JP2021022525A - 電池用非水電解液及びリチウム二次電池 - Google Patents

電池用非水電解液及びリチウム二次電池 Download PDF

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Abstract

【課題】電池の保存後の抵抗を低減することができる電池用非水電解液を提供する。【解決手段】下記式(A)で表されるスルトン化合物(A)と、下記式(1)で表される化合物を含む1種以上のホウ素化合物(B)と、を含有する電池用非水電解液。式(A)中、Ra1〜Ra4は、それぞれ独立に、水素原子、フッ素原子、炭素数1〜3の炭化水素基、又は炭素数1〜3のフッ化炭化水素基を表す。【選択図】なし

Description

本開示は、電池用非水電解液及びリチウム二次電池に関する。
従来より、電池の性能を向上させる観点から、電池用非水電解液に様々な添加剤を含有させる検討がなされている。
例えば、特許文献1には、電池の充放電特性及び寿命特性を向上させることができる電池用非水電解液として、炭素−炭素二重結合を有するスルトン化合物を含有する電池用非水電解液が開示されている。
特許第4424895号公報
しかしながら、特許文献1に記載の技術に対し、電池の保存後の抵抗をより低減することが求められる場合がある。
本開示の一態様の目的は、電池の保存後の抵抗を低減させることができる電池用非水電解液を提供することである。
本開示の別の一態様の目的は、保存後の抵抗が低減されるリチウム二次電池を提供することである。
上記課題を解決するための手段には、以下の態様が含まれる。
<1> 下記スルトン化合物(A)と、
下記化合物(1)〜下記化合物(6)からなる群から選択される少なくとも1種であるホウ素化合物(B)と、
を含有する電池用非水電解液。
化合物(A)中、Ra1〜Ra4は、それぞれ独立に、水素原子、フッ素原子、炭素数1〜3の炭化水素基、又は炭素数1〜3のフッ化炭化水素基を表す。
化合物(1)〜化合物(6)中、
31〜R33は、それぞれ独立に、水素原子、フッ素原子、炭素数1〜6の炭化水素基、又は炭素数1〜6のフッ化炭化水素基を表し、
41〜R43は、それぞれ独立に、フッ素原子、炭素数1〜6の炭化水素基、又は炭素数1〜6のフッ化炭化水素基を表し、
51は、フッ素原子、炭素数1〜6の炭化水素基、又は炭素数1〜6のフッ化炭化水素基を表し、
52は、水素原子、フッ素原子、炭素数1〜6の炭化水素基、又は炭素数1〜6のフッ化炭化水素基を表し、
nは、1〜3の整数を表す。
<2> 前記ホウ素化合物(B)が、前記化合物(1)を含む<1>に記載の電池用非水電解液。
<3> 前記スルトン化合物(A)の含有量が、電池用非水電解液の全量に対し、0.001質量%〜10質量%である<1>又は<2>に記載の電池用非水電解液。
<4> 前記ホウ素化合物(B)の含有量が、電池用非水電解液の全量に対し、0.001質量%〜10質量%である<1>〜<3>のいずれか1つに記載の電池用非水電解液。
<5> 更に、下記化合物(C1)〜下記化合物(C7)からなる群から選択される少なくとも1種である添加剤(C)を含有する<1>〜<4>のいずれか1つに記載の電池用非水電解液。
化合物(C1)中、Rc11及びRc12は、それぞれ独立に、水素原子、フッ素原子、炭素数1〜6の炭化水素基、又は炭素数1〜6のフッ化炭化水素基を表す。
化合物(C2)中、Rc21〜Rc24は、それぞれ独立に、水素原子、フッ素原子、炭素数1〜6の炭化水素基、又は炭素数1〜6のフッ化炭化水素基を表す。但し、Rc21〜Rc24は、同時に水素原子となることはない。
化合物(C3)中、Rc31〜Rc33は、それぞれ独立に、フッ素原子又は−OLi基を表し、Rc31〜Rc33の少なくとも1つが−OLi基である。
化合物(C4)中、Rc41〜Rc43は、それぞれ独立に、炭素数1〜6の炭化水素基、炭素数1〜6のフッ化炭化水素基、又は基(s)を表し、nは、0又は1を表す。
基(s)中、Rc44〜Rc46は、それぞれ独立に、炭素数1〜6の炭化水素基を表し、*は、結合位置を表す。
化合物(C5)中、Rc51〜Rc54は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜6の炭化水素基、基(a)、又は基(b)を表す。基(a)及び基(b)中、*は、結合位置を表す。
化合物(C6)中、Rc61は、フッ素原子又は炭素数1〜6のフッ化炭化水素基を表す。
化合物(C7)中、Rc71及びRc72は、それぞれ独立に、フッ素原子又は炭素数1〜6のフッ化炭化水素基を表す。
<6> 前記添加剤(C)が、前記化合物(C1)と、前記化合物(C2)〜前記化合物(C7)からなる群から選択される少なくとも1種と、からなる<5>に記載の電池用非水電解液。
<7> 前記添加剤(C)の含有量が、電池用非水電解液の全量に対し、0.001質量%〜10質量%である<5>又は<6>に記載の電池用非水電解液。
<8> 正極と、
金属リチウム、リチウム含有合金、リチウムとの合金化が可能な金属若しくは合金、リチウムイオンのドープ・脱ドープが可能な酸化物、リチウムイオンのドープ・脱ドープが可能な遷移金属窒素化物、及び、リチウムイオンのドープ・脱ドープが可能な炭素材料からなる群から選ばれる少なくとも1種を負極活物質として含む負極と、
<1>〜<7>のいずれか1つに記載の電池用非水電解液と、
を含むリチウム二次電池。
<9> 前記負極におけるSiの含有量が、前記負極の全体に対し、5質量%以下である<8>に記載のリチウム二次電池。
<10> <8>又は<9>に記載のリチウム二次電池を充放電させて得られたリチウム二次電池。
本開示の一態様によれば、電池の保存後の抵抗を低減させることができる電池用非水電解液が提供される。
本開示の別の一態様によれば、保存後の抵抗が低減されるリチウム二次電池が提供される。
本開示のリチウム二次電池の一例である、ラミネート型電池の一例を示す概略斜視図である。 図1に示すラミネート型電池に収容される積層型電極体の、厚さ方向の概略断面図である。 本開示のリチウム二次電池の別の一例である、コイン型電池の一例を示す概略断面図である。
本明細書において、「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
本明細書において、組成物中の各成分の量は、組成物中に各成分に該当する物質が複数存在する場合は、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数の物質の合計量を意味する。
〔電池用非水電解液〕
本開示の電池用非水電解液(以下、単に「非水電解液」ともいう)は、
下記スルトン化合物(A)と、
下記化合物(1)〜下記化合物(6)からなる群から選択される少なくとも1種であるホウ素化合物(B)と、
を含有する。
化合物(A)中、Ra1〜Ra4は、それぞれ独立に、水素原子、フッ素原子、炭素数1〜3の炭化水素基、又は炭素数1〜3のフッ化炭化水素基を表す。
化合物(1)〜化合物(6)中、
31〜R33は、それぞれ独立に、水素原子、フッ素原子、炭素数1〜6の炭化水素基、又は炭素数1〜6のフッ化炭化水素基を表し、
41〜R43は、それぞれ独立に、フッ素原子、炭素数1〜6の炭化水素基、又は炭素数1〜6のフッ化炭化水素基を表し、
51は、フッ素原子、炭素数1〜6の炭化水素基、又は炭素数1〜6のフッ化炭化水素基を表し、
52は、水素原子、フッ素原子、炭素数1〜6の炭化水素基、又は炭素数1〜6のフッ化炭化水素基を表し、
nは、1〜3の整数を表す。
本開示の非水電解液によれば、電池の保存後の抵抗を低減させることができる。
かかる効果が奏される理由は、以下のように推測される。
