JP2022121281A - 非水電解液、リチウム二次電池前駆体、リチウム二次電池、及びリチウム二次電池の製造方法 - Google Patents

非水電解液、リチウム二次電池前駆体、リチウム二次電池、及びリチウム二次電池の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】電池の保存後の容量維持率を高く保持でき、電池の保存後の抵抗を低減し、電池の保存時の抵抗上昇率を低減することができる非水電解液を提供する。【解決手段】モノフルオロリン酸リチウム及びジフルオロリン酸リチウムから選択される化合物(A)と、式(B)で表される化合物と、式(C)で表される化合物と、を含有する非水電解液。JPEG2022121281000014.jpg2950JPEG2022121281000015.jpg31155【選択図】なし

Description

本開示は、非水電解液、リチウム二次電池前駆体、リチウム二次電池、及びリチウム二次電池の製造方法に関する。
従来より、電池の性能を向上させる観点から、非水電解液に様々な添加剤を含有させる検討がなされている。
例えば、特許文献1には、保存後の電池抵抗を低減できる非水電解液として、LiPF及び特定の化合物(1)(例えばリチウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド)を含む電解質と、特定の化合物(A)(例えばビニレンカーボネート)である添加剤Aと、モノフルオロリン酸リチウム及び/又はジフルオロリン酸リチウムである添加剤Bと、特定の化合物(C1)(例えば1,3-プロペンスルトン)及び/又は特定の化合物(C2)(即ち、特定の環状硫酸エステル)である添加剤Cと、を含有する非水電解液が開示されている。
また、特許文献2には、低温放電特性に優れ、且つサイクル特性にも優れた二次電池を実現し得る非水系電解液として、モノフルオロリン酸塩及び/又はジフルオロリン酸塩を含有し、更に、特定の一般式(1)で表される化合物(例えば1,3-プロペンスルトン)を含有する非水系電解液が開示されている。
特開2019-175577号公報 特開2011-49153号公報
しかしながら、電池の非水電解液として、電池の保存後の容量維持率を高く保持でき、電池の保存後の抵抗を低減し、電池の保存時の抵抗上昇率を低減することができる非水電解液が求められる場合がある。
本開示の一態様の目的は、電池用の非水電解液として用いた場合に、電池の保存後の容量維持率を高く保持でき、電池の保存後の抵抗を低減し、電池の保存時の抵抗上昇率を低減することができる非水電解液、並びに、この非水電解液を用いた、リチウム二次電池前駆体、リチウム二次電池、及び、リチウム二次電池の製造方法を提供することである。
上記課題を解決するための手段には、以下の態様が含まれる。
<1> モノフルオロリン酸リチウム及びジフルオロリン酸リチウムからなる群から選択される少なくとも1種である化合物(A)と、
下記式(B)で表される化合物からなる群から選択される少なくとも1種である化合物(B)と、
下記式(C)で表される化合物からなる群から選択される少なくとも1種である化合物(C)と、
を含有する非水電解液。
Figure 2022121281000001
式(B)中、Rb1~Rb4は、それぞれ独立に、水素原子、フッ素原子、炭素数1~6の炭化水素基、又は炭素数1~6のフッ化炭化水素基を表す。
式(C)中、Rc1~Rc4は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1~6の炭化水素基、式(a)で表される基、又は式(b)で表される基を表す。式(a)及び式(b)において、*は、結合位置を表す。
<2> 前記化合物(B)が、下記化合物(B-1)である、<1>に記載の非水電解液。
Figure 2022121281000002
<3> 前記化合物(C)が、下記化合物(C-1)である、<1>又は<2>に記載の非水電解液。
Figure 2022121281000003
<4> 前記化合物(A)の含有量が、非水電解液の全量に対し、0.001質量%~10質量%である<1>~<3>のいずれか1つに記載の非水電解液。
<5> 前記化合物(B)の含有量が、非水電解液の全量に対し、0.001質量%~10質量%である<1>~<4>のいずれか1つに記載の非水電解液。
<6> 前記化合物(B)の含有量が、非水電解液の全量に対し、0.001質量%~10質量%である<1>~<5>のいずれか1つに記載の非水電解液。
<7> 正極と、
リチウムイオンの吸蔵及び放出が可能な負極活物質を含む負極と、
<1>~<6>のいずれか1つに記載の非水電解液と、
を含むリチウム二次電池前駆体。
<8> <7>に記載のリチウム二次電池前駆体に対して、充電及び放電を施して得られたリチウム二次電池。
<9> <7>に記載のリチウム二次電池前駆体を準備する工程と、
前記リチウム二次電池前駆体に対して、充電及び放電を施す工程と、
を含む、リチウム二次電池の製造方法。
本開示の一態様によれば、電池用の非水電解液として用いた場合に、電池の保存後の容量維持率を高く保持でき、電池の保存後の抵抗を低減し、電池の保存時の抵抗上昇率を低減することができる非水電解液、並びに、この非水電解液を用いた、リチウム二次電池前駆体、リチウム二次電池、及び、リチウム二次電池の製造方法が提供される。
本開示のリチウム二次電池前駆体又は本開示のリチウム二次電池の一例である、ラミネート型電池の一例を示す概略斜視図である。 図1に示すラミネート型電池に収容される積層型電極体の、厚さ方向の概略断面図である。 本開示のリチウム二次電池前駆体又は本開示のリチウム二次電池の別の一例である、コイン型電池の一例を示す概略断面図である。
本明細書において、「~」を用いて表される数値範囲は、「~」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
