JP4202924B2 - 原水の浮上分離処理方法及び浮上分離処理システム - Google Patents
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Description
本発明は、懸濁物及び/又は凝集物を原水から分離する固液分離技術に関し、特に、懸濁物及び/又は凝集物を迅速に浮上させて原水から分離する原水の浮上分離処理方法及び浮上分離処理システムに関する。
産業上の利用可能性
本発明の浮上分離処理方法及び浮上分離処理システムは、特に、懸濁粒子、リン酸イオン、フッ素イオン、金属イオン、色度成分、COD成分などを含む原水、例えば、上水処理原水、工場排水、下水、河川水、湖沼水の高速固液分離に有用である。また、本発明の原水の浮上分離処理方法及び浮上分離処理システムは、特に、短時間に大量の水量が発生する合流式下水道の雨天時越流水(CSO)又は下水処理施設に流入する下水の高速固液分離に有用である。
背景技術
懸濁物及び/又は凝集物を原水から分離する固液分離技術としては、沈降分離(precipitation)、浮上分離(floatation)及び濾過(filtration)が一般的に知られている。
沈降分離とは、原水中の固形物及び浮遊物質を重力によって沈降分離又は濃縮して分離する技術である。沈降分離は、固形物及び浮遊物質が沈降して固液分離が完了するまでに長時間を要し、また沈降させるために原水を静置させる必要がある。よって、沈降分離は高速固液分離には適さない。下水処理などにおいては、通常、原水に凝集剤を添加して、浮遊物質を凝集させ、比重の大きなフロックを形成させ、沈降させて、固液分離を行う凝集沈殿(coagulating sedimentation)が用いられる。しかし、凝集沈殿では、難脱水性凝集沈澱汚泥が大量に発生したり、リンなどの有価値資源を回収できない、という問題点がある。
最近、フランスで開発された技術として、凝集撹拌槽に無機凝集剤、砂などの比重が大きい微粒子(粒径20〜200ミクロン程度)、高分子凝集剤の3者を添加して、砂を取り込んだ沈降性が大きなフロックを形成させ、沈降速度1m/min程度で沈澱させる技術が報告されている。(例えば、微粒砂を利用した超高速凝集沈澱装置:第37回下水道研究発表会、p243〜245:平成12年)
しかし、この方法では、沈降速度が1〜1.5m/min程度にとどまり、固液分離速度が非常に大きいとはいえないほか、難脱水性凝集沈澱汚泥が大量に発生する欠点、およびリン資源を回収できない欠点は何ら解決できていなかった。さらに、砂などの鉱物粒子を取り込んだ凝集沈澱汚泥から、鉱物粒子をサイクロンによって回収して再利用しているため、サイクロンでの鉱物粒子の回収率が悪く、そのため砂の流出量が増加し、鉱物粒子のメイクアップ量が増加する問題、サイクロンおよび管路が、砂の激しい流動によって磨耗する問題、さらに、砂などの微粒子に付着しないフロックが残り、これが沈殿分離されずに処理水にキャリオーバーするなどの欠点がある。
濾過は、原水中の浮遊物質を濾材によって濾過分離する技術である。通常、濾材を圧密充填させてなる濾過槽に、原水を通過させて、濾材の空隙よりも大きな粒径の浮遊物質を捕捉又は吸着させて、固液分離を行う。濾過では、多量の浮遊物質を処理した後には濾材が目詰まりするので、濾材を定期的に交換又は再生する必要がある。また、大量の原水が短時間に流入すると、濾材を通過する際の原水の圧力で濾材が破過してしまったり、濾材充填部を原水が通過できずに溢れてしまったりするので、短時間に大量の原水を処理する高速固液分離には適さない。さらに、一度に大量の原水を処理するためには非常に大型の濾過設備が必要となり、実用的ではない。
土屋は、従来の固定床式濾過装置に代えて、浮上濾材を圧密させてなる濾過装置を提案している(日本特許公開平10−216756号公報及び平11−57320号公報)。この濾過装置は、濾過槽と濾材貯留槽との間に設けた弁を一定時間ごとに作動させて、濾過槽上部に圧密されている浮上濾材を濾過槽上部から濾材貯留槽に移送させ、濾材貯留槽において濾材の洗浄を行い、濾材を濾材貯留槽上部に設けられたエジェクターの作用により再び濾過槽下部に戻し、濾材の洗浄汚水を濾材貯留槽下部から流下させるものである。しかし、この濾過装置においても、濾材の再生の必要性は解消されていない。また、濾材の再生のために、濾過槽の運転を停止する必要があり、連続して流入する多量の原水を処理することはできない。また、濾材貯留槽下部から流下する汚水には、濾材に捕捉又は吸着されていたであろう除去対象物質が多量に含まれており、この汚水を再び処理する必要がある。よって、この濾過装置においても、非常に短時間で流入する大量の原水を処理する際の問題点は解決されない。
浮上分離は、原水中の油分や浮遊物質を比重差によって浮上分離する技術である。これまで、浮遊物質などの浮上速度を向上させるために、浮遊物質粒子に気泡を付着させる強制浮上分離が開発されている。従来の強制浮上分離は、原水中に適当な手段で空気を導入し、発生する気泡を原水中の浮遊物質粒子に付着させ、浮遊物質粒子の見掛けの比重を小さくして、浮遊物質粒子を強制的に浮上させるものである。その浮上分離速度は、100〜300mm/min、通常は100〜200mm/minと小さく、空気圧縮機、空気溶解設備などの付帯設備が必要であった。よって、例えば雨天時越流水の処理など、非常に短時間で大量の原水を処理する必要がある場合には適当ではない。
近年、特に、合流式下水道における雨天時越流水(CSO)の公共用水域への汚濁負荷が大きな問題になっている。一般に、下水処理は、下水中の固形物や浮遊物質を沈殿分離し、次いで、可溶性成分を活性汚泥処理及び化学薬品処理により除去する工程を含む。沈殿分離時の浮遊物質の除去率を高めるために、凝集剤を添加して、浮遊物質を凝集させた上で沈殿させる凝集沈殿分離を採用することもある。凝集沈殿は、自然沈殿に比較すれば沈殿速度は早くなるが、未だ、大量の被処理水を処理するに十分な速度ではない。ところで、合流式下水道においては、雨天時など、大量の被処理水が非常に短時間に下水処理設備に流入する場合に、沈殿分離又は沈殿凝集分離用の沈殿池の処理能力限界を越えてしまうことから、被処理水を河川や海洋などの公共用水域へ未処理のまま流出させる方法が採用されている。この未処理のまま放流された越流水中の汚濁物質が、公共用水域に大きな負荷を与える原因となっている。そこで、非常に短時間に大量の被処理水を処理することができる高速固液分離技術が必要とされている。
したがって、本発明の目的は、従来の固液分離技術の問題点を解決し、非常に短時間に、除去対象物質である懸濁物及び/又は凝集物を原水から分離することができる高速固液分離技術を提供することにある。
特に、本発明の目的は、除去対象物質である懸濁物及び/又は凝集物を迅速に浮上させて、原水から分離する浮上分離方法及びシステムを提供することにある。
具体的には、本発明の目的は、従来の浮上分離技術の問題点を解決し、簡単な操作によって、各種原水中の懸濁粒子を極めて高速度で浮上分離でき、かつまた空気圧縮機、空気溶解設備が不要な新規な浮上分離方法及びシステムを提供することにある。
また、本発明の目的は、特に合流式下水道設備における雨天時越流水の問題を解決し、非常に短時間に、下水中の固形物や浮遊物質などの除去対象物質を分離することができる高速固液分離技術を提供することにある。
具体的には、本発明の目的は、従来の浮上分離技術の問題点を解決し、簡単な操作によって、河川水、湖沼水、排水、下水など各種原水中の懸濁粒子、リン、色度成分、COD成分などの凝集除去対象物質を極めて高速度で浮上でき、かつまた、空気溶解設備が不要な新規な浮上分離方法及びシステムを提供することにある。
また、合流式下水道の雨天時越流水処理時間を極めて短縮することができる画期的浮上分離装置を提供することを目的としている。
さらに、本発明の目的は、特にリン酸イオンを含む原水を非常に短時間に処理して、有価値成分であるリンを回収することができるリン酸イオン処理技術を提供することにある。
具体的には、本発明の目的は、従来の凝集分離法、浮上分離法の上記問題点を解決し、フランスで開発された砂添加凝集沈殿法よりも、格段に高速度で固液分離でき、砂などの微粒子に付着しないフロックが沈殿分離されずに処理水にキャリオーバすることを防止し、世界的な枯渇資源であるリンを資源として回収できるリン酸イオンを含む原水の浮上分離処理装置及び浮上分離システムを提供することにある。
発明の概要
本発明は、非常に短時間に、懸濁物及び/又は凝集物を原水から分離することができる高速固液分離技術を提供する。具体的には、本発明は、除去対象物質である懸濁物及び/又は凝集物を迅速に浮上させて、原水から分離する浮上分離方法及びシステムを提供する。特に、本発明の浮上分離方法及びシステムは、懸濁粒子、リン酸イオン、フッ素イオン、金属イオン、色度成分、COD成分などの除去対象物質を含む原水、例えば、上水処理原水、工場排水、下水、河川水、湖沼水の高速固液分離に有用である。また、本発明の浮上分離方法及びシステムは、特に、短時間に大量の水量が発生する合流式下水道の雨天時越流水(CSO)又は下水処理施設に流入する下水の高速固液分離に特に有用である。
本発明は、非常に比重の小さい浮上性粒子に、原水中の除去対象物質である懸濁物及び/又は凝集物を付着させて、浮上性粒子を核とする集合体を形成させ、この集合体を速やかに浮上させることで、除去対象物質である懸濁物及び/又は凝集物を原水から迅速に分離する浮上分離に関する。
すなわち、本発明によれば、浮上性粒子を原水に供給する浮上性粒子供給工程と、浮上性粒子に原水中の懸濁物及び/又は凝集物が付着してなる浮上性粒子含有集合体を形成する浮上性粒子含有集合体形成工程と、浮上性粒子含有集合体を原水中で浮上させて、浮上性粒子含有集合体を原水から分離する浮上性粒子含有集合体浮上分離工程と、を含む原水の浮上分離処理方法が提供される。
また、本発明によれば、浮上分離させた浮上性粒子含有集合体から浮上性粒子を回収して、再度、浮上性粒子供給工程に戻す工程を含む、実質的に連続的な原水の浮上分離処置方法が提供される。
本発明において処理することができる原水としては、除去対象物質である懸濁物及び/又は凝集物を含むものであれば特に限定されるものではないが、懸濁粒子、リン酸イオン、フッ素イオン、フミン酸、フルボ酸、金属イオン、色度成分、COD成分などを含む原水、例えば、上水処理原水、工場排水、下水、河川水、湖沼水などを挙げることができる。
本発明において、浮上性粒子供給工程は、原水に浮上性粒子を供給する工程であれば特に制限されず、例えば、原水供給ライン又は撹拌槽、浮上分離槽などに存在する原水に、浮上性粒子を手動供給しても、浮上性粒子の供給量を自動制御する制御装置付きの供給設備から自動供給しても、あるは本発明の浮上分離方法で使用した浮上性粒子を再循環させることによって供給してもよい。
本発明において、浮上性粒子含有集合体形成工程は、浮上性粒子の周囲に原水中の除去対象物質である懸濁物及び/又は凝集物を付着させて、浮上性粒子含有集合体を形成する工程である。ここで、「浮上性粒子含有集合体(floatable particle−included aggregate)」とは、浮上性粒子に、原水中の懸濁物及び/又は凝集物が付着してなる集合体をいい、本明細書において「凝集体付着浮上性固体粒子(agglomerate−attached floatable solid particle)」と称することもある。本発明において形成される浮上性粒子含有集合体は、比重が非常に軽く、浮上速度が非常に早いという特長を有する。また、「浮上性粒子(floatable particle)」とは、処理対象である原水よりも比重が非常に軽い粒子をいい、本明細書中において「浮上性微粒子(floatable fine particle)」「浮上性固体粒子(floatable solid particle)」「浮上性固体微粒子(floatable solid fine particle)」と称することもある。なお、「懸濁物及び/又は凝集物」とは、原水中に存在する懸濁粒子(suspended particle)などの懸濁物(suspended solid)及び/又は原水中の懸濁粒子や、リン酸イオン、フッ素イオン、フミン酸、フルボ酸、金属イオン、色度成分、COD成分などを凝集剤の添加などにより凝集させて得られる凝集物(agglomerated particle)をいい、本明細書中では、「凝集体(agglomerate)」と称すこともある。
図1に、浮上性粒子含有集合体の模式図を示す。図示するように、浮上性粒子含有集合体FAは、浮上性粒子FPと凝集体AGとが撹拌運動によって衝突し、凝集体AGの凝集作用によって、浮上性粒子FPの周囲に凝集体AGが付着することにより形成される。
浮上性粒子含有集合体を形成するには、原水に供給した浮上性粒子を急速に撹拌して、原水全体に十分に分散させ、原水中の懸濁物及び/又は凝集物とできるだけ多く接触させることが好ましい。
浮上性粒子含有集合体の形成を促進するために、浮上性粒子を供給すると同時に、あるいは浮上性粒子供給の前工程及び/又は後工程において、原水中の懸濁物やイオンを凝集させる凝集剤(coagulant)を供給してもよい。凝集剤は、原水中の懸濁物やイオンなどを凝集させて、より寸法の大きな凝集物を形成させることにより凝集物の有する凝集作用を増加させると共に、荷電中和作用により、浮上性粒子に付着させやすくするために用いる。凝集剤を添加することにより、疎水性の浮上性粒子(発泡スチロールなど)の表面を親水性に変化させると共に原水中の懸濁粒子のマイナス表面荷電が中和されるので、懸濁粒子が浮上性粒子に付着しやすくなる。
また、浮上性粒子含有集合体の形成を促進するために、浮上性粒子を原水中に強制的に分散させ、原水中の懸濁物及び/又は凝集物を浮上性粒子に付着させるようにしてもよい。浮上性粒子の原水中への分散は、浮上性粒子を原水に供給しながら急速に原水を撹拌することによって達成することができる。撹拌の態様としては、例えば、槽内に撹拌翼と邪魔板などを設けて、懸濁物及び/又は凝集物と浮上性粒子とを接触させやすくする態様などを好ましく挙げることができる。撹拌翼としては、浮上性粒子に付着した懸濁物及び/又は凝集物が再度剥離することを防止するために、渦流を生じさせないような例えば櫂型撹拌翼などの形態を有するものが好ましい。
本発明において、浮上性粒子含有集合体分離工程は、固液分離工程の一種であり、固体である浮上性粒子含有集合体と、液体である処理水と、に分離する工程である。浮上性粒子含有集合体は、比重が水よりも非常に軽いので、浮上分離槽に流入させると、水面に瞬間的に浮上して、固液分離が行われる。本発明により達成される浮上性粒子含有集合体の浮上速度は、3000〜10000mm/minと、従来の加圧溶解空気泡を利用する浮上分離装置の約30〜100倍も大きい。
この浮上分離を促進させるために、浮上分離槽へ流入する浮上性粒子含有集合体を含む原水に旋回流を与えることが好ましい。旋回流中では、比重差による遠心分離が行われ、比重の軽い浮上性粒子含有集合体は旋回流中心に集まり、比重の重い水は旋回流外側に集まるので、固液分離が促進される。
また、水面に浮上した浮上性粒子含有集合体を強制的に除去するために、掻き寄せ機構などの機械的手段を用いてもよい。掻き寄せ機構は、浮上分離槽上部の液面レベル付近に設けられ、水面に浮上してくる浮上性粒子含有集合体を連続的に取り除くようになされていることが好ましい。
こうして、浮上性粒子含有集合体に含まれている原水中の懸濁物及び/又は凝集物を原水から迅速に除去することができ、清澄な処理水を得ることができる。
また、本発明において、浮上分離させた浮上性粒子含有集合体から浮上性粒子を分離回収して、原水に再循環させて、再利用することが好ましい。分離回収の態様としては、浮上分離させた浮上性粒子含有集合体を含む液を撹拌するなどして、浮上性粒子に付着している凝集体を剥離させ、次いで、凝集体を沈降分離させることが好ましい。また、剥離及び/又は沈降分離と同時に洗浄を行ってもよい。この洗浄には、原水を用いてもよい。また、剥離と同時に洗浄を行う際には、浮上性粒子含有集合体の上からシャワーなどで圧力をかけながら行うことが好ましい。
あるいは、浮上分離させた浮上性粒子含有集合体の全量を剥離及び/又は沈降分離に供するのではなく、浮上性粒子含有集合体の一部をそのまま浮上性粒子供給ラインに戻して、再循環させてもよい。この場合には、浮上性粒子表面にすでに付着している懸濁物及び/又は凝集物の上に雪だるま式に新しい懸濁物及び/又は凝集物が付着することになり、処理コストを削減できる。
また、本発明において、浮上分離させた浮上性粒子含有集合体から分離させた凝集体を、さらに処理して、凝集体に含まれる有価成分を回収することもできる。例えば、リン酸を含む原水を処理する場合などには、凝集体をさらに固液分離及びリン除去処理に供することにより、凝集体から有価成分であるリンを回収することができる。
本発明において用いることができる浮上性粒子としては、原水よりも比重が非常に軽く、原水中の懸濁物及び/又は凝集物が付着可能な粒子であれば特に限定されるものではない。しかし、浮上性粒子の粒径が過度に大きいと懸濁物及び/又は凝集物が付着しなくなり、過度に小さいと浮上速度が著しく小さくなる。そこで、本発明において用いることができる浮上性粒子の平均粒径は、典型的には30〜3000μmであり、好ましくは50〜2000μmであり、より好ましくは100〜1000μmであり、さらに好ましくは100〜800μmである。後述するように凝集剤を添加する場合には、原水中の懸濁物及び/又は凝集物が浮上性粒子へ付着しやすくなるので、比較的大きな粒径の浮上性粒子を用いることができる。この場合の浮上性粒子の粒径は、好ましくは300〜1500μm、さらに好ましくは500〜800μmである。
また、浮上性粒子の比重は、小さいほど浮上速度を速める上で好ましい。比重が、0.5以下、より好ましくは0.2以下、典型的には0.04〜0.15、さらに好ましくは0.1以下、特に0.01〜0.1程度、典型的には0.01〜0.07、0.04〜0.06程度の非常に軽量な粒子を使うことが好ましい。
これらの条件を満たす浮上性粒子としては、発泡スチロールなどの発泡プラスチック粒子、親水性無機物粒子をコーティングしてなる表面親水性浮上性粒子、あるいは、鹿児島県産シラス、北海道産白土、火力発電所の副産物のフライアッシュを焼成発泡させた中空バルーン状粒子などを挙げることができる。発泡プラスチック粒子は比重が非常に軽く、浮上速度が極めて早いので好ましい。特に発泡スチロールは、比重が0.04〜0.06と極めて小さく、所望の比重を得ることが容易で、浮上速度が極めて早く、低価格で入手が容易であり、強度が比較的大きく、強攪拌によっても破壊しないので、非常に好ましい。また、表面親水性浮上性粒子は、発泡プラスチックの表面に、カオリン、ゼオライト、ベントナイト、マイクロサンド、粉末活性炭、セメント粉末、水酸化鉄、酸化鉄、水酸化アルミニウム、酸化アルミニウム、酸化チタンなどの親水性無機物微粒子をコーティングさせて表面を親水性化させたものであり、原水中の懸濁物及び/又は凝集物を付着させやすいので、さらに好ましい。また、鹿児島県産シラス、北海道産白土及び中空バルーン状粒子は、表面が親水性であり、原水中の懸濁物及び/又は凝集物を付着させやすいので好ましい。
