JP2021019385A - 回転機コア及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】鉄損の低い回転機コア及びその製造方法を提供する。【解決手段】積層状態の電磁鋼板100から構成された回転機コア1及びその製造方法である。電磁鋼板は、コアバック部2と複数のティース部とを有する。コアバック部2は、回転機コアの周方向に沿って延びる。ティース部3は、コアバック部2から回転機コア1の周方向に直交する方向に沿って延びる。コアバック部2とティース部3とは一体的に形成されている。コアバック部2における電磁鋼板100の結晶方位は周方向に沿って揃っている。ティース部3における電磁鋼板100の結晶方位はティース部3の延び方向に沿って揃っている。【選択図】図1
Description
本発明は、回転機コア及びその製造方法に関する。
特定の結晶方位が例えば一方向に揃った方向性電磁鋼板が知られている。所望の結晶方位に配向した方向性電磁鋼板は、磁気特性に優れるため、例えば回転機コアに用いられる。単結晶鋼は、結晶方位が一方向に揃った方向性を有するが、製造コストが高く、製造に時間がかかるため、大量生産に不向きである。一方、2次再結晶現象などにより、鋼板の結晶方位を配向させる技術が知られているが、製造工程が煩雑であったり、{100}<001>方位などの所定の結晶方位の配向性が悪くなったりする。
例えば特許文献1には、分割式のステータコアが開示されている。具体的には、少なくともティース部とヨーク部とを別体とし、ティース部あるいはヨーク部を方向性電磁鋼板により形成したステータ構造が開示されている。特許文献1によれば、上記ステータ構造により、鉄損を低減できるとしている。
特許文献1のステータ構造では、ティース部とヨーク部との間に接合部があり、ティース部とヨーク部との間に隙間が生じるおそれがある。接合部や隙間は、ステータコアなどの回転機コアのヒステリシス損等の鉄損を増大させる。その結果、モータ等の回転機のロスが増大し、電力を動力へ変換する効率が悪くなる。
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、鉄損の低い回転機コア及びその製造方法を提供しようとするものである。
本発明の第1態様は、積層状態の電磁鋼板(100)から構成された、筒状の回転機コア(1、1A、1B)であって、
上記電磁鋼板は、上記回転機コアの周方向(X)に沿って延びるコアバック部(2)と、該コアバック部から上記周方向に直交する方向(Y)に沿って延びる複数のティース部(3)とを有し、
上記コアバック部と上記ティース部とが一体的に形成されており、
上記コアバック部における上記電磁鋼板の結晶方位が上記周方向に沿って揃い、上記ティース部における上記電磁鋼板の結晶方位が上記ティース部の延び方向に沿って揃っている、回転機コアにある。
上記電磁鋼板は、上記回転機コアの周方向(X)に沿って延びるコアバック部(2)と、該コアバック部から上記周方向に直交する方向(Y)に沿って延びる複数のティース部(3)とを有し、
上記コアバック部と上記ティース部とが一体的に形成されており、
上記コアバック部における上記電磁鋼板の結晶方位が上記周方向に沿って揃い、上記ティース部における上記電磁鋼板の結晶方位が上記ティース部の延び方向に沿って揃っている、回転機コアにある。
本発明の第2態様は、第1単結晶鋼(41)と第2単結晶鋼(42)とを、上記第1単結晶鋼と上記第2単結晶鋼との結晶方位が相互に直交するように多結晶鋼板(40)の主面(401)に接触させ、熱処理を行うことにより、結晶方位が相互に直交し、かつ上記結晶方位が特定方向に配向する第1領域(101)と第2領域(102)とを有する、2方向性の電磁鋼板(100)を得、
上記電磁鋼板の上記第1領域の結晶方位に沿う方向に帯状に延びる帯状コアバック部(20)と、上記第2領域の結晶方位に沿う方向に延びる複数の平行ティース部(30)とを有する櫛状シート(105)を打ち抜き、
上記櫛状シートを螺旋状に巻回させつつ積層する、回転機コア(1、1A)の製造方法にある。
上記電磁鋼板の上記第1領域の結晶方位に沿う方向に帯状に延びる帯状コアバック部(20)と、上記第2領域の結晶方位に沿う方向に延びる複数の平行ティース部(30)とを有する櫛状シート(105)を打ち抜き、
上記櫛状シートを螺旋状に巻回させつつ積層する、回転機コア(1、1A)の製造方法にある。
本発明の第3態様は、第1単結晶鋼(41)と第2単結晶鋼(42)とを、上記第1単結晶鋼と上記第2単結晶鋼との結晶方位が相互に直交するように多結晶鋼板(40)の主面(401)に接触させ、熱処理を行うことにより、相互に結晶方位が直交し、かつ上記結晶方位が特定方向に配向する第1領域(101)と第2領域(102)とを有する、2方向性の電磁鋼板(100)を得、
上記電磁鋼板の上記第1領域の結晶方位に沿う方向に帯状に延びる帯状コアバック部(20)と、上記第2領域の結晶方位に沿う方向に延びる複数の平行ティース部(30)とを有する櫛状シート(105)を打ち抜き、
上記櫛状シートを環状に巻回させることにより環状のコア板(104)を得、
上記コア板を複数積層する、回転機コア(1、1B)の製造方法にある。
上記電磁鋼板の上記第1領域の結晶方位に沿う方向に帯状に延びる帯状コアバック部(20)と、上記第2領域の結晶方位に沿う方向に延びる複数の平行ティース部(30)とを有する櫛状シート(105)を打ち抜き、
上記櫛状シートを環状に巻回させることにより環状のコア板(104)を得、
上記コア板を複数積層する、回転機コア(1、1B)の製造方法にある。
上記第1態様の回転機コアは、コアバック部における電磁鋼板の結晶方位が周方向に沿って揃い、ティース部における電磁鋼板の結晶方位がティース部の延び方向に沿って揃っている。そのため、コアバック部の磁化容易軸は周方向に沿う方向となり、ティース部の磁化容易軸は伸長方向に沿う方向となる。これは、コアバック部及びティース部の磁化容易軸の理想的な方向であるため、回転機コアは、磁気回路中での磁化が容易であり、鉄損が低い。
また、コアバック部とティース部とが一体的に形成されているため、コアバック部とティース部との間に両者の接合面(具体的には、接合界面)がない。つまり、コアバック部とティース部との接合によって形成される、磁気抵抗の大きな空気相がない。そのため、空気相によるヒステリシス損の増大が防止され、回転機コアはヒステリシス損が低い。
上記第2態様及び上記第3態様の製造方法では、上記のごとく櫛状シートを作製する。次いで、第2態様の製造方法では、櫛状シートを螺旋状に巻回させることにより、電磁鋼板が螺旋状に積層された回転機コアが製造される。第3態様の製造方法では、櫛状シートを環状に巻回させることにより環状のコア板を得、コア板を複数積層することにより、コア板の積層体からなる回転機コアが製造される。上記製造方法では、コアバック部における電磁鋼板の結晶方位が周方向に沿って揃い、ティース部における電磁鋼板の結晶方位がティース部の延び方向に沿って揃った回転機コアが得られる。また、上記製造方法では、コアバック部とティース部とが一体的に形成された回転機コアが得られる。