本明細書において、組成物中の各成分の量は、組成物中に各成分に該当する物質が複数存在する場合は、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数の物質の合計量を意味する。
〔非水電解液〕
本開示の非水電解液は、
モノフルオロリン酸リチウム及びジフルオロリン酸リチウムからなる群から選択される少なくとも1種である化合物(A)と、
下記式(B)で表される化合物からなる群から選択される少なくとも1種である化合物(B)と、
下記式(C)で表される化合物からなる群から選択される少なくとも1種である化合物(C)と、
を含有する。
Figure 2022121281000004
式(B)中、Rb1~Rb4は、それぞれ独立に、水素原子、フッ素原子、炭素数1~6の炭化水素基、又は炭素数1~6のフッ化炭化水素基を表す。
式(C)中、Rc1~Rc4は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1~6の炭化水素基、式(a)で表される基、又は式(b)で表される基を表す。式(a)及び式(b)において、*は、結合位置を表す。
本開示の非水電解液は、電池用の非水電解液として用いた場合に、電池の保存後の容量維持率を高く保持でき、電池の保存後の抵抗を低減し、電池の保存時の抵抗上昇率を低減することができる非水電解液である。
即ち、本開示の非水電解液によれば、上述した電池の性能(詳細には、保存後の容量維持率、保存後の抵抗、及び保存時の抵抗上昇率)のバランスを向上させることができる。
以下、本開示の非水電解液に含有され得る各成分について説明する。
<化合物(A)>
本開示の非水電解液は、モノフルオロリン酸リチウム及びジフルオロリン酸リチウムからなる群から選択される少なくとも1種である化合物(A)を含有する。
化合物(A)は、モノフルオロリン酸リチウム及びジフルオロリン酸リチウムのいずれか一方又は両方である。
化合物(A)は、ジフルオロリン酸リチウムを含むことが好ましい。
<化合物(B)>
本開示の非水電解液は、下記式(B)で表される化合物からなる群から選択される少なくとも1種である化合物(B)を含有する。
Figure 2022121281000005
式(B)中、Rb1~Rb4は、それぞれ独立に、水素原子、フッ素原子、炭素数1~6の炭化水素基、又は炭素数1~6のフッ化炭化水素基を表す。
b1~Rb4で表される炭素数1~6の炭化水素基としては、アルキル基、アルケニル基、又はアルキニル基が好ましく、アルキル基又はアルケニル基がより好ましく、アルキル基が特に好ましい。
b1~Rb4で表される炭素数1~6の炭化水素基の炭素数としては、1~3が好ましく、1又は2がより好ましく、1が特に好ましい。
b1~Rb4で表される炭素数1~6のフッ化炭化水素基としては、フッ化アルキル基、フッ化アルケニル基、又はフッ化アルキニル基が好ましく、フッ化アルキル基又はフッ化アルケニル基がより好ましく、フッ化アルキル基が特に好ましい。
b1~Rb4で表される炭素数1~6のフッ化炭化水素基の炭素数としては、1~3が好ましく、1又は2がより好ましく、1が特に好ましい。
本開示において、
フッ化炭化水素基とは、炭化水素基に含まれる水素原子のうちの少なくとも1つを、フッ素原子に置き換えた基を意味し、
フッ化アルキル基とは、アルキル基に含まれる水素原子のうちの少なくとも1つを、フッ素原子に置き換えた基を意味し、
フッ化アルケニル基とは、アルケニル基に含まれる水素原子のうちの少なくとも1つを、フッ素原子に置き換えた基を意味し、
フッ化アルキニル基とは、アルキニル基に含まれる水素原子のうちの少なくとも1つを、フッ素原子に置き換えた基を意味する。
b1~Rb4は、それぞれ独立に、水素原子、フッ素原子、メチル基、エチル基、トリフルオロメチル基、又はペンタフルオロエチル基が好ましく、水素原子又はメチル基がより好ましく、水素原子が特に好ましい。
化合物(B)の具体例としては、下記化合物(B-1)~化合物(B-21)が挙げられるが、化合物(B)は、これらの具体例には限定されない。
これらのうち、化合物(B-1)が特に好ましい。
Figure 2022121281000006
<化合物(C)>
本開示の非水電解液は、下記式(C)で表される化合物からなる群から選択される少なくとも1種である化合物(C)を含有する。
Figure 2022121281000007
式(C)中、Rc1~Rc4は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1~6の炭化水素基、式(a)で表される基、又は式(b)で表される基を表す。式(a)及び式(b)において、*は、結合位置を表す。
化合物(C)中、Rc1~Rc4で表される炭素数1~6の炭化水素基の具体例及び好ましい態様は、化合物(B)中のRb1~Rb3で表される炭素数1~6の炭化水素基の具体例及び好ましい態様と同様である。
以下、化合物(C)の具体例を示すが、化合物(C)は、以下の具体例には限定されない。
これらのうち、化合物(C-1)~化合物(C-3)が好ましく、化合物(C-1)又は化合物(C-2)がより好ましく、化合物(C-1)が特に好ましい。
Figure 2022121281000008
<化合物の好ましい含有量>
化合物(A)の含有量は、非水電解液の全量に対し、0.001質量%~10質量%が好ましく、0.003質量%~5質量%がより好ましく、0.03質量%~3質量%であることが更に好ましく、0.1質量%~3質量%であることが更に好ましく、0.2質量%~3質量%であることが更に好ましく、0.3質量%~2質量%であることが更に好ましい。