浮上性粒子の原水への添加量は、浮上速度を向上させ且つ原水中の懸濁物及び/又は凝集物が付着しやすい範囲であれば特に限定されるものではない。浮上速度を向上させるためには、浮上性粒子の添加量が多いほど好ましいが、あまり多量に添加すると原水中の懸濁物及び/又は凝集物が付着しにくくなる。本発明において、浮上性粒子の原水への添加量は、原水1リットル当たり嵩容積で2〜200ミリリットル程度、好ましくは5〜100ミリリットル程度、より好ましくは5〜30ミリリットル程度又は10〜40ミリリットル程度である。ただし、浮上性粒子として表面親水性浮上性粒子を用いる場合や、さらに凝集剤を添加する場合、あるいは浮上性粒子を強制的に原水中に分散させる場合には、原水中の懸濁物及び/又は凝集物の付着を促進することができるので、浮上性粒子の添加量を多くして、さらに浮上速度を向上させることができる。この場合には、浮上性粒子の原水への添加量は、嵩容積で原水1リットル当たり、10〜200ml、より好ましくは20〜100mlが好適範囲である。
本発明において用いることができる凝集剤としては、高分子凝集剤を好ましく挙げることができ、特に有機高分子凝集剤が好ましい。凝集剤を添加すると、疎水性である浮上性粒子(発泡スチロールなど)の表面を親水性に変化させると共に、原水中の懸濁粒子のマイナス表面荷電が中和されることにより、懸濁粒子が浮上性粒子に付着しやすくなる。特に、高分子凝集剤を添加すると、水中接着作用による凝集作用によって、凝集体が浮上性粒子に非常に付着しやすくなる。原水の種類によっては、さらに無機凝集剤を添加してもよい。例えば、リン酸イオン、フッ素イオン、フミン酸、フルボ酸などのイオンを除去する場合には、無機凝集剤を添加することで、これらのイオンを凝集させて、浮上性粒子に付着させやすくすることができる。しかし、一般的には、無機凝集剤の添加は不可欠ではなく、カチオン性ポリマ単独又はカチオン性ポリマと両性ポリマの併用、カチオン性ポリマとアニオン性ポリマの併用、カチオン性ポリマとノニオン性ポリマの併用のいずれかで処理可能である。
有機高分子凝集剤(ポリマ)としては、アニオン性、ノニオン性、カチオン性、両性ポリマ及びこれらの組み合わせを好ましく挙げることができる。アニオン性凝集剤としては例えば「エバグロースA151」(分子量1500万;(株)荏原製作所製)、ノニオン性凝集剤としては例えば「エバグロースN800」(分子量1500万;(株)荏原製作所製)、両性ポリマ凝集剤としては例えば「エバグロースB034」(分子量1500万;(株)荏原製作所製)、カチオン性凝集剤としては例えば「エバグロースC104G」(分子量1200万;(株)荏原製作所製)などの市販の凝集剤を用いることができる。
無機高分子凝集剤としては、重合シリカ(「活性シリカ」とも呼ばれる)、又は鉄シリカ凝集剤を好ましく挙げることができる。
高分子凝集剤の添加量は、原水の水質によって異なる。例えば、下水の場合に典型的には1〜5mg/リットル程度であり、1〜3mg/リットル程度が好ましく、上水処理の場合には、0.5〜1mg/リットル程度が好ましい。
本発明において添加することができる無機凝集剤としては、硫酸アルミニウム、PAC、塩化第2鉄、硫酸鉄、ポリ硫酸鉄、鉄シリカ凝集剤などを好ましく挙げることができる。無機凝集剤の添加量は原水の水質によって異なる。例えば、下水の場合には、PACでは100〜150mg/リットル、塩化第2鉄では50〜100mg/リットル程度が好ましく、上水処理の場合はPACでは8〜30mg/リットル、塩化第2鉄では5〜10mg/リットル程度が好ましい。
本発明における浮上性粒子含有集合体形成工程において、浮上性粒子含有集合体の形成を促進するために、原水に無機凝集剤又はカチオン性ポリマを添加して攪拌した後、ノニオン性ポリマと両性ポリマ又はアニオン性ポリマと両性ポリマを添加することが好ましい。この場合、本発明者らは、非常に粘着性が大きく強度が強い凝集物が形成され、極めて効果的に浮上性微粒子と一体化した浮上性粒子含有集合体が形成されることを見出した。
本発明をリンなどの有価成分回収に適用する場合には、さらに、浮上分離させた浮上性粒子含有集合体から剥離し沈降分離させた凝集体を再度溶解させる凝集体溶解工程と、リンなどの有価成分を選択的に回収する有価成分回収工程と、を含む。なお、ここでは、有価成分として特にリンを回収する場合を説明するが、他の有価成分を回収する場合にも本発明を適用できることは、容易に理解されよう。
本発明をリン回収に適用する場合には、凝集体溶解工程において、硫酸又は塩酸を添加し、水酸化アルミニウム、リン酸アルミニウムなどを溶解させ、アルミニウムイオン、リン酸イオンに変える。次いで、凝集体溶解工程において溶解しなかった物質(粘土分、微生物細胞、プランクトン、藻類など)を固液分離する。得られた分離液に、リン吸着剤を添加して、リン酸イオンを吸着させる。次いで、リン酸イオンを吸着したリン吸着剤を分離して、NaOH水溶液などのアルカリ性液と接触させることによりリンを脱着させる。脱着したリンを含むアルカリ性液に、カルシウムイオン、マグネシウムイオン、さらに場合によってはアンモニウムイオンなどを添加して、肥料として有用なリン酸カルシウム、リン酸マグネシウム、リン酸マグネシウムアンモニウムなどを析出させて、回収する。
リン回収工程において添加することができるリン吸着剤としては、鉄系リン吸着剤、例えば、水和酸化鉄、水酸化鉄、酸化鉄、塩化第2鉄、ポリ硫酸第2鉄)を特に好ましく挙げることができる。そのほか、水和酸化ジルコニウム、水和酸化ジルコニウム・活性炭複合体、ジルコニウムフェライト、塩化チタン、水和酸化チタン、水和酸化チタン・活性炭複合体、キレート樹脂系吸着材、パーライト系吸着材、活性アルミナ、硫酸アルミニウム添着活性アルミナなども好ましく用いることができる。
本発明の原水の浮上分離処理方法の実施態様としては、以下のものを挙げることができる。
(1)懸濁水に、独立気泡を内包する浮上性固体微粒子、及び少なくとも有機高分子凝集剤を添加して攪拌し、懸濁水中の懸濁粒子を該浮上性固体微粒子と一体化させた凝集体を形成させたのち、浮上分離することを特徴とする懸濁水の超高速浮上分離方法。
(2)前記浮上性固体微粒子の比重が0.1以下で平均粒径が30〜3000μmであることを特徴とする前記(1)記載の超高速浮上分離方法。
(3)前記浮上性固体微粒子が発泡プラスチック微粒子であることを特徴とする前記(1)又は(2)記載の超高速浮上分離方法。
(4)前記有機高分子凝集剤はノニオン性ポリマ又はアニオン性ポリマ、又はノニオン性ポリマあるいはアニオン性ポリマと両性ポリマとの併用したものを用いることを特徴とする前記(1)〜(3)のいずれか1項記載の超高速浮上分離方法。
(5)前記前記浮上性固体微粒子が発泡プラスチック微細粒子、又は発泡させた中空バルーンの表面に親水性無機物微粒子をコーティングさせたものである前記(1)記載の超高速浮上分離方法。
(6)凝集除去対象物質を含有する水に、浮上性粒子と、少なくとも有機高分子凝集剤を含む凝集剤とを添加して攪拌し、該水中の凝集除去対象物質の凝集体を該浮上性粒子に付着させた浮上性粒子含有集合体を形成させて浮上分離した後、浮上分離物から凝集体を剥離処理し、剥離処理したものを洗浄・分離槽に供給して洗浄・分離させた後、洗浄・分離で得た浮上性粒子を前記凝集体形成工程へ返送供給することを特徴とする凝集除去対象物質を含有する水の超高速浮上分離方法。
(7)前記凝集体を剥離処理した浮上性粒子を供給する洗浄・分離槽に、凝集除去対象物質を含有する水又は処理水の一部を浮上性粒子の洗浄用水として供給することを特徴とする前記(6)記載の超高速浮上分離方法。
(8)前記洗浄水流量をQ、浮上物移送流量をT、洗浄排水流量をqとするとき、
Q+T > q
に設定し、洗浄用水の一部を洗浄・分離槽水面から前記凝集体形成工程に洗浄された浮上性粒子とともにオーバーフローさせることを特徴とする(6)又は(7)記載の超高速浮上分離方法。
(8)原水に、浮上性固体粒子と高分子凝集剤又は高分子凝集剤及び無機凝集剤とを添加して、原水中の除去対象物質の凝集体を該浮上性固体粒子に付着させた後、浮上性固体粒子を浮上分離することを特徴とする浮上分離方法。
(9)浮上分離された浮上性固体粒子及び/又はこれと浮上分離物から凝集体を剥離除去した浮上性固体粒子を、原水に循環添加することを特徴とする前記(8)記載の浮上分離方法。
(10)前記浮上性固体粒子が発泡プラスチック粒子であることを特徴とする前記(8)又は(9)記載の浮上分離方法。
(11)前記発泡プラスチック粒子が発泡スチロール粒子であることを特徴とする前記(10)記載の浮上分離方法。
(12)少なくとも高分子凝集剤を添加した原水を、旋回流槽の浮上性固体粒子群の撹拌凝集付着部に供給し、原水中の除去対象物質の凝集体を、該浮上性固体粒子表面に付着させたのち、凝集体付着浮上性固体粒子を、液の旋回流に伴う液の下降流により前記撹拌凝集付着部の下方に位置する固液分離部に移行させ、前記固液分離部において前記下降流の渦中心への集合作用もしくは浮上性固体粒子の浮上作用によって、凝集体付着浮上性固体粒子と下部への液との固液分離を生ぜしめ、分離した処理水を取り出すとともに、分離された凝集体浮上性固体粒子を抜き出して凝集体を剥離した後、分離した浮上性固体粒子を前記撹拌凝集付着部に返送することを特徴とする高速固液分離方法。
(13)凝集除去対象物質を含有する水を入れ、撹拌翼を水平方向に回転させる撹拌槽に浮上性固体粒子を添加し、該撹拌槽水面の半径方向位置の水面下に、垂直方向に邪魔板を挿入し、槽中心部の回転流を抑制することによって、浮上性固体粒子を水面下に巻き込んで撹拌槽全体に分散流動させながら、高分子凝集剤を添加して、浮上性固体粒子表面に凝集体を付着させることを特徴とする水中の凝集対象物質の浮上性固体粒子への付着方法。
(14)前記(13)の付着方法で形成した凝集対象物質が付着した浮上性固体粒子を含む液を浮上分離装置に導入し、凝集対象物質が付着した浮上性固体粒子からなる浮上分離物と処理水とに分離することを特徴とする凝集除去対象物質を含有する水の凝集分離方法。
(15)除去対象物質を含有する被処理水に高分子凝集剤又は無機凝集剤と高分子凝集剤を添加して、浮上性固体粒子群が存在する浮上分離部に供給し、該粒子の流動層を形成させ、除去対象物質の凝集体を形成させるとともに該凝集体を浮上性固体粒子表面に付着させつつ、該流動層から凝集体付着浮上性固体粒子を抜き出すとともに、該流動層の下方に設置した傾斜板又は傾斜管の下方から処理水を取り出すことを特徴とする浮上分離方法。
(16)除去対象物質を含有する被処理水に、比重が0.5以下の浮上性固体粒子及び高分子凝集剤を添加して混合し、被処理水中の除去対象物質の凝集体を該浮上性固体粒子表面に付着させ、凝集体が付着した浮上性固体粒子を含む水を浮上分離部に導入し、浮力によって凝集体付着浮上性固体粒子を浮上分離部水面より高い位置に浮上させ、該浮上分離部の下部から処理水を取り出し、浮上分離部水面より高い位置に浮上した凝集体付着浮上性固体粒子から凝集体を剥離させた後、浮上性固体粒子を被処理水への混合のために返送することを特徴とする浮上分離方法。
(17)リン含有水に、浮上性固体粒子および無機凝集剤と有機高分子凝集剤を添加して撹拌し、生成凝集体を該浮上性固体粒子に付着させたのち浮上分離し、該浮上分離物を取り出して、浮上性固体粒子から凝集体を剥離させたのち、剥離凝集体を固液分離し、鉱酸を添加して凝集体を溶解する工程、該鉱酸処理液にリン吸着剤を添加してリンが除去された液を得て、該液および浮上分離された浮上性固体粒子をリン含有水に添加する工程を含むことを特徴とするリン含有水の処理方法。
(18)リン含有水に、浮上性固体粒子および無機凝集剤と有機高分子凝集剤を添加して撹拌し、生成凝集体を該浮上性固体粒子に付着させたのち浮上分離し、処理水を生物処理するとともに、該浮上分離物を取り出して、該浮上性固体粒子から凝集体を剥離させたのち該浮上性固体粒子をリン含有水に添加することを特徴とするリン含有水の処理方法。
(19)鉱酸処理液からリンを除去する際の液pHを4以下に設定してリン吸着剤と接触させることを特徴とする前記(17)のリン含有水の処理方法。
(20)前記リン酸イオン含有水に添加する無機凝集剤がアルミニウム系凝集剤であり、前記リン吸着剤が鉄、ジルコニウム、チタン系リン吸着剤のいずれかであることを特徴とする前記(17)又は(18)のリン含有水の処理方法。
(21)剥離した凝集体を濃縮した後に嫌気性消化処理することを特徴とする前記(18)のリン含有水の処理方法。
本発明の原水の浮上分離処理システムの実施態様としては、以下のものを挙げることができる。
(22)懸濁水に独立気泡を内包する浮上性固体微粒子及び高分子凝集剤を添加して懸濁水中の懸濁粒子を凝集させる攪拌凝集槽と、この攪拌凝集槽からの懸濁混合液を浮上分離して上部に浮上分離スラッジを得、下部に処理水を得る浮上分離装置と、前記浮上分離装置からの浮上分離スラッジを攪拌して凝集体を剥離させる凝集体剥離攪拌槽と、前記凝集体剥離攪拌槽からの剥離凝集体を沈殿凝集体と浮上性固体微粒子のスラリに分離する分級器と、前記分級器からの浮上性固体微粒子のスラリを攪拌凝集槽へ返送する返送配管とを有することを特徴とする懸濁水の超高速浮上分離装置。
(23)前記浮上分離装置の浮上分離速度を1m/min以上に設定したことを特徴とする前記(22)記載の浮上分離装置。
(24)前記浮上分離物を攪拌して凝集体を剪断剥離された浮上性固体微粒子を、原水に循環させる設備を備えたことを特徴とする前記(22)記載の浮上分離装置。
(25)凝集除去対象物質を含有する水に、浮上性粒子と、少なくとも有機高分子凝集剤を含む凝集剤とを添加・攪拌し、該水中の凝集除去対象物質の凝集体を該浮上性粒子に付着させる凝集槽、凝集体の付着物を含む水が導入され、該凝集体の付着物を浮上分離する浮上分離槽、該浮上分離槽からの浮上分離物を移送機構により移送し、該浮上性粒子から凝集体を剥離する凝集体剥離部、該凝集体剥離部からの剥離処理物を洗浄により剥離凝集体と浮上性粒子に分離する洗浄・分離槽、及び該洗浄・分離槽からの浮上性粒子を前記凝集槽へ返送する返送導管を備えたことを特徴とする凝集除去対象物質を含有する水の超高速浮上分離装置。
(26)前記の浮上物移送機構がエアリフトポンプ又は混気ジェットポンプのいずれかであることを特徴とする前記(25)記載の浮上分離装置。
(27)原水に浮上性固体粒子と高分子凝集剤又は高分子凝集剤及び無機凝集剤とを添加して原水中の除去対象物質の凝集体を浮上性固体粒子に付着させる凝集槽と、除去対象物質の凝集体が付着した浮上性固体粒子を浮上分離して、処理水を得る浮上分離槽とを有することを特徴とする浮上分離装置。
(28)前記浮上分離槽からの浮上分離物から凝集体を剥離除去させる剥離部と、前記剥離部からの剥離凝集体と浮上性固体粒子を分離する分離部とを備え、凝集体が剥離された浮上性固体粒子を前記凝集槽に返送する配管を有することを特徴とする(27)記載の浮上分離装置。
(29)原水を供給し無機凝集剤を添加する凝集撹拌槽と、前記凝集撹拌槽からの該凝集体を含み高分子凝集剤を添加した原水の流入部が円筒形の胴部の上部の撹拌凝集付着部に付設され、撹拌凝集付着部の下面まで延びる撹拌翼付き撹拌機、凝集体付着浮上性固体粒子の一部を凝集体剥離槽に導く排出管、及び底部に配設された処理水の排出管を有する旋回流槽と、凝集体剥離槽からの凝集体が剥離された浮上性固体粒子を前記撹拌凝集付着部への返送手段とを有することを特徴とする高速固液分離装置。
(30)槽の上部に凝集除去対象物質を含有する原水の流入部を設け、凝集剤と浮上性固体粒子の添加装置を有し、槽底部よりやや上部に撹拌翼が位置する機械式撹拌機と、槽水面の半径方向位置の中間位置の水面下に少なくとも1枚の邪魔板とが設けられ、水面より下部の胴部に凝集体が強固に付着した粒子を含む処理水の流出部とを備えている凝集付着撹拌槽を有することを特徴とする水中の凝集対象物質の浮上性固体粒子への付着装置。
(31)前記(30)の付着装置と、前記付着装置で形成した凝集対象物質が付着した浮上性固体粒子を含む液を導入し、凝集対象物質が付着した浮上性固体粒子からなる浮上分離物と処理水とに分離する浮上分離装置とを設けたことを特徴とする凝集除去対象物質を含有する水の凝集分離装置。
(32)除去対象物質を含有する被処理水を導入し被処理水中の凝集対象物質の無機凝集剤による凝集槽と、該凝集体と高分子凝集剤を含む被処理水を供給し凝集体付着浮上性固体粒子と処理水に分離する、浮上性固体粒子群の流動層を形成し、その下方に傾斜板又は傾斜管を設置した浮上分離槽とを有することを特徴とする浮上分離装置。
(33)除去対象物質を含有する被処理水に、比重が0.5以下の浮上性固体粒子及び高分子凝集剤を添加して攪拌し、被処理水中の除去対象物質の凝集体を該浮上性固体粒子表面に付着させる凝集付着槽と、該凝集付着槽からの凝集体付着浮上性固体粒子を含む水が導入され、凝集体付着浮上性固体粒子を浮力によって同部の水面より高い位置に浮上せしめ、下部から処理水を取り出す浮上分離部と、前記浮上分離部で浮力によっ水面より高い位置に浮上した凝集体付着浮上性固体粒子から凝集体を剥離させる剥離部と、剥離した浮上性固体粒子を前記凝集付着攪拌槽に返送する移送管とを有することを特徴とする浮上分離装置。
(34)リン含有水を浮上性固体粒子と無機凝集剤と有機高分子凝集剤との存在化で撹拌し凝集体を生成させ該生成凝集体を該浮上性固体粒子に付着させる攪拌手段と、生成凝集体を付着させた浮上性固体粒子を浮上分離させる浮上分離手段と、浮上分離させた浮上性固体粒子をから凝集体を剥離させる剥離手段と、凝集体を剥離させた浮上性固体粒子をリン含有水に供給する供給路とを有することを特徴とするリン含有水の処理装置。
(35)原水中の凝集除去対象物質に凝集剤と、比重が極めて小さく浮上力が非常に大きい発泡スチロール微粒子などの浮上性粒子と、を添加して攪拌することにより形成させた凝集体を表面に付着させた浮上性粒子を含んだ原水を流入させる流入部を、円筒状の浮上分離処理槽の胴部中段部の接線方向に設けるとともに、処理槽上部の浮上物排出手段と水面より下部の処理水流出部とを備えていることを特徴とする浮上分離処理槽。
(36)さらに、前記流入部の流入水流入方向に対して逆方向の位置に隣接して前記流出部を設けるとともに、その処理水の流出方向が流入水流入方向に対して逆方向に向けられていることを特徴とする前記(35)に記載の浮上分離処理槽。
(37)前記処理槽の上部に、浮上物を浮上物排出手段に向けて掻き寄せる掻寄せ機を備えていることを特徴とする(35)または(36)に記載の浮上分離処理槽。
(38)前記(35)〜(37)の浮上分離槽を備える浮上分離処理システム。
本発明の原水の浮上分離処理方法及び浮上分離処理システムを用いる場合には、以下の効果が得られる。
(1)従来の気泡による浮上分離法では全く不可能であった、超高速度の浮上分離速度で原水中の懸濁粒子、リン酸イオン、色度成分、COD成分などの凝集除去対象物質を浮上分離できる。本発明の浮上分離方法により得られる浮上分離速度は、文字通り驚異的であり5〜10m/minが容易に可能であり、従来の浮上分離法の50〜100倍の浮上速度が可能である。
(2)したがって、合流式下水道の雨天時越流水(CSO)のように、短時間に膨大な水量が発生する原水に極めて好適であり、非常にコンパクトな装置でCSOの懸濁粒子を除去できる。