以上のごとく、上記態様によれば、鉄損の低い回転機コア及びその製造方法を提供することができる。
なお、特許請求の範囲及び課題を解決する手段に記載した括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものであり、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
なお、特許請求の範囲及び課題を解決する手段に記載した括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものであり、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
(実施形態1)
回転機コア1にかかる実施形態について、図1〜図12を参照して説明する。図1及び図2に示されるように、回転機コア1は、積層状態の電磁鋼板から構成されている。積層状態は、例えば、電磁鋼板100が螺旋状に巻回されることにより形成される。つまり、回転機コア1は、例えば螺旋状に巻回されつつ積層された電磁鋼板100の積層体10から構成される。一方、実施形態2にて説明するが、回転機コア1の積層状態は、例えば、複数の環状の電磁鋼板100の積層体10から形成されていてもよい。本明細書では、螺旋状の積層体10から構成された回転機コア1のことを、適宜、「螺旋型回転機コア1A」といい、環状の電磁鋼板100の積層体10から構成された回転機コア1のことを、適宜「積層型回転機コア1B」ということができる。以下、電磁鋼板100の積層方向を、適宜「軸方向Z」という。
回転機コア1にかかる実施形態について、図1〜図12を参照して説明する。図1及び図2に示されるように、回転機コア1は、積層状態の電磁鋼板から構成されている。積層状態は、例えば、電磁鋼板100が螺旋状に巻回されることにより形成される。つまり、回転機コア1は、例えば螺旋状に巻回されつつ積層された電磁鋼板100の積層体10から構成される。一方、実施形態2にて説明するが、回転機コア1の積層状態は、例えば、複数の環状の電磁鋼板100の積層体10から形成されていてもよい。本明細書では、螺旋状の積層体10から構成された回転機コア1のことを、適宜、「螺旋型回転機コア1A」といい、環状の電磁鋼板100の積層体10から構成された回転機コア1のことを、適宜「積層型回転機コア1B」ということができる。以下、電磁鋼板100の積層方向を、適宜「軸方向Z」という。
図1に示すように、螺旋型回転機コア1Aでは、例えば長尺の電磁鋼板100が螺旋状に巻回されており、巻回状態の電磁鋼板100の板面が相互に接触している。具体的には、電磁鋼板100が巻回されつつ軸方向Zの位置を一方向に変えながら積層されて螺旋型回転機コア1Aが形成されている。螺旋型回転機コア1Aは、積層型回転機コア1Bに比べて、製造時における電磁鋼板100の切断回数を減らすことができる共に、巻回と切断とを連続的に行うことができる。
回転機コア1は、円筒状、楕円筒状、角筒状などの筒状であり、軸方向Zを貫通する貫通穴19を有する。例えば螺旋型の回転機コアでは、曲率が均一であることが望ましいという観点から、回転機コア1は、円筒状であることが好ましい。また、回転機コア1が円筒状の場合には、楕円筒状、角筒状などの形状に比べて、回転機コアの製造段階での巻回時に板厚にばらつきが生じることを防止できる。
図1及び図2に示すように、電磁鋼板100は、櫛状であり、コアバック部2と多数のティース部3とを有する。コアバック部2は軸方向Zにおいて相互に接触し、ティース部3も軸方向Zにおいて相互に接触している。電磁鋼板100は、後述の櫛状シート105から構成されており、螺旋型回転機コア1Aは、櫛状シート105が螺旋状に巻回されたものである。
コアバック部2は、回転機コア1の周方向Xに沿って延びる帯状の部分である。コアバック部2は、例えばヨーク部とも呼ばれる。帯状のコアバック部2は、螺旋状に巻回されており、回転機コア1と同様に周方向Xを有する。
ティース部3は、コアバック部2、回転機コア1の周方向Xに直交する方向Yに沿ってコアバック部2から延びる。回転機コア1が円筒状の場合には、周方向Xに直交する方向Yは回転機コア1の径方向である。図1及び図2に示すように、ティース部3は、例えば、回転機コア1の中心軸Aに向かって延びる。構成の図示を省略するが、ティース部3は、中心軸Aとは反対向きに延びていてもよい。つまり、ティース部3は、図1及び図2に示すように、筒状の回転機コア1の内側に向かって延びていてもよいし、図示を省略するが外側に向かって延びていてもよい。
コアバック部2とティース部3とは、一体的に形成されている。コアバック部2とティース部3との境界には、ギャップ、接合部、接合面が実質的になく、境界とその周囲との間で表面粗さはほとんど変化しない。具体的には、コアバック部2とティース部3の境界と、その周囲との表面粗さの差は3.2μm以内であることが好ましい。この場合には、積層時に空隙が発生することが抑制され、出力が向上する。表面粗さは、ワンショット3D形状測定機により測定される。ワンショット3D形状測定機としては、キーエンス社製のVR−5000を用いることができる。表面粗さは、例えば、測定倍率120倍で測定される。コアバック部2とティース部3とは、例えば面一であることがより好ましい。
図3(a)に示すように、電磁鋼板100のコアバック部2における結晶方位は、周方向Xに沿って揃っている。これにより、図2に示すように、コアバック部2における磁化容易軸は、周方向Xに沿う方向となる。一方、図3(b)に示すように、電磁鋼板100のティース部3における結晶方位は、ティース部3の延び方向に沿って揃っている。これにより、図2に示すようにティース部3における磁化容易軸は、延び方向に沿う方向となる。なお、図2におおいて、コアバック部2内、ティース部3内の実線矢印は、磁化容易軸を表し、破線矢印は、磁界や磁気回路を表す。後述の図17、図19、図20についても同様である。ティース部3の延び方向は、例えば、円筒状の回転機コア1の外周での法線方向に沿う。このような電磁鋼板100は、コアバック部2及びティース部3においてそれぞれ異なる結晶方位を有するため、例えば2方向性の電磁鋼板100ということができる。
結晶方位としては、{100}<001>、{123}<634>、{011}<211>、{112}<111>、{110}<001>などが例示される。コアバック部2における結晶方位は、{110}<001>であり、ティース部3における結晶方位は、{110}<110>であることが好ましい。この場合には、周方向とティース部の延び方向に磁化容易軸が配向する。さらに、この場合には、方向性電磁鋼板を、例えばその圧延方向と直交方向でカットすることにより、簡単に上記結晶方位の実現が可能になる。
電磁鋼板100は粒径1.5mm以上の結晶粒を有することが好ましい。この場合には、ヒステリシス損がさらに小さくなる。この効果がより向上するという観点から、電磁鋼板100は、コアバック部2及びティース部3に粒径1.5mm以上の結晶粒を有することがより好まく、粒径3.0mm以上の結晶粒を有することがさらに好ましい。
