JP7360017B2 - 全窒素・全りん分析装置 - Google Patents

全窒素・全りん分析装置 Download PDF

Info

Publication number
JP7360017B2
JP7360017B2 JP2019140050A JP2019140050A JP7360017B2 JP 7360017 B2 JP7360017 B2 JP 7360017B2 JP 2019140050 A JP2019140050 A JP 2019140050A JP 2019140050 A JP2019140050 A JP 2019140050A JP 7360017 B2 JP7360017 B2 JP 7360017B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
pipe
reagent
liquid
solution
total nitrogen
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2019140050A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2021021699A (ja
Inventor
基 岩本
隆志 西澤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
DKK TOA Corp
Original Assignee
DKK TOA Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by DKK TOA Corp filed Critical DKK TOA Corp
Priority to JP2019140050A priority Critical patent/JP7360017B2/ja
Publication of JP2021021699A publication Critical patent/JP2021021699A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP7360017B2 publication Critical patent/JP7360017B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Investigating Or Analysing Materials By The Use Of Chemical Reactions (AREA)
  • Investigating Or Analysing Materials By Optical Means (AREA)
  • Investigating Or Analyzing Non-Biological Materials By The Use Of Chemical Means (AREA)

Description

本発明は、吸光度法に基づき、試料液の全窒素濃度と全りん濃度の双方を求める全窒素・全りん分析装置に関する。
工場や事業所の排水の監視及び水質総量規制に対応して、全窒素濃度と全りん濃度の2項目を1台で測定できる全窒素・全りん測定装置、あるいは、さらに、COD(化学的酸素要求量)濃度を加えた3項目を1台で測定できる全窒素・全りん/COD測定装置が用いられている。
近年諸外国でも水質汚染に対する規制の強化が進み、これらの装置の需要が高まっている。
全窒素濃度の測定方法としては、昭和49年環境庁(現・環境省)告示第64号「排水基準を定める省令の規定に基づく環境大臣が定める排水基準に係る検定方法」の全窒素・全りん測定方法を基礎とする、「120℃ペルオキソ二硫酸カリウム分解法-紫外線吸光光度法による全窒素測定」が採用されている。
JIS K 0102:2016の45、及び中国の規格「HJ/ T 102-2003」、「GB 11894-89」でも同様の方法が採用されている。
全りん濃度の測定方法としては、昭和49年環境庁(現・環境省)告示第64号「排水基準を定める省令の規定に基づく環境大臣が定める排水基準に係る検定方法」の全窒素・全りん測定方法を基礎とする、「120℃ペルオキソ二硫酸カリウム分解法-モリブデン青吸光光度法による全りん測定」が採用されている。
JIS K 0102:2016 46.3、及び中国の規格「HJ/ T 103-2003」、「GB 11893-89」でも同様の方法が採用されている。
複数項目を1台で測定できる装置では、部品点数を少なくするために、各項目に対応する反応が同じ反応槽を使用して行われている(非特許文献1)。
また、試薬の使用量を少なくするため、反応槽の小型化が進むのに対応して、反応槽に挿入される試薬配管を複数種類の試薬で共用することが行われている。
例えば非特許文献1の装置では、水酸化ナトリウム溶液と塩酸溶液を同じ試薬配管で反応槽に注入している。また、モリブデン酸アンモニウム溶液とL-アスコルビン酸溶液を同じ試薬配管で反応槽に注入している。
「取扱説明書 全窒素・全りん/COD自動測定装置NPW-160型」、東亜ディーケーケー株式会社、2016年7月7日、p251-254
しかし、非特許文献1の装置では、全窒素濃度の測定値が、突発的に上昇する場合があった。
本発明者らが、その原因を検討したところ、全りん濃度の測定に使用した試薬が、全窒素濃度を求めるための加熱分解液に混入してしまうことが原因であることがわかった。
すなわち、全りん濃度の測定に使用するL-アスコルビン酸溶液とモリブデン酸アンモニウム溶液は、共に全窒素濃度を求めるための測定波長である紫外領域に吸収を持つ。特にモリブデン酸アンモニウム溶液の吸収は大きく、少量の混入でも測定値に与える影響が大きい。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、全窒素濃度の測定と全りん濃度の測定を同じ反応槽を使用して行っても、試薬の混入による妨害を回避して、全窒素濃度を正確に求めることが可能な全窒素・全りん分析装置を提供することを課題とする。
上記の課題を達成するために、本発明は以下の構成を採用した。
[1]試料液にペルオキソ二硫酸カリウム溶液と水酸化ナトリウム溶液を加えて加熱分解した後、得られた加熱分解液を塩酸溶液でpH調整して吸光度を測定することにより前記試料液の全窒素濃度を求めると共に、
試料液にペルオキソ二硫酸カリウム溶液を加えて加熱分解した後、得られた加熱分解液にL-アスコルビン酸溶液とモリブデン酸アンモニウム溶液を加えて得られた発色液の吸光度を測定することにより前記試料液の全りん濃度を求める全窒素・全りん分析装置であって、
反応槽と、下流端が前記反応槽に液を吐出可能な位置に配置された複数の試薬吐出配管と、下流端が前記複数の試薬吐出配管のいずれかの途中における接続点に接続して前記接続した試薬吐出配管に各試薬を供給する複数の試薬供給配管を備え、
前記複数の試薬供給配管は、水酸化ナトリウム溶液を供給する配管Aと、ペルオキソ二硫酸カリウム溶液を供給する配管Bと、L-アスコルビン酸溶液を供給する配管Cと、塩酸溶液を供給する配管Dと、モリブデン酸アンモニウム溶液を供給する配管Eからなり、
