粒子の表面に粉粒物が付着した状態を示す図である。 図4は第一実施形態の液処理装置の凝集沈降増を示す図である。 図5は比較例の液処理装置を示す構成図である。
以下、図面を参照して、第一実施形態の液処理装置12について説明する。
図1に示すように、液処理装置12は、原液槽14、希釈槽16、遠心分離装置18、貯留槽20、及び凝集沈降槽22を有する。
原液槽14には、原液配管24が接続されており、処理原液が、液処理装置12の外部から、一時的に原液槽14に導入されて貯留される。処理原液は、水等の液体中に、微細(粒径が概ね0.05μm以上20μm以下)の粉粒物が含まれている。粉粒物としては、シリコン基板の製造過程で生じた基板の研磨粉等を例示できるが、これに限定されない。液処理装置12では、このような微細粉粒物を含む被処理液であっても、被処理液から微細粉粒物を除去できる。もちろん、液処理装置12で除去可能な粉粒物の粒径は上記に限定されず、これより大径の粉粒物であっても除去可能である。
なお、処理原液は、液処理装置12に導入される前段階では、たとえばセラミックフィルターや中空糸型フィルター等を用いて、粉粒物の濃度が高められていてもよい。
本実施形態では、原液槽14の内部に、気泡として気体を噴出する散気管が設けられており、貯留された処理原液が曝気される。気泡が上昇することで処理原液が撹拌されるので、粉粒物が原液槽14内に堆積しない。しかも、シリコン微粒子の粉粒物の場合には、処理原液中に溶解した溶存酸素により、粉粒物の表面が酸化処理され、凝集性が向上する。
原液槽14と希釈槽16とは、原液配管26で接続されている。原液槽14に貯留された処理原液は、原液配管26を通じて希釈槽16に送液される。
原液槽14には、液位を検出する図示しない液位センサが設けられている。そして、貯留された処理原液の液位が所定の高さに達すると、同じく図示しないポンプが駆動されて、処理原液が希釈槽16に送られるようになっている。
希釈槽16の上面は開放された凝集体導入口である。凝集体導入口には、後述する排出配管54の下端(図4参照)が位置している。
希釈槽16と遠心分離装置18とは、対象液配管28で接続されている。希釈槽16の内部では、後述するように、凝集体が、希釈液としての処理原液で希釈されて分離対象液が生成される。分離対象液は、対象液配管28を通じて、遠心分離装置18に送液される。
本実施形態では、希釈槽16の内部に、原液槽14の内部と同様に、気体を噴出する散気管が設けられている。これにより、希釈槽16の内部においても、分離対象液中の粒子(詳細は後述する)の堆積が抑制される。また、シリコン微粒子の粉粒物の場合には、粒子の表面が酸化処理され、凝集性が向上する。
さらに、希釈槽16の内部には、ポンプが設けられている。このポンプの駆動により、希釈槽16の内部の液体の循環や、外部への送出が可能である。
希釈槽16には、液位を検出する図示しない液位センサが設けられている。貯留された分離対象液の液位が所定の高さに達すると、上記のポンプが駆動されて、分離対象液が遠心分離装置18に送られる。
遠心分離装置18は、内部の液体に遠心力を作用させることで、液体に含まれる成分の比重や粒径に応じて、成分を分離する装置である。本実施形態では、分離対象液から、この分離対象液に含まれる凝集体を遠心力により分離することが可能である。
本実施形態の遠心分離装置18は回転ローターを備えており、この回転ローターの回転により、貯留された液体に遠心力を作用させることができる。遠心分離装置18の駆動により、分離対象液中の粒子が回転ローターの表面に付着しスラッジとして堆積される。回転ローターの表面に堆積したスラッジは、遠心分離装置18の停止中に掻き取ることができる。たとえば、遠心分離装置18の下方に廃棄箱を設けておき、回転ローターから剥離した掻き取りスラッジを廃棄箱に投下する構成を採り得る。
遠心分離装置18と凝集沈降槽22とは、途中の貯留槽20を介して、残液配管30で接続されている。残液配管30は、残液移送経路の一例である。
残液配管30において、遠心分離装置18と貯留槽20の間の位置(分岐部30D)からは、希釈槽16に接続される分岐配管32が分岐されている。
分岐部30Dには、遠心分離装置18から分離残液が導入される導入先を、貯留槽20と希釈槽16のいずれか一方に切り替える切替弁34が設けられている。分離残液は、凝集沈降槽22へは被処理液として送られる。