回転機コア1は、2方向性の電磁鋼板100を用いて製造される。2方向性の電磁鋼板100は、例えば次のようにして製造される。図4、図5、図6(a)、図6(b)、図7(a)、図7(b)に示されるように、まず、第1単結晶鋼41と第2単結晶鋼42とを、多結晶鋼板40の主面401に接触させる。このとき、第1単結晶鋼41と第2単結晶鋼42の結晶方位が相互に直交するように多結晶鋼板40の主面401に接触させる。このような操作を、以下適宜「配置工程」という。配置工程では、例えば、第1単結晶鋼41の結晶方位が多結晶鋼板40の面内方向に沿う方向となるように第1単結晶鋼41を多結晶鋼板40の主面401に配置し、第2多結晶鋼の結晶方位が多結晶鋼板40の面内方向であって、第1単結晶鋼41の結晶方位と直交する方向となるように第2単結晶鋼42を多結晶鋼板40の主面401に配置する。
次に、第1単結晶鋼41と第2単結晶鋼42とが配置された多結晶鋼板40の熱処理を行う。この操作を以下適宜、「熱処理工程」という。図4、図8に示されるように、熱処理は、例えば、多結晶鋼板40、第1単結晶鋼41、第2単結晶鋼42に対して行われ、例えば熱風Hを吹き付けることにより行われる。熱処理により、図9(a)〜(c)に示されるように2方向性の電磁鋼板100が得られる。2方向性の電磁鋼板100は、結晶方位が相互に直交しかつ結晶方位が特定方向に配向する第1領域101と第2領域102とを有する。
配置工程、熱処理工程について、さらに詳細に説明する。第1単結晶鋼41、第2単結晶鋼42は、例えば、所定の結晶方位を有する単結晶の鋼から切り出すことにより製造される。このとき、当接面411、421が所望の結晶方位となるように切り出すことができる。これにより、結晶方位が相互に直交する第1単結晶鋼41、第2単結晶鋼42が得られる。第1単結晶鋼41の当接面411は、多結晶鋼板40に当接するように構成された、例えば平滑面である。第2単結晶鋼42の当接面421についても同様である。
多結晶鋼板40は、例えば、鋼スラブを熱間圧延、必要に応じて冷間圧延、焼鈍などを経ることにより製造される。鋼としては、フェライト系ステンレス鋼、オーステナイト系ステンレス鋼、炭素鋼、電磁鋼等が例示される。鋼の結晶構造としては、体心立方、面心立方などの立方晶が例示される。図5に例示されるように、多結晶鋼板40は、結晶方位が異なる多数の結晶粒から構成されており、結晶方位がランダムであり、無配向である。多結晶鋼板40は、例えば、無方向性電磁鋼板である。
配置工程では、多結晶鋼板40の主面401上に、第1単結晶鋼41及び第2単結晶鋼42を配置する。第1単結晶鋼41及び第2単結晶鋼42は、これらの結晶方位が相互に直交する向きとなるように配置される。図4、図6(a)、図6(b)、図7(a)、図7(b)には、多結晶鋼板40の主面401に第1単結晶鋼41、第2単結晶鋼42を配置したときにおける、各単結晶鋼41、42の結晶方位を示す。なお、本明細書で参照する図面において、単結晶鋼41、42、多結晶鋼板40、電磁鋼板100内に示す矢印は、結晶方位の向きを示し、円で囲まれたばつ印は、紙面の表(換言すれば手前)から裏(換言すれば奥)に向かう結晶方位の向きを示す。図面における結晶方位は、例示であり、適宜変更することができる。第1単結晶鋼41、第2単結晶鋼42の結晶方位、第1単結晶鋼41、第2単結晶鋼42の多結晶鋼板40への配置は、変更可能であり、その変更により、熱処理後、結晶方位が特定方向に配向した領域を様々なパターンで形成することができる。電磁鋼板100において、結晶方位が特定方向に配向した領域のことを、「方向性領域」という。配置工程、熱処理工程を行うことにより、方向性領域として、相互に結晶方位が異なる、後述の第1領域101、第2領域102が形成される。
第1単結晶鋼41、第2単結晶鋼42としては、所望の結晶方位が配向したものを用いることができる。具体的な結晶方位としては、{100}<001>、{123}<634>、{011}<211>、{112}<111>、{110}<001>などが例示される。第1単結晶鋼41、第2単結晶鋼42の結晶方位は、2方向性の電磁鋼板100における第1領域101、第2領域102の所望の結晶方位に合わせて決定される。
第1単結晶鋼41と多結晶鋼板40、第2単結晶鋼42と多結晶鋼板40との接触は、面接触であることが好ましい。この場合には、加熱時に、単結晶鋼の結晶方位が多結晶鋼板40に成長しやすくなる。その結果、電磁鋼板100における各方向性領域(具体的には、第1領域101、第2領域102)の拡大が可能になる。
第1単結晶鋼41、第2単結晶鋼42の形状は、特に限定されないが、例えば板状であることが好ましい。この場合には、板状の第1単結晶鋼41の主面(つまり、当接面411)、第2単結晶鋼42の主面(つまり当接面421)を、多結晶鋼板40の主面401に接触させることにより、面接触が容易に実現できる。さらに、接触面積が大きくなるため、成長面が大きくなる。その結果、第1領域101、第2領域102の配向性がさらに向上する。
第1単結晶鋼41、第2単結晶鋼42の厚みは、特に限定されないが、第1単結晶鋼41、第2単結晶鋼42が板状の場合には、例えば0.1〜1.0mmである。多結晶鋼板40の厚みも、特に限定されないが、短時間で厚み方向の全体に結晶成長を進行させることができるため、2方向性の電磁鋼板100の生産性が向上するという観点から、0.8mm以下であることが好ましく、0.5mm以下であることがより好ましく、0.35mm以下であることがさらに好ましい。多結晶鋼板40自体の製造コストなどの観点から、多結晶鋼板40の厚みは、0.1mm以上であることが好ましい。
多結晶鋼板40の結晶粒径は、例えば20〜100μmである。多結晶鋼板40の結晶粒径は、熱処理前の多結晶鋼板40の結晶粒径であり、後述のひずみを付与する前の多結晶鋼板40の結晶粒径である。結晶粒径は、例えば顕微鏡によって測定した単位面積当たりの結晶粒の平均数により測定される。具体的にはJIS G 0551:2013「鋼−結晶粒度の顕微鏡試験方法」に基づいて測定される。
多結晶鋼板40における第1単結晶鋼41、第2単結晶鋼42との接触面に対して、エッチングを行うことができる。この場合には、結晶粒界が露出することで、接合面の密着度が向上し、結晶成長が促進される。エッチングは、塩酸、硝酸アルコール溶液、シュウ酸などにより行うことができる。
図4、図7(a)、図7(b)に示されるように、第1単結晶鋼41、第2単結晶鋼42は、多結晶鋼板40の主面401の端部に配置することが好ましい。この場合には、単結晶鋼41、42と多結晶鋼板40との接触方向での切断により、熱処理後に第1単結晶鋼41、第2単結晶鋼42を容易に除去することができる。端部は、例えば多結晶鋼板の圧延方向RDの端部である。接触方向は、例えば板厚方向である。切断位置は、例えば、図9(a)、図9(b)における破線で図示される。なお、実験例2にて示すように、第1単結晶鋼41、第2単結晶鋼42を、例えば多結晶鋼板40の全面に重なるように配置してもよい。この場合には、接触面積が大きくなり、成長面が大きくなるため、結晶成長が起こり易くなる。より具体的には、後述の打ち抜き工程後に、帯状コアバック部20、平行ティース部30となる各領域に、第1単結晶鋼41、第2単結晶鋼を配置することができる。
