JP2021021701A - 分析装置 - Google Patents
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Abstract
Description
これらの分析装置では、試薬に下水や河川等に排液することが適当ではない成分が含まれるため、吸光度を測定した後の測定対象液は、下水等に排液せず、廃液タンクに保管し、適切な廃液処理を行う必要がある。
フローセルの下流側から廃液タンクに廃液すると、フローセルの下流側の配管やポンプに残っていた試薬を含む廃液が、ポンプを逆方向に駆動した際に、逆流して、サンプルカップ内の液に混入する懸念がある。
特に非特許文献1のように、全窒素濃度と全りん濃度の双方を測定する装置の場合、全りん濃度測定用の試薬は、極僅かであっても、全窒素濃度測定用の液に混入すると大きな誤差を与える。
すなわち、近年の分析装置は、省資源や環境保全の観点で、試薬の消費量を極限まで低減している。そのため、サンプルカップ内の測定対象液は、例えば4〜5mL程度と極少量である。
そのため、非特許文献1の分析装置では、一度フローセルに導入した測定対象液を一度サンプルカップ内に戻すことによりフローセル内を共洗いし、その後改めてフローセルに導入した測定対象液の吸光度を測定している。
この共洗いを行うためには、フローセルからサンプルカップに測定対象液を戻すことが必要である。そのため、従来は、サンプルカップに測定対象液を戻す際に廃液が逆流して測定対象液を汚染する事態が懸念されていた。
なお、ブランク液とは、発色用試薬を反応させる前の液であり、発色用試薬とは、その試薬の添加により、吸光度測定の対象となる発色液が得られる試薬を意味する。発色用試薬は一種の化合物でもよいし、複数の化合物の組み合わせであってもよい。
この点からも、従来は、サンプルカップにブランク液を戻す際に廃液が逆流して測定対象液を汚染する事態が懸念されていた。
特に、試料液を加熱分解後にサンプルカップに戻される加熱分解液は、高温高圧のため、サンプルカップ内に挿入された配管に侵入しやすい。
ポンプを逆方向に駆動して、空気をサンプルカップに送り込むことにより、フローセルが設けられた配管にサンプルカップ内の液が浸入することを防止していた。
この目的のためにも、ポンプを逆方向に駆動して、空気をサンプルカップに送り込み、バブリングにより液を撹拌することが行われていた。
このように、空気をサンプルカップに送り込むこむ際にも、廃液が逆流して測定対象液を汚染する事態が懸念されていた。
以上の様な懸念から、吸光度測定後の測定対象液は、直接廃液タンクに廃液することなく、一度反応槽のサンプルカップに戻してら、廃液タンクに廃液することが行われていた。
そこで、非特許文献1では、排液配管における排液ポンプの下流側に三方弁を設け、廃液タンクに向かう配管とそのまま排液する配管のいずれかを選択するようになっていた。
また、サンプルカップに挿入された排液配管を下流側で廃液タンクに向かう配管とそのまま排液する配管に分岐し、前者に廃液ポンプを後者に排液ポンプを各々設けることも行われていた。
また、サンプルカップに戻した廃液をそのまま下水等に流せる排液と区別するために、三方弁を設けたり、各々専用のポンプを使用したりする必要があるため、分析装置全体の構成が複雑になる。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、フローセルに測定対象液を導入するためのポンプを、種々の目的のために逆方向(フローセルからサンプルカップに向かう方向)に駆動する必要がある場合でも、次測定等に悪影響を及ぼすことなく、簡便な構成で迅速に測定対象液を廃液することが可能な分析装置を提供することを課題とする。
[1]測定対象液が収容されるサンプルカップと、上流端が前記サンプルカップ内に挿入され、下流端が廃液タンクの前記廃液タンク内の廃液に浸漬しない位置まで挿入される検出配管と、前記検出配管の途中に、上流側から順次設けられた吸光度検出部、バッファータンク、及びポンプとを備え、