貯留槽20は、遠心分離装置18で生成された分離残液を、一時的に貯留する槽である。
貯留槽20には、液位を検出する図示しない液位センサが設けられている。貯留された分離残液の液位が所定の高さに達すると、同じく図示しないポンプが駆動されて、分離残液が被処理液として凝集沈降槽22に送られるようになっている。
切替弁34において、遠心分離装置18から分離残液が導入される導入先を希釈槽16とした場合には、分離残液が希釈槽16に貯留される。
図4に示すように、凝集沈降槽22は、円筒状(又は角筒状)の上槽36と、この上槽36と連続し下方に向けて次第に小径となる円錐状(又は角錐状)の下槽38と、を有している。凝集沈降槽22は、希釈槽16の上方に位置している。
上槽36の内部には羽根車40が配置されている。モータ42の回転力で羽根車40を回転させることで、凝集沈降槽22の内部の液体を撹拌できる。
凝集沈降槽22には、凝集剤投入部材44が設けられている。凝集剤投入部材44からは、定められた量の凝集剤を投入することができる。凝集剤は、凝集沈降槽22の内部に収容された被処理液中の粉粒物を凝集させて、粉粒物よりも大径の粒子(凝集体粒子)を生成し、ゲル状の凝集体F−1を生成する。ここでいう「ゲル状」とは、大量の被処理水、もしくは市水・工水で希釈しても再溶解等により均質の状態にならない紛粒物の凝集(沈殿)状態を指す。凝集体F−1は、凝集沈降槽22の下槽38に沈降し、堆積される。下槽38は、予測される凝集体F−1の生成量よりも大きな容積を有している。生成された凝集体F−1が凝集沈降槽22内で沈降して堆積されても、凝集体の一部が下槽38の上端以上に達することはない。すなわち、被処理液から凝集体F−1が凝集され沈降された後には、上槽36には上澄液L−1が存在している。
凝集剤としては、このように、被処理液中の粉粒物を凝集させて凝集体粒子を生成できれば特に限定されず、一般的な市販の凝集剤が適用可能で、紛体状、液体状の凝集剤が適用可能である。また、有機系、無機系のいずれの凝集剤も適用可能である。また、凝集剤と合わせて、珪藻土等の凝集補助剤等を併用することも可能である。本実施形態では、ゼオライトを主体とする粉体凝集剤を用いている。このような粉体凝集剤は粉体であるため、液体状の凝集剤と比較して取り扱いが容易であり、凝集剤投入部材44の供給システム及び構造を簡素化できる。
上槽36の側面には、下槽38に近い位置に、放流配管46の一端が接続されている。放流配管46には開閉弁48が設けられており、開閉弁48を開弁することで、上槽36内の液体を外部に放流することができる。
本実施形態では、開閉弁48は、流量を調整可能な流量調整弁が用いられている。たとえば、上槽36の液体の水頭が高い場合には、放流配管46での流速が速くなり、上槽36の液体内に乱流が発生して、下槽38に沈降されている凝集体F−1が巻き込まれ流出するおそれがある。開閉弁48として流量調整弁を設けて流量を制限することで、放流配管46での流速を遅くし、凝集体F−1の巻き込みを抑制できる。流量調整弁の種類は限定されず、ボール弁であってもバタフライ弁であってもよい。また、放流配管46を開閉する機能と流量を制限する機能とが1つの開閉弁48で実現されている必要はなく、たとえば、単に放流配管46を開閉する開閉弁と、放流配管46の一部において内径を小さくした部位(たとえばオリフィス)等との組み合わせでもよい。
下槽38の下端には、排出口50が設けられている。排出口50は、開閉弁56で開閉されるようになっており、開閉弁56の開弁状態では、下槽38内に沈降した凝集体F−1が重力で希釈槽16に落下する。これに対し、開閉弁56の閉弁状態では、排出口50からの液体及び凝集体の排出(漏出)が阻止される。排出口50には、排出配管54の上端が接続されている。排出配管54は鉛直方向(上下方向)に延在されており、下端は希釈槽16の上方(凝集体導入口)で開放されている。
次に、本実施形態の液処理装置12の作用、及び液分離方法について説明する。
凝集沈降槽22の通常状態では、下槽38の開閉弁56が閉弁状態にあり、排出口50を閉塞している。