(3)従来の加圧溶解空気浮上分離法で不可欠であった空気コンプレッサ、空気溶解槽などが不要であり、設備費、動力費が削減できる。
(4)浮上分離された浮上性粒子は、回収して再利用するので汚泥発生量が増加しない。
(5)浮上分離された浮上性粒子含有集合体の移送、洗浄も容易であり、機械的回転機構によるポンプ手段が不要になり、設備費、動力費が少ない。
(6)沈殿分離法における砂のような比重の大きな粒子をフロックの錘に使わないので、ポンプ、サイクロン、配管がサンドブラスト効果によって磨耗することがない。
(7)浮上分離槽上部に浮上性粒子含有集合体形成機能を付与し、浮上分子槽下部に固液分離機能を付与する場合には、高分子凝集剤を添加して凝集物を形成させる凝集撹拌槽を固液分離装置と別個に設置する必要がない。この態様においては、浮上分離槽上部の浮上性粒子含有集合体形成部(撹拌凝集付着部)に高分子凝集剤を添加することで浮上性粒子の表面に凝集物を効果的に付着させ、その後、浮上性粒子含有集合体形成部(撹拌凝集付着部)の直下に位置する固液分離部において、浮上性粒子含有集合体を超高速で固液分離することができる。したがって、装置全体の構成をシンプルにでき、設置面積も大幅に縮小でき、処理所要滞留時間も著しく縮小できる。
(8)浮上性粒子含有集合体形成手段に、浮上性粒子分散手段を設ける場合には、比重が非常に小さく液面に浮上する傾向が非常に大きい浮上性粒子を、槽全体に効果的に分散流動させることができるので、原水中の除去対象物質のマイクロ凝集体を浮上性粒子表面に効果的に付着できる。
(9)浮上分離槽に旋回流発生手段を設ける場合には、浮上分離速度がさらに早くなり、極めて高速度かつ効果的に浮上分離させることができ、処理時間の大幅な短縮や設置スペースの顕著な削減を図ることができる。
(10)浮上分離槽の下部に、傾斜板又は傾斜管を設置する場合には、浮上性粒子含有集合体と処理水との分離効率が良く、処理対象物質である懸濁粒子など(以下、「SS」と称す)含有量の少ない処理水を高い分離速度で得ることができる。
(11)浮上分離槽の上部に、浮上性粒子含有集合体を強制的にかき集めて分離する浮上性粒子含有集合体分離手段(掻き寄せ機構)を設ける場合には、浮上性粒子含有集合体を液面より高い位置で分離できるので、処理水との分離効率がよく、また浮上分離槽からの浮上性粒子含有集合体の取り出しが容易になる。
(12)特にリン酸イオン除去を目的とする態様は、合流式下水道の雨天時越流水(CSO)のように、短時間に膨大な水量が発生する下水、河川水、湖沼水など種々のリン含有水の凝集分離処理に極めて好適であり、非常にコンパクトな装置でリンを除去できる。
(13)また、リン回収を目的とする態様は、貴重なリン(リンは世界的な枯渇資源である)を有価資源として回収できる。さらに、水酸化アルミニウムまたは水酸化鉄汚泥を酸に溶解して、新鮮な無機凝集剤の代替剤として再利用できるので、無機凝集剤の使用量を削減することができ、汚泥処理量が大きく減少する。
なお、上記したいずれのシステムにおいても、システムを連続運転することにより、浮上性粒子含有集合体を含む原水が、実質的に連続的に、あるいは実質的に全量が、浮上分離槽に供給される。「実質的に連続的に浮上分離槽に供給される」とは、浮上性粒子含有集合体形成槽と浮上分離槽との間に断続バルブや定量バルブなどを設けて浮上分離槽への移送量を調節しながら送る場合など、結果的に浮上性粒子含有集合体形成槽からの浮上性粒子含有集合体を含む原水が浮上分離槽に連続的に送られる場合を含むことを意図する。また、「実質的に全量が浮上分離槽に供給される」とは、浮上性粒子含有集合体を含む原水の全量を直接、浮上分離槽に送る場合ばかりでなく、浮上性粒子含有集合体形成槽からの流出水の一部又は全量を原水供給ラインに戻し再び浮上性粒子含有集合体形成槽に供給した後に浮上分離槽に送る場合など、結果的に浮上性粒子含有集合体形成槽からの浮上性粒子含有集合体を含む原水の全量が浮上分離槽に送られる場合を含むことを意図する。また、浮上性粒子含有集合体が液面に浮上する性質を有することから、一般的に、「浮上性粒子含有集合体を含む原水」は浮上性粒子含有集合体形成槽上部に存在し、浮上性粒子含有集合体形成槽下部には浮上性粒子含有集合体を含まない一次処理水が存在するものと考えられる。この一次処理水を通常の下水処理工程に送り、浮上性粒子含有集合体形成槽の上部に存在する浮上性粒子含有集合体を含む原水を浮上分離槽に送る場合も、「浮上性粒子含有集合体を含む原水の実質的に全量が浮上分離槽に送られる」に含むことを意図する。
発明の実施の形態
以下、本発明の実施の形態を添付図面を参照しながら、詳細に説明する。しかし、当業者には明らかなように、本発明はこれら実施の形態に限定されるものではない。
図2は、本発明の浮上分離方法の概略フローを示す。本発明において主要フローは、供給された原水RW(ライン10)に、浮上性粒子FPを供給して(ライン20)、浮上性粒子含有集合体FAを形成させ(工程40)、浮上性粒子含有集合体FAを浮上させて、処理水TWと、浮上性粒子含有集合体FAとに分離させる(工程50)。原水中に含まれている懸濁物及び/又は凝集物(以後、簡略化のために「凝集体AG」と称す)は、浮上性粒子FPに付着して集合体を形成し、浮上性粒子含有集合体FAとして浮上することによって、原水RWから分離させることができるので、処理水TW中には、凝集体AGが実質的に存在しない。
本方法においては、浮上性粒子含有集合体FAをより効率的に形成させるために、浮上性粒子FPを原水RWに供給した後に、浮上性粒子FPを強制的に原水中に分散させる工程(工程45)を含めてもよい。また、浮上性粒子FPに原水中の懸濁物やイオンなどを付着させやすくするために、原水RWに凝集剤を供給してもよい。さらに、浮上性粒子含有集合体浮上分離工程(工程50)において浮上した浮上性粒子含有集合体FAを集めて(ライン74)、浮上性粒子FPと凝集体AGとを分離して(工程60)、浮上性粒子FPを回収して、再び浮上性粒子供給工程に戻し(ライン70)、再利用することもできる。また、浮上分離した浮上性粒子含有集合体FAの一部を直接、浮上性粒子供給工程に戻してもよい(ライン75及び70)。浮上性粒子を再循環させる場合には、実質的に連続的に浮上分離処理が行うことができる。
図3は、本発明の浮上分離システムの一実施形態を示す。
この浮上分離システム100は、原水RWを供給する原水供給ライン110と、原水RWに浮上性粒子FPを供給する浮上性粒子供給ライン120と、無機凝集剤ICを供給する無機凝集剤供給ライン131と、浮上性粒子含有集合体FAを形成する浮上性粒子含有集合体形成槽としての凝集撹拌槽140と、高分子凝集剤PCを供給する高分子凝集剤供給ライン132と、浮上性粒子含有集合体FAを浮上させて原水RWから分離する浮上分離槽150と、浮上性粒子含有集合体FAから凝集体AGを剥離させる凝集体剥離槽161及び浮上性粒子FPと剥離した凝集体AGとを比重の差により沈降分離する分級槽162からなる浮上性粒子分離回収槽160と、を具備する。浮上分離槽150から、浮上性粒子分離回収槽160を経由して、浮上性粒子供給ライン120に至る浮上性粒子再循環ライン170が形成される。なお、本実施形態においては、無機凝集剤供給ライン131及び高分子凝集剤供給ライン132を具備する浮上分離システムを示したが、処理すべき原水RWの水質によってはこれらの供給ラインを省略してもよい。
本実施形態によれば、原水供給ライン110を流通する原水RWに、浮上性粒子供給ライン120から浮上性粒子FPが供給され、凝集剤供給ライン131及び132からそれぞれ無機凝集剤IC及び高分子凝集剤PCが供給され、凝集撹拌槽140において、浮上性粒子FPに原水RW中の凝集体AGが付着して、浮上性粒子含有集合体FAが形成される。この浮上性粒子含有集合体FAを含む原水RWは、次いで、浮上分離槽150に流入する。浮上分離槽150に流入した浮上性粒子含有集合体FAは、比重が非常に軽いので、浮上分離槽150上部の水面に瞬間的に浮上する。こうして、原水RWから浮上性粒子含有集合体FAが浮上分離され、凝集体AGを実質的に含まない清澄な処理水TWは、浮上分離槽150下部から排出される。一方、浮上分離槽150において浮上した浮上性粒子含有集合体FAは、浮上分離槽150上部から凝集体剥離槽161に移送される。凝集体剥離槽161において、浮上性粒子含有集合体FAを含む液を激しく撹拌することによって、浮上性粒子FPから凝集体AGが剥離する。次に、浮上性粒子FPと凝集体AGとが剥離した状態で存在する液を分級槽162に移送し、比重の差によって、凝集体AGを沈降させ、浮上性粒子FPを含む液を回収する。分離回収した浮上性粒子FPは、浮上性粒子再循環ライン70を介して、再度浮上性粒子供給ライン120に戻される。沈降分離した凝集体AGは、通常の汚泥処理工程において処理される。
本実施形態において用いることができる浮上性粒子FPとしては、平均粒径が30〜3000μm、より好ましくは50〜2000μm、さらに好ましくは100〜800μmであり、比重が0.1以下、好ましくは0.04〜0.06の発泡プラスチック微粒子を挙げることができる。浮上性粒子FPの添加量としては、原水RW1リットル当たり嵩容積で10〜100ミリリットルの範囲が好ましい。
また、本実施形態においては、原水RWに無機凝集剤IC又はカチオン性高分子凝集剤を添加して撹拌した後、ノニオン性高分子凝集剤及び両性高分子凝集剤を添加することが好ましい。この場合には、非常に粘着性が大きく強度が強い凝集体AGが形成され、極めて効果的に浮上性粒子FPに付着して、速やかに浮上性粒子含有集合体FAが形成される。無機凝集剤の添加量は、PACの場合に100〜150mg/リットル、塩化第2鉄の場合に50〜100mg/リットルが好ましい。高分子凝集剤の添加量は、1〜5mg/リットル程度が好ましい。
本実施形態において、浮上分離槽150内での浮上性粒子含有集合体FAの浮上速度は、5000〜10000mm/minと従来の加圧溶解空気泡を利用する浮上分離装置の場合の凝集体の浮上速度の約50〜80倍も大きい。
図4は、本発明の浮上分離システムの別の実施形態を示す。
この浮上分離システム200は、原水供給ライン210と、原水RWに浮上性粒子FPを供給する浮上性粒子供給ライン220と、無機凝集剤ICを供給する無機凝集剤供給ライン231と、浮上性粒子含有集合体FAを形成する浮上性粒子含有集合体形成槽としての凝集槽240と、高分子凝集剤PCを供給する高分子凝集剤供給ライン232と、浮上性粒子含有集合体FAを浮上させて原水RWから分離する浮上分離槽250と、浮上分離槽250上部に浮上した浮上性粒子含有集合体FAを移送するポンプPを含む浮上性粒子含有集合体移送ライン274と、浮上性粒子含有集合体FAを浮上性粒子FPと凝集体AGとに剥離させる凝集体剥離槽261及び剥離した凝集体AGを沈殿させて浮上性粒子FPを分離させる浮上性粒子分離槽262からなる浮上性粒子分離回収槽260と、を具備する。浮上分離槽250から、浮上性粒子分離回収槽260を経由して、浮上性粒子供給ライン220に至る浮上性粒子再循環ライン270が形成される。この浮上性粒子再循環ライン270には、浮上性粒子含有集合体移送ライン274から分岐した第2の浮上性粒子含有集合体移送ライン275も接続しており、浮上分離槽250にて浮上分離された浮上性粒子含有集合体FAの一部を、直接、浮上性粒子供給ライン220に戻すこともできるようになされている。なお、ポンプPの代わりに、スクリーンコンベアなどのコンベア機構を用いてもよい。また、本実施形態においては、無機凝集剤供給ライン231及び高分子凝集剤供給ライン232を具備する浮上分離システムを示したが、処理すべき原水RWの水質によってはこれらの供給ラインを省略してもよい。
本実施形態によれば、原水供給ライン210を流通する原水RWに、浮上性粒子供給ライン220から浮上性粒子FPが供給され、凝集剤供給ライン231及び232から凝集剤が供給され、浮上性粒子含有集合体形成槽240において、浮上性粒子FPに原水RW中の凝集体AGが付着して浮上性粒子含有集合体FAが形成される。この浮上性粒子含有集合体FAを含む原水RWは、次いで、浮上分離槽250に流入する。浮上分離槽250に流入した浮上性粒子含有集合体FAは、比重が非常に軽いので、浮上分離槽250上部の液面に瞬間的に浮上する。こうして、原水RWから、浮上性粒子含有集合体FAが浮上分離されて凝集体AGを実質的に含まない清澄な処理水TWは、浮上分離槽250下部から排出される。一方、浮上分離槽250において浮上した浮上性粒子含有集合体FAは、浮上分離槽250上部からポンプPを含む浮上性粒子含有集合体移送ライン274を介して凝集体剥離槽261に移送される。凝集体剥離槽261において、浮上性粒子含有集合体FAを含む液を激しく撹拌することによって、浮上性粒子FPから凝集体AGが剥離する。浮上性粒子FPと凝集体AGとが剥離した状態で存在する液を浮上性粒子分離槽262に移送し、凝集体AGを沈殿させ、浮上性粒子FPを含む液を回収する。分離回収した浮上性粒子FPは、浮上性粒子再循環ライン270を介して浮上性粒子供給ライン220に戻される。沈殿した凝集体AGは通常の汚泥処理工程において処理する。なお、本実施形態においては、浮上分離槽250で浮上分離された浮上性粒子含有集合体FAの一部は、浮上性粒子含有集合体移送ライン274及び第2の浮上性粒子含有集合体移送ライン275を介して、浮上性粒子供給ライン220に戻される。
本実施形態において用いることができる浮上性粒子FPとしては、平均粒径が30〜3000μm、より好ましくは50〜2000μm、さらに好ましくは100〜800μmであり、比重が0.1以下、好ましくは0.01〜0.1の発泡プラスチック微粒子を挙げることができる。浮上性粒子FPの添加量としては、原水RW1リットル当たり嵩容積で2〜200ミリリットル、好ましくは5〜30ミリリットルの範囲が好ましい。
また、本実施形態においては、原水RWに無機凝集剤又はカチオン性高分子凝集剤を添加して撹拌した後、ノニオン性高分子凝集剤及び両性高分子凝集剤を添加することが好ましい。この場合には、非常に粘着性が大きく強度が強い凝集体AGが形成され、極めて効果的に浮上性粒子FPに付着して、速やかに浮上性粒子含有集合体FAが形成される。無機凝集剤の添加量は、PACの場合に100〜150mg/リットル、塩化第2鉄の場合に50〜100mg/リットルが好ましい。高分子凝集剤の添加量は、1〜5mg/リットル程度が好ましい。
本実施形態によれば、浮上分離槽250内での浮上性粒子含有集合体FAの浮上速度は5000〜10000mm/minと、従来の加圧溶解空気泡を利用する浮上分離装置での凝集体の浮上速度の約50〜80倍も大きい。
また、本実施形態においては、浮上分離槽250において浮上した浮上性粒子含有集合体FAの一部が、浮上性粒子供給ライン220に直接戻され、再び浮上性粒子含有集合体形成層240に供給されるので、浮上性粒子含有集合体形成槽240において、すでに形成されている浮上性粒子含有集合体FAにさらに凝集体AGが付着して雪だるま式に成長して、より大きな浮上性粒子含有集合体FAが形成される。また、浮上性粒子含有集合体FAから浮上性粒子FPを分離回収するエネルギーを減少させ、及び分離回収槽の容積を小型化できる、という利点もある。
図5は、本発明の浮上分離システムのまた別の実施形態を示す。
この浮上分離システム300は、原水供給ライン310と、原水RWに浮上性粒子FPを供給する浮上性粒子供給ライン320と、無機凝集剤ICを供給する無機凝集剤供給ライン331が接続する撹拌槽335と、高分子凝集剤PCを供給する高分子凝集剤供給ライン332が接続する浮上性粒子含有集合体FAを形成する浮上性粒子含有集合体形成槽340と、浮上性粒子含有集合体FAを浮上させて原水RWから分離する浮上分離槽350と、浮上分離槽350上部に浮上した浮上性粒子含有集合体FAを受け取る浮上性粒子含有集合体受け槽373と、浮上性粒子含有集合体受け槽373から浮上性粒子含有集合体FAを移送するポンプPを含む浮上性粒子含有集合体移送ライン375と、浮上性粒子含有集合体FAから凝集体AGを剥離させる凝集体剥離槽361と、凝集体AGが剥離された浮上性粒子FPを洗浄する浮上性粒子洗浄槽363と、原水の一部を洗浄用水として浮上性粒子洗浄槽363に供給する洗浄用水供給ライン315と、浮上性粒子洗浄槽363から洗浄された浮上性粒子を撹拌槽335に戻す浮上性粒子再循環ライン370と、を具備する。本実施形態において、浮上性粒子供給ライン320と浮上性粒子再循環ライン370とは同一のラインである。
本実施形態において、浮上性粒子含有集合体形成槽340には、撹拌装置341及び邪魔板342からなる浮上性粒子分散手段が設けられており、原水RWに供給された浮上性粒子FPを原水RW中の凝集体AGと十分に接触させるようになされている。浮上分離槽350には、浮上した浮上性粒子含有集合体FAを掻き寄せる掻き寄せ機構と、浮上性粒子含有集合体FAを含む原水RWに旋回流を与える旋回流発生機構と、が設けられている。
本実施形態における浮上分離槽350を図6及び図7を参照しながら、説明する。
本実施形態の浮上分離槽350は、実質的に円筒状の胴体部及び底部に向かって収束する実質的に円錐状の下部を有し、旋回流発生機構と掻き寄せ機構とを具備する。
旋回流発生機構は、浮上性粒子含有集合体FAを含む原水RWが浮上分離槽350周壁の接線方向に水平に流入するように設けられた流入部351と、流入部351先端から浮上分離槽350内に延出して設けられた整流板352と、流入部351から流入する原水RWの流れ方向終端部にて流入部351に隣接する位置で且つ流入部351の高さ位置以下の高さ位置に設けられた処理水流出部353と、流入部351の高さ位置よりも高い位置に設けられた浮上性粒子含有集合体流出部354と、を具備する。処理水流出部353は、原水流入部351の流入方向に対して逆方向、すなわち浮上分離槽350の内周壁に沿う旋回流の流れ方向に対して下流側を向いた状態で取り付けられている。浮上性粒子含有集合体流出部354は、浮上分離槽350の半径に相当する長さを有する排出トラフであり、浮上分離槽350中心に位置する排出トラフの端部には開口355が設けられている。開口355には、浮上分離槽350の高さ方向に沿って垂下する排出管356が接続している。排出管356は、浮上性粒子含有集合体受け槽373に接続しており、排出トラフ354に流入した浮上性粒子含有集合体FAを移送する。
掻き寄せ機構は、図示しない回転駆動機構により、浮上分離槽350の中心軸を中心として回転可能に設けられている。浮上分離槽350の半径よりも開口355の半径に相当する長さ分短い長さの板状部材であり、掻寄せ機357と、掻寄せ機357の下部に装着させたゴム等の可撓性を有する掻寄せ板358と、を具備する。掻寄せ板358は、浮上分離槽350の中心軸を中心として回転することにより、浮上性粒子含有集合体FAを排出トラフ354に掻き寄せる。
浮上分離槽350底部には、沈殿物排出手段である沈砂排出管359が設けられている。沈砂排出管359は、汚泥受槽(図示せず)に接続されており、必要に応じ原水RWに混入してきた微細砂が沈殿して生じる沈砂を除くようになされている。