本開示の非水電解液によれば、スルトン化合物(A)の作用により、電池の保存時の抵抗上昇を抑制できると考えられる。この理由は明らかではないが、電池の保存時に、電極(負極及び/又は正極)の表面にスルトン化合物(A)に由来する被膜が形成され、電池の保存時に形成される上記被膜の作用により、保存時の電極の劣化を防止し抵抗の上昇が抑制されるためと考えられる。
更に、本開示の非水電解液によれば、ホウ素化合物(B)の作用により、電池の初期抵抗(即ち、保存前の抵抗)を低減できると考えられる。この理由は明らかではないが、ホウ素化合物(B)が、スルトン化合物(A)と比較して、還元反応性が高いことが関係していると考えられる。即ち、ホウ素化合物(B)は、還元反応性が高いために、電池の保存前において、負極の表面にスルホン化合物(A)よりも速やかに被膜を形成すると考えられる。電池の保存前に形成される上記被膜の作用により、電池の初期抵抗(保存前の抵抗)が低減されると考えられる。
<スルトン化合物(A)>
スルトン化合物(A)は、以下のとおりである。
化合物(A)中、Ra1〜Ra4は、それぞれ独立に、水素原子、フッ素原子、炭素数1〜3の炭化水素基、又は炭素数1〜3のフッ化炭化水素基を表す。
a1〜Ra4で表される炭素数1〜3の炭化水素基としては、アルキル基、アルケニル基、又はアルキニル基が好ましく、アルキル基又はアルケニル基がより好ましく、アルキル基が特に好ましい。
a1〜Ra4で表される炭素数1〜3の炭化水素基の炭素数としては、1又は2が好ましく、1が特に好ましい。
a1〜Ra4で表される炭素数1〜3のフッ化炭化水素基としては、フッ化アルキル基、フッ化アルケニル基、又はフッ化アルキニル基が好ましく、フッ化アルキル基又はフッ化アルケニル基がより好ましく、フッ化アルキル基が特に好ましい。
a1〜Ra4で表される炭素数1〜3のフッ化炭化水素基の炭素数としては、1又は2が好ましく、1が特に好ましい。
本開示において、
フッ化炭化水素基とは、炭化水素基に含まれる水素原子のうちの少なくとも1つを、フッ素原子に置き換えた基を意味し、
フッ化アルキル基とは、アルキル基に含まれる水素原子のうちの少なくとも1つを、フッ素原子に置き換えた基を意味し、
フッ化アルケニル基とは、アルケニル基に含まれる水素原子のうちの少なくとも1つを、フッ素原子に置き換えた基を意味し、
フッ化アルキニル基とは、アルキニル基に含まれる水素原子のうちの少なくとも1つを、フッ素原子に置き換えた基を意味する。
a1〜Ra4は、それぞれ独立に、水素原子、フッ素原子、メチル基、エチル基、トリフルオロメチル基、又はペンタフルオロエチル基が好ましく、水素原子又はメチル基がより好ましく、水素原子が特に好ましい。
スルトン化合物(A)の具体例としては、下記化合物(A−1)〜化合物(A−21)が挙げられるが、スルトン化合物(A)は、これらの具体例には限定されない。
これらのうち、化合物(A−1)(即ち、1,3−プロペンスルトン;以下、「PRS」ともいう)が特に好ましい。
スルトン化合物(A)の含有量は、非水電解液の全量に対し、0.001質量%〜10質量%が好ましく、0.003質量%〜5質量%がより好ましく、0.003質量%〜3質量%であることが更に好ましく、0.03質量%〜3質量%であることが更に好ましく、0.1質量%〜3質量%であることが更に好ましく、0.1質量%〜2質量%であることが更に好ましい。
<ホウ素化合物(B)>
ホウ素化合物(B)は、下記化合物(1)〜下記化合物(6)からなる群から選択される少なくとも1種である。
以下、化合物(1)〜化合物(6)について説明する。
(化合物(1))
化合物(1)は、以下のとおりである。
化合物(1)は、リチウムジフルオロオキサラトボレート(以下、「LiFOB」ともいう)である。
(化合物(2))
化合物(2)は、以下のとおりである。
化合物(1)は、リチウムビス(オキサラト)ボレート(以下、「LiBOB」ともいう)である。
(化合物(3))
化合物(3)は、以下のとおりである。
化合物(3)中、R31〜R33は、それぞれ独立に、水素原子、フッ素原子、炭素数1〜6の炭化水素基、又は炭素数1〜6のフッ化炭化水素基を表す。
化合物(3)中、R31〜R33で表される炭素数1〜6の炭化水素基は、直鎖の炭化水素基であってもよいし、分岐及び/又は環構造を有する炭化水素基であってもよい。
31〜R33で表される炭素数1〜6の炭化水素基としては、例えば;
メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、1−エチルプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、2−メチルブチル基、3,3−ジメチルブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、1−メチルペンチル基、n−ヘキシル基、イソヘキシル基、sec−ヘキシル基、tert−ヘキシル基等のアルキル基;
ビニル基、1−プロペニル基、アリル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基、3−ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、イソプロペニル基、2−メチル−2−プロペニル基、1−メチル−2−プロペニル基、2−メチル−1−プロペニル基等のアルケニル基;
フェニル基;
等が挙げられる。
31〜R33で表される炭素数1〜6の炭化水素基としては、
フェニル基、炭素数1〜6のアルキル基、又は炭素数2〜6のアルケニル基が好ましく、
炭素数1〜6のアルキル基又は炭素数2〜6のアルケニル基がより好ましく、
炭素数1〜6のアルキル基が更に好ましい。
31〜R33で表される炭素数1〜6の炭化水素基における炭素数は、好ましくは1〜4であり、より好ましくは1〜3であり、更に好ましくは1又は2であり、特に好ましくは1である。
化合物(3)中、R31〜R33で表される炭素数1〜6のフッ化炭化水素基は、直鎖のフッ化炭化水素基であってもよいし、分岐及び/又は環構造を有するフッ化炭化水素基であってもよい。
本開示において、フッ化炭化水素基は、少なくとも1つのフッ素原子で置換された炭化水素基を意味する。
31〜R33で表される炭素数1〜6のフッ化炭化水素基としては、例えば;
フルオロメチル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基、1,1,2,2−テトラフルオロエチル基、パーフルオロエチル基、2,2,3,3−テトラフルオロプロピル基、パーフルオロプロピル基、パーフルオロブチル基、パーフルオロペンチル基、パーフルオロヘキシル基、パーフルオロイソプロピル基、パーフルオロイソブチル基等のフルオロアルキル基;
2−フルオロエテニル基、2,2−ジフルオロエテニル基、2−フルオロ−2−プロペニル基、3,3−ジフルオロ−2−プロペニル基、2,3−ジフルオロ−2−プロペニル基、3,3−ジフルオロ−2−メチル−2−プロペニル基、3−フルオロ−2−ブテニル基、パーフルオロビニル基、パーフルオロプロペニル基、パーフルオロブテニル基等のフルオロアルケニル基;
モノフルオロフェニル基、ジフルオロフェニル基、トリフルオロフェニル基、テトラフルオロフェニル基、ペンタフルオロフェニル基(即ち、パーフルオロフェニル基)等のフルオロフェニル基;
等が挙げられる。
31〜R33で表される炭素数1〜6のフッ化炭化水素基としては、
フルオロフェニル基、炭素数1〜6のフルオロアルキル基、又は炭素数2〜6のフルオロアルケニル基が好ましく、
炭素数1〜6のフルオロアルキル基又は炭素数2〜6のフルオロアルケニル基がより好ましく、
炭素数1〜6のフルオロアルキル基が更に好ましい。
31〜R33で表される炭素数1〜6のフッ化炭化水素基における炭素数は、好ましくは1〜4であり、より好ましくは1〜3であり、更に好ましくは1又は2であり、特に好ましくは1である。
