JP2013022503A - 汚濁水処理システム及び汚濁水処理方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】凝集分離処理装置1と高分子凝集剤溶解供給装置2とを備え、凝集分離処理装置1が、汚濁水と無機凝集剤溶液を撹拌することで凝集フロックを形成するとともに、当該汚濁水と高分子凝集剤溶解供給装置2により生成された高分子凝集剤溶液と沈降促進材とを撹拌することで沈降性の良い凝集フロックを形成し、その凝集フロックが形成された汚濁水を沈殿分離することで、その汚濁水を沈降性の良い凝集フロック(沈殿物)と上澄水(処理水)に固液分離する。
【選択図】図1
Description
この様な公共用水域での汚濁水処理では、水量保持の観点から処理水を再度公共用水域に戻すことが一般的であり、浄水や下水の処理施設のような厳格な処理水質の基準は定められていないが、公共用水域の管理者が定める目標に適合する処理が要求される。
また、上述のように都市部に見られる公共用水域での水質汚濁は、一般に水温が高くなる春先から秋にかけて顕著であり、水温の低い時期は浄化施設を休止することがある。
さらに、春先から秋にかけた浄化施設稼働期間においても水域が水質上、景観上浄化を必要としないと判断されれば浄化施設を休止することがある。このため、薬品を用いる浄化法では、長時間使用されずに劣化した薬品により処理能力が不安定となったり、劣化した薬品を廃棄するなどの問題が生じていた。
即ち、以下の特許文献1には、アオコを捕食する微小動物が固定された担体をアオコ分解槽に充填することで、アオコ分解槽内の汚濁水に含まれているアオコを捕食して、汚濁水を処理している浄化方法が開示されている。
ただし、ろ布に付着しているアオコは、そのままの状態で放置すると増殖するため、この汚濁水処理システムでは、定期的に薬品を用いて、ろ布に付着しているアオコを洗浄して、ろ布からアオコを取り除くようにしている。
図1はこの発明の実施の形態1による汚濁水処理システムを示す構成図である。
図1の汚濁水処理システムは、主に凝集分離処理装置1と高分子凝集剤溶解供給装置2から構成されている。
凝集分離処理装置1は、無機凝集剤溶液タンク内に貯留されている無機凝集剤溶液が無機凝集剤供給ポンプによって注入され、汚濁水ポンプにより導入された汚濁水と当該無機凝集剤溶液を急速に撹拌することで微細な塊(マイクロフロック)を形成する急速撹拌槽11と、マイクロフロックが形成された汚濁水と沈降促進剤を撹拌する注入撹拌タンク12Aと注入撹拌タンク12Aにより沈降促進剤が注入された汚濁水と高分子凝集剤溶解供給装置2から供給される高分子凝集剤溶液を緩速撹拌(急速撹拌槽11の撹拌羽根の周速の50%から85%の周速で撹拌)することで沈降性の良い凝集フロックを形成する緩速撹拌タンク12Bとからなるフロック形成槽12と、フロック形成槽12の緩速撹拌タンク12Bにより沈降性の良い凝集フロックが形成された汚濁水を沈殿分離することで、その汚濁水を沈降性の良い凝集フロック(沈殿物)と上澄水(処理水)に固液分離する固液分離槽13と、固液分離槽13により固液分離された沈殿物をサイクロン15に送る循環ポンプ14と、循環ポンプ14により送られた沈殿物を泥状物と沈降促進剤に遠心分離して、その泥状物を下水道等に放流する一方、その沈降促進剤をフロック形成槽12の注入撹拌タンク12Aに注入するサイクロン15とから構成されている。
高分子凝集剤溶解機23は、上記のように構成されているが、さらに詳述すると、筒状容器24は両端にフランジ部24A,24Bを有しており、そのフランジ部24A,24Bにシール部材(図示せず)を介してフランジ蓋51A,51Bがボルト・ナット52A,52Bにより固着されている。
一方のフランジ蓋51Aに設けられた凝集剤溶液流入口51Cに凝集剤溶液移送管(圧送ポンプ22が挿入されている配管)の流出側が接続されている。
また、筒状容器24の内周面には、円筒スクリーン25の保持部材を兼ねた円環状の左右一対の仕切部材53A,53Bが設けられており、これらの仕切部材53A,53Bに円筒スクリーン25の両端が支持されている。