凝集沈降槽22では、収容された被処理液に対し、凝集剤投入部材44によって凝集剤が投入される。これにより、被処理液に含まれる粉粒物が凝集されて凝集体粒子P−1(図2参照)が生成される。そして、凝集体粒子P−1が下槽38に凝集体F−1として沈降される。凝集体F−1は、凝集体粒子P−1が三次元網目構造に繋がったゲル状であり、ゼリー強度が1g/cm以上400g/cm以下である。凝集体粒子P−1の粒径や比重は、粉粒物の種類や凝集の程度によって異なるが、粉粒物よりも粒径は大きく、かつ比重も大きい。
凝集沈降槽22に貯留されている被処理液は、遠心分離装置18によって粉粒物の一部が分離された状態の液である。したがって、遠心分離で除去された粉粒体の重量分だけ凝集体の重量が減少するので、沈降された凝集体F−1の汚泥界面(上面)が低くなる。これにより、良好な固液分離処理が可能になる。
一般的に、濃厚粉粒体排水について通常の凝集沈降処理を単独で実施する場合、多量の凝集剤の添加が必要になり、それと共に、生成した凝集体量が多量になるため、汚泥界面は高くなり、上澄み水は極少量しか確保出来ないことが多い。このような場合、固液分離処理は不十分になり、廃棄物容量を低減することが困難になる。
これに対し、上記した処理様式により良好な凝集沈降処理を行い、汚泥界面を低く維持する場合、固液分離が良好に行われる。併せて、濃厚懸濁物排水を単独で凝集沈降処理した際と比べて、凝集剤の使用量を大きく減らすことが可能である。
この傾向は、粉粒体の濃度が高くなるほど大きくなる。
このように被処理液から凝集体F−1が凝集され沈降された後には、上槽36には上澄液L−1が存在している。上澄液は、粉粒物の濃度が、被処理液よりも低い液体である。放流配管46に開閉弁48を開弁することで、この上澄液を廃液として、凝集沈降槽22の外部に排出することができる。
凝集沈降槽22の下槽38に設けられた開閉弁56を開弁状態にすると、下槽38に沈降された凝集体F−1が、重力によって排出口50から排出されて希釈槽16に移動する。本実施形態では、希釈槽16の上面の開放部分(凝集体導入口)は、凝集沈降槽22の排出口50の下方に位置している。したがって、重力により単に落下させるだけで凝集体F−1を凝集沈降槽22から希釈槽16に移動させることができる。特に本実施形態では、排出配管54が設けられているので、凝集体F−1を凝集沈降槽22の排出口50から、希釈槽16へ確実に案内することができる。
なお、希釈槽16の上面の開放部分は、凝集沈降槽22の排出口50の斜め下方に位置していても、重力により、凝集体を凝集沈降槽22から希釈槽16に移動させることができる。この場合には、上記した排出配管54や、凝集体が滑り降りる滑り台等の移動経路を設けて、凝集体F−1を凝集沈降槽22の排出口50から、希釈槽16へ案内できる構造とすればよい。
ここで、希釈槽16では、原液槽14から送られた処理原液が、希釈液として希釈槽16に導入されて凝集体と混合される。この点で、希釈槽16は混合槽でもある。
希釈槽16では、このように凝集体F−1が処理原液で希釈されて、流動性を有する分離対象液が生成される。
また、希釈槽16内には、凝集沈降槽22で投与された凝集剤の一部が残留分として送られている。図3に示すように、凝集体F−1を構成している凝集体粒子P−1が核となり、凝集剤の残留分によって、凝集体粒子P−1の周囲に存在している処理原液中の粉粒物P−2の一部が凝集体粒子P−1の表面に付着する。このように処理原液中の粉粒物P−2が凝集体粒子P−1に付着することで、粉粒物の除去性が向上する。したがって、希釈槽16では、処理原液を希釈液として希釈槽16に投入することで、凝集剤投入等の特段の操作なく、処理原液中の粉粒物P−2を凝集させた分離対象液を得ることができる。そして、凝集体F−1の希釈に処理原液を用いているので、処理原液とは異なる液体をあらたに希釈液として投入する必要がなく、効率的に分離対象液を生成できる。
特に、本実施形態では、凝集体F−1は三次元網目構造のゲル状である。このため、たとえば凝集体が直鎖状或いは面状である場合と比較して、処理原液中の粉粒物P−2を効果的に凝集体粒子P−1の表面に付着させ、凝集体F−1に取り込むことができる。
希釈槽16で生成された分離対象液は、対象液配管28により、遠心分離装置18に送られる。分離対象液は、十分な流動性を有するので、対象液配管28の内径を極度に大径化しなくても、遠心分離装置18に送ることができる。