図8(a)及び(b)に示すように、第1単結晶鋼41、第2単結晶鋼42と多結晶鋼板40との接触後には、上記のように熱処理を行う。具体的には、第1単結晶鋼41及び第2単結晶鋼42を主面401に配置した多結晶鋼板40を加熱する。加熱は、例えば加熱炉内で行うことができる。この加熱により、多結晶鋼板40を構成する各結晶粒の結晶方位が第1単結晶鋼41、第2単結晶鋼42の結晶方位に倣って配向し、多結晶鋼板40内で結晶成長が起こる。第1単結晶鋼41、第2単結晶鋼42は、結晶方位の核となるため、核材ということができ、多結晶鋼板40は、核材の結晶方位に倣って結晶方位を配向させる対象であるため、素材板ということができる。
結晶成長について説明する。図2、図7(a)、図7(b)、図8(a)、図8(b)に示すように、熱処理を行うことにより、第1単結晶鋼41と多結晶鋼板40との接触面401aから多結晶鋼板40の方向へ第1単結晶鋼41の結晶方位に倣って多結晶鋼が配向し、さらに多結晶鋼を構成する結晶粒が成長する。同様に、第2単結晶鋼42と多結晶鋼板40との接触面401bから多結晶鋼板40の方向へ第2単結晶鋼42の結晶方位に倣って多結晶鋼が配向し、さらに多結晶鋼を構成する結晶粒が成長する。つまり、単結晶鋼が結晶方位の核材、多結晶鋼板40が素材板となり、核材から素材板に向けて結晶成長が起こり、多結晶鋼板40を構成する多結晶の各結晶粒が配向し、結晶成長する。その結果、多結晶鋼板40内に方向性領域として、第1領域101と第2領域102とが形成され、図9(a)〜(c)に示されるように第1領域101と第2領域とを有する、2方向性の電磁鋼板が得られる。第1領域101、第2領域102は、それぞれ所定の結晶方位を有する。
図4、図7〜図9に示すように、第1単結晶鋼41及び第2単結晶鋼42を多結晶鋼板40の主面401の端部に配置する場合には、第1単結晶鋼41、第2単結晶鋼42、及び多結晶鋼板40を、単結晶鋼41、42の接触部側から加熱することが好ましい。接触部側は、例えば接触面401a、401b側である。この場合には、熱処理により、第1単結晶鋼41と第2単結晶鋼42の結晶方位に倣って多結晶鋼板40内で板厚方向NDに結晶成長が起こる。さらに多結晶鋼板40内の成長結晶の結晶方位に倣って板厚方向NDと直交方向に結晶成長が進行する。具体的には、図8(a)及び(b)に示されるように、例えば圧延方向RDに結晶成長が進行する。
上記のような接触部側からの加熱では、図8(a)及び(b)に示すように、接触部側が高温になり、接触部側から例えば圧延方向RDに離れるにつれて低温となる温度勾配を形成することが好ましい。この場合には、接触部から離れた部分の結晶成長を抑制でき、先ず接触部の直下が第1単結晶鋼41、第2単結晶鋼42の結晶方位に倣って結晶成長する。次いで、圧延方向RDに離れる方向に結晶成長が起こり、多結晶鋼板40全体の結晶成長が実現される。例えば、傾斜炉内で熱処理を行うことにより、温度勾配を形成することができる。傾斜炉の他にも、例えば、レーザによる局所加熱、誘導加熱などにより、温度勾配を形成することができる。図8における白抜き矢印は、温度勾配を示し、矢印の先端が低温側、末端が高温側となる。多結晶鋼板40の酸化を防止するという観点から、加熱は非酸化性ガス雰囲気あるいは真空下で行うことが好ましい。
また、図21を参照する実験例1のように、多結晶鋼板40の主面401の全体に重なるように単結晶鋼41、42を配置する場合には、例えば均一加熱により、結晶方位の配向を進行させることができる。均一加熱は、第1単結晶鋼41、第2単結晶鋼42を接触させた多結晶鋼板40の全体を均一に加熱する方法である。
熱処理の加熱温度は、多結晶鋼板40の再結晶温度以上、融点以下であることが好ましい。具体的には、加熱温度は、例えば500℃以上、1500℃以下で調整することができる。
熱処理は、第1単結晶鋼41、第2単結晶鋼42、多結晶鋼板40を、これらの接触方向に加圧しながら行うことが好ましい。この場合には、接触面積の増加により結晶成長が促進される。加圧時の荷重は、400〜1000Nであることが好ましい。この場合には、第1単結晶鋼41、第2単結晶鋼42、多結晶鋼板40にひずみを与えない範囲で両者を十分に接触させることができる。加圧しながらの熱処理は、具体的には、ホットプレス加工により行うことができる。
熱処理前に多結晶鋼板40にひずみを付与することが好ましい。この場合には、熱処理時に再結晶が生じて結晶方位の配向がさらに促進される。ひずみは、例えば圧縮ひずみである。圧縮ひずみは、単結晶鋼41、42の接触前の多結晶鋼板40に対して、その板厚方向に付与される。
圧縮ひずみの付与は、圧延加工、ショットブラスト加工、単軸圧縮加工等により行われる。好ましくは圧延加工がよい。この場合には、板厚方向全体に連続的にひずみを付与することができるため、生産性が向上する。また、圧延加工を行う場合には、圧下率を5〜75%にすることが好ましい。圧下率を5%以上とすることにより、熱処理時に再結晶が生じて結晶方位の配向がさらにいっそう促進される。促進効果をさらに高めるためには、圧下率は、10%以上であることがより好ましく、25%以上であることがさらに好ましい。また、圧下率を75%以下とすることにより、圧延の加工性が低下せず生産性を維持できる。生産性の維持効果をさらに向上させるという観点から、圧下率は、60%以下であることがより好ましく、50%以下であることがさらに好ましい。
このようにして、図4、図9(a)〜(c)に示されるように、結晶方位がそれぞれ配向した第1領域101、第2領域102を有する電磁鋼板100を得ることができる。電磁鋼板100の結晶方位は、例えば電子線後方散乱回折法により測定される。電子線後方散乱回折法は、EBSD法とよばれる。EBSD法により、結晶方位のEBSDマップが得られる。EBSDマップでは、通常、結晶方位の違いが色の違いで示される。また、EBSDマップでは、逆極点図として結晶方位を表示することもできる。
図9(c)に示されるように、電磁鋼板100は板内に第1領域101、第2領域102を有するが、第1領域101と第2領域102との境界には、これらの結晶方位が干渉し合った領域が形成される場合がある。この領域では、第1領域101、第2領域102とはさらに異なる結晶方位を有し、方向性領域101、102よりも粒径の小さな1つ以上の結晶粒が形成される傾向がある。
電磁鋼板100における第1領域101、第2領域102は、粒径が1.5mm以上の同一の結晶粒を指標とすることができる。ここでいう同一は、方位差15°以内であること意味する。方位差15°以内は一般的な小角粒界の角度である。方位差、粒径は、EBSD像により測定することができる。第1領域101、第2領域102の粒径については、実験例2にて説明する。電磁鋼板100における第1領域101、第2領域102は、それぞれ単一の結晶粒からなることが特に好ましい。