前記配管Aと前記配管Cは共通の試薬吐出配管に接続し、前記配管Dと前記配管Eとは各々他の試薬供給配管が接続した試薬吐出配管とは異なる試薬吐出配管に接続しており、
前記複数の試薬供給配管のいずれかから、前記接続点を超えて前記複数の試薬吐出配管のいずれかに供給された試薬の全量が前記反応槽に吐出されるように構成されていることを特徴とする、全窒素・全りん分析装置。
[2]前記配管Cの前記共通の試薬吐出配管への接続点は、前記配管Aの前記共通の試薬吐出配管への接続点よりも下流側である、[1]に記載の全窒素・全りん分析装置。
[3]前記配管Aと前記配管Cが接続した前記共通の試薬吐出配管に、さらに前記配管Bが接続している、[1]又は[2]に記載の全窒素・全りん分析装置。
[4]前記配管Bの前記共通の試薬吐出配管への接続点は、前記配管Aの前記共通の試薬吐出配管への接続点よりも下流側である、[3]に記載の全窒素・全りん分析装置。
[5]前記複数の試薬吐出配管の上流側に、エア供給手段が接続されている、[1]~[4]のいずれか一項に記載の全窒素・全りん分析装置。
[6]さらに、前記反応槽との間で液が移動可能な加熱分解部を備える、[1]~[5]のいずれか一項に記載の全窒素・全りん分析装置。
[7]さらに、前記反応槽との間で液が移動可能な吸光度検出部を備える、[1]~[6]のいずれか一項に記載の全窒素・全りん分析装置。
本発明の全窒素・全りん分析装置によれば、全窒素濃度の測定と全りん濃度の測定を同じ反応槽を使用して行っても、試薬の混入による妨害を回避して、全窒素濃度を正確に求めることができる。
本発明の一実施形態に係る分析装置の概略構成図である。
図1に、本発明の全窒素・全りん分析装置の一実施形態に係る分析装置を示すが、本発明の全窒素・全りん分析装置はこの実施形態の分析装置に限定されるものではなく、具体的な構成や動作手順は、種々変更することが可能である。
本実施例の分析装置は、反応槽10、加熱槽13、吸光度検出部20、液を移動させるための配管及びポンプ等、及び装置全体を制御する制御部30を備えている。
反応槽10はサンプルカップ11とサンプルカップ11を覆う蓋材12とからなり、蓋材12を貫通して、検出配管L1、試料液配管L2、第1試薬吐出配管L3、第2試薬吐出配管L4、第3試薬吐出配管L5、全窒素用分解配管L6、全窒素分解液排出管L13、全りん用分解配管L7、純水配管L8、及び排液配管L9が反応槽10に挿入されている。
検出配管L1は、図1で説明したように、上流端がサンプルカップ11内に挿入され、下流端が廃液タンクT7に挿入されている。また、検出配管L1の途中に、上流側から順次設けられた吸光度検出部20、バッファータンク15、及び検出用ポンプP1を備えている。
すなわち、反応槽10のサンプルカップ11と吸光度検出部20との間は、検出配管L1で接続され、検出用ポンプP1により、液が移動可能とされている。
吸光度検出部20は、フローセルを有する吸光度計である。
なお、図1には、フローセル部分のみ示しているが、吸光度検出部20は、フローセルに光を照射する光源とフローセルを透過した光を検出する光検出部と、光源と光検出部との間に設けられたレンズ等の光学部材を備えている。
バッファータンク15は、検出配管L1の途中であって、吸光度検出部20のフローセルの下流側に接続されている。バッファータンク15は、上流側が下流側より上方(高い位置)になるようにして配置されている。
バッファータンク15は内径が上流から下流に向けて漸増しその後漸減するように形成された部分を有している。すなわち、下流から見ても、下流から上流に向けて漸増しその後漸減するように形成されている。
下流から上流に向けて漸増する部分を有することにより、下流側から少量の液が逆流してきた場合、液膜状となった少量の液は、上昇するにつれて面積が大きくなるため途中で膜が破壊される。そのため、液膜状のままフローセル側まで逆流してきた液が至ることを阻止できる。
また、下流から上流に向けて漸増した後に漸減する部分があるため、検出配管L1の途中に接続することが可能となっている。
検出用ポンプP1は、検出配管L1内の液を上流から下流に向かう正方向と下流から上流に向かう逆方向のいずれの方向にも送液可能なポンプである。
本実施形態の検出用ポンプP1は、ペリスタル型ポンプである。ペリスタル型ポンプは、軟質チューブをローラーでしごいて送液ないし送気するもので、チューブポンプ、ローラーポンプとも呼ばれる。ローラーでしごく方向を逆転させることにより、送液ないし送気の方向を逆転させることができるようになっている。ペリスタル型ポンプの市販品としてはペリスタポンプ(登録商標)が利用できる。
本発明の検出配管L1に設けるポンプとしては、吐出口側に三方弁等の流路切り替え手段を設けたシリンジポンプを使用してもよい。
試料液配管L2の上流端には、図示を省略する受水槽等の試料液の供給源に接続され、下流端は、サンプルカップ11に試料液を吐出可能な位置に配置されている。試料液配管L2の途中には、試料液ポンプP2が設けられている。
第1試薬吐出配管L3、第2試薬吐出配管L4、第3試薬吐出配管L5の各々の下流端は、各々反応槽10のサンプルカップ11に液体試薬を吐出可能な位置に配置されている。
一方、各々の試薬吐出配管の上流端には加圧用配管L10が接続されており、加圧用配管L10にはエアポンプP10が設けられている。エアポンプP10は停止時に加圧用配管L10を閉塞しない構造とされており、加圧用配管L10の上流端は大気開放とされている。
本実施形態では、加圧用配管L10とエアポンプP10により、本発明のエア供給手段が構成されている。
第1試薬吐出配管L3には、加圧用配管L10に接続された上流側に第5常閉弁V5が設けられ、その下流側には、上流側から順に配管A、配管B、配管Cが接続されている。
第2試薬吐出配管L4には、加圧用配管L10に接続された上流側に第6常閉弁V6が設けられ、その下流側には配管Dが接続されている。
第3試薬吐出配管L5には、加圧用配管L10に接続された上流側に第7常閉弁V7が設けられ、その下流側には配管Eが接続されている。
配管Aは、上流端が水酸化ナトリウム溶液を収容する第1試薬タンクT1に挿入されており、下流端は接続点aにおいて第1試薬吐出配管L3に接続しており、途中に第1試薬ポンプP3が設けられている。
配管Bは、上流端がペルオキソ二硫酸カリウム溶液を収容する第2試薬タンクT2に挿入されており、下流端は接続点bにおいて第1試薬吐出配管L3に接続しており、途中に第2試薬ポンプP4が設けられている。
配管Cは、上流端がL-アスコルビン酸溶液を収容する第3試薬タンクT3に挿入されており、下流端は接続点cにおいて第1試薬吐出配管L3に接続しており、途中に第3試薬ポンプP5が設けられている。
配管Dは、上流端が塩酸溶液を収容する第4試薬タンクT4に挿入されており、下流端は接続点dにおいて第2試薬吐出配管L4に接続しており、途中に第4試薬ポンプP6が設けられている。
配管Eは、上流端がモリブデン酸アンモニウム溶液を収容する第5試薬タンクT5に挿入されており、下流端は接続点eにおいて第3試薬吐出配管L5に接続しており、途中に第5試薬ポンプP7が設けられている。