遠心分離装置18では、分離対象液に遠心力を作用させ、分離対象液から凝集体粒子P−1を分離する。凝集体粒子P−1は、粉粒物P−2を含んでいるので、実質的に、遠心分離装置18では、分離対象液から、当初は被処理液(さらに遡れば処理原液)に含まれていた粉粒物P−2の一部を吸着分離し、廃棄固形物を生成する。
本実施形態では、遠心分離装置18における分離対象である分離対象液は、ゲル状の凝集体F−1(図4参照)と希釈液と、から生成されている。この凝集体F−1を構成する凝集体粒子P−1の粒径は、被処理液(あるいは処理原液)に含まれていた粉粒物P−2の粒径よりも大きい。このように、粒径の大きい凝集体粒子P−1を生成することで、遠心分離装置18による廃棄固形粒の分離を確実に行える。遠心分離装置18では、廃棄固形物は、回転ローターにスラッジとして付着する。スラッジは、回転ローターから容易に掻き取り除去され、固形廃棄物として廃棄できる。
スラッジは、脱水処理により、たとえば、液処理装置12によって処理される前の処理原液と比較して、体積が小さい。具体的な減容率は、処理原液中の粉流物の種類や、遠心分離装置18の分離性能等にもよるが、たとえば、液処理装置12によって処理される前の処理原液の容積に対して5%程度に減容することが可能である。これにより、処理原液をそのまま液体として廃棄する場合と比較して、スラッジを廃棄する際の廃棄コストが低く抑えられる。
特に、本実施形態では、遠心分離装置18に分離対象液を導入する前段階で、処理原液に含まれる粉粒物P−2よりも粒径の大きな凝集体粒子P−1を生成している。このため、遠心分離装置18の小型化を図ると共に、たとえば、3000rpm程度の低回転の遠心分離装置18であっても十分に脱水でき、含水率の低い廃棄固形物を得られる。また、凝集沈降槽22から得られた上澄液は、粉粒物の濃度や充分に低く、そのまま排水することが可能である程度に良好な液質となっている。
ここで、図5には、比較例の液処理装置92が示されている。比較例の液処理装置92では、第一実施形態の凝集沈降槽22に代えて、膜分離装置94が設けられている。膜分離装置94の内部には、分離膜(フィルター)が備えられている。遠心分離装置18で生成された分離残液は、膜分離装置94に導入され、分離膜に接触された状態で加圧される。これにより、分離残液中の粉粒物は、分離膜を通過する粉粒物(液体分子も通過する)と、分離膜を通過できない粉粒物とに分離される。そして、膜分離装置94による濾過水が外部に放流され、濃縮水は希釈槽16に送られる。膜分離装置94によって分離膜を通過できる最大粒径は、分離膜の構造や厚み等によるが、たとえば、粒径0.08μm程度である。すなわち、膜分離装置94では、分離対象液から、概ね粒径0.08μm以上の粉粒物を分離できる。
これに対し、遠心分離装置18では、構造や特性にもよるが、たとえば、粒径0.4μm未満の粉粒物の除去は難しいことが多い。
したがって、比較例の液処理装置92では、概ね粒径0.4μm以上の粉粒物は遠心分離装置18で除去される。粒径0.08μm以上0.4μm以下の粉粒物は遠心分離器装置18では除去されず、濃縮水に残留するため、液処理装置92内を循環し濃縮されていく。その結果、膜分離装置94に次第に粉粒物が付着して目詰まりが生じることになる。すなわち、比較例の液処理装置92では、膜分離装置94を用いているので、処理を繰り返すと除去性能が低下するおそれがあり、また、定期的なメンテナンスが必要である。
本願第一実施形態の液処理装置12では、概ね粒径0.4μm以上の粉粒物P−2は、凝集体粒子P−1となっていれば、遠心分離装置18で除去できる。除去できなかった比較的小径の粉粒物P−2は、凝集沈降槽22において凝集され、凝集体粒子P−1に凝集されて凝集体F−1を構成する。そして、凝集体F−1が、希釈槽16において希釈・細断化され、形成された粉粒物(凝集体粒子P−1)を遠心分離装置18で分離することで、あらためて、分流物P−2を(凝集体粒子P−1に凝集した状態で)除去できる。
このように、本願第一実施形態の液処理装置12では、遠心分離装置18での除去が難しい比較的小径の粉粒物P−2も、凝集沈降槽22において粒径の大きい凝集体粒子P−1に凝集することで、遠心分離装置18であらためて除去可能である。比較例の液処理装置92と異なり、膜分離装置を用いないので、処理を繰り返しても除去性能を維持でき、しかも、分離膜の洗浄や交換等のメンテナンスは不要である。