これにより、圧送ポンプ22の圧送力によって凝集剤溶液流入口51Cから一次室54Aに流入した高分子凝集剤溶液を円筒スクリーン25でろ過して二次室54B側に流出させるようになっている。
このとき、高分子凝集剤溶液中の未溶解粒は、円筒スクリーン25を通過できずに一次室54A側のスクリーン面に付着する。
駆動軸28Aには、該駆動軸28Aと同軸で一体回転する左右一対の保持部材27A,27Bが設けられ、保持部材27A,27B間に跨って、駆動軸28Aに平行する複数個(図2では4個)の押圧部材26が軸支されている。
これらの押圧部材26は、駆動軸28Aの回転によって円筒スクリーン25の内周面に沿って周回し、円筒スクリーン25の内面に付着した未溶解粒を円筒スクリーン25の内面との間で押圧して、溶解処理するようになっている。
なお、保持部材27A,27Bと押圧部材26との構成であるが、押圧部材26が円筒スクリーン25の内面を接触状態で移動するように構成してもよいが、この場合、押圧部材26等の磨耗が早まる恐れがある。そのため、高分子凝集剤溶液が円筒スクリーン25でスクリーンろ過される際に未溶解粒が堆積していくことで円筒スクリーン25の内面に薄膜が形成されてくるので、押圧部材26が、その薄膜を押圧可能な程度に円筒スクリーン25に非接触状態で移動するように構成すると、磨耗の問題も解消できて望ましい。
駆動機28は、電動機等の動力源の回転数を減速させる減速機28Bが組み込まれており、この減速機28Bを介して駆動軸28Aに伝達されるようになっている。駆動機28の動力源が電動機の場合は、その回転数をインバータで制御することが望ましい。
円筒スクリーン25でろ過され、かつ、未溶解粒を溶解処理された二次室54B内の高分子凝集剤溶液は、圧送ポンプ22の圧送力によって、凝集剤溶液流出口24Cから流出し、高分子凝集剤供給管29を経て、フロック形成槽12の緩速撹拌タンク12Bに供給されるようになっている。
まず、揚水ポンプによって、公共用水域に設けられている取水升から汚濁水が受水槽に揚水される。
受水槽には汚濁水に含まれている葉やごみなどを取り除くスクリーンが設けられており、そのスクリーンによって葉やごみなどが取り除かれた汚濁水が、汚濁水ポンプによって凝集分離処理装置1の急速撹拌槽11に導入される。この段階で汚濁水中の浮遊物質(SS)は主にアオコの原因となる藻類などの水生小動物である。
また、凝集分離処理装置1の急速撹拌槽11には、無機凝集剤溶液タンク内に貯留されている無機凝集剤溶液が無機凝集剤供給ポンプによって注入される。
凝集分離処理装置1の急速撹拌槽11は、汚濁水ポンプにより導入された汚濁水と無機凝集剤供給ポンプにより注入された無機凝集剤溶液を急速に撹拌することで、マイクロフロックを汚濁水に形成する。
注入撹拌タンク12Aでは、マイクロフロックを含む汚濁水と沈降促進剤を撹拌(例えば、急速撹拌槽11と同程度の速度で撹拌)して、マイクロフロックを含む汚濁水と沈降促進剤を混和させて、フロック形成槽12の緩速撹拌タンク12Bに移送する。
フロック形成槽12の緩速撹拌タンク12Bには、上述したように、高分子凝集剤溶解供給装置2から高分子凝集剤溶液が供給される。
緩速撹拌タンク12Bは、注入撹拌タンク12Aにより沈降促進剤が注入された汚濁水と高分子凝集剤溶解供給装置2から供給される高分子凝集剤溶液を緩速撹拌(急速撹拌槽11よりもゆっくり撹拌)することで、マイクロフロックが沈降促進剤に付着して大型で重たい凝集フロック(すなわち、沈降性の良い凝集フロック)に成長する。
固液分離槽13により分離された上澄水は、処理水として公共用水域に戻され、沈殿物は、循環ポンプ14によってサイクロン15に送られる。
なお、固液分離槽13の槽内上部に凝集汚泥の沈降を促進させる傾斜板(沈降促進部材)を配置してもよい。また、固液分離槽13の槽底部に沈降した汚泥を掻き寄せる汚泥掻寄機を近接配置してもよい。