なお、旋回流発生手段では、整流板352を省略することもできる。但し、この場合には、整流板352を設置した場合に比べて浮上分離効果が低下するので、処理水流出部353の位置は、原水流入部351の下部で、沈砂排出管359の上部に、従来の超高速浮上分離装置と同様の位置に設置することが好ましい。
なお、本実施形態においては、無機凝集剤供給ライン331及び高分子凝集剤供給ライン332を具備する浮上分離システムを示したが、処理すべき原水RWの水質によってはこれらの供給ラインを省略してもよい。
本実施形態によれば、ゴミ取りスクリーンを通って原水槽に流入した原水RWは、原水供給ライン310を介して撹拌槽335に流入する。撹拌槽335にて、原水RWには、ポンプ(図示せず)により浮上性粒子供給ライン320から浮上性粒子FPが供給され、無機凝集剤供給ライン331から無機凝集剤ICが供給され、1分程度攪拌される。このとき、原水RW中のSS、コロイド、リン酸イオン、COD成分などが凝集されて、凝集物が形成される。次いで、原水RWは、浮上性粒子含有集合体形成槽340に移送され、高分子凝集剤供給ライン332から高分子凝集剤PCが供給される。浮上性粒子含有集合体形成槽340では、30秒程度攪拌される間に、撹拌装置341と邪魔板342とからなる浮上性粒子分散手段により、浮上性粒子FPを原水RW中に均一に十分に分散させて原水RW中の凝集体AGと十分に接触させることで、浮上性粒子FPに凝集体AGが効果的に付着して、浮上性粒子含有集合体FAが形成される。この浮上性粒子含有集合体FAを含む原水RWは、次いで、浮上分離槽350に流入する。
浮上分離槽350において、流入部351から浮上性粒子含有集合体FAを含んだ状態で流入する原水RWは、浮上分離槽350の内周壁に沿う旋回流となる。この旋回流に乗って、原水RWが流入部351から処理水流出部353まで一周する間に、浮上性粒子含有集合体FAが超高速度(浮上速度4000〜7000mm/min)で浮上分離されるとともに、比重の大きな砂等は浮上分離槽350底部の漏斗状の傾斜に沿って浮上分離槽350底部に沈殿し、沈砂排出管359から排出される。処理水TWは処理水流出部353の越流堰を越えて流出し、浮上性粒子含有集合体FAは旋回流に乗って排出トラフ354内に流入する。浮上性粒子含有集合体FAは、掻寄せ板358により排出トラフ354に強制的に掻寄せられ、開口355に入り、排出管356から浮上性粒子含有集合体受け槽373に排出される。
浮上性粒子含有集合体受け槽373に移送された浮上性粒子含有集合体FAは、ポンプPによって浮上性粒子含有集合体移送ライン375を介して、凝集体剥離槽361に移送される。凝集体剥離槽361において、浮上性粒子含有集合体FAを含む液を激しく撹拌することによって、浮上性粒子FPから凝集体AGを剥離させる。次いで、浮上性粒子FPを含む液を浮上性粒子洗浄槽363に移送し、洗浄用水供給ライン315から洗浄用水として原水RWを供給して、浮上性粒子FPを洗浄する。洗浄された浮上性粒子FPは、浮上性粒子再循環ライン370すなわち再度浮上性粒子供給320を介して、撹拌槽335に戻される。
本実施形態において用いることができる浮上性粒子FPとしては、平均粒径が30〜3000μm、より好ましくは100〜1000μmであり、比重が0.1以下、好ましくは0.01〜0.07の発泡プラスチック微粒子を挙げることができる。浮上性粒子FPの添加量としては、原水RW1リットル当たり嵩容積で5〜100ミリリットル、好ましくは10〜40ミリリットルの範囲が好ましい。
本実施形態において、浮上分離槽350内での浮上性粒子含有集合体FAの浮上速度は、5000〜7000mm/minと、従来の加圧溶解空気泡を利用する浮上分離装置での凝集体の浮上速度の約50〜70倍も大きい。
また、本実施形態においては、原水RWを接線方向に導入して浮上分離槽350の内周壁に沿う旋回流とすることにより、原水流入部351から略一周した位置に設けられている処理水流出部353までの距離を、浮上分離槽350の内周距離に比べて長くすることができるので、浮上性粒子含有集合体FAはもちろん、砂沈降物までも十分に分離することができる。さらに、処理水流出部353における処理水TWの流れを浮上分離槽350内の流れに対して逆方向にしているので、浮上性粒子含有集合体FAや沈降物が処理水TWの流れに乗って処理水流出部353に流入する量を低減することができる。
図8は、本発明の浮上分離システムのさらに別の実施形態を示す。
この浮上分離システム400は、原水供給ライン410と、原水RWに浮上性粒子FPを供給する浮上性粒子供給ライン420と、無機凝集剤ICを供給する無機凝集剤供給ライン431と、凝集槽435と、高分子凝集剤PCを供給する高分子凝集剤供給ライン432と、浮上性粒子含有集合体FAを形成させる浮上性粒子含有集合体形成部440を含み浮上性粒子含有集合体FAを浮上分離する浮上分離槽450と、浮上分離槽450から分離された浮上性粒子含有集合体FAを移送するポンプPを含む浮上性粒子含有集合体移送ライン475と、浮上性粒子含有集合体FAから凝集体AGを剥離させる凝集体剥離槽461と、凝集体AGが剥離した浮上性粒子FPを洗浄する浮上性粒子洗浄槽463と、を具備する。浮上性粒子供給ライン420は、浮上性粒子洗浄槽463と浮上分離槽450との間に設けられていて、浮上性粒子洗浄槽463から洗浄された浮上性粒子FPを浮上分離槽450上部に供給する浮上性粒子再循環ラインとしても機能する。
本実施形態において、浮上分離槽450には、浮上性粒子含有集合体形成部としての流動層440と、浮上性粒子含有集合体FAを浮上分離する浮上分離部451と、槽の垂直方向に対して傾斜した複数の整流面を有し、浮上性粒子含有集合体FAの進入を防止する機能も有する傾斜板452と、処理水TWを分離する処理水分離部453と、が設けられている。傾斜板452は、浮上分離槽450のほぼ中間位置よりやや下方に設けられていて、槽上部を浮上性粒子含有集合体形成部として機能する流動層440として、槽下部を浮上性粒子含有集合体FAと処理液TWとに分離する分離部451として、それぞれ利用するように区分けしている。傾斜板452は、傾斜角度50〜60度で、高さ0.4〜0.6mの複数の板を傾斜させて構成しても、ハニカム状の中空形状を有する管を斜めに切断して構成してもよい。
また、浮上分離槽450内の浮上性粒子含有集合体形成部440には、浮上性粒子FP及び処理対象物質の凝集体AGを含む原水に、水平方向の回転流を与え、浮上性粒子FPを原水中に強制的に分散させる撹拌翼441が設けられている。撹拌翼441の形状としては、凝集体AGが剥離しないようなタイプの撹拌翼、たとえば櫂型インペラが適し、スクリュー型はあまり適していない。流動層440は、粒径50〜100μm程度で比重が0.2以下(好ましくは0.01〜0.1)の浮上力が極めて大きい微粒子状の浮上性粒子(たとえば発泡スチロール微粒子)群FPGが存在する帯域である。この帯域に、たとえば下向流速3〜6m/minで凝集体AGを供給すると浮上性粒子群FPGが下向きに膨張し、下向きの流動層440が形成される。流動層440の高さは1〜2mで充分である。浮上分離部451は、流動層440の下部に設けられている分離ボックスである。
なお、本実施形態においては、無機凝集剤供給431、凝集槽435及び高分子凝集剤供給ライン432を具備する浮上分離システムを示したが、処理すべき原水RWの水質によってはこれらを省略してもよい。
本実施形態によれば、原水供給ライン410からの原水RWに、無機凝集剤添加ライン431から無機凝集剤ICを添加して、凝集槽435で30秒程度撹拌する。その後、原水RWに、高分子凝集剤供給ライン432から高分子凝集剤PCを添加して、原水RW中に凝集物を形成させる。凝集体AGを含む原水RWを浮上分離槽450上部の流動層440に流入させる。流動層440に存在する浮上性粒子群帯域FPGに、たとえば下向流速3〜6m/minで、凝集体AGを含む原水RWを供給すると、浮上性粒子群FPGが下向きに膨張し、下向きの流動層440が形成される。驚くべきことに、流動層440を通過する短時間(数10秒)の間に、原水RW中の凝集除去対象物質の微小凝集体AGが、浮上性粒子FP表面にしっかりと付着コーティングされ、浮上性粒子含有集合体FAが形成される。この浮上性粒子含有集合体FAは分離ボックス451内で浮上して原水RWから分離され、得られた清澄な処理水TWは流動層440の下方に配置した傾斜板452を通過して、処理水分離部453の底部から流出する。
分離ボックス451内で浮上している浮上性粒子含有集合体FAを、ポンプP、コンベヤ(図示せず)などの任意の移送手段によって、流動層440から抜き出し、浮上性粒子含有集合体移送ライン475を介して凝集体剥離槽461に移送する。凝集体剥離槽461において、浮上性粒子含有集合体FAを含む液を撹拌すると、凝集体AGが浮上性粒子FP表面から剥離する。次に、凝集体剥離槽461からの流出物(剥離した凝集物AGと浮上性粒子FPと水を含む)を浮上性粒子洗浄槽463に移送する。浮上性粒子洗浄槽463の上から洗浄水(原水RWの一部を利用できる)を供給して洗浄すると、凝集体AGは沈降し、浮上性粒子FPは液面付近に浮上したままとなり分離できる。洗浄された浮上性粒子FPを、浮上性粒子供給ライン420を介して、浮上分離槽450の上部に形成されている浮上性粒子含有集合体形成部440に再循環させる。一方、洗浄槽463底部から洗浄排水を排出し、剥離した凝集体AGを排出させる。このとき、洗浄排水は水量が少ないので、CSOなどの下水処理の場合は、そのまま下水処理場に流し、それ以外の場合は、通常の沈殿槽に供給し、沈殿汚泥を汚泥処理工程にて処理処分することができる。
洗浄された(言い換えると凝集体AGが剥離された)浮上性粒子FPの浮上性粒子含有集合体形成部440への循環量として好適な範囲は、原水1リットル当たり嵩容積で5〜100ミリリットル、好ましくは10〜40ミリリットルである。この範囲内であれば、循環量が少なすぎると処理水TWにリークする凝集体AGの量が増加し、多すぎると浮上性粒子FPの移送、剥離、洗浄量が増加する、という不都合を回避できる。
本実施形態において用いることができる浮上性粒子FPとしては、平均粒径が300〜1500μm、より好ましくは500〜800μmであり、比重が0.2以下、好ましくは0.04〜0.15の発泡プラスチック微粒子を挙げることができる。
本実施形態は、流動層を利用した浮上分離装置であり、充填層(固定層)によるろ過分離ではない。従って運転を継続しても、ヘッドロスが増加することはない。
本実施形態において、浮上性粒子含有集合体FAの浮上速度は極めて大きく、驚くべきことに、原水RWの下向流速を3〜7m/minに設定しても、処理水TW中に浮上性粒子含有集合体FAが流出することがない。この分離速度は従来の加圧溶解空気泡を利用する浮上分離装置での凝集物の浮上速度の約50倍も大きい。
本実施形態においては、浮上分離槽450内に傾斜板452を設置することによって、浮上分離速度をさらに大きくでき、整流効果で処理水TWの分離効率がよくなる。なお、浮上性粒子FPの浮力が非常に大きいので、傾斜管(板)452内が浮上性粒子FPによって、閉塞することがないという大きな特徴がある。
また、本実施形態においては、浮上性粒子含有集合体FAを流動層440から抜き出す手段としてポンプを用いている。ポンプとしては、エアリフトポンプ、混気ジェットポンプ(空気と圧力水を管の下部に送り込み、水の駆動力を与えるもの)、スクリューポンプ、スクリューコンベヤなどが好適である。エアリフトポンプ、混気ジェットポンプは機械的回転機構が不要であり、構造がシンプルであるほか、浮上物移送中の閉塞が起きないと言う重要な利点がある。スクリューポンプは、ポンプ内で浮上性粒子FPの閉塞が起きないので好適である。なお、ポンプ(軸流ポンプ、遠心ポンプなど)、エアリフトを適用すると、浮上性粒子含有集合体移送ライン475において、浮上性粒子FPにせん断力が与えられ、凝集体AGが剥離できるので、別個の剥離部を省くこともできる。
また、凝集体剥離槽461として、液体サイクロンを利用することもできる。すなわち、浮上性粒子含有集合体FAをポンプで液体サイクロンに送り込むと、ポンプを通過する際のせん断力によって、凝集体AGが浮上性粒子含有集合体FAから剥離する。また、浮上性粒子FPの比重は水より大幅に小さいので、サイクロン内で遠心力によりサイクロンの中心部に集まり、比重が1より大きい凝集体AGはサイクロンの外周部に集まる。よって、浮上性粒子FPをサイクロンの中心部から抜き出すことで、凝集体AGと浮上性粒子FPとを容易に分離することができる。この場合、発泡スチロールの比重が非常に小さいので、衝突エネルギ(粒子質量に比例する)が非常に小さく、サイクロンや配管、ポンプが磨耗することがない、という利点もある。つまり、砂などの比重が大きい粒子をフロックに付着させてフロックの錘にする公知の凝集沈殿方法において、液体サイクロンで砂を回収する例があるが、砂の激しい流動によってサンドブラスターのようになってしまい、サイクロン、配管、ポンプなどが非常に磨耗しやすいという欠点を解消する。
図9は、本発明の浮上分離システムのまた別の実施形態を示す。
この浮上分離システム500は、原水RWを供給する原水供給ライン510と、原水RWに浮上性粒子FPを供給する浮上性粒子供給ライン520と、無機凝集剤ICを供給する無機凝集剤供給ライン531と、浮上性粒子含有集合体FAを形成する浮上性粒子含有集合体形成槽540と、高分子凝集剤PCを供給する高分子凝集剤供給ライン532と、浮上性粒子含有集合体FAを浮上させて原水RWから分離する浮上分離槽550と、浮上分離槽550上部に浮上した浮上性粒子含有集合体FAを移送するポンプPを含む浮上性粒子含有集合体移送ライン575と、浮上性粒子含有集合体FAから凝集体AGを剥離させる凝集体剥離槽561と、剥離した凝集体AGと浮上性粒子FPとを比重の差により分離する分離槽562と、を具備する。分離槽562には、浮上性粒子再循環ライン570が接続されていて、回収された浮上性粒子FPを原水供給ライン510に戻す。図示する実施形態においては、浮上性粒子再循環ライン570は、浮上性粒子供給ライン520と同一である。また、浮上性粒子再循環ライン570には、浮上性粒子含有集合体移送ライン575から分岐する第2の浮上性粒子含有集合体移送ライン574も接続されていて、浮上性粒子含有集合体FAから凝集体AGを剥離せずに、原水供給ライン510に移送することもできるようになされている。
本実施形態においては、浮上性粒子含有集合体形成槽540は、攪拌装置541と、浮上性粒子FPを含む原水RWの液面レベルLL付近に位置づけられた邪魔板543と、を具備する浮上性粒子分散手段を具備する。本実施形態における浮上性粒子含有集合体形成槽540を図10及び図11を参照しながら説明する。図10は、図9に示す浮上性粒子含有集合体形成槽540及び該形成槽中に設けられた浮上性粒子分散手段を示す模式図であり、図11は、図10に示す浮上性粒子含有集合体形成槽540の概略平面図である。
図10に示すように、浮上性粒子含有集合体形成槽540には、浮上性粒子含有集合体形成槽540の底部付近やや上で回転するように位置づけられた櫂型撹拌翼541と、櫂型撹拌翼541を駆動するモータ542と、液面付近で回転するように垂下された邪魔板543と、からなる浮上性粒子分散手段が設けられている。邪魔板(バッフル板)543は、図11に示すように、浮上性粒子含有集合体形成槽540の半径方向ほぼ中間位置に、複数枚(図中では4枚)が設置されている。邪魔板(バッフル板)543の数は、1枚でも効果があるが、図示するように、等間隔に4枚設置すると、液面に浮上しようとする浮上性粒子FPを均一に強制的に液面下へ巻き込むことができるので、さらに効果的である。邪魔板543の設置態様としては、浮上性粒子含有集合体形成槽540の壁面に沿って垂直方向に、水面下全体に設置することもできるが、本実施形態の設置態様と比較して旋回流の発生が少なくなる。邪魔板543を設けることによって、図12に示すように、槽540の液面LLの中心部に強い渦が形成され、浮上性粒子FPが液面に浮いた状態でこの渦とともに回転し、槽全体に分散流動しにくくなることが防止される。
また、本実施形態において、浮上分離槽550は、サイクロンのように円筒形の浮上分離槽の外周壁に沿って接線方向に流入させる旋回流発生手段を具備する。なお、本実施形態においては、無機凝集剤供給ライン531及び高分子凝集剤供給ライン532を具備する浮上分離システムを示したが、処理すべき原水RWの水質によってはこれらの供給ラインを省略してもよい。
本実施形態によれば、原水供給ライン510を流通する原水RWに、浮上性粒子供給ライン520から浮上性粒子FPが供給され、凝集剤供給ライン531及び532から凝集剤が供給される。次に、凝集体AGを含む原水RWは、浮上性粒子含有集合体形成槽540に移送される。浮上性粒子含有集合体形成槽540において、浮上性粒子FPは、櫂型撹拌翼541により撹拌されると同時に邪魔板543と接触して分散されて、原水RW中に強制的に分散流動するようになる。すると、除去対象物質の凝集体AGが浮上性粒子FPの表面に付着し、一体化した状態になり、浮上性粒子含有集合体FAが形成される。この浮上性粒子含有集合体FAを含む原水RWは、次いで、サイクロンのように円筒形の浮上分離槽550の外周壁に沿って接線方向に流入し、浮上分離槽550内を旋回流で流れる。すると、水より比重が小さい浮上性粒子含有集合体FAが遠心力により浮上分離槽550の中心部に集まり、分離効果がさらに向上する。浮上分離槽550において、浮上性粒子含有集合体FAは、比重が非常に軽いので、浮上分離槽550上部に瞬間的に浮上する。原水RWから浮上性粒子含有集合体FAすなわち処理対象物質の凝集体AGが除去された清澄な処理水TWは、浮上分離槽550下部から排出される。
浮上分離槽550において浮上した浮上性粒子含有集合体FAは、浮上分離槽550上部からエアリフトなどの任意のポンプP又はコンベヤ機構(図示せず)で取り出され、浮上性粒子含有集合体移送ライン575を介して、凝集体剥離槽561に移送される。凝集体剥離槽561において、浮上性粒子含有集合体FAを含む液を激しく撹拌すると、浮上性粒子含有集合体FA相互がもみ洗い状態になり、浮上性粒子FPから凝集体AGが剥離する。剥離した凝集体AGと浮上性粒子FPとが存在する液を浮上性粒子分離槽562に移送し、凝集体AGを沈殿させ、浮上性粒子FPを回収する。このとき、浮上性粒子分離槽562の上から、原水RWの一部を洗浄水として流しこみ、剥離した凝集体AGを洗い落とすことが好ましい。沈殿した凝集体AGは通常の汚泥処理工程において処理してもよい。浮上性粒子再循環供給ライン570を介して、原水供給ライン510に戻す。
また、浮上分離槽550から取り出した浮上性固体粒子FAの一部を第2の浮上性粒子含有集合体移送ライン574を介して浮上性粒子再循環ライン570に移送してもよい。この場合、浮上性粒子再循環ライン570を介して循環する浮上性粒子FPの表面には、既に凝集体AGが付着しているので、新たな凝集体が、その上に雪だるま式に付着してゆく。この態様では、凝集体剥離槽161に送られる浮上性粒子FPの量が、全量の浮上性粒子FPを凝集体剥離槽161に送る場合よりも少なくなり、剥離槽容積、剥離エネルギを減少できる利点がある。