特に、本実施形態では、凝集沈降槽22で生成された凝集体F−1を、希釈槽16で希釈・細断化している。これにより、凝集体F−1を、遠心分離装置18において遠心分離して凝集体粒子P−1(粉粒物P−2が含まれる)を除去できる。
なお、遠心分離装置18で生成された分離残液は、切替弁34を希釈槽16側へ切り替えることで、希釈槽16に送られるようにすることも可能である。たとえば、遠心分離装置18に導入された分離対象液中において、凝集体粒子P−1の濃度が高く、1回の遠心分離動作において、多量の凝集体粒子P−1が回転ローター等に付着した場合等には、除去しきれなかった凝集体粒子P−1が分離残液中に残存する場合がある。
この場合には、遠心分離装置18内の分離残液を希釈槽16に送る(一時的に戻す)と共に遠心分離装置18の動作を止め、回転ローターに付着した凝集体粒子P−1の塊りをスラッジとして除去する。そして、遠心分離装置18も動作を再開し、希釈槽16に戻した分離残液を、あらためて分離対象液として遠心分離装置18に送ることで、分離対象液から凝集体粒子P−1を遠心分離できる。すなわち、遠心分離装置18と希釈槽16との間で、分離対象液(分離残液)を循環させることで、遠心分離装置18による遠心分離を複数回行って、より確実に凝集体粒子P−1を分離対象液から分離・除去することが可能である。
このように、遠心分離装置18と希釈槽16との間で分離対象液を循環させる場合、たとえば、希釈槽16に貯留されている分離対象液の全量を遠心分離装置18との間で循環させず、一部のみ(たとえば全量の60%程度)を遠心分離装置18に分離対象液として送ってもよい。ここで、希釈槽16に貯留されている分離対象液の全てを遠心分離装置18に送って循環される場合を、1パスと定義する。たとえば、希釈槽16に貯留されている分離対象液の60%の量を循環させる場合には、0.6パスである(この場合、遠心分離装置18から希釈槽16に分離残液が戻ると、戻った分離残液と希釈槽16に残っていた分離対象液とが混合される)。また、たとえば、1回の分離処理で、希釈槽16に貯留された分離対象液の全量を遠心分離装置18に送って循環させ、この循環サイクルを3回繰り返す場合は、3パスとなる。
遠心分離装置18の回転ローターに付着したスラッジを除去する周期は、分離対象液の1パスごとである必要はない。すなわち、希釈槽16と遠心分離装置18との間で分離対象液(分離残液)を複数回(たとえば3パス)循環させた後に、遠心分離装置18の動作を止め、回転ローターに付着したスラッジを除去してもよいし、0.6パス循環させた後でもよい。パス数は、回転ローターの付着可能なスラッジ量により、設定する。
このようにスラッジを除去する作業を行う単位を1バッチと定義する。あくまで一例であるが、被処理液に対する処理完了まで4バッチを行い、
1バッチ目:0.6パス
2バッチ目:1パス
3バッチ目:1パス
4バッチ目:3パス
のように各バッチのパス数を設定する。
遠心分離装置18で生成された分離残液の粉粒物濃度は、処理原液の粉粒物濃度よりも低い。希釈槽16では、希釈液として用いられる処理原液と、分離残液の量を調整することで、生成される分離対象液の粉粒物濃度を調整することが可能である。
上記は、切替弁34を希釈槽16側へ切り替えた場合であるが、切替弁34を凝集沈降槽22側へ切り替えれば、遠心分離装置18で生成された分離残液を、凝集沈降槽22へ送ることができる。本実施形態では、切替弁34と凝集沈降槽22との間に貯留槽20が設けられているので、分離残液は、貯留槽に一時的に貯留される。そして、貯留槽20において、分離残液の液位が一定液位に達すると、図示しないポンプの駆動により、分離残液が被処理液として凝集沈降槽22に送られる。
このように、遠心分離装置18と凝集沈降槽22の間に貯留槽20を設けたことで、遠心分離装置18で生成された分離残液の量が多い場合でも、分離残液を貯留槽20に一時的に貯留できる。これにより、凝集沈降槽22を小型化できる。
上記実施形態において、凝集沈降槽22に投入する(被処理液に添加する)凝集剤の種類は、凝集対象である粉粒物の種類や、被処理液中における粉粒物の濃度等に応じて設定する。