一方、分離した沈降促進剤については、再利用するため、フロック形成槽12の注入撹拌タンク12Aに注入する。
(1)運転条件(1日7時間の稼働)
処理水量 :10m3/時(5m3/時〜15m3/時)
固液分離槽水面負荷 :80m/時(40m/時〜120m/時)
(m/時はm3/m2/時に同じ)
循環水量 :0.5m3/時(0.3m3/時〜2m3/時)
(流入水量に対して3%〜20%を目安)
無機凝集剤 :硫酸バンド(PAC可、pH調整が必要)
上剤添加率 :10mg/L(Alとして、0〜100mg/L)
高分子凝集剤 :アニオン系ポリマー
上剤添加率 :1.0mg/L(0〜10mg/L)
(2)汚濁水性状
pH :8.3−9.2
化学的酸素要求量(COD):16.1−19.3mg/L
浮遊物質量(SS) :14.3−18.8mg/L
全窒素 :1.27−2.28mg/L
全りん :0.06−0.12mg/L
クロロフィルa :58−83μg/L
pH :7.2−7.7
化学的酸素要求量(COD):3.5−6.8mg/L
浮遊物質量(SS) :1−3.8mg/L
全窒素 :0.26−0.6mg/L
全りん :0.01−0.03mg/L
クロロフィルa :4.5−7.6μg/L
(4)泥状物性状
浮遊物質量(SS) :462−497mg/L(泥状物発生量4.3
m3/1日7時間)
図8では、1日7時間の稼働で、汚濁水処理システムを間欠的に6日間運転した場合の例を示している。
上記の実験結果及び図8から明らかなように、図1の汚濁水処理システムによれば、目詰まり等を起因とする浄化能力の低下を招くことなく、汚濁水の処理を行うことができるとともに、四季を通じて大きく変化する浄化目標に柔軟に対応しながら不連続な運転を実施しても良好な浄化性能を発揮することができる効果を奏する。また、pH調整や水循環用の設備・施設を設けるなど、大きな施設・用地を必要としない汚濁水処理システムが得られる効果を奏する。
(1)汚濁水処理システムを休止状態から運転を開始すると、運転開始後、直ちに必要な浄化能力を発揮することができる。
(2)常に80%以上のSS除去率を維持することができる。
(3)SS除去率が設定値を上回った場合、薬品注入量を調整することで設定値を維持することができるため、薬品使用量を抑えることができる。
実験では、運転当初のSS除去率が90%であったため、無機凝集剤添加率が7.5mg/L、高分子凝集剤添加率が0.75mg/Lになるように薬剤注入率を再設定しているが、3日目の測定時点で、SS除去率が80%まで低下したため、当初の薬剤注入率に戻して対応し、再度、SS除去率が90%となっている。
(4)pH調整を行うことなく確実に凝集分離ができる。
(5)高分子凝集剤を注入する直前に溶解するため、高分子凝集剤溶解液の貯留時間に比例する凝集性能の経時劣化が抑えられ、設定した添加率が常に確保される。
(6)固液分離槽の水面負荷が平均80m/時と高い処理水量を提供できるため、公共用水域の水循環率が増加し、水質の悪化が抑制される。
(7)アオコの成長に必要であり、富栄養化の指標の一部である全窒素および全りんも凝集により除去され、アオコの成長を抑制することができる。
図9はこの発明の実施の形態2による汚濁水処理システムを示す構成図である。
図9の汚濁水処理システムは、主に凝集分離処理装置1と高分子凝集剤溶解供給装置2と固液分離装置3から構成されている。
図9の汚濁水処理システムでは、図1の汚濁水処理システムに対して、サイクロン15により分離された泥状物を固液分離して、処理水と濃縮汚泥を得る固液分離装置3を備えている。
固液分離装置3は、間隔を空けた(スリット)複数枚の分離羽根を備える回転筒31、その回転筒31を回転させる駆動手段である駆動機32及び泥状物を固液分離する固液分離タンク33から構成されている。
また、図6は固液分離装置3の基本的構造を説明するための平面図であり、図7は図6の断面図である。