本実施形態において用いることができる浮上性粒子FPの平均粒径は、過度に大きいと凝集物が浮上性粒子FP表面に付着しにくくなり、過度に小さいと浮上速度が小さくなるので、30〜3000μm程度とする。より好ましくは、50〜2000μm、さらに好ましくは300〜1000μmの範囲である。浮上性粒子FPの比重は、0.2以下、好ましくは0.05〜0.15程度の非常に軽量な粒子を使用することが大きな浮上分離速度を得るために好ましい。浮上性粒子FPの原水RWへの添加量として好適な範囲は、少なすぎると浮上性粒子FPに付着しない凝集体AGが残留し、多すぎるといたずらにハンドリング量が増え煩雑になるので、浮上性粒子FPの嵩容積で、原水RW1リットル当たり、10〜200ミリリットル、より好ましくは20〜100ミリリットルが好適範囲である。
本実施形態に適用するために最適な浮上性粒子FPとしては、発泡スチロールなどの発泡プラスチツク微粒子とを挙げることができる。特に発泡スチロールは、発泡倍率を変えることによって、比重が0.02〜0.2程度と極めて小さい値を任意に選択できること、極めて浮上力が大きいこと、また低価格であること、強度が比較的大きく、強撹拌によっても破壊しないなどの特性があるので最適である。
SSなどの原水RWの除去対象物質を凝集させるための無機凝集剤ICの添加率は、原水RWの水質によって変化するが、下水を処理する場合は、PACでは100〜150mg/リットル、塩化第2鉄では50〜100mg/リットル程度である。無機凝集剤ICの添加は不可欠ではなく、カチオン系ポリマで代替できることが多い。
高分子凝集剤PCとしては、有機高分子凝集剤(ポリマ)はアニオン性、ノニオン性、カチオン性、両性ポリマのいずれか、またはこれらを併用する。その注入率は、下水の場合、1〜5mg/リットル程度で十分である。また、無機高分子凝集剤である重合シリカ(活性シリカとも呼ばれる)を使用することも出来る。
最も効果的な凝集方法を検討した結果、原水RWに無機凝集剤IC又は有機性カチオンポリマを添加して撹拌した後、有機性ノニオン又はアニオンポリマと有機性両性ポリマを添加する方法が、非常に粘着性が大きく強度が強い凝集物が形成され、極めて効果的に浮上性粒子FPの表面に、しっかりと付着した状態が形成できることを見出した。
本実施形態によれば、浮上性粒子FPを浮上性粒子含有集合体形成槽540内で、強制的に分散させて、凝集体と十分に接触させることで、浮上性粒子含有集合体FAをより迅速に、より多量に形成させることができる。
また、浮上性粒子含有集合体FAの浮上速度は極めて大きく、驚くべきことに、浮上速度は5000〜10000mm/minと、従来の加圧溶解空気泡を利用する浮上分離装置での凝集物の浮上速度の約50〜80倍も大きい。
図13は、本発明の浮上分離システムのさらに別の実施形態を示す。
この浮上分離システム600は、原水供給ライン610と、原水RWに浮上性粒子FPを供給する浮上性粒子供給ライン620と、無機凝集剤ICを供給する無機凝集剤供給ライン631と、凝集槽635と、高分子凝集剤PCを供給する高分子凝集剤供給ライン632と、浮上性粒子含有集合体形成部640及び固液分離部651を有する浮上分離槽650と、浮上分離槽650にて浮上分離された浮上性粒子含有集合体FAを移送する浮上性粒子含有集合体移送ライン675と、浮上性粒子含有集合体移送ライン675を介して移送された浮上性粒子含有集合体FAから凝集体AGとを剥離させる凝集体剥離槽661と、を具備する。凝集体剥離槽661には、浮上性粒子供給ライン620が接続されていて、回収された浮上性粒子FPを浮上分離槽650上部の浮上性粒子含有集合体形成部640に戻す浮上性粒子再循環ラインを構成する。浮上性粒子含有集合体形成部640は、浮上分離槽650の上部に形成されていて、浮上性粒子分散手段としての撹拌翼641及び浮上分離槽650の液面LL付近に半径方向ほぼ中心に位置づけられた邪魔板643が設けられている。撹拌翼641は、浮上分離槽650の垂直方向に沿って複数枚(図中では4枚)が設けられている。撹拌翼641は、浮上分離槽650の垂直方向中間位置よりもやや上に位置づけられており、旋回流発生手段としても機能する。浮上分離槽650の下部は、固液分離部651として機能し、浮上性粒子含有集合体FAと処理液TWとを分離する。なお、本実施形態においては、無機凝集剤供給ライン631及び高分子凝集剤供給ライン632を具備する浮上分離システムを示したが、処理すべき原水RWの水質によってはこれらの供給ラインを省略してもよい。
本実施形態によれば、原水供給ライン610中の原水RWに、無機凝集剤供給ライン631から無機凝集剤ICを添加して原水供給管路又は凝集槽635で30秒程度撹拌した後、高分子凝集剤供給ライン632からポリマー(高分子凝集剤PC)を添加する。次いで、凝集体AGを含む原水RWを浮上分離槽(旋回流槽)650上部の浮上性粒子含有集合体形成部(撹拌凝集付着部)640に流入させる。同時に、浮上性粒子含有集合体形成部640には、浮上性粒子供給ライン620から浮上性粒子FPが供給される。供給された凝集体AGを含む原水RW及び浮上性粒子FPは、撹拌翼641による旋回流に乗って分散し、浮上力が極めて大きい浮上性粒子群(たとえば発泡スチロール微粒子)FPGの流動層を形成する。このような浮上性粒子含有集合体形成部(撹拌凝集付着部)640においては、原水RW中の凝集体AGが、浮上性粒子FPの表面に速やかに(10秒程度)付着・コーティングして、浮上性粒子含有集合体FAが効果的に形成される。本実施形態においては、さらに、浮上分離槽650の液面LLの半径方向の中間位置に垂直方向に邪魔板643を設置し、浮上分離槽650上部、すなわち浮上性粒子含有集合体形成部640では渦流を無くすようにしているので、浮上性粒子FPは渦中心に集合したままにならず、効果的に分散流動する。このように、浮上性粒子含有集合体形成部(撹拌凝集付着部)640で旋回流を与えると、遠心力による槽650内の水の静圧分布(槽中心の圧力が槽の壁よりも小さい)によって渦の中心に浮上性粒子FPが集まり、浮上性粒子含有集合体形成部(撹拌凝集付着部)640全体に浮上性粒子FPが流動せず、凝集体の一部が浮上性粒子FP表面に付着しないまま取り残されやすいという問題を解決することができる。
原水RWは、浮上分離槽650の上から下方に流れ、旋回流(渦流)ではその中心部で下降流が生じるために、浮上性粒子含有集合体FAは、その下降流に乗って浮上性粒子含有集合体形成部(凝集撹拌部)640の下方に移行する。しかし、浮上分離槽650下部には撹拌翼が無いので、浮上分離槽650上部の浮上性粒子含有集合体形成部(撹拌凝集付着部)640で引き起こされた回転流が、浮上分離槽650下部に行くに従って減衰し弱くなり、浮上性粒子含有集合体FAが極めて高速で浮上分離される。また、浮上性粒子含有集合体形成部(撹拌凝集付着部)640の最下端撹拌翼の下方近傍には回転流が残っているので、前記の水の静圧分布差によって浮上性粒子含有集合体FAが回転流の渦中心部に集まり、固液分離される。こうして分離された清澄な処理水TWが浮上分離槽650下部から流出する。
浮上分離槽650で分離された浮上性粒子含有集合体FAは、浮上分離槽650の上部側壁に設けた引き抜き管(図示せず)からポンプ(図示せず)によって抜き出され、凝集体剥離槽661に移送される。凝集体剥離槽661で、激しくインペラで撹拌するか又は超音波を照射すると、浮上性粒子含有集合体FAから凝集体AGが剥離する。凝集体AGが剥離された浮上性粒子FPは、任意の移送機構で浮上分離槽650の浮上性粒子含有集合体形成部(撹拌凝集付着部)640に返送され、再度、原水RWの凝集体AGの付着に利用される。
なお、浮上分離槽650から浮上性粒子含有集合体FAをポンプで引き抜くときに、ポンプ内のせん断力によって、凝集物を剥離させることも可能であり、この場合は凝集体剥離槽661での撹拌、超音波照射は不要である。
また、凝集体剥離槽661の上から原水RWの一部を洗浄水として供給し、下から洗浄排水を排水し、剥離した凝集体AGを排出させる。洗浄排水の量は原水RWの処理量の1/100程度であり、水量が少ないので、CSO処理の場合は、そのまま下水処理場に流し、それ以外の場合は、通常の沈殿槽に供給し、剥離した凝集体AGを沈殿させ、沈殿汚泥を汚泥処理工程にて処理処分するなどすればよい。
本実施形態において、高分子凝集剤PCは、浮上分離槽650(浮上性粒子含有集合体形成部640)の上流で原水RWに添加する。この場合、浮上性粒子FP表面に凝集体AGを効果的に付着させることができ、非常に効果的である。
また、最も効果的な凝集態様を検討した結果、原水RWに無機凝集剤又はカチオン性ポリマを添加して撹拌したのち、ノニオン性ポリマと両性ポリマ又は、アニオン性ポリマと両性ポリマを添加する態様が、非常に付着性が大きく強度が強い凝集体を形成し、極めて効果的に浮上性粒子FPの表面に凝集体を付着させることが出来ることを見出した。
本実施形態において用いることができる浮上性粒子FPの平均粒径は、100〜3000μm、さらに好ましくは500〜1000μm程度が好適範囲である。粒径が過度に大きいと、凝集体が浮上性粒子FPに付着しにくくなる問題があり、一方過度に小さいと分離速度(浮上速度及び渦中心に集まる傾向)が小さくなる。浮上性粒子FPの比重としては、極力小さいものを使用することが大きな固液分離速度を得るために重要で、比重が0.2以下のものが好適である。特に、発泡スチロールなどの発泡プラスチツク微粒子、特に発泡スチロールは比重が0.04〜0.2程度と極めて小さくでき、極めて浮上力が大きいこと、低価格で、入手も容易、強度も大きいので最適である。
洗浄された浮上性粒子FPの浮上性粒子含有集合体形成部640への循環量は、原水RW処理量あたりの嵩容積で5〜50ミリリットル程度が好ましく、さらに好ましくは10〜20ミリリットルの範囲である。少なすぎると浮上性粒子FPに付着しない凝集体AGが残留し、処理水TWにリークする凝集体量が増加し、反対に多すぎると浮上性粒子FPの移送、剥離、洗浄量が増加する。
本実施形態において、高分子凝集剤PC(ポリマ)は浮上性粒子FPへの凝集体付着を行うために好ましく用いる。アニオン性、ノニオン性、カチオン性、両性ポリマのいずれかまたはこれらを併用することができる。下水中の凝集除去対象物質を除去する場合、その注入率は1〜5mg/リットル程度で十分である。また上水処理の場合は、高分子凝集剤添加量は、0.5〜1mg/リットル程度で十分である
本実施形態において用いる無機凝集剤ICとしては、硫酸アルミニウム、PAC、塩化第2鉄、硫酸鉄、ポリ硫酸鉄、鉄シリカ凝集剤などを挙げることができる。無機凝集剤ICの適正添加率は、原水RW水質によって変化するが、例えば、下水を処理する場合は、PACでは100〜150mg/リットル、塩化第2鉄では30〜100mg/リットル程度である。
リン酸イオン、フッ素イオン、フミン酸、フルボ酸などをイオンを除去する場合は無機凝集剤ICを添加するが、それ以外の場合は無機凝集剤ICの添加は不可欠ではなく、カチオン性ポリマ単独又はカチオン性ポリマと両性ポリマの併用、カチオン性ポリマとアニオン性ポリマの併用、カチオン性ポリマとノニオン性ポリマの併用のいずれかで処理可能である。
このような浮上分離機構、渦流分離機構を有する本実施形態の浮上分離システムによれば、浮上性粒子含有集合体FAの固液分離速度は極めて大きい。驚くべきことに本装置内の原水下降流速を5000〜10000mm/minと、従来の加圧溶解空気泡を利用する浮上分離装置の約50〜100倍に設定しても、浮上性粒子含有集合体FAが処理水TWとともに浮上分離槽650外に流出することなく、浮上分離槽650の下部から清澄な処理水TWのみが流出することが認められた。
図14は、本発明の浮上分離システムのまた別の実施形態を示す。
本実施形態の浮上分離システム700は、原水供給ライン710と、浮上性粒子供給ライン720と、浮上性粒子供給ライン720及び無機凝集剤供給ライン731が接続されている凝集槽735と、高分子凝集剤供給ライン732が接続されていて、撹拌装置741及び邪魔板743からなる浮上性粒子分散手段を具備する浮上性粒子含有集合体形成槽(第2凝集槽)740と、浮上分離槽750と、浮上分離槽750上部に浮上した浮上性粒子含有集合体FAを移送する浮上性粒子含有集合体移送ライン(エアリフト管)775と、浮上性粒子含有集合体から凝集体AGを剥離させる凝集体剥離槽764と、凝集体AGが剥離された浮上性粒子FPを洗浄する浮上性粒子洗浄槽763と、洗浄用水を供給する洗浄用水供給ライン715と、を具備する。浮上性粒子含有集合体形成槽740は、槽内に強い下降流を起こさせ、浮上性粒子FPを槽内全体に分散流動させる浮上性粒子分散手段を具備する。浮上性粒子分散手段としては、図示するように、浮上性粒子含有集合体形成槽740の壁面に邪魔板743を設置する他、槽中心部にドラフトチューブを設置してもよい。このような浮上性粒子分散手段を設けることにより、浮上性粒子FPが液面に浮遊したままの状態になり、凝集体AGが付着しないという問題を回避することができる。本実施形態において、浮上性粒子含有集合体移送ライン775は、エアリフト管であり、浮上性粒子含有集合体FAは空気によって移送される。浮上性粒子含有集合体FAがエアリフト管775中を搬送される際に、凝集体AGが効果的に剥離される。エアリフト管に代えて、混気ジェットポンプ(空気と圧力水を下部に送り込み、水の駆動力を与えるもの)を用いることもできる。エアリフト管及び混気ジェットポンプは、機械的回転機構が不要であるため大水量の処理に好適であり、移送中の閉塞が起きないという利点もある。
本実施形態によれば、原水RWに、凝集剤(高分子凝集剤単独又は無機凝集剤と高分子凝集剤の併用)と浮上性粒子FP(粒径30〜3000μm;比重0.1以下、好ましくは0.01〜0.07;浮上力が極めて大きい、特に微粒子のもの、たとえば発泡スチロール微粒子)を添加し、攪拌槽735及び740で攪拌すると、浮上性微粒子FP表面に原水中の除去対象物質の凝集体AGが付着した状態のものが形成される。具体的には、凝集槽735中で原水RWに無機凝集剤ICと浮上性微粒子FPを添加・攪拌して凝集させ、凝集物を得る。次いでこの凝集物を含有する原水RWに第2凝集槽(凝集攪拌槽)740中で高分子凝集剤PCを添加し、撹拌翼741により撹拌して、付着性が大きく強度が強い凝集体AGを形成させる。この凝集体AGは浮上性微粒子FPに付着して、浮上性粒子含有集合体FAを形成する。次いで、浮上性粒子含有集合体FAを含有する液を浮上分離装置750に流入させると、浮上性粒子含有集合体FAは瞬間的に浮上分離し、一方、清澄な分離水は下降流として、装置750の下部に設けられている流出管から流出し、これを処理水TWとして取り出す。
分離された浮上性粒子含有集合体FAをエアリフト管775を介して、凝集体剥離槽761に送る。浮上性粒子含有集合体FAを凝集体剥離槽761中で、インペラで激しく攪拌し、凝集体AGを剥離させる。
剥離した凝集体AGと浮上性微粒子FPを含む剥離処理物を洗浄槽(分離槽)763に移送し、洗浄用水として原水RWの一部(又は処理水TWの一部)を洗浄槽763の上から流入させ、凝集体AGを洗浄槽763の下方に洗い流し、洗浄排水として系外に排出する。このとき、浮上性粒子FPを含む液の移送流量を、原水RWへの浮上性微粒子FPの「嵩容積添加流量」以上に設定して供給し、この洗浄・分離槽763からの「洗浄された浮上性微粒子」を、浮上性微粒子FPとして凝集槽731(無機凝集剤による凝集槽)又は凝集攪拌槽740(ポリマによる凝集槽)のいずれかに返送・供給する。こうして、凝集攪拌槽740への浮上性微粒子FPの循環量が過小になり、浮上分離効果が悪化してしまう、という問題を回避する。
ここで洗浄水流量をQ、浮上物移送流量をT、洗浄排水流量をqとするとき、
Q+T > q
に設定すると、供給した洗浄用水の一部が、洗浄槽763の水面からオーバーフローし、その際に、洗浄された浮上性粒子FPを同伴して凝集槽735に流入するように出来、特別のポンプ機構を不要に出来るので極めて好適である。
なお、洗浄排水は水量が少ないので、CSO処理の場合は、そのまま下水処理場に流し、それ以外の場合は、通常の沈殿槽に供給し、沈殿汚泥を汚泥処理工程にて処理処分するなどすればよい。
なお、剥離した凝集体AGと浮上性微粒子FPの分離には、液体サイクロンを利用することもできる。この場合、浮上性微粒子FPの比重は水より大幅に小さいので、遠心力でサイクロンの中心部に集まり、剥離フロックはサイクロンの外周部に集まるので、浮上性微粒子FPをサイクロンの中心部から抜き出すことによって、剥離した凝集体AGと容易に分離できる。
本実施形態において用いる浮上性粒子FPとしては、発泡スチロールなどの発泡プラスチック微粒子、特に独立気泡を内包するものが好適である。浮上性粒子の比重は、0.1以下が好ましく、0.01〜0.07程度がより好ましく、特に0.04程度が好ましい。浮上性粒子の粒径は、30〜3000μm、さらに好ましくは100〜1000μm程度が好適範囲である。浮上性粒子FPの添加量として好適な範囲は、少なすぎると浮上速度向上効果が少なくなり、多すぎると凝集体AGに取り込まれなくなるので、原水1リットルあたり、浮上性粒子の嵩容積で5〜100ミリリットル、さらに好ましくは10〜40ミリリットルの範囲である。
最も効果的な凝集方法を検討した結果、原水RWに無機凝集剤IC又はカチオン性ポリマを添加して攪拌したのち、ノニオン性ポリマと両性ポリマ又はアニオン性ポリマと両性ポリマを添加する方法が、非常に付着性が大きく強度が強い凝集体AGが形成され、極めて効果的に浮上性粒子FPと一体化した浮上性粒子含有集合体FAを形成できることを見出した。
無機凝集剤ICの適正添加率は原水RWの水質によって変化かるが、下水を処理する場合は、PACでは100〜150mg/リットル、塩化第2鉄では50〜100mg/リットル程度である。リン酸イオンを除去する場合は、無機凝集剤の添加は不可欠であるが、それ以外の場合は無機凝集剤の添加は不可欠ではなく、カチオン系ポリマで代替できることが多い。
有機高分子凝集剤(ポリマ)PCはアニオン性、ノニオン性、カチオン性、両性ポリマのいずれか、またはこれらを併用する。下水中の凝集除去対象物質を除去する場合、その注入率は1〜3mg/リットル程度で十分である。
本実施形態において、浮上性粒子含有集合体FAの浮上速度は極めて大きく、驚くべきことに、浮上速度は5000〜7000mm/minと、従来の加圧溶解空気泡を利用する浮上分離装置での凝集体の浮上速度の約50〜70倍も大きい。
図15は、本発明のまた別の浮上分離システムを示す。
本実施形態の浮上分離システム800は、原水供給ライン810と、無機凝集剤供給ライン831を具備する凝集槽835と、高分子凝集剤供給ライン832と、浮上性粒子供給ライン820と、浮上性粒子含有集合体形成槽840と、浮上分離槽850と、浮上性粒子洗浄手段を具備する浮上性粒子分離回収槽860と、を具備する。浮上性粒子供給ライン820は浮上性粒子分離回収槽860と浮上性粒子含有集合体形成槽840とに接続されていて、浮上性粒子再循環ラインを形成する。浮上分離槽850には浮上性粒子含有集合体掻き寄せ機構(図示せず)が設けられていて、浮上分離槽850液面に浮上した浮上性粒子含有集合体FAを強制的に掻き寄せて、原水RWから分離するようになされている。浮上性粒子分離回収槽860には、傾斜スクリーン(図示せず)が設けられていて、浮上分離槽850からの浮上性粒子含有集合体FAはこの傾斜スクリーン上に移送されるようになされている。傾斜スクリーン上の浮上性粒子含有集合体FAの上から、洗浄用水をシャワー状に散水して、凝集体AGを傾斜スクリーン下に流出させるようになされている。なお、傾斜スクリーンの代わりに、スクリューコンベヤの胴部をスクリーンにした構造の移送兼洗浄装置を用いてもよい。