凝集剤の投入量(添加量)も、粉粒物を凝集させることが可能な投入量であれば限定されない。たとえば、凝集剤添加濃度として、以下に示す表1の各実施例の濃度とすることが可能である。この凝集剤添加濃度とは、凝集剤添加後の被処理液全体に占める凝集剤の重量濃度(表1では百万分率(ppm)で表示している)である。

上記の表1において、「凝集剤添加濃度」は、凝集沈降槽22に貯留された液体(凝集剤が添加された状態の被処理液)に対する凝集剤の濃度である。凝集沈降槽22に貯留された液体の液量(重量)は、たとえば被処理液の液位を検出する液位センサの検出値から推定できる。凝集剤の添加量は、たとえば、凝集剤投入部材44によって設定した値を用いることができる。
同じく表1において、「凝集体の濁質物濃度」とは、凝集体が、凝集体粒子の他に(粉体)凝集剤も含めた各種の異物を含んでいるため、凝集体の全体における、これら凝集体粒子及び異物を合わせた濃度を意味する。
また、「上澄液の粉粒物濃度」とは、凝集沈降槽22において、凝集沈降処理が終了し、槽外へ排出された時点での、上澄液中の粉粒物の含有濃度である。
表1における「評価」は、具体的には以下である。
A:凝集沈降槽22では、粉粒物が確実に凝集・沈降して凝集体が生成され、上澄液に濁質はほとんど残留しなかった。遠心分離装置18では、分離対象液から粉粒物を確実に分離してスラッジを掻き取ることができた。この時、凝集体のゼリー強度は、10〜100g/cmの範囲であった。
B:凝集沈降槽22では、粉粒物の一部が凝集せず、上澄液に濁質が残留したため放流できない状態となった。遠心分離装置18では、1回の分離処理(1パス)当たりで分離対象液から分離できる粉粒物の量がAの場合よりも少なくなり、分離残液に粉粒物が残留した。凝集体の生成不良のため、含水率が多くなり、そのため、評価Aの場合と比較して、運転1バッチ当たりのパス数、すなわち遠心分離装置18でのスラッジの掻き取り回数が増加した。この時、凝集体のゼリー強度は、1〜9g/cmであった。
C:凝集沈降槽22では、粉粒粒が確実に凝集・沈降し、上澄液に濁質は残留しなかった。しかし、生成された凝集体における粉粒物の濃度(あるいは凝集体の粘度)が過度に高くなったため、遠心分離装置18で粉粒物を確実に分離可能とするための希釈液として、処理原液に加え、市水等を追加供給する必要が生じた。この時、凝集体のゼリー強度は、200〜400g/cmであった。
なお、凝集沈降槽22への凝集剤の添加は、短時間にまとめて行うのではなく、一定の時間内で連続して均等に行うことが、被処理液において偏りなく粉粒物を凝集させることができる点で好ましい。実際には、たとえば、凝集沈降槽22が一定液位になり、羽根車40の回転開始から30秒程度後に凝集剤の添加を開始する。そして、凝集剤の添加開始から30秒程度後から、凝集反応が開始され、6〜8分で全体的な凝集反応が終了する。したがって、凝集剤の添加は、たとえば3〜5分の間で連続的に行うことが好ましい。
凝集沈降槽22において凝集沈降処理を行う場合は、羽根車40を回転させることで被処理液を撹拌するが、この撹拌時間は、過度に長くしないことが好ましい。たとえば、粉粒物の粒径、凝集剤の種類、羽根車40の回転速度等にも依存するが、10分以上撹拌すると、生成された凝集体粒子P−1(図2参照)を破砕するおおそれがある。したがって、回転速度は、60〜120rpm、撹拌時間は10分以内とすることが好ましい。
凝集体の強度としは、ゼリー強度(ブルーム値)が、1g/cm以上400g/cm以下であることが好ましく、10〜200g/cmのゼリー強度がより好ましい。ゼリー強度が1g/cm未満である場合、希釈槽で凝集体が粉砕されて小径化されてしまい、遠心分離装置18で確実に遠心分離できない可能性がある。また、ゼリー強度が400g/cmを超えている場合、流動性を有さず、細断化も難しい。また、希釈槽16において、凝集体による処理原液中の紛粒物の取り込みがしにくくなるため、希釈槽16で、小径の粉粒物が残存してしまう可能性がある。なお、ゼリー強度は、JIS K6503に規定された方法で測定可能であるが、凝集体P−1の大きさ、強度のばらつきが考えらえるので、複数回、好ましくは10回あるいはそれ以上測定し、その平均値をもって測定値とする。