第1試薬ポンプP3を動作させることにより第1試薬タンクT1の試薬が、第2試薬ポンプP4を動作させることにより第2試薬タンクT2の試薬が、第3試薬ポンプP5を動作させることにより第3試薬タンクT3の試薬が、第4試薬ポンプP6を動作させることにより第4試薬タンクT4の試薬が、第5試薬ポンプP7を動作させることにより第5試薬タンクT5の試薬が、各々接続する試薬吐出配管に供給されるようになっている。
それぞれの試薬供給配管に設けられた試薬ポンプは、停止時に試薬供給配管を、当該試薬ポンプが設けられた位置において気密を保って閉塞する。これにより、停止時に各々が設けられた試薬供給配管と試薬吐出配管との接続点と、当該ポンプとの間に試薬を保持できるようになっている。
試薬供給配管に設けられた試薬ポンプとしては、逆止弁を有するシリンジポンプやペリスタル型ポンプを好適に使用できる。
本実施形態では、待機状態では、各試薬供給配管の液体試薬は各々試薬供給配管の上流端から各接続点まで充填されており、以下のいずれかの態様により、試薬供給配管のいずれかから、各接続点を超えて試薬吐出配管のいずれかに供給された試薬の全量が反応槽10のサンプルカップ11に吐出されるように構成されている。
なお、本明細書における「全量が吐出される」とは、実質的に全量が吐出されることを意味し、不可避的に僅かな残液が配管に付着して残る場合も、「全量が吐出される」に該当する。
第1の態様では、エアポンプP10を動作させた状態で第5常閉弁V5、第6常閉弁V6、第7常閉弁V7のいずれかをON(開)とした状態でその常閉弁に接続するいずれかの試薬供給配管に設けられた試薬ポンプを動作させる。すると、試薬供給配管から接続点を超えて試薬吐出配管に至った試薬の全量をサンプルカップ11に噴き出すことができる。
例えば、第5常閉弁V5をON(開)とし、エアポンプP10を動作させた状態で第1試薬ポンプP3を動作させると、第1試薬タンクT1内の試薬は、配管Aから接続点aを超えて第1試薬吐出配管L3に至った分の全量が、直ちにエアによりサンプルカップ11へと吐出されるようになっている。
第2の態様では、接続点の高さ位置を、各試薬吐出配管の下流端の高さ位置よりも高くしておく。
そして、第5常閉弁V5、第6常閉弁V6、第7常閉弁V7の総てをOFF(閉)、エアポンプP10をOFFの状態で、いずれかの試薬供給配管に接続された試薬ポンプを動作させると、その試薬吐出配管の接続点に向けて所定量の液体試薬が移動する。接続点を超えて試薬吐出配管に至った液体試薬は、上流側が常閉弁により閉塞されているため、試薬吐出配管の下流側に入る。
その後、その試薬ポンプを停止し、液体試薬が導入された試薬吐出配管に設けられた常閉弁をON(開)とすると、接続点が大気開放状態の加圧用配管L10の上流端と接続されるので、接続点を超えて試薬吐出配管に供給された液体試薬の全量は、自重により落下し、試薬吐出配管の下流端からサンプルカップ11に向けて吐出される。
なお、接続点と下流端の間に接続点よりも高い部分がある場合は、その高い部分を超えて、接続点より低くなる部分(自重落下点)まで液体試薬を導入してから、試薬ポンプを停止することが必要である。自重落下点まで液が充填されていないと、接続点が大気開放状態となっても、自重による落下が生じない。
そして、その後、ON(開)とした弁をONのままエアポンプP10を動作させると、試薬吐出配管の各接続点の下流側に僅かに残った残液をサンプルカップ11に噴き出すことができる。
例えば、第1試薬タンクT1内の試薬のサンプルカップ11への供給は以下のように行う。まず、第5常閉弁V5、第6常閉弁V6、第7常閉弁V7の総てをOFF(閉)、エアポンプP10をOFFの状態で、第1試薬ポンプP3を動作させ、配管Aから接続点aに向けて第1試薬タンクT1内の試薬の所定量を移動させる。接続点aを超えて第1試薬吐出配管L3に至った試薬は、上流側が第5常閉弁V5により閉塞されているため、第1試薬吐出配管L3の下流側に入る。
その後、その試薬ポンプを停止し、液体試薬が導入された試薬吐出配管に設けられた常閉弁をON(開)とすると、接続点aが大気開放状態の加圧用配管L10の上流端と接続されるので、接続点aを超えて第1試薬吐出配管L3に供給された液体試薬の全量は、自重により落下し、第1試薬吐出配管L3の下流端からサンプルカップ11に向けて吐出される。
そして、その後第5常閉弁V5をON(開)としたままエアポンプP10を動作させると、接続点aの下流側に僅かに残った残液をサンプルカップ11に噴き出すことができる。
いずれの場合にも、接続点を超えて試薬供給配管から試薬吐出配管に至った分量の試薬の全量をサンプルカップ11に導入することができる。また、エアによりサンプルカップ11内の液を攪拌できるので、導入した試薬と試料液等を充分に混合できる。
また、サンプルカップ11に試薬を導入した後は、試薬が各試薬供給配管の接続点から試薬ポンプまでの間に充填された状態で保持されるので、次回の試薬供給に対応できる。
また、サンプルカップ11に試薬を導入した後の試薬吐出配管には試薬が入っていない状態となるため、試薬吐出配管の先端から、意図しない時点でサンプルカップ11に試薬が落下することを防止できると共に、複数の試薬供給配管を一つの試薬吐出配管に接続することも可能となっている。
全窒素用分解配管L6と全りん用分解配管L7は、各々反応槽10より上方において加熱分解部を有する。加熱分解部は、全窒素用分解配管L6と全りん用分解配管L7が加熱槽13に覆われている部分である。
全窒素用分解配管L6と全りん用分解配管L7の下流端は、各々サンプルカップ11の底部まで挿入されている。
すなわち、全窒素測定用の加熱分解部は全窒素用分解配管L6により、全りん測定用の加熱分解部は全りん用分解配管L7により、各々反応槽10のサンプルカップ11と接続されており、各加熱分解部とサンプルカップ11との間は、以下に説明するようにポンプや弁の働きにより、液が移動可能とされている。
全窒素用分解配管L6における加熱分解部の反応槽10側には第1常閉弁V1が、反応槽10と反対側には第2常閉弁V2が設けられている。
同様に、全りん用分解配管L7における加熱分解部の反応槽10側には第3常閉弁V3が、反応槽10と反対側には第4常閉弁V4が設けられている。
また、全窒素分解液排出管L13の上流端側は全窒素用分解配管L6の加熱分解部と第1常閉弁V1との間に接続しており、全窒素分解液排出管L13には、第9常閉弁V11が設けられている。
全窒素用分解配管L6と全りん用分解配管L7の上流端は、共通配管L12を介して加圧用配管L10に接続されている。
加圧用配管L10の共通配管L12が接続されている箇所と、第1試薬吐出配管L3、第2試薬吐出配管L4、及び第3試薬吐出配管L5が接続されている部分の間には、第8常閉弁V8が設けられている。
また、純水配管L8の上流端は純水タンクT8に挿入され、下流端は、サンプルカップ11に純水を吐出可能な位置に配置されている。
純水配管L8には、上流側から順に第1三方弁V9、第2三方弁V10が設けられている。
第1三方弁V9には、純水ポンプP8の吐出口が接続されている。本実施形態において、純水ポンプP8はシリンジポンプである。
第1三方弁V9は、純水ポンプP8の吐出口側が共通ポート、純水タンクT8側が常閉ポート、第2三方弁V10側が常開ポートとされている。