前記吸光度検出部は、フローセルを有する吸光度計であって、前記フローセルが前記検出配管の途中に接続され、
前記バッファータンクは、内径が上流から下流に向けて漸増しその後漸減するように形成された部分を有しており、上流側が下流側より上方となるように前記検出配管の途中に接続され、
前記ポンプは、前記検出配管内の液を上流から下流に向かう正方向と下流から上流に向かう逆方向のいずれの方向にも送液可能であることを特徴とする分析装置。
[3]前記ポンプを正方向に駆動して、前記サンプルカップ内の前記測定対象液の一部を、前記バッファータンクに前記測定対象液が到達しない範囲で前記フローセル内に吸引後、前記ポンプを逆方向に駆動して、吸引した前記測定対象液を前記サンプルカップ内に戻す工程を含む動作を行う、[2]に記載の分析装置。
ステップD1:前記ポンプを正方向に駆動して、前記サンプルカップ内の前記測定対象液の一部を、前記バッファータンクに前記測定対象液が到達しない範囲で前記フローセル内に吸引する。
ステップD2:前記ポンプを逆方向に駆動して、前記フローセル内に吸引した前記測定対象液を前記サンプルカップ内に戻す。
ステップD3:前記ポンプを正方向に駆動して、前記サンプルカップ内の前記測定対象液の一部を前記フローセル内に吸引する。
ステップD4:前記吸光度検出部で前記測定対象液の吸光度を測定する。
ステップD5:前記ポンプを正方向に駆動して、前記サンプルカップ内の前記測定対象液の全量を、前記フローセルを経由して、前記廃液タンクに廃液する。
ステップD6:前記サンプルカップに洗浄水を導入する。
ステップD7:前記ポンプを正方向に駆動して、前記サンプルカップ内の洗浄水の一部を、前記フローセルを経由して、前記廃液タンクに廃液する。
ステップD8:前記ポンプを逆方向に駆動して、前記検出配管内の洗浄水を前記サンプルカップに戻し、その後前記サンプルカップ内に残った洗浄水と共に排液する。
前記測定対象液は、前記試料液配管によって前記サンプルカップに導入された試料液と前記1以上の試薬吐出配管によって前記サンプルカップに導入された1種以上の試薬とが反応することによって得られた反応液である、[1]〜[5]のいずれか一項に記載の分析装置。
[7]前記測定対象液が、試料液にペルオキソ二硫酸カリウム溶液を添加し加熱分解して得られた加熱分解液に、L−アスコルビン酸溶液とモリブデン酸アンモニウム溶液を反応させて得られた発色液である、[1]〜[6]のいずれか一項に記載の分析装置。
[8]前記測定対象液が、試料液にペルオキソ二硫酸カリウム溶液と水酸化ナトリウム溶液を添加し加熱分解して得られた加熱分解液を、塩酸でpH調整した液である、[1]〜[6]のいずれか一項に記載の分析装置。
本発明の一実施形態に係る分析装置は、測定対象液が収容されるサンプルカップ11と、上流端がサンプルカップ11内に挿入され、下流端が廃液タンクに挿入されるようになっている検出配管L1と、検出配管L1の途中に、上流側から順次設けられた吸光度検出部20、バッファータンク15、検出用ポンプP1とを備えている。
なお、検出配管L1の下流端は、廃液タンク内の廃液に浸漬しない位置まで挿入されている。すなわち、検出配管L1の下流端は、大気開放状態となっている。
フローセル21は、上流側が継ぎ手14aにより、下流側が継ぎ手14bにより、検出配管L1の途中に接続されている。フローセル21は、フローセル21内の流路が上流から下流に向かうにつれて高くなるようにして配置されている。
このように、フローセル21内の流路を傾斜させているのは、フローセル21内に気泡が留まって、吸光度測定を妨害してしまう事態を防ぐためである。
なお、図1には、フローセル21部分のみ示しているが、吸光度検出部20は、フローセル21に光を照射する光源とフローセルを透過した光を検出する光検出部と、光源と光検出部との間に設けられたレンズ等の光学部材を備えている。