化合物(B)の含有量は、非水電解液の全量に対し、0.001質量%~10質量%が好ましく、0.003質量%~5質量%がより好ましく、0.003質量%~3質量%であることが更に好ましく、0.03質量%~3質量%であることが更に好ましく、0.1質量%~3質量%であることが更に好ましく、0.1質量%~2質量%であることが更に好ましい。
化合物(C)の含有量は、非水電解液の全量に対し、0.001質量%~10質量%が好ましく、0.003質量%~5質量%がより好ましく、0.003質量%~3質量%であることが更に好ましく、0.03質量%~3質量%であることが更に好ましく、0.1質量%~3質量%であることが更に好ましく、0.1質量%~2質量%であることが更に好ましい。
本開示の非水電解液において、電池の性能(詳細には、保存後の容量維持率、保存後の抵抗、及び保存時の抵抗上昇率)のバランスをより向上させる観点から、化合物(A)~化合物(C)の合計含有量に対する化合物(A)の含有量の比は、好ましくは0.3以上であり、より好ましくは0.5以上であり、更に好ましくは0.6以上である。
化合物(A)~化合物(C)の合計含有量に対する化合物(A)の含有量の比は、1.0未満であればよいが、好ましくは0.9以下であり、より好ましくは0.8以下である。
本開示の非水電解液において、電池の性能(詳細には、保存後の容量維持率、保存後の抵抗、及び保存時の抵抗上昇率)のバランスをより向上させる観点から、化合物(B)及び化合物(C)の合計含有量に対する化合物(B)の含有量の比は、好ましくは0.1~0.9であり、より好ましくは0.2~0.8であり、更に好ましくは0.3~0.7であり、更に好ましくは0.4~0.6である。
次に、非水電解液の他の成分について説明する。非水電解液は、一般的に、電解質と非水溶媒とを含有する。
<電解質>
本開示の非水電解液における電解質は、リチウム塩を含むことが好ましく、LiPFを含むことがより好ましい。
LiPFは、分子量が比較的小さく解離性に優れ、非水電解液の抵抗増加を抑制でき、酸化安定性が高く、分解しにくいという利点を有する。
電解質がLiPFを含む場合、電解質中に占めるLiPFの比率は、好ましくは10質量%~100質量%、より好ましくは50質量%~100質量%、さらに好ましくは70質量%~100質量%であり、更に好ましくは90質量%~100質量%であり、更に好ましくは95質量%~100質量%である。
本開示の非水電解液における電解質の濃度は、0.1mol/L~3mol/Lが好ましく、0.5mol/L~2mol/Lがより好ましい。
また、本開示の非水電解液におけるLiPFの濃度は、0.1mol/L~3mol/Lが好ましく、0.5mol/L~2mol/Lがより好ましい。
電解質がLiPFを含む場合、電解質は、LiPF以外の化合物を含んでいてもよい。
LiPF以外の化合物としては;
(CNPF、(CNBF、(CNClO、(CNAsF、(CSiF、(CNOSO(2k+1)(k=1~8の整数)、(CNPF[C(2k+1)(6-n)(n=1~5の整数、k=1~8の整数)などのテトラアルキルアンモニウム塩;
LiBF、LiClO、LiAsF、LiSiF、LiOSO(2k+1)(k=1~8の整数)、LiPF[C(2k+1)(6-n)(n=1~5の整数、k=1~8の整数)、LiC(SO)(SO)(SO)、LiN(SOOR10)(SOOR11)、LiN(SO12)(SO13)(ここでR~R13は互いに同一でも異なっていてもよく、フッ素原子又は炭素数1~8のパーフルオロアルキル基(より好ましくはフッ素原子又は炭素数3~8のパーフルオロアルキル基)である)等のリチウム塩(即ち、LiPF以外のリチウム塩);
等が挙げられる。
<非水溶媒>
本開示の非水電解液における非水溶媒は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
非水溶媒としては、種々公知のものを適宜選択することができる。
非水溶媒としては、例えば、特開2017-45723号公報の段落0069~0087に記載の非水溶媒を用いることができる。
非水溶媒は、環状カーボネート化合物及び鎖状カーボネート化合物を含むことが好ましい。
この場合、非水溶媒に含まれる環状カーボネート化合物及び鎖状カーボネート化合物は、それぞれ、1種のみであってもよいし2種以上であってもよい。
環状カーボネート化合物としては、例えば、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、1,2-ブチレンカーボネート、2,3-ブチレンカーボネート、1,2-ペンチレンカーボネート、2,3-ペンチレンカーボネート等が挙げられる。
これらのうち、誘電率が高い、エチレンカーボネート及びプロピレンカーボネートが好適である。黒鉛を含む負極活物質を使用した電池の場合は、非水溶媒は、エチレンカーボネートを含むことがより好ましい。
鎖状カーボネート化合物としては、ジメチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、ジエチルカーボネート、メチルプロピルカーボネート、メチルイソプロピルカーボネート、エチルプロピルカーボネート、ジプロピルカーボネート、メチルブチルカーボネート、エチルブチルカーボネート、ジブチルカーボネート、メチルペンチルカーボネート、エチルペンチルカーボネート、ジペンチルカーボネート、メチルヘプチルカーボネート、エチルヘプチルカーボネート、ジヘプチルカーボネート、メチルヘキシルカーボネート、エチルヘキシルカーボネート、ジヘキシルカーボネート、メチルオクチルカーボネート、エチルオクチルカーボネート、ジオクチルカーボネート、等が挙げられる。