本願では、さらに、以下の付記を開示する。
(付記1)
粉粒物を含む被処理液から、前記粉粒物を遠心力で分離する遠心分離装置と、
前記遠心分離装置で前記粉粒物の一部が分離された分離残液を収容し、前記分離残液に残留する前記粉粒物を凝集剤によって凝集させて沈降させゲル状の凝集体を生成する凝集沈降槽と、
を有する液処理装置。
(付記2)
被処理液を収容し、前記被処理液に含まれる粉粒物を凝集剤によって凝集させて沈降させゲル状の凝集体を生成する凝集沈降槽と、
前記凝集体を収容し前記凝集体を前記凝集沈降槽で前記粉粒物が凝集されていない状態の処理原液と混合して分離対象液を生成する希釈槽(混合槽)と、
前記分離対象液から前記粉粒物を遠心力で分離する遠心分離装置と、
を有する液処理装置。
付記1記載の液処理装置では、遠心分離装置により、被処理液から粉粒物が分離された状態の分離残液が、凝集沈降槽に収容される。そして、凝集沈降増では、分離残液に残留する粉粒物を凝集剤によって凝集させて沈降させる。このとき、分離残液では、粉粒物の一部が遠心分離装置で分離されているので、沈降された粉粒物の汚泥界面(上面)が低くなる。凝集沈降槽の大型化を抑制しつつ、粉粒物を凝集させて沈降させたい、という課題に対し、この課題を解決できる。
付記2記載の液処理装置では、凝集体と処理原液とが、混合槽で混合される。処理原液中の粉粒物は、凝集体を構成する凝集体粒子が核となり、凝集体粒子の周囲に存在している処理原液中の粉粒物の一部が凝集体粒子の表面に付着する。混合槽では、処理原液を希釈液として混合槽に投入することで、凝集剤投入等の特段の操作なく、処理原液中の粉粒物を凝集させた分離対象液を得ることができる。凝集体の希釈に処理原液を用いているので、処理原液とは異なる液体をあらたに希釈液として投入する必要がない。効率的に分離対象液を生成したいという課題に対し、この課題を解決できる。
12 液処理装置
14 原液槽
16 希釈槽
18 遠心分離装置
20 貯留槽
22 凝集沈降槽
24 原液配管
26 原液配管
28 対象液配管
30 残液配管
30D 分岐部
32 分岐配管
34 切替弁
36 上槽
38 下槽
40 羽根車
42 モータ
44 凝集剤投入部材
46 放流配管
48 開閉弁
50 排出口
54 排出配管
56 開閉弁
F−1 凝集体
L−1 上澄液
P−1 凝集体粒子
P−2 粉粒物

Claims (10)

  1. 被処理液を収容し、前記被処理液に含まれる粉粒物を凝集剤によって凝集させて沈降させゲル状の凝集体を生成する凝集沈降槽と、
    前記凝集体を収容し前記凝集体を希釈液により希釈して分離対象液を生成する希釈槽と、
    前記分離対象液から前記粉粒物を遠心力で分離する遠心分離装置と、
    を有する液処理装置。
  2. 前記希釈槽において前記凝集体が導入される凝集体導入口が、前記凝集沈降槽において前記凝集体が排出される排出口よりも下側にある請求項1に記載の液処理装置。
  3. 前記粉粒物が凝集されていない状態の処理原液を、前記希釈液として前記希釈槽に導入する原液導入部材を有する請求項1又は請求項2に記載の液処理装置。
  4. 前記遠心分離装置と前記凝集沈降槽とを連通し、前記遠心分離装置で前記分離対象液から前記粉粒物が分離された後の分離残液を前記被処理液として前記凝集沈降槽に移送する残液移送経路を有する請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の液処理装置。
  5. 前記残液移送経路から分岐部により分岐し、前記分離残液を前記希釈槽に導入する分岐経路と、
    前記分岐部に設けられ前記分離残液の導入先を前記凝集沈降槽と前記希釈槽のいずれか一方に切り替える切替弁と、
    を有する請求項4に記載の液処理装置。
  6. 前記残液移送経路に設けられ前記分離残液を貯留する貯留槽を有する請求項5に記載の液処理装置。
  7. 被処理液に含まれる粉粒物を凝集剤によって凝集させて沈降させゲル状の凝集体を生成し、
    前記凝集体を希釈液により希釈して分離対象液を生成し、
    前記分離対象液から前記粉粒物を遠心分離装置により遠心力で分離する、
    液処理方法。
  8. 前記凝集体を前記希釈液で希釈して前記分離対象液を生成する希釈槽へ、重力により前記凝集体を移動させる請求項7に記載の液処理方法。