下流から上流に向けて漸増する部分を有することにより、下流側から少量の液が逆流してきた場合、液膜状となった少量の液は、上昇するにつれて面積が大きくなるため途中で膜が破壊される。そのため、液膜状のままフローセル21側まで逆流してきた液が至ることを阻止できる。
また、下流から上流に向けて漸増した後に漸減する部分があるため、検出配管L1の途中に接続することが可能となっている。
本実施形態では、タンク本体15aの内面が略球形とされ、外面も内面に沿った略球形とされている。
また、タンク本体15aと入口部15bとの繋ぎ部15dとタンク本体15aと出口部15cとの繋ぎ部15eは、液溜まりが発生しないよう、できるだけなだらかな形状であることが好ましく、各々の間には段差、隙間、肉盛り部などがないことが好ましい。
本実施形態の検出用ポンプP1は、ペリスタル型ポンプである。ペリスタル型ポンプは、軟質チューブをローラーでしごいて送液ないし送気するもので、チューブポンプ、ローラーポンプとも呼ばれる。ローラーでしごく方向を逆転させることにより、送液ないし送気の方向を逆転させることができるようになっている。ペリスタル型ポンプの市販品としてはペリスタポンプ(登録商標)が利用できる。
本発明の検出配管L1に設ける検出用ポンプP1としては、吐出口側に三方弁等の流路切り替え手段を設けたシリンジポンプを使用してもよい。
逆方向に駆動する工程の一例としては、検出配管L1内に液がない状態で、検出用ポンプP1を逆方向に駆動し、検出配管L1内の下流端から引き込んだ空気を、サンプルカップ11内にバブリングする例が挙げられる。
バブリングの際、検出配管L1の下流端側やバッファータンク15内に若干の液が残留していても、バッファータンク15の作用により、フローセル21やサンプルカップ11に逆流することを防止できる。
なお、バブリングは、検出配管L1に液が入っていない状態で行うので、必要に応じて、事前に検出用ポンプP1を正方向(上流から下流に向かう方向)に駆動して、検出配管L1内の液を廃液タンクに廃液しておく。
この様な態様は、フローセル21の共洗いや、ブランク液の吸光度測定を行う際に有用である。
ステップD1:検出用ポンプP1を正方向に駆動して、サンプルカップ11内の測定対象液Rの一部を、バッファータンク15に測定対象液Rが到達しない範囲でフローセル21内に吸引する。
ステップD2:検出用ポンプP1を逆方向に駆動して、フローセル21内に吸引した測定対象液Rをサンプルカップ11内に戻す。
ステップD3:検出用ポンプP1を正方向に駆動して、サンプルカップ11内の測定対象液Rの一部を前記フローセル内に吸引する。
ステップD4:吸光度検出部20で測定対象液Rの吸光度を測定する。
ステップD5:検出用ポンプP1を正方向に駆動して、サンプルカップ11内の測定対象液の全量を、フローセル21を経由して、廃液タンクに廃液する。
このとき、フローセル21内に吸引する測定対象液Rの量は、バッファータンク15まで至らないよう、共洗いのために必要な最小限の量とする。吸引量は、検出用ポンプP1の駆動時間で制御することができる。
このとき、検出配管L1の下流側に残っていた前回測定後の洗浄水等の残液が、廃液Gとして逆流してくるが、バッファータンク15により、上昇が止められ、フローセル21への逆流が防止される。
但し、検出用ポンプP1の逆方向での駆動を長く行い過ぎるとバッファータンク15を超えて逆流する恐れがあるので、検出用ポンプP1の駆動時間は、ステップD1における検出用ポンプP1の駆動時間と同等とするか、ステップD1における検出用ポンプP1の駆動時間より僅かに長めとする。
このとき、フローセル21内に吸引する測定対象液Rの量は、ある程度バッファータンク15まで至っても差し支えないので、ステップD1の吸引量より多めとし、フローセル21内全体に、測定対象液Rが確実に充填される量とする。吸引量は、検出用ポンプP1の駆動時間で制御することができ、ステップD1における検出用ポンプP1の駆動時間より長めとする。