この実施の形態2における固液分離装置3は、サイクロン15から泥状物を受け入れる分離槽61と、分離槽61内の上部に配設されて処理水の固液分離を促進する固液分離用の回転体62と、分離槽61内の底部に配設されており、底部の中心部に対して沈降汚泥を掻き寄せる渦巻状回転板63と、回転体62と渦巻状回転板63を一体的に同時回転駆動する駆動機64とから主要部が構成されている。
固液分離槽13の駆動機64は、回転体62と渦巻状回転板63を一体的に同時回転駆動するものであるが、汚泥を回転分離できればよく、一体的に回転駆動するものに限るものではない。また、駆動機64が複数台あってもよい。
分離槽61は、直径が異なる形状(大径頭部61A、中間段差壁部61B、小径筒部61C)を有しているが、大径筒部61Aと、中間段差壁部61Bと、小径筒部61Cは、直径が異ならなくても、一部の筒部、例えば、大径筒部61Aと中間段差壁部61Bが同じ直径であっても、中間段差壁部61Bと小径筒部61Cが同じ直径であっても、汚泥の分離濃縮が行えれば、これに限定するものではない。
このような分離槽61の上端部外周には、大径筒部61Aの上端開口から分離液(処理水)をオーバーフローにより流出させる集水樋状の分離液排出水路65が設けられ、この分離液排出水路65の側部には、分離液排出口66が設けられている。また、分離槽61の底壁部61Dの中心部には、汚泥排出弁68を有する汚泥排出管67が接続され、この汚泥排出管67の先端は汚泥排出量調整機69に接続されている。
このような汚泥排出量調整機69は、分離槽61の上部外側に配設され、かつ、分離槽61内の水位よりも低い位置に保持されている。そして、分離槽61の底壁部61Dの中心部に接続された汚泥排出管67を分離槽61の外側に沿って立ち上げ、その立ち上げ上端を汚泥排出量調整機69のタンク70の底部に接続開口させている。
このような関連構造とすることにより、分離槽61の底部に沈降した濃縮汚泥を、分離槽61内の水位とタンク70内の水位調整板71による設定水位との水位差、及び、分離槽61内の水圧によって、汚泥排出管67からタンク70内に流入させることができるようにしてある。
なお、水位調整板71は手動で高さ調整可能となっている。しかし、汚泥排出量調整機69は、この構造に限るものではなく、汚泥濃度計を用いたり、流量計を用いたり、汚泥の排出量を調整できれば、これに限定するものではない。また、汚泥排出量調整機69は設置した方が安定運転に効果があるが、必ずしも汚泥排出量を調整しなくてもよく、汚泥排出量調整機69を設置しなくても、濃縮汚泥を分離槽61に戻す構造になっていて、汚泥の分離濃縮ができれば、これに限定するものではない。
この実施の形態2で用いている回転体62は、図6に示すように、平断面がほぼ「く」の字の形状に形成された細長い短冊状の分離羽根62aの複数枚を所定の間隔で円筒状に配設して一体化し、分離羽根62aの相互間が分離液流出用のスリット62bとして形成されているものであり、回転体62の内部汚泥がスリット62bから回転体62の外側に流出し難い構造となっている。
分離羽根62aは、「く」の字の形状としてあるが、回転体62の内部汚泥が回転体62の外側に流出し難い構造であれば、板状であっても、椀状であっても、「く」の変形であっても、緩やかに湾曲であってもよく、「く」の字の形状に限らない。また、分離羽根62aは、全て同じ形状・大きさであっても、一つ置き、二つ置きに同じ形状・大きさであっても、全てランダムであってもよい。間隔も等間隔である必要はなく、ランダムな間隔であっても、一つ置き、二つ置きに同一の間隔でもよい。さらに分離羽根62aの形状は回転体62の大きさなどにより変えることができる。
ここで、渦巻状回転板63の詳細な形状構造を説明するために、渦巻状回転板63を外周渦巻部位63aと中間渦巻部位63bと中心渦巻部位63cとに区分すると、渦巻状回転板63は、分離槽61の底壁部61Dのテーパー面に対応した形状とすべく、渦巻状回転板63全体の高さ方向において、外周渦巻部位63aと中間渦巻部位63bと中心渦巻部位63cとでは、これらの上端から下端までの長さが、図4に示すように、外周渦巻部位63aよりも中間渦巻部位63bが、かつ、中間渦巻部位63bよりも中心渦巻部位63cが下方へ漸次長くなるように形成されている。