圧延方向RDは、例えば結晶組織を観察することによりわかる。圧延板では、結晶組織が例えば繊維状組織になり、結晶組織を構成する結晶粒の長手方向が圧延方向RDとなる。結晶組織は、例えば、走査型電子顕微鏡観察、EBSD法により調べることができる。
上記の配置工程、熱処理工程により、2方向性の電磁鋼板100を製造することができる。電磁鋼板100は、第1領域101、第2領域102の境界に、ギャップ、接合部、接合面を実質的に有しておらず、第1領域101、第2領域102の境界とその周囲との間で電磁鋼板100の表面粗さはほとんど変化しない。
回転機コア1は、2方向性の電磁鋼板100を用いて次のようにして製造される。図10、図11に示されるように、まず、電磁鋼板100から櫛状シート105を打ち抜く。このような操作を、以下適宜、「打ち抜き工程」という。櫛状シート105は、帯状コアバック部20と、多数の平行ティース部30とを有する。帯状コアバック部20は、電磁鋼板100の第1領域101の結晶方位に沿う方向に帯状に延び、平行ティース部30は、第2領域102の結晶方位に沿う方向に延びる。帯状コアバック部20は、回転機コア1のコアバック部2に対応する部分であり、平行ティース部30は、回転機コア1のティース部3に対応する部分である。
第1領域101の結晶方位は、電磁鋼板100の外観からは不明であるが、例えば、その製造時における第1単結晶の配置パターンと電磁鋼板100の圧延方向との関係から、予め決定しておくことができる。また、第1領域101と第2領域102との境界は、例えば、第1単結晶鋼41と第2単結晶鋼42との境界位置から判断することができる。例えば境界位置に基づいて、多結晶鋼板40、熱処理後の電磁鋼板100に予め位置目印を形成しておくことにより、第1領域101、第2領域102、これらの境界を、分析などを行うことなく予測することができる。この場合には、生産性が向上する。
櫛状シート105の打ち抜きは、例えば、櫛状シート105における帯状コアバック部20と平行ティース部30の境界が、第1領域101と第2領域102との境界となるように行うことができる。この場合には、帯状コアバック部20が第1領域101の結晶方位を有し、平行ティース部30が第2領域102の結晶方位を有する。
次に、櫛状シート105を螺旋状に巻回させる。この操作を、以下適宜「螺旋加工工程」という。巻回は、図10,図12に示されるように、例えば、帯状コアバック部20が外側となり、平行ティース部30が内側になるように行うことができる。一方、巻回の図示を省略するが、帯状コアバック部20が内側となり、平行ティース部30が外側になるように巻回を行ってもよい。平行ティース部30を内側にしつつ巻回を行うと、インナーロータ型モータに好適な回転機コア1が得られる。一方、平行ティース部30を外側にしつつ巻回を行うと、アウターロータ型モータに好適な回転機コア1が得られる。
図12に示されるように、帯状コアバック部20を圧延しながら櫛状シート105を巻回させることが好ましい。この場合には、巻回を容易に行うことができる。
螺旋加工工程は、例えば図12に示す成形機5を用いて行われる。成形機5は、曲げ装置51と巻取装置57とを備える。曲げ装置51は、円筒ローラ513、テーパローラ514を備える。円筒ローラ513とテーパローラ514との間に帯状コアバック部20が送り込まれると、帯状コアバック部20が円筒ローラ513、テーパローラ514により圧延されつつ巻回され、巻取装置57の巻取軸58に螺旋状に巻き取られる。螺旋加工工程では、櫛状シート105が螺旋状に巻回されながら積層される。巻取後、必要に応じて、溶接、熱処理、矯正、面出し、切削、バリ取り、洗浄などの仕上げ工程が行われる。このようにして、図1〜図3に示すように螺旋型の回転機コア1Aを得ることができる。
図1〜図3に示されるように、本形態の回転機コア1は、コアバック部2における電磁鋼板100の結晶方位が周方向Xに沿って揃っている。また、ティース部3における電磁鋼板100の結晶方位がティース部3の延び方向に沿って揃っている。そのため、コアバック部2の磁化容易軸は周方向Xに沿う方向となり、ティース部3の磁化容易軸は伸長方向に沿う方向となる。これは、コアバック部2及びティース部3の磁化容易軸の理想的な方向である。したがって、回転機コア1は、磁気回路中での磁化が容易であり、鉄損が低い。
また、回転機コア1では、コアバック部2とティース部3とが一体的に形成されている。つまり、コアバック部2とティース部3との間に接合面などがない。その結果、従来のようにコアバック部2とティース部3との接合によって形成される、磁気抵抗の大きな空気相がない。これにより、空気相によるヒステリシス損の増大が防止され、回転機コア1はヒステリシス損が低い。
回転機コア1は、回転機に用いられるコアであり、例えば、ステータコア、ロータコアである。回転機としては、例えば、モータジェネレータ(つまり、MG)、オルタネータ、インテグレーテッド・スターター・ジェネレーター(つまり、ISG)である。
(変形例1)
本例は、螺旋型の回転機コア1Aを連続的に製造する例である。なお、変形例1以降において用いた符号のうち、既出の実施形態において用いた符号と同一のものは、特に示さない限り、既出の実施形態におけるものと同様の構成要素等を表す。
本例は、螺旋型の回転機コア1Aを連続的に製造する例である。なお、変形例1以降において用いた符号のうち、既出の実施形態において用いた符号と同一のものは、特に示さない限り、既出の実施形態におけるものと同様の構成要素等を表す。
螺旋型回転機コア1Aは、図13に示す製造ライン6で連続的に製造される。この製造ライン6は、巻出し機61、予備成形機62、加熱炉63、プレス機64、バッファー装置65、および成形機5から構成されている。回転機コア1の素材となる「板材」としての多結晶鋼板40は、コイル状に巻かれた状態から巻出し機61により巻き出され、予備成形機62に供給される。
予備成形機62は、巻出し機61から供給される多結晶鋼板40を厚み方向に挟む一対の円筒ローラ621、622を備えている。予備成形機62の円筒ローラ621、622にて多結晶鋼板40の圧延を行うことにより、多結晶鋼板40にひずみを導入することができる。ひずみは例えば圧縮ひずみである。ひずみの導入により、熱処理時に再結晶が生じて結晶方位の配向がさらにいっそう促進される。
加熱炉63は、台座631、加圧プレス632、単結晶鋼供給装置、単結晶鋼除去装置、炉壁に内蔵されたヒータ、壁面に設けられた熱風の噴出口などを備える。台座631は例えば可動式である。加熱炉63におけるヒータ、噴出口、単結晶鋼供給装置、単結晶鋼除去装置の図示は省略する。単結晶鋼供給装置は、多結晶鋼板40の主面401に第1単結晶鋼41、第2単結晶鋼42を供給する。台座631と加圧プレス632により、多結晶鋼板40に配置された第1単結晶鋼41、第2単結晶鋼42を加圧できる。加熱炉63の噴出口から炉内に熱が供給される。単結晶鋼除去装置により、加熱後に第1単結晶鋼41、第2単結晶鋼42が除去される。除去は例えば切断により行われる。これにより、2方向性の電磁鋼板100が製造される。加熱炉63は、実施形態1における配置工程、熱処理工程を担う装置である。