次いで、ステップD5として、検出用ポンプP1をさらに正方向に駆動して、サンプルカップ11内の測定対象液Rの全量を、フローセル21を経由して、廃液タンクに廃液Gとして廃液する。
ブランク測定を行うために、上記ステップD1〜D4を行った後は、ステップD2と同様にしてブランク液をサンプルカップ11に戻す。そして、サンプルカップ11内でブランク液に発色用試薬を添加して発色液を得、この発色液を測定対象液Rとして、上記ステップD1〜D5を順次行えばよい。
ステップD6:サンプルカップ11に洗浄水Wを導入する。
ステップD7:検出用ポンプP1を正方向に駆動して、サンプルカップ11内の洗浄水Wの一部を、フローセル21を経由して、廃液タンクに廃液する。
ステップD8:検出用ポンプP1を逆方向に駆動して、検出配管L1内の洗浄水Wをサンプルカップ11に戻し、その後サンプルカップ11内に残った洗浄水Wと共に排液する。
検出配管L1内は、ある程度洗浄水Wを流せば、次回の測定に支障がない程度に洗浄される。充分に洗浄された検出配管L1に残留した洗浄水Wは、ステップD8のようにしてサンプルカップ11に戻し、サンプルカップ11内の残りの洗浄水Wと共に、廃液タンクに入れずに排液することが好ましい。
なお、ステップD7として、サンプルカップ11内の洗浄水Wの全量を廃液タンクに廃液Gとして廃液しても差し支えないが、廃液Gの量を徒に増加させることになり好ましくない。
ステップD8は、人手により行ってもよいが、サンプルカップ11内の液を排液する排液配管を設け、ポンプ等により自動でサンプルカップ11内の洗浄水を排液することが好ましい。
そのため、サンプルカップに戻してから廃液する時間が不要となり、迅速な測定が可能となる。
また、排液配管を用いる場合、サンプルカップに戻した廃液を排液と区別するために、排液及び廃液を兼用する配管に三方弁を設けたり、各々専用のポンプを使用したりする必要がないため、分析装置全体の構成が複雑とならない。
試料液は、下流端が前記サンプルカップに試料液を吐出可能な位置に配置された試料液配管によってサンプルカップ11に導入されることが好ましい。
また、1種以上の試薬は、下流端がサンプルカップ11に試薬を吐出可能な位置に配置された1以上の試薬吐出配管によって試料液に添加されることが好ましい。
本実施例の分析装置は、反応槽10、加熱槽13、吸光度検出部20、液を移動させるための配管及びポンプ等、及び装置全体を制御する制御部30を備えている。
試料液配管L2の上流端には、図示を省略する受水槽等の試料液の供給源に接続され、下流端は、サンプルカップ11に試料液を吐出可能な位置に配置されている。試料液配管L2の途中には、試料液ポンプP2が設けられている。
一方、各々の試薬吐出配管の上流端には加圧用配管L10が接続されており、加圧用配管L10にはエアポンプP10が設けられている。エアポンプP10は停止時に加圧用配管L10を閉塞しない構造とされており、加圧用配管L10の上流端は大気開放とされている。
第2試薬吐出配管L4には、加圧用配管L10に接続された上流側に第6常閉弁V6が設けられ、その下流側には配管Dが接続されている。
第3試薬吐出配管L5には、加圧用配管L10に接続された上流側に第7常閉弁V7が設けられ、その下流側には配管Eが接続されている。
配管Bは、上流端がペルオキソ二硫酸カリウム溶液を収容する第2試薬タンクT2に挿入されており、下流端は接続点bにおいて第1試薬吐出配管L3に接続しており、途中に第2試薬ポンプP4が設けられている。
配管Cは、上流端がL−アスコルビン酸溶液を収容する第3試薬タンクT3に挿入されており、下流端は接続点cにおいて第1試薬吐出配管L3に接続しており、途中に第3試薬ポンプP5が設けられている。