また、第2三方弁V10には、加熱槽洗浄用配管L11の上流端が接続されている。加熱槽洗浄用配管L11の下流端は、加圧用配管L10と共通配管L12の接続箇所に接続している。
第2三方弁V10は、第1三方弁V9側が共通ポート、純水配管L8の下流端側が常閉ポート、加熱槽洗浄用配管L11側が常開ポートとされている。
サンプルカップ11内の液の加熱分解部への吸い上げは、純水ポンプP8の吸引動作で行われるようになっている。全窒素用分解配管L6と全りん用分解配管L7の各々における加熱分解部への吸い上げのタイミングは、別々とされる。
なお、加熱分解部への吸い上げのための純水ポンプP8の吸引動作の前には、純水ポンプP8のプランジャは吐出した位置とされている。
全窒素用分解配管L6への吸い上げ時における純水ポンプP8の吸引動作は、第1常閉弁V1、第2常閉弁V2はON(開)、第3常閉弁V3、第4常閉弁V4、第9常閉弁V11はOFF(閉)、第8常閉弁V8はOFF(閉)、第1三方弁V9はOFF(T8側が閉)、第2三方弁V10はOFF(L11側が開)の状態で行われる。
全りん用分解配管L7への吸い上げ時における純水ポンプP8の吸引動作は第1常閉弁V1、第2常閉弁V2、第9常閉弁V11はOFF(閉)、第3常閉弁V3、第4常閉弁V4はON(開)、第8常閉弁V8はOFF(閉)、第1三方弁V9はOFF(T8側が閉)、第2三方弁V10はOFF(L11側が開)の状態で行われる。
液を導入した加熱分解部の加圧は、エアの圧送により行われるようになっている。加熱分解部へのエアの圧送は、エアポンプP10を動作させることにより行う。
全窒素用分解配管L6の加熱分解部を加圧する際は、第1常閉弁V1、第9常閉弁V11、第3常閉弁V3、及び第4常閉弁V4はOFF(閉)、第2常閉弁V2はON(開)、第8常閉弁V8はON(開)、第2三方弁V10はON(V8側が閉)とされる。
全りん用分解配管L7の加熱分解部を加圧する際は、第1常閉弁V1、第2常閉弁V2、第9常閉弁V11、及び第3常閉弁V3はOFF(閉)、第4常閉弁V4はON(開)、第8常閉弁V8はON(開)、第2三方弁V10はON(V8側が閉)とされる。
そして、エアポンプP10を停止し、第1常閉弁V1~第4常閉弁V4、及び第1三方弁V9を総てOFF(閉)とした状態で、加熱槽13によって加熱分解部が加熱され、各加熱分解部に導入された液の加熱分解がされるようになっている。
なお、加熱槽13の温度は、加熱分解時以外は、全工程を通じて約70℃の予熱状態とされ、加熱分解時には120℃とされるようになっている。
その後、全窒素用分解配管L6と全りん用分解配管L7の各々における加熱分解部の圧抜きと液(加熱分解液)をサンプルカップ11に戻すタイミングは、別々とされる。
全窒素用分解配管L6における加熱分解部の圧抜きは、第9常閉弁V11をON(開)とすることにより行う。そして、加熱分解液のサンプルカップ11への戻しは、第9常閉弁V11と第2常閉弁V2をON(開)とすることにより、全窒素分解液排出管L13を通して液をサンプルカップ11に落下させ、その後第8常閉弁V8をON(開)、第2三方弁V10をON(V8側が閉)の状態でエアポンプP10を動作させることにより、全窒素用分解配管L6内の残液を追い出すようにして行われる。
なお、全窒素測定用の加熱分解液を全窒素分解液排出管L13を介して戻すのは、全窒素用分解配管L6に残留する未加熱のペルオキソ二硫酸カリウム溶液が加熱分解液に混入することを防ぐためである。未加熱のペルオキソ二硫酸カリウム溶液は、全窒素測定の妨害成分となる。
全りん用分解配管L7における加熱分解部の圧抜きは、第3常閉弁V3をON(開)とすることにより行う。そして、加熱分解液のサンプルカップ11への戻しは、第3常閉弁V3と第4常閉弁V4がをON(開)とすることにより液をサンプルカップ11に落下させ、その後第8常閉弁V8をON(開)、第2三方弁V10をON(V8側が閉)の状態でエアポンプP10を動作させることにより、全りん用分解配管L7内の残液を追い出すようにして行われる。
加熱分解部の洗浄は、純水を加熱分解部に流すことにより行われる。具体的には、第1常閉弁V1と第2常閉弁V2、第9常閉弁V11と第2常閉弁V2、又は第3常閉弁V3と第4常閉弁V4のいずれか1組以上がON(開)とされ、第8常閉弁V8、第1三方弁V9、第2三方弁V10のいずれもがOFFの状態で純水ポンプP8が吐出動作をするようになっている。
また、洗浄や希釈のために、サンプルカップ11に直接純水を導入する作業は、第8常閉弁V8をOFF(閉)、第1三方弁V9をOFF(第2三方弁V10側が開)、第2三方弁V10をON(純水配管L8の下流端側を開)の状態で純水ポンプP8が吐出動作をするようになっている。
なお、洗浄や希釈の作業前には、第1三方弁V9をON(純水タンクT8側が開)の状態で、純水ポンプP8の吸引動作が行われ、純水ポンプP8に純水が充填した状態とされている。
排液配管L9の上流端は、サンプルカップ11の底部まで挿入されている。下流端は、排液を装置外に排液するため、装置の排液口に至る。
排液配管L9の途中には、排液ポンプP9が設けられている。
本実施形態の分析装置による全窒素濃度と全りん濃度の測定は、制御部30の制御の下、以下の手順により行われる。
1.全窒素サンプル調整
まず、試料液配管L2により、所定量の試料液をサンプルカップ11に導入する。ここで、必要に応じて、純水配管L8から純水をサンプルカップ11に導入して試料液を希釈する。次いで、全窒素測定用の加熱分解試薬である第1試薬タンクT1の水酸化ナトリウム溶液と第2試薬タンクT2のペルオキソ二硫酸カリウム溶液をサンプルカップ11に導入し、試料液と加熱分解試薬を混合し、全窒素サンプル液とする。
そして、全窒素サンプル液の全量を全窒素用分解配管L6の加熱槽13(予熱状態)に収容されている部分(加熱分解部)まで吸引し、第1常閉弁V1と第2常閉弁V2をOFF(閉)の状態で、全りんサンプル調整を行っている間待機する。
2.全りんサンプル調整
サンプルカップ11内を洗浄した後、試料液配管L2により、所定量の試料液をサンプルカップ11に導入する。ここで、必要に応じて、純水配管L8から純水をサンプルカップ11に導入して試料液を希釈する。次いで、全りん測定用の加熱分解試薬である第2試薬タンクT2のペルオキソ二硫酸カリウム溶液をサンプルカップ11に導入し、試料液と加熱分解試薬を混合し、全りんサンプル液とする。
そして、全りんサンプル液の全量を全りん用分解配管L7の加熱槽13(予熱状態)に収容されている部分(加熱分解部)まで吸引して、第3常閉弁V3と第4常閉弁V4を閉状態とする。
3.加熱分解
全窒素用分解配管L6の加熱分解部を加圧し、次いで、全りん用分解配管L7の加熱分解部を加圧する。
そして、加熱槽13の温度を120℃として、30分間、全窒素用分解配管L6の全窒素サンプル液と全りん用分解配管L7の全りんサンプル液を加熱分解し、各々全窒素測定用の加熱分解液と全りん測定用の加熱分解液とする。
加熱分解により、試料液中の窒素化合物はすべて酸化されて硝酸イオンとなる。また、試料液中のリン化合物はすべて酸化されてリン酸イオンとなる。
4.全窒素測定