化合物(3)中、R31〜R33としては、水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基が特に好ましい。
以下、化合物(3)の具体例を示すが、化合物(3)は、以下の具体例には限定されない。
(化合物(4))
化合物(4)は、以下のとおりである。
化合物(4)中、R41〜R43は、それぞれ独立に、フッ素原子、炭素数1〜6の炭化水素基、又は炭素数1〜6のフッ化炭化水素基を表す。
化合物(4)中、R41〜R43で表される炭素数1〜6の炭化水素基の具体例及び好ましい態様は、化合物(3)中のR31〜R33で表される炭素数1〜6の炭化水素基の具体例及び好ましい態様と同様である。
化合物(4)中、R41〜R43で表される炭素数1〜6のフッ化炭化水素基の具体例及び好ましい態様は、化合物(3)中のR31〜R33で表されるフッ化炭素数1〜6の炭化水素基の具体例及び好ましい態様と同様である。
化合物(4)中、R41〜R43としては、炭素数1〜6のアルキル基が好ましい。
以下、化合物(4)の具体例を示すが、化合物(4)は、以下の具体例には限定されない。
(化合物(5))
化合物(5)は、以下のとおりである。
化合物(5)中、
51は、フッ素原子、炭素数1〜6の炭化水素基、又は炭素数1〜6のフッ化炭化水素基を表し、
52は、水素原子、フッ素原子、炭素数1〜6の炭化水素基、又は炭素数1〜6のフッ化炭化水素基を表し、
nは、1〜3の整数を表す。
化合物(5)中、R51及びR52で表される炭素数1〜6の炭化水素基の具体例及び好ましい態様は、化合物(3)中のR31〜R33で表される炭素数1〜6の炭化水素基の具体例及び好ましい態様と同様である。
化合物(5)中、R51及びR52で表される炭素数1〜6のフッ化炭化水素基の具体例及び好ましい態様は、化合物(3)中のR31〜R33で表されるフッ化炭素数1〜6の炭化水素基の具体例及び好ましい態様と同様である。
化合物(5)中、R51としては、炭素数1〜6のアルキル基又は炭素数2〜6のアルケニル基が好ましい。
化合物(5)中、R52としては、フッ素原子、炭素数1〜6の炭化水素基、又は炭素数1〜6のフッ化炭化水素基が好ましく、炭素数1〜6のアルキル基又は炭素数2〜6のアルケニル基がより好ましい。
化合物(5)中、nは、1〜3の整数を表すが、好ましくは2又は3である。
以下、化合物(5)の具体例を示すが、化合物(5)は、以下の具体例には限定されない。
(化合物(6))
化合物(6)は、以下のとおりである。
を含有する。
ホウ素化合物(B)の含有量は、非水電解液の全量に対し、0.001質量%〜10質量%が好ましく、0.003質量%〜5質量%がより好ましく、0.003質量%〜3質量%であることが更に好ましく、0.03質量%〜3質量%であることが更に好ましく、0.1質量%〜3質量%であることが更に好ましく、0.1質量%〜2質量%であることが更に好ましい。
ホウ素化合物(B)の含有量のこれらの範囲は、それぞれ、化合物(1)〜化合物(6)の各々の含有量の範囲としても適用可能である。
本開示の非水電解液において、スルトン化合物(A)の含有質量に対するホウ素化合物(B)の含有質量の比(以下、含有質量比〔ホウ素化合物(B)/スルトン化合物(A)〕)は、好ましくは0.1〜10であり、より好ましくは0.2〜5.0であり、更に好ましくは0.5〜3.0であり、更に好ましくは1.0〜2.5である。
ホウ素化合物(A)は、化合物(1)を含むことが好ましい。
即ち、ホウ素化合物(A)は、化合物(1)からなるか、又は、化合物(1)と、化合物(2)〜化合物(6)からなる群から選択される少なくとも1種と、からなることが好ましい。
この場合、ホウ素化合物(A)全体に占める化合物(1)の割合は、好ましくは50質量%〜100質量%であり、より好ましくは60質量%〜100質量%であり、更に好ましくは80質量%〜100質量%である。
<その他の添加剤>
本開示の非水電解液は、スルトン化合物(A)及びホウ素化合物(B)以外のその他の添加剤を含有してもよい。
その他の添加剤としては特に制限はなく、リチウム二次電池用非水電解液に含有される公知の添加剤を特に制限なく用いることができる。
<添加剤(C)>
その他の添加剤として、好ましくは、下記化合物(C1)〜下記化合物(C7)からなる群から選択される少なくとも1種である添加剤(C)である。
本開示の非水電解液が、添加剤(C)を含有する場合には、電池の初期抵抗がより低減される。
以下、化合物(C1)〜化合物(C1)について説明する。
(化合物(C1))
化合物(C1)は、以下のとおりである。
化合物(C1)中、Rc11及びRc12は、それぞれ独立に、水素原子、フッ素原子、炭素数1〜6の炭化水素基、又は炭素数1〜6のフッ化炭化水素基を表す。
化合物(C1)中、Rc11及びRc12で表される炭素数1〜6の炭化水素基の具体例及び好ましい態様は、化合物(3)中のR31〜R33で表される炭素数1〜6の炭化水素基の具体例及び好ましい態様と同様である。
化合物(C1)中、Rc11及びRc12で表される炭素数1〜6のフッ化炭化水素基の具体例及び好ましい態様は、化合物(3)中のR31〜R33で表されるフッ化炭素数1〜6の炭化水素基の具体例及び好ましい態様と同様である。
化合物(C1)中、Rc11及びRc12としては、
水素原子、炭素数1〜6のアルキル基又は炭素数2〜6のアルケニル基が好ましく、
水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基がより好ましく、
水素原子が特に好ましい。
以下、化合物(C1)の具体例を示すが、化合物(C1)は、以下の具体例には限定されない。
これらのうち、化合物(C1−1)(ビニレンカーボネート;以下、「VC」ともいう)が特に好ましい。
(化合物(C2))
化合物(C2)は、以下のとおりである。
化合物(C2)中、Rc21〜Rc24は、それぞれ独立に、水素原子、フッ素原子、炭素数1〜6の炭化水素基、又は炭素数1〜6のフッ化炭化水素基を表す。但し、Rc21〜Rc24は、同時に水素原子となることはない。
化合物(C2)中、Rc21〜Rc24で表される炭素数1〜6の炭化水素基の具体例及び好ましい態様は、化合物(3)中のR31〜R33で表される炭素数1〜6の炭化水素基の具体例及び好ましい態様と同様である。
化合物(C2)中、Rc21〜Rc24で表される炭素数1〜6のフッ化炭化水素基の具体例及び好ましい態様は、化合物(3)中のR31〜R33で表されるフッ化炭素数1〜6の炭化水素基の具体例及び好ましい態様と同様である。
化合物(C2)中、Rc21〜Rc24としては、
水素原子、フッ素原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数2〜6のアルケニル基、炭素数1〜6のフッ化アルキル基、又は炭素数2〜6のフッ化アルケニル基が好ましく、
水素原子、フッ素原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数2〜6のアルケニル基、又は炭素数1〜6のフッ化アルキル基がより好ましく、
水素原子又はフッ素原子が特に好ましい。
化合物(C2)のうち、Rc21〜Rc24は、フッ素原子を少なくとも1つ含むことが好ましい。
以下、化合物(C2)の具体例を示すが、化合物(C2)は、以下の具体例には限定されない。
(化合物(C3))
化合物(C3)は、以下のとおりである。
化合物(C3)中、Rc31〜Rc33は、それぞれ独立に、フッ素原子又は−OLi基を表し、Rc31〜Rc33の少なくとも1つが−OLi基である。
以下、化合物(C3)の具体例を示すが、化合物(C3)は、以下の具体例には限定されない。
化合物(C3−1)は、ジフルオロリン酸リチウム(以下、「LiDFP」ともいう)である。