配管Eは、上流端がモリブデン酸アンモニウム溶液を収容する第5試薬タンクT5に挿入されており、下流端は接続点eにおいて第3試薬吐出配管L5に接続しており、途中に第5試薬ポンプP7が設けられている。
第1試薬ポンプP3を動作させることにより第1試薬タンクT1の試薬が、第2試薬ポンプP4を動作させることにより第2試薬タンクT2の試薬が、第3試薬ポンプP5を動作させることにより第3試薬タンクT3の試薬が、第4試薬ポンプP6を動作させることにより第4試薬タンクT4の試薬が、第5試薬ポンプP7を動作させることにより第5試薬タンクT5の試薬が、各々接続する試薬吐出配管に供給されるようになっている。
試薬供給配管に設けられた試薬ポンプとしては、逆止弁を有するシリンジポンプやペリスタル型ポンプを好適に使用できる。
なお、本明細書における「全量が吐出される」とは、実質的に全量が吐出されることを意味し、不可避的に僅かな残液が配管に付着して残る場合も、「全量が吐出される」に該当する。
例えば、第5常閉弁V5をON(開)とし、エアポンプP10を動作させた状態で第1試薬ポンプP3を動作させると、第1試薬タンクT1内の試薬は、配管Aから接続点aを超えて第1試薬吐出配管L3に至った分の全量が、直ちにエアによりサンプルカップ11へと吐出されるようになっている。
そして、第5常閉弁V5、第6常閉弁V6、第7常閉弁V7の総てをOFF(閉)、エアポンプP10をOFFの状態で、いずれかの試薬供給配管に接続された試薬ポンプを動作させると、その試薬吐出配管の接続点に向けて所定量の液体試薬が移動する。接続点を超えて試薬吐出配管に至った液体試薬は、上流側が常閉弁により閉塞されているため、試薬吐出配管の下流側に入る。
なお、接続点と下流端の間に接続点よりも高い部分がある場合は、その高い部分を超えて、接続点より低くなる部分(自重落下点)まで液体試薬を導入してから、試薬ポンプを停止することが必要である。自重落下点まで液が充填されていないと、接続点が大気開放状態となっても、自重による落下が生じない。
そして、その後、ON(開)とした弁をONのままエアポンプP10を動作させると、試薬吐出配管の各接続点の下流側に僅かに残った残液をサンプルカップ11に噴き出すことができる。
そして、その後第5常閉弁V5をON(開)としたままエアポンプP10を動作させると、接続点aの下流側に僅かに残った残液をサンプルカップ11に噴き出すことができる。
また、サンプルカップ11に試薬を導入した後は、試薬が各試薬供給配管の接続点から試薬ポンプまでの間に充填された状態で保持されるので、次回の試薬供給に対応できる。
全窒素用分解配管L6と全りん用分解配管L7の下流端は、各々サンプルカップ11の底部まで挿入されている。
同様に、全りん用分解配管L7における加熱分解部の反応槽10側には第3常閉弁V3が、反応槽10と反対側には第4常閉弁V4が設けられている。
また、全窒素分解液排出管L13の上流端側は全窒素用分解配管L6の加熱分解部と第1常閉弁V1との間に接続しており、全窒素分解液排出管L13には、第9常閉弁V11が設けられている。
加圧用配管L10の共通配管L12が接続されている箇所と、第1試薬吐出配管L3、第2試薬吐出配管L4、及び第3試薬吐出配管L5が接続されている部分の間には、第8常閉弁V8が設けられている。
純水配管L8には、上流側から順に第1三方弁V9、第2三方弁V10が設けられている。
第1三方弁V9は、純水ポンプP8の吐出口側が共通ポート、純水タンクT8側が常閉ポート、第2三方弁V10側が常開ポートとされている。
第2三方弁V10は、第1三方弁V9側が共通ポート、純水配管L8の下流端側が常閉ポート、加熱槽洗浄用配管L11側が常開ポートとされている。
なお、加熱分解部への吸い上げのための純水ポンプP8の吸引動作の前には、純水ポンプP8のプランジャは吐出した位置とされている。