本実施形態によれば、原水供給ライン810を介して原水RWを凝集槽835に供給し、無機凝集剤供給ライン831から無機凝集剤ICを供給して、撹拌する。その後、高分子凝集剤供給ライン832から高分子凝集剤PCを供給し、浮上性粒子含有集合体形成槽である凝集付着槽840に送る。凝集付着槽840には、浮上性粒子供給ライン820から浮上性粒子FPを供給する。凝集付着槽840内で、撹拌装置841により槽内に強い下降流を起こさせて、浮上性粒子FPを槽全体に十分に分散させると、浮上性粒子FP表面に凝集体AGが付着して、浮上性粒子含有集合体FAが形成される。
次いで、浮上性粒子含有集合体FAを含む原水RWを浮上分離槽850に流入させると、浮上性粒子含有集合体FAがその強い浮力で瞬間的に浮上し、下方に清澄な処理水TW(SS:数〜10mg/リットル)が得られる。処理水TWは、3〜5m/minの流速の下降流となって浮上分離装置850下部の処理水分離部から流出する。
浮上した浮上性粒子含有集合体FAをスクレーパ(図示せず)で掻き取り、浮上性粒子分離回収槽860の傾斜ウエッジワイヤスクリーン(目開き0.5mm)上に送る。浮上性粒子分離回収槽860にて、傾斜スクリーン上の浮上性粒子含有集合体FAの上から、圧力水を散水して、付着している凝集体AGを剥離させ、浮上性粒子FPを傾斜スクリーンから落下させて凝集付着槽840に戻す。戻された浮上性粒子FPは、まだ付着能力が残っているために再び凝集体AGの付着に利用することができる。一方、傾斜スクリーン下から排出した排水は、下水終末処理場の最初沈殿池に送水する。
本実施形態に用いることができる浮上性固体粒子としては、粒径100〜3000μm、好ましくは400〜3000μm、より好ましくは500〜800μm、比重0.04〜0.2の発泡スチロールなどの発泡プラスチック微粒子を好ましく挙げることができる。浮上性固体粒子の添加量として好適な範囲は、原水1リットル当たり、嵩容積で5〜100ミリリットルが好適で、さらに好ましくは10〜40ミリリットルの範囲である。
無機凝集剤の適正添加率は原水水質によって変化するが、下水を本発明によって処理する場合は、PACでは100〜150mg/リットル、塩化第2鉄では30〜50mg/リットル程度である。リン酸イオンを除去する場合は無機凝集剤の添加は不可欠であるが、それ以外の場合は無機凝集剤の添加は不可欠ではなく、カチオン系ポリマで代替できることが多い。
有機高分子凝集剤(ポリマ)はアニオン性ポリマ、ノニオン性ポリマ、両性ポリマ、カチオン性ポリマのいずれか又はこれらを併用する。下水中の凝集除去対象物質を除去する場合、その注入率は1〜3mg/リットル程度で十分である。
本実施形態において、最も効果的に凝集体AGを浮上粒子FP表面に付着させる凝集方法を検討したところ、原水RWに無機凝集剤IC又はカチオン性ポリマを添加して攪拌したのち、ノニオンポリマと両性ポリマ又はアニオンポリマと両性ポリマを添加すると、非常に付着性が大きく強度が強い凝集体AGが形成され、極めて効果的に浮上性微粒子FP表面にしっかり付着する凝集体を形成できることを見出した。
本発明によれば、浮上性微粒子含有集合体FA(浮上性微粒子と原水中の除去対象物質と一体化したもの)の浮上速度は極めて大きく、驚くべきことに、浮上速度は3000〜5000mm/minと、従来の加圧溶解空気泡を利用する浮上分離装置の約30〜50倍も大きい。
図16は、本発明の浮上分離システムを特にリン除去に用いた場合の変形実施形態を示す。
本実施形態の浮上分離システム900は、原水供給ライン910と、無機凝集剤供給ライン931が接続されている凝集槽935と、高分子凝集剤供給ライン932が接続されている浮上性粒子含有集合体形成槽940と、浮上分離槽950と、凝集体剥離槽961と、浮上性粒子分離回収槽962と、浮上性粒子供給ライン(浮上性粒子再循環ライン)920と、濾過槽980と、嫌気消化槽990と、を具備する。
なお、図示しないが、浮上性粒子含有集合体形成槽940は、垂直方向の邪魔板を槽壁に設置するか、槽中心部にドラフトチューブを設置するか、原水RWの下降流速を大きくするなどして、槽940内に強い下降流を起こさせ、添加した浮上性粒子FPが槽940全体に分散流動することが好ましい。この場合、添加した浮上性粒子FPが、槽940の水面に浮遊したままの状態になることを防止でき、結果的に、凝集体AGが浮上性粒子FPに効果的に付着する。
また、図示しないが、浮上分離槽950には、整流のため、槽950の下部に整流格子(たとえばハニカムチューブ、傾斜チューブ)を設置するのが好ましい。
なお、浮上性粒子分離槽962には、液体サイクロン機構を設けて、剥離した凝集体AGと浮上性粒子FPとを分離させることが好ましい。この場合、浮上性粒子FPは比重が水より大幅に小さいので遠心力でサイクロンの中心部に集まり、剥離した凝集体AGはサイクロンの外周部に集まるので、浮上性粒子FPをサイクロンの中心部から抜き出すことによって、浮上性粒子FPと剥離した凝集体AGとを容易に分離できる。砂をフロックの錘に使う凝集沈殿方法では、砂とフロックをサイクロンで分離する場合に、砂の激しい流動によるサンドブラスター現象によって、ポンプ、配管、サイクロンが磨耗しやすい問題があるが、本発明では剥離すべき浮上性粒子FPの比重が非常に小さいので衝突エネルギーが砂よりもはるかに小さく、無視可能であるので、このような問題がないという重要利点がある。
また、図示しないが、浮上分離槽950から浮上性粒子含有集合体FAを移送する場合にポンプを用いることが好ましい。ポンプとして好ましい形式は、エアリフトポンプのほかに、混気ジェットポンプ(空気と圧力水を管の下部に送り込み、水の駆動力を与えるもの)、スクリュウコンベヤが好適である。エアリフトポンプ、混気ジェットポンプは機械的回転機構が不要であるため大水量の処理に好適であり、また浮上性粒子含有集合体移送中の閉塞が起きないと言う利点があるので、好適である。
濾過槽980及び嫌気消化槽990は、当該技術分野で用いられている態様のものを好ましく用いることができる。例えば、濾過槽980としては、ダイナミックろ過槽又はろ布ろ過などの手段を設けてもよい。
本実施形態によれば、原水供給ライン910からの原水RWを凝集槽935に流入させ、無機凝集剤供給ライン931から無機凝集剤ICを供給し、撹拌する。次いで、この原水RWを浮上性粒子含有集合体形成槽940に流入させ、高分子凝集剤供給ライン932から高分子凝集剤PCを供給し、急速に撹拌する。すると、原水RW中の除去対象物質(リン、SSなど)の凝集体AGが、浮上性粒子FP表面に付着し、浮上性粒子含有集合体FAが形成される。次いで、浮上性粒子含有集合体FAを含む原水RWを浮上分離槽950に流入させると、浮上性粒子含有集合体FAが瞬間的に浮上し、SSが数mg/リットル程度の清澄な処理水TWが浮上分離槽950下部に配備された処理水流出管からから流出する。
次に、浮上分離槽950上部に浮上した浮上性粒子含有集合体FAを、浮上分離槽上部から任意の取り出し機構(スクレーパーなど)で取り出し、凝集体剥離槽961に供給する。凝集体剥離槽961では、強い撹拌が与えられて、発泡スチロール等の浮上性粒子FP表面から凝集体AGが剥離する。この剥離した状態の凝集アイAGと浮上性粒子FPを含む液を浮上性粒子分離槽962に流入させ、液体サイクロン機構などにより、発泡スチロール等の浮上性粒子FPを浮上させ、剥離した凝集体AGを沈殿させて分離する。分離された浮上性粒子FPは、浮上性粒子供給ライン920を介して、浮上性粒子含有集合体形成槽940に供給される。剥離した凝集体AGは、浮上性粒子分離槽962底部にて濃縮される。
浮上性粒子分離槽962底部にて濃縮された凝集体AGの沈殿濃縮汚泥を、濾過槽980に移送し、濾過によりSS濃度3%以上の高濃度に濃縮し、濃縮した汚泥を嫌気性消化槽990に供給する。濾過槽990にて得られる濾液及び嫌気性消化槽990にて得られる脱離液991は、処理水流出管に流入し、浮上分離槽950で得られた処理水TWと共に生物処理槽(図示せず)などに送られ、活性汚泥処理工程に供給され、溶解性BOD、COD、窒素などが生物学的に除去される。嫌気性消化槽990にて得られる消化汚泥992及び消化ガス993は、通常の処理に供される。
なお、浮上分離槽950で浮上分離させた浮上性粒子含有集合体FAの一部をそのまま浮上性粒子含有集合体形成槽940に循環させてもよい。この場合、既に凝集物が付着している浮上性粒子FPの表面に雪だるま式に新たな凝集物が付着するので好ましい。
本実施形態の浮上分離システムを用いて、有機性懸濁物質(SS)が高濃度に含まれる原水を処理する場合には、嫌気性消化することによってメタンガス(消化ガス)の発生量を増加でき、原水からのエネルギー回収量が増加するとともに嫌気性消化槽の容積も縮小できる、という利点がある。
もちろん、CSOを処理することもできるが、この場合には、浮上分離処理水TWをそのまま、河川などの公共水域に放流する。
本実施形態に適用するために最適な浮上性粒子FPの平均粒径は、100〜3000μm、さらに好ましくは200〜1000μm程度が好適範囲である。過度に大きいと凝集体AGが浮上性粒子FPに付着しにくくなり、一方過度に小さいと浮上速度が小さくなる。浮上性粒子FPの比重は、好ましくは0.1以下、さらに好ましくは0.01〜0.7である。本実施形態において用いる浮上性粒子FPとしては、発泡スチロールなどの発泡プラスチツク微粒子をあげることができる。特に発泡スチロールは比重が0.04程度と極めて小さく、極めて浮上力が大きいこと、低価格で、入手も容易であるので最適である。発泡スチロール等の浮上性粒子FPの添加量として好適な範囲は、原水RW1リットル当たり、嵩容積で5〜100ミリリットル程度が好適で、さらに好ましくは10〜40ミリリットルの範囲である。添加量が少なすぎると付着しない凝集物が残留し、多すぎると浮上性粒子再循環ラインのハンドリング量が多くなる。
本実施形態において、原水RWに無機凝集剤ICを添加して撹拌した後、ノニオン性ポリマと両性ポリマ又はアニオン性ポリマと両性ポリマを添加する態様が、非常に付着性が大きく強度が強い凝集物が形成され、極めて効果的に浮上性粒子FP表面に付着して、浮上性粒子含有集合体FAを形成するので好ましい。
運転当初の無機凝集剤ICの適正添加率は、原水RWの水質によって変化するが、原水RWに含まれるリンを本実施形態によって除去する場合は、PAC、硫酸バンドでは250〜500mg/リットル、塩化第2鉄では100〜200mg/リットル程度が好ましい。
有機高分子凝集剤PC(ポリマ)は、アニオン性、ノニオン性、カチオン性、両性ポリマのいずれか、またはこれらを併用することができる。最も好適な有機高分子凝集剤は、アニオン性またはノニオン性で分子量が1000万以上のタイプ(例えばポリアクリルアミド系ポリマ)である。
下水等の原水RW中のリンを除去する場合、有機高分子凝集剤PCの注入率は1〜3mg/リットル程度で十分である。
本実施形態において、浮上性粒子含有集合体FAの浮上速度は極めて大きく、驚くべきことに、5000〜8000mm/minと、従来の加圧溶解空気泡を利用する浮上分離装置の凝集物の浮上速度の約50〜80倍も大きい。
図17は、本発明の浮上分離システムを特にリン回収に用いた場合のまた別の変形実施形態を示す。
本実施形態の浮上分離システム1000は、原水供給ライン1010と、無機凝集剤供給ライン1031が接続されている凝集槽1035と、高分子凝集剤供給ライン1032が接続されている浮上性粒子含有集合体形成槽1040と、浮上分離槽1050と、凝集体剥離槽1061と、浮上性粒子分離回収槽1062と、浮上性粒子供給ライン(浮上性粒子再循環ライン)1020と、剥離凝集物溶解槽1085と、固液分離槽1080と、リン除去槽1090と、リン除去槽1090から原水供給ライン1010に酸処理液ATを供給する酸処理液供給ライン1095と、を具備する。浮上性粒子分離槽1062までの構成は、図15に示す浮上分離システム900と同一であるので、説明を割愛する。
本実施形態の浮上分離システムを用いてリン酸を含む原水RWを処理する場合には、浮上性粒子分離槽1062にて浮上性粒子FPから剥離させた凝集体AGを浮上性粒子分離槽1062底部にて濃縮し、形成された濃縮汚泥を剥離凝集物溶解槽1085に移送する。剥離凝集物溶解槽1085において、濃縮汚泥に鉱酸を添加し(ライン1086)、水酸化アルミニウム、リン酸アルミニウムを溶解し、アルミニウムイオン、リン酸イオンに変える。水酸化アルミニウムの凝集物を溶解するにはpHを4以下に下げる。溶解時間は10分〜30分程度で良い。次いで、剥離凝集物溶解槽1085において鉱酸に溶解しない物質(原水RWに含まれていた粘土分、微生物細胞、プランクトン、藻類等)は、固液分離槽1080に移送される。固液分離槽1080にて固形分を除去し、得られた分離液を、リン除去槽1090に移送し、リン吸着剤を添加し(ライン1082)、酸性条件下で、リン吸着剤と接触させ、所定時間反応させる。すると、リン酸イオンだけが吸着して除去され、アルミニウムイオン含有酸性液ATが得られる。このアルミニウムイオン含有酸性液ATを酸処理液供給ライン1095を介して原水供給ライン1010に移送する。アルミニウムイオン含有酸性液は、新鮮なPAC又は硫酸バンドの代替凝集剤(再生凝集剤)として再利用することができる。この場合には、新鮮な無機凝集剤ICの所要量を大幅(1/10以下)に減少することができ、系外に排出して汚泥処分すべき量を大幅に減少することができる。なお、再生凝集剤を添加する際に、新鮮な無機凝集剤添加量をゼロにすると処理水質が悪化する場合があるので、少量の新鮮な無機凝集剤ICを添加できるようにしておくことが好ましい。
鉱酸不溶性物質は、嫌気性消化処理、汚泥脱水処理などの汚泥処理工程に供給されて処理される。嫌気性消化処理する場合は、アルカリを添加し、pH5〜6程度に高めてから嫌気性消化処理することが望ましい。
なお、原水RWにリンのほかにSSが存在する場合は、鉱酸不溶性物質(原水RWに含まれている粘土分、有機性SS、プランクトン、藻類等)を固液分離した後、分離液とリン吸着剤を酸性条件で接触させることが好ましい。この固液分離工程を省略して長期間運転すると、鉱酸不溶性物質が浮上分離槽1080に大量に蓄積し、処理水TWへのSS流出などのトラブルが起き、浮上分離処理を悪化させるおそれがある。
なお、凝集分離汚泥を鉱酸に溶解させた液中の鉱酸不溶性物質の固液分離は、必ずしも常時行う必要はなく、間欠的に行って良い。すなわち、系内に鉱酸不溶性固体がある限度以上に蓄積した場合に固液分離槽1062を運転すれば足りる。
また、合流式下水道雨天時越流水(CSO)を処理する場合は、固液分離された鉱酸不溶分を直接汚泥処理工程に供給する必要はなく、終末下水処理場への下水管路に流し、下水処理場に設置されている汚泥処理施設で処理すればよい。
本実施形態において用いることができるリン吸着剤としては、アルミニウムがイオンとして存在できるpH2〜4程度の酸性条件下でも、リン酸イオンを効果的に除去できるリン吸着剤が好ましい。このようなリン吸着剤を用いることで、pH4以上の条件でリンを吸着もしくは沈殿除去する場合に水酸化アルミニウム沈殿が生成し、原水RWに添加すべき金属イオン含有の無機凝集剤ICとしての機能を失ってしまう、という事態を回避することができる。具体的には、鉄系リン吸着剤(例えば水和酸化鉄、水酸化鉄、酸化鉄、塩化第2鉄、ポリ硫酸第2鉄)が最適であり、このほかに水和酸化ジルコニウム、水和酸化ジルコニウム・活性炭複合体、ジルコニウムフェライト、塩化チタン、水和酸化チタン、水和酸化チタン・活性炭複合体、キレート樹脂系吸着材、パーライト系吸着材、活性アルミナ、硫酸アルミニウム添着活性アルミナなども適用できる。しかしこれらは、リンを吸着後にアルカリ液でリンを脱着させるのが、水酸化鉄、水和酸化鉄、酸化鉄系吸着剤よりも難しいことから、本実施形態では鉄系リン吸着剤を使用することが最も好ましい。鉄系リン吸着剤は、上記リン吸着剤の中で最も安価であることも実用上好ましい。
本実施形態において、リン吸着剤として鉄系リン吸着剤を使用する場合、鉄系リン吸着剤と接触させる液のpHは3〜4の範囲においてリン吸着量が大きく、pHを2以下にするとリン吸着量がかなり減少することが認められた。従って、この場合には、原水RWに添加する無機凝集剤ICとしては、鉄系よりはアルミニウム系無機凝集剤が好ましい。アルミニウム系凝集剤の添加によって生成する水酸化アルミニウム、リン酸アルミニウムの凝集物はpH4以下にすると容易に溶解するので、リン吸着剤との接触pH条件はpH3.5程度にできる。鉄系無機凝集剤を使用すると、生成する水酸化鉄、リン酸鉄がpH3.5程度では溶解せず、pH2以下にする必要がある。
次に、リンを吸着したリン吸着剤からリンを脱着させてリン資源を回収する工程を説明する。前記したリン吸着剤は、アルカリ性にするとリンを脱着する性質があるので、リンを吸着した状態のリン吸着剤を、アルカリ性液(NaOH水溶液が適している)と接触させるとリンが脱着してくる。
脱着したリンを含有するアルカリ性液に、Caイオン又はMgイオンを添加すると、リン酸カルシウム、リン酸マグネシウム、リン酸マグネシウムアンモニウムが容易に析出するので、これを回収すれば良い。なお、リン酸マグネシウムアンモニウムを析出するには、Mgイオンのほかにアンモニウムイオンが必要である。これらの物質は、肥料として利用できる有用物質である。
リン回収工程からの分離液はアルカリ性であるので、リン脱着のためのアルカリ剤として再利用することによって、新鮮なNaOHの添加量を削減できる。
実施例
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明する。
実施例1 一般下水の処理試験(ビーカー試験)
2リットルビーカーに、(株)荏原製作所藤沢工場社内の社宅団地下水(SS230mg/リットル)を採取して原水RWとした。
この原水RWに、浮上性粒子FPとして球状発泡スチロール粒子(比重0.08;平均粒径30μm)を嵩容積で20ミリリットル/リットル添加し、強く攪拌して全体に分散させながら、無機凝集剤ICとして塩化第2鉄を40mg/リットル添加し、30秒間、急速攪拌を行った。その後、高分子凝集剤PC(ノニオン性ポリマ「エバグロースN800」および両性ポリマ「エバグロースB034」;いずれも分子量1500万、(株)荏原製作所製)をそれぞれ1.5mg/リットルずつ添加し、1分間急速攪拌したところ、原水RW中での浮上性粒子含有集合体FAの形成が観察された。
撹拌停止後、浮上性粒子含有集合体FAを含む原水RWを浮上分離装置に流入させた。浮上性粒子含有集合体FAは10000mm/minの高速浮上分離速度で原水表面に浮上したことが観察された。
処理水中SSは8mg/リットル(除去率約96.5%)となり、下水中のSSが超高速度で効率よく除去されたことが確認された。
実施例2 一般下水の処理試験(ビーカー試験)