全窒素用分解配管L6の加熱分解液を、圧抜き後、全窒素分解液排出管L13を介してサンプルカップ11に戻す。ここに、第4試薬タンクT4の塩酸を導入してpHを2~3に調整し、全窒素測定用の測定対象液を得る。
次いで、以下の手順に従って、吸光度検出部20で全窒素測定用の測定対象液の吸光度を測定する。
サンプルカップ11内の測定対象液が少量で吸光度検出部20のフローセル内をサンプルカップ11内の測定対象液で共洗いする必要がある場合、吸光度検出部20での吸光度測定は以下のステップD1~ステップD4の手順で行われる。
共洗いの必要がなければ、以下のステップD3~ステップD4の手順で行われる。
ステップD1:検出用ポンプP1を正方向に駆動して、サンプルカップ11内の測定対象液の一部を吸光度検出部20のフローセル内に吸引する。
ステップD2:検出用ポンプP1を逆方向に駆動して、フローセル内に吸引した測定対象液をサンプルカップ11内に戻す。
ステップD3:検出用ポンプP1を正方向に駆動して、サンプルカップ11内の測定対象液の一部を前記フローセル内に吸引する。
ステップD4:吸光度検出部20で測定対象液の吸光度を測定する。
なお、ステップD1でフローセル内に吸引する測定対象液の量は、バッファータンク15まで至らないよう、共洗いのために必要な最小限の量とする。一方、ステップD3でフローセル内に吸引する測定対象液の量は、ある程度バッファータンク15まで至っても差し支えないので、ステップD1の吸引量より多めとし、フローセル21内全体に、測定対象液が確実に充填される量とする。
吸光度は、硝酸イオン濃度に対応する波長と、硝酸イオンの吸収がなく、濁り成分等の量に対応する波長で測定される。そして、両波長の測定結果と、予め求めた検量線情報に基づき、試料液の全窒素濃度が求められる。
例えば、日本の、昭和49年環境庁(現・環境省)告示第64号及びJIS K 0102:2016の45では、硝酸イオン濃度に対応する波長220nmと、硝酸イオンの吸収がなく、濁り成分の量に対応する波長254nmの各波長の吸光度を測定し、220nmの吸光度から254nmの吸光度を差し引いた値を、予め求めた検量線情報に基づき換算することで、試料液の全窒素濃度が求められる。
また、中国の規格「HJ/ T 102-2003」、「GB 11894-89」では、硝酸イオン濃度に対応する波長220nmと、硝酸イオンの吸収がなく、濁り成分等の量に対応する波長275nmの各波長の吸光度を測定し、220nmの吸光度から275nmの吸光度の2倍を差し引いた値を、予め求めた検量線情報に基づき換算することで、試料液の全窒素濃度が求められる。
吸光度測定後、検出用ポンプP1をさらに正方向に駆動して、サンプルカップ11内の測定対象液の全量を廃液タンクT7に廃液する。その後必要に応じて検出配管L1を洗浄する。検出配管L1を洗浄する場合は、サンプルカップ11に洗浄水を導入してから、検出用ポンプP1を正方向に駆動して、サンプルカップ11内の洗浄水を廃液タンクT7に廃液することにより、検出配管L1を洗浄する。
洗浄水としては、純水で全窒素用分解配管L6を洗浄し、その後サンプルカップ11に吐出された水を用いることが好ましい。
これにより、全窒素用分解配管L6とサンプルカップ11と検出配管L1の総てを洗浄できる。
検出配管L1内を充分に洗浄した後に、検出配管L1のバッファータンク15等に残った洗浄水は、検出用ポンプP1を逆方向に駆動して、サンプルカップ11内に戻し、サンプルカップ11に残った洗浄水と共に、排液配管L9から排液することが好ましい。
5.全りん測定
全りん用分解配管L7の加熱分解液をサンプルカップ11に戻す。ここに、第3試薬タンクT3のL-アスコルビン酸溶液を加えたブランク液を測定対象液として得る。
次いで、吸光度検出部20でブランク液を測定対象液としてリン酸イオンに基づくモリブデン青に対応する波長(詳細は後述する。)における吸光度を測定する。
サンプルカップ11内の測定対象液が少量で吸光度検出部20のフローセル内をサンプルカップ11内の測定対象液で共洗いする必要がある場合、吸光度検出部20での吸光度測定は上記のステップD1、ステップD2、ステップD3、ステップD4の手順で行われる。
共洗いの必要がなければ、上記のステップD3~ステップD4の手順で行われる。
ただし、ブランク液は、再度サンプルカップ11に戻す必要があるので、ステップD3でフローセル内に吸引する測定対象液の量は、ステップD1と同様に、バッファータンク15まで至らないよう、共洗いのために必要な最小限の量とする。
その後、ブランク液を廃液することなく、検出用ポンプP1を逆方向に駆動して、フローセル内に吸引した測定対象液をサンプルカップ11内に戻し、これに第5試薬タンクT5のモリブデン酸アンモニウム溶液を導入してモリブデン青が生成した発色液を測定対象液として得る。
次いで、吸光度検出部20で発色液を測定対象液としてリン酸イオンに基づくモリブデン青に対応する波長(詳細は後述する。)における吸光度を測定する。
サンプルカップ11内の測定対象液が少量で吸光度検出部20のフローセル内をサンプルカップ11内の測定対象液で共洗いする必要がある場合、吸光度検出部20での吸光度測定は上記のステップD1、ステップD2、ステップD3、ステップD4の手順で行われる。
共洗いの必要がなければ、上記のステップD3~ステップD4の手順で行われる。
例えば、日本の、昭和49年環境庁(現・環境省)告示第64号及びJIS K 0102:2016 46.3では、モリブデン青に対応する波長として、波長800nmを採用しているので、波長800nmにおける発色液の吸光度からブランク液の吸光度を差し引いた値を、予め求めた検量線情報に基づき換算することで、試料液の全りん濃度が求められる。
また、中国の規格「HJ/ T 103-2003」、「GB 11893-89」では、モリブデン青に対応する波長として、波長700nmを採用しているので、波長700nmにおける発色液の吸光度からブランク液の吸光度を差し引いた値を、予め求めた検量線情報に基づき換算することで、試料液の全りん濃度が求められる。
なお、周囲温度が低いためにサンプルカップ11に戻したブランク液の温度が低くなりすぎている場合は、モリブデン酸アンモニウム溶液を導入する前に、ブランク液を全りん用分解配管L7の加熱分解部に戻し、予熱で再加熱してもよい。これにより、モリブデン青を生成する反応が促進される。
吸光度測定後、サンプルカップ11内の液を廃液タンクT7に廃液し、その後図6を用いて説明した手順に従って検出配管L1を洗浄する。洗浄水としては、純水で全りん用分解配管L7を洗浄し、その後サンプルカップ11に吐出された水を用いることが好ましい。
これにより、全りん用分解配管L7とサンプルカップ11と検出配管L1の総てを洗浄できる。
検出配管L1内を充分に洗浄した後に、検出配管L1のバッファータンク15等に残った洗浄水は、検出用ポンプP1を逆方向に駆動して、サンプルカップ11内に戻し、サンプルカップ11に残った洗浄水と共に、排液配管L9から排液することが好ましい。
以下に、本実施形態の分析装置により、全窒素濃度の測定と全りん濃度の測定を同じ反応槽を使用して行っても、試薬の混入による妨害を回避して、全窒素濃度を正確に求めることができる理由を説明する。