全りん用分解配管L7への吸い上げ時における純水ポンプP8の吸引動作は、第1常閉弁V1、第2常閉弁V2、第9常閉弁V11はOFF(閉)、第3常閉弁V3、第4常閉弁V4はON(開)、第8常閉弁V8はOFF(閉)、第1三方弁V9はOFF(T8側が閉)、第2三方弁V10はOFF(L11側が開)の状態で行われる。
全窒素用分解配管L6の加熱分解部を加圧する際は、第1常閉弁V1、第9常閉弁V11、第3常閉弁V3、及び第4常閉弁V4はOFF(閉)、第2常閉弁V2はON(開)、第8常閉弁V8はON(開)、第2三方弁V10はON(V8側が閉)とされる。
全りん用分解配管L7の加熱分解部を加圧する際は、第1常閉弁V1、第2常閉弁V2、第9常閉弁V11、及び第3常閉弁V3はOFF(閉)、第4常閉弁V4はON(開)、第8常閉弁V8はON(開)、第2三方弁V10はON(V8側が閉)とされる。
そして、エアポンプP10を停止し、第1常閉弁V1〜第4常閉弁V4、及び第1三方弁V9を総てOFF(閉)とした状態で、加熱槽13によって加熱分解部が加熱され、各加熱分解部に導入された液の加熱分解がされるようになっている。
その後、全窒素用分解配管L6と全りん用分解配管L7の各々における加熱分解部の圧抜きと液(加熱分解液)をサンプルカップ11に戻すタイミングは、別々とされる。
なお、全窒素測定用の加熱分解液を全窒素分解液排出管L13を介して戻すのは、全窒素用分解配管L6に残留する未加熱のペルオキソ二硫酸カリウム溶液が加熱分解液に混入することを防ぐためである。未加熱のペルオキソ二硫酸カリウム溶液は、全窒素測定の妨害成分となる。
なお、洗浄や希釈の作業前には、第1三方弁V9をON(純水タンクT8側が開)の状態で、純水ポンプP8の吸引動作が行われ、純水ポンプP8に純水が充填した状態とされている。
排液配管L9の途中には、排液ポンプP9が設けられている。
1.全窒素サンプル調整
まず、試料液配管L2により、所定量の試料液をサンプルカップ11に導入する。ここで、必要に応じて、純水配管L8から純水をサンプルカップ11に導入して試料液を希釈する。次いで、全窒素測定用の加熱分解試薬である第1試薬タンクT1の水酸化ナトリウム溶液と第2試薬タンクT2のペルオキソ二硫酸カリウム溶液をサンプルカップ11に導入し、試料液と加熱分解試薬を混合し、全窒素サンプル液とする。
そして、全窒素サンプル液の全量を全窒素用分解配管L6の加熱槽13(予熱状態)に収容されている部分(加熱分解部)まで吸引し、第1常閉弁V1と第2常閉弁V2をOFF(閉)の状態で、全りんサンプル調整を行っている間待機する。
サンプルカップ11内を洗浄した後、試料液配管L2により、所定量の試料液をサンプルカップ11に導入する。ここで、必要に応じて、純水配管L8から純水をサンプルカップ11に導入して試料液を希釈する。次いで、全りん測定用の加熱分解試薬である第2試薬タンクT2のペルオキソ二硫酸カリウム溶液をサンプルカップ11に導入し、試料液と加熱分解試薬を混合し、全りんサンプル液とする。
そして、全りんサンプル液の全量を全りん用分解配管L7の加熱槽13(予熱状態)に収容されている部分(加熱分解部)まで吸引して、第3常閉弁V3と第4常閉弁V4を閉状態とする。
全窒素用分解配管L6の加熱分解部を加圧し、次いで、全りん用分解配管L7の加熱分解部を加圧する。
そして、加熱槽13の温度を120℃として、30分間、全窒素用分解配管L6の全窒素サンプル液と全りん用分解配管L7の全りんサンプル液を加熱分解し、各々全窒素測定用の加熱分解液と全りん測定用の加熱分解液とする。
加熱分解により、試料液中の窒素化合物はすべて酸化されて硝酸イオンとなる。また、試料液中のリン化合物はすべて酸化されてリン酸イオンとなる。
加熱分解後、各加熱分解部の圧抜きをする。
全窒素用分解配管L6の加熱分解液を、圧抜き後、全窒素分解液排出管L13を介してサンプルカップ11に戻す。ここに、第4試薬タンクT4の塩酸を導入してpHを2〜3に調整し、全窒素測定用の測定対象液Rを得る。