プレス機64は、ボルスタ641上に設けられている下金型642と、スライド643に設けられている上金型644と、加熱炉63から供給される電磁鋼板100を下金型642と上金型644との間に間欠的に送り出す送り装置645とを備えている。上金型644は、下金型642に対して接近および離間するように往復移動可能である。上金型644および下金型642は、互いに接近するように相対移動するとき図10に示すように、電磁鋼板100に打ち抜き加工を施し、櫛状シート105を形成する。プレス機64は、櫛状シート105を電磁鋼板100から打ち抜く工程(つまり打ち抜き工程)を担う装置である。
バッファー装置65は、プレス機64から間欠的に供給される櫛状シート105を収容しつつ、収容した櫛状シート105を成形機5に連続的に供給する。成形機5は、曲げ装置51および巻取装置57を備えている。
図14および図15に示すように、曲げ装置51は、モータ52と、モータ52の出力軸に連結されている減速機53と、減速機53の出力部材に連結されている円筒ローラ513と、円筒ローラ513に隣接する位置で回転可能に設けられているテーパローラ514と、テーパローラ514を円筒ローラ513に対し接近および離間する方向へ移動可能な荷重制御装置56とを備えている。
円筒ローラ513およびテーパローラ514は、バッファー装置65から供給される櫛状シート105の帯状コアバック部20に圧延加工を施す。荷重制御装置56は、テーパローラ514から櫛状シート105に作用する荷重を所定値に制御する。円筒ローラ513とテーパローラ514との間の隙間は、櫛状シート105の帯状コアバック部20の一端部25から他端部26にかけて徐々に小さくなっている。これにより、櫛状シート105の帯状コアバック部20は、長手方向の延び量が一端部205(具体的には内側端部205)から他端部206(具体的には外側端部206)にかけて大きくなるように圧延され、幅方向に湾曲するように曲げられる。
巻取装置57は、曲げ装置51による圧延後のシートを巻取軸58に螺旋状に巻きつつ積層する。成形機5は、櫛状シート105の帯状コアバック部20を幅方向に湾曲するように曲げた後に螺旋状に巻きつつ積層する螺旋工工程を担う装置である。積層体10は、軸方向長さが所定値になると櫛状シート105から切り離される。その後、必要に応じて行われる各種仕上げ工程を経て螺旋型の回転機コア1Aが得られる。以上のように、配置工程、熱処理工程、打ち抜き工程、螺旋加工工程を連続的に行うことにより、螺旋型回転機コア1Aを製造することができる。
(実施形態2)
積層型の回転機コア1Bの実施形態について、図16〜図18を参照して説明する。回転機コア1は、例えば積層状態の電磁鋼板100から構成され、本形態での積層状態は、図16に示されるように環状の電磁鋼板100が多数積層されることにより形成されている。以下、環状の電磁鋼板100をコア板104という。環状は、具体的には、円環板状である。
積層型の回転機コア1Bの実施形態について、図16〜図18を参照して説明する。回転機コア1は、例えば積層状態の電磁鋼板100から構成され、本形態での積層状態は、図16に示されるように環状の電磁鋼板100が多数積層されることにより形成されている。以下、環状の電磁鋼板100をコア板104という。環状は、具体的には、円環板状である。
図16に示されるように、積層型回転機コア1Bは、コア板104を多数有しており、積層型回転機コア1Bでは、多数のコア板104が積層されて積層体10が形成されている。積層型回転機コア1Bでは、中心軸Aが揃うように環状のコア板104が同軸配置されている。積層型回転機コア1Bは、軸方向Zを貫通する貫通穴19を有する。
各コア板104は、環状のコアバック部2と、その中心(具体的には、環の中心)に向かって延びる多数のティース部3とを有する。図17に示されるように、コアバック部2を構成する鋼の結晶方位がコア板104の周方向Xに沿う方向に揃っている。ティース部3を構成する鋼の結晶方位がティース部3の伸長方向に沿う方向に揃っている。コアバック部2とティース部3とが一体的に形成されている。その他は、実施形態1と同様の構成とすることができる。
積層型回転機コア1Bは、実施形態1と同様の2方向性の電磁鋼板100を用いて次のようにして製造される。まず、図18に示すように、実施形態1と同様に、打ち抜き工程により電磁鋼板100から櫛状シート105を得る。
次に、巻回加工工程を行う。巻回加工工程では、例えば平行ティース部30を内側にして櫛状シート105を環状に巻回させる。これにより、帯状コアバック部20が環状のコアバック部2を形成し、平行ティース部30がティース部3を形成する。そして、各ティース部3の伸長方向が径方向となるように加工される。このようにして、コア板104を得る。
次に、積層工程を行う。積層工程では、多数のコア板104を積層する。積層時には、環状のコア板104の中心Oが揃うように同軸状にコア板を積層する。このようにして、図16に示すように、積層型回転機コア1Bを得ることができる。
本形態の回転機コア1Bは、積層型であり、多数のコア板104が積層されている。そのため、渦電流を抑制して鉄損を低減するという効果が得られる。その他にも、本形態の回転機コア1Bは、実施形態1と同様の効果を奏する。
(比較形態1)
多結晶鋼板40から構成された回転機コア91について、図19を参照しながら説明する。図19に示すように、多結晶鋼板40は、結晶方位がランダムな無方向性の電磁鋼板100であり、本形態の回転機コア91は多結晶鋼板40で構成されている。つまり、回転機コア91は、コアバック部911、ティース部912がいずれも無方向性電磁鋼板から構成されている。その他の構成は、実施形態1又は実施形態2と同様に、例えば螺旋型、積層型とすることができるが、本形態ではコアバック部911、ティース部912で磁化容易軸が揃わず、鉄損が大きい。したがって、回転機コア91は、実施形態1及び2に比べて磁気特性が劣る。
多結晶鋼板40から構成された回転機コア91について、図19を参照しながら説明する。図19に示すように、多結晶鋼板40は、結晶方位がランダムな無方向性の電磁鋼板100であり、本形態の回転機コア91は多結晶鋼板40で構成されている。つまり、回転機コア91は、コアバック部911、ティース部912がいずれも無方向性電磁鋼板から構成されている。その他の構成は、実施形態1又は実施形態2と同様に、例えば螺旋型、積層型とすることができるが、本形態ではコアバック部911、ティース部912で磁化容易軸が揃わず、鉄損が大きい。したがって、回転機コア91は、実施形態1及び2に比べて磁気特性が劣る。
(比較形態2)