(化合物(C4))
化合物(C4)は、以下のとおりである。
化合物(C4)中、Rc41〜Rc43は、それぞれ独立に、炭素数1〜6の炭化水素基、炭素数1〜6のフッ化炭化水素基、又は基(s)を表し、nは、0又は1を表す。
基(s)中、Rc44〜Rc46は、それぞれ独立に、炭素数1〜6の炭化水素基を表し、*は、結合位置を表す。
化合物(C4)中、Rc41〜Rc43で表される炭素数1〜6の炭化水素基の具体例及び好ましい態様は、化合物(3)中のR31〜R33で表される炭素数1〜6の炭化水素基の具体例及び好ましい態様と同様である。
化合物(C4)中、Rc41〜Rc43で表される炭素数1〜6のフッ化炭化水素基の具体例及び好ましい態様は、化合物(3)中のR31〜R33で表されるフッ化炭素数1〜6の炭化水素基の具体例及び好ましい態様と同様である。
基(s)中、Rc44〜Rc46で表される炭素数1〜6の炭化水素基の具体例及び好ましい態様は、化合物(3)中のR31〜R33で表される炭素数1〜6の炭化水素基の具体例及び好ましい態様と同様である。
化合物(C4)中、nは、0又は1を表す。
nが1である場合の化合物(C4)は、リン酸エステルである下記化合物(C4A)であり、nが0である場合の化合物(C4)は、亜リン酸エステルである下記化合物(C4B)である。
化合物(C4A)中のRc41〜Rc43は、それぞれ、化合物(C4)中、Rc41〜Rc43と同義である。
化合物(C4B)中のRc41〜Rc43は、それぞれ、化合物(C4)中、Rc41〜Rc43と同義である。
以下、化合物(C4)の具体例を示すが、化合物(C4)は、以下の具体例には限定されない。
(化合物(C5))
化合物(C5)は、以下のとおりである。
化合物(C5)中、Rc51〜Rc54は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜6の炭化水素基、基(a)、又は基(b)を表す。基(a)及び基(b)中、*は、結合位置を表す。
化合物(C5)中、Rc51〜Rc54で表される炭素数1〜6の炭化水素基の具体例及び好ましい態様は、化合物(3)中のR31〜R33で表される炭素数1〜6の炭化水素基の具体例及び好ましい態様と同様である。
以下、化合物(C5)の具体例を示すが、化合物(C5)は、以下の具体例には限定されない。
これらのうち、化合物(C5−1)〜化合物(C5−3)が特に好ましい。
(化合物(C6))
化合物(C6)は、以下のとおりである。
化合物(C6)中、Rc61は、フッ素原子又は炭素数1〜6のフッ化炭化水素基を表す。
化合物(C6)中、Rc61で表される炭素数1〜6のフッ化炭化水素基の具体例及び好ましい態様は、化合物(3)中のR31〜R33で表される炭素数1〜6のフッ化炭化水素基の具体例及び好ましい態様と同様である。
以下、化合物(C6)の具体例を示すが、化合物(C6)は、以下の具体例には限定されない。
(化合物(C7))
化合物(C7)は、以下のとおりである。
化合物(C7)中、Rc71及びRc72は、それぞれ独立に、フッ素原子又は炭素数1〜6のフッ化炭化水素基を表す。
化合物(C7)中、Rc71及びRc72で表される炭素数1〜6のフッ化炭化水素基の具体例及び好ましい態様は、化合物(3)中のR31〜R33で表される炭素数1〜6のフッ化炭化水素基の具体例及び好ましい態様と同様である。
c71及びRc72は、それぞれ独立に、フッ素原子、トリフルオロメチル基、又はペンタフルオロエチル基であることが特に好ましい。
以下、化合物(C7)の具体例を示すが、化合物(C7)は、以下の具体例には限定されない。
下記具体例のうち、化合物(C7−1)は、リチウムビス(フルオロスルホニル)イミド(以下、「LiFSI」ともいう)であり、
化合物(C7−2)は、リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(以下、「LiTFSI」ともいう)である。
以上で説明した添加剤(C)の含有量は、非水電解液の全量に対し、0.001質量%〜10質量%が好ましく、0.003質量%〜5質量%がより好ましく、0.003質量%〜3質量%であることが更に好ましく、0.03質量%〜3質量%であることが更に好ましく、0.1質量%〜3質量%であることが更に好ましく、0.1質量%〜2質量%であることが更に好ましい。
添加剤(C)の含有量のこれらの範囲は、それぞれ、化合物(C1)〜化合物(C7)の各々の含有量の範囲としても適用可能である。
本開示の非水電解液が添加剤(C)を含有する場合、スルトン化合物(A)及びホウ素化合物(B)の総含有質量に対する添加剤(C)の含有質量の比(即ち、含有質量比〔添加剤(C)/スルトン化合物(A)+ホウ素化合物(B)〕)は、好ましくは0.1〜3.0であり、好ましくは0.2〜2.5であり、更に好ましくは0.3〜2.0である。
添加剤(C)は、化合物(C1)を含むことが好ましい。
言い換えれば、添加剤(C)は、
化合物(C1)のみからなるか、又は、
化合物(C1)と、化合物(C2)〜化合物(C7)からなる群から選択される少なくとも1種と、からなることが好ましい。
添加剤(C)が、化合物(C1)と、化合物(C2)〜化合物(C7)からなる群から選択される少なくとも1種と、からなることが特に好ましい。
添加剤(C)が、化合物(C1)と、化合物(C2)〜化合物(C7)からなる群から選択される少なくとも1種と、からなる場合には、添加剤(C)が化合物(C1)のみからなる場合と比較して、電池の保存時の抵抗上昇をより抑制でき、電池の保存後の抵抗をより低減させることができる。
添加剤(C)が、化合物(C1)と、化合物(C2)〜化合物(C7)からなる群から選択される少なくとも1種と、からなる場合、化合物(C1)の含有質量に対する化合物(C2)〜化合物(C7)の総含有質量の比(即ち、含有質量比〔(化合物(C2)〜化合物(C7))/化合物(C1)〕)は、好ましくは0.1〜15.0であり、より好ましくは0.2〜10.0であり、更に好ましくは0.3〜5.0であり、更に好ましくは0.5〜3.0である。
次に、非水電解液の他の成分について説明する。非水電解液は、一般的に、電解質と非水溶媒とを含有する。
<電解質>
本開示の非水電解液における電解質は、リチウム塩を含むことが好ましく、LiPFを含むことがより好ましい。
電解質がLiPFを含む場合、電解質中に占めるLiPFの比率は、好ましくは10質量%〜100質量%、より好ましくは50質量%〜100質量%、さらに好ましくは70質量%〜100質量%である。
本開示の非水電解液における電解質の濃度は、0.1mol/L〜3mol/Lが好ましく、0.5mol/L〜2mol/Lがより好ましい。
また、本開示の非水電解液におけるLiPFの濃度は、0.1mol/L〜3mol/Lが好ましく、0.5mol/L〜2mol/Lがより好ましい。
電解質がLiPFを含む場合、電解質は、LiPF以外の化合物を含んでいてもよい。
LiPF以外の化合物としては;
(CNPF、(CNBF、(CNClO、(CNAsF、(CSiF、(CNOSO(2k+1)(k=1〜8の整数)、(CNPF[C(2k+1)(6−n)(n=1〜5、k=1〜8の整数)などのテトラアルキルアンモニウム塩;
LiBF、LiClO、LiAsF、LiSiF、LiOSO(2k+1)(k=1〜8の整数)、LiPF[C(2k+1)(6−n)(n=1〜5、k=1〜8の整数)、LiC(SO)(SO)(SO)、LiN(SOOR10)(SOOR11)、LiN(SO12)(SO13)(ここでR〜R13は互いに同一でも異なっていてもよく、フッ素原子又は炭素数1〜8のパーフルオロアルキル基である)等のリチウム塩(即ち、LiPF以外のリチウム塩);
等が挙げられる。
<非水溶媒>