2リットルビーカーに、(株)荏原製作所藤沢工場社内の社宅団地下水(SS230mg/リットル)を採取して原水RWとした。
原水RWに、浮上性粒子FPとして発泡スチロール粒子(平均粒径1000μm、比重0.03)を嵩容積で100ミリリットル/リットル添加し、強く攪拌して全体に分散させながら、無機凝集剤ICとして塩化第2鉄を40mg/リットル添加し、30秒間、急速攪拌を行った。その後、高分子凝集剤PC(ノニオン性ポリマ、「エバグロースN800」および両性ポリマ「エバグロースB034」;いずれも分子量1500万、(株)荏原製作所製)をそれぞれ1.5mg/リットル添加し、0.5分間、急速攪拌したところ、原水RW中での浮上性粒子含有集合体FAの形成が観察された。
撹拌停止後、浮上性粒子含有集合体FAを含む原水RWを浮上分離装置に流入させた。浮上性粒子含有集合体FAは10000mm/minの高速浮上分離速度で原水表面に浮上したことが観察された。
処理水中SSは4mg/リットル(除去率約98.2%)となり、下水中のSSが超高速度で効率よく除去されたことが確認された。
実施例3 一般下水の処理試験(ビーカー試験)
2リットルビーカーに、(株)荏原製作所藤沢工場社内の社宅団地下水(SS230mg/リットル)を採取し、原水RWとした。
この原水RWに、浮上性粒子FPとして発泡スチロール粒子(平均粒径1000μm、比重0.03)を嵩容量で100ミリリットル/リットル添加し、攪拌して全体に分散させながら、無機凝集剤ICとして塩化第2鉄を40mg/リットル添加し、30秒間、急速攪拌を行った。その後、高分子凝集剤PC(アニオン性ポリマ「エバグロースA151」;分子量1500万、(株)荏原製作所製)を1.5mg/リットル添加し、0.5分間、急速攪拌したところ、原水RW中での浮上性粒子含有集合体FAの形成が観察された。
撹拌停止後、浮上性粒子含有集合体FAを含む原水RWを浮上分離装置に流入させた。浮上性粒子含有集合体FAは10000mm/minの高速浮上分離速度で原水表面に浮上したことが観察された。
処理水中SSは8.4mg/リットル(除去率約96%)となり、下水中のSSが超高速度で非常に効率よく除去されたことが確認された。
実施例4 一般下水の処理試験(ビーカー試験)
2リットルビーカーに、(株)荏原製作所藤沢工場社内の社宅団地下水(SS230mg/リットル)を採取し、原水RWとした。
この原水RWに、浮上性粒子FPとして表面にカオリン粘度を付着させた発泡スチロール粒子(比重0.08;平均粒径800μm)を嵩容積で60ミリリットル/リットル添加し、強く撹拌して全体に分散させながら、無機凝集剤ICとして塩化第2鉄を40mg/リットル添加し、30秒間、急速撹拌を行った。その後、高分子凝集剤PC(ノニオン性ポリマ「エバグロースN800」および両性ポリマ「エバグロースLEB201」;いずれも分子量1500万、(株)荏原製作所製)をそれぞれ1.5mg/リットルずつ添加し、1分間、急速撹拌を行ったところ、原水RW中での浮上性粒子含有集合体FAの形成が観察された。
撹拌停止後、浮上性粒子含有集合体FAは8000mm/minの高速浮上分離速度で原水表面に浮上したことが観察された。
処理水中SSは4.3mg/リットル(除去率約98.1%)となり、下水中のSSが超高速度で効率よく除去されたことが確認された。
実施例5 一般下水の処理試験(ビーカー試験)
2リットルビーカーに、(株)荏原製作所藤沢工場社内の社宅団地下水(SS230mg/リットル)を採取し、原水RWとした。
この原水RWに、浮上性粒子FPとして表面にカオリン粘度を付着させた発泡スチロール粒子(比重0.08;平均粒径800μm)を嵩容積で60ミリリットル/リットル添加し、強く撹拌して全体に分散させながら、無機凝集剤ICとして塩化第2鉄を40mg/リットル添加し、30秒間、急速撹拌を行った。その後、高分子凝集剤PC(ノニオン性ポリマ「エバグロースN800」;分子量1500万、(株)荏原製作所製)を3mg/リットル添加し、1分間、急速撹拌を行ったところ、原水RW中での浮上性粒子含有集合体FAの形成が観察された。
撹拌停止後、浮上性粒子含有集合体FAは8000mm/minの高速浮上分離速度で原水表面に浮上したことが観察された。
処理水中SSは11.53mg/リットル(除去率約95%)となり、下水中のSSが超高速度で効率よく除去されたことが確認された。
比較例1〜6 加圧溶解空気を利用する浮上分離装置による試験
原水RWを荏原製作所(株)藤沢工場社内の社宅団地下水(SS230mg/リットル)として、従来公知の加圧溶解空気を利用する浮上分離装置で試験した。原水RW(SS230mg/リットル)に、無機凝集剤ICとして塩化第2鉄を40mg/リットル添加し、30秒間急速攪拌を行った後、表1に示す高分子凝集剤PCを添加し、1分間急速攪拌し、凝集体AGを形成させた。その後、加圧溶解空気を含んだ水を供給し、浮上分離装置に流入させた。浮上分離装置の浮上速度を表1に示すように変化させて、凝集体AGの浮上の有無を観察し、処理水中SSを測定した。結果を表1に示す。なお、凝集体AGの浮上が「無」とは、凝集体AGが浮上せず下降流に随伴されて処理水中に流出したことを示す。
【表1】
実施例6 一般下水の処理試験(連続運転試験)
(株)荏原製作所藤沢工場社内の社宅団地下水(SS230mg/リットル)を原水RWとして、図3に示す本発明の浮上分離システム100を用いて処理試験を行った。
原水供給ライン110を流れる原水RW(流量50m3/h)に、無機凝集剤ICとして塩化第2鉄を40mg/リットル添加し、原水供給ライン110中で20秒間、撹拌した。浮上性粒子供給ライン120を介して、浮上性粒子FPとして発泡スチロール粒子(比重0.08;平均粒径1000μm)を嵩容積で70ミリリットル/リットルを原水RWに添加した。次いで、無機凝集剤ICと浮上性粒子FPとを含む原水RWを撹拌装置141を具備する凝集撹拌槽140に流入させ、この凝集撹拌槽140内で40秒間、撹拌しながら、高分子凝集剤PC(ノニオン性ポリマ「エバグロースN800」および両性ポリマ「エバグロースB034」;いずれも分子量1500万、(株)荏原製作所製)をそれぞれ1.5mg/リットルずつ添加し、1分間急速攪拌したところ、原水RW中での浮上性粒子含有集合体FAの形成が観察された。
その後、浮上性粒子含有集合体FAを含む原水RWを浮上分離槽150に流入させ、浮上分離させたところ、浮上性粒子含有集合体FAは4000mm/minの浮上速度で浮上したことが観察された。
4時間の連続運転後、処理水中SSは、25mg/リットル(除去率約90%)となり、下水中のSSが高速度で効率よく除去されたことが確認された。
実施例7 上水の処理試験(色度除去試験)
富栄養化の進んだ湖沼水(濁度2.89度、色度65度、pH8.2、Mアルカリ度65mg/リットル、過マンガン酸カリウム消費量10.0mg/リットル)を上水用原水として、図3に示す本発明の浮上分離システム100を用いて、浄水処理の試験を行なった。
原水供給ライン110中の原水RWに、無機凝集剤供給ライン131から無機凝集剤ICとして塩化第2鉄を32mg/リットル添加し、浮上性粒子供給ライン120から浮上性粒子FPとして発泡スチロール粒子(平均粒径400μm、比重0.05)を嵩容積比で10%添加し、凝集撹拌槽140内で、1分間急速攪拌を行なった。その後、高分子凝集剤供給ライン132から高分子凝集剤PC(アニオン性ポリマ「エバグロースA151」;分子量1500万、(株)荏原製作所製)を1mg/リットル添加し、20秒間、急速攪拌したところ、凝集撹拌槽140内での浮上性粒子含有集合体FAの形成が観察された。
撹拌停止後、浮上性粒子含有集合体FAを含む原水を浮上分離槽150に流入させた。浮上性粒子含有集合体FAは4000mm/minの高速浮上分離速度で原水表面に浮上したことが観察された。
4時間の連続運転後、濁度0.8度、色度12度、過マンガン酸カリウム消費量4.0mg/リットルの清澄な処理水TWが得られた。
実施例8 一般下水の処理試験(連続運転試験)
(株)荏原製作所藤沢工場社内の社宅団地下水(SS230mg/リットル)を原水RWとして、図8に示す本発明の浮上分離システムを用いて処理試験を行った。
図8に示す浮上分離システム400において、浮上分離槽450には、槽内下部に傾斜板452が傾斜角度60度、傾斜板間隔30mmで設置されており、傾斜板452の上方には浮上性粒子FP(平均粒径600μm、比重0.1の球状発泡スチロール粒子群)が供給されてなる流動層440が、傾斜板452の下方には処理水分離部453が、それぞれ形成されている。
浮上分離システム内原水供給ライン410を流れる原水RW(流量50m3/h)に、無機凝集剤供給ライン431から無機凝集剤ICとして塩化第2鉄を40mg/リットル添加し、凝集槽435内で20秒間、急速撹拌を行った。その後、高分子凝集剤供給ライン432から高分子凝集剤PC(アニオン性ポリマ「エバグロースA151」;分子量1500万(株)荏原製作所製)を1.5mg/リットル添加し、2秒間、管路撹拌を行い、凝集体AGを形成させ、浮上分離槽450内流動層440に下降流速6m/minで供給した。
流動層440には、櫂型インペラ441を50rpmで回転させて旋回流を与えた。この流動層440の原水滞留時間は10秒とした。この結果、凝集体AGは流動層440を通過する間に、発泡スチロール粒子FP表面にしっかりと付着・コーテングされ、流動層440下部から清澄な処理水TWが流出し、傾斜板452を通過して分離された。
流動層440から、凝集体AGが発泡プラスチック粒子FP表面に付着してなる浮上性粒子含有集合体FAを、ノンクロッグポンプPによって水量1.5m3/hで、浮上性粒子分離回収手段を構成する凝集体剥離槽461に移送し、凝集体剥離槽に設けられているスクリュー羽根を回転数500rpmで1分間撹拌したところ、浮上性粒子含有集合体FA同士がもみ洗い状態になり、浮上性粒子含有集合体FAから凝集体AGが効果的に剥離された。次に、凝集体AGと発泡スチロール粒子FPを凝集体排除槽(洗浄槽)463に自然流下で移送した。凝集体排除槽463の上部から、洗浄用水として原水RWの一部を供給し、凝集体AGをシステム外に流出させた。一方、剥離させた発泡スチロール粒子FPを再び浮上分離槽450に戻して、流動層440を形成させた。
このような連続運転を4時間行った結果、処理水中SSは安定して8〜15mg/リットル(除去率約96.5〜93.5%)となり、下水中SSが超高速で高度に除去されたことが確認された。
実施例9 一般下水の処理試験(連続運転試験)
(株)荏原製作所藤沢工場社内の社宅団地下水(SS230mg/リットル)を原水RWとして、図9に示す本発明の浮上分離システム500を用いて処理試験を行った。
図9に示す浮上分離システム500において、浮上性粒子含有集合体形成槽540には、撹拌装置541と浮上性粒子FPを含む原水RWの液面レベル付近に位置づけられた邪魔板543との組み合わせである浮上性粒子分散手段が設けられている。
原水供給ライン510内の原水RWに、浮上性粒子供給ライン520から浮上性粒子FPとして平均粒径1000μm、比重0.05の発泡スチロール微粒子FPを20ミリリットル/リットル添加した。浮上性粒子含有集合体形成槽540において発泡スチロール微粒子FPを全体に分散流動させながら、無機凝集剤ICとして塩化第2鉄を40mg/リットル添加し、30秒間急速撹拌を行った。その後、高分子凝集剤PC(ノニオン性ポリマ「エバグロースN800」(分子量1500万、(株)荏原製作所製)及び両性ポリマ「エバグロースB034」(分子量1500万、(株)荏原製作所製))をそれぞれ1.5mg/リットル添加し、0.5分急速撹拌した。
撹拌停止後、浮上性粒子含有集合体FAを含む原水RWを浮上分離槽550に流入させた。浮上性粒子含有集合体FAは9000mm/minの高速浮上分離速度で原水表面に浮上したことが観察された。
4時間の連続運転後、処理水中SSは3.2mg/リットル(除去率約98.6%))となり、下水中のSSが超高速度で効率よく浮上分離されたことが観察された。
実施例10 一般下水の処理試験(連続運転試験)
(株)荏原製作所藤沢工場社内の社宅団地下水(SS230mg/リットル)を原水RWとして、図9に示す本発明の浮上分離システム500を用いて処理試験を行った。
原水RWに、浮上性粒子FPとして平均粒径1000μm、比重0.04の発泡スチロール微粒子FPを25ミリリットル/リットル添加し。浮上性粒子含有集合体形成槽540において、発泡スチロール微粒子FPを全体に分散流動させながら、無機凝集剤ICとして塩化第2鉄を40mg/リットル添加し、30秒間急速撹拌を行った。その後、高分子凝集剤PC(アニオン性ポポリマ「エバグロースA151」(分子量1500万、(株)荏原製作所製))を1.5mg/リットル添加し、0.5分急速撹拌した。
撹拌停止後、浮上性粒子含有集合体FAを含む原水RWを浮上分離槽550に流入させた。浮上性粒子含有集合体FAは10000mm/minの高速浮上分離速度で原水表面に浮上したことが観察された。
4時間の連続運転後、処理水中SSは8.4mg/リットル(除去率約96.3%)となり、下水中のSSが超高速度で効率よく浮上分離されたことが観察された。
実施例11 (色度除去試験)
富栄養化の進んだ湖沼水(濁度2.89度、色度65度、pH8.2、Mアルカリ度65mg/リットル、過マンガン酸カリウム消費量10.0mg/リットル)を上水原水RWとして、図9に示す本発明の浮上分離システム500を用いて上水処理の試験を行った。
この原水RWに、塩化第2鉄を32mg/リットル添加し、浮上性粒子FPとして発泡スチロール微粒子(平均粒径400μm、比重0.12)を嵩容積比で2%添加し、浮上性粒子含有集合体形成槽540で1分急速撹拌を行った。その後、高分子凝集剤PC(アニオン系ポリマ「エバグロースA151」(分子量1500万、(株)荏原製作所製))を1mg/リットル添加し、20秒急速撹拌を行ったところ、浮上性粒子含有集合体FAの形成が観察された。
次いで、浮上性粒子含有集合体FAを含む原水RWを浮上分離槽550に供給したところ、浮上分離速度4000mm/minで浮上性粒子含有集合体FAが浮上し、浮上分離槽550下部から清澄な処理水TW(濁度0.8度、色度12度、過マンガン酸カリウム消費量4.0mg/リットル)が得られた。
実施例12 (リン酸イオン除去試験)
図9に示す本発明の浮上分離システム500を用いて、リン酸イオン除去処理試験を行った。
リン濃度1.2mg/リットルのリン酸イオンを含有する下水活性汚泥処理水を原水RWとした。この原水RWに、リン吸着剤として水酸化鉄微粒子を50mg/リットル添加して、5分撹拌した。その後、浮上性粒子FPとして発泡スチロール微粒子(平均粒径300μm、比重0.04)を嵩容積比で12%添加し、浮上性粒子含有集合体形成槽540で浮上性粒子FPを槽全体に分散流動させながら、高分子凝集剤PC(アニオンポリマ「エバグロースA151」(分子量1500万、(株)荏原製作所製))を1.3mg/リットル添加して30秒撹拌したところ、浮上性粒子含有集合体FAの形成が観察された。
次いで、浮上性粒子含有集合体FAを含む原水RWを浮上分離槽550に供給したところ、浮上分離速度4000mm/minで浮上性粒子含有集合体FAが浮上し、浮上分離槽550下部から清澄な処理水TWが得られた。
4時間の連続運転後、処理水中SSは、5.7mg/リットル(除去率約97.5%)、リン濃度は0.18mg/リットル(除去率約)であった。
実施例13 一般下水の処理試験(連続運転試験)
(株)荏原製作所藤沢工場社内の社宅団地下水(SS230mg/リットル)を原水RWとして、図13に示す本発明の浮上分離システム600を用いて処理試験を行った。
浮上分離システム600において、浮上性粒子供給手段としての浮上性粒子供給ライン620が浮上分離槽650に接続されており、浮上性粒子分散手段としての撹拌装置641と浮上性粒子FPを含む原水RWの液面レベル付近に位置づけられた邪魔板643とが浮上分離槽650内に設けられている。
浮上分離システム内原水供給ライン610を流れる原水RW(流量50m3/h)に、無機凝集剤ICとして塩化第2鉄を40mg/リットル添加し、凝集槽635にて30秒間、急速撹拌を行った。その後、高分子凝集剤PC(アニオン性ポリマ「エバグロースA151」(分子量1500万、(株)荏原製作所製))を1.5mg/リットル添加した。次いで、原水RWを浮上分離槽650に下降流速6m/minで流入させた。同時に、浮上性粒子FPとしての発泡スチロール球状粒子(比重0.15;平均粒径0.7mm)を浮上性粒子供給ライン620から浮上分離槽650に流入させた。こうして浮上分離槽650に流入した原水RWと浮上性粒子FPとに、浮上分離槽650内部に設けた撹拌装置641及び邪魔板643により回転流を与え、10秒間、撹拌を行ったところ、原水RW中の凝集体AGが発泡スチロール粒子FPの表面に効果的に付着して、浮上性粒子含有集合体FAが形成されたことが観察された。
このとき、浮上分離槽650内部で邪魔板643の下方に設けられている撹拌手段641により、浮上分離槽650内の浮上性粒子含有集合体FAを含む原水RWには下向きの旋回流645が与えられる。この下向きの旋回流645により、浮上分離槽650下部には、渦流655が発生する。浮上性粒子含有集合体FAを含む原水RWは、下向きの旋回流645に乗って浮上分離槽650下部の渦流655発生部分に運ばれ、渦流655発生部分において浮上性粒子含有集合体FAは渦流の中心に集められ、原水RWと分離された。
渦中心に集まった浮上性粒子含有集合体FAをポンプ(図示せず)で浮上分離槽650から抜き出し、密閉型でスクリュウ羽根撹拌機を有する凝集体剥離槽661に移送した。スクリュウ羽根撹拌機を回転数450rpmで回転させ、浮上性粒子含有集合体FAを凝集体剥離槽661内で3分間、撹拌したところ、浮上性粒子FPに付着していた凝集体AGが剥離した。さらに、原水RWの一部を流量0.5m3/hで洗浄用水として凝集体剥離槽661の上部から供給した。洗浄排水は流量0.5m3/hで系外に排出した。洗浄された発泡スチロール粒子を、引き抜きポンプ(図示せず)の吐出圧によって凝集体剥離槽661から浮上性粒子供給ライン620を介して、浮上分離槽650に再び供給した。
このような連続運転を4時間行った結果、処理水中SSは8〜12mg/リットル(除去率約96.5〜94.87%)となり、下水中のSSが超高速で高度に除去されたことが観察された。
実施例14 一般下水の処理試験(連続運転試験)
荏原製作所(株)藤沢工場社内の社宅団地下水(SS230mg/リットル)を原水RWとして、図14に示す本発明の浮上分離システム700を用いて処理試験を行った。
図14に示す浮上分離システム700は、原水供給ライン710と、浮上性粒子供給ライン720と、凝集槽735と、浮上性粒子含有集合体形成槽740と、浮上分離槽750と、凝集体剥離槽761と、浮上性粒子洗浄槽763と、洗浄用水供給ライン715と、を具備する。浮上性粒子供給ライン720は、凝集槽735と浮上性粒子洗浄槽763とに接続されていて、浮上性粒子再循環ラインを形成する。浮上性粒子含有集合体形成槽740には、モータ742により駆動される攪拌羽根741と邪魔板743からなる浮上性粒子分散手段が設けられている。浮上分離槽750上部には、凝集体剥離槽761に接続するエアリフト管775が設けられている。浮上性粒子洗浄槽763には、原水供給ライン710と接続する洗浄用水供給ライン715が設けられている。