コアバック部921とティース部922とが接合された、分割式の回転機コア92について、図20を参照しながら説明する。図20に示すように、本形態の回転機コア92では、コアバック部921と、ティース部922とが、それぞれ別体の電磁鋼板100から構成されており、コアバック部921と、ティース部922とが接合されている。つまり、コアバック部921とティース部922との間に接合部925がある。接合部925には、少なくとも微細な隙間が生じるおそれがある。その他の構成は、実施形態1又は実施形態2と同様に、例えば螺旋型、積層型とすることができるが、接合部や隙間は、回転機コア92のヒステリシス損等の鉄損を増大させる。その結果、モータ等の回転機のロスが増大し、電力と動力との変換効率が悪くなる。
コアバック部921とティース部922とが接合された、分割式の回転機コア92について、図20を参照しながら説明する。図20に示すように、本形態の回転機コア92では、コアバック部921と、ティース部922とが、それぞれ別体の電磁鋼板100から構成されており、コアバック部921と、ティース部922とが接合されている。つまり、コアバック部921とティース部922との間に接合部925がある。接合部925には、少なくとも微細な隙間が生じるおそれがある。その他の構成は、実施形態1又は実施形態2と同様に、例えば螺旋型、積層型とすることができるが、接合部や隙間は、回転機コア92のヒステリシス損等の鉄損を増大させる。その結果、モータ等の回転機のロスが増大し、電力と動力との変換効率が悪くなる。
(実験例1)
本例は、2方向性の電磁鋼板100を製造し、その結晶方位を調べる例である。本例では、多結晶鋼板40の主面401の全面に単結晶鋼41、42を配置して、2方向性の電磁鋼板100作製する。
本例は、2方向性の電磁鋼板100を製造し、その結晶方位を調べる例である。本例では、多結晶鋼板40の主面401の全面に単結晶鋼41、42を配置して、2方向性の電磁鋼板100作製する。
図21に示すように、まず、第1単結晶鋼41と、第2単結晶鋼42と、多結晶鋼板40を準備した。多結晶鋼板40は、フェライト系鋼板から構成されている。多結晶鋼板40は、結晶方位が異なる多数の結晶粒を有する多結晶である。第1単結晶鋼41、第2単結晶鋼42は、フェライト系鋼板から構成されている。第1単結晶鋼41、第2単結晶鋼42は、単結晶である。
具体的には、多結晶鋼板40としては、Siを2.5wt%含有する無方向性電磁鋼板を用いた。多結晶鋼板40は、圧延方向RDの長さLが1000mm、圧延直角方向TDの幅Bが300mm、板厚tが0.8mmである。また、第1単結晶鋼41、第2単結晶鋼42としては、Siを3wt%含有する方向性電磁鋼板を用いた。この方向性電磁鋼板は、特定の結晶方位を有する単結晶鋼から構成されている。方向性電磁鋼板は、圧延方向RDの長さLが1000mm、圧延直角方向TDの幅Bが300mm、板厚tが0.23mmである。
多結晶鋼板40に圧下率12.5%の圧延を行い、最終板厚tを0.7mmにした。次いで、多結晶鋼板40を、圧延方向RDの長さL60mm、圧延直角方向TDの幅B50mmのサイズに切り出した。また、板状の単結晶鋼から、圧延方向RDのL60mm、圧延直角方向の幅B25mmの第1単結晶鋼41と、圧延方向RDの長さL25mm、圧延直角方向TDの幅B60mmの第2単結晶鋼42を切り出した。
次に、切り出した後の、多結晶鋼板40、第1単結晶鋼41、及び第2単結晶鋼42の表面を研磨し、酸化被膜を除去し、表面粗さをRa<3.2μmにした。次いで、図21(a)及び(b)に示すように、第1単結晶鋼41と第2単結晶鋼42とを、多結晶鋼板40の主面401に配置して接触させた。このとき、第1単結晶鋼41と、第2単結晶鋼42との結晶方位が相互に直交するように、第1単結晶鋼41及び第2単結晶鋼42を多結晶鋼板40に配置した。
次に、第1単結晶鋼41及び第2単結晶鋼42を接触させた多結晶鋼板40の熱処理を行った。以下、第1単結晶鋼41及び第2単結晶鋼42を接触させた多結晶鋼板40のことを被処理材40Aという。熱処理は、図22に示すように加熱炉63内で行った。加熱炉63としては、富士電機株式会社製の抵抗加熱式真空ホットプレス炉を用いた。加熱炉63は、台座631、加圧プレス632、炉壁に内蔵されたヒータ、壁面に設けられた熱風Hの噴出口などを備える。ヒータ、噴出口の図示は省略する。
熱処理は、以下のようにして行った。まず、台座631に、被処理材40Aを配置した。次いで、加熱炉63内の真空度を10-3Pa以下にした後、加圧プレス632を作動させて被処理材40Aを板厚方向NDに600Nで加圧しながら、温度1100℃まで6℃/minで昇温し、その後2時間保持し、自然冷却にて8時間程度冷却した。このようにして、図21(c)に示すように、相互に結晶方位の異なる第1領域101、第2領域102を有する、2方向性の電磁鋼板100を得た。
次に、電磁鋼板100の結晶方位を調べた。結晶方位の測定には、EBSD法が用いられ、その測定装置として日本電子株式会社製のJSM−7100Fを用いた。測定条件は、測定倍率100倍、ステップサイズ1μm、フレーム速度140fps、照射電圧15kVである。その結果を図23及び図25に示す。なお、図23には、EBSD像、彩度ゼロのEBSD像と、EBSD像より抽出した角度マップを示す。図23の角度マップの横軸は距離を示し、縦軸は、方位差(つまり、方位におけるずれ)を示す。図25は、逆極点図である。なお、図23におけるEBSD像はカラーであるため、EBSD像の第1領域101、第2領域102の配置を簡略化した模式図を図24に示す。
図23、図24に示されるように、本例の電磁鋼板100は、特定の結晶方位が配向した第1領域101及び第2領域102を有し、第1領域101、第2領域102は単結晶から構成されている。第1領域101と第2領域102との間には境界が存在する。この境界の周囲では、第1領域101の結晶方位及び第2領域102の結晶方位とは結晶方位が異なる領域103が存在していた(図23、図25参照)。領域103には、結晶方位が相互に異なるさらに複数の領域が存在しており、各領域が結晶粒を構成している。
また、図23の角度マップから理解されるように、第2領域102と領域13の結晶方位差は約2°であり、実質的に同一方位とみなすことができる。すなわち、電磁鋼板100は第1単結晶鋼41および第2単結晶鋼42の2種類の結晶方位に倣って成長したことがわかる。
また、図25のEBSD像の逆極点図から理解されるように、電磁鋼板100は<001>及び<101>高集積に配向している。この結果は、EBSD像とも一致しており、第1領域101が<001>に配向しており、第2領域102が<101>に配向していることを示す。
このように、本例によれば、配置工程、熱処理工程を行うことにより、相互に結晶方位が異なる2方向性の電磁鋼板100が得られることがわかる。
(実験例2)