次いで、図3〜図5を用いて説明した手順に従って、吸光度検出部20で吸光度を測定する。
例えば、日本の、昭和49年環境庁(現・環境省)告示第64号及びJIS K 0102:2016の45では、硝酸イオン濃度に対応する波長220nmと、硝酸イオンの吸収がなく、濁り成分の量に対応する波長254nmの各波長の吸光度を測定し、220nmの吸光度から254nmの吸光度を差し引いた値を、予め求めた検量線情報に基づき換算することで、試料液の全窒素濃度が求められる。
また、中国の規格「HJ/ T 102−2003」、「GB 11894−89」では、硝酸イオン濃度に対応する波長220nmと、硝酸イオンの吸収がなく、濁り成分等の量に対応する波長275nmの各波長の吸光度を測定し、220nmの吸光度から275nmの吸光度の2倍を差し引いた値を、予め求めた検量線情報に基づき換算することで、試料液の全窒素濃度が求められる。
これにより、全窒素用分解配管L6とサンプルカップ11と検出配管L1の総てを洗浄できる。
図6を用いて説明したように、検出配管L1内を充分に洗浄した後に、検出配管L1のバッファータンク15等に残った洗浄水は、検出用ポンプP1を逆方向に駆動して、サンプルカップ11内に戻し、サンプルカップ11に残った洗浄水と共に、排液配管L9から排液することが好ましい。
全りん用分解配管L7の加熱分解液をサンプルカップ11に戻す。ここに、第3試薬タンクT3のL−アスコルビン酸溶液を加えたブランク液を測定対象液Rとして得る。
次いで、図3〜図5を用いて説明した手順に従って、吸光度検出部20でブランク液のリン酸イオンに基づくモリブデン青に対応する波長(詳細は後述する。)における吸光度を測定する。
次いで、図3〜図5を用いて説明した手順に従って、吸光度検出部20で発色液のリン酸イオンに基づくモリブデン青に対応する波長における吸光度を測定する。
例えば、日本の、昭和49年環境庁(現・環境省)告示第64号及びJIS K 0102:2016 46.3では、モリブデン青に対応する波長として、波長800nmを採用しているので、波長800nmにおける発色液の吸光度からブランク液の吸光度を差し引いた値を、予め求めた検量線情報に基づき換算することで、試料液の全りん濃度が求められる。
また、中国の規格「HJ/ T 103−2003」、「GB 11893−89」では、モリブデン青に対応する波長として、波長700nmを採用しているので、波長700nmにおける発色液の吸光度からブランク液の吸光度を差し引いた値を、予め求めた検量線情報に基づき換算することで、試料液の全りん濃度が求められる。
吸光度測定後、サンプルカップ11内の液を廃液タンクT7に廃液し、その後図6を用いて説明した手順に従って検出配管L1を洗浄する。洗浄水Wとしては、純水で全りん用分解配管L7を洗浄し、その後サンプルカップ11に吐出された水を用いることが好ましい。
これにより、全りん用分解配管L7とサンプルカップ11と検出配管L1の総てを洗浄できる。
図6を用いて説明したように、検出配管L1内を充分に洗浄した後に、検出配管L1のバッファータンク15等に残った洗浄水は、検出用ポンプP1を逆方向に駆動して、サンプルカップ11内に戻し、サンプルカップ11に残った洗浄水と共に、排液配管L9から排液することが好ましい。
11 サンプルカップ
12 蓋材
13 加熱槽
15 バッファータンク
20 吸光度検出部
21 フローセル
30 制御部
L1 検出配管
L2 試料液配管
L3 第1試薬吐出配管
L4 第2試薬吐出配管
L5 第3試薬吐出配管
L6 全窒素用分解配管
L7 全りん用分解配管
L8 純水配管
L9 排液配管
L10 加圧用配管
L11 加熱槽洗浄用配管
L12 共通配管
L13 全窒素分解液排出管
P1 検出用ポンプ
P2 試料液ポンプ
P3 第1試薬ポンプ
P4 第2試薬ポンプ
P5 第3試薬ポンプ
P6 第4試薬ポンプ
P7 第5試薬ポンプ
P8 純水ポンプ