本発明者らは、全窒素濃度の測定に影響を与えるL-アスコルビン酸溶液とモリブデン酸アンモニウム溶液の内、L-アスコルビン酸溶液に着目した。全窒素濃度を求めるための測定波長である紫外領域の吸収自体は、L-アスコルビン酸溶液の方が、モリブデン酸アンモニウム溶液より小さい。
しかし、L-アスコルビン酸溶液は、モリブデン酸アンモニウム溶液よりも配管に付着しやすい。特に夏の高温環境下では、粘性が上がり配管内に汚れとして残りやすい。そして、同じ配管にモリブデン酸アンモニウム溶液を通過させると、配管に付着したL-アスコルビン酸溶液がモリブデン酸アンモニウム溶液を吸着してしまう。
そこで、本発明者らは、L-アスコルビン酸溶液を汚れとして配管に残さない方法を模索し、全窒素測定用の加熱分解液を得る際に使用する水酸化ナトリウム溶液と共通の試薬吐出配管(第1試薬吐出配管L3)を使用することに想到した。
L-アスコルビン酸は、水酸化ナトリウム溶液に溶解するため、共通の試薬吐出配管を使用すれば、試薬吐出配管に付着して残留したL-アスコルビン酸を水酸化ナトリウム溶液で洗い流すことができる。洗い流されたL-アスコルビン酸は水酸化ナトリウム溶液と共に全窒素サンプルに入ってしまうが、L-アスコルビン酸は熱により分解するため、加熱分解液中には残らない。したがって、全窒素濃度測定のための加熱分解液に妨害成分であるL-アスコルビン酸を残すことなく、試薬吐出配管に付着したL-アスコルビン酸を洗い流すことができる。
特に本実施形態では、L-アスコルビン酸溶液を供給する配管Cの第1試薬吐出配管L3への接続点cが、水酸化ナトリウム溶液を供給する配管Aの第1試薬吐出配管L3への接続点aよりも下流側であるため、上流側から流れてくる水酸化ナトリウム溶液により、接続点c付近も含めて充分にL-アスコルビン酸を洗い流すことができる。
また、本実施形態では、塩酸溶液を供給する配管Dを、他の試薬供給配管が接続していない第2試薬吐出配管L4(他の試薬供給配管が接続した試薬吐出配管とは異なる試薬吐出配管)に接続した。すなわち、塩酸溶液については、他のいずれの試薬とも、試薬吐出配管を共用しないことした。
塩酸溶液は、全窒素測定用の加熱分解液に最後に加える試薬である。他のいずれの試薬とも、試薬吐出配管を共用しないことにより、塩酸溶液を添加する段階で他の試薬が混入することを防止できる。
また、本実施形態では、モリブデン酸アンモニウム溶液を供給する配管Eを、他の試薬供給配管が接続していない第3試薬吐出配管L5(他の試薬供給配管が接続した試薬吐出配管とは異なる試薬吐出配管)に接続した。すなわち、モリブデン酸アンモニウム溶液については、他のいずれの試薬とも、試薬吐出配管を共用しないことした。
モリブデン酸アンモニウムは加熱分解されないので、全窒素測定用の加熱分解液に混入させないだけでなく、加熱分解前の全窒素サンプルにも混入させない必要がある。そのため、全窒素測定に使用するいずれの試薬とも試薬吐出配管を共用しないこととした。また、L-アスコルビン酸溶液は、全窒素測定に使用する水酸化ナトリウム溶液と試薬吐出配管を共用しているので、L-アスコルビン酸溶液とも試薬吐出配管を共用しないこととした。
また、本実施形態では、ペルオキソ二硫酸カリウム溶液を供給する配管Bを、水酸化ナトリウム溶液を供給する配管Aと、L-アスコルビン酸溶液を供給する配管Cが接続している第1試薬吐出配管L3に接続した。
他の試薬供給配管が接続していない試薬吐出配管に配管Bを接続すると、反応槽10に挿入する試薬吐出配管の数を増やさなければならない。配管Bを第1試薬吐出配管L3に接続することにより、反応槽10に挿入する試薬吐出配管の数を抑制できるので、反応槽10の小型化が容易となる。
また、本実施形態では、ペルオキソ二硫酸カリウム溶液を供給する配管Bの第1試薬吐出配管L3への接続点bが、水酸化ナトリウム溶液を供給する配管Aの第1試薬吐出配管L3への接続点aよりも下流側であるため、全窒素濃度測定の妨害となるペルオキソ二硫酸カリウム溶液が水酸化ナトリウム溶液に洗い流されて第1試薬吐出配管L3に残留しにくい。なお、水酸化ナトリウム溶液は第1試薬吐出配管L3に微量残留することになるが、意図しない時点で多少液だれしても、測定の妨害とはならない。
なお、上記実施形態では、試薬吐出配管の上流側に、エア供給手段としてエアポンプが接続されている構成としたが、エア供給手段としては計装エアを利用してもよい。
また、本発明に係る全窒素・全りん分析装置は、エア供給手段が接続されていなくともよい。その場合は、各試薬吐出配管の上流端を大気開放とし、その高さ位置を、各試薬吐出配管の下流端の高さ位置より高くしておく。この場合は、各試薬吐出配管の上流端の高さ位置を、各接続点の高さ位置より高くしておくことが好ましい。また、各接続点の高さ位置は、各試薬吐出配管の下流端の高さ位置より高くしておくことが好ましい。
斯かる高さ位置の関係とした構成で、いずれかの試薬供給配管から試薬吐出配管に試薬を供給すると、接続点を超えて試薬吐出配管に至った試薬の全量は、自重により落下して反応槽に吐出される。
また、上記実施形態の第2の態様において、エアポンプP10を動作させることらによるエアブローは省略してもよい。
また、本発明に係る全窒素・全りん分析装置は、L-アスコルビン酸溶液を供給する配管Cの第1試薬吐出配管L3への接続点cが、水酸化ナトリウム溶液を供給する配管Aの第1試薬吐出配管L3への接続点aよりも上流側であってもよい。その場合、接続点c付近にL-アスコルビン酸が残留する懸念があるが、第1試薬吐出配管L3の少なくとも下流端近傍のL-アスコルビン酸は充分に洗い流すことができる。そのため、試薬吐出配管の下流端から、意図しない時点でL-アスコルビン酸が落下する懸念も小さい。
また、本発明に係る全窒素・全りん分析装置は、ペルオキソ二硫酸カリウム溶液を供給する配管Bを第1試薬吐出配管L3、第2試薬吐出配管L4、及び第3試薬吐出配管L5のいずれにも接続せず、他の試薬吐出配管に単独で接続してもよい。
また、配管Bを第1試薬吐出配管L3に接続する場合、配管Bの第1試薬吐出配管L3への接続点bは、水酸化ナトリウム溶液を供給する配管Aの第1試薬吐出配管L3への接続点a及びL-アスコルビン酸溶液を供給する配管Cの接続点cよりも下流側であってもよいし、接続点aより上流側であってもよい。
また、本発明に係る全窒素・全りん分析装置は、さらに、COD(化学的酸素要求量)濃度を加えた3項目を1台で測定できる全窒素・全りん/COD測定装置としてもよい。
10 反応槽
11 サンプルカップ
12 蓋材
13 加熱槽
15 バッファータンク
20 吸光度検出部
30 制御部
L1 検出配管
L2 試料液配管
L3 第1試薬吐出配管
L4 第2試薬吐出配管
L5 第3試薬吐出配管
L6 全窒素用分解配管
L7 全りん用分解配管
L8 純水配管
L9 排液配管
L10 加圧用配管
L11 加熱槽洗浄用配管
L12 共通配管
L13 全窒素分解液排出管
P1 検出用ポンプ
P2 試料液ポンプ
P3 第1試薬ポンプ
P4 第2試薬ポンプ
P5 第3試薬ポンプ
P6 第4試薬ポンプ
P7 第5試薬ポンプ
P8 純水ポンプ
P9 排液ポンプ
P10 エアポンプ