本開示の非水電解液における非水溶媒は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
非水溶媒としては、種々公知のものを適宜選択することができる。
非水溶媒としては、例えば、特開2017−45723号公報の段落0069〜0087に記載の非水溶媒を用いることができる。
非水溶媒は、環状カーボネート化合物及び鎖状カーボネート化合物を含むことが好ましい。
この場合、非水溶媒に含まれる環状カーボネート化合物及び鎖状カーボネート化合物は、それぞれ、1種のみであってもよいし2種以上であってもよい。
環状カーボネート化合物としては、例えば、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、1,2−ブチレンカーボネート、2,3−ブチレンカーボネート、1,2−ペンチレンカーボネート、2,3−ペンチレンカーボネート等が挙げられる。
これらのうち、誘電率が高い、エチレンカーボネート及びプロピレンカーボネートが好適である。黒鉛を含む負極活物質を使用した電池の場合は、非水溶媒は、エチレンカーボネートを含むことがより好ましい。
鎖状カーボネート化合物としては、ジメチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、ジエチルカーボネート、メチルプロピルカーボネート、メチルイソプロピルカーボネート、エチルプロピルカーボネート、ジプロピルカーボネート、メチルブチルカーボネート、エチルブチルカーボネート、ジブチルカーボネート、メチルペンチルカーボネート、エチルペンチルカーボネート、ジペンチルカーボネート、メチルヘプチルカーボネート、エチルヘプチルカーボネート、ジヘプチルカーボネート、メチルヘキシルカーボネート、エチルヘキシルカーボネート、ジヘキシルカーボネート、メチルオクチルカーボネート、エチルオクチルカーボネート、ジオクチルカーボネート、等が挙げられる。
環状カーボネートと鎖状カーボネートの組み合わせとして、具体的には、エチレンカーボネートとジメチルカーボネート、エチレンカーボネートとメチルエチルカーボネート、エチレンカーボネートとジエチルカーボネート、プロピレンカーボネートとジメチルカーボネート、プロピレンカーボネートとメチルエチルカーボネート、プロピレンカーボネートとジエチルカーボネート、エチレンカーボネートとプロピレンカーボネートとメチルエチルカーボネート、エチレンカーボネートとプロピレンカーボネートとジエチルカーボネート、エチレンカーボネートとジメチルカーボネートとメチルエチルカーボネート、エチレンカーボネートとジメチルカーボネートとジエチルカーボネート、エチレンカーボネートとメチルエチルカーボネートとジエチルカーボネート、エチレンカーボネートとジメチルカーボネートとメチルエチルカーボネートとジエチルカーボネート、エチレンカーボネートとプロピレンカーボネートとジメチルカーボネートとメチルエチルカーボネート、エチレンカーボネートとプロピレンカーボネートとジメチルカーボネートとジエチルカーボネート、エチレンカーボネートとプロピレンカーボネートとメチルエチルカーボネートとジエチルカーボネート、エチレンカーボネートとプロピレンカーボネートとジメチルカーボネートとメチルエチルカーボネートとジエチルカーボネートなどが挙げられる。
環状カーボネート化合物と鎖状カーボネート化合物の混合割合は、質量比で表して、環状カーボネート化合物:鎖状カーボネート化合物が、例えば5:95〜80:20、好ましくは10:90〜70:30、更に好ましくは15:85〜55:45である。このような比率にすることによって、非水電解液の粘度上昇を抑制し、電解質の解離度を高めることができるため、電池の充放電特性に関わる非水電解液の伝導度を高めることができる。また、電解質の溶解度をさらに高めることができる。よって、常温または低温での電気伝導性に優れた非水電解液とすることができるため、常温から低温での電池の負荷特性を改善することができる。
非水溶媒は、環状カーボネート化合物及び鎖状カーボネート化合物以外のその他の化合物を含んでいてもよい。
この場合、非水溶媒に含まれるその他の化合物は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
その他の化合物としては、環状カルボン酸エステル化合物(例えばγブチロラクトン)、環状スルホン化合物、環状エーテル化合物、鎖状カルボン酸エステル化合物、鎖状エーテル化合物、鎖状リン酸エステル化合物、アミド化合物、鎖状カーバメート化合物、環状アミド化合物、環状ウレア化合物、ホウ素化合物、ポリエチレングリコール誘導体、等が挙げられる。
これらの化合物については、特開2017−45723号公報の段落0069〜0087の記載を適宜参照できる。
非水溶媒中に占める、環状カーボネート化合物及び鎖状カーボネート化合物の割合は、好ましくは80質量%以上であり、より好ましくは90質量%以上であり、更に好ましくは95質量%以上である。
非水溶媒中に占める、環状カーボネート化合物及び鎖状カーボネート化合物の割合は、100質量%であってもよい。
非水電解液中に占める非水溶媒の割合は、好ましくは60質量%以上であり、より好ましくは70質量%以上である。
非水電解液中に占める非水溶媒の割合の上限は、他の成分(電解質、添加剤等)の含有量にもよるが、上限は、例えば99質量%であり、好ましくは97質量%であり、更に好ましくは90質量%である。
〔リチウム二次電池〕
本開示のリチウム二次電池は、正極と、負極と、本開示の非水電解液と、を含む。
<負極>
負極は、負極活物質及び負極集電体を含んでもよい。
負極における負極活物質としては、金属リチウム、リチウム含有合金、リチウムとの合金化が可能な金属もしくは合金、リチウムイオンのドープ・脱ドープが可能な酸化物、リチウムイオンのドープ・脱ドープが可能な遷移金属窒素化物、及び、リチウムイオンのドープ・脱ドープが可能な炭素材料からなる群から選ばれた少なくとも1種(単独で用いてもよいし、これらの2種以上を含む混合物を用いてもよい)を用いることができる。
リチウム(又はリチウムイオン)との合金化が可能な金属もしくは合金としては、シリコン、シリコン合金、スズ、スズ合金などを挙げることができる。また、チタン酸リチウムでもよい。
これらの中でも、負極に対する被膜の形成性をより向上させ、初期の及び/又は保存後の電池の抵抗をより低減させる観点から、リチウムイオンをドープ・脱ドープすることが可能な炭素材料が好ましい。このような炭素材料としては、カーボンブラック、活性炭、黒鉛材料(人造黒鉛、天然黒鉛)、非晶質炭素材料、等が挙げられる。上記炭素材料の形態は、繊維状、球状、ポテト状、フレーク状のいずれの形態であってもよい。
上記非晶質炭素材料として具体的には、ハードカーボン、コークス、1500℃以下に焼成したメソカーボンマイクロビーズ(MCMB)、メソフェーズピッチカーボンファイバー(MCF)などが例示される。
上記黒鉛材料としては、天然黒鉛、人造黒鉛が挙げられる。人造黒鉛としては、黒鉛化MCMB、黒鉛化MCFなどが用いられる。また、黒鉛材料としては、ホウ素を含有するものなども用いることができる。また、黒鉛材料としては、金、白金、銀、銅、スズなどの金属で被覆したもの、非晶質炭素で被覆したもの、非晶質炭素と黒鉛を混合したものも使用することができる。
これらの炭素材料は、1種類で使用してもよく、2種類以上混合して使用してもよい。
上記炭素材料としては、特にX線解析で測定した(002)面の面間隔d(002)が0.340nm以下の炭素材料が好ましい。また、炭素材料としては、真密度が1.70g/cm以上である黒鉛又はそれに近い性質を有する高結晶性炭素材料も好ましい。以上のような炭素材料を使用すると、電池のエネルギー密度をより高くすることができる。
負極における負極集電体の材質には特に制限はなく、公知のものを任意に用いることができる。