環状カーボネートと鎖状カーボネートの組み合わせとして、具体的には、エチレンカーボネートとジメチルカーボネート、エチレンカーボネートとメチルエチルカーボネート、エチレンカーボネートとジエチルカーボネート、プロピレンカーボネートとジメチルカーボネート、プロピレンカーボネートとメチルエチルカーボネート、プロピレンカーボネートとジエチルカーボネート、エチレンカーボネートとプロピレンカーボネートとメチルエチルカーボネート、エチレンカーボネートとプロピレンカーボネートとジエチルカーボネート、エチレンカーボネートとジメチルカーボネートとメチルエチルカーボネート、エチレンカーボネートとジメチルカーボネートとジエチルカーボネート、エチレンカーボネートとメチルエチルカーボネートとジエチルカーボネート、エチレンカーボネートとジメチルカーボネートとメチルエチルカーボネートとジエチルカーボネート、エチレンカーボネートとプロピレンカーボネートとジメチルカーボネートとメチルエチルカーボネート、エチレンカーボネートとプロピレンカーボネートとジメチルカーボネートとジエチルカーボネート、エチレンカーボネートとプロピレンカーボネートとメチルエチルカーボネートとジエチルカーボネート、エチレンカーボネートとプロピレンカーボネートとジメチルカーボネートとメチルエチルカーボネートとジエチルカーボネートなどが挙げられる。
環状カーボネート化合物と鎖状カーボネート化合物の混合割合は、質量比で表して、環状カーボネート化合物:鎖状カーボネート化合物が、例えば5:95~80:20、好ましくは10:90~70:30、更に好ましくは15:85~55:45である。このような比率にすることによって、非水電解液の粘度上昇を抑制し、電解質の解離度を高めることができるため、電池の充放電特性に関わる非水電解液の伝導度を高めることができる。また、電解質の溶解度をさらに高めることができる。よって、常温または低温での電気伝導性に優れた非水電解液とすることができるため、常温から低温での電池の負荷特性を改善することができる。
非水溶媒は、環状カーボネート化合物及び鎖状カーボネート化合物以外のその他の化合物を含んでいてもよい。
この場合、非水溶媒に含まれるその他の化合物は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
その他の化合物としては、環状カルボン酸エステル化合物(例えばγブチロラクトン)、環状スルホン化合物、環状エーテル化合物、鎖状カルボン酸エステル化合物、鎖状エーテル化合物、鎖状リン酸エステル化合物、アミド化合物、鎖状カーバメート化合物、環状アミド化合物、環状ウレア化合物、ホウ素化合物、ポリエチレングリコール誘導体、等が挙げられる。
これらの化合物については、特開2017-45723号公報の段落0069~0087の記載を適宜参照できる。
非水溶媒中に占める、環状カーボネート化合物及び鎖状カーボネート化合物の割合は、好ましくは80質量%以上であり、より好ましくは90質量%以上であり、更に好ましくは95質量%以上である。
非水溶媒中に占める、環状カーボネート化合物及び鎖状カーボネート化合物の割合は、100質量%であってもよい。
非水電解液中に占める非水溶媒の割合は、好ましくは60質量%以上であり、より好ましくは70質量%以上である。
非水電解液中に占める非水溶媒の割合の上限は、他の成分(電解質、添加剤等)の含有量にもよるが、上限は、例えば99質量%であり、好ましくは97質量%であり、更に好ましくは90質量%である。
本開示の非水電解液は、電池用の非水電解液として用いられ得るが、電池用の非水電解液の中でも、特に、リチウム二次電池用の非水電解液として好適に用いられ得る。
〔リチウム二次電池前駆体、リチウム二次電池〕
本開示のリチウム二次電池前駆体は、
正極と、
リチウムイオンの吸蔵及び放出が可能な負極活物質を含む負極と、
前述した本開示の非水電解液と、
を含む。
本開示のリチウム二次電池は、本開示のリチウム二次電池前駆体に対して、充電及び放電を施して得られたリチウム二次電池である。
本開示において、リチウム二次電池前駆体とは、製造後、充電及び放電がなされる前のリチウム二次電池を意味する。
言い換えれば、本開示において、リチウム二次電池とは、リチウム二次電池前駆体に対し、充電及び放電が施された電池を意味する。
本開示のリチウム二次電池前駆体は、前述した本開示の非水電解液を含む。
このため、本開示のリチウム二次電池前駆体及び本開示の非水電解液によれば、前述した本開示の非水電解液による効果と同様の効果が奏される。
以下、本開示のリチウム二次電池前駆体に含まれ得る各構成要素について説明する。
本開示のリチウム二次電池に含まれ得る各構成要素は、基本的に、本開示のリチウム二次電池前駆体に含まれ得る各構成要素と同様である。
本開示のリチウム二次電池において、正極(特に正極活物質)及び/又は負極(特に負極活物質)の表面には、好ましくは、SEI(Solid Electrolyte. Interface)膜が形成されている。SEI膜は、リチウム二次電池前駆体に充電及び放電を施すことによって形成され得る被膜である。SEI膜は、非水電解液中の成分及び又は上記成分に由来する生成物(例えば分解物)を含む。
<負極>
負極は、負極活物質及び負極集電体を含んでもよい。
負極における負極活物質としては、金属リチウム、リチウム含有合金、リチウムとの合金化が可能な金属もしくは合金、リチウムイオンのドープ・脱ドープが可能な酸化物、リチウムイオンのドープ・脱ドープが可能な遷移金属窒素化物、及び、リチウムイオンのドープ・脱ドープが可能な炭素材料からなる群から選ばれた少なくとも1種(単独で用いてもよいし、これらの2種以上を含む混合物を用いてもよい)を用いることができる。
リチウム(又はリチウムイオン)との合金化が可能な金属もしくは合金としては、シリコン、シリコン合金、スズ、スズ合金などを挙げることができる。
リチウムイオンのドープ・脱ドープが可能な酸化物としては、チタン酸リチウム、酸化シリコン(好ましくはSiOx(Xは、0.5以上1.6未満を表す)、より好ましくはSiO)などを挙げることができる。