Claims (7)

  1. 試料液にペルオキソ二硫酸カリウム溶液と水酸化ナトリウム溶液を加えて加熱分解した後、得られた加熱分解液を塩酸溶液でpH調整して吸光度を測定することにより前記試料液の全窒素濃度を求めることと
    試料液にペルオキソ二硫酸カリウム溶液を加えて加熱分解した後、得られた加熱分解液にL-アスコルビン酸溶液とモリブデン酸アンモニウム溶液を加えて得られた発色液の吸光度を測定することにより前記試料液の全りん濃度を求めることとを同じ反応槽を用いて行う全窒素・全りん分析装置であって、
    前記反応槽と、下流端が前記反応槽に液を吐出可能な位置に配置された複数の試薬吐出配管と、下流端が前記複数の試薬吐出配管のいずれかの途中における接続点に接続して前記接続した試薬吐出配管に各試薬を供給する複数の試薬供給配管を備え、
    前記複数の試薬供給配管は、水酸化ナトリウム溶液を供給する配管Aと、ペルオキソ二硫酸カリウム溶液を供給する配管Bと、L-アスコルビン酸溶液を供給する配管Cと、塩酸溶液を供給する配管Dと、モリブデン酸アンモニウム溶液を供給する配管Eからなり、 前記配管Aと前記配管Cは共通の試薬吐出配管に接続し、前記配管Dと前記配管Eとは各々他の試薬供給配管が接続した試薬吐出配管とは異なる試薬吐出配管に接続しており、 前記複数の試薬供給配管のいずれかから、前記接続点を超えて前記複数の試薬吐出配管のいずれかに供給された試薬の全量が前記反応槽に吐出されるように構成されていることを特徴とする、全窒素・全りん分析装置。
  2. 前記配管Cの前記共通の試薬吐出配管への接続点は、前記配管Aの前記共通の試薬吐出配管への接続点よりも下流側である、請求項1に記載の全窒素・全りん分析装置。
  3. 前記配管Aと前記配管Cが接続した前記共通の試薬吐出配管に、さらに前記配管Bが接続している、請求項1又は2に記載の全窒素・全りん分析装置。
  4. 前記配管Bの前記共通の試薬吐出配管への接続点は、前記配管Aの前記共通の試薬吐出配管への接続点よりも下流側である、請求項3に記載の全窒素・全りん分析装置。
  5. 前記複数の試薬吐出配管の上流側に、エア供給手段が接続されている、請求項1~4のいずれか一項に記載の全窒素・全りん分析装置。
  6. さらに、前記反応槽との間で液が移動可能な加熱分解部を備える、請求項1~5のいずれか一項に記載の全窒素・全りん分析装置。
  7. さらに、前記反応槽との間で液が移動可能な吸光度検出部を備える、請求項1~6のいずれか一項に記載の全窒素・全りん分析装置。
JP2019140050A 2019-07-30 2019-07-30 全窒素・全りん分析装置 Active JP7360017B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2019140050A JP7360017B2 (ja) 2019-07-30 2019-07-30 全窒素・全りん分析装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2019140050A JP7360017B2 (ja) 2019-07-30 2019-07-30 全窒素・全りん分析装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2021021699A JP2021021699A (ja) 2021-02-18
JP7360017B2 true JP7360017B2 (ja) 2023-10-12