  9. 前記希釈液として、前記粉粒物が分離及び凝集されていない状態の処理原液を用いる請求項7又は請求項8に記載の液処理方法。
  10. 前記遠心分離装置で前記分離対象液から前記粉粒物が分離された後の分離残液を前記被処理液として凝集沈降槽に移送する請求項7〜請求項9のいずれか1項に記載の液処理方法。
JP2019145358A 2019-08-07 2019-08-07 液処理装置及び液処理方法 Pending JP2021023895A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2019145358A JP2021023895A (ja) 2019-08-07 2019-08-07 液処理装置及び液処理方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2019145358A JP2021023895A (ja) 2019-08-07 2019-08-07 液処理装置及び液処理方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2021023895A true JP2021023895A (ja) 2021-02-22

Family

ID=74662639

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2019145358A Pending JP2021023895A (ja) 2019-08-07 2019-08-07 液処理装置及び液処理方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2021023895A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5571341B2 (ja) 水処理システム及び水処理方法
EP0330582B1 (fr) Procédé et installation de traitement d'eau par décantation faisant intervenir du sable fin
JP4869393B2 (ja) 固形物分離システム
JP2004512937A (ja) 水及び汚水を処理する方法及び装置
RU2523819C2 (ru) Система обработки воды с балластной флоккуляцией и седиментацией, с упрощенной рециркуляцией осадка и соответствующий ей способ
CN109019791A (zh) 水处理系统
JP2013022503A (ja) 汚濁水処理システム及び汚濁水処理方法
CN101219850A (zh) 囊内脱水技术处理蓝藻浆的工艺
JP4043710B2 (ja) 水処理方法及び同方法を用いる水処理装置
KR960001399B1 (ko) 수처리 장치
JP2021023895A (ja) 液処理装置及び液処理方法
JP2002239306A (ja) 凝集体生成装置、固液分離装置及び排水処理方法
JP4535419B2 (ja) 凝集沈澱装置
CN115504607A (zh) 一种基于微砂辅助混凝沉淀水处理机构及处理工艺
WO2021124720A1 (ja) 液処理方法、液処理装置、凝集体生成方法及び凝集体生成装置
JPS63182009A (ja) 汚泥水等原水の固液分離装置
CN210419615U (zh) 一种磁粉污泥分离结构及污水沉降系统
CN209778423U (zh) 高效絮凝沉降净水设备
KR101081128B1 (ko) 음용 원수 및 폐수내의 입자상 고형물질 고속 침전 처리방법
JPH0985120A (ja) 遠心分離機による分別処理方法
CN111233291A (zh) 一种清淤脱水干化工程中的底泥处理方法及系统
JP4202924B2 (ja) 原水の浮上分離処理方法及び浮上分離処理システム
CN220951363U (zh) 一种带活性炭投加机构的高效沉淀池
JP2011098325A (ja) 懸濁水の浄化装置
JP2568729B2 (ja) 汚水処理装置