図14に示す浮上分離システム700を用いる場合の処理方法の概略は、以下の通りである。原水供給ライン710を介して供給された原水RWは、まず凝集槽735に流入する。凝集槽735には、無機凝集剤ICが供給され、原水RW中に凝集物を形成する。同時に、凝集槽735には、浮上性粒子供給ライン720から浮上性粒子FPが供給される。次いで、無機凝集物及び浮上性粒子FPを含む原水RWは、浮上性粒子含有集合体形成槽740に流入する。浮上性粒子含有集合体形成槽740には、高分子凝集剤PCが供給される。浮上性粒子含有集合体形成槽740では、撹拌羽根741と邪魔板743とにより、浮上性粒子FPが十分に撹拌されて槽全体に分散し、原水RW中の凝集体AGが浮上性粒子FP表面に付着して、浮上性粒子含有集合体FAを形成する。次に、浮上性粒子含有集合体FAを含む原水RWは、浮上分離槽750に流入し、浮上性粒子含有集合体FAは液面上部に浮上し、処理水TWは浮上分離槽750下部から排出される。浮上分離槽750において、液面上部に浮上した浮上性粒子含有集合体FAは、エアリフト管775により凝集体剥離槽761に強制的に移送される。凝集体剥離槽761では、撹拌により、浮上性粒子含有集合体FAから浮上性粒子FPが剥離される。剥離された浮上性粒子FPは、次に、浮上性粒子洗浄槽763に送られ、洗浄用水のシャワー715により洗浄される。洗浄された浮上性粒子FPは、浮上性粒子供給ライン720に戻され、再利用される。
原水供給ライン710を介して原水RW(SS230mg/リットル)を流量50m3/hで供給した。この原水RWに、まず、凝集槽735において、浮上性粒子FPとして球状発泡スチロール微粒子(平均粒径450μm、比重0.05)を20ミリリットル/リットル添加し、強く攪拌して全体に分散させながら、無機凝集剤ICとして塩化第2鉄を40mg/リットル添加し、30秒間、急速攪拌を行った。その後、浮上性粒子FPを含む原水RWを浮上性粒子含有集合体形成槽740に流入させ、高分子凝集剤PC(アニオン性ポリマ「エバグロースA151」(分子量1500万、(株)荏原製作所製))を1.5mg/リットル添加し、0.5分、急速攪拌して、浮上性粒子含有集合体FAを形成させた。次いで、浮上性粒子含有集合体FAを含む原水RWを浮上分離槽750に流入させた。浮上性粒子含有集合体FAは、浮上分離速度50000mm/minの超高速浮上分離速度で瞬間的に浮上した。
浮上分離槽750上部に浮上した浮上性粒子含有集合体FAを流量1.5m3/hでエアリフト管775で凝集体剥離槽761まで汲み上げた。凝集体剥離槽761において、回転数450rpmのスクリュウ羽根攪拌を行わせながら、2分間滞留させたところ、浮上性粒子FPから凝集体AGが剥離した。次に、浮上性粒子FPと凝集体AGの混合物を容積20リットル、高さ0.5mの浮上性粒子洗浄槽(分離槽)763に自然流下で導入した。浮上性粒子洗浄槽763に、原水RWの一部を流量1000リットル/hで洗浄用水として供給した(ライン715)。洗浄排水流量を1000リットル/hに設定し、洗浄槽(分離槽)763水面から「洗浄された浮上性粒子FP」がオーバーフローさせて、浮上性粒子供給ライン720に流入させた。
このような条件で4時間連続処理したところ、処理水のSSは平均11mg/リットル(除去率約95.2%)となり、下水中のSSが超高速度で効率よく除去されたことが観察された。
実施例15 一般下水の処理試験(連続運転試験)
(株)荏原製作所藤沢工場社内の社宅団地下水(SS330mg/リットル)を原水RWとして、図15に示す本発明の浮上分離システムを用いて処理試験を行った。
まず、図15に示す凝集槽835において、原水RW(SS330mg/リットル)に、浮上性粒子FPとして球状発泡スチロール微粒子(平均粒径700μm、比重0.11)を原水RW1リットル当たり60ミリリットルを添加した。次いで、浮上性粒子FPを含む原水RWを強く攪拌して全体に分散させながら、無機凝集剤ICとして塩化第2鉄を30mg/リットル添加し、20秒間、急速攪拌を行った。その後、高分子凝集剤PC(アニオン性ポリマ「エバグロースA151」(分子量1500万、(株)荏原製作所社製))を2mg/リットル添加し、浮上性粒子含有集合体形成槽(凝集付着槽)840に移送した。凝集付着槽840において0.3分攪拌し、発泡スチロール粒子FP表面に原水RW中の凝集体AGを付着させ、浮上性粒子含有集合体FAを形成させた。次に、浮上性粒子含有集合体FAを含む原水RWを浮上分離槽850に流入させた。
浮上性粒子含有集合体FAは、浮上分離速度3500mm/minの超高速浮上分離速度で瞬間的に浮上し、浮上分離槽850下部から清澄処理水TWが得られた。
浮上分離槽850の液面より上に浮上した浮上性粒子含有集合体FAを浮上性粒子含有集合体掻き寄せ機構であるスクレーパ(図示せず)で、浮上性粒子回収分理想860に設けられている傾斜ウエッジワイヤスクリーン(目開き0.5mm)(図示せず)に送り込んだ。傾斜ウエッジワイヤスクリーンの上から、圧力水864を散水し、浮上性粒子含有集合体FAを洗浄すると同時に、浮上性粒子FPと凝集体AGとに分離させた。こうして分離回収した浮上性粒子FPを浮上性粒子供給ライン820を介して浮上性粒子含有集合体形成槽840に再循環させた。浮上性粒子分離回収槽860において傾斜ウエッジワイヤスクリーンの下部に排出する排水は、下水終末処理場の最初沈殿池に送水した。
このような浮上分離システムを4時間連続運転させたところSS8〜9.2mg/リットル(除去率約97.5%〜97.2%)の清澄処理水TWが得られ、原水中SSが超高速で高度に除去されたことが観察された。
実施例16 リン除去
図17に示す浮上分離システム1000を用いて、原水RWとして下水の標準活性汚泥法処理水(リン1.2mg/リットル、SS6mg/リットル)を処理した。
図17に示す浮上分離システム1000は、原水供給ライン1010と、凝集槽1035と、浮上性粒子含有集合体形成槽1040と、浮上分離槽1050と、凝集体剥離槽1061と、浮上性粒子分離回収槽1062と、浮上性粒子供給ライン(浮上性粒子再循環ライン)1020と、凝集体溶解槽1085と、固液分離槽1080と、リン除去槽1090と、リン除去水循環ライン1095と、を具備する。
原水RWを原水供給ライン1010を介して、凝集槽1035に流入させ、無機凝集剤ICとして硫酸アルミニウムを250mg/リットル添加し、30秒間、急速撹拌を行った。その後、原水RWを浮上性粒子含有集合体形成槽1040に流入させ、浮上性粒子FPとして球状発泡スチロール微粒子(平均粒径450μm、比重0.05)を原水RW1リットル当たり20ミリリットル添加した。強く撹拌して、浮上性粒子FPを浮上性粒子含有集合体形成槽1040全体に分散させながら、高分子凝集剤PC(アニオン性ポリマ「エバグロースA151」(分子量1500万、(株)荏原製作所製)を1.5mg/リットル添加し、0.5分、急速攪拌して、浮上性粒子含有集合体FAを形成させた。次いで、浮上性粒子含有集合体FAを含む原水RWを浮上分離槽1050に流入させた。
浮上性粒子含有集合体FAは、浮上分離速度4000mm/minの超高速浮上分離速度で瞬間的に浮上した。処理水TWの水質は、リン0.09mg/リットル(除去率約92.5%)、SS2mg/リットル以下(除去率約66.6%)であった。
浮上分離槽1050上部に浮上した浮上性粒子含有集合体FAをスクレーパー(図示せず)で掻き取り、スクリュウ羽根撹拌機が設置されている凝集体剥離槽1061に移し、回転数600rpmで5分間撹拌した。この結果、発泡スチロール微粒子表面に付着していた凝集体AGが機械的せん断によって剥離された。
剥離した凝集体AGと発泡スチロール粒子FPとを浮上性粒子分離回収槽1062に移し、発泡スチロール微粒子FPを浮上させ、凝集体AGを沈殿させた。浮上した発泡スチロール微粒子FPを、浮上性粒子供給ライン1020に戻し、再度、浮上性粒子含有集合体形成1040に供給した。
この沈殿汚泥(凝集体AGを含む)を凝集体溶解槽1085に移送し、硫酸を添加してpH3.8に下げ20分間撹拌した結果、沈殿汚泥中の水酸化アルミニウム、リン酸アルミニウムが溶解し、アルミニウムイオンと不溶性SSを含んだ硫酸アルミニウム(酸処理液)が生成した。
次に、この酸処理液を固液分離槽1080に移送し、不溶性SSを除去した。
次いで、リン吸着剤(水酸化鉄)をリン1g当たり水酸化鉄SS重量として50g添加し、3時間撹拌した。
次に、リン吸着剤を含む酸処理液をリン除去槽1090に移送し、リン吸着剤を沈澱分離させた。リンを吸着した水酸化鉄からのリンの脱着には、NaOHを添加し、pH12にして2時間撹拌後、水酸化鉄を沈澱分離させた。脱着リン酸イオンの回収には、塩化カルシウムを添加して20分間撹拌し、ヒドロキシアパタイトとして析出させた。この結果、原水RWのリンが肥料として価値のあるリン酸カルシウム系化合物(ヒドロキシアパタイト)として回収できた。
一方、沈殿分離により得られた水をリン除去水循環ライン1095を経由して原水RWに添加したところ、新鮮な硫酸アルミニウム所要添加量が30mg/リットルに削減できた。この結果、廃棄汚泥発生量が通常の凝集沈澱法の約1/6に減少した。
比較例7 リン除去
従来公知の加圧溶解空気を利用する浮上分離装置で試験した。原水RWは実施例16と同一である。原水RWに硫酸バンドを250mg/リットル添加し、30秒間、急速撹拌を行った。その後、高分子凝集剤PC(ノニオン性ポリマ「エバグロースN800」(分子量1500万、(株)荏原製作所製)3mg/リットル添加し、1分間、急速撹拌した。次いで、加圧溶解空気を含んだ水を供給し、浮上分離装置の浮上速度を400mm/minに設定して運転したところ、凝集体AGはほとんど浮上せず、下降流の水流に随伴されて処理水に流出した。処理水SSは、120mg/リットルと著しく悪く、処理不能であった。
【図面の簡単な説明】
図1は、本発明で用いる浮上性粒子含有集合体の模式図である。
図2は、本発明の浮上分離方法の概略フロー図である。
図3は、本発明の浮上分離システムの一実施形態を示す模式図である。
図4は、本発明の浮上分離システムの別の実施形態を示す模式図である。
図5は、本発明の浮上分離システムのまた別の実施形態を示す模式図である。
図6は、図5における浮上分離槽中に設けた旋回流発生手段及び浮上性粒子含有集合体掻き寄せ機構を示す概略平面図である。
図7は、図5における浮上分離層中に設けた旋回流発生手段及び浮上性粒子含有集合体掻き寄せ機構を示す概略断面図である。
図8は、本発明の浮上分離システムのさらに別の実施形態を示す模式図である。
図9は、本発明の浮上分離システムのまた別の実施形態を示す模式図である。
図10は、図9に示す浮上性粒子含有集合体形成槽及び該形成槽中に設けられた浮上性粒子分散手段を示す模式図である。
図11は、図10に示す浮上性粒子含有集合体形成槽の概略平面図である。
図12は、浮上性粒子分散手段を具備しない浮上性粒子含有集合体形成槽を用いた場合の浮上性粒子の挙動を示す概略説明図である。
図13は、本発明の浮上分離システムのさらに別の実施形態を示す模式図である。
図14は、本発明の浮上分離システムのさらに別の実施形態を示す模式図である。
図15は、本発明の浮上分離システムのさらに別の実施形態を示す模式図である。
図16は、本発明の浮上分離システムを特にリン除去に用いた場合の変形実施形態を示す模式図である。
図17は、本発明の浮上分離システムを特にリン回収に用いた場合のまた別の変形実施形態を示す模式図である。
Claims (32)
- 浮上性粒子を原水に供給する浮上性粒子供給工程と、
原水中の懸濁物を凝集させることができる凝集剤を原水に供給して、浮上性粒子に原水中の懸濁物及び/又は凝集物が付着してなる浮上性粒子含有集合体を形成する浮上性粒子含有集合体形成工程と、
浮上性粒子含有集合体を原水中で浮上させて、浮上性粒子含有集合体を原水から分離する浮上性粒子含有集合体分離工程と、
原水から浮上分離させた浮上性粒子含有集合体から浮上性粒子を分離・回収し、原水に再循環させる浮上性粒子再循環工程
を含む原水の浮上分離処理方法。 - 連続的に浮上性粒子含有集合体を含む原水が浮上性粒子含有集合体浮上分離工程に供される、請求項1に記載の原水の浮上分離処理方法。
- さらに、浮上分離した浮上性粒子含有集合体から浮上性粒子が回収される、請求項2に記載の原水の浮上分離処理方法。
- 浮上性粒子含有集合体形成工程は、浮上性粒子を原水中に強制的に分散させ、原水中の懸濁物及び/又は凝集物を浮上性粒子に付着させる浮上性粒子分散工程を含む請求項1〜3のいずれか1項に記載の原水の浮上分離処理方法。
- 浮上性粒子が、比重0.5以下、平均粒径30〜3000μmの粒子である請求項1〜4のいずれか1項に記載の原水の浮上分離処理方法。
- 浮上性粒子が、比重0.2以下、平均粒径30〜3000μmの粒子である請求項1〜4のいずれか1項に記載の原水の浮上分離処理方法。
- 浮上性粒子が、比重0.1以下、平均粒径30〜3000μmの粒子である請求項1〜4のいずれか1項に記載の原水の浮上分離処理方法。
- 浮上性粒子が、発泡プラスチック粒子である請求項1〜7のいずれか1項に記載の原水の浮上分離処理方法。
- 浮上性粒子が、親水性無機物粒子をコーティングしてなる表面親水性浮上性粒子である請求項1〜8のいずれか1項に記載の原水の浮上分離処理方法。
- 凝集剤が、少なくとも高分子凝集剤を含む請求項1〜9のいずれか1項に記載の原水の浮上分離処理方法。
- 浮上性粒子含有集合体を含む原水の全量が浮上性粒子含有集合体分離工程に供される、請求項1〜10のいずれか1項に記載の原水の浮上分離処理方法。
- 浮上性粒子を供給する浮上性粒子供給手段と、
浮上性粒子に原水中の懸濁物及び/又は凝集物が付着してなる浮上性粒子含有集合体を浮上させて原水から分離させる浮上性粒子含有集合体浮上分離手段と、
浮上分離させた浮上性粒子含有集合体から浮上性粒子を分離して回収する浮上性粒子分離回収手段と、
を具備する原水の浮上分離処理システム。 - 浮上性粒子含有集合体浮上分離手段が浮上分離装置であり、該浮上分離装置内に流入する浮上性粒子含有集合体を含む原水に旋回流を発生させる旋回流発生手段を具備する請求項12に記載の原水の浮上分離処理システム。
- 浮上分離装置が円筒状であり、
旋回流発生手段が、浮上性粒子含有集合体を含む原水が浮上分離装置周壁の接線方向に水平に流入するように設けられた流入部と、該流入部先端から浮上分離装置内に延出して設けられた整流板と、該流入部から流入する原水の流れ方向終端部にて該流入部に隣接する位置で且つ該流入部の高さ位置以下の高さ位置に設けられた処理水流出部と、該流入部の高さ位置よりも高い位置に設けられた浮上性粒子含有集合体流出部と、を具備する請求項13に記載の原水の浮上分離処理システム。 - 浮上性粒子含有集合体浮上分離手段が浮上分離装置であり、該浮上分離装置内で液面に浮上した浮上性粒子含有集合体を原水から強制的に分離する浮上性粒子含有集合体分離手段を具備する請求項12〜14のいずれか1項に記載の原水の浮上分離処理システム。
- 浮上性粒子含有集合体分離手段が、浮上分離装置内液面レベル付近に設けられた浮上性粒子含有集合体掻き寄せ機構である請求項15に記載の原水の浮上分離処理システム。
- 浮上性粒子含有集合体浮上分離手段が浮上分離装置であり、浮上分離装置の垂直方向に対して傾斜した複数の整流面を有する整流手段を浮上分離装置下部に具備する請求項12〜16のいずれか1項に記載の原水の浮上分離処理システム。
- 浮上性粒子分離回収手段が、攪拌装置、超音波発生装置、空気噴射装置又は混気ジェットポンプを具備する請求項12〜17のいずれか1項に記載の原水の浮上分離処理システム。
- さらに、浮上分離させた浮上性粒子含有集合体から浮上性粒子を分離して、浮上性粒子供給手段に再循環させる浮上性粒子再循環手段を具備する請求項12〜18のいずれか1項に記載の原水の浮上分離処理システム。
- さらに、浮上分離された浮上性粒子含有集合体から分離した浮上性粒子を洗浄する浮上性粒子洗浄手段を具備する請求項18又は19に記載の原水の浮上分離処理システム。
- 浮上性粒子洗浄手段が、洗浄槽と、浮上分離させた浮上性粒子含有集合体から分離した浮上性粒子を洗浄槽に導入する浮上性粒子導管と、洗浄用水を洗浄槽に供給する洗浄用水導管と、洗浄排水を洗浄槽から流出させる洗浄排水導管と、洗浄された浮上性粒子を浮上性粒子供給ラインに再循環させる浮上性粒子再循環導管と、を具備し、浮上性粒子導管及び洗浄用水導管から導入される流体流量の和が、洗浄排水導管から排出される流体流量よりも多くなるように設定されており、洗浄用水と浮上性粒子とを浮上性粒子再循環導管に導入するようになされている請求項20に記載の原水の浮上分離処理システム。
- さらに、浮上性粒子供給手段によって供給された浮上性粒子を原水中に強制的に分散させる浮上性粒子分散手段を具備する請求項12〜21のいずれか1項に記載の原水の浮上分離処理システム。
- 浮上性粒子分散手段が、攪拌装置と、浮上性粒子を含む原水の液面レベル付近に位置づけられた邪魔板との組み合わせである請求項22に記載の原水の浮上分離処理システム。
- さらに、原水中の懸濁物を凝集させることができる凝集剤を原水に供給する凝集剤供給手段を具備する請求項12〜23のいずれか1項に記載の原水の浮上分離処理システム。
- 浮上性粒子含有集合体を含む原水が、連続的に、浮上性粒子含有集合体浮上分離手段に供給される請求項12〜24のいずれか1項に記載の原水の浮上分離処理システム。
- 浮上性粒子含有集合体を含む原水の全量が、浮上性粒子含有集合体浮上分離手段に供給される、請求項25に記載の原水の浮上分離処理システム。
- 浮上性粒子を供給する浮上性粒子供給ラインと、
原水中懸濁物及び/又は凝集剤により凝集した凝集物を浮上性粒子に付着させて、浮上性粒子含有集合体を形成させる浮上性粒子含有集合体形成槽と、
浮上性粒子含有集合体を浮上させて、原水から分離する浮上分離槽と、
浮上性粒子含有集合体から浮上性粒子を分離回収し、浮上性粒子を浮上性粒子供給ラインに再循環させる浮上性粒子再循環ラインと、
を具備する原水の浮上分離処理システム。 - さらに、懸濁物を凝集させることができる凝集剤を供給する凝集剤供給ラインを具備する請求項27に記載の原水の浮上分離処理システム。
- さらに、浮上分離槽で浮上分離された浮上性粒子含有集合体から浮上性粒子を分離回収する浮上性粒子分離回収槽を具備する請求項27又は28に記載の原水の浮上分離処理システム。
- さらに、浮上性粒子含有集合体から浮上性粒子を分離回収し、洗浄する浮上性粒子洗浄槽を具備する請求項27〜29のいずれか1項に記載の原水の浮上分離処理システム。
- 浮上性粒子含有集合体を含む原水が、連続的に、浮上分離槽に供給される請求項27〜30のいずれか1項に記載の原水の浮上分離処理システム。
- 浮上性粒子含有集合体を含む原水の全量が、浮上分離槽に供給される、請求項27〜31のいずれか1項に記載の原水の浮上分離処理システム。
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