負極集電体の具体例としては、銅、ニッケル、ステンレス鋼、ニッケルメッキ鋼等の金属材料が挙げられる。中でも、加工しやすさの点から特に銅が好ましい。
負極は、負極集電体と、負極集電体の表面の少なくとも一部に設けられた負極活物質層と、を含んでもよい。
負極活物質層は、負極活物質を少なくとも1種含む。負極活物質層における負極活物質は、上述した炭素材料を含むことが好ましい。
負極活物質層中における上記炭素材料の含有量は、負極に対する被膜の形成性をより向上させ、初期の及び/又は保存後の電池の抵抗をより低減させる観点から、負極活物質層の全量に対し、好ましくは70質量%以上であり、より好ましくは80質量%以上であり、更に好ましくは90質量%以上である。
負極活物質層は、更に、バインダーを少なくとも1種含んでいてもよい。
バインダーとしては、スチレンブタジエン(SBR)ゴム(例えば、SBRラテックス)、アクリロニトリル-ブタジエンゴム、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレンゴム、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルアルコール、ヒドロキシプロピルセルロース、及びジアセチルセルロースからなる群から選択される少なくとも1種が好ましい。バインダーは、SBRラテックス及びカルボキシメチルセルロースを含むことが好ましい。
負極活物質層中におけるバインダーの含有量は、負極活物質層の全量に対し、好ましくは1質量%〜20質量%であり、より好ましくは1質量%〜10質量%であり、更に好ましくは1質量%〜5質量%である。
負極全体に対するSiの含有量は、5質量%以下であることが好ましい。
負極全体に対するSiの含有量が5質量%以下である場合には、負極に対する被膜の形成性がより向上し、初期の及び/又は保存後の電池の抵抗がより低減される。
<正極>
正極は、正極活物質及び正極集電体を含んでもよい。
正極における正極活物質としては、MoS、TiS、MnO、Vなどの遷移金属酸化物又は遷移金属硫化物、LiCoO、LiMnO、LiMn、LiNiO、LiNiCo(1−X)〔0<X<1〕、α−NaFeO型結晶構造を有するLi1+αMe1−α(Meは、Mn、Ni及びCoを含む遷移金属元素、1.0≦(1+α)/(1−α)≦1.6)、LiNiCoMn〔x+y+z=1、0<x<1、0<y<1、0<z<1〕(例えば、LiNi0.33Co0.33Mn0.33、LiNi0.5Co0.2Mn0.3等)、LiFePO、LiMnPOなどのリチウムと遷移金属とからなる複合酸化物、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリピロール、ポリアセチレン、ポリアセン、ジメルカプトチアジアゾール、ポリアニリン複合体などの導電性高分子材料等が挙げられる。これらの中でも、特にリチウムと遷移金属とからなる複合酸化物が好ましい。負極がリチウム金属又はリチウム合金である場合は、正極として炭素材料を用いることもできる。また、正極として、リチウムと遷移金属との複合酸化物と、炭素材料と、の混合物を用いることもできる。
正極活物質は、1種類で使用してもよく、2種類以上を混合して使用してもよい。正極活物質は導電性が不充分である場合には、導電性助剤とともに使用して正極を構成することができる。導電性助剤としては、カーボンブラック、アモルファスウィスカー、グラファイトなどの炭素材料を例示することができる。
正極における正極集電体の材質には特に制限はなく、公知のものを任意に用いることができる。
正極集電体の具体例としては、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金、ステンレス鋼、ニッケル、チタン、タンタルなどの金属材料;カーボンクロス、カーボンペーパーなどの炭素材料;等が挙げられる。
正極は、正極集電体と、正極集電体の表面の少なくとも一部に設けられた正極活物質層と、を含んでもよい。
正極活物質層は、正極活物質を少なくとも1種含む。正極活物質層における負極活物質は、リチウムと遷移金属とからなる複合酸化物を含むことが好ましい。
正極活物質層中における上記複合酸化物の含有量は、正極活物質層の全量に対し、好ましくは70質量%以上であり、より好ましくは80質量%以上である。
正極活物質層は、更に、上記導電助剤を少なくとも1種含んでいてもよい。
正極活物質層は、更に、バインダーを少なくとも1種含んでいてもよい。
バインダーとしては、例えば、ポリ酢酸ビニル、ポリメチルメタクリレート、ニトロセルロース、フッ素樹脂、ゴム粒子等が挙げられる。フッ素樹脂としては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体等が挙げられる。ゴム粒子としては、スチレン−ブタジエンゴム粒子、アクリロニトリルゴム粒子等が挙げられる。これらの中でも、正極活物質層の耐酸化性を向上させる観点から、フッ素樹脂が好ましい。
正極活物質層中におけるバインダーの含有量は、正極活物質層の全量に対し、好ましくは1質量%〜20質量%であり、より好ましくは1質量%〜10質量%である。
<セパレータ>
本開示のリチウム二次電池は、負極と正極との間にセパレータを含むことが好ましい。
セパレータは、正極と負極とを電気的に絶縁し且つリチウムイオンを透過する膜であって、多孔性膜や高分子電解質が例示される。
多孔性膜としては微多孔性高分子フィルムが好適に使用され、材質としてポリオレフィン、ポリイミド、ポリフッ化ビニリデン、ポリエステル等が例示される。
特に、多孔性ポリオレフィンが好ましく、具体的には多孔性ポリエチレンフィルム、多孔性ポリプロピレンフィルム、又は多孔性のポリエチレンフィルムとポリプロピレンフィルムとの多層フィルムを例示することができる。多孔性ポリオレフィンフィルム上には、熱安定性に優れる他の樹脂がコーティングされてもよい。
高分子電解質としては、リチウム塩を溶解した高分子や、電解液で膨潤させた高分子等が挙げられる。
本開示の非水電解液は、高分子を膨潤させて高分子電解質を得る目的で使用してもよい。
<電池の構成>
本開示のリチウム二次電池は、種々公知の形状をとることができ、円筒型、コイン型、角型、ラミネート型、フィルム型その他任意の形状に形成することができる。しかし、電池の基本構造は、形状によらず同じであり、目的に応じて設計変更を施すことができる。
本開示のリチウム二次電池の例として、ラミネート型電池が挙げられる。
図1は、本開示のリチウム二次電池の一例であるラミネート型電池の一例を示す概略斜視図であり、図2は、図1に示すラミネート型電池に収容される積層型電極体の厚さ方向の概略断面図である。
図1に示すラミネート型電池は、内部に非水電解液(図1中では不図示)及び積層型電極体(図1中では不図示)が収納され、且つ、周縁部が封止されることにより内部が密閉されたラミネート外装体1を備える。ラミネート外装体1としては、例えばアルミニウム製のラミネート外装体が用いられる。
ラミネート外装体1に収容される積層型電極体は、図2に示されるように、正極板5と負極板6とがセパレータ7を介して交互に積層されてなる積層体と、この積層体の周囲を囲むセパレータ8と、を備える。正極板5、負極板6、セパレータ7、及びセパレータ8には、本開示の非水電解液が含浸されている。
上記積層型電極体における複数の正極板5は、いずれも正極タブを介して正極端子2と電気的に接続されており(不図示)、この正極端子2の一部が上記ラミネート外装体1の周端部から外側に突出している(図1)。ラミネート外装体1の周端部において正極端子2が突出する部分は、絶縁シール4によってシールされている。