しかし、渦巻状回転板63の上端から下端までの長さは、汚泥の掻き寄せができれば、外周渦巻部位63a、中間渦巻部位63b及び中心渦巻部位63cまで同じ高さであっても、また、外周渦巻部位63aに向かって長くなっていても、外周渦巻部位63a、中間渦巻部位63b及び中心渦巻部位63cの高さが不均一であっても良く、これに限定するものではない。
このように連結された回転体62と渦巻状回転板63のユニットを分離槽61内に収納することにより、分離槽61の大径筒部61A内に回転体62を配設し、かつ、小径筒部61C内の底壁部61D側に渦巻状回転板63を配設している。そして、回転体62の上端部が駆動機64の回転軸64aに水平方向のサポート74(図6を参照)を介して連結保持されている。
回転体62と渦巻状回転板63は、吊持状態で連結されているが、必ずしも吊持状態で連結されてなくてもよく、例えば、駆動機64から回転体62と渦巻状回転板63が個別に接続されていてもよく、これに限定するものではない。
この状態において、分離槽61の大径筒部61Aの内周面と回転体62との間には間隙Sが設けられており、この間隙Sは分離液流出路となるものである。なお、回転体62は、10回転/分以下の回転数で駆動されるようになっている。
そのフィードコーン76は、図7に示すように、上部が円錐形状の流入部76aとして形成され、流入部76aの下端中心に垂直方向のパイプ部76bを有し、パイプ部76bの下部周壁部に複数の孔部76cを設けた構造となっている。
原水投入管75は、これに変えて原水投入水路でも、原水投入口でも、原水自然流下投入でも、回転分離装槽13内に原水である処理水が投入できるものであればよく、これに限定されるものではない。また、処理水を回転体62内の中心部に誘導流入させるためのフィードコーン76は、上部が円錐形状となっているが、角錐形状や多角錐形状や円筒形状でもよく、さらに、処理水が投入できればどんな形状でもよく、フィードコーン76に限定するものではない。
ただし、固液分離装置3を設けている点以外は、図1の汚濁水処理システムと同様であるため、固液分離装置3の処理内容だけを説明する。
サイクロン15によって分離された泥状物は、固液分離装置3の分離槽である固液分離タンク33内に送られ、駆動機32によって回転される回転筒31の中に導入される。
回転筒31のスリットは、導入した泥状物に含まれている汚泥を流出し難い形状もしくは寸法に設定されているため、そのスリットから流出する処理水(分離液)の浮遊物質濃度が低くなり、フロックが回転筒31の外に出なくなる。
これにより、浮遊物質の少ない良好な水質の処理水(分離液)を得ることができる。
また、回転筒31の回転により、回転筒31の内部に汚泥を大量に保持することができるため、固液分離タンク33の底部で汚泥が濃縮されて濃縮汚泥が排出される。これにより、サイクロンから泥状物を下水道等に放流せず、廃棄処分するような状況においても、排出される汚泥量が大幅に減少し、搬出処分の作業や費用が軽減される。
(1)運転条件(1日7時間の稼働)
処理水量 :10m3/時(5m3/時〜15m3/時)
固液分離槽水面負荷 :80m/時(40m/時〜120m/時)
(m/時はm3/m2/時に同じ)
循環水量 :0.5m3/時(0.3m3/時〜2m3/時)
(流入水量に対して3%〜20%を目安)
無機凝集剤 :硫酸バンド(PAC可、pH調整が必要)
上剤添加率 :10mg/L(Alとして、0〜100mg/L)
高分子凝集剤 :アニオン系ポリマー
上剤添加率 :1.0mg/L(0〜10mg/L)
(2)汚濁水性状
pH :8.3−9.2
化学的酸素要求量(COD):16.1−19.3mg/L
浮遊物質量(SS) :14.3−18.8mg/L
全窒素 :1.27−2.28mg/L
全りん :0.06−0.12mg/L
クロロフィルa :58−83μg/L
pH :7.2−7.7
化学的酸素要求量(COD):3.5−6.8mg/L