本例は、2方向性の電磁鋼板100における結晶粒径の測定方法を説明する。図26、図27に示されるように、方向性領域(つまり、単結晶の結晶粒)の粒径は、電磁鋼板100の圧延方向RDと直交する、あるいは平行な平面を観察したときの粒径である。圧延方向RDと直交する平面は、板厚方向NDと圧延方向RDと直角な方向TD(つまり、圧延直角方向)とがなす平面である。また、圧延方向RDと平行な平面は、板厚方向NDと圧延直角方向TDとがなす平面である。電磁鋼板100は、これらの2つの平面の少なくとも一方における粒径が上記の通り1.5mm以上となる方向性領域を有すること好ましい。この場合には、各方向性領域が各結晶方位に基づいた物性を十分に示すことができる。
本例は、2方向性の電磁鋼板100における結晶粒径の測定方法を説明する。図26、図27に示されるように、方向性領域(つまり、単結晶の結晶粒)の粒径は、電磁鋼板100の圧延方向RDと直交する、あるいは平行な平面を観察したときの粒径である。圧延方向RDと直交する平面は、板厚方向NDと圧延方向RDと直角な方向TD(つまり、圧延直角方向)とがなす平面である。また、圧延方向RDと平行な平面は、板厚方向NDと圧延直角方向TDとがなす平面である。電磁鋼板100は、これらの2つの平面の少なくとも一方における粒径が上記の通り1.5mm以上となる方向性領域を有すること好ましい。この場合には、各方向性領域が各結晶方位に基づいた物性を十分に示すことができる。
図26は、圧延方向RDと直交する平面での、電磁鋼板100の結晶構造の一例を示し、図27は、圧延方向RDと平行な平面での、電磁鋼板100の結晶構造の一例を示す。図26に示されるように、圧延方向RDと直交する平面での粒径は、圧延直角方向TDでの結晶粒の最大幅である。図26では、各結晶粒の最大幅は、L1〜L3で表される。また、図27に示されるように、圧延方向RDと平行な平面での粒径は、圧延方向RDでの結晶粒の最大幅である。図27では、各結晶粒の最大幅は、L4〜L6で表される。
圧延方向RDは、例えば結晶組織を観察することによりわかる。圧延板では、結晶組織が例えば繊維状組織になり、結晶組織を構成する結晶粒の長手方向が圧延方向RDとなる。結晶組織は、例えば、走査型電子顕微鏡観察、EBSD法により調べることができる。
(実験例3)
本例は、実施形態1、実施形態2のように、コアバック部2の磁化容易軸が周方向Xであり、ティース部3の磁化容易軸が周方向と直交方向Yである実施例品、比較形態1のように、ティース部912及びコアバック部911の磁化容易軸がランダムである比較例品の鉄損を解析、比較する例である。
本例は、実施形態1、実施形態2のように、コアバック部2の磁化容易軸が周方向Xであり、ティース部3の磁化容易軸が周方向と直交方向Yである実施例品、比較形態1のように、ティース部912及びコアバック部911の磁化容易軸がランダムである比較例品の鉄損を解析、比較する例である。
解析にはシミュレーションソフトウェアJSOL製の「JMAG−Designer」を用い、有限要素法(つまり、FEM)による鉄損解析を行った。解析条件は、以下の通りである。その結果を図28に示す。
・回転数:3387rpm
・概要:自動車用主機8極IPMモータ
・実施例品のティース部3及びコアバック部2には、厚み0.23mmの方向性の電磁鋼板の圧延方向RDを適用した。
・比較例品のティース部922及びコアバック部921には、厚み0.25mmの無方向性の電磁鋼板を適用した。
・回転数:3387rpm
・概要:自動車用主機8極IPMモータ
・実施例品のティース部3及びコアバック部2には、厚み0.23mmの方向性の電磁鋼板の圧延方向RDを適用した。
・比較例品のティース部922及びコアバック部921には、厚み0.25mmの無方向性の電磁鋼板を適用した。
鉄がもつ磁気モーメントは、通常、立方体の稜線である<100>方向を向いており、外部から加えた磁界が<100>方向であれば磁気モーメントの向きを変えることなく容易に磁気を通す。一方、磁界が<111>方向の場合には、<100>方向の磁気モーメントを回転させる際に、磁壁の移動等に伴うエネルギー損が生じる。このエネルギー損がヒステリシス損である。コアバック部2では周方向X、ティース部3では周方向と直交方向Y(例えば径方向)が主な磁界の向きであるから、実施例品のように<100>を各方位に配向させることでヒステリシス損が減少する。
本発明は、上記各実施形態、変形例、実験例に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の実施形態に適用することが可能である。
1 回転機コア
100 電磁鋼板
2 コアバック部
3 ティース部
40 多結晶鋼板
41 第1単結晶鋼
42 第2単結晶鋼
100 電磁鋼板
2 コアバック部
3 ティース部
40 多結晶鋼板
41 第1単結晶鋼
42 第2単結晶鋼
Claims (5)
- 積層状態の電磁鋼板(100)から構成された、筒状の回転機コア(1、1A、1B)であって、
上記電磁鋼板は、上記回転機コアの周方向(X)に沿って延びるコアバック部(2)と、該コアバック部から上記周方向に直交する方向(Y)に沿って延びる複数のティース部(3)とを有し、
上記コアバック部と上記ティース部とが一体的に形成されており、
上記コアバック部における上記電磁鋼板の結晶方位が上記周方向に沿って揃い、上記ティース部における上記電磁鋼板の結晶方位が上記ティース部の延び方向に沿って揃っている、回転機コア。 - 上記積層状態は、上記電磁鋼板が螺旋状に巻回されて構成されている、請求項1に記載の回転機コア。
- 上記積層状態は、環状の上記電磁鋼板が複数積層されて構成されている、請求項1に記載の回転機コア。
- 第1単結晶鋼(41)と第2単結晶鋼(42)とを、上記第1単結晶鋼と上記第2単結晶鋼との結晶方位が相互に直交するように多結晶鋼板(40)の主面(401)に接触させ、熱処理を行うことにより、結晶方位が相互に直交し、かつ上記結晶方位が特定方向に配向する第1領域(101)と第2領域(102)とを有する、2方向性の電磁鋼板(100)を得、
上記電磁鋼板の上記第1領域の上記結晶方位に沿う方向に帯状に延びる帯状コアバック部(20)と、上記第2領域の上記結晶方位に沿う方向に延びる複数の平行ティース部(30)とを有する櫛状シート(105)を打ち抜き、
上記櫛状シートを螺旋状に巻回させつつ積層する、回転機コア(1、1A)の製造方法。 - 第1単結晶鋼(41)と第2単結晶鋼(42)とを、上記第1単結晶鋼と上記第2単結晶鋼との結晶方位が相互に直交するように多結晶鋼板(40)の主面(401)に接触させ、熱処理を行うことにより、相互に結晶方位が直交し、かつ上記結晶方位が特定方向に配向する第1領域(101)と第2領域(102)とを有する、2方向性の電磁鋼板(100)を得、
上記電磁鋼板の上記第1領域の上記結晶方位に沿う方向に帯状に延びる帯状コアバック部(20)と、上記第2領域の上記結晶方位に沿う方向に延びる複数の平行ティース部(30)とを有する櫛状シート(105)を打ち抜き、
上記櫛状シートを環状に巻回させることにより環状のコア板(104)を得、
上記コア板を複数積層する、回転機コア(1、1B)の製造方法。
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