同様に、上記積層型電極体における複数の負極板6は、いずれも負極タブを介して負極端子3と電気的に接続されており(不図示)、この負極端子3の一部が上記ラミネート外装体1の周端部から外側に突出している(図1)。ラミネート外装体1の周端部において負極端子3が突出する部分は、絶縁シール4によってシールされている。
なお、上記一例に係るラミネート型電池では、正極板5の数が5枚、負極板6の数が6枚となっており、正極板5と負極板6とがセパレータ7を介し、両側の最外層がいずれも負極板6となる配置で積層されている。しかし、ラミネート型電池における、正極板の数、負極板の数、及び配置については、この一例には限定されず、種々の変更がなされてもよいことは言うまでもない。
本開示のリチウム二次電池の別の一例として、コイン型電池も挙げられる。
図3は、本開示のリチウム二次電池の別の一例であるコイン型電池の一例を示す概略斜視図である。
図3に示すコイン型電池では、円盤状負極12、非水電解液を注入したセパレータ15、円盤状正極11、必要に応じて、ステンレス、又はアルミニウムなどのスペーサー板17、18が、この順序に積層された状態で、正極缶13(以下、「電池缶」ともいう)と封口板14(以下、「電池缶蓋」ともいう)との間に収納される。正極缶13と封口板14とはガスケット16を介してかしめ密封する。
この一例では、セパレータ15に注入される非水電解液として、本開示の非水電解液を用いる。
なお、本開示のリチウム二次電池は、負極と、正極と、上記本開示の非水電解液と、を含むリチウム二次電池(充放電前のリチウム二次電池)を、充放電させて得られたリチウム二次電池であってもよい。
即ち、本開示のリチウム二次電池は、まず、負極と、正極と、上記本開示の非水電解液と、を含む充放電前のリチウム二次電池を作製し、次いで、この充放電前のリチウム二次電池を1回以上充放電させることによって作製されたリチウム二次電池(充放電されたリチウム二次電池)であってもよい。
本開示のリチウム二次電池の用途は特に限定されず、種々公知の用途に用いることができる。例えば、ノート型パソコン、モバイルパソコン、携帯電話、ヘッドホンステレオ、ビデオムービー、液晶テレビ、ハンディークリーナー、電子手帳、電卓、ラジオ、バックアップ電源用途、モーター、自動車、電気自動車、バイク、電動バイク、自転車、電動自転車、照明器具、ゲーム機、時計、電動工具、カメラ等、小型携帯機器、大型機器を問わず広く利用可能なものである。
以下、本開示の実施例を示すが、本開示は以下の実施例によって制限されるものではない。
なお、以下の実施例において、「添加量」は、最終的に得られる非水電解液の全量に対する含有量を意味し、「wt%」は、質量%を意味する。
〔実施例1〕
以下の手順にて、図3に示す構成を有するコイン型のリチウム二次電池(以下、「コイン型電池」とも称する)を作製した。
<負極の作製>
アモルファスコート天然黒鉛系黒鉛(97質量部)、カルボキシメチルセルロース(1質量部)及びSBRラテックス(2質量部)を水溶媒で混錬してペースト状の負極合剤スラリーを調製した。
次に、この負極合剤スラリーを厚さ10μmの帯状銅箔製の負極集電体に塗布し乾燥した後に、ロールプレスで圧縮して負極集電体と負極活物質層とからなるシート状の負極を得た。このときの負極活物質層の塗布密度は10mg/cmであり、充填密度は1.5g/mlであった。
<正極の作製>
LiNi0.5Mn0.3Co0.2(90質量部)、アセチレンブラック(5質量部)及びポリフッ化ビニリデン(5質量部)を、N−メチルピロリジノンを溶媒として混錬してペースト状の正極合剤スラリーを調製した。
次に、この正極合剤スラリーを厚さ20μmの帯状アルミ箔の正極集電体に塗布し乾燥した後に、ロールプレスで圧縮して正極集電体と正極活物質層とからなるシート状の正極を得た。このときの正極活物質層の塗布密度は30mg/cmであり、充填密度は2.5g/mlであった。
<非水電解液の調製>
非水溶媒として、エチレンカーボネート(EC)とジメチルカーボネート(DMC)とメチルエチルカーボネート(EMC)とをそれぞれ30:35:35(質量比)の割合で混合し、混合溶媒を得た。
得られた混合溶媒中に、電解質としてのLiPFを、最終的に調製される非水電解液中における電解質濃度が1.2モル/リットルとなるように溶解させた。
得られた溶液に対し、スルトン化合物(A)の具体例であるPRS及びホウ素化合物(B)を、それぞれ、表1に示す添加量にて添加して溶解させ、非水電解液を得た。
<コイン型電池の作製>
上述の負極を直径14mmで、上述の正極を直径13mmで、それぞれ円盤状に打ち抜き、コイン状の負極及びコイン状の正極をそれぞれ得た。また、厚さ20μmの微多孔性ポリエチレンフィルムを直径17mmの円盤状に打ち抜き、セパレータを得た。
得られたコイン状の負極、セパレータ、及びコイン状の正極を、この順序でステンレス製の電池缶(2032サイズ)内に積層し、次いで、この電池缶内に、上述の非水電解液20μLを注入し、セパレータと正極と負極とに含漬させた。
次に、正極上にアルミニウム製の板(厚さ1.2mm、直径16mm)及びバネを乗せ、ポリプロピレン製のガスケットを介して、電池缶蓋をかしめることにより電池を密封した。
以上により、直径20mm、高さ3.2mmの図3で示す構成を有するコイン型電池(即ち、コイン型のリチウム二次電池)を得た。
<評価>
得られたコイン型電池について、以下の評価を実施した。
評価結果を表1に示す。
表1では、各実施例における、初期抵抗、保存後の抵抗、及び、保存時の抵抗上昇率を、それぞれ、後述の比較例1における値を100とした場合の相対値として示す。
以下において、
「コンディショニング」とは、コイン型電池を、恒温槽内で25℃にて、2.75Vと4.25Vとの間で充放電を三回繰り返すことを意味し、
「保存」とは、コイン型電池を、恒温槽内で、60℃で10日間保存する操作を意味する。
以下、直流抵抗は−10℃の温度条件にて測定した。
(初期抵抗の測定)
コンディショニング後のコイン型電池のSOC(State of Charge)を50%に調整し、次いで、以下の方法により、−10℃にて、コイン型電池の初期(即ち、保存前)のDCIR(Direct current internal resistance;直流抵抗)を測定した。
上述のSOC50%に調整されたコイン型電池を用い、放電レート0.2CでのCC10s放電を行った。
ここで、CC10s放電とは、定電流(Constant Current)にて10秒間放電することを意味する。
上記「放電レート0.2CでのCC10s放電」における、電流値(即ち、放電レート0.2Cに相当する電流値)と、電圧低下量(=放電開始前の電圧−放電開始後10秒目の電圧)と、に基づき直流抵抗(Ω)を求め、得られた直流抵抗(Ω)を、初期抵抗(即ち、保存前の抵抗)(Ω)とした。
表1に、実施例1の「初期抵抗(相対値)」として、後述の比較例1の初期抵抗を100とした場合の実施例1の初期抵抗の相対値を示す。
(保存後の抵抗の測定)
コンディショニング後であってSOCを50%に調整する前のコイン型電池に対し、恒温槽内で25℃にて充電レート0.2Cで4.25VまでCC−CV充電し、次いで上記条件の「保存」を施す操作を追加したこと以外は前述の初期抵抗の測定と同様にして、保存後の抵抗(Ω)を測定した。
ここで、CC−CV充電とは、定電流定電圧(Constant Current - Constant Voltage)を意味する。
表1に、実施例1の「保存後の抵抗(相対値)」として、後述の比較例1の保存後の抵抗を100とした場合の実施例1の保存後の抵抗の相対値を示す。
(保存時の抵抗上昇率の算出)
下記式により、保存時の抵抗上昇率を算出した。
保存時の抵抗上昇率
=((保存後の抵抗(相対値)/初期抵抗(相対値))×100)−100
表1に、保存時の抵抗上昇率を示す。
保存時の抵抗上昇率が負の値であることは、比較例1と比較して、保存時の抵抗上昇が抑制されていることを意味する。