浮遊物質量(SS) :1−3.8mg/L
全窒素 :0.26−0.6mg/L
全りん :0.01−0.03mg/L
クロロフィルa :4.5−7.6μg/L
(4)濃縮汚泥性状
浮遊物質量(SS) :20000−25000mg/L
(濃縮汚泥発生量0.11m3/1日7時間)
図11は実施の形態1及び実施の形態2の汚泥発生量を示す説明図である。
図10及び図11では、1日7時間の稼働で、汚濁水処理システムを5日間運転した場合の例を示している。
上記の実験結果及び図10,11から明らかなように、図9の汚濁水処理システムによれば、図1の汚濁水処理システムと同様の効果を奏するほかに、固液分離装置3を設けたことで、浮遊物質の少ない良好な水質の処理水(分離液)が得られるとともに、排出汚泥の汚泥量を大幅に減少することができる効果を奏する。
Claims (7)
- 凝集分離処理装置及び高分子凝集剤溶解供給装置からなる汚濁水処理システムにおいて、
前記凝集分離処理装置は、
無機凝集剤溶液が注入された汚濁水を急速撹拌する急速撹拌槽と、
前記急速撹拌槽から流入する混合液と高分子凝集剤溶液及び沈降促進剤を撹拌するフロック形成槽と、
前記フロック形成槽から流入する混合液を沈殿分離する固液分離槽と、
前記固液分離槽で分離された沈殿物から泥状物と沈降促進剤を分離して前記沈降促進剤を回収するサイクロンと
を備え、
前記高分子凝集剤溶解供給装置は、
高分子凝集剤と溶解水を撹拌混合して前記高分子凝集剤溶液を生成する高分子凝集剤溶液タンクと、
筒状容器と、
前記筒状容器内に配設された円筒スクリーンと、
前記円筒スクリーン内に配設された一つ又は二つ以上の押圧部材と、
前記押圧部材を保持する保持部材と、
前記保持部材を介して前記押圧部材を前記円筒スクリーンの内面に沿って移動させる駆動機と、
前記高分子凝集剤溶液タンクから導入した高分子凝集剤溶液をスクリーンろ過すると共に、前記高分子凝集剤溶液中の高分子凝集剤を溶解する高分子凝集剤溶解機と、
前記高分子凝集剤溶解機から流出する前記高分子凝集剤溶液を前記フロック形成槽へ供給する高分子凝集剤供給管と
を備えていることを特徴とする汚濁水処理システム。 - 前記フロック形成槽は、
注入撹拌タンクと、緩速撹拌タンクとを備え、
前記注入撹拌タンクには、前記サイクロンから前記沈降促進剤が供給され、
前記緩速撹拌タンクには、前記高分子凝集剤供給管から前記高分子凝集剤溶液が供給される
ことを特徴とする請求項1に記載の汚濁水処理システム。 - 前記泥状物を導入する回転筒と、
前記回転筒を回転させる駆動手段と、
及び前記泥状物を固液分離する固液分離タンクと
を備えた固液分離装置が設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の汚濁水処理システム。 - 前記汚濁水は、湖沼、池、河川、濠、その他の公共用水域の水である
ことを特徴とする請求項1乃至3の何れか1つに記載の汚濁水処理システム。 - 請求項1又は2に記載の汚濁水処理システムを用いた汚濁水処理方法において、
無機凝集剤溶液が注入された汚濁水を撹拌し、高分子凝集剤を溶解して生成した高分子凝集剤溶液を前記汚濁水に注入し、沈降促進剤を注入して撹拌し、沈殿分離を行って沈殿物から泥状物と沈降促進剤を分離し、前記沈降促進剤を回収することを特徴とする汚濁水処理方法。 - 請求項3に記載の汚濁水処理システムを用いた汚濁水処理方法において、
無機凝集剤溶液が注入された汚濁水を撹拌し、高分子凝集剤を溶解して生成した高分子凝集剤溶液を前記汚濁水に注入し、沈降促進剤を注入して撹拌し、沈殿分離を行って沈殿物から泥状物と沈降促進剤を分離し、前記沈降促進剤を回収し、前記泥状物を処理水と濃縮汚泥に分離することを特徴とする汚濁水処理方法。 - 前記汚濁水は、湖沼、池、河川、濠、その他の公共用水域の水である
ことを特徴とする請求項5又は6に記載の汚濁水処理方法。
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