これらの中でも、負極に対する被膜の形成性をより向上させ、初期の及び/又は保存後の電池の抵抗をより低減させる観点から、リチウムイオンをドープ・脱ドープすることが可能な炭素材料が好ましい。このような炭素材料としては、カーボンブラック、活性炭、黒鉛材料(人造黒鉛、天然黒鉛)、非晶質炭素材料、等が挙げられる。上記炭素材料の形態は、繊維状、球状、ポテト状、フレーク状のいずれの形態であってもよい。
上記非晶質炭素材料として具体的には、ハードカーボン、コークス、1500℃以下に焼成したメソカーボンマイクロビーズ(MCMB)、メソフェーズピッチカーボンファイバー(MCF)などが例示される。
上記黒鉛材料としては、天然黒鉛、人造黒鉛が挙げられる。人造黒鉛としては、黒鉛化MCMB、黒鉛化MCFなどが用いられる。また、黒鉛材料としては、ホウ素を含有するものなども用いることができる。また、黒鉛材料としては、金、白金、銀、銅、スズなどの金属で被覆したもの、非晶質炭素で被覆したもの、非晶質炭素と黒鉛を混合したものも使用することができる。
これらの炭素材料は、1種類で使用してもよく、2種類以上混合して使用してもよい。
上記炭素材料としては、特にX線解析で測定した(002)面の面間隔d(002)が0.340nm以下の炭素材料が好ましい。また、炭素材料としては、真密度が1.70g/cm以上である黒鉛又はそれに近い性質を有する高結晶性炭素材料も好ましい。以上のような炭素材料を使用すると、電池のエネルギー密度をより高くすることができる。
負極における負極集電体の材質には特に制限はなく、公知のものを任意に用いることができる。
負極集電体の具体例としては、銅、ニッケル、ステンレス鋼、ニッケルメッキ鋼等の金属材料が挙げられる。中でも、加工しやすさの点から特に銅が好ましい。
負極は、負極集電体と、負極集電体の表面の少なくとも一部に設けられた負極活物質層と、を含んでもよい。
負極活物質層は、負極活物質を少なくとも1種含む。負極活物質層における負極活物質は、上述した炭素材料を含むことが好ましい。
負極活物質層中における上記炭素材料の含有量は、負極に対する被膜の形成性をより向上させ、初期の及び/又は保存後の電池の抵抗をより低減させる観点から、負極活物質層の全量に対し、好ましくは70質量%以上であり、より好ましくは80質量%以上であり、更に好ましくは90質量%以上である。
負極活物質層は、更に、バインダーを少なくとも1種含んでいてもよい。
バインダーとしては、スチレンブタジエン(SBR)ゴム(例えば、SBRラテックス)、アクリロニトリル-ブタジエンゴム、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレンゴム、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルアルコール、ヒドロキシプロピルセルロース、及びジアセチルセルロースからなる群から選択される少なくとも1種が好ましい。バインダーは、SBRラテックス及びカルボキシメチルセルロースを含むことが好ましい。
負極活物質層中におけるバインダーの含有量は、負極活物質層の全量に対し、好ましくは1質量%~20質量%であり、より好ましくは1質量%~10質量%であり、更に好ましくは1質量%~5質量%である。
負極全体に対するSiの含有量は、5質量%以下であることが好ましい。
負極全体に対するSiの含有量が5質量%以下である場合には、負極に対する被膜の形成性がより向上し、初期の及び/又は保存後の電池の抵抗がより低減される。
<正極>
正極は、正極活物質及び正極集電体を含んでもよい。
正極における正極活物質としては、MoS、TiS、MnO、Vなどの遷移金属酸化物又は遷移金属硫化物、LiCoO、LiMnO、LiMn、LiNiO、LiNiCo(1-X)〔0<X<1〕、α-NaFeO型結晶構造を有するLi1+αMe1-α(Meは、Mn、Ni及びCoを含む遷移金属元素、1.0≦(1+α)/(1-α)≦1.6)、LiNiCoMn〔x+y+z=1、0<x<1、0<y<1、0<z<1〕(例えば、LiNi0.33Co0.33Mn0.33、LiNi0.5Co0.2Mn0.3等)、LiFePO、LiMnPOなどのリチウムと遷移金属とからなる複合酸化物、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリピロール、ポリアセチレン、ポリアセン、ジメルカプトチアジアゾール、ポリアニリン複合体などの導電性高分子材料等が挙げられる。これらの中でも、特にリチウムと遷移金属とからなる複合酸化物が好ましい。負極がリチウム金属又はリチウム合金である場合は、正極として炭素材料を用いることもできる。また、正極として、リチウムと遷移金属との複合酸化物と、炭素材料と、の混合物を用いることもできる。
正極活物質は、1種類で使用してもよく、2種類以上を混合して使用してもよい。正極活物質は導電性が不充分である場合には、導電性助剤とともに使用して正極を構成することができる。導電性助剤としては、カーボンブラック、アモルファスウィスカー、グラファイトなどの炭素材料を例示することができる。
正極における正極集電体の材質には特に制限はなく、公知のものを任意に用いることができる。
正極集電体の具体例としては、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金、ステンレス鋼、ニッケル、チタン、タンタルなどの金属材料;カーボンクロス、カーボンペーパーなどの炭素材料;等が挙げられる。
正極は、正極集電体と、正極集電体の表面の少なくとも一部に設けられた正極活物質層と、を含んでもよい。
正極活物質層は、正極活物質を少なくとも1種含む。正極活物質層における負極活物質は、リチウムと遷移金属とからなる複合酸化物を含むことが好ましい。