P9 排液ポンプ
P10 エアポンプ
Claims (8)
- 測定対象液が収容されるサンプルカップと、上流端が前記サンプルカップ内に挿入され、下流端が廃液タンクの前記廃液タンク内の廃液に浸漬しない位置まで挿入される検出配管と、前記検出配管の途中に、上流側から順次設けられた吸光度検出部、バッファータンク、及びポンプとを備え、
前記吸光度検出部は、フローセルを有する吸光度計であって、前記フローセルが前記検出配管の途中に接続され、
前記バッファータンクは、内径が上流から下流に向けて漸増しその後漸減するように形成された部分を有しており、上流側が下流側より上方となるように前記検出配管の途中に接続され、
前記ポンプは、前記検出配管内の液を上流から下流に向かう正方向と下流から上流に向かう逆方向のいずれの方向にも送液可能であることを特徴とする分析装置。 - 前記ポンプを逆方向に駆動する工程を含む動作を行う、請求項1に記載の分析装置。
- 前記ポンプを正方向に駆動して、前記サンプルカップ内の前記測定対象液の一部を、前記バッファータンクに前記測定対象液が到達しない範囲で前記フローセル内に吸引後、前記ポンプを逆方向に駆動して、吸引した前記測定対象液を前記サンプルカップ内に戻す工程を含む動作を行う、請求項2に記載の分析装置。
- 下記ステップを順次行うことを特徴とする請求項1に記載の分析装置。
ステップD1:前記ポンプを正方向に駆動して、前記サンプルカップ内の前記測定対象液の一部を、前記バッファータンクに前記測定対象液が到達しない範囲で前記フローセル内に吸引する。
ステップD2:前記ポンプを逆方向に駆動して、前記フローセル内に吸引した前記測定対象液を前記サンプルカップ内に戻す。
ステップD3:前記ポンプを正方向に駆動して、前記サンプルカップ内の前記測定対象液の一部を前記フローセル内に吸引する。
ステップD4:前記吸光度検出部で前記測定対象液の吸光度を測定する。
ステップD5:前記ポンプを正方向に駆動して、前記サンプルカップ内の前記測定対象液の全量を、前記フローセルを経由して、前記廃液タンクに廃液する。 - 前記ステップD5に続いて下記ステップを順次行うことを特徴とする請求項4に記載の分析装置。
ステップD6:前記サンプルカップに洗浄水を導入する。
ステップD7:前記ポンプを正方向に駆動して、前記サンプルカップ内の洗浄水の一部を、前記フローセルを経由して、前記廃液タンクに廃液する。
ステップD8:前記ポンプを逆方向に駆動して、前記検出配管内の洗浄水を前記サンプルカップに戻し、その後前記サンプルカップ内に残った洗浄水と共に排液する。 - さらに、下流端が前記サンプルカップに試料液を吐出可能な位置に配置された試料液配管と、下流端が前記サンプルカップに試薬を吐出可能な位置に配置された1以上の試薬吐出配管を備え、
前記測定対象液は、前記試料液配管によって前記サンプルカップに導入された試料液と前記1以上の試薬吐出配管によって前記サンプルカップに導入された1種以上の試薬とが反応することによって得られた反応液である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の分析装置。 - 前記測定対象液が、試料液にペルオキソ二硫酸カリウム溶液を添加し加熱分解して得られた加熱分解液に、L−アスコルビン酸溶液とモリブデン酸アンモニウム溶液を反応させて得られた発色液である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の分析装置。
- 前記測定対象液が、試料液にペルオキソ二硫酸カリウム溶液と水酸化ナトリウム溶液を添加し加熱分解して得られた加熱分解液を、塩酸でpH調整した液である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の分析装置。
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