Family

ID=74575183

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2019140050A Active JP7360017B2 (ja) 2019-07-30 2019-07-30 全窒素・全りん分析装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP7360017B2 (ja)

Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004093509A (ja) 2002-09-03 2004-03-25 Dkk Toa Corp 全窒素・全りん測定装置
JP2016070726A (ja) 2014-09-29 2016-05-09 東亜ディーケーケー株式会社 水銀自動測定システム及びその前処理装置
US20170138973A1 (en) 2015-11-13 2017-05-18 Endress+Hauser Conducta Gmbh+Co. Kg Automatic analyzer and method

Family Cites Families (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH09189704A (ja) * 1996-01-10 1997-07-22 Hitachi Ltd 自動化学分析装置

Patent Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004093509A (ja) 2002-09-03 2004-03-25 Dkk Toa Corp 全窒素・全りん測定装置
JP2016070726A (ja) 2014-09-29 2016-05-09 東亜ディーケーケー株式会社 水銀自動測定システム及びその前処理装置
US20170138973A1 (en) 2015-11-13 2017-05-18 Endress+Hauser Conducta Gmbh+Co. Kg Automatic analyzer and method

Non-Patent Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Title
SPECIFICATION SHEET 全窒素・全りん/COD自動測定装置 NPW-400型,東亜ディーケーケー株式会社,2021年11月
プロセス制御に適用が可能な全窒素・全りん自動測定装置,オートメーション,2000年,Vol.45, No.3,Page.37-41

Also Published As

Publication number Publication date
JP2021021699A (ja) 2021-02-18

Similar Documents

Publication Publication Date Title
DE102009028165B4 (de) Verfahren und Vorrichtung zur automatisierten Bestimmung des chemischen Sauerstoffbedarfs einer Flüssigkeitsprobe
US9518900B2 (en) Sample preparation system for an analytical system for determining a measured variable of a liquid sample
DE102011088959B4 (de) Vorrichtung zum Entgasen einer Flüssigkeit und Verwendung dieser Vorrichtung in einem Analysegerät
US8834637B2 (en) Biochemical analyzer and method for cleaning fluid components of the same
KR102132080B1 (ko) 수질 분석 기구
CN103290640A (zh) 一种连缸印染过程中的染料浓度在线检测装置及方法
CN105466740B (zh) 汞自动检测系统及其预处理装置
TW200531152A (en) System and method for controlling composition for lithography process in real time using near infrared spectrometer
KR102219833B1 (ko) 액체 시료 분석을 위한 자동측정장치, 및 이를 이용한 시료 분석 방법
US10458968B2 (en) Water quality analysis device
CN110967309A (zh) 一种水质消毒过程中有效氯的在线检测系统和方法
JP3216584U (ja) 水質分析計
DE102013109168A1 (de) Analysegerät zur Bestimmung des chemischen Sauerstoffbedarfs einer Flüssigkeitsprobe
JP7360017B2 (ja) 全窒素・全りん分析装置
JP6928275B2 (ja) 分析装置
CN102042925A (zh) 从含有挥发性有机碳的样品中去除氯化物的方法和装置
KR20200083254A (ko) 비례제어 시료정밀주입방식과 이중냉각 기액분리를 이용한 연소산화 총유기탄소 측정방법 및 장치
JP6920623B2 (ja) 分析装置、プログラム、及び分析方法
KR101769736B1 (ko) 화학적 산소 요구량 자동 계측 장치
JP6974752B2 (ja) 液体試薬供給装置及び分析装置
JP6056824B2 (ja) 水銀自動測定システム及びその前処理装置
AU2015101934A4 (en) On-line wet chemistry analyzer
JP2021047112A (ja) 液体計量装置および水質測定装置
CN219675824U (zh) 一种液体测汞仪分析系统
KR940001027B1 (ko) 탈지액중의 킬레이트 시약 투입량 자동조절시스템

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20220712

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20230425

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20230426

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20230623

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20230829

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20230911

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 7360017

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150