正極活物質層中における上記複合酸化物の含有量は、正極活物質層の全量に対し、好ましくは70質量%以上であり、より好ましくは80質量%以上である。
正極活物質層は、更に、上記導電助剤を少なくとも1種含んでいてもよい。
正極活物質層は、更に、バインダーを少なくとも1種含んでいてもよい。
バインダーとしては、例えば、ポリ酢酸ビニル、ポリメチルメタクリレート、ニトロセルロース、フッ素樹脂、ゴム粒子等が挙げられる。フッ素樹脂としては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、テトラフルオロエチレン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、フッ化ビニリデン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体等が挙げられる。ゴム粒子としては、スチレン-ブタジエンゴム粒子、アクリロニトリルゴム粒子等が挙げられる。これらの中でも、正極活物質層の耐酸化性を向上させる観点から、フッ素樹脂が好ましい。
正極活物質層中におけるバインダーの含有量は、正極活物質層の全量に対し、好ましくは1質量%~20質量%であり、より好ましくは1質量%~10質量%である。
<セパレータ>
本開示のリチウム二次電池前駆体は、負極と正極との間にセパレータを含むことが好ましい。
セパレータは、正極と負極とを電気的に絶縁し且つリチウムイオンを透過する膜であって、多孔性膜や高分子電解質が例示される。
多孔性膜としては微多孔性高分子フィルムが好適に使用され、材質としてポリオレフィン、ポリイミド、ポリフッ化ビニリデン、ポリエステル等が例示される。
特に、多孔性ポリオレフィンが好ましく、具体的には多孔性ポリエチレンフィルム、多孔性ポリプロピレンフィルム、又は多孔性のポリエチレンフィルムとポリプロピレンフィルムとの多層フィルムを例示することができる。多孔性ポリオレフィンフィルム上には、熱安定性に優れる他の樹脂がコーティングされてもよい。
高分子電解質としては、リチウム塩を溶解した高分子や、電解液で膨潤させた高分子等が挙げられる。
本開示の非水電解液は、高分子を膨潤させて高分子電解質を得る目的で使用してもよい。
<リチウム二次電池前駆体の構成>
本開示のリチウム二次電池前駆体は、種々公知の形状をとることができ、円筒型、コイン型、角型、ラミネート型、フィルム型その他任意の形状に形成することができる。しかし、リチウム二次電池前駆体の基本構造は、形状によらず同じであり、目的に応じて設計変更を施すことができる。
なお、本開示のリチウム二次電池に基本構造についても、本開示のリチウム二次電池前駆体の基本構造を参照できる。
本開示のリチウム二次電池前駆体又は本開示のリチウム二次電池の例として、ラミネート型電池が挙げられる。
図1は、本開示のリチウム二次電池前駆体又は本開示のリチウム二次電池の一例である、ラミネート型電池の一例を示す概略斜視図であり、図2は、図1に示すラミネート型電池に収容される積層型電極体の厚さ方向の概略断面図である。
図1に示すラミネート型電池は、内部に非水電解液(図1中では不図示)及び積層型電極体(図1中では不図示)が収納され、且つ、周縁部が封止されることにより内部が密閉されたラミネート外装体1を備える。ラミネート外装体1としては、例えばアルミニウム製のラミネート外装体が用いられる。
ラミネート外装体1に収容される積層型電極体は、図2に示されるように、正極板5と負極板6とがセパレータ7を介して交互に積層されてなる積層体と、この積層体の周囲を囲むセパレータ8と、を備える。正極板5、負極板6、セパレータ7、及びセパレータ8には、本開示の非水電解液が含浸されている。
上記積層型電極体における複数の正極板5は、いずれも正極タブを介して正極端子2と電気的に接続されており(不図示)、この正極端子2の一部が上記ラミネート外装体1の周端部から外側に突出している(図1)。ラミネート外装体1の周端部において正極端子2が突出する部分は、絶縁シール4によってシールされている。
同様に、上記積層型電極体における複数の負極板6は、いずれも負極タブを介して負極端子3と電気的に接続されており(不図示)、この負極端子3の一部が上記ラミネート外装体1の周端部から外側に突出している(図1)。ラミネート外装体1の周端部において負極端子3が突出する部分は、絶縁シール4によってシールされている。
なお、上記一例に係るラミネート型電池では、正極板5の数が5枚、負極板6の数が6枚となっており、正極板5と負極板6とがセパレータ7を介し、両側の最外層がいずれも負極板6となる配置で積層されている。しかし、ラミネート型電池における、正極板の数、負極板の数、及び配置については、この一例には限定されず、種々の変更がなされてもよいことは言うまでもない。
本開示のリチウム二次電池前駆体又は本開示のリチウム二次電池の別の一例として、コイン型電池も挙げられる。
図3は、本開示のリチウム二次電池前駆体又は本開示のリチウム二次電池の別の一例であるコイン型電池の一例を示す概略斜視図である。
図3に示すコイン型電池では、円盤状負極12、非水電解液を注入したセパレータ15、円盤状正極11、必要に応じて、ステンレス、又はアルミニウムなどのスペーサー板17、18が、この順序に積層された状態で、正極缶13(以下、「電池缶」ともいう)と封口板14(以下、「電池缶蓋」ともいう)との間に収納される。正極缶13と封口板14とはガスケット16を介してかしめ密封する。
この一例では、セパレータ15に注入される非水電解液として、本開示の非水電解液を用いる。
本開示のリチウム二次電池前駆体又は本開示のリチウム二次電池の用途は特に限定されず、種々公知の用途に用いることができる。例えば、ノート型パソコン、モバイルパソコン、携帯電話、ヘッドホンステレオ、ビデオムービー、液晶テレビ、ハンディークリーナー、電子手帳、電卓、ラジオ、バックアップ電源用途、モーター、自動車、電気自動車、バイク、電動バイク、自転車、電動自転車、照明器具、ゲーム機、時計、電動工具、カメラ等、小型携帯機器、大型機器を問わず広く利用可能なものである。