比較例1の抵抗上昇率は、0である。
〔比較例1〕
非水電解液の調製において、PRS及びLiFOBを添加しなかったこと以外は実施例1と同様の操作を行った。
結果を表1に示す。
〔比較例2〕
非水電解液の調製において、LiFOBを添加しなかったこと以外は実施例1と同様の操作を行った。
結果を表1に示す。
〔比較例3〕
非水電解液の調製において、PRSを添加しなかったこと以外は実施例1と同様の操作を行った。
結果を表1に示す。
〔実施例2〕
非水電解液の調製において、PRSの添加量を表1に示すように変更し、かつ、添加剤(C)の具体例であるビニレンカーボネート(VC)を表1に示す添加量にて添加して溶解させたこと以外は実施例1と同様の操作を行った。
結果を表1に示す。
〔比較例4〕
非水電解液の調製において、LiFOBを添加しなかったこと以外は実施例2と同様の操作を行った。
結果を表1に示す。
〔比較例5〕
非水電解液の調製において、PRSを添加しなかったこと以外は実施例2と同様の操作を行った。
結果を表1に示す。
〔実施例3〜6〕
非水電解液の調製において、更に、表1に示す種類の添加剤(C)(即ち、LiDFP、化合物(C6−1)、化合物(C5−3)、又は化合物(C4A−1);これらの化合物の構造は前述のとおりである)を、表1に示す添加量にて添加して溶解させたこと以外は実施例2と同様の操作を行った。
結果を表1に示す。
表1に示すように、スルトン化合物(A)及びホウ素化合物(B)を含有する非水電解液を用いた実施例1の電池では、比較例1〜3の電池と比較して、保存後の抵抗が低減されていた。
より詳細には、スルトン化合物(A)もホウ素化合物(B)も含有しない非水電解液を用いた比較例1の電池と比較して、スルトン化合物(A)を含有するがホウ素化合物(B)を含有しない非水電解液を用いた比較例2の電池では、初期抵抗(保存前の抵抗)が上昇した。
比較例1の電池と比較して、ホウ素化合物(B)を含有するがスルトン化合物(A)を含有しない非水電解液を用いた比較例3の電池では、保存時の抵抗上昇が発生した。
スルトン化合物(A)及びホウ素化合物(B)を含有する非水電解液を用いた実施例1の電池では、比較例2の電池に対して初期抵抗(保存前の抵抗)が低減され、かつ、比較例3の電池に対して保存時の抵抗上昇が抑制されていた。実施例1の電池は、比較例1の電池と比較して、初期抵抗(保存前の抵抗)が同等に維持された上で、保存時の抵抗上昇が抑制されていた。
実施例1の電池に対し、スルトン化合物(A)、ホウ素化合物(B)及び添加剤(C)(VC)を含有する非水電解液を用いた実施例2では、初期抵抗がより低減されていた。
実施例2の電池に対し、スルトン化合物(A)、ホウ素化合物(B)及び添加剤(C)(VC+その他)を含有する非水電解液を用いた実施例3〜6の電池では、保存後の抵抗及び保存時の抵抗上昇が、更に改善されていた。
1 ラミネート外装体
2 正極端子
3 負極端子
4 絶縁シール
5 正極板
6 負極板
7、8 セパレータ
11 正極
12 負極
13 正極缶
14 封口板
15 セパレータ
16 ガスケット
17、18 スペーサー板

Claims (10)

  1. 下記スルトン化合物(A)と、
    下記化合物(1)〜下記化合物(6)からなる群から選択される少なくとも1種であるホウ素化合物(B)と、
    を含有する電池用非水電解液。

    〔化合物(A)中、Ra1〜Ra4は、それぞれ独立に、水素原子、フッ素原子、炭素数1〜3の炭化水素基、又は炭素数1〜3のフッ化炭化水素基を表す。
    化合物(1)〜化合物(6)中、
    31〜R33は、それぞれ独立に、水素原子、フッ素原子、炭素数1〜6の炭化水素基、又は炭素数1〜6のフッ化炭化水素基を表し、
    41〜R43は、それぞれ独立に、フッ素原子、炭素数1〜6の炭化水素基、又は炭素数1〜6のフッ化炭化水素基を表し、
    51は、フッ素原子、炭素数1〜6の炭化水素基、又は炭素数1〜6のフッ化炭化水素基を表し、
    52は、水素原子、フッ素原子、炭素数1〜6の炭化水素基、又は炭素数1〜6のフッ化炭化水素基を表し、
    nは、1〜3の整数を表す。〕
  2. 前記ホウ素化合物(B)が、前記化合物(1)を含む請求項1に記載の電池用非水電解液。
  3. 前記スルトン化合物(A)の含有量が、電池用非水電解液の全量に対し、0.001質量%〜10質量%である請求項1又は請求項2に記載の電池用非水電解液。
  4. 前記ホウ素化合物(B)の含有量が、電池用非水電解液の全量に対し、0.001質量%〜10質量%である請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の電池用非水電解液。
  5. 更に、下記化合物(C1)〜下記化合物(C7)からなる群から選択される少なくとも1種である添加剤(C)を含有する請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の電池用非水電解液。

    〔化合物(C1)中、Rc11及びRc12は、それぞれ独立に、水素原子、フッ素原子、炭素数1〜6の炭化水素基、又は炭素数1〜6のフッ化炭化水素基を表す。
    化合物(C2)中、Rc21〜Rc24は、それぞれ独立に、水素原子、フッ素原子、炭素数1〜6の炭化水素基、又は炭素数1〜6のフッ化炭化水素基を表す。但し、Rc21〜Rc24は、同時に水素原子となることはない。
    化合物(C3)中、Rc31〜Rc33は、それぞれ独立に、フッ素原子又は−OLi基を表し、Rc31〜Rc33の少なくとも1つが−OLi基である。
    化合物(C4)中、Rc41〜Rc43は、それぞれ独立に、炭素数1〜6の炭化水素基、炭素数1〜6のフッ化炭化水素基、又は基(s)を表し、nは、0又は1を表す。
    基(s)中、Rc44〜Rc46は、それぞれ独立に、炭素数1〜6の炭化水素基を表し、*は、結合位置を表す。
    化合物(C5)中、Rc51〜Rc54は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜6の炭化水素基、基(a)、又は基(b)を表す。基(a)及び基(b)中、*は、結合位置を表す。
    化合物(C6)中、Rc61は、フッ素原子又は炭素数1〜6のフッ化炭化水素基を表す。
    化合物(C7)中、Rc71及びRc72は、それぞれ独立に、フッ素原子又は炭素数1〜6のフッ化炭化水素基を表す。〕
  6. 前記添加剤(C)が、前記化合物(C1)と、前記化合物(C2)〜前記化合物(C7)からなる群から選択される少なくとも1種と、からなる請求項5に記載の電池用非水電解液。
  7. 前記添加剤(C)の含有量が、電池用非水電解液の全量に対し、0.001質量%〜10質量%である請求項5又は請求項6に記載の電池用非水電解液。
  8. 正極と、
    金属リチウム、リチウム含有合金、リチウムとの合金化が可能な金属若しくは合金、リチウムイオンのドープ・脱ドープが可能な酸化物、リチウムイオンのドープ・脱ドープが可能な遷移金属窒素化物、及び、リチウムイオンのドープ・脱ドープが可能な炭素材料からなる群から選ばれる少なくとも1種を負極活物質として含む負極と、
    請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の電池用非水電解液と、
    を含むリチウム二次電池。
  9. 前記負極におけるSiの含有量が、前記負極の全体に対し、5質量%以下である請求項8に記載のリチウム二次電池。
  10. 請求項8又は請求項9に記載のリチウム二次電池を充放電させて得られたリチウム二次電池。
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