〔リチウム二次電池の製造方法〕
本開示のリチウム二次電池の製造方法は、
前述した本開示のリチウム二次電池前駆体を準備する工程(以下、「準備工程」ともいう)と、
上記リチウム二次電池前駆体に対して、充電及び放電を施す工程と、
を含む。
準備工程は、予め製造された本開示のリチウム二次電池前駆体を充電及び放電を施す工程に供するために単に準備するだけの工程であってもよいし、本開示のリチウム二次電池前駆体を製造する工程であってもよい。
リチウム二次電池前駆体については前述のとおりである。
充電及び放電を施す工程において、リチウム二次電池前駆体に対する充電及び放電は、公知の方法に従って行うことができる。
本工程では、リチウム二次電池前駆体に対し、充電及び放電のサイクルを、複数回繰り返してもよい。
前述のとおり、この充電及び放電により、リチウム二次電池前駆体における正極(特に正極活物質)及び/又は負極(特に負極活物質)の表面に、好ましくはSEI膜が形成される。
以下、本開示の実施例を示すが、本開示は以下の実施例によって制限されるものではない。
なお、以下の実施例において、「添加量」は、最終的に得られる非水電解液の全量に対する含有量を意味し、「wt%」は、質量%を意味する。
〔実施例1〕
<非水電解液の調製>
エチレンカーボネート(EC)とジメチルカーボネート(DMC)とメチルエチルカーボネート(EMC)とを、30:35:35(体積比)の割合で混合した。これにより、非水溶媒としての混合溶媒を得た。
得られた混合溶媒に対し、
電解質としてLiPFを、最終的に得られる非水電解液中の濃度が1.2モル/リットルとなるように溶解させ、
更に、添加剤として、化合物(A)、化合物(B)、及び化合物(C)の各々を、最終的に得られる非水電解液中の含有量(質量%)が、それぞれ、1.0質量%、0.2質量%、及び0.2質量%となるように添加し、非水電解液を得た。
ここで、
化合物(A)としてはジフルオロリン酸リチウム(LiDFP)を用い、
化合物(B)としては下記化合物(B-1)を用い、
化合物(C)としては下記化合物(C-1)を用いた。
Figure 2022121281000009
<リチウム二次電池前駆体の作製>
以下の手順にて、リチウム二次電池前駆体として、図3に示す構成を有するコイン型電池を作製した。
(負極の作製)
負極活物質としてのアモルファスコート天然黒鉛(98質量部)、増粘剤としての、純水中で分散したカルボキシメチルセルロースナトリウム(固形分として1質量部)、及び、結着材としての、純水中で分散したスチレン―ブタジエンゴム(SBR)(1質量部)を加えて混合し、ペースト状の負極合剤スラリーを得た。
次に、得られた負極合剤スラリーを厚さ10μmの帯状銅箔(負極集電体)に塗布し、乾燥後に、ロールプレスで圧延し、負極集電体と負極活物質層とからなるシート状の負極を得た。このときの負極活物質層の塗布密度は10mg/cmであり、充填密度は1.5g/mLであった。
(正極の作製)
正極活物質としてのLiNi0.5Mn0.3Co0.2(90質量部)、導電助剤としてのアセチレンブラック(5質量部)、及び結着材としてのポリフッ化ビニリデン(5質量部)を混合した混合物を、溶媒としてのN-メチルピロリジノン中に分散させ、ペースト状の正極合剤スラリーを調製した。
次に、この正極合剤スラリーを厚さ20μmの帯状アルミ箔(正極集電体)に塗布し、乾燥後に、ロールプレスで圧延し、正極集電体と正極活物質層とからなるシート状の正極を得た。このときの正極活物質層の塗布密度は30mg/cmであり、充填密度は2.5g/mLであった。
(セパレータの作製)
厚さ20μmの微多孔性ポリエチレンフィルムを直径17mmの円盤状に打ち抜き、コイン状のセパレータを得た。
(コイン型電池の作製)
上述の負極を直径14mmで、上述の正極を直径13mmで、それぞれ円盤状に打ち抜き、コイン状の負極及びコイン状の正極をそれぞれ得た。
得られたコイン状の負極、セパレータ、及びコイン状の正極を、この順序でステンレス製の電池缶(2032サイズ)内に積層し、次いで、この電池缶内に、上述の非水電解液20μLを注入し、セパレータと正極と負極とに含漬させた。
次に、正極上にアルミニウム製の板(厚さ1.2mm、直径16mm)及びバネを乗せ、ポリプロピレン製のガスケットを介して、電池缶蓋をかしめることにより電池を密封した。
以上により、リチウム二次電池前駆体として、直径20mm、高さ3.2mmの図3で示す構成を有するコイン型電池を得た。
<評価>
得られたコイン型電池について、以下の評価を実施した。
評価結果を表1に示す。
表1では、各実施例における、保存後容量維持率、保存後の抵抗、及び、保存時の抵抗上昇率を、それぞれ、後述の比較例1における値を100とした場合の相対値として示す。
(コンディショニング)
リチウム二次電池前駆体としてのコイン型電池を、恒温槽内で25℃にて、2.5Vと4.2Vとの間で、充電及び放電のサイクルを三回繰り返し、リチウム二次電池としての第1電池を得た。
(初期容量)
第1電池の放電容量を「初期容量」とした。
(初期抵抗)
第1電池のSOC(State of Charge)を50%に調整した。
SOC50%に調整された第1電池について、-20℃にて、放電レート0.2CでのCC10s放電を行い、DCIR(Direct Current Internal Resistance;直流抵抗)(Ω)を測定した。
ここで、CC10s放電とは、定電流(Constant Current)にて10秒間放電することを意味する。
また、DCIRの測定は、上記「放電レート0.2CでのCC10s放電」における電流値(即ち、放電レート0.2Cに相当する電流値)と、電圧低下量(=放電開始前の電圧-放電開始後10秒目の電圧)と、に基づいて行った。得られたDCIR(Ω)を、「初期抵抗(Ω)」とした。
以下、上記初期抵抗の測定を行った後の第1電池を、第2電池とする。
(保存)
第2電池を、4.2Vまで充電し、次いで恒温槽内で、60℃で9日間保存し、第3電池を得た。
(保存後の容量)
第3電池に対し、2.5Vまで放電を実施した。
次に、恒温槽内で25℃にて充電レート0.2Cで4.2VまでCC-CV充電した後、2.5Vまで放電し、第4電池を得た。この時の放電容量を、「保存後の容量」とした。
ここで、CC-CV充電とは、定電流定電圧(Constant Current - Constant Voltage)にて充電することを意味する。
(保存後の抵抗)
第4電池のSOCを50%に調整した。
SOC50%に調整された第4電池について、-20℃にて、前述した初期抵抗の測定と同様の方法によってDCIR(Ω)を測定し、得られた値を、「保存後の抵抗(Ω)」とした。
以下、上記保存後の抵抗の測定を行った後の第4電池を、第5電池とする。
(保存後の容量維持率)
下記式により、保存後の容量維持率(%)を算出した。
保存後の容量維持率(%)=(保存後の容量/初期容量)×100
(保存時の抵抗上昇率の算出)
下記式により、保存時の抵抗上昇率(%)を算出した。
保存時の抵抗上昇率(%)=(保存後の抵抗/初期抵抗)×100
〔実施例2及び比較例1~3〕
非水電解液における添加剤の種類及び含有量を、表1に示すように変更したこと以外は実施例1と同様の操作を行った。
結果を表1に示す。
表1中、「-」は、該当する成分を含有しないことを意味する。
表1中、添加剤名の下のカッコ内の数字が、その添加剤の含有量(質量%)である。
Figure 2022121281000010
表1に示すように、実施例1及び2の電池は、保存後の容量維持率が高く、保存後の抵抗、及び保存時の抵抗上昇率が低減されており、比較例1~3の電池と比較して、電池性能のバランスに優れていた。
より詳細には、添加剤として、化合物(A)、化合物(B)、及び化合物(C)を含有する非水電解液を用いた実施例1及び2の電池は、これらのうち、化合物(C)を含有しない非水電解液を用いた比較例1の電池と比較して、保存後の容量維持率が向上し、保存時の抵抗上昇率が低減された。
また、実施例1の電池は、3種の添加剤のうち、化合物(A)を含有しない比較例2の電池と比較して、保存後の容量維持率が改善され、かつ、保存後の抵抗が低減された。
実施例2の電池は、3種の添加剤のうち、化合物(A)を含有しない比較例2の電池と比較して、保存後の容量維持率が改善され、かつ、保存後の抵抗が低減された。
更に、実施例1の電池は、3種の添加剤のうち、化合物(B)を含有しない比較例3の電池と比較して、保存後の容量維持率が改善され、かつ、保存時の抵抗上昇率が低減された。
更に、実施例2の電池は、3種の添加剤のうち、化合物(B)を含有しない比較例3の電池と比較して、保存後の容量維持率が改善され、保存後の抵抗が低減され、かつ、保存時の抵抗上昇率が低減された。
1 ラミネート外装体
2 正極端子
3 負極端子
4 絶縁シール
5 正極板
6 負極板
7、8 セパレータ
11 正極
12 負極
13 正極缶
14 封口板
15 セパレータ
16 ガスケット
17、18 スペーサー板

Claims (9)

  1. モノフルオロリン酸リチウム及びジフルオロリン酸リチウムからなる群から選択される少なくとも1種である化合物(A)と、
    下記式(B)で表される化合物からなる群から選択される少なくとも1種である化合物(B)と、
    下記式(C)で表される化合物からなる群から選択される少なくとも1種である化合物(C)と、
    を含有する非水電解液。
    Figure 2022121281000011

    〔式(B)中、Rb1~Rb4は、それぞれ独立に、水素原子、フッ素原子、炭素数1~6の炭化水素基、又は炭素数1~6のフッ化炭化水素基を表す。
    式(C)中、Rc1~Rc4は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1~6の炭化水素基、式(a)で表される基、又は式(b)で表される基を表す。式(a)及び式(b)において、*は、結合位置を表す。〕
  2. 前記化合物(B)が、下記化合物(B-1)である、請求項1に記載の非水電解液。
    Figure 2022121281000012
  3. 前記化合物(C)が、下記化合物(C-1)である、請求項1又は請求項2に記載の非水電解液。
    Figure 2022121281000013
  4. 前記化合物(A)の含有量が、非水電解液の全量に対し、0.001質量%~10質量%である請求項1~請求項3のいずれか1項に記載の非水電解液。
  5. 前記化合物(B)の含有量が、非水電解液の全量に対し、0.001質量%~10質量%である請求項1~請求項4のいずれか1項に記載の非水電解液。
  6. 前記化合物(B)の含有量が、非水電解液の全量に対し、0.001質量%~10質量%である請求項1~請求項5のいずれか1項に記載の非水電解液。
  7. 正極と、
    リチウムイオンの吸蔵及び放出が可能な負極活物質を含む負極と、
    請求項1~請求項6のいずれか1項に記載の非水電解液と、
    を含むリチウム二次電池前駆体。
  8. 請求項7に記載のリチウム二次電池前駆体に対して、充電及び放電を施して得られたリチウム二次電池。
  9. 請求項7に記載のリチウム二次電池前駆体を準備する工程と、
    前記リチウム二次電池前駆体に対して、充電及び放電を施す工程と、
    を含む、リチウム二次電池の製造方法。
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